女「……」(42)

【4月3日(木)
 今日もいじめられた。
 やっぱり学校なんか行ったっていいことなんかないんだ。
 もう自殺したい。
 でも、する勇気もないんだよね…】

女「ふぅ……」パタン

女「はは、我ながらなんて暗い日記書いてるんだろ」

女「しかも…日記なんて根暗な奴が書く物だって、誰かが言ってたな…」

女「……私って、1人では独り言多いのに学校では全然喋んないな…
  まぁ…周りの人達の視線が痛いから話せないだけだけど…」

女「明日もあんな学校へ行くんだ…」

女「何か生きがい…見つけなきゃな…」

女「家族は…私がいじめられている事なんか知らない。でも、高校に入ってからの
  私は小学校の頃からの私と比べて随分暗くなったと思っているだろうな…。」

女「だって…言えるわけないよ、いじめられてるなんて。
  今まで何されてきたか…もう思い出したくもない…」ハァ

女「今日された事と言えば…」



女「……」(いけない、急がないと遅刻しちゃうっ!)タタッ

女子1「あれ、あそこにいんの女?」

女子2「そうじゃね?」

女子3「あのさー、いい事思いついたっ!あたしさ、昨日の放課後…
    コレ、買ってきたんだよねー」スッ

女子1「それ、スプレー?ヤバくない?」

女子2「かけちゃえかけちゃえっ」ワクワク

女子3「せーのでいくよー」ヒソヒソ

女子1「せーのぉっ!」プシュウゥゥゥ

女「……?!」ガバッ (なっ、なにこれ!?)

女子2「やだーっ!キモ~いっ」

女子3「女の奴頭メッチャ黒いんだけど!」キャハハ

女子1「大成功じゃん!ウケるwじゃあ行こー」タタタッ

女「……」(す、スプレー…?)アゼン

女子1「何ボーっとつっ立ってんだよ!何か反応しろよ、つまんねー」

女子2「アンタ、もう行くんじゃなかったの?w」

女子1「あ、そーだった。遅刻しちゃうしねー」アハハハ


女「……」ゴシゴシ 

女(はぁ…今日はスプレーか。もう慣れたよ…。でも…これ洗ってたら遅刻しちゃう…)

女(我慢、我慢。耐えるしかない…)グッ

女「……」ゴシゴシ 

女(うぅ…スプレーかけられた事より、周りの視線が痛い…)

女子「何あの人ー、頭真っ黒じゃん」

男子「ほっといた方がいーぜ」

女子「だねー。あの人、いっつも暗いし、何考えてんのかよく分かんない」

女子「しっ、聞こえちゃうよ」


女「……」(もう、慣れた…)

教室

女「……」ガラガラ…

クラスメート「!…何あれ…変なのー。タオル被ってるよ」ザワザワ ヒソヒソ

女「はぁ…」スタスタ (無視、無視…)

女「……」(椅子が…ない……)

女(ううん、泣くな私。いつもの事……。どこかに、落ちてないかな…)キョロキョロ

女子3「あー、女じゃん。何探してんのー?」

女「え…えっ…と…」キョドキョド

女子3「ウザー。キョドキョドすんなし。もしかして、アレ探してたのぉ?」ピッ

女「え…?」

女「……!」(私の椅子が…!ボロボロになって…)

女子2「女がうざかったから、このイス壊しちゃったー。女子み、ん、な、で」アハハ

女子全員「えっ…?」

女子2「ねー?皆、壊したよね?アイツの椅子」

女子「なにそれ、あたしやってないよ?」ヒソヒソ

女子「でも、そーいう事にしとかないと、あたしたちが…」ヒソヒソ

女子「だ、だよね…」ヒソヒソ

女子2「壊したよねー?」ガタン

女子全員「う…うん」

女「……」(…あんなの、無理やり言わせてるんじゃない…)

女(そうよ、無理やり…。本心で言ってるはず、ない…)

女子1「でもー、椅子壊れちゃったから、座る椅子ないねーw」ギィコギィコ

女子3「空気椅子でもするのぉ?」

女子2「バカじゃんw空気椅子とかふざけてるww」

女子3「んな事より売店行こーよ、ラスク買いたいっ」

女子1「へーへー」

アハハハ ガラガラ ピシャン

女「……」(ふぅ…これでひとまず昼休みまでは安泰だ…)

男「お前に椅子貸してやるよ」

女「……え…?」(な、なに…?)

男「じゃあそれ座ってろ」

女「……いいんですか…?」

男「ほら早く座れ、アイツらが来るだろ」

女「あ…うん…」カタン

クラスメート「マジかよアイツー。あーでもさー、アイツも変わりもんで避けられてるじゃん。
       似たもの同士でお似合いじゃんww」アハハ ザワザワ ヒソヒソ

男「チッ」

女「ひっ…」ビク

男「ビクビクしないでいいぞ」

女「は、はい…」

男「後で、屋上来てくれ」

女「え……」(な、なんなのトツゼン…)

女「後でって…いつ…?」

男「昼休み。いいから黙って来いよ」

女「えっ……うん…」

女(あの人って…確か、高等部から入ってきた男さん…、だよね)

女(入学式すっぽかして…それから1年の時はほとんど学校来なかったのに…)

女(2年生になってからは真面目に学校来てる…)

女(変わった人だなぁ…。どうして1年の時は来なかったのに2年になったら真面目に来るんだろう)

女(まぁ…こんだけいじめられてるのに毎日学校行く私も私だけど…はは)

女(でも…学校行きたくなかったけど…すっぽかしたらそこで終わりだって思ったから…)

女「はぁ…」(1時間目始まる前に…スプレー落としてこよ…)ガタ


女「うーん…なかなか落ちないなぁ…」(黒いから…茶髪の私には余計目立っちゃう…)

女「あ…もう始まっちゃった…」ガク 

女「はぁ…今日も朝からツいてない」

女(それに…もともとは黒髪で…長くて…私の唯一の宝物だったのに…)

女(無理やり染めさせられて…こんな中途半端なグラデーションになっちゃった…)グス

女(長い髪の毛ジャマって言われて、切られちゃったんだよね…)

女(地味な私にこんな斜めカットなんて似合うはずないのに…先生には怒られるし…)

女(いいことなんて…何ひとつない)

女「あ…また考え事しちゃった…戻ろ」タタ


男「アイツ…」

女「はぁ……」ガララッ

先生「…!コラァ、女!また授業に遅刻か!」

女「は…はい…すみません…」

クラスメート「えー、また遅刻? 最近多くない?あの人の遅刻数ヤバいよねー」ザワザワ

先生「お前らうるさい、黙っとれ!で、どうして遅刻した上に、そんな派手な髪してんだ!
   また黒に染めたのか?」

女「えっと…これ、は……」

女子2「言うなよ」ボソ ギロリ

女「ひっ…あ、あの…」シドロモドロ

先生「あー、もう良い!座ってなさい!」

女「え…あ、は、はい……」カタン…

先生「えー、じゃあテキストの9ページ開いてー」

クラスメート「はーい」バサ パラパラ

女「……」(私が染めたり切ったりしたわけじゃないのに…)

女(どうしてこんな目に…)

女(もう明日から…ウィッグでも付けて行こうかな…)ハァ

女(でも…それじゃあまた髪の毛変えたのかって騒ぎ立てられるし…
  素直に伸びるまで待とう…)

女(あれ、何ページだったっけ…私が遅刻してる間に2ページも進んじゃってたんだ…)

女(1年の2学期までは成績マシだったのに…もう下がっちゃったぁ…)グスン

男「……」(アイツ…相当ひどい扱い受けてるな…)

男(何か、手伝えないのか…)

先生「じゃあ、7ページのこの問題…
   4族イオンのコバルト、ニッケル、マンガン、亜鉛をグループに分けて分離せよ。
   分かる奴は居るか」

クラスメート「…」シーン

先生「じゃあ、女」ピッ

女「えっ…えっと…」(こ、この位ならわかるかも…)

女「えっと…」

女「ひとつは、coとniは不動態になり、ます…。
  ふたつ目は、znは典型元素、その他は遷移元素で…
  みっつ目の…えっと、あんまりよく覚えてないんですけど…
  feとco、niは鉄族といって…、4周期の元素の中でも他のものと区別される、
  と思います…」

先生「おぉ……」

クラスメート「…!」スゲー

女「えっと…」

先生「す、座ってよろしい。これだけできるんなら、遅刻するなよ」

女「?…は、はい…」

女「ふぅ……」カタン

女2「…」チッ

女2「おい、そこの男子」ボソ

男子「…えっ…」ビク

女2「アイツにコレ投げて」

男子「な、何で俺が…?」

女2「いいからやりなさいよ」グイッ

男子「うぅっ…分かったよ…」ポイッ

ポテッ 女「…ん?」カサ

女「なに…?」

【女へ 放課後屋上に来い】

女「……っ」バッ

女(な、何で…っ?今日は、女子2さん達にの機嫌を損ねるようなこと、
  言った覚えは…)ドクンドクン

女「……」(怖いけど…行かなきゃ……)グスッ

女(さぼったら、何されるか分かんないもん…)

男「…」(泣いてる…?)

女子2「クスクス…超怯えてる…マジウケ」プッ

女子1「だねー」アハハ

先生「コラ、誰だ喋くってる奴は!喋りたかったら教室から出てよろしい!」ビシ

女子2「うおっ…こっわー…これ以上は無理だな…ったく」チッ

女「……」ビクビク (女子2さん…絶対怒ってる…あの顔は…)

男「……」(昼休み、何か相談にのってやるか…?でも、迷惑なだけかもしれん…
      いやでも…コイツは黙ってられる状況じゃ…)

キーンコーンカーン

先生「じゃあ、テキストの11ページのⅢを解いておくように」

クラスメート「えぇーっ」ブーブー

先生「えーいうるさい!文句言わずにしっかりやっとくように!じゃっ」ガララー

クラスメート「最悪ー あの問題集クソムズなのによー 
       ってかさーそれより昨日のしゃべくり見たぁ?マジウケるよねー大野君! だよねー」ザワザワ

男「……」チラッ

女「…っ」プイ

男(シカトか…ま、そりゃそうだよな…)

女「……」(あと…3時間…)チラチラ

男(しきりに時計気にしてるな…そんなに時間が大事なのか?)

男(…あ、やべっ 次移動教室だ…音楽かよ、うえ…
  まずは昼休みになるまで様子見にしとくか…)ガタン

女「…」(音楽の準備しなきゃ…)カタ

女子「ちょっとー、早く出てよー」

女「あっ…すみませ…」

女子「おそーい、もうあんたが鍵やっといてー」

女「えっ……」

女子「じゃっよろしくぅ!ねえ美沙ー行こーっ」タタ

女子「遅いよ楓っ次松坂の授業じゃん、遅刻したらマズいよ」

女子「だねー」アハハ

女「…あの…」ポツン

女(アンタがやると汚れるからって…鍵係なんてやったことないのに…どうしよう…
  締め方がわかんないよ…)グス

女「ここをこうして…ん?変だな…鍵穴が、違う…?はずないよね…」モタモタ

女「急がないと…っ遅刻しちゃう…」(授業開始2分前予鈴鳴っちゃったよー)モタモタ

女「あ、こうしてこうだっ…ドアにゴミが挟まっててうまくできなかったんだ…」ハァ…ガックリ

キーンコーンカーンコーン

女「…あ……」チーン

女「はぁ……つくづくツいてない……」

男子「やべーっ、忘れ物忘れ物…」タタタ

男子「あ……//」

女「ぇ…?」ビク

男子「鍵…開けてくれない?//」ニコ

女「はぅっ…はい…」(わわっ…///男の人と2人きりで…って何考えてるの私っ)

男子「あれ…ソレ…鍵違うよ…?」

女「えっ!?うそ……そんなハズは」ガチャガチャ バキッ

女「」サー

女(鍵が……木っ端微塵に)

男子「ちょっと、まってて」タッ

男子「はい、鍵」スッ

女「はっはい…どうも…」ニコ

男子「…///」ドキドキ

女「ん…ん…?」カチャカチャ

男子「か、貸して」スッ

女「…?」

男子「はい、できたよ」

女「あ…私不器用で…ありがとうございまっ…きゃぁぅっ!」ガバッ

男子「ごめん…我慢できない…」

男子「っ」ガチャガチャ

男子「これで鍵は…俺の手元にあるから…音楽いけないね…」ハァハァ

女「え……?」(な、なに…?)

男子「ハァ、ハァ…女子だ…」ダキュウゥゥ

女「んっ……////」(嫌ああ…)

男子「ん…良い匂い…」ギュゥゥゥウ

女「ひゃぁぁっ…」(あ、あそこが当たっちゃってるよぉ…)

男子「俺…女ちゃんのことずっと好きだったんだ…」ギュ

女「やぅ…離してくださっ…」

男子「じゃあ…アイツらに言っちゃうよ…」クイ

女「え……?」ポー

男子「いいの…?女子2達に言っちゃうよ……」

女「えっ……それは…」ピクンッ

男子「じゃあ…俺としよ…?」ジィィィ

女「そんなに見ないで下さっ……」

女「あの、ゆうこと聞きますからっ…、どうか言わないで……っ」

男子「ごめんね…勝手にこんな…だけど…でも、やっと僕だけの物だ…」ギュゥゥ

女「ひゃぁっ……」ゾクゾク

男「んむ…」チュク

女「ん……っ!んーっ、ん…」グチュ (し、舌が入って…)

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