【安価SS】京太郎「麻雀なんて辞めよう」咲「ヤメサセナイ」 (96)


・京太郎主人公SS
・ヤンデレ、狂気注意
・基本育成気味
・キャラ、設定崩壊
・死にゲー的要素有り

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1443104591


 俺が麻雀を始めてどれくらいの月日が経ったのだろう

 一日目は楽しさを知った

 一週間目は難しさを学んだ

 じゃあ……一ヶ月目は?

 二ヶ月目は?

 三ヶ月目は?

 今は?

久「そう。止めても、無駄よね?」

京太郎「……もう決めたことですから」

 暗い部室の中で部長と二人きり、なんて状況は普段なら嬉しいんだけど
 今日ばかりはそう浮かれてもいられない

久「理由は聞かなくても分かるわ。私達のせいでしょ?」

京太郎「ええ」

久「そこは普通濁すところじゃないかしら」

京太郎「部長相手にそんな遠慮は必要無いかと」

 コチコチと鳴る時計の音
 早鐘のように鳴ると心臓の音は、気持ち悪いほどに加速していた

久「……出て行って」

京太郎「はい」

久「アナタはもう、部外者だから」

京太郎「……はい」

 震えるような竹井先輩の声を背後にして、俺は部室を去る
 一体、どこで間違ったんだろうか



 みんなが全国で活躍して、居場所がどんどん無くなっていく
 補欠がレギュラーを前に居心地が悪い……よくある話だ

 きっと俺は、強くなることを放棄していたんだと思う
 だから逃げるように雑用を引受け、強くならなくてもいい体裁を整えた

「卑怯者」

 和はそんな俺にこう言った
 それが叱咤だったのか、激励だったのか

 今となっては、確認する術も無い

京太郎「俺は新しい一歩を踏み出すんだ」

 世の中、麻雀、麻雀と騒いでいるが
 別にそれだけが全てじゃない

 俺は別の道で、自分の人生を切り開く

 その為に――俺は麻雀部を辞めた



 俺が麻雀部を辞めて一週間に、表立った変化は何も無かった
 いつものように朝起きて学校に行き、授業を受ける

 変わったのは、放課後にそのまま家に直帰すること
 
 それ以外は何も変わらなかった

 そう――


 それ【以外】は全て





咲「授業が終わったね、京ちゃん」

京太郎「あ、ああ」

 教室を出ようとした俺の後を付いてくる咲
 
咲「あれ? どこに行くの? そっちは部室じゃないよ」

京太郎「いや、だから俺はもう……」

咲「あ、そっかぁ。また買い出しを頼まれてるんでしょ? もぉー部長も酷いなぁ」

京太郎「っ」

咲「無理しないでね。昨日みたいに、途中で転んで帰れなくなっても知らないよ」

 ペラペラと、咲は殆ど一人で喋っている
 だが、その内容はチグハグだ

 俺は昨日、部活にも言ってないし……買い出しの途中で転んだりもしていない

 つまり咲は、昨日俺が【部活を休んだ】理由を――勝手に脳内で作り上げているんだ

咲「もうすぐ染谷先輩が部長になるから、雑用も楽になるといいね!」

京太郎「……悪い、急ぐから」

咲「あ、もう! 今日はちゃんと一緒に帰ろうねー!」

 後ろから飛んでくる咲の声をかき消すように、俺は走った
 

 怖い

 
 あれから何も変わらない
 変わってくれない咲が怖かった


 アレはまるで、俺が部活を辞めることを――

 



 それからまた一週間が経ち、俺はサッカー部に入ることにした
 ハンドも考えたが、気分を一新して新たなスポーツを始める方が楽しそうだ

 一年の中途半端な時期の入部に、既存の部員は最初困惑していたが
 何日か練習をすれば、自然と打ち解けることが出来た

 全て順調
 友達も増えたし、ちょっぴり気になる子も出来た

京太郎「マネージャー……いい子だなぁ」

 咲や和逹に比べれば、美少女とは言い難い女の子
 だけど、今の俺にとってはそういう普通の女の子の方が気後れしないで済む

京太郎「よし、今度デートに誘ってみるか!」

 俺とマネージャーは少しずつだが、確実にお互いの距離を縮めていった


 ピリリリと、携帯が鳴る
 今日で百回を超える着信……相手は優希

京太郎「はぁ……もしもし?」

 ディスプレイに表示された名前に溜息を吐いて、俺は通話ボタンを押す

優希『うぅっ……なんでぇ? どうして部活に来ないのぉ……?』

 弱々しい、すすり泣くような優希の声
 いつも元気で、俺に高圧的に接していた優希の姿はもうどこにもなかった

京太郎「俺はもう麻雀部を辞めたんだよ。今はサッカー部」

優希『嘘……だって、京太郎は私の、私の……』

京太郎「悪い。もう切るぞ」

 俺は優希の返事も待たずに通話を切る
 これ以上、半端な情を残したくなかった

 お互いの為にも


京太郎「……着信拒否しよう」



 そして迎えたデート当日
 互いに初デートということで緊張する俺達は、もじもじと手を取り合って街に繰り出した

 他愛ない会話がどれだけ続いただろうか
 時が経つのも忘れて楽しむ俺達を現実に引き戻したのは……

和「こんなところで何をしているんですか?」

 俺の、初恋の相手だった

京太郎「の、和? お前こそ……」

和「須賀君があまりにも部活に顔を出さないので、探しに来たんですよ」

京太郎「は?」

和「私がキツく言い過ぎたことは謝ります。だからといって、また逃げるんですか?」

京太郎「逃げるも何も……もう辞めたことだろ」

 街の往来でぐいぐいと詰め寄ってくる和
 俺はマネージャーを守るように身を乗り出し、和を牽制する

和「何をしているんですか? その人が通れなくなってしまいますよ」

京太郎「いや、これは」

和「?」

京太郎「俺の、連れだから」

和「よく、わかりませんね? とにかく、話は部室に戻ってしましょう」

 ガッと掴まれる俺の右手
 俺は一瞬にして、得体の知れない恐怖に包まれた

京太郎「や、やめろっ! い、行こうぜ!」

 手を振り払い、俺はマネージャーと一緒に逃げる
 振り返ると、和は俺に手を払われた状態のままで静止していた

 まるで、魂の無い人形のように……微動だにせず



 和と遭遇した翌日

 とんだ初デートだったが、マネージャーは笑って許してくれた
 こんな面白い体験無いと、逆に興奮気味だったのが気になったが……

京太郎「……」

 そっと制服の袖を捲る
 和に掴まれた腕は、一晩経った今もくっきりと跡が残っている

 俺を逃さないと、物語っているようで……気色悪い

京太郎「やめだやめ。そんなことより朝練だ」

 いつものように朝練に励み、チームのみんなと馬鹿騒ぎをする
 麻雀部にいたころには味わえなかった楽しさが、確かにここにあった

京太郎「でさ、俺の飼ってるカピバラがエロ本を咥えてさー!」

 くだらない下ネタ
 共感してくれる友人
 それを叱りつける真面目なマネージャー

 あぁ、俺は今……ようやく

 ずっと欲しかったものを、手に入れたのかもしれない


まこ「楽しそうじゃな」

京太郎「え?」

 チームメイトとグラウンド脇を歩いていると、木陰から染谷先輩が顔を出す
 途端に周りがヒューヒューと声を上げるが……

京太郎「な、何を……?」

 俺は冷や汗を流しながら拳を握り締める
 
 まさか、染谷先輩も咲逹のように……?
 
 そんな考えが脳裏をよぎる

まこ「すまん、わしとコイツを二人きりにして欲しいんじゃが?」

京太郎「話なら、みんなが居る前でもいいじゃないですか」

 俺は必死にみんなと離れないようにするが、チームメイトは何も知らない
 告白か何かと勘違いしたのだろう、すぐに俺を置いて校舎の中に消えていった

まこ「……さて、京太郎」

京太郎「そ、染谷先輩まで変なことを言うんですか?」

まこ「変なこと?」

京太郎「俺が、部活を辞めていないとか……」

 内心ドキドキしながら、俺は染谷先輩の様子を探る
 しかし、意外にも染谷先輩の態度は普通のものだった

まこ「何を言うちょるんじゃ。そんなの、とっくに知っとるけぇ」

京太郎「え?」


 



 それなら、なぜ俺に?
 訊ねようとする俺よりも先に、染谷先輩が口を開く

まこ「わしはのぅ、この世にはオカルト的な力があると思うちょる」

京太郎「……へ?」

まこ「牌を引き寄せたり、牌に嫌われたり、麻雀だと分かりやすいかもしれんな」

京太郎「それがなんなんですか?」

 染谷先輩の話はまるで読めない
 一体、何が言いたいんだ?

まこ「しかしわしがそれよりも恐れる力がある……分かるか?」

京太郎「恐れるもの?」

まこ「それは――収束の力じゃ」

京太郎「しゅう、そく?」

 まるでちんぷんかんぷんの話題に、俺はまったくついて行けない

まこ「コイントスをするじゃろ? その時、表が上を向いていたとする」

京太郎「……」

まこ「すると下は表と裏、どちらじゃと思う?」

京太郎「そんなの裏に決まってるじゃないですか」

まこ「そうじゃ。ただし、それは京太郎の認識の話じゃな」

京太郎「へ?」

まこ「どっちがコインの表か裏か、お前は今わしの言葉を鵜呑みにして答えたじゃろう?」

京太郎「ええ、まぁ」

まこ「じゃがもし……そのコインの表が世界中で、裏じゃと認識されておったらどうじゃ?」

京太郎「????」

まこ「……ここで仮に、お前が麻雀部を辞めた事実を表とする」

 染谷先輩は十円玉を取り出し、数字の大きな面を俺に向ける

まこ「みんなこの面を見て、お前は麻雀部でないと思う。じゃが……」

 くるりと、絵柄を返す染谷先輩

まこ「こっちの面がもし、京太郎が麻雀部であるという事実だとする」

京太郎「そんな事実は……」

まこ「もしこの面が正しいと……世界中が認識したらどうなるかのぅ?」

京太郎「えっ?」

 ゾクリと、背筋が凍るような感覚に陥る
 なんだ、この嫌な感じ……

まこ「事実は異なる方に収束し、京太郎……お前は麻雀部に戻ることになる」

京太郎「あ、ありえませんって!」



まこ「馬鹿げた話じゃと思うか?」

京太郎「当たり前です」

まこ「じゃが、咲逹は本気なんじゃ」

京太郎「え?」

まこ「……覚悟しておくんじゃな京太郎」

 その日は近い
 染谷先輩はそう残して去っていった

京太郎「なんだよ、表とか裏って……意味が分からねぇ」


 咲逹は一体何をするつもりなんだ?



 ルート分岐 下2


1 気にしない

2 気になる



京太郎「気になる」

 アイツ等が俺を部活に連れ戻すつもりなら……
 何かしら手を打つかもしれない

京太郎「そんなこと、させるかよ」

 やっと見つけた居場所なんだ
 誰にも、奪わせはしない

京太郎「咲……みんな。俺は、絶対に負けねぇ」

 俺は決意した
 咲逹の誘いを撥ね退け、麻雀をきっぱりと辞める
 
 その為に戦うんだ



【ステータス画面】

<須賀京太郎>
『体力』(100/100)
『精神力』(100/100)
『正気値』(100/100)
『所持品』
・ナシ


【解説】
『体力』
・行動に必要な値 
・減ると体調が悪くなったり、コマンドの成功率が下がります
・休養を取ることで回復できます

『精神力』
・相手の誘惑に耐える力 
・咲やその他のメンバーからの誘惑により減少します
・精神力が0になってしまうとゲームオーバーになり、麻雀部へ復帰してしまいます
・回復は特殊イベントによってのみ可能

『正気値』(100/100)
・京太郎の理性
・過激な選択ばかりを選んでいると減少していき、減れば減るほど京太郎の性格が荒くなります
・0になるともはや取り返しが付きません
・回復は不可能

『所持品』
・手に入れると効力を発揮します


 一週目はとてもスピーディに進行します
 チュートリアルだとお思いください

【END条件】
・咲、和、優希、まこ、久の誰かを堕とす
・咲、和、優希、まこ、久の誰かに堕とされる
・咲逹の計画を阻止する
・咲逹の計画の阻止に失敗する
・正気値を0にする
・体力を0にする

 上のどれかを達成すれば終わりです
 END後に、また新たなストーリーが展開されます


 今日は終わりにします
 最初だから咲逹をガチで狂わせたけど、次からは狂い度も安価で決めるつもりです

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年01月26日 (金) 04:19:01   ID: 4ZjDUCYI

続きはもう‥無理かね‥

2 :  SS好きの774さん   2018年11月18日 (日) 21:47:42   ID: NJYYqXdN

続きは‥

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