りんぱな「アイドル研究部に入ってみたけれど」 (211)


かよちんと凛ちゃんのお話です。
キャラは少し崩壊気味です。
いろんなアニメや映画、ドラマなどの私の好きなセリフもいれてます。
SS初心者なので、クオリティは低いと思いますが、よろしくお願いします。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1442114021

 
まさか、こんなことになるなんて

ほんの1年前まで、想像もしてなかったよ。



そう、それはかよちんと一緒に

音ノ木坂学院に入学した時から、

はじまったのにゃ

マジキチend期待

 
凛「か~よちん、おいで~こっち、こっち」

花陽「ハァハァ、凛ちゃんっ!待ってよ!」

凛「ほらほら、練習始まっちゃうよ!」

花陽「うわー、すごいな~」

凛「あ、あの人テレビで見たことあるよ」

花陽「きゃー、絢瀬絵里さんだよ!動きがキレッキレッだね」

凛「そうなんだぁ。凛、あんまりアイドルの事とか知らなくてゴメンね」

凛「かよちんには聞いてたけど、すごいんだねえ」

凛「それにしても、すごい人気だにゃ」

花陽「ここはね、ラブライブ出場の常連校で、部員は総勢100人という、大所帯!」

花陽「そして、その中で舞台に上がれるのが、たった9人なの!」

花陽「今、練習してるのは、その9人のうちの3人なの」

花陽「あ~、それが目の前で見ることができて、私、この学校に入ってよかったなぁ」

 
凛「かよちん、入部するの?」

花陽「ええ~、わ、わたしなんか…無理だよ…」

凛「ええ~?」

花陽「さっきも言ったように、総勢100人超の大所帯で、入部希望者もいっぱい!」

花陽「それに入部試験みたいのもあるみたいなの」

花陽「そんな中で、わたしなんか…無理。見ているだけで充分だよ」

凛「ふ~ん」

花陽「…でも、本当に入部できたら、うれしいかも?」

凛「そっかぁ。かよちん!やってみたかったら、やってみなよ~」

花陽「う~ん」

凛「?」

花陽「凛ちゃんは?どうするの?部活」

凛「凛は体を動かすのが好きだから、運動部かな?」

花陽「…」

凛「?」

凛「かよちん?どうしたにゃ?」

  
花陽「り、凛ちゃんも一緒に入らない?」

凛「え?凛?無理無理無理~」

花陽「そ、そう、、、」

凛「!」


凛(かよちん、一人では心細いんだにゃ、きっと)

凛(ここは、凛がついててあげないといけないんだにゃ)

凛「あ、でも、アイドルって、凄いハードなんだよね?ダンスとかも」

凛「エネルギーが有り余ってる、凛にはいいかもにゃ」

凛「大所帯なら、そんな簡単にレギュラーになれないだろうし」

凛「女の子っぽくない凛なら、人前に出ることもなさそうだから、いいかもにゃ」

凛「よし!私もアイドル研究部に入るよ!かよちん、一緒に頑張ろう?」


花陽「本当に?う、、、うれしいよ…凛ちゃん」グス

凛「かよちん、また、すぐ泣く…凛がついてるから、大丈夫にゃ」

 
そうして、かよちんと凛は一緒に

アイドル研究部のドアをたたいた。



まぁ、まだその時は、ただ楽しければいいやって

気楽に思っていたのだけど…

あ、酉つけ忘れました。気をつけます。

>>3
すみません。私の能力では難しいです。

 
凛「たのも~」

クスクス

花陽「り、凛ちゃん!道場破りじゃないんだよ!」

凛「あ、そうだっけ?」ワハハ

花陽「それにしても、凄い人だねぇ。入部希望者がこんなに!」

凛「試験があるなんてね思わなかったにゃ。みんな自信があるんだにゃあ」

花陽「歌か、ダンス、または両方でアピールなんだね」

花陽「気おくれしちゃうね…や、やっぱり、やめようかな?」

凛「ダメだよ!そんなの!せっかく決めたんでしょ?」

凛「それに、かよちんには凛がついてるにゃ」

花陽「凛ちゃん、ありがとう…が、がんばるよ」


ガラッ  うわーん ダダダー

凛「うわ! い、今の子、泣いてたよ!」

花陽「どうしちゃったんだろう?」

花陽「この中で… 一体なにが起こっているというの?」

 
絵里「そのような事では通用しないわよ!」

希「えりち、それはいいすぎだよ…」

絵里「希!今や音ノ木坂はラブライブの常連。勝つ事だけを要求されているのよ!」

絵里「それを、あこがれだけで、簡単に考えられたら困るのよ!」

希「それはそうやけど…」

絵里「だから…申し訳ないけど帰って頂戴………って、いないわ」

希「さっきの子はもうおらんよ。泣いて帰ったよ…」

希「それに、私たちはアイドルなんよ。自分には厳しくてもいいけど、他人にはなるべく笑顔でな」

絵里「ええ、わかったわ…ごめん、希」

絵里「次は…西木野真姫さんね。どうぞ」

 
西木野真姫さん、同じクラスの子だ

いつも窓の外を見ているから、話したことはないし、

誰かと話しているところもみたことはない。

そんな子も、ここに入部したいんだなあ

案外ミーハーなのかな?



・・・って、思ったのは間違いだった!

 
真姫「あ~♪」

絵里「…」

ことり「…」



凛「か、かよちん、す、すごいね、あの子」

花陽「本当だね。いつまでも聞いていたくなるような歌声だね」


真姫「以上です」


絵里「ハラショー」パチパチ

ことり「よかったわ♪さすが西木野さんね」パチパチ

絵里「是非、アイドル研究部に入って頂戴。あなたの活躍を期待してるわ」

真姫「はい、ありがとうございます」

絵里「今までの中では、断トツね。すごい人っているのね」

ことり「今後、楽しみだね♪」

絵里「さて、次は…星空凛さんね。どうぞ」

 
ぎええ、次は、凛?

一体、なにをしたらいいか、考えてなかったにゃ



だからもう、やぶれかぶれで、部室中、バク転しまくったにゃ

だって、凛、ダンスなんてやったことないもん

 
絵里「はい、ありがとう。あなた、すごい運動神経ね」

凛「ハァハァ、ハァハァ、まぁこんなもんにゃ」

ことり「前にダンスとかは?」

凛「やったことないにゃ」

ことり「少しステップ、、、そうね。この線とこの線を、こう、こうという感じでやってみて」

凛「そんなの簡単にゃ」



絵里「…これは、拾いものね」

ことり「あの身体能力から、大いに期待できるね♪」

海未「…」


凛にしてみたら、こんなの朝飯前だから、時間があれば、一日中やってみせたにゃ

 
凛「かよちん!凛の番は終わったよ!次頑張るにゃ!」

花陽「う、うん…」

絵里「…どうぞ、次の方」

花陽「…」

凛「どうしたにゃ?かよちんが誘ったから、凛、頑張ったんだよ。だから、かよちんも頑張るにゃー!」

花陽「う、うん、そうだよ…ね…」トボトボ

 
絵里「小泉…花陽さんね。どんなパフォーマンスをしてくれるの?」

花陽「…」

絵里「どうしたの?」

花陽「…」

絵里「私達だって、そんなに、ヒマじゃないのよ」

絵里「はやく、はじめて」

凛(あんないい方ないにゃ!怒ったにゃ!)

凛(かよちんは自分をだすのに時間がかかるだけにゃ)

凛「かよちん!!!!頑張れ!!!!!」

花陽 ビクッ

花陽「り、凛ちゃん!」

絵里「静かにして!さぁ、はじめて!」

花陽(ありがとう、凛ちゃん、頑張るね)

 
花陽「あ~♪」


かよちんは唄を歌った。

声は小さかったけど、

かよちんの声はキレイだった。

透き通ったガラスのような。


さっきの西木野さんじゃないけど、

いつまでも聞いていたいくらい。


かよちんは、やっぱりいいな

 
花陽(はぁはぁはぁ)

絵里「ありがとう。ダンスは、もういいわ」

絵里「あと、最後に入部するにあたって、抱負とかある?」

海未「…」

花陽「わ、わたしは…」

絵里「うん?大きな声で!」

花陽「わ、わたしは…」

花陽「…」


花陽(凛「かよちん!!!!頑張れ!!!!!」)

花陽(…凛ちゃんありがとう…私、私、頑張るよ!)



花陽「声も背も小さいし、ダンスもうまくはありません」

花陽「でも…」

花陽「ア、アイドルへの情熱だけは誰にも負けません!」

花陽「精一杯頑張りますので、よろしくお願いします!」

海未「…」

  
絵里「う~ん、でも、ここは情熱だけでは、務まらないわよ」

絵里「それに、そんな動きで、私達の厳しい練習についてこれるのかしら?」

花陽「…」

絵里「普通なら、認められないわぁって言いたいとこだけど」

絵里「でも、あなた、かわいいから、サブのサブということで、とりあえず入部は許可するわね」

希(えりち!またそれ?悪いクセは治らんもんやね…)

絵里「海未、ことり、いいわね?」

ことり「絵里ちゃんがそれでいいなら、いいです」

花陽「…はい、ありがとうございます」ホッ

海未「…」

 
とりあえず、凛とかよちんは

音ノ木坂学院アイドル研究部に入部できた




けど、これが結構、練習がキツくて、キツくて…

特に朝の弱い凛には、早起きが大変だったにゃ。

 
花陽「凛ちゃん!見て!見て!穂乃果さんよ!」

花陽「あ~あ、すごいなぁ」

花陽「蝶のように舞い、それでいて、みんなに元気を与えるような力強さ」

花陽「今年のラブライブも、きっと優勝だね」

花陽「あ、タオル!穂乃果さ~ん、お疲れ様です!どうぞ!」

穂乃果「あ、どうも、ありがとう」ニコ

花陽「はあ~、穂乃果さ~ん、恰好いいなあ」キラキラ

 
かよちんも、凛と一緒に練習しながら、

すぐ目近でみれられる

スクールアイドルに興奮しっぱなしだったにゃ。

凛は、正直どうでもよかったけど、

一生懸命、汗かいて、

それに、大好きなかよちんと、

ひとつの事を2人で頑張れて、

毎日が楽しかったにゃ。


そんなある日。

次のライブのメンバーが発表されたんだにゃ

まぁ、凛達には全然関係ない話…と思ってた

 
絵里「全員!集まって!」

絵里「では、今回のライブに出場するメンバーを、のぞ…東條さんからメンバーを発表してもらいます」

ガヤガヤ



凛「ライブかぁ。まだまだ凛達には関係ない話だね」

花陽「そうだね。それに発表と言っても、このアイドル王国、音ノ木坂を代表するメンバーは、もう決まっているようなものらしいよ」

凛「そうなの?」

花陽「まずは、絢瀬生徒会長、東條副会長、矢澤さんの3年生」

花陽「南ことりさん、ヒデコさん、フミコさんの2年生」

花陽「あと、1年生は西木野さん!」

凛「凛たちと同じ1年生なのに?もう?」

花陽「同じ学年だけど、凛ちゃん、こないだの入部試験みたでしょ?」

凛「すごかったにゃ!」

花陽「西木野さんの加入によって、楽曲の面で、音ノ木坂は今まで以上に大きく飛躍が期待されるんだって」


 
花陽「そして私のあこがれ!不動のセンター2年生の高坂穂乃果さん!」

花陽「すごいなぁ。ステップも歌もダンスもさることながら」

花陽「あれだけ個性的なメンバー全員を、ひっぱっていくカリスマ性!」

花陽「そして、センターでの、あの輝き!あこがれるな~」

凛「ふーん。凛から見ると、ただのおっちょこちょいに見えるにゃ」

花陽「すごいんだよ。どんなときもずっと、みんなを元気にしてくれるの!」

花陽「そして最後に、あそこにいるのが、メンバー兼任コーチの園田海未さん」

花陽「最近コーチに昇格したらしいけど、すごく厳しいんだって」

凛「ええ?怖そう!」

花陽「でも、私達とは、いつも別メニューで場所も違うから、怒られる心配ないね」

 
希「では、発表します!」


ザワザワ



大方の予想どおり、絢瀬さん、矢澤さんの3年生。

不動のセンター?なのかよくわからないけど高坂さんと南さんの2年生

そして、予想はしていたけど、凛達と同じ1年生の西木野真姫さんの名前が呼ばれた


花陽「やっぱりかぁ…同じ1年生だし、応援したいね!凛ちゃん!」

凛「うん!」


 
希「次…星空凛さん」

花陽「!」


凛「~♪」

花陽「り、凛ちゃん?呼んでるよ?」

凛「え?凛?」キョロキョロ

凛「え?なに?どうしたの?」

花陽「り、凛ちゃんがメンバーに選ばれたよっ!」

凛「まさかぁ…」キョロキョロ

凛「…って、本当に?」

 
希「星空凛さん!いないのですか?」

凛「は、はーい」

希「いたんやね。頑張ってね」

凛「…」

凛「凛は、ぜんぜん女の子らしくないのに…なんで?」


絵里「それは、私が説明するわ」

凛「あ、生徒会長の…あ、あや、絢瀬絵里さん?」

絵里「あなたの、類い稀な身体能力を見込んでの抜擢よ」

絵里「今度のライブはある意味、重要なライブになるの」

絵里「だから今までにないインパクトのあるパフォーマンスをしたいの」

絵里「それにはあなたのような人が必要なのよ」

絵里「だから、頑張ってね。頼りにしてるわよ」

凛「は、はい!が、頑張るにゃ」

花陽「…」


 
ど、どうして凛ちゃんが…

西木野さんはともかく、凛ちゃんが、どうして?

アイドルに誘ったのは私なのに、どうして…



どうして、どうして…凛ちゃん。私を置いて先に行っちゃうの?

どうして、私じゃないの?

悔しい、悔しいよ…




うそ、、、私は、まだなにもできないもんね

まだ1年生で声も背も小さくて、ダンスも歌も全然…

そんな私がそんな事言える訳ないよね…

わかってた…わかってたのに…



 
キーキー(ブランコ)

花陽「はぁ~」

花陽(結局、凛ちゃんは居残りになって、一緒に帰れなかったなあ)

花陽(どうして素直に喜んであげなかったんだろう…)

花陽(凛ちゃんは凄いのにね)


< 「新メンバーは、星空凛さんです!」 >


花陽(うん、私なんかよりずっと…)

花陽(…)

花陽(でも…)

花陽(やっぱり…)

花陽(やっぱり悔しいよ!うらやましいよ!)

花陽(なんで凛ちゃんなのっ!なんで私じゃないのっ!)グシャグシャ

花陽「ううっ…」

 
(グゥ)


花陽「////」

花陽(こ、こんな時でもお腹は空くんだなあ///)


~~~~~~~モヤモヤ


白米(花陽!あなたにはわたくしがついている!)

白米(そんな事で、くよくよ悩んだって仕方ないんだ!)

白米(早く帰って、お母さんの作った暖かいご飯をいっぱい食べて)

白米(そして、いつものように、元気で笑顔の花陽に戻るんだ!)

花陽(は、はい!元気で笑顔の花陽になって、そして明日、凛ちゃんに「おめでとう!」って言います!)

白米(いいね。笑顔で元気があれば、なんでもできるよ)


~~~~~~~モヤモヤ


花陽「なーんてね…///」エヘヘ

花陽「…」

花陽「…なにやってんだろう…わたし///」

花陽「帰ろうっと」

テクテク

花陽「あ!」


 
絵里「まったく、あなたの身体能力には驚かされるわ」

凛「そ、そんなことないですよ」

絵里「今まであんな難しいステップは誰もできないと思ったから諦めてたけど、あなたがいれば次のライブはインパクトのあるものができそうだわ」

凛「そ、そんなことないです」

絵里「フフフ、さっきから同じ事ばっかり言ってるわ。とにかく頑張ってね」

凛「は、はい」

希「ところで、これからどうするん?」

絵里「そうね…明日からは朝早いけど、せっかくだし、ちょっとその辺でお茶でもしない?」

凛「え?で、でも…」

希「いいやん。ケーキくらいおごってあげるよ」

凛「やったー!ご、ごちそうになります!」

絵里「それじゃあ、希、あの店とかどう?」

凛(…)モジモジ

凛「あ!」

凛「かよちん!」

 
花陽「…」

凛「かよちん!どうしたの?こんなとこで?こんな時間まで?」

花陽「…」

凛「今日は先帰るって、言ってたのに…」

花陽「…」

絵里「誰?お友達?」

凛「はい!アイドル研究部で一緒の小泉花陽さんです」

絵里「あ、ごめんなさい。気が付かなくて」アセ

花陽「い、いいえ、部員はあんなに大勢いるので…」

絵里「そうだわ、これからお茶しに行くけど、あなたも一緒にどう?」

花陽「…す」

絵里「?」

絵里「ごめん…よく聞こえなかった。もう1回いいかな?」

花陽「い、いえ、け、結構です…」

花陽(…)グスッ

花陽「し、失礼します!」ダッ

凛「かよちん!いつまでも待ってるから!」

凛「凛はかよちんの歌う姿が大好きにゃ!絶対に一緒に歌うの!待ってるからねっ!」

花陽「ううっ…」タッタッタッタ

 
トボトボ

花陽(…)グスッ

花陽「待ってるって…」

花陽「待ちぼうけするだけなのに」

花陽「凛ちゃんは…」ハッ



わたし、わたし今凛ちゃんに嫉妬してるんだ…



選ばれた才能…

チャンスをモノにできる境遇…

優しい先輩に囲まれ楽しいアイドル部での活動…

そして、なによりアイドルとして、大きな舞台が約束されていることに!


どうしてそれが叶うのが「凛ちゃん」であって

「わたし」では、ないんだろう…って



嫌な奴!

いつからこんな私になっちゃったの?

こんな私にしたのは誰?凛ちゃん?

ううん、わたし、凛ちゃんのせいになんかしてないよ~

いや、してる…

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!

自分が嫌だ!

ダ、ダレカタスケテー!

 
その日。泣きながら帰った私のぐしゃぐしゃな顔を見たお母さんはとても心配そうな顔をしていました。

ごめんね…お母さん。

花陽はとっても、いやな子なの…

ごめんね…白米さん。元気な笑顔になれなかったよ…


その晩、凛ちゃんから心配のメールや着信があったけど、

なんて答えていいかわからなくて、結局返事はしなかった。

眼も真っ赤に腫らして次の日学校を休んだ。



それからしばらくは、凛ちゃんとは、部活だけでなく

授業でもすれ違う日々となった。

まさか、こんなことになるなんて、ほんのちょっと前まで

想像もしてなかったよ。

アイドル研究部に入らなきゃ、こんなことにならなかったのに…

 
花陽「はぁ~」

花陽(最近はずっと一人で登下校…)

花陽(今日は寄り道してみたけど、やっぱり一人はつまらないな)

花陽(前はいつも隣に凛ちゃんがいたのに…)

花陽(でも、仕方ないよね。私と違って凛ちゃんはアイドルだもの)

花陽(あれから、気まずくて会ってないけど、凛ちゃん元気かなぁ)

花陽(あ、今、何時かな?)

花陽(…この時間なら、まだ練習間に合うかな?)

花陽(こっそり見に行ってみようかな?)


 
花陽(あ、やってる、やってる)

花陽「!」

花陽「こ、これは、、、」


~~~~~~~

絵里「ほらっ!凛!少し早いわよっ!」

絵里「何度言ったらわかるの!」

絵里「もっと足を開けないの!」

絵里「できないのは、まだ基礎ができていない証拠よ!」

絵里「身体能力だけでやっちゃダメよっ!」

絵里「あなた、わかってるの?ダンスはリズムを体で表現する事だと何度言えばわかるの!」

凛「はいっ!」ゼイゼイ

~~~~~~~


花陽(うわぁ、見てるだけで、吐きそう…)

花陽(こんな厳しい練習なんだ)

花陽(…凛ちゃん、よくやってるなあ)

花陽(私には、絶対できないな…)

花陽(あ!)ハッ




花陽(これが…これが私が選ばれない理由…か…)ショボン

花陽(い、いこうっと)



 

トボトボ

花陽(凛ちゃん…やっぱり凄いな)

花陽(それに比べて…わたしは…)

花陽(…)

花陽(私はなぜあんなにアイドルが好きだったんだろう?)

花陽(小さい時は、歌ったり踊ったりするとみんなの喜んでくれるからだったな…)

花陽(あの頃は、なにかつまらない事があったときも)

花陽(歌を歌うと元気になったな)

花陽(今は…どうなんだろう?)

花陽(今は…大きな声を出すことさえできない…)

花陽(誰かに笑われそうでそれが怖い)

花陽(こんなんじゃ、アイドルなんて無理だよね…)

花陽(ねぇ?凛ちゃん)グス

 
< 凛「凛はかよちんの歌う姿が大好きにゃ!」 >

花陽「!」

花陽(そう、なにより凛ちゃんが喜んでくれた)

花陽(誰より凛ちゃんが喜んでくれるのが嬉しかった)

花陽(それが嬉しくて、嬉しくて…そして元気になったんだ)

花陽(私はなぜアイドルを目指したのか)

花陽(それは凛ちゃんに喜んでほしかったからなんだ)

花陽(…)


花陽(でも、もう遅いよね)

花陽(凛ちゃんは私よりずっと先へ行ってしまったのだから…私よりずっと)

花陽(スゥ)


花陽 -愛してるばんざーい~♪-グス

花陽 -負けない、勇気~♪-グスグス

 
花陽 -ゴールじゃない~♪-

花陽(…凛ちゃん)

花陽「うえ~ん、凛ちゃ~ん」グスグス




海未(パチパチパチ)

花陽「え?」

海未「やっぱり、いいですよね?この曲」

花陽「え?え?は、はい」

花陽(園田先輩だ)

花陽「あ、ご、ごめんなさい、いますぐここを出ます」

海未「いいえ…そのまま続けて下さい。小泉花陽さん」

花陽「え?なんで?私の名前を?」


スタスタスタ


花陽(な、なんで、この人、隣に来るの?)

海未(スゥ)

海未 -だって、可能性感じたんだ~♪-

花陽(ええ?)

海未「あなたもご一緒にいかがですか?」

花陽「え?え?え?は、はい」

結局、そのまま2人で2時間も歌ってしまった


なぜ、この人が一緒に歌ってくれるのかわからなかったけど

なんとなく心地よく、そして嫌な事が全部飛んでいく感じがした


時々、ダンスを教えてもらいながら、

歌ったり、踊ったり…


あぁ、楽しいな。やっぱり歌やダンスは楽しいな…

 
ことり「海未ちゃ~んっ。ここに居たの?そろそろ行くよ~♪」

海未「あ、では、私は行きますね」

花陽「は…はい…」

花陽(もう終わっちゃうんだ…とっても残念)ショボン

海未「あっ、いい忘れてました」

海未「…楽しかったですか?」

花陽「えっ?」

花陽「えっと、えっと…」

花陽「はいっ!とっても!」

海未「そうですか…私も楽しかったですよ」ニッコリ

海「では、また」クルリ



花陽「あのっ!」

海未「?」

花陽「あ、きょ、今日はありがとうございました!」オジギ

海未「こちらこそ」ニッコリ

 
クテク

< 海未「…楽しかったですか?」 >

花陽「楽しかったな…」

花陽「こんなに楽しかったのっていつ以来だろう?」


< 凛「待ってるからっ!」 >

花陽(凛ちゃん…)

花陽「こんな私を「待っててくれる」なんて…」

花陽「…」

花陽「そう、凛ちゃんは待っててくれるって言った」

花陽「今の私の状況を見てるのに、凛ちゃんは待っててくれるって言った」

花陽「これじゃ、いけないんだ」

花陽「先に行った凛ちゃんを妬んでるだけ、いじけてるだけじゃ、なにも変わらない」

花陽「凛ちゃんが先に行ってるのなら、私が追いついていけばいい」

花陽「凛ちゃんはうさぎ。私は亀。でももしかしたら追いつけるかもしれない。ダメで元々だもん!」

花陽「そうダメで元々」

花陽「こんな時は強くなれる気がする。初めからなにも失うものなんてないんだから」

花陽「とにかく今私にできる事を精一杯やってみよう。なんでもやってみよう」

花陽「だって私、歌って踊ってみんなを楽しませる事ができるアイドルが大好きなんだもん!」ニッコリ

 
そのあとは、自分なりに必死になって練習した。

凛ちゃん達とは別メニューだけど、私達の練習も今までよく考えてなかったけど、こんな意味があったんだと少しづつ理解できた。ちゃんと理論たてて考えられているのだと。

他には音ノ木坂の動画はもちろん他のスクールアイドルのダンスを見てマネてもみた。

前はただ見てわくわくするだけだったけど、こんなにも難しいことをやってたのかと驚いた

体力面が自分の一番の弱点だという事もわかった。笑顔を見せながらあのダンスをするのは今の自分には難しい。

それにはどうしたらよいか?

…わからないよ

素人の私が一人でやれる事は限られるのを思い知って、また落ち込んだ。


< 海未「…楽しかったですか?」 >


花陽(園田先輩、また教えてくれないかな…)

花陽「無理無理無理!」ブンブン

花陽「凛ちゃんに早く追いついて、また仲よくなりたいな…はぁ」



そんなある日…

 
絵里「海未、緊急な話ってどうしたの?」

海未「希、これお願い」

希「海未ちゃん…これ?本当に発表するん?」

絵里「?」

希「…小泉…………花陽さん」

花陽「は、はい!」

希「こちらへ」

花陽「?」

希「ええっと…」

海未「みなさん集まって聞いてください!」

海未「次のライブのメンバーを交代します」

海未「ヒデコに変わって小泉花陽をメンバーにします!」

ヒデコ「!」




ザワザワ


海未「では、次のライブに向けて、それぞれ頑張るように」

海未「以上」


ザワザワザワ

 
ヒデコ「くっ…なんであの子なの…」ギロッ

花陽(ひっ!凄い目で睨んでる!)ガクガク


ヒデコ「こ、こんな…ことって!」

ヒデコ「ううっ…」ダッ

フミコ「ヒデコっ!」

ミカ「…しかたないわ、あんなに頑張って大勢の中から、9人の中の1人になったんですもの」

ミカ「それが、ぽっと出の、しかも素人のような1年生に出し抜かれ、メンバーを外されるんだから、ショックは大きいよ」

フミコ「そうね…でも、私だって前回の発表の時そうだったのよ!」

ミカ「…」

フミコ「あ~あ、私は、やっぱ彼氏できて、練習サボりまくりなのが、やばかったのかな?」エヘ

ミカ「…あなたの場合とは、理由が全然違うわね」

 
凛「わーい!かよちん、やったね!やったね!」

凛「凛と一緒に歌えるんだよ!踊れるんだよ!アイドルだよ!」

花陽「…」

凛「…かよちん…どうしたの?」

花陽「突然のことでアタマが真っ白に…」

凛「そうだよね」ニコ

花陽「それより…」

花陽「ご、ごめんね、凛ちゃん」

凛「?」

花陽「わ、わたし…」

花陽「…」

凛「かよちん?」

 
絵里「待って!」

絵里 ツカツカ

絵里「海未!前に話した内容と違うじゃない!」

海未「基本的にコーチの私に全て任せると言ってたはずですが…?」

絵里「そ、それは、そうだけど…」

絵里「1年生を3人も!真姫と凛はともかく」

絵里「小泉花陽は、素人そのもの」

絵里「しかも急に決めるなんて、こんなの認められないわ」

海未「そうですか…気に入らなければ、私のコーチの任を解いてください」

絵里「そ、それは…」

海未「では、よろしいですね。私は練習があるので、これで」スタスタ

絵里「…」

希「えりち…海未ちゃんにもなにか考えがあるんよ。私達はそれを信じよう?ね?」

絵里「うん…希…そうね…今は海未を信じるしかないわね」

 
花陽「…」グス

凛「どうしたの?さっきから、黙ってばかりで」

花陽「ご、ごめんね、凛ちゃん」

花陽「わ、わたし…」

凛「本当にどうしたの?かよちん?」

凛「なにも凛に謝ることなんかないのに…」

凛「それにライブに出られるんだよ!まだ1か月も経っていない新入部員の私達が!」

凛「しかもかよちんも凛も2人一緒に出られるんだよ!」

凛「かよちんが一番喜ぶと、凛思ってたよ!」

凛「もっと…喜んでもいいんじゃない?」

花陽「凛ちゃん…」

 
花陽「あのね…凛ちゃん」

花陽「自分が選ばれたから言う訳ではないけど」

花陽「いや、そうかも?絶対そう!こんなの卑怯!」

凛「…いいから、言ってみるにゃ」

花陽「最初…凛ちゃんが選ばれた時ね」

凛「うん、うん」

花陽「わたし…」

花陽「わたし…」

凛「どうしたの?はっきり言いなよ!」

花陽「私、凛ちゃんのこと…」

花陽 スゥーハァ

花陽「妬んじゃったの」

凛「?」

花陽「私はもちろん最初から選ばれるなんて思ってなかったから」

花陽「凛ちゃんが選ばれて、喜ばなきゃいけないのに」

花陽「思わず悔しいって思っちゃったの」

花陽「びっくりしたけど、そんな風に思ってしまった自分も許せなくて…」

花陽「そして、その矛先を向けてしまった凛ちゃんに本当に申し訳なくて…」グスグス

花陽「そして…」グス

凛「かよちん!ありがとう!」

花陽「え?」グス

 
凛「凛はね…そんな風に思う、かよちんでいてくれて嬉しいの!」

花陽「凛ちゃん…」

凛「一緒に頑張ろうよ!ライブで!」

花陽「ありがとう…凛ちゃん。いいの?許してくれるの?」グス

凛「当たり前だよ!なにも謝ることはないんだよ」

凛「泣き止んだ?かよちんは本当に泣き虫だね!」

凛「だったら、今日は帰りにかよちんのおごりで、大盛りラーメン食べに行っくにゃ~!」

花陽「うん!」グス

凛「行こう!練習!」

花陽「うん!」


そして練習のあとクタクタになったかよちんと凛の2人は、ラーメンを食べに行った。

でも、大盛りは無理だった。

本当なら隠しておきたい自分の恥ずかしい部分を勇気を出して凛に見せてくれた

そんなかよちんの事を思うと胸がいっぱいで食べれなかったよ。

 
それからの練習はキツかった

前にもキツいって言ったけど、

そんなもんでなかった。

まるでシゴキ。


今の時代、こんなの流行らないのに…

でも、凛はまだマシなほう。

かよちんが、、、ひどかった。

 
花陽「ぁ~♪」

海未「もっと、大きな声で!」

花陽(ビクッ)

花陽「は、はい!」

花陽「ぁ~♪」

海未「まだ、まだっ!」

花陽「はい!」

海未「次は抑揚をつけてっ!」

花陽「はい!」

花陽「あ~ぁ~あ~♪」

 
海未「次は、ステップです。ここから、ここへ繰り返して」

花陽「はい!」

海未「もう1回っ!すぐにっ!」

花陽「はい!」


海未「小泉さん。いや、花陽っ!」

花陽「は、はい!」

海未「まず、足っ!腰っ!それと柔軟性っ!」

海未「全く基礎がなっていませんっ!」

海未「全然っダメですね、今は全く」

花陽「園田先輩…」ハァハァ

海未「園田先輩?もうあなたとは先輩も後輩もありませんっ!」

海未「私はあなたのコーチなのですっ!」

海未「わかりましたか?さあ続けて!」

 
それから、3時間…ひたすらコーチのいう事に従った

なぜ、そうしたのかはわからない

歌う!踊る!飛ぶ!跳ねる!その連続

あまりの激しさに頭の中は真っ白に

なにも考えてないはずなのに


なぜか、楽しい!


しかし、どうやっても体がついていかない…

 
海未「どうしたのです!花陽!」

花陽「は、はいっ!」

海未「そのステップはなんですか!」

海未「もっと、ほらっ!ワンッ!ツーッ!」

花陽「は、はいっ!」

花陽「あっ!」

バタン



凛「かよちん!」

海未「足がもつれるなんて基礎ができていない証拠ですよ!」

凛「かよちん、大丈夫?」

海未「…花陽、もういいですよ。あがりなさい」

花陽「は、はい…」


フミコ「…」

フミコ「随分、熱心に指導するのね」

ヒデコ「それにしても、あんなのでメンバーなんて、おかしな話よね」

 
にこ「ふーん。あの子がメンバーに抜擢された小泉花陽ね」

にこ「一見、なんの変哲もない、普通の子に見えるけど」

にこ「どこがすごいの?」

希「えりちとも話してたんよ。あの子がどうして選ばれたのかって」

希「あの海未ちゃんのレッスンには全然ついていけてないようやし」

にこ「海未は、あの子のどこに、その輝きをみつけたのかしらね…」


 
凛「かよちん、大丈夫?」

花陽「はぁぁ、疲れた。昨日も帰ったらお風呂も入らず寝ちゃったの」

花陽「よく考えれば私がメンバーに選ばれたのも不思議だし」

花陽「まだ1年生だよ!私」

花陽「西木野さんはともかく、素人の私がいきなりはキツいよ」

花陽「園田先輩…コーチはなんでこんなに私をいじめるのかな?」

花陽「優しい先輩だと思ってたのに、全然嘘」

花陽「あ、愚痴っちゃった」エヘヘ

凛「うん、わかるよ。怒られてばかりいたら、萎縮しちゃうよね?」

花陽「たしかに私の実力はこんなんだから仕方ないんだけどね」

凛「凛は、褒められて伸びるタイプだから、あんな指導されたら、すぐやめてしまうにゃ。」

凛「でもね、そんな、かよちんの頑張り見て、凛も頑張ろうって思う!」

凛「それに、きっと、あんなにムキになって指導するとこみると、園田先輩は、かよちんになにか光るものを見つけてるのかもしれないにゃ」

花陽「え?凛ちゃんに、そう言われると、うれしいな」

花陽「でも、そんなものないよ…平凡な私には」

凛「かよちん…」

花陽「でもね、私は今を頑張る。だって楽しいもん!」

花陽「それに凛ちゃんがいつも一緒にいてくれるんだもん!」

凛「かよちん…」パァァ

 
花陽「セ、センター?」

海未「そうです」

海未「厳密にはセンターは穂乃果ですが」

海未「向かって右側を絵里」

海未「そして、真姫か花陽のどちらかが左側に」

海未「今度のライブはその3人を中心にして行います」

海未「その左側はどちらになるかまだ決まっていないのだけれど、覚悟はしておいて下さい」

花陽「どうして私なんですか!私なんて…」

海未「これはみんなで決めたこと…」

海未「やりますか?やるのですか?」

花陽「…」

海未「まぁいいです。どちらにしても今日もあなただけ残って練習です。いいですね」

花陽「は、はい…」

 
フミコ「今日も居残りで練習みたいね」

ヒデコ「なんで園田さんは、あんなにあの子に…」

フミコ「ごひいきなんでしょ?ほら、あの子、可愛いじゃない」

ミカ「え?えっと…それって…」

ヒデコ「…」

フミコ「いきましょ。ほら、もうへばってるじゃない。本当不思議ね」

 
~♪


あ、ステップ間違えた!

あ、ここのタイミングも!

あ~もう声がでない…

どうしよう…どうしよう…


うっ!

見てる!みんなが見てる!


コラ!

コラッ!コイズミ!


見てる!みんなが見てる!

怖い!こわいよ~

ダレカタスケテー

 
先生「小泉!!!!」

花陽「ぴぃぁぁ!」

先生「どうした?小泉?」

先生「授業中ずっと寝ていてそれか?先生の話し聞こえていたか?」

クラス(クスクス)

花陽「す、すみません…」

凛「…」

花陽「…」

凛「かよちん、大丈夫?」

凛「授業中なのに、うなされてたよ、大丈夫?」

花陽「う、うん…」

凛「きっと、疲れているんだよ。今日は帰りにどこか美味しいものでも食べに行くにゃ」
花陽「ありがとう…凛ちゃん」

花陽「でも、今日もきっと居残りで練習だと思うから無理だね。きっと」

凛「かよちん…」

 
花陽「はぁぁ、今日も終わった…もう、へとへと~」

凛「かよちん、大丈夫?」

花陽「自分の体が鉛でできているみたい。無事に家に帰れるかな…」

花陽「そして今日こそお風呂入ってから寝なきゃ」

凛「そうだね。朝のシャワーだけだと、夜寝てても気持ち悪いしね」

凛「あ、コンビニ!飲み物買ってくるから、ちょっと待ってて」

花陽「うん。外で待ってるよ」

花陽「ふわぁぁ、眠い」グラッ

ドンッ

花陽「きゃっ!」

花陽「あ、ごめんなさい!大丈夫ですか?」

真姫「ちょっと、気をつけてよ!」

花陽「あっ!」

真姫「あっ!」

そこにいたのは、あの西木野さんだった…

 
真姫「あ…その…気をつけて。それじゃ…」

真姫 スタッスタッスタ

花陽「あ、あの…」

花陽「西木野…真姫さんですよね?」

真姫「…?」

花陽(やっぱり、誰かわからないよね)

花陽(そりゃ、そうだよね…)


 
真姫「あなた…小泉…花陽さん…よね?」

花陽「え?」

花陽「な、名前…知っててくれたんだ!」

真姫「そ、そりゃあ、同じクラスですもの。名前くらいは」

花陽「う、うれしいな…」

真姫「それに同じ部活でしょ?しかも…」

真姫「センターを争うライバルですもの」

花陽「え?」

花陽「ラ、ライバル?」

真姫「そうよ、センターが…厳密にはセンターではないけれど…どちらになるか…でしょ?知らないわけないじゃない」

真姫「でも、あなたには…」

真姫「あなたには絶対!負けないわ!」

真姫「それじゃ…さようならっ!」クルッ

スタスタスタ…

花陽「…」

 
花陽「…」

凛「かよち~ん、ジュース買ってきたよ」

凛「あれっ?かよちん!あの子、もしかして?」

花陽「…そう」

花陽「そのもしかしての西木野さん…」

凛「こんな遅くに帰るんだね。なにしてたんだろう?」

花陽「そ、そうだね…」

凛「なにか話したの?」

花陽「い、いや、なにも…」

凛「…」

 
花陽「はぁぁ~、やっぱりお風呂はいいなぁ」

花陽「疲れがぶっとぶな~」チャポン

花陽「…」


< 真姫「あなたには絶対!負けないわよ!」>


花陽(どうして、こんな私にあそこまで言うのかな…)

花陽(そんな力が、私にあるはずないのに…)

 
海未「声が小さい!」

花陽「ぁ~♪」

海未「もっとお腹から出す!」

花陽「ぁ~♪」

海未「違う!ここから出す!」ドスッ

凛「かよちん!」

花陽「くっ…」

海未「そうです!お腹のこの拳を、跳ね返すのです!さぁ」

花陽「くっ…くっ」

海未「ほら!このままでは、拳が食い込み続けますよ!」

花陽「ぁ…」

海未「跳ね返しなさい!」

花陽「あ」

花陽「あ~♪」

海未「ほら!今の感じを忘れないで下さい」

花陽(げほっげほっ)「あ、ありがとうございます!」


 
凛「かよちん!大丈夫!ひどいよ!」

凛「凛、抗議してくる!待ってて、かよちん!」

花陽「あ、大丈夫、大丈夫、凛ちゃん大丈夫」

花陽「こ、こんなことで負けてられないもんね」テヘ

凛「かよちん、強くなったねぇ」



にこ「…さすがに、あれはやりすぎね」

絵里「本当にそうね。ちょっと可哀想になってくるわ」

希「…でも、確実に力をつけてきているやん」

希「真姫ちゃんと花陽ちゃん…これはわからなくなってきたよ」

 
穂乃果「海~未ちゃん♪」

海未「ほ、穂乃果…」

穂乃果「なんか、楽しそうだね♪」ニコ

海未「…べ、別に楽しくてやっている訳ではありません」

穂乃果「ふ~ん」

海未「…」

穂乃果「あの子、小泉…花陽ちゃんだっけ?どう?やっていけそう?」

海未「そ、そうですね。基礎体力もつき、私の指示にもなんとかついてこれるようはなってきています。まだまだですが…」

穂乃果「ふ~ん、そうかあ」

海未「…」モジモジ

穂乃果「海未ちゃん?」

海未「は、はい」

穂乃果「わかってるよね?」

海未「ほ、穂乃果…」



- 夜 -

ハァハァ

花陽「ふぅ、なんとかこの階段を休まず一気に登るくらいはできるようにはなったなぁ」
花陽「あとはリズム感…」

花陽「アタマと体が一致しない。どうすればいいのかなぁ」

花陽「あ~、どうしたらいいんだろう」

花陽「…」

花陽「でも、とにかくやるしかない」

花陽「10回やってダメなら20回、20回やってダメなら50回」

花陽「それでダメならうまくいくまで、とにかく頑張らなきゃ」

花陽「どこかの人が言っていたように、練習は裏切らない!って言葉もあるし」

凛「か~よちん!」

花陽「り、凛ちゃん?」

 
凛「かよちん!こんな時間までなにしてるの?」

花陽「い、いや別に…さ、散歩だよ…」

凛「こんな時間に、階段で散歩?」ジー

花陽「…」モジモジ

凛「…そっかあ、よし、じゃあ凛もかよちんと一緒に散歩しようかな?」

花陽「え?でも…」

凛「いいじゃん!凛もちょっと体動かしたかったんだ」

花陽「凛ちゃん…」

凛「えへへ」

花陽「ありがとう…」

 
凛「ふぅ、家でお風呂入ってきたのに、また汗かいちゃった」

花陽「凛ちゃんごめんね、練習に付き合わせてしまって」

凛「あ~また謝ってる、もう、かよちん!凛には遠慮なしだよ」

凛「それに凛は、ただお散歩をしただけにゃ」

花陽「…う、うん、ありがとう凛ちゃん」

凛「で?どんな感じなの?」

花陽「一番不安だった体力面はなんとか最近はもつようになってきたんだけど」

花陽「リズム感がね」

花陽「具体的にどこがよくないかがわからないんだ…」

凛「うーん、凛もどこがってのはわからないな」

凛「なにか違うってのはわかるんだけどね」

花陽「困ったなぁ。これじゃとてもじゃないけど、センターなんか無理だね」グス

凛「うーん」

花陽「とにかくあの特訓をこなして頑張るしかないか…」


 
凛「でもね、あの特訓だといつか体壊すよ。海未先輩に凛が言ってあげようか?」

花陽「わたし特訓は別にいいの。それだけの実力が身についていないのだから」

花陽「ただ…それもあるけど、もうひとつ心配してることがあるの…」

凛「?」

花陽「いきなりの抜擢で、まだ私はみんなの輪の中に入れない」

花陽「みんなでやってる”なわとび”に怖くて躊躇している小さな子供のよう」

花陽「勇気をだして入ればいいのだけど、ひっかかったらどうしよう?」

花陽「息をあわせられなかったどうしよう?と思うと飛び込んでいくのが怖いの」

凛「でも、だからって…」

花陽「だから今は、せめてみんなと息を合わせられるようになりたい」

花陽「とにかく、みんなの邪魔にだけはなりたくないの私」

凛「かよちん…うん、そこまで考えてるのなら凛は何も言わないよ」

花陽「ありがとう、凛ちゃん」

花陽「さ、そうそろ、散歩から帰ろうか」

凛「うん、そうだね、長い散歩だったね」エヘヘ

花陽「じゃ、今、片付けるから、公園の入り口で待ってて」

凛「はーい」


真姫(ブツブツ)

真姫(ふぅ)

真姫(いきなり一年生の私に作曲させるなんて、人使い荒い部活よね)

真姫(しかし「できないんだぁ」なんて言われて)

真姫(そんなの、私にかかれば、あっという間よ!)

真姫(なんて、啖呵きってしまう私も私よね…)

真姫(どうしよう…)

真姫(はぁー)

ドン

真姫「痛ったぁ…」

真姫「ちょっと、気をつけてよ!」


花陽「ご、ごめんなさい…って、西木野さん?」

真姫「あ!また、あなた?」

花陽「ごめんなさい。大丈夫?」

真姫「い、いや別に…こっちも考え事して歩いてたから…」

凛「西木野さんは、こんな遅くにどうしたの?」

凛「この前も遅くにここ歩いていたよね?塾の帰り?」

真姫「い、いえ…」

凛「あ、言いたくないならいいんだけど…」

真姫「そ、そういう訳ではないけれど…」

真姫「あなたたちこそ、こんな時間にどうしたの?」

凛「えっと、練… 花陽「さ、散歩だよ!」

真姫「散歩?」

凛「そう!散歩!」

真姫「こんな時間に?」ジー


 
真姫「不思議な散歩ね。汗ぐっしょりなんて」

凛「えっと…」アセアセ

花陽「えっと、えっと…」アセアセ

真姫「練習…してたのね?」

凛「…」

花陽「…」

真姫「見ればわかるわ」

凛「ありがとう、あなたはエスパーかもしれない」

真姫「そ、そんな」

凛「頑張って」

真姫(なにを言ってるのかしら…)

花陽「・・・」

 
凛「西木野さんこそ、こんな遅くまでどうしたの?散歩?」

真姫「い、いや…・残って…」

凛「え?」

真姫「放課後残って…作曲してたの」

真姫「次のライブは私の曲を使うことになってるから」

凛「そ、そうだったんだ!それで遅くまで…」

真姫「…」シュン

凛「?」

凛「どうしたの?」

真姫「べ、べつになにも…」


凛「…」ジー

花陽(もしかして曲ができなくて苦しいのかな…)

凛「もしかして曲が思いつかないとか?」

真姫「!」

花陽(凛ちゃん!ストレートすぎるよ!)

真姫「…」シュン

凛「見ればわかるよ」

真姫「ありがとう、あなたはエスパーかもしれない」

凛「人間がそんな便利に変わる訳ないよ」

真姫「そりゃそうよ」

花陽(なにこれ?)

 
花陽「西木野さん…よ、よかったら」

真姫「?」

花陽「よ、よかったら、私たちに話してみない?」

真姫「え?」

凛「…」

真姫「あなたたちには関係ないわっ」

凛「話してみよ」

真姫「…」モジモジ

花陽(誰のマネなの?)

 
凛「もし悩んでるなら、誰でもいいから話してみるといいと思うんだ」

花陽「そ、そうだね」

凛「誰かに相談した?」

花陽(凛ちゃん、グイグイいくなあ)

花陽(私なんかじゃ、とても聞けない…けど…)

花陽(でも…)

花陽「凛ちゃんの言うように、一人で悩まずに誰かに聞いてもらうだけでも気が楽になるということもあるし」

真姫「でも、あなたとは、ライバルだし…」

花陽「そ、そうだね…でも…」

花陽「わたしたち仲間じゃない?」

真姫「!」

 
真姫「で、でも仲間なんて…」プイ

花陽「い、いや、まだ仲間じゃないかもしれないね」

花陽「西木野さんの言うとおり、私たちには関係ないのかも」

花陽「でも、もしアイドルのことなのだとしたら…」

花陽「私たちにも関係あるよ」

真姫「…」

花陽「もちろん、作曲のことなんて私たちにはわからないけど…」

真姫「そう、そうね」

真姫「あなたの言うとおり、今すごく悩んでる」

真姫「今まで作曲したことはあっても、アイドルの曲なんて初めてだから…」

凛「あんなにいいセンスしてるんだもん!大丈夫だよ!きっとできるよ!」

 
真姫「ほ、星空さん?」

凛「凛でいいよ、同い年じゃない」

真姫「…」

真姫「リン…///」ボソ

凛「え?聞こえないな~」

真姫「べ、べつにいいじゃない!名前なんてっ!」

花陽(なぜデレるの?)

真姫「とにかく!」

凛「…」

真姫「あ、ありがとう…」ボソ

凛「えへへ」ニマー

 
西木野…いや、真姫ちゃんは、曲作りの悩みを聞かせてくれた。

今、流行りのJ-POP、もちろん芸能人のアイドルの曲調、

はては、ロックや、ジャズ。クラシックをベースまで

範囲を広げて考えてみたけど、なんかしっくりこないのだそうだ



もちろん凛もかよちんもアドバイスなんてできない



わかるのは・・・

ひとつの曲、ひとつの作品を生み出すのがどんなに大変か、

どんなに苦しいかが真姫ちゃんの表情、言葉から伝わって

くるのだけはわかった


誰も見向きもされないけど、とりあえず保守

再開は?

>>105
エタってますが、書く意思だけはあります。
再開したいといつも思ってるんですが、、、

 
結局、その日は日付が変わるまで3人で話しこんでしまった

あの寡黙な西木野さんが?ってビックリするくらい。


そんな夜を過ごしてから西木野さんとの距離がぐっと近くなったような気がした

もちろん技術的なことで手伝えることはなにもないけれど、話を聞くだけでも力になれるんだということだけはわかった


わかる女 「凛」 って感じ?


真姫「イミワカンナイ」

 
凛「真姫ちゃん!おはよう!」バン

真姫「ヴェェェッ」

真姫「な、名前で呼ばないでって言ったでしょ?」

凛「え?どうして?いいじゃん」

真姫「恥ずかしいからよ!」

凛「え~?」

真姫「…」カァァ

凛 ニヤニヤ

凛「あ、かよち~ん!おはよう!遅いよ」

 
花陽「おはよう!凛ちゃん、ゴメンね」

花陽「あ、おはよう、ま…西木野さん」モジモジ

真姫「お、おはよう…」モジモジ

凛「なんか2人ともかしこまってるにゃ」

花陽「だって…」

真姫「そ、そんなことより、練習よ。さあ行きましょう」

凛「は~い」

花陽「…」

 
真姫「ふぁ~」

凛「眠いの?」

真姫「うん、ちょっとね」

凛「ところで、真姫ちゃん、曲作りは順調?」

真姫「うん、まぁ…」

真姫「昨日の今日だから、まだだけど」

真姫「昨日よりはずっとイメージは湧いてきてるわ」

真姫「ただ、問題は時間ね」

 
真姫「次のステージまであと1カ月半。もちろんメンバーの練習があるのだから少なくともあと10日以内に詳細なメロディーを完成させたあと、海未の作った歌詞に合わせる作業があるの」

花陽「そんなに…」

真姫「おかげで寝不足よ」グッタリ

真姫「でも、なにかつかめたような気がするわ」

凛「そうかぁ、まあ、頑張ってくれたまへ」

真姫「なぜ、上から目線なのよ!」バシ

凛「真姫ちゃん、痛いにゃ~」

真姫「でも、これは、、、あ、あなたたちのおか…」

凛「うん?」

真姫「い、いえ、なんでもないわ」アセアセ

真姫(…)

真姫(それに、あと、もう一つ問題が残ってるわね)フゥ

 
-放課後-

海未「ワン、ツー、ワン、ツー」

海未「花陽!そのステップ間違ってます!」

花陽「は、はい!」

海未「真姫!そこ!遅れてますよ」

真姫「…」

海未 パンパン

海未「ストップ!」

海未「これでは、練習になりません」

海未「どうしたのですか?真姫?」

真姫「…」

海未「真姫?」

 
真姫「な、なんでもないです。大丈夫です」

海未「いいえ、真姫…今日はもうあがりなさい」

海未「さぁ、みんな、続けますよ」パンパン

花陽「…」

真姫「待ってください!」

真姫「海未先輩、お願いがあります!」

真姫「今、ここで…決めてください」

海未「?」

真姫「どっちがセンターなのかを」

花陽「!」

海未「どうして急にそんな…」

真姫 キッ

海未「…」

 
海未「そうですか…わかりました」

海未「真姫、あなたの希望通り、今ここで決めましょう」

花陽(え?)

絵里「ちょっと!海未!」

絵里「そんな大事な事を勝手に!」

海未「絵里…これは遅かれ早かれいずれ決めなくてはいけない事なのです」

海未「わかってください」

絵里「…」

絵里「わかったわ」

絵里「でも、もう、あとでどうなっても知らないわよ」

海未「絵里、ありがとうございます」

 
海未「では、はじめます」

海未「花陽!準備はいいですね?」

花陽「い、いきなりなんて、無理です!」


モブ1,2,3(くすくす)

モブ1(99%無理よ、あの娘じゃ)

モブ2(ホント、ホント)

モブ3(これは見ものね)



花陽「ぐ、、、、」ジワァ

 
スタスタ

グイッ

真姫「さぁ、決めましょう!センターを」

花陽「そ、そんな…」グスグス

真姫「また泣く…そんな泣き虫で今までよくやってこられたわね!」

真姫「歌で、ダンスで人を魅了したいのではなかったの?」

花陽「…」グス

真姫「嫌なら、辞退しなさいよ!」

花陽「…」グスグス

 
花陽「…ぃゃ」グス

真姫「…」

花陽「嫌です!絶対辞退なんてしません!」

花陽「みんなが言うように、99%無理かもしれないです」

花陽「正直言うと、私が一番そう思ってます」

花陽「でも!」

花陽「だからと言って、あきらめたくありません!」

花陽「可能性が1%でもあるのなら…」

花陽「最後の最後まであきらめません!」

花陽「この勝負!うけます!」

真姫 フフフ

 
海未「では、始めます。まず最初はこの曲で1番のサビの終わりまでを行います」

にこ(ん?この曲は…)

ことり「本当にこの曲でやるの?海未ちゃん」

海未「当たり前です。基本的な動きを多く取り入れた、いわばμ'sのダンスのスタンダードと言ってもいい曲なんですから」

海未「へん…ですか?」

ことり「ううん、私もいい選曲だと思うよ♪さすが海未ちゃんだなって♪」

海未「ことりにそう言ってもらうと自信がつきます。ありがとうございます」

ことり「えへへ」

 
花陽(この曲って海未先輩に、いつも怒られる曲だ…)

凛「かよちん、頑張って!」

花陽「………………」ダラダラ

凛(ジー)

花陽「え、え?凛ちゃん?なに?顔近いよ~」

凛「かよちん…」

花陽「り、凛ちゃん?」

凛「みんながどう言おうと、凛は、信じてるよ」

花陽「凛…ちゃん…」

凛「かよちんの、最後の最後まであきらめません!っていう言葉をね!」

 
凛「凛は見てるからね!だから笑顔全開でね!」

花陽「うん。凛ちゃん、わかった」

花陽「私、今できること全てを出してみる!」

凛「うん!それでこそ、かよちんにゃ!」


海未「では、いいですね」

海未「あ、絵里!いいですか?よ~くそこで見ててください」

絵里「え、ええ…」

海未「では、ミュージックスタートです!」

こうして、かよちんと、真姫ちゃんのセンターを賭けての勝負が始まったのにゃ…

 
希「えりち」

絵里「の、希…」

希「なにかわかった?」

絵里「ううん…海未の意図が全然わからないわ」

希「実はウチもわからんのよ」

希「でもね、えりち」

絵里「?」

希「海未ちゃん、さっき言ってたやん」

絵里「?」

希「「よ~くそこで見ててください」って」

希「ウチ、その意味を考えながら目をしっかり開けてみるつもりや」

希「海未ちゃんを信頼しよう、ね?」

絵里「う、うん…」

 
真姫(~♪)


フミコ「どう?ヒデコ?」

ヒデコ「やっぱりあの西木野さんのほうが上手いわね」

ミカ「やっぱりか…」

ヒデコ「で、でも…」

フミコ「?」

ヒデコ「い、いや、なんでもないわ」


真姫(~♪)


ヒデコ(技術的に言ったら、断然、西木野さんよ…でも…)

ヒデコ(…)

ヒデコ(私のメンバーの地位を奪った、あの娘)

ヒデコ(なぜ、あの娘なの…?といつも思っていた)

ヒデコ(でも…今はなぜだか、目であの娘を追ってしまう)



花陽(~♪)


ヒデコ「!」


ザワザワ


フミコ「…ね、ねぇ」

ミカ「う、うん、、これって…」

ヒデコ「…」



海未「はい!そこまでっ!」

 
真姫 ハァハァ

花陽 ハァハァ

海未「10分休憩後、次の曲にいきます」

凛「かよちん!お疲れ様!」

花陽「あ、ありがとう!」

凛「真姫ちゃんも!お疲れ様!」

真姫「え?」

真姫「あなたはあの娘の味方でなかったの?」

真姫「私はどちらかというと敵なのよ」

凛「え~?だって頑張ったのは真姫ちゃんもだもん」

凛「頑張った人に「お疲れ様!」って言うのって変かな…?」

真姫「…」

 
ヒデコ「園田さん」

海未「はい?」

ヒデコ「次は仮ステージを使うんですよね」

海未「そうですが…?」

ヒデコ「この勝負、本番を意識しているならピンスポットを含む照明も必要ですよね?」
海未「そこまでは考えていませんでしたが、たしかに本番に近い形になりますね」

ヒデコ「問題なければ私が手伝いますよ、せっかくの勝負ですからね」

海未「そうですか、助かります」

海未「では照明の操作をお願いいたします」

ヒデコ「はい」

海未「では、次の曲です!」

凛「かよちん、頑張って!」

花陽「うん!」

海未「では、始めます!」


カシャッ

 
ヒデコ(興味深々のギャラリーが多くて…いや、違うわね、野次馬ね。あの中からはよく見えなかったけど)

ヒデコ(照明係とは、私もよく考えたわね)

ヒデコ(正面のこの位置からなら、あの2人がよく見える)

ヒデコ(…)

ヒデコ(厳しい勝負ね…)

ヒデコ(2人とも、きっと苦しいはずなのに)

ヒデコ(でも、あの娘、めっちゃ、笑顔でいる…)

ヒデコ(あの娘…)

ヒデコ(どうして?そこにいるのはあなたなのよ?、本当なら私だったはずなのに!)

ヒデコ(うううっ…)


ガクッ


ヒデコ「あっ!」

 
花陽(次は、海未先輩に何度も注意される厳しいステップ)

花陽(チラ)

花陽(!)

花陽(西木野さん…)

花陽(なんで、あんなに音楽と調和した動きをとれるんだろう?)

花陽(でも、センターを競う、このチャンスを絶対に逃したくない)

花陽(西木野さんの足元にはたとえ及ばなくたって、今、西木野さんの隣にいるのは、わたしだけなのだから)

花陽(とにかく!自分にできることを全力でやろう!)

花陽(だって、凛ちゃんと約束したんだもん!)

花陽(そして、あの舞台の下にいる凛ちゃんだけでも、笑顔にしたい!笑顔にさせたいよ!)

 
真姫「くっ…」

真姫 チラ

真姫(圧倒的な力の差を見せつけてあげようと思ったのに…)

真姫(前から気づいていたけれど、あの武器は強力だわ)

真姫(あの娘を侮っていたかもね…)

真姫(それより、あの笑顔はなに?)

真姫(私でさえ、苦しいのに)

真姫(でも、負けないわ)

真姫(この勝負に勝って、、、、、)

真姫「!」


ピカッ☆


花陽(うっ!)

花陽(ま、まぶしい…)

花陽 グラ


海未「!」

真姫「あっ!あぶない!」

ガシャーン

 
花陽「う~ん」

花陽 ハッ

花陽「に、西木野さん?」

真姫「…」

花陽「西木野さん!西木野さん!西木野さん!」

真姫「う、う…ん」


ダダッ

海未「真姫!花陽!大丈夫ですか!」

凛「かよちん!」

花陽「西木野さんが!西木野さんが!」オロオロ

真姫「う、う…ん」

凛「真姫ちゃん!真姫ちゃん!」

 
真姫「いたたた」

海未「真姫!しっかりしなさい!」

海未「ことり!すぐタクシーを呼んで!」

ことり「うん、わかった」

海未「あ、あなたも、そんなとこで茫然と立っていないで手伝って!」

ヒデコ「は、はい!」


真姫「痛ー」

花陽「真、、、西木野さん、痛い?大丈夫?痛い?」

真姫「痛い!痛くてなにも考えられないわ(涙)」



絵里「どうしたっていうの!海未」

絵里「やはり…無理してでも止めるべきだったわ」

絵里「あ、小泉さん!私が代わるわ!真姫をこっちに渡して」

絵里「…って、あなたも血がでてるじゃない!」

花陽「私は、だ、、、大丈夫で、、、す」

 
タクシーは5分もしないうちに来た

絵里「そーっとよ、そーっと」

海未「付き添いは、わたしと絵里でいきます」

希「あ、海未ちゃん、ウチとえりち、にこっちの3人で行くから大丈夫よ」

にこ「なんであたしもなのよ!」

希「いいから、いいから」

海未「でも…」

希「学校へこうなった事情も説明もしないといけないし、他にも部員がいるからね」

希「だから、申し訳ないけど、あとの事一切頼むね」

海未「わ、わかりました…よろしく…お願いいたします」

希「あと、花陽ちゃんも怪我してるから早く手当お願いね」

海未「は、はい」

絵里「運転手さん!西木野総合病院までお願いします」

バタン

ブロロロー


 
海未「花陽」

花陽「は、はい」

海未「あなた、歩けますか?」

花陽「はい、なんとか、くっ…」

花陽「西木野さんは???」

海未「これから病院に行ってお医者様に見てもらうから大丈夫ですよ」

花陽「こんな事になってすみません…」

海未「すべての責任は私にありますから心配いりません」

海未「あなたのせいでは、ありませんよ」

花陽「…」グス

海未「さぁ、背中に乗って下さい」

花陽「…え?」


そう言って、海未先輩は腰を下ろして私に背を向けた

 
海未「無理は禁物。それに遠慮はいりませんよ」

凛「かよちん、遠慮しないでおぶってもらいなよ。足痛いでしょ?」

花陽「え?でも…私、重いし…」

海未「大丈夫ですよ、私は鍛えてますから」

凛「海未先輩、それ、かよちんが重いって言ってるのと同じ意味ですよ」

海未「え…あ…大変失礼しました」ペコリ

花陽「///」

海未「さぁ、遠慮なく」

花陽「す、すみません…では遠慮なく」

海未 ヨッコイショ

海未「しっかり捕まってくださいね」

花陽「は、はい」

 
凛「あ、凛、先に保健室に行くよ。保健の先生に早く言ったほうがいいしね」

タタター


海未「…」

海未「花陽…」

花陽「は、はい」

海未「こんな目にあわせてしまって…すみませんでした」

花陽「え?そ、そんな海未先輩のせいじゃ…」

花陽「あのくらいの光で目がくらんでしまって、西木野さんを巻き添えにしてしまった私が悪いんです」

花陽「私のほうこそ、すみません」

海未「いえ、元はといえば、いきなりセンターを決めることを許可した私が悪いのです…」

花陽「でも…」

海未「…」

 
海未「あ、そういえば」

花陽「?」

海未「今日は頑張りましたね。見てて私はとっても楽しかったですよ」

花陽「!!!」

海未「楽しかったし、嬉しかった…」

花陽(う…)

海未「花陽…」

花陽「は、はい」

海未「毎日の練習、ツラくありませんか?」

花陽「いいえ………」


海未先輩が振り向いて肩越しに後ろの私の顔を見る。

チラリと見えた優しい目でドキっとする

この人には嘘はつけないよ…

 
花陽「えっと…嘘です。本当は苦しくてツラいです」

海未「…」

海未「そう…でしょうね」

海未「厳しい特訓だものね」

海未「それをあなたに架しているのは、私…」

海未「私を恨むこともあったでしょう?」

花陽「…いいえ、そんなことはないです」

海未「でも、私はやめません…あなたを…」


保健室までの長い廊下…数分の沈黙が流れる

でも、私は、

海未先輩の華奢でありながら、

大きく感じるその背中から

厳しさの中にある優しさを…感じていた



海未「花陽」

花陽「は、はい」

海未「私からひとつ、お願いがあるのです」

花陽「は、はい」

海未「私が言えた義理ではありませんが…」

海未 グッ

海未「わ、私を…信じてついてきてくれませんか?」

花陽「え?」

 
海未先輩がうつむく

一瞬驚いたけど、私の答えはひとつしかない


花陽「私の答えは最初から決まっています」

花陽「海未先輩を信じて頑張りたいと思います」

花陽「なかなか海未先輩の思うようにできない私ですが」

花陽「これからも、どうぞよろしくお願いいたします」


海未 フッ

海未「ありがとう、花陽」

海未「苦しいかもしれないけど、これが私からのお願いよ」

海未「だって、私には時間が…」ボソ

花陽「?」

海未「い、いいえ、なんでもありません…あ、保健室はもうすぐですよ」



この時、海未先輩が何を言いかけたのか、何が言いたかったのか

保健室に着いた私はそのまま治療に入り、結局その話しの続きを聞くことはできなかった。


-病院-

真姫ちゃんの足は幸い骨には異常はなかったが、少し入院となった。


花陽「西木野さん!ごめんなさい!!」

花陽「私が倒れた時、かばってくれて…それでこんな目にあって…ほ、ほ、本当にごめんなさい」グス

真姫「いいのよ、でも…」

真姫「正直残念だったわ、あなたと本気の勝負ができそうだったのに」

花陽「そ、そんなこと!」

真姫「それに、こんなことになっちゃったけど、、、」

真姫「あなたとの勝負の間、すごく楽しかった」

花陽「…」グス

真姫「また勝負してね、楽しみにしてるわ///」カミノケクルクル

花陽「わ、私も!すごく楽しかったです」

花陽「勝負ではあったけど、西木野さんの隣りで歌ったり、踊ったりできたことが、とっても楽しかったです」

花陽「だから早く治してね」

真姫「うん、そうするわ…」

花陽 ニコニコ

真姫「///」

 
真姫「ああ、そういえば」コホン

花陽「?」

真姫「こ、これは…独り言だけど」

真姫「以前から思ってたけど小泉花陽には武器があるわね」

花陽「?」

花陽「え?どういうこと?」

真姫「…私は独り言を言っただけよ」

花陽「…」

真姫「あ、あと、こ、これも…独り言だけど」

真姫「まずは、自信を持ってほしい。小泉花陽には人を魅了するなにかがある」

真姫「だから海未に精一杯ついていって、それを開花させてほしい」

真姫「今回はこうなったけど、次も負けないわ。だって…」

真姫「ライバルなんだからね」




真姫「は…花陽//」カミノケクルクル

花陽「に、西木、、、ううん、真姫ちゃん!ありがとう!」

真姫「///」

花陽「///」


凛「よかったね!かよちん!真姫ちゃん!」

凛「でも、独り言にしては真姫ちゃん、声が大きいにゃ」

真姫「凛!せっかくのいい場面、茶化さないの!」


-数日経過-


花陽「ええ?次のライブには出られない?」

真姫「そんなに驚くほどのことじゃないじゃない」

真姫「1週間近く練習休んで、簡単に体は元にもどらないわよ」

花陽「でも…」

真姫「逆にこの機会にゆっくり休めてよかったわ」

凛「いいなぁ、凛もゆっくり休みたいよ」

真姫「あなたの場合は違うでしょ?ただ、サボりたいだけじゃない?」クス

凛「真姫ちゃん、ひどいよ…って、当たってるけど」プンプン

真姫「うふふ」

花陽「ふふふ」

凛「あはは」


真姫「こうやって寝ているとね」

真姫「あんなにモヤモヤしていたはずなのに、曲のイメージがはっきりとしてくるの」

凛「そうなの?」

真姫「なんていうの?作曲家とか小説家が下りてくるっていうじゃない?そんな感じなの」

真姫「うぬぼれかもしれないけどね」

真姫「たとえばあなたたちが帰ったあとは、なんとなく寂しいメロディー ……あ!」

凛「え?」

花陽「え?」

真姫「///」

凛「あ~もしかして~?」

凛「真姫ちゃんは案外寂しがりやなんだね~」

真姫「そ、そんな事ないわよ///」


花陽「そ、そういえば…」

真姫「?」

花陽「どうしてあの日、突然センターを決めたいと言ったの?」

真姫「前にも言ったけど、早く叩きのめしておきたかったのよ」

凛「本当に?」

真姫「…」

凛「でも、おかしくない?」

凛「だったら、なんであんなにかよちんを煽るようなことを…」

花陽「そ、そうだね」

花陽「いつもの真姫ちゃんのようにクールにやれば、自然と私は脱落してたはずだよ」

真姫「う~ん」


真姫「そうね、ここまで来たら正直に言うわね」

真姫「花陽!」

花陽「は、はい」

真姫「わたし、、、正直言うとね、しんどかったの」

花陽「え?」

真姫「曲は作らなきゃならないし、歌も踊りも覚えなきゃならない」

真姫「その上、センター争いもしなくちゃならない」

真姫「それに、その相手が花陽だったし、」

花陽「…」

真姫「しかし、自分で手を抜くようなことなんてできない」

真姫「でも、花陽はまだ私の敵じゃない、絶対に勝つと思ってたわ」

凛「すごい自信!」

花陽「…」

真姫「でもね、花陽が万が一結果を出すようなことがあったら、それはそれで、このグループがいい方向に向くと思ったの」

真姫「もちろん私が勝ったら勝ったで、私は選ばれし者ってことで、なにもとらわれることなく集中できる」

真姫「その分岐点はできるだけ早いほうがいいと考えたの」

真姫「だからよ」

花陽「真姫ちゃん…」


凛「あ、そろそろ帰らないと…」

凛「じゃ、真姫ちゃん帰るね」

凛「帰ったあと帰ったら寂しいよ~ってメロディー頑張ってね!」

真姫「こらっ!」

凛「えへへ」

花陽「じゃ、、、ま、真姫ちゃん…またね」

真姫「…くっ」クスクス

花陽「え??」

真姫「まだ、名前で呼ぶの慣れてないの?あなたは」

花陽「////」

凛「そんなこと言って、真姫ちゃんもだにゃ」

真姫「べ、別に!」

真姫「では、またね。来週の中くらいには学校にでられるから」

凛「うん!待ってるよ」

花陽「早く、元気になってね!」

真姫「あ、ありがとう…」

りんぱな「じゃ、またね」


コンコン

真姫「ん?どうぞ…」

りんぱな「…」

ガチャ

真姫「あ、あなたは!」


花陽「!」

ヒデコ「あ、あの…西木野さん、小泉さん」

ヒデコ「本当にごめんなさい!」

ヒデコ「あんなことになるなんて、わ、わたし…」グス

凛「…」

ヒデコ「責任とってなんて大それたことは言えないけど、部活もやめて、もうあなたたちの目の前には現れないから…」

ヒデコ「だから…ゆる…」


真姫「帰ってください!」

ヒデコ「で、でも…」

真姫「あんなに大事な場面をめちゃめちゃにして、私は許すことなんてできないわよ!」

ヒデコ「…っ」

花陽「…」

真姫「いいから、帰って!」

ヒデコ「ほ、本当にごめんなさい!」

ダダッ


花陽「待ってください!」ガシッ

花陽「真姫ちゃん!お願い!」

花陽「私がいえた義理ではないけれど」

花陽「ヒデコ先輩を…許してほしいの」

ヒデコ「えっ?」

花陽「ヒデコ先輩は照明をうっかり私に向けてしまっただけなの」

花陽「それをうけて、私が転んで、真姫ちゃんを巻き添えにしちゃったのは私なの!」

花陽「ステージはいつでも真剣勝負。切るか切られるか」

花陽「あんなアクシデントを切り抜けられなかった私が悪いの」

花陽「だから、攻めないであげて!お願い真姫ちゃん!」

花陽「攻めるなら、私を…」グス

凛「かよちん…」

真姫「花陽…」


ヒデコ「こ、小泉さん…そ、そんな…」

真姫「…」

真姫「わかったわ、花陽」

花陽「え?」

真姫「あなたがそういうのなら、謝罪を受け入れるわ」

花陽「え?え?」

凛「真姫ちゃん…突然どうしたの?」

真姫「気が変わったの!」

凛「」


真姫「花陽の言うように、アイドルなら、真剣勝負の中、どんなアクシデントがあっても切り抜けなければならないわ」

真姫「ステージに立つということはそういう舞台根性も持っていなくちゃね」

真姫「もちろんヒデコ先輩も原因のひとつではあるけど、」

真姫「過ぎたことを蒸し返しても、私や花陽の怪我が治る訳でもないわ」

真姫「気にしないで…って言っても難しいかもしれないけど」

ヒデコ「でも、、、、それでは私の気がすまないわ」

真姫「う~ん、なんというのか、私も逆にヒデコ先輩に負い目を持たせてるみたいで嫌なんです」

真姫「だ、ダメでしょうか…?」


ヒデコ「本当に…本当に私を許してくれるの?」グス

真姫「ええ」

ヒデコ「本当に?」グス

真姫「ええ、本当です。いいわよね?花陽?」

花陽「私は…真姫ちゃんさえよければ…」

真姫「では、この話はこれでおしまいでどうでしょう?」

真姫「だから部活も辞めないでください」

真姫「生意気な1年生の私達だけど、ヒデコ先輩、これからもよろしくお願いします」ペコリ

ヒデコ「に、西木野さん…」

花陽「そうです、辞めないでください!」

凛「お願いです!」

ヒデコ「あ、あなたたち…」

ヒデコ「あ…ありがとう」グス


花陽「真姫ちゃんありがとう!」

凛「さすが!真姫ちゃん!」

真姫「…ううん、そんなんじゃないわ」

真姫「普段の私ならこんな簡単に謝罪を受け入れないのに」

真姫「花陽のひとことで、急に気がかわったの」

真姫「なにか不思議な感じがするの…」

真姫「すごく気分が高翌揚しているというか…」

真姫「こんな気持ち初めてのような気がするわ」

真姫「それに、これから大きく進んでいかなくてはいけないのに、こんなことくらいで立ち止まってはいけないみたいな…」

真姫「そんな気持ちにさせてくれたのは、花陽、凛、あなたたちよ」

真姫「あ、ありがとう…」

花陽「そ、そ、そんな…」


真姫「それでね、今なぜか」

真姫「この気持ちのイメージを一刻も早く曲にしなよって」

真姫「私の中で、大きな声で私が叫んでるの」

真姫「…」

真姫「う~、なんかヘンなこと言ってるわね、わたし…」クルクル

花陽「そ、そう?そんなことないよ!」

花陽「真姫ちゃん?」

花陽「私もなぜか今すぐにでも動きたい、走り出したい気持ちだよ」

花陽「なにをしたらいいかわからないけど…」


花陽「あ…わたしもなんかヘンなこと言ってるかな?」エヘ

真姫「ううん、そんなことないわ」

花陽「そ、そっかな?」アセアセ

真姫「そうよ」

花陽「真姫ちゃん…」

花陽「お互い、頑張ろうね」

真姫「そ、そうね」

凛「あ!2人の世界になってる!ずるいよ!凛も混ぜて!」

花陽「凛ちゃん!今いいところだから!待ってて!」

真姫「な、なにを言ってるのよ///」


花陽「じゃあ、私たち、帰るね」

真姫「ごめんね」

花陽「ううん」

凛「真姫ちゃんの邪魔はしないように帰るにゃ!」

真姫「じゃあ、またね」

ヒデコ「西木野さん、ありがとう、こんな私だけどなにかできることがあったらなんでも言ってね」

真姫「こちらこそ」

真姫「あ!」

花陽「?」

真姫「ヒデコ先輩!早速だけど、お、お願いがあるのだけれど…」

真姫「すみませんが…こちらへ…」

ヒデコ「え?」

ゴニョゴニョ

花陽「?」

凛「?」


ヒデコ「そ、そんなこと…わ、私にできるかしら」

真姫「できると思います。だってあの9人の中の1人だったじゃないですか」

ヒデコ「で、でも…」

真姫「お願いします」

ヒデコ「わかったわ…自分のできる精一杯のことをやってみるわ」

真姫「あ、ありがとうございます」

凛「え~なに?なに?凛にも教えて!」

真姫「内緒よ」

凛「え~?」

真姫「嘘よ、嘘。あとは帰りにヒデコ先輩から聞いてね」

凛「うん、わかった、じゃあ真姫ちゃん明日ね」

真姫「うん、またね」

花陽「真姫ちゃん、またね」

ヒデコ「西木野さん、、、、」

真姫「ヒデコ先輩、あとはよろしくお願いいたします」

ヒデコ「わかったわ、西木野さん」

ガチャ


テクテク

ヒデコ「小泉さん…あのね」

花陽「は、はい!」

ヒデコ「私、本当はこんなことがなくても、部活辞めるつもりだったの」

花陽「え?」

ヒデコ「最初はどうしてあなたがあそこにいるのかと思って、とても悔しかった」

ヒデコ「でも。あのステージ上で」

ヒデコ「楽しいって気持ちを表現してたの、あなたたちは」

ヒデコ「それで、もうかなわないと思ったの」

ヒデコ「私はただの嫉妬心の塊」

ヒデコ「その上、こんな事態を引き起こしてしまって、もういられないというか…」


ヒデコ「でも、あなたや西木野さんは、私を許してくれた」

ヒデコ「怪我をさせた張本人の私に部活を辞めないでと言ってくれた」

ヒデコ「こんなにうれしいことはないわ」

ヒデコ「それにね、西木野さんには頼まれてしまったしね」

ヒデコ「許してくれた西木野さんに精一杯、恩をかえさなきゃね」

花陽「恩って…」

ヒデコ「あ、私が勝手にそう思ってるだけだから…」

凛「それで、ヒデコ先輩、真姫ちゃんの頼みって何なんですか?」

ヒデコ「それはね!」


ヒデコ「小泉さんと星空さんをサポートしてほしいって」

花陽「!」

凛「え?」

ヒデコ「あなたには園田さんがついてるし」

ヒデコ「私なんかじゃ…って思ったけど」

ヒデコ「でも、西木野さんの期待には微力ながら応えたいと思うの」

ヒデコ「偉そうかもしれないけど、私にも、その役を少しだけ与えてくれる?」

花陽「そ、そんな…」

凛「かよちん!凛からもお願い!」

ヒデコ「あ、星空さんもよ」

凛「あ、そうだった」

ミカ「ヒデコ!」

ヒデコ「!」


ヒデコ「ふ、2人とも待っててくれたの?」

フミコ「うん」

ヒデコ「ごめんね」

フミコ「…で、ヒデコ、どうだったの?」

ミカ「わたしたち、心配してたんだよ」

フミコ「あの出来事から少し時間もたってしまい」

フミコ「なかなか勇気が出ないっていうから、連れてきたんだもの…」

フミコ「結果がどうだったか教えてもらうまで待ってるわよ」

ヒデコ「ごめんね、2人とも…」

花陽「…」

凛「…」


ミカ「あ、小泉さんと星空さんよね?」

ミカ「小泉さん、ほんとごめんなさい」

ミカ「本来ならすぐにでも謝まりにこなくてはいけないのに」

ミカ「こんな娘(こ)だけど、許してください」ペコリ

フミコ「決して嫉妬心から悪意でやった訳ではないんです。本当です!」

フミコ「だから許してください!」ペコリ

花陽「いいえ、こちらこそ…」ペコリ


ヒデコ「フミコ、ミカ…あのね…西木野さんも小泉さんも星空さんも、みんな私のこと許してくれたの…」

ヒデコ「その上、これからもよろしくって言われたわ」

ヒデコ「わたし…もう…うれしくてうれしくて…」グス

ミカ「そうなの?」

ヒデコ「うん」

フミコ「…よかったわね、ヒデコ」グス

ミカ「うん、よかった」グス

ヒデコ「2人にも心配かけてごめんね」

フミコ「ううん、私達は大丈夫」

ヒデコ「ありがとう…」

 
ミカ「でも、小泉さん、気に入らなかったら、仕返ししていいからね」

ミカ「なんだったら、一回音ノ木の屋上から吊るす?」

フミコ「そんな事したら、ダメだよ!」

ミカ「あ、ごめん…冗談よ、冗談」

フミコ「違うわ!」

フミコ「やっぱり、吊るしたら、ムチ打ちだよ!」

フミコ「痛い!痛いっ!と叫ぶ、ヒデコ…」グフフ

「」

ヒデコ「フミコ、あんたね…」

花陽「ヒデコ先輩!」

ヒデコ「は、はい?」

花陽「では、遠慮なく!」

フミコ、ミカ(マジで?)

 
-教室-

穂乃果「はぁ、今日も雨かぁ」

ことり「そうだね…屋内でもできるけど、やっぱり練習するなら外のほうがいいよね」

穂乃果「うん、ホント、ホント!なんというか屋内だと、う~んっと手足伸ばせない感じなんだよね~」

ことり「わかる気がする~、特に穂乃果ちゃんが言うと尚更」

穂乃果「ことりちゃん、ひど~い」

ことり「あはは」

穂乃果「あれ?海未ちゃんは?」

ことり「あそこで独り言言ってるけど…」



海未 ブツブツ

海未 フゥ

海未 ボー

海未 !

海未「これです!」

海未「いや、それでは効果があまり見込めません…」ガッカリ

海未「いやいや、やっぱり、このほうが…」ブンブン

 
穂乃果 チュッ

海未 !

海未「ほ、穂乃果!」

穂乃果 ニコ

海未「びっくりさせないでください!」

穂乃果「あ!やっと気づいてくれた~」

海未「いきなりほっぺに、キ、、、キ、、、キ、、、キスとかびっくりさせないでください!」

穂乃果「だって~海未ちゃん、さっきからちょっかいだしてもなんの反応もしないんだもん」

海未「それにしても…は、破廉恥ですよ!」

ことり「穂乃果ちゃん!それは反則だよ!」

穂乃果「えへへ」

ことり「じゃあ、私からも~♪」

海未「やめてください!ことりまで!」

穂乃果「だ~め~!海未ちゃんは穂乃果のモノ~」ダキツキ

ことり「え~?ダメだよ、海未ちゃんは私のおやつなんだよ?」プンプン

海未「ふ、ふざけないでください///」

 
ことり「それは置いといて…海未ちゃん、大丈夫?」

海未「な、なにがです?」

ことり「だって…1人で悩んで、苦しんでるんじゃない?」

海未「そ、そんなことは…」

ことり「困ったら、なんでも言ってくれるんじゃなかったの?」

海未「それはそうですが…」

海未「しかし…」

ことり「海未ちゃん…」

ことり「たしかに悪役に徹してでも必死になる気持ちはわかる」

ことり「でも、わたしたち…それを見てなにも感じない訳じゃないんだよ」

ことり「今すぐにでもやめさせたいよっ!わたしなんて…」グス

海未「ことり…」

海未「しかし、私は私の役目を果たすべき責任が…」ハッ

穂乃果 ジー

海未「ほ、穂乃果?」

穂乃果「海未ちゃん?」

海未「は、はい」

穂乃果「私は、海未ちゃんを…信じてるから…」

海未「穂乃果…」

 
ことり「そうだよ、みんな、海未ちゃんを信じてる」

ことり「私も穂乃果ちゃんも、みんな」

ことり「海未ちゃんは、あの時、たしかにそうは言ったよ」

ことり「海未ちゃんが、それを実現するために決めたことも」

ことり「でもね、海未ちゃん」

海未「…」

ことり「海未ちゃんの後ろには私も穂乃果ちゃんもいるんだよ」

ことり「そして、絵里ちゃんも、希ちゃんも、にこちゃんもいる」

ことり「みんな、理解してるよ」

ことり「だから、言った手前なんて気にしないで、困ったら、それこそ愚痴ってもいいんだよ」

ことり「海未ちゃんは他人に厳しい…」

ことり「でも今一番海未ちゃんが厳しくしてるのは海未ちゃん自分自身に対してなんだよ」

ことり「私は…まだ本当に理解しているかわからない…いや、正直理解したくないところもあるよ」

ことり「けど、海未ちゃんを…今は信じてるから…」

 
海未「ありがとう、ことり…」

海未「でも、そのためには、私は鬼軍曹と呼ばれようが、悪魔と呼ばれようが、頑張りたいのです」

海未「それがいまの私の一番やりたいことなんです!」

海未「だから…残りの…2人の、みんなの時間を私に下さい!」

海未「よろしくお願いします!」

ことり「うん、わかってるよ、海未ちゃん」

ことり「でも、悪魔な海未ちゃんなんて、想像できないけどね♪」

穂乃果「いやいや、前からだよ」

海未「穂乃果~!」プンプン

にこ「小悪魔だったら、ここにもういるけどね」

穂乃果「あ~!にこちゃん!立ち聞きはよくないよ~」

 
凛「かよ~ちん、おはよう!」

凛「うん?なんだか楽しそうだにゃ!」

花陽「ヒデコさんのサポートもあって」

花陽「少しだけど自分になにが欠けてるのか、わかったような気がするの」

花陽「だから、最近は前以上に練習が楽しくてしょうがないの!」

凛「へ~、あんなに厳しい練習をうけてるのに?」

凛「!」

凛「あ、もしかして~」ニヤ

花陽「え?///」ドキドキ

凛「かよちんはマゾなのかにゃ?」ニヤニヤ

花陽「ば、ばかな事言わないでよ!凛ちゃん!」テレテレ

凛「え?なんでテレるの???」

花陽「厳しくても、ぐんぐん自分が上手くなってきている実感があるの」

花陽「それにね。あまり言わないけど、時々…」

花陽「褒めてくれるの。海未先輩が」


< 海未「よかったですよ。そのステップ」 >

花陽(きゃー///)

凛「どうしたにゃ?顔が赤いにゃ?かよちん」

花陽(ダレカタスケテー///)


絵里「…」

 
そして、初めてのライブ

センターは穂乃果さん、絵里さん


そして…かよちん。



目いっぱいの笑顔を忘れず、楽しそうに頑張った、かよちん!



しかし、やはりいきなりの抜擢。

かよちんは細かいところで何度かミスをしてしまった。

ミスってはいたけど、あの笑顔のかよちんと一緒に踊れたことに凛としては、とてもうれしかったんだけど…

まわりはそうは見てくれなかった…

 
花陽「ごめんなさい!」

絵里「どうしてくれるのよ!この大事なライブでミスなんて!」

希「まぁまぁ、えりち…」

絵里「だから、こんな素人同然がいきなりなんて無理って言ったの!」

花陽「ごめんなさい。ごめんなさい…」

絵里「海未、この責任はとってもらうわよ」

海未「…」

 
花陽 ウッウッ

凛「かよちん…」


海未「…花陽」ポン

花陽「あ…先輩…」

花陽「ごめんなさい…」シュン

海未「ライブは一発勝負。失敗なんて許されない」

海未「絵里が怒るのも無理ありません」

花陽「…」グスグス

海未「しかし、これはあなたを抜擢した私の責任です」

海未「だから、気にすることはないんですよ」

花陽「でも…」

 
海未「それに次があるわ、次が」

海未「次までまた2人で一生懸命頑張りましょう」

海未「もっと厳しくいきますよ、前よりもずーっと」

海未「たとえ投げ出したと確信をもたれたとしても」

海未「途中で投げ出すなんて許されません」

海未「いいですね?」

花陽「は、はぁ…?」

海未「返事は?」

花陽「は、はい!」

海未「そうです!それでこそです!基本は挨拶からですよ」

海未「アイドルにとってはそれが一番大事なことです」

海未「それから…」

海未「今日はよく頑張りましたね。ご苦労様、花陽」ニコ

花陽「は、はい!」

花陽(////)カァァァ

 
絵里「海未、ちょっと話があるわ」

希「えりち…」

海未「わかりました」

海未「花陽、今日はもういいです。あがっていいですよ」

花陽「は、はい!ではお疲れ様でした!」タタター

絵里「…」

海未「では、あちらで」スタスタ

 
海未「この辺でいいですか」

絵里「…」

海未「話というのは…」

絵里「海未、わたしが話したいこと。だいたい想像できるわよね?」

絵里「そう、花陽の事よ」

絵里「このままでは、うまくいかないわ」

絵里「私達には時間がないのよ…あなたの…」

海未「絵里。その話は」

絵里「海未…」

絵里「だからと言って、言いたいことは、はっきり言うわよ!海未」

絵里「もし、おろさないのであれば、私にも考えがあるわ!それは…」

 
海未「絵里!待ってください!」

海未「花陽はこのメンバーには絶対必要なんです!」

海未「花陽のいない、このグループは私には考えられないんです!」

希「海未ちゃん…」

海未「だから、みんな…大きな目でみてやってほしいのです。花陽を」

絵里「海未…あなた…」

海未「そして、必ず、結果を出します!必ず出ます!そして絶対優勝するんです!」

海未「私を信じてください!花陽は絶対必要なんだって!」



花陽(////)カァァァ

ダッ

海未「え?花陽!」

絵里「え?」

凛「かよちん!どこ行くの!」

 
どうして、私をそんなに推すの?

そして、それを聞いた私は、

どうしてこんなに顔が赤いの?



ただの言葉なのに、

いちいち反応する私は少しヘンだ






もしかして…?

ううん。違う違う

もう訳わかんないよ~



海未「花陽!」



あ…海未先輩!



…追ってきてくれたんだ

でも、こんな顔見られたくない!

お願い!こないでっ!

 
海未「花陽!」

花陽「こ、こないでください」

海未「話を聞いてください、花陽!」ニギッ

花陽「////」

花陽「手、手を放してください」

海未「花陽!」

花陽「////」

海未「花陽。あなたは、ぐんぐん力をつけている」

海未「しかし、まだまだです。でも、」

海未「私を信じて、ついてさえこれば!」

海未「誰にも文句を言わせない。立派なアイドルにすることができる!」

花陽「わたし…わたしは…」

花陽「し、信じて…信じて…いていいんですよね?」グス

海未「前にもそう話したことがありましたよね?」

海未「そう、あなたが信じていてくれる限り」

花陽「う、うわ~ん」ダキツキ

海未(今は思いっきり泣きなさい、花陽…)

海未(そして、その悔しさを忘れないでください)

 
-そんなある日-


凛「あ、穂乃果さんが来たよ」

凛「おはようございます」

穂乃果「おはよう。凛ちゃん」

花陽「おはようございます」

穂乃果「…」プイ

花陽「…」

凛「かよちん、なんだか今日は穂乃果さん機嫌が悪いね」ヒソヒソ

花陽「うん…」


モブ1 あ、あの娘よ

モブ2 え?なになに?

モブ1 ヒソヒソ なんだってぇ~

モブ2 えっ?マジで?気持ちわる~い


花陽「?」

凛「?」

 
え?海未先輩と、かよちんが?

嘘だよ、嘘だよ!絶対に嘘!



あっという間にウワサがウワサを呼ぶ…


たしかに大事件というえば大事件。

漫画の女子高の設定みたいな事がホントにあるんだなあ

 
-屋上-

海未「では、今日の練習を終わります」

花陽「…」

海未「花陽?」

花陽「…」

海未「昨日までと違って今日はとても覇気がありませんよ」

海未「一体、どうしたと言うのです?今日は?」

花陽「…」

海未「花陽!」

花陽 ビクッ

海未「まぁいいです、あなたには話しがあります」

海未「このあとも、残ってください」

花陽「は…はい」ショボン

凛(かよちん…)


モブ ヒソヒソ

 
海未「花陽?一体、どうしたと言うのです?」

花陽「…」

海未「花陽!」

花陽 ビクッ

海未「この前のこともあって、次が本当の勝負なんですよ」

海未「こんなことでよいんですか?」

花陽「…」


にこ「海未」

海未「にこ?今は花陽と話し合ってるとこなのですが…」

にこ チラ

にこ「あんた…随分のんきね」

海未「なにがですか?」

にこ「聞いたわよ。ウワサ」

花陽(////)カアアア

海未「?」

 
にこ「仮にもアイドルともあろうものが、あんなウワサをたててしまって」

海未「?」

にこ「知らないのね…」

海未「??」

にこ「花陽、あなたは知ってるのね?」

花陽「…」コク

凛「にこちゃん!ここでそんな話しをするのやめなよ!」

海未「一体、なんの話しです?」

にこ「あなたと、花陽が付き合って」

にこ「この前も花陽と抱き合っていたって」

にこ「学校中でウワサになっているの」

凛「にこちゃん!」怒

海未「な・・・な、な、なんですか!それは!」

 
にこ「海未があそこまでつきっきりなのは、お気に入りだったから」

海未「ふ、ふざけているにもほどがあります!」

海未「なんという破廉恥な…」ワナワナ

にこ「…なんて言ってる人がいるけど、そんな事あるわけないじゃない!」

海未「へ?」

にこ「全く根も葉もない、妙なウワサがたっているのよ」

海未「なんですか?全く意味がわかりません」

海未「それに…私と花陽は先輩後輩、ただの仲間です」

花陽「!」

にこ(しまった!)

 
海未「全くバカバカしい!花陽!気にしないでくださいね」オロオロ

海未「こんなくだらないウワサに惑わされてるようでは」オロオロ

海未「アイドルになんかなれませんよ…花陽」

海未「わかりましたね」

花陽「…」グス

凛「…」

花陽「どうせ…」

花陽「どうせ、わたしなんかがアイドルには、なれないの!」

花陽「そして誰にも、見向きもしてくれないの!」

 
海未「な、なんですって!」

海未「あなたは自分のことをそんな風に思っていたのですか?」

海未「見損ないました!」

花陽「…」グス

花陽「う、うわーん」ダッ

にこ「花陽!」

凛「かよちん!」

 
ゴメンね。かよちん。

かよちんの密かな気持ちを知ってる凛は、かよちんの走り去るその後ろ姿を見るだけしかできなかったよ…

ずぶ濡れになったかよちんが見つかったのは、もう明け方近かったらしい。

真姫ちゃんから連絡がきたけど、とうとう、その日はかよちんには会わなかった。

 
-翌朝-

真姫「おはよう、凛」

凛「あ、真姫ちゃん…」

真姫「今日は…花陽、休みのようね」

真姫「そうりゃ、そうよね。あんなことがあって、普通まともに顔なんか合わせられないもの」

凛「う…うん」

真姫「凛、あなた知っていたの?」

凛「だって…いつもかよちんと一緒だったもん」

凛「かよちんに、はっきり聞いた訳ではないけど」

凛「しぐさとか、なんとなく…そうかな?ってのはあったの」

凛「凛、初めて見たよ、女の子が…」

凛「こ、恋する表情?乙女?」

凛「なんて表現したらわからないけど」

凛「つまりそういう表情をするところを」

真姫「ふーん」

 
凛「でね、かよちんは言ってた」

凛「ものすごく厳しくて、海未先輩に嫌われてるんじゃないかと思った事もあったらしいけど」

凛「だんだん、その厳しさの中に、愛があると気付いたって…」

真姫「!」

凛「と、言いながら、かよちん、凄く照れるの」

凛「海未先輩はLOVEでなくLIKEかもしれないけど」

凛「かよちんの気持ちもまだLOVEかLIKEかわからないらしいけど」

凛「…って、どっちがどっちだっけ??LOVEとLIKE…」

真姫「凛…あなた…」ワナワナ

凛「あ、待って、待って!」

凛「いくら凛でも、それぐらい、さすがにわかってるから!!」アセアセ

 
真姫「…それで?」

凛「それをね…」

凛「すごく可愛い顔して言うんだ」

真姫「…」

凛「でも、女同士でそんなのおかしいってのもわかってるって言ってたんだ」

凛「一方で、正直、この淡い気持ちも心地いいって」

凛「その気持ちが何倍も自分を奮い立たせてくれるって言ってたの」

凛「それが今のアイドルへの原動力となっているんだって」

真姫「そう…愛…ねぇ」

 
凛「あとね…」

真姫「まだあるの?」

凛「海未先輩にも、別の人に淡い気持ちがあるってのも知ってるの」

真姫「え?えーーーーー?」

凛「かよちんにでないけどね…」

真姫「え?そうよね?よかったわ」ハッ

真姫「って、なんかそれも違うわね」イミワカンナイ

凛「その気持ちは尊敬を超えたものなんだって」

凛「凛にはよくわかんないんだけどね」

凛「真姫ちゃん、尊敬を超えたって気持ち、どういう意味なのかな?」

凛「そして尊敬を超えた感情はなんて名前なの?」

真姫「…」

真姫「私も、よくわかんないけど…」

真姫「それがもしかしたら『愛』なのかもね?」

 
真姫「そういえば凛、あなたこのウワサ聞いた時に」

真姫「『絶対に嘘!』って言ってたじゃない?」

凛「うん…だって」

真姫「だって?」

凛「だってさ、みんな『海未先輩は××××』だとか」

凛「『かよちんは○○○○』だとか」

凛「それに×××× フンガ」

真姫「あーもういいから!その口からそんな言葉出さないで!」

凛「…ごめん」

凛「でも、みんな勝手なことばかり、下衆極まりないことばかり言うんだもん」

真姫「本当ね…」

凛「あの2人はそんなんじゃないよ!もっとピュアな関係だもん」

真姫「この場合もピュアって言うのかしら?」

凛「あ、真姫ちゃん、それユニット違うよ」

真姫「なんの話よ!」

 
真姫「とにかく、花陽のことは少し様子をみましょう」

凛「かよちん、大丈夫かなぁ」

真姫「大丈夫よ、きっと」

真姫「でも…でもね」

凛「?」

真姫「もし、助けが必要な時は、力になりたいわね」

凛「そうだね」

凛「凛、力になれるかなあ?」

真姫「あなたなら大丈夫」

真姫「でも、その時は私も仲間に…いれてね」

凛「もちろんだにゃ!」

まだか

>>201
一回あきらめましたが、気持ち悪いけど、また始められるかな?

かよちん、ごめん

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