女騎士「くっ、殺せ!」アルスラーン「いや…そう死に急ぐな」(74)


アルスラーン「貴公のような文武共に優れた秀才は、これから私が築こうとしている国にとって必要な逸材だ。
       どうかお主の力を、私に貸してはくれまいか?」


女騎士「……で…殿下…」キュン… 


みたいな?


~それから女騎士は、殿下のお茶汲み係役兼雑務職を任された~


女騎士「殿下!お茶が出来上がりました!」ササッ

アルスラーン「うむ、ありがとう女騎士」


___

ダリューン「どういうつもりだナルサス!? 捕虜であるあの女を殿下のお側に置くとは…」

ナルサス「我々の目の届かない所に置いて、裏でウロチョロされるよりは幾分もマシだろう?
     ここでなら女騎士の動向もすぐに察知する事が出来るし、
    何より万が一の事が起きた場合に、お前や憲兵達が直ぐさま行動に移れるからな」

ダリューン「……しかし、あの女騎士は凄腕の剣士だったと聞く。
      隙を付いて殿下の首を狙う事だって…」

ナルサス「心配せずとも、彼女からは既に剣を取り上げてある。
     武器の代わりになるような物も、この部屋の中には存在しない。
     加えて我々の監視下にあるこの状況で、殿下に害を与える事など、不可能に近い」


ダリューン「……だが、しかしだな…」

ナルサス「どうした?お前らしくもない
     そんなに彼女の事が信用ならないのか?」

ダリューン「………」

ナルサス「まぁ…彼女は元々敵国の騎士であった人間だ。
     お前が彼女に対して慎重な態度を取るのも無理はない…
     だが、女騎士とて曲がりなりにもアルスラーン殿下に忠誠を誓ってみせた身だ。
      この様な事など私が言えた義理ではないが、お前ももう少し彼女の事を…」

ダリューン「……嫌な予感がするのだ…」

ナルサス「……予感?」

ダリューン「あぁ……確かにあの女からは、殿下に対する敵意の類の気は感じない。
      いやむしろ……殿下には好意的に接していると見える…」

ナルサス「………」

ダリューン「だが、だからこそ不安なのだ…
      あの女が…殿下に対して何か良からぬ事を仕出かすような、そんな気がしてならないのだ…」

ナルサス「ほう…」


___

女騎士「殿下ッ!頼まれていた書物を持って参りました!」

アルスラーン「あぁ、いつも済まない女騎士」

女騎士「いえ!殿下の為ならお安い御用でありまする!」

アルスラーン「……本当に済まない。女騎士…
       貴公のような勇敢な戦士に、このような雑務仕事を押しつけてしまって…」

女騎士「なッ!殿下が気に病む必要など微塵も御座いません!
    本来ならば、捕虜となった時点で討ち首になる運命にあったこの命…
    雑務に使おうが、ナニに使おうが…それは全て殿下の自由で御座いまするッ!」

アルスラーン「止めてくれ女騎士…それではまるで奴隷ではないか。
       私はお主をその様には扱いたくない…」

女騎士「……殿下…」

アルスラーン「雑務に嫌気が刺したら何時でも言ってくれ。
       私から女騎士に別の職務を斡旋するよう、ナルサスに掛け合ってみよう!」

女騎士「ま……誠に勿体無きお言葉ッ!痛み入りますッ!」

アルスラーン「うむ」ニコッ



女騎士(んほおおおぉぉぉぉぉぉおおオオオオオッ!!!アルしゅらーん殿下の笑顔眩ししゅぎりゅうううぅぅぅぅぅぅウウウウウッ!!!)ビクンビクンッ!!


女騎士(美少年な上に広い御心を御持ちとか完璧しゅぎりゅうううぅぅぅぅウウウッ!!!)ビクンビクンッ!


女騎士(わたしはむしろ貴方の性奴隷になりたいのおおぉぉぉオオオッ!!!)ビクンビクンビクンッ!


女騎士「はぁー…!はぁー…!はぁー…!」

アルスラーン「ど…どうしたのだ女騎士!? 顔が真っ赤だぞ!?」

女騎士「いえ…大した事では御座いません…!軽い発作みたいなものです…!」

アルスラーン「本当に大丈夫なのかッ!? 何なら医者を呼ぶか!?」ズイッ


女騎士(殿下の顔近いんほおおぉぉぉオオオッ!!!)ビクンビクンッ!


女騎士(……も……もう我慢ならんッ!今晩…件の作戦を実行に移すとしよう!)

女騎士(殿下の貞操は、この私が貰い受ける…!)


女騎士「……グフッ…グッフッフッフッ…」


ダリューン「………」

ナルサス「んっ? どうかしたかダリューン?」

ダリューン「……あの女から、邪気を感じる…」

ナルサス「邪気…?」



女騎士(よォーし…!燃えてきたんほおおぉぉぉおオオオッ!!!)ビクンビクンッ!



ダリューン「………」

ナルサス「………」

ナルサス(……成る程、な…)


~真夜中 殿下の寝室の門前~


女騎士「………」チラッ


____

守衛兵「ふわぁ…」

ジャスワント「………」

____


女騎士(部屋の前には見張り役の兵がひとり…いや、二人か?)

女騎士(何だあの褐色のイケメンは…
    胸板腹筋丸出しの半裸スタイルとは、何と破廉恥な…!)

女騎士「……しかし、今の私にはどうでもいい事ッ!」

女騎士(目的はあくまでも殿下の貞操ッ!他のチ○ポになどに用はないッ!)


女騎士「………」シュタタタ…!


守衛兵「んっ…?」


女騎士「当て身ッ!」ブンッ!


ゴツンッ!


守衛兵「がっ…!」ドサッ…


女騎士「安心しろ、急所は外した。死にはしない…」


ジャスワント「なっ!何奴ッ!?」

女騎士「貴様に名乗る名はない…」スッ…

ジャスワント(き…消えた!?)


女騎士「済まぬなイケメンよ。確かにお前はイイ男だが…」ヌッ…


ジャスワント(背後ッ!? いつの間に!?)


女騎士「…私は…生粋のショタコンなのだぁッ!」ブンッ!





ゴツンッ!


ジャスワント「……なっ…にを…?」


女騎士「フン……所詮貴様では、私を満足させる事など出来やしないという事だ」


ジャスワント(……で…殿下……)ドサッ…


女騎士(……さてと…)



スタスタスタ…



~殿下の寝室~


ギィー…


女騎士「……殿下、失礼を…」チラッ


アルスラーン(?)「………」


女騎士(フフッ…布団にくるまっておられるのか…都合がいい!
    私の存在が気付かれぬ内に、忍び足で殿下の枕元に近付いて…)そろ~…

アルスラーン(?)「………」


女騎士「……ハァー…!ハァー…!ハァー…!」

女騎士(い……イカンッ!興奮のあまり鼻息が…!
    こ…堪えろ私ッ!こっそり…こっそりと殿下の下に…!)そろ~…


アルスラーン(?)「………」


女騎士「ゼェー…!ゼェー…!ゼェー…!」

女騎士(ついに…ついにココまでたどり着いたぞ…!
    アルスラーン殿下と密室で二人っきりだと考えるだけで…もはや、息を整える事さえ難しい…!)

アルスラーン(?)「………」


女騎士(……頭まで布団にくるまって就寝とは、殿下も変わった寝相をしておられるな…
    だが、まぁいい…。殿下の美しい寝顔など、拝見してしまったら最後…
    そのあまりの破壊力に私の理性などたやすく吹き飛んでしまう…
    少なくとも軽く十回はイッてしまうだろう…)


アルスラーン(?)「………」


女騎士(さて、ここからどう打って出ようか…)

女騎士(やはり…殿下のイチモツを加えながら御目覚めまで待つというベタな展開で…)


アルスラーン(?)「………」



女騎士「ええい!まどろっこしい!ここは殿下に失礼して一気にッ!」布団バサーッ!



デーン!

アルスラーン(に見立てた等身大のカカシ)


女騎士「な…何だこれは…!?」


???「貴公の目を欺く為の殿下の代わり身人形」



女騎士「くっ!何奴ッ!?」クルッ



ナルサス「……やはり…警備が手薄になる真夜中の時間帯に、殿下の寝込みを狙って来たか…」

ダリューン「女騎士ッ!拾われた身でありながら分を弁えず、自らの主に手を出すとは…見下げた奴だッ!」


女騎士「ナルサス卿!? それに…ダリューン卿ッ!」


女騎士「な…何故貴様らがここに居る!? アルスラーン殿下を一体何処へやったッ!?」

ダリューン「教える訳ないだろうがッ!この恥知らずめッ!」

女騎士「クッ…!」

ナルサス「女騎士。貴公の計画は、貴公が行動を起こすより以前に、既に我々の下へ筒抜けだったのだよ」

女騎士「くっ!何故お前達が私の計画を…!?」

ナルサス「……殿下に接する際の貴公の態度の有り様から、前々から貴公の事を怪しんでいた者は多い…
     貴公が事を起こすのは時間の問題であろうと、私自身…以前から薄々と勘付いていたのだよ。
     そこで私は、アルフリードに貴公の私室への潜入、及び女騎士の私物の調査を頼んだ。そしたら…」

女騎士「……そこで、私の件の計画を知った、という訳か…」

ナルサス「あぁ、そういう事だ…」

ダリューン(……ナルサスに報告を済ませた時の彼女の顔…何やら酷く紅潮していたが…
      一体女騎士の部屋で何を見たというのだろうか…?)


女騎士「………」

ダリューン「さぁ、もう大人しく観念するのだな!女騎士!
      貴様のやろうとしている事は殿下に対する反逆行為に等しいッ!」

女騎士「……反逆…行為…?」

ダリューン「そうだ。大人しく自らの過ちを認め、アルスラーン殿下に許しを乞え。
      心優しい殿下の事だ…。さすれば討ち首は待ってくれる筈だ…」

女騎士「…………」

ダリューン「おい!聞いてるのか女騎士!?」


女騎士「………でん……かが…」


ダリューン「何っ?」


女騎士「…ッ!! 殿下が可愛すぎるのがいけないんじゃないのおおぉぉぉオオオッ!!!」



ダリューン「はぁっ!?」

ナルサス「………」


女騎士「何あの美少年ッ!? 何あの童顔ッ!? 初見の時ぱっと見女の子かと思ったわッ!!」

女騎士「それに何あの目映い笑顔ッ!美し過ぎるわ!
    お陰で何回、殿下の御顔をペロペロしたい衝動に駆られた事か…!
    それを抑えるのにどれだけこの私が必死になった事かッ!お前達に分かるかッ!」

ダリューン「分かるか馬鹿ッ!理解したくもないわッ!」

ナルサス「……それで、貴公はアルスラーン殿下の事を…具体的にどうするつもりだったのだ?」

女騎士「決まっておろうがッ!見つけ次第セック」



ゴツンッ!


女騎士「…ッ!いっつぅ…ッ!」

ダリューン「この破廉恥女がッ!貴様なぞ殿下の身に指一本触れさせてなるものかッ!」

女騎士「は……破廉恥とは失礼なッ!これは…殿下に対する純粋な愛の気持ちだッ!」

ナルサス「純粋と言う割には、邪な発言が見え隠れしていたが…」

女騎士「う…うるさいッ!貴様ら相手では話にならんわッ!
    殿下に謁見させろッ!殿下をペロペロさせろォーッ!」


ダリューン「こ……この女…!」

ナルサス「……愛憎もここまで来ると、もはや執念だな…」


女騎士「まあまあ!そう言わずによく考えてみろナルサス郷!
    一国の王ともなろう御方が女のひとつも知らないだなんて…諸国のいい笑いモノではないかッ!」

ナルサス「………」

女騎士「だからこそこの私が!殿下に大人の階段をかけ上がって頂く為に、可能な限りの手伝いを…」


ダリューン「頭に乗るなこの破廉恥女ッ!」


女騎士「うっ!?」ビクッ



ダリューン「貴様はただ、アルスラーン殿下に己の欲求をぶつけたいだけではないかッ!
      それも殿下の御意志に関係なく無理矢理だとは…!
      その様な下種な心を持った分際に…殿下の貞操をどうのこうの言われる筋合いなどないわッ!」

女騎士「な…何をッ!」

ナルサス「女騎士、御主の思惑が何であれ…貴公が見張りの兵達を倒し、殿下の寝室へ不当に侵入した事は事実…
    貴公の作戦の成功の有無に関係なく、厳重な処罰は免れないものと覚悟していただこう…」

女騎士(くっ!ならば今からでも遅くないッ!殿下をさらって…!)


ダリューン「逃がさんぞ女騎士ッ!」ザッ

ナルサス「大人しく観念して頂こう…」ザッ


女騎士(チィッ!挟み撃ちにされた!)

女騎士(前方の扉の前にはナルサス郷…!そして私の背後にはダリューン郷!
     どちらも剣を構えて臨戦態勢に入っている…!
     逃げようにも、この陣形では…!)

ダリューン「さぁ、大人しく両の手を後ろに回して膝をつけ。今縄で縛って…」



ギイィ…

女騎士(……んっ? 部屋の扉が開いて、誰かが入って来る…?)

女騎士(……まさかッ!?)


ザッ

アルスラーン「もうその位でよい。ダリューン、ナルサス…」


ダリューン「なッ!? 殿下ッ!貴方が何故ここに!?」

ナルサス「………」

アルスラーン「……済まぬ…。安全が確保されるまで別室にて身を隠すというナルサスの申し出を、無下にしてしまって…」

アルスラーン「だが!私はどうしても確かめたかったのだ!
       多忙な雑務にも嫌な顔一つせず、私に尽くしてくれたあの女騎士が…本当に裏切り者であるのか否か…
       私はこの目で、それをしかと確かめたかったのだ!」

女騎士「わっ…私は殿下を裏切るつもりなど決してッ!」

アルスラーン「……あぁ、話は全て表で聞いていた。
       そこでナルサス、ダリューン…。二人に折り入って話があるのだが…」


ダリューン「で…殿下ッ!まさか…!」

ナルサス「………」


アルスラーン「そうだ。女騎士の犯した罪状は、兵士に暴行を加えた件の追求に止め、
       私の寝室に無断で侵入した件に関しては、不問とする」


ダリューン「なッ!?」

ナルサス(……はぁー…やはりな)


女騎士「で…殿下ぁ…!」うるうる…

ナルサス(……見張りの兵も殺された訳ではない。刑罰と言っても軽いモノで済むだろう…)

ダリューン「な…何故ですか殿下ッ!?
      何故こ奴めが殿下の御部屋へ侵入した罪に関しては…不問とされるのです!?」

アルスラーン「……正直なところ、先程女騎士が二人に語っていた話…
       私には女騎士の言葉の意味がよく理解出来ず、肝心の内容はあまり把握出来なかったのだ…」

女騎士(…ッ!アルスラーン 殿下ッ!何と純朴な…!)

アルスラーン「……しかし…言葉の意味は分からずとも、女騎士が私に対して敵意を向けていた訳ではない、という事だけは…
       彼女の言葉の圧を介して、私にも十分に伝わったのだ」

女騎士「……で…殿下…」キュン…

ダリューン「殿下ッ!気を許してはなりませんッ!
      コイツは殿下が思っている以上に邪な心を持った女なのですぞッ!」

アルスラーン「ダリューンよ。女騎士が私に対して敵意を抱いていないと分かった以上、もはや無駄な詮索など無用だ」

ダリューン「し…しかし…」


アルスラーン「私に対する彼女の忠義に嘘偽りが無いと分かった以上、
       これで私も…心置きなく女騎士の事を家臣として迎え入れる事が出来る」

アルスラーン「今は、それで十分ではないか」ニコッ




女騎士(んほぉぉぉぉおおオオオッ!!! あるしゅらーん殿下御心寛大すぎりゅぅぅぅぅぅううウウヴウヴッ!!!)ビクンッ!ビクンッ!ビクンッ!




ダリューン「うわッ!!」ビクッ


アルスラーン「さぁ、先ずは御主が気絶させたジャスワント達に謝りに行こう。
       寝室へ忍び込んだ事については…私が何とか口裏を合わせておこう」

女騎士「な…何と…!?」

女騎士(……何と…何と心の御優しゅう御方なのだろうか…)



女騎士「……よしッ!」

女騎士(決めた!私はもう二度と殿下に対して…卑猥な想いを抱かぬように心がけようッ!)

女騎士(こんな純真な御心の持ち主に手を出そうなど…純白のシルクの生地に泥を塗りたくるような行為に等しい愚行だッ!)

女騎士「殿下ッ!只今より私は…新たな女騎士へと生まれ変わりましたッ!
    今後とも殿下の家臣の一員として!粉骨砕身し殿下に尽くす所存でありますッ!」

アルスラーン「ど…どうしたのだ急に!?」

女騎士「殿下!これは決意表明で御座いまする!
    過去(美ショタ喰い)の私と決別し…新しい私(殿下の忠実な部下)へと生まれ変わる為のッ!
    これがその第一歩なのですッ!」


ダリューン「な…何やら話が丸く収まりそうな雰囲気だが…本当にこれで良かったのか?」

ナルサス「さぁ…? これも殿下の人徳があってこその結果、と言えるやもしれんが…ただ…」

ダリューン「……ただ、何だ…?」

ナルサス「……果たして…人はそう簡単に変わる事など出来るものかな…?」



女騎士(そうだッ!これからの私は心機一転!アルスラーン殿下の為に忠を尽くして)


アルスラーン「そうか!これからも宜しく頼む!女騎士よ!」ニコッ


女騎士「………」

女騎士(……忠を……尽くして……)


アルスラーン「んっ? どうかしたか? 女騎士」ニコッ



女騎士「………ん……」


アルスラーン「んっ?」




女騎士「んほおおぉぉぉぉォォォオオッ!!! やっぱり我慢できないぃぃぃィィィィィイイッ!!!」ガバッ




アルスラーン「……えっ…?」



それは、言うなれば”獣”であった。

己が本能に身を任せ、目の前の少年ただ一人に狙いを定めた女騎士の姿勢は、
まさに獲物の血肉に喰らい付かんとする獰猛な肉食獣のそれに近いものであった。


女騎士「デンカアァァァァァァァアアアッ!!!」ビョーンッ!


強靭な脚力により打ち出された女騎士の肉体が、跳躍し、宙を舞い…アルスラーンへと目掛け押し寄せる。

女騎士の優美なる金髪が、空中で荒々と靡く。
アルスラーンには、それがさながら金色の鬣を蓄えた獅子の乱舞の様に見えた。

そして、対する獅子の側の瞳にも又、アルスラーンの姿が映し出されていた。
その姿は、まるで獰猛な肉食獣を前に萎縮する、非力な小動物を思わるものであった。


信頼していた家臣の豹変に、驚嘆するアルスラーン。
理性を失った女騎士の形相は、もはや、この世の物とは思えない程に醜く歪んでいた。


女騎士「シャーッ!」


降下を始めた女騎士の肉体が、アルスラーンの下へと迫り来る。
女騎士の神技に掛かれば、衣服の中の男性器を、己の膣の中へと導き入れるまでモノの一秒と掛からない。
もはや、アルスラーンの貞操が奪われるのも、時間の問題であった。


しかし、女騎士がアルスラーンの衣服へと触れかかった、正にその瞬間、
アルスラーンの背後より躍り出た黒い影が、二人の間に割って入って来るような形で、
女騎士の前へと立ちふさがった。


ダリューン「女騎士ッ!貴様ッ!!」


影の正体は騎士ダリューン。
主の危機を前に果敢に現れ、飛来する女騎士に鋭い眼光を飛ばすその姿は、まるで黒豹を思わせるそれであった。

懐の剣へと手を伸ばしたダリューンは、それを即座に抜刀し飛来する女騎士の頭部目掛けて振り放った。
対する女騎士も、空中で姿勢を整えつつ、持ち前の体術を持ってそれを迎え討つ。


金獅子が先か、黒豹が先か、
その勝敗は、一瞬の内に決した。




ゴツンッ!




女騎士「ぎゃふんっ!」ドサッ




ダリューン「………」

ナルサス「……斬ったのか?」

ダリューン「……いや、柄で殴っただけだ」


アルスラーン「………あっ……あぁ……」ペタッ

ダリューン「でっ!殿下ッ!気を確かに!」

ナルサス「どうやら…あまりにも衝撃的な女騎士の狂気を目の当たりにされて、殿下も気が滅入られてしまったようだな」

ダリューン「関心している場合かッ!?
      一刻も早く殿下を安全な場所へ御運びするぞ!」

ナルサス「……あぁ、そうだな」




女騎士「う~ん…う~ん…」バタンキュ~




~ それから暫くして ~



ナルサス「さて…かの謀反者、女騎士の今後の扱いについてだが…」

ダリューン「アルスラーン殿下の信頼を裏切った上、あまつさえ殿下に襲い掛かったのだ!決まっている!
      討ち首は免じてやったとしても…此処からの追放は免れん!」

ナルサス「まあ、そう熱くなるな…
     女騎士は、確かに性格には難があるが…その反面腕は確かだ。
     正直、このまま彼女の事を手放すのは惜しいようにも思える…」

ダリューン「なッ!お前!奴の蛮行を許すとでも言うのかッ!?」

ナルサス「そうは言っていない。だが、モノは考え様だ。
     女騎士を殿下の下から引き離し、尚且つ我らの利益になる方法…
      それを考えれば、自ずと答えは見えてくる筈だ」

ダリューン「我々の利益になる方法だと…?
      ナルサス、お前には何か考えがあるのか!?」

ナルサス「あぁ、それはだな…」


~ 更に月日が経ち、とある合戦にて ~



ルシタニア兵A「女騎士だぁーッ!アルスラーンの秘蔵人間兵器、女騎士が攻めて来たぞォーッ!」




女騎士「んほおぉぉぉぉォォォォォオオオッ!!!」ズドドドドドッ!!




ルシタニア兵B「ひッ!?」

ルシタニア兵C「あれが…噂に名高い金色の獅子…」


ルシタニア部隊長「やっ…奴の侵攻を何としてもくい止めろォーッ!」


女騎士「んほおぉぉぉォォォオオッ!!殿下の為ぇぇぇェェェエエッ!!」ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!



ルシタニア兵の軍勢「「「ぎゃぁぁぁぁぁッ!!」」」


ルシタニア兵D「だッ!駄目ですッ!女騎士の勢い…止められませんッ!」

ルシタニア兵E「あぁ!我が方の部隊が散り散りにッ!」


ルシタニア部隊長「……た…たった一人の騎士相手に…我々の部隊が壊滅状態だとッ!?」





女騎士「んほおぉぉぉォォォォオオッ!!でんかあぁぁぁァァァアアッ!!」ズドドドドドッ!!!


_____


ダリューン「……相変わらず鬼神の如き勢いだな、あの女…」

ナルサス「戦場で手柄を上げた分だけ、殿下との面会(監視付き)を許す、と約束した途端にこの勢いだ…
     全く…女騎士の殿下に対する執念深さには、つくづく驚かされる…」

ダリューン「……しかし…これでは女騎士の志気を上げる為に、殿下をダシに使っているようで…俺はあまり良い気がしないが…」

ナルサス「……まぁ、お前の気持ちも分からなくはないが…見てみろ。女騎士の力を…」



女騎士「んほおぉぉぉぉォォォォォオオッ!!」ズドドドドドッ!!



ナルサス「彼女の存在は間違いなく、アルスラーン殿下の夢の実現の為に必要不可欠な存在に成りえよう」

ダリューン(……腑に落ちん…)


ー 完 ー


~ オマケ 次のターゲット(?) ~


<まだ!まだ!まだ!まだ!負けられな~い♪>


女騎士「はぁ~…ついにアニメアル戦終わってしまった…」

女騎士「一応原作コミックはまだ続いてくが…週末の楽しみが無くなると考えると…」

女騎士「……はぁ~…何か死にたくなってきた…
    ……んっ? 来週から始まる新作アニメの予告か?」



三日月「次回、機動戦士ガンダム・鉄血のオルフェンズ
    いのちの糧は、戦場にある」



女騎士「少年祭りキタァァァァァアアッ!!!ンほおぉぉぉぉォォォォォオオッ!!!」ビクンッ!ビクンッ!ビクンッ!



続かない。

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