勇者「魔物にも家族はいるんだよなぁ…」(306)

勇者「なぁ…」

ズバー

スライム「ぎやあああ」

勇者「多分恋人や友人、子供もいるかもしれない…」

ザクッ

オーク「グギャァァァ」

勇者「それを考えるとなぁ…」

ガシッ ズブリ

エルフ「い、いやぁぁぁ」

パンッパンッパンッ

勇者「あー辛い辛い」

ドプッ

勇者「ふぅ…」

エルフ「…」

勇者「さて、死体から金目の物を頂くかな」

エルフ「…外道」

勇者「あん?」

エルフ「外道め!呪われろ!呪われろ!地獄に堕ちろ!」

勇者「…はぁ」

テクテク

エルフ「お前なんかし

ザクッ

勇者「喋る便器なんて気味が悪いぜ」

勇者「ハッ…そもそもお前等が始めた事だろ。そんなありきたりな台詞、俺ァ何回言ったか忘れたよ」

ガサゴソ

勇者「うへぇ、汚ぇボロ布。あまり金にはならないな」

ガサゴソ

勇者「おっ、銀貨か。珍しいな」

ガサゴソ

勇者「うーん、ろくなモンがないな。骨折り損だなこりゃ」

勇者「大した金にならないだろうが、仕方ねぇ。換金してくるか」

・ ・ ・ ・ ・

~とある村~

勇者「道具屋で売るやで」

ガチャリ

勇者「おう、これ買ってくれや」

ドサリ

店主「…あんたか。またしょぼい物を持ってきたもんだな」

勇者「ぶっ殺した魔物が大したもん持ってなかったんだ」

店主「まぁうちは何でも買い取るさ…査定が終わるまで座っておれ」

勇者「あぁ」

勇者「…」

勇者「なぁ、ばあさん」

店主「ん、なんだい」

勇者「この村も、そろそろなのか?」

店主「…」

勇者「来る度に人の気配が無くなっている…というより、ばあさんの他にまだ残っている奴はいるのか?」

店主「さてね…命あってのものだねさ…皆、当てもなく北へ北へ行っているようだねぇ」

勇者「南より死の風来たりて滅びを呼ぶ…まさかあんな戯れ言を信じているのか…」

店主「さてね。どっちにしろ、何もしなけりゃ死ぬだけさね。いや、何かしても、もはや人間は…」

勇者「…そうか」

店主「おだてるつもりはないけど、あんたはよくやってるよ」

勇者「うん?」

店主「もうどうにもならない状況で、まだ勇者として使命を果たそうとしているんだから」

勇者「ははは、嫌味かい。弱い魔物を殺し、こうやって小遣い稼ぎをしている毎日だぜ?」

店主「まぁそう腐るない。あんたが魔物狩りをしてくれなきゃ、こんな小さな村なんて、あっという間に魔物の住処さ」

勇者「…ただの八つ当たりさ。どうしようもない状況を丸投げされた男の、な。やり場のない怒りを、魔物にぶつけているだけだよ」

店主「…そうかい。さて、全部で500Gだね」

勇者「え、そんなに?」

店主「…まぁ多少は色を付けてある。これが最後の買い取りだろうからねぇ」

勇者「そういう事なら…ありがたく頂戴するさ」

店主「こんな年寄りのババアがしてやれることなんて、これくらいさね」

勇者「ばあさん…」

店主「頑張れなんて言わないがね…死ぬんじゃあないよ…勇者」

勇者「…あぁ。じゃあな、ばあさん」

店主「あぁ」

ガチャリ

店主「…」

店主「あぁ…私の息子が生きていたら、ちょうどあれくらいなんだろうね…まだ若いのに、世界を背負わせるなんて…酷い話じゃあないかね…」

店主「神様も仏様も、案外優しくないものなんだろうねぇ…それとも、あるいは…」

ガタガタッ

ザワザワッ

店主「…」

店主「…やれやれ」

ガタガタ
ガタガタガタガタ

店主「もう、なのかい?」

ガタガタガタガタガタガタ
ブォン

店主「まったく…こんなババアを最後に連れて行くなんて、気が利かない死神だよ…まっt

ブォン!!!!
ザシュッ

ぼとり。

・ ・ ・ ・ ・

~とある小屋~

ガチャリ

勇者「ふぅ」

ガサゴソ

勇者「あの村も、か…もうこの辺に人が住む所は無いな…移住を考えなきゃな」

勇者「ちょっと気に入っていたんだけどな…まぁ仕方ねぇわな。また新しいとこ探すか」

勇者「と、その前に日課日課…」

ヌギッ

ボロン

フニャア

勇者「っと…」

ビジョン

勇者「空間映像…ループ再生…細木数子…」

ズバリイウワヨ!
ズバリイウワヨ!
ズバリイウワヨ!

ジゴクニオチルワヨ!

勇者「っ!」

ビンッビン…

勇者「はっ…はちきれるピーチぃぃぃぃぃん!」

ムクムクッ ペラップー

勇者「おしゃべりな肉棒だっぜ…!」

ペシッ

勇者「この!この!いやらしい肉棒だよ、あんたは!」

ペシッ ペシッ

勇者「ほら、こういうのがいいんだろ!?」

ペシッ ペシッ

勇者「はっ、はい!もっとくださいまし!」

一 人 二 役 !

シュコシュコ ピタッ

勇者「ぬっ、抜くべきか抜かざるべきか…それが問題だ」

ハァハァ

勇者「俺のボルテージ…いや、ボルテェジが高まってきただろ?」

勇者「は、はい!」

勇者「出しちゃえ」

勇者「出すんだ」

勇者「全ての精子を」

勇者「全ての勇気を」

勇者「受け継いで…」

勇者「がんばれ…負けないで…」

実は勇者は
多重人格者であった。
魔物を殺戮する日々に心は壊れ
いつしか幾人もの人格ができていたのである。

勇者「はっはー!」

勇者「やっ、やめてよ…」

勇者「ぐっ…あがっ…」

勇者「ひっ…だっ、まりぃ…」

ガクガク

?「おやおや、苦しそうだぬぇぇ?」

勇者「おっ、お前は―――」

【続く】

・ ・ ・ ・ ・

?「ひっひっひ…」

勇者「お前は、SK!」

説明しよう!
SKとは、シケモクババアの事である。
どの街にも一人は居る
シケモクを拾って集めているババアの事である!

SK「随分辛そうだぬぇ?」

勇者「お前には関係ないだれ」

SK「まぁそう言うない。手伝うぞよ?」

勇者「はっ…あいにくババアアレルギーでな。それとも俺に惚れて無料で抜いてくれるってのかい?」

SK「ふん、痩せても枯れてもわたしゃシケモクババアさ。体は売っても心までは売らないさ」


× SK
○ SB

勇者「さすがSB、噂通りの気高さだ」

SB「ひっひっひ…まぁ抜かなくていいなら用はないさね。またシケモクを拾うだけだね」

勇者「そうかい…まぁあんたも…いや、なんでもない」

SB「…もう会うことも無いだろうぬぇぇ」

ニマァ

勇者「!…そう、だな」

テクテクテク

SB「…行ったかえ」

フーッ

SB「難儀だぬぇぇ…勇者ってのは。降りたくても降りる事は許されないんだから」

ザワザワッ

SB「ん…」

ザワザワッ

SB「…はぁ、まったく。シケモクくらいゆっくり拾わせてくれんかn

ざん。

ザシュッ

ぼとり。

・ ・ ・ ・ ・

~とある村~

陳腐な青銅の鎧を着た二人。
首の無い死体が見つかったと聞きつけてやってきたのである。

?「ふぅ…例のごとくだな、戦士」

戦士「あぁ。しかし人間の首ってのはこうも綺麗に切断されるものかねぇ」

?「得体が知れないから死の風なんて呼ばれるのさ。猟奇殺人、自然現象、はたまた魔物の仕業か…誰も知らないんだから」

戦士「知った時は死ぬとき、か…まったく恐ろしいな、魔法使いよぉ」

魔「あぁ。まぁ研究所の奴らも本気で私達の調査を期待はしておらんだろうさ」

戦士「適当にやって貰うもん貰っておさらばしますか」

魔「だな」

魔「それにしても…」

戦士「うん?」

魔「いやなに、私達も随分落ちぶれたものだと、ね」

戦士「別に国の機関に使われる事が悪いことではないだろう?」

魔「しかしだな…よりによって国営研究所の依頼だぞ?」

戦士「まぁ…俺もいい気分ではないさ。俺達『英雄』は…奴らに恨みしか持っていないから」

魔「英雄、か…他の皆はどうしてるかな」

戦士「…そう簡単に死なない…いや、『死ねない』奴らばっかりだからな。なんとかやってるさ」

ポンポン

魔「ん…」

戦士「さぁ、さっさと済ましちまおうぜ」

魔「あぁ」

魔「…」

魔(死の風…魔物の進撃さえ退けたこの国が、こんな得体の知れないものに滅んでしまうのか)

魔(勇者…会いたいな…今、どこで何してるの…)

・ ・ ・ ・ ・

~そのころの勇者~

ズバリイウワヨ!
ズバリイウワヨ!
ズバリイウワヨ!

ロクセイセンジュツ!

勇者「だぶるぴぃぃぃぃぃす!」

ドプッ

勇者「はぁ…はぁ…」

日課の真っ最中でしたとさ。

【続く】

・ ・ ・ ・ ・

勇者「はぁ…ふぅ…」

ダツリョク

勇者「まったく、呆れるくらいにホソニーは最高だぜ」

勇者「一生で一度のワープを使ったくらい疲れた…少し寝てから、旅立つとするか」

ガクッ

勇者「zzz…」

シロメェ…

勇者「zzz…」

ガサガサッ

ガチャガチャ

?「鍵がかかってる…当たり前か…セイント~…セイッ、ヤッ!」

バキッ

?「他愛もない」

テクテク

?「匂いを辿ってきたから、たぶんここにいるはず…」

テクテク

?「勇者…勇者…」

テク…

?「あ、やっと見つけた…」

勇者「zzz…」

?「ふふふ…会いたかったわ…勇者…勇者…」

ニジリ ニジリ

?「はぁぁん…白目剥いて、立って寝てる姿も素敵ぃ…」

勇者「zzz…ンゴッゴゴッ」

?「イビキもワイルドだわぁ」

?「あぁ勇者…素敵…」

パチッ

勇者「…そいつぁどうも」

?「なっ…起きて…!?」

勇者「腐っても勇者だぜ?寝込みを襲われないように気配には敏感なのさ」

?「さすが、ね」

勇者「ん…お前は…なんだか見覚えが…」

?「あるはずよ」

ミミ ピョコピョコ

勇者「うーん…あっ、その尖った耳は…エルフ族か」

エルフ「正解。貴方の剣(意味深)で貫かれたエルフよ」

勇者「あー、あの時の。てか死んでなかったのか」

エルフ「私の父はゾンビなの。まぁいわゆるハーフエルフなの、だから何というか…まぁ不死だわね」

勇者「へぇ」

勇者「で、あの時の肉便器が何の用さ?」

エルフ「貴方の事が忘れられなくて…会いに来たの…ポッ///」

勇者「あらま。惚れられちゃったのね俺」

エルフ「うん、惚れちゃったの私」

勇者「あらあら」

エルフ「まぁまぁ」

勇者「でもあの時、随分暴言吐かれたんだけど」

エルフ「あー私サドかつマゾなんですよ。だから暴言吐いたら何かしら責めてくれるかなーと期待して」

勇者「うわぁ」

エルフ「いやー期待以上でした。レイプの後に容赦なく刺殺だなんて。勇者のやる事じゃないっスよね!」

ハァハァ

勇者「性癖は個人の自由だよ、うん…」

エルフ「まぁゾンビ体質な訳ですから、刺されても平気でしたし」

勇者「じゃああれは死ぬ演技だったのか」

エルフ「はい。テンション上がっちゃって、つい」

勇者「まぁ殺意マンマンだったしな、俺」

エルフ「あんな鬼気迫る顔で刺されたら、もうマンコジュンジュンですよ、神」

勇者「…で?」

エルフ「はいぃ?」

勇者「いや、そんな某特命係の感じで返されてもな」

エルフ「私、あんなボロ雑巾みたいな扱い受けたの初めてなんスよ…もう、更なる辱めを受けたくて受けたくて…貴方に会いに来ちゃったんスよ!」

勇者「へぇ」

エルフ「どうかお側に置いて…踏んで縛って叩いて蹴ってじらして吊るして…あらゆる苦痛、辱めを私に!」

ハァハァ

勇者「でもそれって俺の愛ではないよ」

エルフ「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~」

勇者「はぁ…変な奴だに゛ゃ゛あ゛…」

エルフ(なぜニャンちゅう声…)

勇者「まぁいいか、暇つぶしにはなりそうだし」

エルフ「じゃあ…」

勇者「ちょうど今からここを発つところだっだんだ。一緒に来てもいいぜ」

エルフ「ありがてぇ…ありがてぇ…」

勇者「やっぱ変な奴」

・ ・ ・ ・ ・

勇者「よっしゃ、行くか」

エルフ「おー」

勇者「…」

エルフ「ん、なんスか?」

ザザッ
ムンズ
チチ モミモミ

エルフ「あっ…」

勇者「…」

モミモミ クリッ

エルフ「んっ…」

オマメ~ クリクリッ

勇者「…よっしゃ、行くか」

エルフ「…ん」

テクテク

勇者「とりあえず北へ北へ」

エルフ「当ては無いんスね」

勇者「そうだなぁ。適度に活気がある町を見つけたら、しばらくそこを拠点にしようかと思うんだが」


エルフ「りょーかいっス」

勇者「♪フフフーフフフフンフフン」

キタヘー イコウ ランララン

エルフ「…」

勇者「♪フフフーフフフフンフフン」

エルフ「…」

勇者「♪フフフーフフフフンフフン」

エルフ「…」

そうしてなんやかんやで
小さな町に着いた。

勇者「人の気配がしない…皆町を捨て北上したのか」

エルフ「ちょっと待つっス…」

キィン

エルフ「探知魔法……あっ、生命反応あり。ひとつ、ふたつ…っスね」

勇者「へぇ、魔法使えるんだ」

エルフ「えっへんっス」

勇者「まぁエルフ族だから珍しくはないか…で、どの辺にいる?」

エルフ「んーと、あの角の赤い屋根の家っス」

勇者「よし、行ってみるか」

テクテク

テクテク

勇者「ここか」

コンコン

勇者「こんちわー」

コンコン

勇者「こんちわー」

コンコン

勇者「…」

シーン

勇者「出ないな…しょうがねぇ」

ゲシッ バゴッッ

エルフ「うわぁ、ドアを蹴破るとか乱暴すぎっス。勇者のやる事じゃないっスよね」

勇者「いやぁ、それほどでも」

エルフ「誉めてないっス」

勇者「それより中に入るぞ」

エルフ「おじゃましまっスー」

?「邪魔するんやったら帰ってー」

勇者「あいよー」

エルフ「っておぉい!」

勇者「関西人のノリでうっかり帰るとこだったぜ…ヒヤヒヤさせやがって」

エルフ「しょうもないコントに参加させやがって…ぶっ殺してやる!」

勇者「時々口調が荒くなるね君」

ダッダッダ

バタン

エルフ「ここか!出てきやがれ、ぶっ殺してやる!」

?「へぇ、やってみなよ」

エルフ「人間の女…ふん、下等生物め」

?「そういうあんたはエルフ族…下等生物ね」

エルフ「なっ…このアマぁ!」

ダダッ

?「…遅い」

ガシッ クルン フワッ

エルフ「へ?」

?「少し寝てなさい」

ゴキンッ

エルフ「あふぁ」

アワ ブクブク

テクテク

勇者「何だ何だ、騒がしいな」

?「…こいつの仲間か」

勇者「あ、エルフが泡を吹いて、まるで蟹みたいだぁ!」

?「安心してください、死んでますよ」

勇者「マジで?」

?「加減を知らなくてね、うっかり」

勇者「このド外道が~!!」

?「ふん、マーダーライセンスが無ければ殺しちゃいけないってのかい」

勇者「まぁ、問題ない。そいつ、死なないから」

?「なんだって?」

エルフ「…」

パチッ

エルフ「ぶはぁぁぁ!」

?「なっ…生きて…」

エルフ「あー死ぬかと思ったっス。実際死んだ訳っスけど」

?「どういうことなの…」

エルフ「私はゾンビ体質…まぁ正確には蘇生魔法の重ね掛けっスね」

勇者「そういう事」

エルフ「それにしても乱暴っスね。初対面でいきなり首の骨を折るなんて」

?「すまぬ」

・ ・ ・ ・ ・

勇者「なるほど、あらゆる武術の黒帯保有者か」

エルフ「だからあんなに鮮やかに絞め殺されたんスね」

黒帯「柔術、空手、ありとあらゆる黒帯を所持している。まぁ自慢じゃないがね」

フフン

勇者「で、この町についてなんだが…」

エルフ「そうそう、私の探知魔法では、二人分の生命反応があったんスけど」

黒帯「あぁ…それは…」

黒帯「私一人で二人分、だからだ」

エルフ「はぁ?」

勇者「何言ってはりますん?」

黒帯「一つの肉体に二つの魂…訳あって、私の中にはもう一人の魂が宿っているのさ」

エルフ「へぇ」

勇者「そんな事が…あるのか」

黒帯「彼女は気まぐれでね。めったに表には出てこない。普段は私が主なんだ」

エルフ「彼女…じゃあもう一人も女性なんスね」

黒帯「あぁ。自由気ままで流れる雲のような性格さ」

勇者「女性…」

ビンッ

エルフ「このタイミングで勃起とか」

黒帯「うけるwww」

勇者「チンポジ直そ」

ゴソゴソ

勇者「うっ、はっ…よっ、あっ…」

ビクッ ビクッ

勇者「…ふぅ」

エルフ「チンポジ直してたら、うっかり射精するとか」

黒帯「引くわー」

勇者「人は何故争うのか…」

エルフ「めっちゃ賢者モードやんけ!」

黒帯「おいイカ臭いぞテメー!」

勇者「あぁ?死んだぞテメー!」

黒帯「テメーこそ明日の朝刊載ったぞコラァ!」

エルフ「何故二人ともやっすいヤンキー口調なの…」

勇者「ヤンキー漫画はチャンピオンよりマガジン派!」

黒帯「私も!」

ガシッ

勇者「…へっ」

黒帯「…ふっ」

エルフ「なんだか分からんが…とにかくよし!」

【続く】

~前回までのあらすじ~

イカ臭いとか栗の花とか
最初に言い出したのは誰なのか
メモリアルが駆け抜けてゆく!
・ ・ ・ ・ ・

エルフ「今時誰が分かるネタなんスか…」

勇者「誰と話しているんだ」

エルフ「あ、いや独り言っス」

勇者「じゃあ、この町にはもう君…君達しか残っていないのだな」

黒帯「あぁ。皆、死の風の噂に怯え、北上したよ」

勇者「やれやれ…」

エルフ「この先どの町も同じの様な気がしてきたっス」

黒帯「だろうな。とにかく北へ北へ…そうするしか死の風から逃げる術はないんだから」

勇者「まいったね、どうにも」

勇者「北…ふむ」

エルフ「どうしたんスか」

勇者「皆が北へ行くなら、行き着く先はどこか、と考えてな」

エルフ「いづれは安全な場所で落ち着く必要があるっスもんね」

黒帯「と、なるとだ」

勇者「うん。あそこしかないだろうね」

エルフ「どこっスか?」

勇者「この大陸の最北端…科学、魔術、錬金術…あらゆる技術が集結した、この国の発展の象徴…」

エルフ「国営研究所…スか」

勇者「皆あそこならなんとかしてくれる、と思ってるんじゃないかな」

黒帯「国民全員を収容できる大規模地下シェルターもあるって話だからな…人々が助けを求め向かっている可能性はある」

エルフ「うへー、国営研究所ってそんなにすごいとこなんスね」

勇者「まぁそれが良くも悪くも、な…まぁそんな事は今どうでもいい」

黒帯「では君達は国営研究所を目指すんだな?」

勇者「まぁ、気乗りはしないが…行ってみるかね」

黒帯「では、私も同行させてくれないか」

勇者「ん?」

黒帯「色々あってね…この町で死の風を待つのも悪くない。そう思っていた所だったが、気が変わった」

エルフ「ん?」

黒帯「君に何か、生きるエネルギーのようなものを感じた。上手く説明できないが、ようするに私は君に惹かれたようだ」

勇者「へぇ、物好きなこって」

勇者「まぁ好きにしな」

黒帯「あぁ、好きにする」

ギュッ

勇者「ん?」

黒帯「言っただろ、君に惹かれたのさ」

勇者「ん?」

黒帯「まったく鈍いな君は…一目惚れというやつさ!」

勇者「へぇ…」

エルフ(なんやこいつ積極的やんけ…!)

勇者「…一目惚れねぇ」

ムンズ チチモミモミ

黒帯「んっ…」

勇者「…言っておくが俺は外道だぜ?」

フクビリビリ

黒帯「構わないさ」

勇者「…変な奴」

ヌギッ ボロン

フニャァ

黒帯「きゃあ、しめじ!」

勇者「だだだだ誰がしめじやねん!松茸やっちゅーねん!」

エルフ「…侮らない方がいいっスよ黒帯さん。それ、膨張率パないっスから」

勇者「そういう事だ…!」

ビジョン

黒帯「空間映像…一体何をする気だ?」

勇者「お気に入りフォルダより展開…動画…再生…」

ワンワン
イヤー
ワンワン
ヤメテー

黒帯「なっ…これは獣姦もののAV!?」

勇者「今日はちょいと気分を変えて…ワンワン大行進といこうか!」

ムクリ
ギギギッ…ギンッ
バチッ バチッ

黒帯「で、電気…?」

勇者「スーパーサイヤ人の回りに発生する、あのバチバチしてる奴だ…俺の股間は今、スパーキングしてるからな」

 
 
このあと滅茶苦茶ファックスした。

・ ・ ・ ・ ・

黒帯「ハァ…ハァ…」

勇者「ふぅ…」

黒帯「用紙を出したり入れたり…実に快感だったぞ」

エルフ「まさか本当に滅茶苦茶ファックスするとは」

勇者「白いのが入って、出るんじゃよ?」

エルフ「まぁ間違っちゃいないスけどね」


なんやかんやで
黒帯が仲間に加わった。
珍妙な三人旅と相成りまして
さてさて、これからどうなることやら…

【続く】

~今更なキャラ紹介~

【勇者】
だいたい二十歳
酒も煙草も博打も女も大好き
まさに飲む打つ買うの昭和男
顔はフツメン、体型も平均的
股間はしめじ

【エルフ】
名の通りエルフ族
父がゾンビなので彼女もゾンビ体質
顔は美人 スタイルグンバツ
サドマゾ

【黒帯】
人間の女
あらゆる武術を極めている
顔は残念 体型は柔道家のそれ
学生の頃のあだ名は
「顔面性器」
「イボイノシシの死体」

・ ・ ・ ・ ・

勇者「じゃ、そろそろ行きますか」

顔面性器「あぁ」

エルフ「北へ」

キタヘー イコウランララン

エルフ「だから誰が分かるんスか今更」

テクテク

顔面性器「ここからだと国営研究所まではなかなか遠いぞ」

勇者「どのくらいかかる?」

顔面性器「そうだな、二週間以上の長旅になると考えた方がいいな」

エルフ「うへぇ、遠スギちゃん」

顔面性器「ワイルドだろ?」

エルフ「てかいつまで顔面性器の表記なんスか」

顔面性器「無論、死ぬまで」

キリッ

エルフ「いいんスか?」

顔面性器「あ、嘘。ごめん、早く元に戻して」

エルフ「やれやれだぜっス」

黒帯「おっ、戻った」

勇者「何やってんのお前ら…」

エルフ「黒帯さんの悪ふざけっス」

勇者「遊んでンじゃねぇぞ…国営研究所に近づくほど警備は厳しく、魔物は強くなる。気を抜いたら命を落とす事となるぞ…分かったかイボイノシシの死体!」

イボイノシシの死体「は、はひぃ!」

ジョロロロロ

エルフ「うわっ、こいつビビってもらしよった!」

勇者「アンモニア臭いね、まったく」

黒帯「すまぬ」

エルフ「どこか水場を探さないっスか。そろそろ体臭が気になりだした頃っスよ」

黒帯「賛成。常に綺麗にいたいのは女性の性だ」

エルフ「ブハッ」

黒帯「何故笑う」

勇者「まぁ確かに。行水したい年頃だよな」

エルフ「いや年頃というか単純に体を洗いたいんスが」

勇者「少し早いが野営の準備もかねて水場を探すか」

エルフ「了解っス」

黒帯「早く体を洗いたいのだけれど」

エルフ「では私が探知魔法で探すっス」

勇者「便利だな探知魔法」

エルフ「んー…ムムッ…!」

ピキュリィィィン

ラクテンカードマーン!

エルフ「ここから北西の方角、約500歩…くらいスかね」

黒帯「よし、急ぐぞ!」

勇者「あんまバタバタ走るな。アンモニア臭が広がる」

黒帯「アッ、ハイ」

テクテク

勇者「あった。けっこう大きな湖だ」

エルフ「水も澄んでいて綺麗っス。生活用水の分を確保したら、さっそく水浴びっス!」

黒帯「ひゃっほう!」

勇者「お前は最後な」

黒帯「アッ、ハイ」

・ ・ ・ ・ ・

エルフ「で」

勇者「なんやかんやでスッキリしたぜ」

黒帯「あのぅ、そろそろ私も水浴びしてよかですか?」

勇者「しばしまてぃ」

黒帯「アッ、ハイ」

パシャパシャ

エルフ「あはは」

パシャパシャ

勇者「うふふ」

黒帯「…なんかイチャつきだしたんですけど」

エルフ「こっちこっちー」

パシャパシャ

勇者「お待ちなさーい」

キャッキャ

黒帯「チッ、早よあがれや」

勇者「あァん!?」

黒帯「アッ、ナンデモナイデス」

勇者「チッ、興醒めや。上がるで」

エルフ「空気読めよなっス」

テクテク

黒帯「え、何?私が悪いのか?」

・ ・ ・ ・ ・

【黒帯のサービスタイムはっじまるよ~】

黒帯「久しぶりの水浴びだ」

チャプ…

黒帯「ふぅ」

パシャッ…ツゥ…

滴る水滴はまるで
朝露のようで
濡れた唇はまるで
今咲いたばかりの薔薇のようで

ピチャッ…

黒帯「いい気分だ。心が落ち着く」

まさに柔道家の体型である黒帯。
彼女の艶めかしい肢体は
十分に水分を浴び
ダイヤモンドの様に輝く。

てらり
てらり

割れた腹筋の溝に水滴が流れ
湖へと帰る。
基礎代謝の高い黒帯である。
肌に纏った水が熱を帯び蒸発するのは
当然の事なのだ。

ゆらり
ゆらり

黒帯の水浴びはまだ続く…

 
 
オェッ
 
 
ゲロー

エルフ「いい加減にするっス!食事中の人もいるんっスよ!」
黒帯「なっ…それではまるで私の水浴びシーンがゲロカスみたいではないか!」

勇者「いや、ゲロカスだろ」

黒帯「…」

勇者「いや、ゲロカスだろ」

黒帯「二回も言った」

エルフ「ゲロカスっス」

黒帯「おいスッススッスうるせぇぞ阿婆擦れ」

こうしてなんやかんやで
水浴びによりリフレッシュした勇者一行。
ただ一つ言えるのは
黒帯のサービスタイムは不要という事である…

【続く】

・ ・ ・ ・ ・

勇者「日が暮れる前に野営の準備だぜ」

エルフ「説明的なセリフぅーっスね」

黒帯「この辺ならドラゴンゾンビが捕まえやすいぞ。しかも美味い」

勇者「おぉ、ドラゴンゾンビ!俺の好物だ」

エルフ「ゾンビと名の付くものには若干抵抗があるっスが…まぁいいっス」

黒帯「たいした強さでもないからな。私が行って捕ってくるよ」

勇者「よろ」

エルフ「しく」

テクテク

黒帯「この辺の沼地ならいそうだな」

テクテク

黒帯「お、いたいた」

DZ「でろーん」

黒帯「かなりのサイズだ。これは特に美味いに違いない!」

ダダッ

黒帯「お命頂戴!」

DZ「でろっ!?」

チャキッ

黒帯「死にさらせ」

バンッ バンッ バンッ

黒帯がどこからともなく取り出したのは拳銃。
それから放たれた弾丸は
ドラゴンゾンビの柔らかい眉間を
いとも簡単に撃ち抜いた。

DZ「で…ろん…」

バタリ

黒帯「やったぜ」

黒帯「これだけでかければ、塩焼きでも美味そうだな。煮込むも良し、薫製なんかもいいな。あぁ、あと皮は湯がいて酢味噌…いや、七味ポン酢も捨てがたい」

黒帯「目玉は思い切って生で食べるのも一興だな。その周りの肉は薬味と和えるとたまらない…尻尾はスープにすれば絶品だし、残った骨は砕いて髄をすする楽しみもある…」

黒帯「牙は半月ほど糠に漬ければ食べられる事を知っている者は少ない。あれこそ知る人ぞ知る珍味なんだよなぁ…」

・ ・ ・ ・ ・

ズルズル

黒帯「ふぅ、重い」

ズルズル

黒帯「おぅい、戻ったぞ」

勇者「うぉっ!」

エルフ「でけぇっス!」

黒帯「さっそくだが調理に取りかかろう。ドラゴンゾンビは鮮度が命だ」

エルフ「もう腐ってるっスけどね」

黒帯「まずは聖水でドラゴンゾンビを洗おう。この行程をしっかりするか否かで味に大きく影響するからな」

エルフ「うっス」

黒帯「私の荷物に聖水があった筈だ。取ってくるよ」

勇者「いやぁしかしでかいな」

エルフ「これは豪華な夕飯になるに違いない」

黒帯「持ってきた、聖水だ。これを全体にかけて…」

パシャパシャ

黒帯「よくなじむようにすりこんでいく…」

ギュッギュッ

黒帯「すると表面のヌメリが取れる…ほら、綺麗な紫色の皮が見えてきた」

エルフ「本当っス。綺麗っス」

黒帯「さぁこのサイズだ。君達も手伝ってくれ」

勇者「合点!」

エルフ「分かったっス!」

ギュッギュッ
ギュッギュッ

エルフ「おぉ、ヌメリがみるみる取れていくっス」

勇者「こうやって下拵えをしたのは初めてだ」

黒帯「市場には調理した肉が出回っているからな。実際この手間を嫌う者は多い」

黒帯「だが苦労するだけの味は保証しよう。やはり新鮮なドラゴンゾンビ肉は美味いのだよ」

エルフ「美味しいご飯の為ならエンヤコラっス」

ギュッギュッ

勇者「揉むぜ~超揉むぜ~」

ギュッギュッ

そしてなんやかんやで
下拵えを終えた。
それを黒帯は慣れた手つきで捌いていく。

黒帯「まずは定番の唐揚げだ。そして皮の湯引き…米があるから、炊き込みご飯も作るかな」

勇者「ひゃっほう、いいね」

エルフ「楽しみっス!」

黒帯「おいおい、手伝ってくれよ?」

エルフ「もちろんっス」

こうしてなんやかんやで
いくつものドラゴンゾンビ料理ができた。
いよいよ、実食ッッッ!

【続く】

・ ・ ・ ・ ・

【唐揚げ】
【塩焼き】
【皮の湯引き】
【炊き込みご飯】
【テールスープ】

全てドラゴンゾンビ料理である。

勇者「美味そうだァ…」

ジュルリ

エルフ「豪華っス!ご馳走っス!」

黒帯「いいドラゴンゾンビだったからな、つい張り切ってしまったよ」

勇者「いやいや、最高ですよ黒帯さん」

エルフ「旅をしながらこんなに豪華な食事ができるなんて夢のようっス」

黒帯「喜んでもらえて何よりだ。さ、食べるとしよう」

勇者「いっただっき」

エルフ「むぁぁぁぁぁす!」

ガツ!
ガツガツ!
ガツガツ!
ガツガツ!

勇者「トリーーコ!」

エルフ「美味いっス!」

黒帯「うむ、我ながら上出来だ」

勇者「皮がコリコリしてたまらん!この七味ポン酢がまた泣かせるね」

エルフ「私、皮といったら酢味噌だったスけど、これもいいっスね」

黒帯「うむ。これだけ分厚いと酢味噌では野暮ったい味になる。ポン酢の爽やかさが絶妙なのさ」

エルフ「七味もいいアクセントになってるっスね」

黒帯「酸味と辛味のコントラストだよ」

勇者「唐揚げは噛むほどに肉汁が溢れ…ホフッホフッ…あぁ、幸せ…」

エルフ「塩焼きは素直な旨味が直撃してくるっス。旨味の暴力っス!」

黒帯「テールスープは優しい味だ…あんなグロテスクな姿からは想像できない良い出汁が出ているよ」

勇者「むほほ!炊き込みご飯は…たまりませんなぁ!」

エルフ「米の一粒一粒に味が染みて…何杯でもいけるっス!おかわりっス!」

黒帯「あぁ、たくさん食べてくれ。作った甲斐があるってものだ」

・ ・ ・ ・ ・

勇者「ハラぁ、いっぱいだぁ…」

エルフ「お腹ポンポンっス」

黒帯「いやはや、食べ過ぎたよ」

勇者「腹が満たされたら、眠くなってきた」

エルフ「そっスね」

黒帯「まだ先は長い。今日はもう体を休めよう」

勇者「そう…だな…そ…し…よ…」

エルフ「さんせ…い…っス…」

バタリ

勇者「zzz…」

エルフ「zzz…」

黒帯「…」

グッスリ

黒帯「く…くくっ…」

黒帯「ははは…」

テデ カオヲ オオッテ

黒帯「はーっはっはっは!」

黒帯「これが勇者だと!?他愛もない!まるで警戒心が無い!」

黒帯「これが睡眠薬でなく毒薬だったら死んでいたぞ…まったく間抜けな勇者もいたものだな!」

黒帯「こんな奴を何故恐れるのだ…あのお方は…」

テクテク

黒帯「まぁいい。私の仕事はここまでだ」

ユビ パチン

ザザッ ザザッ

?「お呼びで」

?「ありますか」

黒帯「女騎士にオーク…こいつらを縛れ」

女騎士「御意」

オーク「仰せのままに」

ガサゴソ

女騎士「秘技…亀甲縛り!」

ザザッ クルクル ギュッ キッ

オーク「ひぎぃ」

黒帯(秘技とひぎぃをかけているのか…)

プッ クスクス

オークは しばられた!

オーク「ちょっとぉ~」

女騎士「しまったまちがえた」

黒帯「遊んでるんじゃあないよ」

女騎士「さぁ仕切り直して…秘技、亀甲縛り!」

シュルルル ギュッ キッ

黒帯「ひぎぃ」

女騎士「しまったまちがえた」

黒帯「ちょっとぉ~」

女騎士「しまったまちがえた」

オーク「だがこれは…」

ギシッ

オーク「あ、荒縄が…食い込んで…んっ…」

ギシッ ギシッ ギシッ

オーク「きもち…よ…く…」

ギシッ!

オーク「オークいっちゃうにょるぉぉぉぉぉ!」

ジョバババババ

アンモニァ…

女騎士「まるで琵琶湖だわ」

黒帯「尿の湖か…言い得て妙だな」

オーク「うっうっ…もらしちまった…恥ずかしい…俺ァ恥ずかしいよ…」

女騎士「恥じることは無い。むしろ漏らせ!」

ニカッ

オーク「女騎士はん…」

黒帯「おっと小芝居はそこまでだ。早く奴らを縛れ」

女騎士「御意」

シュルルル ギュッ キッ

勇者「zzz…」

シュルルル ギュッ キッ

エルフ「zzz…」

黒帯「ふはは、これでよい」

オーク「で、黒帯の姐さん。こいつらをどうするおつもりで?」

黒帯「そこのエルフはどうでもいいとして…こいつは、あの名高い勇者さまだ」

オーク「なんとぉー!」

女騎士「…」

黒帯「と…貴様は知っているんだったな、女騎士」

ニマァ

女騎士「…えぇ」

黒帯「かつての仲間を縄にかけた気分はどうだ?」

ニヤニヤ

女騎士「…」

ギリッ…

オーク「お、女騎士はん…」

黒帯「ははは!いい顔だ!たまらんのだよ私は。そういう悔しそうな顔を見るのが、大ぃ好きなのさ」

女騎士「…」

女騎士(私は…こうするしか…勇者…すまない)

黒帯「さぁ、そいつらを連れてい…ん?」

勇者「…っふふ」

エルフ「…あはは」

ナワ ヌケー

女騎士「なっ…私の秘技・亀甲縛りを抜け出すだと!?」

勇者「ぬるくなったなァ、女騎士…それとも魔王側に下った罪悪感か?」

女騎士「貴様っ…」

エルフ「こんなものが亀甲縛りだなんて、ちゃんちゃら可笑しいっス。本物の亀甲縛りってのは…」

シュルルルルルルルルルルル ギギギシッ

オーク「ひ!」

女騎士「ぎ!」

黒帯「い!」

エルフ「こうやるンスよ」

黒帯「貴様等…はじめから寝たふりだったのか」

勇者「たりめーだ。仮にも勇者があんなマヌケな捕まり方するかよ」

エルフ「勇者でなくても、あんなマヌケな捕まり方しないっス」

女騎士「くっ、不覚…」

オーク「あっ、荒縄が…気持ちいい…」

黒帯「女騎士、この失態はでかい…魔王様に報告するぞ。せめて尻拭いは自分でするんだな」

ボワァ

エルフ「黒帯の体が…」

サラァ

勇者「し、塩に…?」

女騎士「これは黒帯様の塩人形…傀儡さ」

エルフ「塩の傀儡なんて初耳っスよ…」

勇者「さすが魔王軍…得体が知れねぇ」

オーク「んっ、んっ…」

ムズムズ

女騎士「自慰は止せ、まだな」

・ ・ ・ ・ ・

勇者「で、だ」

エルフ「はいはい」

勇者「女騎士、色々訊きたいことがある。無理強いはしないが俺が拷問のプロである事を忘れるなよ」

女騎士「…何を訊きたいんだ?」

勇者「まずは…今世間を騒がせている死の風についてだ」

女騎士「死の風…確かにそう呼んでいる奴もいるな」

勇者「その口振りだと、詳しく知っているな。死の風ってのは、何だ?魔王軍が何かやっているのか?」

女騎士「…あれは魔王様の術さ」

勇者「やはり…魔王め、ついに人間殲滅に本腰を…」

女騎士「勘違いしている」

勇者「何?」

女騎士「お前…お前等は勘違いをしている」

勇者「どういうこった?」

女騎士「…」

勇者「答えろ…答えろォ!」

・ ・ ・ ・ ・

黙り込む女騎士。
隙あらば自慰をすると言わんばかりのオーク。
なんか暇なんで、いつの間にかPSPやってるエルフ。

果たして死の風とは一体何なのか…

【続く】

~前回までのあらすじ~

オークは亀甲縛りによりほぼイキかけているのだった。

・ ・ ・ ・ ・

勇者「勘違いしている、だと?」

女騎士「人間共が死の風と呼んでいるあれは…魔王様のあの術は…救いだ」

勇者「あァん!?」

エルフ「でも実際に死人がたくさん出てるっス。首の無い死体がたくさん…」

女騎士「だから、それは魔王様のせいではないのだ」

勇者「えぇい、詳しく話せぃ」

女騎士「首の無い死体…あれは人間自身が撒いた種…自業自得なのだ」

勇者「自業自得…だァ?」

女騎士「愚かな研究機関が、ある一体の凶暴なモンスターを造りだした…魔物を捕らえ、配合・合成・遺伝子操作を繰り返し…その悪魔の所業により生まれたのが」

エルフ「生まれたのが?」

女騎士「合成獣キメラ…研究者どもはアリスと名付けた」

勇者「…おい、その愚かな研究機関ってのは」

女騎士「あぁ、国営研究所だ」

勇者「…やれやれ、予想通りというか何というか」

女騎士「アリスは人間が制御できるようなものではなかった。暴れに暴れ研究所から逃げ出したのさ」

女騎士「やがて腹を空かせたアリスは、肉を求めて人間を襲い始めた。不思議な事に彼女は、人間ばかり襲い、その頭部のみを食べた」

勇者「じゃあ、今までに見つかった死体は…」

女騎士「アリスに食われた人間共さ」

エルフ「でも、死の風ってのは南からどうたらこうたらとか…」

女騎士「アリスが生まれたのはこの大陸南方にある研究所の支部だったんだよ。何故北上しているかは分からんがな」

勇者「つまり」

勇者「そのアリスっていう化物が南方の研究所から逃げだし、北上しながら人間を食べまくってるって話か」

女騎士「あぁ。それが死の風の真実だ」

勇者「なるほどねェ…」

エルフ「んー、じゃあさっき言っていた救いってのはどういう意味なんスか」

女騎士「それはだな…」

ギシッ ギシッ

女騎士「…」

ギシッ ギシッ

オーク「ハァ…んっ…」

ギシッ ギシッ

オーク「あぁ、とまどい、ためらい、やがて、はっしゃされる…いくおくのたましい、はぜる…!」

オーク「いあ、いあ!はくだくせしたましい!みたせ!みたせ!みたせ!みたせ!みたせ!」

ブルッ

オーク「うなーーーーー!!」

バビッビュルルルルル!
パワーウイング!
ロングバレル!
ヘビーボム!

勇者(まるでこの射精音は…まるで、まるで…!)

こうしてなんやかんやで
色々な事が判明したっぽい。
ついでにオークは
爆球連発しそうな勢いで果てた。

ちなみに平均的なオークの一回の発射量は
ワイングラスを満たす程度である。

【続く】

【前回まであらすじ】

オークの精子はねばつく。
上質の餅のようにな…

~精子ソムリエ、女騎士~

・ ・ ・ ・ ・

エルフ「ハイ、ニイ、ヤッ!」

勇者「わかったぞ、わかったぞ、わか…」

女騎士「…いったいどうしたんだ」

勇者「気にするな」

エルフ「気にしないでっス」

勇者「それより話の続きだ」

女騎士「そうだったな」

エルフ「死の風の正体がアリスっていう化物だってのは理解したっス。でも女騎士さんの話では、それとは別に魔王が何かしてるって事っスよね」

勇者「それを訊かせて貰おうか」

女騎士「…魔物様は、アリスに殺される人間共を哀れに思い…救いの手を差し伸べたのだ」

勇者「えぇい、まるで意味が分からんぞ」

女騎士「ここより南方の町は、既に人が居なかったであろう?」

勇者「あぁ、皆北へ逃げ…」

女騎士「違うのだよ」

勇者「うな?」

女騎士「いくら皆が北へ向かったとしても、突然過ぎるとは思わないか?」

勇者「た、確かに」

女騎士「人々が急に居なくなったのは…魔王様の術によるものだ」

エルフ「なんとぉー!」

女騎士「魔王様は、転送魔法を霧に纏わせた。その霧に触れた人間は、安全な場所へ転送されるのさ」

勇者「安全な場所?」

女騎士「それがどんな化物であろうと、屈強な戦士であろうと、巨大な嵐であろうと…決して立ち入る事はできない…それが、それこそが、魔王城だ」

女騎士「絶対不可侵の場所…魔王城。この世で一番安全な場所に違いないだろう?」

勇者「た、確かに」

女騎士「魔王様はその霧をこの大陸の南方から北上させている。アリスに襲われる前に魔王城へ人間共を逃がすためにな」

エルフ「魔王って変わり者なんスねぇ」

勇者「なんスねぇって…お前も魔物だろう、魔王の配下じゃないのかよ」

エルフ「いやー私くらい下っ端になると魔王なんて関係ねぇっスよ」

女騎士「うむ。魔王様は魔物を従えている訳ではない。共に歩む仲間だと考えている。人間共のプロパガンダのせいで随分悪者にされているだけだ」

勇者「そうなのか」

女騎士「あぁ。故に惹かれる者が後を絶たぬ。魔物も、人間も…種族を問わず魔王様を慕い集うのだ」

エルフ「ひゃー、まさにカリスマっスね」

勇者「カリアゲスマイル?」

エルフ「いや、カリスマ」

勇者「カリアゲスマイル?」

エルフ「意味知らんならスマホで検索せぇやボケナス」

勇者「口悪いね君」

・ ・ ・ ・ ・

ズズッ

勇者「…」

エルフ「…」

女騎士「…」

勇者「なぁ」

エルフ「はい?」

勇者「何で俺達のんびりコーヒーなんて飲んでんだ?」

エルフ「やだなぁ忘れたンすか。とりあえず落ち着いて話ししようって行きつけの喫茶店まで連れてきたのは勇者さんっスよ」

勇者「そう、だったか…?」

エルフ「そうっス」

勇者「頭がボンヤリしてる…まるで数ヶ月の間記憶が飛んだような…」

エルフ「気のせいっスよ」

勇者「そうかな」

エルフ「そうっス」

勇者「そういやオークは?」

女騎士「あいつは店の外で待機させている。店内で射精されても困るからな」

勇者「あ、さよか」

エルフ「一応魔物としてフォローしておきますけど、全てのオークがあんなんじゃないっスからね。あのオークがど変態なだけっスからね」

女騎士「いや、オークってあんなんばっかだぞ」

エルフ「や、まぁ、確かに性欲強いっちゃ強いスけど…さすがにあんなんばっかでは」

女騎士「いや、あんなんばっか。オークに詳しい私が言うのだから間違いない」

エルフ「oh…同じ魔物としてまことに遺憾であるっス」

女騎士「亀甲縛りさえちゃんとしておけば害の無い奴らさ」

エルフ「いや、精液まき散らすのってめっちゃ害っスよね」

女騎士「むしろ浴びたい」

エルフ「おめぇーの性癖だろうが!」

女騎士「むしろ飲みたい」

エルフ「知らん!知らんっス!」

勇者「さて、じゃれあうのはこの辺にして」

エルフ「別にじゃれあっていた訳じゃないっスけどね」

勇者「女騎士の話をまとめるか」

エルフ「えぇと、確か…」

・国営研究所が生み出した合成獣キメラ 通称『アリス』
・アリスは人間の頭だけを食べるグルメさん
・アリスは南から北へ移動している

・死の風の正体は転送魔法を霧に纏わせたもの
・転送先は魔王城
・魔王は魔物も人間もまとめてアリスから助けようとしている

エルフ「結局、人間のせいなのねっス」

勇者「そうなのね」

女騎士「ウォッチッチ!」

勇者「しっかし、国営研究所はろくな事をしないなぁ」

エルフ「魔王も物好きッスね。人間の自業自得なのに」

女騎士「そこが魔王様の素晴らしい所だ。魔物も人間もわけへだてなく救いの手をさしのべる…救世主なのよぉ!」

勇者「ずいぶんとお熱だねぇ。まだ分からんでもないさ。こんなんじゃ人間を見限りたくもなるよな」

女騎士「…」

勇者「別に責めてる訳じゃない。お前にはお前の考えがあったんだしな」

女騎士「だが…私が勇者達を裏切ったのは事実だ」

勇者「あの時は突然で頭の整理がちゃんと出来ていなかったんだ…皆な。仮にも苦楽を共にしてきた仲間だった訳で」

女騎士「…」

勇者「だからそんな顔をするな。申し訳ないと思うんなら今度会った時、魔法使いにちゃんと話してやれ。一番ショックを受けていたのはあいつだから」

女騎士「あぁ…分かった」

勇者「…」

女騎士「…」

エルフ「…」

プクー

勇者「どうしたエルフ、そんなにむくれて」

エルフ「なーんか私、蚊帳の外って感じっスー」

勇者「あぁ、かまって欲しかったのか」

エルフ「べーつにそんなんじゃないっスけどねー」

プクー

勇者「あらあら…ご機嫌斜め」

女騎士「そろそろ出ようか。これ以上オークを待たせるのも悪いし」

勇者「そうだな」

エルフ「はーいっス」

勇者「じゃあ女騎士、お勘定よろ」

エルフ「しく」

女騎士「えっ」

女騎士は渋々支払った。

【続く】

~今更なキャラ紹介②~

①は>>100を参照

【戦士】
かつての勇者の仲間。
屈強な肉体と頑丈な尻穴を持つ豪傑。

【魔法使い】
かつての勇者の仲間でロリ要員。
今は戦士と共に国営研究所に雇われ調査員をやっている。

【女騎士】
かつての勇者の仲間でなんか裏切ったっぽい。
亀甲縛りの達人。

【オーク】
縛られ名人。

・ ・ ・ ・ ・

~勇者のアジト~

勇者「俺は各地にアジトをもっているんだぜ」

エルフ「誰に向かって言っているんスか」

勇者「気にするな。それよりだ。女騎士にオーク、お前達はこれからどうするんだ」

女騎士「私達は…」

オーク「黒帯の姐さんには見捨てられた感じですからねぇ。行く当てが無いです」

女騎士「うむ、黒帯さんは部下の失敗に厳しいからな…今更のこのこ帰るのは…な」

勇者「なら俺達と一緒に行くか」

女騎士「一緒に?」

勇者「俺とエルフはアリスに会いに行く。世間を騒がしている死の風の正体が分かったんだ、話のネタに見てみるのも面白い」

エルフ「えっ、そんな話初耳なんスが」

勇者「ついさっき決めた。てか俺もお前も特に目的なんてのは無いだろうが」

エルフ「まぁ確かに」

勇者「どうする、女騎士、オーク」

女騎士「いいのか?」

勇者「いいも悪いも無いさ。暇つぶしだよ暇つぶし」

女騎士「…」

勇者「お前は負い目に感じているみてぇだが、俺は気にしちゃいねーよ。仲間になって、離れて、また仲間になるだけの事さ」

女騎士「…ありがとう。では改めて、同行させてくれ、勇者」

勇者「おう」

オーク「あの、オイラも一緒にいいんでしょうか」

勇者「ええよ」

オーク「ありがたきしあわせ!」

ビンッ

エルフ「何故そそり立つ」

オーク「角度…良し!」

ユビサシカクニン

オーク「どうですみなさん?固そうでしょう?」

エルフ「知らんっス」

オーク「まぁそう言わずに…ほれほ~れ」

ヒトリ チューチュートレイン

オーク「ほれほ~れ」

ヒトリ チューチュートレイン

【続く】

~前回までのあらすじ~

オークはときめきを運ぶよ。

・ ・ ・ ・ ・

コケコッコー

エルフ「朝っス。皆勇者さんのアジトで一夜を過ごしたのでしたっス」

女騎士「だ、誰に向かって話しているのだ…」

エルフ「気にしないでっス。それより腹減ったっス、朝ご飯食べたいっス」

女騎士「うむ、一泊の恩義だ、朝ご飯は私が用意を…」

ホワン

エルフ「ありゃ、なにやらいい匂いが」

テクテク ガチャリ

勇者「おっ、起きたか。おはよう」

トントントン

勇者「もう少し待ってな、すぐに飯の用意するから」

女騎士「なん…だと…」

エルフ「はー勇者さん自炊できるんスね」

勇者「簡単なものなら。味噌汁と干し魚の炙ったのくらいしかないけどな」

シュンシュン

エルフ「ご飯は土鍋で炊いてるっスか、本格的っス」

勇者「やり方さえ知っていたら簡単だぞ」

女騎士「な、何か手伝う事は」

勇者「あぁ、いいよ。座っててくれ」

女騎士「だが、世話になりっぱなしでは悪いし…」

勇者「いいっていいって。てか、お前が手伝うと、なぁ…」

女騎士「なっ、私が手伝うと何だというのだ」

勇者「滅茶苦茶になる。壊滅的に不器用なんだもんお前」

女騎士「うぅ…」

勇者「いいから座ってな」

女騎士「わかった…」

シュン

エルフ「えーと…あ、そういえばオークはどうしたんスか」

勇者「あいつなら外でちんこ磨きしてる」

エルフ「?」

勇者「だから、ちんこ磨き」

エルフ「さも当たり前のように言ってますけど、そんな単語は無い!」

勇者「えっ、だってよ、ちんこ磨きなんだぜ?」

女騎士「あぁ、ちんこ磨きか」

エルフ「!?」

勇者「うん、ちんこ磨き」

エルフ「なんやこいつら…さもちんこ磨きという言葉が広く使われているかのように自然に会話してやがる…」

エルフ「いや、逆か…?私が知らないだけなのか…あ、うわぁぁぁぁ…ああああああ!」

ハッキョー
シロメ グルンッ

エルフ「あ…う…」

アワ ブクブク

エルフ「…」

勇者「おいおい、気絶するとか…もうすぐ朝飯できるのに」

女騎士「仕方がないな、私が何とかしてやる」

スチャッ

女騎士「秘技…元気の押し売り!!!」

ベキッ
ダヨー

パァァァァ

女騎士「私の『気』を送り込んだ。じきに目が覚めるだろう」
勇者「それにしても、元気の押し売りねぇ…元気の無い奴に無理矢理押し売りするなんて、ゲスの極みな技だなぁ」

女騎士「この技はとある人から教わったものだ、名付けたのは私じゃない。当たり前だけどね」

勇者「へぇ」

女騎士「それよりエルフはどうなった」

エルフ「…」

パチリ

エルフ「意識が朦朧としているっス」

勇者「気がついたか。さて朝飯にするぞ」

女騎士「では私はオークをよんでくるぅ」

勇者「よろしくぅ」

テクテク

女騎士「おーいオーク…」

オーク「…」

アワブクブク

女騎士「気絶してるーー!」

この寒空、裸でちんこ磨きしていたのだから無理もない。

女騎士「しょうがないに゛ゃ゛あ゛…」

なぜニャンちゅう声…。

女騎士「秘技…元気の押し売り!」

ベキッ ダヨー
フリンジャナイヨー

オーク「…うぅ」

女騎士「気がついたか」

オーク「お、オイラは一体…」

女騎士「気絶していたのさ、これがな」

オーク「そうだったのか…うぅっ、寒い…」

女騎士「何か着ろ」

オーク「オーク族として、裸でいる事は誇り…断じてその命令は受け入れられないんでさぁ」

女騎士「ならせめて股間は隠せ」

オーク「まぁそれくらいなら…何か手頃なペニスケース、略してペニケは無いですかねぇ」

女騎士「あれなんかどうだ」

女騎士が指さした先には
通りすがりの鶏がいた。

鶏「コケッ?」

オーク「他に無いなら、止むを得ないんでさぁ」

テクテク

オーク「すぐに済む、暴れるなよ」

鶏「コケッ?」

ムンズ クポッ

鶏「ングゥ!?」

オーク「うっ、こいつぁヤクいぜ…!」

鶏「ングー!」

女騎士「うむ、それなら問題なさそうだな」

オーク「へへ、ちょいと騒がしいじゃじゃ馬ですがね…なぁに、すぐに乗りこなしてみせまさぁ」

鶏「ングー!」

オーク「うぉっ、こいつ…とんだ化けモンペニケだぜ」

女騎士「乗りこなしてみせるんだろ?」

オーク「へへ、やってやる…やってやりますよ!」

鶏「ングー!」

女騎士「さて、朝飯だ。行こうオーク」

オーク「へい」

テクテク
ガチャリ

勇者「おっ、来たな」

エルフ「早く早く!腹ぺこっス!」

女騎士「あせんなって!」

勇者「みんな揃ったな…では」

エルフ「全ての生命よ」

女騎士「全ての精霊よ」

オーク「神々の与えたもうた命の糧よ」

勇者「万物に感謝し…いただきます」

「「「「いただきます」」」」

鶏「ングー!」

ガツ!
ガツガツ!
ガツガツ!

ガツ!
ガツガツ!
ガツガツ!

エルフ「ハフッハフッ」

オーク「食えば食うほど溢れるパワー!」

女騎士「はっ、白米!」

勇者「皆いい食べっぷりだ」

オーク「ハフッハフッ!」

エルフ「ハフッハフッ!」

女騎士「ハフッハフッ!」

勇者「ハフッハフッ!」

鶏「ングー!」

モゾモゾ

オーク「ハフッハッ…んっ…」
鶏「エル…プサイ…コッ…ングゥ…」

オーク「りゅぅぅぅぅぅぅ!」

ビクンビクンビクンビクンビクンビクン

オークはしんだ。

【続く】

~前回までのあらすじ~

オークは死んだが
果たして本当に死んでいるのだろうか?
どうせザオリくるんだろ、と思った貴方
…言うねぇ。

・ ・ ・ ・ ・

女騎士「ハフッハッ…」

エルフ「ハフッ…ん?」

勇者「ハフッ…どうした二人とも?」

女騎士「あ、いや。オークが急に静かになったと思ってな」

勇者「ほんまや」

エルフ「どうしたんスかオーク、白米食べるっスよ」

ユサユサ
バタリ

エルフ「!」

女騎士「お、オーク!?」

勇者「どうしたどうした」

女騎士「し、死んでる…」

エルフ「まさか…なぜっスか!」

勇者「おぉっと騒ぐな。全員大人しくしろ。現場維持だ、妙な動きはするなよ」

女騎士「くっ、コナンの気分かよ」

エルフ「探偵気取りのメメメメメリケーーン!」

勇者「オークの死に方は明らかに不自然、これがな」

女騎士「確かに。白米を食べている最中に急に静かになったぞ」

エルフ「じゃあ、白米に毒が?」

勇者「いや、俺は毒を入れてはいない。確かにオークは生理的に受け付けないが殺したいほどではない」

エルフ「私も生理的に受け付けないっスけど殺したいほどではないっス」

女騎士「私もだぞ。オークの事は生理的に受け付けないが殺したいほどではないぞ」

オーク「ひでぇ」

勇者「ん、今オークが喋ったような…」

オーク「死んでます」

勇者「なんだ、やっぱり死んでるか」

オーク「はい」

エルフ「生き返ったのかと思ったっス」

女騎士「それにしても、皆オークの事は生理的に受け付けなかったんだな。安心したよ」

勇者「まぁ、な。死人を悪く言うのは気が引けるが」

エルフ「関~係無いから~関係無いから~」

勇者「だがそうなると、だ」

エルフ「誰がオークを…」

女騎士「そもそも死因は何だ?」

勇者「死因か…それを調べることが事件解決の鍵になりそうだな!」

女騎士「そうに違いない」

エルフ「名推理っス」

鶏「…」

鶏(こいつら…戯れている…魔物の死をまるでオモチャのように楽しんでやがるっ…屑っ…真性の屑の集まりっ…!)

オーク(そうさ、奴らは屑の集まりさ)

鶏(!?)

鶏(こいつ、直接脳内に…!?)

オーク(テレパシーというやつさ)

鶏(あんた、死んでるんじゃ…?)

オーク(意図的に心臓の活動を停止させている。まぁ死んだフリってやつさ)

鶏(何者なんだ、あんた…)

オーク(ふふ、ただのオークさ…見た目がちょっと生理的に受け付けられない事がありがちな、ただのオークさ)

鶏(確かに見た目は、な…俺も受け付けないわ)

オーク(んなことはどうでもいい。おい鶏、お前…オイラに力を貸す気はないか?)

鶏(なんだと?)

オーク(オイラは勇者共の仲間になったフリをしているだけだ。内部から奴らを崩壊させる為に魔王軍から送り込まれた刺客だ)

鶏(なるほど…合点がいったぜ)

オーク(こうやって死んだフリで油断させ、隙をみて奴らをSATSUGAIするつもりだ。だが思ったより隙が無い。オイラだけじゃ無理っぽい。そこでだ)

鶏(俺に協力しろという訳か…)

オーク(オイラが口添えして魔王軍に迎え入れてやる。待遇は悪くないぞ)

鶏(ほぅ、悪くない、か…)

オーク(どうする?お前もただの鳥類で終わりたくはないだろう?)

鶏(…そう、だな)

オーク(では、力を貸してくれるか)

鶏(よかろう…俺の力…欲しけりゃくれてやる!!!)

ブワァァァ

鶏(後悔するなよ…お前は俺をただの鶏と思っているようだが…それは間違いだ…俺…俺は…)

ブワァァァ

鶏(第八銀河に発生した次元の裂け目に飲まれ、この次元にやってきた、白き死羽の異名を持つ…鶏だ!!!)

オーク(な…なにを…う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

ブワァァァ

鶏(力を貸してやるよ…担保はお前の身体だ…利子はでかいかもしれんがな…ふふ)

ブワァァァ

オーク(あ…あがぁぁぁ…から、だ…熱い…焼ける…あ゛あ゛あ゛!血が!沸騰する!背中から得体の知れない何かが生える!う、わぁぁぁぁぁぁ!!!)

ボフン
ズベラボッ ズベラボッ ズベラボッ

オーク(ちからが…あふれ…る…!)

勇者「ん…なにやらオークの身体が…」

ズベラボッ ズベラボッ ズベラボッ

勇者「!」

女騎士「なっ!?」

エルフ「なんスかこりゃあ!?」

オーク「くぉぉぉぉぉん!」

勇者「オークが変体した…?」

・ ・ ・ ・ ・

なんやかんやで
オークの身体は変体した。
それはまるで悪魔のようだった。
どうなる勇者達!?

【続く】

~前回までのあらすじ~

股間に鶏をくわえさせた変態オークは
なんやかんやあって悪魔のような姿に変体した。

オーク「ぶははは!みなぎるぞ…この力はなんだ!まるで…まるでこれは!」

ブゥン バキィ!

オーク「ぶははは!大地が割れる…一振りで大地が割れる!なんという力だ!」

勇者「おいおい人んちを壊すなよ…」

女騎士「勇者よ、よく分からんがこの状況は…」

勇者「あぁ、よくないな」

エルフ「よくないってのは…」

勇者「オークの野郎、俺達を殺す気だ…さっきから殺気がビンビン伝わってきている」

エルフ「さっきから殺気が…」

女騎士「さっきから殺気が…」

勇者「あんま繰り返さないで恥ずかしくなるから」

オーク「ぶははは!勇者…エルフ…女騎士!貴様等、皆殺しだぁ!」

女騎士「オーク、貴様…初めから私達を殺すつもりで同行していたのか」

オーク「ぶははは!今頃気づいたか阿婆擦れ!オイラが忠誠を誓うのは、後にも先にも魔王様ただ一人よぉ!」

勇者「やれやれ…お熱いね、まったく」

エルフ「んな事言ってる場合っスか!このままじゃオークにぶち殺されるンすよ!?」

勇者「あぁ?」

ギロッ

エルフ「ひぃっ」

勇者「誰が?誰に?ぶち殺されるってぇ?」

オーク「ぶははは!お前が!オイラにだよ!」

勇者「…はぁ」

オーク「て、てめぇ!ため息なんぞつきやがって…舐めてんのか!」

勇者「あぁ、舐めてンよ。ちょいとピンチな芝居をして乗ってやってはいたが…俺が本気を出しゃ、お前なんぞに殺されるわきゃねぇだろ…これだから自分の実力も分からねぇ奴は嫌いだ」

女騎士「ず、ずいぶん余裕な発言だな…本当に大丈夫なのか?だって今のお前には…」

勇者「…おい」

ギロッ

女騎士「ひぃっ」

勇者「あんまベラベラ喋ンな…今、ちぃっとばかり苛ついてンでな…」

女騎士「ゆ、勇者…」

エルフ「勇者さん…なんだか怖いっス…」

ガクブル

女騎士(あの目…同じだ…あの時…『あいつ』を失った時の…怒りに満ちた目だ)

ゾッ

女騎士(駄目だ!怒りに身を任せれば破滅する…私はもうあんな姿の勇者を見たくない…)

女騎士(でもどうすれば…私では勇者を止めることは…できない)

女騎士(こんな時…英雄…昔の仲間がいてくれたら…)

女騎士(戦士…魔法使い…)

勇者「はぁ…ったく…イライラさせるぜ…」

バチッ バチバチッ

女騎士「電気…まずい、勇者の奴、私達まで巻き込む気か!」

エルフ「えぇっ!?」

女騎士「余剰な闘気が電気になって体外にでているんだ…そこまで闘気を高めているって事は…」

女騎士「放つ気だ…命と引き替えに…最強の必殺技…ビッグバンパンチを!!!」

エルフ「い、命と引き替えに?」

女騎士「あぁ。だが勇者には蘇生魔法が重ねがけされているからすぐ生き返る…ただし周りのありとあらゆる生き物、建造物は…跡形もなく吹き飛ぶ!」

エルフ「蘇生魔法の重ねがけ…それって…私と同じっス!」

女騎士「何、そうなのか…いや、今はそんな事どうでもいい…どうにか勇者を止めなければ」

※ここまでの会話時間、実に0.8秒!

エルフ「…」

エルフ(蘇生魔法の重ねがけ…蘇生魔法ってのは肉体への負荷が大きくて、重ねがけなんかしたら細胞が破裂して常人なら死んでしまう筈…)

エルフ(私の家系は特殊体質で、魔法の重ねがけに耐えうる体を代々持っている。だから不死に近い存在…ゾンビなんて呼ばれてる)

エルフ(他にそんな体質の種族はいない…いない筈っス…なら、勇者さんは…)

女騎士「何を呆けている!勇者を止めるぞ!」

エルフ「あ、え…は、はいっス」

女騎士(とは言ったものの…止める方法なんて…)

勇者「うぉぉぉ…はぁぁっ!」

バチバチッ

オーク「な、なんだ…よく分からんがこのままでは辺り一帯を吹き飛ばす危険な技が放たれる気がする!」

ババッ

オーク「やらせはせん…やらせはせんぞぉ!」

勇者「なら止めてみせろよ…肉達磨!」

オーク「に、肉達磨だと!容姿を馬鹿にするなぁっ!」

ズォォォ

女騎士「くっ…あの肉達磨では勇者を止められんだろう…」

エルフ「ならどうするっスか?」

女騎士「うーん…あっ」

エルフ「何か思いついたっスか?」

女騎士「これ、無理だ。詰んだわ」

エルフ「んなっ…」

女騎士「無理無理無理のかたつむり。奇跡でも起きない限り無理だわあはははははは」

エルフ「起こらないから…奇跡って言うんっスよ…」

女騎士「だよねー詰んだよねー」

アキラメェ…

女騎士「もうおしまいや…なんもかんも終わりなんや」

ザザッ

?「なんだぁ、随分と諦めるのが早いじゃねぇか」

ザザッ

?「らしくないな、女騎士」

女騎士「え…あ…な、んで…?」

エルフ「な、なんなんっスかあんた達は…」

?「ん?まぁ、なんつーか、ピンチに駆けつけたヒーローってやつかな?」

ポコン

?「かっこつけるな馬鹿」

女騎士「あ…う…なぜここに…戦士…魔法使い!!!」

戦士「よう、久しぶりだな」

魔「本当、久しぶり」

魔「仕事よ。私達は今、国営研究所に雇われているの」

戦士「で、ちょいと前から勇者の監視をしていてな」

女騎士「国営研究所…だと…」

戦士「まぁその辺は詳しく話すと長くなるからよ…」

魔「私達の仕事内容は勇者の監視、それに」

戦士「暴れた時の抑止、ってな」

魔「勇者の力を危険視する者は多い。そして、利用しようとする者も」

戦士「国営研究所の奴らも同じだが、他に比べりゃいくらかマシだ。だから俺達はこの仕事を受けた」

魔「勇者を止める。ビッグバンパンチが放たれたら、国一つが消し飛ぶ…そんな事は…勇者にそんな事はもう、絶対にさせない…!」

戦士「だからよ、協力してくれ女騎士。あいつを止めるのはけっこう骨が折れるからよ…物理的な意味でもな」

女騎士「だ、だが私は…」

魔「いろいろ訊きたい事はある。ビンタの一発でも食らわせたいし、今すぐ飛びついて抱きつきたいくらい…再会できて、こうして話せて嬉しい…でもそれは後回しだ。今は最優先でやるべき事がある」

女騎士「魔法使い…」

戦士「まぁなんだ、生きてりゃ話はいっくらでもできらぁ。今はとにかく…やりますか」

女騎士「…あぁ!」





エルフ「ここまでの会話に要した時間、実に3秒!」

・ ・ ・ ・ ・

こうしてなんやかんやあって
女騎士、戦士、魔法使いは
勇者を止めることとなった。

これだけベラベラ会話をしているが
実際に要した時間は数秒というのだから驚きだ。
驚き桃の木山椒の木!

【続く】

~前回までのぉ、あぁぁらすぅじぃぃぃ~

勇者のかつての仲間
戦士、魔法使いが現れた。

果たしてプッツンした勇者を止めることはできるのだろうか…

・ ・ ・ ・ ・

魔「まずは勇者の頭を冷やすぞ」

戦士「了解だ。俺が奴の注意を引くからその間に詠唱しとけ。女騎士は魔法使いのサポートだ」

女騎士「分かった」

戦士「じゃ、行こうか!」

ダダッ

ザザッ

戦士「おぉぅーい、勇者!」

勇者「!」

戦士「久しぶり…だってのに、何だよお前、キレてんのか」

勇者「キレちゃいないよ…俺をキレさせたら大したもんだ」

戦士「でもよ、今にも放ちそうだぜ…ビッグバンパンチをよ」

勇者「…」

オーク「な、なんだ貴様は…突然出てきて」

戦士「あぁ?今取り込み中だ。悪いが後にしてくれや」

オーク「ぬぅっ、オイラを無視して寂しくさせる気だな!ゆるさん!」

ビキッ ビキッ

オーク「筋肉パンチで、勇者もろとも殴り倒してやる!」

ビキッ ビキッ

オーク「ぶははは!これだけの筋肉で力を込めれば、計り知れない威力のパンチが繰り出されるに違いない!」

ビキッ ブワァッ

オーク「ぶははは!この振り上げた拳を振り下ろせば、貴様等は…即死だ…いくぞ~お祈りは済んだか…そうらっ!」

ブンッ

「「あぁ?」」

勇者「光牙絶空斬!」
戦士「情熱の一撃!」

ドゴォォォォォン!

オーク「ぎいやあああああ!」

オークの右腕は千切りになり
左腕は打撃により吹き飛んだ。

オーク「ひ、ひぎぃ…ひぎぃぃぃぃぃぃぃ!」

鶏「こらあかん、逃げるぜ」

ポロッ バサバサバサッ

鶏「あーばよ」

オーク「ま、待て!お前の力が無くなったらオイラは…」

シオシオシオ
シワッ

オーク「あ…体が…しぼんで…筋肉が…あ゛…う゛…ほね、かわ…」

シワシワァ…

オーク「オ、イラ…の…」

バタリ

戦士「ふぅ、だから後にしろって言ったんだ」

勇者「やれやれだぜ」

シュゥゥゥ

勇者「興醒めだ、程良く頭が冷えたよ」

戦士「そいつは何より。こっちも手間が省けたぜ」

戦士「おぅい、魔法使い。詠唱中止だー」

魔「了解よ」

シュゥゥゥ

エルフ「きょ、巨大な氷柱が空中に五つほど浮いてたんスけど、それ勇者さんにブッ放つつもりだったんスか…」

魔「まぁね。これくらい、というか一度死ぬくらいじゃないと勇者は止められないわ」

女騎士「まぁ何にせよやらずに済んだのはいい事だ」

エルフ「あはは…」

オーク「オイラ…は…」

戦士「おっ、まだ生きてやがったか」

チャキッ

戦士「もう辛かろう…楽にしてやるよ」

ブンッ ザシュッ

オーク「ぐe…」

ぼとり

戦士「さて、勇者。せっかく再会できたんだ、ゆっくり話すっか」

勇者「…」

戦士「久しぶりにお前さんのコーヒーが飲みたいってな」

勇者「…ふふ、散々不味い不味いと言っていたじゃないか」

戦士「その不味いやつを飲みたいのさ、これがな」

・ ・ ・ ・ ・

~勇者のアジト~

エルフ「例のごとく勇者さんのアジトに皆集まったっス」

戦士「おめぇ、誰と話しているんだ」

エルフ「気にしない気にしないっス」

女騎士「…」

魔「…」

女騎士「ま…」

ヒュンッ パシィッ!

女騎士「え…」

魔「ビンタ。これくらいはしないと気が済まないわ」

女騎士「そう、だな」

魔「それと…久しぶり」

ダッ ギュッ

魔「もう会えないと思っていた…」

女騎士「すまない、心配かけた」

魔「心配、した…っ…ぐすっ…」

戦士「まぁなんにせよよかったよ…で、勇者よ。お前はどうだ」

勇者「どうだ、とは?」

戦士「近況とか…まぁいろいろだよ」

勇者「近況もなにも…相変わらずズルズル生き長らえさせてもらってるよ」

戦士「その辺は俺らも同じだ。なにせ死ねない身だ…ぬるま湯につかりながら、ゆるやかな世界の滅びを見ているのさ」

勇者「世界の滅びか…」

戦士「それはやがて来る。必ず…だから俺達は生き続けている。来るべき日の為に」

勇者「そんな話もあったな。もうどうでもいい事だけど」

戦士「で、暇つぶしに化け物鑑賞かい」

勇者「アリスの事か」

戦士「元々、俺と魔法使いは死の風の調査をしていてな。その正体はすぐに判明した」

勇者「さすが魔法使い、優秀だな」

戦士「俺は?ねぇ俺は」

勇者「さすが戦士、いい筋肉だな」

戦士「それしか褒めるところ無いからねーってやかましいわ」

勇者「事実、いい筋肉…いや、いい肉体(カラダ)してるよ…」うん…

ジッ

勇者「…」

マジマジ

戦士「そっ、そんなに見つめるなよ…筋肉が恥ずかしがるだろ…」

ジワッ ビクッ

戦士「あ…筋肉が汗ばんで…ほ…な…」

テカテカ

勇者「汗がダイヤモンドだ…」

汗 が ダ イ ヤ モ ン ド だ

汗  が  ダ  イ  ヤ  モ  ン  ド  だ




イヤモンドだ

汗が
 ダ
 イ
 ヤ
 モンド
   だ

それから滅茶苦茶筋トレした。

【続く】

~前回までのあらすじ~

勇者と戦士は筋トレしまくって
汗がダイヤモンド。

エルフ「って何スかこのあらすじの適当さ」

戦士「筋トレはいいぞぉ!」

エルフ「遠慮するっス。てか汗くさいっス!拭くなりシャワー浴びるなりして欲しいっス!」

戦士「ん、そうか。じゃあ勇者、一緒にシャワー浴びるか」

勇者「おう」

エルフ「えっ、一緒に…何やらBLのかほりがするっス!」

女騎士「かほりも何も」

魔「戦士と勇者は既に連結済みだぞ」

エルフ「えっ」

魔「戦士と勇者は既に連結済みだぞ」

エルフ「電車…電車…走っていけ…電車…電車…どこまでも…」

エルフは理解が追いつかず
頭がフットーしてしまった。

女騎士「その影響で私と魔法使いは腐ってしまった」

魔「いわゆる腐女子というやつだな。私はpixivで絵も描いているぞ」

エルフ「なんやねん勇者一行…もう滅茶苦茶だよっス」

女騎士「とかなんとかやっている内に勇者と戦士はシャワー室に行ったぞ」

魔「妄想が捗るな!」

エルフ「もうやだこのひとたち」

女騎士「…で…だな…ふむ…」

魔「…が…で…もう…たまらん…」

キャッキャ

エルフ「腐った女子達が賑やかにお喋りを始めて私は蚊帳の外の巻」

ガサゴソ

エルフ「PSPでもしよっと…」

テーレーレーレーレーレレレーレレレーレレレーレレレーレレレー
ウッ ハッ ウッ ハッ

エルフ「…」

ポチポチ カチャカチャ

エルフ「…」

ポチポチ カチャカチャ

エルフ「…」

PSPはまだまだ遊べるハードだ。
ソフトは手頃な値段で買えるし
少し昔の名作を携帯ハードでさくっと遊べるのだ。
PS2の移植も多いし
今だからこそ遊ぶべきなのである。
vitaでいいじゃないかと思った君!

…言うねぇ。

【続く】

~前回までのあらすじ~

女騎士と魔法使いは腐女子であった。
ちなみにエルフも腐女子である(体質的な意味で)

・ ・ ・ ・ ・

エルフ「で」

勇者「ふぅ…」

戦士「ふぅ…」

女騎士「ふぅ…」

魔「ふぅ…」

「「「「人は何故戦争などするのだろう」」」」

エルフ「お前等全員オナニー完了してんじゃねェェェ!」

エルフ「ったく、勇者一行にはロクな奴がいねぇなぁ!」

勇者「ムムッ?」

女騎士「その言葉、宣戦布告と判断する!」

戦士「当方に迎撃の用意あり!」

エルフ「はいはい迎撃だろうがゲイ劇だろうが何でもいいっスよ、もう」

魔「…幻滅したか?だがこれが勇者一行の姿だ」

エルフ「どうしたんスか急に…」

魔「世間では英雄だの救世主だの言われていたが…何のことはない。ただの欲にまみれた人間共の掃き溜めだったのさ」

エルフ「あ、いや。そこまで酷くは言っていないっスけど」

魔「私達は皆、自身の欲を満たす事と引き替えに…英雄となった。つまり、取り引きしたのさ、国と…国営研究所とな」

エルフ「取引…?」

魔「勇者は大切な人の為。戦士は高潔な死の為。女騎士は故郷の為。私は秘術の研究の為。詳しくは言わないが皆、何かを叶える為に『自分』を捧げた…そして、英雄となった」

エルフ「それじゃあ英雄ってのは…一体…何なんスか…」

魔「国営研究所のモルモット…被験体…人間兵器…不死者…ぱっと思いついたのはそんな所だな」

エルフ「そんな…英雄ってのは…」

戦士「生まれつき身体能力や魔法の素質に恵まれ、国の危機には無償で命を投げ出し果敢に立ち向かう…そんな奴が本当にいると思ったか?」

女騎士「いる筈が無いのさ、そんな人間は」

勇者「で、いないなら造る。それが英雄、って訳だ」

エルフ「そんな…」

勇者「はは、この国は情報操作が上手でね。英雄のイメージはかなり美化されてるよ」

魔「国民にとって私達は国のヒーローだからな」

戦士「そうそう。過去の魔王軍との大戦時もよ、死なずに生き残った奇跡のヒーロー!っていわれたな」

女騎士「死なないさ。死ぬはずないさ。だって私達は不死者なんだから」

勇者「英雄の魂は世界の理から外れた異形のモノ…滅びず、失われず、消えず、生まれ変わる事は決して無い」

魔「もはやヒトと呼べないものなんだよ、私達は」

エルフ「…」

勇者「と、まぁ…ここまでベラベラ喋ったのはさ」

戦士「知っておいて欲しかったから、なんだよ」

エルフ「知っておいて…欲しかった?」

魔「貴方は勇者の仲間。なら私達の仲間でもある」

女騎士「仲間には…自分の事を知ってもらいたいものだろう」

エルフ「仲間…」

エルフ(正直重いな…)

勇者「あらためて、これからよろしく」

エルフ「勇者さん…分かったっス。皆さんも、よろしくお願いしますっス」

エルフ(まぁいいか、深く考えるのは苦手っス…なぁに、居づらくなれば逃げればいいだけの話…そう、逃げれば…『あの時』みたいに、逃げればいいだけの…話っス…)

こうしてなんやかんやで

一体感が増した勇者一行+エルフ。

だがエルフはいまいち馴染めそうになかった。

そしてエルフの『あの時』とは…

適当に伏線っぽいものをばらまきつつ物語は中盤へと進むのであった…

【続く】

~前回までのあらすじ~

勇者達は北へ向かう。
アリスを目指して…

・ ・ ・ ・ ・

エルフ「ふぅ、ひぃ…」

テクテク

戦士「なんだぁ、もう息が上がってンのか?」

エルフ「かれこれ三時間くらい山道を歩いている訳っスが…疲れて当然だと思うっス…ぜぇ…ぜぇ…」

勇者「確かに俺達のペースに合わせるのは大変だよな…よし、ここいらで休憩にしよう」

エルフ「賛成っス…ふぅ」

ヘタリ

エルフ「み、水を下さい…っス…」

女騎士「ほら、私の水を分けてやる」

エルフ「た、助かるっス」

ゴキュゴキュ

エルフ「なんだか…少ししょっぱいような…」

女騎士「あぁ。私の水は特別でな…オークの尿を3%程混ぜている」

エルフ「ブフーッ!?」

女騎士「あ、こら。貴重な水を吹き出すとは何事か」

エルフ「オークの尿が入っていたらこうもなるわい!」

女騎士「オークの尿には滋養強壮効果があるんだ、知らなかったか?」

エルフ「まじかよファッキン!」

勇者「まじだぞ。オークの尿は高値で取引されている」

戦士「筋トレの後に飲めば疲労が残りにくいんだぜ」

魔「色々な薬の調合にも使われる、便利なものだぞ」

エルフ「oh…尿…」

酷いダジャレだ。

魔「仕方がない、私のを少しやろう。オークの尿は入っていないから安心しろ」

エルフ「ありがてぇ」

ゴキュゴキュ

エルフ「ぐへぁっ!」

ブハァッ

エルフ「激甘じゃねーかこのダボォ!なめとんのかワレェ!」

魔「あぁ、私は甘党でな。その水にはめいっぱい砂糖を溶かしてある」

エルフ「糖尿になるわいダボハゼがぁ!」

戦士「お前、口悪いな」

エルフ「もう水は諦めるっス…」

勇者「では休憩だ」

戦士「ひゃっほう!休むぜ~超休むぜ~!」

ヌギッ

戦士「俺、解放!」

チンポロリ~ン

女騎士「その粗末なモノをしまえ」

魔「しっかし本当に粗末だな」

戦士「粗末粗末言うなよ…男としてかなり傷つくんだぜ?」

勇者「そうだぜ。女には分からないだろうが、そのサイズにはよ…実に、じぃ~つに気持ちいい使い方があるんだぜぇ?」

戦士「勇者…さすが俺の心の友だぜ!」

勇者「へへっ…」

ジッ
アツイ マナザシ
メトメガアウ ミツメアウ シセン ブツカル…

戦士「…」

勇者「…」

ニジリニジリ

女騎士(おっ、これはBLの気配…)

魔(わっふるわっふる)

エルフ「こいつら…」

勇者「祭りじゃい!」

ヌギッ

戦士「応!咆!」

グワァッ

勇者「イヨォ~ポンッ!」

シリ タタキ! シリ タタキ!
ペチン! ペチン!

戦士「もっと、もっとだ!尻を、尻を叩け!」

ペチン! ペチン!

勇者「イヨォ~ポンッ!」

魔「女騎士、私達は尺八を吹くぞ!」

スッ

女騎士「応!咆!」

スッ

プワァ~
プ~プルプ~

ペチン! ペチン!

プワァ~

戦士「尻を!」

魔「尺八を!」

勇者「叩くぞ!」

女騎士「吹くぞ!」

「「「「祭りじゃい!」」」」

ワイワイ ガヤガヤ

エルフ「なんだ…なんなんだ…ここは地獄だぜっス…」

エルフ「てか休憩するんじゃなかったんスか。休憩どころか祭りが始まってしまったっスよ」

エルフ「…」

エルフ「PSPでもしよっと」

【続く】

~前回までのあらすじ~

祭りじゃい!

・ ・ ・ ・ ・

勇者「ふぅ…」

戦士「ま、まだだ」

女騎士「私達の祭りは…まだ」
魔「終わりじゃない…」

勇・戦「「だから!」」

女騎・魔「「そう!」」

ブワァァァ
スンッ……

「「「「応!」」」」

ズザザッ

エルフ「咆!」

!?

エルフ「へへっ…」

勇者「お前…」

戦士「そうか、お前も祭りに…」

エルフ「ちょっとした気まぐれっスよ…このビッグウェーブに乗るしか、ないっスよ…」

女騎士「そうか…なら!」

魔「行こう、限界の、その先…その先の先の先へ!」

ブワァァァ
カカンカン カンカン トゥルップ プル

モッサン! ゴッサン!

勇者「そう、それだ!」

スンスン

戦士「こうか、こうだな!」

プリッ

魔「やるな…ならば!」

グモッ

女騎士「ほう、そうきたか…では私は左側から!」

グルンッ

エルフ「り、理解はまだできない…でも、この空間が…この空間がたまらなく…たまらなく!」

ショッパーン

そして五人は
溶けて混ざり合い
一つになって、爆ぜた。

ぱぁん。

ぱぁん。

残ったのは
心地よい疲労感と
満たされに満たされた肉の塊達だけであった。

【続く】

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