月「糖分を取りすぎるとイライラしやすくなるらしいぞ」 (104)

月「糖分を取りすぎるとイライラしやすくなるらしいぞ」

月「聞いているのか、L」

L「聞いていますよ。もぐもぐ」

月「聞いていますよって言いながら今、角砂糖食べてるじゃないかお前は、ホラまた」

L「この角砂糖はちゃんと消費されるんです。 消費される見込みがある量は取るべきで

す。 だから大丈夫だし余裕です」

月「カルシウムの吸収も阻害するらしいぞ。 ああ、カルシウム不足で怒りやすくなるっていうフレーズくらいは知ってるいるかな?」

L「………」


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L「で、月くんは何ですか、何か用ですか」

月「いや、お前が最近僕のことを、やたらと蹴ってくるから原因を探っていたところな

んだよ。 イライラしてるんだろう? あ、ほらまた蹴った」

L「これは単にあなたの事が嫌いだから蹴っているだけで、砂糖は関係ありませんよ」

月「絶対イライラしてるよコイツ」

L「………」

月「いッたい! いたい!」


月「なあ竜崎」

L「え、呼び方変えるんですか」

月「駄目か?」

L「んー、呼びやすい方でいいですよ」(どっちにしろ本名じゃないですからね)

月「うーん」

L「………」

月「えるたそー」

L「それはやめてください」



L「やめてください」

月「嫌なのか………。 でも氷菓は面白いと思うけどな」

L「氷菓とはなんですか?」

月「………いや、惚けるなL。 えるたそに反応しておいてそれはないだろ」

L「………まあ、面白かったですね」

月「見てるじゃないか」


L「ネットが好きだから偶然知っただけですよ………おや、月くんは何の本を読んでいるんですか。 氷菓の原作ですか?」

月「いや、これは別の」

L「『毎日缶コーヒーを飲む人の危険性』………」

月「缶コーヒーの糖分をなめちゃいけないって話だよ」

L「なんですかこれ、お勉強会ですか」

月「読み上げるぞ、内容」

L「?」

月「えー、朝は忙しいから缶コーヒーだけ飲んで出社するという人………これはいけま

せん」

L「まあ、朝はちゃんと食べたほうがいいですねえ」


月「甘ったるい缶コーヒーには当分が大量に含まれています。砂糖は一時的に血中の糖分を上げてくれますが、これはすぐに下がってしまい………。
取りすぎるとむしろ、低血糖症になりやすくなります、へえ。」

L「スカイプしよ………」  =ワタリ、チェスでもしませんか=

w  =いいですよ。ホストどちらで?=

L  =私が部屋作ります=

月「日本人一人の一日の砂糖の摂取量は、15gから20gぐらいが望ましいと言われています」

L「私は日本人じゃありませんよ」

月「………」

L =ワタリ、それ、ナイトで………=

w=ムムッ………これは困りましたな………=


月「現代の日本人の食料は、糖分過多の傾向にあります。
アイスクリームが10から15g、カステラひと切れ15g、ドーナツ12g、
ホットケーキ一人分27g、清涼飲料水一本22g、コーラ一本21g、ファンタ30g、
おはぎ(大)一個32g」

L「おはぎってなんですか」

月「ん?」

月「え?何おま………、おはぎも知らないのかい。ふうん、君って意外と………」

L「今思い出しました。日本の菓子ですね。」

月「世界的な探偵も知らないことってあるんだあ」

L「月くん、一ついいですか」

月「なんだい?」

L「月くんは何でそんなにイライラしてるんですか」

月「………」イラッ

月「アメリカでは砂糖の過剰摂取により引き起こされる病気が問題になっています。
いわゆるシュガー・ブルース………砂糖病、と呼ばれています」

L「やけにかっこいい呼び名ですよね。バンド名か曲名みたいですよ」

月「お前そのうち平沢唯みたいな馬鹿になっても知らないからな」

L「いいじゃないですか唯ちゃん。唯ちゃんいいじゃないですか」

月「有り得ないね。あずにゃん以外有り得ないね」

L「唯ちゃんいいですよ。 可愛いじゃないですか」

月「………L、お前の趣味が理解できない」

L「あなたが何を言っているかわかりません。唯ちゃんは精神的に幼稚で天才で………完璧じゃないですか」

月「何を言っているかわからない」


L「………まあいいでしょう」ボリボリ

月「あ、また角砂糖食ってる」

L「砂糖美味しいですよ。あなたもどうです?」

月「遠慮する。 キャラ濃すぎなんだよお前」

L「あっ、そういえば」

月「ん?」

L「これみてください、これ」

月「………鏡?」

L「どう思います?」

月「どう思うって………」

ただの鏡じゃないか。

L「最近手に入れた資料です」

月「………鏡、だな。 鏡だろ、資料じゃなくて」

L「私はこの男がキラではないか、と、そう考えています」

月「………」

L「………」

月「オラァ!」 パリーンッ

L「ああッ! 割らないでくださいよ、掃除にも手間と時間がかかるんですよ!」

L「5%………。 5%くらいの確率で、キラです」

月「5%くらい無視しろよ………いろいろ生きづらいだろ、そんな考え方」

L「生きづらいですね。 しかし熱い数字ではあります。 5%という数字は熱いんですよ」

月「数字が熱いってなんだよ………」

L「人は確率に夢中になることが多々あります。 例えるならカオスシルバーガチャを回し続ける時です」

月「それが何なのか僕は知らないが、なんだか色々と残念だなお前………」 

L「ガチャってハマりますよね」

月「食生活以外もガタガタだなお前………流行に疎いんじゃなかったのか」

L「疎いんじゃありません、興味がなかっただけです」

月「今はハマってるんだろ?」

L「キラを捕まえて手錠をガチャッ!ってできないかなあ、なんて」

月「嫌なガチャだな………」

月「おはぎ食べてたことあるのか、竜崎」

L「さあ………」

月「さあってお前」

L「砂糖と名のつくものは大抵、食したつもりですから………だからいくつかは、忘れていることもありますよ」

月「記憶力低いな意外と………ていうか砂糖より菓子を食えよ」

L「おやつの時くらいはですね、頭をすっからかんにしたいんですよ」

L「月くんは、甘いもの食べないんですか」

月「ん………、まあ、人並みには」

L「なんとも無難な受け答えですね………、あ、そうか月くんはポテトチップスですね」

月「………ああ」

L「スナック菓子の方が好みなのでしょうか」

月「そうだな、コンソメパンチがいいんだ」(『あの』ポテチの件………大丈夫だ、いまさら感づかれることはないだろう)

L「あれも健康には悪そうですけどねえ」

月「健康のために食べてるわけじゃないさ」

L「そうですねえ、私もそうです。月くんもおひとつ、どうですか?ハイになりますよ」

月「ヤクじゃないんだから………」

L「ハイになっていいんですよ。 糖分に対して難しく頭使ってどうするんですか。
 知能戦を挑むんですか? おはぎに」

月「いや、そうじゃあないけど………」

L「ならば人対人………おはぎを絡めた知能戦………料理バトルでしょうか」

月「意地でもおはぎから離れないつもりなのかお前は」

L「こッ………! このおはぎは! こし餡に隠し味として含まれている塩の加減が絶妙だ!
 甘さを引き立てるための塩は多くの和菓子に応用できる重要なテクニック………そしてこの餅米!
 この餅米は………!」

月「………」

L「………などといったことを考えながら食べたほうがいいのでしょうか」

月「どうすんだこの流れ」

L「私は構いませんよ。 派手なリアクションは苦手ですが、ページ一杯に味の解説とか」

月「違う漫画になる………」

L「私は構いませんよ、料理番組にシフトしても。『美味しんぼ』はこち亀と並ぶ勢いを持つ日本のマンガ、国民的人気コ ミックですし」

月「ああ、そう言われればそうか。 その方が万人受けはするだろうな」

L「万人受け………ですか、ウケとか狙っている時点で違うんですよ。
 料理は、なくてはならないもの。ですから」

月「………いや、でもお前料理とか食べるのか?」

L「………………………クレープは、料理に入りますかね」

月「入らないと思うぞ」

月「お菓子で、まごうことなきおやつだろ」

L「ちょっと待てくださいね、いま記憶の整理を………」

月「………」

L「いちごに練乳をかけて食べたんですけれども」

月「うん」

L「料理ですね?」

月「お前料理がなんなのか知ってるか?」

L「私に、ちゃんとしたケーキでも作れとでも言っているのでしょうか」

月「言ってない。そんなこと言ってない・・・」

L「あ、あ、」

月「なんだ」

L「気づいた!」

月「!?」

L「このホームページを見てください」カチャカチャ…

月「……?」

L「ここです」

月「……」

L「ミスタードーナツ」が今週、百円セールをやっているんです」

L「聡明な月くんならもうお分かりですね? 私が何を言いたいか」

月「………わからん」

L「帰りに買ってきてください」

月「いやだよ」

月「いやだよ」

L「その言い方ですと、やんわりとミスタードーナツに対して失礼ではないですか?」

月「いや、僕は別に………ドーナツが嫌いなわけじゃないけど、なんかお前に甘いものを与えるのは
  なんかこう、嫌なんだよ」

L「あ、このカードあげます。使ってください。ドーナツ6個以上買うと一個100円になるんですよ」

月「………ん? 今、もう100円セールなんじゃなかったか」

L「そうでした」

L「そうですね………セール中は使えないって、注意書きで書いてあります。
 いや、でも一部の値段の高いドーナツには使えるのかもしれませんね………ああ、頭の回転が鈍くなってきましたよ」

月「………」

L「さあ大変です。なんで鈍くなったんでしょうね。糖分が足りないからです。そうなんです。
 頭がボーッとしてきましたよ。
 はい………、ではなぜ糖分が足りないか、理由は簡単です、小学生でもわかります、
 月くんがドーナツを買ってきてくれないからです」

月「竜崎………。またこの本の話になるが」

L「お勉強会、再開ですか」

月「頭を働かせるために必要なのは糖分じゃないんだよ」

L「………なんと」

L「その話は本当ですか」

月「いや、正確に言うと、そうだな………ある程度の糖分は必要なんだが、それはさっきも言ったように
 日本で現代の食生活をしていれば、特に気をつけなくても十分に摂取できてしまうんだ」

L「はあ」

月「どんなに頭を使う仕事をしている人間でも、糖分の消費量は限界があるそうだ」

L「ええっ、じゃあ私はどうなるんです。私、消費してますよ」

月「お前は………人間じゃないんじゃね?」

L「あー、そうかもしれないですね」

月「否定しろよ」

L「そんな………それではまるで私はただの、食いしん坊のシュガーブルースみたいじゃあないですか」

月「慌てん坊のサンタクロースみたいに言うな」

L「あっ………そういえば、サンタクロースを逮捕するのが、幼少期の夢でした」

月「いや、そんな情報はいらないよ………」

L「いりませんか」

月「そしてだな、竜崎」

L「はい」

月「糖分よりもむしろ、頭を動かすのに必要なのはたんぱく質なんだよ」

L「なんとまあ」

L「たんぱく質。タンパク質。私が知るところ、それは筋肉などを形作るフィジカル的な物質というイメージでしたが」

月「僕もそう思っていた………しかし、仕事ができる人間は肉食の傾向にあるというデータも取れているらしい」

L「うへえ」

月「うへえって………、まあいいや。とにかく、砂糖ばっかかじっても体に良くないことばかりだということだ」

L「ううむ。なるほど、ではこれからは、あなたの前で砂糖をかじらず、ステーキをかじることにしましょう」

月「………なんで僕の前で食べること前提なんだ」

L「いけませんか」

L「角砂糖の代わりに、サイコロステーキを食べる構図ですね」

月「代わりと呼べないだろもう………かなり違ってるから」

L「あ、そういえばですね、デスノートの実写版ってあったじゃないですか」

月「ん………あったけど、何?そんな話すんの?ここで」

L「ぶっちゃけていきましょう」

L「私、つまりLを演じた松山さんでしたっけ?」

月「たしかそんな名前だったな………」

L「うろ覚えなんですか?」

月「なんだか微妙な気分というか、こそばゆいよ。自分を演じた人の話とか、よくできるなお前」

L「気にしすぎですよ………。 松山さんはですね、私を演じていました」

月「うん」

L「私を演じていたわけですから、当然取るわけですよ」

月「撮る?」

L「糖分を摂るんです、大量に、撮影で」

月「あー、なるほどお前だからな」

L「それで松山さんはですね」

月「うん」

L「ものすごく体調を崩したらしいです」

月「………だろうな」

月「その話が本当かどうか知らないが、いずれは体壊すの予想できるだろ。ちゃんとしたもの食べような」

L「いやあ、私なら大丈夫だと思いますけどねえ」

月「お前なら大丈夫かもしれないけどな」

L「月くんだって、ポテチばかり食べているじゃないですか」

月「ばかりじゃないよ。 そんなに食べてないよ」

L「ポテチを………ええと」

月「どうした」

L「ちょっと思いつきませんでした」

月「なんだそれ、残念だな」

L「そもそもああいうスナック菓子は食べたことがあまりないのです」

月「菓子ならよく食べてるじゃないか」

L「甘いですからね」

L「うまい棒はチョコ味以外認めません」

月「それはもう意味がないというか、うまい棒じゃなくていいんじゃ………」

L「お菓子は甘いもの、いや甘ったるいものであるべきです。しょっぱいものは食事として扱うべきです」

月「えーと、ああ、そういうスタンスなのか………」

L「ポテチとご飯って合いますよね」

月「そんな食べ方したことないぞ僕は」

L「聞くところによりますと、日本の、特に関西のあたりではたい焼きをおかずにしてご飯を食べていると」

月「ええと、惜しいけどそれはおそらくたこ焼きだな」

L「ああ、そうそう、それそれ」

月「ユルすぎだろ………。ていうかわざと間違えてんなお前」

L「ちなみにたこ焼きをおかずにするのは関西とは限りません」

月「ああ、確かにそれは一部地域だと思うが………ていうかお前日本に詳しすぎだろ」

L「えっへん」

L「キラはたこ焼きを食べたことがある。という可能性があります」

月「キラがたこ焼きって………、文章としてはかなりシュールだが、そりゃ食べたことくらいあるだろうな」

L「ちなみにキラはその際、関西で食べてはいません。関東地域で食べている可能性が非常に高いです」

月「一巻あたりで言ってたな。関東にいるんだろ」

L「キラは関東で………関東で何を食べているんでしょう」

月「いや、知らないけど」

L「月くん」

月「ん?」

L「知らないはずがないでしょう」

月「………なんだ?どうせお前また、僕がキラだからキラの好き嫌いなんて全部知ってるに決まってるとか、そんなこと を言い出すのか?」

L「………なるほど。それもありますけど」

月「それもあるのか………」

L「しかし真面目な話、キラの食生活、何を好むかは捜査に役立つ可能性があります」

月「そうか?」

L「そうなんですよ。何をそんなくだらないことで………と思われるかもしれませんがね」

月「………1977年、アレキサンダー・シャウス」

L「?」

月「犯罪学者だった彼は、犯罪を犯す人間の食生活に着目した………。凶悪犯罪を犯す人間は、食べているものに何か共通点があるのではないか、彼はそう考えた」

月「彼は、経過観察中の犯罪者を対象に実験を行う。犯罪者を2つのグループに分け、グループAには牛乳・乳製品・白砂 糖を摂取しないように指示した。
 そしてグループBには一般的な量………これはアメリカで、という意味だが、を摂取してもらった」

L「………」

月「この状態で2年間観察を続けたところ、牛乳・乳製品・白砂糖を摂取しなかったグループの再犯率は12%であった  のに対し、普通に摂取したグループは34パーセントという結果が出た」

L「………」

月「と、僕が知っているのは、役に立ちそうなのはこれくらいだがな」

L「物知りですねえ。でも、なんだかこういうの、SSっぽくないですね」

月「茶化すのか………。まあ、僕も少し思ってたけど」

L「そして、つまるところ月くんは、砂糖を取りすぎている私を非難するんでしょう」

月「うまいこと戻った。『糖分を取りすぎるとイライラしやすくなるらしいぞ』だ」

L「まったく困ったものです。『犯罪者の98%はパンを食べている』位の酷さです』カリカリもぐもぐ

月「だから砂糖噛じるのやめろって」

L「日本の子供のジョークでこんなものがあります。『先生!バナナはおやつに入りますか?』………なるほど確かに、バナナはおやつというよりも極めて優秀な食事と言えそうです。
ならば私の問いはこうです。『先生、砂糖はおやつに入りますよね………?』」

月「入らないよ……遠足に砂糖を持ってきた奴も、いなかったよ」

L「え?一人くらいいたでしょう」

月「いなかったよ………なんで本気でびっくりしてんだコイツ」

L「美味しいのになあ」

L「ていうか作中であるんですよ、おやつがヒントになってること」

月「本気で言ってるのか?どこでだ?」

L「私の知ってる子で、板チョコばっか食べてる子がいるんですけど」

月「ああー、いたなそういえば」

L「電話口で板チョコ割る時の『パキッ』って音出してたんですよ。それがヒントになってー、みたいな」

月「あったあった、でも重要だったか?」

L「うーん、これならどうです?キラからの手紙」

月「ん?」

L「これです。『えるしってるか。しにがみはりんごしかたべない』」

月「有名だな」

L「有名になってしまいました………。さてこの手紙の文章から、キラは死神にりんごを何回もあげていることが窺えま  す」

月「窺えるっていってもな………そのまま間に受けただけじゃないか」

L「つまり、キラもりんごが好きです」

月「好きとは限らないだろう」

L「疑り深いですね、月くんは」

月「いや、普通に考えればこんなの、キラが適当なことを吹聴しているだけだってわかるだろう。
 警察や捜査官を馬鹿にして喜んでいるだけさ」

L「どうもそんな感じでもないんですよねえ」

月「なぜ言い切れる」

L「勘………でしょうか」

月「世界的な探偵が持つ独特のもの、ってやつか?」

L「大げさなものではありませんよ。ああ、勘というよりも経験ですかね。キラは嘘をついていない気がするんです。
おっとと、あんまり『勘』とか『気がする』なんていう言葉ばかり言ってると私っぽくないですね」

月「そうだけど、今更だな」

L「ですね」

月「死神がリンゴだけを食べる、っていうのは何かの暗喩かもしれないな」

L「と言いますと?」

月「例えば『赤いもの』とかかな。普通に考えれば、死神が好むのはせいぜい、人間の生き血だろう。人の死を司るわけだからな。これも赤い」

L「意外と自然な発想かもしれません………しかしキラ事件とは関係が薄そうです」

月「うん?」

L「キラの事件では、血はあまり流れてません。死因は主に心臓麻痺ですから」

月「ああ、そうか」

L「死神が血を吸ったという形跡もありませんしね」

月「確かに、それに分野が違うか。どちらかというと吸血鬼だな」

L「ふう」

月「ん?」

L「りんご食べたい」

月「………」

L「そういう方針のssだったはずです」

月「どういう方針だよ」

L「真面目なお話は原作をご覧になればいいんじゃないですか」

月「投げやりだなあ」

L「りんご飴、というものが日本にはあるそうですね」

月「ああ、あるなあ。祭りとかで売っている」

L「祭りで?特別なものなんですか?」

月「スーパーで売っているのを見たことがないが………。うん、夜店にしかない」

L「やはりですか。どうも手に入らなくて………」

月「食べたかったのか」

月「お前、日本の祭りとか言ったことないだろ」

L「そうですね。普段は絶対に着ない浴衣を皆こぞって着込んでくるお祭りなのでしょう?」

月「うーん、そうだな。いや、男はそうでもないな」

L「まあ、それよりもりんご飴です」

月「僕は少し苦手なんだよ、りんご飴。あれはちょっと大きくて食べづらい」

L「食べにくいんですか」

月「たぶんな」

L「たぶん?」

月「いやあ、実際食べたことはないんだ」

L「えー」

月「あれどうやって食べるんだ」

月「リンゴが丸ごとあって、全体に飴がかかっているんだよな………食べにくいだろ」

L「手とかベタベタになりますね。そこはポテチと同じですが」

月「リンゴの丸かじりならわかるけど、ちょっと理解できない。食べにくさを増しただけのように思える」

L「食べ物の話で理解とか考える必要はないと思いますが………」

月「とはいっても、縁日の屋台で一番食べにくいものだろ」

L「うーん」

L「まあ、正直なところを言うとですね、私は食べたことあります」

月「本当か?」

L「りんご飴というのは、世界中にあるんですよ」

月「本当にか?」

L「本当です。タフィーアップルとか、ポム・ダムールとか………ドイツ語で「愛の林檎」という意味です」

月「言われてみれば、確かにシンプルで作りやすそうではあるな」

L「りんご飴が食べたくなってきましたね。お祭り行きましょうか」

月「キラ事件の真っ最中にか?」

L「キラ探しも兼ねて、です」

月「やめたほうがいいぞ、最近国会議員のゴルフについても国民から非難が飛んでだな、」

L「なんでも言ってきますねぇ。 私の国の人が聞いたら卒倒しますよ。 日本人は働きすぎ、とかいうレベルの話ではないです」

月「生真面目なんだよ。国民性なんだろう」

L「そういった気風に育まれて、キラは生まれたんですね」

月「関係あるのか、それ」

L「なんにせよ、りんごはヒントになるかもしれませんねえ」

月「………」

月(りんご飴か。祭りで、仮にりんご飴が視界に入るようなことがあったらどうなるだろう。リュークなら。
 おそらく飛んでいってかじり尽くすだろうな。注意しておかなければ)

L「そういえば禁断の果実、なのでしたっけ、アダムとイヴが………」

月「聖書か」

L「そうです。蛇にそそのかされ、食べてはいけないと神から言われていたのに、それを食べてしまい、二人は
 楽園から追放された………」

月「………神の代わりに死神がついたと?」

L「まあ、ひとつの仮説ですけどね。死神が好む果実」

月「リンゴだったか?」

L「はい?」

月「リンゴだという話は、それ以外ないという話はなかった気がするんだが、何か別のものじゃないのか?」

L「………確かに」

L「ミケランジェロは絵画で禁断の果実をイチジクとして描いています」

月「へえ、でもそれならイチジクなんじゃないのか?死神が食べるのは」

L「まあ色々あるんですよ。リンゴだという説もありますし、ブドウやトマトだという話もあります」

月「決まってないのか」

L「ええ」

月「なんだか、お前のしたくなかった『真面目なお話』になってきてないか?」

L「うーん、でも神話とか、月くん好きでしょう」

月「え?僕かい?いや別に」

L「だって新世界の神になるとか言ってたじゃないですか」

月「え、そんなこと言ったっけ」

L「言いました」

月「言ったかなあ、思っただけだったような、そうじゃないか?」

L「まあいいですけど」

月「いいのかよ」

L「リンゴには、向こうの言葉で『邪悪な』という名詞とスペルが一緒です」

月「話が戻ったな」

L「ブドウ………ぶどうについては」

月「ワインの原料だな」

L「そうですね。血を連想させるものでもあります」

月「まあ、赤いか。少し黒さがあるところも近いものがあるな」

L「あとは何でしたっけ………それなりにタフな植物らしいです。ブドウ。砂漠に近い気候でも育つとか」

月「そうなのか」

L「いや、丈夫とは言い切れないかもしれません………病害や害虫、そういったものに被害を受けることはあります」

月「昔だったら、死活問題だっただろうな」

L「悩んだでしょうね。害虫に悩んだ農家がある時、砂漠にブドウを植えることに成功。するとどうでしょう、あんなにひどかった害虫………日本で言う、イナゴのようなものです。その被害が、砂漠には全く訪れなかった」

月「砂漠のブドウは助かったわけだな」

L「死神と関係ないですけどね、あんまり」

月「トマトは?」

L「トマト、これも真っ赤です。毒々しいイメージは昔からあります」

月「確かに見た目はな」

L「ええ、昔は観賞用の植物だったんです」

月「すごいな。知らなかったよ」

L「意外と知らないこと多いんですね」

月「僕はトマト博士じゃないよ。大学も………なんだろう、農業大学でも通えばよかったかい?
  ああ、学科であったか………」

L「いやあ、一般常識として知っておいてもいいですよこれは」

L「トマトには毒があると思われていたんです」

月「すごい話だな………いや、でも真っ赤だからな、確かに刺激が強そうなイメージもある」

L「1500年代くらいまで、食べる人なんていなかったんですよ。今では考えられないですけどね」

月「最初にたべる人は勇気がいるだろうな」

L「食糧難で仕方なくトマトを食べるようになったんです」

月「今に至るわけだな」

L「毒だ、と考えるのにも一応理由はあったみたいです。とある毒草と、葉の形がかなり似ていたとか」

月「む、そりゃ確かに怖いな」

L「えーと、こういう路線でいいんですか」

月「うん?何が?」

L「こういうお話。食べ物のトリビアみたいな雰囲気でオッケーなんですか?」

月「まあ、いいんじゃないか?」

L「日常的ほのぼのアニメみたいになってきましたね」

月「4コマみたいだな。なんでだろう、食べ物の話ばかりだからか」

L「食べ物の話はなごみますね。そういえば最近、らきすたを見返してみたんですよ」

月「お前の口からそんなワードが出てくるとシュールすぎるな」

L「シュールですねぇ。 ぜひ原作のあの絵で脳内再生してください」

月「どのシーンだろう。『私はLです』って言っていた、あのコマとかか?」

L「いいですねー」

L「チョココロネって上から食べますか、下から食べますか」

月「どっちが上でどっちが下だったか」

L「あ、『頭か尻尾か』でしたね。らきすた風に言うと」

月「いや、らきすた風に推すというか、こだわる必要はないがな………」

L「私はチョコクリームが見えている方から食べます」

月「チョコクリームが見えている方からって………お前多分チョコクリームだけを食べたいんじゃないのか」

L「………夜神くん」

月「うん?」

L「よくわかりましたね」

月「それであってるのかよ」

L「チョコには頭を働かせやすくする物質が含まれています」

月「それとは関係なしに食べていそうだけどなお前は」

L「そうですねー」

月「チョコに含まれている、ブドウ糖か?」

L「いえ、ああ、それもありますけど、テオブロミンっていう成分らしいです」

月「へえ」

月「どんな成分なんだ、それ」

L「テオブロミンはあれです、カフェインの仲間?」

月「あー、うんうん、なんとなくわかった」

L「ゆるいなー、返事」

月「いや、正直、原作は結構疲れるからさ」

L「そうなんですか」

月「なんだろ、ずっと表情変えないのとかね」

L「………あー」

L「笑えば、いいと思うよ」

月「なぜ碇シンジ風に………」

L「接客業とか大変そうですよね」

月「その時は笑顔を大切にするさ」

月「………落ちるぞ」

L「何がですか?」

月「スレが。 まあ、お前もわかってるだろ実は」

L「ああ、それですか、そのことですか」

月「うん」

L「まあ、超低空飛行だなー、みたいに思っていましたが」

月「のんきだな」

L「落ちるときもゆるく落ちますよ」

月「上がらないんだ」

L「ラクガキみたいなものですからねー」

月「らくがきって………意外と知識披露したり、真面目な感じだったじゃないか」

L「私もそんなに詳しくないですよだって」

月「え、お前食べ物詳しいだろ」

L「いやあ、僕は世界的な探偵っていう設定なんで………あれ、探偵だっけ」

月「詳しいんじゃないのか、探偵なら」

L「探偵ですよ。でも食べ物博士じゃないんですよ、だから。 そこのところは月くんと同じですって」

月「ああ、そっか」

L「ぶどうの木とか、こないだ初めて見たくらいで」

月「見たのか」

L「ブドウの木って見ないです? 月くん」

月「見ないな………ブドウの木? どんな感じだ」

L「木っていうか、ツルですね、蔓」

月「ツル………うん、多分見たことないや」

L「天井になっている感じですよ。 うまく言えませんけど………あんまり木じゃない感じです」

月「想像できない………天井に?」

L「木というよりも、天井に………たくさんブドウがあって、蔓もある感じです。 木があるということに
 気づくのはそのあとでした」

月「………お、おう」

L「日本人はあんまり見たことないんですかね。 リンゴの方が見るんでしょうか」

月「………まあ、そうだな。日本はあまりワインなんていうものもないから、ブドウはあまりないだろう」

L「ああ、それに関東ですもんね」

月「うん」

月「小学生とかだとな、田んぼを見たことがないっていう子もいるらしいが」

L「都会っ子………ですね」

月「ブドウは天井になるっていうのか?」

L「いえ、天井というのがわかりやすいイメージで………実際には骨組み、ハシゴみたいなものに」

月「ああ、少しわかった」

L「木もあるんですが………私が見たのは随分細いものでしたね」

月「あれ、何の話だったっけ」

L「月くんがキラじゃないかって話」

月「違うよ………死神がりんご食べるかって、そういう話」

L「ああ、そこですか?」

月「明らかに食べ物路線だっただろ………キラの話あんまりしてなかったし」

L「りんごねえ」

L「りんごの丸かじりはワイルドな感じがして、悪役っぽいですね」

月「ああ、確かにまあ、あいつがいちご狩りとかしてたら笑うなあ」

L「うん?」

月「いちご練乳って上手いよな」

L「ですね」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年12月15日 (日) 22:53:10   ID: fQu-FaC5

なんか勉強になるな

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