【エヴァss】どこまでも続く空の下で (17)

まいったなぁ…人が多いなぁ……
サマーシーズン真っ盛りの空港。
家族連れの人々で賑わっていた。

こんなに人が多いんじゃどこがどこだかわかんないや…

えっと…どこに行けばいいんだっけ


そこへ大勢の人々がなだれ込んでくる。

「えっ…ちょっ……」

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人混みにまきこまれ、右も左もわからなくなり、混乱する

「ちょっと!どいて下さい!通して下さい!!」

半ばパニックになり無理矢理出ようとする。右手に下げていたハンドバックを落ちてしまった。

「ああ!」

中身が飛び出してそこらじゅうにバラバラになる。

あぁ、もう最悪……早く拾わなきゃ…

そう思っていると誰かが中身を拾ってくれている。

いつの間にか人混みは少なくなっていた。

「え…あっ……」

目線を上げてその人物の顔を見る。

「あ、ありがとうござ……います」

その顔を見てハッとする。知ってる顔だ。薄く無精ヒゲをアゴにはやし、センスのないTシャツを着ている。いかにも人と話すのが苦手って感じがする。

「ああ。いいよ別に」

「ゲンドウ君……」

「え?」

少しの間沈黙が訪れた。

「な、なんで俺の名前を…?」

びっくりした様子でぎこちなく尋ねてきた。毎日、大学で会ってたっていうのに……ま、無理もないか。髪もまとめてるし。なによりメガネを掛けてるから。

「あ!いたいた!!」

聞き覚えのある声が聞こえた。憎たらしい憎たらしいあの声。


「よかったぁ。間に合って」

「……見送りはいいって言ったじゃないですか」

朝急いで出てきたのか寝ぐせが治ってない。化粧もガサツ。もう、何もかも憎たらしい。

「だってー何年も会えないかもしれないじゃない」

「手紙くらい出しますよ……」

こんな所まで見送りに来て……逆に辛いのはこっちだってわかってるくせに……

「じゃあ、もう飛行機の時間なんで行きますね」

「あ、待って!これ、渡したくて」

「えっ?」

ユイ先輩の手には髪留めがあった。かわいい猫の髪留め。

「かわいいでしょ?この髪留め、私が高校の時に使ってたものなの。あなたにあげる」

「…いいんですか?」

「うん。私はもう使わないし」

「ありがとうございます…」

「ふふ…どういたしまして。大事にしてね」

「はい……」

何かこみ上げてきそうな想いをぐっと飲み込み、耐える。

ゲンドウ君はまだ少し状況がわかっていないらしくポカーンとしている。そんなゲンドウ君を指差して言う。

「ゲンドウ君!」

「あっ……えっ?」

「もし、ユイ先輩を悲しませるようなことがあったら…」

「絶対許さないからにゃ!!」

……………噛んだ。

「プッ……」

「アハハハハハハハ!!」

「先輩!!」

「だって、だって……『にゃ!!』って猫みたい……アハハハハ!!」

「ふっ……ふふふ…ハハハハハ」

「ゲンドウ君まで!!」




ったく……あんなに笑うことないのに……

でも……あんなに笑ったユイ先輩見たの初めてかも。ゲンドウ君も。

窓の外を見る。必死に手を振る憎たらしい顔と、仏頂面がならんでる。

「………ほんと、憎たらしい……」

飛行機が飛び立った。もう2人は見えない。

『ユイ先輩、ゲンドウ君、2人の幸せを祈ってますよ』

『ありがとう、真希波 マリさん……あなたも幸せにね』

『まぁ、その、なんだ……元気でな…』

『それじゃ……』

『さよならにゃ!!』

『ブッ!!』

『ちょっ…それは卑怯でしょっ…アハハハハハハ!!』

『だから笑いすぎですって!』






「…………行っちゃった」

「あぁ………」

「あの娘…大丈夫かな」

「きっと大丈夫だろう…ユイに励まされて元気が出ない人間はいないからな」

「何言ってんのよ…フフ……」

「………でも、そうよね。うん、きっと大丈夫」












「……幸せは…歩いて来ない」

「だから歩いて行くんだね……」

「一日一歩、三日で三歩……」

「三歩進んで二歩下がる……」

「人生は……ワンツーパンチ……」










「さよなら、ユイさん……ゲンドウ君……」











終劇

勢いで書いた。反省はしていない。

いいんじゃないのかにゃ

安価で短編書きます。
キャラ名で
>>19

乙。ピクシブで似た内容のあったな


安価なら青葉さん

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