にとり「イナホかぁ…人間にしてはいい名前だね。うん！気に入ったよ」

イナホ「人間にしては？」

にとり「…その反応から察するにやっぱり君は“外来人”なんだね」

イナホ「外来人？」

にとり「まぁ、君が倒れてた場所にあった、おっきなオレンジ色の人型の機械や君の着てる妙な服から大体そうじゃないかとは思ったけどね」

イナホ「…状況を説明してくれないか」

にとり「いいよ」

…少女説明中…

にとり「…と、まぁこんな感じかな」

イナホ「なるほどな」

にとり「あれ？意外に冷静だね…もっと取り乱すかと思ったよ」

イナホ「取り乱しても何も始まらないからね。それよりカタクラフト…」

イナホ「僕が倒れてた場所にあった人型の機械はどうなったの？」

にとり「んー、あれは…」

…ﾄﾞﾝﾄﾞﾝﾄﾞﾝ！…

にとり「もう…なんだよ、うるさいノックだな」

にとり「はいはい、どちら様～？」ｶﾞﾁｬ…

…ｶﾞﾁｬ！…

霊夢「にとり！今すぐここから逃げなさい！」

にとり「ひゅい！？どうしたのさいきなり…」

魔理沙「“例の宝珠”をもったヤツがすぐそこまで来てるんだ！」

にとり「なんだって！？」

魔理沙「私達の攻撃が凄まじい冷気に阻まれて一切効かないんだ」

霊夢「おまけにその冷気の範囲が広くて敵の姿も確認できてないけど、私の勘じゃ、多分チルノあたりの仕業ね」

にとり「あのチルノが？にわかに、信じられないけど…」

魔理沙「とにかく外にでてみろって！」

…妖怪の山 にとりのアジト…

にとり「…！…山のふもとが…見渡す限り氷ついて…しかも段々こっちに迫ってきてる…！」

霊夢「分かったらさっさと逃げなさい！」

にとり「う、うん…」

にとり(この二人でもどうにもならないなら逃げるしか…)

にとり(いや…待てよ。外の世界から流れついた“例の宝珠”…)

にとり(私達にはどうにもできないとしても…同じく外の世界から来た人間になら…もしかしたら…)

…ｶﾞﾁｬ…ﾊﾞﾀﾝ！…

魔理沙「おい、にとり！何考えてんだ！そんなとこにいたらカチンコチンに氷って死んじまうぞ！」

霊夢(…何か考えがあるのかもしれないわね)

霊夢「魔理沙！」

魔理沙「なんだよ！」

霊夢「にとりが出てくるまであれをなんとか食い止めるわよ」

魔理沙「食い止めるったってどうすりゃいいんだ！」

霊夢「うるさい！やるったらやるのよ！」

魔理沙「あ～！もう！わかったよ！こうなりゃやけくそだ！」

…にとりのアジト…

イナホ「随分騒がしいけど何かあった？」

にとり「外がちょっと大変な事になっててね…」

にとり「それよりイナホ…安静にしてとか言っといてなんだけど…立てる…かな？」

イナホ「…うん」ｽｯ…

にとり「ちょっと、力を貸して欲しいんだ」

イナホ「…どういうこと？」

にとり「時間がないから手短に話すよ」

～数分後～

魔理沙「霊夢！もう後がないぞ！」

霊夢「…仕方ないわね、こうなったらにとりを無理矢理連れ出して…」

魔理沙「アイツが出てくるまで食い止めるんじゃなかったのかよ！？」

霊夢「うるさいわね！私だって…」

『弾道を計測する…二人とも、退がって』

https://youtu.be/s_jMr9Qx9Gg

霊夢「…え？」

魔理沙「おい！なんなんだ？この全身オレンジ色の鎧着た変なヤツは？」

…ｽﾞﾀﾞﾝ！…ｽﾞﾀﾞﾝ！…ﾁｭｲﾝ!ﾁｭｲﾝ？…

？？？「ククク…無駄なことを…」

『なるほど…弾道が超伝導状態になり、マイスナー効果で弾かれたのか…』

『…空中炸裂モードならどうだ？』ｶﾞｼｬｺﾝ！

…ｽﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀ！…

『…不発？弾頭のバッテリーが氷ってプロセッサーが停止したのか…』

『…奪った熱量はどこへ？』ｷｭｲ…ｷｭｰﾝ…

魔理沙「なぁ、お前さっきから何言ってんだよ？」

にとり「魔理沙…今は彼に任せて」

魔理沙「あ、あぁ…」ｷｮﾄﾝ…

『…！…分子運動のエネルギーを次元の裏側に隠している…！』ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟ…

…ｽﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀ！…ﾁｭｲﾝ!ﾁｭｲﾝ!ﾁｭｲﾝ!…

『…弾頭の自動時限芯管が作動する飛距離は50mといったところか…』ﾋﾟｺﾝ…ﾋﾟｺﾝ…

『…ヤツの絶対零度フィールドの半径は1km… つまり…』

『…榴弾が20発もあればいける…！』

…ｳｨｰﾝ…ｶﾞｼｬｺﾝ！…

霊夢「あんた…一体何を…？」

『…敵に突っ込む』

魔理沙「無茶だ！凍っちまうぞ！？」

『凍りつく前にヤツに辿りつければいい…！』ｷｭｲ…ｷｭｰﾝ！

…ｶﾞｼｬﾝ！ｶﾞｼｬﾝ！ｶﾞｼｬﾝ！…

？？？「おもしろい…この最強のあたいの前に来れるなら来るがいい…！」ﾆﾔﾘ…

『…グレネードランチャー…空中炸裂モード…安全距離カット…飛距離50mに設定…』ｷｭｲｰﾝ

『スラスター…ブーストオン…』バシュウゥー！

『…ファイア！』ｽﾞﾀﾞﾝ！

…ﾊﾞｼｭｳｩｰ！…ﾁｭﾄﾞｰﾝ！…

『…ファイア！」ｽﾞﾀﾞﾝ！

…ﾊﾞｼｭｳｩｰ！…ﾁｭﾄﾞｰﾝ！…

魔理沙「アイツ…さっきから何やってんだ？自分が撃った砲弾の爆風に自分から突っ込んで行って…ただのバカじゃねぇの？」

霊夢「そう思うならバカはあんたの方ね」

魔理沙「なんでだよ？」

霊夢「私達があの冷気に突っ込んでいったら10秒もしないうちに服が凍り始めたでしょ？…でもアイツはどう？」

魔理沙「あ～？アイツだってもうそろそろ凍っ……ってない！？…それどころか、どんどん突撃してやがる！？」

…ﾁｭﾄﾞｰﾝ！…ﾁｭﾄﾞｰﾝ！…

にとり「そう、彼は自分の移動速度に合わせて適切な距離で放った榴弾の爆風を浴びることによって熱量を得てるんだよ」

魔理沙「…なんてヤツだ」

？？？「人間のくせになまいきだ！かのまま凍りついてしまえ！」

－カッ！－

？？？「アイシクルフォール！！」ﾊﾞｷﾊﾞｷﾊﾞｷ…

霊夢「あれは…！」

…ｽﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ！…

『高密度の氷塊によるホーミングミサイルといったところか…』

にとり「逃げて！イナホ！」

『データ補正…完了…ヤツの好む攻撃パターンを敢えて受けやすい正面へと突っ込む…！』ﾊﾞｼｭｳｩｰ！

…ｽﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ！…

魔理沙「アイツ…あの一瞬で、しかもこんな状況でアイシクルフォールの弱点を見切ったのか！？」

…ﾁｭﾄﾞｰﾝ！…ﾁｭﾄﾞｰﾝ！…

『…』ｶﾞｶｯ！…ｶﾞｼｬｺﾝ！

？？？「ぐ…ぬぬぬ…！」