瑞鳳「絶対に無くならないもの」

瑞鳳「…ふぅ、庭掃除終わったー」

提督「瑞鳳、こっちは終わったぞ」

瑞鳳「こっちも終わったよー」

提督「んじゃ落ち葉一つにまとめるか」

瑞鳳「了解♪」

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。。。。。。。。。。。。

瑞鳳「まとめると結構量あるね」

提督「庭広いからな、無駄に」

瑞鳳「無駄にって…でもこれだけあるとさ、焼き芋やりたくなるね」

提督「そういうと思って、厨房から芋を2つ、勝手に頂戴してきた」

瑞鳳「おお流石、でも勝手に持ってきて大丈夫？」

提督「この広い庭の掃除をやってのけたんだ、正当な報酬だろう」

提督「ばれても鳳翔に怒られるくらいだ」

瑞鳳「…それ結構リスクあるような」

提督「危ない橋も一緒に渡れば怖くない、共犯者になってもらうぞ」

瑞鳳「もう…仕方ない、共犯者になってあげましょう！」

提督「ありがたいことで、じゃあさっさとやるぞ」

瑞鳳「よし、それじゃあ…」

瑞鳳「焼き芋、焼いちゃう？」

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

ﾊﾟﾁﾊﾟﾁｯ…

瑞鳳「は～秋っていいよね、やっぱり」

提督「ん？ああ、夏より過ごしやすくなるしな」

瑞鳳「風は涼しいし、食べ物は沢山あって、どれも美味しいし、虫の鳴き声は綺麗だし、秋に咲く花や紅葉も綺麗だよね」

瑞鳳「う～んそう考えると、秋って何でもある季節だよね」

提督「実りの秋、なんて言うくらいだからな」

瑞鳳（実りの秋、か…）

瑞鳳（でも、なんでだろう。秋が来ると、必ず感じる、この気持ち…）

瑞鳳「…」

提督「…どうした？ちっこい身体丸めて、さらにちっこくなってるぞ」

瑞鳳「ちっこい言うな！」

瑞鳳「…うん、秋って、こんなにも沢山のものが溢れているのに」

瑞鳳「なんで、淋しい気持ちになるのかなあって、思って」

提督「…」

瑞鳳「心も体も、満たされているはずなのに」

瑞鳳「淋しい気持ちを、感じるのは…」

瑞鳳「そう思うと、なんだか余計に、淋しくなってきちゃって」ｷﾞｭｯ

提督「…」

瑞鳳「本当、不思議だね」

提督「…無くなるって、わかっているから、かな」

瑞鳳「…え？」

提督「秋に実った、秋に生まれたものが、冬になる頃には、みんな無くなってしまう」

提督「秋の涼しい風は、厳しい寒さを運ぶようになる」

提督「寒さは実や花を傷け、腐らせる」

提督「動物は活動を止めて眠りに入る。その中には死に絶える動物だっているだろう」

提督「今、目の前にあるものが、数か月もしないうちに、無くなる」

提督「無くなるって、俺たちはわかっている」

提督「わかっているから、淋しいんだ」

瑞鳳「…そっか、だからなんだね」

瑞鳳「ああ、やっぱり…この気持ちは、好きになれないなあ」

瑞鳳「…淋しいよ、提督」ｷﾞｭｯ

提督「…だけど、絶対に無くならないものはある」

瑞鳳「…？」

提督「お前のすぐ傍にある、絶対に無くならないもの」

提督「冬が来て、春が来て、夏が来て秋が来て、また冬が来ても」

提督「絶対に、無くならない」

提督「瑞鳳、お前のすぐ近くに、一番近くにそれはある」

提督「無くならない、絶対に無くなってやらない」

提督「お前の傍に、在り続ける」

瑞鳳「提督…」

提督「…どうだ？絶対に無くならないものが一つあるってだけで、大分マシになっただろ？」

瑞鳳「…うん、なんとなく、淋しさが和らいだ気がする」

提督「そうか…おい焼き芋、そろそろいいんじゃないか？」

瑞鳳「そうだね、そろそろ取り出そうか」

提督「よし来た」ｶﾞｻｶﾞｻ

提督「ほれ瑞鳳、お前の分」

瑞鳳「ありがとう、わあほっくほくで美味しそう」

提督「よし、じゃあいただくとするか」ｱｰﾝ

瑞鳳「それじゃあ、いただきまーす」ｱｰﾝ

曙「二人して何サボって焼き芋食べてんのよ！！」

提督/瑞鳳「んぅ！！？」ﾋﾞｸｯ

潮「ちょっと曙ちゃん、サボってるって決めつけるのは良くないよ…」

曙「掃除するって言っておいて二人仲良く焼き芋食べている現状が何よりの証拠よ、現行犯よ」

瑞鳳「ふっ二人ともなんでここに？倉庫の掃除任されてたよね？」

潮「火の煙が見えたので、気になって…」

曙「そしたら二人で焼き芋美味しそうに食べてるんだから、サボんなこの糞提督！」

提督「確かお前らの事は阿武隈に任せてたよな、何やってるんだあいつ」

潮「阿武隈さんなら…」

阿武隈「二人とも…ちょっと待ってって…いってるじゃない…」ﾊｧﾊｧ

曙「あ、追いついた」

阿武隈「あ、追いついた。じゃない！！もうさっきから勝手にどこかに行ったらダメって何回も言ってるでしょ！！」

阿武隈「二人とも！あたしの指示に従ってください！」

曙「え～」

阿武隈「んぅぅ、従ってくださぁいぃ！！！」

提督「阿武隈、お前はなんでこう…うん、なんていうかなあ…」

阿武隈「提督まで～うぅ～…」

潮「あ、えっと…ごめんなさい阿武隈さん」

阿武隈「潮ちゃんにまで！？もう立ち直れない！！」

阿武隈「っていうか！！提督と瑞鳳さんが内緒で焼き芋してるのが原因でしょ！！私も食べたい！！」

曙「わ、私は別に食べたいってわけじゃないんだけ」潮「あ、私も食べたいです」

曙「…まあ、やっぱ食べたい」

提督「あいにくここには芋が2つしかない、焼き芋を食べたいなら各自で厨房から芋を調達してこい」

阿武隈「焼き芋艦隊！！厨房にて芋調達作戦を開始します！！」

阿武隈「各自出撃の準」曙/潮「「出撃ー！！」ﾀﾞｯ!!

阿武隈「んぅぅ、だ～か～ら～！！従ってくださぁいぃ！！！」ﾀﾞｯ!!

提督「鳳翔に見つからないようになー」

提督「…行ったか、やれやれ、騒がしいやつらだ」

瑞鳳「ふふ、本当にね」

瑞鳳「でも、今のでさっきの淋しい気持ちも、全部吹き飛んじゃった」

提督「ほう」

瑞鳳「ここには、沢山、た～くさん、絶対に無くならないものがあるんだね」

瑞鳳「それが分かったから、だから、淋しいなんて気持ち、無くなったの」

提督「そっか、そいつは良かったな」

瑞鳳「…提督の傍にも、あるからね？」

提督「ん？」

瑞鳳「提督のすぐ傍にある、絶対に無くならないもの」

瑞鳳「冬が来て、春が来て、夏が来て秋が来て、また冬が来ても」

瑞鳳「絶対に、無くならない」

瑞鳳「あなたのすぐ近くに、一番近くにそれはある」

瑞鳳「無くならない、絶対に無くなってあげない」

瑞鳳「あなたの傍に、在り続ける」

瑞鳳「これで、提督ももう、淋しくならないでしょ？」ﾆｺｯ

提督「…ああ、そうだな」

提督「これで俺も、もう淋しくなんてならないよ、瑞鳳」

提督「ありがとな」

瑞鳳「…うん」

瑞鳳「ねえ、提督？」

提督「なんだ？」

瑞鳳「えい」ｷﾞｭｰ

瑞鳳「抱きしめていい？」

提督「事後承諾はやめろ」

瑞鳳「えへへ」

提督「まあ、好きにしろ…」

瑞鳳「はい、好きにします」ｷﾞｭｰ

提督「…」

瑞鳳「ねえ、提督？」

提督「今度はなんだ？」

瑞鳳「…」ｷﾞｭｰ

瑞鳳「ずっと、一緒にいようね…」

終わり。

じゃあの

おつ
づほかわいい

またおまえか（過去スレ見たら９割見てた

乙です。
やはりあなたはこういう日常の何気ない瞬間を描くのがとても上手い。
次回作も期待してます

瑞鳳「絶対に無くならないもの」

瑞鳳「絶対に無くならないもの」 (27)

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