川内「何で！夜戦だよ！」

提督「夜戦ですよ」

川内「海軍と言えば夜戦！夜戦と言えば私！私と言えば夜戦のあの夜戦だよ！」

提督「多少ツッコミ所もありますがその夜戦ですね」

川内「その夜戦が禁止！？」

提督「禁止です」

川内「私に沈めと！？」

提督「いえむしろ沈まない為に夜戦禁止なんですよ？夜戦はこちらの被害も大きくなりやすいですから」

川内「そうだけど！」

提督「兎に角コレはウチの方針ですので、変えはしません」

川内「そんな……私は何の為に生まれたの？」

提督「普通に深海棲艦を倒すためですよね？夜戦をする為ではありませんよね？」

川内「……夜戦しーたーいー」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ

提督「あのっ？川内さーん！……行っちゃった」

川内（……あの後皆に聞いて回ったけど）


神通「そうよ姉さん」

那珂「ウチの提督って結構頑固なんだよー」


長月「そりゃ夜戦無しだと私達はあまり戦力にならないが、司令官はそれでも構わないと言うんだ」

皐月「やりたくはあるけど、まぁいいかなって」


北上「まぁ私達は魚雷撃てればいいよね大井っち」

大井「ですよね北上さん」


陸奥「私達の事を大事にしてくれてるのよ提督は」

長門「それに昼のウチに殲滅すればいいだけだ」


瑞鶴「いやと言うか私達はそもそも夜戦参加出来ないから」

翔鶴「空母だから」


川内（何故！？何故皆夜戦無しでいいの！？空母勢はともかく！……いや諦めるのは早いわ川内……そうよ！いくら禁止してるといってもいざという時には夜戦するはず！）

川内「よーし！夜戦するぞー！」

神通「いやだから」ｵﾛｵﾛ

那珂「まぁまぁ神通ちゃん、川内ちゃんもその内分かってくれるって」

　　演習

川内「ちょっと劣勢ね」

神通「戦術的敗北でしょうか」

那珂「いてて」ﾎﾞﾛｯ


提督「……」

相手提督「ふむ、このまま夜戦ですかね？」

提督「いえここまでで」

相手提督「む？いいんですか？こっちが優勢のようですけど」

提督「はい、演習終了だ皆」

相手提督「まぁ勝ったからいいけど」


川内「そんな！演習なのに……」


　　出撃

川内「昼戦の撃ち漏らしがいるよ！指示を！」

提督『そのまま戦闘海域を離脱、進撃せよ』

川内「っ……了解しました、このまま離脱して進撃するよ！」

川内（また無しか……ううんこれはまだ敵の主力じゃない……そりゃ道中でまで全部夜戦してたら弾薬足りないもんね……うん仕方ない仕方ない……）


川内「敵主力のうち三隻轟沈！中大破二隻！旗艦は軽微！こちらの被害はほぼなし！夜戦なら敵の殲滅はほぼ確実です！提督指示を！」

提督『それなら戦術的勝利は堅いはずだ、そのまま離脱して帰投せよ』

川内「っ……了解……このまま全員離脱、帰投するよ！」

川内（敵を倒せるのに離脱……夜戦と言ってもこちらの被害はほとんどないはずなのに……ううん昼戦で勝ちが見えてるからよね？昼戦で負けそうならあの提督も夜戦を指示するはず！もっと強い敵ならきっと……）

川内（……夜戦……夜戦したい）ｶﾘｶﾘ

提督「燃料が……演習予定……遠征を頼んで」ｶﾘｶﾘ

川内「……夜戦」ﾎﾞｿﾘ

提督「何か？」ｶﾘｶﾘ

川内「ううん何でも……」ｶﾘｶﾘ

提督「……」ｶﾘｶﾘ

川内「……あっそろそろ出撃だね、準備してくるね」

提督「ええよろしくお願いします川内さん」

川内「うん（今回は完全に新しい方面、敵も強いっていうし……夜戦……あるよね？）」ｽﾀｽﾀ

提督「……」ｶﾘｶﾘ

川内「敵主力艦隊発見！これより交戦に入ります！」

提督『了解』

川内「強そうね……砲雷撃戦用意！てー！」

ﾄﾞﾄﾞﾝｽﾞｽﾞﾝﾊﾟｼｭｼｭﾊﾞｼｭｼｭｼｭｼｭ

川内「つっこれは……提督！昼戦で敵主力は中破二隻小破一隻他軽微！こちらの被害は中破四隻小破二隻！このままだとおそらく戦術的敗北です！指示を！」

提督『……全員離脱せよ、編成と装備を見直し後日改めて海域を攻略する』

川内「提督！？夜戦に入れば」

提督『離脱し帰投せよ』

川内「……了解……全員離脱して帰投するよ」

北上「あーやっぱりそうなの？まぁ仕方ないかぁ」

長門「歯痒くはあるが提督の指示だ」ﾎﾞﾛｯ

那珂「痛い……」ﾎﾞﾛｯ

川内（……これでも夜戦無しなんだ……そっか……）

神通「姉さん？」ﾎﾞﾛｯ

川内「何でもないよ、早く離脱しよ」

神通「ええ……」ﾎﾞﾛｯ

川内「はぁ……」ｺﾞﾛｺﾞﾛ

神通「ふぅ……ただいま姉さん」ｶﾞﾁｬﾊﾟﾀﾝ

川内「あっお帰り神通、治ったの？」

神通「ええ、姉さんはとっくに出てたみたいね」

川内「小破だったしね……」

神通「姉さん？どうかしたの？」

川内「……別に……」

神通「だって今フタマルマルマルよ？いつもなら夜戦夜戦って騒いでる頃なのに」

川内「あーもうそんな時間かぁ……うん今日はいいや、ちょっと疲れたし……悪いけどもう寝るねお休み」

神通「姉さん……」

川内「……」

神通「……」ｽﾀｽﾀｶﾞﾁｬﾊﾟﾀﾝ

川内「……夜戦……か、騒いでも出来ないんじゃ……ね？……眠れない……何か飲もうかな」ﾑｸﾘｽﾀｽﾀｶﾞﾁｬﾊﾟﾀﾝ


那珂「たっだいまー！あれ？二人ともいない？」

川内「んくっ……ふぅ……よし寝ようかな」ｺﾞｿｺﾞｿ

ｽﾀｽﾀ

川内「ん？誰か来た？って何で隠れるの私」ｺｿｯ

神通「……誰も居ませんね」

提督「そうですね都合いいですか？」

神通「ええ」

川内（神通と提督？こんな所で……まさか！告白とか？）

神通「提督にお聞きしたい事があります」

提督「何ですか？」

川内（えっとえっとどうしよう）

神通「何故提督は夜戦を避けるんですか？」

提督「……ウチの方針です」

川内（あれ？なんだそういう話じゃなかった）ﾎｯ

神通「それは分かっています、私が聞きたいのはその理由です」

提督「……何故今更聞くんですか？」

神通「……最近姉さんが目に見えて元気が無くなっています、理由は……おわかりですよね？」

川内（……神通？）

提督「……夜戦禁止だから……ですよね？」

神通「そうです、夜に騒ぐ事も減ってきて、さっきももう寝ると言ってました」

提督「……それでですか」

神通「何か理由があるのでしょう？聞かせてもらえますね？」

提督「……私の父は海軍の所属でした、深海棲艦が現れだして間もない、まだ艦娘もいない頃です」

神通「……」

提督「まだ深海棲艦に対する有効な手段すら無く、それでも侵攻を何とか止めるべく必死に戦っていました……ですが……艦ごと沈められ……」

神通「……まさか」

提督「後から分かったのですが撤退の指示が出されていたそうです、ですが父達は仲間を逃がす為に最後尾で殿をつとめたそうです……もう日も沈み闇の中で深海棲艦に……」

神通「……すみません提督……まさかその様な」

提督「いえ構いません、ですがどうしても頭を過ぎるんです、もし夜戦に臨めば皆さんが沈んでしまうかもしれない……川内さんが帰ってこないかもしれない……そう思ってしまい……」

神通「だから夜戦禁止なんですね？」

提督「ええ……私は皆さんや川内さんを失いたくはない、分かってくれますか？」

神通「はい……」

提督「そうですか、ありがとうございます神通さん」

神通「いえ、私の方こそこんな所に連れ出して、そんな事を聞いてしまって」

提督「構いませんよ、それでは私はまだ執務がありますので」ｽﾀｽﾀ

神通「はい……姉さん……」ｽﾀｽﾀ

川内（……）

川内「おはよう提督」

提督「ああおはようございます川内さん」

川内「さって仕事仕事」

提督「？川内さん？」

川内「ん？何？」

提督「いえ……その、何だか元気ですね今日は」

川内「うんちょっとね、それとも私が元気だと何か困る？」

提督「……いえむしろ嬉しいですよ」

川内「でしょ？ならいいじゃん」

提督「ええ……」

川内「ほら仕事仕事！えっと購買に酒を増やしてほしい？また隼鷹さん？」ｶﾘｶﾘ

提督「……」ｶﾘｶﾘ

川内（夜戦出来ないのは寂しいけど、あんなの聞いちゃったら……仕方ないよね夜戦無いなら無いで他を頑張らないと）ｶﾘｶﾘ

提督「……」ｶﾘｶﾘ

川内「あっここに判子お願い」

提督「はいここですね」ﾎﾟﾝ

川内（夜戦は忘れよう……うん）ｶﾘｶﾘ

提督「……」ｶﾘｶﾘ

一旦ここまで、続きは夜にでも