祥鳳さんと喧嘩する話 (37)


割とシリアス気味なのでご注意ください。

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カスガダマ沖

提督「よし、ダスマダー沖もあと少しだ。状況は?」

祥鳳「カスガダマ沖です、提督。島風ちゃんが大破してます」

漣「あー、こりゃ撤退ですねー」

足柄「しかたないわね」



提督「進軍だ」

漣「はいぃ!?」

祥鳳「島風さんは大破してるんですよ!」

提督「もう後がないんだよ! 燃料も高速修復剤も尽きかけてる! 大丈夫、ダメコンだってある…! ここは賭けるしかないんだ!」

祥鳳「ふざけないで! 撤退します!」

提督「早くしろ! イチかバチだ!」

祥鳳「くっ…」

島風「大丈夫だよ、私頑張って避けるもん…」



羅針盤「いっくよー」

提督「よし! 頼んだぞ…」

祥鳳「…」



榛名「勝手は! 榛名が! 許しません!」

装甲空母鬼「ウゾダドンコドーン!」

カ級「オノレヨクモソウコウクウボキサマヲ! ギョライヲクラエー!」

島風「お゛ゥッ!」


ドカーン


提督「島風!?」

祥鳳「島風ちゃん!?」

島風「速いだけじゃ…ダメなのね…」





応急修理要員「ふふ、それはどうかな?」


キラーン



島風「あ、あれ…? 私…」

提督「よかった…」ホッ

提督「よし、装甲空母鬼は倒したからもういい! すぐに撤退しろ!」

祥鳳「行くわよ島風ちゃん!」

島風「う、うん…!」



30分後…



島風「提督…」

提督「みんな、すまん! 俺のせいで!」

漣「土下座ですかご主人様。いいご身分ですねぇ~」ケッ

提督「すまん、本当にすまなかった!」

島風「んもー、ダメコンなかったらホントに危ないとこだったんだよー!」

提督「すまんみんな、なんと詫びればいいか…」

祥鳳「…提督」ゴゴゴ

提督「し、祥鳳…」


祥鳳「ばかっ!」

ドガッ

提督「ぐふっ!」


足柄「祥鳳が、ぐ、グーで殴った…!」

祥鳳「提督、前に言いましたよね! もうみんなを危ない目には遭わせないって! 約束しましたよね!」

提督「あ、あぁ…」

祥鳳「提督のせいで、島風ちゃん轟沈するとこだったんですよ!」

漣「そーだそーだ! 反省しろー!」

提督「…すまん」

島風「ふ、二人とも…。もういいってば…」アセアセ

榛名「そ、そうです…。これから気をつければ…」

祥鳳「そんなこと言ってエラーでも起きて、ダメコン使えなかったらどうするつもりだったんですか!?」

榛名「そっ、それは…」

提督「うぅ…」

祥鳳「なんでいつもみんなに無茶ばかりさせるのよ! みんなのことをちゃんと大事にしてよ!」ポロポロ

提督「すまん、本当にすまん…」

祥鳳「もういいです…。提督なんか…。提督なんか…」



祥鳳「提督なんか、だいっきらい!」



ダッダッ


島風「あっ、祥鳳さん…!」

漣「行っちゃった…」

提督「うぅ…」ポロポロ

足柄「ちょっと、大の男が泣くもんじゃないでしょ…!」

提督「すまん、みんなすまん…」

足柄「なっさけないわねぇ! ほら、ハンカチ! 男の鼻水なんて付いたヤツは汚いから、返さなくていいわよ!」スッ

提督「す、すまん…」フキフキ

足柄「あーもう鬱陶しい! きったない男の泣き顔なんて見てらんない! 私は引き上げるわ! ほら、みんなもさっさと入渠する!」パンパン

島風「う、うん…。提督、失礼します…」

榛名「提督、失礼します」ペコリ

足柄「提督、この埋め合わせはちゃ~んとしてくださいね!」


提督「うぅ…」ポロポロ

漣「あのー、そうやって後悔するくらいなら、最初から大破進軍なんてやらなけりゃいいじゃないですか?」

提督「だって…。またみんなに苦労をかけるのが怖かったんだ…。

羅針盤に振り回されて、心身ともに疲弊するこの悪循環を何とか終わりにしたかったんだ…。資源も切れそうだったし…。

だから、ダメコンを頼り、島風を危ない目にあわせてしまった…」グズ

漣「ったく…。どんな理由があっても誰かがアボーンしたら、お姉さまげきおこプンプンまるになるに決まってるじゃないですか…」ハァ

提督「あぁ。お前の言うとおりだ…。100%俺が悪い。俺は如月達を沈めた例のアレのソレよりもタチが悪い…。

偽善者ヅラして、島風の気持ちをなんにも考えてなかった…。

愚劣で、醜悪で、最低な男だ…!」


漣「…ま、まぁ、何にせよとりあえず結果オーライなんですから。後はお姉さまとちゃんと仲直りして…」

提督「…いや、俺にもう指揮を取る資格はない」

漣「ハァ?(゚Д゚≡゚Д゚) 何意味わかんないこと言ってんですか?」

提督「艦娘を危険な目に遭わせた俺が、提督を続ける資格なんかないんだ…」

漣「ちょっとご主人様…」

提督「それに、祥鳳に嫌われた…。もうダメだ…」

漣「ご主人様、それは…」

提督「もういいんだ…。放っておいてくれ…」

漣「……」

提督「うぅ・・・」

漣「…あー、なっさけない…」ハァ



軽空母部屋



隼鷹「うひひ…」zzz

飛鷹「ったく、呑み過ぎよ隼鷹…」ナデナデ

鳳翔「まぁまぁ。これくらいならいいじゃないですか」ニコ

瑞鳳「前から思ってましたけど、鳳翔さんって隼鷹さんには甘いですよね」

鳳翔「あら、そうですか?」キョトン

龍驤「ほっほう? 鳳翔取られてヤキモチかいな?」ニヤニヤ

瑞鳳「ちっ、違います!」///



バタン



祥鳳「うぅ…」グズ

瑞鳳「あ、祥鳳。お疲れ様! 出撃は大丈夫だった?」

鳳翔「あら、祥鳳さん? どうしたの?」

祥鳳「うぅ…。鳳翔さん…!」ポロポロ


祥鳳「どうしよう…。大嫌いなんて、大嫌いなんて・・・!」


ウワーン



瑞鳳「しょ、祥鳳落ち着いて!」オロオロ

鳳翔「どうしたのかしら?」

祥鳳「提督に…、提督に…!」ポロポロ

隼鷹「……?」チラ


30分後…


鳳翔「なるほど、だいたいわかったわ」

祥鳳「…私、提督に、ひどいこと…」グズ

瑞鳳「そんなの、100%提督が悪いんじゃない! 祥鳳はなんにも悪くないよ!」

飛鷹「でも、漣ちゃんや祥鳳さんにもダメコン装備してたんでしょ?みんなのこと心配してたってことじゃないですか?」

瑞鳳「そりゃそうだけど、だからってダメコン頼りの大破進軍なんて最低じゃない!」

鳳翔「でも、逆に言えば、みんなを信じてるからこそ、万全の装備を持たせた上で無茶ぶりしたと考えることもできますね」

瑞鳳「そうだけど…。でもやっぱり提督ひどいよ! 祥鳳は何にも悪くない!」

鳳翔「でもちゃんと反省して謝ったんでしょ? なら、許してあげないと…」

瑞鳳「…」



祥鳳「もう…ダメよ…」

瑞鳳「祥鳳?」

祥鳳「どうしよう、どうしよう…。提督に…、提督に…。大嫌いだなんて…」ポロポロ

鳳翔「とにかく、明日謝りに行きましょう。ねっ?」

祥鳳「無理です…」

鳳翔「えっ?」

祥鳳「あんなひどいこと言っちゃった…。大嫌いなんて…。

提督も、もう私のことなんか嫌いになってるよ…」

瑞鳳「だから祥鳳は悪くないってば! 気にしすぎ!」

祥鳳「もうダメ…。きっと私、嫌われちゃったよぉ…」ポロポロ

鳳翔「まぁまぁ落ち着いて。明日また会いに行きましょう? ねっ?」

祥鳳「もうダメだよ…。絶対嫌われっちゃったよぉ…」

瑞鳳「そ、そんなことないって祥鳳! 提督とあんなに仲良しだったでしょ! きっと大丈夫だって!」

瑞鳳(…ホントは提督に祥鳳が取られるのはイヤだけど)

祥鳳「無理よ…。もう無理なのよぉ…」


ウワーン


鳳翔「これは…。しばらく落ち着きそうにないですね…」

瑞鳳「提督の、バカ…」

隼鷹「……」チラ


翌朝



隼鷹「ういーす! お疲れさーん!」ヒック

提督「あぁ、隼鷹か…」

隼鷹「何だはないでしょ、ナンダは?」ヒック

提督「まーた朝から飲んでたのかよ」

隼鷹「ちょっとムカつくことがあってね」ヒヒッ

提督「俺…、そろそろ辞表出すわ。世話になったな」

隼鷹「…はいぃっ? 後任人事はどうすんのさ?」

提督「知るか。とにかくもう引退する。本土に帰って、引きこもり特ヲタニートにでもなるさ。

ゴーストも始まるしな、ちょうどいい頃合だよ」

隼鷹「…あんた本気で言ってんのかい?」

提督「あぁ、本気だ。止めるなよ」

隼鷹「止めないね。惚れた女に振られたくらいで提督やめちまうようなヘタレ野郎なんざ、止める価値もないね!」

提督「あぁそうだ、どうせ俺はヘタレだよ」

隼鷹「けっ。祥鳳も見る目がないねぇ…」ヒック

提督「…なに?」

隼鷹「仲間がちょっとダメコン使ってくたばりかけたからって何なんだ? 

生きてりゃ儲けもんじゃねーかよ。鳳凰のクセにチキンとか笑えるよね~!」

提督「黙れ!」ドン

隼鷹「な、なんだよ」

提督「…隼鷹、お前は何も分かってない!」

隼鷹「なにがだい?」ヒック

提督「祥鳳があそこまで仲間を大切にするのは、それがあいつにとって、祥鳳にとって、誇りなんだよ!」

隼鷹「……」

提督「嘗ての『祥鳳』は珊瑚海海戦で沈んだ。だが、仲間や護衛した船団は一切傷つけることなく送り届けた。

アイツにとって、仲間を守り通したことは何よりの誇りであり、存在意義でもあるんだよ」

隼鷹「…」

提督「だからこそ、アイツが、祥鳳が仲間を想う気持ちを侮辱することはお前でも許さん、隼鷹。俺を悪く言うなら構わんがな」

隼鷹「くく…」

提督「何がおかしい?」

隼鷹「いや? アイツのこと、よく分かってんじゃんって…」ククク

提督「そりゃそうだ。ずっとアイツが秘書官だったからな」

隼鷹「だったらさっさと謝って仲直りしてこいって!」

提督「無理だ…。俺はアイツの誇りを傷つけてしまった…。俺はもう顔を合わせる資格なんかない…」

隼鷹「あーもー! いつまで引きずってんだよ…。アンタのせいでみんなの士気が落ちんだよ、士気が!」

提督「どうせ謝ったところで、祥鳳は許してくれないさ…」

隼鷹「ったく、アンタも女々しいというかなんというか、腐った根性してるね~! ほら、早く!」グググ

提督「イテテ! はっ、離せこのアル中!」



執務室前



祥鳳「瑞鳳、漣ちゃん…。離してよ…!」

漣「ほらお姉さま行きますよ~!」グググ

瑞鳳「早く仲直りしなさいってば~!」グググ

祥鳳「無理だよ…。提督はもう、私のことなんか嫌いになってるよ…!」

漣「…本気でそう思ってるんですか?」

祥鳳「だって、あんな酷いこと言っちゃって…」

漣「お姉さま、それは違いますよ。ご主人様は、そんな人じゃありません」

祥鳳「漣ちゃん…」

漣「着任時からずーっとあのアホの面倒を見てきた漣にはよ~く分かるんです。

ご主人様は、祥鳳さんにずーっとベタ惚れでした。今更ちょっと嫌いとか言われたくらいで愛想尽かすはずないじゃないですか…」

祥鳳「漣ちゃん…」

漣「ちょっと悔しいですけど、ご主人様が一番好きなのは、祥鳳さんですよ」

祥鳳「でも、私…」



瑞鳳「祥鳳のバカ!」

祥鳳「ず、瑞鳳…?」

瑞鳳「バカ! 意気地なし! さっさと仲直りしてきなさいよ! 

提督が好きなんでしょ!? 素直にそう言えばいいじゃない!?」

祥鳳「で、でも…」

漣「そーそー。言い忘れてましたけど、提督は辞表を出すらしいですよ?」

祥鳳「えっ…?」

漣「早く止めに行った方が、いいんじゃないですか? あのヘタレ提督のことだから、ヘタしたら東尋坊に身投げするかもしれませんよ?」

祥鳳「そんな…! 提督…!」

ダッ

瑞鳳「…やったわね」グッ

漣「メシウマ!」グッ


執務室



提督「離せ隼鷹! 俺は一歩も動かんぞ!」

隼鷹「いーから口動かす前に身体をうごかせよ!」グググ

提督「イヤだ!」

隼鷹「ダメ!」

提督「イヤだ!」

隼鷹「動け!」

提督「イヤだ!」

隼鷹「動け!」


バタン!


祥鳳「提督! 自○なんかしちゃダメです!」

提督「祥鳳…?」ポカン

隼鷹「おや、ご本人のお出ましかい。良かったじゃん、手間が省けて」

祥鳳「え、それってドウイウ…」

隼鷹「んじゃ、後は任せるから、ふたりっきりで仲直りしろよな!」

祥鳳「ちょ、ちょっと隼鷹さん!」

バタン!


祥鳳「…」

提督「…」

祥鳳「…提督、漣ちゃんから聞きましたけど。辞表出すって、ホントですか…?」

提督「…あぁ。そのつもりだ」

祥鳳「なんで? なんでそんなことするんですか!?」

提督「君に嫌われた…。もう提督であることが辛い…。

本土に帰って、井上敏樹に似た顔のおっさんにシゴかれながら工事現場で働くさ…。ふふ、笑えるな…」

祥鳳「ばか!」


バシン


提督「痛ッ…!」

祥鳳「ばかばかばか! 提督のバカ!」


ポカポカ


提督「ちょ、痛い、やめて…!」



祥鳳「なに勝手な思い込みしてるんですか!? 私、提督のこと大好きですよ!」

提督「祥鳳…」

祥鳳「提督とずっと一緒にいたい! キスだってしたい! 頭だってなでてもらいたい! け、けっこん…だって……!」



瑞鳳「えっ!? ちょ、ちょっと待ってよなにそれ私聞いてない!」ヒソヒソ

漣「すみません黙っててください」ヒソヒソ



提督「…」

祥鳳「お願いだから、止めるなんて言わないで…! ずっと、傍にいてください…!」ギュッ

提督「すまん…」

祥鳳「ごめんなさい…。大嫌いなんて言ってごめんなさい…。提督のこと、大好きですから…!」

提督「祥鳳…」

祥鳳「だから…やめるなんて…言わないでよぉ…!」ポロポロ

提督「俺の方こそ、みんなを危険な目に遭わせた。なにより、君の誇りを傷つけてしまった…。すまない…」

祥鳳「提督、許してくれますか…?」ウル

提督「もちろん。それより、俺の方こそ、許してもらえるか…?」

祥鳳「はい…! はい…!」

提督「祥鳳…!」ギュッ

祥鳳「提督…!」ギュッ



島風「おっそーい!」


ドン



提督「島風!?」

祥鳳「島風ちゃん!?」

島風「もー! 二人とも仲直りがおっそーい! 私のことでいつまでも喧嘩されてくっらーい雰囲気続けられても、こっちが迷惑なんですからね!」

祥鳳「ご、ごめんなさい…」

提督「すまん…」

漣(島風ちゃん切り替え早…)

島風「とにかく、仲直りしたんなら早く水に流していつも通りイチャイチャしてください!」

提督「」///

祥鳳「」///

島風「あと提督も、ダメコン頼りでもうみんなに無茶させないでくださいね? ダメコンだって発動しないこともありえるんですから!」

提督「あ、あぁ。肝に命じるよ」

島風「うん。じゃあ、ふたりが仲直りしたから部屋に帰って寝ますね!」

ピューン

提督「まさに疾きこと島風の如し、か…」

祥鳳「提督…。私、これからもお傍にいても…」

提督「あぁ。傍にいてくれ…。ずっと、ずっとな…」ギュッ

祥鳳「提督…!」ギュッ


漣「ちゃんと、仲直りできたみたいですね…」ホッ

瑞鳳「う、うん…」



瑞鳳(…なんだろう? この気持ち…)イラ

瑞鳳(ふたりが仲直りできたのは良かったのに、なんで無性に苛立つんだろう…?)

瑞鳳(祥鳳が、提督と…?)





とりあえずおしまい




島風を沈ませかけたので反省に書きましたです。

島風がボロボロになったのは私の責任だ。



だが私は謝る。



島風よ。本当にすまんかった…



あと、祥鳳さんが怒った理由は、ウィザードの45話で瞬平が晴人に激怒した理由とだいたいおんなじです。

あと一応、島風が無事な証拠画像も貼っときますね
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira090342.png

それでは依頼出して、祥鳳さんに仲直り(意味深)してきます

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