絵里「イチョウ並木」 (30)

のぞえりです

絵里「晩御飯の材料はこれでよしと。
亜里沙、他に買いたいものとかない?」

亜里沙「特にないけど、帰る前にすこし寄りたいところがあるの……いいかな?」

絵里「ええ、もちろん。どこに寄るの?」

亜里沙「それは着いてからのお楽しみ!」タタタ

絵里「?…」

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亜里沙「ここをこう行ってここを曲がるとね……ほら!」

絵里「!ハラショー……綺麗……」

亜里沙「ここね、この間雪穂に教えてもらったんだ。イチョウナミキっていうんだって。」

絵里「近くにこんな場所があるなんて知らなかったわ。まるで金色のトンネルの中を歩いてるみたい……素敵ね。」

絵里(イチョウ自体は町でも見かけるけど、こんなにも静かで綺麗なものだとは思わなかった……
・まるでここだけ世界が違うみたい)

絵里(希を誘って一緒にこの景色を見たいわ)

亜里沙「私ね、昨日もここで雪穂と一緒にお楽しみだったんだよ!」

絵里「亜里沙、危ない日本語よ。それ」


絵里<今度の日曜日暇かしら?

絵里<希と一緒に行きたいところがあるのだけれど

・ どっか遊びに行くん?>希

・ 久しぶりやね>希

絵里<本当に素敵なところなの!

・・どこなん?>希

絵里<それは当日、着いてからのお楽しみ♪

・ なんや気になるなぁ>希

絵里<きっと希も気に入るわ!

・ えりちが言うんなら楽しみに待っとるね♪>希

・ (ハートのスタンプ)>希

絵里「ハートのスタンプ……///他意はないのよね、きっと」

絵里「……えいっ」

絵里<(ハートのスタンプ)

絵里「早く日曜日にならないかしら///」ソワソワ

当日

希「えりちー」タタタ

絵里「希」

希「ごめん、待った?」

絵里「ううん、私も今来たところ」

希「ふふっ」

絵里「?」

希「えりち、彼氏さんみたい」

絵里「なっ///……じゃあ、私の彼女は希ね」

希「ふぇっ!?///な、なんで」

絵里「可愛いし、わ、私が彼氏なら、彼女は希かなーって……///」

希「じゃ、じゃあ訂正!彼女はえりち!えりちの方が可愛いやん!!」

絵里「希の方が可愛いし私の方が背高いから希が彼女よ!」

希「えりちが!」

絵里「希が!」

ナンダナンダ キマシ ニヤニヤ ニャ ザワザワ

のぞえり「「…………//////」」

絵里「……そろそろ、行きましょうか///」

希「せやね……///」

希「あ、クレープ屋さんがあるけど寄ってかへん?」

絵里「クレープ?いいわね!」

希「えりちは甘いもんが本当に好きやね」

絵里(亜里沙と来たときは暗かったから分からなかったけど、クレープ屋があったのね)

希「せっかくやから、違うの頼んでふたりで半分こせーへん?」

絵里「そうね、半分こしましょうか」

希「はいえりち、あーん♪」

絵里「えっ///」

絵里「あ、あーん」モグモグ

絵里「ハラショー!とっても美味しいわ」

希「うちも、えりちの、欲しいなぁ……」

絵里「えぇ、あーん」

希「んっ……あー、ん」モグモグ

希「んぅ……」ゴックン

希「ごちそうさま。ふふっ、えりちの、美味しいなぁ」ニコニコ

絵里「希、クリームが口についてるわ」

希「本当や」ペロッ

絵里(何か色っぽい……///)

希「もうすぐ着くかな?」

絵里「えぇ、ここを曲がって……じゃん!」

希「!わあ……綺麗……」

絵里「本当、何度見ても綺麗……」

希「うん……綺麗……」

絵里「……ここね、亜里沙に教えてもらったの」

絵里「亜里沙は雪穂ちゃんに教えてもらったんだって。
・ 二人もあそこのクレープ食べてここに来たかもしれないわ」

絵里「亜里沙が喜んで飛んでいきそうだし」

希「えりちもそうやったやん」

絵里「だって、美味しそうだったから」

希「……ね、向こうまで二人で歩いてみーひん?」

絵里「?ええ……いいけど」

希「~~♪」ギュッ

絵里(!手、握られて……///)

テクテクテク

希「ここ、いいところやね」

希「こんなに静かで、綺麗で 、どこまで行っても一面金色で……ここだけ時間がゆっくり流れてて」

希「なんか、えりちとうちと、二人しかこの世界にいないんやないかって思えてくるなぁ……」

絵里「私も昨日同じようなことを考えたわ」

絵里「外の音も歩く足音も全部落ち葉に吸い込まれて、ここだけいつもとは違う世界になってるんじゃないかって思っちゃった」

絵里「隣に希が居て、二人っきりの世界で、夢でも見てるんじゃないかって……今でもそんな気がするの」

希「えりちは詩人さんやね」

絵里「海未に話したら歌詞が出来るかも知れないわね。明日にでも話してみようかしら……」

希「……えりち」

絵里「?」

希「今は、二人っきりの世界なんやろ?……うちと、えりちの」ギュッ

絵里(……ハラショー///)

希「~~♪」

絵里(あれからなんにも話してないけど、なんだか楽しそうね)

絵里(気に入ってもらえたみたいで良かったわ)

絵里「ふふ……」

希「えりち、どうしたん?」

絵里「希が楽しそうだから、なんだか嬉しくなっちゃって」

希「なぁん、それ……あっえりち、肩にイチョウが乗っかっとるよ?」

絵里「あっ……希も髪に付いてるわ」

希「あっ、ほんまや」

絵里「イチョウって、先が分かれてるのと扇子みたいにくっついてるのがあるのね」

希「知らなかったん?」

絵里「こうやって手にとって見たことなかったから……」

絵里「そう言えば希、リップの色変えた?」

希「ふぇっ!?」

絵里「さっきイチョウを取ったときに気付いたの」

希「……その、久し振りのお出掛けやから、ちょっと、変えてみたんよ」

絵里「似合ってて、とっても可愛いわ」

希「あ、ありがとう///」

絵里(いつも私をからかってばっかりの希が、可愛いって言われて赤くなって……)

絵里「本当、可愛い……」

希「え、えりち?」

絵里「ねえ、希」

希「なぁん?どうしたん?」

絵里「今は、二人だけの世界なのよね……」

希「う、うん」

絵里「可愛い唇……」プニ

希「ひゃっ!え、えりち!?」

絵里「希……」

希「えりち、顔、近い……///」

絵里「私、私ね……希のこと……」ジー

希「えりち……」ジー





絵里「好き」


チュッ

希「ん……えり、ちっ、……?」

絵里「好き、大好き……」

希「ちょぉ、えりち!?……んぅ、……ぁ」

絵里「ふっ、ん……んむ、っはぁ……」

希「い、息……出来な、ふ、んぁ……」

絵里「のぞみ……のぞみ……ん、ぁむ、ん……」

希「ふぁ、んん……ス、ストップ!」ドンッ

絵里「あ……ご、ごめんなさい!」

希「びっくりしたなぁ、もう……」

絵里「本当、ごめんなさい……嫌な思いさせちゃったわね」

絵里「でもね、本当に、私、希のことが好きなの」

絵里「希が私と希の二人しか世界に居ないみたいって、私と同じこと考えてるんだってわかって、すごく嬉しくなったの。
・ それに、今希を見てるのも、希が見てるのも私だけなんだって思ったら……」

絵里「だから、その、つい……本当、ごめんね。嫌だったでしょう?」

希「えりち……」

チュッ

絵里「の、希!?」

希「あんなぁ、えりち。誰も嫌やったなんて言っとらんよ?」

絵里「でも、私、いきなりあんなことしちゃって……」

希「確かにびっくりしたし、ちょっと怖かったけど……嬉しかったんよ」

希「えりちはうちの気持ちに気付いてて何にも言わずにいるんやないかなってずっと思ってて」

希「だから今日ここに誘ってくれて嬉しかったし……さっきのも、嫌やなかったし///」

絵里「希……」

希「今までちゃんと言えんかったけど、うちもえりちのこと、好きです」

希「……なので、私の恋人になって下さい」

絵里「はい……
・ 希も、私の恋人になってくれますか?」

希「はい、もちろん」

絵里「ふふ……希と恋人なんて夢みたい」

希「夢かどうか、確かめてみる?」

絵里「どうやって?」

希「わかっとるんやない?」

絵里「そうね、ふふっ」

希「えりち……」

絵里「希……」

パサ

絵里「あ……」

希「イチョウが……間に落ちてきた」

絵里「もう、空気の読めないイチョウね」

希「……何か、先っちょの分かれてるイチョウってズボンみたいに見えへん?」

絵里「え?」

希「それで、先がくっついとるのはスカートで」

絵里「……じゃあ、また希の髪にくっついてる不埒なズボン君を追い払わなきゃ」

希「あ、またや」

絵里「私以外が希の髪に触るなんて、もう認められないわ」

希「イチョウにヤキモチ妬いちゃうん?」

絵里「……スカートの葉っぱならギリギリ許してあげる」

希「もうすぐ出口やね」

絵里「ええ……でも、このまま二人っきりの世界から出ちゃうのも何だかもったいないわね」

希「またここに来ればええやん」

絵里「それはそうだけど……」

希「じゃあ、今度一緒に違う世界を探しに行かへん?」

絵里「え?」

希「亜里沙ちゃんも雪穂ちゃん誰も知らない、うちらだけの場所……」

絵里「あら……希も結構ヤキモチ妬きなのね」

希「そんなうちは嫌い?」

絵里「そんなことないわ」

絵里「好きよ、希……私の希」

希「うちも、好き……私の、えりち」

終わり

おまけのゆきあり

亜里沙「雪穂はイチョウが本当に好きなんだね」

雪穂「え?」

亜里沙「イチョウナミキに行くと、いつも何枚か拾って帰ってるから」

雪穂「あぁ……そうだね。好き、かな」

亜里沙「イチョウ綺麗だもんね。亜里沙も好きだよ。雪穂には負けちゃうけど」

雪穂「……ねぇ亜里沙」

亜里沙「?」

雪穂「亜里沙の髪って、綺麗な金色だよね」

亜里沙「もう雪穂~、褒めてもカニも出てこないよ?」

雪穂「……亜里沙、褒めても何も出ない、だよ」

亜里沙「ハラショー……」

亜里沙「でも、いきなりどうしたの?」

雪穂「ううん、何でもない。行こっか」

亜里沙「……雪穂?」

雪穂「?」

亜里沙「今日は手、繋がないの?」

雪穂「え……」

亜里沙「この間は繋いで帰ったのに……」ションボリ

雪穂「……繋ごっか///」

亜里沙「うん!」

今度こそ終わり

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