【咲-Saki-】京太郎「クリスマスを貴女と」和「その3ですね」【安価】 (1000)


○このスレは所謂、京太郎スレです

○コンマや安価で関係を決定したり進めていくので安価要素ばっかりです

○舞台は主に大学編

○安価やコンマ次第ではサークルクラッシュもあり得ます

○あくまでも息抜き用のスレなので基本的に一周で終わる予定です

○エロ?まぁ、そうねぇ。


前々スレ
【咲-Saki-】京太郎「クリスマスを貴女と」【安価】
【咲-Saki-】京太郎「クリスマスを貴女と」【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1439/14398/1439813518.html)

前スレ
【咲-Saki-】京太郎「クリスマスを貴女と」咲「その2」【安価】
【咲-Saki】京太郎「クリスマスを貴方と」咲「その2」【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440516723/)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1441031421

※このスレについて



このスレの期間は一ヶ月で、一単位が午前と午後になります

まず午前や午後に誰に会うかを安価で決め、未登場ヒロインの場合は京ちゃんと遭遇済みかそうでないかを安価で決定します

京ちゃんと既に会っている場合は、交友関係をコンマで判定し、そのコミュでの好感度上昇値を決めてから即興で書いていく形になります

京ちゃんと会っていない場合はその遭遇での京ちゃんの印象をコンマで判定し、場合によってはそのヒロイン限定のボーナススキルがつきます

(例【好印象】(池田ァ):池田ァの好感度上昇が+1される)

悪い場合はデメリットスキルがつきますが、コミュを重ねていけば、デメリットスキルも解消されます

その場合、今までそのデメリットスキルで減らされていた好感度が二倍になって+されます

解消された時のメリットはとても大きいので、悪印象がついても諦めないでください



また京ちゃんの恋愛抵抗値は基本的にコミュでヒロインの好感度が上がった分の1/2だけ低下していきます(最低-1)

エンディングまでにこの数字が0になっていた方が良いので、頑張って京ちゃんを恋愛に積極的にしてあげてください

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
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            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
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                   Ⅵム    -  -    イ //
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【名前】 須賀京太郎

【ステータス】
体力 ほぼ人並みと変わらないレベル
学力 成績優秀で教授から留学を薦められるレベル
魅力 どんな場所でも必ず中心人物になれるレベル
雀力 三年のインターハイで大活躍したレベル


恋愛抵抗値 26/100


【交友関係】
咲 幼馴染 ?9/100 【???】??回コミュを行うと???…(累計1)
ハオ 親友 53/100
謎チャー 変な人… 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる
智葉 部員 27/100
ステルス○○ 痴漢 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積4 フラグ2)
ネリー 好き 69/100
漫 良い人 30/100 【好印象】:好感度の上昇値が+1される(類似効果と累積する)
謎のうっかりさん ムカムカする 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積8 フラグ2)
透華 親友 45/100
謎の大天使 コワクナイ…? 20/100
白望 …思ったより悪い人じゃなさそう 23/100 
憧 仲良くなれれば良いな 50/100 【好印象4】:好感度の上昇値が+4される(類似効果と累積する)
穏乃 憧のおとなりさん…だよね… ??/100 【??の絆】:???
マホ 好き 68/100
淡 好き 72/100
塞 もう貴方なしじゃいられない 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
竜華 特に関心ナシ 10/100
姫子 後輩 38/100
ちゃちゃのん 愛してる 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
和 ??/100 【特別な人】:コミュした時、恋愛抵抗値を10低下させる。三回コミュを行うと…(累計2)
美穂子 大好き 89/100
由暉子 友人 57/100
豊音 好き 67/100


エンディング条件


(1)ある特別な関係の子と3回以上会えば、その時点でエンディング
(2)恋愛抵抗値0で好感度が好き以上の子と会えば、その時点でエンディング
(3)上記の条件を満たせずクリスマスを迎えた場合エンディング


これもうどうしようねマジでwwwwww
いや、展開的には凄い王道なんだけど…王道なんだけどね!!
このままエンディングやったら100もいかないだろうし…流石にそれでhtml化出すのも偲びない


…………二周目やるのはアレだけどルート分岐する?

じゃあ、和エンドやった後、12/15午後から再開しましょうかー

後、終わり方が酷かったのは私も思うけど、基本、何も考えず即興で書いてるので筆が乗っちゃったというか…
次の一回で終わらせないといけない事を考えるとどうしてもあぁいう展開しか思いつかなかったです(´・ω・`)ゴメンネ

三回取ったら終わりなのは咲さんやしずも同じだろ!!!!

と言いつつ、ちょっと最近、早起きしすぎて眠気がやってきたんで寝てきます(´・ω・`)
明日の早朝にエンディング書いてって、明日の夜からまた再開出来れば良いな、と思ってます

あ、ルート分岐は12/15からの再開なので和大学前で会わなかった世界線になります
なので、のどっち放置で他イチャイチャと言う風にはなりませぬ

女の子とEDを迎えやり直す度に、世界からその女の子が消えていき最終的に京太郎を好きな娘は咲さん一人になる・・・
                                                 魔王ED
さよならのどっち

ヒャッハー!また支援絵だー!(´・ω・`)何時もありがとうございます
また感想言いたいんですが、ちょっと今日は寝坊してこのままじゃ和エンドまでいけるか分からないのでまた後にさせてください
夜には必ず感想書き込ませて貰います(´・ω・`)そしてまたEXコミュ投げるから好きなのリクエストしてくださいな

と言いつつそろそろ始めます


京太郎「(アレから家に帰ってずっと考えてみた)」

京太郎「(自分の気持ち…そして和の気持ち)」

京太郎「(でも、そう簡単に答えなんて出なくて…)」

……そもそもそうやって考えてすぐさま答えが出るのなら、俺は何も迷わずにここまでやってこれただろう。
でも、実際、俺の人生はあっちこっちにふらふらと迷ってばかりだった。
こうして奨学金を貰えるようになった麻雀ですら俺は一時、逃げようとしていたし。
……そう考えると…いや、考えなくても格好悪いよなぁ、俺。

京太郎「(…でも、そんな俺を和は未だに好きでいてくれている)」

…正直なところ、俺がそんなに良い男である自信はない。
そもそも和は何処に居たって男の目を引くような美少女なのだから。
三年も会えずにいて、それでもまだ好意を持ってくれているだなんて信じられない。
……信じられない…けれど、それでもここまでの和の反応を見る限り、そうとしか思えなくて。


京太郎「(…じゃあ、俺はどうなんだ?)」

和に対する未練は未だ俺の中でも強い。
でも、それが明確な好意であるかどうかは俺の中で自信がなかった。
変なところでロマンチストな男の本能が、初恋を必要以上に美化して引きずっている可能性は否定出来ない。
少なくとも今の俺の胸の内にある和への好意は以前よりもずっと朧げでとらえどころのない姿をしていた。

京太郎「あー…くそ…」

……今日はもうずっとこんな感じだ。
もう夜も明けて少しずつ外も明るくなってきたってのに…同じ問答ばっかり繰り返して。
結局、自分が和の事をどう思っているのかって事さえ答えを出す事が出来ない。
そんな自分にいい加減、嫌気が差してきた俺は大きく伸びをしながら布団の中へと倒れこんだ。


京太郎「(あー…今日はもう大学も休もうかな)」

少なくとも、今の状態で大学に顔を出す気力がない。
と言うか、この布団の上から動こうという気力さえ今の俺にはなかった。
まるで三年前に戻ってしまったような無気力さと自己嫌悪が今の俺を支配している。
そんな状態で大学に行ったところで他の皆を心配させるだけだろう。

京太郎「(三年前……か)」

…そこで俺が思い出したのは引っ越しの荷物の中に紛れ込んでいる携帯の事だった。
今、使っているスマートフォンとは違い、三年前使っていたガラケーの方。
その中には和と撮った写真や交わしたメールがいくつも残っている。
……消せば少しは楽になると分かっていながらも、俺は今までずっとそれを消す事も捨てる事も出来なかった。


京太郎「(……そうだな。このままじゃ答えも出ない訳だし…)」

京太郎「(改めて…三年前の事にも向きあえば、少しはヒントになるかもしれない)」ムク

正直な事を言えば…和と再会した今も当時の事を思い出すのは辛い。
今となっては良い思い出だとそう思うには、当時の俺は辛すぎたのだから。
だが、こうして和に遠回しの告白をされた今、それから逃げ続ける訳にはいかない。
自分の気持ちに決着をつける為に…俺も頑張らなきゃいけないんだ。

京太郎「(確かこの辺にっと…あった)」

俺はあまり几帳面な方ではないが、しかし、ものぐさと言う訳でもない。
散らかってきたら片付けるようにはしてる俺の部屋から三年前の携帯がすぐ見つかった。
電源コードと一緒に箱に入っていたそれに、俺はコードを繋いで充電を始め、数分後、電源を入れる。
それから数秒して光を灯した画面は、見慣れた待ち受けを表示した。
正直、ちょっと心配だったけれど…でも、まだこの携帯は使えるらしい。


京太郎「(……でも…もうこの時点で未練ありまくりじゃねぇかよ)」

……俺の画面の待受に表示されていたのは、かつて清澄全員で撮った写真だった。
竹井部長に、まこ先輩、咲に優希に…そして和。
全員がフレームギリギリに収まるそれは…当時の俺がどれだけ和の事が好きだったかを俺に伝える。
クリスマスの日、彼女にフラれてしまったとそう思い込んでも尚、その待受を変える事が出来なかったのだから。

京太郎「(メールのやりとりも全部、保存してるし…)」

京太郎「(ホント……好きだったんだよなぁ…俺)」

…わざわざ別フォルダに分けて全部保護メール設定してやがる。
……それを遡っていけば…あぁ…マジか。
最初に送ったテストメールさえ残してるぞ、俺。
…自分の事ながらここまで徹底してメール残してると若干、危なく思えるわ。


京太郎「(…ただ、このテストメール送るのにも色々と考えたりしたんだよな)」

届いてますか、だけじゃ、一回返信貰って終わりだ。
でも、テストメールで色々なものを詰め込んでも、訝しまれるだけだろう。
そう思って数時間悩みに悩んでメールしたのを今も良く覚えている。
…まぁ、結局のところ、普通のテストメールになった訳だけれど。

京太郎「(…あぁ、そうだな)」

京太郎「(俺は…俺はこんなにも和の事が好きだったんだ)」

…そうやって当時の思い出が蘇ってくるのは何も最初のメールだけじゃない。
何の変哲もない日常会話レベルのメールのやりとりでさえ、俺は真剣に悩んでいたのだから。
そこから広がる当時の記憶は未だ俺の中で色褪せてはおらず、こうしてキッカケさえあれば簡単に蘇ってくる。
そうやって当時の自分の考えを思い返しながら、俺は最後までそのフォルダの中身に目を通して… ――


京太郎「(…だから、忘れられる訳…ないんだよな)」

京太郎「(こんなにも好きだった子の事を…三年程度で諦められるはずないんだ)」

蘇ってきたのは三年前の記憶だけじゃなかった。
メールを送るだけでドキドキして携帯を手放せなかった時の俺が。
和の返信に一喜一憂して、時には一人ガッツポーズをとっていた時の俺が。
和と電話しすぎて親に携帯代について説教された時の俺が。
ジワジワとしみだすようにして俺の心の中に現れ始める。

京太郎「(……やっぱり俺は好きだ)」

京太郎「(こうして三年経っても…和の事が好きなんだよ)」

…俺はずっとその気持ちに目を背けてきた。
目を背けなければ…立ち直る事が出来なかったから。
だから、ずっと胸の内で蓋をして…自分でも意識しないようにしてきたんだろう。
でも、こうして真実を知った今、強迫観念めいた必死さで気持ちを押さえつける必要はない。
三年前の事はもう俺にとって、ただ辛いだけの出来事ではなくなったのだから。


京太郎「(…だから…さ)」

…気づいた時にはもう時間は朝になっていた。
こうして携帯を見ている間にどうやら数時間が経過していたらしい。
けれど、それだけの価値はあったと俺は思う。
少なくとも…俺が和をどう思っているかはハッキリと心の中で形になったんだから。

京太郎「(ま、それがどう転ぶかは分からないけどさ)」

京太郎「(正直、全部、俺の思い込みって可能性は今でもまだ否定出来ないし)」

ただ…それでも奇跡のような確率を乗り越えて、こうして仕切り直しのチャンスがやってきたんだ。
それを掴めるか掴めないかはまだ分からないけれど…でも、進まない訳にはいかない。
ここで二の足を踏み続ければ、俺は本当の意味で三年前の事を吹っ切る事が出来ないし。
何より…未だに泣いているかもしれない和の事を見過ごす事は出来ないから。


京太郎「(……今日、会えないか?話したい事がある…っと)」

もう朝とは言え、電話をする事は出来ない。
もしかしたら今の和はまだ寝ている可能性だってあるのだから。
出来れば今すぐ和の声を聞きたいけれど、でも、彼女の迷惑になるような事はしたくないし。
ここはLINEでアポだけ取り付けておこう。

ピロリン

京太郎「(おっと、もう返事が)」

京太郎「(……分かりました、か)」

…やっぱりこれ和も起きてたんだろうか?
俺がLINEを送ってからまだ一分も経ってないんだけれど…。
…いや、まぁ、そのへんの事を考えるのは後回しだな。
こうして和からの返信がやってきたんだんだし、とりあえず時間と場所を決めてしまおう。
それまでに徹夜した顔を何とか誤魔化す必要もあるし…やることは山積みだ。
余計な事を考えている暇はないと俺はスマートフォンの画面を弄って ――


京太郎「(…いや、早ぇよ)」

数時間後、待ち合わせ場所についた俺の前には和がいた。
勿論、俺だって待ち合わせ時間ギリギリにやってくるようなデリカシーのない真似はしていない。
むしろ、和にどう気持ちを伝えようかと考えているだけで落ち着かなくて、予定よりも一時間早く待ち合わせ場所に来ているのだ。
が、和はそんな俺よりもさらに早くやってきていて…こうしてポツンと駅前に立っている。
一体、どれだけ前からやってきていたのか気になるけれど…ここは… ――

「ねぇねぇ、そこの彼女?」

「もしかして今、時間ある?」

「良ければそこの喫茶店でお茶でもどうかな?」

…………いや、まぁ、な。
和は正直、アイドルになってもおかしくないレベルの美少女だしさ。
こうして待っている間にもナンパされてもおかしくないとは俺も思うよ。
思うけど……でも、やっぱり面白くないよな。
こうして彼女を囲んでいる三人組は見るからに女好きな顔をして…和の外側しか見ていないのがまるわかりなんだから。
その内側までを好きになった俺としては、どうしても胸の奥がモヤモヤしてしまう。


京太郎「よう。和、お待たせ」

和「あ…き、京太郎君。これは…」

「おいおい、いきなり割って入って来て何なのさ」

「今は俺達が彼女とお話してるんですけど?」

「今はちょっと邪魔しないでくれるかなぁ?」

…どうやらコイツらは質が悪いナンパだったみたいだな。
普通なら相手が男だってわかった瞬間、引くんだけれど…。
三人がかりでこうして睨めつけて、俺を威圧しようとしている。
まぁ、ヘタレな奴なら、そういうのにひるんで逃げてくのかもしれないけどさ。

京太郎「俺の彼女に何か用っすか?」

和「か、かの…じょ」カァァ

「…チッ」

俺は決して格好良い奴じゃない。
どちらかと言えばヘタレで咲の言う通り、鈍感な奴だ。
でも、だからってこんな質の悪い連中に和の事を渡せるはずがない。
幾らヘタレでも決して譲れないものって言うのはあるんだから。


京太郎「行こうぜ、和」

京太郎「ちょっと待たせたみたいだし、まずは近くの喫茶店にでも入ろうか」スッ

和「あっ…」

だからこそ、俺は和の手を取って、そのままそこから去っていく事が出来る。
普段の俺なら、多分、そんな強引なやり方なんて出来ない。
和が嫌がっているかもしれないとそんな風に二の足を踏んで、自分から手をつなぐ事なんて出来なかったはずだ。
実際、和にフラれてからの俺は自分から女の子に接触しようとした事は殆どないからな。
例外は咲やこの前の美穂子さんのような極一部だけだろう。

京太郎「(…まぁ、正直、今も怖くてドキドキしているけれど)」

それでもこうして強引に和の手を取れたのは、彼女の気持ちにもうすうす気づいているから…だけじゃない。
勿論、それも大きいけれど…でも、それ以上に俺は開き直ったんだと思う。
和にも俺の事を好きになって欲しい。
三年前と向き合って、ようやく思い出したその気持ちは、俺の中で以前に負けないくらい大きなものになっていた。


和「……」

そしてそんな俺の手を和は振り解こうとはしない。
俺に引かれるがままトテトテと歩き、俺の首筋辺りに視線を向けているのが伝わってくる。
……それに反応するように俺の首筋が緊張と興奮で熱を持っていくけれど…でも、だからと言ってここで振り返る訳にはいかない。
今の俺は首筋以上に顔を真っ赤に染めて、表情もぎこちなくなっているのだから。

京太郎「(それにしても…和の手、冷たいな)」

…多分、かなり早くから俺の事を待っててくれたんだな。
こうして繋いだ指先は俺の熱を容易く吸収するくらいに冷えている。
この冷えっぷりから察するに、下手をすれば俺が来る一時間前にはやってきたんではないだろうか。
幾ら根が真面目の和とは言え、流石に待ち合わせの二時間前に来る訳がないし…。
多分、彼女も三年前の事を気にして、俺を待たしたりしないように早めに来てくれたんだろう。


和「あ、あの…京太郎君…」

京太郎「ん?」

和「も、もう…大丈夫ですから…」カァァ

京太郎「…あ」

…そんな事を考えている間に、結構、遠くまで来ていたらしい。
駅前の広場から歩き続けた俺達はいつの間にか人気の少ないところまでやってきていた。
とりあえず和が暖まれるように喫茶店に入るつもりだったんだけど…失敗したな。
この辺りには喫茶店らしき場所は見当たらないし…ちょっと戻った方が良いのかもしれない。

和「それと…助けてくれてありがとうございました」

和「正直、ちょっと不安だったので…嬉しかったです」

和「…でも、咲さんがいるのにそういう事…言っちゃダメですよ」

和「京太郎君は格好良いんですから…勘違いさせちゃいます」

京太郎「……」

そんな俺に釘を刺すように言う和の顔は何処か儚いものだった。
その顔は優しく微笑んでいるのに、肩は小さく震えていた。
……恐らく和なりに頑張って、平静を演出しようとしているのだろう。
少なくとも、昨日は咲が彼女だと言った途端に涙を浮かべていたし…今もかなり無理をしているはずだ。


京太郎「…違うんだ」

和「え?」

京太郎「勘違いじゃないんだよ」

……そんな和になんて言えば良いのか分からない。
あのナンパの所為で、部屋出る前に山ほどやったシミュレートは全部無駄になってしまったんだから。
いきなり核心に踏み込むような話の流れに、頭の中は若干、混乱している。
けれど、だからと言って、ここで和に対して無言でいられるはずがない。
予定は崩れたが、既に俺が彼女に言いたい事は固まっているのだから。
多少、順番が前後するだけで、俺が伝える事は殆ど変わらない。

和「だ…ダメですよ」

和「咲さんがいるのに…そんな…そんな適当な事を言ったら…」

和「私…私…嫌な子に…なってしまいます…」

和「咲さんがいるのに…私…私…」グッ

…嫌な子…と言うのが具体的にはどういうものなのかは分からない。
でも、今の和は俺の言葉に喜んでいて…そしてそんな自分に自己嫌悪を感じているのは確かなんだろう。
俯いたその顔は複雑なものになり、俺と繋いでいない手を震えるほどに握りしめている。
自分を罰しようとも強がろうともしているようなその手に…俺は我慢出来なくなった。


京太郎「…和」ダキ

和「あ…」

瞬間、動いた俺の身体は、思いの外、優しく和の事を抱きしめた。
それはきっと俺を突き動かしたのが、男の欲望ではなく、和への恋慕だったからだろう。
愛しい彼女が無理をしているのを何とかしてあげたい。
そんな感情のまま初めて抱きしめた和の身体は…冷たく、そしてそれ以上に柔らかいものだった。

和「は、離して…ください」

和「私…こんな……ダメ…です…」

和「我慢…出来なく…なりますから…」

和「京太郎君の事…諦め…られ…なく…」ポロ

京太郎「…っ」

けれど、今の俺はそんな和の柔らかさに劣情を覚えたりはしない。
今の俺にとって劣情よりも自己嫌悪の色がはるかに強いのだから。
あの時、和に対して嘘を吐かなければ、ここまで彼女を追い詰める事はなかったのに。
そんな言葉が俺の胸にのしかかり、胸の奥を苦しくさせる。


京太郎「…和、俺はひとつ…謝らなきゃいけない事がある」

和「え…?」

京太郎「咲が恋人だって言う話…アレ嘘なんだ」

だが、俺よりもずっとずっと辛いのは和の方なんだ。
胸の内で微かに泣き声を漏らす彼女を前にして、本当の事を口にするのは正直、怖い。
嘘を吐いていた事に対して幻滅されるのではないかという自己保身のような言葉は俺の中にもあった。
…でも、だからと言って、ここで自己保身の為に泣いている和をそのままにするような情けない男にはなりたくない。
そういう格好悪さとは…もう数時間前に決別したはずなんだから。

京太郎「…と言うか、そもそも俺は恋人なんていない」

京太郎「三年前からずっと独り身だよ」

和「う…嘘…」

京太郎「本当だ」

京太郎「何ならスマートフォン見てもいいぞ」

自分でも情けないが…スマートフォンにはあくまでも友人との会話しか入っていない。
例え和に見られたところで恋人同士だと勘違いされるものは一つもなかった。
まぁ、男の友達とバカ話しているLINEなんかもあるから、それを見られるのは恥ずかしいけれど…。
でも、ここまで追い詰められた和が立ち直ってくれるなら安い代償だ。


和「で、でも…京太郎君なら何時でも恋人作れたはずじゃないですか」

和「京太郎君はその…か、格好良いですし…麻雀も上手ですし…」

京太郎「褒めすぎだって」

京太郎「実際、俺はそういう風に見られる事なんて滅多になかったぞ」

そもそも部活での俺は、所謂、おっぱい好きのお調子者キャラで通ってるからなぁ。
所謂、三枚目を地で行く俺の事をそんな風に意識してくれる女の子なんていなかった。
まぁ、うちの部は和気あいあいとしてて優しくしてくれる子は少なからずいたけれど。
でも、それが恋愛に発展する事がなかった事がひとつの証拠だろう。

京太郎「多分、俺の事をそういう風に見てくれるのは世界で和だけなんだよ」

和「そ、そういう風って…」カァァ

京太郎「まぁ…その異性として…みたいな?」

和「…ぅ」マッカ

そこで和の身体が熱くなるのは、多分、さっきまで自分が何を言っていたかを思い出したからなんだろう。
余裕がなかった所為か、結構、ストレートに胸の内を明かしてくれていたからなぁ。
幾ら俺が幼なじみに鈍感呼ばわりされるような男でも、和の気持ちははっきり分かる。
流石にここで思い違いかもしれないと思うほど、俺は馬鹿じゃないんだ。


和「わ、忘れてください…」

京太郎「嫌だ。絶対、忘れない」

和「な、なんで…」

京太郎「そんなの和が好きだからに決まってるだろ」

和「…………え?」スッ

そこで和が驚いたように顔をあげる。
…正直、結構、自分でも分かりやすかったと思うんだけれど…でも、今の和は本気でびっくりしてるみたいだし。
咲は俺の事を鈍い鈍いって言うけど…どっちかって言うと和の方が鈍いんじゃないだろうか。

和「き、京太郎…君…?」

京太郎「…言っとくけど、嘘じゃないからな」

京太郎「俺は三年前からずっと…和の事が好きだった」

京太郎「その気持ちは今も変わってない」

京太郎「今も俺は…和の事が大好きだ」

和「…………ぁ」ポロ

そんな和に対して、自分の気持ちを誤魔化すような事はしない。
最初から決めていた通りに真正面から思いっきり好きだって気持ちをぶつけてやる。
誤解の余地なんて一片も残さないそれに…俺の腕の中で、和が再び涙を漏らした。
けれど、それは昨日見たものとは少し違って… ――

ってところでちょっと時間来たので出勤準備いいいいいいいいいい
何となく予想してたけど終わらせられなくてごめんなさい(´・ω・`)


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 彡 '´ リ i:.:.ヽ:.::.:.:゙、 ヽ___       ;==─-ソ::::::/ /:::!    京ちゃんに近づく雌豚と麻雀を楽しんでいる時
      ヽ|:.:.ヾ:.、::ヽ≠'´ ̄`     ;;;;;;;;;;;; ノノ:ノ /;イノ

         ソ:.:.:::/::ヾー-;;;;;;;;;  ,     """ /ノ.;:‐'::/
       i.;イ:::;ハ、::゙、 """    ___      /:::::/
       ソ レ  ` ヾヽ    ヽ´  ノ   ィ´::/リ
              ` 、__    ̄  , ' |!;/
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          〉,: :, {: : | ,ィ斧汽 /´ ィ斧汽、} : /:|\: : |

          {八:{ \:{とヒこソ       ヒこソっ: イ: :|  \}
          |   乂ム     :.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:  ムイl: /
             从{∧     _   _     人:∧{
              |/ >:../^} /⌒l、` .イ }:./ リ        京ちゃんに近づく雌豚とどうやって麻雀を楽しもうか考えている時の咲さん

                ___/-'-'-- 、/〉「-、/ '
          ,.. <:::::::::::::::{======ミ`ヽ|〉::`::::...._
         /⌒\\:::::::/`ヽ:::::::::::∨, {::::::::::::::::::>-、

          {==、 {:\/   〈7 ー、{ ̄|:::::::::::://,ィ^.
            ,   \Ⅵ       /   | ,::::::::/イ:.:./  ∧
         {      `|  、      |_/= ´イ:.:.:,イ  /  }
         |     Ⅳ    \      | ̄´:.:.:.:/= }イ   |
         |    /     }    /-r  ´    |
         ∧   ,       |    /__」        ,    |
        {:::,   /       |   ,:.|:.:|      {
        L∧ /      /   /:.:|:.:..        |    |
          、 '         /:.:.:.|:.:.:|      |    |
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            \     /:|:.:.:.Ⅵ:.:.}      ,      |
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               | /    :,:.:.: |:.:.:.:.:.}:.:.|      |      |
                Ⅳ    ,:.: ∧:.:.:.:.:.:/     ∨     |

                 ~~    ~~
                   -―――-    ~
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           .:::::::::::::::::::::::::::│::::::::::|\:::|\::::|:::::::::::::::::::::::. }
         } /::::::::::::::::::|::::: / | ::|:::::::ト- ::|--∨\ ::::::::::::::::| {
       { /::::::::::::::::::/|::::::|ノ|:八 ::::| _..斗-=ミ\| ::::::::::|::::|
      /::::::::::::::| :: /-匕-=ミ\|\|  〃⌒゙ヾⅥ :::::::: |::::|  }    京ちゃんに近づく雌豚の評価を下げる為、一方的にいじめられたフリをする咲さん
        ̄ ̄ |::::::|::イ /〃⌒ヾ     {{    }} }|/| ::::::|::::|  {
      {  |:: 八ハ{ {{   }}     ゞ==(⌒) | :: /:::::|

       } |/|::: {. ハ (⌒)==''         ///  |/}:::::|
            |:::: ヽ_| ///              __,ノ :::::|  }
.          { レヘ::八     _.. ‐~‐-、   イ ::::::::::::/  {
           }   ∨个 .._ (_,,.. ‐~~' イヘ:::/|/∨
                 \|  _≧=一ァ  〔/⌒T:iT7ス
                r=Ti:i:i:i:i:i:7____/i:i:i:i:i:i:i/ ∧  }
               {  ∧i:i:i:i:i:i:i:i:|   /i:i:i:i:i:i:i/   / ∧ {
                } / {\/⌒)_∠二二/|    / ∧
              /  ゙T{  二(__ `ヽ        _ヽ
            /   ∨ハ.  {_  /     \/  _〉
.            { /\ _ |  ノ   _) 人._     |_/|/ }
              } \_____,|/  /i:i\     ̄ ̄`ヽ  j  {
             ∨ /   /|i:i:i:i:i|\            |
              /     /´|i:i:i:i:i|  丶 ... ______丿
               〈         Ⅵ:i:i|       |    }
              、___/    Ⅵ:i|       |   {

         ,. : : :  ̄ ̄: : : : .
       ,. : ´: : : : : : : : : : : : : :`ヽ、
     / : : : : : : : ,: : : : : : : : : : ヽ:ヽ

     .': : :,: : /: :/: :|: : ||: :V: :V : |: :V:.
     ' : : /: /|:_/__ノl: : |{:、_|_|: : |: : |: :.
    /: : : :|: |:_V {:/:从: :| 、{ \:l从|: : | : i
   ': :,ィ/: |: |: ,イ_)笊 \  イ_)斧ミ|/: ,.: :|
  {:イ/ ': : Vl { Vzソ      Vzソ / : イ : |
    l' |: ,: {`\ `¨´  '  `¨´〈:イ )}: : ,
     |∧乂ム  ''''        '''' ムイ|: /
     '  }:∧个 r 、_- -   イ : /|/     思ったより雌豚が手強くてどう料理するか考えている咲さん
       '  ヽ: :/ / }-、_,.ィ : /: イ
          _,..{   ' ' ノ {-く
     r<........../\___}__,/........> 、

     「\..、...rく\___,/ /.........../..>、
    /⌒ `ー{  \__/,イ......../イ´  ∧
     {    /     V--:.:.´:/ V / |
    |   ,:      /==r- '   V  |
    | /        /__ノ      }
    | ´        //:.,.:.}     ,   {
    V        / ,:.:.:|:.:|      {   |
      {       イ  {:.:. |:.:|      |   |
     \_,/   |:.:.:.|:.:|      |   |
        |      ∨:j:./     |   |


            _,.......---............_
         ,. : ´: : : : : : : : : : : : : :` : : . 、
         /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
        . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
      ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
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    .': : : /: : : : : :/: : : :/: :.| : : : : |: : : : : : : :、: : :.'.

    |: : : |: : : : : /: : : ,イ: : ,:|: : : : :ハ: : :l: :|: : : :V: : '.
    |: : : |: : : : 、|__/_}__/Nノ: : N、|_}_,:|: : : : | : : :'.
    |: : :ハ: |: : : ハ: / /:イ  }: :/:/ }: ∧:/: : : : ト、}: :.|
    {: : {-从: : :{/ ̄ テ雫ミ/イ /イ }イ雫}: : /:/:| リ\}

    八:{、:、__ \:lヽ  Vり         ヒり/:イ:/: :|           京ちゃんの前でだけは普通の文学少女に戻っちゃう咲ちゃん
      `\}、: 、    /:/:/:/:/:/:/:/:/ ム:/:人: :{
     , --r--,\ ,-- 、_____  人: /  \〉
      /  |::| |::::::>  ____ソイ⌒∨
    {   ,::, {::::::::::::∧-,  r/:::::://|   }
    |   \、\::::::::::∨- /:::::://:/

    |     { 、、\:::::::∨/::::://:∧    |
    |     | \__>、_}'__>´/}   |
    |     |    `ー=-r-- ´ ,:   |

本編にまったく関係のないお遊びはともかく支援絵ありがとうございます
冬の寒さが伝わってくる良い雰囲気の絵ですね
こうして見ているだけで二人の距離が近いのが分かって2828出来ます
ネリーの笑顔と京ちゃんの若干、照れ顔から察するにネリーが好意に突入した時のコミュはこんな感じだったんじゃないでしょうか
今にもスキップしそうなネリーの表情がとっても眩しいです

それにしても、こうやって見るとホント犯罪的な身長差ですね(´・ω・`)もう兄弟とかじゃなくて親子レベル
こんな小さい体に京ちゃんの京ちゃんが…(ゴクリ)ってなる前に色々と心配になりますねコレ…


和「…卑怯…ですよ」

和「そんな事言われたら…私…ダメに…」

和「京太郎君がいないと…ダメになっちゃうじゃ…ないですか」

京太郎「…なって良いんだよ」

京太郎「つーか…俺はもうなってるから」ギュゥ

それはきっと嬉し涙だと俺は思う。
昨日のようにショックだったからじゃなく…嬉しいからこそ流してくれた涙。
それを一々拭うほど俺も無粋な奴じゃない。
そうなっても良いんだって俺の気持ちをぶつけながら、和の身体を強く抱きしめる。

和「…本当に良いんですか…?」

和「私…きっと嫉妬深いですし…」

和「重い子に…なってしまうと思います…」

京太郎「分かってないな、和は」

京太郎「多少、嫉妬してくれたり重い方が男は喜ぶんだぞ」

少なくとも何の嫉妬もせず、放任されるよりはずっと嬉しい。
まぁ、そもそも嫉妬させるような真似をするつもりはないけどさ。
和が彼女になってくれるなら合コンとかに出る理由もないし。
ごくごく普通に日常生活を送っていれば和を嫉妬させる事もないだろう。

正直ネリーを小さくし過ぎた感はある。
でもこんなもんじゃね?と納得してしまった自分もいる。


京太郎「つーか…さっきから色々と言ってるけどさ」

京太郎「和の気持ちはどうなんだ?」

和「そ、そんなの…も、もう分かってるじゃないですか…」カァァ

京太郎「折角、告白したんだし、改めて和の口から聞きたいんだよ」

まぁ、ここで断られるとは俺も思ってはいない。
思ってはいないけど…でも、やっぱり1%の『もしも』はどうしても否定出来ないんだ。
俺はもう和の気持ちは分かっているつもりだけれど…やっぱりハッキリと言葉にして欲しい。
根が臆病な俺はそうしてくれないと心から安心出来ないんだろう。

京太郎「…ちゃんと言ってくれないと無理矢理、お持ち帰りするぞ」

和「ふぇえっ」カァァ

はは、赤くなってる。
流石にそんな事するつもりはないけれど、やっぱり和からすれば恥ずかしいだろうしな。
和はとても真面目な方だし、ここまで言えば冗談だと分かっていても、ちゃんと応えてくれるだろう。

>>135
支援絵くれた人ですかね?
まだリクエストないみたいなんでID変わる前にリクエストしてくれるとお応えしますよーと


和「じゃ、じゃあ…い、言いません」

京太郎「えっ」

和「お、お持ち帰り……さ、されちゃいです…から…」プシュゥ

……え?
…………え?
いや、ちょ、待って。
流石にこの展開は予想外だった。
まさか和がこんな返しをしてくるだなんて…ど、どうしよう。
頭から湯気が出そうなくらい真っ赤になった和が可愛くて何も考えられないぞ…!?

和「ど、どうするん…ですか?」ギュゥ

京太郎「あ、えーっと…」

く…まさかさっきのセリフ一つでこっちが劣勢に立たされるなんて…!!
……いや、まぁ、別に劣勢つっても勝ち負けがある訳じゃないんだけどさ。
ただ、やっぱり女の子にこんな事言われると我慢出来ないって言うか…。
今までずっと胸の奥底に押し込まれてた興奮とかがジワジワと浮かび上がってきて…。


京太郎「…する」

和「え?」

京太郎「和の事お持ち帰りする」

京太郎「つーか拉致する。もう二度と離さない」ギュゥ

和「は…きゅぅ…」ブルッ

…それを抑えられる理屈はもう俺の中にはなかった。
だって、それは俺も和も…両方が望んでいる事なんだから。
彼女が嫌がっているならまだ堪えられただろうが、若干、噛みながらのリクエストは俺の理性をぶっ飛ばすには十分過ぎる。
正直、今すぐにでも彼女を抱きかかえて、自分の部屋まで連れ帰りたいくらいだった。

和「…………はい。離さないでください」

和「私は京太郎君のモノですから」

和「三年前…私達の為に自分の時間を削ってまで支えてくれた貴方の事が…」

和「私は…ずっとずっと…想っていました」

和「……大好きです、京太郎君」ニコ

京太郎「~~~~~~っ!!!!」

いや、これは無理だわ。
うん、何が無理ってもう色々、無理。
お持ち帰りされたいなんて言いながらも…ちゃんと俺にこたえてくれた事とか…。
赤くなった顔で照れくさそうにはにかむ和の魅力とか…。
和の方から抱き返してくれる腕とか…もう全部、無理。
耐えられる訳ないだろおおおおおお!!!


京太郎「…ごめん。和」

京太郎「俺、今、冷静じゃないかもしれないけど…」スッ

和「あ…」

和「…………」スッ

そう謝罪しながらも俺の身体は止まらない。
抱きしめた和の身体をより閉じ込めるように顔が彼女の方へと降りていく。
自然、さっきより近づく二人の距離に和は小さく声をあげながらも瞳を閉じてくれる。
その上、さっきよりも顎をあげてくれているんだから…彼女もきっと俺のやりたい事を理解してくれているんだろう。

和「……ん…♥」

そう思った瞬間、俺の唇は和に触れていた。
まるで反射のように彼女のことを求めた唇からはプルプルとした瑞々しい感触が伝わってきている。
寒さで乾燥した空気の中でも潤いにあふれた唇の感触は俺の人生の中で初めてのものだった。
…でも、その初めてが和で良かったとそう思うくらいに…その感触は心地よくて。
とても…俺の語彙では表現しきれないくらいに幸せなキスだった。

(きっとエロ同人みたいにされちゃうんだ……「んほおおお!!」とか言う様になるまでえっちな事されちゃうんだ……!)


和「…ふぁぁ♪」

京太郎「あ…ぅ…」

和「ん…ぅ♪」ポー

…それは多分、和の方も同じだったんだろう。
一分ほど掛けて俺の顔が離れた時には彼女はもう夢見心地な顔をしていた。
まるでこの瞬間が幸せで幸せで仕方が無いとそう言うような表情は見ているだけでもとても楽しい。
俺とのキスをそんなになるまで喜んでくれたと思うと胸の内で満たされた愛しさがより強くなっていく。

京太郎「…和」

和「ん…あぁ♪」

そんな彼女に俺は何度もキスをする。
この三年分の埋め合わせをするように一回一回、ゆっくりと味わうように。
胸の内から溢れ出そうな愛しさを和に押し付けるようなそれを彼女は拒まない。
むしろ、自分から俺の首に手を回し、背伸びをしながらキスを求めてくれて… ――


―― そのまま百回近くキスを繰り返すまで俺達は離れる事はなかった。

私、和はむっつりだと思うんで>>150はアリだと思うんだ(真顔)
後、今更ですが>>47はすげぇ書きたい…が、流石に一周前提のスレでそういうのは出来ないんで我慢します(´・ω・`)


―― 正直、言って、俺は宗教とかどうでも良いタイプだ。

家は一応、神道だとは思うが、熱心に信仰している訳じゃない。
信じちゃいない神様の存在よりも、日々の生活で積み重なっていく細やかな悩みや目標の方が遥かに大事だ。
まぁ、神様を信じれば女の子にモテるんだったら、俺も喜んで信仰するが、そんな即物的な神様はいないだろうし。
神様を拝んでいるよりも、女の子と仲良くなる為に自分を磨いている方がよっぽど実益があると俺は思う。

―― ただし、今日と言う日は別である。

今日は所謂、キリスト教のお祭りだ。
確かキリストの誕生日とかどうとか…ぶっちゃけ詳しい事は知らない。
俺にとって大事なのは、ただ一つ。
それがお祭り好きの日本にとって、家族や友人よりも恋人と過ごす日だと言う事だ!!!!!

京太郎「ふふ…ぐふふふふ…」

「ママー、あの男の人、キモーイ」

「シッ、見ちゃいけません」

京太郎「…」グサッ

…………幼女よ、君は良く理解するべきだ。
そういう素直な言葉は時に人の心を深く傷つけるものだと言う事を。
それにそうやって気持ち悪い笑みを浮かべる男の人にも理由があるかもしれないだろう?
少なくとも、今の俺は理由なく笑みを浮かべた訳じゃない。
それがこの一年ずっと胸に抱え続けた大願をようやく成就を成し得た証だったのだから。

京太郎「(…思えば、長かったよなぁ)」

ぶっちゃけ、最初から一目惚れだった。
ちょっと気の強そうな瞳も、綺麗な髪も、少し甘い顔立ちも、まるで人形みたいに整っていたんだから。
それだけならちょっと気になる女の子で済んだだろうに、彼女の胸は俺的最高記録を大幅に更新するほど大きかったのである。
まさしく俺の理想がそのまま形になった彼女に一目惚れするなと言う方が酷だろう。


京太郎「(…そして三年間、彼女と会う事が出来なくて…)」

三年前のクリスマスの日、俺は彼女に…和にフラれたと思っていた。
だけど、それは間違いで…それどころか、和も俺自身の事を思ってくれて。
俺は三年越しに彼女に思いを伝えて…そして和もそれに応えてくれた。
だから… ――

和「…京太郎君」

京太郎「お、よっす」

和「よっすじゃないですよ、まったく…」

そう呆れるように言う和はベージュのダッフルコートに桃色のセーター、チェック柄のミニスカートと黒いタイツと言う出で立ちだった。
何処か落ち着いた雰囲気でまとまりながらも、妙な色気を感じるそのコーディネートは、きっと彼女もこのデートに気合を入れてくれていたからだろう。
……ただ、あの胸元の空いてるセーター、少し前に話題になった授乳用の奴じゃなかったっけ?
いや、確かに色っぽいし和にも似合っているけれど…でも、そんな風に素晴らしいおっぱいを露出してると色々と心配に… ――


和「京太郎君?」ジトー

京太郎「き、聞いてる。ちゃんと聞いてるぞ」

和「…嘘つき。どうせまた胸を見てたんでしょう?」ジトトー

うぐぐ…ば、バレてる…。
いや、でも…これは無理だろ。
ただでさえ魅力的な和っぱいがセーターから谷間を露出させてるんだから。
正直、和の衣装センスは色々と心配だったけれど…これはやばい。
露出度の高い夏服とはまた別の意味で男の本能に直撃してくる。

和「…まったく。もう貴方のモノなんですから、はっきり分かるくらい見惚れなくても良いじゃないですか」

京太郎「それは無理な相談だな」

京太郎「俺にとって和のおっぱいは何者にも代えがたい最高のものだから」キリリ

和「か、格好つけて言う事じゃないですよ」カァァ

…そう言いながらも満更でもなさそうな顔をする辺り、割りと和もチョロいよな。
実際、色々とコンプレックスを持っているのは知っているけれど…でも、こうして褒めると素直に喜んでくれるし。
これからも和が自分のおっぱいに自信を持てるよう沢山、褒めてあげるとしよう。


和「って…そうじゃなくてですね」

京太郎「ん?どうした?」

和「…なんで待ち合わせの三時間前にいるんですか?」

京太郎「待ちきれなかったからな」

…まぁ、実際のところは和の事が心配だったんだけどさ。
またこの寒い中、待ちぼうけを食らわせるのなんて男のプライドが許さないし。
それに何より…俺を待たすまいとする和の強迫観念もどうにかしたかったんだ。

和「…もう。もし私が時間通りにやってきて風邪でも引いたらどうするんですか?」

京太郎「そん時は和に看病でもしてもらうよ」

和「別に構いませんけれど…え、エッチな事はダメですからね」

京太郎「えー」

和「えーじゃありません」プイッ

…そう言いつつも俺はもう知っている。
案外、和は押しに弱くて、何度も言えば嫌々そうにしながらもやってくれる事を。
実際、和って結構、むっつりスケベで…俺が思ってた以上にエロかったからな。
最初なんてそりゃもう童貞のテクであひんあひんと善がって… ――


和「…京太郎君?」

京太郎「すみませんでした」ペコリ

…今のはマジな目だった。
冬の寒さに負けないくらい冷たく鋭い視線だった。
さっきみたいに多少、褒めた程度ではどうにもならないその視線に俺は0.2秒で頭を下げる。
プライド?そんなもの、和に嫌われる事に比べれば、吹けば飛ぶ埃のようなもんだ。

和「…本当に京太郎君はエッチなんですから」フゥ

和「……まぁ、それ以外にも一杯、良いところがあるのは知っていますけれど…」スタスタ

和「さ、最高とまで言った私のおっぱいがあるのに他の人にそういう顔したら…本気で拗ねちゃいますからね」ギュゥ

京太郎「お、おう…」

そんな俺に和がむぎゅりと胸を押し付けてくれる。
今にもセーターから柔肉が零れ落ちそうなそれに俺は思わずぎこちない声を返した。
…だって、仕方ないじゃないか、俺の恋人可愛すぎるんだから。
ここがまだ人の気配のある公園じゃなかったら、思いっきり抱きしめて、また唇を奪っていたところだ。


京太郎「ま…まぁ、アレだ」

京太郎「こうしてちゃんと待ち合わせ出来たんだしさ」

京太郎「これからはあんまり早く待ち合わせに来るのはナシにしようぜ」

京太郎「早めに会えるのは良いけれど、あんまり早く来すぎるとデートの予定も崩れちゃうし」

和「……もしかしてそれを言う為に先に待ってくれていました?」

京太郎「まぁ、それもある…かな?」

こういう事が出来るの今日くらいなもんだからなぁ。
正直、和と恋仲になれたのがつい最近なだけに、今日のデートプランはほぼ白紙だし。
外食も予約で一杯、外に出ても人が一杯で何も出来ないとなれば、出来るのは家デートくらいだ。
それなら多少、前倒しになったところで空き時間に困ったりはしないし、こうして早くやってきた訳だけれど。

和「…本当にスケベな癖にそういう事にはすぐ気がつくんですから」

京太郎「スケベ以上に和の事が好きだからな」

和「…もぉ」

そのもぉはさっきまでと少し響きが違っていた。
拗ねるようなものでも怒るようなものでもなく…何処か甘えるような甘い響き。
二人っきりの時に和が漏らす恋人としての声に俺の顔も綻んでしまう。


和「…そんな風に好きだって言っても…夕食が豪華になったりはしないですよ」

京太郎「もう十分過ぎるほど豪華なメニューになってるんだろ、知ってる」

和「そ、そんなの知りません」プイ

あ、これは図星だな。
まぁ、そもそも、恋人になってから初めてのクリスマスデートな訳で和が手を抜いたりするとは思っていないけれど。
きっと全力で俺の好物を作ってくれるのだろうとそんな確信が俺の中にはある。

和「そ、それより…ほら、早く行きますよ」

和「夕飯の支度とか色々とやる事はあるんですから」

京太郎「そうだな」

まぁ、何はともあれ、まずは移動だな。
ここはあくまでも待ち合わせ場所として決めただけで、特に何が目的がある訳じゃないし。
強いて言えば…三年前のあの日にケリをつける為の場所か。
俺はあの日、公園で待ち合わせていた和と会う事が出来なかったけれど…今日はこうして会う事が出来た。
それを再確認した瞬間に、ようやく俺はあのクリスマスを終わらせて。

京太郎「…和」

和「…はい?」

京太郎「愛してるぞ」

和「……そ、そういう不意打ちは止めてください」カァァ


―― 俺はようやく和とのクリスマスを始める事が出来るのだった。

和エンドしゅーりょー
次はルート分岐して12/15午後から始まりますが!!
その前に支援絵の分やるんで爽の面識アリでコンマ出します




ヒロイン→京ちゃん
01~21 特に関心はない
23~43 大事な友人
45~65 他の人には譲れない親友
67~87 他の人とはちょっと違う好き…かも?
89~98 貴方なしじゃ生きていけないくらい大好き
ゾロ目 ???

下2

70かー見事にときめいてますね…(ゴクリ


では好感度上昇値をー
↓2
01~32 +2
34~65 +3
67~98 +4
ゾロ目 +10

74かー了解です
エンディング終わらせた余韻もあって五分ほど休憩してから書き始めます


京太郎「ふぁぁあ…」

ってアレ?
なんで、俺、部室で寝てるんだ?
確か俺はついさっきまで自分の部屋にいて……何をやってたんだっけか?
なんかすげぇ気持よくて幸せな事をしてたような気がするんだけれど…。
うーん…やっぱりさっきの事は全部、夢だったのかな?
なんか頭の中がモヤモヤして思い出せない。

爽「あ、起きたか?」

京太郎「あ、爽さん」

ってベッドの端に爽さんが座ってる。
…つー事は、俺、ずっと爽さんに寝顔を見られてたって事か。
……やっべ、そう考えるとちょっと恥ずかしい。
別に乙女って訳じゃないんだけど…でも、絶対に情けない顔してたはずだし…。


京太郎「や、やめて…私に乱暴するつもりでしょう!?」

京太郎「エロ同人みたいに!エロ同人みたいに!!」

爽「ぐへへ、良くわかったな、京太郎」

爽「お前は私のカキタレになるのだー!」

まぁ、だからってそれで顔を赤くするほど、この人との付き合いは浅くない。
つーか…まぁ、こうやって馬鹿なやりとりも出来るし、完全に悪友みたいな感じなんだよな。
性格的にも女の子って言うよりは男らしくてサバサバしてる感じだし。
寝顔を見られた事は恥ずかしいと言えば恥ずかしいけれど、まぁ、良いか、と思えるような人だった。

京太郎「誰かー!誰か助けてー!!」

爽「ふふふ…助けを求めても無駄よ」

爽「もう皆、咲の快気祝いにカラオケ行ってるからな」

爽「部室に残ってるのは私と京太郎だけだよ」

京太郎「あ、説明ありがとうございます」

そうか。だから、部室に俺と爽さんしかいないんだな。
しかし、そうなるとアイツは買い込んだ新刊どうする…って全部、部室においてってやがる。
まぁ、カラオケ行くのに結構な荷物になるから当然っちゃ当然だけれど…。
仕方が無い、後でアイツの家に置いてってやるか。


爽「という訳で……良いだろ?スケベしよーぜ?」キリリ

京太郎「あ、それまだ続けるんっすか」

爽「うん。まぁ、京太郎の寝顔が思いの外可愛かったんで襲ってしまおうかと」ジュルリ

京太郎「高校生みたいな性欲発揮しないでください」

まぁ、流石に冗談だろうけれどな。
本気で襲うつもりなら、そもそも起きた時点で爽さんに縛られているんだろうし。
幾ら彼女が男っぽいと言っても素の状態で男の俺に勝てるほど筋力がある訳じゃない。
むしろ、どっちかって言うとアナログゲームばっかやってる所為で、腕とかは女の子らしいからな、爽さん。

爽「なんだよー。女の子だって性欲くらいあるんだぞー」

京太郎「い、いや、そういう話は…」

爽「実際、美穂子なんかはもうぐっちょんぐっちょんのねとねとで…」

京太郎「そこんとこ詳しくお願いします」キリリ

いや、まぁ、別にそういう猥談に興味があるって訳じゃないんですけどね?
ないんですけれど…でも、ほら、後学の為に聞いておいた方が良いかなって。
俺は男であって、やっぱり女の子視点からの意見って貴重だしさ。
それが美穂子さんの話となれば見過ごせる訳がげふげふ。


爽「ふふ。そうかー。聞きたいかー」

爽「だが、ダメだ!!」

京太郎「何でですか!?」

爽「ぶっちゃけ私も知らないからな!!」

京太郎「なら、期待させるような事言わないで下さいよ!!」

くそがああああ!!!
まぁ、普通、同性の友人と言っても性欲の話とかしないもんな!!
そもそも美穂子さんって結構、恥ずかしがり屋だからな。
そういうネタをふられたとしてもガンとして応えようとはしないだろう。

爽「しっかし、見事に食いついたなー」ニヤニヤ

京太郎「そりゃ食いつくに決まってるでしょう、美穂子さんっすよ」

爽「あー…確かに美穂子はヤバイね」

爽「あの性格と顔であのスタイルは反則でしょ」

もう見るからに穏やかな美少女なのに、スタイルだけはワガママだからなぁ…。
男にとって憧れの的なだけではなく、女の子にとっても理想と言っても良いくらいだ。
それなのに周りを見下す事なく、誰に対しても優しく接するだなんて爽さんの言う通り、色々と反則な人だと思う。


爽「…まぁ、でもさ」

爽「もしも…もしもの話だけど…」

京太郎「ん?」

爽「…私の話だとしても食いついてくれた…?」チラッ

…なんでそこで爽さんの話が出てくるんだろうか?
しかも、こうしてチラ見してくるし…やっぱり爽さんも女の子って事だったのかな?
結構、男っぽい性格で、こうしてバカ話も出来るけれど、女の子としての自身の魅力が色々と気になるんだろう。

京太郎「…あー…オフレコでお願いしますよ」

爽「本人を前にオフレコが意味あるのか」

爽「…って私にツッコませるなよ」

爽「私はツッコまれる側なんだからな」

京太郎「反応に困るボケは止めてください」

言っとくけど、一番、男が反応に困るのは女性のシモネタなんだからな!!
時々、やたら生々しい話も出てくるし…童貞にはハードルが高いわ!!
…まぁ、爽さんがたまにこうしてシモネタを口にするから多少は慣れたけれども。
それでも、これからシリアスになろうって場面でそんな事言われるとやっぱり脱力する。


京太郎「…まぁ、爽さんでも食いつかなかった訳じゃなかったような気が微粒子レベルで存在します」

爽「…つまり食いついてくれた?」

京太郎「…多分、食いつきましたよ、言わせんなマジで恥ずかしい」

まぁ…こう言っちゃなんだけど爽さんって美少女だからなぁ。
サバサバしてて男女共に垣根なく接するし、じつは割りと人気が高い人でもある。
大学構内でも彼女の事を狙っている男は結構、多いんじゃないだろうか。
そんな彼女と俺は既に悪友で固定されてしまったけれど…でも、まったく気にならないと言えば嘘になる。

爽「…そっか」

爽「そっかぁ……」モジ

京太郎「…ぅ」

…いや、ボケろよ。
そこでそうやってモジモジされるとさらに反応に困るだろうが。
…つーか…何故か爽さん顔が今にもにやけそうになってるし…。
多分…と言うか絶対、気のせいだと思うんだけれど、なんだか良い雰囲気になってきているような気がする…。


爽「…つまり京太郎は私に興味津々なんだ…?」

京太郎「…なんかそう言われると否定したくなるんですが」

爽「なんだよー。素直になれよー」ガバ

京太郎「ぬおっ」

なんでそこで俺の頭を巻き込むようにして腕を回してくるのか。
つーか、これ、絶対に女の子がやる動きじゃないだろ!?
男でもこんな風に異性を無理矢理、抱き寄せるような真似出来ないわ。
男らしい男らしいと思ってたけど、どれだけ男らしいんだこの人!!

爽「じゃ、じゃあ…京太郎にだけは特別に教えてあげようかな」ボソ

京太郎「…はい?」

……え、いや、ちょっ…何言ってるの?
それ本来ならば個人情報の中でもトップシークレットですよね!?
銀行の暗証番号並みに言っちゃいけないものですよねぇええ!?
なのに、なんで人の耳元でそんな乗り気な声出してるの!?


爽「ほら、京太郎にだけ恥ずかしい思いをさせたら不公平じゃん?」

爽「私は公平な先輩だから、ちゃんと私の恥ずかしい情報をあげようと思ってさ」

京太郎「いやいやいやいやいやいやいやいやいや」

爽「…何?そんなに嫌な訳?」ジィ

うぐ…いや…別に嫌って訳じゃないんだけどさ。
でも、流石に女性の性事情を聞くのは結構キツイって言うか…知りたいけれど二の足を踏むって言うか…。
そもそもそういう関係じゃないのに聞いてイイ事じゃないって言う気持ちの方が強くて…。

爽「…やっぱり京太郎は嘘を吐いてたんだ…」

爽「私の事になんて興味なかったんだ…うえーん」

京太郎「口でうえーんって言ってるじゃないですか…」

……ここまであからさまだと俺も分かるわ。
これは爽さんの罠だ。
多分、俺がここで食いついた瞬間、何かしらイタズラしてこようとしてたんだろう。
それが一体、何なのかは分からないけれど…もう20を超えてる女性が口でうえーんって言ってるのを聞くのも辛いし。
ここは適当に乗っかって満足させてやろう。


京太郎「…じゃあ、聞かせて下さい」

爽「ふふふ…仕方ないなぁ京太郎は」

爽「私のエッチな情報が欲しいなんて…このスケベめ」ケロッ

京太郎「はいはい」

まぁ、実際、俺はスケベな訳だけれど…流石にこれでスケベ扱いされるのはちょっとなぁ。
どことなく納得出来ないものを感じるけれど…でも、俺が嘘泣きに引っかかったのは事実だし。
何より、俺は未だに爽さんの腕に抱き寄せられてる状態なんだ。
爽さんが満足すればそれも解放してくれるだろうし…とっととイタズラされてしまおう。

爽「じゃあ、ちょっと恥ずかしいから耳貸して」

京太郎「二つしかないんで持ってかないでくださいね」

爽「大丈夫。すぐ済むからさ」グイ

…さーて、何をされるんだろうな、俺は。
個人的な本命は、息を吹きかけられる事なんだけれど。
対抗馬はまったくの嘘情報を吹き込まれる事くらいか。
まぁ、何にせよ、すぐ済むって爽さんの言葉に偽りはないだろうし。
とりあえずされるがままに耳を近づけていって…。


カプ

京太郎「ひあぁっ」

ちょ、ま…へ、変な声出たぞ…!?
ま、まさか寄りにもよって耳に甘咬みされるだなんて…!!
普通、他人の耳なんて口にしたいもんじゃないから、そんなのまったく考慮してなかったわ…!!

爽「んふー…♪」ハムハム

京太郎「ちょ…さ、爽さん…!?」

爽「んひゅぅ…♪」ハムハムハム

しかも、爽さんやけにテクニシャンだし…!?
もう何度か他人に試しているのか、絶妙に歯と顎を動かして刺激を与えてくる…!
お陰で何処か物足りない快感が耳を伝って脳にやってきて…!
く、悔しい…でも…感じちゃう…!!


爽「ふぅ」マンゾクゲ

京太郎「うあー…」

……結局、俺はそのまま数分ほど爽さんの玩具にされてから解放される。
瞬間、俺の身体がベッドに倒れ込むのは、さっきの事があまりにも恥ずかしかったからだ。
この数分間の間に、どれだけ自分が変な声を漏らしてしまったかを俺は良く覚えているのである。

爽「いやぁ…京太郎は中々、イイ声出すね」ツヤツヤ

京太郎「今、そんな事言われても全然、喜べないっす…」

京太郎「つーか…こんな事されたらもうお嫁に行けない…」サメザメ

爽「安心しろって。私が貰ってやるからさ」

…まぁ、流石にお嫁云々は冗談なんだけど…でも、この人なら実際、やりかねないよな。
辻垣内さんとはまた違った意味で、爽さんは男らしいし。
肉食系ってほど男にがっついている訳じゃないけれど、プロポーズは彼女の方からしそうなイメージさえある。
実際、今、俺が言われているのもプロポーズみたいなもんだしなぁ。


爽「さーて、京太郎の事も堪能したし、私もそろそろ帰るかな」スクッ

京太郎「…ホント、やりたい放題っすね」

あんだけ人の事を陵辱しておいて、この対応である。
もし性別が逆であれば、刺されても文句は言えないであろう。
まぁ、性別が逆だからこそ、爽さんもこういう事するんだろうけれどさ。
この人冗談とか悪ふざけは結構するけど、一線を超えて人を不愉快にさせる事は滅多にしないし。

爽「でも、気持よかったっしょ?」

京太郎「…ノーコメントで」

爽「ふふ。愛い奴っ♪」ニコ

…うぐぐ、完全に調子に乗ってる…。
出来れば何かしら仕返しをしたいけど…でも、この人に勝つのは中々に難しいんだよなぁ…。
正直、思いっきり耳を陵辱され、心をかき乱された状態では勝機も薄い。
今は忍耐の時だと自分に言い聞かせ、雪辱を心に誓うしかない…!


爽「じゃ、私は先に帰るからさ」

爽「良い子にしてたらまたシてやるよ」フリフリ

京太郎「…くそぅ」

そんな俺には上機嫌で部室から去っていく爽さんを見送る事しか出来ない。
その屈辱に思わず口から声が漏れ出るが、それを聞く人はもう誰もいなかった。
部室の中にいるのはもう俺一人で、何時もの賑やかさはもう何処かに行ってしまっている。
そんな部室の中で俺はひとつため息を吐いて。

京太郎「…俺も帰るか」

辻垣内さんから預かった部室の鍵を取り出しながら、俺は一人、そう呟いたのだった。

爽編しゅーりょー
また数分後のレスから安価トリます

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
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                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
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         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧          ∧,イ
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【名前】 須賀京太郎

【ステータス】
体力 ほぼ人並みと変わらないレベル
学力 成績優秀で教授から留学を薦められるレベル
魅力 どんな場所でも必ず中心人物になれるレベル
雀力 三年のインターハイで大活躍したレベル


恋愛抵抗値 32/100


【交友関係】
咲 幼馴染 ?9/100 【???】??回コミュを行うと???…(累計1)
ハオ 親友 53/100
謎チャー 変な人… 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる
智葉 部員 27/100
ステルス○○ 痴漢 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積4 フラグ2)
ネリー 好き 69/100
漫 良い人 30/100 【好印象】:好感度の上昇値が+1される(類似効果と累積する)
謎のうっかりさん ムカムカする 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積8 フラグ2)
透華 親友 45/100
謎の大天使 コワクナイ…? 20/100
白望 …思ったより悪い人じゃなさそう 23/100 
憧 仲良くなれれば良いな 50/100 【好印象4】:好感度の上昇値が+4される(類似効果と累積する)
穏乃 憧のおとなりさん…だよね… ??/100 【??の絆】:???
マホ 好き 68/100
淡 好き 72/100
塞 もう貴方なしじゃいられない 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
竜華 特に関心ナシ 10/100
姫子 後輩 38/100
ちゃちゃのん 愛してる 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
和 ??/100 【特別な人】:コミュした時、恋愛抵抗値を10低下させる。三回コミュを行うと…(累計2)
美穂子 大好き 89/100
由暉子 友人 57/100
豊音 好き 67/100
爽 好き 74/100 


12/15 午後のヒロイン


下3でー

お前ら何処から沸いて出てきたんだwwwwwww
今日はもう人いないかなーと思ってたのに…!!のに!!

にしてもホント、憧強いですねー
何だかんだでこれで巴さんと並んで回数最多ですか



↓2
01~32 +2
34~65 +3
67~98 +4 好印象5取得
ゾロ目 +10 好印象6取得

2+4(好印象分)で56になります
ここまで来ると好印象ホント強いですね

ちなみに今回はお料理回のつもりなんで、ついでですし、京ちゃんの料理技能も判定しましょうか


料理
01~32 一部料理以外は味付けが独特と言われるレベル
34~65 普通の主婦と互角程度のレベル
67~98 一流の料理店で活躍出来るレベル
ゾロ目 料理漫画の主人公になれるレベル


下2

なんか今日は毎回安価の下にゾロ目が待機してやがるな…!
では京ちゃんの料理技能が何故か一流料理店で活躍出来るレベルになったところで今日はもう休みます(´・ω・`)
明日はちょっと投下難しいかもしれませぬ(´・ω・`)すまぬ…すまぬ…

ムッツリエロと噂の本編和サイドとか凄そう

ククク…まさか今から始めるだなんて誰も予想していないだろう…(´・ω・`)
あ、それはさておき、返事忘れてましたがプロ勢はオッケーです
後、エロに関しては最初はヒロイン決定したらやるつもりだったんですが、こうして和エンドを迎えて分岐に入ったんで今回はなしでいいかなと

>>248
多分、あのドスケベボディで京ちゃんのチンポを思いっきり銜えこんでアヘアヘになっちゃってますね
京ちゃんのマジカルチンポにアクメ漬けにさせて貰う為なら、すぐに我慢出来なくなって何でも言う事聞いちゃうんで京ちゃんにアへ顔ビデオ撮影され
後日目の前でそれを見せられた時に「こんなの私じゃありません!」とか顔を真っ赤にして言っちゃうくらいむっつりです(ゲス顔)


―― その日は俺にとって決戦だった。

俺の元に届いた一通のLINE。
それは俺に対して挑戦状を叩きつけるものだったのだから。
俺はヘタレではあるが、相手から勝負を挑まれて逃げるほど臆病ではない。
それが俺にとっての得意分野であるという事も相まって、俺はその挑戦状にすぐ返事を出した。
すなわち承諾 ―― 首を洗って待っていろと言う言葉を。

京太郎「前菜・モッツァレラとトマトのサラダ!」

京太郎「ピアット・娼婦風スパゲッティ!」

京太郎「メイン・子羊背肉のリンゴソースがけ!!」

京太郎「これでトドメだ!デザート!!プディング!!!」

憧「グワー」

ふぅ…勝った。
だが、どうしてだろう…胸の中に湧き上がるこの虚しさは。
勝利を重ねた果てにあるこの感覚は何時感じても慣れる事はない。
…そうこれはきっと絶対的な強者となってしまったがゆえの孤独 ――


憧「いや、正直、美味しかったけれど」

憧「あたしの料理がまるで霞むくらい美味しかったけれど…!!」

憧「でも、ここまでやられると流石に引くわ…」

京太郎「だよなー」

…じゃなくて、普通にやりすぎたからだろうな。
まさか新子さんから以前言ってた食べ比べのお誘いをして貰えると思ってなかったからちょっと気合入れたけど。
こうしてテーブルにコース料理を並べると、気合入れ過ぎでヤバイ。
何というか初デートにびっちりスーツ着て行っちゃう童貞くらい場違い感がある。

憧「にしても…どうしてこんな料理なんて作れるの?」

憧「普通、コース料理なんて作れないでしょ」

京太郎「まぁ…昔、色々あってな」

某タコス娘にタコス作るようになったのがキッカケで、ハギヨシさんに色々と料理を教わるようになったんだよな。
まぁ、それは単純に楽しかったからってだけじゃなくて、料理が出来る男がモテるって聞いたからなんだけど。
でも、その成果を俺は和に魅せる事も出来ず、またあんまりにも上手くなりすぎて咲にも引くとそう言われてしまった。
ぶっちゃけ予定よりは上手くなってしまったんだけど…まぁ、普段の食生活がそれなりに豪華になっているし、悪い事ではないはずだ……多分。


憧「…もしかして料理できた方がモテるって聞いて頑張りすぎたとか?」

京太郎「……ぐふ」

憧「ふふ。図星なんだ」

まさかのクリーンヒットだよ、チクショウ…!
やっぱり男が考えるその辺のモテ術とか女の子にはまるわかりなのかねぇ…。
実際、ハギヨシさんも料理が上手になるより、人間としての魅力を磨いた方がモテると言っていたし。
そもそも料理を女の子に振る舞うまでのハードルって結構、高いもんなぁ…。

憧「須賀君も結構、可愛いところあるんだ」クス

京太郎「それ男に対して褒め言葉じゃないからな…」

憧「だって、可愛いって思ったんだもの。仕方ないじゃない」

…くそぅ。
悔しい気持ちはあるけれど、今の俺が情けないのは事実なだけに反論出来ない…!
まぁ、正直、こうして俺を部屋にあげてくれてる新子さんの方が可愛いと思うのだけれど、でもそれを言ったら男性恐怖症の新子さんが怯えるかもしれない。
流石に部屋を追い出される事はないだろうが、ついに晒された新子さんの素顔を隠されてしまうくらいはあり得るだろう。


京太郎「(…正直、色々と障害も多かったからなぁ…)」

こうして俺が彼女の素顔を見るのは二回目だ。
いや、一度目は事故のような形だった事を思えば、今回が初めてだと言っても良いかもしれない。
何度も接触しながらも今までじっくり見る事が出来なかった彼女の顔はやっぱり整っている。
化粧も上手いし、俺の周りにはあまりいない今風の大学生って感じだ。

憧「な、何?いきなり人の顔をジロジロ見て…」

京太郎「あ、いや、なんつーか…化粧上手だなって思ってさ」

憧「そりゃ当然よ。女の子にとって化粧は戦準備みたいなもんだし」

憧「……でも、そういうの気にするって事はまさか今度は化粧まで…?」

京太郎「いや、流石にそこまで馬鹿じゃねぇよ」

まぁ、女の子に化粧してあげられる男も格好良いんじゃないかと一時思っていたけれど!
でも、何事もほどほどが一番だと言うように…やりすぎると逆に引かれてしまう。
実際、さっきの新子さんは俺の料理を褒めながらも引いていたが…化粧はさらにその上を行くはずだ。
メイク関係の仕事をやっているならまだしも趣味で女の子の化粧を学ぶだなんて、危ない道に片足を突っ込んでいるとしか思えない。


憧「じゃあ、純粋に褒めてくれてるって事?」

京太郎「まぁ…そんな感じかな」

憧「ふふ。ありがと」ニコ

そうやって笑う新子さんの顔にはもう警戒の色は殆どない。
勿論、全ては消えていないけれど…それはまぁ男性恐怖症ゆえ致し方なしってところだろう。
少なくともこうして笑顔を見せてくれるようにはなったって事は、友人程度には思ってくれているはずだし。
今はこの彼女の笑顔だけで満足しておくべきだろう。

憧「さて、でも…どうしよっかな」

京太郎「何が?」

憧「いや、あたしも結構、気合入れて作ったつもりけれどさ」

憧「ここまで凄いもの出されたらグゥの音も出ないし…」

京太郎「あー…」

…やっぱさっきの料理は失敗だったなぁ。
勝負を挑まれた以上、手を抜くのは失礼だなんて思ったけど…それでも一品くらいにしとくべきだった。
そりゃあ一品料理にコース料理をぶつけられたら印象も霞むし、女の子としてのプライドも傷つくだろう。
ましてや、新子さんは最近、料理を作るようになったばかりなんだから…モチベーションをさげるような真似はするべきじゃなかったな…。


京太郎「い、いや、俺は新子さんの料理好きだぞ」

憧「…誰にでも出来る煮物なのに?」

京太郎「ばっか。こういうのこそ普段、男が食べたがる料理なんだって」

京太郎「実際、俺も毎日食べたいくらい美味しかったぞ」

憧「ふきゅっ」カァァ

ん……?あ゛っ…!!
し、しまった…こ、こんなのまるでプロポーズのセリフみたいじゃないか!!
いや、まぁ、新子さんみたいな美少女だったら是非とも結婚したいけれど!!
でも、彼女は男性恐怖症であって…こんな事言ったらびっくりさせてしまう。

京太郎「あ、い、いや、そういうんじゃなくて…」

憧「あ、う、うん。分かってる。分かってる…けど」カァァ

憧「い、今、ちょっとびっくりして顔赤くなってるから…あんま見ないで欲しい……かも」モジ

京太郎「お…おう」クル

……ただ、赤くなった新子さんの顔は可愛かった。
結構、イケイケな顔が瞬時に大人しくなってく姿は正直、抱きしめたくなる。
ただ…男性恐怖症な彼女にそんな事したら、今までの関係全部が根本から崩れていくし。
ここはさっきの反省を兼ねて背を向けるようにして彼女の照れ顔から目を背けるとしよう。


憧「…うん。今のはちょっと減点かな」

憧「軽々しく女の子にそういう事言ったら最悪、嫌われちゃうよ」

京太郎「…悪かった」

憧「反省してる?」

京太郎「反省してます…」

こうして何処か冗談めかして言ってくれてるって事は本気で拗ねている訳じゃないんだろう。
…ただ、男性恐怖症な女性に言う必要のなかった言葉を口にしてしまったのは事実なんだ。
下手に驚かせてしまった事は消えないし…やっぱり反省は必要だろう。

憧「じゃあ、たまにで良いから料理の特訓に手伝ってくれる?」

京太郎「え?」クル

憧「…あたし負けず嫌いなんだよね」

憧「自分から食べ比べしようって言ってこんな結果じゃ満足できないし」

憧「せめて今度は互角に勝負出来るよう料理をもっと上手くなりたいからさ」

そう自分を戒める俺に帰ってきたのは思った以上に前向きな言葉だった。
自身を負けず嫌いとそう言いながら、彼女は照れたように笑っている。
まるでさっきの件の事を忘れたようなその笑顔は、決してモチベーションを失ってはいなかった。
むしろ、その可愛らしい笑みの奥でメラメラと闘志が燃え上がっているのを感じる。


憧「だから、お詫びに料理の特訓」

憧「どうかな?」

京太郎「勿論、俺は構わないけど…」

しかし、料理の特訓となると俺か新子さんの部屋のどちらかにあがる事になる。
流石にそう頻繁ではないだろうが、だからと言って、男性恐怖症の新子さんに対して軽々しく出来る事と言えば答えは否だ。
何より、料理の特訓ともなればどうしても接近する事になり、手で彼女に触れてしまうケースも出てくるのである。
その時、彼女がどれだけ緊張してしまうかを考えれば、快諾とはいかない。

憧「…大丈夫よ」

憧「別に普段はそこまで男の人が怖いって訳でもないし」

憧「それに須賀くんの事はあたし、けっこー信頼してるからさ」ウィンク

京太郎「…ん」

とは言え、本人がそう言っているのだから、俺があんまり二の足を踏むのもな。
彼女の料理がうまくなりたいっていう気持ちは間違いなく本物だろうし、そのモチベーションの行き場をなくしてやりたくはない。
若干、心配は残っているが、そのへんは俺が上手にやれば何とかなるだろう。
少なくとも、こうして新子さんから向けられる信頼を裏切らなければ、嫌われるような事にはならないはずだ。


京太郎「…さて、それじゃあ後片付けに入りますか」

憧「料理してるとこの時間がホント面倒だよねー…」

京太郎「あぁ。そういう時はさ、もっと先を見据えるんだよ」

憧「先?」

京太郎「そ。次の料理の準備だと思えば、結構、モチベも出てくるだろ?」

憧「あぁ、なるほど。それ良いかもね」

そんな会話をしながら俺達はテーブルの上をテキパキと片付けていく。
まぁ、片付けると言っても、俺が持ち込んだ食器と彼女の家の食器を分けるくらいなんだけどさ。
この部屋はそれなりに広いけど、それでも台所で人二人が横に並べるほどじゃないし。
それぞれ自分の部屋で洗ってしまった方が色々と効率が良い。

京太郎「じゃあ、またな」

憧「うん。また都合が良ければLINEするね」

京太郎「おう。待ってる」

数分後、俺は自分の食器を持ちながら、新子さんに見送られて彼女の部屋を去る。
その内心にあるのはまたひとつ彼女と仲良くなれた実感だった。
こうして彼女の素顔も見れるようになったし、次の約束まで取り付ける事が出来たのだから。
まさしく上々と言っても良い成果に俺は思わず顔をにやけさせて… ――


―― そして俺はそのままどんな風に彼女に料理を教えてあげれば良いかをじっくりと考え始めたのだった。

憧編しゅーりょー
このペースじゃちょっと時間危ないので今日は早めに安価出しまする

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【名前】 須賀京太郎

【ステータス】
体力 ほぼ人並みと変わらないレベル
学力 成績優秀で教授から留学を薦められるレベル
魅力 どんな場所でも必ず中心人物になれるレベル
雀力 三年のインターハイで大活躍したレベル


恋愛抵抗値 29/100


【交友関係】
咲 幼馴染 ?9/100 【???】??回コミュを行うと???…(累計1)
ハオ 親友 53/100
謎チャー 変な人… 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる
智葉 部員 27/100
ステルス○○ 痴漢 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積4 フラグ2)
ネリー 好き 69/100
漫 良い人 30/100 【好印象】:好感度の上昇値が+1される(類似効果と累積する)
謎のうっかりさん ムカムカする 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積8 フラグ2)
透華 親友 45/100
謎の大天使 コワクナイ…? 20/100
白望 …思ったより悪い人じゃなさそう 23/100 
憧 今度勝つのはあたしだからね? 56/100 【好印象4】:好感度の上昇値が+4される(類似効果と累積する)
穏乃 憧のおとなりさん…だよね… ??/100 【??の絆】:???
マホ 好き 68/100
淡 好き 72/100
塞 もう貴方なしじゃいられない 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
竜華 特に関心ナシ 10/100
姫子 後輩 38/100
ちゃちゃのん 愛してる 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
和 ??/100 【特別な人】:コミュした時、恋愛抵抗値を10低下させる。三回コミュを行うと…(累計2)
美穂子 大好き 89/100
由暉子 友人 57/100
豊音 好き 67/100
爽 好き 74/100 


12/16 午前のヒロイン

下3でー

咲ちゃんだああああああああああああ
…………アレ?もうリーチ掛ってるんだけど…あるぇ……?(白目)


京太郎「(俺の幼なじみは寝坊助だ)」

寝付きはやたらと良い反面、起きる事が中々、出来ない。
俺がメールしても起きないなんてパターンは一度や二度じゃなかった。
特に昨日は新刊をアレコレと買い込んでいたし、きっと徹夜でそれを読み込んでいたんだろう。
だからこそ、ここは… ――

京太郎「…」ピンポーン

そう俺がチャイムを鳴らすのは大学のモノではない。
俺がいるのは咲の住んでいる部屋の前なのだから。
大方の予想通り、数度メールを送ってもまったく返事のない咲の事を俺は起こしに来たのである。
だが、こうしてチャイムを鳴らしても、部屋の中から物音一つせず、人の気配も感じない。


京太郎「(…仕方ない)」

ここは親御さんから預かった合鍵の出番だな。
まったく…本来ならこういうのは逆だろうに。
男の俺が朝に弱くて、女の咲に起こしてもらうってパターンが王道だろ。
なんで、俺達の場合、こうして朝の時間だけ逆なのか、まったく理解出来ない。

京太郎「入るぞー」ガチャ

……まぁ、愚痴ってても仕方が無いか。
とりあえず部屋の中に入って、さっさと咲を起こしてしまおう。
結構、うるさいはずのチャイムでさえビクともしないって事は、多分、かなり熟睡しているんだろうし。
早く起こして準備させないと、俺の方も講義に遅刻してしまいかねない。


京太郎「咲ー起きろー」トテトテ ガチャ

咲「むにゃぁ…♪」

……うわぁ。
すっげぇ幸せそうな顔で本を抱いたまま寝てやがる。
多分、本を読んでいる途中で寝落ちしたんだろうな。
まるでその口から今にもヨダレが垂れそうなくらい幸せそうにしてる。

京太郎「…はぁ」

コイツ、本当に大丈夫なのかねぇ…。
こんな姿、俺以外の男に見られたら百年の恋も余裕で覚めると思うんだけど。
俺はもう見慣れているから何とも思わないが…正直、幼なじみがちゃんと結婚出来るのか若干、心配になる。


京太郎「…おい、咲」ユサユサ

咲「んふゅぅ…♪」スヤァ

……あーくそ、なんか少し腹立ってきた。
なんでこうして心配して起こしに来てる俺の前でそこまで幸せそうに眠れるのか。
咲の事も考えて早起きして出てきた俺がなんか凄く損をしているような気さえする。
…一応、俺は咲の事を揺らして起こそうとした訳だし…それでも起きなかったのは咲なんだから…良いよな?
ちょっとくらいイタズラしても、それは因果応報って奴で済まされるよな…?

京太郎「(…とりあえず口紅でマーク描いといてやろう)」クルクル

勝手知ったるなんとやら。
コイツの化粧品の置き場所くらいは俺はとうの昔に知っている。
俺が知らないのはコイツがいったい、どんなパターンで本を床に積み上げているかって事くらいだ。
…正直、俺にはまったくパターンが読めないのだけれど、本人的には一応、使いやすいように整理整頓しているらしい。
まぁ、本棚はもうとっくの昔にいっぱいだから仕方が無いとは言え、女の子の部屋なのだし、もうちょっと片付けには気を配った方が良いと思う。


京太郎「(よし)」グッ

そんな事を考えている間に頬に2つの鳴門マークの出来上がりだ。
ククク…咲の奴が洗面所に行った時にどれだけ驚くか、今から楽しみだぜ…。
まぁ、あくまでも口紅だから、メイク落としとかで洗えばすぐに堕ちるけどさ。
ただ、幾ら腹がたったと言ってもあんまり酷いイタズラをすれば咲もスネるし。
その後片付けを俺も手伝う事になる事を考えれば、これくらいがボーダーラインだろう。

京太郎「(さて、それじゃそろそろ…)」

咲「京ひゃぁん…」ギュゥ

京太郎「って…」

……そんな事を考えてる間に、俺の腕が捕まえられてた。
一瞬、起きたのかと思ってびっくりしたけれど…でも、そのとろけた声を聞く限り違うらしい。
恐らく夢の中で俺が出てきて、んでそれを捕まえようと手を伸ばしたところに俺がいたんだろう。
まったく酷い偶然だと思うけれど…でも、コイツは宮永咲だしな。
これまでも何度か似たような事があるだけに信じられないってほどじゃない。


京太郎「(しっかし…何の夢見てるんだ?)」

咲「…京ひゃん…らめだよぉ…」

咲「おっぱいさんに…デレデレしひゃ…やらぁ…」

……どうやら俺は夢の中でも、おっぱいにデレデレしているらしい。
まぁ、ぶっちゃけ、現実でも割りと咲に叱られる事があるからな。
その辺を咲も強く記憶していて、夢の中でも浮かび上がってきているのだろう。
ただ、そんな風に理解する反面、何となく面白くないと思うのは、幼なじみとしての性か。

京太郎「…おい、咲、お前の胸、大きくなってるぞ」ボソボソ

咲「ほ…ほんとらぁ…♥」

そんな咲にまたイタズラしようと俺は咲の耳元で小さく呟く。
瞬間、咲から漏れる寝言を聞くに、どうやら本当に夢の中で胸が大きくなっているらしい。
…どれだけ根が単純なんだと思うが…まぁ、コイツは宮永咲だしな。
麻雀と家事以外はポンコツと言っても良い咲だけに信じられないってほどじゃない。


咲「京ちゃん…見てぇ…」

咲「私…おっぱいさんに…にゃったよぉ…」デレェ

京太郎「あぁ、咲、凄いな」

京太郎「お前はもう世界一に巨乳だよ」

咲「うぇへへぇ…和ちゃんにも…勝っちゃったぁ…♪」

……どうやら本当に世界一の巨乳になっているらしいな。
…しかし、咲よ、お前がそうやって見ているのはただの夢でしかないんだ。
現実のお前の胸は1ミクロンも大きくなっていない。
どれだけ飛んでも跳ねても、まったく跳ねない貧乳はもう遺伝子に刻み込まれているのだ。
……まぁ、でも、ちょっと可哀想だから夢の中でくらい巨乳にさせておいてやろう。
ただし…… ――

京太郎「咲の胸、まだまだ大きくなっていって…あぁ…ついにおっぱいで浮き始めたぞ」

咲「わわ…き、京ひゃん助けてぇ…」

京太郎「無理だ。もうお前は上昇気流に乗ってジェット機と並走してる…」

京太郎「流石の俺もそこまで迎えにはいけない…」

ただし、貴様はその巨乳が故に地獄を見るのだぁ!!
……いや、ていうか、おっぱいで宙に浮くってどういう状況なのか俺も良く分からないけれど。
そもそもジェット気流に乗ってもジェット機と並走出来るはずないだろうとか突っ込みどころは沢山あるけれど。
でも、所詮は夢なんだから、これくらい荒唐無稽な方がいいだろう。


咲「や…やらぁ…京ちゃん…やだぁ…」

咲「私…京ちゃんと一緒に…一緒にいるの…」

咲「京ちゃん…京ちゃ…あぁん……」グス

……やべぇ、やりすぎた。
まさか夢の内容でマジ泣きするなんて。
流石にこれだけ滅茶苦茶な内容だったら起きると思ったけど…コイツの寝坊助っぷりを甘く見ていたな。
…流石にちょっと心も痛くなってきたし、本気で起こしてやろう。

京太郎「おい、咲」ユサユサ

京太郎「起きろ、もう朝だぞ」ユサユサユサユサ

咲「ん……うぅ…」パチリ

…なんか思ったよりも早めに起きたな。
何だかんだ言って、さっきの悪夢は効果があったって事か。
まさかこの寝坊助の咲がこんな早さで起きるとは。
ただ…それはさっき俺がコイツの夢で遊んでしまったからで。
こんなに早めに起きてくれるのなら楽ではあるけれど…アレはもう禁じ手にしよう。
少なくとも朧げに目を開いた咲の目尻に涙が浮かんでいるのを見て、もう二度とやりたいとは思えないし。


咲「あれ…京ちゃん…?」

京太郎「おう。俺だ」

京太郎「今日もお越しに来てやったぞ」

咲「京ちゃんっ」ダキッ

京太郎「おっと…」

…珍しいな。
咲が起きたばっかでこんな俊敏に動くなんて。
…しかも、それが俺に抱きつく為だったんだから…よっぽどさっきのは怖い夢だったんだろうな。
正直、その原因となった俺としては胃がキリキリ痛むけど…でも、ここで逃げても意味はないし。
さっきの責任を取る意味でもここはしっかりと咲の事を慰めてやろう。

京太郎「どうかしたのか?」ナデナデ

咲「…怖い…怖い夢…見たの」

咲「京ちゃんと離れ離れになる夢…もう二度と会えない夢…」ギュゥ

……うん、ごめん。
すっげぇシリアスに語ってるけど…お前、それアレだよな?
胸が大きくなりすぎて宙に浮いて、俺と離れ離れになった話だよな?
いや、まぁ…咲としては本気で怖かったんだろうけれど…その内容と知ってる俺としてはシュール過ぎて反応に困るわ。


京太郎「…ばーか。安心しろ」

京太郎「俺とお前の腐れ縁が一体、どれだけ続いてると思うんだよ」

京太郎「離れ離れになんてなるもんか」

咲「…ホント?」

京太郎「おう。本当だ」

…とは言え、咲が本気で怖がっているのは事実だし、俺も真剣に言葉を返してやろう。
それにまぁ…離れ離れにならないって言うのは割りと本心からのもんだしな。
コイツとの付き合いは幼稚園の頃からだし、今更、離れるなんて考えられない。
大学生になってもこうして何だかんだと世話を焼いてやっているのは、俺も咲の事をそれなりに大事に思っているからだろう。

京太郎「(ま、流石に恋人が出来ればある程度、距離は必要だろうけど)」

でも、そんな簡単に咲の事を渡してやる訳にはいかない。
コイツがどれだけポンコツなのかは俺が誰よりも良く理解しているのだから。
咲の面倒をちゃんと見てやれるとそう信じられるような男でなければ、その関係を認めてやりたくはない。
最低限、麻雀以外の全スペックを俺を上回るような奴じゃなければ俺は安心して咲の事を預けられないのだ。


咲「…じゃあ、ずっと一緒にいてくれる?」

咲「私の事…離したりしないって約束してくれる…?」

京太郎「あぁ。それで咲が安心するなら幾らでも約束してやるよ」ナデナデ

それにまぁ、恋人が出来たって俺達の関係がそれほど変わる訳じゃない。
確かにお互いに構う時間は減るだろうが、この腐れ縁は一生続くだろう。
少なくとも俺はそんな確信があって…だからこそ、こうして咲の言葉にも力強く返す事が出来る。

咲「…良かった」

咲「京ちゃん…ありがとう…」スリスリ

京太郎「ん。どういたしまして」

…まぁ、こんな風に格好つけてるけど諸悪の根源は俺だからな。
そんな風に心から安堵したような声を聞かされると胸の奥がギリギリと痛くなる。
その上、こうして俺に頬をすり寄せる動きはまるで大型犬のようで…。
ってあれ?何かを忘れてるような…。


咲「ってわわ!もうこんな時間!」バッ

咲「ごめんね、京ちゃん。私すぐ準備するから…!!」

咲「も、もうちょっとだけ待っててくれる!?」

京太郎「おう。ちゃんと待っててやるから焦ってこけるんじゃないぞ」

咲「もぉ。そこまでドジじゃないよ!!」

どうだかな。
この前も駅の階段であわや転びそうになったところを俺は見てるぞ。
まぁ、ちゃんと手すりに捕まっていたから大惨事にはならなかったけれども。
それでもコイツが階段で転びそうになるようなドジっ子だと言う事に否定の余地はないだろう。

京太郎「(さて、んじゃ俺はその間に朝食の準備でもしといてやるか)」

まぁ、準備って言っても、食パンをトースターの中に突っ込むだけの簡単なお仕事だけどな。
元々、咲は小食だし、それに朝はあんまりガッツリと食べられるタイプじゃない。
朝は食パンとヨーグルトだけで十分だそうだ。
正直、朝からそれなりにしっかり食べないと昼間で保たない俺としてはその燃費の良さは羨ましいのだけれど… ――


咲「あ゛ーーーーーーー!!」

京太郎「ん?」

瞬間、洗面所から聞こえてきた咲の叫び声に俺は首を傾げた。
一瞬、Gでも出たのかとも思ったが、それなり悲鳴をあげるだろう。
しかし、こうして聞こえてきた声は怒りや驚きの感情が強い。
少なくとも悲鳴のようには聞こえず、むしろ、何かイタズラをされていた事に気づいたようなもので… ――

京太郎「…あっ」

……ってそういや俺、咲の顔に口紅でイタズラ書きしてたっけ。
俺に抱きついてから、咲はそのまま洗面所に駆け込んだから顔が見えなくてすっかり忘れてた。
って…待て、そういや…俺、さっき咲に頬ずりされてたよな?
しかも、コートの上から思いっきり…と言う事は……あぁ…やっぱり。
完全に…口紅が移ってしまってる…。

咲「京ちゃん!!」

京太郎「…おう」

だからと言って、咲の怒りが収まる訳がない。
洗面所から飛び出してきた咲は今にもプンプンといった擬音が聞こえてきそうな怒りっぷりだった。
頬を軽くふくらませて怒りを表現する幼なじみは色移りしたコートに凹む俺にまったく容赦してくれず… ――

―― そして俺はそれからの数分間、因果応報と言う言葉をよぉく体感させられたのだった。

咲ちゃん編しゅーりょー
やだなぁ、咲ちゃんは可愛い文学少女なんだから、シリアスなんてある訳ないじゃないですかー(ボウヨミ)
とりあえず準備してくるんで45分に安価とります

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧          ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
      //////////////////////|    |////////////////////∧
       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|

【名前】 須賀京太郎

【ステータス】
体力 ほぼ人並みと変わらないレベル
学力 成績優秀で教授から留学を薦められるレベル
魅力 どんな場所でも必ず中心人物になれるレベル
雀力 三年のインターハイで大活躍したレベル


恋愛抵抗値 29/100


【交友関係】
咲 幼馴染 ??999/100 【魂のパートナー】3回コミュを行うと???…(累計2)
ハオ 親友 53/100
謎チャー 変な人… 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる
智葉 部員 27/100
ステルス○○ 痴漢 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積4 フラグ2)
ネリー 好き 69/100
漫 良い人 30/100 【好印象】:好感度の上昇値が+1される(類似効果と累積する)
謎のうっかりさん ムカムカする 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積8 フラグ2)
透華 親友 45/100
謎の大天使 コワクナイ…? 20/100
白望 …思ったより悪い人じゃなさそう 23/100 
憧 今度勝つのはあたしだからね? 56/100 【好印象4】:好感度の上昇値が+4される(類似効果と累積する)
穏乃 憧のおとなりさん…だよね… ??/100 【??の絆】:???
マホ 好き 68/100
淡 好き 72/100
塞 もう貴方なしじゃいられない 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
竜華 特に関心ナシ 10/100
姫子 後輩 38/100
ちゃちゃのん 愛してる 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
和 ??/100 【特別な人】:コミュした時、恋愛抵抗値を10低下させる。三回コミュを行うと…(累計2)
美穂子 大好き 89/100
由暉子 友人 57/100
豊音 好き 67/100
爽 好き 74/100 


12/16 午後のヒロイン

下3でー

あわあわする時間だあああああああああ!!!!



↓2
01~32 +2
34~65 +3
67~98 +4
ゾロ目 +10

72に+4で76ですねー
しかし、上下がゾロ目…これは某ゾロ目スレから人が流れこんできている所為なのか(錯乱)

ってところで今日は一旦終わります
今日の夜は一応出来る予定です

あ、それと支援絵ありがとうございます
何時も素敵な絵ばかりで感謝しているのですが、今はちょっと時間がないので感想はまた後で
何時もならばリクエストを出してもらうのですが、支援を貰っているペースが思った以上に早くて嬉しい半面、話が進まなくて…
申し訳ありませんが今回はなし、とさせてください(´・ω・`)京子サミン切れてる人もいるみたいですし、あんまりこっちを長引かせるのもアレなので

また咲ちゃんエンドに関してですがスレの残り次第です
800くらいで咲ちゃんエンドに言ったら気兼ねなくhtml化出せますが、その前くらいならまた分岐させても良いかなって
和でエロやってない時点で今回はエロやらないと決めましたし、残り数日くらいならすぐ終わるでしょうから(フラグ)

ヒャッハー!またまた支援絵だー!!
これはまた随分と距離が近い京和ですね
割りとパーソナルスペース広そうな和がここまで男に接近を許すとかこれもう堕ちてますわ(確信)
二人の笑顔もとても楽しそうなもので、背景に遊園地が見えそうな気がします
そんな中でも個人的なイチオシはやっぱり和の胸ですねー
すっげぇ肩細いのにそこから膨らんでいくカーブがやばい…
セーターにさえ谷間が浮かんでるし、ザ・巨乳って感じですね(´・ω・`)すげぇダイブしたいおっぱいだ…

ちなみに現在、帰ってきてがっつり投下する為に少し仮眠しようと思ったら眠いのに眠れないという絶望を味わってます
一時間ほど横になってそれでも眠れなかったんで、ちょっぴり眠いけど今から投下します(ぐるぐるおめめで)


京太郎「(さーって…昼だ昼っと…)」

京太郎「(今日の昼飯はどうするかなぁ…)」

普段ならそこまで深く考えこんだりしないんだけどなぁ。
でも、俺は昨日、新子さんから料理勝負を挑まれて、ついついフルコースで応えてしまった訳で。
予定外の出費が思いのほか大きく財布の負担になっている。
まぁ、別に生活が出来ないってほどではないが、大学での昼食を悩まなければいけない程度には。

淡「あ、えっと…き、キョータロー…」

京太郎「ん?」

そこで俺に話しかけてきたのは淡だった。
ただし、その様子は何時もの天真爛漫なものではない。
今の淡は身体の前で指モジモジと動かし、頬も微かな好調を見せている。
緊張と羞恥が強く入り混じったそれは、しかし、決して今は初めてのものではなかった。


京太郎「(会った時からこんな感じだったんだよなぁ…)」

俺は今日の二限目を淡と同じ講義で埋めている。
自然、コイツは毎日、俺の側に腰を下ろし、講義中にも小声で話しかけたりしてきていた。
しかし、今日はそんな風に俺に話しかける事はなく、ただ隣をキープしていただけ。
講義にも普段以上に集中出来てはおらず、ずっと俺の事をチラチラ見ていた。

京太郎「(何より、コイツの指、絆創膏だらけなんだよな)」

まるで慣れない料理や刺繍にでも挑戦したのか両手のあちこちに絆創膏が貼り付けられている。
いっそベタと言っても良いその姿はきっと淡なりに努力した結果なのだろう。
しかし、そうと分かっていても、やっぱりこうして絆創膏だらけの指を見せられては心配になる。
一体、淡に何があったのか。
それを気にする俺の前で淡は何度も口を開いて… ――


淡「えっと…あの…その…」

京太郎「……」

しかし、そこから先が出てこない。
勿論、普段のコイツならば、もっとハキハキと自分のやりたい事を伝えてくるはずだ。
俺の知る大星淡と言う少女は良くも悪くも素直でストレートな人間なのだから。
時にワガママに思えるほどハッキリとしたコイツが、こんなに言いよどむなんて本当に珍しい。

京太郎「…淡、昼は暇か?」

淡「え…と、特に予定とか入ってないけど…」

京太郎「じゃあ、一緒に飯食おうぜ」

ただ、珍しいってだけで済ませる訳にはいかないよな。
こうして普段と真逆と言っても良い姿を見せるくらい、淡は何かを抱え込んでいるんだから。
それをコイツは俺に話したがっているみたいだし…昼休みはまるごと、淡に付き合ってやろう。
幸い三限は特に何も入っていないし、昼休みで足りないならその先だってコイツの為に潰してやっても構わない。


淡「い、良いの?」

京太郎「当たり前だろ」

京太郎「つーか、今更、何を遠慮してるんだよ」

それにそもそも毎週この曜日は殆ど淡と一緒に飯を昼飯を食うって決まってるからな。
俺も淡も弁当は作らないし、基本的に講義が終わった後は学食へと雪崩れ込みにいく。
ある種、日課と言っても良いそれを毎週共有しているのに、今更、そうやって遠慮する理由が俺には分からない。
多分、淡の様子が変なことと関係あるんだろうけれど…本人がそれを口にしてくれないしな。

京太郎「それより早く学食行こうぜ」

京太郎「早く行かないと席が埋まっちまうぞ」

淡「あ…そ、それなんだけど…」

京太郎「ん?」

普段なら淡もすぐさま俺の言葉に同意しただろう。
コイツはマイペースではあるが、それと同時に落ち着きが無い奴でもあるのだから。
学食の席が埋まって待たされるのはあまり好きではなく、何時も講義が終わってすぐ学食に向かっている。
しかし、既に講義が終わって数分が経過した今、学食を利用しようとする生徒の数は刻一刻と増えていっているのだ。
まさしく一刻を争う事態の中でこうして二の足を踏む理由なんてないはずなんだけれど… ――


淡「今日はテラスの方にしない…?」

京太郎「テラス?」

確かにこの時間ならテラスもそれほど混み合ってはいないはずだ。
そもそもテラスでも軽食を提供してはいるが、それはあくまでも軽食だし。
サンドイッチやパンを買うくらいなら、構内のコンビニに行った方がずっと安上がりだ。
昼休みも終わりに近づけば、食後のティータイムを楽しもうとする生徒が増えるが、今ならばそれほど人がいるという訳ではないだろう。

京太郎「まぁ…俺は構わないけど…でも、どうしてテラスなんだ?」

淡「えっと…お、オベントウ…」

京太郎「え?」

淡「だ、だから、お弁当作ってきたから…」

…………え?
淡がお弁当作ってきた…だって?
…………いやいやいや、嘘だろ?
美穂子さんとかなら分かるけど…あの淡だぞ?
料理なんてやった事ないとドヤ顔で公言して、結婚しても麻雀以外家事はする気ないと断言するあの淡が…お弁当?
これは…何かの間違いじゃないのか…?


京太郎「(い、いや、でも…)」

だが…確かにそれなら淡の手に貼り付けられまくった絆創膏は説明出来る。
コイツの指がボロボロなのは不慣れな料理を頑張って弁当を作ろうとしたからなんだろう。
夢ならばそんな細かい辻褄合わせまでするとは思えないし…これは嘘でも夢でもない。
正直、信じられないけれど…コイツは本気でお弁当を作ってきたんだ。

淡「…キョータロー?」ジッ

京太郎「お、おう。大丈夫だ」

…と、とにかく、落ち着こう。
ここで黙りこんだら、淡の事を不安にさせてしまう。
実際、俺を伺うように下から見上げる淡の目は、未だ緊張を浮かべているし。
きっと俺に馬鹿にされるんじゃないかとそんな事を思っているんだろう。


京太郎「じゃあ、先に席取っといてくれ」

京太郎「俺は先にコンビニでパンとか買ってくるからさ」

淡「や、やだ…」

京太郎「やだって言われても…」

正直、俺の財布の中身はあんまり潤沢にある訳ではないのだ。
テラスで軽食など頼んでしまえば、さらに無駄な出費を重ねてしまう。
まぁ、コンビニのパンも決して安くはないが、テラスで頼むよりはずっとマシだ。

淡「き、キョータローの分もあるから」

京太郎「え?」

淡「だから…一緒に来て欲しいって言うか…その…」

…………はい?
俺の分もあるって事は…え、何?俺の弁当まで作ってきてくれたって事?
…あぁ、だから、さっきから俺の様子をチラチラと伺ってたのか。
今日がなんか様子がおかしかった謎はそれで解けた訳だけれど… ――


京太郎「(しっかし…あの淡がなぁ)」ニヤァ

淡「う…」

ふふふ…そんなに俺の事が好きだったのか。
…なーんて訳なくて、単純にこの前奢ったお礼なんだけどさ。
でも、まさか奢り返すんじゃなくて、わざわざ弁当作ってきてくれるなんて思わなかった。
きっと…いや、絆創膏を見る限り間違いなく大変だっただろうに…あのワガママな淡が良く最後まで我慢して弁当なんて完成させられたもんだな。

淡「も、もぉ!い、いいからほら、早く行くよ!」グイッ

京太郎「はいはい」

そんな事を思っている間に俺の腕は淡に捕まってしまう。
しかし、それは何時もと違って胸の谷間に俺の腕を挟みこむようなものではなかった。
握った俺の手をグイグイと引っ張ろうとする淡に俺は笑みを浮かべながらついていく。
…まぁ、正直、若干の不安はあるけれど、幾ら淡でも食べられないものは出さないだろうし。
何より、美少女の手料理というのは何時だって楽しみなものなんだから。


京太郎「(まぁ、胃袋さんにはちょっと頑張ってもらうとして)」

…しかし、相変わらずここのテラスはあんまり人気ないよな。
まぁ、コーヒーとかはともかく軽食は割高だし、しかも、今の季節は冬なんだ。
秋や春には外の日差しの下で食べてた弁当派も大分、空き教室の方へと引っ込んでいる。
少なくとも、俺の目の前にあるテラスの席は大分、空席が目立つ有り様で、何処に座っても大丈夫そうだ。

淡「…こっち」グイグイ

京太郎「え?」

淡「こっちに座ろ」

しかし、淡はそんなテラスの中で何か目的があるらしい。
一番、俺達に近い席ではなく、少し離れた真ん中辺りの席へと俺を誘導していく。
そんな淡に、もしかしたら何かイタズラでも仕掛けてあるのでは?と一瞬思うが、特に変わったところは見当たらない。
こういうイタズラとしてはポピュラーなブーブークッションすらなく、この前と同じ白亜の姿を晒して… ――


京太郎「(…ってそういえば、ここて前、美穂子さんと一緒に座った席だったっけ?)」

確かあの時もこうして美穂子さんと手を繋いで…んで、テーブルの上で見つめ合ってたんだっけか。
そんな席に淡が誘導しているんだから、俺はこの席に少なくない縁があるらしい。
…ただ、その縁を繋いだ淡が一体、どうしてこの席を選んだのか俺には分からないままだ。
まさか、あの時、美穂子さんと一緒にいたのを見かけて嫉妬した…なんて事はないだろうし…。

京太郎「(まぁ、今はともかく…)」

淡「ど、どうぞ」スッ

京太郎「おう。ありがとう」

瞬間、俺の前に差し出されたのは二段組になった黒い弁当箱だった。
中学生くらいの男子が愛用するであろうそれは大学生になった俺には若干、物足りない。
しかし、それは後でコンビニや学食なんかで摘むものを買って、物足りなさを解消すれば良いだけの話。
今はともかく、淡の弁当に集中しようと俺は席に座ってその蓋を開き。


京太郎「おぉ…」

……こう言っては失礼だろうが、淡の弁当は存外、普通だった。
焼いたソーセージに玉子焼き、ほうれん草の胡麻和えにデザートのりんご。
無論、りんごを含めて全てがちょっと不格好ではあるが、しかし、そんな事殆ど気にならない。
むしろ、あの淡がここまでちゃんとしたお弁当を作れる事に俺は若干の感動めいたものさえ抱いていた。

淡「見た目はそんなに悪くないと思うんだけど…」

京太郎「いや、正直、思ってた以上だ」

京太郎「なんだ。淡もちゃんと料理出来るんじゃねぇか」

淡「えへへ…」テレテレ

まぁ、どれだけ、見栄えが良くても問題は味なんだけどな。
ただ、俺がこうして淡の料理に感動したのは事実だし…ましてや、さっきからコイツは妙に大人しいんだ。
それが自分の弁当を喜んでもらえるか不安に思っているからだと分かるのだから、何も言わないままではいられない。
コイツがまた元のお調子者に戻れるように褒めれるところはドンドン褒めてやらないとな。


京太郎「(まぁ、こうして人に持ってきてるって事は味見くらいはしてるんだろうし)」

俺の知る限り、淡は決して味覚がおかしいタイプじゃない。
そんな淡がこうして弁当に詰めてきたのだから、少なくとも及第点レベルではあるはずだ。
さっきは胃袋さんに頑張ってもらおうなんて失礼な事も思ったが、あんまり頑張る必要はないかもしれない。

京太郎「じゃあ、頂きます」

淡「うん!味わって食べてね!」ニコ

おうおう、もう元気になってきてやがる。
まぁ、しおらしい淡も嫌いじゃないけど、やっぱりこっちの方が淡らしくて良い。
こんなに元気になってくれるならこっちも褒めた甲斐があるってなもんだ。


京太郎「(ま、今はそれよりも弁当の事だな)」

さーって…どれから食べようかな。
いきなりメインらしきソーセージ…?いや、ここはやっぱりほうれん草から攻めるべきだな。
少し玉子焼きとも迷ったが、玉子焼きは作る相手の好み次第でしょっぱくも甘くもなる不思議な食べ物だし。
淡が俺と同じしょっぱい玉子焼きが好きなのか分からない以上、いきなり手を出すのは早計だ。

京太郎「(さて、それじゃ…)」スッ

淡「…」ジィィ

京太郎「」パク           ジャリ

………………あぁ、うん。
これ、ちゃんと洗ってないな。
ほうれん草って実は根本の方、結構、土が残ってるから、ちゃんと洗わないとジャリジャリするんだけど…。
今、そのジャリジャリ感と土の匂いが思いっきり口の中で弾けたわ…。


淡「ど、どう…かな?」チラッチラッ

京太郎「え、えぇっと…」

……しかし、それを淡に一体、どうやって伝えれば良いものか。
コイツってあんまり打たれ強い方じゃないから、正直に伝えると拗ねかねないし…。
何より、俺自身、こうして淡に弁当を作ってもらえた事を心から喜んでいるんだ。
ここで淡に微妙だと正直に伝えて、悲しませたりしたくはない。

京太郎「その…芳醇な香りが口の中一杯に広がるというか…」

淡「あはは。なにそれ、料理番組か何か?」

京太郎「ま、まぁ、そんな感じだ」

淡「ふふ。ありがとうね。そんなに褒めてもらえるなんて思ってなかった」ニコ

……ごめん、褒めてないんだ…。
さっき芳醇な香りって言ったけど、より正確に言えば、芳醇な土の香りだし。
一応、ごまや薄口醤油で味付けはしてあるのは分かるんだけど、全部、ほうれん草に残った土でぶっとんでる。
多分、気合入れて作ってくれただけに…味すら分からないのが本当に惜しい。


淡「じゃあ、私もいただきまーす」パク

京太郎「あ゛っ」

淡「もぐもぐ…もぐ………もぐ」

…………ど、どうしよう。
そうやって惜しんでいる間に淡も自分の分のほうれん草の胡麻和えを口の中に入れて…!!
しかも、一口毎にドンドン表情が暗くなっていってる…!!!
……どうやら俺のだけじゃなくてあっちの方も失敗だったらしい。

淡「…キョータロー。正直に言って」

京太郎「お、おう」

淡「……私の胡麻和え…失敗してる?」

京太郎「失敗って言うか…な、なんて言うか…」

京太郎「…多分、ほうれん草を洗うのが足りなかったんだと思う」

淡「…そっか…」シュン

…あぁ、分かっててもやっぱ辛いなぁ…。
目の前でこうして落ち込まれると…どうしても胸の中がズキズキする。
ましてや、相手はついさっきまで俺の前で満面の笑みを浮かべてた淡なんだから。
俺の不用意な言葉でぬか喜びさせてからの真実はかなり辛かったはずだ。


淡「…ごめん。今日、どうしてもキョータローに食べて欲しかったから…急いでて味見とか出来なくて…」

淡「その…他のもきっと失敗してるかもしれないし…食べなくても良いよ」

京太郎「…ばーか」パク

淡「あっ…」

そんな淡の言う通りにするなんて選択肢は俺にはなかった。
確かにほうれん草の胡麻和えは土の匂いがするが、別に食べられないってほどじゃない。
今、こうして口に運んだ玉子焼きも何故か口の中でガリって言うけど…加熱はしてあるし、大丈夫なはずだ。
少なくとも、俺にとってはその程度、食べるのを止める理由にはならない。

淡「だ、ダメだよ、キョータロー」

淡「お腹こわしちゃうかも…」

京太郎「そこまで俺は柔じゃないっての」

京太郎「それに…折角、淡が気持ち込めて作ってくれた弁当を無駄に出来るかよ」

あの堪え性のない淡がその指を絆創膏だらけにしながらも作ってくれた弁当なのだ。
きっとこの中には淡の気持ちがたっぷりと込められているのだろう。
そんな弁当を俺はどうしても無駄にはしたくない。
貰った側としては毒って訳ではないのだから完食するのが礼儀だろう。


京太郎「それに案外、玉子焼きの味付けは上手くいってるぞ」

淡「ほ、ホント…?」

京太郎「おう。しょっぱい系の玉子焼きが好きだから、すげぇ美味しい」モグモグ

淡「…良かった」ホッ

後はソーセージとミカンだけど…まぁ、これは失敗したりはしないよな。
ソーセージは焼いてあるだけだし、ミカンも皮を剥いただけなんだから。
土の匂いが残るほうれん草は強敵だが、その数はあんまり多くないし。
それさえ一気にご飯で流し込んでしまえば、完食は容易だろう。

京太郎「ふぅ。ご馳走様でした」

淡「…ん」

…ただ、そうやって完食してもやっぱり淡の顔は元通りにはならない。
顔の表情は暗く、顔も微かにうつむきがちになっている。
俺に合わせるようにしていくらか弁当をつついていた箸も止まっているし、やっぱり失敗したというのがかなり堪えているのだろう。


京太郎「何はともあれ、野菜の水洗いだな」

京太郎「それさえしっかり出来てれば、もっと美味しくなってたと思うよ」

淡「……うん」

京太郎「だから、次もよろしくな」

淡「…え?」

無論、俺がそんな淡の事をそのままにしておけるはずがない。
確かに弁当は成功したとは言えなかったが、しかし、その気持ちは十分、伝わったのだから。
淡の努力した跡は沢山見れたし、ほうれん草以外はそれほど悪くないと思える俺としては彼女のリベンジに期待したい。

淡「い、良い…の?」

京太郎「良いも何も…ここで終わったらなんか負けたみたいで嫌じゃないか?」

淡「それは…まぁ、確かに…嫌だけど…」

コイツも大概、負けず嫌いな奴だからな。
こういう言い方をされたら、まず間違いなく嫌だって返すだろう。
そしてこうして口にした以上、淡は決してそれから逃げたりしない。
必ず俺の期待に応えてくれるとそう信じる事が出来る。



京太郎「だから、もう一回な」

淡「キョータロー…」グッ

そんな俺に淡も多くは語らない。
俺の顔を数秒ほど見つめた後、テーブルの上で小さく握り拳を作った。
その小ささとは裏腹に入った気合の大きさを感じさせるそれに、俺は言葉を重ねない。
何を言わずとも淡がやる気になっている事はその拳から伝わってきているのだから。

淡「…うん。私、今度こそキョータローの事ぎゃふんって言わせられる料理を作ってみせる」

京太郎「言っとくけど、その道程は険しいぞ」

淡「ふふーん。キョータローは淡ちゃん様の才能を見くびりすぎだよ」

淡「料理だってすぐ100年生になるんだから!」ドヤァ

百年生の意味は良く分からないけれど…でも、コイツなりに本気にはなったんだろう。
俺の前でドヤ顔をする奥で静かに闘志が燃えているのが感じられる。
そのお陰か何時もの調子に戻った淡に俺はついつい笑みを浮かべて。

淡「…ちなみにこのほうれん草、食べられる?」

京太郎「…頑張る」

―― そして淡が食べられなかった分のほうれん草を水で流し込むようにして胃の中に放り込んだのだった。

あわいへんしゅーりょー
お弁当ってシチュしか考えてなかったけど形にすると結構時間かかるなー(´・ω・`)まぁ+4コミュだったからって事で許してください

また数分後に安価とりまーす

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
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         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧          ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
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       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
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【名前】 須賀京太郎

【ステータス】
体力 ほぼ人並みと変わらないレベル
学力 成績優秀で教授から留学を薦められるレベル
魅力 どんな場所でも必ず中心人物になれるレベル
雀力 三年のインターハイで大活躍したレベル
料理 一流料理店で活躍出来るレベル


恋愛抵抗値 25/100


【交友関係】
咲 幼馴染 ??999/100 【魂のパートナー】3回コミュを行うと???…(累計2)
ハオ 親友 53/100
謎チャー 変な人… 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる
智葉 部員 27/100
ステルス○○ 痴漢 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積4 フラグ2)
ネリー 好き 69/100
漫 良い人 30/100 【好印象】:好感度の上昇値が+1される(類似効果と累積する)
謎のうっかりさん ムカムカする 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積8 フラグ2)
透華 親友 45/100
謎の大天使 コワクナイ…? 20/100
白望 …思ったより悪い人じゃなさそう 23/100 
憧 今度勝つのはあたしだからね? 56/100 【好印象4】:好感度の上昇値が+4される(類似効果と累積する)
穏乃 憧のおとなりさん…だよね… ??/100 【??の絆】:???
マホ 好き 68/100
淡 好き 76/100
塞 もう貴方なしじゃいられない 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
竜華 特に関心ナシ 10/100
姫子 後輩 38/100
ちゃちゃのん 愛してる 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
和 ??/100 【特別な人】:コミュした時、恋愛抵抗値を10低下させる。三回コミュを行うと…(累計2)
美穂子 大好き 89/100
由暉子 友人 57/100
豊音 好き 67/100
爽 好き 74/100 


12/17 午後のヒロイン


下3でー


タコスの時間だあああああああああああああああああ

あ、原作で関わりあるので固定で面識アリ+最低保証値23あります


ヒロイン→京ちゃん
01~21 特に関心はない
23~43 大事な友人
45~65 他の人には譲れない親友
67~87 他の人とはちょっと違う好き…かも?
89~98 貴方なしじゃ生きていけないくらい大好き
ゾロ目 ???


下2でー

94…たけぇよ(震え声)
これは京ちゃんに勝負下着見せたりする優希ちゃんですわ…(確信)


↓2
01~32 +2
34~65 +3
67~98 +4
ゾロ目 +10

97かーなんか次くらいではカンストいけそうな値ですね(白目)
第二の塞さん枠になれそう…って言いながら書いてきまーす


京太郎「(…しかし、昨日の淡の弁当は中々に強烈だった…)」

あの後、すぐはちょっと大丈夫だったけど、一日経った今はちょっと気分が悪い。
まぁ、お陰で淡が元気になったから、後悔はしていないけれど。
でも、この体調で講義出るのはちょっと憂鬱だなぁ…。

優希「京太郎、大丈夫か?」

京太郎「あぁ、優希か…」

……割りと疑問なんだけど、なんでコイツはもうタコスの袋を持っているんだろうか。
今はまだ一限が終わったばかりで殆どの店がまだ開いたばっかりなんだけど。
って今はそれよりも… ――


京太郎「…悪い。今は近づかないでくれ」

優希「えっ…!?」ビックリ

…そのタコスの匂いが今の俺には結構、効く。
普段は美味しそうだと思うんだけど…でも、今の俺のコンディションは大分、悪いんだ。
食欲を唆るソースと肉が絡まる匂いも、今はちょっと遠慮したい。
こうして側に近寄ってこられるだけでも若干の胸焼けを感じるしな…。

優希「な、なんでいきなりそんな…!?」

優希「わ、私、京太郎にそんな酷い事したか…!?」

京太郎「いや、そうじゃなくて…」

って言葉が足りなかったか…。
まぁ、タコスの事なんて一言も言ってなかったし、当然だよな。
正直、今も結構、気分が悪いけど…でも、今の優希はかなりショックを受けてるみたいだし。
とりあえずその誤解だけは今、解いておかないといけないだろう。


優希「た、確かに…たまに京太郎の事犬って呼んだりするけれど…でも、本気じゃないんだじぇ」

優希「む、むしろどっちかっていうと私が京太郎の犬になりたいっていうか…」

…………うん、今のは聞かなかった事にしておこう。
というか、俺自身、聞かなかった事にしたい。
確かに俺と優希の付き合いは長いが、さりとて性癖を暴露されて平気な訳ではないのだ。
しかも、優希が口にしたのは笑って流せるレベルをはるかに超越しているのである。
数年来の友人が俺の犬になりたいと口にするほどマゾだっただなんて出来れば今すぐ記憶から消去したい。

優希「私にとって京太郎は…京太郎は…その…とても大事な人で…」

優希「ううん。た、ただ、大事なだけじゃなくて…私はずっと…ずっと京太郎の事を…」

京太郎「落ち着け」ペシ

優希「ひゃぅ」ビクッ

そんな爆弾発言をもう聞きたくはない。
正直、さっきのだけでも体調不良な俺にはかなりキツイ一撃だったのだから。
コレ以上コイツの性癖を聞かされたら、流石に気まずくなってしまう。
ここは実力行使をしてでも、優希の事を止めないとな…。


優希「ぶった…。京太郎がぶったぁ…」ジワ

優希「やっぱり私の事嫌いになったんだ…」グス

京太郎「誤解だ誤解」

京太郎「そもそも優希の事嫌いになったりするはずないだろ」

そもそも嫌いになるほどの何かが俺達の間にはないからな。
昨日だって部活で一緒に麻雀してたし、帰ってからもLINEで馬鹿な話をしていたんだから。
犬扱いされる事なんてもうこの三年で十分過ぎるほど慣れてしまったし、まったく気にもしていない。
まぁ、知らない人の前で犬扱いは視線が冷たくなるんでやめて欲しいけど、コイツはそういうTPOは結構弁えてくれているし。

優希「ほ、本当か?」

京太郎「おう。つーか…そんなに不安になられるとむしろ、こっちの方不安になるんだけど」

優希「え?」

京太郎「まさかお前、俺に変な隠し事してないだろうな?」ジィィ

優希「ぎくっ…」

無論、誰にだって隠し事と言うのはあるもんだろう。
それなりに優希との付き合いは長いとは言え、咲と違って半生を共に過ごしてきた訳じゃないんだし。
そんな相手に何もかもを打ち明けて欲しいと思うほど俺はガキじゃない。
こうして優希の事を見つめるのも秘密が気になってではなく、さっきの話題を忘れさせる為のものだったのだけれど…。


優希「な、何も隠し事なんてしてないじぇ?」ヒューヒュヒュヒュー

京太郎「口笛吹けてないぞ」

いっそ嘘じゃないかと思うレベルでベタな誤魔化し方しやがって…。
まぁ、嘘吐くのが上手い優希って言うのも違和感があるけどさ。
コイツがどれだけ嘘を吐くのが苦手なタイプなのかは俺も良く知っている訳だし。
間違いなく何か隠し事をしているのだろう。

京太郎「(…ま、それに対して突っ込むのも野暮な話か)」

そもそも優希がこうして俺に隠しているって言う事は何かしら理由があるんだろうしな。
その存在を知ったからと言って、一々、根掘り葉掘り聞くほど俺はデリカシーのない奴じゃない。
幾ら優希とは言え、女の子な訳だから、男である俺には言いがたい事もあるだろう。
それよりもここは… ――

ぬぐぐ…ごめんなさい、ちょっと眠気がキツくて話が頭の中から出てきません…
ちょっと中途半端ですが、今回はここまでにします(´・ω・`)まったく話が進まなくてごめんなさい…
また早朝にも投下する予定です…

最初はミカンって打ち込んでたんだけど途中でミカンがイメージしてる弁当箱に入りそうになかったんで
後、おっしゃる通り変色の関係もあってりんごに変えたんですが!!途中でそれをすっかり忘れてミカンって書いてました(白目)
やっぱ眠い時に即興やるのはダメですね(´・ω・`)

後、私のイメージするのどっちはマゾなんでお詫びというか、かつての恨みを京ちゃんにぶつけられて調教されるソロプレイとかもやってるんじゃないでしょうか
普通の純愛プレイ→調教プレイ→お詫びプレイみたいなローテがきっと和の中で完成してるはず(ゲス顔)


京太郎「ま、あんまり深くは聞かないけどさ」

京太郎「ただ、やばくなったら何時でも頼れよ」

京太郎「これでも男なんだし色々と手伝ってやれる事もあるだろうしな」

優希「て、手伝う…」ゴクリ

…一体、このタコス娘は何を想像しているのか。
今にも口からヨダレが出そうな何とも言えない顔をしてたのだけれど。
まるで小型犬はお預けくらって一生懸命我慢しているような姿だったぞ。
まぁ…ツッコまないって言った以上、ツッコミはしないけれど。
若干、身の危険めいたものを感じるのはどうしてなんだろうか…?

優希「そ、それより、さっき様子が変だったのはどうしてだじぇ?」

京太郎「あー…ちょっと色々あって気分悪くてさ」

京太郎「今はちょっとタコスの匂いとかヤバイんだよ」

優希「そ、そうなのか…」シュン

…まったくこのタコス娘め。
ホント、普段は元気なのに、妙に打たれ弱い奴だよなぁ。
元々、小さい体をこうして縮こまらせるのも、きっと俺に申し訳なく思っているからなんだろう。
正直、こうして優希が近づいてくれたのは俺のことを心配してくれたの事だと分かっているし、まったく気にしてないんだけれど…。



優希「ごめんな。そんな事知らないで話しかけたりして」ススス

京太郎「気にすんなよ。そんなの遠目で見て分かれって方が酷な話だし」

優希「うん。でも…あ、そうだじぇ!」

優希「京太郎!少し待っててくれ!!」シュタタタ

京太郎「え?」

…って優希の奴、俺が返事をする前に何処かに行きやがった。
まぁ、別に今は時間に追われてるって訳じゃないから…本人が言う通り、少し待っててやるか。
しかし…あのタコス娘は一体何を思いついたんだろう?
アイツ本人は名案のような顔をしていたけれど…意外と抜けてるところもあるし、ちょっと不安だ。

優希「お待たせ」

京太郎「おう。…ってアレ?」

…優希の奴からプンプンしてたタコスの匂いが薄くなってる。
つーか、さっき手に持ってたタコスの袋とかも全部なくなってるな。
一体どうしたのかと一瞬思ったが…口の周りにベッタリとソースがついてるし。
きっと早めの昼食として先にタコスを食べてしまったんだろう。


優希「タコスの事はもう食べちゃったからな!」

優希「これで京太郎の側にいても大丈夫だじぇ!」ドヤァ

京太郎「ありがとうな」

優希はタコスと言う料理の事が大好きだ。
普段、食べている時も食べる速度ではなく味わう事を重視している。
特に今日持っていた袋はアイツのお気に入りの店で、きっと味わって食べたかった事だろう。
だが、体調が悪い俺の為に、コイツはそれを一気食いのようにして腹に詰め込んでくれたんだ。
それを考えると腐れ縁と言っても良い友人にも自然と感謝の言葉が漏れ出る。

京太郎「じゃあ、そのお礼がしたいからちょっと顔をあげてくれ」

優希「ふぇっ」カァァ

それを言葉だけではなくちゃんとした形にしてやろうと思う俺の前で優希の奴が顔を赤くする。
ボッとまるで火がついたマグネシウムのように一気にその色を変えた優希は、目を丸くしながら俺の事を見上げた。
まぁ、コイツも女の子だから、やっぱりそういう事は恥ずかしいのかもしれないけど…でも、だからってこのままではいられない。


優希「で、でも、ここ…ひ、人もいるし…」モジモジ

京太郎「だからだろ」

優希「だ、だからって……ご、強引過ぎるじぇ…」

優希「わ、私にだって心の準備とか色々…」イジイジ

京太郎「…しないならこっちが無理やりするぞ?」

優希「ま、待って…!!」

…いや、待てって言われてもなぁ。
そもそもこのまま押し問答していても話が進みそうにないし…。
こうしている間にも優希が恥ずかしい思いをしていると思えば、あんまり待ちたくはない。
まぁ…ここで強引な手段に出るとセクハラみたいだからやらないけど。

優希「すーはー…」

優希「……よし。オッケーだじぇ」

優希「で、でも…初めてだから…や、優しく……して?」パチ

京太郎「おう。分かってる」

流石にその程度のデリカシーは俺の中にだってある。
そもそもこれは大好物のタコスを早食いで消費してくれた優希に対するお礼なんだから。
言われなくても極力やさしくしてやるつもりだと俺はそう答えながら、何故か目を閉じる優希に一歩近づいて。


京太郎「…」フキフキ

優希「……ん?」

京太郎「…」フキフキフキ

優希「んん!?」

…どうしてか優希の奴の口から変な声が聞こえてくる。
最初は疑問に次は戸惑いに声を上げているのが閉じた唇から漏れだしている。
一体、口周りについたソースを拭き取るだけでどうしてそんな声をあげるのかは分からないが…まぁ、とりあえずやり始めた訳だし。
コイツが人前で恥をかいたりしないようちゃんと全部、拭きとってやろう。

京太郎「よし。これで綺麗になったぞ」

優希「…あの、京太郎?」

京太郎「なんだ?」

優希「い、今のは…?」

京太郎「口周りにソースがついてたから拭いてただけだけど…」

優希「そ、そうだよな!口周りにソースついてたらそりゃ拭き取るよな!!」パタパタ

……この反応を見るに、もしかしなくても、優希の奴は多分、別の事を想像してたんだろう。
んで、それがまったく別物だった事にこうして顔を赤くして自分を取り繕おうとしている。
軽く両手を動かして必死に何でもない事をアピールするその姿は、正直、ちょっと可愛いものだった。


京太郎「…もしかして別の期待してた?」

優希「ばっ…!そ、そんな訳ないじぇ!」

優希「だ、誰がヘタレな京太郎にそ、そんな…期待なんか…」カァァ

…うん。まぁ、何かしら期待してくれていたのは事実らしい。
しかも、それはヘタレな俺には出来ないようなハードルの高いもののようだ。
それで真っ先に思い浮かぶのはキスだけど…でも、それはないよなぁ。
そもそも俺とコイツは付き合っている訳でもないただの腐れ縁だし。
いきなり大学構内でキスする事を期待したりするような間柄とは到底、言えない。

優希「……京太郎の馬鹿」ポツリ

…とは言え、さっきので優希の機嫌を損ねてしまったのは事実だろう。
軽く俺から顔を背けた優希はポツリと呟くように俺の事を罵った。
そんな優希の期待が何だったのか考えても中々、答えは出てこないし…。
俺がヒントもなしにコイツの期待を言い当てるのはまず無理だろう。


京太郎「……ほら」スッ

優希「え?」

京太郎「次の講義、一緒だろ。一緒に行こうぜ?」

優希「うんっ」パァ

代わりに差し出した俺の手に優希の奴は満面の笑みで応えた。
まるでさっきの不機嫌さなど忘れてしまったようなキラキラとしたそれは何だかんだでコイツの根が単純だからだろう。
友人としては若干、チョロ過ぎて心配にもなるけれど、でも、今はそのチョロさが有難い。
こうして俺の手を取って、にこやかに歩くその姿に俺は内心、胸を撫で下ろした。

京太郎「(ま、今度タコスでも奢ってやるとして)」

俺の体調を気遣って、コイツがタコスを1食分無駄にしたのは事実なのだ。
その気持ちに報いるには口周りを拭いた程度じゃ足りないだろうし…後でタコスを奢ってやろう。
まぁ、今は体調悪くてタコス屋にも近づきたくない状態だから無理だけど。
また後日…と言う形なら問題はないはずだ。


―― そう思いながら俺は優希と一緒に講義室へと向かうのだった。

タコスへんしゅーりょー
この大学は結構、麻雀の特待生を取ってるので、学生のレベルはピンキリだと思います

ではまた数分後に安価とりまーす

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
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【名前】 須賀京太郎

【ステータス】
体力 ほぼ人並みと変わらないレベル
学力 成績優秀で教授から留学を薦められるレベル
魅力 どんな場所でも必ず中心人物になれるレベル
雀力 三年のインターハイで大活躍したレベル
料理 一流料理店で活躍出来るレベル


恋愛抵抗値 22/100


【交友関係】
咲 幼馴染 ??999/100 【魂のパートナー】3回コミュを行うと???…(累計2)
ハオ 親友 53/100
謎チャー 変な人… 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる
智葉 部員 27/100
ステルス○○ 痴漢 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積4 フラグ2)
ネリー 好き 69/100
漫 良い人 30/100 【好印象】:好感度の上昇値が+1される(類似効果と累積する)
謎のうっかりさん ムカムカする 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積8 フラグ2)
透華 親友 45/100
謎の大天使 コワクナイ…? 20/100
白望 …思ったより悪い人じゃなさそう 23/100 
憧 今度勝つのはあたしだからね? 56/100 【好印象4】:好感度の上昇値が+4される(類似効果と累積する)
穏乃 憧のおとなりさん…だよね… ??/100 【??の絆】:???
マホ 好き 68/100
淡 好き 76/100
塞 もう貴方なしじゃいられない 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
竜華 特に関心ナシ 10/100
姫子 後輩 38/100
ちゃちゃのん 愛してる 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
和 ??/100 【特別な人】:コミュした時、恋愛抵抗値を10低下させる。三回コミュを行うと…(累計2)
美穂子 大好き 89/100
由暉子 友人 57/100
豊音 好き 67/100
爽 好き 74/100 
優希 大好き 97/100



12/18 午前のヒロイン


下3でー

初恋を教える時間だああああああああああ!!!!


↓2
01~32 +2
34~65 +3
67~98 +4
ゾロ目 +10

+4されて61ですねー
@二回くらいで好きも射程圏内でしょうか?
ゾロが出れば一発KOなんですが(白目)

って事で書いてきまーす


京太郎「と言う訳で何とかなったよ」

由暉子「へぇ…」

その日、俺は定例会議と称して恋愛探求の会の会合に出ていた。
まぁ、会合と言ってもメンバーは俺とユキの二人しかいないし、殆ど駄弁るだけだけどさ。
しかし、何だかんだで波長が合うのか、そうやって話しているだけでも大分、楽しい。
それはユキも同じなのか、俺の話に合わせて表情を明るくさせたり、暗くさせたりと真剣に聞き入ってくれていた。

由暉子「しかし、街中でばったり会うだなんてロマンチックですね」

京太郎「だろ?正直、運命を感じちゃうよな」

由暉子「えぇ。お二人は運命の赤い糸で繋がっているのかもしれませんね」ニコ

ふふふ…あのユキにまで認めて貰えるなんて…!
これはやっぱり和が俺の運命の相手だったんだな!!
……なーんて言えれば話は簡単だったんだけど。
まだ和の事をどう思っているのか、俺の中で答えが出てないんだよなぁ。
勿論、彼女が運命の相手であればそれはそれで嬉しいのだけれども…それが男の本能めいたものなのか、三年前と同じ好意なのかが俺には見分けがつかない。


由暉子「……でも、寂しいですね」

京太郎「どうしてだ?」

由暉子「だって、三年分の蟠りを溶かして、周りの障害を乗り越えた二人は恋人同士になったんでしょうし…」

由暉子「この恋愛探求の会も定例会議数回でおしまいになるでしょう…?」シュン

京太郎「…あぁ」

なるほど、確かにそう考えるとちょっと寂しいかもな。
こうして二人で話すのは普段もやっているけれど…でも、折角、組織の名前やらお互いのコードネームやらも考えた訳で。
それら全てがまた白紙に戻って一人になると由暉子も考えているのだろう。
きっと俺が由暉子の立場でも、一人置いて行かれたようで若干、寂しくなるはずだ。
…つーか、嫁田の奴が先に彼女作った時は実際に寂しいやら悔しいやらで微妙な気分だったしな。

京太郎「ふ…心配は無用だ、吹雪の姫よ」

由暉子「え?」

京太郎「共犯者である我々の絆はそう簡単に断ち切れるものではない。そうだろう?」

由暉子「ゼロ…!」パァァ

吹雪の姫の2つ名を持つコードネーム:ブリザード・プリンセスは俺の前で表情を目に見えて明るくさせた。
さっきまでシュンと垂れ下がっていた髪の毛が今にもパタパタと動きそうなそれがご主人様にかまってもらえた犬のようである。
正直なところ、今にもその髪を撫でて思いっきり可愛がってやりたいが…でも、そんな事をしたらただのセクハラだし。
何より、俺には由暉子の不安を解消するという大事な仕事があるのだ。


京太郎「まぁ、そもそも俺は付き合えてないからな」

由暉子「え?」

京太郎「だから、この会はまだまだ続くから安心しろって」

そもそも和の方こそ俺の事をどう思っているのか結構、謎だからな。
あの後、一緒に遊びに行こうと誘ってくれようとしていた辺り、嫌われてはいないと思うけれど。
でも、俺達の経緯が経緯であるだけに、後ろ暗さも大分、抱え込んでいるだろうしなぁ。
下手に接触がない方が、和も自分の事を責めずに済んで楽なのかもしれないとすら思う。

由暉子「…どうしてですか?」

京太郎「ん?」

由暉子「ゼロはまだその人の事が好きだったんじゃないんですか…?」

京太郎「あー…」

無論、俺は和の事が好きだ。
ただ、それが三年前に焼きついてしまったものなのか、今も想っているものなのか俺でも分からない。
未練と好意は違うと言う事を俺はここ最近、嫌と言うほど体感しているのだから。
けれど、それは経験者だからこそ分かるものであって、初恋すらまだなユキに説明しても分かってもらえるかどうか…。


京太郎「まぁ…好きと言えば好きなんだけどさ」

京太郎「でも、その好きがどういうものなのか俺もちょっと分からないんだよ」

京太郎「もしかしたらただ思い出を美化してるだけなのかもしれないし、未練を好意を勘違いしてるだけなのかもしれない」

京太郎「そう思うとやっぱりアプローチも出来なくてさ」

由暉子「……ゼロ」

…多分、ユキは俺の言っている事をちゃんと理解出来ている訳じゃないんだろう。
しかし、コードネームで俺の事を呼ぶ彼女の表情はとても真剣そうなものだった。
微かに心を痛めている気配すら感じるそれは、きっと俺の迷いに共感してくれているからなのだろう。
ユキの魅力は外見的なものだけじゃなく、内面のこうした感受性の強さにもあるんだ。

京太郎「まぁ、俺がアプローチしても相手にその気がなければ、台無しだけどさ」ハハ

由暉子「大丈夫ですよ」

京太郎「え?」

そんなユキをコレ以上、困らせまいと冗談で終わらせようとした俺に彼女が強い言葉をくれる。
大丈夫だとそう短く告げるその言葉の中には強い確信があった。
俺ならば大丈夫だと心の底から信じてくれているようなそれはとても嬉しいが…しかし、一体、どうしてそこまで断言してくれるのか。
そもそもユキは件の相手が和である事も知らず、三年前の俺達がどうやって付き合っていたかも知らないはずなのに…。


由暉子「ゼロはとても魅力的な人ですから」

由暉子「貴方が真剣に心からアプローチすれば、好きにならない女の子なんかいませんよ」ニコ

京太郎「ぅ…」

そう思った瞬間、俺に帰ってきたのは、強い信頼の言葉だった。
和の事をまったく知らずとも、俺の事は良く知っていると言わんばかりの彼女のそれに思わず胸の奥がドキリとしてしまう。
幾ら俺にとってユキが保護対象であるとは言っても、その容姿が見目麗しいものなのは変わらないのだから。
美少女にここまでの信頼を送られれば、ドキドキもしてしまうし、むず痒くもなってしまう。

京太郎「じゃ、じゃあ、ブリザードブリンセスにもアプローチすれば応えてくれるのかなー…なんて」

由暉子「え?」

……俺はその信頼を冗談で返そうとしてしまう。
真剣に打ち返すにはあまりにも照れくさいそれに俺はついつい逃げてしまったのだ。
だが、結果、俺の言葉はユキをピタリと固めさせてしまい、俺の前で彼女が長考の姿勢に入っていく。
まるで俺の言葉を真剣に検討しようとするそれに俺の顔はつい赤くなってしまって。


京太郎「い、いや、今のは冗談…」

由暉子「…そうですね。確かにそうです」

由暉子「あんまりにも身近な答えだったので完全に見落としていました」

由暉子「流石はゼロ…。見事な慧眼です」ウン

…あれ?なんだか話が勝手に進んでいるぞー?
俺の経験上、こういう時のユキはヤバいんだよな…。
元々ちょっと天然気味な思考がさらに暴走して明後日の方向へとかっ飛んでいっている可能性があるし。
下手をすれば俺の手では負えない可能性すらある…!!

由暉子「恋を知りたいのであれば、まずゼロにお願いすると言うスタンスは間違っていませんでした」

由暉子「でも、やはりそれから一歩踏み込むべきだったのですね」

京太郎「えっと…つまり…?」

由暉子「ゼロ。私を貴方の恋人にしてください」

京太郎「…oh」

…やっぱりか。
いや…まぁ、大体、ユキの考えている事は分かるよ。
恋を知りたいと思う彼女にとって、女の子ならだれでも好きにさせる俺は理想の相手だもんな。
まぁ、実際は俺は今まで彼女がいた事すらないんだけど…少なくともユキがそう思い込んでいる訳で。
そんな自分に言葉ではなく実践的な教示を乞うのはそれほどおかしな話ではないだろう。


由暉子「私に出来る事ならなんだってします」

京太郎「な…なんでも…?」ゴクッ

由暉子「これでも炊事洗濯その他はひと通り仕込まれていますし」

由暉子「絶対に邪魔になったりしません」

……うん、いや、まぁ、ユキにそんなつもりがないのは分かってるよ。
分かってるけど…でも、コレは仕方ないだろ。
だって、ユキはこの大学でも屈指な巨乳な上、顔立ちだってすげぇ可愛いんだから。
思わず本能めいた欲求と庇護欲を擽ってくるユキに何でもなんて言われたらそりゃやらしい事だって考えてしまう。
ついつい頭の中でぐっちょんぐっちょんになるユキを想像してしまったとしても無罪であると主張したい。

由暉子「新しい恋を見つけるというゼロの目的にも合致しますし…ここはより濃密な共同戦線という形はどうでしょうか?」

京太郎「…悪いけれど、その案は却下だ」

由暉子「何故ですか…?私に何か落ち度でも…」

京太郎「いや、そんな事はないよ」

京太郎「むしろ、俺にとってユキはとても魅力的な子だ」

幾ら保護対象のように想っているからと言っても…そんな目で一度も見たことがないとは言えない。
やはりユキは魅力的な女の子であるし、俺の理想にかなり近い子なのだから。
正直、こうして恋人にしてくださいって言って貰えたのは嬉しいし…他の男に対する優越感もある。
ただ… ――


京太郎「でも、俺はそれ以上にユキの事が大事なんだよ」

京太郎「恋を知りたいなんて理由で、ユキの初めての彼氏って座を奪ってやりたくはない」

京太郎「そういうのはユキが本気で好きになった男の為に取っといてやってくれ」

由暉子「…ゼロ」

男にとってもそうだが、女の子にとっても初めてって言うのは色々と特別なモノなんだ。
特に最初の恋人なんて一生忘れられない相手になるのは確実だろう。
そんな場所にただの友人である俺が収まる訳にはいかない。
何より、目的としては合致するとは言え、そんな風にお互いを利用するような関係にはなりたくないんだ。

由暉子「…じゃあ、私が本気でゼロの事を好きになったらいいですか?」

京太郎「え?」

由暉子「私が本気でゼロの事を好きになったら…付き合ってくれますか?」

京太郎「まぁ…そうだな」

京太郎「少なくとも真剣に告白してくれた女の子を蔑ろにするほどゲスじゃないつもりだよ」

和に対する心の中のモヤモヤは未だ晴れない。
だけど、誰かからハッキリと告白されれば、幾らヘタレな俺でも答えは出せるだろう。
その時、自分の中で何が残るのかは俺も分からないが…少なくとも、真剣に告白してくれたユキの事を蔑ろにはしない。
真剣に考えた上でちゃんと彼女にも応えていたはずだ。


由暉子「…分かりました」

京太郎「じゃあ…」

由暉子「はい。これから私はゼロの事が好きになるように頑張ります」

京太郎「…はい?」

…え?
いやいやいやいや…ちょっと待って。
何で、今の話の流れでそんな結論に達するの!?
普通、そこは諦めるところじゃないかな!?

由暉子「恋を知る為にはゼロを好きになれば良い…完璧な理論ですね」グッ

京太郎「…いや、そもそも俺の事が好きになった時点で、もう恋を知っているんじゃ」

由暉子「っ!」ハッ

いや、そこで盲点だったみたいな顔をされても。
…やっぱりユキは変なところでズレてるよなぁ…。
まぁ、そういうところも可愛らしくはあるし、俺も魅力的だと想っている訳だけれども。



由暉子「流石ですね、ゼロ…」

由暉子「そこに気づくとは…やはり天才ですか」

京太郎「…うん。まぁ、褒めてくれるのは嬉しいけどさ」

京太郎「そういうのは本末転倒って言うんだよ」

由暉子「…でも、仕方ないじゃないですか」

由暉子「私、ゼロ以外の男の人といても全然、楽しくないですし…」

京太郎「あー…」

…まぁ、確かにユキの距離感って独特だからなぁ。
下手に距離を詰めれば強く警戒心を抱かれて逃げていくタイプだし。
俺はその辺、咲とかで慣れてたけれど、何も知らずに仲良くなるのはかなり難しい方だ。
実際、友人と言えるほど仲の良い男って俺以外でユキの口から出た事ないしな。

由暉子「それにやっぱり受け身って言うのは良くないと思うんです」

由暉子「ゼロは男の人が放っておかないって言ってましたけど…やっぱり私には私の目的がある訳ですから」

由暉子「男の人が私を好きにさせてくれるのをずっと待っていたら、おばあちゃんになってしまうかもしれません」

正直、ユキがおばあちゃんになるまで独り身って姿が想像出来ないんだけどなぁ。
今はまだ交流関係も狭いけど、社会に出れば色んなタイプの人と出会う事もあるし。
俺みたいに彼女の心に近づける男だってこれから出てくるはずだ。
だから、別にそんな風に焦る必要はないと思うんだけど…でも、ここでそれを言ってもユキは納得しないだろうし…。


由暉子「だから、私、ゼロの事、きっと好きになってみせますから」

由暉子「ゼロの事好きになって、ゼロにも新しい恋を見つけさせてあげますから」

由暉子「だから、これからもお願いしますね」ニコ

京太郎「…お、おう」

……何より、そんなユキにダメと言う訳にはいかない。
そもそも、好きになるならないなんて人に言われて止められるものではないのだ。
そういうのはまるで水が低い方へと動くように、自然と流れていくものなのだから。
俺が何を言ったところで、ユキの気持ちは止められないだろう。

京太郎「(まぁ…それに…)」

俺とユキの付き合いはもう半年以上にもなる。
その間、俺はまったくユキに意識されてないのだから、ここで改めて俺の事を好きになる可能性は低い。
……うん、まぁ、正直、自分で言って、少し悲しくなるけれども。
とりあえず目に見えた目標を見つけたユキの気持ちに水を指すほどの事ではなくて。

京太郎「(だからこそ、今は…)」

―― …学食でユキに告白めいた真似をされた俺にビシビシと突き刺さる嫉妬の視線を何とかする方法から考えた方が良いのかもしれない。


ユキ編しゅーりょー
ちょっと時間ヤバイんでまた45分に安価トリます

ネリー

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧          ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
      //////////////////////|    |////////////////////∧
       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|

【名前】 須賀京太郎

【ステータス】
体力 ほぼ人並みと変わらないレベル
学力 成績優秀で教授から留学を薦められるレベル
魅力 どんな場所でも必ず中心人物になれるレベル
雀力 三年のインターハイで大活躍したレベル
料理 一流料理店で活躍出来るレベル


恋愛抵抗値 20/100


【交友関係】
咲 幼馴染 ??999/100 【魂のパートナー】3回コミュを行うと???…(累計2)
ハオ 親友 53/100
謎チャー 変な人… 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる
智葉 部員 27/100
ステルス○○ 痴漢 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積4 フラグ2)
ネリー 好き 69/100
漫 良い人 30/100 【好印象】:好感度の上昇値が+1される(類似効果と累積する)
謎のうっかりさん ムカムカする 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積8 フラグ2)
透華 親友 45/100
謎の大天使 コワクナイ…? 20/100
白望 …思ったより悪い人じゃなさそう 23/100 
憧 今度勝つのはあたしだからね? 56/100 【好印象4】:好感度の上昇値が+4される(類似効果と累積する)
穏乃 憧のおとなりさん…だよね… ??/100 【??の絆】:???
マホ 好き 68/100
淡 好き 76/100
塞 もう貴方なしじゃいられない 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
竜華 特に関心ナシ 10/100
姫子 後輩 38/100
ちゃちゃのん 愛してる 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
和 ??/100 【特別な人】:コミュした時、恋愛抵抗値を10低下させる。三回コミュを行うと…(累計2)
美穂子 大好き 89/100
由暉子 友人 57/100
豊音 好き 61/100
爽 好き 74/100 
優希 大好き 97/100



12/18 午後のヒロイン


下3でー

ネリー

正直、>>499にはすまんかった…って言おうと思ったら>>499の無念を>>503が晴らしてくれたでござるの巻
そしてなんか淡が出るとネリーも間をおかずに出るイメージがあるのは私だけでしょうか…。


↓2
01~32 +2
34~65 +3
67~98 +4
ゾロ目 +10

ゾロ目の時間だああああああああ!!!
+10されて79ですね 大好き勢には届いてないけどこの+10は大きそうです


だってこのコミュ終わらせたらもう京ちゃんの恋愛抵抗値10しか残らないからな(白目)
好き以上の子でゾロ目出したらその時点でエンディング行きですし
ここから先はさらに戦争が激しくなりそうです

ってなところで出勤準備してきますうううううううう

あ、やっぱわかりにくいですね
関係が好き以上の子で恋愛抵抗値が0になる → その子でエンディング
関係が好き以下の子で恋愛抵抗値が0になる → 次にとった関係が好き以上の子でエンディング という流れになります

この辺分かりにくくてごめんなさい(´・ω・`)
後、今更だけど、好感度好き以上は段階によって恋愛抵抗値減少ボーナスとかつければよかったと思いました
現状、好きからカンストまではフレーバーみたいなもんですし好感度減少1.5倍とか大好き勢にあげればよかったかなーと(´・ω・`)ちょっと失敗でしたね
この辺はまた次のスレ(二周目とは言ってない)に活かさせて貰おうと思います


淡で出してネリーをおかずに出す、ふんふむ

>>529
ネリーの体格じゃ、その関係もやむなしかな。最悪ネリーが歩けなくなってしまうからな

朝から昼にかけて出来れば良いな!!(白目)
とりあえずおやすみなさーい…(´・ω・`)

>>529>>530を見て、ネリーと付き合ったのはいいけれど体格の問題でエッチ出来なくて悩んでいる京ちゃんに
三年前の負い目から自分が性欲処理をすると言い出した和が京ちゃんの専用肉オナホになり
その上でネリーが京ちゃんとキスしながら自分の指でオナニーしているところを想像した人、先生、起こらないから手をあげなさい(´・ω・`)


京太郎「(昨日はアレからマジで大変だった…)」

ちゃちゃのんは既にメジャーアイドルとして活躍してるが、ユキはこの大学内のマイナーアイドルみたいなもんなんだ。
未だに街中を歩いているとスカウトされる事もあるし、ユキの人気はかなり高い。
そんな彼女に人の多い学食というシチュエーションで「きっと好きになる」と言われたらどうなるか。
……昨日一日で学校中に情報が飛び交い、俺は何処に言っても、男どもの目に晒される事になった。

京太郎「(まぁ、嫉妬とかならまだ良いんだけど…)」

中にはユキの事を本気で懸想してる奴もいるのかガチ敵意を感じるからなぁ。
正直、昨日は部屋に帰るのが結構、怖かったくらいだった。
まぁ、流石にそこまでヤバイ事するつもりはないのか、人がついてくる気配はなかったけれど。
でも、噂が収まるまでの数日は警戒しておいた方が良いのかもしれない。


京太郎「(ま、それよりも…だ)」

こうして昼になったんだ。
今はその苦労を忘れる為にとっとと学食に行こう。
幸い二限が早く終わったお陰で、今なら学食も混んでいないだろうし。
…流石に昨日の今日で人の多い時間帯の学食を利用する気にはなれないからなぁ…。

ネリー「キョータローっ」ダキッ

京太郎「おっと」

この声はネリーか。
またいきなり人の後ろから抱きついてきやがって…。
まぁ、淡に比べれば重くはないし、おっぱいもないから色々と危険はないのだけれど。
それでもいきなり背中に抱きつかれると色々とびっくりもする。


ネリー「えへぇ」スリスリ

京太郎「こら、そこのイタズラ娘。何やってるんだ?」

ネリー「んーマーキング?」

京太郎「……ホント、猫みたいだよな、お前」

まぁ、仮りにも美少女が俺にマーキングとか言ってくれるのは嬉しくない訳じゃないけれど。
でも、コイツの場合、俺の事が好きと言うよりは、ただのイタズラ目当てだろうしなぁ。
実際、ネリーが抱きついてきてから周りから感じる視線が一層キツくなったけど…コイツはまるで気にしていないっぽいし。
ここまであからさまに注目されているのにまったく意にも介さないとか故意犯としか思えない。

ネリー「えー…そんな事言っちゃっても良いの、京太郎」

ネリー「私、今日は京太郎に奢ってあげようと思ったんだけどなぁ?」

京太郎「え゛っ」

…………はい?
ネリーが俺に奢り?あの守銭奴のネリーが!?
誰かに奢るくらいなら死ぬって豪語するような奴が本当に奢り!?
は?え?…えぇぇ!?
まさか…これは幻術なのか…!?


京太郎「は、ははは。ダマされないぞ、ネリー」

京太郎「どうせ無料の水やスマイルを奢ってあげるとかそういう事なんだろ?」

ネリー「うぅん。ちゃんとお金出すよ」

…………あぁ、わかった。
やっぱりこれは夢なんだな。
うん、だって、あのネリーがこんな事言うはずないし。
多分、俺は今、昨日の疲れのままベッドの中で眠っているんだろう。
今日は一限から講義があったし、早く起きなきゃ…。

京太郎「…いてぇ」

ネリー「…何やってるの?」

京太郎「いや、ぜってぇ夢だと思って…」

…だけど、どうやらこれは夢じゃないらしい。
こうして頬をつねった瞬間、走った痛みは間違いなく本物だった。
しかし…それならば余計に理解出来なくて混乱してくるんだけど…。


ネリー「もう。疑うのも仕方ないと思うけど夢でも嘘でもないよ」

ネリー「学食で京太郎が選んだもの全部私が奢ってあげる」

京太郎「…あぁ」

ネリー「分かってくれた?」

京太郎「おう。ようやくわかった」

……多分、ネリーは疲れているんだろうな。
考えてみれば、ネリーにとって日本は異国の地。
もう日本語ペラペラで殆ど日本人みたいなイメージだけど…コイツの家族は未だ故郷に残しているままなのだ。
そんな中で仕送りと大学生活の二足草鞋をこなす日々が大変なはずないじゃないか…。
くそ…!もっとネリーの事を気遣ってやればよかった…!!

京太郎「ネリー。まずは病院に行こう」

ネリー「え?」

京太郎「大丈夫だ。俺がちゃんと側についている」

ネリー「え…えぇぇ」カァァ

だが、そんな風に後悔しても仕方が無い。
今はネリーがゆっくり休める環境を作る為にも、まずは病院に連れて行ってやらないと。
俺達はあくまでも素人で…ネリーの病気が心因性のものかさえ判別がつかないのだから。
とりあえず精神科や内科が併設してあるような大病院でしっかり検査して貰わないと…!!


ネリー「……って、淡じゃないからそれで騙されたりしないよ!」

ネリー「別に病気でも何でもないってば!!」

京太郎「いや、でもさぁ…」

ぶっちゃけた話、普段が普段だからなぁ…。
こう言っちゃなんだが、相手に集るネリーは容易く想像出来るが、相手に奢るネリーはまったく想像出来ない。
正直なところ綺麗なジャイア○以上に違和感を感じる姿だ。

ネリー「私はただ、この前、京太郎にメロンパン奢ってもらった時に妙に嬉しかったから…」

ネリー「だから、私も京太郎に奢ってあげれば嬉しくなるのかな?って思って」

京太郎「あぁ、なるほど」

…つまり実験みたいなもんか。
それならば、まぁ、納得出来ないってほどじゃない…かな?
正直、それでもまだ違和感めいたものは残っているけど…それを口にしても始まらないし。
とりあえずネリーは俺の為ではなく自分の為に試していようとしているのは良く理解できた。


ネリー「まったく…ホント、京太郎は失礼だよね」

ネリー「何時もの私なら慰謝料を請求するところだよ」

京太郎「正直、悪いとは思っているが、そういうところが疑われる理由なんじゃないかなぁ…」

ネリー「てへぺろ」

何がてへぺろだ、この守銭奴娘め。
そんなぶりっ子めいた仕草で許されると思ってるのかオラァ!!
……まぁ、正直、可愛いし、元々、ネリーがあんまり憎めない奴だから、すぐに許しちゃうんだけどさ。
やっぱり可愛いって正義だよな、うん。

ネリー「それより早く学食行こ?」

ネリー「折角の奢りなんだから、色々と選びたいでしょ?」

京太郎「そうだな」

ネリー「ん。じゃあ」スッ

…ん?
ネリーの奴、こっちに手を差し出してきてるぞ。
しかも、その顔はちょっと恥ずかしそうで、それ以上に偉そうなものになっているし…。
ははーん…つまりコレは……。


京太郎「なんだ。跪いてキスしろって事か?」

ネリー「え、何?しろって言ったら、してくれるの?」

京太郎「すみません。勘弁してください…」

…まぁ、普通に考えればエスコート要請だよな。
早く学食に行こうとネリー自身が言ってたんだし、普通に考えれば間違う余地はないだろう。
だからこそ、俺はちょっとからかってやろうと思ったんだが…相手は思いの外、強敵だった。
まさか普通にスルーするなんて…そんなん考慮しとらんよ。

ネリー「自分に出来ないのに冗談で口にしちゃう男の人って…」

京太郎「こ、ここから名誉挽回するから…」

ネリー「ふふ。期待してる」

期待されてしまった。
正直、ここから俺の名誉が回復するビジョンが見えないんだけれど…。
まぁ、今日のネリーは俺にとってスポンサーのようなもんなんだ。
途中で支援を打ち切られたりしないよう、頑張って、ネリーの期待に応えるとしよう。


ネリー「で、今日はどうするの?」

京太郎「うーん…カレーかなぁ…?」

ネリー「それだけ?」

京太郎「おう。あんまり腹も減ってないし」

まぁ、とは言え…ここで調子に乗って満腹になるまで食べるのもなぁ。
ネリーの奴なら遠慮せず満腹になるまで食べるだろうが、俺とコイツじゃ食べる量が段違いな訳で。
学食だから恐らく1000円は超えないだろうが、それなりな出費を強いる事になる。
あくまでもネリーの目的は実験なのだから、とりあえず安いもの一品だけ頼めば、コイツの気も済むだろう。

ネリー「……嘘つき」

京太郎「な、何を根拠に…」

ネリー「私が京太郎を見つけた時、もうお昼が楽しくて楽しくて仕方ないって顔してたもん」

ネリー「あぁ言う時の京太郎は大抵、お腹が空いている時だって事くらい私には分かってるんだから」

うぐ…コイツ、やたらと鋭いな…。
まぁ、麻雀からしてバケモノみたいな読みを連発するような奴ではあるのだけれど。
しかし、ここまで確信を持ってピタリと言い当てられると若干、悔しい。
自分が分かりやすい奴だって言う自覚はあるが…まさかここまで俺の変化を観察されていたとはなぁ…。


ネリー「それにカレーだけだと栄養が足りないでしょ」

ネリー「ほら、こっちにサラダやもずくなんかもあるから、これも食べる」トントン

京太郎「お、おい」

ネリー「後、牛乳もね。カルシウムって案外、取りにくいもんだから」

……口を挟む間もなく、俺のトレイには小皿が一杯、並ぶ事になった。
いや、そうやって俺の栄養バランスを考えて小皿を取ってくれるのは正直、嬉しいよ。
美少女が俺の世話を焼いてくれるって言うのは、何時だって男の優越感をくすぐるものだし。
ただ、今日の会計は俺じゃなくてネリー持ちなんだ。
家族への仕送りもあるってのに、恋人でもない男にそんなに貢いでしまって大丈夫なんだろうか…?

ネリー「どうかした?」

京太郎「……いや、お前って案外、世話焼きなんだなって思って」

とは言え、その辺の事を口にするのも野暮と言うもんだろう。
自分で選ぶのならさておき、コレはネリーが俺の為に選んでくれたものなのだから。
自分の財布の中身は誰よりもコイツが良く理解しているだろうし、ここは彼女に甘えておこう。
…ただ、それはさておいても、さっきのはちょっと新鮮だった。
正直、ネリーがこうして誰かの世話を焼くところなんて殆ど想像すらしてなかったぞ。


ネリー「まぁ、これでも一番、上のお姉ちゃんだしね」

ネリー「下の子の面倒なんかも見てたから、これくらい当然だよ」

京太郎「なるほどなぁ…」

…そういやコイツ、こんなナリだけど、下に妹が何人かいるんだっけ。
確かにそう考えると、こうして自然と世話を焼くのも当然か。
まぁ、そんな自然な姿を俺は今まで一度も見た事がなかったのだけれど。
俺が見てきたネリーはこうして誰かを甘やかすよりも甘える姿ばっかりだったからなぁ…。

京太郎「(…まぁ、半年程度じゃ、相手の全部なんて分からないよな)」

ネリー「ほら、それよりカレーも出来たみたいだし、早く会計通ろう?」

ネリー「私、もうお腹空いちゃった」

京太郎「…あぁ。そうだな」

何となく寂しい気はするけれど…その辺りは仕方が無い。
俺だってネリーに見せていない自分がある以上、お互い様である訳だし。
何より、そういうのは人に言って見せてもらうものでもないんだ。
その辺りの寂しさは胸の奥に押し込めて…とりあえずネリーに奢ってもらうとしよう。


ネリー「さて、それじゃあ」

京太郎「ん」

「「いただきます」」

そんな会計も終わった訳だし…とりあえず食事だ。
さっきネリーに見抜かれたように俺は今、結構、腹が減っている訳だからなぁ。
目の前にはスパイスの香りただようカレーがドンと乗っかってるし、コレ以上、我慢なんて出来ない。
ヒャッハー!飯の時間だー!!!

京太郎「もぐもぐ」

ネリー「ふふ」

京太郎「ん?」

…なんでコイツはさっきから俺の顔を見てるんだろうか。
いや、ただ見てるだけじゃなくって、自分で買ったパンも殆ど手をつけてない。
テーブルの上に頬杖をつきながら、妙に嬉しそうな笑顔を浮かばている。


京太郎「どうした?食べないのか?」

ネリー「ううん。食べるよ」

ネリー「食べるけど…でも、今は京太郎の事見てたいかな?」

京太郎「なんだ、俺のイケメンっぷりに惚れたのか?」ドヤァ

ネリー「マジレスされるのとスルーされるのどっちが良い?」ニコ

京太郎「…すみませんでした」

くそぅ…ちょこっとくらい乗ってくれても良いじゃないか。
まぁ、俺がイケメンじゃない事くらい、これまでの人生で嫌というほど思い知っている訳だけれど。
結構、頑張っているつもりだけど…俺は相変わらず彼女が出来る予兆もまるでないし。
このまま彼女いない歴=年齢が続いて魔法使いにだってなれそうな勢いだぜ…。

ネリー「ただ…こういうのも良いなって思って」

京太郎「こういうのって?」

ネリー「京太郎にご飯奢ってあげる事」

ネリー「…妹達の面倒見てた時の事思い出して、胸の中暖かくなったから」ニコ

…あぁ、そうか。
やっぱり、コイツも色々と寂しいんだろうな。
日本からネリーの国まではかなり遠いし、家族とだってもう大分、会っていない。
こうして俺の面倒を見てくれたのも、きっと家族恋しさが無関係じゃないんだろう。


京太郎「(つまり…ここで俺がスポンサーの為にするべきは…)」

京太郎「…お姉ちゃん!」

ネリー「は?」

京太郎「ごめんなさい」

…どうやら弟作戦はスポンサー様のお気には召さなかったらしい。
家族恋しさを俺で少しでも埋めてやれる良いアイデアだと思ったんだが…まだ練り込みが足りなかったか。
やはりもっと段階を踏んでネリーの弟に近づいていくべきだったな。
まぁ、今は大分、ごきげんナナメみたいだからその段階を踏む事すら出来ない訳だけれど。
また後日、色々と考えておくとしよう。

ネリー「まったく、もう」

ネリー「折角、ちょっと良い雰囲気だったのが台無しじゃん…」

京太郎「あー…悪かった」

ネリー「反省してる?」

京太郎「してます」

ネリー「…じゃあ、ちょっとそっち行くね」スッ

ん?なんで、向い合って座ってたのに、わざわざ俺の隣に…。
いや、まぁ…別にそのくらい良いけどさ。
俺はパーソナル・スペースそんなに広い方じゃないし、ましてや相手は俺の友人であるネリーなんだから。
こうして隣に来る理由はちょっと分からないけれど、緊張や戸惑いを覚えるほどじゃない。


ネリー「で、これちょっと借りるね」

京太郎「え?」

ネリー「そして…はい。あーん」スッ

い、いや…ちょっとまって、ネリーさん。
幾ら俺でも流石に隣から俺の箸奪ってあーんは戸惑うんですけれど!?
と言うか、ここ学食だから!もう講義も終わってドンドン人増えてってる最中だから!!
そこであーんなんてさせられたら、どう考えても注目集めるからな!!

京太郎「…えーっと」

ネリー「私、スポンサー。オーケー?」

京太郎「…オーケー」

つまり拒否権はないって事だな!!
くそぅ…スポンサーは何時だって無理難題を仰る…。
まぁ、結構な額になっただけに、これくらいの無理難題ならば受け入れられない訳じゃないけれど…。
でも、やっぱこんだけ人目がある中でバカップルめいたやりとりをするのは恥ずかしいんだぞ…!!


ネリー「んじゃ改めてあーん」

京太郎「あ、あーん」パク

ネリー「どう?」

京太郎「…美味しいです」

ネリー「ふふ。私が奢ってあげたんだから美味しくって当然だけどね」ニッコリ

あぁ、くそぅ。
なんか今日はネリーの奴にいいようにされっぱなしって感じだな…。
まぁ、相手は出資者だし…役得だってある訳だから嫌じゃないんだけど…。
でも、なんか胸の奥がこそばゆいというか…何時もと違う感じで妙に落ち着かなくて ――

ネリー「あ、京太郎。ちょっと待って」

京太郎「ん?」

ネリー「ご飯粒ついてるから取ってあげるね」スッ

京太郎「え?」

ちょ、なんでそこで席から立ち上がるんだ?
しかも、顔を俺の方に近づけてって…え、ちょ…ご、ご飯粒取るんだよな!?
なんでそんな風に近づく必要があるんだ…!?
ってか、俺の隣はもう人座って退路がないし…い、一体、俺はどうすれば…!!!


チュッ

ネリー「…えへへ♪」

………キスされてしまった。
いや、まぁ、キスされたと言っても、口周りで唇からはズレているんだけど…。
でも、半分は唇同士が触れ合っていた訳で…正直、触れた部分が熱くなっている訳で!!
こ、こんなの…ど、どうしろって言うんだよ…!!

ネリー「…ご飯粒美味しいね」

京太郎「そ、そうか…」

ネリーは嬉しそうに言葉を漏らすけど…俺は正直、それどころじゃなかった。
いきなりネリーにキスされたって事にもう胸の中がドキドキしっぱなしで鼓動がうるさいくらいに高鳴っている。
スプーンを握る指先まで全部ぎこちなく、身体も強く緊張しているのが良くわかった。
けれど、そんな身体よりもずっと滅茶苦茶だったのは心の方で… ――


京太郎「(い、今のは一体、何なんだ!?)」

京太郎「(一体、どういう風に受け取れば良いんだ!?)」

京太郎「(ネリーってもしかして俺の事が好き…だとか?)」

京太郎「(いや、でも、今までそんな素振りは今までなかったし…)」

京太郎「(やっぱネリーにとってアレはただご飯粒取っただけなのか…!?)」

京太郎「(……だけど)」チラッ

ネリー「…」モジモジ

明らかにネリーの様子もおかしい。
椅子に座った後も俺の事、チラチラと見てるし…箸を握る手も落ち着かなさそうに遊んでいる。
まるで俺の様子を伺うようなそれに…俺は一体、どうすれば良いのか。
さ、流石に今のは不意打ち過ぎて…頭の中からまったく答えが出てこないぞ…!!

ネリー「も、もう。何意識してるの?」

ネリー「ただ、ご飯粒取っただけなんだから、そんな風に硬くならないでよ」

ネリー「そ、それより、早く食べないとカレー冷めちゃうよ」

京太郎「お、おう」

そんな俺を見かねたのだろう。
ことの元凶であるネリーはそう言いながら、自分のパンを一口かじった。
しかし、その仕草は俺と同じくぎこちないもので、何時もよりも噛むペースが早い。
普段なら節約の為にじっくりと味わうネリーが急いで飲み込んでいくその姿に俺もスプーンを動かし始めて。

―― それから食事が終わるまでの間、俺とネリーとの間にマトモな会話は殆どなかった。

ネリー編しゅーりょー
ゾロ目だしこれくらいやらないとダメですよね

また何時も通り数分後に安価とりまーす

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧          ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
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          , <///////////\   ///////////> 、
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【名前】 須賀京太郎

【ステータス】
体力 ほぼ人並みと変わらないレベル
学力 成績優秀で教授から留学を薦められるレベル
魅力 どんな場所でも必ず中心人物になれるレベル
雀力 三年のインターハイで大活躍したレベル
料理 一流料理店で活躍出来るレベル


恋愛抵抗値 10/100


【交友関係】
咲 幼馴染 ??999/100 【魂のパートナー】3回コミュを行うと???…(累計2)
ハオ 親友 53/100
謎チャー 変な人… 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる
智葉 部員 27/100
ステルス○○ 痴漢 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積4 フラグ2)
ネリー 好き 79/100
漫 良い人 30/100 【好印象】:好感度の上昇値が+1される(類似効果と累積する)
謎のうっかりさん ムカムカする 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積8 フラグ2)
透華 親友 45/100
謎の大天使 コワクナイ…? 20/100
白望 …思ったより悪い人じゃなさそう 23/100 
憧 今度勝つのはあたしだからね? 56/100 【好印象4】:好感度の上昇値が+4される(類似効果と累積する)
穏乃 憧のおとなりさん…だよね… ??/100 【??の絆】:???
マホ 好き 68/100
淡 好き 76/100
塞 もう貴方なしじゃいられない 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
竜華 特に関心ナシ 10/100
姫子 後輩 38/100
ちゃちゃのん 愛してる 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
和 ??/100 【特別な人】:コミュした時、恋愛抵抗値を10低下させる。三回コミュを行うと…(累計2)
美穂子 大好き 89/100
由暉子 友人 57/100
豊音 好き 61/100
爽 好き 74/100 
優希 大好き 97/100



12/19 午前のヒロイン


下3でー

なんだこのユキ押し(驚愕
そんなにユキに初恋を教えたいのか…!!


↓2
01~32 +2
34~65 +3
67~98 +4
ゾロ目 +10

57から+3でついにユキも60の大台に突入です
後6で攻略ヒロインになりますね
と言いつつ書いてきまーす

あ、マジだ、反映されてねぇ…
って事で次、コミュ取れば攻略ヒロイン確定ですね
終盤にこのミスはかなり大きいのでご指摘本当にありがとうございました


京太郎「(結局、昨日はアレから全然、答えが出ないままだった)」

勿論、俺が考えていたのは、ご飯粒を取るからと俺の唇を奪ったネリーの事だ。
アレからずっと考えていたが…ネリーの意図がどうしても読めない。
まぁ…勿論、俺だってアイツが俺の事を好いてくれている事くらいは理解している。
幾ら実験だからと言っても、あのネリーがどうとも思っていない相手に奢るはずがないだろうし。
少なくとも友人…いや、親友レベルにまで俺の事を思ってくれているのは確実だろう。

京太郎「(…でも、アレは、普通、親友になってしないもんで…)」

…じゃあ、ネリーは俺の事が好きなのか?
……そんな素振りはなかった…………と最初は思ったのだけれど、今はもう自信がない。
そもそも、俺は咲曰くかなり鈍感な方らしいからなぁ…。
アイツなりにアプローチしてくれていたのを、じゃれあいの一種だと勘違いしていた可能性がある。


京太郎「(うーん…モヤモヤする…)」

それはあくまでも可能性だ。
和と出会っていくらか自信を取り戻した俺が自意識過剰に捉えていないとはどうしても言い切れない。
そもそも…例の件だって、ネリーが家族を俺に重ねあわせて、ついつい家族相手にやっていたじゃれ合いをしてしまった事だって考えられるし。
…結局のところ、俺がネリーの気持ちを感じ取るにはあまりにも判断材料が少なすぎる。

京太郎「ふぅって…ハッ!?」

このおっぱい力は…ユキか…!?
この大学内でこれほどのおっぱい力を持っているのはユキくらいなもんだからな…。
あの美穂子さんや淡でさえ、ユキのおっぱい力には一歩劣る。
ユキのおっぱい力で張り合う事が出来る奴なんて和くらいなものだろう。


京太郎「(まぁ、それはともかく…多分、こっちにいると思うんだけれど…)」

ユキ「…」ジィィ

…いた。
でも…ユキ何をやっているんだ?
曲がり角から半分だけ顔を出して俺の事を見ているみたいなんだけれど…。
もしかして監視しているつもりなんだろうか?
だとしたら声を掛けるのは悪い気がするけれど…でも、あのままじゃ流石に不審者すぎるし…。

京太郎「ユキ?」

ユキ「…あ」

…なんで、そこで声を掛けた俺にびっくりするんだろうか。
普通の奴が相手なら、きっと俺はそう思っていたんだろうな。
でも、こうして俺が話しかけたのは天然系アイドルとしてやっていけそうなユキなのだ。
曲がり角から首から先を丸見えにさせている状態でも気づかれないと本気で思っていてもおかしくはない。


京太郎「一体、何をしてるんだ?」

ユキ「秘密です」

京太郎「秘密なのか」

ユキ「はい。秘密なのです」

秘密ならしい。
これはどうやら…監視されてるって可能性が高くなって来たかもな。
この前、俺の事を好きになると宣言したユキは多分、その為の努力をしようとしているのだろう。
…まぁ、だからって人の事を監視するのはどうかと思うけど…とりあえず今のところは実害はない訳だし放っておくとしようか。

ユキ「それよりも京太郎君はこのまままっすぐこの道を歩いて行って下さい」

京太郎「おう」スタスタ

ユキ「それでは…」パク

ユキ「…わー。遅刻遅刻」トテトテ

京太郎「えっ!?」

ちょ、ま、待て!?
なんでこのタイミングで曲がり角から飛び出して…!?
しかも、何故か食パンまで銜えてるし…あぁ、くそツッコミが追いつかねぇ!!
と、とりあえず、今は…!!


京太郎「うぉっと」ガシ

由暉子「…あれ?」

京太郎「いや、アレじゃねぇよ。危ないだろ」

後、もうちょっと俺の反応が遅かったか、ユキの走りが早かったら二人とも転んでたぞ。
まぁ…多分、転ばないように手加減して走ってたんだろうけどさ。
見るからに運動苦手そうなユキとは言っても全速力はもっと早いだろうし。
さっきのユキはスキップするのよりは若干早いってくらいで、何とか俺も抱きとめるのに成功した訳だけれど。

由暉子「…おかしいです。これは古来から恋の始まりを告げる儀式のはずなのに…」

由暉子「ここで私が京太郎君に下着を見られて、後に再会してなんやかんやあった後、ゴールインする予定が…」

京太郎「うん。とりあえず色々と言いたい事はあるけれど…」

京太郎「とりあえず、女の子が仮にも男に下着を見せようとするのはやめようか」

由暉子「大丈夫ですよ。今日は可愛いの履いてますから」

京太郎「そういう意味じゃねぇよ」

…いや、まぁ…正直、ユキの下着とか見たい気持ちがない訳じゃないんだけど!!
と言うか、今も、こうしておっぱいがあたって役得を感じているけれど!!
でも、ユキの目的が目的であるだけに素直に喜べないというか…。
こうあまりにも斜め上なその行動に若干、心配になってしまう。


由暉子「…?」クビカシゲ

京太郎「あぁ、もうそこで首を傾げるなよ。可愛いだろうが」

由暉子「…ありがとうございます」テレテレ

…って、しまった、つい甘やかしてしまった…!
確かに今のユキは可愛かったが、そうやって甘やかしてる場合じゃないだろ。
何とかこうして俺が抱きとめるのが間に合ったけれど、下手をすれば二人とも怪我をしていてもおかしくなかった訳だし。
ちゃんとその辺は二度とやらないようにしっかりと釘をさしておかないと。

京太郎「というか、ユキは下着を俺に見られるの恥ずかしくないのか?」

由暉子「いえ、京太郎君相手なら、それほど恥ずかしいと言う訳では」

由暉子「京太郎君に見られる下着を選ぶのも楽しかったですし」

京太郎「そ、そうか…」カァァ

あぁ…くそ、ユキの考え方が独特なのは俺も分かってたんだけどなぁ。
しかし、俺の為に下着を選んだ…なんて言われるとやっぱりドキドキしてしまう。
ましてや、俺はついさっきユキの事を抱きとめてそのおっぱいの感触を思いっきり感じていたんだ。
それを支えているであろうブラや下着の色や形などをついつい想像してしまって、顔が赤くなっていく。


京太郎「でも、こういうのは怪我に繋がるかもしれないから止めてくれ」

由暉子「…分かりました。京太郎君が言うのなら」

京太郎「ん。ありがとうな」

ちょっと納得出来なさそうな顔をしているけれど…でも、ユキはとても良い子だからな。
こうしてダメと言った事をわざわざするような奴じゃない。
頭だって悪い訳じゃないし、怪我に繋がる事はダメだと言った俺の為にそれ系統のモノは外してくれるだろう。
まぁ、問題はその後、何が残っているかだけど… ――

京太郎「…で、どうしてこんな事をやらかしたのかはもう大体、想像がつくから聞かないけれど」

京太郎「これから先はどうする予定だったんだ?」

由暉子「そうですね…とりあえず色々と恋愛を取り扱っている漫画を読んだのでひと通りそれをやって見ようかと」

由暉子「例えば、京太郎君の部屋の前で京太郎君が帰ってくるのを座って待ってみたり…」

京太郎「うん。ご近所様の俺への信頼がヤバくなるんで止めてくれ」

聞いておいてよかった…!本当に良かった…!!
一歩間違えれば俺は女の子を捨てたクズ男だって言う噂が立ってたぞ…!!
特に俺の場合、隣に男性恐怖症の新子さんが住んでいるし…その噂はあまりにも致命的過ぎる…!!


由暉子「では、京太郎君を部屋に招いて、着替えシーンを見てもらうとか…」

京太郎「…………そ、それは……き、却下だ」

正直な!!正直、かなり迷ったけどな!!!
だって、しかたないじゃん!!俺だって男なんだしさああああ!!
ユキみたいな美少女の着替えを覗けるなんてなったら心がどうしても動くわ!!
是非とも見てみたいって鼻の下が伸びちゃうのも仕方のない事だろおおお!!

由暉子「却下ですか?」

京太郎「と、当然だろ。女の子が無闇矢鱈と男に肌を晒すもんじゃ…」

由暉子「…京太郎君の好きなおっぱいが見れますよ?」

由暉子「ブラも下着もちゃんと新品で可愛いのを用意しますし…」

京太郎「ぐ…そ、それでもダメだ…!」

何故かさっきと違って、やけに抵抗が激しいけれど…でも、ここでうんとは言ってはやれない。
だって、それはユキが俺の事を好きになる為に、その下着まで晒すと言う事も同義なのだから。
…………うん、正直、俺も何を言っているのか良く分からないけれど、ユキの異次元思考は今に始まった事じゃないし。
とりあえず俺にとって大事なのは、そんな目的でユキが男に対して肌を晒すのを、自分相手であっても許せないって事なんだ。


由暉子「…どうしてですか?」

京太郎「…俺だって男なんだぞ」

由暉子「知ってます」

京太郎「そうだな。ユキは知っている。でも、分かってはいない」

京太郎「男がどれだけ短絡的で衝動的な生き物か」

京太郎「こんな事を言ってる俺だって…その生き物の中に属しているんだ」

京太郎「ユキの着替えシーンなんて見たら、理性がトんで襲いかかったりしないって言い切れない」

…正直、そんな風に自分の欲望を吐露するのは恥ずかしい。
しかも、相手は今時めずらしいくらい純真なユキなのだから。
こうして話しているだけでも顔が赤くなり、熱を持っていくのを感じる。

京太郎「でも、俺はユキの事がとても大事なんだ」

京太郎「幾ら理由があっても、ユキをそんな危険に晒したくはないし…」

京太郎「何より、そんな事をしてユキに嫌われたくないんだ」

由暉子「…京太郎君」

俺にとってユキはとても大事な友人だ。
着替えを見せてくれても良いくらいに慕ってくれている彼女の事を俺も心から好いている。
そんな彼女の信頼を裏切り、もしも嫌われてしまったなんて…想像するだけで目の前が暗くなりそうなくらいだ。


京太郎「だから、そういうお色気系もナシにしてくれないか?」

由暉子「……分かりました」

由暉子「私も京太郎君に思い悩ませるのは本意ではありませんし…そういうのはやらないようにします」

京太郎「ん。良い子だ」ナデナデ

由暉子「んぅ…♪」

ってヤバ、ついユキの事を撫でてしまった…。
……でも、これユキの表情を見る限り、嫌がられていない…のか?
軽く目を細めて口から心地よさそうな声が出てるし…ちょっぴりはねた耳も心なしか上下に揺れ動いている気がする。
まぁ、流石にそれは気のせいだろうけど…ともかく、あんまり女の子の髪に許可無く触るのもアレだし、手を離して…っと。

由暉子「…しかし、どうしましょう」

由暉子「そういうのが全てナシとなると…私にはもう打つべき手が思いつきません…」

由暉子「色々と漫画を読んで勉強しましたが…大抵はそういう話の流れでしたし…」

…うん、やっぱり、さっきの知識の輸入元は漫画だったか。
さっきからユキが言ってたのは所謂、恋愛系漫画のテンプレのようなストーリーだったもんな。
まぁ、その中にお色気系が混じっていたのはどうしてなのか気になるけど…ユキはかなりの努力家だし。
きっと恋をする為の参考資料として買っていったんだろう。


京太郎「つーか…それならデートで良くないか?」

ユキ「え?」

京太郎「いや、えじゃなくて」

普通、異性と仲良くなろうと思ったら、まずデートだろ。
いや、まぁ、ユキの事だから、その普通が分からないんだろうけれども。
あぁ言う恋愛系漫画って話にヤマを作る為に敢えて普通から外しているところがあるしな。
普通に男女が出会って普通に仲良くなって普通にデートする話なんて現実に転がりすぎて読者が求めてないってのもあるんだろうけど。

ユキ「い、良いんですか…?私とそんな事しちゃって…」

京太郎「いや、良いも何も…俺はユキと何度もデートしてるし」

ユキ「そうでしたっけ…?」

京太郎「…じゃあ、休日に二人っきりで出かけてたりしたのは何だったんだよ」

ユキ「っ」ハッ

いや、だから、そこで驚くなよ。
まぁ、ユキにとってはまったくデートなんてつもりはなかったって事なんだろうけどさ。
あくまでも友達とのお出かけってだけで、俺の事を異性として殆ど意識していなかったんだろう。
…うん、なんかそう思うと胸の奥がちょっぴり痛いけれど、とりあえずそれは見て見ぬふりをして。



由暉子「あ、アレ、デートだったんですか…」

京太郎「まぁ、休日に男女が二人でお出かけって言うのは普通、デートになるんじゃないか?」

由暉子「ぜ、全然、知らなかったです…」

まぁ、デートって言ってもそんな色っぽいもんじゃないけどな。
俺の部屋の近くに住んでるユキが男手が必要なときに一緒に買物に行ったり。
アニメ映画見に行ったり、ゲーム屋やカラオケ行ったりする程度のもんだ。
何処か抜けてるユキがそれをデートと思わなかったのも、致し方ない事だろう。

由暉子「…じゃあ、デート…してくれますか?」

京太郎「おう。ユキが良いのなら是非とも」

由暉子「…はい。私も京太郎君とデートしたいです」ニコ

……俺の人生の中、果たしてこんな風に言われた事があっただろうか、いやない。
と言うか、これから先もデートしたいなんて言ってもらえるビジョンがまったく見えないんだ。
しかも、ユキほどの美少女からそう言ってもらえるなんて…俺、今日死ぬんじゃないだろうか。


由暉子「どうかしました?」

京太郎「いや、なんでもない」

京太郎「とにかく、デートの予定だけど…ってげ」

…ヤバイ。
予定をチェックしようとスマートフォンを取り出したら…もう次の講義が目前に迫ってるじゃねぇか。
何だかんだでユキと出会ってから結構な時間が過ぎていたし…それも当然と言えば当然なんだけど…!
でも、俺の次の講義はここから結構遠くて…ダッシュで行かないと間に合わない…!!

京太郎「とりあえず俺、次の講義の時間ヤバイからもう行くな」

京太郎「詳しい日とかはまたLINEで連絡するから!」ダッ

由暉子「あ、はい」

出来ればこのまま日程まで決めたかったけれど、仮にも奨学生が講義に遅刻する訳にはいかない。
言い捨てるようにしてユキに連絡を告げながら、俺は一気に地面を蹴って走りだした。
ココ最近、軽くジョギングするようになった俺の身体は随分とサビも落ちてきたのか、しっかりと加速してくれて。

―― そして俺は何とか教授が来る前に講義室へと滑りこむ事が出来たのだった。

ユキ編しゅーりょー
気を抜くと由暉子じゃなくてユキになってるけど、あんまり気にしないでください(小声)
ちなみにモモとかシロはもう桃子とか白望だと違和感がマッハなので意図的にカタカナ表記してます


そしてまた数分後に安価とりまーす

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧          ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
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【名前】 須賀京太郎

【ステータス】
体力 ほぼ人並みと変わらないレベル
学力 成績優秀で教授から留学を薦められるレベル
魅力 どんな場所でも必ず中心人物になれるレベル
雀力 三年のインターハイで大活躍したレベル
料理 一流料理店で活躍出来るレベル


恋愛抵抗値 9/100


【交友関係】
咲 幼馴染 ??999/100 【魂のパートナー】3回コミュを行うと???…(累計2)
ハオ 親友 53/100
謎チャー 変な人… 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる
智葉 部員 27/100
ステルス○○ 痴漢 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積4 フラグ2)
ネリー 好き 79/100
漫 良い人 30/100 【好印象】:好感度の上昇値が+1される(類似効果と累積する)
謎のうっかりさん ムカムカする 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積8 フラグ2)
透華 親友 45/100
謎の大天使 コワクナイ…? 20/100
白望 …思ったより悪い人じゃなさそう 23/100 
憧 今度勝つのはあたしだからね? 56/100 【好印象4】:好感度の上昇値が+4される(類似効果と累積する)
穏乃 憧のおとなりさん…だよね… ??/100 【??の絆】:???
マホ 好き 68/100
淡 好き 76/100
塞 もう貴方なしじゃいられない 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
竜華 特に関心ナシ 10/100
姫子 後輩 38/100
ちゃちゃのん 愛してる 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
和 ??/100 【特別な人】:コミュした時、恋愛抵抗値を10低下させる。三回コミュを行うと…(累計2)
美穂子 大好き 89/100
由暉子 友人 64/100
豊音 好き 61/100
爽 好き 74/100 
優希 大好き 97/100



12/19 午後のヒロイン


下3でー

上二人に美穂子とユキに囲まれながらも華麗に射抜いていく憧の強さよ…


↓2
01~32 +2
34~65 +3
67~98 +4 【好印象5】取得
ゾロ目 +10 【好印象6】取得


……好印象5+4で憧の好感度が65
そして京ちゃんの恋愛抵抗値が現在9


…残り1稼いで好きに入ってたらここでエンディングだったな…(ゴクリ

って妖怪1足りないで勝負が先延ばしになったところでそろそろ出勤準備してきまーす
明日は結構がっつりやれる予定なんで、明日には恐らくエンディングいけると思います

次好き以上のキャラとったらED確定?

>>621
いえ、関係が好きの一歩手前で止まっちゃったので半減入って恋愛抵抗値は残り5ですね
ゾロ一回か好きに入った子二回で削れるので、ゾロさえ出なければここから憧入れて三回で終わるんじゃないかな?と思ってます

乙。

今度は由暉子の 3を忘れてますよー。

>>633
あれ?由暉子の最後の時点で57で、そこから3上がっての4忘れてたから+7
合計64で合ってると思うんですが…

と言いつつそろそろ始めます
どうせ紳士協定と護れないんで好きにとっていけばええんやで(ゲス顔)


京太郎「(んー…どうすっかなぁ…)」

夜の住宅街を歩きながら、俺が考えるのは、ユキとのデートの事だった。
これまでユキとは何度かデートしてきたつもりだったが、それはあくまでも相手の要望に合わせてのもの。
異性として相手を認識するのではなく友達同士の遊びの一種であったそれは、ユキに俺を意識させるには足りなかった。
それを改善するには今までとは少し違った形のデートにしなければいけないと思うのだけれど… ――

京太郎「(…いや、まぁ、意識されてもどうかって気はするけれども)」

しかし、何時もと同じようなデートではユキも納得しないだろう。
また漫画に影響されて変な事をし始めるかもしれないし、ここは漫画らしいオーソドックスなデートをするべきだ。
それでも俺の事を意識出来ないともなれば、ユキも俺を無理に好きになろうとする事を諦めるだろうし。
……まぁ、なんかそれはそれでちょっとさびしいと言うか凹む気持ちもあるけれど…ともかく、それがユキにとっては一番のはずだ。

あ、ホントだ、ってかなんで豊音下がってるんだって思ったら、これユキに上書きしなきゃいけないところを豊音に上書きしちゃったみたいですね…
申し訳ありません、次修正しておきます(´・ω・`)


京太郎「(やっぱ遊園地とか水族館とかかなぁ…っと)」

憧「…」トコトコ

アレは…新子さんか。
多分、彼女も今、大学から帰っている真っ最中なんだろうな。
そろそろ俺達のマンションも近いし、こうして帰り道に会うのはそれほど不思議じゃない。
ただ…女の子が夜道を一人歩きするのはやっぱり色々と危険だしな。
後ろをただついていくのもおかしな話だし、追いついて声を掛けて見よう。

京太郎「……」スタスタ

憧「っ!」スタスタスタ

…あれ?なんか新子さん早歩きになってる?
追いつこうとする俺から必死で逃げようとしているみたいに足を動かしているんだけど…。
やっぱ男性恐怖症の新子さんからすれば、人の気配が後ろからついてくるって言うのは中々に怖いものなのかもな。
まずは追いつこうとするよりも、先に声を掛けてあげればよかった。


京太郎「新子さん」

憧「ひゃぅ」ビクッ

憧「って…アレ?須賀くん?」

よし、何とか俺の事に気づいてくれたらしい。
このみたいにひたすら誤解されて、見送るしかないのも嫌な話だしな。
特に彼女の場合、俺と帰る先が殆ど一緒なんだから。
部屋の入口までついてこられるとなったら、やっぱり恐ろしい思いをするだろうし。

京太郎「ごめんな。先に声を掛ければよかった」

憧「う、ううん。あたしの方こそ…逃げようとしちゃってごめんなさい」ペコリ

京太郎「いや、女の子なんだから仕方ないって」

新子さんは頭を下げるけど、悪いのは迂闊だった俺の方だしなぁ。
彼女の男性恐怖症が決して軽度のものではない事は俺も分かっているんだから、もっと気にかけてあげればよかった。
まぁ、その辺、お互いに自分が悪いと言い合っても、なんら生産性のない時間を過ごす事になるし。
とりあえずここは、彼女を怖がらせてしまったお詫びをするべきだろう。


京太郎「まぁ、怖がらせたお詫びと言っちゃ何だけどさ」

京太郎「ここからちょっとだけど一緒に帰らないか?」

憧「あ、でも、あたし、今日の晩御飯まだ買ってなくて…」

京太郎「あぁ。じゃあ、ついでにスーパーも行こうか」

憧「…良いの?」

京太郎「おう。どうせ今日は他にする事ないしな」

やる事と言えば課題くらいだけれど…それも寝る前の一、二時間でぱぱっと終わる程度のものだし。
少なくとも知り合いである女の子を一人放っておけるほど大変なものじゃない。
ましてや、相手は男性恐怖症の新子さんなんだ。
後ろに人の気配を感じただけであんなにも警戒心を浮かべていた彼女を一人にはしておけない。

憧「…ありがとう。そう言ってくれると本当に助かる」ホッ

京太郎「お詫びなんだから、そんなに気にしなくていいって」

憧「…うん。そうなんだけど…」

…うーん…ちょっと変だな?
こうして俺と一緒ってだけで…ここまで安心するもんなんだろうか?
いや、まぁ、それだけ俺の事を頼りにしてくれているっていうのもあるんだろうが…。
幾ら男性恐怖症だと言っても、ここまで目に見えて安心するのは理由があるような気がする。


京太郎「もしかしてなんかあった?」

憧「え…?」

京太郎「いや、大分、怯えてるみたいだし」

憧「あ、その…」

思わず突っ込んでみたけれど…反応はあんまり芳しくなさそうだな。
まぁ、一緒に料理を作ったりするとは言っても、俺達の関係はお隣さん兼友人ってところだし。
まだ出会って一ヶ月も経っていない男に対して言えない事なんて沢山あるだろう。
出来れば相談に乗ってあげたいとそう思って聞いてみたけれど、ここは早めに撤退した方が良いのかもしれない。

京太郎「あぁ、言いづらい事なら良いんだ」

京太郎「何かあったのならこれからも力になってあげたいってそう思っただけだし」

京太郎「何かなくても夜道の独り歩きってあんまり良くないしさ」

憧「…ありがとう。須賀君」

憧「でも、もしかしたら須賀君も無関係じゃなくなるかもしれないから…ちゃんと話す」

…ん?
俺も無関係じゃなくなるって…どういう事だ?
うーん……分からない。
でも、新子さんの顔はとても深刻そうなものだし…少なくとも軽い話題って訳じゃなさそうだ。
ここは真剣に彼女の話を聞いた方が良いだろう。


憧「…あのさ、あたし、ついこの間、引っ越してきたでしょ?」

憧「アレね、前のマンションが工事とかで追い出された訳じゃなくて…」

憧「…実はストーカーがいたからなの」

京太郎「…マジか」

あー…だからか。
新子さんはこんなにも男に対して怯えるようになったのはストーカーがいたからなんだな。
しかも、こうしてマンションを引越したって事は…かなり重度なストーカーだったんだろう。
まぁ、確かに新子さんは可愛いし、それだけ思い込む気持ちは分からなくもないが…だからと言って、その行為は同じ男として許せない。

憧「うん…で、最近、そのストーカーが大学の方でチラチラと顔を見せるようになってね」

憧「出来るだけ見つからないようにって大学から出てきてるんだけど…もしかしたら後をつけられてるかもって」ブル

……そりゃ怖いよな。
俺が最初に会った時、新子さんは触れた俺から逃げるほど怯えていたんだから。
今ではこうして素顔のまま隣を歩く事を許してくれているけれど…でも、ストーカーに対するトラウマを忘れられた訳じゃない。
こうしている今も後ろにストーカーがついてきているかもしれないとなったら、そうやって肩を震わせるのも当然の事だ。


京太郎「ちなみに警察は?」

憧「…行った。けど、今のところ嫌がらせばっかりで何か事件になるような事を起こしている訳じゃないから逮捕出来ないって」

憧「一応、パトロールを増やして注意はしてくれたみたいだけど…アイツにはまるで効果がないみたいで…」

京太郎「…そっか」

ちょっと腹立たしい気持ちはあるけど…警察はあくまでも治安組織だからなぁ…。
犯罪を犯せば逮捕も出来るが、そうでなければパトロールの数を増やす程度しか出来ない。
ただ、それではストーカーがこれから及ぶかもしれない犯行を止める事は出来なくて…。
未だにストーカー殺人なんてものが巷にあふれているのはそういう経緯もあるんだろう。

憧「だから、須賀くんも注意した方が良いかも」

憧「あたしのお隣さんってなったら、アイツの矛先が須賀くんにも行くかもしれないし…」

京太郎「まぁ、それくらいどんと来いだけどな」

憧「え?」

京太郎「だって、俺に構ってる間、そのストーカーは新子さんに構えないって事だろ?」

……そして悔しいけれど、俺も警察と同じく彼女にしてあげられる事はそう多くはない。
俺は彼女のことをもう友人だと想っているが、新子さんの方はどうか分からないのだから。
こうして一緒に歩くくらいは心を許しているとは思うが、それでも踏み込み過ぎは禁物だとそう思う。
俺もまた彼女にとって恐怖の対象であるという事は決して忘れちゃいけないんだ。


京太郎「存在だけで新子さんを護れるなんて俺、格好良くね?イケメンじゃね?」

憧「…もう。そんな事言って…」

憧「須賀くんは軽く考えてるかもしれないけど…アイツは本気でヤバイんだからね」

京太郎「まぁ、俺はまだそいつの事知らないし軽く見ているのも否定しないけどさ」

京太郎「でも、ヤバイからこそ、男である俺が盾になった方が良いんだろ」

ただ、それでも出来る事は何個かある。
こうして俺の事を心配してくれる新子さんに、大丈夫だとそう告げるのもその一つだろう。
俺にストーカーの事を話した時から彼女に走った緊張と怯えは、決してストーカーに向けてのものだけではなかったのだから。
これまで良好な関係を築けてきた俺が離れるのではないかとそんな不安も彼女の中にはあったのだとそう思う。

憧「…須賀くん」

京太郎「ふ…惚れても良いんだぜ?」

憧「ばーか。この程度で惚れるほどチョロくないわよ」

京太郎「ちぇー」

…まぁ、流石にまだ好感度が足りないよなぁ。
最初こそアレだったが、その後は割りと順調に仲良くなれて来ているとは言え、俺達はまだ出会って一ヶ月未満な訳で。
普段から割とLINEなどで連絡もとっているとは言え、好きになるにはあまりにも下積みがなさすぎる。
彼女の心を射止めるにはもうちょっと時間を掛けて仲良くならなければ無理だろう。


京太郎「仕方ない。じゃあ、奥の手を出そうか」

憧「奥の手?」

京太郎「おう。とりあえずそいつが大学からいなくなるまで何処かで待ち合わせして一緒に帰らないか?」

憧「え…?」

まぁ、そうやって新子さんが驚くのも無理はない話だよな。
俺自身、これはちょっと踏み込み過ぎだとそう思う部分はあるし。
しかし…こんな話を聞いてしまった以上、新子さんをそのままにはしておけない。
もしかしたら、彼女がストーカー殺人の被害者になるかもしれないと思えば、多少の躊躇いは投げ捨てるべきだ。

京太郎「女の子一人よりも男と一緒の方がいくらか安心だろ?」

憧「…それは…そうだけれど…でも、大変じゃない?」

京太郎「帰る場所は殆ど一緒だから、それほど大変じゃないだろ」

まぁ、実際、そういう事やった事ないから分かんないけどさ。
でも、多少、大変なくらいでさっきの提案を取り下げるようじゃ、ここまで突っ込んじゃいない。
彼女に他の男友達がいれば別だろうけれど…男性恐怖症の彼女にそういうのを望むのは酷だろうし。
ここは彼女と一緒にいても警戒されない俺がナイト役を買って出るべきだろう。



京太郎「ま、新子さんが俺と一緒に帰って噂されると恥ずかしいし…って言うんなら諦めるけど」

憧「いや…あたしは別にそこまでお高く止まった女じゃないし、むしろ有難い事だけど…」

京太郎「よし。じゃあ、決まりな」

憧「あ…もう…」

有難いとまで言ってくれるのであれば、俺が躊躇う理由は何一つとしてない。
そもそも新子さんが気にしているのは俺の予定とか安全とかそういう面だろうしな。
しかし、そういうのは新子さんの安全に比べれば、まさしくチリのようなもんなのだ。
彼女の周りからストーカーの脅威がひとまず消え去るまでは、彼女のことを優先してあげた方が良いだろう。

憧「…須賀くんって結構、強引よね」

京太郎「そういう男はお嫌いですか?」

憧「あたしは結構苦手かな」

京太郎「げふ」

…どうやら奥の手は不発に終わったらしい。
どうやら割りとストレートに強引な男は苦手だと新子さんにそう言い切られてしまった。
まぁ、流石にこれで彼女が俺に対してメロメロになってくれた、と思っていた訳ではないけれど。
しかし、ここまでハッキリ言われるとやっぱり心にグサリと来る。


憧「…でも、まぁ、時間と場所を弁えてくれるなら…嫌いじゃないかも」カァァ

京太郎「え?」

憧「…っ」プイッ

…と思ったら逆転大勝利だった…のか?
何か新子さん顔を赤くして俺から顔を背けてるけれど…。
でも、それは嫌そうなものじゃないって言うか…ただ照れくさそうなもので…。
さっきのそれが冗談や嘘じゃないって事が伝わってきている。

憧「そ、それより…集合場所と時間は日によって変わるから…とりあえず明日の分は今、決めちゃいましょ」

京太郎「お、おう。そうだな…」

…そんな新子さんを見てるとこっちの方も照れくさくなってしまうというか。
空気がちょっと照れくさいというか…妙なものになっていって…。
ついつい俺も新子さんの顔を直視出来ず、言葉にも照れが浮かんでしまう。
それは新子さんも同じだったけれど…でも、俺達の間から話題が尽きる事はなくて。


―― それから買い物を終わらせて帰るまでの間、俺達は楽しい時間を過ごしたのだった。





憧編しゅーりょー
一緒に買物という夫婦シチュは時間の都合で入れられませんでしたの(´・ω・`)すまぬ

また数分後に安価とりまーす

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧          ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
      //////////////////////|    |////////////////////∧
       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|

【名前】 須賀京太郎

【ステータス】
体力 ほぼ人並みと変わらないレベル
学力 成績優秀で教授から留学を薦められるレベル
魅力 どんな場所でも必ず中心人物になれるレベル
雀力 三年のインターハイで大活躍したレベル
料理 一流料理店で活躍出来るレベル


恋愛抵抗値 5/100


【交友関係】
咲 幼馴染 ??999/100 【魂のパートナー】3回コミュを行うと???…(累計2)
ハオ 親友 53/100
謎チャー 変な人… 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる
智葉 部員 27/100
ステルス○○ 痴漢 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積4 フラグ2)
ネリー 好き 79/100
漫 良い人 30/100 【好印象】:好感度の上昇値が+1される(類似効果と累積する)
謎のうっかりさん ムカムカする 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積8 フラグ2)
透華 親友 45/100
謎の大天使 コワクナイ…? 20/100
白望 …思ったより悪い人じゃなさそう 23/100 
憧 頼りにして良い…かな? 65/100 【好印象5】:好感度の上昇値が+5される(類似効果と累積する)
穏乃 憧のおとなりさん…だよね… ??/100 【??の絆】:???
マホ 好き 68/100
淡 好き 76/100
塞 もう貴方なしじゃいられない 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
竜華 特に関心ナシ 10/100
姫子 後輩 38/100
ちゃちゃのん 愛してる 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
和 ??/100 【特別な人】:コミュした時、恋愛抵抗値を10低下させる。三回コミュを行うと…(累計2)
美穂子 大好き 89/100
由暉子 友人 64/100
豊音 好き 67/100
爽 好き 74/100 
優希 大好き 97/100



12/20 午前のヒロイン


下3でー

ここで穏乃が来るのかよwwwwwwwwww
次回コミュか次々回コミュがヤバイ事になりそうですね(白目)


京太郎「んー…ふぅ…」

昨日、新子さんからあんな話を聞いて…まぁ、彼女のナイト役を買って出た訳だけれど。
しかし、現実、彼女の危機に面した時、ちゃんと新子さんのナイトとしてやれる自信があるかと言えば…まぁ、答えは否だった。
中学時代ならまだしも今は大分、身体も訛っているしなぁ…。
だからこそ、最近、始めたジョギングをより重いモノにしてみたのだけれど…。

京太郎「(…やっぱキッツイなぁ…)」

今日は部活以外が休みだからと色々と頑張ってみたけれど、もう身体が汗だくだ。
ジャージの内側でシャツが張り付いて妙な不快感を身体に訴えさせている。
冬の寒さに肌が震えるのに身体の芯からじっとりとした火照りが表面に浮かび上がってきていた。
その上、息も大分、切れているし…やっぱ持久力の衰えはかなりのもんなんだろうな。
昔はこの程度、余裕で走れたはずなのに…ちょっとショックだ。


京太郎「(ま、とにかく部屋に戻って風呂に入ろう)」

流石にこのままでは部活に出れないしなぁ。
何より、俺自身、こんな汗だくのまま美少女揃いの麻雀部に行きたいとは思えないし。
まだ時間はあるのだから身体から疲労を抜く為にもしっかりと風呂に入ろう。

京太郎「(ってアレは…)」

穏乃「…」チョコン

…なんで高鴨さんが俺の部屋の前にいるんだ?
しかも、小さく膝を抱えて…体育座りのようにして座っているし。
高鴨さんの身体が妙に小さいのも相まって、まるで迷子みたいだ。
ともあれ、そのまま座っていられると俺も部屋に入れないし…とりあえず声を掛けて… ――


穏乃「…」クル パァァ

京太郎「え?」

…俺が声を掛ける前に高鴨さんが気づいたのは別に良い。
でも、なんで彼女は俺の事を見た瞬間、そんな風に満面の笑みを浮かべたんだろう?
彼女は和の知り合いではあるし、咲達と戦った事もあるけれど…でも、俺自身との面識は殆どない。
この前、このマンションの階段でぶつかってしまった時が初対面だったはずだ。

穏乃「京ちゃ…須賀さんですよね?」トテトテ

京太郎「え、えぇ」

しかし、それを考えている間に、高鴨さんが俺の方へと近寄ってくる。
一瞬、何か聞き覚えのある単語が聞こえたけれど…でも、多分、それは気のせいだろう。
俺の事を京ちゃんと呼ぶのはこの世界でたった二人しかいないし。
俺と高鴨さんの関係は、友人ですらないのだから、そんな風に愛称で呼ばれる事はまずないはずだ。


穏乃「何時も憧がお世話になってます」ペコリ

穏乃「私、憧の親友の高鴨穏乃って言います」

京太郎「あぁ。これはどうもご丁寧に」ペコリ

京太郎「こっちの方こそ新子さんには良くしてもらっていますよ」

…ただ、疑問はあるけれど…高鴨さん自身はとても礼儀正しい子らしい。
まさか憧のお隣さんである俺にこうも丁寧な挨拶をしてくれるなんて。
外見がジャージの上だけ…のように見える独特なものだから、正直、ちょっと面食らったというか。
ここまで丁寧な挨拶をされるのは流石に予想外だった。

京太郎「でも、どうして扉の前に?」

穏乃「実は今日は憧の部屋に遊びに来る予定だったんですけど…」

穏乃「でも、憧は急用入ってちょっと出なきゃいけなくなったみたいで」

穏乃「ちょっと時間も掛かるみたいですし、どうしようかな?と待ちぼうけしてました」

あぁ、なるほど。
俺の扉の前に座ってたのも、きっとその関係だったんだな。
まぁ、個人的にはこの寒い中、わざわざ部屋の前で待たなくても…って言う気はするんだけれど。
でも、手持ち無沙汰でどうしようってなる時の感覚は俺も分からないでもない。


京太郎「(あれ?でも、それならどうして新子さんの部屋の中で待ってないんだ?)」

俺の知る限り、新子さんはとても良い子だ。
わざわざ部屋に尋ねてきた友人を急用があったからと追いだしたりはしないだろう。
俺は新子さんと高鴨さんの関係を良く知らないが、しかし、彼女が親友と言っているのであればとても仲が良い相手なのだろうし。
部屋の中で待っていて貰っても、問題はないと思うのだけれど…。

京太郎「(…新子さんが急用が出来たのが高鴨さんが来る直前だった…とか?)」

京太郎「(んで、その連絡に気づいたのが部屋の前だった…とかなら辻褄は合わさるけれど…)」

…しかし、どうしてだろうか?
こうして俺の前で微笑む高鴨さんに妙な違和感を禁じ得ない。
…そもそも、彼女はどうしてさっきからこんなにも嬉しそうなんだろう?
確かにちんまい子で人懐っこいイメージはあるけれど…でも、待ちぼうけを食らってこの笑顔は何処かおかしい。
まるで最初から俺の方を待っていたような…そんな顔じゃないか…?


京太郎「(…まぁ、流石にそれはないだろう)」

京太郎「(そもそもそんな風に待ってもらうほど俺も彼女も相手の事は知らない訳だし)」

京太郎「(それよりも今は…)」

京太郎「でも、このままここにいたら風邪を引いてしまいますよ」

京太郎「近くのコンビニか何処かに避難した方が良いんじゃ…?」

穏乃「私もそれを考えたんですけれど…憧がどれくらいで帰ってくるのか分からないので」

穏乃「この辺りの道もあんまり分からないからどうしようかなって…」

うぅーむ……彼女が友人とかなら部屋に招き入れても良いんだけどなぁ。
でも、幾ら人懐っこい子とは言え、流石に知らない男に部屋に誘われて、ホイホイ入ったりするような子じゃないだろうし。
ここで俺が彼女の事を誘っても、妙な警戒心を彼女に植えつけるだけだ。
俺が出来る事と言えば、精々、コンビニやファミレスの場所を高鴨さんに教えてあげる事くらいだろう。

穏乃「それでひとつお願いがあるんですけれど…」

京太郎「お願い?」

穏乃「はい。憧が帰ってくるまで須賀さんの部屋にいさせて貰えませんか?」

京太郎「え?」

…あるぇ…?
なんでここで高鴨さんの方が俺の部屋に入りたがっているのかな…?
いや、まぁ…確かに今日はちょっと寒いし、何処かに避難したい気持ちは分かるけれど…。
でも、まだ二回しか会った事のない相手の…しかも、男の部屋なんだぞ?
普通の女の子からすれば、真っ先に足が遠のかなきゃいけない場所じゃないだろうか…?


穏乃「実は今日、財布を忘れて来ちゃったんで…持ち合わせは殆どなくて」

穏乃「あんまり外で時間を潰す事が出来ないんです」

京太郎「いや、でも…だからって…」

穏乃「お願いします。須賀さんだけが頼りなんです」ペコリ

京太郎「う…」

……そこまで言われたら、正直、断りづらい。
俺もこの前財布を忘れた時、どれだけ不便だったかを良く覚えているしな。
彼女がとても困っているのは伝わってくるし、出来れば助けてあげたいけれど…。
でも、正直、今の彼女には凄い違和感を感じていて…。

京太郎「…一つ聞かせて下さい」

京太郎「どうして俺なんですか?」

穏乃「憧から須賀さんの話を何度も聞いていますし…須賀さんならきっと変な事しないなって思ったので」

京太郎「そ、そうなんですか…」

…何かそうやって人づてに自分の評判を聞くと結構、照れくさいものがあるな。
まぁ、俺自身、新子さんとはそれなりに仲良くしている自信があったけれども。
しかし、まさか俺の事を殆ど知らない高鴨さんがここまで信頼してくれるように言ってくれていたなんて。


穏乃「……どうでしょう?」

京太郎「…えぇ。分かりました」

京太郎「そこまで信頼されているなら…俺は何も言わないです」

京太郎「散らかっている部屋ですけど、適当にくつろいでください」

穏乃「ありがとうございますっ」パァァ

…まぁ、だからと言って、高鴨さんから感じる違和感がなくなった訳じゃないけれどさ。
でも、阿知賀で一緒だった高鴨さんと新子さんが親友同士って言うのは割りと筋が通っている話だし。
ましてや俺自身、新子さんから高鴨さんとの話を何度か聞いた事もあるんだ。
新子さんという保証人がいる訳だし、違和感と言うだけで高鴨さんの事を疑っても仕方ないだろう。

京太郎「じゃあ、どうぞ」ガチャ

穏乃「お邪魔しまーす」イソイソ

京太郎「とりあえず俺はお茶入れますんで、ゆっくりしててください」

さて、そうして高鴨さんを招き入れたのに、それだけって言う訳にはいかない。
不意のお客様ではあるとは言え、招き入れたのは俺だしな。
この寒い中ずっと待ちぼうけをしていて身体も冷えているだろうし…まずは温かいお茶を入れてあげよう。
幸い、ジョギング前に準備していたものがあるし、そう時間が掛からずお茶も出来るはずだ。


穏乃「はい。でも、須賀さんも私の事気にしないでくださいね」

穏乃「私は勝手にあがったみたいなものですし、何時も通りに過ごして下さい」

京太郎「えぇ。ありがとうございます」

…まぁ、つっても流石にほぼ初対面の女の子がいるのに何時も通りにはなぁ…。
新子さんって言う保証人がいるとは言え、高鴨さん自身に対する信頼は殆どない訳だし。
出来れば汗でベタベタになったシャツやジャージを着替えてしまいたいけれど…でも、高鴨さんからあまり目を離したくはない。
部屋にあげる事を許したとは言え、一人にして大丈夫ってほど信じている訳ではないんだ。

京太郎「はい。お待たせしました」スッ

穏乃「ありがとうございます。頂きます」ズズ

穏乃「……美味しい。とても上手な淹れ方をするんですね」

京太郎「お、分かりますか」

穏乃「これでも和菓子屋の娘ですから」テレ

京太郎「へぇ…そうなんですか」

これは意外だったな。
新子さんが神社の娘だし、てっきり高鴨さんも高鴨神社系の人なんだと思ってたのだけれど。
和菓子屋の人ってなんだか昔ながらの大和撫子ってイメージがあるから目に見えて元気な高鴨さんからはあんまり想像出来ない。
まぁ、あくまで俺がそう思い込んでいるってだけで実際は色んな和菓子の娘さんがいるって事なんだろう。



京太郎「じゃあ、そんな高鴨さんのお眼鏡に叶ったって事でこれからは自慢出来ますね」

穏乃「はい。あ、でも…」

京太郎「ん?」

穏乃「メガネに適ったのはお茶だけじゃ…ないですよ?」チラッ

…な、なんだ、この目は…。
まるで俺の事をねっとりと舐めまわしているような…。
い、いや、気のせい…だよな。
新子さんから聞く限り、高鴨さんって割りと脳天気で一直線なタイプらしいし。
目線一つで男をドキドキさせる熟練の娼婦みたいな方法を知っているはずがない。
まぁ、童貞の俺は実際に娼婦の人にあった事なんてない訳だけれど!!

京太郎「は、はは。じゃあ、どの辺がお眼鏡に適ったんですかね?」

穏乃「…全部です」

京太郎「え?」

穏乃「須賀さんの髪も瞳も唇も鼻も鎖骨も肩も腕も手も胸も腹筋も太ももも膝も足も全部全部全部です」ニコ

……ヤバイ。
何がヤバイって…今の一瞬で、部屋の空気が数度下がったくらいにヤバい。
いや、勿論、そんな風に褒めてもらえるのは嬉しいよ。
女の子に褒められる事って滅多にないし…ましてや高鴨さんはとても可愛らしい子なんだから。
でも、わざわざ一つひとつ俺の部位をあげながらそこをじっとりと舐め回すように見る高鴨さんは見るからにヤバくて…。


穏乃「特に一番、気に入っているのは…匂いです」ニコ

京太郎「に、匂い…?」

穏乃「はい。須賀さんってとっても良い匂い…しますよね」スンスン

京太郎「あ、い、いや、俺、さっきまでジョギングして汗掻いてるんで…」マッカ

…あぁ、うん。逆の立場になって初めてわかったわ。
こうして匂いを褒められるのって結構…いや、かなり恥ずかしいんだな。
ましてや、俺は今、ジョギング後で汗だくの状態だった訳で…。
そんな状態でスンスンって鼻を動かすくらいに匂いを嗅がれるとどうしても羞恥心が刺激されてしまう。

穏乃「大丈夫です。私、嫌じゃありませんし」

穏乃「それどころか…私、ずっとこの匂いを嗅いでいたいくらいで…」

穏乃「もっと側に行っても…良いですか?」

京太郎「え、えぇっと…」

お、俺の身に一体、何が起こってるんだ?
俺は今までの人生の中でこんな風に女の子に迫られた記憶なんてないんだけど!
どっちかって言うと俺の方が女の子に迫って、ふられた経験ばっかりなんだけど!!
それがどうして今日に限ってこんな風に押されまくってるんだ…!?
一体、何があったらほぼ初対面の女の子にここまでアプローチされるんだよおおお!?


穏乃「…ダメって言わないって事は良いって事ですよね」ススス

京太郎「た、高鴨さん…!?」

穏乃「あぁ…♪やっぱりこれ…京ちゃんの匂い…♥」ギュゥ

京太郎「う…」

ってそんな風に混乱してる間に高鴨さんが俺の身体抱きしめてるし。
…一体、コレは俺、どうすれば良いんだろうか?
流石にここで抱きしめ返すほど無謀ではないし…だからと言って突き放すのも…なぁ。
やっぱり恥ずかしいけれど…ここは我慢するべき…なんだろうか?

穏乃「はぁ…はぁ…♪」ユサユサ

…ってなんか高鴨さんの呼吸が荒くなっているし。
その上、腰まで俺にこすりつけるように動いて…これはもしかして俺に興奮してるのか…!?
…………いや、ないよな、うん、ないない。
新子さんから聞く高鴨さんは初恋すらした事がないような子だし…男の身体に股間押し付けてオナニーとかあり得ないから。
たまたまちょっと体調が悪くて、股間が痒かっただけだろ。
……誰かそうだと言ってくれ、頼むから。



穏乃「ん…っくぅ♪」ビクン

京太郎「…………え、えっと…」

穏乃「はぁ…ふあぁ…♪」クタァ

…………どうやら痒みは収まったらしい。
高鴨さんの身体がグッタリしてて、俺にもたれかかって来ている。
胸の中で聞こえる吐息は大分、熱っぽいけれど、ま、まぁ、きっと体調の悪さはまだ抜けていないんだろう。
だから、ここで俺がするべきは… ――

京太郎「だ、大丈夫ですか?」

穏乃「はい…大丈夫…です……♪」

京太郎「い、いや、でも、ほら…まだ体調悪そうですし…ね?」

京太郎「ここはやっぱり横になった方が良いですよ、絶対」

い、いや、まぁ…高鴨さんが俺でオナニーしてたとか信じてた訳じゃないけどさ。
ほぼ初対面の男の身体でオナニーするほどビッチだなんて思ってる訳じゃないけれど!!
でも、このままくっついていると俺がおかしくなりそうでヤバイ。
今の状態でもどうすれば良いのか分からなくて、頭の中パニック起こしてるからな…。


穏乃「い、良いんですか?」

京太郎「はい。新子さんが来るまでゆっくり休んで下さい」

穏乃「…嬉しい♥」ギュゥ

…と言うか俺の方がちょっと休ませて欲しい。
今のシチュエーションは正直、冷静になる時間が必要になるレベルのものだったからな…。
でも、俺の言葉をそのまま額面通りに受け取った高鴨さんは俺から離れてベッドに行く気配がないし…。
ここは俺が彼女をベッドに運ばないとダメだよな…。

京太郎「じゃ、じゃあ…ちょっと持ち上げますんで」スクッ

穏乃「んぁ…♪」

…一瞬、蕩けたような声が漏れたのは気にしないでおくとしよう。
とりあえず俺にとって大事なのはお姫様抱っこで高鴨さんをベッドに寝かせる事だ。
……んで、その後、彼女からちょっと離れて…ゆっくり冷静になろう。
さっきの事を忘れる為にも今は時間が必要なんだ。


京太郎「っと…」トサ

穏乃「あふ…♪」

……ふぅ。とりあえず無事に高鴨さんをベッドの上にリリースする事には成功した。
後はどうにかして彼女から離れるべきなんだけど…でも、その理由をどうするかなぁ…。
ちょっと頭の中がこんがらがっていて…今すぐに思いついたりしない。
今、頭の中に浮かんでいるのはトイレに逃げるって事なんだけど…その間に冷静になれる自信は俺にはないし…。

穏乃「…須賀さんはやっぱり優しいですね」

京太郎「そ、そうですか…?」

穏乃「はい」ニコ

……こうして笑っているところを見ると天使なんだけどなぁ。
ニコニコと屈託のない笑みはとてもほほえましく見えるんだけれど…。
でも、さっきの件を俺がまだ忘れられていない所為か…どうにもその表情に艶っぽいものが見えてしまう。
子どものような笑みの中、メスの色香が見え隠れしてついついドキドキしてしまうんだ。


穏乃「…私、そんな須賀さんともっと仲良くなりたいです」

穏乃「だから…お互い敬語を止めませんか?」

穏乃「同い年ですし…そういうの必要ないと思うんです」

京太郎「そ、そうですね…」

…正直、展開が早いと思わなくもない。
しかし、まぁ、この程度ならば、人懐っこい子ならあり得ない事もないだろうし。
実際、優希辺りは出会って数分後には下の名前で呼ぶようになってたからな。
高鴨さんも優希に似たタイプだろうから、これくらいは普通だ、うん、普通なんだ。

穏乃「…じゃあ、これからは…私の事、しずって呼んでね」ニコ

京太郎「え?」

穏乃「私はこれから京ちゃんって呼ぶから」

………助けて、アコえもん。
俺、アコえもんの親友がちょっと良く分からないよ。
敬語をやめるのはともかく、いきなり愛称呼びはちょっと距離詰め過ぎじゃないかな!?
正直、俺がナンパしてる時だってそこまで思いっきり距離詰めたりしないぞ!?


穏乃「…京ちゃん…ふふ…♪京ちゃん…♥」

京太郎「……え、えっと…しず?」

穏乃「ん…っ♪」ビク

……どうしてそこで目を微かに閉じて心地よさそうな顔をするのか。
名前呼ばれるだけでも嬉しがるとかご主人様大好きな小型犬でもまずないだろ。
でも、ベッドの中に入って俺を見上げる高鴨さんの目はさらにウットリとしたものになっているし…。
これ、もうどうすれば良いんだろう…?

穏乃「えへ…嬉しい…嬉しいな…♪」

京太郎「そ、そんなに嬉しいのか?」

穏乃「うん…とっても…♥」ニコ

……ま、まぁ、喜んでくれるのは悪い事じゃないよな。
問題は高鴨さんが喜び過ぎて、ちょっと彼女の事が分からない事なんだけれど。
正直、ここまで好意を寄せられた事なんてないだけにかなり戸惑ってる。
嬉しい気持ちがまったくない訳じゃないが、一体、どうしてこうなったのかまるで分からないんだ…。


穏乃「…京ちゃんは一目惚れって…信じる?」

京太郎「え?」

…いきなり一目惚れってどういう……。
い、いや…まさか…そういう事なのか?
この流れで一目惚れなんて口にするって事は…まさか彼女が俺にラブしちゃったんだって言う事…?
確かにそれならばここまでの流れは理解出来なくはないけれど…でも… ――

穏乃「私ね…京ちゃんに一目惚れ…しちゃったんだ♥」

穏乃「京ちゃんに助けてもらった時に…手を差し伸べられた時に…」

穏乃「胸の中からじわぁって気持ちが溢れて…私の知らない事教えて貰ったんだよ…♥」

でもって言ってる側からそれかよ!!!!
いや、ちょ…ま、待って!!話の展開が急すぎてちょっとついていけない!!!
そもそも俺が一目惚れされた事なんて一度もないし…つーか、そこまでイケメンじゃねぇし!!
彼女いない歴=年齢で撃沈回数二桁の俺にこのシチュエーションは荷が重すぎるわ!!


穏乃「だから…私は京ちゃんと仲良くなれて…とても嬉しい…♪」

穏乃「でも…私はもっともっと…仲良くなりたいな…♥」

穏乃「京ちゃんに好きって言って貰えるくらい…私の事知ってほしい…♪」

穏乃「また他の誰かと共有なんて事にならないよう…私だけに溺れて欲しい…♥」

あばばばばばばばばばば。
ちょ、待って!愛が!!愛が重い!!!
いや、個人的にはそういうの好きだけど!悪くはないけれど!!
でも、出会って一時間も経ってないのにぶつけるにはその想いは豪速球過ぎるから!!

穏乃「…困らせてごめんね」

穏乃「でも、私、京ちゃんにどうしても嘘吐きたくなかったし…」

穏乃「それに…そういうの隠して付き合うのも卑怯だなって思ったから…」

……うん。でも、悪い子って訳じゃないんだろうな。
直球勝負しか知らなくて…ちょっと酷い結果になったけれど。
でも、高鴨さん…いや、しずはただ俺に気持ちを伝えたかっただけなんだ。
……だったら、俺も彼女の気持ちに振り回されたりせず…ちゃんと向き合わないとな。


京太郎「…ありがとう。しずの気持ちはとても嬉しいよ」

京太郎「でも、やっぱり今はしずの気持ちには応えられない」

京太郎「一目惚れしてくれたのは嬉しいけど…でも、俺はここで頷くにはまだしずの事を知らなさ過ぎるんだ」

俺がしずの事で知っている事なんて麻雀雑誌で紹介されていた事+α程度だ。
彼女が何を好きなのかさえ俺はまったく知らないし、麻雀以外にどういう趣味があるのかも知らない。
勿論、そんな状態でもお互いを知る為に付き合う…と言うやり方は否定しないけれども。
しかし、俺自身、そういうやり方は苦手だ。

京太郎「…だからさ、もうちょっとゆっくり付き合って…俺がもっとしずの事を良く知ったら…」

京太郎「その時は改めて俺に告白の返事をさせてくれるか?」ナデナデ

穏乃「…………うん」

…よし、とりあえず無難なところには着地したな。
まぁ…ぶっちゃけ、結論を先延ばしにするっていうかなり酷い結論なんだけれど。
だが、俺には正直、コレ以上の答えを見出す事が出来ない。
つーか、恋愛経験なんてマトモにないのにこうして逃げずに向き合っただけでも褒めて欲しいくらいだ…。


穏乃「…きっと京ちゃんならそう言ってくれると思ってた」

穏乃「やっぱり京ちゃんは京ちゃんなんだね」

京太郎「…ん?」

穏乃「…なんでもないよ」

穏乃「ただ…私はさっきよりもずっと京ちゃんの事が好きになったってだけ」ニコ

…すまん、正直、それはだけで済ませられるようなものじゃないんだけれど。
ただでさえ愛が重過ぎて若干、キツイくらいなのにコレ以上好きになられたら俺はどうしたら良いのか。
……まぁ、とりあえずその辺りの事はその時が来たら考えよう。
今はとりあえずしずが完全に屈託のない明るい笑顔を見せてくれているし…善しとしよう。

穏乃「…じゃあ、とりあえずお互いの事を良く知る為にも一杯、お話しないとね」

京太郎「幻滅しても知らないぞ?」

穏乃「しないよ。そんな事絶対にしない」フルフル

穏乃「私が京ちゃんの事嫌うなんて絶対にあり得ないもん」

…うん、愛が重い子に振る冗談じゃなかったな。
まさかここまでハッキリと俺に愛を伝えてくれるだなんて。
つーか…ここまで断言されるとただの一目惚れじゃないような気もするんだけど…。
さっきから色々と気になる発言もあるし…何か色々と抱え込んでいるんだろうか?


京太郎「(…まぁ、それは追々知っていけば良いか)」

しずがいったい、どういう事情を抱え込んでいるのかは知らない。
しかし、今ここで俺が踏み込むにはちょっと疲労がキツ過ぎるんだ。
肉体的な疲労の上に精神的疲労がズシンとのしかかった今、ちょっと休憩が欲しい。
コレ以上、重たいものを食らわされると正直、疲労に溺れてしまいそうになる。

京太郎「(だから、その為にも…)」

京太郎「ただ、あんまり汗臭い格好で女の子の前にいるのも失礼だしさ」

京太郎「ちょっと風呂の準備してくるよ」

穏乃「え、そ、それって…♥」モジ

京太郎「あ、い、いや、他意はないからな?」

京太郎「ホント、普通にリラックスしたいだけだから…!」

し、しまった…ちょっとデリカシーがなさすぎたか。
俺としては積み重なった疲労を少しでも回復させて仕切り直しがしたかったんだけれど…。
でも、告白の後でこういう事言ったら…そりゃエロい事する為だって勘違いされてもおかしくはないよな。
うん…こういうところで地味に減点されて、今まで彼女が作れた事がないんだから…本当に気をつけよう。


穏乃「私は何時でもエッチな事されても大丈夫だよ…?」

京太郎「しずが大丈夫でも俺が大丈夫じゃないんだよ」

京太郎「エッチした上で付き合いませんなんて男にはなりたくないしさ」

流石にエッチして責任取らないなんて言いたくはないしなぁ。
どう考えてもなし崩し的にしずを恋人として迎える事になる。
さっきお互いをもっと良く知るまで…と格好つけていたのに、それはちょっと格好悪すぎるからな。
やたらと熱っぽいしずの視線はスルーしておこう。

穏乃「…そう。そうなんだ…」

京太郎「ん?」

穏乃「…ううん。何でもない」

穏乃「それより…お風呂、ゆっくりしててね」

京太郎「おう」

まぁ、まずは風呂の湯を貯めるところからだけどな。
正直、まさかここまで体力が堕ちてるとは思わなかったから、湯の準備はしてないし。
とりあえず風呂場で蛇口を捻って温度調節…うん、これでよし。
後は十分もすれば湯が溜まって風呂にも入れるはず… ――


穏乃「…京ちゃん」

京太郎「ん?うぉお!?」ビックゥ

ちょ、ま、待て!!
な、なんでしずが風呂場に入ってきてるんだ!?
しかも、一糸まとわぬ裸で…胸もアソコも丸見えだし!!
幾らおっぱいなくても、そんな真っ裸で近づいて来られたら流石に俺も興奮するんですけど!!!

京太郎「あ、あの…しず?」

穏乃「私、京ちゃんの背中、流してあげるね」ジリジリ

京太郎「ま、待て。落ち着け」

穏乃「私は落ち着いてるよ」

京太郎「落ち着いてるのなら少しは前隠せよ!!」

しかし、そうやって近づいてくるしずに逃げ場はあんまりない。
そもそも俺の部屋にある風呂はトイレとは別とは言え、あんまり広い訳じゃないんだ。
あくまでも一人で入るようのその中にしずまで入ってこられるとすぐに満員になってしまう。
つまり俺は壁際に押し込められた状態でしずの事を説得するしかなくて…。


―― 結果、浴槽からお湯が溢れだしてからようやくしずは諦め、俺は一人の入浴を叶えられる事になったのだった。

しず編しゅーりょー
出会いから最初のステップまで全部一気にやったからすげぇ長くなってしまいました…(´・ω・`)

後、しずのキャラに関して違和感もあると思いますが、ぶっちゃけ、別世界の記憶インストールされても所詮、しずはしずですから。
基本的に直球勝負は出来ませんし、日常を送っている間にも溢れる京ちゃんへの好きを抑える事は出来ません。
特にこの世界ではライバルとなった憧たちはいませんし、京ちゃんを独占する為にガンガン行動してきます。
ただ、これはあくまでもしずの場合なので、別世界の記憶が他の子に入った場合、迂遠な手段で手に入れようとする子もいますし。
今回はあくまでも直球勝負しか知らないしずだったからこその展開だったとお考え下さい。

と言いつつまた数分後に安価出しまーす

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧          ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
      //////////////////////|    |////////////////////∧
       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|

【名前】 須賀京太郎

【ステータス】
体力 ほぼ人並みと変わらないレベル
学力 成績優秀で教授から留学を薦められるレベル
魅力 どんな場所でも必ず中心人物になれるレベル
雀力 三年のインターハイで大活躍したレベル
料理 一流料理店で活躍出来るレベル


恋愛抵抗値 5/100


【交友関係】
咲 幼馴染 ??999/100 【魂のパートナー】3回コミュを行うと???…(累計2)
ハオ 親友 53/100
謎チャー 変な人… 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる
智葉 部員 27/100
ステルス○○ 痴漢 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積4 フラグ2)
ネリー 好き 79/100
漫 良い人 30/100 【好印象】:好感度の上昇値が+1される(類似効果と累積する)
謎のうっかりさん ムカムカする 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積8 フラグ2)
透華 親友 45/100
謎の大天使 コワクナイ…? 20/100
白望 …思ったより悪い人じゃなさそう 23/100 
憧 頼りにして良い…かな? 65/100 【好印象5】:好感度の上昇値が+5される(類似効果と累積する)
穏乃 やっぱり京ちゃんは素敵だね 999/100 【阿知賀の絆】:三回コミュを行うと自動的にエンディングに到達する(累計2)
マホ 好き 68/100
淡 好き 76/100
塞 もう貴方なしじゃいられない 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
竜華 特に関心ナシ 10/100
姫子 後輩 38/100
ちゃちゃのん 愛してる 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
和 ??/100 【特別な人】:コミュした時、恋愛抵抗値を10低下させる。三回コミュを行うと…(累計2)
美穂子 大好き 89/100
由暉子 友人 64/100
豊音 好き 67/100
爽 好き 74/100 
優希 大好き 97/100



12/20 午後のヒロイン


下3でー

聖母の時間だああああああああああああ!!!




↓2
01~32 +2
34~65 +3
67~98 +4
ゾロ目 +10

ゾロ目ならエンディングです(小声)

好感度+3されて恋愛抵抗値が-3…
残りは2になるって事はつまり……この次のコミュが戦争になるな(ゴクリ)

と言いつつちょっと昼飯食べたりして休憩してきます


次選ばれたらエンディングに確実に入るのが
咲 ネリー 憧 穏乃 淡 マホ 塞 ちゃちゃのん 美穂子
由暉子 豊音 爽 優希か

好感度66以上で好きに突入ですね
なので>>757があげてくれている子を取れば即座にエンディング行きになります


―― 全ての始まりは部活前に美穂子さんに貰ったメールだった。

元々、美穂子さんはあまり機械類が得意ではない。
流石に昔のように触るだけでショートしてご臨終するほどではないが、あまり複雑なものは未だにダメらしい。
こうして携帯こそ使えるようになったがスマートフォンはダメで、子ども用のメールと電話しか出来ないガラケーを未だに使っている。
とは言え、彼女がそれを使う事はあまりなく、急な連絡を受け取る時くらいにしか使ったところを見たことがないのだけれど。

京太郎「(で、そんな美穂子さんから「きょうごはんたべにこないはてな」って誘われて…)」

何故か変換が出来ていないが、それは間違いなく「今日、ご飯食べに来ない?」と言うお誘いだろう。
苦手な携帯を頑張って使いながらのそのお誘いに俺はすぐさま了承の返事を返した。
俺は美穂子さんの料理の腕を知っているし、何より、彼女からのお誘いと言うだけで俺にとってとても嬉しいものだったから。
新子さんも今日はかなり遅くなるみたいだから、ちょっと美穂子さんの家でご飯食べても合流の時間には間に合うだろうし。


京太郎「ふんふふーん♪」

おっと…つい鼻歌が。
でも…ぶっちゃけ、それくらい楽しみなんだよな。
美穂子さんは俺とはまた違った料理が得意で単純に比較は出来ないけれど…彼女の方が俺よりも上手だとそう思う事はままあるし。
何より、美穂子さんの家にお呼ばれとなったら自然と心が弾んでしまう。
エロい展開なんてないと分かってはいるが、もしかしたらちょっぴりムフフな事が起こるかも… ――

京太郎「(…おっと)」

そんな事を考えている間に美穂子さんの部屋の前に到着した。
仕方が無い、ムフフな妄想はとりあえず今のところは置いておこう。
美穂子さんはまさしく聖母と言っても良い人だし、俺のスケベ顔も許してくれるだろうけれども…。
しかし、俺自身が美穂子さんの前であんまり格好悪いところを見せたくはないからな。


京太郎「(ま、ともかく今はチャイムをポチっと)」

ピンポーン     ガチャ

美穂子「はい?」

京太郎「あ、俺です」

美穂子「京太郎君?ちょっと待ってね」ガチャン

えぇ。何時までも待ちますよ。
でも、出来るだけ早くしてくれると嬉しいですかね。
何せ、美穂子さんの部屋の前にある換気扇はガンガン回って、良い匂いが廊下の方にも流れていっているからな。
正直、この匂いを嗅いでいるだけでもお腹が減って、お預けされている犬の気分になりそうだ。

ガチャン

美穂子「おかえりなさい、アナタ」

京太郎「……え?」

瞬間、俺の事を迎えてくれたのはエプロン姿の美穂子さんだった。
純白のエプロンをコレ以上なく綺麗に着こなしたその姿は聖母と言うよりも新婚の奥さんに見える。
そんな彼女にいきなりおかえりなさいと言われたら、そりゃあ胸もドキリとするだろう。
ましてや、美穂子さんは俺の目の前で照れくさそうにはにかんでいて… ――


京太郎「(ハッ…そうか!!)」

…どうやら俺が今まで勘違いをしていたようだ。
俺は美穂子さんとただの友人だと思っていたけれど…どうやら既に結婚していたらしい。
いやー…おかしいと思ったんだよな。
俺は美穂子さんと結婚する夢を何度も見てるのに、現実はまったく進展がなかったし。
だが、俺が現実だと思っていたのが実は夢で、本当の俺はもう美穂子さんと結婚していたんだろう。

美穂子「あ、あの…京太郎君?」

京太郎「あ、ハイ」

…いや、んな訳ないだろ。
何度も美穂子さんと結婚する夢を見ていたから既に結婚していたとかどんな都合の良い思考回路だよ。
幾らストーカーでもそこまで滅茶苦茶な思考回路してる奴は滅多にいねぇわ。
あまりの衝撃に一瞬、馬鹿な事も考えたけれど、今はこうして美穂子さんが不安そうな顔をしている訳だし。
とりあえずちゃんと現実的な地に足をつけた思考をしよう。



美穂子「…もしかして怒っちゃったかしら…?」

美穂子「ご、ごめんなさいね、私、こういうの夢だったから…」シュン

京太郎「いや、怒ったりなんてしていませんよ」

京太郎「俺もそうやって奥さんに出迎えてもらうのが夢だったんですっげぇドキドキしました」

美穂子「…そ、そうなの」テレテレ

まぁ、ただドキドキしただけじゃなくて衝撃も大きかった訳だけれど。
でも、その辺りは美穂子さんに言っても、彼女を悲しませるだけだろうし。
何より、イタズラなんてまずしない美穂子さんがこうして俺に対してイタズラを仕掛けてくれたんだ。
俺に対して甘えるようなそれにグチグチ言うほど器の小さい男になりたくはない。

美穂子「…あ、と、ともかく、お外寒いでしょう?」

美穂子「ちょっと散らかってるかもしれないけれど、部屋にあがっちゃって」

京太郎「えぇ。お邪魔します」

…正直、美穂子さんの部屋はこれまで何度か来ているけれど…それは扉の前までなんだよなぁ。
流石に内側に入れて貰った事はないから実はちょっと楽しみなんだけど…って…ヤベェ。
思った以上に片付いてるし…家具にもホコリ一つない。
正直、これが散らかってるなら、俺の部屋はゴミ貯めレベルじゃないか。


京太郎「(その上、周りから美穂子さんの匂いがするし…)」

あんまりキャピキャピした感じでも幼い感じでもない落ち着いた家具や小物類。
それと長い間付き合ってきた所為か…きっと美穂子さんの匂いが映ったのだろう。
こうして部屋に足を踏み入れた瞬間、ふわりと香る優しい匂いについつい胸がドキドキしてしまう。
女の子らしいと言うよりは美穂子さんらしい匂い囲まれているその状況に、俺の身体は緊張を覚えた。

美穂子「もうちょっと待ってね」

美穂子「もう出来上がってるから今、器によそうわ」

京太郎「あ、て、手伝いましょうか」

美穂子「ダメよ。京太郎君はお客様なんだもの」

美穂子「今日はお手伝いはダメ」ニコ

そんな俺に玄関すぐのキッチンに立ち止まった美穂子さんは優しく微笑んでくれる。
俺の事を心から歓迎しようとしてくれるそれは嬉しいけれど…でも、正直、今は手伝いたいというか。
下手に動かず部屋の中で座っていると変な事を考えてしまいそうでヤバい。
少なくとも、俺は美穂子さんの部屋と言う場所を、軽く考えていたのは事実だろう。
くそ…もっと心の準備をしておくべきだった…!!


京太郎「(つーかまずエプロン姿の美穂子さんってだけで破壊力がヤバいし)」

美穂子「ふんふふーん…♪」

美穂子さんは年齢以上に落ち着いたところのある美人だ。
誰だってつい甘えてしまいたくなる気立ての良い彼女は今はもう絶滅したはずの大和撫子と言うものを彷彿とさせる。
そんな彼女がエプロンと言う対男迎撃用の最強装備を身につけているのだ。
それだけでももう男である俺としては美穂子さんから目を引き寄せられてしまう。
その上、今の彼女は上機嫌に鼻歌まで歌ってくれているんだから、引き寄せられた視線が美穂子さんから離れない。

美穂子「お待たせ…って…」

美穂子「どうしたの?そんな風にジッと見て…」

京太郎「あ、い、いや、エプロン姿の美穂子さんが可愛くて」

美穂子「え」カァァァ

そんな俺が口にした正直な言葉にお盆を持った美穂子さんが固まってしまう。
その顔を赤く染めながらのそれは…多分、ただの羞恥だけじゃない。
俺の言った可愛いと言う言葉に美穂子さんも喜んでくれているんだろう。
そう思うと思わず彼女のことを抱きしめたくなるけれど…でも、ここでそんな事をやったら悲鳴をあげられても文句は言えないし。
ここは犬のようにテーブルの前で大人しく座っておくべきだろう。


美穂子「も、もう。ダメよ、そんな事言ったら」

美穂子「私、ドキドキしてお盆落としちゃうかもしれないわ」

京太郎「す、すみません」

美穂子「あ、い、嫌な訳じゃないのよ?」

美穂子「嫌な訳じゃないんだけど…で、でも、今は…危ないから…」

美穂子「また後で……うん、また後で…ね?」パタパタ

京太郎「あ、ハイ」

……これはつまり後で可愛いと言って欲しいって事なんだろうか。
いや、まぁ…例えそうでなくても、また口走ってしまうと思うけれど。
少なくともお盆の中身をテーブルの上に置いて、急いでキッチンに逃げ帰る美穂子さんはとても可愛かったし。
また後でと彼女が言っていなければ、きっと俺はまた可愛いとそう言っていただろう。

美穂子「うぅ…」モジモジ

京太郎「(可愛い)」

……でも、その我慢はあんまり長く保たないかもしれない。
こうして俺から離れキッチンに戻った美穂子さんは落ち着かなく身体を揺すっている。
モジモジと恥ずかしさを表現するようなそれはもうそのまま押し倒したくなるような破壊力だった。
俺が本当に美穂子さんと結婚していたら躊躇いなく後ろから抱きしめていたかもしれない。


美穂子「お、お待たせ」

京太郎「は、はい」

そんな事を考えている間に、テーブルの前に二人分のご飯が並ぶ。
メニューとしては焼き鮭に里芋と鶏肉の煮物、漬物に味噌汁と割とオーソドックスなものだ。
だが、俺は知っている。
そういうオーソドックスな料理にこそ、腕の差が如実に現れると言う事を。
事実、俺はこうした料理で美穂子さん以上の味を出せる自信がまったくなかった。

美穂子「じゃあ、京太郎君」

京太郎「えぇ。頂きます」

美穂子「頂きます」ペコリ

そんな料理を前に我慢など出来るはずもなかった。
いや、そもそも出来たて作りたての料理を前に躊躇う方が罪悪であろう。
こうしている間にも湯気から美味しさが逃げていっている料理を早く味わおうと俺はすぐさま両手を合わせる。
そのまま彼女と共に定型句を口にした俺はすぐさま箸を手にして、煮物へと手を伸ばし。


京太郎「(…うめぇ)」

基本的に煮物とは煮込めば煮込むほど味が染み込み、美味しくなる料理である。
しかし、材料の煮崩れなどを考えれば、あまり長時間煮込む訳にはいかない。
それでも材料が煮崩れするギリギリまで煮込む方法がある。
それは… ――

京太郎「美穂子さん、これ何時間煮込みました?」

美穂子「えっと…三時間くらいかしら」

京太郎「ちなみにその間、キッチンから離れた事は?」

美穂子「煮物してるのに離れたりしないわよ」

…無論、普通は三時間も煮込めば普通は煮崩れもする。
だが、熟練した料理人は、火を絶妙にコントロールし、煮崩れする時間を先延ばしにする事が出来るのだ。
その間、似られ続けた食材の中に出汁が染み込み、その中で旨味が凝縮されていく。
噛んだ瞬間、口の中で旨さが弾けるような煮物は、最高の料理人が手間暇を惜しまないでようやく作れる一品なのだ。


京太郎「(勿論、それは煮物だけじゃない)」

美穂子さんの事だ。
味噌汁だって手間暇を掛けた一品だし、漬物も自家製だろう。
焼き鮭だってただ焼くだけじゃなくて、その前の下拵えにも一工夫してあるはずだ。
無論、それらは幾ら美穂子さんでも簡単に出来るものではない。
きっと下拵えの状態からかなりの手間隙を掛けて、こうして料理を作ってくれたはずだ。

美穂子「ど、どうかしら…?」

美穂子「私は結構、上手に出来た方だと思うんだけれど…」

京太郎「俺は今、三国一の幸せモノだと思います」

美穂子「そ、そんなに…!?」ビックリ

いや、むしろ、そんな表現では物足りない。
美穂子さんのような美人が何時間も掛けて俺の為に料理を作ってくれたのだから。
漬物一つとっても市販品とは比べ物にならないその食卓はいっそ感動を覚える。
料理の上手な女の子からの手料理と言う男のロマンの究極系がここにはあるんだ…!!!
俺は世界一…いや、宇宙一の幸せモノだと声を大にして叫んでも許される事だろう。


美穂子「褒めてくれるのは嬉しいけれど…あんまり持ち上げないでね」

美穂子「京太郎君にそんな事言われたら…私、浮かれちゃうわ」テレテレ

京太郎「存分に浮かれて下さい」

と言うか、美穂子さんはもっと自信を持って良いと思うんだ。
コンビニやスーパーなんかが発達した今、美穂子さんくらい料理が出来る女の子っていうのは少ないし。
女の子に限定しなくても、美穂子さんレベルの料理を出せる人なんて料亭お抱えの料理人くらいだろう。
少なくとも俺は並の料理人よりは美味しい料理が作れる自信があるし、その俺が完敗を認めるのだから、かなりの腕前なのは確かだ。
でも、それを美穂子さんは持ち前の自信のなさからそれを認めないのであれば… ――

京太郎「俺は美穂子さんの料理、毎日食べたいですよ」

美穂子「…ほ、本当?」

京太郎「えぇ。こんな事で嘘なんか言わないですって」

まぁ、流石にこのレベルの料理を毎日…となると美穂子さんが辛いだろうけれどさ。
さっき彼女が漏らしていたように煮物だけで最低三時間は掛かっている訳だし。
それを三食用意するだけで単純に九時間…一日のほとんどを奪われる計算だ。
ただ、そういう労力を無視すれば毎日食べても飽きない料理であろう事は間違いはない。
少なくともそれだけの手間がこの料理に掛かっているのは確実なのだ。


美穂子「~~~~っ」カァァ

…ん?あれ?なんで美穂子さん、急に顔を赤くして…。
あ゛…し、しまった…!さっきのプロポーズでお決まりのセリフじゃないか…!!
くそ…塞さんの時にも同じ失敗をしたというのに…本当に俺は学習しない奴だな…!!
いや…ま、まぁ、美穂子さんも塞さんも出来ればプロポーズしたい相手ではあるけれど…で、でも、それで気まずくなったら嫌だし…。

京太郎「あ、い、いや、その…ち、違うんです」

京太郎「今のはプロポーズとかじゃなくて…」

美穂子「…え?」

…………あれ?ちょっと…いやかなり残念そう?
…いやいやいやいや…ま、待て、落ち着け俺。
美穂子さんが俺のプロポーズを喜んでくれるってどういう状況なのか理解しているか?
彼女が俺の事を好きになってくれているって…そういう事なんだぞ?
まぁ、確かに美穂子さんは俺と手を繋いだりしてくれるし、こうして部屋に招いたりもしてくれるし、料理まで作ってくれてるけれど…。
…………あれ?こうして考えると…結構、アプローチされてるような気が…。


京太郎「(い、いやいやいやいや、美穂子さんに限ってそれはないだろ)」

相手はうちの大学の三大アイドル枠の一人なのだ。
競争相手は数多く、男女問わず人気も高い。
そんな彼女が巨乳に弱く、すぐにスケベ顔を晒す男の事が好きになるだろうか。
冷静に考えれば、俺よりももっと相応しい相手が美穂子さんにはいるだろう。
そう…クールだ…クールになるんだ、俺よ。

美穂子「……プロポーズじゃ…ないの?」

京太郎「え、えぇっと…その…」

美穂子「………………京太郎君の馬鹿」ポソ

あばばばばばばばばばばばばば。
いやいやいやいやいやいやいや、待って!
おおおおおお落ち着け俺えええええええええ!!!
と、とりあえず落ち着いて状況を良く考えるんだ。
か、考えた上で美穂子さんが俺から目を逸らした理由を考えて… ――


京太郎「(って考えれば考えるほど、そういう想像しか出てこないんですけどおおおお!!!)」

だ、ダメだ…い、今の俺は冷静じゃない。
さっきから美穂子さんが俺の事が好きだっていうそんなあり得ない答えしか頭の中に思い浮かばないんだ…!
そんな状態じゃ何を考えても泥沼にはまっていくだけだろうし…い、今はとりあえず…お茶を一気に飲んで頭を冷やそう…!

京太郎「…っ」ゴクゴク

美穂子「…はい」コポコポ

京太郎「あ、ありがとうございます」

…って飲み終わった瞬間、すぐにお酌してくれるんだけど。
まだ顔はちょっと拗ねてる感じだけど、ちゃんと俺の事気遣ってくれてるんですけどおお!!
なんだ、この可愛い生き物!!!
正直、嫁に出来るなら嫁にしたいわ!!!
このままお持ち帰りして一生、幸せにしてやりたいわチクショウ!!!!


美穂子「…とりあえずね」

京太郎「あ、ハイ」

美穂子「あんまりこの雰囲気でご飯食べると美味しくないでしょうし」

美穂子「私も出来れば京太郎くんにはご飯を味わって貰いたいから…」

美穂子「……仲直り、しましょうか」

……天使だ、天使がここにいる。
さっき俺がどっちつかずな返答をさせて拗ねさせたのに…こうして仲直りを言い出してくれるなんて。
もう良い人過ぎて、一緒にいるこっちの方が申し訳なくなるくらいなんですけど。
まぁ…でも、そうやってあんまり気に病むのは美穂子さんも望まないところだろうし…。

京太郎「…分かりました」

美穂子「ん。じゃあ…ご飯食べましょうか」

美穂子「あ、ご飯おかわりいる?」

京太郎「お願いします」

美穂子「えぇ。じゃあ、ちょっと待っててね」

…よし、とりあえず目の前から美穂子さんが立ち上がっていなくなってくれた。
今の間に少し頭の中を切り替えておこう。
さっきの事は気になるけれど…でも、それを引きずらないのが美穂子さんの望みな訳だし。
少なくとも食事中は何時も通りになれるように、思考を切り替えて ――


京太郎「ふぅ。ご馳走様でした」

美穂子「はい。お粗末様でした」ニコ

…その甲斐あってか、何とか和やかな雰囲気で食事を終わらせる事が出来た。
まぁ、元々、俺が変な事言ったりしなければ、暗い雰囲気にもならなかった訳だしな。
何時も通りを心掛ければ、和やかな雰囲気に戻るのはそれほど難しくはない。
実際、俺達の間で会話は途切れる事はなく、食べ終わるまでに結構な時間が掛かってしまったくらいだし。

美穂子「はい。何時ものハーブティね」

京太郎「ありがとうございます」

…ふぅ、このハーブティも相変わらず落ち着く味と香りだな。
正直、これだけでもお金取れるんじゃないだろうかってくらいなんだけど。
その上、料亭レベルの美味しい料理と美少女のお世話までついてくるんだから…外で同じサービスを受けようと思ったら諭吉様一人じゃ効かないよなぁ。
最低でも数十万出さなかったら、この満足感は味わえないんじゃないだろうか。


京太郎「あ、そうだ。忘れない内にお金渡しておきますね」

美穂子「ダメよ。受け取れないわ」

京太郎「いや、でも…」

美穂子「誘ったのは私だし、気にしないで」

…とは言われても…なぁ。
正直、美穂子さんが手間ひまかけて作ってくれた料理ってだけでも諭吉様ぶっ飛んでもおかしくはない価値がある訳で。
その上、ここまで美穂子さんに尽くしてもらって、無料というのは有難い以上に申し訳ない。
材料費だって決してタダじゃないだろうし、せめてそれだけは支払わせて欲しいんだけれど…。

美穂子「…それにさっきの事、私、忘れた訳じゃないからね?」

京太郎「え?」

美穂子「私だってこれくらいの仕返しくらいはしちゃうんだから」プイ

…そ、それを言われるとこっちは何も言えなくなっちゃうよなぁ…。
こうして和やかに過ごしているけれど…俺は一方的に美穂子さんに許してもらっている訳で。
いわばどでかい借りがある以上、ここで無理やり、お金を手渡す訳にはいかない。
…ちょっと申し訳無さすぎるけれど、ここは彼女の厚意に甘えておくのが一番だろう。


京太郎「…分かりました。じゃあ、代わりに皿洗いでも…」

美穂子「ダメ」ニッコリ

京太郎「み、美穂子さぁん…」

美穂子「ふふ。そんな情けない声出しても許してあげません」

美穂子「今日はいぃっぱい甘やかしてあげちゃうんだから」

いや、美穂子さんに甘やかされるのとかご褒美以外の何者でもないんですけれど!!
でも、普段から結構、甘えさせてもらっているのに、コレ以上、甘えさせられたら…正直、ダメになっちゃいそうだ。
いや、まぁ、今の時点でも割りと俺はダメ男なんだけど…でも、それ以上に堕ちてしまいそうというか。
美穂子さんがいないと何も出来ない奴になってしまいそうでちょっと怖い。

京太郎「え、えっと…それじゃあ俺が出来そうな事って何かないですか?」

美穂子「うーん…それじゃあ…」

よ、よし…!
俺が美穂子さんに何かしてあげられる事があるらしい。
とりあえずそれを突破口にして、彼女に甘やかされるのは回避しよう。
正直、美穂子さんがいないと何も出来なくなるまで堕ちるのは魅力的に思えるけれど…でも、そんな事になったら彼女も俺を見捨てられないだろうし。
お互いズルズルと依存して不幸になる未来しか見えないんだから、ここは何とか抗うべき…!!


京太郎「俺、何でもやりますから遠慮無く言って下さい!!」

美穂子「じゃあ、私が皿洗い終わった後、私に膝枕される事」ニコ

京太郎「え?」

美穂子「後、耳かきもしてあげるから大人しくしててね」

京太郎「…………はい」

詰んだ…コレもう詰んでる…。
美穂子さんはもう完全に俺の事を甘やかすつもりみたいだし…。
何でもやると言ってしまった以上、俺に拒否権はない。
俺に出来る事と言ったら何とか自分の心を強く持って、ダメになる衝動を抑えこむ事くらいだ。

美穂子「じゃあ、私はちょっと皿洗いをしてくるから…ゆっくりしててね」ニッコリ

……何故だろうか。
今の俺にはあの微笑ましい美穂子さんの笑顔が悪魔のそれに見える。
しかも、それは恐ろしいものではなく、こっちを骨抜きにさせ、堕落させるサキュバスのようなものに。
…ただ、俺はもう彼女に骨抜きにされていっているのか、そんな美穂子さんもまた魅力的に思えて… ――

―― そして俺はそれから数時間、美穂子さんにトロトロになるまで甘やかされ続けたのだった。

という訳で美穂子編しゅーりょー
一番苦労したのは京太郎が美穂子に堕ちないよう歯止めを掛ける事だったという事実


それでは次回の安価は数分後…と言いたいのですが、次回が決戦になるのは間違いないですし
とりあえずキリの良いところで30分に安価出す予定です

あ、ちなみに煮物は私がそういう風に聞いたってだけで本当に煮れば煮るほど美味しくなるのか定かじゃありませぬ
でも、個人的には煮崩れする寸前まで煮込んだ煮物の方が好きです(´・ω・`)里芋と鶏肉といんげん豆の煮物とか良いよね…

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧          ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
      //////////////////////|    |////////////////////∧
       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|

【名前】 須賀京太郎

【ステータス】
体力 ほぼ人並みと変わらないレベル
学力 成績優秀で教授から留学を薦められるレベル
魅力 どんな場所でも必ず中心人物になれるレベル
雀力 三年のインターハイで大活躍したレベル
料理 一流料理店で活躍出来るレベル


恋愛抵抗値 2/100


【交友関係】
咲 幼馴染 ??999/100 【魂のパートナー】3回コミュを行うと???…(累計2)
ハオ 親友 53/100
謎チャー 変な人… 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる
智葉 部員 27/100
ステルス○○ 痴漢 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積4 フラグ2)
ネリー 好き 79/100
漫 良い人 30/100 【好印象】:好感度の上昇値が+1される(類似効果と累積する)
謎のうっかりさん ムカムカする 10/100 【悪印象】:好感度上昇が全て無効になる(累積8 フラグ2)
透華 親友 45/100
謎の大天使 コワクナイ…? 20/100
白望 …思ったより悪い人じゃなさそう 23/100 
憧 頼りにして良い…かな? 65/100 【好印象5】:好感度の上昇値が+5される(類似効果と累積する)
穏乃 やっぱり京ちゃんは素敵だね 999/100 【阿知賀の絆】:三回コミュを行うと自動的にエンディングに到達する(累計2)
マホ 好き 68/100
淡 好き 76/100
塞 もう貴方なしじゃいられない 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
竜華 特に関心ナシ 10/100
姫子 後輩 38/100
ちゃちゃのん 愛してる 100/100 【溢れる愛情】:コミュした時、恋愛抵抗値が通常の二倍低下する
和 ??/100 【特別な人】:コミュした時、恋愛抵抗値を10低下させる。三回コミュを行うと…(累計2)
美穂子 大好き 92/100
由暉子 友人 64/100
豊音 好き 67/100
爽 好き 74/100 
優希 大好き 97/100



12/21 午前のヒロイン


下3でー

しずもんだあああああああああああああああああああああああ

正直、前回投下した感じだとあんまり反応良くなかったんで、しずもんはないかもなーと思ってました!!
ここで来るとは流石、別世界の記憶蘇らせた子は違うわ(錯乱)
と言いつつしずもんコミュからエンディングまでかいてきまーす

うーん…正直、エンディング書いてもまだスレ残りそうなんでそれ次第でもう一回くらい安価いけるかなーと思ってたんですが…
この荒れようだと誰が取られても文句が出てくるのは間違いないですしやめた方が良いでしょうね
大人しく穏乃エンド書いてそれで終わりにすることにします


穏乃「(私にとって『須賀君』は知らない人だった)」

高校最後の年に個人戦で活躍した事くらいは知ってたけど…あくまでもそれだけ。
後は憧のお隣さんって事くらいで、それ以外の事は殆ど知らない。
でも、私は彼に会った時に…私の知らない私の記憶が浮かび上がって…。
そして…おかしくなってしまった。

穏乃「(…私にだって今の自分が変な事くらい分かってる…)」

…でも、まるでダムが決壊したように…私の知らない私の記憶は止まらない。
胸の奥から溢れ出る記憶は普通に過ごしている間も止まる事はなかった。
『京ちゃん』の事を初めて好きだと理解した時。
『京ちゃん』の夢の為、別の中学へ行く彼を見送った時。
『京ちゃん』が高校で憧と一緒に阿知賀に合流して嬉しくて仕方がなかった時。
どれもまるでついさっきあった出来事のように新鮮で…そして鮮烈なものだった。


穏乃「(…だから、私はどんどん我慢出来なくなっていって…)」

最初は…そんなのダメだって思ってた。
だって、『京ちゃん』と『須賀くん』はまったくの別人なんだもん。
幾ら私が馬鹿だって…そんな事くらい分かってる。
でも、毎日毎日、私を揺さぶる記憶はどうしても止まらなくて…。
私はついに我慢出来なくなって…彼に会いに行ってしまった。

穏乃「(最初はただ少し話せればそれで良いって思ってたのに…)」

…やっぱり私はおかしくなりすぎちゃったんだろう。
勝手に口が動いて…彼の部屋にあがりこんじゃった。
その上、彼の優しさに甘えてエッチな事までしちゃって…。
勿論、私だってそういう事をした経験くらいはあるし…記憶が浮かびあがるようになってからはその回数も一気に増えちゃったけど…。
でも、人前でするほど羞恥心がなかった訳じゃないはずなのに、私はアソコを彼にこすりつけて… ――


穏乃「(でも、彼はそれを許してくれた)」

穏乃「(気づいてたのに…見てみぬフリをしてくれた)」

本来なら、それは嫌われてもおかしくはない事なんだと思う。
普通ならば汚らわしいとそう思われてもきっと文句は言えない。
でも、彼はそんな私を許してくれて…その上、優しくしてくれた。
彼の身体でエッチな事をした私を気遣って、ベッドに運んでくれて…。

穏乃「(だから…私はついつい告白してしまった)」

元々、私はそんな事言うつもりはなかった。
だって、そんなの…どう考えても気味が悪いもんね。
会ったばかりの女の子に好きって言われたら、怖がって当然だと思う。
でも、彼はつい告白してしまった私を怖がるどころか…真剣に向き合ってくれて。
こんな小さくて気持ち悪い私に…ちゃんと告白の返事をしてくれたんだ。


穏乃「(…多分、それが決定的…だったんだよね)」

それまで私の心の中には私の知らない私を拒む気持ちはあった。
まるで私の事を上書きするようなその記憶を嫌がる自分は決して小さいものではなかったはずなのに。
…でも、それは昨日、彼に…京ちゃんに全部、溶かされてしまった。
記憶の中の『京ちゃん』と同じように私に真剣に向き合ってくれた彼に…私の気持ちをちゃんと受け止めてくれた彼に…。
『私』ではなく私として…改めて恋をしちゃったんだと思う。

穏乃「(お陰で私はドンドンと記憶に侵されていって…)」

…もう私と『私』の区別なんてつかないくらいくっついちゃってる。
勿論、『私』の記憶を現実として受け止めるほど一体化した訳じゃないけれど。
でも、私も『私』も常に京ちゃんの事を想っているのは同じ。
最初こそおかしかったけれど…でも、私は京ちゃんの事を世界で一番、愛してる。


穏乃「(だから…)」

京太郎「ふぅ…ふぅ…」

穏乃「ほら、京ちゃん、早くしないと置いてっちゃうよ?」

京太郎「ちょ、ま、待ってくれ…」

こうして私は京ちゃんの朝のジョギングに付き合うようになった。
本当はもっと一緒にいたいけれど…でも、お互い大学があるし。
私は大学よりも京ちゃんの方が大事だけど…だからって京ちゃんの生活を壊したいほどじゃない。
こうして朝の時間だけでも京ちゃんの事を独占出来る事を喜ぶべきなんだ。

穏乃「じゃあ、ちょっと休憩する?」

京太郎「そ、そうさせてくれ…」フルフル

…ただ、ちょっぴり欲求不満…かな?
てっきり『京ちゃん』と同じように京ちゃんも私より早いと思い込んでいたけれど…。
でも、京ちゃんは『京ちゃん』と違って、結構、運動不足だったみたい。
まだ走り始めて一時間しか経ってないのにギブアップするとは思ってなかった。


穏乃「(でも、そういうのも可愛いよね)」クス

京太郎「…なんだ?」

穏乃「んーん。なんでもない」ニコ

その程度で幻滅するほど京ちゃんに対する気持ちは軽くない。
むしろ、ちょっぴり…楽しみ…かな?
京ちゃんがどれだけ伸びしろがあるかは『私』が一番、良く知っている訳だし。
このまま鍛えていったら、すぐに私を超えてくれるだろうし、その時、こっちがバテバテになるまで付き合って貰えば良い。

穏乃「じゃあ、ちょっとジュース買ってくるね」

京太郎「…悪いな」

穏乃「ううん。気にしないで」

何より、私にとってはこうして京ちゃんと一緒に過ごす時間ってだけでもすっごく幸せなんだもん。
一時期はこんな気持ち悪い私なんて受け入れて貰えないって思ってたのに…京ちゃんは私を側に置いてくれて。
こうしてジョギングを一緒に走ろうって言い出してくれたのも京ちゃんの方なんだもん。
無難な断り文句じゃなくて本気で私の事を知ろうとしてくれている京ちゃんと一緒にいるのに、嫌な気分になるはずがない。


穏乃「はい。どうぞ」

京太郎「あぁ。ありがとう。…ってあれ?」

穏乃「どうかした?」

京太郎「…いや、俺、しずに俺の好み伝えたっけ?」

穏乃「ううん。聞いてないよ」

…でも、『私』には京ちゃんがどういう事が好きなのか大体、分かる。
歩んできた人生こそ違うから身体能力や麻雀の強さなんかはまた別だけど。
でも、京ちゃんが『京ちゃん』である事に間違いはないんだから、好物とかも殆ど変わらない。

穏乃「強いて言うなら…愛の力…かな?」

京太郎「…いや、それはそれでちょっと怖いんだけど」

穏乃「あ、盗聴器とかそういうんじゃないよ」

穏乃「そんなの使わなくても、京ちゃんの事はちゃんとわかるし」ニコ

そしてそれは私にとって決して無視出来ない利点だと思う。
昨日から色々と話をしてて思うけど…京ちゃんの周りには可愛い女の子がとても多いんだから。
そんな子達に色気もなにもない私が勝つには情報と言うアドバンテージを活かすしかない。
元々出遅れているのもあるし、多少、賭けに出てでも、何とか巻き返しを図らなきゃ。


京太郎「うーん…まぁ、深くは気にしない方が良い…のか?」

穏乃「うん。そっちの方が有難いかな」

…京ちゃんに隠し事なんてしたくはないし、何時かは『私』の事も話すと思う。
でも、今はそれを京ちゃんに話しても、変な子だって思われるだけ。
…まぁ、今の時点でもかなり変な子だって思われてると思うけど、だからってそれを悪化させて良いはずがないし。
京ちゃんが私の恋人になって…私の事を好きになってくれてから改めて伝えた方が良い。

穏乃「それより、今日は京ちゃんも休みなんだよね」

京太郎「あぁ。そうだけど…」

穏乃「じゃあ、ちょっと遊びに行かない?」

京太郎「…それってデートのお誘いって奴か?」

穏乃「うん」ニコ

ついでに言えば…京ちゃんは鈍感だ。
人の感情の動きには敏いけれど、肝心なところまでは理解してくれない。
だから、こうやってハッキリとデートのお誘いだってそう言わなきゃ…ね。
まぁ、ちょっと恥ずかしいし…何より断られるんじゃないかって思って緊張もするけれど…。


京太郎「いいよ。俺も今日は特に予定がないしさ」

穏乃「やった!」ギュッ

京太郎「ちょ、お、おい、抱きつくなって」

京ちゃんはそう言うけれど…でも、仕方ないよ。
だって、私にとって京ちゃんとのデートってそれだけの価値があるんだもん。
京ちゃんが目の前にいなかったらきっと飛び上がって喜んでいたはず。
そんな私の目の前に京ちゃんがいるんだから…抱きついて当然だよね。

穏乃「(それに…京ちゃんはこういうスキンシップにあんまり慣れてないみたいだし)」

…と言うよりもストレートに好意を示されるのが苦手…なのかな?
私に抱きつかれる事そのものよりも、積極的に攻めていく私にドキドキしてるっぽい。
格好良いし、優しいし…取り柄も一杯あっててっきりモテるんだと思うんだけれど…。
でも、こうした反応を見るに、今まで彼女がいた事がないのかもしれない。


穏乃「(だったら…ガンガン攻めていかないとね)」

勿論、この前みたいな攻めすぎは禁物だと思う。
でも、ここで嫌われる事を恐れていたら、何時迄も挽回なんて出来ないんだ。
京ちゃんがそういう事に慣れる前に、もっとドキドキして…私の事を好きになって欲しいから。

穏乃「…やだ」ギュゥゥ

京太郎「…ホント、しずって押しが強いよな」

穏乃「そういうのは嫌い?」

京太郎「…まぁ、嫌じゃないけれどさ」カァ

…ふふ、やっぱりそうなんだ。
京ちゃんってば鈍感だから…こんな風にストレートな好意を示していった方が効果的なんだね。
実際、私に抱きつかれる京ちゃんの顔、微かに赤くなっているし。
…これ走ってたから…じゃないよね。
私にドキドキしてるから赤くなってくれているんだよ…ね。


穏乃「んふぅ♪」スリスリ

京太郎「あー…もう…」

そんな京ちゃんにスリスリしても、彼は私を突き放そうとはしない。
その声はちょっと呆れるようなものだけれど、でも、全然、嫌なものじゃなくって。
思いっきり距離を詰めていく私の事を京ちゃんが許してくれているのが伝わってくる。
その上、こうして接近すると京ちゃんの汗の匂いがむわって来て…私…また変な気分になっちゃいそう…かも…。

穏乃「(い、いや、でも、それは流石にまずいでしょ)」

昨日、同じ事をやって私は後ですっごい後悔したんだから。
それと同じ思いを2日連続でしたくはない。
だから…アソコがもうウズウズしてるけれど…でも、何とか抑えないと。
一時の欲望に流されて京ちゃんに嫌われるのなんて一度だけで十分なんだから。


穏乃「よしっ」スク

京太郎「ん?」

穏乃「ちょっとその辺、走ってくるね!」

京太郎「え?」

そのムラムラをどうすれば良いのか、私はもう知っている。
『私』がそうであったように、身体を動かせば、少しはマシになるんだ。
…まぁ、マシになるってだけで、あくまでも、なくなる訳じゃないんだけれどさ。
でも、頑張ってクタクタになるまで走れば、きっと我慢出来るくらいにはなってくれるはず…!

京太郎「…んじゃ俺も付き合うか」

穏乃「え?良いの?」

京太郎「まぁ、休憩させて貰ったお陰で多少は回復してるし」

京太郎「それに一緒に走ってるってのにしずをひとりぼっちにさせるのも可哀想だろ」

穏乃「~~~~っ♥」キュゥゥゥン

…あ、コレ、ダメかも。
私の事気遣ってくれる京ちゃんが嬉しすぎてお腹の奥がヤバイ事になってる。
さっきはトロォって感じだったけど、今はもうキュンキュンって感じ…。
私の身体が京ちゃんの事欲しがっているって言うのが頭の芯まで伝わってくる…。


京太郎「…どうかしたか?」

穏乃「…う、ううん。何でもない」モジモジ

…でも、流石にそれは言えないよね。
ここは公園の中で…周りにもポツポツといるんだから。
京ちゃんが欲しいなんて…どれだけ思ってても口走ってしまった瞬間アウト。
私だけじゃなくて京ちゃんの評判まで落ちちゃうし…きっと京ちゃんにも嫌われちゃう。
だから、どれだけ子宮がオネダリしてても…今は我慢しないと…!

穏乃「…ただ、京ちゃんってホント、女殺しだなって思って」

京太郎「…しずがチョロ過ぎるんだろ」

穏乃「まぁ、それは正直、否定出来ないけれど…」

…でも、今のは京ちゃんも悪いと思うな。
私がもうメロメロなのは京ちゃんも分かってるはずなのにあんな事言うんだもん。
普通に言われるだけでもちょっとドキっとしちゃう言葉を、さらっと言われたらもう無理だよ。
…………京ちゃんがもし恋人だったら私、今すぐ彼に抱きついてオチンポオネダリしてたと思う。


穏乃「私がチョロいのは京ちゃんだけにだよ?」ジィ

京太郎「流石にそこまで疑ってないよ」ポンポン

穏乃「ん…♪」

…これ、ホント好き…♥
頭の上を優しくポンポンされて…京ちゃんの暖かさが伝わってくる感じ…♪
私に言い聞かせる時にこうして優しくポンポンしてくれるのは…『京ちゃん』も京ちゃんも変わらないね…♥
これだけでも私、胸の奥がドキドキして…また京ちゃんの事好きになっちゃう…♥

穏乃「(…そのお陰か、キュンキュンする感覚は少しマシになったし…)」

穏乃「…じゃあ、そろそろ走ろっか」

京太郎「ん。でも、手加減してくれよ」

京太郎「流石にまだ全快って訳じゃないし、しずについてくのは辛い」

穏乃「分かってるって!」

私は走るのが好きだ。
でも、一人で走るよりもずっとずっと京ちゃんと一緒に走る方が好き。
私のしたい事を京ちゃんも一緒にしてくれると思うと…大好きが溢れて顔がにやけちゃう。
だから、どれだけ京ちゃんが遅くても置いてったりなんか絶対にしない。
最後の最後まで隣で一緒に走り続けて…… ――


穏乃「んふー…♪」ギュゥ

その夜、私はとっても満足していた。
だって、その日一日、京ちゃんは私とずっと一緒にいてくれたんだから。
朝はジョギング、昼は映画、夜はゲーセンと楽しいところに一杯連れて行ってくれて。
こんなに充実した楽しい日は私の人生の中でも早々、なかったと思う。

穏乃「(…まぁ、その分、何度もパンツを変えたけれど)」

だって、京ちゃん、素で私の事キュンキュンさせてくるんだもん…。
疼く子宮を抑えようとお腹の上に手が伸びた回数なんて一度や二度じゃない。
自然、滴るエッチなお汁は私の下着を濡らして…何度か内股にも溢れそうになっていた。
一応、それを見越して下着の換えは多目に持ってきたけれど…まさか使い切るなんて思ってなかったよ…。


京太郎「…満足してくれたか?」

穏乃「うん。とっても」ニコ

ただ、その甲斐あってか、私と京ちゃんの距離は大分、縮まったと思う。
少なくとも朝の時点に比べれば、大分、自然な感じでお喋り出来るようになったし。
何より、こうして腕を組んでいても、京ちゃんはもう何も言わなくなった。
まぁ、それは単純に諦めただけなのかもしれないけれど…でも、私にとっては大きな収穫。
この調子で色んな事を許してもらえれば、京ちゃんのドキドキ率もあがっていくし、案外、早い内に京ちゃんと恋人になれるかも ――

京太郎「おっと、悪い、電話だ」

穏乃「うん。大丈夫だよ」

…まぁ、仮にもデート中だし、ちょっとさびしい気持ちはあるけれどね。
でも、私はまだ京ちゃんの彼女じゃない訳だし…何より、今日は本当に満足しているんだから。
その終わりに少しくらい別の誰かと電話していても、一々、気にしたりはしない。
少なくとも、その誰かは京ちゃんの側にはいないんだから。
私が京ちゃんの事を独占してるって言う事実は変わらないし…。


京太郎「あぁ。憧か」

穏乃「っ…!?」

…な、なんで憧が京ちゃんに電話を…?
勿論、憧が京ちゃんの電話番号を知ってる事くらい私も聞いてたけれど…。
でも…でも…なんでこのタイミングで京ちゃんに電話をかけてきたのが憧なの?

穏乃「(…他の誰かなら…気にしないのに…)」

私も『私』も憧の事も大好きだ。
『私』にとって憧は、ただの親友と言うだけじゃなくて、真っ先に京ちゃんを共有した仲間だったし。
私にとっての憧は、高校三年間をずっと隣で戦ってきたかけがえのない戦友だった。
でも、だからこそ、私は憧の事をとても意識していて……どうしても胸の中に不安が過ってしまう。


穏乃「(…もし、憧が私みたいになったら…)」

…今のところはそれらしい気配はない。
でも、私自身、どうしてこんな風になってしまったかまったく分からないのだ。
私が知らない間に憧も同じようになっていないとはどうしても言い切れない。
そして何より…私と同じようになってしまった憧に勝てる自信は私の中にはなかった。

穏乃「(私よりも憧の方がずっとずっと可愛いし…)」

穏乃「(オシャレの事だって沢山知っているし…)」

穏乃「(それに京ちゃんの隣に住んでいて…)」

勿論、『私』も多少は自分を着飾る術は知っている。
その上、京ちゃんの好みも理解しているから…他の子相手に不利なつもりはあまりなかった。
しかし、憧がもし『憧』の記憶を手に入れたら…一気に私の有利な部分がなくなってしまう。
元の時点で差がある以上、どれだけ私が背伸びをしても憧には敵わないんだ。


京太郎「あぁ。…ばーか。分かってるって」

京太郎「そっちこそ気をつけろよ。…おう、じゃあな」ピッ

京太郎「悪い。待たせたな」

穏乃「ううん。それは良いんだけど…今の憧から?」

京太郎「おう。もうちょっとしたら帰るから迎えに来てくれってさ」

穏乃「……そう、なんだ」シュン

勿論、私だって憧がいったい、どういう状況にあるかくらいは分かってる。
昔から男の人が苦手だった憧は…男の人にストーキングされているんだ。
元から男の人に対して壁のあった憧が頼れる男の人なんて、ふとしたキッカケで仲良くなった京ちゃんしかいなくて。
そしてそんな京ちゃんが憧を護る為、送り迎えを申し出た事も…憧から聞いている。

京太郎「…もしかして嫉妬してるのか?」

京太郎「大丈夫だって、新子さんは男性恐怖症なんだし」

京太郎「世界がひっくり返ってもそんな事になったりしないからさ」

穏乃「……うん」

京ちゃんはそう言ってくれるけど…でも、分かってない。
頭の中に湧き上がる自分ではない自分の記憶は…すぐさま影響を与えてくるんだから。
実際、私だって、こんな風になるまで誰かの事を好きになるなんて思ってなかったし…。
ましてや、男の人にここまで夢中になるだなんてあり得ないとそう思い込んでいた。


穏乃「(それに…そもそも憧は結構、京ちゃんの事を意識してるし…)」

京ちゃんはこれまでの憧を知らないからきっと軽く考えているんだろうけれど。
でも、憧の人生の中で、これまでこんなに仲良くなった男の人なんて京ちゃんしかいないんだ。
しかも、こんな短期間でここまで仲良くなるなんて…正直、ビックリしたくらいで。
本人にはまだそういうつもりはないけれど、この調子で行けば、間違いなく憧も京ちゃんの事が好きになる。

穏乃「(…どう…しよう)」

穏乃「(どうしたら…良い?)」

さっきまで幸せで満ち足りた気分だったのに…今の私にはもうそんな気持ちがまったくない。
全部、吹き飛んでしまって…心の中が不安で一杯になっている。
まさか憧の電話一つでここまで全部台無しになるなんて…自分でも思ってなかったけれど…。
……やっぱり私にとって憧はどうしても苦手意識が切り離せない相手なんだと思う。


京太郎「…しず?」

穏乃「あ…」

…気づいた時にはもう私のマンションについていた。
ここから少し上がって…私の部屋にたどり着けばもうデートは終わり。
私は一人になって…京ちゃんは憧を迎えに行く。
勿論、それは仕方のない事ではあるんだけど…でも…私は…。

穏乃「…京ちゃん、部屋に上がっていかない?」

京太郎「え?」

穏乃「今日、楽しませてくれたお礼…したいからさ」

京太郎「うーん…」

…そこで京ちゃんが悩むのはやっぱり憧の事が引っかかっているんだろう。
見た目は結構軽そうに見えるけれど…その実、京ちゃんってかなり真面目な方だし。
憧との待ち合わせに遅れたりするのは嫌だとそんな風に考えているはずだ。


穏乃「…憧との待ち合わせがあるんでしょ?」

穏乃「でも、お茶一杯とお菓子をちょっと摘んで貰うだけだから大丈夫だよ」

穏乃「絶対に引き止めたりはしないしって約束するし」

京太郎「…うん。それならちょっとお邪魔しようかな」

穏乃「……うん」

……さて、どうしよう…かな。
前準備はこれで整った訳だけれど…私の中で二の足を踏む気持ちはどうしてもあって。
頭の中ではこれから先にするべき事が浮かんできているけれど、でも、それを実行する踏ん切りがまだつかない。
でも、そうしている間に私は京ちゃんと自分の部屋の前について… ――

京太郎「お邪魔します」

穏乃「う、うん。どうぞ」

…京ちゃんを部屋にあげた。
何時もならばそれだけでも凄いドキドキして嬉しくなるはずなのに…。
でも、今の私は未だ迷っている所為か、それを素直に喜ぶ事が出来なかった。
勿論、嬉しい気持ちはあるけれど、でも、身体に走る緊張はそれに浸る事を許してくれなくて。
私はぎこちないままキッチンに立ち、京ちゃんの為にお茶を入れ始める。


穏乃「(…引き返したり思い直したりするのは…今しかない)」

穏乃「(ここで動いちゃったら…もう元の関係に戻れないのは確実なんだから)」

穏乃「(少なくとも…ここで動いたら私は一生、負い目を背負う事になる)」

穏乃「(京ちゃんにも憧にも…顔向け出来ない事になって…)」

京太郎「こう言っちゃなんだけど…思ったよりもしずの部屋ってずっと綺麗だ」

京太郎「小物とかも思ったよりも女の子っぽいし、やっぱしずも女の子なんだな」ニコ

穏乃「…っ」ドキッ

…それは多分、京ちゃんにとってはただの冗談なんだと思う。
きっと私の様子が変だから、冗談で場の雰囲気を和ませようとそうしてくれていたんだ。
……でも、自身の選択を思い悩む私にとって…その笑顔は起爆剤だった。
心の中に残る良心を吹き飛ばすようなそれに…私はもう我慢出来なくなってしまう。

穏乃「(…ごめんね、京ちゃん、憧…)」サァァァ

…でもね、でも…私、どうしても京ちゃんを憧に渡したくないの。
ううん…憧だけじゃない。
私にこんなに素敵な笑顔を見せてくれる人を…笑顔を向けてくれるだけでこんなに幸せな気持ちになる人を…。
他の誰にも…絶対に絶対に…渡したくない。
私は…例え、他の何もかもを犠牲にしたって…京ちゃんの事を手に入れたいの。
だから…… ――


穏乃「…お待たせ、京ちゃん」ニコ

京太郎「おう。って…これグリーンティか?」

穏乃「うん。憧からおすそ分けで貰ったんだけど…あんまり使わなくてさ」

穏乃「良かったら一杯、飲んでくれると嬉しいな」

京太郎「おう。それくらいお安い御用だよ」

…もう私の心に躊躇いはなかった。
それどころか良心の呵責もなくて、こうして京ちゃんとも自然に会話出来ている。
そのグリーンティの中に何が入っているのか理解しながらも、おくびにも出さない自分に私は微かに驚きさえ覚えていた。
てっきり自分はそういう嘘がつけないタイプだと思っていたんだけれど…やっぱり私はおかしくなってしまったんだろうね。
京ちゃんの為なら…ううん、京ちゃんを手に入れる為ならこんなことだって平気で出来るようになっている。

穏乃「(…昨日だってそうだったけれど…)」

昨日、京ちゃんが抱いたら責任を取ってくれると言った時も…私は躊躇いなく京ちゃんに裸を晒した。
勿論、普段の私はジャージ姿で出歩いているようにあまり羞恥心の強い方じゃないけれど。
でも、男の人に裸を見せてるってなったら絶対に恥ずかしがっていたと思う。
けれど、あの時の私は興奮していても羞恥心はあまり感じなくて…京ちゃんを手に入れる為ならばと誘惑しようとしていた。


京太郎「…ん?これ何かちょっと味変じゃないか?」

穏乃「そう?…あ、ちょっと古い所為かも」

京太郎「あぁ。だからか」

京太郎「まぁ、勿体ないから俺は飲むけど…しずは控えた方が良いかもな」ゴクゴク

穏乃「…うん。そうする」

勿論、私の分のグリーンティには余計なものは何一つ入っていない。
入っているのは精々、甘味付のシロップくらいなもの。
でも、京ちゃんがこうして飲んでくれている方が決してそれだけじゃない。
私が京ちゃんと出会って…夢の中でまで『私』の記憶を見せられる事に悩んでいた頃、お医者さんに貰った睡眠薬が混ざっているんだ。

京太郎「さて、それじゃあ…」ヨロ

京太郎「あ…あれ…?」

そんなグリーンティを京ちゃんが飲んでから三十分。
そろそろ私の部屋を出ようと言った時に、どうやら効果が出てくれたらしい。
立ち上がろうとした京ちゃんはそのままバランスを崩し、ぺたんとクッションの上に座り込んでしまった。
そのまま何度か立ち上がろうとするけれど、でも、もうお薬は完全に身体の中に混ざってしまったんだろう。
見るからに身体がぐったりしていて、顔も眠そうになっている。


穏乃「…どうしたの、京ちゃん?」

京太郎「あ、いや、俺…」ゴシゴシ

そんな眠気に京ちゃんも抗おうとしているんだろう。
でも、眠気を追い払おうと瞼を擦る腕も何処かおぼつかない動きになっていた。
錠剤が飲めない私に合わせて粉薬で出してくれた睡眠薬を、三回分入れたんだもん。
幾ら京ちゃんの身体が大きくても聴き始めた以上、それに抗う事は難しいはずだ。

穏乃「もしかして眠い?」

京太郎「い、いや、俺は…」

穏乃「無理しちゃダメだよ」

穏乃「そんな状態で憧のところに言っても足手まといになるだけだし…今日は私の部屋でゆっくりしていって」

京太郎「う…で、でも…」

穏乃「大丈夫。憧には私からちゃんと連絡を入れておくから」ニコ

…勿論、京ちゃんのスマートフォンじゃなくて私のスマートフォンから…だけど。
そうすればあんまり強く言わなくても、憧への牽制になる。
こうして良心の呵責さえ投げ捨てたとは言え、私にとって憧は未だ大事な親友だし。
出来れば傷つけたくはないし、あまり危険に晒したいとは思っていない。


穏乃「(でも、今日だけは…)」

穏乃「(今日だけだから…許してくれるよね?)」

京太郎「し…ず…」コテン

穏乃「…………ふふ♥」

…京ちゃん、眠る前に私の名前を呼んでくれた…。
それってつまり…良いって事だよね?
私がこのまま京ちゃんの事犯して…それで責任取って貰っても良いって言ってくれてるんだよね?
大丈夫だよ、私はちゃんと分かっているから。
京ちゃんの気持ち良いところも…京ちゃんの気持ちも全部。

穏乃「(だから…)」ジィィィ

…脱いだジャージからチラリと見えたパンツはもうぐしょぐしょだった。
何だかんだ言って…やっぱり私も期待してたんだよね。
京ちゃんを部屋にあげた瞬間から…こうして結ばれる展開を。
『私』の事を何度もイキ狂わせた…あのエッチなオチンポを私も子宮で味わいたくて仕方がなかったんだ…♥

穏乃「京ちゃん…愛してる…♥」

…瞬間、漏らした私の声は一体、何のためのものなのか私には分からない。
京ちゃんを今から襲おうとしてる自分を正当化する為なのか、或いは未だ脳裏をよぎる憧の事を消そうとしたのか。
ただ、どちらにせよ…私がこれからやる事は変わらない。
すぅすぅと安らかな寝息を立てる京ちゃんの股ぐらに私はそっと顔を近づけて… ――


―― それから私は『私』と同じように朝まで京ちゃんの上で腰を振り続け…そのオチンポでアクメし続けちゃった…♥


京太郎「(世の中の男どもの果たして何%が逆レイプの経験があるんだろうか…)」

…多分、どれだけ多くてもその数は一割にも満たないだろうな。
逆レイプされるような男って、大抵、女の子が放っておかないような美少年なんだろうし。
そんな男が過半数を占めているとはと到底、思えない。
少なくとも世の大半は俺のようにかもなく不可もなく顔立ちの男が殆どなんだろうし。

京太郎「(…なのにどうして俺は逆レイプなんかされたのかなぁ…)」

正直、何もかもが終わった後だとしても解せない。
そもそも俺を逆レイプした子は俺に一目惚れしたと言っていたけれど…でも、女の子を一目惚れされるほど俺はイケメンじゃない訳で。
むしろ、ふられた回数の方が遥かに高いくらいの俺が、ただ一目惚れされるだけじゃなく二日目には逆レイプされるなんて正直、信じられない。
未だにふとした時にアレらは夢だったんじゃないかと思う事もあるくらいだ。


京太郎「(…まぁ、でも、そんな風に現実逃避しても、現実は変わらない訳で)」

穏乃「京ちゃんっ♥」パタパタ

京太郎「…おう」

…俺は今、逆レイプした女の子と付き合っている。
勿論、眠った俺を犯したしずと付き合う事にまったく抵抗がない訳じゃない。
少なくとも…俺はまだしずの事を良く知らないし、色々と謎が多い相手だと思っている。
和に対する未練もまだ俺の中で残っていて…少なくとも好きだと断言出来たりはしない。

京太郎「(…でもさ、流石に放っておけないよな)」

…全てが終わった後、俺はしずから話を聞いた。
どうしても俺を憧の元へと行かせたくなかった事。
行くにしても、何か自分の中で証のようなものが欲しかった事。
エッチすれば、俺と付き合えるとそう思っていた事。
…正直、それらを聞いたところで逆レイプしたしずの罪状が軽くなる訳じゃないけれど。
でも、そうまで彼女を追い込んだ原因の一端が俺にもあるとなれば…攻める訳にはいかなかった。


京太郎「(…まぁ、俺の事が好き過ぎる以外は悪い子じゃないんだよな)」

こうしてしずと恋人になってからまだ数日だけれど…俺としずの相性は意外と良いらしい。
少なくとも趣味の類は完全に一致するし、話していても気まずくなる事は殆どなかった。
意外な事に家事もそこそこ出来て、俺の世話を焼いてくれる事もある。
まぁ、おっぱい小さいのはかなりの減点対象ではあるが…そんな事、気にならないくらい身体の相性が良いんだよな。
意識を取り戻した後も、一体、何度、しずに搾り取られたか、数えるのも馬鹿らしいくらいだ。

穏乃「…京ちゃん、もしかしてエッチな気分になった?」チラッ

京太郎「い、いや、流石に出会って早々、そんな気分になるほどサルじゃねぇよ」

ま、まぁ…ちょっと危なかったけどさ。
少なくとも、俺にとってしずとのセックスはそれくらい気持ちの良いものだったんだし。
しずと会っていない時も、何処触っても感じる敏感さや膣肉の締め付けを思い出してムスコが反応する事がしばしばある。
正直、心はともかく身体の方は順調に調教されているようで怖いけど…でも、だからって彼女の事を手放すつもりはなかった。


京太郎「(…それこそ大惨事になりかねないしな)」

穏乃にとって、俺は逆レイプしてでも手に入れたいほどの男なのだ。
そんな俺が彼女の事を振ってしまったらどうなるのか?
…ストーカーになるのはまだマシな方で、俺の周りにいる女の子に危害を加える事だって考えられる。
何だかんだと情も沸いている彼女がそんな凶行に走る姿は、想像して楽しいものじゃない。
コレ以上、しずが大変な事をしでかさないように、俺の元に繋いでおくのが一番だろう。

穏乃「私は京ちゃんの顔を見た瞬間、エッチな気分になったよ…♪」

穏乃「あそこもキュンってして…京ちゃんとエッチしたいって言ってる…♪」

京太郎「…ダメだ。まだ我慢だ」

穏乃「うん。京ちゃんがそう言うなら我慢する…♥」

それにまぁ…意外としずは素直だ。
勿論、我慢できなくなったら爆発もするけれど、案外、俺の言う事はちゃんと聞いてくれる。
今もこうして俺の前でメスの顔を晒しながらも、我慢するとそう言ってくれているし。
本当に我慢出来なくなるまではその欲情を抑えこもうとしてくれるだろう。


京太郎「それより…結構、今日はおめかししてくれてるんだな」

穏乃「うん。折角のクリスマスだからね」ニコ

そう笑うしずは何時ものジャージ姿ではなかった。
ベージュ色のショートダッフルコートの下に黒白チェックのミニスカートを履いている。
しずがそんな風にスカートを履いている姿なんて公式戦くらいなもんだし、きっと色々とオシャレを頑張ってくれたんだろう。
それが俺の為なんだと思うと…やっぱり嬉しいよな。

京太郎「可愛いよ、しず」ナデナデ

穏乃「んふぅ…♪」

おーおー…嬉しそうな顔をしちゃって。
ホント、こういうところは本当に可愛いんだけどな。
なんで、俺に関してだけは見境がなくなってしまうのか。
こういうところを普通に見せてくれていたら、いずれ普通に好きになってたかもしれないのに。
…まぁ、そんなこと、今更言っても、仕方ないんだけどさ。


京太郎「んじゃ、そろそろ行こうか」スッ

穏乃「うん」ギュゥ

そう言って伸ばした腕にしずが抱きついてくる。
ここももう完全にしずの定位置みたいなもんだな。
お互い身長差がありすぎて手をつなぐのはちょっと厳しいし。
こうして手を組むのが一番楽だという結論にお互い達した訳だけれど。

穏乃「…京ちゃん、私、幸せだよ♥」

京太郎「……そっか」

…それでもまだ俺はしずの気持ちにどう応えれば良いのか分からない。
そう簡単に答えを出すには、俺と彼女の間には色々とありすぎるのだから。
…だからこそ、俺は幸せだと言うしずの言葉に曖昧な返事を返す事しか出来ない。
それでも彼女は嬉しそうな顔を崩す事なく、まるで子犬がじゃれつくように俺に抱きついてきて。


穏乃「私、何時か必ず京ちゃんの事幸せにしてみせるから…」

穏乃「だから…ずっと私の事、側において欲しいな」

京太郎「…あぁ。分かってるよ」

それが何時になるかは俺自身、良く分からない。
意外と一ヶ月くらいで陥落しそうな気もするし…数年掛けてもいまだ蟠りを残しそうな気がする。
ただ、それでもひとつだけ言える事は…俺はきっともうしずを手放す事はないだろうと言う事。
その馴れ初めこそ人に言えるものではないが、俺は初めての女性となったしずに情も沸いているし…。
何より、彼女から離れる方が危険だと嫌と言うほど分かっている。
だからこそ、俺は微かに不安混じりのしずの言葉にそう返して… ――


―― そのまま二人でクリスマスのネオンが照らす街の中、クリスマスデートを楽しむのだった。


ってところで穏乃ENDを迎えたところで終わりだオラァ
何か微妙な終わり方ですけど、しずは京ちゃんの事をある意味、誰よりも(※ただし咲ちゃんは除く)理解してくれている女の子ですし
身体の相性もバッチリなんでいずれ本気で好きになって結婚したりするんじゃないですかね(´・ω・`)その前に膣内射精ねだられまくって先に子供出来ちゃいそうですが

また今回は色々と反省点が多く、
最初に想定していたサークルクラッシャー感が出せなかった事(コミュは一人限定だったけど、最大二人でも良かったかも)
好き以上からカンストまで好感度をあげても意味がなかった事(前も言ってた通り大好きはボーナスつけた方が良かった)
など他にも色々とありますが、個人的には久しぶりに即興やれて、皆様の反応も沢山貰えて楽しかったです
3スレにわたってのお付き合い本当にありがとうございました

あ、咲ちゃんに関しては色々と気になる人もいるみたいですしリクエストもあったのでまた今度書こうかな、と
まぁ、流石に19時からぶっ通しで投下しっぱなしで疲れたんでまた後日になりますが
また、数レス程度で収まる内容なんでレス数気にしたりしなくても大丈夫です(´・ω・`)


―― 京ちゃんの部屋のキッチンはあんまり大きくはない。

京太郎「っと悪い」スッ

咲「んーん」

でも、私はあんまりそれが嫌じゃなかった。
だって、そうやってそんな風に小さいって事は、こうして横に並んで料理してると手が触れ合う訳で。
その度に顔を真っ赤にするような時期なんてとうの昔に過ぎてるけど、やっぱり内心、ちょっとドキっとするし。
何より嬉しいって気持ちが私の中で強かった。

咲「(…私も結構、乙女だよね)」

こうして京ちゃんと一緒に過ごすのがもう何年になるのかさえ私には分からない。
それでもこうしてドキリとしてしまうのは、やっぱり私の根が乙女だからなんだろう。
しかも、ただの乙女じゃなくて…京ちゃんに首ったけの、所謂、恋する乙女って奴。
正直、京ちゃんは結構鈍いから、色々と苦労する事もあるけれど、でも、そんな自分が嫌じゃなかった。


咲「こっち出来上がったよ」

京太郎「こっちはもう少し」

咲「…あんまり凝りすぎても困るし、ほどほどにしてね」

京太郎「んー…分かってる」

……あぁ、これはちょっと凹んでるな。
まぁ、京ちゃんからすれば和ちゃんと再会して初めてのクリスマスを私と一緒に過ごしてるって訳だもんね。
一ヶ月前に私が背中を押してから少しずつ恋する事に前向きになっていたみたいだし。
最近は彼女づくりに奔走して結果が出ない事に、内心、落ち込んでいるんだろう。

咲「(…ホント、馬鹿なんだから)」

それこそずっと昔から京ちゃんの事を想ってる幼馴染が側にいるのにさ。
…京ちゃんは気づいてるか分からないけど…私だって結構、モテるんだよ?
京ちゃん以外には見向きもしないから、一度も請けた事ないけど。
でも、そんな私がこうして毎年クリスマスを一緒に過ごしているんだから、ちょっとは気づいてくれても良いと思う。


咲「(…まぁ、今更、グチグチ言っても仕方ないけどさ)」

京ちゃんが鈍感なのは私はもう嫌というほど知っている訳だしね。
…ホント、三年前も本当は内心、どれだけ煮えくり返っていたか。
あの時の私は頻繁に恋愛相談しに来る京ちゃんに、良くキれなかったと思う。

咲「(…それよりこっちはこっちで準備した方が良いよね)」

あぁして妙な凝り性を発揮する時の京ちゃんは中々、止まらない。
特に今回は落ち込む気分を発散する為に結構集中してるみたいだし。
もう少しと言いながら数分とかで終わらないのは確実だと思う。
私の分の料理はこうしてテーブルの上に並べ終わった訳だし…ただ待っているよりも色々と動いておいた方が効率も良い。
……何だかんだ言って、私も京ちゃんの料理を出来るだけ早く食べたいって想ってるし。


咲「(お箸よ~し、フォークよーし、スプーンよーし)」

咲「(予備のテーブルよーし)」

咲「(ん。これで完璧)」

ただ、その作業もそう長くは続かない。
そもそも私がやるのなんてご馳走並べる用の予備テーブルとお箸とかを準備するだけだし。
どれだけゆっくりやっても数分で終わっちゃう。
後はすぐさま手持ち無沙汰になって待ち時間になるけれど…でも、ここで京ちゃんの事せっつくのも…ね。
逃避の為ではあれど集中してるのは事実なんだから満足する出来になるまで待ってあげるのが幼馴染の努めって奴だろう。

咲「(それにまぁ…そろそろだろうしね)」

京太郎「っし。出来た!」グッ

…どうやら京ちゃんも満足するような料理に仕上がったらしい。
キッチンから聞こえる声に目を向ければ、そこにはガッツポーズする京ちゃんの姿があった。
その姿に、たかが料理に大げさな…なんて私は想ったりしない。
誰かに食べさせる料理に京ちゃんがどれだけ真剣な情熱を注いでいるのか私は良く知っているから。
何時何処でも誰かの為に真剣になれる京ちゃんにとって、それは決して譲れないものなんだ。


京太郎「悪い。待たせたな」

咲「ホントだよ、もう」

ただ、分かっていても、こうして拗ねるポーズは忘れない。
ここで大丈夫、なんて言うのは私達の築いてきた関係にはそぐわないし。
何より、私自身、こうして焦らされた事にちょっと拗ねてる部分もあるんだよね。
京ちゃんの情熱は分かっているし責めるつもりもないけれど、頬を膨らませるくらいは許して欲しい。

咲「あ、そっち私が持ってくから」

京太郎「おう。頼むな」

まぁ、それも長くは続かないんだけどさ。
京ちゃんの作った料理は一品二品じゃないんだし。
自然、こうして二人でキッチンを行き来して運ぶ事になって…で、それが私にとっては嬉しい。
京ちゃんと一緒に作業しているってだけで、胸の奥からジワジワとした喜びが顔の方に浮かんでくる。


咲「(それに…これってちょっと新婚さんみたいじゃない?)」

少なくとも京ちゃんと長年一緒にいた私は真っ先にそれを連想してしまう。
或いは同棲中のカップルとか…かな?
まぁ、何にせよ、仲が良い男女のやる事なのは確実で。
顔に浮かんだ嬉しさがついつい表情筋を緩めさせていくのが分かる。

京太郎「さて、それじゃあ…」

咲「ん」

「「いただきます」」

そんなこんなで料理を運び終わった私達は、早速、食事にとりかかった。
何だかんだ言って、今日は昼からずっと夕飯の仕込みをやってたもんね。
お陰でこうしてつなげたテーブルにはご馳走が乗っているけど、その分、お腹はペコペコ。
しかも、京ちゃんの料理は言わずもがな、私の料理にもかなり気合が入っているんだから、我慢なんて出来るはずがない。


京太郎「あ、咲」

咲「ん」

京太郎「ありがとうな」

何より、私にとって京ちゃんとの食事はとても楽しい時間だった。
長年一緒にいる私達は多くを口にしなくても相手の言いたい事が分かる。
今だって、京ちゃんがソースをほしがってたのが分かっていたのは私の中に蓄積された経験があってこそだろう。
どれだけ料理上手で気配り上手な美穂子さんにだって出来ないそれは私達が繋がっている証。
お互いの事を理解出来ていると言うそれに私の胸はトクントクンと甘く脈打ってしまう。

京太郎「咲ー」

咲「えー…またコレ?」

咲「もっとほかのも食べないとバランスが悪いよ」

京太郎「良いだろ、後で食べるからさ」

でも、そんな事、億尾にだって出さずに私は京ちゃんに憎まれ口を叩いてしまう。
まぁ…それも京ちゃんの事を心配しているからって言うのもあるんだけれどね。
京ちゃんが幾ら男の人でこういった脂っこいものが好きって分かっていても、あんまりそればっかり食べるのはちょっと心配。
特に私は誰よりも京ちゃんの側にいて…これからもその予定がずっと続く幼馴染なんだから尚の事。


京太郎「それにお前の作ってくれたその角煮、すっげぇ美味いんだよ」

京太郎「…な?」

咲「もぉ…またそうやって上手い事言っちゃって…」ニマニマ

……あー…もう不意打ちでまたそういう事言って…。
ホント、そういうのを天然でやるんだから…京ちゃんは女たらしだって言われるんだよ。
私、今すっごく嬉しくなってるの…バレてないかな?
顔がかなり緩んでるけど…大丈夫?オッケー…?

京太郎「いやーやっぱ咲の作った角煮は最高だな」

咲「…お世辞なんて言っても何も出ないよ」プイッ

京太郎「お世辞じゃなくて本気だって」

京太郎「これなら店でだって出せるだろ」

咲「…出せないよ」

…だって、それ京ちゃんの為に作った料理だもん。
大衆向けじゃなくて最初から京ちゃんだけをターゲットにした特別な料理。
どれだけ料理が上手だって言っても、美穂子さんにだってその味は出せない。
そんな特別な料理なんだから、店で出せても売れる訳がないと思うし。
例え売れるにしても、京ちゃんに合わせた味付けを他の人にだすほど私は尻軽じゃない。


咲「むしろ、お店向きなのは京ちゃんの料理の方でしょ?」

京太郎「そうか?」

咲「…少なくとも家で幼馴染とやるクリスマスに飴細工は作らないと思うな」

京ちゃんの作った料理の方には今にも飛び立ちそうな鶴を始め、色々な飴細工が乗っかっていた。
味とはまた別方向で工夫を凝らしたそれらは、本気で店を開いてもやっていけそうなくらいに見事で。
その上、スーパーの食材を使って、並の店とは比べ物にならない味が出せるんだから…本当に凄い。
……しかも、それだけじゃなくて麻雀や学力も高くて、体力的な伸びしろは大分あるんだから、割りと完璧超人だと思う。

京太郎「ま、今日は折角のクリスマスだしな」

京太郎「そういう遊び心は必要だろ」

咲「…まぁ、一緒にいるのは恋人じゃなくて幼馴染だけどね」

京太郎「ぐふ…」

…もうなんでそこでダメージ受けちゃうかな。
まぁ…京ちゃんにとって私はただの幼馴染っていう事くらい分かってるけどさ。
でも…私はこんなに意識してるのに…そんな反応されたら寂しいじゃない。
無理だって分かっているけれど、ちょっとくらいドキドキしてくれたら…私だって… ――


京太郎「いや…俺も今年こそはと思って、結構、努力したんだよ?」

京太郎「実際、結構いい雰囲気になった女の子だって…」

咲「それ、京ちゃんがそう思い込んでるだけってオチじゃなくて?」

京太郎「ぐは…」

……まったくもう。
こんなに想ってる幼馴染が側にいるのに…他の女の子のところにホイホイ行っちゃうなんてひどくない?
しかも、それを言い訳のように私に口にして…正直、ちょっと腹立たしい。
本気で怒ってる訳じゃないけれど、ついつい言葉に刺が出てしまう程度には。

咲「大体、本気で良い雰囲気だったら、女の子の方からクリスマス誘うでしょ?」

咲「そういうのが一切、なかったって事は京ちゃんは意識されてないって事なんだよ」

京太郎「う…やっぱそうなのかなぁ…」

咲「そうそう。やっぱり勘違いするのは恥ずかしいよ」

…それにまぁ、ここで手加減すると京ちゃんも余計な事に気づいてしまいそうだしね。
長年、『勘違い男は恥ずかしい』って摺りこんで…女の子から多少アプローチされても気づかないように育て上げたし。
ここで変に手を抜いて、実は結構、競争率が高いって事に気づかれても面倒だもん。
改めて女の子からのアプローチは全部気のせいだったって言う風に言い聞かせておかないと。


咲「…それよりさ、私といるのに他の女の子の話とかひどくない?」プクー

京太郎「あー…えっと、悪い」

咲「もう。そういう事するから京ちゃんは残念枠に入るんだよ」

京太郎「がはぁ…!」

…よし。とりあえずトドメは刺した。
コレ以上の追撃はちょっと可哀想だし…それにあんまり言い過ぎると私に対する不信感にも繋がるだろうしね。
とりあえず目的は果たしたって事で、京ちゃんの事を叩くのはここで止めてあげよう。

咲「…そんな京ちゃんに…はい」スッ

京太郎「ん?これって…」

咲「お酒。飲むでしょ?」

京太郎「…一応、俺達、まだ未成年なんだけど」

咲「細かい事はいいっこなし…ね?」

それに…今日の目的は何も京ちゃんをいじめる事じゃないんだもん。
京ちゃんの中で三年前の傷も癒えてきたみたいだし…そろそろ私も勝負を掛ける時期がやってきた。
出来ればもうちょっと勝機を確実にしてからにしたかったけど…でも、コレ以上、手をこまねいていたらただでさえ高い京ちゃんの競争率がさらにあがってしまうし。
サークルの人間関係にちょっと手を加えてお互いを牽制させあうのもそろそろ限界に近づいている。
だから… ――


京太郎「んー…」トローン

ふふ…もう完全に出来上がっちゃってるね。
京ちゃんはお酒に弱いってほどじゃないけれど…まだまだ飲み慣れてる訳じゃないし。
こうして口当たりの良いお酒を用意すれば、結構、ガバ飲みすると思っていたけれど。
でも、まさかここまで簡単に酔ってくれるとは嬉しい誤算かな。
京ちゃんのほろ酔い顔ってとっても可愛いし…早い内から見れたのはかなり嬉しい。

咲「京ちゃん、酔った?」

京太郎「…かも」

咲「じゃあ、ちょっと横になった方が良いよ」

咲「後片付けは私がやっておくからさ」

京太郎「いや…悪いよ」

咲「だーめ。そんな状態でキッチンに立たれる方が迷惑だから大人しくしてて」

それにまぁ、キッチンが狭いから洗い物と料理とを並行しなきゃ不可能だしね。
もう洗い物は殆どここにある食器くらいしか残ってない。
まぁ、まだ幾つかご馳走が残っているからそれをタッパーに詰めて保存する作業もあるけれど。
でも、それは別に私一人でもそんなに時間が掛かる訳じゃないし、酔いの回った京ちゃんに手伝ってもらうほどじゃない。


咲「それよりも…さ」スタスタ

京太郎「…んぁ?」

咲「…京ちゃん」ギュゥ

でも、私はここで今すぐ片付けに回るつもりはなかった。
片付けにはあんまり時間が掛からないとは思うけど、今の京ちゃんを見る限り、ヘタすれば眠っちゃいそうだし。
それよりも先に本懐を遂げないと…折角のお酒も無駄になってしまう。
だから、ここは京ちゃんへと近づいて…その腕をギュっと…えへへ…♪

京太郎「…寂しいのか?」

咲「ん…ちょっと今は甘えたい気分かな」

京太郎「仕方の無い奴だな」ナデナデ

咲「えへへ…♪」

あ…つい心の声がそのまま表に…。
い、いや、今のは仕方ないよね。
私だって京ちゃんほどじゃないけれどお酒入ってるし。
いつもより理性が緩くなってる上に…こうして優しく頭をなでてもらったんだもん。
大きくて温かい…大好きな京ちゃんの手で…。
そんなの我慢出来る方がおかしい。
うん。私は悪くない悪くない。


京太郎「ま、俺でよければ何時でも甘えて良いよ」

京太郎「俺も彼女いないしお前一人くらいなら何時でも受け止めてやるしさ」

咲「…うん。ありがとう」

咲「でも…」

京太郎「…ん?」

でもさ、私はもうそれじゃ満足出来ないんだよね。
勿論、京ちゃんは本気でそう言ってくれているのは知ってるよ。
でも、それは京ちゃんにとって特別じゃない。
友達以上の誰かなら京ちゃんは誰にだってそう言うだろうから。

咲「でも、私はそれだけじゃ嫌…かな?」スッ

京太郎「え…さ、咲…?」

…止めない。
止めてなんてあげない。
だって…もう止められないもん。
京ちゃんの事が好きな私の気持ちも…京ちゃんにキスしたいって言う衝動も。
だから、私は京ちゃんの両頬を包み込んで、そのまま… ――


咲「…ちゅ…♥」

…そのキスはモモの香りがした。
多分…というか、間違いなくさっきまで京ちゃんが飲んでたお酒の匂い。
ちょっぴりアルコール混じりのそれは…でも、とても美味しかった。
少なくとも昔、寝込みを襲ってこっそりファーストキスを奪った時よりも…ずっとずっと美味しくて。
何よりも……とてもドキドキした…♥

京太郎「うぇ…え…えぇぇ…!?」ビックリ

咲「…もう。ホント、鈍感なんだから」

…でも、そんなキスを経ても、京ちゃんは鳩が豆鉄砲を食ったような驚きようを見せていた。
…まぁ、だからこそ、なのかもしれないけれどさ。
京ちゃんからすれば私なんてただの幼馴染でそういう対象じゃなかったんだろうし。
どちらかと言うと比護対象のように見てた私からキスされるなんて予想だにしていなかったはず。


咲「私、結構、アプローチしてたと思うんだけどな」

京太郎「あ、アプローチって…」

咲「…少なくとも何とも想ってない男の子と一緒にクリスマス過ごすはずないでしょ」

咲「しかも、二人っきりで…男の子の部屋でなんて」

咲「そんなの襲われても良いって想ってなきゃやらないよ」

京太郎「ぅ…」

……この顔は本当にそういう事考えてなかったって顔だよね。
まぁ…そういう鈍感な男の子って分かってて、ぞっこんになった私が悪いんだけどさ。
でも、思いついた時は結構良いアイデアだと思ったんだよねー…。
これなら京ちゃんも流石に私の気持ちに気づいてくれるってそう思ってたんだけど…。
唯一にして最大の誤算は京ちゃんが思った以上に鈍感だったって事で…。

咲「で、京ちゃんはどうなの?」

京太郎「お、俺は…その…」

咲「私とのキス…ドキドキした?」

京太郎「し、した…けど…」

……ふふふ、してくれたんだ。
まぁ、京ちゃんにとっては初めてのキスの経験だもんね。
しかも、女の子からこうしてキスされるなんて、きっと想像してなかったはず。
…まぁ、実際は何度も寝ている間に私とキスしてるんだけど…京ちゃんはそれを知らないし。
こうしてドキドキするのも当たり前…かな。


咲「私の事…好き?」

京太郎「す、好きだ。ただ、それは…」

そこはちゃんと即答してくれるんだ。
…ふふ、だから、京ちゃんって好き…♥
どれだけヘタレでも…鈍感でも、こうして気持ちを伝えればちゃんと向きあおうとしてくれるから。
…でもね、そのタイミングでの「ただ」は要らないかな?

咲「…じゃあ、良いよ」

京太郎「え?」

咲「私はそれで良い。それ以上は…まだ望まない」

咲「それで良いから…私の恋人になって」

京太郎「咲…?」

私にとって必要なのは京ちゃんが私の事を好きでいてくれるって言う事だけ。
勿論、それは私の求めている異性としての好きじゃなくて、幼馴染の好きなんだろうけれど。
でも、私はそれでも構わない。
今の私が欲しいのは京ちゃんの気持ちそのものじゃなくて…京ちゃんに近づく女の子を追っ払う『恋人』と言う立場なんだから。


咲「私…不安なの」

咲「大学に入ってから、京ちゃんの周りに女の子が沢山増えて…」

咲「しかも、皆、私よりも魅力的な子ばっかりなんだもん」

咲「…ずっと側にいて見てきた京ちゃんの事取られるんじゃないかって…怖くて怖くて仕方が無いんだよ」

京太郎「…あ」

無論、そんな事はっきりとは言えない。
京ちゃんは重い子が好きらしいけど…でも、流石にそれは嫉妬深すぎるし引かれるだろうから。
ただ、代わりに私の不安と怖さを強調すれば…京ちゃんは決して無碍には出来ない。
私の幼馴染はとても真面目で…優しくて。

咲「だから…お願い」

咲「私にチャンスを頂戴」

咲「京ちゃんに振り向いて貰うチャンスを…」

咲「京ちゃんの事を好きでいても良い時間を…ください」ギュ

京太郎「…咲」

そして何より、私の事を強く想ってくれている。
その事に関して、私は一度たりとも疑いを持った事はない。
何時どこでも彼は私の側にいて、そして私の為に行動してくれた。
…勿論、ここで彼の心に特別な人がいれば話は別だけど…でも、今、京ちゃんは特定の誰かを特別に想ったりはしていない。
唯一その座にいた和ちゃんは…不幸な事故で転がり落ちていったから。


京太郎「……良いのか?」

京太郎「そんなので本当に付き合って…」

咲「…良いんだよ、だって、幼馴染なんだもん」

咲「今までと何も変わらない」

咲「ただ、私の気持ちを京ちゃんが受け入れてくれればそれで良いの」

京太郎「……」

私の言葉に京ちゃんは何も言わない。
きっと頭の中でグルグルといろんなことを考えているんだろう。
でも、そうやって幾ら考えても、出てくる答えは同じ。
京ちゃんは絶対に…私の気持ちを裏切ったりしないんだって私は断言出来る。

京太郎「…わかった」

京太郎「ちょっと驚いてるけど…でも、咲がそうしたいなら…」

京太郎「恋人に…なろうか」

咲「……うんっ♥」ギュゥゥ

……それでもやっぱりこの瞬間は嬉しい。
これまで何度も味わって…そして夢見てきた訳だもん。
京ちゃんからの優しくも温かい宣言に胸の奥が感動で満たされて…震えてしまう。


京太郎「…でも、ごめんな。今まで俺、全然気づかなくて…」

咲「良いんだよ。京ちゃんだって色々あったんだし…」

咲「それに私の事をこうして受け入れてくれたんだから…それだけで私は幸せなんだもん…♥」スリスリ

その感動に突き動かされるようにして私は京ちゃんの身体に擦り寄る。
まるで犬のようなそれは…今までやりたくても出来なかった事だった。
幾ら幼馴染でもそんな事やったらひかれちゃうって…そう想って戒めていた事。
でも、こうして自分の気持ちを伝えて恋人になった今、もうそれを咎める人は誰もいない。
京ちゃんも少しこそばゆそうにしているけれど、そうやって擦り寄る私の事を受け入れてくれている。

咲「それでも悪いって言うのなら…一つお願いがあるんだけど」

京太郎「お願い?」

咲「うん。……今度は京ちゃんからキスして欲しいな…♪」

……そんな京ちゃんを責めるつもりは私にはまったくない。
京ちゃんが鈍感なのはもう十分過ぎるほどわかりきっていた話だし。
でも、それはさておいても…やっぱりチャンスは見過ごせない。
別にそこまで業突く張りではないつもりだけど…でも、愛しい人からのキスって言うのはやっぱり特別なんだから。


京太郎「お、俺から…?」

咲「うん。あ、無理にしなくても大丈夫だよ」

咲「まだ京ちゃんがそういう風に私の事を見てくれてないって言うのは分かっているし…」

咲「それに…私はこうして京ちゃんと恋人になれただけでも十分だから…♪」ニコ

京太郎「ぅ…」

ここで理解のある恋人を演じれば、京ちゃんの退路は絶たれたも同然。
ここで京ちゃんが断ったら、悪いと思ってないも同然って事になるし。
根が真面目な京ちゃんとしては、ここで断るなんて選択肢は最初から存在しないはず。
こうして声を詰まらせるのも、ただ抵抗感を覚えているからじゃなくて、恥ずかしさが許容量を超えてしまったからなんだ。

京太郎「…わかった」

咲「ホント?無理してない?」

京太郎「あ、あぁ。俺だって男だ」

京太郎「そこまで言われたら腹を括るよ」スッ

咲「あ…♥」

や…やだ…そ、そんな事言われたら…私、ドキドキ…しちゃうよ。
だって…私、どれだけ冷静なフリしてても…京ちゃんの事大好きなんだもん。
他のモノなんてどうでも良いくらい…京ちゃんの事愛してるのに…。
そんな私の前で…顔を赤くしながら格好つけられたら…ダメだよ…。
私、ドキドキしすぎて…勝手に瞼が堕ちて…っちゃう…♥


京太郎「…ん」チュ

咲「ふあ…♪」

……ぎこちない…キス…♪
私とどれだけ近づけば良いのかも…まったく分かってない…童貞のチューだね…♥
でもね、でも……私、そんなぎこちないキスが大好き…♥
だって、私にこうしてキスしてくれているのは…他でもない京ちゃんなんだもん…♪
大好きな気持ちが止まらない京ちゃんからキスされてるのに嬉しくないはず…ない…♥
私の胸、さっきからキュンキュンが止まらなくて…もう好きって気持ちに溺れちゃいそぉ…♪

咲「(もっと…♪もっとして…♥)」

咲「(もっともっと…京ちゃんのキス頂戴…♪)」スル 

…そんなキスが一回だけなんて我慢出来るはずない。
私にとってそれはこのまま一生、時間が止まっても後悔しないような…素敵なキスなんだから。
一回唇が触れる毎にキュンキュンが膨れ上がるそれを…オネダリするように手が動いちゃう。
目を閉じたまま京ちゃんの首に腕を回して…そのまま身体全体を京ちゃんに預けて… ――



京太郎「…」クラァ

咲「…あれ?」

…………なんで京ちゃん倒れてるの?
まだキスなんて十回くらいしかして貰ってないのに…。
……あ、そうか、告白の成功率あげる為に、結構、お酒飲ませてたんだっけ。
その酔いが興奮で周りに回って…多分、限界を超えちゃったんだろう。

咲「(…ちょっともったいなかったかなぁ…)」

…あくまでも視覚以外からの情報だよりだったけど…京ちゃんも私とのキスを楽しんでくれたと思うし…。
あのままだと勢いに任せて一線を超えられちゃいそうだったけれど…。
まぁ、でも、さっき私は自分で高望みはしないってそう言った訳だし。
今は京ちゃんと恋人になれたってだけで満足しておこう。


咲「(…ふふ。にしても…)」

京太郎「ぅー…ん…」

……お酒飲み過ぎて目を回すなんて京ちゃんも結構、可愛いところあるよね…♪
まぁ、それ以外にも可愛いところが沢山あるのは私も知っているけれど。
でも、こんな風に目を回した京ちゃんなんて私は一度も見た事がない。
これまで色々な京ちゃんを見てきたつもりだけど…こんな京ちゃんは初めて…♥

咲「(でも、そういうところは改善して貰わないとね)」

こうしてお酒で目を回す京ちゃんは可愛いけれど…よそでこれをやってもらっちゃ困る。
だって、こんな風にお酒に酔って倒れたら…女の子がやりたい放題なんだもん。
京ちゃんの周りには実力行使もじさないタイプも少なからずいるし…警戒はしておくに越した事はない。
私が京ちゃんの恋人って言う座に満足してる間に既成事実を作られたら…ちょっと色々と面倒だしね。


咲「(…特に穏乃ちゃんには注意が必要だよね)」

京ちゃんの部屋やスマートフォンには私の愛情の結晶が沢山隠されている。
そこから聞こえてきた内容から察するに…彼女はきっと私と同じ。
他の世界からの記憶を持ってしまって…そして京ちゃんの事が好きになった子。
それがどういう世界かまでは分からないけれど、でも、穏乃ちゃんは甘い。

咲「(だって…分かってないよ)」

咲「(その程度で京ちゃんの事が好きだなんて…あまりにも気持ちが軽すぎる)」

…私は最初から京ちゃんの事が大好きだったよ?
私も『私』も【私】も「私」も〈私〉も《私》も。
…皆、他の世界の記憶なんて関係なしに京ちゃんの事を愛してた。
そんな私達に比べると…穏乃ちゃんなんて、所詮、記憶に振り回されてるだけ。
だから、身体を使って誘惑だなんて下策に出て…あげく、京ちゃんに警戒されてしまうんだ。


咲「(…そんな愛の軽い女の子に京ちゃんの事は渡せない)」

穏乃ちゃんだけじゃないよ。
他の子だってそう。
京ちゃんの事を好きだとそう思い込んでいるだけで…本当の愛には…私達の愛には届かない。
そんな人達が京ちゃんの側にいるのを許してるだけでも、私は寛大な方だと思う。
本当ならば…今すぐ全員を排除したくて仕方が無いくらいなんだから。

咲「(…和ちゃんの時みたいに)」

…あの時は本当に辛かったなぁ。
なまじ仲が良いだけあって実力で排除する事が出来なかったし…。
和ちゃんのパパに情報を流して、牽制して貰う事が精一杯だった。
でも、パパさんが暴走してくれたお陰で、二人は引き離される事になって。
そして今、こうして私のところに京ちゃんがいてくれるんだから…あの人には感謝しないといけないよね。


咲「(まぁ…大分、滅茶苦茶な情報なんかも教えこんだりしたけれど)」

でも、京ちゃんの幼馴染で、和ちゃんの親友って立場は強かったみたい。
和ちゃんの為にって言って泣きながら伝えた情報を、あの人は完全に信じこんでくれた。
実際は和ちゃんの事なんてどうでも良かったんだけど…でも、その辺りを見抜けるほど勘の良い人じゃなかったみたい。
その上、適度に頑固で和ちゃんに対しても譲歩しなかったし…本当、私にとって最高の駒だったよ。

咲「(…多分、そんな風に他人を見れる私はおかしいんだろうね)」

魔王だなんだって言われた経験は一度や二度ではないけれど…でも、今の私は本当にそれに近いと思う。
少なくとも、昔の私だったら、こんな風に他人を利用する事に一切の躊躇のない性格はしていなかった。
自分のことを優しいなどと言うつもりはないけれど、引っ込み思案な性格だった事に間違いはないし。
むしろ、人見知りで一部の人以外と話すのは苦痛なくらいだったんだから。


咲「(…でも、仕方ないよ)」

咲「(だって…私、京ちゃんの事が本当に好きなんだもん)」

咲「(絶対に…京ちゃんを他の人に渡したくない)」

私の中に詰まっているのは宮永咲何十人分の愛しさなんだから。
京ちゃんと結ばれた私も、結ばれなかった私も…等しく私の中に入っている。
その中で湧き上がる愛しさは私一人では到底、制御出来ないものだった。
悪い事だと道徳観が言っても、京ちゃんを手に入れる為ならば身体が勝手に動いてしまう。
私一人よりも私達の方がずっとずっと強くて、そして多いんだから。

咲「ふふ…♪京ちゃん…♥」

…でも、それが今、こうして実りつつある。
私達の大願に、大きく近づいたんだ。
それを知らせる京ちゃんの寝顔に…私はついつい笑みを浮かべてしまう。
それは京ちゃんには…愛しい幼馴染には決して見せられない陶酔と狂気に満ちた笑み。
溢れ出る愛情が歪みに歪んだそれを浮かべながら、私はそっと京ちゃんに顔を近づけていって… ――


―― そのまま京ちゃんが起きるまで私は何十何百とキスを繰り返したのだった…♥

レスが思ったより残ってたからエンディング条件満たさずにクリスマス迎えた場合を書こうと思ったら思ったよりも長くなったよ!!!!!
ともかく出勤準備いいいいいいいい
後は適当に埋めてって下さい

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
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         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
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            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
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                   Ⅵム    -  -    イ //
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【名前】 須賀京太郎

【ステータス】
体力 ほぼ人並みと変わらないレベル
学力 成績優秀で教授から留学を薦められるレベル
魅力 どんな場所でも必ず中心人物になれるレベル
雀力 三年のインターハイで大活躍したレベル
料理 一流料理店で活躍出来るレベル


恋愛抵抗値 2/100


【交友関係】
咲 幼馴染 99999999999999999999999999999999999999999999999999999error99999999999999999999
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 彡 '´ リ i:.:.ヽ:.::.:.:゙、 ヽ___       ;==─-ソ::::::/ /:::!
      ヽ|:.:.ヾ:.、::ヽ≠'´ ̄`     ;;;;;;;;;;;; ノノ:ノ /;イノ

         ソ:.:.:::/::ヾー-;;;;;;;;;  ,     """ /ノ.;:‐'::/
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