神ジャンル 「終末のラッパを吹き鳴らしながら人類を虐殺する天使」(18)


天使 『ぷー、ぽー』 ぶんぶん

女 「ラッパ吹くか、攻撃するか、どっちかにしなさい!」

天使 『ぷー、ぽー』 ぶんっ

女 「ラッパも人類虐殺も、御前七天使の仕事でしょうに」 ひょい

天使 『ぷー!』 げしっ

女 「どう見ても下っ端っぽい子が、なにやってんだか」 がっ

天使 『ぴー! ぷー!』 じたじた

女 「天使にも中二病な時分ってのがあるのかしらねえ」

天使 『ぷー、ぴー』 ぶんぶん、すかっすかっ

女 「せめて、吹くのと蹴るのと、誰かと役割分担したら?」

天使 『ぽー……』

女 「ひょっとして、一緒に人類虐殺ごっこしてくれる友達いないのかな」

天使 「……」

女 「……」

天使 『ぷー……』 めそめそ

女 「……いや、手伝わないよ」

天使 「……!」

天使 『ぴー、ぱー』

首螽斯 『ヂーーーーーーーーー』

天使 「ぽー……」

首螽斯 『ヂーーーーーーーーー』

女 「耳障りよねえ、こいつの音って」

天使 『ぷー! ぴー!』 がさがさ

首螽斯 『ヂーーーーーーーーー』

女 「ラッパ吹き鳴らしながら螽斯相手にムキになる終末天使って……」

天使 『ぷー、ぴー』 ぶんぶん

女 「ラッパ鳴らしながら蹴り入れるのは、いいかげん無理があるって」 すっ

天使 『ぷー、ぴー』 ふわっ

女 「あ。飛んだ」

天使 『ぽー、ぷー』 ぶんっぶんっ

女 「なるほど。このほうが蹴りやすいか」

天使 『ぽー♪』 ぶうん

女 「でもやっぱり当たらないんだけどね」 ひょい

天使 『ぷー!』 ぶうんっ

女 「……下着は着けてないんだ」 ちらっ

天使 『ぷぉんっ!』 ぶふぉっ

天使 『ぴー』

女 「ん? 虐殺のほうは諦めたの?」

天使 『ぷー!』

女 「ラッパの音じゃ人間死なないから」

天使 『ぽー!』

女 「……あれは漫画よ」

天使 「……!」

女 「ラッパ吹きながら、念力で輪っかを飛ばして攻撃できないの?」

天使 『ぷー……!』 はっ

女 「やったら許さないけど」

天使 『ぴー、ぽー』 にや

((⊂⊃)) 「……ぶぉんぶぉん」

女 「あ、それ、30型ならもらっとくわ。うちの蛍光灯、切れかけなのよ」 

⊂⊃ 「ぴたっ」

女 「いいからよこしなさい」 ぐいっ

天使 『ぷー! ぴー! ぴー! ぴーーーーー!』 じたばた

女 「しょせん後光の記号化表現なんだから、採ってもまた生えてくるでしょ?」

天使 『ぷー!』 ふわっ

女 「あ、逃げた! そんなケチだから友達いないのよ!」

天使 『ぴー、ぷー』

女 「友達いないんなら、お母……お父……神さまにラッパ吹いてもらったら?」

天使 『……ぴー』 

女 「ひょっとして頼んだけど、友達つくれって一蹴されたとか」

天使 『ぷー……』 しょんぼり

女 「図星……」

天使 『ぽー』 ちらっちらっ

女 「いや、ならないよ」

天使 『ぷー! ぴー!』 ぶんっ

女 「まさか友達いない腹いせでやってんの?」

天使 『ぴー、ぴ、ぷ、ぴー……』 よたよた

女 「器を持ったままラッパを吹くのはさすがに無理よ」

天使 『ぷー!』

女 「黙示録だって、吹くのと、器の中の厄災をぶちまけるのは別々にやってたってのに」

天使 『ぴー……ぷ、ぷ……』 ぶるぶる

女 「ま、頑張ってね……そうそう、そのドブ水、こっちにぶちまけたら殺

厄災の器 「ばっしゃあん!」

女 「……自分にぶちまけてどうするのよ」

天使 「……」

女 「よかったじゃない。これでラッパに専念できるじゃないの」

天使 『ぷー……』 しくしく

女 「終末の天使なら、ちょっと訊きたいことがあるんだけど」

天使 『ぷー、ぽー』

女 「キリスト教の終末と、仏教の末法の関係って、どうなってるの?」

天使 「……」

女 「ラッパ、止まってるよ」

天使 『……ぴー』

女 「知らないのね」

天使 『ぷー! ぽー!』 ぶうんっ

女 「都合が悪いこと言われるとすぐ暴れる」 さっ

天使 『ぴー!』 ぶんっ

女 「……だから友達いないのよ」 ひょいっ

天使 「……!」

天使 『ぴー、ぷー』

子羊 「……?」

天使 『ぴー、ぽー』

子羊 「のそのそ」

天使 「……!」

飼育員 「すいませんお客さま。羊が怯えますので、ラッパはお控えください」

天使 『ぴー!』 げしっ

飼育員 「いたっ!」

女 「……動物園の子羊じゃ、滅亡への七つの封印は解けないと思うけど」

天使 『ぷー』

女 「ひょっとして、たんに撫でたかっただけなの?」

天使 『ぴー……』 しょんぼり

女 「友達つくるの、下手な子ね……」

天使 『ぷー』

ライオン 「ガー!」

天使 『ぷぉんっ!』 びくっ

飼育員 「お客さま! 大変危険ですのでライオンを刺激なさらないようお願いします!」

天使 「……」 ばさっ

ライオン 「のそのそ」

天使 『ぽー』

ライオン 「ガー!」

飼育員 「お客さま! 上空からの刺激もおやめください!」

女 「それ、主の御座まわりにいる第一の天使じゃないからー。ただのライオンだからー」

天使 『ぽー、ぱー』 がしっがしっ

女 「さっきから執拗に人の足を踏んできてるところ、なんだけど」 がっがっ

天使 『ぷー!』 げしっ

女 「ラッパは、どうしても鳴らさなきゃ駄目なの?」 がっ

天使 『ぱー、ぽー』

女 「あと攻撃が単調すぎ。ガードされたくなかったら、もっと考えなさい」

天使 『ぴー!』 げしぃっ

天使 「……」 ごそごそ

電気 「ぱちっ」

天使 「……!」

女 「最近の終末天使は、人んちの台所に忍び込んで、お羊羹をあさるの?」

天使 『ぷー、ぱー』

女 「厄災が詰まった器は、台所じゃなく、天にあるあかしの幕屋の聖所でもらいなさ

天使 「ぱくっ」

女 「話を聞かない子ね! お羊羹の代わりにその羽根、治部煮にしてあげましょうか?」 ぐいっ

天使 『ぱー、ぷー……ぶふぉっ』

女 「食べながらラッパ吹かない!」

托鉢僧 「オ"ーーーーーーーーーー」 すたすた

天使 『ぷー、ぱー』

厄災の器 「べちゃっ」

女 「こ、こら! 厄災鉢をお坊さまにぶちまけちゃ駄目でしょ!」

托鉢僧 「……!」 さっ

女 「自分の鉢で受け止めた!」

天使 「……!」

托鉢僧 「……」 ふかぶか

天使 『……ぷー』 ふいっ

女 「ドブ水なのに。同じ鉢持ちでも、えらい器の違いねえ」

托鉢僧 「オ"ーーーーーーーーーー」 すたすた

蟻 「ぞろぞろ」

天使 『ぴー、ぷー、ぷー、ぷー』 

女 「人間に勝てない可哀想な天使が、自分よりさらに弱いものを狙ってる……」

天使 『ぴー♪』 

厄災の器 「ざばあ」

蟻 「……! ……!」

女 「蟻んこを水で流して、それで勝ったつもりなの?」

天使 『ぴー、ぷー、ぴー♪』 にこにこ

女 「べつにいいけどさ……どっからどう見ても、ただの可哀想な子だこの子……」

女 「いつまでたっても、ラッパばっか鳴らして、暴れてばっかで」 ひょい

天使 『ぽー! ぷー!』 ぶんっ

女 「それじゃ伝わらないし、始まらないわよ」

天使 『ぴー、ぷー』 ぶんっ

女 「……こっちはずっと待ってるんだけど」 すっ

天使 「……!」 ぴた

女 「……」 じー

天使 「……あ」 おどおど

女 「いつになったらお豆腐、売ってくれるの?」

天使 『……ぷー! ぽー!』 ぶうんっ

女 「また暴れる! お母……お父……いや神さま、どういうしつけしてるのよ」 ひょい

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