男「薫たん、かわいいお」幼馴染「はぁ......」 (30)



男「早く攻略するお」かちゃかちゃ


幼馴染「ねえ、男」


男「なんだい?」


幼馴染「私とあんたって付き合ってるんだよね?」


男「そうだお。幼馴染から告白したんだお」




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男「早く攻略するお」かちゃかちゃ


幼馴染「ねえ、男」


男「なんだい?」


幼馴染「私とあんたって付き合ってるんだよね?」


男「そうだお。幼馴染から告白したんだお」


幼馴染「なら、なんでギャルゲーするの?」


男「?」


幼馴染「ほら......別に画面の中の子じゃなくて、わ、私とかを......」


男「嫉妬してるのか?」


幼馴染「は!? だ、誰がそんな画面の彼女なんかに......!」


男「ふーん? そうか」かちゃかちゃ


幼馴染「うぅ.........ばか」



男「むおおお!! 薫たん攻略したお!」


幼馴染「ふーん......」ぺら


男「ネットで難しいと言われてるだけあった」


幼馴染「あっそ」


男「なんか怒ってる?」


幼馴染「べっつにー」ぺら


男「ふむ......」


ギュ


幼馴染「え、ちょ、なに?」


男「僕は幼馴染が好きだお」


幼馴染「な、なんだよ急に」


男「なんか言ってみた」離れ


幼馴染「ふーん、そう......」


男「よし。機嫌治ったようだね」


幼馴染「は。勝手に決めつけるなよ」


男「でも、顔にやけてるし」


幼馴染「に、にやけてねーし」


男「幼馴染はすぐ表情に出るからわかりやすいんだお」


幼馴染「う、うるせえ」


男「じゃあ、僕はギャルゲーの続きを......」


幼馴染「お、おい」袖ギュ


男「なんだい?」


幼馴染「も、もう一回ぎゅっとしろ」


男「ほお......」


幼馴染「べ、別に男に甘えたいとかじゃないからな。ちょっと寒いだけであって......」


男「はいはい。ツンデレ乙」ぎゅ



【お片づけ】


幼馴染「あのさあ、ずっと言いたかったんだけどさ」


男「なに?」


幼馴染「この大量のえろ本どうにかしてよ」


男「えろ本じゃないお。同人誌だお」


幼馴染「どっちでもいいけど、目障り」


男「ああ、興奮しちゃう?」


幼馴染「し、しねえよ!」


男「まあ、たまにはここら辺の整理も悪くないか」


幼馴染「よしよし」


男「えーと、これはいらない。......これはいる、と」


幼馴染「......」ジー


男「ん? どうしたんだい? 同人誌なんか読んで」


幼馴染「いや、男はこういうことしたいと思うの? 私と」


男「んー......したくないといえば嘘になるだろうけど、でも今はこうやって幼馴染と一緒にいるだけで楽しいから、無理にしたいとは思わないかな」


幼馴染「まあ、男にはそんなことする度胸もないだろうしね」




男「む。僕だって、狼になることだってあるお」


幼馴染「はは、それは怖い」


幼馴染「ーーーまあでも、」グイ


男「な、なんだい?」


幼馴染「私はちょっと興味あるかも......?」


男「へ?」


幼馴染「......」


男「......」


幼馴染「や......やっぱ今の忘れて」


男「え? 幼馴染は僕とあんなことやこんなことしたいのかい? ん?」ニヤニヤ


幼馴染「じょ、冗談だ。忘れろ」


男「実は今、僕とやってるのを想像して、あそこが濡れ濡れだったり?」


幼馴染「し、してねえよ! 変態!」


男「いやー、意外にもガツガツ系だったのかー」


幼馴染「本当に忘れろっ!」


男「今日のオカズに使うから、もう一回言って。録音するから」


幼馴染「言わねえよ!」


【風邪と私】



男「風邪?」


幼馴染「うん......だから、今日は学校休むね」


男「わかったお」


幼馴染「ごめんね」


男「帰り、お見舞いに行くお」


幼馴染「はいはい」


ーーーーーーー


幼馴染「あー......ひま」


 私の両親は共働きだ。
 だから、たいてい家にいない。
 家では、私はいつも一人だ。


幼馴染「あいつにメールでもするかな」


幼馴染「ーーーーいや、授業中だろうし、迷惑か」


幼馴染「はぁ......寝るか」


ーーーー
ーー


 小学生


母『本当に大丈夫?』


幼馴染「うん。大丈夫だよ」


母『何かあったら電話してね』


幼馴染「うん。ばいばい」

 
 がちゃん


幼馴染「ゲホッゲホッ」


幼馴染「うぅ......きもい悪い」


幼馴染「薬飲んだはずなのにな......」


幼馴染「・っ......!」


 ごほっ! げほっ!


幼馴染「どうしよう......吐いちゃったよ」


幼馴染「死んじゃうのかな......」ぐすっ



 ぴんぽーん


幼馴染「ん?」


幼馴染「はい......?」がちゃ


男「お見舞いに来たでござる」


幼馴染「へ、ああ、男か......」ゴシゴシ


男「あら? 泣いてた系?」


幼馴染「う、ううん! 何でもない」


男「ふむ? じゃあ、そんな君にこれをあげよう」


幼馴染「なにこれ」


男「ふっふっふ。これは、僕のパワーが詰められてるお守りさ」


幼馴染「ただの紙切れじゃん」


男「フッ......いずれわかるでござるよ」


幼馴染「はは、なにそれ。ーーーまあ、ありがとう」


男「あ。あとこれ」つ漫画


男「これを読むと元気になるよ」


幼馴染「......」


幼馴染「うん。ありがとう」


男「では、僕はこれで」


幼馴染「うん。ばいばい」


男「ぐっばーい」


 ばたん


幼馴染「......」


幼馴染「寝よ」


ーーーー
ーー



幼馴染「ん、んー......」


男「あ。起きた」


幼馴染「あれ? 帰ってくるの早くない?」


男「幼馴染は風邪引くと寂しがり屋になるから、学校終わったら飛んできたのさ」


幼馴染「そ、そんなことねえよ」


男「あ。これ貸してあげよう。元気になるぞ」つ漫画


幼馴染「......」


幼馴染「ーーふふ、あんたはいつまでたっても変わらないね」


男「む。僕は常に進化してるんだぞ」


幼馴染「はいはい」ぎゅ


男「幼馴染?」


幼馴染「大好き」


男「......」


男「ほら、やっぱ寂しかったんだ」


幼馴染「べ、別にそんなことないし」


男「照れ隠し乙」なでなで


幼馴染「うるせえ」ぎゅー


【想いのすれ違い】


 これは、僕が中学の時のお話。

 よければ聞いて欲しいんだお。


 この世の中に僕と一緒にいたいと思う人はいない。


先生「じゃあ、近くの人とグループになれー」


 学校ではよくあるイベント。
 
 当然、僕は一人取り残される。


先生「あれ? 男だけ余ったか......」


 きっと、またか。とでも思われているのだろう。


先生「じゃあ、あそこのグループに入れ」


男「はい......」


 僕が近寄ると、そもグループの人たちは、明らか嫌そうな顔をする。

 たまに、「よろしく」なんて言ってくるやつもいるが、決まってそいつの目は笑っていない。
 きっと、僕なんか消えてしまえばいいと思っているんだ。



 わかっている。僕なんかこの世に必要ない存在なんだ。



 でも一人、ずっと僕と一緒にいる人がいる。

 そう、幼馴染だ。


幼馴染「男、帰るぞ」


男「ああ......」


幼馴染「今日も疲れたなー」


男「そうだな......」


幼馴染「なんか元気ない?」


男「え、いや、べつに」


幼馴染「そう?」


 もう一度言うが、僕と一緒にいたいと思う人なんて、いないんだ。

 きっと、幼馴染も僕となんかと一緒にいたくないと思っている。

 "幼なじみ"という関係があるから仕方がなく一緒にいるだけなのだ。


 でも、僕はこれ以上、幼馴染に気を使わせたくない。

 だから、僕は今日幼馴染に言う。

キモいぞ

ダサい主人公には共感できるがキモい主人公には共感できない



男「そういえば、告白されたんだってね」


幼馴染「へ? ああ、まあ......」


男「でも断ったらしいね」


幼馴染「詳しいな」


男「男子がいろいろ騒いでいたから」


幼馴染「ふーん......」


男「なんで?」


幼馴染「なんでって......別に好きじゃないから?」


男「ふーん......」


幼馴染「なんだよ」


男「僕に気を使っているんじゃないかって思って」


幼馴染「は? なんでお前に気を使うんだよ」


男「いや、なんとなく......」


幼馴染「......?」

男「......」トコトコ


幼馴染「......」トコトコ


男「......あのさ。好きな人がいるなら、付き合えばいいよ」


幼馴染「なに急に?」


男「なんで幼馴染は僕と一緒にいるんだ?」


幼馴染「......そんなのなんでもいいだろ」


男「"幼なじみ"だから?」


幼馴染「は?」


男「そんなの気にしなくていいよ。少なくとも僕は気にしない。幼馴染は、僕なんかほっといて好きな人と一緒にいればいい」


幼馴染「......」


男「幼馴染?」


幼馴染「ーーーそうか。わかった」


 これで僕は一人だ。


幼馴染「じゃあ、私は今まで通りお前と一緒にいるよ」


男「......へ?」


 は? 幼馴染は僕の言った意味わかってんのか?


男「だから、僕のことは気にしなくてーーーー」


幼馴染「馬鹿かお前は」


男「え......?」


幼馴染「さっきの言葉で察しろよ」


幼馴染「ーー私の好きな人はお前だよ」



男「僕のことが......?」


 なに言っているんだこの人は。
 僕のことが好き?
 意味がわからない。


男「だって、僕と一緒にいたい人なんてこの世にはいないはず......」


幼馴染「は? なに言ってるんだお前。頭大丈夫か?」


男「いや、だって......」


幼馴染「だってだってうるせえな。なに悲劇のヒロインぶってんだよ。この世には、男と一緒にいたい人なんて何万といるよ。少なとも私は、男と一緒にいたい」


男「でも、学校の人は......」


幼馴染「お前はこの世にどんくらいの人がいると思ってんだよ。何十億人といるんだぞ?」


男「......」


幼馴染「そんなちっぽけなところ見てないで、もっと周りを見ろよ」


男「周りを......」


幼馴染「ていうか、この世に全人類から嫌われるやつなんていないんだよ」


 そう言うと、幼馴染は僕を抱きしめた。


幼馴染「それとも、男は私と一緒にいたくないのか?」


男「そ、そんなこと......ない......っ」ポロポロ


幼馴染「そうか。なら良かった」


 ーー僕は馬鹿だった。
 

 ーー僕は嫌っている人だけを見て、すべての人から嫌われていると思っていた。


 ーーでもそれは違って、僕を見ようとしなかっただけで、嫌っていない人だっているんだ。


 ーー本当に僕は馬鹿だ。

ーーーーーーー



男「桜たんは僕の嫁だお」


幼馴染「ねえ、彼女の前でそう言うこというのはどうか思うんだけど」


男「ちゃんと幼馴染も好きだお」


幼馴染「ふーん、どうだか」


男「僕は、幼馴染に会えて本当に良かったと思ってるよ」


幼馴染「はいはい」




 おわりだお

自分には、感動系は向いていないな
(´・ω・`)

読んでくれてありがとう。

おつ

もっと見たいでござるでやんす

ブタゴリラかと

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