花陽「降ってきた幸運」 (23)

Twitterで毎日やってる、#ラブライブ版深夜の真剣ss書き60分一本勝負 の、9月2日のお題です。
登場人物の制限があるから難しかった……

書き溜め連投になりますが、よろしければどうぞ~

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1441276508




花陽「雨、かあ……」

この時期には珍しく、今日は雨。

通り雨だと思ってたんだけど、

花陽「凛ちゃんの様子からして、これは、長引きそう……」

いつも一緒にいる凛ちゃんは、今日は隣にはいません。

凛ちゃんは、実は、偏頭痛持ちなので、

凛『ごめんね、凛、ちょっと頭痛いから、帰る……』

と言い残して、雨の降る少し前に帰って行ったのでした。

どうやら、低気圧が近づくと、なりやすいみたいで。

花陽「私も一緒に帰っちゃえば、良かったかな」

なんて、思ったら、ダメだよね。

本戦も近いし、よし、気を引き締めないと。







雨の降る日は、凛ちゃんがいない事が多いので、傘は気分が明るくなるように。

薄緑色の、お気に入りの傘を持ってきています。

花陽「さみしくない、寂しくない。よしっ、お米の銘柄しりとり、しちゃうんだから」

生徒玄関の屋根の下でようやく雨の中に進む決意をしたところに、


「ま、待って、花陽ちゃんッ、待って〜!」


おや?この声は、遠くから聞こえてくるけど……

花陽「穂乃果ちゃん?」

穂乃果「はあ、はぁ、間に合った〜〜、良かった、一緒に帰ろうっ!」





穂乃果ちゃんと、二人で帰るのは、初めてかもしれません。

私の側にはいつも凛ちゃんか真姫ちゃん(今日はお家の用事で先に帰っちゃいました)がいてくれるし、

穂乃果ちゃんはことりちゃん、海未ちゃんといます。


花陽「ええっと、ことりちゃんと海未ちゃんは?」

穂乃果「あはは、それが、海未ちゃんとちょっとケンカしちゃって。」

穂乃果「そしたら、ことりちゃんが、『二人が仲直りしないと、私も、しーらないっ!』って……はぁ」

なんだか災難な出来事。(きっと穂乃果ちゃんが原因なんだろうけど、それは言いません)




花陽「は、早く仲直りしてね、練習にも、支障が出るし……」

穂乃果「にこちゃんにもそう言われたよ〜〜…わかってるよう、頑張るから……」

穂乃果ちゃんは、ケンカしてる時はすごく、なんというか、悪い言い方をすると、ワガママに見えるんですけど、

海未ちゃんとことりちゃんがいざ、いなくなると、しょんぼりしちゃって、反省、してるんです。よく。

穂乃果「まあ、花陽ちゃんと二人っきりで帰れるし、いっかあ!よし!」

花陽「えへへ、私も嬉しい!じゃ、今度こそ、……」

走ってきた穂乃果ちゃんに呼び止められて、まだ玄関先にいた私は、今度こそ、歩こうとしましたが。


穂乃果「あ、……傘、忘れた」



花陽「え、いいよ、入って入って!二人なら入るし!」

穂乃果「じ、実は、生徒会の大事な書類があるから……多分、濡れちゃうと……」

花陽「でも、私、穂乃果ちゃんには、濡れて欲しくないなあ……」

借りパク(他人の傘を借りて自分のものにしちゃうこと)は絶対ダメだし、

さすがに生徒会長がそれをしちゃうのも……。


「わわわ、まーってーっ!お二人さーんっ!」


あれれ?また、似たような状況……?

穂乃果「今の声って、希ちゃん、だよね……」

どったんばったんと、急いで靴を履き替えている音が聞こえます。

3年生の下駄箱は少し、遠い位置にあるので、大変そうです。



希「よーっ、と!間に合った〜、お二人さん、今から帰るところ?」

花陽「うん、でも……あ、希ちゃんは、ちゃんと傘持ってるんだ」

穂乃果「……花陽ちゃん、馬鹿にしないでよ……?」

わわっ、そういうわけじゃないんです!ごめんね!

希「あらら、穂乃果ちゃん、傘忘れてきてしまったんかあ……御愁傷様」

でも、大丈夫☆うちの傘も使えばー、ほらっ!

そう言って、大きな傘を広げてくれました。

希「二分の一なら、荷物濡れちゃうかもしれないけど。三分の二なら、どやろか?」

実は六分の一しか、差はないんだけど……穂乃果ちゃんは、安心したみたい。

穂乃果「えーっ!ありがたいよ〜、希ちゃん、ありがとう、感謝します……」


花陽「それじゃ、帰りま、しょう!」



希「にしても珍しいメンバーやなあ」

花陽「ほ、本当に……ね。希ちゃんは、どうしたの?絵里ちゃんは……?」

希「ん?ああ、エリチは、亜理紗ちゃんの風邪の様子見るって、速攻帰っちゃった」

穂乃果「妹思いだな〜絵里ちゃんは!穂乃果、そんなことした事………あったか」

花陽「あはは……穂乃果ちゃんも、十分妹思いだよ」

でもなあ、ちょっと、やっぱり……

そう、希ちゃんは続けました。

希「なんとなく、親友、まで行くと、……依存してきちゃうよね、自分で、わかってるんだけど」

寂しそうに笑う希ちゃん、そして、それを真面目な顔で見つめる穂乃果ちゃん。



穂乃果「依存……?」

花陽「わ、私も、わかります……なんか、自分が一番にいないと、不安になっちゃって」

自分だって、他の人と話したり、過ごしたりするくせして。

信じ込んだ相手から、本当に信用されているのか、不安に、なる。

穂乃果「そっかあ……穂乃果は、そんな事、ないなあ。三人でいつもいるからかなあ」

希「そのままで、いていいんよ。うちらは、多分ちょっとだけ、強欲になってしまった、だけや……」


花陽「……でも、今は、忘れましょう!そんなこと!」

穂乃果「そうだよ〜、折角珍しい三人組なんだからさっ!明るく!」

希「せやね……この状況に感謝、アーメン」

アーメンに雨がかかっているのは分かったけど、巫女さんがキリストに……いや、気にしないでおきましょう。

花陽「穂乃果ちゃん、そういえば、雨、止ませられないの?」

希「花陽ちゃん……穂乃果ちゃんかて、超能力者じゃないんだから……」

穂乃果「そ、そういえばそうだね……やってみてなかったや」

じゃあ、ちょっと恥ずかしいけど……

そう呟いて、荷物を私たちに託し、穂乃果ちゃんは傘から飛び出しました。

すうっ、と大きく息を吸い、

穂乃果「雨、やめーっ!」



花陽「いや、まさか、……止むと思ってなかったから」

希「うちも、あれは、偶然やと思ってたなあ」

穂乃果「ん〜〜、なんでだろうね……まあ、晴れ女ってことにしとこう、か!」


見事雨は止んでしまいました。

穂乃果ちゃん、すごいけど、ちょっと……不思議なものを感じます。

穂乃果「えへへーっ、でも、まあ結果オーライだし……」

希「でも、あれやね、雨降らんかったら……」

花陽「……離れちゃって、ちょっとさみしい、かも」

穂乃果「ええっ?!ごめんね?!」

急にあたふたする穂乃果ちゃんが可愛くて、希ちゃんと二人で笑ってしまいました。



穂乃果「んもー!笑わないでよー!」

希「ふふ……でも、ええやん?ほら……」

花陽「わあっ、虹……綺麗」

虹の色の数は国によって違うと言いますが。

花陽「私たちには、九色に見えるね……」

赤は真姫ちゃんで、橙は穂乃果ちゃん。

黄は…凛ちゃんで、緑が私、小泉花陽。

水色は絵里ちゃん?で、青色…は海未ちゃん、

紫は希ちゃんで、ほんの少し見える桃色はにこちゃん、かな。

そして、空に広がる白い雲、は、ことりちゃん。

穂乃果「……私たちも、みんなを笑顔に出来る、そんな風になりたいね」

にこちゃんがいつも言う台詞のように。

「今日、みんなを一番の笑顔にするわよっ!」

アイドルとして大事なもの、それを忘れちゃいけないよ、って虹が教えてくれた気がしました。


またクスクスと笑う希ちゃん。つられて、私たちも笑顔になりました。

穂乃果「また、この三人で、話そうねっ!」

次はみんなの楽しい話が聞きたいなっ!

そう言って穂乃果ちゃんは、お家の中に入りました。

無事、傘のない穂乃果ちゃんを送り届けた私と希ちゃんは、他愛もない話をしながら、帰路につきました。

花陽「……あれ、穂乃果ちゃんから」

希「ん?どしたん?」


『ごめん!折り畳み傘、カバンの中に入ってた……ありがとうっ(汗)』


希「…あはは、穂乃果ちゃんらしい」

ん?どうやら、続きがあるようで……。



『家に着いたら、ことりちゃんと海未ちゃんが居て、無事仲直りできました!』


花陽「だって!よかったあ……」

希「やっぱあの三人は、仲良しでいてくれなきゃね!」


ピリリ、ピリリ、希ちゃんの携帯がなりました。

希「あら?エリチからや、なんやろ、もう……」


にこ『のぞみーっ?まだ家に着いてないの?』

希「そうやけど……って、にこっちやん!どうしたん?」

にこ『んもう、絵里とずっと希の家の前にいるのよ、早く帰ってきてっ!』

希「へ?なんやそら!聞いて、ないっ」

にこ『そりゃ知らせてなかったからね……絵里が、雨の日は希は落ち込みやすいの、って言うから、遊びに来たのよ』

希「そんな、無茶な、……もうっ、今行くから」

ピッ、と電話を切って、希ちゃんは、

そういう訳やから、ごめんな、花陽ちゃん、また明日!

と言って、走って行きました。



急な展開に一人になった、わたし。

穂乃果ちゃんも、希ちゃんも、元気になったみたいで、良かった……。


花陽「次は、わたしの番」

水たまりをぱしゃっと跳ねあげて、私は、参ってる凛ちゃんのお家に向かいました。

終わりです、くぅ疲〜

にしても一人で連投はさみしい……
誰かが見てくれることを祈ります

トリつけるの失敗するとか何故かID変わるとかよくわかってないんですけど(?)、

もう少しどうにか出来たらと思います!


次はりんまきか、ことりんか、りんまきか……頑張ります……

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