【艦これ】提督「舞風の踊る姿を見たことがない」 (69)


艦これより、陽炎型駆逐艦十八番艦、舞風のSSです

※ゲーム内のケッコン台詞を使用しているのでネタバレが嫌な人は注意



↓過去作

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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1443973152


舞風「提督ぅ~、あたしと一緒に踊らない~?」クルッ

提督「お……舞風か」

提督「……悪いが、この書類の山を今日中に片付けにゃならんのだ」

舞風「あ~、そんじゃ仕方ないね~」

提督「……いつも断ってばかりですまんな」

舞風「いーのいーの。お仕事がんばってねっ(投げキッス」タタッ

提督「はは……」ポリポリ


提督「…………」モクモク

提督(……そういえば)ピタ

提督(舞風が踊っている姿を……実際に目にしたことってないな)

提督(…………)

大淀「……提督? 作業が止まっているようですが」

提督「……すみません」カキカキ

提督(……ふうむ)


 ・
 ・
 ・

大淀「……それでは提督、私は所用で席を外しますが……」

大淀「……今日中に、残りの書類の七割は片付けておいて下さいね?」ジロ

提督「……任せておけ」

大淀「…………そうですか。では」パタン

提督「…………」

提督(……よし、サボろう)スクッ


提督(……さて、舞風はどこかな)

舞風「~~♪~~♪」

提督(お、いたいた)

舞風「あっ、赤城さん! こんにちは~!」

赤城「こんにちは、舞風さん。今日も元気ですね」

舞風「はい、元気が一番ですっ。暗い雰囲気は苦手です、から!」

舞風「赤城さんも、舞風と踊って元気になりませんか~?」クルクル


赤城「うーん……ごめんなさい、今から加賀さんたちと訓練なの」

舞風「ありゃ~」

赤城「ごめんなさいね」

舞風「いえいえ、お気になさらず~。訓練は大事ですよ、元気の次に大事!」

赤城「ふふ……また今度誘って下さいね」

舞風「はいは~い。頑張って下さ~い!」ヒラヒラ

舞風「…………ふう」

提督(…………?)


 ・
 ・
 ・

舞風「……」テクテク

提督(……)コソコソ

舞風「あっ、おーい、磯風~」

磯風「む、舞風か」

舞風「今演習終わったとこ?」

磯風「ああ。……この磯風に何か用か?」

舞風「えーとー……一応聞いてみるけど、磯風ってダンスとか興味ある?」

磯風「だんす? ……ああ、衣服を仕舞っておく……」

舞風「……それはタンス!」


 (略)

磯風「――さすがは舞風だな。どのようにボケても即座にツッコミを返せるとは」

舞風「褒められても嬉しくない……って、やっぱりわざとだった!?」

磯風「それで、舞踊がどうした? 生憎、この磯風は盆踊りくらいしか踊れんぞ」

舞風「うー……何か疲れたし、もういいよ……」

磯風「そうか? ではまたな」スタスタ

舞風「……はぁー」


 ・
 ・
 ・

舞風「……」テクテク

浜風「……舞風」

舞風「わっ! ……浜風かぁ、脅かさないでよ」

浜風「すみません……舞風が、何だか疲れたような顔をしていたものですから」

舞風「あー、まあちょっとね……」

浜風「?」


舞風「いやいや、何でもないよ。それより浜風、今ヒマ?」

浜風「え、はい。この後は空いていますけど……」

舞風「そっか! それじゃあ私と……」

舞風「…………」

浜風「舞風?」

舞風「……私と……一緒に…………」ブルッ

提督(……?)


舞風「っ…………ま、間宮さんとこ、行かない?」

舞風「んんっ……いや~、磯風のせいでちょっと疲れちゃって、甘いもの食べたいんだよね~」

浜風「はあ……構いませんが」

舞風「よーし、それじゃしゅっぱーつ!」タタッ

浜風「あっ、待って下さい」タッ

提督(…………)


提督(…………)コソコソ

野分「…………司令?」

提督「うおっ!? ……何だのわっちか。びっくりしたー」

野分「……その、のわっちっていうの……やめてもらえないでしょうか」

提督「えー、いいじゃんのわっち。舞風だって言ってるじゃん」

野分「……ま、いいですけどね……それで? その舞風を怪しげに付回して、何をしてるんです」ジロ


提督「怪しげとは失礼な……そうだ、のわっち」

野分「何です?」

提督「お前は……舞風の踊ってる姿、見たことあるか?」

野分「! …………それは……」

提督「今日久しぶりに舞風に誘われてな。忙しくて相手できなかったんだが、そういえば舞風のダンスって見たことないなーと思って……」

野分「…………」

提督「……野分?」


野分「そう……ですか。もう、そんな時期か……」

提督「時期? 何の話だ?」

野分「…………」

野分「……司令。司令は、舞風のことを……どう思っていますか」

提督「…………え?」

提督「……どう……とは?」


野分「司令にとって舞風は、単なる部下ですか。我が子のような存在ですか。それとも……」

提督「…………」

野分「……単刀直入に聞きます。司令は舞風を……好きですか」

提督「……!」

野分「……どうですか」

提督「…………」


提督「…………好き、だ」

野分「それは異性として? 恋愛感情としての『好き』ですか?」

提督「……そこまで突っ込まれると、正直自分でも解らん」

提督「舞風は、可愛いし、魅力的だと思う。それを一人の男として感じる時もあれば……父親のような立場で感じる時もある」

野分「…………」


提督「……だが、舞風を大事に思う気持ちは……あいつの笑顔を守りたいという気持ちだけは……」

提督「……常に揺るがず、持っているつもりだ」

野分「……」ジッ

提督「……」

野分「……そうですか。司令の舞風に対する強い想いは……解りました」

野分「それじゃあ……舞風の、ダンスの話でしたね……」

提督「……ああ」

野分(司令なら……あの娘を……)


 ・
 ・
 ・

舞風「……はあ~、満足満足」ポンポン

舞風「…………」

舞風「…………はぁ」

香取「あら、舞風さん。どうかしましたか、溜息なんて吐いて」

舞風「! ……香取、さん……?」


香取「ふふ、どうしました? そんなに驚いて」

舞風「……い、いえ、何でも……」

香取「そうでしょうか?」

舞風「…………」

香取「…………」ジッ

舞風「……え、と」


舞風「わ、私……ちょっと用事が……」クルッ

香取「……舞風さん」

舞風「……」タッ

香取「私は……誘ってくれないのですか?」

舞風「……!」ピタッ


香取「私はあなたと…………踊ってみたい、です」

舞風「あ……っ……ぅ……」

舞風「――ッ」ギュッ

 舞風は突如、何かに怯えるかのようにきつく目を閉じ、己の身を掻き抱くと、がくりと床に膝を突いた。

 香取はそんな舞風を優しい瞳で見つめながら――ゆっくりと近づく。

 そして舞風の背後でそっとしゃがみ込み、弱々しく震えている舞風の背中をそっと抱きしめた。


香取「……やはり、忘れられないのですね」

舞風「…………」

香取「誰かに相談することもなく……?」

舞風「…………」コクリ

香取「……そうですか」


香取「大丈夫……と私が言っても、だめなのでしょうね」

舞風「……ごめんなさい」

舞風「香取さんは何も悪くないし、こんなんじゃだめだって自分でも解ってる。けど……」

舞風「……どうしても……怖くて……っ」

香取「……」ギュ


香取「私とは話せなくても……」ポンポン

香取「他に頼れる人が、いるんじゃありませんか」ナデナデ

舞風「……野分には……これ以上は……」

香取「野分さんではなく……」

舞風「え……?」

香取「あなたが、頼れる人……寄りかかれる人」

舞風「…………」


香取「一人で乗り越えようとするのは立派なことです。だけど」

香取「逃げられる場所を作っておかないと……いつかは、耐えられなくなりますよ」

舞風「…………」

香取「……ごめんなさい。おせっかいな先輩からの、余計な助言です。聞き流して下さい」

香取「さ、立って。……いつか、あなたのダンスを見せて下さいね」

舞風「………………はい」

舞風(…………私、は……)


 ・
 ・
 ・

野分「司令は舞風の……実艦としての『舞風』の最期は、ご存知ですか」

提督「……ああ」

野分「……でしたら、話が早いです」

野分「私たち艦娘は、程度の差こそありますが皆『かつて』のことを覚えています」

野分「……もちろん、その最期の瞬間のことも」

提督「…………」


野分「舞風は、この時期になってくると……夢に、見るそうです」

野分「航行できなくなり……敵艦に取り囲まれ……そして真っ二つになって沈んだ、あの日のことを」

 ※駆逐艦「舞風」の戦没は2月17日。投稿時期とは無関係なので注意

提督「…………」

野分「舞風が誰かをダンスに誘うのは……必ず、最期の日を夢に見た後なんです」

野分「あの娘は、断ってくれそうな相手しか誘わない。……決して踊らない……いや、踊れない」

提督「踊れない……?」


野分「……たぶん、思い出してしまうんでしょう」

提督「思い、出す……」

野分「……海に投げ出された、乗員たちのことを。冷たい波に漂う、彼らの姿を」

野分「……目の前で命が消えていった瞬間の、恐ろしさを」

提督「…………」


野分「……今言ったのは、私の想像です。舞風は悪夢のことは話してくれましたが、全てを打ち明けてくれたわけではありませんから……」

提督「……踊れないのに……踊ろうとするのか、あいつは」

野分「……強いですよ、舞風は。……でも、本当は誰かに弱音を聞いてほしいはずです。支えてほしいはずです!」

提督「野分……」

野分「……すみません。今のは想像ですらなく……私の願望です。私が……舞風が苦しんでいるのを見たくない、という……それだけです」

提督「…………」


野分「……少し、話が長くなりましたね。私は、できることならば司令に……舞風を、支えてほしいんです」

提督「…………」

野分「面倒ごとを押し付けているようで、心苦しいですが……」

提督「……いや。……ありがとう、話してくれて」

野分「……いえ。舞風のこと、お願いします」

提督「……ああ」

野分「……私は今夜、遠征で戻れませんから……舞風一人になるんです。……気にかけてあげて下さい」

提督「……解った」

野分「……ありがとうございます。では……」


提督「……あ、待て野分」

野分「はい……?」

 ポン

野分「へ……?」

 ナデナデ

野分「ん……司令?」

提督「……今まで辛かったな、野分」

野分「……!」


提督「お前は優しい娘だ……ずっと舞風のことを、側で見守っていたんだから」

野分「ぁ……私……っ」ポロ

野分「違、ですっ……私、は……私はっ……!」ポロポロ

提督「……お前も、覚えているんだな」

野分「っ……く、うっ……」コク

提督(「舞風」が、沈んだ日のことを……「野分」が、僚艦を見捨てて逃げざるを得なかった時のことを)

提督「これからは俺も……舞風を支えるから。だからもう……一人で抱え込んで、気に病む必要はない」

野分「ぅ……しれっ……司令ぃ……!」ボロボロ

提督「……うん……うん」ナデナデ

 ・
 ・
 ・


 ――夢を見ていた。夢の中の私はステップを踏むための足も、差し出された手を握り返すための手も持たず、頭の中に靄<モヤ>がかかったようにただぼんやりと海に浮かんでいた。――ああ、またこの夢だ。

 ――不意に、陸地から火の手が上がる。敵の航空機。慌てふためき逃げ惑う人々。

 ――次には急に時間が飛び、背後に島が遠ざかっていく光景。駄目だ。何で。戻らなくちゃ。私は、あの人たちを守るためにいるはずなのに。


 ――いや違う。間違えるな。今の任務は引き揚げ者と貨物の護衛――MIで私が沈めたあの人と共通の名を持つ船を――守るんだ――今度は。

 ――私が悲壮な決意を固めた、その瞬間を狙ったかのように――「赤城丸」が火を噴く。目に映るものが急に早送りになり――私が守ろうとしていた船がずぶずぶと水底に消えていく。

 ――夢の中だけあって、時間の流れ方は滅茶苦茶、それなのに、繰り返される光景は――結末は――いつも同じ。


 ――いつの間にか、私の体からも煙が上がっていた。けれど痛みは感じない。――この先を見るくらいなら、痛みで発狂した方がまだマシなのに。

 ――何波目か解らない攻撃隊が遠くの空に現れる。そして、隣にいた「野分」との距離が離れていく。

 ――嫌だ。置いて行かないで。――いやそうじゃない。私はもう逃げられない。なら野分だけでも――ミステラレタ――無事に――シンジテタノニ――やめろ――ニクイニクイニクイ――心が、千切れそうになる……!


 ――ようやく、野分の姿が水平線に消える。この間、時間の流れはひどくゆっくりで、この悪夢の徹底した嫌らしさに心底腹が立つ。

 ――安堵する間もなく、ゆらり、と周囲に影が立つ。一つは私と同様に傷だらけになった「香取」。そしてそれ以外は敵艦――大小無数の。

 ――動けない私と香取に、雨霰と砲弾が降りそそぐ。相変わらず、命中しても体はちっとも痛まない。だが、自分の無力さと、この先に待つ覆しようのない絶望に――心が、砕けてしまいそうになる。

 ――できるものならば、今すぐに、一秒でも早く目覚めたい。だが、できない――嫌――嫌だ――お願い、誰か助けて――その時が来てしまう――。


 ――香取の船体が               ――ひっくり返り

        ――泡〈アブク〉を生じさせながら
                                  ――いってしまう

    ――彼女も
                  ――そして砲撃は
                                          ――独り残された私に
 
――集中し                          ――体の芯も

             ――心の芯も
                                     ――ポッキリと

      ――声にならない
                             ――叫びが




 (――ぜ……まい……ぜ……)



 ――――?


 (――舞風っ!!)



舞風「――っあああああああああ!」ガバッ

舞風(ハァ…ハァ…)

舞風(声……出てる。汗……かいてる。足も手もある……私はここにいる……)

舞風(……誰かが、私の手を握ってる?)


提督「舞風っ、大丈夫なのか、舞風?!」

舞風「提……督……?」

 ――ドクン

 舞風の心臓が、恐怖とは別の理由で跳ねた。

 全身に血が巡っていく――温かい血が。


舞風「な……何、で……?」

提督「……野分から聞いた」

舞風「え……?」

提督「お前のダンスに……どれだけ重い意味があるか。お前が……どれだけ苦しんでいるか」

舞風「っ……そ、そんなの……のわっちの勘違い……」

舞風「……って言っても、通らないよね」

提督「…………」

舞風「……提督、執務室で待ってて。……着替えて行くから」

提督「……解った」


 ・
 ・
 ・

舞風「……お待たせ」

提督「…………」

舞風「…………」

提督「……舞風」


舞風「いい……何も言わないで」

提督「…………」

舞風「解ってるんだよね……」

提督「……」コク

舞風「……そう」

提督「…………」


舞風「…………」

 (――あなたが、頼れる人……寄りかかれる人――)

舞風「…………提督、私」

舞風「――私……は……っ……!」

 眉間に皺を寄せ、両手をこれ以上ないほど強く握り、必死で何かを口にしようとする舞風。

 しかしどうしても言葉が出ず、虚しく口をぱくぱくとさせる。


提督「……舞風」

 提督はそんな舞風を、震える華奢な体を、そっと抱き寄せると、おずおずと両腕で包み込んだ。力を込めすぎると、壊れてしまうのではないかと恐れながら。

 それでも舞風の体は、細かく震え続けていた。だが服越しに伝わる提督の体温が徐々に、舞風の体を、そして心を温めていく。

 舞風は両手を提督の体に添わせながら上へと伸ばし、縋り付くように提督の胸元をきゅっと掴んだ。ようやく、体の震えが止まる。


提督「……無理に話してくれなくてもいい」

舞風「っ……でも!」

提督「いいんだ」

舞風「…………」

提督「俺はあくまで野分から聞いただけで……お前の苦しみを、本当には理解できていないかもしれない。けど……」


提督「お前が震えている時は……震えが止まるまで側にいてやりたい。そう思う」

提督「お前が、心の全ての部分を使って笑えるようになるまで……いつまでも」

舞風「……提、督」ポロッ

舞風「…………」ゴシゴシ


舞風「…………よかった」

提督「ん……?」

舞風「今、初めて……艦娘になれて……もう一度生まれることができて、よかった……そう思えた」

提督「…………」


舞風「…………提督」

舞風(…フゥッ)

舞風「……私……怖いの」

提督「……戦うのが、か?」

舞風「ううん……自分の傷は、いくらでも耐えられる……」


舞風「皆が、いなくなるのが……私の側から去っていくのが……私の目の前で誰かが沈むのが……」

舞風「そんな場面を、見るのが……また実際に目にするんじゃないかって……」

舞風「……それを思うと、怖くて仕方ないの」

提督「…………」


舞風「だからね……皆がちゃんとここに……私の前にいるって確かめたくて、ダンスに誘うんだけど……」

舞風「いざ触れようとすると……駄目なの。この手がすり抜けてしまうんじゃないかって、突然消えてしまうんじゃないかって……!」

提督「…………」


提督「……俺は、ここにいる」

舞風「っ……うん」

提督「……ずっといる」

舞風「うん……」


提督「俺が……誰も、沈めさせはしない」ギュ

舞風「! ……うん……!」ギュッ

提督「…………」

舞風「…………」


舞風「……不思議」

提督「……?」

舞風「提督の側にいれば……何だか、大丈夫……」

提督「……」

舞風「ねえ、提督……」

提督「……何だ?」


舞風「私、ずっと……提督の近くにいても、いいですか……?」

提督「……それは、俺の方からお願いするべきことだな」

提督「俺が……舞風の近くにいるんだ、ずっと。そうだろう?」

舞風「……そっか。……ありがとう、提督」

舞風「……じゃあ、別のお願い、してもいいですか?」

提督「……ああ」


舞風「…………提督っ」

 それまでずっと提督にしがみついていた舞風だったが、不意に二、三歩距離を取ると、何かを振り払うように――それでいて優雅に――くるりと回った。

舞風「…………」スッ

舞風「……舞風と一緒に……踊って、くれますか?」

提督「…………」


提督「……喜んで」スッ

 提督が舞風の手を取る――と同時に、ジュークボックスから静かに音楽が流れ出す。

 それは、このような状況を予想していた誰かの仕掛けか、あるいは妖精さんの粋な計らいか、それとも、天からの祝福か――。

 その夜、鎮守府には優しげな音楽が一晩中流れ続け――誰もが、幸せな夢を見たのであった――。



     ――艦


 おまけ?

 以下のダジャレ集は>>9の(略)の部分に入ります。


磯風「欧州にそんな国が……」

舞風「それはフランス!」

磯風「金なら貸さんぞ……」

舞風「それは金子! ……いや、銀子かも?」

磯風「涼をとったり、お座敷遊びに使ったり……」

舞風「それはうt……じゃなくて扇子!」

磯風「私が持つのは戦闘の、舞風が持つのは駄洒落の……」

舞風「それもセンス!」


磯風「何事も偏りはよくない。大事なのは……」

舞風「バランス!」

磯風「~以来、~以後、~の時から……」

舞風「since!」

磯風「独語で数字の1は……」

舞風「アインス!」

磯風「アラビアの……」

舞風「ロレンス!」


磯風「アタック……」

舞風「チャ~ンス!」

磯風「あちきは花魁で……」

舞風「ありんす!」

磯風「おいらは矢部で……」

舞風「やんす!」

磯風「おむかえで……」

舞風「ごんす!」

磯風「私とお前は……」

舞風「フレンズ! って何言わせるの! もういいよ!」ビシッ


…はい、最後にくっだらないお目汚しを入れましたが、以上で本作は終了です。ありがとうございました

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