比企谷「モンハン?」(92)


放課後

奉仕部・部室


比企谷「俺に……頼み事?」

雪ノ下「どうしたの? そんなに驚いた顔をして」

雪ノ下「それにしてもあなたの腐った魚の様な目は、驚いた表情でも変わらないみたいで」

雪ノ下「そちらの方が私には驚きだわ」

比企谷「……まあ確かに驚いたけどな」

比企谷「つーか、唐突すぎんだろ……何で俺なんだ?」

比企谷「何かわからんが、そういうのは由比ヶ浜が居る時に由比ヶ浜にしてやれ」

雪ノ下「私としても不本意なのだけど」

雪ノ下「残念ながら あなたが適任だと判断したまでよ」


比企谷「……いいだろう」

比企谷「言ってみろ。 聞くだけは聞いてやる」

雪ノ下「ずいぶん警戒するのね?」

比企谷「なんとなくな……」

雪ノ下「…………」

雪ノ下「モン○ターハ○ター」

雪ノ下「というゲームを知っているかしら?」

比企谷「モンハン?」

比企谷「雪ノ下、モンハンを知っているのか?」

雪ノ下「質問しているのは こちらなのだけど?」

比企谷「……知っているし、プレイもしていた」


比企谷「で? モンハンがどうかし……?」

雪ノ下「…………」

比企谷「…………」

比企谷「……もしかして」

比企谷「PTしたいのか?」

雪ノ下「違うわ」

雪ノ下「行き詰まったから、少々教えて欲しいだけよ」

比企谷「…………」

雪ノ下「…………」


比企谷(正直言うと)

比企谷(昨年発売されたゲームだし……)

比企谷(ネットで調べれば一発で分かりそうなもんだが)

比企谷(……もしかしたら)

比企谷(……ひょっとしたら)

比企谷(雪ノ下と……PT出来るかも?)

比企谷(…………)


比企谷「……よし。 言いたい事はわかった」

比企谷「俺で答えられる範囲でいいのなら構わないぞ」

雪ノ下「ありがとう。 一応恩に感じておくわ」

比企谷「一応つけんな……で?」

比企谷「行き詰まったって言ってたけど、何を聞きたいんだ?」

雪ノ下「シャガ○マガラが強くてね」

雪ノ下「お勧めの武器や戦い方、弱点なんかも教えて欲しい」


比企谷「シャ○ルね……村クエと集会所どっちだ?」

雪ノ下「村クエ? 何かしら、それ?」

比企谷「……えーとな」

比企谷「緑のねーちゃんから受けるクエが村クエで」

比企谷「カウンターで受けるクエが集会所クエになる」

雪ノ下「ああ、あれの違いって、そう呼ぶのね」

比企谷「…………」

比企谷「……雪ノ下って上位に行ってるのか?」

雪ノ下「上位?」

比企谷「あー……何でもない。 ええと、○ャガルとの戦い方だったな?」

雪ノ下「ええ」


比企谷(……まさかと思ったが)

比企谷(雪ノ下の奴、村クエしかやってないみたいだな……)

比企谷(何俺と同じ事してんだよ……親近感やべーだろ)

比企谷(もう少しで『同士よ!』と、がっちり握手したくなるところだったぜ……)


比企谷「……という感じだ」

雪ノ下「なるほど。 それなりに参考になったわ」

比企谷「全然嬉しくない返しをありがとう」

雪ノ下「感謝はしてあげる」

比企谷「上から目線はいらねっての……」

雪ノ下「比企谷くんは大剣を使ってるのね」

比企谷「ケース・バイ・ケースだ」

比企谷「手に入りやすい武器やモンスとの相性なんかでいろいろ変わってくる」


雪ノ下「その口ぶりだとクリアはしてるみたいね」

比企谷「まあな」

比企谷「つか、雪ノ下。 なんでモンハンを始めたんだ?」

雪ノ下「要件は終わりよ」

比企谷「……さいですか」


比企谷(……PTなんて期待した俺が馬鹿だった)

比企谷(しかしスゲー気になるな……)

比企谷(3DS持ってたってのにも驚きだが)

比企谷(なんでモンハンなんだ?)

比企谷(こういうのフツーぶつ森とかじゃねーの?)

比企谷(…………)


翌日の放課後

奉仕部・部室


由比ヶ浜「ふふ~ん、ふん、ふん……」 カチカチ…

比企谷「…………」

雪ノ下「…………」


比企谷(今日は普段通りのメンバー)

比企谷(由比ヶ浜はいつもの様にケータイをいじり)

比企谷(雪ノ下は読書、俺は机に肘を立ててぼーっとしている)

比企谷(ただ……)


雪ノ下「…………」 チラッ


比企谷(時々、雪ノ下が俺をチラ見してくる……決して気のせいではなく)


比企谷(なんスか、雪ノ下さん)

比企谷(読書の姿勢でチラ見するから上目づかいになって)

比企谷(ものすごく可愛い仕草になっているので、勘違いしそうです……)

比企谷(分かってますよ)

比企谷(モンハンですよね?)

比企谷(昨日の説明じゃ良くわからなかったんですね?)


雪ノ下「…………」 チラッ


比企谷(…………)

比企谷(しかし、雪ノ下は聞いてこない)

比企谷(推測だが由比ヶ浜には知られたくない、という事なのだろう)


由比ヶ浜「……ゆきのん?」

雪ノ下「っ!?」 ビクッ

雪ノ下「な、何かしら? 由比ヶ浜さん」

由比ヶ浜「さっきからヒッキーの事チラチラ見てるけど……どうしたの?」

雪ノ下「き、気のせいよ……」

由比ヶ浜「そう?」

由比ヶ浜「目ヤニがついてて気になってるとかじゃないの?」

比企谷「……こう見えてエチケットは守っている派だぞ、俺は」

由比ヶ浜「ごめんごめん、ヒッキー」

由比ヶ浜「何でもないならいいんだよ」

雪ノ下「…………」



―――――――――――


雪ノ下「そろそろ終わりにしましょう」

由比ヶ浜「今日も依頼はなしかぁ」

比企谷「……帰るか」

     ガタタ……

由比ヶ浜「じゃ、ヒッキー、ゆきのん」

由比ヶ浜「また明日ね♪」

雪ノ下「ええ、由比ヶ浜さん」

比企谷「またな」

     スタ スタ スタ…

雪ノ下「…………」

比企谷「…………」


雪ノ下「比企谷くん」

比企谷「……なんでしょう」

雪ノ下「お話があるのだけど」

比企谷「モンハンか?」

雪ノ下「……お見通しみたいね」

比企谷「あれだけチラ見されたら、嫌でも気づくっての」

雪ノ下「なら話が早いわ」

雪ノ下「昨日のシャ○ルマガラなのだけど……」

―――――――――――

比企谷「……という感じだ」

雪ノ下「モドリ玉……そんな手があったのね」

比企谷「利用できるものは何でも使わないとな」


雪ノ下「でも、少しずるい気がする」

比企谷「何でだよ」

比企谷「架空の、それも怪物相手なんだから構わねーだろ」

雪ノ下「そうなんだけど釈然としないわ」

比企谷「弱い奴には弱いなりの戦い方があるって事だ」

比企谷「だいたい村クエオンリーじゃ、結構厳しいしな」

雪ノ下「そう……」

雪ノ下「まあ参考になったわ」

比企谷「引っかかる感謝をありがとう」

雪ノ下「また明日ね」

比企谷「…………」


比企谷「ちょっと待て、雪ノ下」

雪ノ下「何かしら?」

比企谷「何故かはわからんが……」

比企谷「由比ヶ浜に秘密にしておかなくても いいんじゃないのか?」

雪ノ下「…………」 …ムッ

比企谷「……?」

比企谷「何怒ってんだよ?」

雪ノ下「別に怒っていないわ」

比企谷「怒ってるじゃねーか」

雪ノ下「ごきげんよう……」

     スタ スタ スタ…

比企谷「…………」

比企谷「……何がごきげんようだよ。 ったく」


翌日の昼休み

教室


由比ヶ浜「ヒッキーごめん!」

比企谷「は?」

由比ヶ浜「急に優美子たちと放課後、出かける事になっちゃって……」

由比ヶ浜「今日も部活に行けそうにないの」

比企谷「そうなのか。 わかった」

比企谷「雪ノ下に伝えておく」

由比ヶ浜「ありがとう、ヒッキー」

由比ヶ浜「でもゆきのんと二人っきりだからって」

由比ヶ浜「変な事しちゃダメだからね?」


比企谷「するか」

比企谷「やった瞬間 確実に俺の人生が終わるっての……」

由比ヶ浜「あはは!」

三浦「結衣ー? お昼行くよ?」

由比ヶ浜「あ、うん。 今行くー!」

由比ヶ浜「じゃあね、ヒッキー」

比企谷「おう」

     タッ タッ タッ…

比企谷「…………」


放課後

奉仕部・部室


比企谷「……という訳で、由比ヶ浜は今日来れないそうだ」

雪ノ下「そう。 わかったわ」

比企谷(…………)

比企谷(……気のせいか、嬉しそうだな)

雪ノ下「ところで比企谷くん」

比企谷「何ですか?」

雪ノ下「あなた……まだモンハンやっているのかしら?」

比企谷「もうやっていないが、ゲームは持っているぞ」

雪ノ下「そう」


比企谷「…………」

雪ノ下「…………」

比企谷「……え? それで終わり?」

雪ノ下「特に他意はない質問よ」

比企谷「さいですか」

比企谷「じゃあ、俺も他意のない質問をしたいんだが、いいか?」

雪ノ下「何かしら?」

比企谷「どうしてモンハンを始めたんだ?」

雪ノ下「…………」

比企谷「お前がゲームやっているってのも驚きだし」

比企谷「それにモンハンは、初心者が最初に選ぶゲームとは言い難い」

雪ノ下「…………」


雪ノ下「……猫よ」

比企谷「……は?」

雪ノ下「正確にはアイルーね」

比企谷「…………」

雪ノ下「テレビCMで猫が直立歩行でちょこちょこ付いていくのを見たりして」

雪ノ下「か、可愛いな、と、思って……」///

比企谷(俺は今の雪ノ下が可愛すぎて悶えそうです)

比企谷「そういう事だったのか……納得した」

雪ノ下「ゲームには全く興味なかったのだけど」

雪ノ下「キャラメイクで名付けたアイルーに出会うまで」

雪ノ下「ある程度進めなきゃならなくて……」


雪ノ下「プレイして行く内、だんだんと慣れていって」

雪ノ下「その結果……」

比企谷「ハマっていった訳か」

雪ノ下「……その通りよ」

雪ノ下「ストーリーは子供っぽい内容だけど」

比企谷「カプ○ンに怒られるぞ……」

雪ノ下「物語の途中でオトモがたくさん雇える様になって」

雪ノ下「叶うのなら、あの島の管理人になりたいくらいだわ」

比企谷「全然別の方向で大ハマりしてるな……」

雪ノ下「楽しみ方は私の勝手でしょう?」

比企谷「まあ……その通りだが」

雪ノ下「ふふふ」


雪ノ下「そういえば」

比企谷「ん?」

雪ノ下「あなたは筆頭オトモに どんな名前を付けたのかしら?」

比企谷「……何だったかな?」

比企谷「テキトーにつけた気がする」

雪ノ下「聞き捨てならないわね」

比企谷「別にいいだろ……」

比企谷「ちなみに雪ノ下は何て名前をつけたんだ?」

雪ノ下「シロちゃん」

比企谷「…………」

雪ノ下「……何? その『人のこと言えない』みたいな顔は?」


比企谷「……露ほども考えておりませんとも」

雪ノ下「ふん。 どうだか」

雪ノ下「ちなみに『ちゃん』までが名前よ」

比企谷(聞いてません)

比企谷「楽しそうで何よりだな」

雪ノ下「…………」

比企谷「…………」

雪ノ下「――比企谷くん」

比企谷「……何でしょう?」

雪ノ下「非常に不本意で、釈然としないのだけど」

雪ノ下「学校という学び舎にゲーム機を持ってくる訳にもいかないし」

雪ノ下「だからと言って、せっかくゲーム機に搭載されている機能を使わないのは」

雪ノ下「もったいないと思うの」


比企谷「……おう」

雪ノ下「…………」

雪ノ下「そ、そういう事で……」///

雪ノ下「私の家に来る事を、ゆ、許してあげてもいいわ」///

比企谷「…………」

比企谷「え!?」

雪ノ下「……喜んで欲しい、とは思わないけど」

雪ノ下「何故そんなに驚くの?」

比企谷「だ、だって……雪ノ下は一人暮らしなんだろ?」

雪ノ下「……いやらしい事を考えてるのね?」

比企谷「……否定はしないがな」

比企谷「つか、俺が狼になる可能性は考えないのか?」


雪ノ下「愚問ね」

雪ノ下「当然考えているわよ」

比企谷「……この場合、どうにも釈然としないが安心した」

雪ノ下「どうして? 比企谷くんを信用していないと言ってる様なものなのに」

比企谷「少なくとも」

比企谷「『男』としては見てくれているんだって事だからな」

雪ノ下「…………」

雪ノ下「そんなの当たり前の事よ」

比企谷「まあ、話はわかった」

比企谷「で? どうする?」

比企谷「俺はいつ、雪ノ下の家に行けばいいんだ?」


雪ノ下「!」

雪ノ下「そ、そうね……」

雪ノ下「やっぱり休日の方がいいかしら?」

比企谷「どれだけモンハンやる気なんだよ……」

雪ノ下「お昼くらい付けるわ」

比企谷「マジっすか……丸一日かけるつもりかよ」

雪ノ下「い、嫌なら……お昼からでも……」///

比企谷「……嫌とは言ってねーだろ」

比企谷「乗りかかった船だ。 もう好きなだけ付き合ってやる」

雪ノ下「!」

雪ノ下「……あ、ありがとう」///


比企谷(くっ……可愛く礼を言うなっ)///

比企谷(勘違いしちまうだろうが……)///


雪ノ下「じゃあ……今度の土日は空いているかしら?」

比企谷「ああ。 空いてる」

雪ノ下「じゃあ今度の土曜日……そうね」

雪ノ下「朝の9時くらいに来てもらえるかしら?」

比企谷「雪ノ下の本気度はよくわかった。 朝9時ね。 了解だ」

雪ノ下「ふふふっ」///


比企谷(だからそんなに可愛く喜ぶなっつーの!)///

比企谷(勘違いすんなよ、俺!!)///



―――――――――――


数日後の放課後

奉仕部・部室


由比ヶ浜「……?」

雪ノ下「♪」

比企谷「…………」

由比ヶ浜「……ねえ、ヒッキー」

比企谷「なんだ、由比ヶ浜」

由比ヶ浜「ここのところゆきのん、すっごく機嫌いいよね?」

比企谷「みたいだな」


由比ヶ浜「何か知ってる?」

比企谷「皆目見当もつきません」

由比ヶ浜「……ふ~ん」


由比ヶ浜「ね、ゆきのん」

雪ノ下「ん? 何かしら、由比ヶ浜さん」

由比ヶ浜「ご機嫌みたいだけど、いい事でもあったの?」

雪ノ下「ふふ、少しね」

由比ヶ浜「へえ? いったいどんな事?」

雪ノ下「そうね……詳しくは言えないけど」

雪ノ下「ちょっと詰まってた事柄が上手く行きそうなの」

由比ヶ浜「詰まる? ……良く分かんないけど」

由比ヶ浜「悩みが解決したって事?」


雪ノ下「そんなところだわ」

由比ヶ浜「そっか。 良かったね、ゆきのん」

     アハハ…

比企谷(間違っていないが、ゲームの事だってバレると)

比企谷(果てしなく恥ずかしいだろうな……)


由比ヶ浜「あ、そだ。 ねえねえ、ヒッキー」

比企谷「ん?」

由比ヶ浜「明日の土曜日ってヒマかな?」

雪ノ下「!」

比企谷「あー……すまん、由比ヶ浜」

比企谷「珍しく予定があってな」


由比ヶ浜「そうなんだ」

由比ヶ浜「ゆきのんは?」

雪ノ下「ごめんなさい、由比ヶ浜さん」

雪ノ下「この男と同様なのは甚(はなは)だ遺憾なのだけど」

雪ノ下「私にも予定があるの」

比企谷「いちいち俺を引き合いに出すなよ……」

由比ヶ浜「そっか、ゆきのんもなんだね……残念」

雪ノ下「何かあったのかしら?」

由比ヶ浜「ううん。 あたし明日はヒマだし」

由比ヶ浜「二人はどうなのかな~?って、思っただけ」

雪ノ下「そうなの」

由比ヶ浜「明日、何しようかな……」


比企谷「…………」

雪ノ下「…………」

比企谷(……ちょっと)

雪ノ下(……罪悪感)


比企谷「……いつも試験前に泣くんだから」

比企谷「予習と復習でもしておけ」

由比ヶ浜「絶対ヤダ」

雪ノ下「あなたの為よ?」

由比ヶ浜「そういう為は、いらなーい……」



―――――――――――


翌日の朝

比企谷宅 玄関


小町「あれ~?? お兄ちゃん?」

比企谷「なんだ? 小町?」

小町「こんなに早くからお出かけするの?」

比企谷「ちょっと気分転換にな」

小町「気分転換?」

小町「お散歩でもするの?」

比企谷「自分の健康維持と運動不足解消を同時にやろうと思ってな」

小町「へえ! お兄ちゃん、理屈っぽいけど前向きだね!」

小町「あ、今の小町的にポイント高い」

比企谷「つーわけで、夕方までプラプラしてくるわ」


小町「へ? 夕方?」

比企谷「行ってきます」

     ガチャ…… キィ、パタン

小町「あ、お兄ちゃ……」

小町「…………」

小町「怪しいなぁ……」

―――――――――――

比企谷「ふう……」

比企谷(暑い……日差しが強えぇ……)

比企谷(似合わなくても帽子をかぶって来るべきだった)

比企谷(…………)

比企谷(さて……雪ノ下の家は、と……)



―――――――――――


雪ノ下のマンション 玄関ロビー


比企谷(……いつ見ても場違い感パネェ)

比企谷(どうにもこうにも気後れしてしまうな)

比企谷(…………)

比企谷(……えーっと)

比企谷(雪ノ下の部屋番号は……と) ピッ ポッ パッ

比企谷(…………)

インターホン『……はい?』

比企谷「……来たぞ、雪ノ下」

インターホン『今、ロビーの扉を開けるわ』


     ウィ~ン…

インターホン『開いたかしら?』

比企谷「ああ」

インターホン『じゃ、待っているわ』 ガチャ…

比企谷(…………)

     テク テク テク…

―――――――――――

小町「」

小町(……見ちゃった)

小町(そして聞いちゃいましたよ、お兄ちゃん!)


小町(まさかこんなに早い時間から雪ノ下さんの自宅を尋ねるとは)

小町(小町的には予想外だけどポイント高いよ、お兄ちゃん!)

小町(…………)

小町(……となると)

小町(残念ながら由比ヶ浜さんは)

小町(落選……)

小町(…………)

小町(……でも、それならそうと)

小町(小町に言ってくれてもいいのに)

小町(…………)

小町(まあお兄ちゃんの事だし、恥ずかしかったのかも)

小町(…………)

小町(ちょっとだけ探りを入れてみますか)


雪ノ下の部屋


     ガチャ

雪ノ下「いらっしゃい、比企谷くん」

比企谷「……おう」

雪ノ下「どうぞ、上がって」

比企谷「お邪魔します」

―――――――――――

リビング


比企谷「…………」

比企谷(……おかしいな)


比企谷(俺のこと男として警戒しているって言ってたのに)

比企谷(見た感じ、その気配が全くないぞ)

比企谷(…………)

比企谷(雪ノ下もいつも通りだったし)

比企谷(どういう事だ……?)

比企谷(…………)


雪ノ下「お待たせ、比企谷くん」

雪ノ下「飲み物を持ってきたわ」

比企谷「!」

比企谷「お、おう……ありがとう」

比企谷「……ところで雪ノ下」

雪ノ下「何かしら?」


比企谷「俺を警戒してるんだよな?」

雪ノ下「ええ」

比企谷「その割には……フツーというか、何の備えもしてないというか」

比企谷「『僕らはみ○な河○荘』みたいに竹刀とかバットとか」

比企谷「そういった物が、そこかしこに置かれているのかと……」

雪ノ下「バカなの? 比企谷くん」

比企谷「は?」

雪ノ下「仮にそういう物が置かれていたとして」

雪ノ下「それをあなたが奪う可能性を考えないと思う?」

比企谷「……なるほど」

雪ノ下「だから、どんな備えがしてあるのか、分からない様にしてあるわ」

比企谷「そういう事なら納得だ、雪ノ下」 ホッ…

雪ノ下「…………」


比企谷「じゃあ、さっそく始めるか?」

雪ノ下「そうね」

     ピピピ…… ピピピ……

比企谷「っと、すまん」 ピッ

比企谷「もしもし……小町か?」

比企谷「……どこって、そりゃ……ええと」

比企谷「どっかの道かな?」

雪ノ下「…………」

比企谷「エアコンなんて効いてないっての……道だって言ってるだろ」

比企谷「つか、なんでそんな事を聞くんだ?」

雪ノ下「…………」


小町「ううん。 深い意味は無いよ?」

小町「散歩って、どこ行ったのかなーって思っただけだから」

小町「うん……うん……」

小町「はーい。 じゃあね、お兄ちゃん」

     ブッ… ツー ツー

小町「…………」

小町(そうですか。 そんなに内緒にしたいのかぁ)

小町(これはいよいよ持って、雪ノ下さんが本命っぽい)

小町(あのお兄ちゃんと付き合ってくれるのであれば)

小町(小町は雪ノ下さんを全力で応援しちゃいますよ)

小町(…………)

小町(それにしても突然だったなー)


比企谷「さて……それじゃ始めるか」

雪ノ下「そうね」

     カチャ…

比企谷「……よし、部屋を作ったぞ」

雪ノ下「……比企谷くん」

比企谷「どうした?」

雪ノ下「なぜか通信ができないわ」

比企谷「……? 見せてみろ」

     スッ…

比企谷「…………」 ピッ ピッ ピッ…

比企谷「……おまえ、ミーを作っていないのか」


雪ノ下「ミー?」

比企谷「それがないと通信できないんだよ」

雪ノ下「どう作るのかしら?」

比企谷「一度ゲームを終了して、ホーム画面にしないといけない」

雪ノ下「わかったわ」

比企谷(どこまで俺と同じ事してんだよ……)

―――――――――――

雪ノ下「これでいいわね?」

比企谷「ああ」

雪ノ下「…………」 ピッ ピッ ピッ…

雪ノ下「比企谷くんの部屋に入れたわ」

比企谷「おう」


雪ノ下「あなたのオトモ、”かまくら”なのね」

比企谷「適当だって言っただろ」

比企谷「つーか、雪ノ下……マイキャラに本名つけるのは、まずいと思うぞ」

雪ノ下「……別にいいじゃない」

雪ノ下「比企谷くんこそ、それは何?」

雪ノ下「名前も変だし、どうして女性キャラ使ってるの?」

比企谷「歴代のモンハン男装備ダサいんだよ……あと姫柊雪菜バカにすんな」

雪ノ下「ひめらぎと読むのね……アニメのキャラ名かしら?」

比企谷「別にいいだろ……」

比企谷「ネット通信すればわかるが、アニメキャラの名前つけてるの結構いるぞ」

雪ノ下「そうなの」


比企谷「じゃ、始めるか」

比企谷「……っとその前に」

比企谷「ギルカ……ギルドカード交換しておかないか?」

雪ノ下「……え?」

比企谷「予想通りの反応ありがとう」

比企谷「自分のキャラのギルカ……ギルドカード作っただろ?」

雪ノ下「ええ」

比企谷「あれを名刺交換みたいに使う事ができるんだ」

雪ノ下「何の意味があるの?」

比企谷「い、意味っつーと……それほどないが」

比企谷「貰ったギルカから、キャラのデータが見る事ができて、結構面白い」

雪ノ下「ふうん……」


雪ノ下「……これでいいかしら?」

     ピロリン☆

比企谷「ああ、ちゃんと届いたぞ」

雪ノ下「…………」

比企谷「…………」

雪ノ下「……結構やりこんでるのね」

比企谷「……まあ予想してたけど」

比企谷「雪ノ下は、ギルカのカスタマイズをしていないみたいだな」

雪ノ下「カスタマイズ?」

比企谷「例えば挨拶の一言」

比企谷「デフォなら『よろしくお願いします』だが、『こんにちは』とか自由に変えられるんだ」

雪ノ下「…………」


雪ノ下「……あなたの姫柊雪菜ちゃん」

雪ノ下「『私はあなたの監視役ですから!』になってるわね」

比企谷「俺の言うな……あと、キャラの決め台詞ってだけだ」

雪ノ下「あらそうなの」

雪ノ下「その腐った魚の目みたいに、ただれた性癖を持っているのかと」

比企谷「……確認して直しときゃ良かった」

雪ノ下「…………」

雪ノ下(……でも、面白い機能ね)

雪ノ下「それじゃ始める?」

比企谷「そうだな」



―――――――――――


比企谷「……これも予想してたが」

比企谷「集会所まるっきり使って無かったんだな」

雪ノ下「何か不都合なの?」

比企谷「いーえ。 とんでもございません」

比企谷「キノコ狩り大好きですから」

雪ノ下「そう。 良かったわね」

―――――――――――

雪ノ下「……比企谷くん、何か出てきたわ」

比企谷(キークエ、やっと出たか)

比企谷「そうか。 それをクリアすればHR(ハンターランク)が上がって」

比企谷「次に進めるぞ」

雪ノ下「ふうん……村クエにもあったけど、昇段試験みたいね」


―――――――――――

雪ノ下「あら、もうこんな時間」

雪ノ下「そろそろ昼食を摂りましょう」

比企谷「賛成だ。 一息入れよう」

雪ノ下「ちょっと待っててね」

比企谷「おう」


比企谷(もう少しでHR3に上がるクエが出るな)

比企谷(にしても雪ノ下、結構上手いな)

比企谷(プレイスタイルとしては力押し、という感じだが)

比企谷(防具の方もそれなりに集めてて、ちゃんと考えてある)

比企谷(片手剣をスタンダードにし、それで難しくなったら)

比企谷(太刀かガンス……という感じか)


雪ノ下「お待たせ」

比企谷「おう」

比企谷「うまそうなスパゲティだな」

雪ノ下「ええ」

比企谷「いただきます」

雪ノ下「いただきます」

―――――――――――

比企谷「ごちそうさま」

雪ノ下「お粗末さまでした」

比企谷「うまかった。 礼を言う」

雪ノ下「どういたしまして」


     カチャ カチャ…

雪ノ下「あ……洗い物は後で私が」

比企谷「構わない。 これくらいいつも家でしてるしな」

比企谷「ほら、雪ノ下も皿を渡してくれ」

雪ノ下「…………」

     スッ…

比企谷「よし。 すぐ終わらせるからな」

雪ノ下「……もう」 ボソッ

比企谷「ん?」

雪ノ下「何でもないわ」

比企谷(……何で若干怒ってるんだ?)


比企谷「さて、続きを始めますか」

雪ノ下「そうね」

―――――――――――

雪ノ下「……ふう」

雪ノ下「次のキークエが出たわ」

比企谷「そうか……それをクリアしたらやっと上位に行けるな」

雪ノ下「上位、ね……」

比企谷「このクエは少し長引くと思うから」

比企谷「ちょっと休憩しよう」

雪ノ下「わかったわ」

雪ノ下「紅茶を入れてくるわね」

比企谷「すまんな」


     ズズッ…

比企谷「ん……んんっ」 コキ パキ

雪ノ下「妙な声を出さないでくれないかしら?」

比企谷「声はしょうがないだろ。 ちょっと背伸びしただけだっての……」

比企谷「雪ノ下だってこういう声、出るに決まってる」

雪ノ下「…………」

雪ノ下「…………」 コキ パキ

比企谷「…………」

雪ノ下「何か?」

比企谷「……何でもありません」

比企谷「さっさとダレン・○ーラン倒すぞ」



―――――――――――


比企谷「おめでとう」

比企谷「これで上位クエ受注できるぞ」

雪ノ下「とりあえず、お礼を言っておくわ」

比企谷「どういたしまして」

比企谷「これでもう俺の必要はないだろう」

雪ノ下「え」

比企谷「村クエのシャ○ルは、上位装備なら割とすぐ倒せる」

比企谷「集会所の方が素材も集めやすいし」

比企谷「雪ノ下くらいの実力があれば、そう難しくないだろう」

雪ノ下「……そう」

比企谷「…………」


比企谷「……まあ」

雪ノ下「!」

比企谷「もしまた何か困ったら」

比企谷「俺で答えられる範囲でなら対応しない事もない」

雪ノ下「…………」

雪ノ下「うん」


比企谷(……と、突然、素直にうなづくなっ)///


比企谷「そ、それじゃあ……そろそろ夕方だし」

比企谷「帰るわ」

雪ノ下「わかったわ」



―――――――――――


比企谷宅


比企谷「ただいまー」

小町「おかえり、お兄ちゃん」

比企谷「おう」

比企谷「すまん、ちょっと遅くなったな」

比企谷「すぐ夕飯の準備をする」

小町「ねえ、お兄ちゃん」

比企谷「ん?」

小町「強い日差しの中、散歩したのに あんまり日焼けしてないね?」

比企谷「さすがに暑くなったんでな」

比企谷「図書館や映画館に行って涼んでた」


小町「ふぅ~ん」

比企谷「……小町?」

小町「何でもないよ~」 ウフフ♪

     スタ スタ スタ

比企谷「…………」

比企谷(思わせぶりすぎるぞ……小町)

比企谷(…………)

比企谷(後を付けられたか……?)

比企谷「…………」



―――――――――――


数日後の放課後

奉仕部部室


由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜「ねえ、ゆきのん、ヒッキー」

比企谷「ん?」

雪ノ下「何かしら? 由比ヶ浜さん」

由比ヶ浜「……なんかさ、二人とも微妙に仲良くなってない?」

比企谷「微妙ってなんだよ……いつも通りだろ」

雪ノ下「特に変わったとは、思わないけど?」

由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜(……そうかなぁ)



―――――――――――


翌日の放課後

奉仕部部室前


     タッ タッ タッ

由比ヶ浜(ちょっと遅れちゃった……)

由比ヶ浜(ゆきのんとヒッキーにどやされるー)


     ……で……が……


由比ヶ浜(……ん?)

由比ヶ浜(話し声が聞こえる)



雪ノ下「付き合ってくれないかしら?」


由比ヶ浜(!!?)


比企谷「ああ、別にいいぞ」


由比ヶ浜(…………)

由比ヶ浜(……えっ)


比企谷「どこでする? やっぱり雪ノ下のマンションか?」

雪ノ下「もちろんよ」

雪ノ下「できれば、また一日中したいのだけど」


由比ヶ浜(また!? 一日中!?)


比企谷「おいおい……本当に好きだな、雪ノ下」

雪ノ下「人を変態みたいに言わないでくれないかしら?」

雪ノ下「あなたも楽しんでいるのでしょう?」

比企谷「否定はしない」


由比ヶ浜(…………)

由比ヶ浜(……まさか)

由比ヶ浜(まさか、まさか、まさか……)

由比ヶ浜(も、もう……そんな関係に……!?)

由比ヶ浜(……っ!)


     ガララッ!


比企谷「……ん?」


雪ノ下「あら、由比ヶ浜さん」


由比ヶ浜「…………」


比企谷「どうした、由比ヶ浜」

比企谷「今日は遅かったが……」

由比ヶ浜「ねえ、ゆきのん」

雪ノ下「え?」


由比ヶ浜「ヒッキーと何の話してたの?」


比企谷「……!」

雪ノ下「……!」

雪ノ下(今の話……聞かれた!?)


雪ノ下「……他愛のない話をしていただけよ」

雪ノ下「ねえ、比企谷くん」

比企谷「…………」


比企谷(何で雪ノ下は、ここまで由比ヶ浜に秘密にしておきたがるんだ……)

比企谷(モンハンやってるって素直に言えばいいだろうに……)


比企谷「……そうだとも」

由比ヶ浜「……ふうん」


由比ヶ浜(ゆきのん、自分の家で一日中とか言ってた)

由比ヶ浜(たぶん今度の休み、ヒッキーと一緒に何かするんだ……)

由比ヶ浜(…………)

由比ヶ浜(そんなの……許さない)


由比ヶ浜「……それならいいんだけど」

由比ヶ浜「今日、依頼あった?」

比企谷「まだない」

由比ヶ浜「そっか。 ここのところ本当に暇だね」

雪ノ下「そうね」


比企谷「…………」

由比ヶ浜「…………」

雪ノ下「…………」


比企谷(……なんなのでしょう、この雰囲気)

比企谷(重っ)



―――――――――――


数日後の休日の朝

比企谷の部屋


比企谷「…………」

比企谷(今日はやめた方がいい気がするのだが)

比企谷(雪ノ下は聞く耳を持たず……)

比企谷(通信環境もあるし、ネットならいつでも出来るのに、という意見には)

比企谷(いつもの3割増(八幡基準)の罵倒が返ってきた)

比企谷(…………)

比企谷(どうしてこうなった……)


雪ノ下のマンション前


     テク テク テク…

比企谷「…………」

比企谷(……とりあえず、ここまでは何事もなく来れた)

比企谷(途中で尾行を警戒して何度も振り返ったり)

比企谷(突然方向を変えたりして多少時間をかけた)

比企谷(尾行は、最低限7人の人員と車2台が必要だと)

比企谷(マ○ターキー○ンに載ってたからな……たぶん大丈夫だ)

比企谷(……って俺はアブナイ犯罪者かよっ!)

比企谷(という一人ツッコミも終わったところで到着したな)

比企谷(…………)

比企谷(こんなに歩いたのも久しぶりかも知れない……疲れた)


由比ヶ浜「あ、ヒッキー」

比企谷「どうわっ!?」

由比ヶ浜「……何でそんなに驚くの?」

比企谷「だって……富士山にフンボルトペンギンが居たら驚くだろ?」

由比ヶ浜「その例え、よく分かんないよ……」

由比ヶ浜「っていうか、偶然だね! ヒッキー!」

比企谷「…………」

由比ヶ浜「どうしたの?」

比企谷「いや……言葉にすると」

比企谷「一時間くらい由比ヶ浜にツッコミ入れたくなるから止めとく」

由比ヶ浜「変なヒッキー」


比企谷「……で? 偶然と言っていたが何でこんな所に居るんだ?」

由比ヶ浜「え!?」

由比ヶ浜「そ、その……散歩! いち、にの、散歩だよ!」

比企谷(……言い訳くらい考えておきましょう)

比企谷「はあ……」

由比ヶ浜「ため息つくなし!」

比企谷「どうするかな……雪ノ下のケータイ番号知らないし」

由比ヶ浜「……やっぱりゆきのんの家に行くつもりなんだ」

比企谷「この場所、このタイミングでいまさら確信したなんて」

比企谷「もうちょっと賢くなりなさい」

由比ヶ浜「何で私、怒られてるの?」


由比ヶ浜「それで? ゆきのんと二人で何をこそこそしてるの?」

比企谷「……俺は隠す必要ないと思うんだが」

由比ヶ浜「……ふーん」

比企谷「何を考えているのか、まったくわかりませんけど」

比企谷「由比ヶ浜が今、考えている事じゃないからな」

由比ヶ浜「どーだか」

比企谷「……もう直接雪ノ下に事情を聞いてくれ」

由比ヶ浜「……わかった」

―――――――――――

インターホン『……はい』

由比ヶ浜「ゆきのん、おはよう」


インターホン『由比ヶ浜さん?』

由比ヶ浜「そだよー」

インターホン『……悪いのだけど、今日は用事があって』

比企谷「あー……すまんが雪ノ下」

インターホン『……そういう事』

比企谷「何が『そういう事』と納得できたのかは置いておいて」

比企谷「とにかく、由比ヶ浜に事情を説明してやってくれ」

比企谷「多分だが……結構な誤解をしていると思う」

由比ヶ浜「…………」

インターホン『…………』

インターホン『わかったわ。 二人共上がってきて』



―――――――――――


雪ノ下「いらっしゃい、由比ヶ浜さん」

由比ヶ浜「やっはろー、ゆきの……!?」

比企谷「!?」///

雪ノ下「どうかしたの?」

由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜「……ねえ、ゆきのん」

雪ノ下「何かしら?」

由比ヶ浜「……キャミに短パンって、ずいぶん大胆な格好だね?」

雪ノ下「……エアコンばかりに頼るのも良くないと思って」


比企谷(いいもの見れたー!と、喜んでる場合ではない気がする)


由比ヶ浜(健全……とまではいかなくても)

由比ヶ浜(ヒッキーと、こんな姿のゆきのんが二人きりで一つの部屋に……)

由比ヶ浜「……えと」

由比ヶ浜「それもそうだね」

由比ヶ浜「私も脱ごうかな?」

雪ノ下「まちなさい、由比ヶ浜さん」

雪ノ下「この腐った魚のような目をしたケダモノの前で、そんな事しない方がいいわ」

由比ヶ浜「ゆきのん……その姿で言われても説得力ないよ」

比企谷「…………」

比企谷「邪魔なら帰るが?」


雪ノ下「邪魔とも帰れとも言ってないけど?」

由比ヶ浜「ヒッキーは居ていいから」

比企谷「いや、俺の中の何かが帰れと言ってるんだ。 割とマジで」

雪ノ下「幻聴よ」

由比ヶ浜「あたしもそう思う」

比企谷(いや、もう、ホント勘弁してください)

由比ヶ浜「……とりあえず、事情ってのを話してくれない?」

雪ノ下「……それもそうね」

比企谷「……もっともだな」


雪ノ下「――という訳よ」

由比ヶ浜「」

由比ヶ浜「モンハン!? ゆきのんが!?」

雪ノ下「予想通りの反応ね」

比企谷「期待通りだな」

由比ヶ浜「予想通りとか期待通りとか言うなし!」

由比ヶ浜「まあ……考えてた内容とは違っていたけど」

由比ヶ浜「……けど」 ジー…

雪ノ下「…………」

比企谷「……?」

由比ヶ浜(……絶対ゆきのん、狙ってるよね)

雪ノ下(……くっ)

雪ノ下(由比ヶ浜さんに見透かされてる気がする……)

比企谷(どうしてか、部屋の温度が上昇しているような……)


由比ヶ浜「――で」

由比ヶ浜「モンハンって、どんなゲームなの?」

比企谷「百聞は一見にしかず、だな」

比企谷「こんなゲームだ」つ(3DS)

―――――――――――

由比ヶ浜「ふうん」

比企谷「……興味なさそうだな」

由比ヶ浜「そ、そんな事ないよ!?」

雪ノ下「由比ヶ浜さん、無理に理解しようとしなくていいわ」

雪ノ下「合う合わないは人それぞれだもの」

由比ヶ浜「ぐぬぬ……」


由比ヶ浜「じゃ、じゃあヒッキー!」

由比ヶ浜「そのゲーム機?とソフト、買いに行くから」

由比ヶ浜「付いて来てくれない?」

雪ノ下「!」

比企谷「俺が居る必要、無いと思うが……」

由比ヶ浜「いーじゃない、それくらい付き合ってくれても」

由比ヶ浜「ね? ヒッキー!」

雪ノ下「…………」

比企谷「…………」



―――――――――――


数時間後

雪ノ下の部屋


由比ヶ浜(……結構高い買い物だったなぁ)

由比ヶ浜(こんなおもちゃに合計2万もかかるなんて……)

比企谷「ゲーム機って高いだろ?」

由比ヶ浜「そ、そんな事、ないし!」

比企谷「置き型ハードだと、過去には6万とか10万とかいう物もあった」

由比ヶ浜「……誰が買ってるの? そんなの?」

比企谷「ス○夫か、お金捨てたい病患者」

由比ヶ浜「そんな病気あるんだ……」


比企谷「……ときどき由比ヶ浜の事が真面目に心配になる」

雪ノ下「……本当にね」

由比ヶ浜「え?」

比企谷・雪ノ下「何でもない」

由比ヶ浜「??」

由比ヶ浜「じゃ、始めよっか!」

比企谷「すぐには無理だ」

由比ヶ浜「え?」

比企谷「まずミーを作って、ちょっとストーリーを進めないとPT出来ないんだよ」

由比ヶ浜「そうなんだ。 どれくらいかかるの?」

比企谷「……1時間くらいかな」


―――――――――――

由比ヶ浜「――で、後は」

由比ヶ浜「この赤い箱に入れればいいの?」

雪ノ下「ええ」

由比ヶ浜「よっ……と!」

由比ヶ浜「終わったー」

比企谷「どんな感じだ?」

比企谷「正直、女の子向けのゲームじゃないと思うし……」

由比ヶ浜「まだ始めたばかりだから、よく分かんないよ、ヒッキー」

比企谷「そうか」

比企谷「で……それはいいんだが」


比企谷「筆頭オトモに『ヒッキー』はないだろ……」

雪ノ下「オトモが可愛そうだわ(その手が……!)」

由比ヶ浜「何で? 別にいいでしょ?」

比企谷「……俺がオトモに『由比ヶ浜』とか『雪ノ下』とか付けてたらどう思うんだ?」

由比ヶ浜「ちょっとキモい」

雪ノ下「盛大に嫌悪感を感じるわ」

比企谷「だろ?」

雪ノ下「由比ヶ浜さんは別にいいと思うけど」

由比ヶ浜「でしょでしょ♪」

比企谷「この差は何?」

由比ヶ浜「それより早く始めようよ!」



―――――――――――


由比ヶ浜「おもしろーい!」

比企谷「そうか。 良かったな」

由比ヶ浜「剥ぎ取りは ちょっと残酷に思えるけど……」

由比ヶ浜「でも楽しいね♪」

雪ノ下「…………」

比企谷「……さて、そろそろ夕方だな」

比企谷「そろそろ帰るわ」

雪ノ下「……そう」

由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜「あ、ヒッキー。 先に帰ってくれる?」


比企谷「先も何も1人で帰りますよ」

由比ヶ浜「そう!」

由比ヶ浜「じゃ、またね!」

比企谷「……ああ」

     …パタン

雪ノ下「…………」

由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜「ねえ、ゆきのん」

雪ノ下「……何かしら?」

由比ヶ浜「最後にもうひと狩り行かない?」

雪ノ下「え……分かったわ、由比ヶ浜さん」

由比ヶ浜「じゃ、決まり!」


由比ヶ浜「モンスターは……リオレイス!」 ピッ!

雪ノ下「……微妙に混ざってるわ」

雪ノ下「これはリオレイアよ」

由比ヶ浜「あはは……」

     ピコピコピコ…

由比ヶ浜「よっ……ほっ……」

雪ノ下「…………」

由比ヶ浜「きゃーん! 死んだぁー!」

雪ノ下「…………」

     ピコピコピコ…

由比ヶ浜「……でも」


由比ヶ浜「私、負けないもん」

雪ノ下「!」

雪ノ下「……あ」

雪ノ下(手元が狂ってしまった……)

     ピコピコピコ…

由比ヶ浜「…………」

雪ノ下「…………」

     目的を達成しました

由比ヶ浜「…………」

雪ノ下「…………」

由比ヶ浜「……やっぱりゆきのん強いね」

雪ノ下「……そうでもないわ」


由比ヶ浜「でも、負けない」

雪ノ下「…………」

雪ノ下「……そう」

由比ヶ浜「じゃ、そろそろ帰るね」

由比ヶ浜「またモンハンやろう!」

雪ノ下「ええ」

雪ノ下「また……」

     …パタン

雪ノ下「…………」

雪ノ下「今回は失敗したけど」

雪ノ下「私も……負けないから」



―――――――――――


比企谷の部屋


比企谷「…………」


     ※ギルカのコメントです

ゆいゆい「ヒッキー大好き♪」

雪ノ下雪乃「あなたが大好きです」


比企谷「…………」

比企谷「どうすりゃいいんだよ……」

比企谷「はあ……」








     やはり俺の青春ラブコメは、何か間違っている。

     ……たぶん……きっと……ま、ちょっと覚悟しておこう。

     うん。







     おしまい

実はこれ……去年の夏くらいに書いてたの発掘しました。
内容に古い話題が出るのはそのせいです。
お粗末さま~

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