慎二「お前が僕のサーヴァントか!」その2 (1000)

↓前スレ
慎二「お前が僕のサーヴァントか!>>2!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366443866/)


もう行動安価くらいしかないけど一応安価スレの名目で
鯖の情報とかは前スレ参照

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1370343502

間桐邸[玄関]


「『ただいまだぜ桜ちゃん。』」

「あ、お帰りなさい球磨川さん。用事はもう済んだんですか?」

わたしは料理を一旦切り上げて、玄関まで球磨川さんを出迎えに行く。
こんなことをしていると、まるで夫婦みたいだ。

「『済んだもなにも、ただくっ喋ってきただけだからね。それでもまだ午前中か、確かに早く終わったな。』」

「確か、お友達と会っていたんでしたっけ。何をなさって来たんです?」

「『嫌がらせとかすっぽかしとかかな。本当はこの後も用事あったんだけど、桜ちゃんをあんまり独りにしとくのも忍びなくてね。』」
「『まあ、その用事ってのが至極面倒な用事だったというのも理由の一つではあるんだけど。』」

「へえ。詮索はしませんけど、あまりにも手に負えないようなことでしたらわたしにも相談してくださいね?」

「『ははは、大丈夫だよ。』」
「『この僕に限っては、「負えない」なんてのは皮膚呼吸よりも難しいことだぜ?』」

「ふふ、そうですか――――――あ、もう少しで昼食出来ますから、球磨川さんはテーブルで待っててくださいね?」

「『了解。期待して待ってるね。』」

念のため二人分作っておいてよかった。
こういう所でしっかり帰ってきてくれるというのは、存外嬉しいものだ。






「『―――――――桜ちゃん――――――随分と、幸せそうだな―――――――』」

教会[中庭]


「さて、と。―――――上がって来たは良いものの……」

ここは敵地のド真ん中だ。
僕一人でも生き延びられるか怪しいというのに、イリヤスフィールという、言ってしまえば足手まといを比喩じゃなく抱えている状況は非常にまずい。
鎖さえどうにかできれば多少違うんだろうが―――。

「イリヤスフィール、一応訊いておくけどさ。令呪でバーサーカーを呼び寄せたり出来ないよな」

「―――…出来るかも、しれない、けど……その後が、大変、よ…―――――少し、でも…令呪を、使え、ば……バーサーカーを、制御…出来ない、かも…―――――」

「そうか。――――――まあ当然だな。バーサーカーに頼れるとは元々思っちゃいないよ」

バーサーカーは、このイリヤスフィールでさえ特別使用の全身令呪でやっと制御しているらしい。
まあ確かに、あんな見るからに化物なサーヴァントだからな。そのくらいで制御できるだけマシか。
……僕なら、召喚した瞬間に枯れ果てていただろうことは想像に難くない。

アサシンは現在、ライダーと戦闘中だ。
耳を澄ませば微かに破壊音が聞こえる。
合流しても役立たず、というか、ぶっちゃけ邪魔だろう。
迷惑をかけるわけにはいかない。

「裏口か何かがあればいいんだけどな……。真相が明らかになった以上、もう言峰に用はないし――――――」

さて、どうしようか。
実はさっきの地下室、まだ見聞出来そうなところはあったんだよな。
腐臭の漂ってくる通路とか、あまりにも不快過ぎて近寄る気にもならなかったけど。
しかし地下に言峰がいないのは確実なので、アサシンの戦闘が終わるまであそこで待つというのも有りか……?
――――いや、しかし、こんな状態のイリヤスフィールを放っておくのもどうだろうか。
やはり、裏口でも探してみるべきかな―――――。


1、裏口でも探すか。
2、地下室で待とう。
3、あえてアサシンの戦闘を覗いてみるか

>>5


ここまで
ペースも前スレと同じくらいでやってくつもりだけど、今後どうなるかはわからん

1

「ついてるな―――――上手く行きすぎて怖いくらいだ」

僕はあの後、結局裏口を探すことにしたのだが、これが思いのほかすぐに見つかった。
しかも言峰に遭遇すること無く、だ。
いまは徒歩で遠坂邸に向かっているところである。

「いざとなったら窓から脱出も考えていたが……あるもんだな、裏口」

「―――――――…コトミネに合わずに、済んだのは、ラッキー…ね……―――――アサシンは…放っ、ておいても、…――いいの…?」

「あいつは大丈夫さ。―――というより、信頼する他ない。あいつは期待には応える男だと、信じて待つことしか僕にはできないんだ」

そもそも考えてみれば、言峰に合わなかったのは恐らくアサシンのおかげだろう。
あいつが派手に戦闘を行ってくれることで、注意を引き付けてくれたのだ。
普通の戦闘ならば、言峰は釣られてこなかったかもしれないけど、戦っているのがアサシンならば話は別―――。
――――あいつは、アサシンに対して変に反応していたからな。

「派手に戦って囮になるとか……ある意味忍者らしいけど、そんな役回りばかりだな、あいつ」

基本的に派手がデフォルトの忍者だ。
今更だが、アサシンを見ていると忍者の定義が曖昧になってくる感じがする……。

「付いてるな―――――上手く行きすぎて怖いくらいだ」

僕はあの後、結局裏口を探すことにしたのだが、これが思いのほかすぐに見つかった。
しかも言峰に遭遇すること無く、だ。
いまは徒歩で遠坂邸に向かっているところである。

「いざとなったら窓から脱出も考えていたが……あるもんだな、裏口」

「―――――――…コトミネに合わずに、済んだのは、ラッキー…ね……―――――アサシンは…放っ、ておいても、…――いいの…?」

「あいつは大丈夫さ。―――というより、信頼する他ない。あいつは期待には応える男だと、信じて待つことしか僕にはできないんだ」

そもそも考えてみれば、言峰に合わなかったのは恐らくアサシンのおかげだろう。
あいつが派手に戦闘を行ってくれることで、注意を引き付けてくれたのだ。
普通の戦闘ならば、言峰は釣られてこなかったかもしれないけど、戦っているのがアサシンならば話は別―――。
――――あいつは、アサシンに対して変に反応していたからな。

「派手に戦って囮になるとか……ある意味忍者らしいけど、そんな役回りばかりだな、あいつ」

基本的に派手がデフォルトの忍者だ。
今更だが、アサシンを見ていると忍者の定義が曖昧になってくる感じがする……。

「―――…リン、の家、に…向かうのは、なぜ…?―――――はやく、バーサーカー…を、落ち…着かせ、なきゃ…いけない、のに……―――」

「それは単純に、僕が逃げ隠れることが出来て、アサシンも所在を知っている近場が遠坂邸だからさ」

僕の足(イリヤスフィール持ち)でアインツベルンの屋敷に向かうよりは、どう考えてもアサシンの戦闘終了を待った方が早い。
そしてそれを待つにあたって、勿論だが間桐家は使えない。
桜とランサーが居ては何をされるか分かったものではないし、例え何もされなくとも普通に居心地が悪いし。

「それに―――遠坂の家なら今のお前の症状に効く薬か何かがあるかもしれないだろ」

現在のイリヤスフィールの症状は、魔力の枯渇のようなものだそうだ。
バーサーカーが暴走していることと、地下室に仕掛けられていた魂を生きた人間から吸い取る呪法。そして、四次のキャスターが持つ宝具、『ブレイブルー』によって徹底的に吸い上げられたらしい。
そこまでされて、まだ意識があるのは流石だが、それも辛うじてと言った感じだ。
―――――たとえ鎖が外れても、僕が抱えることになるのに変わりないだろうというくらいには、弱々しい。
魔力の補充が出来るようなマジックアイテムがあるならば、遠坂には悪いが勝手に使わせてもらおう。

「まあ、後者はついでだよ。アサシンが来るまでの時間潰しみたいなものさ」

僕には戦闘手段がなく――――イリヤスフィールは疲弊しきっている。
―――――――――――そう。
どう動くにしたって、僕達にはアサシンが必要なのだ。
つまり、今後の展開はアサシンが握っていると言っても過言ではない。

「信じてるぜ―――――僕の期待に応えみせろよ、アサシン――――!」

教会[入口]


極星十字拳。
視認できないほどの速度で相手の懐に潜り込み、一瞬のうちに切り刻む奥義。
ライダーは、この技で数多の反逆者を葬ってきた。
特筆すべきは発動から斬撃までのタイムラグの少なさである。
殆ど差などない。―――――ライダーが動いた時には、すでに斬撃が終わっている。
それでもアサシンは何とか反応し、皮を斬られる程度に被害を抑える。

「ぐぬうう!―――――くっ…今までとは、別格の速度でござるな――――それがお主の本気でござるか!?」

「片腹痛い!この程度で本気などと勘違いしていたら、その本気を見る前に土の汚れになるぞ!」

今までのような怒りに任せた制圧全身ではない。
聖帝は相手を自らの敵として捕らえ、その拳にて斬り伏せると決めたのだ。

「ハーッハハハ!!このおれに平静を取り戻させたことは褒めてやろう!その礼に―――十字の傷を一つ増やしてやる!!」

ライダーが動く―――――それはすなわち、すでに斬ったという事。
―――――――アサシンでなけば、最初の一発で斬られていただろう。
見えないほどの高速攻撃は、最早奇襲のようなものだ。
―――――しかしそこは経験豊富なアサシン、奇襲には馴れているし、見えない攻撃の対処法も知っている。
そのアサシンでさえ―――――――完全に躱すことはかなわなかった。

「くう……!速い…!――――これは拙者も後手に回っているわけには行かぬでござるな――――」

「ふん、まだそこまでほざけるか。――――ならば来るがいい!このおれに構えを取らせてみよ!!」




ここまで

>>12
ワロタwwwww


すいません下半分無視で

「参るでござる!忍の戦闘法、とくと見るがいい!!」

そう言って、アサシンは跳躍した。
ライダーを霞めるように、斜め前へとその身を飛ばす。
もちろんライダーは、その動きを見逃すまいと視線でアサシンを追ったのだが―――

「―――ぬ!?」

太陽。
目に入ったのは煌々と光る太陽とだった。
アサシンが跳躍した方向とは、つまり日の指している方向で、それを背にしての目眩ましを画策したわけだ。

「―――――鳳凰天舞うぅ!!!」

火炎を纏った蹴り。
ライダーに視認出来たのは辛うじてそこまで。
――――――――――しかし、それで十分。
高速の踏込を、後ろに振ればいいだけだ。
距離にして2m程度だが、蹴りを回避するには十分すぎるくらいだろう――――。

「―――飛天驟雨うぅ!!!」

と、回避したはずのライダーに痛みが走る。
アサシンが何をしたのか一瞬分からなかったが、腕に刺さったそれはどうやら、蹴りとほぼ同時に投げられた釘のようだ。

「―――ふん!小細工ばかりだな!!」

「忍法とはそういうものでござるよ――――――さあ、爆ぜるでござる!!」

「――!?」

アサシンの言う通り、その釘は爆ぜた。
ライダーは爆破と同時にさらに身を後ろに振ることで、爆風の被害を最小に留める―――――
そこに向かって―――

「―――――破龍玉砕いいぃ!!!」

―――爆風を突き抜け懐に飛び込んできたアサシンの、火炎を纏った両掌底が撃ち込まれる!!

「………っ!!」

――――回避のタイミングを完全に見切られていた。
極星十字拳を使ったのは、まだ4回。
アサシンは、その回数でライダーの癖やリズムを把握したとでもいうのか―――

「よもやそこまで出来るとはな―――!!極星十字拳の歩法をこうもはやく見切るか!!」

「見切ったわけではござらんよ。ただ、今の拙者に出来る最速で対応しただけにござる」

となると、現在お互いの最高速度は拮抗していることになる。

―――――ライダーは思案する。
目の前の敵は、思った以上に達人だ。
まともな拳ではないとはいえ、ライダーを圧倒してきた。
現在の速度で同等だというならば、さらに速度を上げる他ないだろう。
――――――――――――――――――――聖帝の拳は、速度と力の拳である。

―――――アサシンは考察する。
相対する武人の力量の限界は、まだまだ先にあるのだろう、と。
あくまで己の肉体のみで戦い抜く姿勢には、敵ながら天晴だ。
ならばその全力を、自らの全力で引き出さずになるものか。
――――――――――――――――――――とっておきの奥義でいざ、尋常に!



ライダーが目を閉じる。
力がその身に宿っていく。
宿った力は闘気となりてその身を纏い―――――
――――――――――――――形無き、金の鎧を作り上げる!

「―――――これぞ『鳳凰呼闘塊天』!!――――貴様に明日は無いと思え!!」



対するアサシンは、腰を落とした四股立ち。

「――――――《風》よりも疾く』――――《林》よりも静かに―――――!!」

手の平を左右から上下へと回し、正面でそれを合せ――――

「――――――――――――――《炎》よりも熱く!!――――《山》よりも高くにいいいい!!!!!」

怒号とともに、アサシンが舞い上がる。
見開く瞳には轟轟と燃える炎!!
その身に纏うは、黄金の風!!!
――――――そして背負うは――――――《風林火山》の四文字!!!!

「―――これぞ獅子神忍法究極奥義!――――『萬駆風林火山』でござるううううううう!!!!」



―――――――――――――相対する二煌の黄金。
この戦いに、確定した要素など最早なく―――――――
――――――――――――勝利はその拳を以て、勝ち取る他ない!







ここまで


『鳳凰呼闘塊天』と『萬駆風林火山』には、ちょっとした差異――性能差がある。
どちらも傍目から見れば高速化であり、違いなど無いように思われるかも知れないが、その差異こそが勝負を分ける鍵となる可能性は、大いにあるのだ。
使用する本人には相手の利点が強く見え、自分の弱点が浮き彫りに見えるため、お互いに気付いてはいるのだろうが―――。


『萬駆風林火山』。
こちらは肉体的な機動力に特化した高速化である。
神経の反応速度は変わらず、そのため攻撃を繰り出す速度も大して向上しないが、――――駆ける速度はもはや残像すら作り上げる光速だ。
地上を光速で駆け抜けるくらいならば、まだその動きに対応できるかもしれないが――――それだけでは、勿論ない。
風林火山の真髄、それは―――――――――――「空中での光速移動、および方向転換」である。
つまり、虚空を視認できぬ速度で縦横無尽に駆け回るのだ。
とても常人で対応出来るようなものではないが、―――――たとえ達人であっても、その非常識すぎる動きにそう易々と対応できる筈もない。

対して『鳳凰呼闘塊天』。
こちらは機動に特化した風林火山に比べ、何か一つにおいてずば抜けた優位性が出るわけではない。
強化されるのは移動速度に加え、身体の駆動速度、反応速度、思考速度など戦闘に関するあらゆる全ての速度である。
つまり、すべての状況に対応できる万能の身体強化。
速度が増すことは力が増すことであり、速度が増すことは手数が増すこと。
速度というただ一点における全要素を向上させることが、結果として攻撃面での総合的なランクアップに繋がっている。
これは―――――実に効率がいい。
聖帝の拳に―――――――――――――――――防御は存在しないのだから。

その性能差がもたらす戦況はこうだ。

「―――――《疾く!》――《熱く!》――《忍べえええ!!》――――《限界を!》――――《越えろおおお!!》――」

アサシンがライダーの周りを回る。――――勿論そこには空中も含まれるため、四方八方どころではない。
最早、それがアサシン本体なのか残像なのかすらわからないほど。
機動力において圧倒的なアドバンテージを誇るアサシンの取った戦法は、光速移動からの正々堂々とした奇襲である。

「―――――――このタイミングでござる!!」

ライダーの左側――――低い姿勢からの肘打ち。
この攻撃を繰り出すまで、ライダーはこちらを視認出来ていないはずだが――――――――――――敢え無く打撃はふり払われる。

「―――――温い!―――でりゃあ!!」

―――――――ライダーはアサシンが攻撃を仕掛けてからだろうが、問題なく攻撃を打ち落とせる。
鳳凰呼闘塊天は反応速度さえ上げているのだ――――攻撃を繰り出す速度が依然と大差ないのでは、いくら疾くとも意味はない!

「――――はあっ!!」

足刀。身を屈めているアサシンの首を刈るには丁度いい。
攻撃直後の隙――――――そこを狙って斬撃を繰り出す。

「――――――回避ぃ!!

しかしアサシンもそう簡単にやられは。
機動速度で攻撃の隙さえも無理やりに潰し、――――本来ならば悪手である空中へと逃れる。

「――――空中は拙者の領域にござる!――――さあ、次こそは決めてみせようぞ!!」

「フハハ!何度挑もうと同じことだ!!貴様は、この聖帝に二度と拳を当てられぬ!!!」



『萬駆風林火山』が究極の先手必勝ならば、対応する『鳳凰呼闘塊天』は完全なる後の先。
展開は再び拮抗し、硬直する――――――。




ちょい少ないがここまで

埒があかない。
ライダーは、素直にそう思った。
あれから幾度となく拳を弾き、蹴りを払ったが、――――状況に変化がない。
あれだけの運動をしてなお、アサシンは息切れすらしていなかった。
アサシンは動き続けなければならない分自分より体力の消耗が激しいはずだと踏んでいたが、それは読み違いだったか。

「――――次はここでござる!!」

「――甘い!ぜりゃあ!!」

さらに一度だ。
――――――――――――――――――温い。
もう少し刺激のある戦闘になるかと思えば、何だこれは。
お互いが全力を出す以前の方が、まだしも緊迫していたではないか。
後の先を取っている以上、ライダーには状況に変化を加えることが難しい。
アサシンも、こんな状況がいつまでも続くことを望んでいるとは思えなかった。
いや――――それは買いかぶりだったのだろうか。
少しでも出来ると思ったこと。それがそもそもの間違いだったのか―――――

「―――バングキイイィィック!!」

「――――――――――――――ふん」

さらに一度。
先ほどから同じことの繰り返し。
ハイスピードな戦況のなかに有って、聖帝は退屈すら感じていた。

状況に慣れ、飽きが来る。
人ならば当然と言っていい。
しかし―――アサシンには来て然るべきであるそれが、まったくと言っていいほど、無かった。
なにせこの状況は、アサシンが意図して継続しているものだからである。
最初の肘打ちこそライダーを沈めんと放ったものだが、それ以降のそれは違う。
一撃目で、アサシンはこと反応速度においてライダーには勝らないと知った。
二撃目からはライダーの選択肢を探すことに専念し、そこに自ら動くという選択肢が無いことを知る。
機動力。その一点のみに特化した究極奥義『萬駆風林火山』。
それはライダーの戦法から能動的な攻めを削っていたのだ。
元より攻めることに特化した拳術、能動的な攻めを封じられたならば残るは受動的な攻めのみ。
それが相対する敵の好むところではないことぐらい、アサシンならば簡単に見抜ける。

「――――――足元がお留守ござるよ!!」

「――――はあッ!――てりゃあ!!」

勿論防がれる。
しかし、それに対する両者の反応の違いは一目瞭然だ。
アサシンは爽やかな顔で回避行動に出て―――――ライダーは苛ついた様子で足刀を放つ。
流れを握っているのはアサシン。
ライダーが苦手とする、我慢比べを挑んでいるのだ。


「―――――ふざけるのも大概にしろ!!」

ついに痺れを切らしたライダーが、見えぬ敵に向かい極星十字拳を放つ。
その手刀自体は見切れるようなものではないが、斬ったのはアサシンの残像だけである。
動いているアサシンは―――――それだけで回避行動をとっているのだから。
その攻撃の隙を突かないほど、アサシンは甘くない。
甘くないどころか――――――全力だ。

「―――――――唸れえい!―――拙者の魂よおおおおおおお!!!!」

全速力の肘打ち。振り向きざまに、ライダーはそれを腹へと受ける。

「―――…ぐぬうう!!」

それだけでは終わらない。
腹部への打撃で前のめった顔面に、今度は反対の手で肘打ち。そこからさらに中段突き。

「――――――――――――この混沌とした世界に…!!」

足を大きく振り上げ顎への打撃、ライダーの体が地面から離れ――その体を地面へと叩き下ろすように、振り上げた足を落とす。
ライダーは着地と同時に敷石に跳ね返り、再び空中へ。

「――――――――正義の……鉄槌をおおおおおおおおおお!!!!!」

アサシンは浮くライダーの顔面をその手で掴み――――――教会の壁に向かって全速力で駆け抜ける!

「――――――萬駆!―――活殺!!―――大噴火あああああああああああああ!!!!!」

残像すら残るほどの光速で人間を叩きつけらた教会の壁は、轟音とともに崩れ落ちた。
しかしその程度で勢いは止まらず、教会のなかをそのまま駆け抜けたアサシンは、もう一つの壁―――つまり教会の内壁にライダーをめり込ませたところで、やっと勢いを落とす。

「………!!!!!!」

「――――――これが忍の体術う!!――――さあ、そろそろ構えをとってもいい頃合いではござらんか!?」





ここまで


「……………――――フ――フハハハ!――よもや貴様のようなやつがあらわれようとはな!」

ライダーが、立つ。
あれだけの破壊をその身に受けてなお、堂々と両足で地に立った。
勿論、効いていないというわけではないのだろう。
―――――息は途切れ途切れで、足もどこかふらついている。
――――――――――――――――しかし、眼光は弱まっていない。
弱まるどころか―――――――――――より一層、鋭くアサシンを見据えていた。

「思ってもみなかったぞ。キャスター亡き今、おれと拳を交わせるものがいようとは!―……――ならばこちらもなんと極星の拳の伝承者として奥義を尽さねばなるまい!!」

祭壇を背に――――――――――――――――ライダーが構えを取る。

「帝王の拳、南斗鳳凰拳に構えはない――――――――だが対等の敵が現れた時、帝王自らが虚を捨てて立ち向かわねばならぬ」

両手は水平に、体幹は一線に。
その身を以て、十字を作る。

「すなわち―――――帝王の誇りをかけた不敗の拳!」

その名も―――――


「――――――南斗鳳凰拳奥義――――――『天翔十字鳳』!!!!!」



アサシンは改めて気を引き締める。
眼前の漢が構えるという、その意味。
それをわかっているからこそ、変に意識しては駄目だ。
意識するということは―――――即ち飲まれるということ。
だからこそアサシンは、気を引き締める程度で思考を止めた。
わからないことを考えても仕方ない。如何に構えを取ろうとも、同じく全力で対応するのみ―――!

「バング、と言ったか――――来るがいい。しかしこの構え、生半可な覚悟で破れるものではないぞ!」

「無論!――聖帝サウザー!!御主の名と拳に恥じぬよう、拙者の忍法の全てを賭けて、いざ――――参る!!」

お互いに―――――――飛ぶ。
空中はアサシンの領域だ。
空を蹴り、それぞれの位置を変えての――――突き、蹴り、肘打ち、掌底。
察知できぬほどの速度。四つの角度からの、連続攻撃――――――――――。
しかしそれは、―――全て虚空を打撃するに留まった。

「――――――――――――――な、何ぃ!?」

「フハハ!おれは天空に舞う羽根!――――――どんな達人にも砕くことはできぬ!!!」

――――――ライダーの拳が、アサシンの脇腹を十字に斬る。
着地はお互いに同時――――――しかし。
アサシンはそのまま膝を付き――――――ライダーは堂々と立ち上がる。

四方向からの連続攻撃が、いとも簡単に見切られた。
アサシンは付いた膝を無理やり地面から離し、ライダーに向き直る。

「――…ぐッ!――――まさか四撃全て躱されるとは……不覚でござる」

「おれの拳が触れる直前に身を引いたか――――――なるほど、空を駆けるとは本当に厄介なものだ」

「そうせねば今頃、拙者の体は真っ二つでござった……―――羽のように風を感じて攻めを躱し、拙者の驚をついての一撃――――見事でござる」

両者は、再び構えを取る。
アサシンは獅子神忍法の基本となる攻防一体の構え。
ライダーは勿論――――――天翔十字鳳だ。

「しかぁし!次も同じようにいくとは思われるな!!―――――拙者は忍!技の勝負で負けてなるものか!!」

「フフフ……ハァーハハハハハハ!!――――――来い!!真っ二つとは言わん!この手で八つ裂きにしてやろう!!!」






ここまで
次回決着

ライダーとアサシンは、再び飛び上がる。
ここまではお互いに先ほどと同じ。
ライダーに至っては、自身の奥義に絶対の自信を持っているためか、寸分違わず同じ飛翔だ。
しかし、この戦いを技の勝負と捉えたアサシンは―――――――――勿論、変化を加えてくる。

「―――――獅子神忍法―――――「「「「「「「「実体分身!!!」」」」」」」」

―――――――――――――アサシンが八つに分かれる。
ライダーの宣言通りに八つ裂きにされた――――――わけでは、当然ない。
忍らしいといえば忍らしく、しかしあまりにも荒唐無稽な技―――――。

「――――――――――!?――――分身だと!!?」

「「「「「「「「八方向からの連続攻撃―――いや―――完全同時攻撃ぃ!!―――――その身を以て味わうがいい!!!」」」」」」」」

八方向からの完全同時攻撃というのは全くもってその通りの意味だ。
この分身は残像で作ったものでも、デコイでも幻覚でもない。
――――――――――――全て、本物のアサシン!!

「「「「「「「「チェストおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」」」

「――――――――――――…ぬうああああああああああああ!!!!!!」

――――――八つの足刀と、十字の手刀が交差する。
ライダーは五体の打撃を躱したものの、人間の体の構造ではそれが現界だった。
三発は、避けようも防ぎようもなく―――――あるいは一発程度ならば防げたかもしれないが、それをせず――――
―――――――――――――――十字の斬撃を計八回、すべてのアサシンに向かって繰り出した。


「「「「「「「「これは――――」」」」」」」」――――――誠、天晴でござる……!!!」

「――――――――――……ふん。―――――ここまで来て再び驚をつかれようとはな……!」

着地した両者は、お互いに血を流していた。
アサシンは肩口に大きな十字の傷。ライダーは口元から一筋の赤をつたらせる。

「忍法――――か。…フフフ、なるほど。―――――確かに普通の拳では無い。――――しかしな、バング――――――南斗極星の拳も断じて普通の拳などではないぞ!!!!」

天翔十字鳳。
ライダーはその構えに、――――――自らの闘気の全てを乗せる。
この戦いを――――勝利で以て終わらせるために―――――――。
――――――――――――――――――――――――――――――聖帝の誇りを賭けて!!!

「まさに――――全力、でござるな。―――――――ならば拙者も、自らの禁を解かねばなるまい!!」

アサシンが―――――――その背に背負った釘を取る。
『五十五寸釘』――――――――――――――――――――――未だに真名は思い出せないが――――
幸い――――最終奥義に真名解放は必要ない!!
殿の無念と志が籠ったこの釘で、――――――――――相対する武人を、礼を以て打ち砕かん!!!

ライダーが――――――――――――――手刀を掲げ、アサシンに向かって飛びかかる。
纏う闘気は鳳凰の形となり、黄金の鎧はより一層――――輝きを増す!!

これが―――――――『天翔十字鳳』の、真の形!!!

「―――…ォオおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

「その全力!!!しかと受け取ったあああ!!!!――――――獅子神忍法―――――」

――――対するアサシンは、五十五寸釘の先端をライダーに向かって構える。
釘の切先にライダーの手刀が触れ―――――――――――――教会の床は、十字型に分断された。


「――――――秘術!―――萬駆瞬間移動!!!」

教会の床が四つの島に分けられる直前―――――――アサシンはライダーの後ろを取った。――――《風林火山》と秘術を併用した、究極の縮地。
空中に向かって縮地などとは、少々おかしな気もするが―――――――――。

「―――――――――――――――――――貴様、そこまで――――」

この状況で後ろを取るなど、並大抵の技量で出来るものではない。
なにせ、ライダーは――――――――全力でアサシンに向かって行ったのだから―――!!

アサシンはライダーの腹部に―――――五十五寸釘を突き刺す。

「―――――――――――獅子神忍法、熱血最終奥義―――――!」

それだけでは終わらない。突き刺した釘に向かって―――――拳を構える。

「―――――――――――――――掟破りの超忍術――――――これを以て、終止符と致す!!!」

全力。
ただただ――――――全力の拳だった。
その拳によって射出された釘は、爆炎と爆音と共に――――教会の中心、ライダーが付けた十字の中心へと―――――――


「――――――――――――――――――――――――獅子神忍法、熱血最終奥義!!――――『究極――――バァァァァァァァァング!!!!!』」


――――――――――――彗星の如く叩き着けられる。


ライダーが倒れている――――――その背には、大きな釘が―――墓標のように立っていた。

「――――――――――――…負けだな――――――」

「――――――――――――――――――拙者の忍術の死力を尽くさねば敵わぬ相手でござった――――卑怯と罵られても、文句は言えぬでござるよ」

「そんな無粋は言わん――――――――おれは、全力の貴様に負けたのだと、胸をはろう」

「――――――――――――――忝い」

「そういえば―――――生前の、おれの最期を思い出した――――――おれは、その時――――――確かに愛を取り戻した」

「―――――――――……」

「再び意思を持ってまで、愛を否定するとは―――――――――おれも、未熟だった」

「―――――――――――――……」

「お前に敗れて、思い出した。――――――――――礼を言おう――――バング。―――愛の拳で、おれを下してくれたことに―――――――――――――」

ライダーは―――――――――――言葉を残して、消えた。
愛を思い出した聖帝の顔は、どこか寂しげで――――――

「―――――――――……サウザー殿―――――御主の思い、拙者がこの五十五寸釘と共に背負って行くでござる――――」






ここまで

遠坂邸[リビング]



「――――チッ!―――駄目だな、僕には何が何だかわからない」

イリヤスフィールを居間のソファに寝かしてから、遠坂家の魔術道具らしきものは一通り漁ってみたが、僕にはそれがどういう効果を持つものかは判別できなかった。
僕にも多少の知識があるとはいえ、そもそもあの遠坂が簡単に用途がわかる構造で魔術道具を放っておくわけがない。
イリヤスフィールに尋ねても判別不可能だったので、やはりそういうものなのだろう。
ちなみに、鍵が掛かっていたので窓ガラスを割って入った。―――大丈夫だ、金ならある。弁償くらい苦でもない。

「魔力回復のほうはひとまず保留だな」

「―――最初、から…期待は、して…無かった、わ……。――――たとえ…用途が、判っても…シンジじゃ、扱えない…はずよ」

「うるさいぞ。お前、いまどういう立場にいるか理解してる?」

「―――――――…あなた、程度を……対等に…扱って、いるんだから…感謝、なさい―――」

――――口の減らない女だ。
…まあ、弱っている少女に危害を加えるほど、僕も堕ちちゃいない。
―――――――いや、…ひょっとしたら、堕ちていたけど這い上がって来たのか……?
―――――――――――――――――――――――アサシンのおかげで?

「――――……。――――――まあ、軽口叩けるだけ良しとしてやるよ」

「――――…あら?――――…もっと、突っかかって…くるかと、思って……たのに…」

「だから、うるさいぞ。―――タオルでも絞ってきてやるから、大人しく寝てろ」


「ねえ…シンジ……。―――シロウって…普段は、どんな…感じ、なの……?」

「あ?――――――衛宮は別に普通だよ。…いや、普通が異常なのかな―――――聖杯戦争に関わってるあいつも、普段のあいつと至って変わらない」

「―――――――――――――――…へえ……」

「まあ、未だに将来の夢が正義の味方だからな。そういう点では、頭おかしいよ、アイツ。――――まあ便利だし、矯正するつもりはないけど」

「――――――――――――――――――――――……」

…………黙るなよ。
お前が黙ると『鎖を手足に巻かれた幼女と、対面でそれを眺める僕』の図になるんだよ。
誰が見てるってわけでもないんだけど、実に犯罪チックで嫌すぎる。

「――――――アサシン、遅い…わね…―――」

「え?――――――あ、ああ。そうだな。でもまあアイツのことだし、案外ケロッとした顔で帰ってくるんじゃ――――」
「帰って来たでござるぅぅぅぅぅうううううううううううう!!!!!!」

―――――――――――タイミング良過ぎだろ。

「只今帰還!!拙者、ライダーとの熱い熱い闘いに勝利を収めて参ったぁ!!!さあ慎二殿!!早速バーサーカーを――――――ぬおッ!?そこにおわすはバーサーカーのマスターでござるか!?」

「うるさい!!一気に捲し立てんな!!――――――っておい!お前、凄い傷だな!大丈夫か!?」

アサシンは肩と脇腹に包帯を巻いていた。
しかし、その両方共にかなりの量の血が染みており、相当の重傷だというのは一目でわかった。

「―――――――――――ライダーにやられたのか……勝利ってことは、ライダーは?」

「―――――…潔く天に召されたでござるよ。―――…出来ることなら、もう一度手合せしたい相手でござる」

「―――そうか、よくやったぞアサシン。―――――だけど、今はそれどころじゃなくてな!」

「それどころではないとな!!それはつまりバーサーカーがもう手に負えないと!?」

「違う!!いや、確かにある意味正解だがこの場合は違う!――――――ああ、畜生!!イリヤスフィール!説明手伝え!!」

「――――いい、けど……楽し、そうね…あなたたち」




ここまで

追いついたついでに一言

ミュウツーはポケスペの奴かと思ってた

>>76 映画とかポケスペとかいろいろ混ざってる ついでにこの世界にポケモンは存在してない


遠坂邸[リビング]



「成程、そういう事でござったか。いや、拙者てっきりバーサーカーがあまりにどうしようもないからマスターのほうを拘束したのかと」

「……お前、僕が幼女を拘束するのに好き好んで鎖を使うような変態だと思ってたわけ?」

「い、いやいや!決してそのようなことはござらんよ!?よく考えてみれば慎二殿がこの短時間であの洋城とここを往復出来るわけもござらんし!」

「そこかよ!僕の人間性については言及しないの!?やめろよ、衛宮みたいにロリコン扱いされるのは嫌だ!」

「―――――…シンジ……、問題は、そこじゃなくて……鎖で、拘束する…変態、って、ところだと…思うわ……」

「おい!その言い方じゃまるで僕がお前を拘束したみたいじゃないか!!」

「まあ、慎二殿は拘束するよりされる方が好きそうでござるしなぁ」

「はあ!?おまえ突然何言ってんの!?そんな特殊な性癖は無いよ!!?至ってノーマルだからな僕は!!」

「―――――――…シンジ、ここは…諦めて……見られたのが、アサシンで……良かったと、安心して…おきなさい」

「そ、それもそうだな……良かったぁ――――――――――って違う!ほんとに僕に非は無いからな!この野郎イリヤスフィール!そんな体調で人をからかうな!!」

「仕える者として、そして漢として!このことは他言しないでござる!慎二殿、安心されい!」

「お前はふざけてんのか!?それとも本気で言ってんの!?ああああ、何だこの話の展開!僕達いまこんなことしてる状況じゃないはずだろお!!?」

もう僕が衛宮に助けてほしいくらいだった。
いや、多分誰も、例え衛宮でも助けてくれないのは明白だけど……。

アインツベルンの森[現在位置不明]


「はぁ―――はぁ――――遠、坂――――はぁ――はぁ―――」

「――――ん―――ハァ――はぁ――――だ、駄目よ、士郎――――こんなところで――――はぁ―――ハァ――」

「―――はぁ――はぁ―――いいだろ、遠坂――――――ヴァッシュもセイバーも、いないんだから―――――少しくらい――――」

――――――俺は、衝動のままに倒れこむ。
―――――――――――――――――――――――――――――もう、限界だ―――。







「―――少しくらい、休んでも」

「……まあ、連続で投影しながらの全力疾走だったものね」

アインツベルンの森に立ち入って数分、俺達は速攻でバーサーカーに遭遇した。
遠坂が言うには何やら不思議な力が働いているらしく、バーサーカーはこの森から出ることが出来なかったそうだ。
恐らく、ハザマという人物が仕掛けた結界のようなもの―――らしい。
魔力とは別の法則のようなものも感じ取れたらしく、遠坂がハザマは魔法使いでも不思議じゃないとか言っていたっけ――――
魔法使い――――――魔術師とは一線を画した存在だ。

――――――バーサーカーの誘導については今のところ上手くいっている。
セイバーとヴァッシュがメインで気を引いて、ちょっとした補助を俺と遠坂が行っている感じだ。
ちょっとしたと言っても、こっちは本気だ。なにせ相手がバーサーカー―――あのハルクである。
生半可な攻撃では挑発にすらならない。

「――――だからって、こんなところでへばってちゃダメでしょう。いつバーサーカーが来るかわからないのよ?」

「―――――――…そうだな。セイバーとヴァッシュに任せっぱなしも悪いし、もうちょっとがんばろう」

「……アサシンが居たら――――もうちょっと楽だったのよね……。本来、こういうこと用のサーヴァントだと思うのよ、アレ」

「――――……遠坂。―――慎二には慎二の人生がある。それを俺の我儘で犠牲になんてできないよ。なんどもそう言っただろ?」

「わかってるわよ―――――――――はぁ……ホントに、甘いわね」

「■■■■■■■■■―――――――!!!!」

「ッ!―――――来た!ほら、立ちなさい士郎!!」

「ああ!!」

バーサーカーがこっちにくる。
遠めだが、それでも十分な気迫だ。

「シローくん済まない!すぐにこっちに注意を逸らす!!」

ヴァッシュが弾丸を放つ。
放った弾丸は、どうやったのか大木を倒し、それがバーサーカーの視界を一瞬だけ隠す。
――――――――そう、一瞬。
バーサーカーにとって大木など、埃と大差ない障害だ。――――――最早防がずとも、バーサーカーに触れた大木の方から砕け散った。
それはそれとして―――――ヴァッシュの思惑通りに注意は俺達からそれ、逸れた注意をさらにセイバーが請け負う。

「――――――――やあ!!」

―――――速度を乗せた突き。
―――――――――無敵に見えるバーサーカーにも、どうやら効く攻撃はあるようだ――――――
――――――――そもそも、ハルクがどういうものなのか知っている俺からしてみれば、攻撃を仕掛けるほど仕掛けた側の勝率が減るサーヴァントにどうやって勝つんだと頭を悩ませたものだが――――――
――――――――セイバーの宝具、『世界の心を繋ぐ鍵』。
この宝具を用いた攻撃――――――正確には、その宝具の一形態、『甘い思い出(スウィートメモリー)』を用いた攻撃ならば、有効らしい。

「――――――――――――■■■■■■■■■■―――!!!」

つまり――――――その攻撃に対して、バーサーカーは怒りを感じていないということ。
いや、むしろ―――それを沈めているような気さえする。
投影してみて分かったことだが―――――この形態の『世界の心を繋ぐ鍵』には、攻撃力が――――無い。
―――――どこか暖かく、まるで何かに優しく包まれているような、――――そんな感覚を覚えた。






なんか中途半端だがここまで

???[???]



『テルミか?―――――ライダーが脱落した』

「おいおい言峰ェ、こんなクソ忙しいときにわざわざ電話してきて話す内容がそれか!?どうっでもいいんだよあんなゴミサーヴァントはよお!!」

『いや、ライダーが脱落したことについては問題ない―――問題は、相手がアサシンだったということだ』

「アサシン―――獅子神=バングか。……成程ね、どの確率事象から来たかは知らねーが、また厄介なことになってんな。事象兵器が使えるとは―――」

『違うな、テルミ。―――――アサシンはアークエネミーを使用せず、ライダーに勝利した』

「……は?――――おいおい、この俺が見繕ったサーヴァントだぜ?確かに偵察も満足に出来ねえ屑だが、戦闘に関しちゃそこそこだったハズだ」

『―――――アサシンは、貴様と同じ「確率事象外の存在」の可能性もある』

「――――――――あー、思い出した、そうだったわ。俺、聖杯に干渉して俺と関係の深い奴をサーヴァントとして現界させるようにしてたんだったっけ」

『ほう。そんなことをしていたのか』

「ああ、レリウスやファントムが現界してくれれば、ちったあ楽になるかと思ってな。――――――どうやら失敗して、微妙な関係の奴を呼んじまったみたいだが……。これも聖杯汚染の影響かねぇ?」

『――――――それと、報告がもう一つ。器が地下から居なくなっていた。――――恐らく間桐慎二の仕業だろう』

「あ?間桐慎二?――――――ははーん……OKOK。放っとけ。今んとこ器に用はねぇよ。世話も面倒だし、後で改めて回収すんぞ」

『ああ、そうしよう。――――――では、死なない程度にな』

「…クックックッ…―――――誰に向かってそんな口きいてやがんだっつーの」

アインツベルンの森[中心部]


「―――――もうすぐで屋敷に着くはずだ!!」

「■■■■■■■■■■■■■――――――――――!!!」

バーサーカーが木々を薙いで走っている。
―――――――――屋敷は目と鼻の先のハズだが、何分相手がバーサーカーである。気を抜けるわけがない。
そもそも、ここまで全員無傷なのが奇跡に近い。
バーサーカーも最初のうちは、前進するのに木をわざわざ薙ぐ必要などないほど激昂していたのだ。
いま俺たちが原型を留めているのは、ひとえにセイバーの宝具、『甘い思い出』のおかげである。

攻撃をしてもハルクに怒りを蓄積させず、―――逆に少しずつ削り取っていく。
つまり、バーサーカーはダメージを受けているわけではなく、ただ単に『元に戻されている』ということらしい。

「――――やあ!―――は!とう!!――――――ヴァッシュ!リンとシロウを連れて、速く屋敷に!!」

「すまないセイバー!ここは任せちゃうね!」

「■■■■■■■■――――――――――――――――――――!!」

バーサーカーが腕を振る。
その威力は一撃で大樹をなぎ倒すほどだが――――――最初のそれよりは、格段に劣る。
―――――少し前までのバーサーカーなら、パンチでここら一体を地盤沈下させてもおかしくなかった。
――――――――――――――――セイバーはジャンプで躱し、その腕を駆けあがる。
肩から大きく上に飛んで、バーサーカーの注意を上空に持っていった。

「■■■■■■■■■■――――――――――!!」

「うわわ!―――このっ!!」

空に逃げた者を掴もうと突きだしたバーサーカーの掌を、セイバーは鍵剣を使ってふり払う。
その鍵剣を身に浴びるたび、バーサーカーから狂気が薄れて行った。

アインツベルンの屋敷[外]


「――――――――着いた!」

「―――――よし、早速イリヤを探すわよ!何が起こるか分からないからセイバーが来るのを待って――――」
「おおおおおおお!!!ヴァッシュ殿に士郎殿、凛殿!!無事でござったかあ!!!」

「―――――ア、アサシン…?」

アサシンが居た。
横には四つん這いになって吐きそうな顔をしている慎二と、ぐっすりと眠っているイリヤの姿―――――

「――――慎二……お前、来たのか――――――」

「……ハッ、別にお前のためってわけじゃ―――ォオェェェ……ア、アサシン…確かに本気で走れとは言ったが、それなら僕もイリヤスフィールみたいに首トンしてくれれば…ォオオォェェ!」

「主に手を挙げるなど言語道断でござる」

「…いや、だから、ウップ!……はぁ……はぁ…だから、結果として、僕がより酷い状態になってるわけじゃん……気絶のほうがマシってくらいにさ……」

「慎二殿なら大丈夫なはずでござる!」

「何その根拠の無い信頼……ォ、オェァ……僕の三半規管を、何だと思ってるんだよ……」

「―――――――――ちょっと待って。慎二、なんでイリヤは鎖で手足を拘束されてるの……?――――まさかあなた―――」

「ちちち違うでござるよ!?慎二殿がそそそそんな変態なわけ無いではござらんかああ!!!」

「……アサシン…お前、ァォオエェェ……後で、覚えてやがれ…!」





ここまで。

アインツベルンの森[中心部]


バーサーカーは考えていた。
いや―――――――ようやく考えることが出来るようになった、と言うべきか。
普段の変体でも、理性を失って思考が出来なくなることはままあったが―――――ここまで長時間思考力を喪失していたことは数えるほども無い。
彼はこの戦争の道具として呼び出されてからここまで、まったくと言っていいほど理性というものに縁がなかった。
――――――いや、例外はある。
理性とはまた別のものだが――――――――イリヤスフィールという少女――――彼女を傷つけようということは、『彼ではない彼』もしなかったのだ。
それがこの戦争の性質によるものであるというのは分かっているが――――それでも、彼にとっては救いだった。
―――――その少女の近くに居れば無駄な破壊をしなくて済むし、――何より、守るためにこの力を使ってくれるというのは、感謝してもしたりない。
例えそれが飼いならされた猛獣のようなそれだとしても、だ。

―――――――――しかし、それは少女に依存しているに過ぎなかった。

少女が居なくなった途端――――――――『彼ではない彼』が本能のままに、獣のように暴れ出す。
最初は少女を守るためだったかもしれない。少女を助けるためだったかもしれない。
しかし森を駆けるうちに、段々と目的を見失っていった。
―――――――――――――少女が見つけられない苛立ちか――
――――――少女を守れなかった不甲斐なさからか――――――――
――――――――――そんな感情が『彼ではない彼』にあったのかどうかは定かではないが、とにかく――――
とにかく怒って―――――――――暴走した。

目の前の少年―――セイバーのサーヴァントには、どうやら『彼ではない彼』を打倒しうる力があるらしい。
もしかすると、それこそが――――力に振り回される彼と、『彼ではない彼』を救うことの出来る手段なのかも知れない。
少なくとも彼にとっては―――――――。


もういっそ―――――こんなことなら――――――――――…僕を――――――




「■■■■■■■■■■■■■■■■■■―――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!」


「そろそろ屋敷に行っていいかな……?オレ一人でバーサーカーの相手はちょっとキツい!」

バーサーカーと対峙しながら、セイバーはそんなことを考えていた。
木を薙ぐ攻撃を転がるように躱したり、倒れてくる木の上を駆けてみたり、股下をくぐって後ろから攻撃したり。
客観的には上手く立ち回り、じわじわとダメージを与えているように見えるかもしれないが、実際はバーサーカーをアクロバティックに宥めているだけだ。
――――そもそも、スウィートメモリー自体がそういうものだ。
――――――――これは近接攻撃をするための武器じゃない。
だからこれは、バーサーカー専用の戦闘法だと言える。

「まさかプー達との想い出がこんな形で役立つなんて…――――シロウの知識がなかったら、使う機会なんてまずなかったよなぁ……」

プーやその仲間達との想い出は勿論大切だ。だからこのキーブレードだって大切ではあるが――――如何せん使いどころが難しい。
その点バーサーカーを相手にするにはおあつらえたようにぴったりの武器で、セイバーは不謹慎にも、ちょっぴり嬉しかったのだった。

「それにしても―――怒るたびに強くなるなんて……シロウの言う通り、確かに反則だな…」

「■■■■■■■■■―――――――!!!」

バーサーカーが腕を振る。
最初に比べると、随分と愚鈍だ。
だからと言って侮れる威力ではないので、セイバーは無理せずバックステップで距離を取った。
――――しかしこの感じなら、怒りが鎮まるのはもうすぐかもしれない。

「―――うーん……まあいいや!オレもみんなのところに行こう!」

後のことは、取り敢えず行ってから考えよう。リンならなんとかしてくれるはずだ――――と、セイバーは根拠もなくマスターを信頼するのだった。

アインツベルンの屋敷[エントランスホール]


目が覚めたイリヤスフィールにも説明を手伝ってもらって、なんとか僕の疑いは晴れた。
その代わりに言峰がロリコンということになったけど、僕はあんなやつの評価まで気にしてやる筋合いは無い。
―――ともすればイリヤスフィールがまた悪乗りするんじゃないかと心配にもなったが、そんなことはなかった。
むしろ――――実に真剣だった。
――――――――首トンで強制的に眠らされたせいか幾らか体調は回復し、意識も言葉もハッキリしていたため、そういう風に見えたというのもあるかも知れないが―――
一番の理由は、―――――バーサーカーが近くに居て、しかも暴走しているからだろう。

「―――――……わたしが止めるわ。わたしのサーヴァントだもの」

「いいのかよ、お前病み上がりなんだぜ?」

「そうだぞイリヤ。あんまり無理しないほうが……―――――」

「無理じゃない――――いいえ、例え無理でも…わたしがやらなきゃ――――わたしの為に戦おうとして暴走したんだから、けじめはつけなきゃ」

――――――――まあ、こいつがそこまでいうなら僕には止める権利も意味もないな。
それでバーサーカーが止まるなら僥倖だし、止まらないにしてもセイバーならバーサーカーを打倒しうるそうじゃないか。
見返りは大きく、失敗してもリスクは少ない。
精々、バーサーカーが再びイリヤの制御化に入るか否かの違いで、どっちにしたってどうせ戦うことにはなるわけだし。

「――――イリヤ――――確かにあなたはバーサーカーのマスターだし、魔力も膨大よ。――――だけど、暴走したバーサーカーを止めるにはそれでも足りないわ」

「ええ、わかってるわ―――――――だから、あれを使うしかない」

「『あれ』?――――――…おい、イリヤスフィール…それって…――――」

イリヤスフィールは、他のマスターとは明確に違う部分がある。
膨大な魔力や才能もそうだが、それについては遠坂や、ある意味桜だって当てはまる。
明確な違い。それは――――――サーヴァントに対する絶対命令権、すなわち令呪…!
イリヤスフィールのそれ、特別仕様の全身令呪は他の令呪とは全く趣が違う。
それはバーサーカーを日常的に制御するためのもので―――――

―――少しでも使えば、それ以降制御できるかは分からないと、イリヤスフィール本人が言っていた――――!





ここまで

済まぬでござる 昨日は立て込んでたので来れなかったでござる
某社に消されたとかはないので安心してください




アインツベルンの屋敷[エントランスホール]


「お前、本気かよ…!それを使ってバーサーカーを鎮めても……」

「――――シンジ。それ以上は言わなくていいわ……そんなこと、わたしが一番わかってる」

――――――――たしかに、話を聞いたら遠坂も衛宮もイリヤスフィールを止めるだろう。
考え方に違いはあるだろうが、二人にとってイリヤスフィールが令呪を使って起きる事態はマイナスでしかない。
イリヤスフィールが令呪を使えばバーサーカーは一時的に暴走を止めるかもしれないが、それ以降もずっとそのままだという保証はないのだ。
いつまた再び暴走するかもわからないサーヴァントを遠坂が許容するとは思えないし、制御するのにもイリヤスフィールは相当の精神力を使うはず。
それは衛宮の望むところでもないだろう。
―――――僕としては、例え一時的であれ、バーサーカーが鎮まるのはありがたいし、イリヤスフィールの負担いくらが増えようが、自分の命は大切だ。
正直、止める理由がない。
―――――――なのになぜ、僕はイリヤスフィールにわざわざわかっていることを尋ねなおしたりしたのだろう。
普段の僕なら――――――――――こんな他人、利用して然るべき場面のはずだ。

「――――――は!そうかよ!だったら勝手にやったらいい!―――急げばセイバーに全部片付けられる前に事を治められるかもしれないしな!」

「し、慎二殿!?それでよいのでござるか!?」

「いいんだよ!こいつがやるって言ってんだから好きにさせてやればいいじゃん!」

「―――――――シンジ…――――――感謝するわ――――――」

「―――――――――――――……やめろ、よ…―――…」

――――今の僕に、感謝なんてするな―――――――――――――僕は、理屈で意地になって―――それを押し通すために感情的になって。
―――――――正直、自分でも―――――――――――何がしたいのかわからない。

「―――…アサシン、自由時間をやるよ。――――…て言うか、ちょっと一人にしてくれないか…?」

「―――――――――――――……」

「―――――――――――――――――その間は、お前の好きなようにしてていい」

「―――――――――――――――――――――――慎二殿――それは――――」

僕はその場から逃げるように、屋敷の奥へと進む。
こんな状況だし、イリヤスフィールだって僕に借りがあるんだ。これくらい許してくれるだろう。

「まったく……慎二のやつ、素直じゃないわね」

「遠坂。あれが、あいつのいいところなんだよ。今日はそれが良くわかっただろ?」

「足並みを揃えない単独プレー、だけどそれが自分のためじゃない。……回りくどい性格よね、ああでもしないと行動できないのかしら…」

「そうかもしれないな。――――だけど俺は、慎二のああいう孤独孤立を恐れないところとか、自分のやり方を曲げない誇り高い生き方とか……実は憧れてたりするんだよ」

「―――――――――――――…どの口が言うんだか。あなたたち、揃いも揃って頑固過ぎよ」

そういう遠坂の顔は確かに呆れていたけれど、少なくとも、慎二を悪く思ってはいないだろう。
アサシンが慎二を主として認め、時たま出される無茶な命令にも従っているのは、こういう慎二の味を理解しているからだろう。
付き合いが長ければ長いほどわかってくる慎二の味を早々に理解できるアサシンのようなやつが、あいつのサーヴァントで本当によかった。

「―――――…シローくん、そろそろ来るよ。準備はOK?」

「ああ、任せとけヴァッシュ。―――――――――投影、開始――――――」

「――――……セイバーは無事かしら……」

「――――――――――――あら、リン。自分のサーヴァントが信用できないの?」

「……信用と心配は別物よ」

「―――――さあさあさあ!!一丁気合いを入れて行くでござるよ!!!何処からでも掛かって来るでござるうう!!!!」

―――――――――――――――――屋敷の扉が、乱暴な音を立てて開け放たれる。
――――――――怒れる英傑は、力が弱まったとはいえ、それでも変わらず―――――暴力の象徴として、そこにいた。

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■―――――――――――――――――!!!!!!!」

間桐邸[蟲倉]


「――――――――――――少々、拙いのう―――――」

――――――――――――球磨川禊。
前回、彼のマスターであった間桐雁夜と共に、間桐臓硯へ刃向ったサーヴァント。
そして、聖杯をその精神で以てして汚染し尽したサーヴァントでもある。
そのサーヴァントが―――――――――――――――十年越しに再び、この冬木に限界した。
召喚されたクラスは違えど、持ち得る力は大差ない。
いや、「持ちえない力」の方が正しいのか。
こんなことをあのサーヴァントに言うと、『僕にとっては、正しさなんて間違っているのと変わりませんよ』などと意味の分からないことでも宣うのだろうが―――。

「――――――――桜にサーヴァントを召喚させたのは、間違いだったか――――」

もともと彼は、この聖杯戦争について干渉する気はなかった。
静観を、決め込むつもりだった。
しかし―――――――――――――――――――――――

「慎二め―――――――あやつがまさかサーヴァントを召喚するとは―――――予想もしておらんかったわ――――」

間桐臓硯としては珍しく――――――――それに便乗し、状況を畳み掛けようとした。
間桐家からマスターを二人出すことが出来れば、悲願の達成も近ずくと。
―――――――――――慎重さを欠いて、行動に出た。
――――――――――――――――――――――それが今回は裏目に出たのだ。
最悪の形で―――――最悪のサーヴァントを―――――最悪の状況下で―――――最悪のマスターの下に、呼び寄せた。

「まさに最低のサーヴァントじゃな―――――しかも今回は、雁夜の時とはわけが違う――――」

間桐雁夜の時と違い――――間桐桜には膨大な魔力と才能がある。
間桐雁夜の時と違い――――球磨川禊には明確な目的がある。
間桐雁夜の時と違い――――間桐慎二という不確定要素が身内にある。

「―――前回のセイバーよりましとはいえ…――――――――これは性急に手を打たねばならぬか――――――」

――――――――間桐臓硯は、体を分解し―――――――――体を――――蟲に―――――分解し。
四方の暗闇へと散っていった。






ここまで
コメがあるとやる気は出るけどなくても完結はさせるので安心されたし

「―」使いすぎじゃねwwwww

>>105
他にやり方を見つけられなかったwwwwwwww
そして今更変えられないwwwwwwwwwwwwww

「セイバー!あなた、イリヤの鎖外せる!?」

「たぶん大丈夫!でもちょっと待って!だれかバーサーカーの相手変わってくれない!?」

「そういうことならば拙者が!」

「駄目だアサシン、明らかに傷を負ってるやつにあんなのの相手なんてさせないよ」

「ヴァッシュ!俺に出来ることはあるか!」

「イリヤちゃんのナイトになってやってくれ!!」

状況が動く。
先ずセイバーが後ろに向かって転がって、バーサーカーから大きく距離を取った。
すかさずヴァッシュが割り込んで、威嚇射撃。このバーサーカー相手では、銃弾を直接当てる意味が無いためだろう。
イリヤの左右には俺と遠坂、正面にはアサシンが構える。

「■■■■■■■■■■■―――――――!!!」

「―――――」

――――ヴァッシュは、無言だった。
ただ黙々と、バーサーカーの攻撃を避ける。
銃こそ構えているものの、撃ったのは最初の一発だけで、それ以降は攻撃に出る様子すら見せない。

「……ヴァッシュ………―――」

バーサーカーに対抗できるのは、本当にセイバーだけなのだろうか。
セイバーの宝具とは、いったいどういうものなんだ。
鍵の形状を取った剣――――キーブレード。
投影したこの剣は、―――セイバーの振るうあれの、欠片さえ満たせてはいないのではないか。
それは当然のはずだ。
俺の投影魔術が上手く行きはじめたのは最近のことで、素人同然なのだから、上手く出来ないのは当たり前―――なのに。
――――――――――なのにどうして、こんなにも悔しいんだろう。

「はい!鎖外れたよ!」

「―――――――――――感謝するわ。セイバー」

じゃらじゃらと音を立て、鎖が床へと落ちる。
イリヤは一瞬驚いた表情を浮かべたが、それはすぐに引っ込めて、バーサーカーに向き直った。
遠坂は鎖が外れた現象に首を傾げていたが――――。

「別にいいって!じゃ、オレはまた戦ってくるから!――――もう少しで、何かが変わる気がするんだ」

アインツベルンの屋敷[廊下]


「なんだこれ……広すぎだろ、城かよ」

僕は上手いことバーサーカーから逃げてきて、屋敷内をうろうろしていた。
しかし、広い。
しかも無駄な広さである。
絶対使ってない部屋あるよな……。

「流石はアインツベルン、ってか?……しかし、ここまでやると高貴さが霞んで逆に成金趣味っぽいぞ…」

窓の一つ一つがデカすぎる。しかもかなり高所だ。
業者呼ばないと掃除できないんじゃないか、これ。
と言うか、掃除自体がとてつもなく大変そうだ。
掃除で一日潰れるぞ。この暴力的なまでの広さ。

「……埃は…無いな。掃除は行き届いてはいる、と。………うわぁ」

掃除しているのがどこのどいつかは知らないが、心中御察しする。
嫌なら嫌と、そういっていいんだぜ?
僕は適当に目に入ったドアに手を掛け、開いてみた。
―――――どうやら、物置部屋らしい。
怪しい置物だらけだ。

「この分じゃ…工房がそのへんの部屋にあってもおかしくないぞ……」

――――――……アインツベルンの魔術工房か…ちょっと興味あるな。



1、工房があるならもっと奥かな。
2、もしかすると、この近くの部屋だったりして。
3、工房を覗くと後が怖い。…外に出て気分転換でもしよう。

>>113


少ないがここまで

2っ

おつおつ。気になる展開だ

「もしかすると、この近くの部屋だったりしてな」

あまり奥へと進むのは何か知らなくてもいいものを知ってしまいそうだし、外に出るのは普通に愚策だ。
僕は衛宮達がどこでどんなふうに戦っているか知らない。
ひょっとしたら外で戦っているかもしれないし、それと鉢合わせは避けたい。

「……。この近くの部屋とは言っても……ふざけてるんじゃないかってくらいの部屋数だからなぁ…」

『この近くの部屋』に分類される扉の数は4。
それはつまりこの通路に四つ扉があるということ。
一つは怪しい置物が置かれていた部屋なので、残るは三つか。

「この小通路で四部屋……しかも扉と扉の間隔から考えると、一つ一つが相当な広さだぞ…」

もうこんな使われてなさそうな部屋、律儀に掃除しなくてもいいんじゃないか?
ドアノブピカピカだよ。
たぶん室内も掃除が行き届いているんだろうなぁ……。

「……さて、まず一部屋目……」

先程の物置部屋も含めれば二部屋目だが、気持ちの問題だ。
僕はドアノブに手をかけ、ゆっくりと扉を開いて内を覗く。

「…………クローゼット……衣裳部屋か…?」

この部屋もやはり、掃除は行き届いている。見渡す限り塵一つない。
……どこのどいつかしらないが、本当にお疲れ様だ。
流石の僕も他人の家のクローゼットを勝手に開けるのは気が引けるので、広い室内を物色する程度に留めた。

「……女物のコート………イリヤスフィールが着るには大きすぎるよな…」

しかしこのコート、結構値が張りそうである。
少なくとも使用人…が居るかどうかは知らないが居ると仮定しても、使用人が主人の屋敷で着る服ではない。

「……となると…母親、とか?」

ここはアインツベルンの別荘だ。
前回の聖杯戦争が10年前だから、可能性は高い。

「………次だな。…この部屋は工房じゃない」

二部屋目は、またしても物置部屋だったのだが、最初の部屋、便宜上0番目の部屋とは全く趣を異していた。
掃除が満足に行き届いていないところからも不審には感じていたのだが……

「まさか……武器庫、とはね…」

そう、武器庫。
それも―――――――銃器の類、である。
ピストルからライフルから、どれも際物揃い。
アインツベルンのイメージとは随分とかけ離れている。

「キャリコM950……?…なんでこんな恰好悪い銃を……。ワルサーWA2000…は、まあ良いとしても…」

僕としてはM586みたいなスマートな銃の方が好みだ。
この銃の所有者と僕は、絶対に相容れないと思う。
その中でも特に目を引いたものがある。勿論、悪い意味でだが。

「………これは…確か競技用のはずだよな……確か、名前は…」

―――――――――――――――コンテンダー。
トンプソン・コンテンダーで間違い無いはずだ。
多数の規格の弾薬に対応出来て、ピストルでありながらライフル弾まで打ち出せるという代物。
万能の単発銃とか言われていたっけ。

「そうは言ってもゲテモノじゃん……ご丁寧にライフル弾まで添えて置いてあるし…」

ライフル弾が撃てるピストルいう言葉に釣られたのだろうか。
実際はライフル弾なんて撃ったら凄い負荷が掛かるだろうに。

「――…銃か。サーヴァントには効かないにしても、マスターには有効だよな……」

―――――これ、借りて行ってしまおうか。
とりあえずコンテンダーを持っていこう。
ご丁寧に弾が添えてあるわけだし、なにより見た目がキャリコよりはマシだ。
ワルサーWA2000は隠して携行するのが難しいのでパス。

「……普通の弾があれば良いんだがな…なければライフル弾で我慢するしかないぞ……」


結局、通常の弾丸は見つからなかった。
最悪、アーチャーが使っている弾の規格を調べて使えるようなら譲って貰うしかない。
…それでも無理なら、ライフル弾である。…武力皆無よりはマシだろう。

「まあ、とりあえずコンテンダーは服の中に忍ばせておくとして……これからどうするかだな」

ちなみに、三つ目の部屋は弾丸探しの時に立ち寄った。
特にこれといって何もない部屋で、やはり使ってない部屋はあるだなと頷いたのが半分、こんな何もない部屋でも掃除するんだなと居たたまれない気持ちになったのが半分だ。

「アサシンや衛宮達のところに戻るのは無しだな。なんか恥ずかしいし。…かといって工房探しも疲れたし……」

まあ確かに少しくらいはイリヤスフィールが心配だったりもするが、それはアサシンに任せてきたし、大丈夫だろう。たぶん。
寧ろ一番死亡率が高そうなのは衛宮ではないだろうか。

「……投影魔術がどの程度のものなのかは、良く知らないけどな」

あのバーサーカー相手に役立つものなのだろうか。
……まあ、無理だろうなぁ。

「…………休憩出来そうな部屋でも探すか」





ここまで

1だと工房見つけてドン引きして死亡フラグが立ち、2だともう一人の緑色と遭遇イベントの予定だった



アインツベルンの屋敷[エントランスホール]



「それじゃあ、セイバーの攻撃はバーサーカーにダメージを与えているわけじゃないのね?」

「ああ、投影してみて分かった。この剣に攻撃力は無い。…きっと、怒りを鎮めているだけなんだ」

「ありがとうシロウ。それがわかっているのなら、令呪はきちんとタイミングを見計らって使わないと……」

ヴァッシュとセイバーはバーサーカーと戦闘中だ。
セイバーが主だった近接戦闘を行い、要所要所でヴァッシュが注意を逸らす。
アサシンは俺達3人を守るように構えている。

「―――……しかし、攻撃するとその痛みに怒って強くなるとは………これまた厄介な能力でござるな。セイバー殿の宝具がなければどうなっていたことか…」

「宝具、『もう一人の自分(パワード・ハルク)』……。しかもその性能で常時発動型とは恐れ入るわ……。その分燃費は頗る悪そうだし、イリヤの膨大な魔力量だからこそ扱えるサーヴァントね」

……確かに。
少なくとも俺ならハルクをサーヴァントには呼ばない。
制御とか魔力以前に、そもそもサーヴァントの枠に収まる存在ではないと思う。
そうだな……アメコミなら、呼んでみたいのはキャプテン・アメリカかな。
いや、ヴァッシュに不満があるわけじゃないんだけど。

「て言うか、なんで士郎がバーサーカーのことを知っているのかと思ったら、アメコミのヒーローなのね、あれ……」

「ああ、かなり有名だぞ」

「わたしも、お爺様が用意したサーヴァントだから詳しくはしらないわ」

「……何てもん用意してんのよアインツベルン当主…」


「よっと!――――――――――は!――せいやぁ!!」

セイバーはバーサーカーを頻りに叩いた。
バーサーカーの動きは攻撃を受けるごとに鈍って行くし、セイバーは戦うほどに相手のパターンを掴んでいく。
剣運びはより軽快なものとなり、コンボを繋ぐ余裕も出てきた。

「■■■■■■■■■■■■―――――――!!」

重い拳の振り下ろし。
相変わらず一撃でも喰らったら致命傷を負うような威力であることに変わりはないが、速度を失ったそれはセイバーにかすりもしなかった。

「このまま続けたら、きっと正気を取り戻すと思うんだ――!」

確信を持ってそう言い切った。
それが特殊な経験から来る言葉なのか、それともただの勘なのかは本人もわかっていない。
だけどそれでも、根拠なんてなくても信じて突き進むこと。
信じれば、叶わない思いなんて―――無い!

「――――――――――――ラストアルカナム!!!」

勢いを剣先に乗せた刺突。
バーサーカーの巨体が、わずかに地を離れた。

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――――――――――――!!」

しかし、それで終わりではない。
刺突の動きに残心をせず、回転するように大きく飛び上がる。
振りかぶったセイバーの剣が、バーサーカーの額を―――撃つ。

「―――――――――――――――――ジ・エンド!!」

一際大きな音が響く。
バーサーカーは、その巨体を地に落とされた。


ああ…―――思った通りだ。

この少年ならば、このまま僕を――『もう一人の僕』を、きっと殺してくれる。
自らのマスターを守れなかった用済みのサーヴァントなど、あの少女は必要としていないだろう。
いや、必要だったとしても、それは駄目だ。
こんな―――――いつ暴走するかもわからない僕を、誰かの傍になんておいておけるか。
僕はもう、壊したくない。
ここまで毒気が抜ければ、あのセイバーは『もう一人の僕』を殺せる。
銃での自殺が不可能だったことはまだ覚えているが、相手はサーヴァントだ。
人外の存在の攻撃力なら、流石の『もう一人の僕』でも死ねるだろう。

「■■コ■セ―――ボ■■、コロ■■■■■――――!!」

「!!―――バーサーカー!喋れるか!?良かった!正気を取り戻したんだな!」

「チガ、■――■■ヲ■■シテ、ク■、クレ―――■■■■■――――!」

「―――?―――ごめん、なにを言おうとしてるんだ?」

僕を、殺してくれ。
僕を殺してくれ!殺せ!
なぜ伝わらないんだ!なぜ殺そうとしないんだ!?
僕は君たちの敵だろう!君たちには僕を殺す理由がある!

「コロ、■■■■■、セ―――ボク、■■■■、ヲ、■■■■■■コロセ■エエエ■■エエ■■■■■――――――――――――!!!」

駄目だ、怒るな!
怒ったらまた正気を失う!
そうなる前に!
僕が僕であるうちに!



「――――――――――――――――――――――……わかったわ。…ごめんね、バーサーカー…」



ここまで

>>130
2だと→3だと

くそっこんな部分でミスるとは!


思えばバーサーカーに出会ったのは随分と前だ。
聖杯戦争が始まる二ヶ月前に召喚したときには聖杯の補助もなく、一気に魔力を吸い取られた。
バーサーカーを制御するための特性令呪も、最初の内は彼の暴走を押しとどめておくのがやっとで―――――。
数日はわたしもバーサーカーも、一歩も動けなかった。

それから何日かたって、わたしは魔力の消費にも馴れてきたし、バーサーカーも消費を抑えてくれた。
バーサーカーにも現界したいという意思はあり、わたしを気遣ってくれているというのは―――なんだか嬉しかった。
獣の蔓延る森に放り込まれたときは、わたしを守ってくれて――――。
いつも隣に居てくれる彼は、とても頼りになって―――――――。
この英霊には、サーヴァントとマスターの関係を超えて―――柄にもなく、尊敬さえしていたかもしれない。

しかし―――――それも結局は、使い魔として縛られていた彼の姿に過ぎなかった。

わたしを前に彼は、殺してくれと願う。
――――今まで守ってくれたのは、わたしが彼のマスターだったからで。
彼は支配されて、狂わされていることに対して――――――――――――――本当はどう思っていたのだろうか。
本当は、したくもないこと強要し、逆らえないから従って、そんな彼を一方的に尊敬していたなんて―――それじゃ彼を玩具にしていると思われても、仕方ない。

「――――……ごめんね…」

だから、謝った。
頬を涙が伝う。

「でも、違うの……。わたしは、貴方のことを本当に頼りにしていたし、尊敬していた……。今更信じて貰えないでしょうけど…―――」

少しずつ近づいていたのだろう。
わたしはもう、バーサーカーのすぐ傍にいて―――手を伸ばせば、彼に触れられる距離に居た。

「貴方に、誤解されたまま終わりたくない……だから、言うわ…―――どんなに疑われたって、これがわたしの本音だから。―――…」

―――――――――――――――――――……――――ねえ、バーサーカー――――

「――――…ありがとう……わたしを、守ってくれて。――――――貴方がわたしのサーヴァントで、本当に良かった」






今日ちょっと立て込んでるのでここまでですスミマセン


イリヤがいつの間にかハルクの前にいたww
てか>>132のセリフもイリヤのか

立て込んでる中申し訳ないが、もう少し状況説明文が欲しかった

>>145 
マジでか。それはスマン ちょっと地の文削りすぎたかな…
言い訳になるけど、説明長すぎてもつまんねえかと思ってさ それで伝わらなきゃ意味ないわな

書いてきます

1って以前にもSS書いたことある?

>>148 無い 初めてのSSは考えるの面倒だし安価スレにしようとしたらkonozama 余計考えてるという……





イリヤの全身に、光の線が浮かび上がる。
――――――特別仕様の全身令呪。バーサーカーを制御するために施したその契約の証を以て、バーサーカーとの契りを終えるつもりだ。
俺は、その光景を止めようなんて思えず―――美しいとさえ、感じていた。
アサシンもセイバーも、遠坂だって、それは同じだっただろう。
俺たちは全員、当事者のイリヤとバーサーカーを含む全員が、この事態を受け入れていた。
―――――――――――――――――――――ただ一人を除いて。

「……駄目だ!殺すな!――…それだけはやっちゃいけない!!」

声が響く。
イリヤとバーサーカーの間に割って入ったのは、赤いコートに身を包んだ痩身の男―――。
アーチャー――ヴァッシュは、涙を流しながら訴えた。
ただ一度を除いて、生涯不殺を貫いた英霊。
俺にそのことを語るヴァッシュは、その在り方は酷く愚かだと自虐的なことを言っていたが……――
その表情に、後悔は無かった。
故に今回もそうするのだろう。
一度折れた心、アサシンに奮い立てられ、再び志したそれは――――
敵も味方も関係なく、ただ……誰も殺し殺されることのない世界。
ラヴ&ピース、だと―――――。

「……アーチャー?…何を言っているの…?バーサーカーがこんなに苦しんでるのに……救うにはこうするしかないのに!」

「そうじゃない!……救うには殺すしかないなんて、悲しいことは言うな!」

「じゃあどうするっていうの!?わたしにはこれしか出来ない!殺してくれと言うバーサーカーを救う術が見当たらないの!!」

「だったら話を聞いてみろ!君はバーサーカーに思いをぶちまけたかもしれない!!でもバーサーカーは伝えきっていないんだ!!」

ヴァッシュは振り返ってバーサーカーを見る。
目の前のハルクは酷く衰弱し、暴力的過ぎる最初の姿に比べて覇気を感じなくなった。
それは怒りが鎮まっていることを示すのか、魔力の浪費による疲労を示すのかはわからなかったが―――。

「さあ、バーサーカー………君の想いを、君の言葉で―――彼女に伝えてやってくれないか?」


僕の、想い?
それは、僕に謝れというのか?
悪かったと、疑って済まなかったと?
たしかに彼女は僕を必要としていたし、用済みとも思っていなかった。
しかし、それでも僕はもう、彼女の傍で彼女を守ることは出来ない。
セイバーのおかげで理性を取り戻してはいるが、そんなものは一時的だ。
もう自分を、『もう一人の僕』を制御する力は――――――僕にはない。
そもそもバーサーカーとして召喚された時点で、僕を自制する力も経験も能力も全て根こそぎにされている。
『もう一人の僕』の制御は、彼女の魔力に頼るしかない。
その彼女も、魔力は底を尽きかけているんだ。
例えこの場で令呪を使わずに済んだ所で、彼女の魔力で制御出来なくなった『もう一人の僕』を押さえつけるために、使わなければいけない時が必ず来る。
そうなったら僕はどうすればいい?
いや、それだけならまだ良い。
その展開になって一番恐れているのは、あの時殺しておけばよかったと思われることだ。
暴走した僕を前に、どうせ殺すならあの時に自害させておけば良かったと。生かしただけ迷惑が掛かったと、そう思われるのが一番怖い。
だから、いま―――――殺してくれ。

「そうじゃない。―――彼女が言ったみたいに、君も言うんだ」

彼女が言ったみたいに?
それは―――――――――

「バーサーカー。君は彼女のことを、どんなふうに思っていた?」


「―――――■■■、ボ、ボくは―――■■■■■■――――イリやす、フィーる―――」

バーサーカーが言葉を紡ぐということの異常性は、俺でも理解出来た。
と言うのも、数日前に遠坂からこんな説明をうけていたのだ。

『あのバーサーカー、恐らく狂化のランクは最高ね』
『あの異常なまでの強さ……そうとしか考えられない』
『狂化のランクっていうのはね、士郎。高くなるにつれ理性と言語能力を失うわ』
『生前に得た叡智や戦略を代償に、強大な力を得る。それがバーサーカークラスなの』

この話に俺は納得したし、ハルクをバーサーカーにしたのなら狂化のランクは最高で間違いないとも思った。
むしろ、バーサーカーのクラスを得る前から狂化のスキルを持っていても不思議じゃない。
そのバーサーカーが、想いを拳ではなく言葉に乗せる。
セイバーの宝具が凄いのか、ヴァッシュの行動のおかげなのか――――それとも、ひょっとしたら『彼』なのか。

「きみガ、■■■――マスターデ、良かっタ。―――――僕ノチカらを、■■■■■………守る、ためニ、■■■――――使ってクレて………ありが、とう」

「―――――――――――――……バー、サーカー……?」

「きみヲ、最後マデ……■■■■■■――――…守り、ツづけるコとが、……出来なくて、スマない………■■■■■■■■■■■■―――…!!」

「―――――――バーサーカーぁ……!」

少女はバーサーカーに抱きついた。
その瞳から惜しみなく涙を流し、心まで揺さぶるかと言うほどの大きな声を出して泣いた。

「■■■■■■■■■■■■――――!!共に■■■!!歩むコトハ、出来なイ!今ノ僕でハ、いつ■■■■■!!……君を傷、付けルカ―――!!■■■■■■―――!!!」

「嫌だよバーサーカー!わたしを一人にしないで!わたしと、ずっと一緒にいてよお!!」

「■■■■■■■■■■■■■■―――……イリヤ、キミハ、本当に―――――」

そこから先は言わなかった。――――――――――――言えなかった。
バーサーカーはそこで、再び言語機能を失ったからだ。
ただ、いままでとは決定的に違う部分がある。
それは、言語機能の喪失が酷く物理的だったこと。

バーサーカーの首から上が――――――――――――大きな蛇に食い千切られた。


「はーい、茶番はここまで。皆さん、バーサーカー討伐へのご協力、心より感謝します」





ここまで


鯖が3体以上消滅したら聖杯の現界は止められなくなるんだっけ?
過負荷聖杯wwktk

>>153
VIP速報が初めてってことだよ、そうに違いない(現実逃避)

>>154
SS書くのは本当に初めてだが厨二病だったので駄文を書いては封印しての繰り返しを少々
西尾に憧れた厨二病なんて大体そんなもん

上げちまった、だと……
申し訳ないのでちょっと書く



間桐邸[リビング]


「『ごちそう様でした。流石だね、おいしかったよ桜ちゃん。』」

「お粗末様でした。そうですか?今回のピラフ、ちょっと味が濃過ぎませんでした?」

「『それくらい大味でも誰も文句は言わないよ。僕は正確さを欠点と捉えている。』」
「『人間は正しすぎたら駄目なんだぜ?』」

この人が言う欠点とは、この場合好ましいものなのか、それとも忌むべきものなのか。
球磨川さんは回りくどい表現ばかり使うので、どうしても言葉を曲解してしまう。
文脈では、好ましくないみたいにも感じるけど……わからないなぁ。

「『さて。すっかり夕飯時だし、僕の大切な友人である彼の用事もそろそろ済む頃かな?』」
「『あの人の事だから、作戦自体はうまくいっているだろうけど……。』」

「それって、球磨川さんがすっぽかした用事ですよね……いいんですか、そんなに適当で」

「『良いの良いの。彼は優しいからね。きっと笑って許してくれるさ。』」
「『それにしても、桜ちゃんは真面目だな。もっとちゃらんぽらんでも僕は全然構わないのに。』」

「そうですか?ふふ、でも球磨川さん。お互いにちゃらんぽらんになったら、バランスが悪いじゃないですか」

「『あー、バランスか。そうだね。なんだって悪いのは良くない。だって、僕たちは悪くないんだから。』」
「『まあ、桜ちゃんは好きなようにしなよ。僕も僕で、精一杯好きにやるさ。』」

「じゃあ、デートしましょう。球磨川さん」

「『…………マジで?』」

球磨川さんの驚いた顔。わたしはこの顔が大好きだ。
驚いて、何かよくわからないもの(本人が言うにはフラグがどうのこうの)に怯えながらも―――
―――――とっても喜んでくれるその顔が。

ここまで って書くの忘れてた

新都[アウットレットモール]


「『マジだった……次あたり僕が脱落するんじゃないか…?』」

球磨川さんを引き連れて、わたしは新都へやってきた。
時間も時間なのですぐに帰ることになるだろうけれど、来たっかったのだから仕方ない。
もちろん新都でなくとも別に良かったのだが、すぐにいい場所が思い付かなかったので妥協するしかない。

「『それにしても、アウトレットモールって………。桜ちゃん、意外と俗っぽいところもあるんだね。』」
「『夜景の綺麗な山頂とか星空満天の丘とかに連れて行かれたって、僕は別に笑ったりしないぜ?』」

「『流石にそこまでロマンチストじゃないですけど……そういう場所が思い付かなかったんです。…………悪かったですね俗っぽくて』」

球磨川さんもわかって言っていることだろうけど、その言い方は何だか子供扱いされているみたいで嫌だ。
………でも、ひょっとしたら球磨川さんはもっとロマンチックな場所のほうが良かったのだろうか。
そんなことは終ぞ考えていなっかったから、大きな誤算だ。
わたしは、正直球磨川さんと一緒に行けるならどこだって良かったし……。

「…………あの…駄目、でした…?」

「『いや別に?場所なんてどうだっていいよ。』」
「『せっかくかわいい女の子とデート出来るんだ。それだけで僕は十分満足。』」
「『ただ、意外ではあったかな。』」
「『ほら、例によって僕は無一文だからさ。男らしく奢ってやったりとかは出来ないんだぜ?』」

「そんなことはどうだって良いんですけど……」

……『かわいい女の子』、ですか。

乙ww

>>162
桜ちゃんが括弧つけてるぞ

>>164
ああああああ
脳内で処理してくれえええええ


書いてくる

わたしとデート出来るからじゃなくて、『かわいい女の子』とデート出来るから……球磨川さんは嬉しいんだ。
わかってはいたことだけど、それでもやっぱり悲しいな。
最初からそう。
球磨川さんはわたしを見てはくれたけど――――わたしを理解してはくれない。する気なんて、さらさら無い。
ありのままのわたしを受け入れてくれて、背負ってくれてはいたけれど。
それは、わからないものをわからないままに許容して飲み込んだだけなのだから。
わたしのことは考えているけど――――わたしの気持ちは考えていない。
だから無遠慮に踏み込んでくるし、不躾に意見を言ってくれる。
最初から変わらない。最初はとても嬉しかったそれが―――――今ではただ、もどかしい。

「『……?』」
「『…まあ、どうだって良いならそれで良いけどね。』」
「『うーん……じゃあどうする?悪いけど僕ってこういうの慣れてないからさ、勝手がわからない以前に若干緊張気味なんだ。』」

とてもそうは見えない。
いつもと変わらない飄々とした口調と笑顔だ。

「……あ」

そもそも、わたしもこういうことは初めてだ。
日中に球磨川さんに連れてこられたことはあったけど、あれはデートとは言えない雰囲気だった。
行く場所行く場所が球磨川さんのチョイスによるもので、そもそも一回目は地形の把握と作戦会議メイン。わたしにデートの自覚はなかった。

「ど、どうしましょう……わたしにも良くわからないんですけど…」

「『うん、じゃああっちのラブホ街に―――』」

「球磨川さん」

「『………僕が悪かったよ。』」


「『それにしても―――なんだか僕、温くなってきたよね。』」

アウトレットの中をフラフラしているとき、球磨川さんは突然そんなことを言った。

「『日寄ってるっていうの?行動にインパクトがなくなってきてる気がするっていうか。』」
「『ある意味じゃあ、僕も戦闘の中でしか輝けないキャラクター性ってことかなぁ。』」
「『殺し合いに限らずね。心理戦でも競争でもいいんだけど、とにかく場を荒らしてる内が本領みたいな。』」
「『僕みたいなやつが輝こうと思うと、負けるのが判っているのに、いや、例え負けようが戦わざるをえないってわけか。』」

「球磨川さんは………輝きたいんですか?」

「『いや、それが全然。』」
「『むしろ期待を裏切り続けていきたいね。それも悪い意味で。』」
「『だけど桜ちゃんのためを思うと、そうも言ってられないかなーって。』」

「……わたしの、ため………」

「『そう、きみのためだ。』」
「『きみのためを考えると、僕は僕に出来るあらゆることをやってでも輝いているべきなんだ。』」
「『僕の行動パターンと桜ちゃんの要望は上手いこと一致しているからね。これはなかなかに稀有だよ。』」
「『誇っていいかは、別として。』」

「でも……わたしはそう思っていません。……わたしのためを考えるんじゃなくて、わたしの心を考えてみてはくれませんか………?」

「『それは無理。』」
「『おいおい、桜ちゃん。僕はこの上ないマイナスだぜ?』」
「『乙女の心なんて、考えれるわけがないだろう。』」

「――――――乙女の心はわからなくても、同じ過負荷の心なら……球磨川さんにはわかるでしょう?」

この言葉に。
球磨川さんはわたしが言ったこの言葉に。
驚いた顔で、半ば呆れたような顔で、意外そうな顔で、反応する。
だけど――――口元は不気味に、笑っていた。

「『桜ちゃん。今の台詞、つまりこういうことかい?』」
「『桜ちゃんは過負荷だから、僕にもきみの心が理解できる、と。』」

「―――は、はい。そうですけど……」

「『――……えっとね?桜ちゃんは色々誤解しているようだから訂正しておくけれど。』」
「『僕には過負荷の気持ちを理解なんてできないよ。』」
「『していると思っていてもそれは所詮想像の話で、僕はそいつじゃないんだから、正確にわかるわけがない。』」
「『そいつもそいつで、僕なんかにそう簡単に自分の半生を理解して欲しくはないだろうぜ。』」
「『そして次に、これは前々から思っていたんだけど―――桜ちゃん。』」
「『お前さ、自分を過負荷だとおもってる?』」

「――――――――え?―――そうでしょう?――――わたしは――――」

「『あー、やっぱりか。……まあ、紛らわしい言い方をした僕も僕だけれど。』」
「『違うよ桜ちゃん。きみは神様に愛されて生まれてきた。才能が有って、努力も出来る。言うなればそれこそ、エリートだ。』」



「『―――――――桜ちゃん。――お前は、過負荷なんかじゃあ――――無い。』」



前が見えない。球磨川さんが見えない。球磨川さんの声が聞こえない。
聞こえない。聞こえない。聞きたくない。聞きたくない。聞きたくない。
違う。わたしは同じだ。球磨川さんと同じだ。球磨川さんを理解できるのはわたしだけで。
わたしを見てくれるのも球磨川さんだけなのに。だけだったのに。
嫌だ。違う。嫌だ。嫌だいやだいやだいやだ。違うの。わたしは過負荷で、球磨川さんだってそうで。
わたしと球磨川さんは一緒のはずで。共犯のはずで共通のはずだ。
わたしが過負荷でないのなら。もしそうなら。どうすれば。球磨川さん。助けて。
球磨川さん球磨川さん球磨川さん球磨川さん先輩球磨川さん球磨川さん――――!!

わたしは球磨川さんに背を向けて走り出していた。
自分でも、なぜこんなに悲しいのか、なぜ逃げているのかは―――わからなかった。





ここまで


「『あーあ、やっちゃったか。まあ仕方ないよね。僕が女の子と上手くいくはずが無かった。』」
「『あなたもそう思っていたから、今まで僕を自由にさせてたんでしょう?臓硯さん。』」
「『…………………………。』」
「『…あれ?嘘でしょ?いないの?臓硯さん?臓硯さーん!』」

「『…………………………………………………うわぁ、恥ずかし。』」

―――――――――――――――――――――――――――――――――

「………やはりハッタリだったか。ひやひやさせてくれる」

球磨川禊の当てずっぽうは意外なことに外れておらず、間桐臓硯はそこに居た。
アウトレットモールと言う場所の性質上光に溢れているため、備考にはそれなりに苦労したのだが。
この場で球磨川の言葉に乗らなかったことについては、もちろん読みもあったとはいえほとんど出て行くという選択肢がなっかったようなものだった。
そう、間桐臓硯は現在暗がり―――――つまりダクトの中でスパイ映画よろしく匍匐の体制を取っていたのである。
球磨川は間桐臓硯の弱点など知る由もないためこのような大胆な策を打ったのだろうが、そもそもの条件からして間違っていた。

「『これじゃあまるで、僕が尾行されているという厨二的被害妄想を抱いているみたいじゃないか。』」
「『嫌だなぁ。僕は断じて厨二病なんかじゃあないぞ。こんな恥ずかしい思いは早く無かった事にしてしまわないと。』」
「『だから出てきてくださいよ臓硯さん。ほら、この通り。』」

言うが速いか。
球磨川のその手から巨大な螺子が撃ち出され、間桐臓硯の潜むダクトの、間桐臓硯が横たわるその位置へ突き刺さる。

「―――――…………がッ…!」

螺子は天井の板をあっさり貫通し、突貫し、間桐臓硯の腹部へと、内臓を螺子斬るように螺子込まれた。

「『気付かれて無いとでも思っていたんですか?僕程度なら大丈夫だろうと?』」
「『甘えよ。』」
「『僕はこれでもサーヴァントなんだ。魔力の気配くらい、わからないわけがないだろう?』」
「『―――――っていうのは嘘だけどね。魔力の気配なんて、僕は全然わからない。』」

「―――ぐッ……――――――ならば、何故ここが―――――」

「『あ。ホントに居たんだ。』」
「『あはは。僕の当てずっぽうも捨てたもんじゃないなあ。』」

「―――――――――!!!」

まさか、ここまでハッタリだとは。
ハッタリだけでここまで演技を持続出来るものなのか。
ハッタリで、正確に人間の腹を穿てるものなのか。

「『え?その螺子、臓硯さんの腹に突き刺さってるんですか?』」
「『いやあ、暗がりを適当に攻撃したら当たらないまでも位置を特定したと思わせることくらいは出来るんじゃないかとは思ってましたけど、』」
「『まさかクリーンヒットとは。正直僕も意外ですよ。』」
「『でも仕方ないのかな?偉そうなやつは何をされても仕方ないって、生前の僕の後輩も言ってましたし。』」

「お、お主―――なぜ儂が暗がりに居ると……光に弱いと、知っておる…!」

「『え?臓硯さん、光に弱かったんですか?』」
「『――――――とまあ、これは冗談ですよ。光に弱いのは前回の聖杯戦争の時から感付いてました。』」

「だ、誰に聞いた…!雁夜にはそこまでの余裕も猶予もなかったはずじゃろう……!」

球磨川禊は気配を変える。
いや、戻す、と言うべきか。
飄々としたそれから、禍々しく不気味なそれへ。
明るい快活な笑みから、にやついた負完全な嘲笑へ。

「『僕は球磨川禊だぜ?―――負完全、球磨川禊だ。』」
「『弱点なんて―――――――――――――――――――教えられるまでも無く、この身を以て知り尽くしている。』」


相手が悪い。
この男とは戦っては駄目だ。
球磨川禊。あらゆる面で格が違いすぎる。
人生を余すところなく負け続けてきた男。
勝利の味を終ぞ知ることなく落命した男。
生きたいと思うだけの、生きたいだけの間桐臓硯とは―――格が違う。
初めは単に、間桐雁夜への嫌がらせだった。
バーサーカークラスを潰してまで呼ぶサーヴァント、それが弱いはずがないと愚かな子孫にそう言い聞かせて、最弱の英霊を呼んだはずだった。
そうして現界した英霊は、確かに最弱ではあったが――――――。
最低でもあり、最悪でもあった。
全てを巻き込み最悪で終わらせる、取り返しのつかない悪夢のような悪魔だった。

「『さあ、出てこいよ。僕に勝てたら10円あげるぜ。』」

「――――――――――――――カカッ。悪いが、そのはした金すら渡す暇なく、お主は消滅するじゃろうよ」

―――――――体を――――蟲に―――――分解する。
間桐臓硯は逃げ出した。が、決してこれは敗走ではない。
このサーヴァントの呪縛から解放されるため。
そのためには已む無しだ。――――勿体無くはあるが、次の策を練るとしよう。

間桐桜――――――――――――あれはもう、捨てるしかない。






ここまで。

いろいろあってきょうは無理ですすみません
またあした

アインツベルンの屋敷[エントランスホール]



「……おや?皆さんどうしたんですか、そんなに黙りこくっちゃって。もしや私、タイミングが悪い登場の仕方でした?」

バーサーカーは脱落し、イリヤはそれを見て気を失った。
冷静で居られた者など、碧色の蛇を扱う男を除けば、この空間にはいなかった。

「……ざけるな」

「はい?なんですか?もっと声を張ってくれなきゃ聞こえませんよ、ええっと…アーチャー、でしたよね確か」

「………――――ふざけるな!!」

ヴァッシュが拳銃を二丁、その両手に構える。
即座に男の両肩に向かって銃弾が撃ち出され、勿論それは狙い通りの軌道を描くが―――。

「おおっと危ない!――やれやれ、随分と短気な方ですねぇ。私の何が癪にさわったんでしょう?」

男はそれを躱す。
ヴァッシュが全速力で撃ったであろう弾丸を、普通に回避できるとは思えない。
だから、普通でない回避方法を取った。
男の手には鎖。蛇の胴体。
そして天井にはアンカー、蛇の牙が食い込んでいる。
鎖で天井に釣られる男は、一瞬で自らの身長を三つ並べたような高さまで蛇を使って移動した。

「ああ、もしかしてあのデカブツを退治したことにお怒りですか?だったらそれは筋違いですよ、もともと私はアレの退治を依頼したんですから」

「必ずしもそれが必要な状況じゃなかった!その判断が出来なかったとは言わせないぞ!?」

男は鎖を伝ってゆっくりと地に足を着ける。
そのゆっくりとした動作からは、何か不吉なもの―――蛇の体を這うような感覚を感じる。

「状況?判断?いやいや待ってくださいよ。そんなこと考えるくらいならパパッと消滅させた方が、明らかに楽じゃないですか?」

「……お前!!」

「貴方がた、とくにセイバーには感謝してもしきれません!彼のおかげで予想以上に楽出来ましたよ。あのマイナスさんを動かす手間も省けましたし……」

「お主は……統制機構の!!何故ここにお主が!!」

アサシンの声に、男は顔を微妙に歪ませた。
大声によるものと、それ以外の何かで。

「――…ああ、そういえば貴方が居ましたねぇ……。これはもう誤魔化しも効かないでしょうし、改めて自己紹介をば――――」

男がハットを取って胸の前に持ってくる。
西洋風の辞儀のような姿勢で、こういった。


「私、世界虚空情報統制機構のハザマ、と申します。階級は大尉、好物はゆで卵。―――前回の聖杯戦争にはキャスターとして参戦していました」


「キャスター、ですって……?それも、前回の………?」

呟く遠坂の声には驚愕と、そして失意が込められていた。
まるで、大切なものを壊された子供のような。

「前回の、キャスター……?――――…遠坂、これは一体どういうことだ…?」

「……わからないわ。――――一つ言えるのは、前回のキャスターのマスターは……遠坂時臣だったってことだけ……」

遠坂――時臣。
――――――――――――――――――遠坂、だって?
それは、まさか、つまり

「――――わたしの、父親よ……」

「意味が分からないって顔ですねぇ。大丈夫ですよ、わからなくても。私はすぐに御暇しますから気にしないでください」

「だからふざけるなと言ってるだろう!!!」

銃声が三発。
どれも男、―――ハザマの身体にはかすりもしない。
そもそも場所が悪かった。
あのアンカーがあるため、蛇の噛みつくものが多い室内では、ハザマは縦横無尽に移動できる。
アーチャーの弾丸を避けながら、ハザマはアサシンの眼前へと移動した。

「獅子神=バング。貴方、ライダーを倒したそうですね。――――なるほど、これはもしかすると―――――」

「何をごちゃごちゃと訳の分からんことを!!喰らうが良い!破龍玉砕!!」

アサシンの掌底。
その攻撃を意にも反さず、ハザマは次の場所へ向かう。
そこは、気絶しているイリヤの横だった。

「――キャスター、ライダー、バーサーカー。……そろそろいい頃合いですかね。ここでもう一人くらい捧げて置いても良いのですが……」

「イリヤから離れろ!!」

イリヤを見下すハザマに向かい、セイバーの剣が振るわれる。
それは先ほどまでのファンシーな形状ではなく―――――装飾に塗れた、漆黒の鍵剣。

「リン!―――――本気出すけどいいよな!―――グーフィー!!」

「ふむ。強い魂を持っているようですね。二人分くらいにはなりますか。――――いいでしょう、貴方を杯に捧げておくとしますか!」

セイバーの気配が変わる。纏う空気が変わる。衣服の色が変わる。
鍵が増える。剣が増える。二つの心を、一つにする!

右手には漆黒。光を飲み込む過去の残影。
左手には白銀。闇を切り裂く決意の閃光。


「―――『勇気の赤炎(ブレイヴフォーム)』!!―――――――――――『過ぎ去りし想い出』―――『約束のお守り』――――!!!」






若干駆け足ぎみで申し訳ない
ここまで

乙。連戦か・・・
にしても最強厨の時臣がキャスターとは

>>1的にこの聖杯戦争終わったら、また今回みたいに安価で決めて新しくやるつもりはあるの?
面白いから、続けて欲しいんだけど

>>186
セイバー呼ぼうとしたら最弱キャスを引く時臣さんマジうっかり
しかもキャスが案外強くて頭に乗ってたら愉悦アタック喰らう時臣さんマジうっかり

>>186
当分は無いと思われ
書いてて気づいたけど、安価で聖杯戦争は楽しい以上にとても疲れるのです
一人ずつ見せ場作るのが割と疲れるのです
ヴァッシュとかほんとに困った 本気出すとやり過ぎだが、通常だとパっとしないという……

下、>>189だった\( ^ o ^ )/

「流石遠坂の召喚した英霊、良い魔力です!しかも、その鍵は全く理解不能の神秘で出来ていますねえ!面白い!」

「笑ってられるのも今の内だけだぞ!」

右手の漆黒を担ぐようにして、セイバーは先ず左手の宝具、『約束のお守り』を振るう。
掌で鍵剣を丸鋸のように回転させながら、ハザマの足元を掬うような軌道。
ハザマはそれを小さく飛んで避け、空中でナイフを構える。

「おほっ!危ない危ない!いきなり下段攻めなんて酷いじゃないです、か!」

構えたナイフをセイバーの顔面に向かって投擲。
セイバーはそれを『約束のお守り』で弾き落とす。
そのまま空中のハザマに向かって、肩に置いていた『過ぎ去りし想い出』を振り下ろした。
ガードこそされたものの、一方的な連撃に入る初動としては上出来である。

「まだまだ!」

未だ空中に居るハザマを地面に叩き下ろすように、両手の鍵剣を上から下に。
ガードの上から叩いて強制的に着地させた直後、『約束のお守り』での上段突き。
これをハザマはナイフでいなすが、それを見越していたのかセイバーは隙を殺すように『約束のお守り』を退かせる。
その勢いのまま体を回転させ、遠心力を利用した横薙ぎを『過ぎ去りし想い出』によって繰り出した。
『過ぎ去りし想い出』はナイフによるガードをいとも簡単に吹き飛ばし、ハザマに大きな隙を作る。

「―――しまっ…!―――クソが!」

アンカー付きの鎖を後ろ斜め下の地面に撃ちだして、次なる剣撃の回避を試みる。
しかし、そのアンカーは地面を捉えることが出来なかった。
地面にたどり着くよりも速く――――鎖の蛇に銃弾が撃ち込まれたからだ。

「なッ!―――テメェ!!」

「行け!セイバー!!」

「サンキュー、ヴァッシュ!――――――――はぁぁああああ!!!」

セイバーが飛び上がる。
両手の鍵剣を大きく振りかぶり、地面を砕かんと唸りを上げる。

「―――――ブレイヴ、シュートォ!!」

振り下ろされた鍵剣からは衝撃波が発生した。


「チィ……!―――…頭に乗りやがってクソガキがあああ!」

剣撃そのものこそ何とか回避したものの、ハザマは衝撃波にまでは手が回らなかった。
そもそも衝撃波自体が予想外だ。
地面の隆起くらいなら防げないことも無かったが、衝撃波にガードは無意味。
二重回避をする余裕などなかったし、アンカーは使える状態に無かった。

「……ククッ、アヒャ!ヒャハハハハハー!!―――良いぜわかった!俺ァ久々に飛んじまったからよお!お礼に良いモン見せてやる!!!」

瞳に怪しい光が灯る。
ハザマの周りを碧色の風が暴れ回る。

「――――――――――第666拘束機関解放―――――――」

威武。威嚇。威圧。

「――――――――――――――――次元干渉虚数方陣、展開!―――――」

狂気。狂虐。狂乱。

「――――――……見せてやるよ………『碧』の力を!!」

悪意。悪疫。悪因悪果。

「―――コードS,O,L―――――――――『碧の魔導書』……起動!!!!!」





少ないがここまで

[ある男の手記から抜粋]

《こういったものを残すのはガラじゃないが、残念ながら僕はこの戦争に勝ち抜く自信が無い。》
《セイバーのことや他の陣営のこと。運が悪かったとしか言えない状況だ。》
《だからこれを、アインツベルンの次代に残す。》
《ともすれば、それはイリヤかも知れないが、そうなってしまったときの為にも。》
《この手記を読んで、生き延びる可能性を少しでも上げて欲しい。》

――――――

《『セイバーについて』》

《僕の下に召喚されたサーヴァントは最優良クラスのセイバーだったが、まともな英霊ではない。》
《セイバーでありながら銃器を所持していて、身のこなしは剣士というより暗殺者だ。》
《何より特筆すべきは、読心術と千里眼。》
《千里眼はスキルではなく、掛け値なく千里眼だ。視認せずに他陣営の情報を取得できる。》
《ここまでだと素晴らしく見えるだろうが、実際はそうでもない。》
《このサーヴァントは、セイバーでありながら狂化のスキルを所持していた上、精神異常と精神汚染も併有していた。》
《こちらの内心を一方的に読まれた上で訳のわからないことを捲し立ててくるため、ほとほとうんざりだ。》

《『言峰綺礼について』》

《セイバーが言うには、監督役の息子である言峰綺礼がマスターとして参加して遠坂に協力するらしい。》
《もし本当ならば、言峰綺礼は遠坂や間桐を差し置いてでも警戒すべきマスターだ。》
《その澄みきった信仰の裏に、何か途轍もないものを隠している気がしてならない。》
《今後もその動向に注意しよう。》

―――――――――

《『起源弾について』》

《―――――特記事項なし―――――》

(ただし、手記に度々登場する単語であるため、重要なものであると推測出来る)

―――――――――――

《『アイリという人物について』》

《アイリの精神常態に変化が表れ始めた。》
《人格が徐々に失われていき、聖杯の器としての役割を果たす準備段階に入るそうだ。》
《アインツベルンの魔術師としてこの戦争に参加したときからこうなることは分かっていた。》
《しかし、それでもやはり後悔せずには居られない。》
《僕は彼女の夫として、イリヤの父親として、何も出来なかった。》

――――――――――――

《違う。僕が求めていた聖杯はこんなものじゃない。》

《『言峰綺礼について』》

《セイバーが言うには、監督役の息子である言峰綺礼がマスターとして参加して遠坂に協力するらしい。》
《もし本当ならば、言峰綺礼は遠坂や間桐を差し置いてでも警戒すべきマスターだ。》
《その澄みきった信仰の裏に、何か途轍もないものを隠している気がしてならない。》
《今後もその動向に注意しよう。》

―――――――――

《『起源弾について』》

《―――――特記事項なし―――――》

(ただし、手記に度々登場する単語であるため、重要なものであると推測出来る)

―――――――――――

《『アイリという人物について』》

《アイリの精神常態に変化が表れ始めた。》
《人格が徐々に失われていき、聖杯の器としての役割を果たす準備段階に入るそうだ。》
《アインツベルンの魔術師としてこの戦争に参加したときからこうなることは分かっていた。》
《しかし、それでもやはり後悔せずには居られない。》
《僕は彼女の夫として、イリヤの父親として、何も出来なかった。》

――――――――――――

《違う。僕が求めていた聖杯はこんなものじゃない。》

アインツベルンの屋敷(埃まみれの一室)



手記はそこで終わっていた。
アインツベルンの先代マスターであり、イリヤスフィールの父親であったこの男。
聖杯を手にした上で、それを破壊した男。

「これって………衛宮切嗣の手記、か?」

前回の勝者は衛宮切嗣で間違いない。
この手記の男はどうやら聖杯を手に入れたようだし、ならばこの男は衛宮切嗣と断定していいだろう。
部屋が埃まみれなのが怪しいと思っていたが、するとここは彼の部屋か。
最後の一文から推測するに、彼はアインツベルンを裏切ったようだから、この有り様でも仕方ないだろう。
むしろ処分されなかっただけマシか。

「このホムンクルス――アイリが聖杯の器………ってことは… 」

イリヤスフィールはアイリと衛宮切嗣の娘。
つまりホムンクルスと人間のハーフということ。
ならば彼女が、母と同じく聖杯の器である可能性は十分にある。

「聖杯の器って、人間だったのかよ………」

正確には人間を模した人形、ホムンクルスだが、素人にとっては同じことだ。
少なくとも僕には、イリヤスフィールが人間に見える。

「―――ちょっと待てよ、イリヤスフィールが聖杯の器ってことは……」

キャスター、ライダーと英霊が消滅した今、あと一二体のサーヴァントが敗退するだけで、あいつは自我を失うことになる。
少し非常識な所はあるが、悪いやつではないのだ。
一度も話したことのない他人ならば、聖杯になろうが知ったことでは無かったが、もう駄目だ。

「……僕、あいつが人だって知ってしまっているからな………」




うわ、なんか2重投下してる
ここまで

デッドプール「そのセイバーってもしかして俺ちゃん?」

アインツベルンの屋敷[エントランスホール]



「オラァ!!」

ハザマの蹴りがセイバーの腹部を打ち、怯んだ姿勢は頭部を前方に突きだす形となる。
勿論ハザマは容赦なく追撃を開始した。

「うっぜえんだよオラァ!!―――死ね死ねぇ!!ヒャハハハー!!!」

肘打ちで頭部を地面に叩き落とした後で、そこに向かって更に踏みつける。
何度も何度も、まるで地面に沈めるかのように執拗な攻撃。
いや、攻撃と言うよりは―――それは一方的な虐待だった。

「オイオイ、まさかテメェこんな程度でくたばっちまうような雑魚だったのかあ!?―――返事しろやゴミクズちゃんよお!!」

地に張り付いたセイバーを空き缶のように蹴飛ばし、ハザマは言う。

「あー、そっかそっか。あまりにも痛くって返事すらできねえってか。ヒャハハ!付いてねえなお前も!ちょっと強いくらいで調子にのっからこうなんだよ!!」

「………うぐっ…!………なんだ、これ…力が…」

「わけわかんねえのはテメェの鍵も同じだろ?いいから死んどけ」

地を這うセイバーに向かってハザマがアンカーを射出する。
バーサーカーを喰らった蛇の捕食。
しかしそれは、大方予想通りとはいえ、セイバーに当たることはなかった。
勿論、アーチャーがそれを阻んだのだ。

「あーあ。あーあーあーあー!ウゼえなテメェさっきからネチネチネチネチとよお!!テメェから死んどくか!?」

「そうはいかない。これ以上は誰も死なせない…!」

「『これ以上は誰も死なせない…!』―――ヒャッハハハハー!!良いね、おもしれえ!俺そういうの――――大っ嫌いなんだわ!!」

お互いに、相手に向かって倒れ込むように距離を詰める。
アーチャーは、跳弾が間違ってもセイバーに飛ばないように気を使い、
ハザマはアンカーに頼らない戦法を取るため。
アーチャーの発砲。ハザマの下段を狙い、機動力を削ぎにかかる。

「ヒャハハ!何処に撃ってんの?ちゃんと見えてるかあ?」

「……!」

しかしアーチャーの放つ弾丸は、ことごとく逸れる。
いや、上手く狙えないというべきか。
ハザマに近づくというこの意味が、そこでようやく理解できた。

「力が、抜けて……いや、これは…吸われているのか!?」


「ご名答!!合格点だぜ色眼鏡ェ!ご褒美に、オラァ!喰らっとけ!!」

「……ごふッ」

ハザマの膝が、アーチャーの腹部を打撃する。
前かがみになったその体勢に、ハザマは大きく振りかぶった蹴り上げを打つ。

「―――――蛇翼崩天刃!!」

錐揉みに回転しながら宙に浮いたアーチャーを逃がすまいと、アンカーを射出した。
今回は防がれることなくアーチャーに喰らい付き、上昇を強制的に中止させると、そのままハザマはアーチャーをアンカーごと地面に叩き着ける。

「ヒャハハハハハー!!死ね死ね死ね死ね死ねぇ!!!オラァ!!」

何度も何度も。
叩き着けてはバンウドしたところを捕捉し、逆方向へと振り下ろす。
殆ど身動きもとれないアーチャーを、屋敷の床に亀裂が入るほど繰り返し打ち着ける。
ある程度、心と体にダメージを与えた後、最後は自分の真正面に叩き落とし―――その血塗れの頭部に足を乗せて踏みにじった。

「おいおい、これ以上は誰も死なせないんじゃなかったのかよ!ヒャハハー!このザマじゃあお前が真っ先に死ぬかもな!!」

「――――――……………は、…がッ……―――――」


その光景を前に、愕然とする。
アサシンは俺たちを守る使命があるからだろう、怒りに拳を振るわせながらも、その戦いを見届けている。
遠坂はセイバーがやられたからか、口元を押さえていた。その目には涙が浮かんでいるようにも見える。
俺は正直、恐怖で体が動かなかった。
いまは『甘い思い出』ではなく『王国の絆(キングダムチェーン)』を投影しているが―――
こんなものが、役に立つとは思えなかった。

「あー、スッキリしたわ。久々に暴れたぜ」

ハザマはイリヤに向かって歩きだした。
ヴァッシュもセイバーも、動ける状態では、とてもない。

「――――おい、アサシン。俺は正直、いまお前と戦いたくは無え。ここでスルーしてくれるってんなら、この死体一歩手前の二体を見逃してやってもいいぜ?」

「―――――おのれ、ふざけたことを……!」

アサシンが唸る。その声には怒りが込められていたが、しかし状況は分かっているようだ。
気持ちだけで判断していいことではないし、第一、同盟関係にあるサーヴァントの命が掛かっているのである。
それを易々とないがしろにできないのが、この男だ。

「いやぁ、俺は意外とマジだぜ――――――よっと…」

ハザマが、気絶しているイリヤを担ぐ。
いくらハザマが細身でも、イリヤの体型なら苦もないだろう。
しかも、ハザマが体型通りの腕力だとは限らない。
先程ヴァッシュを、鎖ごしとはいえあそこまで振り回したのだから。

「お主、イリヤ殿をどうするつもりでござるか!?」

「あん?そんなもん、聖杯にするに決まってんだろボケが。もう暫くしたら自我も失うだろうしな」

どういうことだ―――?
聖杯にする?自我を――失う?
――――――――――――――――――――――――――いいのか?
ここでこいつを見逃してしまって、それでいいのか?

俺は――――――

1、ハザマを止める。
2、ハザマを見逃す。

安価>>215






>>207 まさか当てられるとは……
ここまで

2

アインツベルンの屋敷[エントランスホール]


「――――――……くッ!」

正義の味方というものにも種類がある。
ヴァッシュ、セイバー、アサシンはそれぞれが違うタイプのそれで―――

例えるなら、セイバーは今回もそうであったように感情に従って動く正義。
感情に従っているわけだから厳密にはそれは正義ではないが、結果としてもたらすものが正義とほぼ同一になる。
嫌なものは嫌。その嫌な物と言うのがセイバーの場合は悪というだけ。
正義の味方ではなく、いうなれば正義そのものだ。

アサシンは精神的な正義。義士的な正義だ。
誇りや情熱を大切にするアサシンらしいスタイルで、例えば悪の道に堕ちた者がいれば(根っからの悪党は別として)そいつをアサシンは救おうとするだろう。
仲間が精神的に追い詰められ、疲弊し、殺してくれと懇願するようならば、躊躇はするし説得もするだろうが、それでも無理なら聞き届けるだろう。
命と同等に誇り、名誉に重きを置き、罪を憎んで人を憎まず。
一度相対した相手ならば、礼を以て全力で下す。
状況で変わる正義と言うと聞こえが悪いが―――――正義の味方とは、一般的にこういうものを言う。

そしてヴァッシュ。ヴァッシュの正義は、まさに夢物語だ。
誰も殺さない。誰も死なせない。それを本気で、目指している。
例え自分が傷つこうが、虐げられようが、そんなことはどうでもいい。
それで守れる命があるというのなら、ヴァッシュは恥も外聞も――その身その命さえ投げ打つだろう。
酷く歪で、矛盾した信念。
だからこれは、もっとも得難い結果であり、為しがたい正義で――――ほとんど呪いのようなものだ。

セイバーはその正義を振るうことで、直接であれ関節であれ誰かが救われるのなら、例え誰に感謝されずとも、行動するだけで満足する。
アサシンはその正義を謳うことで、自らの心に燃料を注いでいるのだろう。明日もまた、誰かの心を救うため、誰かの笑顔を守るため。

ヴァッシュは、そんな風にならない。その正義は――――彼を苦しめるだけだった。
そして、俺も同じだ。
―――――――――――そんなことは、とっくの昔に気付いていた。


「……アサシン……見逃そう……。ここは…そうするしか、無い………」

「――――……士郎殿…!しかしそれでは!」

「イリヤを助け出すためにも……二人の力は必要だ。アサシン一人で、あの男が倒せるか?」

「……ぐっ!」

俺と会話しながらも、アサシンの瞳はハザマとイリヤから外されなかった。
現状でハザマと戦ったところで、勝てる可能性は低く、負ければ最低でもヴァッシュとセイバーが消滅する。
最悪ならば、俺や遠坂を含めた全員がここで死亡するかもしれない。
そうなればイリヤを助け出せるものは慎二しか残らず――――…いや、最悪ならば慎二さえ殺されると見るべきか。
戦闘によるリスクは大きく、得られるメリットも小さい。

「案外冷静に考えれてんじゃねえか衛宮士郎。そうだよなぁ。俺に勝てるはずがねえんだから大人しくしといて正解だぜ」

「お前は――――いつか負かす」

「あ゛?今なんつったコラ。お前が俺を?負かすっつたの?―――ヒヒヒ、ヒャッハハハ!今日一でツボだぜオイ!!お前おもしれえじゃん!」

そういうとハザマは踵を返し、扉に向かって歩いていく。
肩に担がれたイリヤが意識を取り戻す様子は、無い。

「俺を負かしてえならいつでも来いよ。俺は待ってる場所まで教えてやるほど親切じゃないんで、そのへんは自分で調べろや」

蛇のような笑み。
背筋に悪寒が走る。

「まあ、そう簡単に負けてやるわけがねえけどな!これでもかってくらいに分解してやっから葬儀屋にはそう言っとけよ?遺影用の写真は今の内に撮っとくんだな!」

ハザマは扉から出ると、アンカーを使ったのだろうか、一瞬で見えなくなった。
残ったのは、ボロボロの床とそこに倒れる二体のサーヴァント。
そして嫌に耳に残る、下卑た笑いだけだった。

新都[バス停]


「『よく考えたら、僕って一文無しじゃん。バス待ってても意味ないよな。』」

球磨川禊はそんなことを言っていた。
桜が彼から逃げ出して、臓硯が彼から逃げ出して、その後。
彼は一度間桐邸に戻るために、乗れないバスを待っていたのだった。

「『そもそも桜ちゃんが間桐邸にいるってのが予想なんだし、拘る理由もないんだけどね。』」
「『となると、僕の移動手段は徒歩、もしくはダッシュになるわけか。』」
「『そのへんの自転車をパクるのは、最終手段としては有りだけど気が進まないな。』」
「『それじゃあまるで、僕が悪い奴みたいだもんね。』」

球磨川禊は、とりあえず歩き出した。
本当にとりあえず歩いてみただけのようで、方向は間桐邸とは全く正反対だったけれど。
球磨川は間桐邸に向かうことをバスに乗れない時点で半ば諦めていたし、そもそも新都からの道筋なんて彼が覚えているわけがないので、これは仕方ないと言える。
しかし、目的地が明確に定まっていないそんな歩行にも、ある種数奇な運命が待ち受けていた。
運命というよりは偶然といったほうが状況には即しているし、よく考えればそんなに大仰なものでもないのだが。
しかし、彼の人生において起きることの過半数は運命のような悲劇ばかりだったため、だからこれも、運命なのだろう。

「『あー、この場所、今は公園になってるのか。懐かしいな。確か前回、僕はここでハザマさんに殺されたんだっけ。』」

正確にいえば殺されたのは彼ではなく彼のマスターなのだが、それは置いておくとして。
公園。そう、公園である。
10年前は民家が立ち並んでいたため、球磨川は名前さえ知らない公園だが、何かとゆかりのある場所だった。
球磨川の第四次聖杯戦争はこの地で終わりを迎えたし。
そして第四次聖杯戦争自体の終結も、この地である。

「『雁夜さんに頼まれたこと、やっぱり僕には荷が重すぎるよなあ……。』」

彼は彼のマスターであった間桐雁夜に、桜のことを頼まれている。
せめてもっと具体的に言ってくれればよかったのだが。

「『どういう意味の「頼む」だったのかな。救ってやってくれってこと?幸せにしてやってくれってこと?』」
「『後者だったら荷が重いどころか、苦い想いなんだけど。僕に期待するようなことでは、断じてないだろ。』」
「『前者ならまだしもなぁ……』」

―――――――――――そう。前者ならまだしも。
―――――――――――――――――間桐桜を、間桐の呪縛から救い出すくらいなら、まだしも。






ここまで。

衛宮邸[居間]


気が動転していたからか、わたしが逃げ込んだ場所は衛宮邸だった。
冷静になって考えてみると、逃げ出す理由も動転する理由も本来無いのだが。
きっと、あれは球磨川さんの質の悪い冗談だろう。
だってわたしは、球磨川さんから過負荷とはなにかを散々聞かされているのだから。
球磨川禊とは何か。
その人生がどういったものだったか。
何を壊したか。
誰を害したか。
何に退けられたか。
誰に虐げられたか。
どんな意味を持って生まれて、
どういう関係を築いて、
どういう価値を持って死んだのか。
どういう目標を持っていたのか。
どういう目的を持っていたのか。
それらを全て、聞いているのだから。

「人間は無意味に生まれて、無関係に生きて、無価値に死ぬ。世界には目標なんてなくて、人生に目的なんてない」

わたしは言った。
自分に言い聞かせるように、そう言った。
そう、無いんだ。何も無い。
姉さんにも兄さんにも、藤村先生にも美綴部長にも葛木先生にも、お爺様にも、先輩にも。
何もない。

「だから―――――――わたしにあるわけないんだ」

才能なんて、無い。
わたしは神様に愛されてなんていない。

「だからわたしは、――――――――」



「カカッ。――――こんな所に居たか。随分探したぞ、桜よ」

「―――――――お爺様」

「……ほう?随分と冷静じゃな。どうした?」

「どうもしてませんよ。わたし最初からどういうものでもありませんでした」

「お主は才能に溢れた魔術師じゃ。我が間桐を継ぐに相応しい力を持った、な」

「――――――――――――……わたしに、才能なんてない!!」

影。
躱されはしたが、わたしは影を操って、お爺様に逆らった。
人生で初めてこんなことをするけれど、存外悪い気分ではなかった。
どんなお仕置きが待っていようと、そんなことはどうでもいい。
だって最初から、わたしには何も無いんだから。

「虚数属性といい、その魔力といい――――本当に惜しい存在だがのう。もうこうなってしまっては、致し方あるまいよ」

「無い。無い無い無い。そんな才能みたいな、幸福みたいなものは、わたしの人生には無かった!」

「―――――そうじゃな。それらは儂が奪っておったものよ」

「違います…!わたしには最初から……!」

そんなものは無かった。
だから―――だからわたしは球磨川さんを呼ぶことが出来たんだ。

「ふん。そう思うなら思っておれ。もう儂には関係のないことよ。―――――ここまでじゃ、桜。安らかに眠るが良い」

蟲が寄ってくる。
わたしを嬲り、虐げるためのそれではない。
食い殺すためのそれだろう。
それもいい。それでいい。
わたしにはなにも無いんだから、跡形もなく食いつぶしてくれ。
未練は、無い。――――――いや、一つだけあったか。

「―――――――――――――――――球磨川さんに、謝りたかったな」


「『謝る必要なんて無いよ。きみにその気持ちがあるだけで十分さ。』」

「―――――え…?」

そこには突然、当然のように、球磨川禊が立っていた。
這い寄る蟲には一匹残らず螺子を螺子込み。
お爺様に背を向ける形で――――わたしを正面に捉える形で。

「『意外そうな顔だね。』」
「『僕がここにいるのがそんなに不思議かい?他ならぬきみが、僕をこの場に呼んだのに。』」

「―――球磨川さん……?」

「『きみは願っただろう。僕に謝りたいと、そう願った。』」
「『それが僕を呼んだのさ。別にロマンチックなことを言おうとしてるわけじゃないぜ?』」
「『だって、この戦争はそういうシステムじゃないか。そうでしょ臓硯さん。』」

「………令呪か。お主がそんなものに頼ろうとはな」

わたしの手にある令呪。
それは確かに、一画が消費されていた。
球磨川さんに謝りたいという願いは、それほどまでに強かったのだ。

「『僕が頼ったんじゃないよ。桜ちゃんが、その良心で願ったのさ。』」

「ふん。どうでもよいわ。お主が来たところで何ができようか。もろとも蟲の餌となるがいい!」

「『僕が来て出来ること?そんなもの――――「有る」に決まっているだろう。』」

這い寄る蟲は、飛び掛かる蟲は全て、螺子伏せられて床に溶ける。

「『僕にだって出来ることはあるんだよ、桜ちゃん。』」
「『何も無いだなんて、そんなマイナス思考はするな。』」
「『きみは可愛い女の子なんだ。もっと健全で綺麗に生きるべきなんだ。』」

「球磨川さん―――――わたしは……あなたに嫌われたくありません」

「『大丈夫だよ、安心して。』」
「『そんなくらいで、きみを嫌いになれるほど――――僕は出来た人間じゃあない。』」
「『だからここは、恰好付けずに―――括弧付けずに言おう。』」



「僕は桜ちゃんが好きだ。幸せには出来ないけれど、きみを悪夢から救ってやる!」








ここまで


「僕がこれからやろうと思うことを、悠長に説明させてもらうぜ」
「ここで臓硯さんが起こせるアクションなんて限られているし、桜ちゃんは尚更だ」
「故に、状況を変えるとしたら僕になる。その権利がある僕は説明がしたい。だから聞いてくれるかい?」

球磨川さんの手には、螺子が握られていた。
しかし、今までの螺子とは明らかに何かが違っている。
――――目に見える部分で言うなら、+螺子じゃなくて-螺子に、六角から平座に変化しているけれど、そんなことは問題にならないくらいに、何かがおかしかった。

「この螺子は、この過負荷は。――――――『却本作り(ブックメーカー)』。宝具で言うなら『穢れ亡き螺子』ってところか」
「『穢れ無き螺子』が『現実』を『虚構』にする過負荷なら、『穢れ亡き螺子』は『強さ』を『弱さ』にする過負荷だ」
「具体的には、この過負荷の影響を受けた者は皆、そのポテンシャルが押しなべて僕と同一になる」
「知能は低迷し、体力は衰退し、才能は消え失せ、人望は失墜し、精神は崩壊する」
「だからこれをその身に受ければ、臓硯さんは一溜まりもない」
「恐らくだけど―――――魔術に関する才能なんて、僕は持ち合わせちゃいないからね」
「魔術によって生きながらているその肉体は、この過負荷に耐えられない」

「…成程のう。確かに、とんだ隠し玉じゃが……その宝具を扱うのがお主である以上、儂をお主と同じにすることは出来んよ」

「その通り。僕に、『穢れ亡き螺子』を他人に命中させるような投擲能力は無い。逃げる的なら尚更だ」
「だから本来なら、僕にしか扱えないのに僕には扱えないという至極微妙な切り札ではあるんだけどね」
「今回は、その限りじゃあ――――――無いんだよ」

「――――――――――――……お主は何を言っておる…?」

「見ればわかるさ」

そういうと球磨川さんは、螺子を構えて突き立てる。
心臓に向かって、突き立てる。

「きっとこれで最後になるだろうから、言いたいことは言っておくね」
「一時的とは言え、きみを幸せに出来ないどころか世界一不幸にしてしまう僕を、どうか存分に憎んでやってくれ」
「『これ』は、きみのタイミングで解除できるはずだ。事が済んだ後、早々に幸福を取り戻そうと動き始めてくれたら、僕は嬉しいな」
「きみの願いは、結局ほとんど叶えてあげられなっかったけれど、そこは僕だからね。勘弁してほしい」
「……繰り返しになるけど、きみは幸せになれ」
「普通に学校に行って、普通に恋愛をして、普通に家庭を持って、普通に歳を取って――――幸せに[ピーーー]」
「僕の事なんか、綺麗さっぱり忘れてね」
「…こんなところかな……。それじゃあ―――――――さようなら、桜ちゃん」

「『―――――――またどこかで会おうぜ。』」


彼はわたしの――――――――――わたしの心臓に向かって、『却本作り』を突き立てる。


「―――――――『え?』」

わたしの心臓を、一本の螺子が貫いた。
螺子込まれた異物は、不思議と痛みを感じなかったけど。
―――――力が抜けて。いや、力が無くなって。――――頭に靄がかかったように、不明瞭だ。
頭といえば、そう、髪の毛。
わたしの髪は―――――――――――――――――――――――――灰のように真っ白だった。

「――――『球磨川、さん?』」

居ない。
居なくなった。
わたしが『却本作り』をその身に受けたその瞬間に――――まるで全部嘘だったかのように、消え去った。

「『ぐ、ぐあああ……。お…のれぇ……。』」

お爺様は――――――間桐臓硯は、体の形を見失っていた。
肉体から蟲が零れ落ち、蟲が下に着くと、それは液体のようになって消えて行く。
球磨川さんは言っていた。
わたしの心臓。そこには、間桐臓硯の本体が居る。
本人は用心したつもりなのだろうが、彼からしたら全く逆で。
それが間桐臓硯の、所謂弱点だったのだろう。

「『あ……。…マ……キリ………………―――――――――――』」

間桐臓硯は――――――死体をその一片すら残さず、無様にその生を終えた。


――――――彼は。―――――――球磨川禊は。
今のわたしの状態を指して『世界一不幸』と言ったのだろうけれど。
わたしは、そうは思わない。

「『球磨川さん。あなたは本当に……恰好良過ぎですよ……。』」

わたしを間桐の呪縛から解放する。
これについては文句なく完遂している。本人も満足しているだろう。
そして、彼はこう言っていた。
『幸せには出来ないけれど』と。そして、『幸せになれ』と。
だったら、それは彼にとって不本意な形かもしれないけれど、わたしはもう―――――これ以上ないくらい幸せだった。

「『球磨川さん。わたしを、球磨川さんと一緒にしてくれて、本当にありがとうございます。』」
「『あなたが居なくなってしまっても、わたしはあなたを感じ続けることができる。』」
「『ねえ、球磨川さん。球磨川さんは、わたしを好きだと言ってくれましたよね。』」

「『わたしも――――大好きでした。この世界で唯一、わたしを愛してくれたあなたが。』」

あなたになっても、いいと思うほどに。

わたしは、笑っていた。
へらへらと、締まりのない顔で――――――――涙を流して、笑っていた。
彼の言葉が、最後の言葉が、わたしの脳内に深く深く刻まれていて。
その言葉に、わたしは縋る。



「『またどこかで会える日を――――――わたし、ずっと待ってますから。』」










ここまで

うわああああああ

投下しなおします[ピーーー]のせいだ


「僕がこれからやろうと思うことを、悠長に説明させてもらうぜ」
「ここで臓硯さんが起こせるアクションなんて限られているし、桜ちゃんは尚更だ」
「故に、状況を変えるとしたら僕になる。その権利がある僕は説明がしたい。だから聞いてくれるかい?」

球磨川さんの手には、螺子が握られていた。
しかし、今までの螺子とは明らかに何かが違っている。
――――目に見える部分で言うなら、+螺子じゃなくて-螺子に、六角から平座に変化しているけれど、そんなことは問題にならないくらいに、何かがおかしかった。

「この螺子は、この過負荷は。――――――『却本作り(ブックメーカー)』。宝具で言うなら『穢れ亡き螺子』ってところか」
「『穢れ無き螺子』が『現実』を『虚構』にする過負荷なら、『穢れ亡き螺子』は『強さ』を『弱さ』にする過負荷だ」
「具体的には、この過負荷の影響を受けた者は皆、そのポテンシャルが押しなべて僕と同一になる」
「知能は低迷し、体力は衰退し、才能は消え失せ、人望は失墜し、精神は崩壊する」
「だからこれをその身に受ければ、臓硯さんは一溜まりもない」
「恐らくだけど―――――魔術に関する才能なんて、僕は持ち合わせちゃいないからね」
「魔術によって生きながらているその肉体は、この過負荷に耐えられない」

「…成程のう。確かに、とんだ隠し玉じゃが……その宝具を扱うのがお主である以上、儂をお主と同じにすることは出来んよ」

「その通り。僕に、『穢れ亡き螺子』を他人に命中させるような投擲能力は無い。逃げる的なら尚更だ」
「だから本来なら、僕にしか扱えないのに僕には扱えないという至極微妙な切り札ではあるんだけどね」
「今回は、その限りじゃあ――――――無いんだよ」

「――――――――――――……お主は何を言っておる…?」

「見ればわかるさ」

そういうと球磨川さんは、螺子を構えて突き立てる。
心臓に向かって、突き立てる。

「きっとこれで最後になるだろうから、言いたいことは言っておくね」
「一時的とは言え、きみを幸せに出来ないどころか世界一不幸にしてしまう僕を、どうか存分に憎んでやってくれ」
「『これ』は、きみのタイミングで解除できるはずだ。事が済んだ後、早々に幸福を取り戻そうと動き始めてくれたら、僕は嬉しいな」
「きみの願いは、結局ほとんど叶えてあげられなっかったけれど、そこは僕だからね。勘弁してほしい」
「……繰り返しになるけど、きみは幸せになれ」
「普通に学校に行って、普通に恋愛をして、普通に家庭を持って、普通に歳を取って――――幸せに死ね」
「僕の事なんか、綺麗さっぱり忘れてね」
「…こんなところかな……。それじゃあ―――――――さようなら、桜ちゃん」

「『―――――――またどこかで会おうぜ。』」


彼はわたしの――――――――――わたしの心臓に向かって、『却本作り』を突き立てる。


「―――――――『え?』」

わたしの心臓を、一本の螺子が貫いた。
螺子込まれた異物は、不思議と痛みを感じなかったけど。
―――――力が抜けて。いや、力が無くなって。――――頭に靄がかかったように、不明瞭だ。
頭といえば、そう、髪の毛。
わたしの髪は―――――――――――――――――――――――――灰のように真っ白だった。

「――――『球磨川、さん?』」

居ない。
居なくなった。
わたしが『却本作り』をその身に受けたその瞬間に――――まるで全部嘘だったかのように、消え去った。

「『ぐ、ぐあああ……。お…のれぇ……。』」

お爺様は――――――間桐臓硯は、体の形を見失っていた。
肉体から蟲が零れ落ち、蟲が下に着くと、それは液体のようになって消えて行く。
球磨川さんは言っていた。
わたしの心臓。そこには、間桐臓硯の本体が居る。
本人は用心したつもりなのだろうが、彼からしたら全く逆で。
それが間桐臓硯の、所謂弱点だったのだろう。

「『あ……。…マ……キリ………………―――――――――――』」

間桐臓硯は――――――死体をその一片すら残さず、無様にその生を終えた。


――――――彼は。―――――――球磨川禊は。
今のわたしの状態を指して『世界一不幸』と言ったのだろうけれど。
わたしは、そうは思わない。

「『球磨川さん。あなたは本当に……恰好良過ぎですよ……。』」

わたしを間桐の呪縛から解放する。
これについては文句なく完遂している。本人も満足しているだろう。
そして、彼はこう言っていた。
『幸せには出来ないけれど』と。そして、『幸せになれ』と。
だったら、それは彼にとって不本意な形かもしれないけれど、わたしはもう―――――これ以上ないくらい幸せだった。

「『球磨川さん。わたしを、球磨川さんと一緒にしてくれて、本当にありがとうございます。』」
「『あなたが居なくなってしまっても、わたしはあなたを感じ続けることができる。』」
「『ねえ、球磨川さん。球磨川さんは、わたしを好きだと言ってくれましたよね。』」

「『わたしも――――大好きでした。この世界で唯一、わたしを愛してくれたあなたが。』」

あなたになっても、いいと思うほどに。

わたしは、笑っていた。
へらへらと、締まりのない顔で――――――――涙を流して、笑っていた。
彼の言葉が、最後の言葉が、わたしの脳内に深く深く刻まれていて。
その言葉に、わたしは縋る。



「『またどこかで会える日を――――――わたし、ずっと待ってますから。』」











――――――彼は。―――――――球磨川禊は。
今のわたしの状態を指して『世界一不幸』と言ったのだろうけれど。
わたしは、そうは思わない。

「『球磨川さん。あなたは本当に……恰好良過ぎですよ……。』」

わたしを間桐の呪縛から解放する。
これについては文句なく完遂している。本人も満足しているだろう。
そして、彼はこう言っていた。
『幸せには出来ないけれど』と。そして、『幸せになれ』と。
だったら、それは彼にとって不本意な形かもしれないけれど、わたしはもう―――――これ以上ないくらい幸せだった。

「『球磨川さん。わたしを、球磨川さんと一緒にしてくれて、本当にありがとうございます。』」
「『あなたが居なくなってしまっても、わたしはあなたを感じ続けることができる。』」
「『ねえ、球磨川さん。球磨川さんは、わたしを好きだと言ってくれましたよね。』」

「『わたしも――――大好きでした。この世界で唯一、わたしを愛してくれたあなたが。』」

あなたになっても、いいと思うほどに。

わたしは、笑っていた。
へらへらと、締まりのない顔で――――――――涙を流して、笑っていた。
彼の言葉が、最後の言葉が、わたしの脳内に深く深く刻まれていて。
その言葉に、わたしは縋る。



「『またどこかで会える日を――――――わたし、ずっと待ってますから。』」










ここまで

\(^o^)/ もう手が付けられない

ごめんなさいマジで


僕が衛宮切嗣の手記とコンテンダーを入手してエントランスホールに帰ってきてみると、悲惨な光景が広がっていた。
アサシンに説明を要求して一通りの状況を把握した僕は、とりあえず手記の内容を全員に開示することにした。

「―――――……つまり、聖杯の器がイリヤ自身ってことね。あいつは比喩じゃなくそう言っていたわけか」

「ああ、そういうことになるだろうね。そのハザマってやつが前回のキャスターなら、そう言う事情を知っていても不思議じゃない」

「……不味いぞ、慎二。消滅したサーヴァントが四対を超えるとイリヤは完全に自我を失うんだろ?だったらもうリーチじゃないか…!」

キャスター。ライダー。バーサーカー。
ランサーがそう簡単に消滅するわけがないので、ここにいるアサシン、セイバー、アーチャーの内一騎でも敗北したら取り返しがつかない。
そうなれば聖杯に成ることは止められないだろう。

「もしイリヤが聖杯に成ってしまったら、それこそ聖杯に願いでもしない限り元には戻らないでしょうね。元々そういう目的で生み出されたのだもの」

しかも、聖杯に至ってしまえばハザマに何をされるかわからない。
ハザマの元にイリヤスフィールが居るというこの状況が本当に悔やまれる。
こちら側は、ただ一度の敗北も許されないわけだ。

「ひょっとしたら、ランサーが消滅している可能性もあるけどな」

その場合はどうすればいいのだろう。
ほとんど詰んでいるようなものだ。

「まあそれは無いでござろう」

「…だよなぁ」

まあ、その可能性は考えるだけ無駄か。
あんな宝具持ってて消滅なんてする訳ないし。


「―――――――取りあえず帰ろう。ヴァッシュとセイバーを回復させないと」

現在、アーチャーとセイバーは霊体化して休んでいる。
アサシンも負傷はしているが、一体も実体化していないのは心配だ。ここは頑張って貰おう。
それに、アーチャーとセイバーは精神的にも疲弊しているみたいだしな。

「よし、じゃあ行くか」

「行くか、って慎二。よくそんな軽いテンションで言えるわね……」

「は?どういうこと?」

なんだ、もっと暗い雰囲気で重々しく言ったほうが良かったのか?
僕としてはそれ、御免蒙りたいところだが。

「いや、どういうことも何も……来た道を帰るのよ?」

「そんなの当たり前じゃん。何が言いたいんだよ遠坂」

「わたし達は、ここまで――――――――片道約五時間掛かったわ」

「―――――――――――――――――――――――――――――――…アサシン。こいつら置いて帰ろうぜ」

アインツベルンの森[中央部]



「チッ!なんで僕がお前らに付き合って歩かなくちゃいけないんだ!」

「仕方ないではござらんか。拙者が抜ければ士郎殿と凛殿を守る者が居なくなってしまうのでござるからして」

「うるさい!そんなことわかってるっつーの!僕の怒りは理屈じゃないんだよ!」

衛宮の先導で、僕たちは森の中を歩いていた。
アサシンが走れば30分、『あの状態』なら5分で衛宮邸に到着するのに、もどかしい。
イリヤスフィールと僕を担いでならなんとか可能だったが、流石のアサシンも三人はきついらしい。
キツイというより、腕が二本しかないという人間の構造上二人しか担げない。
アサシンにしがみつくくらいではすぐに振り落される高速だ。

「クソ、二往復…いい案だと思ったんだがな……」

しかし二往復だと、少なくともアサシンが居ない一時間の無防備状態が両サイドに生じてしまう。
その上、現在殆ど唯一戦えるアサシンを疲労させてしまうので、良く考えたら得策ではなっかた。

「まあ良いじゃないか、慎二。この帰り道で、ヴァッシュ達も多少回復するだろうし」

「そんなもん多少だろうが」

「もういいわよその話は。いますべきことは今後について考えることと、前へと足を進めること」

――――――……まあ、遠坂の言う通りなのだが。
なんだろう、僕がお前らに合わせてやっているんだぜ?
態度おかしくない?

「先ずは、そうね。―――イリヤについて。助けるか助けないかを決めましょう」

「なに言ってるんだ遠坂。そんなの、助けるに決まってる」

「……彼女は聖杯の器よ、士郎。彼女を助けるということは即ち―――願いの放棄を意味するわ」

……聖杯を使うことで、イリヤスフィールの存在を使い果たしてしまうってことか。
願いの―――放棄、ねぇ………。
僕の願いと言ったら、あれか。
魔術回路が欲しいとか、そんなところになるのか。
――――――魔術回路――――――イリヤスフィール―――――――
そうだな、僕は―――――――

1、自分の願いを叶えたい。
2、命を奪うほどの願いじゃないか。
3、両方なんとかなる方法はないか?

>>270




ここまで


ほら、こっちにも事情が……………隙って怖いよね







「両方なんとかなる方法はないか?」

「は?慎二、あなた本気で言ってるの?」

「いやだってさ。聖杯になってしまったら人間に戻れない、なんてのはただの憶測だろ?」

手記の書き手である衛宮切嗣は、結局聖杯を破壊してしまっているし。
しかもそれから10年も経過しているのだ。
いくらでも改良する時間はある。

「あのね…アインツベルンはきっと、そんな余計をするくらいなら、より完成度の高い器を作るわよ……」

「まあ、順当に考えればな。しかし、一応は孫だぜ?可愛がってても不思議じゃ――――」

――――……僕の例があるし、それはないか。
魔術師ってやつは、どいつもこいつも破綻者ばかりだ。

「―――――――……僕が甘かったよ」

「…わかればいいのよ」

「……お前はどっちなんだよ遠坂。イリヤスフィールを取るか、願いを取るか」

「そうね……わたし、もともと願いなんて無かったから…イリヤかしら。なんていうか、見捨てると寝覚めが悪そうじゃない」

なるほどね。お前らしいよ。
たしかにイリヤスフィールを見捨てるのは良心の呵責が、痛いほどだが―――――
僕としては、長年追い続けた悲願である魔術の才を諦めることも、同じように辛い。
悩んでしまうくらいなら、潔く聖杯を遠坂か衛宮に譲ってしまえば楽だろうが―――
そもそも、僕は潔くなんかない。

どちらも捨てない方法――――――――一応模索しておくか。





ここまで

僕達が衛宮家に到着したのは遠坂の言った通り、それから約五時間後のことだった。
夜中の11時も終わりを迎えようという時間帯である。
ここからはそれぞれの部屋に分かれて休息を取るつもりだ。――――つもりだった。
作戦会議は5時間の間で(明確な指針が決まっていないとはいえ)十分に出来たため、まずは体を休めることを優先した。
―――――――しようと、思った。
しかし、そう簡単にことは運ばない。

「おい、慎二―――――――これって、桜の靴だよな……」

「……しかも一張羅だな。――…靴にこの表現は使えないかも知れないが」

その一張羅の靴が、――――衛宮家の玄関に脱ぎ散らかされていた。
慌てていたのか、それともそういう演出なのか。
ちなみにランサーの靴は――――――無い。

「今日は一体何連戦させれば気が済むのよ……」

早朝のランサーに始まり、アサシンはライダーと、セイバーとアーチャーはバーサーカーと。
そこへ乱入したハザマと戦い、帰ってきてみればまたランサーか……。

「とんでもないハードさだな……」

ランサーの靴が無いのは、サーヴァントである以上不思議ではない。
奇襲の意味もあるだろう。そういう作戦をランサーが選ぶかは別として。
……むしろプレッシャーを与えるために靴を綺麗に揃えておいたりしそうだ。

「アサシン、覚悟はいいか?」

「無論でござる。どこから掛かってきても問題なく対処できるでござるよ」

僕達は、まるでこの家がダンジョンであるかのように、ゆっくりと奥へ向かう。


「『―――……』」

縁側に腰かけて月明かりに照らされる薄幸そうな女。
間桐桜は、泣いていた。
その胸には長大な螺子が螺子込まれていて、その頭髪は見る影もなく真っ白だ。
しゃくり上げてはいない。
泣き崩れているわけでもない。
そいつは、頬を伝う涙も揺らさず―――――静かに、月を見上げて泣いている。
表情は無かった。
螺子と、頭髪と、涙を除けば―――――普段の桜と、何も変わっていないようにすら見える。

最初に声をかけたのは、意外にも遠坂だった。

「――――……桜?」

「『……あ、姉さん。』」
「『兄さんに、先輩も。用事は済んだんですね。』」
「『遅くまでお疲れ様です――――あ…。お風呂の準備もご飯の支度も出来てないんですよ。ごめんなさい。』」
「『………ちょっとそれどころじゃあ、なくて。』」

「桜……ランサーはどうしたのかしら」

「『…いきなりそれを聞きます?デリカシーとか無いんですか、姉さん。』」
「『でもまあ、気になるのは当たり前ですよね。姉さんは彼に、泣かされてますし。』」
「『………それを言ったら、わたしだって泣かされたようなものですけどね。』」

「………いいから答えなさい。返答次第では――――」

「『球磨川さんは消滅しました。』」
「『わたしの全てを終わらせて、間桐の全てを無に帰して。―――――わたしを救ってくれました。』」


勿論最初は疑ったが、桜の証言は辻褄が合うし、なによりランサーがそういう事をするのは容易に想像できた。
もともとあいつはこのためだけに現界したのだとしても納得できる。
そして――――

「『どうです?球磨川さんがいかに恰好良かったか、理解していただけました?』」
「『ねえ先輩。球磨川さんはあんなに恰好良く私を救ってくれたんですよ?あなたが気付きもしなかったわたしの闇を綺麗に浄化してくれたんです!』」
「『凄いですよねぇ。ああいうのを本当の正義の味方っていうんじゃないですか?』」
「『いや流石にそれは暴論だとしても、わたしに取っては球磨川さんこそヒーローですよ。どっかの誰かさんとは比べるまでも無い!』」
「『ねえ、先輩♪』」

――――そして、桜さん大暴走である。
遠坂でさえ若干震えている。
僕と衛宮は殆ど死んでいると言ってもいい。
唯一アサシンだけが、

「まさに漢…!漢でござるなぁ……!!」

と、やけに感動し、ランサーを見直しまくっていたが。

「桜、俺が悪かった……。悪かったから、少しだけ休ませてくれませんか………」

「『え?別に休んじゃダメなんて一言も言ってませんけど?』」
「『勝手にどうぞ。わたしは一人になったって喋り続けますから。』」
「『まあ、ここは球磨川さんなら決して一人になんてしないでしょうけど?』」
「『一度、そういってくれたこともありますし。』」

「………ここに居ます。休むのは後でいいです…」

「そうか衛宮、じゃあ頼んだぜ。僕は先に休ませて貰―――」

「『兄さんは駄目です。』」
「『兄さんは後で先輩の数倍はなじるので、今のうちに精神を疲弊させておいてください。』」
「『球磨川さんが「無かったこと」にしてくれたとは言え……わたし、兄さんに受けた仕打ちを忘れたわけじゃありませんから。』」

殆ど死んでいるというか……むしろ死にたいくらいだった。







ここまで


あれからなんふんたっただろうか
もうおぼえていないくらいまえからなにもかんがえられない
ぼくのせいしんはとっくにしんでいるというのに
さくらはこのじごくをやめてはくれない

「『――――というかそもそも義妹に欲情する変態が何を言ったって無駄ですよ。』」
「『いくら必要なことだったとはいえあそこまでします?調子に乗ってたんじゃないですか?』」
「『なんなら最悪、血液でも良かったわけですしね。そこを考えないというのが兄さんの兄さんたる―――』」

「……桜、わかったから。そのくらいにしてあげて………」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

慎二が精神的にギブアップしたので、というかずっと前からしていたので、わたしは助け舟を出してやった。
桜が本気で怒っているなら止めないけれど、半笑いで罵倒しているのだから止めて正解だろう。
加虐的な快楽でも感じているんじゃないかと思うほどの、狂気を孕んだ笑み。
―――……まあ、慎二にはいい薬になっただろう。

「というか、ずっと言いたいことがあったのよ。本当はなにを置いてでも言うべきことが」

「『え?もしかしてわたし邪魔しちゃいました?』」
「『ごめんなさい……それってあれですよね、とっても大切な話ですよね。』」
「『たとえばほら、愛の告白とか……。』」
「『先輩へなのか兄さんへなのか、はたまたアサシンさんへなのかは知りませんけど…』」
「『まあそれなりに頑張ってください!わたしもそれなりに応援してます!ふぁいとー!』」

「それは誠でござるか!?いやしかし凛殿、拙者にはライチ殿という心に決めた女性が―――」

「そこ二人。黙ってなさい」

「『……はーい。』」

「えっ、と……済まぬでござる…」


「桜の証言通りランサーが消滅したということは、大変拙い状況よ」

「……?」

「衛宮君……。さっき聖杯についての情報を得たばかりでしょう……」

「聖杯…――――……あ」

「そう。サーヴァントが四対消滅したことによって、聖杯が現界する可能性は相当に上がっている。イリヤの自我もほとんど無いでしょうね」

「ど、どうするんだ遠坂!このままじゃイリヤは……!」

「イリヤについてはもう聖杯に願うしかない。それも含めて問題なのは、ハザマの手元にイリヤがいることよ」

現界した聖杯は不完全とはいえ聖杯だ。
無理やり願えばある程度の願望は聞き届けてしまうだろう。
いま現在セイバーやアサシンが消えていないということは、まだ願いの行使権は消費されていないということだが、この確認方法では現状しか把握できない。
だからと言っていま下手に動くのも得策では無いのだ。
動くならアーチャーの回復を待ったほうがいい。

「ん?遠坂、その言い方だとまるでセイバーは回復し終わったみたいだぞ」

「ええ、し終わってるけど?このセイバーは回復魔術も使えるの」

ケアルガ、というらしい。
たった一単語であの傷を全回復とは恐れ入る。
神代の英霊なのだろうか。…いや、それにしては服装が近代的すぎるか……。

「……それ、ヴァッシュにも使えるよな!?なんでもっと早く言ってくれないんだ!」

「時間制限があるのよ。あと数分でもう一回使えるようになるみたいだから待ってなさい」







昨日のsage進行はミスだけど、良く考えたら安価無かったし上げる意味無いな。よし、僕は悪くない。
ちょい少ないがここまで
明日は来れるか微妙です、すみません

柳洞寺[境内]


痩身痩躯、黒いスーツを纏った碧髪の男と、陰った表情の神父は柳洞寺に居た。

「あー、あのマイナス野郎死んだみてえだな」

「ほう。……しかしアヴェンジャー―――ランサーの消滅は聖杯に影響しないのだろう?」

「おう。あいつちゃんと元居た世界での自分の死亡を『なかったこと』にしたようだからな。いや、俺は結構心配だったんだぜ?」

彼は間桐桜に手を出さぬことを条件に聖杯の浄化―――つまりこの聖杯の座に留まる資格をなかったことにするように頼んでいのだが。
球磨川禊は天邪鬼なので、約束を守らない可能性は大いにあった。
しかし彼は、意外にも約束を守ったようだ。これで汚染は免れる。
そうすれば、球磨川禊という英霊は最初からいなかったことになるのだから。

「まあ、そのせいで聖杯が不完全になっちまうかも知れなかったがな。負完全よかマシだろ。――――それに…」

「セイバー、か」

――――正確には、セイバーの魂だ。
いや、より正確にいうならば―――それは、心である。
彼らは、というかこれは現時点では本人すら知らないことだが、セイバーの中には――二人分の心が息巻いている。
キーブレードの二刀流という離れ業を行うことが出来るのも、その恩恵に他ならない。
その心が敵である彼らの救いとなる可能性があるというのは、なんとも皮肉な話だが――。

「セイバーが強靭な魂の持ち主でマジ助かったぜ。それでマイナス野郎の分の魂を補って、完全な聖杯を手に入れることができる」

「現在でも、聖杯の機能の一部は覚醒しているのだろう?膨大な魔力が流出しているはずだが」

「まあな。そっちは『アレ』の覚醒を促すために使ってるぜ。『アレ』は宝具としては一応持っちゃいたが、あまりにも燃費悪すぎてこうでもしなきゃ使えねぇしよお」

「そうか。本物が見れるのは、これで三人目だな……」

「ヒャハハ!お前の愉悦って割とショボいよな!まあなんだって良い、しかと見とけよ!」

「ああ、期待しているぞ。――――宝具、『蒼の継承者』。―――――μ-12の現界を」

衛宮邸[居間]


「ヴァッシュ、具合はどうだ?」

「……ああ、問題ないね。ありがとう、セイバー」

セイバーの回復魔法は凄まじかった。
本当に一言唱えるだけで完全回復という規格外の魔術。
宝具も投影しているように見えなくもないし、きっとキャスタークラスの適正もあるのだろう。
セイバー自身はあまり魔術について誇ろうとはしなかった。
なんでも杖を捨てて剣を選んだからだとかなんとか……。
……生前の逸話か何かだろうか?

「別にいいけどさ……ほんとに大丈夫か?顔色悪いぞ?」

「へーきへーき。このくらいちょっと体動かせば治るよ」

「確かに体を動かすのは良いことでござるな!どれ、ヴァッシュ殿。ここはひとつうぉおみんぐあっぷに手合せでも如何でござろうか?」

「よし、頼むよアサシン」

治りたてでいきなりアサシンと手合せというのはなかなかにハードだと思うが、俺は止めなかった。
ヴァッシュにとっては、そうしているのが一番いいと思ったから。


さて、遠坂は部屋にこもって決戦の準備中、慎二は疲労(と心労)で休んでいる。
ヴァッシュとアサシンは前述した通り。
桜は台所で調理を始めたみたいだし、セイバーは遠坂に付いて行った。

ここで休むというのも当然ありだが、どうもそういう気分ではない。
誰かと話をしておくべきではないだろうか。
得るものが有りそうな候補としては慎二、遠坂、セイバーか。
慎二は別行動中にハザマのマスターと推測される言峰の教会を訪れているし、親父の手記を持っている。
アインツベルンの屋敷を見て回ったなら、何か俺達とは違う視点の意見が聞けるのではないかとも思う。
遠坂については、単純に魔術関連の知識だ。
まだ基礎さえおろそかな俺が何を言うんだと怒られるかも知れないが、ひょっとしたらすぐに強くなれる裏ワザがあるかも知れないし。
――――勿論、代償はあるだろうが。
そしてセイバー。セイバーにはその宝具について聞きたかった。
剣―――その言葉に、俺は強く惹かれているのかも知れない。
投影魔術についても、出来ることなら訊いてみたいが…。

ヴァッシュとアサシンの手合せには個人的には興味もあるが、しかし邪魔をしては悪いし、何よりレベルが違い過ぎて参考にならない。
桜は―――――まあ心配ないだろう。

話しておくべきなのは…―――――

1、慎二だな。
2、遠坂、かな?
3、セイバーだろ。
4、ヴァッシュとアサシン!
5、敢えての桜。

>>303 >>305






今回の安価については二つ選ぼうぜ!
ここまで

3

いちっ

おつおつ

ロクサスさんは要するにソラだし、そもそも彼は心無いしな はい、ヴェントゥスの心です
それと、>>305は1と取っていいのだろうか





衛宮邸[別館廊下]



「先ずはセイバーだな。投影について聞いておきたい」

ということで、俺は遠坂が陣取っている衛宮家の客間の扉をノックする。
邪魔するなとは言われているが、セイバーを借りるくらいなら大した問題でもないだろう。

「おーい。遠坂、セイバーに尋ねたいことがあるんだけどー」

その言葉に対する返事は無く、代わりに扉が開かれる。
顔を出したのはセイバーだった。

「俺に用?」

「ああ。――遠坂は立て込んでるのか?」

「なんか宝石の整理してる。リンはあれを魔法に使うんだろ?」

「魔法じゃなくて魔術だけどな」

遠坂が魔法使いならこの戦争もここまで苦労してはいないだろう。
というか、そもそも同盟すら組めないか。
魔法使いなど、雲の上の存在だ。

「その辺は良くわかんないや。オレの知り合いにも魔法使いは割とたくさんいるし」

現代の魔術師が聞いたら卒倒しそうな話だが、セイバーがあの回復魔術を誇っていないくらいなのだから真実味がある。
セイバーは、一体いつの時代の英霊なのだろうか。
鍵剣の英雄など、聞いたこともないが……。

「それは凄いな……だけど、セイバーの魔術でも十分凄いと思うぞ」

「オレのも魔ほ……いや、それでいいよ。なんでもない。」

「?―――――…で、話なんだけど――」

「ああ、OK。じゃあ場所を変えよう。リンを邪魔しちゃ悪い」


衛宮邸[居間]



「シロウ……悪いんだけど、オレは投影魔術なんて知らないぞ…?」

「そうか……いや、いいんだ。知らないなら、それはそれで」

まあ、そうじゃないかとは思っていた。
あれは伝説の武器が必ず主の元に帰ってくるとか、そういう武器の持つ性質的なものなのだろう。
どんなに遠く離れていても、鍵剣がセイバーを主と認めているうちは必ずその手に回帰する。
投影ではなく、召喚に近い。

「じゃあ、そうだな。――――キーブレードには他にも形態があるのか?あるならそれも見ておきたいかな」

投影の参考にしたい。
それに、手に出来る武器のバリエーションが増えれば、戦略の幅も広がるだろう。

「うーん……まあ、それくらいならリンも許してくれるかな。結構な数になるけど、ピックアップして紹介したほうがいい?」

「いや、一から頼む」

「りょーかい。じゃあ先ずは―――」

「あ、ちょっと待ったセイバー。その前に渡しておきたい物が」

「え?」


「何だこれ。宝石のペンダント?」

そう、宝石のペンダントだ。
これはまだヴァッシュを召喚する前の話。
俺は、一度ライダーに殺されている。――――そのはずだった。
心臓を抜き手で貫かれ、そのまま地面に崩れ落ちたはずだった。
しかし、胸に傷はないし今もこうして生きている。
残っていたのは穴の開いた制服と―――このペンダントだけだった。
意識も朦朧としたままこれを握って家に帰り、そしてそこで、ヴァッシュを召喚した。
穴の開いた制服が、俺の絶命の証拠ならば、
ならばこのペンダントは――――――俺の命を助けるために、誰かが魔術を使った証拠となるのではないか。
――――遠坂の宝石魔術を見て、そう思った。

「これはきっと遠坂の物だから。随分と遅くなったけど返しておいてくれないか?ありがとう、と伝えておいてくれ」

「――――――シロウ、これ―――――――」

「?…どうかしたか、セイバー」

「――……大丈夫、何でもない。あずかっとくよ」

「ああ。――――じゃあ、頼む」


衛宮邸[居間]



セイバーが帰ってきた。
わたしも丁度整理を終えて、入浴でもしようかと思っていた頃合いだった。

「話終わったぞ、リン」

「随分と長かったじゃない。何の話をしていたの?」

「キーブレードが全部見たいっていうから、全部見せてた」

「…っ!……あなたねぇ…!」

「いやいや!だってシロウは仲間だろ!?強くなるのはいいことじゃんか!」

「………はぁ……もういいわ。やっちゃったことは仕方ないし。……その分士郎には役に立ってもらうとして…」

人のサーヴァントの宝具を投影するのだから、そのくらいは当然である。
しかしセイバーも甘い……。
この分じゃ、魔法が使えることもポンと言ってしまいそうな勢いだ。
それについては散々言ってあるので、大丈夫だとはおもうけれど……。

「それでさ、シロウからこんなものを預かったんだけど……」

「そ、それ……」

と言うことは、士郎は気付いたということだ。
わたしが彼を助けたことに。

「ああ、やっぱりリンのペンダント?」

「ええ…そうよ。……士郎、なんか言ってた?」

「ありがとうって伝えといてって」

完全にバレている。直接渡しに来ないのは邪魔すると悪いからとか、そんな感じだろう。
……恥ずかしい、これは随分と柄でもない一面を見られたものだ…。
あのとき、うっかり宝石を忘れてこなければこんなことには……。

「でさ、リン。これ今すぐ必要か?」

「……?…それはもう魔力も空っきしだから、今すぐ必要ってわけではないけど…」

それがどうしたのだろう。

「これ、ちょっと貸りていいかな?」

「別に構わないけど……一体何に使うつもり?…割ったりしないでしょうね……それ、かなり値が張るわよ…?」

「割らないよ。キーホルダーっていう……なんていうのかな、キーブレードの素?――――それに使うんだけど」

「素、って――――まさか無くなったり…!」

「しないしない。ちょっとキーブレードに付けるだけだから」








ここまで

乙でした

KH3Dのソラやゼムナス、ゼアノートのセリフによるとロクサスにはロクサス自身の心があrうわなにをするやm




ハハッ

>>317
なん……だと……?
これは……どう言い訳しよう(・ω・`)

あれだ、このソラさんは2の中盤~後半あたりのソラさんなのでロクサスさんも心芽生えきってない、とか……





衛宮邸[客間(和)]



「慎二、生きてるか?」

「……衛宮か。―――――ああ、なんとかね…」

セイバーから数十種類の鍵剣を見せてもらい、戦力面では一先ず安心だ。
問題は投影できるかどうかだが、そこは頑張るしかない。
なので、次は精神面。疑問を解消しておこう。
聖杯戦争のこと。アインツベルンのこと。切嗣のこと。
この家でそれらの事情に一番踏み込んでいる者は慎二のはずだ。
アインツベルンの城を見て回り、そこで切嗣の手記も手に入れているのだから。

「訊きたいことがあるんだけどさ…―――」

「…衛宮切嗣の手記についてだろ?そんなに読みたきゃくれてやるよ。もともと僕の物でもないしな」

慎二はそういいながら、ポケットの中に仕舞っていた手帳を取り出す。
年期を感じさせる一品で、黒の表紙にはいくつか折れ目や傷が付いている。
不精者だった切嗣らしいと言えば、確かにらしい。

「先に言っておくと、それはお前の父親が綴った手記とはいえ、それはお前宛じゃないぜ。お前に会う以前に書かれたものだ」

「ああ、そうだろうな。俺は切嗣がアインツベルンの魔術師なんてのは知らなかったから……いや、そもそもアインツベルンという家系自体知らなかったんだけどな」

「ま、知らなくて当然だな」

慎二はクツクツとわらった。
どうやら桜から受けた精神的なダメージは大方回復したようだ。
この辺りは流石慎二である。良くも悪くもめげない男だ。

「それでまあ、何だ――――…だからそれは、イリヤスフィール宛の手紙みたいなものだったよ」


「イリヤ宛……」

「その手紙の内容から察するに、衛宮切嗣はイリヤスフィールの父親に当たるわけだが……この辺りは本人から何か聞いてる?」

「ああ、随分と大雑把な説明だったけどな。だけど、イリヤが何を言いたいかは分かったよ」

要約すると――――――切嗣はイリヤを見捨てたのだそうだ。
俺は知り合う前の切嗣を知らない。
もしかすると、昔の切嗣は全く違う人間性だったかも知れない。
だけど、俺はそうは思わない。
だって、切嗣は言ったんだ。
――――――――『正義の味方になりたかった』って。

「……まあ、その辺の話は僕には関係ないな。どうでもいい事情だよ」

「…そうだな。気を使われても困るだけだ。素直に感謝するよ、慎二」

「は?感謝?何に対して?……ま、どうしても感謝したいっていうなら、されてやらないでもないけど」

「ああ、ありがとう」


「そういえば衛宮。お前の父親である衛宮切嗣は、銃火器マニアだったりする?」

「銃火器?……いや、よく分からないな。そんな素振りは無かったけど…」

そもそも切嗣と銃火器のイメージが噛み合わなさすぎる。
縁側で茶を啜ってほっこりしているようなやつだぞ。

「ふーん……そうか。……じゃあアレはサーヴァントの宝具何かか?…いや、隠居後に銃を触らなくなっても不思議じゃない……そもそも手記には銃火器について考察してあったしな…」

「なにをブツブツ言ってるんだ?」

「ん?いや、べつに何でもないよ、気にするな」

「で、なんで銃火器についてなんて聞いたんだ?」

「……しつこいな。質問攻めかよ」

「良いから答えろよ」

「………手記を読めばわかるけど、どうやら衛宮切嗣の魔術礼装は銃火器だったらしいからな。――――ひょっとしたらお前、『起源弾』について何か知ってるか?」

「きげん弾?―――悪い、知らない」

「……だろうな。…考えるだけ無駄か」

そう言うと慎二は畳に横になって瞼を閉じた。
相当疲れているのだろう。それは俺も同じだ。
今日はいろいろ有りすぎた。

「風呂が空いたら呼んでくれ。それまで僕は仮眠を摂る」

「今は遠坂が入ってるから、そう伝えておくよ」

「そうか……死ぬなよ」

……?
どういう意味だろう。






ここまで

衛宮邸[脱衣所]


「遠坂ー。風呂が空いたら慎二に……―――――」

「―――!!―――…死になさいっ!!!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「………慎二。上がったわよ」

「わかった。―――……あー…、衛宮はやらかしたんだな…」

遠坂は死体のようにぐったりした衛宮を引きずっていた。

「やらかしたんだな、って。そこまで分かってたのなら忠告くらいしなさいよ」

「したよ。死ぬなよと言っておいた。……見る限り死にかけてるが……。…殴って人を気絶させるとか凄まじいな」

「………」

「おい、なんだよその間。――――――……まさか遠坂、お前…」

「―――――――――…………ええ、そのまさかよ。…魔術で攻撃したの……」

「……宝石は?」

「………割れたわ……」

なにやってるんだこいつ。
宝石をむやみやたらに使い過ぎだろ。
魔術的にもだが、金銭的に勿体ないにも程がある。
どんだけ贅沢なツッコミだよ。

「いやそんな事より、そもそも脱衣所にいて魔術で攻撃出来ること自体おかしいだろうが。宝石と一緒に入浴してんのかよ」

「……そうよ、悪い?戦争中なんだから用心するに越したことはないでしょう?」

「…それをテンパって使うようじゃ意味ないだろ……」

この場合、用心するべきはむしろ僕達だよ。
お前の一挙一動に用心しなくちゃいけないよ。

「……ていうか慎二、あなた士郎の心配はしないの?」

「衛宮なら、死んでないなら何とかなる。明日の朝には起きるだろ」

「…そんなに適当で大丈夫なのかしら……」

「いや、元はと言えばお前のせいだからね?」

「……いや、覗いた士郎が悪いわ。そこは譲れない」

「………そうかよ。じゃあ僕は風呂に入ってくるから」


衛宮邸[居間]



「……うう、風呂上りでも寒いな……。ホットコーヒーでも淹れ――――」

「『あ、兄さん。丁度良かった。いま夜食が出来たところなんですよ。』」

「―――――あ、ああそう。じゃあ、い、頂くよ」

現在、僕は桜にビビッている。
この場にアサシンや遠坂がいなくて助かった。
変な見栄を張るのも最小限に抑えられるだろう。
いまの受け答えも、アサシンが居た場合なら「仕方ないから貰っといてやるよ」といった調子になっていた。
そんな態度で今の桜に接するのは自殺に近い。

「『あ、ホントですか?』」
「『てっきり食べないかと。』」

「…な、なんだよ。食わせたくないなら別にいいんだぞ」

「『いえいえ、食べさせたくないとかでは無くてですね。ちょっと意外だったので。』」
「『食べてくれるなら当然ウェルカムですよ。わたしがそう仕向けたわけですし。』」
「『じゃあ準備しますね。座るなり廊下に立ってるなりお好きにどうぞ。』」

それは暗に廊下に立っていろと言っているのか。
こいつ絶対僕のこと許してないだろ。

「……座って待ってるよ」

僕は卓袱台(このサイズでもこう呼ぶのだろうか)の上座に腰を落とし、準備とやらを待つ。
準備とやら、とは順当にかんがえれば盛り付けだろうが、何をするか読めないという点ではランサーにも匹敵する今の桜だ。
何をしているか知れたものではない。
……蟲とかぶち込んでるんじゃないだろうな。

「『はーい!桜ちゃん特製、混沌おでんー!』」

「……えぇぇ……」

もう名前から食欲が失せまくっているのだが、食う言ったと手前、後には引けない。
…帰ってレトルトのカレーが食いたい……。


「こ、混沌ってな―――なんですか」

「『混沌は言ってみただけです。普通におでんですよ。』」
「『というか何故敬語?』」

冗談としては性質が悪い上、そもそも冗談に聞こえない。
会話するだけで疲れるとか……。

「……食うから出せよ…」

もう諦めよう。諦めて早く混沌おでんとこのイベントを消化しよう。
僕に残された選択肢で最も有意義なのは、きっとこれだ。

「『そうですか、そうですよね!』」
「『わくわくで胸がはち切れるほどですよね!』」

「それだけは断じて無い。……速くしてくれ」

「『ふふ、いいですよ!』」
「『その目で、その舌で!思う存分驚いてください!―――これがわたしの……、』」
「『混沌おでんだー!ジャジャーン!』」

このテンションの意味が分からない。
僕が落ち込めば落ち込むほど、桜のテンションのボルテージが上がっているような気さえする。
そういうシステムなのだろうか。だったら僕も思いっきり楽しめ……ない。演技でも無理だ。

「………ん?…見た目は普通だな」

混沌おでんの実態は、思ったより―――というか全く混沌としてない。
具は普通。汁は混沌どころか、若干色が薄いような……。

「『だから言ってみただけですって。ほら、どうぞどうぞ。』」

「ああ、じゃあ……いただきます―――――――――――……?……!?」

…………………これは―――――――

「味が……………無い、だと!?」

「『でしょうね。調味料使ってませんし、出汁も捨てて、新しいお湯に具材を移し替えましたから。』」

な、なんのためにそんなことを……。







ここまで。
最近戦闘描写ばっかりだったので今だらだらしてるけど勘弁  もうちょっとだけ続くんじゃ

あ、凛ちゃんさんガンドあるじゃん!
すっかり忘れてたわ


「『味が無いのはですね……嫌がらせとかじゃないんですよ。』」

「いや嘘つけ」

いくらなんでも無理がある。
それが通るとでも思ったのか、こいつ。

「『残念ながらこればかりは嘘じゃないんですよね。』」
「『他にもいくつか、まじめに料理してみたんですよ?』」

「じゃあそれを出せや…!」

「『え?あんなものでいいんですか?』」

「……あんなもの?」

珍しいな…こいつが自分の料理を卑下するなんて。
料理にだけは自身持ってたからな……。

「どういう意味だよ、あんなものって」

「『そのままの意味です。』」
「『とりあえず一から説明しますね。』」

そう言って、桜は自分の胸に突き刺さっている螺子を指した。

「『これは「却本作り(ブックメーカー)」と言いまして、球磨川さんの宝具です。』」
「『これの影響を受けた者は例外なく、全ての能力値が球磨川さんと同じになる。完全な敗北者となる。』」
「『…あ。わたしは胸囲で姉さんに勝ってるので、完全ではないですね。まあ言葉の綾なので。』」

……それは、途轍もない。
ランサーのもっとも恐るべき脅威は宝具にあり、ステータス自体は低いはずだ。
あのサーヴァントになら、僕が素手で殴りあっても勝てそうなほどである。
『却本作り』はそれを強制的に押し付けるわけだから、それで勝てないはずがない。
ランサー自体は、『大嘘憑き』が使えるのだから。

「―――……ん?…ああ、そういうことか」

「『話が速くて助かります。流石兄さん。』」
「『「却本作り」の影響を今現在バリバリに受けているわたしに、料理のセンスなどありません。』」


「『因みに失敗作の数々はとても食べられるものではありませんよ。』」
「『とにかく調味料の分量が上手く行きません。』」
「『上手く行かないどころか、手を滑らせて全部使いきってしまいます。』」

「…え?」

「『さっき作った刺身なんて酷いですよ。』」
「『魚肉が醤油に沈んでいるので、サルベージから始めないと食べられません。』」
「『あ。わさびに至ってはこれまた手を滑らせて、チューブごとぶち込んじゃいました。』」
「『鱗等も残り放題ですし、あれは食べるのに苦労しますよ。』」

「刺身ってそこまで失敗できる料理なの……?」

「『たぶん目いっぱい失敗しましたね。』」

「だよなぁ……」

そもそも醤油に沈むってどんな状態だ。
ちゃんと皿に盛ってあんのか?

「まあ、それで調味料が無くなったっていうことならおでんの味付けは仕方ないとして……」

「『いやぁ、ほんとすいません。』」
「『明日の朝にでも買い足しておきますね。』」

「それは衛宮に言えよ……―――それで、疑問があるんだけど……」

「『え?まだ何か?』」

「なんで出汁捨てたの?」


「『………………。』」

「おい。黙るなよ」

出汁だって味あるだろ。

「『それは……。』」

「……嫌がらせだろ?」

「『さあ?どうでしょう?』」

「お前、僕もそろそろキレるからね?」

「『怒りっぽいですねぇ。そういうところが同性から嫌われるんですよ。』」
「『女子にモテてるだけの青春になんの価値があるんですか。』」
「『青春の本質は熱い友情です!バーニングです!』」
「『魂燃やそうぜ兄さん!!』」

「うるせえよ!そういうキャラはひとりで十分なの!!」

「『だってわたし、嫌がらせくらいしか楽しみ無いですもん!』」
「『料理も駄目、どうせ弓道も出来ないでしょうし?』」
「『趣味全滅ですよ。……漫画雑誌でも買いはじめましょうか?』」

「そんなこと僕に訊くなよ……」

なぜに漫画雑誌……。
そしてこいつ嫌がらせ認めたし。







ここまで
…こんな適当で大丈夫か?

翌朝――――と言っても時計の針は10時を回ってしまっているが、昨日の就寝時間から考えれば妥当だろう。
僕達は食卓に腰を降ろしていたが、食事は摂っていない。
昨夜、桜があれだけやらかしたので当然だ。
衛宮が台所の様相を見て卒倒しかけていたくらいだし、相当夥しいことになっているのだろう。
だから、現在僕たちは料理の完成を待っているわけではなく――――。

「只今帰還したでござる!」

「帰ったか、アサシン。…で?成果は?」

「柳洞寺、でござったか?山の頂上から不穏な気配がいたした。単独で潜入も考えたのでござるが……」

「潜入は無理でしょうね。柳洞寺には、サーヴァントは正面からしか入れない」

「そのようでござるな。正面突破するにしても、一人で三人の相手は少々荷が重いでござるよ」

「……三人?…アサシン、今三人と言ったか?」

「左様、気配は三つでござった。荒ぶる狂乱の気配、暗く陰った気配―――そして機械のように冷たい気配でござる」

「……アサシンが言うのなら、信じざるを得ないわね…」

それは……不味いな。
あいては三人。
一人は人間の言峰とは言え、遠坂曰く奴はバケモノらしいし…。

「そうだな……遠坂、布陣はどうする?」

山道を通るならばサーヴァントは連れて行けない。
戦闘能力の無い僕がこのルートを辿るという選択は先ず無いため、これを選択するならば遠坂と衛宮だ。
しかし、サーヴァントを全て僕に任せるというのは、それもどうだろう。
そもそも山道を通る場合に遭遇する可能性があるのは言峰のみで、ということは正面突破で言峰に合わない可能性もあるのだ。
全員で正面突破もあながち無いでもない。

「……あなたの意見も聞いてみたいところね」

「僕か?―――――僕は……」

1、全員で正面突破。
2、山道から遠坂、衛宮。正面から僕とサーヴァント達。
3、山道から遠坂、衛宮、僕。正面からサーヴァント達。

>>356





遅くなったうえ、少なくてすまん
ここまで

3は死の香りがする

2で


「山道から遠坂、衛宮。正面から僕とサーヴァント全員が得策だと思う。……別に保身のつもりはないぞ」

寧ろ、こちらのルートだと確実にハザマに遭遇することになるため死亡率は相当に高い。
例の三人目が人間ならば、言峰かそいつ…もしくは両方が山道に待ち構えている可能性もあるが、そもそも山道には決まったルートがないのだ。
遭遇するという場合は極めて稀だろうし、相当運が悪くなければ問題ない。
一人が聖杯降霊の儀式を行うのならば、エンカウント率はさらに下がる。

「『細々と言い訳じみたことを考えているみたいですけど、それはあくまで仮定の話でしょう。』」
「『エンカウント率がいくら低くても、出会ってしまったらそれでパーですし、それにサーヴァントが三体も居るなら戦闘面で不安なんてないんじゃないですか?』」
「『例えそのハザマさんとやらがどれほど強くてもです。』」
「『強さなんてのは――――――この世で最も不確かな要素なんですから。』」

「桜、言ってることが無茶苦茶よ…。あなた、慎二にダメ出ししたいだけでしょ……」

「『――…まあ、そうですけどね。でもあながち間違ってないと思いますよ?』」
「『兄さんは、自分から危険な行為を買って出るような思考回路をしてません。』」
「『どうせ今回も、こうして戦闘回避に全力を尽くしたのに実際は三人とも階段で待ってるとかそういうオチですよ。』」

……嫌な笑顔だ。
しかも割と真面目なことを言っているのが癪にさわる。

「はっ、そんなオチなら万々歳だぜ。遠坂と衛宮が全ての障害をスルーしてイリヤスフィールを取り返せる」

「『イリヤさんは、普通に考えて言峰さんあたりが背負ってるんじゃないですかね。』」
「『あ。ひょっとしたら裏切ってるかも。無いでも無い可能性なんじゃないですか?』」
「『なんにせよ、人生そう上手く行きませんって。』」
「『人生にはセーブ機能があるけれど、ロード機能はないんですよ?』」
「『よく考えて行動しましょう。』」

「…………桜。ちょっと黙ってなさい。」

「『あー、姉さんがわたしのことを睨んでるー。怖いなー。』」
「『わかりましたよわかりましたぁ。わたしはその辺で先輩のエロ本でも探ってまーす。』」


「……返事が遅れたけれど、わたしは慎二の案に賛成よ。お互いにリスクがあるのは当然だもの」

「ああ、そうだな。それに、俺や遠坂には自分で戦う術がある。ヴァッシュもそれでいいか?」

「シローくんがそれでいいならね。そもそもぼくは正面を選ぶほか無いんだけど」

「オレも大丈夫。慎二、よろしく頼むな!」

「ふん。くれぐれも僕たちの足引っ張んなよ」

始めの布陣は取りあえずこれで行こう。
それからは状況に合わせて誰が戦うかを考えていけばいい。




「……で、だ。………衛宮、朝食って…」

「……………乾パンと、缶詰が数種類…」

「…ぬおおぉぉ……そこまで酷い有様でござるか……」

「……調味料が買い置きの物まで含めて全て使われているのが痛いな…これは俺でもどうしようもない」

「……醤油とか、皿に溜まっているだけの物って流用出来ないのかよ」

「それが……どうやら桜はあの後に片付けをしようとしたらしく……」

「もういい。……もう何も言うな…」


「さて、そろそろ行くか……」

貧相な朝食を終え、僕たちは決戦に挑む。
…まあ、ハザマや言峰を倒した後でアーチャーやセイバーとも戦わなければならないわけだが、それは置いておくとしよう。
今考えることではない。

「そうね。こっちも準備は昨日に済ませてあるし」

「………」

うっかり宝石使うような女だからなぁ…。
その準備も、どこか抜けてなければいいが。

「じゃあ、行くか。―――イリヤを取り戻すために。俺達の―――」

「『ちょっと姉さん!これ見てください!』」
「『この煽り文句、「巨乳JKとヤリたいほうだい!」ですって!残念でしたねー!』」
「『しかもこれの発売日、わたしが看病に来た時期と一致してます!』」
「『うわぁ、先輩気持ち悪ぅ!軽蔑しますよー!あははは!!』」

「…士郎、あなた……」

「違ッ!それは慎二が無理やり押し付けてきたもので!今の今まで存在すら忘れていたというか……くそっ!やりやがったな慎二!」

「……いや、マジで悪かったよ。まさかこんな形でそのトラップが発動するとは………」

「『えー?でもこれ、袋とじ破れてますよー?』」
「『使ったんでしょ?使ったんですよね?嘘はよくないですよ?』」
「『あはは!そのときは何を想像してたんでしょうかねー!とっても気持ち悪いなぁ!』」

………実はもう一つ、ナース物の本も送り付けていた気がするが…それは黙っておこう。








ここまで

桜がいい感じだ
一本SS書いて欲しいくらいキャラたってるな
乙です

>>366
後日譚的な何かか まあ暇があればな
…つってもこれ、球磨川の行動パターンを桜に真似させてるだけだが

柳洞寺[石段前]




「…覚悟はいいか?」

「無論でござる!拙者の魂が轟轟と音を立てて舞い上がるでござるよお!!」

アーチャー、セイバー、そしてアサシンと僕は、鳥居を前にして一度立ち止まった。
相手は強敵、実力不明のイレギュラーも存在するようだし、生半可な覚悟で越えられるものではないだろうが…

「迷っていても仕方ないしな………衛宮達はもう山の中を進んでいるだろうし」

当然だが、桜は置いてきた。
衛宮が大変心配そうにしていたが、必要な犠牲だ。甘んじて受けろ。

「じゃあ、行くぞ…………」

僕達は階段に足を掛ける―――――


石段の中腹―――――そこに居たのは知らない女だった。
長い金髪。白と、そして蒼を基調とした装備。
表情は無く。生気は無く。
まるで操られた人形のようだ。

「生体反応を確認。―――――――解析開始」

「お主は……統制機構衛士の!…いや、様子がおかしいでござるな……」

「アサシンの知り合い……」

と言うことは、ハザマ繋がりか……。
こいつも前回のサーヴァントなのか…?

「……これは少々梃子摺る相手でござるよ。この状態はとても危険でござる…!」

「………僕でも、見ればわかるよ」

「シンジ、どうする?オレたちは指示に従うからさ」

「―――――…アサシン、相手の実力ってどの程度?」

「…ハザマと同等……いや、戦闘能力、特に物量的攻撃力ならハザマ以上でござる」

「……わかった――――――じゃあ、こうしよう」

イリヤスフィールが囚われている関係上、全員で撃破というのは得策では無い。
ハザマがいることを考えると、二人、出来れば一人で対処したい。
僕がどう動くかも含めて考えると―――――――

1、アサシンで対処。僕もここに残る。
2、アーチャーで対処。残りは上を目指す。
3、セイバーで対処。残りは上を目指す。
4、アーチャーとセイバーで対処。残りは上を目指す。
5、その他(指定)

>>375





少ないがここまで

2

「解析完了。対象の殲滅を開始します」

女が取り出した大量の機械が空中に固定される。
恐らく武器、しかも砲台だろう。とても両手で数え切れる量ではない。
これに対処するには―――

「――――――アーチャー!任せるぞ!」

「どんと来い!」

アーチャーは拳銃を二丁取り出し、続けざまに引き金を引く。
僕では視認できない銃捌きで空中の固定砲台を次々と破壊した。

「迎撃開始。一斉掃射」

しかしその速度でも全て破壊しきれはしない。
それどころか半分以上残っていたそれは、言葉通り一斉に火を噴く。
いや、火と言うか――――レーザーだった。
蒼白の光が凝縮された一閃が通過した痕には、最早空間しか残らない。

「行くでござるよ御両人!―――このタイミングでござるううう!!!」

「――うっグぇ!!」

「うわわっ!」

脳内で解説していたところを、セイバー諸共突然アサシンに引っ張られた。
アサシンはあろうことか、銃弾と光線の飛び交うその中を突き抜けるつもりらしい。

「ア、 サシン!おまえ本気か!?」

「大丈夫でござる!少々手荒でござるが、ようは振り切ってしまえば良いのでござろう?」

アサシンはレーザーを見切り(見切るの!?光だぞ!?)、前へ前へと前進する。
そのまま、女の眼前まで来たところで―――

「対象を変更。アークエネミーを所持。殲滅開始」

女は閃光の剣を振り下ろした。


「うわははははーい!!あの娘、拙者の術にまんまと引っかかったでござるよ慎二殿!」

アサシンお得意の瞬間移動じみた縮地。
その慣性を共有させられる僕達にはたまったものではないが、それはあの女にしても同様らしい。

「―――――対象の殲滅を続行します」

確かに、まんまと後ろに抜けられている。
砲台の制御と銃弾の対処に気を取られながら読めるほど甘い縮地ではないのか。

「アサシン!あいつこっち向いてるぞ!!」

「気にしないでござる!拙者はただ、この石段を全力で駆け上がるだけでござる!」

そういうとアサシンは宣言通り、ただ全力で駆け上がった。
しかしいくら全力で走ろうが、流石に光速のレーザーを振り切るほど速くは走れない。
そのフォローは――

「後はたのんだぞアサシン!!」

「合点承知でござるうううううううううう!!!!!」

アサシンを狙う砲台は、アーチャーが全て撃ち落とした。

「―――――対象を再設定」

「そうだ、それでいい。……君が相手なら、殺さなくて済む」








時間ないぜ!ここまでですすみません

山道[中腹]



「……遠坂、大丈夫か?」

「バカにしないで。これくらいの山道、なんともないわ」

肩で息をしているし、息も荒い。俺にはかなり辛そうに見える。
それもそのはず、俺と遠坂が選んだルートは候補の中でもとりわけ険しいと思われる道だ。
待ち伏せに向かない地形で、直線距離ならば最短で頂上に辿りつく。
どうしても通れない場所もあるため、ところどころ迂回する形になってはいるが、それでも他の道よりは速いだろう。
流石に、慎二達より速く頂上に辿りつくとは思えないけれど。

「このルートを通っていけば、寺の池に出るはずよ。それも迂回する予定だけど、場合によっては突っ切るから」

「ああ、わかった」

「池に誰もいないとは限らないから、くれぐれも気を付けなさいね」

「それを言ったら、今だって突然襲われるかもしれないだろ?考えるのは後回しだ」

今は登山に集中しよう。
慎二より速く着かないのは山頂までの話で、イリヤにたどり着くのは俺達の方が速いかもしれない。
なにせ慎二達は、ハザマに遭遇してしまう。
その戦闘に時間がかからないということはないだろう。
勝つにしても、負けるにしてもだ。

「慎二達がハザマと戦っている間に、イリヤを助け出す。出来る限り急がないとな」

「それでバテたら話にならないわよ?イリヤがフリーになっているわけないんだから、一回の戦闘は決まっているようなものだし」

遠坂のいう事は正しい、だけど―――
そうは言われても、足が急いてしまうのだから仕方ない。


柳洞寺[境内]


「あーあ、二騎も通しちまったの?いくら『蒼の継承者(カラミティトリガー)』とはいえ、所詮ただの宝具ってか」

境内。石畳の上に胡坐をかいていた男――ハザマは、そういって立ち上がった。

「よっと。――――――さーて、セイバーにアサシン。遊んでやるから来な」

その身から発せられた瘴気は、視認できるほどの濃度。碧の覇気が僕の背筋に悪寒を走らせた。
そんな僕の前に、アサシンとセイバーは堂々と立つ。
セイバーは既に剣を―――右手に、銀色の鍵剣を構えていた。

「これは『眠れる獅子(スリーピングライオン)』……そんでこいつが――――」

―――左手に紅色の光が灯る。
現れたのは、光と同じ紅色の宝石。
あれは恐らく、遠坂の令呪を模っているのだろう。
剣と言うよりは、杖のようだ。
今にも割れてしまいそうだが、それと同じくらい――――割れるビジョンが浮かばない。

「―――リンと、この世界のキーブレード―――――――――『闘争の夜(ステイナイト)』だ!!」


「―――……熱い。―――熱い、熱いでござるよセイバァァ殿おおお!!その刀には熱い想いが込められているのでござるなあ!?」

「お、おいアサシン!どうしたんだお前!」

「これは拙者も負けてはおれぬでござるよ!慎二殿!拙者も口上を!!」

「………はあ。…いいぜ、堂々と名乗ってやれ。ただし、わかってるよな?」

「無論でござる!」

アサシンはその身を翻し、大きく構えを取った。
獅子神忍法の基本たる、攻防一体の構え。初めて会った日から今日まで、何度も見てきた構えだ。
赤いマントは風に靡き、纏う熱気は林に溶け、見開く両眼には火を灯し、降ろす踵は山をも砕く。

「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ!――――正義のヒーロー!轟音雷霆、獅子神萬駆!!いざ、参るぅぅぅ!!!」







ここまで


「セイバー殿。服装が前回とはまたちょっと違うようでござるな」

言われてみれば確かに、セイバーの服装は色彩が変わっている。
前回、二刀流時の配色は赤メインだったはずだが、今回は全体的に銀色だ。

「……あれ?……なんだこれ、マスターフォームじゃないぞ…?」

「…よくわからぬでござるが、強そうだから良いのではござらんか?」

「……うーん、そうなんだけど…」

「きっと秘められていた力が熱き想いと共に目覚めたのでござる!魂を燃やしているのでござるよ!!」

無茶苦茶すぎる。無茶苦茶すぎるが、確かに考えていても意味はない。
今やるべきことは、そんなことではない。

「……オイ、お前ら。来いっつってんじゃん。そんな悠長に会話してる暇あんのか?」

「おお!そうでござった!ここは戦場!油断は禁物でござる!」

「……そうだな。いまはイリヤを助けるのが先だ!」

そういうと、各々は自らの得物を構える。
ハザマは蛇を想起させるアンカーとチェーンを。
セイバーは両手に携えた神秘の鍵剣を。
アサシンは釘と、そして己が拳を握った。

「さあ……いざ尋常に、勝負ッ!!」


その声と共に、僕は森に向かって駆け出した。
サーヴァント同士の闘争―――そんなものにわざわざ巻き込まれる必要はない。
ここまで正面切って歩いて来たのは、そのほうが速く、より確実に山頂まで辿りつけるからである。
ここまで来た以上、結界が張ってある森に逃げ込まない理由はないだろう。
森に逃げ込めば言峰と鉢合わせるかもしれないが、言峰に遭遇するのは目的を考えればそれほど悪いことでもない。
僕達の目的はイリヤスフィールの救出にあり、石段の途中であの無表情女に合っている以上、イリヤスフィールは言峰の下にいると見てまず間違いないからだ。

「何する気だテメェ?」

しかし、そう上手くはいかない。ハザマは僕の勝手を許さない。
その手から射出されたアンカーは、僕の鼻先を掠めた。

「ひっ!」

「……おお…!間一髪でござったな…!!」

これが命中しなかったのは、アサシンが投擲した釘によってアンカーの進行方向が逸れていたからである。
僕は一瞬怯んだが、走るのは止めなかった。

「よくやったアサシン!!」

「勿体なきお言葉あ!さあ、慎二殿!イリヤ殿を恰好良く救ってきてくだされ!!」

「ああ!任せとけよ!」

僕は森へと無事に足を踏み入れた。
サーヴァントであるあいつらは、この結界の中にそう易々とは立ち入れない。
だからここからは、僕の仕事だ。


「おいアサシン!テメェまさかあのガキが言峰に勝てるとでも思ってんのか!?ヒャッハハハハー!それは信頼とは言わねーよ!」

ハザマはアンカーを引き戻しながら、ジリジリとアサシンに捩じりよる。
先入観のせいか、その動きはまるで蛇のように見えた。
ハザマの問いに、アサシンは答える。

「まあ、勝てるわけがないでござろうな。そもそも勝負が成立せぬでござろう」

「よくわかってんじゃねェか。ククク、何?お前マスターを殺したかったの?」

「いいや?そんなつもりは毛頭ござらんよ?――――勝負が成立せぬのなら、勝負が始まる前に型を付ければよいだけの話でござる!!」

ハザマがアサシンの間合いに入る、その直前。
ハザマは歩を止めた―――――はずだった。
しかし―――

「……破龍玉砕ぃ!!」

「――――…ッ!?」

なんとかガードしたものの――――炎を纏った掌底が、ハザマの腹部に繰り出されていた。
当たるはずのない攻撃。
アサシンが移動した気配は無かったし、ハザマ自身は近づくわけがない。

「……テメェ、何をしやがった!!」

その問いに答えたのはアサシンではなく、セイバーだった。
左手に持った紅い宝石の剣を振りながら、彼は端的に、何をしたのかを説明する。

「グラビガ―――重力魔法だよ。アサシンを避けて使うのには、ちょっと骨が折れたけど」








ここまで

柳洞寺[石段]


射撃音が二通り。
光子をかき集めて収束させる音と、火薬の爆ぜる音。
しかし、ただ火薬の爆ぜる音といっても、聞く者が聞けば違和感を生じさせる響きだ。
音の発信源である銃が未来の技術で作られたから―――――勿論それも無いとは言えないがそうではなく。
その違和感はもっと身近で、そして聊か想像し難いものだった。

「――――現象を解析。――」

空中。何もない空間で、発砲音の直後に響く音。
キーの高い打撃音、金属音のようなそれは、アーチャーが発生させているもので間違いない。

「――――現象を跳弾と推定。――――再解析。」

μ-12は解答に確証を得るため、再解析を行った。
もし解答が正解ならば、技術力においてはアーチャーに適うことは無いだろう。
再び、アーチャーが発砲する。
金属が弾きあったかのような音。
虚空での跳弾。
それが意味する事とは――――

「解析完了。現象を銃弾同士の接触による跳弾と断定。戦闘パターンを変更します」


銃弾同士の接触による跳弾。
軌跡の変更が本来不可能である銃の性質をも捻じ曲げる神業だ。
弾の回転と接触する角度を計算し、一秒にも満たない時間差をつけて引き金を引く。
アーチャーは、これを回避と同時に、しかも連続で行っていた。
跳弾した弾は、時に固定砲台を穿ち、時に光の剣を弾き、時にμ-12の移動を阻害する。
このうちの何れかを、必ず二回同時にこなすというのは、もはや技術の域を超越していた。

「……随分と解析に時間がかかるものだね。弾同士の跳弾なんて、すぐ思いつきそうなものだけど」

アーチャーが呟く。
思いつきそうというのは確かにそうだが、しかしそれは、人間ならばの話である。
アーチャーは彼女を人間と捉えているため、釈然としない思いをしているわけだが、ここはハッキリさせておこう。
彼女が確率の低い事象の肯定に時間をかけるのは当然だ。
彼女―――μ-12は人形である。
人間を素に造られ、人間を模して作られた人形。
少なくとも、造られた当初のコンセプトがこれであったことは間違いない。
人間のように生きていた時期もあったし、人間のように感情を得たこともあった。
だが、作った者たちにとってそんなものは関係ない。
彼女には、――彼女たちには、――製作者の意に反する権利が、そもそもない。
しかし、いくら人間を模した人形とはいえ、肉体は完全に人であり、命だってある。
アーチャーにとっては、鬼門だ。
自らの死を恐れない人間の相手など、二度としたくは無いだろう。

「―――…大体わかった。きみとボクは随分と違うが――――それでも、似たようなものなんだな」

それでも彼は、銃を構える。
今回は目的が違うのだ。彼女を殺す必要が無い。
―――後のことは、彼らに任せた。
アーチャーの役目は、目の前の人間をここに留めておくことだけ。

「ボクには君を殺す気がないけど――――――負ける気だって、さらさら無い」


「対象の殲滅を再開します」

言うが速いか、μ-12は固定砲台による砲撃をしかけ、今度はそれと同時に光の剣をも射出した。
点の攻撃が幾重にも重なり、面の攻撃へと昇華する。
石段は左右を結界に囲まれている疑似的な閉鎖空間。逃げ道は完全に潰れていたが――
それに対してアーチャーが取った行動は、実に単純なものだった。

「頑張って避ける!」

全力のダッシュ。
階段を下りるわけでもなく、況してや森に入るわけでもない。
駆けだしたのは正面、撃ちだされた光の嵐に向かってだ。
光の剣は銃撃で撃ち落とすことができるし、レーザーは決まった場所にしか射出されない。
固定砲台は大半破壊したので、撃ち落とせないレーザーの総数自体が少ないのだ。
アーチャーが宣言通り頑張れば、躱せない領域では無かった。

「よし。全部躱した。―――で、お嬢さん。次はどうするつもりかな?」

走り終えたアーチャーは、μ-12の正面で傅くような姿勢を取りながらそう言った。








ここまで


どうするかというアーチャーの問いに、蒼の少女は行動で答えた。

「シュタインズガンナー一斉起動。―――――『アメノトツカ』」

空中に設置した固定砲台から光線が射出されるが、それはアーチャーを直接狙うものではない。
光線が向かう先はそれを射出した物と別の固定砲台。
破壊することが目的であるわけは、勿論なく――――。
―――固定砲台に命中した蒼白の光はあらぬ角度へと跳ね返り、そしてまた他の固定砲台へ。
これをただただ、繰り返す。

「…あっちゃー。嵌められたのか……」

現在アーチャーの位置する場所は、光線が行き来を繰り返すその中心部。
動かなければ被害はないが、それはつまり動けないということに他ならない。
ガンナー同士の戦闘において、しかもアーチャーのようなタイプにとっては、動けないというのは大きな負荷だ。
避けながら戦い、逃げながら戦い、背中を見せてでも信念は曲げない。
蒼の少女は――――――そのスタイルを否定する。

「エネルギー収束。――――『フルノツルギ』」

幾重にも重なる光の剣。
高く掲げられたそれは、光の檻の中で立ち往生するアーチャーを分断せんと振り下ろされる。
膨大な光量を誇るその剣にアーチャーは一瞬目を眩ませた。
意図があろうがなかろうが、結果として剣の纏う蒼白の光はアーチャーの行動を一拍遅らせることになり―――

「…ぐあッ!」

光に体を引き裂かれ、アーチャーは肩口から血を流す。


光の収束した剣は、目視で間合いを測ることが困難極まる。
と言うよりも、目視することが自殺行為だ。
一定時間とはいえ、自ら視力を捨てるようなものなのだから。
だからアーチャーはそうしなかった。
サングラスでどうにかなるレベルの光ではない、逆に目を瞑って偶発的な視界の喪失を防ぐという選択をする。
しかしそうすると回避が成功する確率は下がり――――

「……くっ!」

――――――結果、肩口に傷を負うことになった。
剣が振り下ろされる直前、固定砲台の破壊を試みもしたが、どうやら無駄だったようだ。
―――目を開けた時に固定砲台は減るどころか、更に数を増していた。

「……いくらでも追加できるのか…この罠、想像よりもキツいなぁ…」

結局、光の檻からは抜けられてない。
多少強引にいけば突破出来ないこともないが、その場合は最悪手足の一、二本は覚悟しなければならないだろう。
そんな状態で戦えるほど甘い相手ではない。
アサシンあたりなら、剣を受け流しての瞬間移動か何かで切り抜けるのだろうが――――

「―――いや、受け流すっていうのはアリだな」

μ-12が次撃を構える。
次の軌道は横薙ぎ。
そもそも、振り下ろしでさえアーチャーだから傷程度で済んだのだ。
威力こそ落ちているが、この限られた空間では回避のしようがない。
だが、避けられないのだから防ぐ他ないし、アーチャーは防ぐことに希望を見出したところなのだ。
この攻撃はむしろ願ったり叶ったりである。


二丁の拳銃を体の真横でクロスにして、光の剣を食い止めた。
靴裏が石で削れる感覚。ずらされた立ち位置は、しかし光の檻に接触する程でもない。
行動に出るのは――――少女が剣を引くまでの、この瞬間。

「―――ふっ!」

アーチャーは檻の隙間を縫うように、軸にしていない側の足を伸ばした。
檻に閉じ込められている者は普通、脱出する手段を模索する。
アーチャーにしてもそれは同じで、だからこそ無傷での脱出は無理だと結論付けた。
しかし、光の周回パターンさえ正確に把握できるなら体の一部くらいなら突きだすことは不可能でもない。
光線とはいえ銃撃で構成された檻のパターンを、アーチャーが読めない読み切れないわけもなかった。

「自分で作った死の檻にぶち込まれそうになったら――――そのとき人はどうするんだろうね!」

彼は足をμ-12の腰に引っ掻け、思い切り良く引き戻した。
剣を前に突きだしているという体勢で抗うには少々無理がある。
体格差をフルに生かされれば、そうなるのは当然だ。
アーチャーは、自らの身体が後方の檻――光線の中に突っ込むのではないかと言うほどの勢いで、全体重をかけて彼女の身体を引き寄せているのだから。
――――しかし、結果的にはそうはならない。
アーチャーも自殺を望んでいたわけではないし、μ-12の殺害を目論んでいたわけでも、勿論ない。

「『アメノトツカ』による被害を予測。『アメノトツカ』、解除」

「きっと、そう判断してくれると信じていたよ!」

二人は体勢を整える暇など無く、石段を転がるように落ちて行く。









ここまで

柳洞寺[境内]



ハザマがナイフを振るう。
正面に立つアサシンはそれをギリギリまで引き付けてから、のけ反るように回避。
攻め手を緩めようとしないハザマは、足払いでアサシンの体勢を崩しにかかる。
それに対して、アサシンはのけ反った体勢を発展させた後方宙返りで対処。
しかし、この相手に対してあまり大きな回避行動をとるべきではなかった。

「ヒャッハー!ごちそうさまだぜ!!」

鎖付きのアンカー―――宝具、『魂を喰らう碧い蛇(ウロボロス)』が射出される。
空を喰らいながらアサシンに向かって進むそれは、精神を喰らう悪夢の宝具。
ことサーヴァントとの戦闘においては、見た目以上にダメージを与えることが出来る。
碧の蛇は、サーヴァントの存在力を喰らうのだから。

「ぐっ、だらっしゃあ!!」

アサシンは空中で強引に体を捻じ曲げ、ウロボロスに背を向けるような体勢を取る。
逃げるためでも、無論諦めたわけでもない。
ウロボロスは事象兵器、踏ん張りの無い空中で相殺を狙っても失敗する可能性が高い。
そして経験ゆえの直感的から、直接防いで良い類のものではないことも感じていた。
だから直接は防がない。
ウロボロスを防ぐのは―――――――亡き故郷、亡き主の想いが込められた『五十五寸釘』だ。
事象兵器同士の干渉。それはアサシンの宝具が持つ特性からか、ウロボロスがはじかれるという結果に終わる。

「紙一重でござったな!しかしまだまだぁ!!拙者を倒すにはもっと熱くならねば駄目でござる!!」

「チッ!これがアンチアークエネミーの力か、ウッゼエな!」

アサシンは若干体勢を崩したものの、難なく着地。
ハザマは鎖を強引に引っ張りながら、バックステップで後ろに下がる。
その意味もない、ほとんど反射的に取った回避行動が呼び寄せたのは――

「ブリザガ!」

セイバーの魔術。―――――いや、魔法だ。
氷塊を形成し高速で射出するのに用いる動作は、わずか一単語だけ。
セイバークラスとはとても思えない。

「クソが!テメェらマジ殺すぞ!!」

物理的なガードは間に合わない。
足元から碧色の瘴気を立ち上らせ疑似的な障壁を形成するが、それでも威力を完全に殺しきるには至らなかった。
氷塊はハザマの胸部を打撃し、さらにそれは砕け、破片が全身を叩く。

「…!……がッ!!…――――…痛えぞコラァ!やってくれたなァオイ!!」


ハザマは引き戻したアンカーをそのまま勢いで撃ちだした。
次の狙いはアサシンではない。
セイバーが遠距離主体で戦うのなら、こちらは距離を詰めてその戦法を崩すまで。
アンカーが捉えたのは、セイバーの近くの地面――などではなく。

「――――え?あ、あれ?」

セイバーは右手の剣を前に構えていたが、予想していたようなことが起こらない。
近場の地面にアンカーを噛みつかせるようなら、左手の剣で氷塊を撃ち出して弾くつもりだった。
セイバーを直接狙うようなら、それは右手の剣でふり払うつもりだった。
だけどアンカーの取った動きは、そのどちらでもない。

「ヒャハハ!ヒャッハハハハハハー!言ってなかったっけ?ウロボロスはなァ―――――――なんもねえ空間にだって噛みつけるんだよ馬ァ鹿!!」

セイバーの眼前、虚空に牙を立てる蛇の頭部。
空を噛んだウロボロスの鎖を引いて、ハザマがセイバーの眼前に飛来する。
勢いに乗って突きだされた蹴りが頭部にヒットし、セイバーは地面から足を離した。
勿論、そこで終わるハザマではない。ナイフを構えて追撃を繰り出そうとする、が。

「オラ死ねぇ!――――って、邪魔すんじゃねぇよテメェ!!」

「拙者は生粋のイカルガ男児ぃ!戦友を見捨てる訳にはいかぬのでござる!」

アサシンの放った釘に対処せざるを得ないハザマは、追撃を中断した。


「サンキューアサシン!よっと、はぁ!」

セイバーは受け身を取って地面に立ち、『眠れる獅子』を横薙ぎに振る。
ガードされはしたものの、空中にいたハザマを大きく吹き飛ばす。

「メンドくせえな、なんども同じこと繰り返す気かっつーの!」

言った通り、ハザマはもう一度ウロボロスを構えた。
セイバーはこれにまだ対処出来ていない。繰り返すのは確かに面倒だが、有効な手だ。
アサシンの釘には数限りがあるし、ジリ貧になれば有利なのはハザマ。
―――――その状況はアサシンとセイバーにとって、出来れば避けたいもの。

「しゅたたたたたたたた!!!」

アサシンがハザマに向かって駆ける。
不利な状況は、多少無理をしてでも避けるべきだ。

「バァぁぁン!!」

敵の直前で放つ、身を翻しながらの足刀。
頭を落とす動きや屈伸運動などの溜め動作を極限まで消した、獅子神忍法の基本たる正々堂々の奇襲攻撃だ。
勢いに乗って飛んで行くようなそれは足刀の範囲を大きく伸ばし、相手にリーチを誤認させる。

「うおっ!危ねぇ!―――――だが……」

「ぬおお!?しまったああああ!!!」

しかしこの攻撃は性質上、上段のみに繰り出される。
現在のハザマのように、しゃがんでしまえばそれは大きな隙となってしまうのだが―――

「ヤバい!グラビガ!!」

「ぬ!?ぬおお!?」

セイバーが例の重力魔法で、今度はアサシンを引き寄せた。
ハザマのナイフは虚空を切る。

「おおお……助かったでござるよセイバー殿…」

「テメェらマジうぜェぞ……!時間稼ぎはこっちの仕事だろうが…!」









ここまで

柳洞寺[池]


「――――――なんだよ、これ――――」

僕は目を疑った。
――――――これが、聖杯――?
イリヤスフィールが吊し上げられたその孔から漏れ出すものは、純粋な魔力のみ。
純粋過ぎて、綺麗過ぎて――――――吐き気がする。

「聖杯は元来の姿を取り戻しているのだが……これを見て気分を害するとは、本当に魔術の才は皆無のようだな。間桐慎二」

「……言峰、綺礼…」

不味い。
どうやら、衛宮と遠坂はまだここまで辿りつけていないらしい。
この神父に僕一人で太刀打ちできる可能性は皆無で、逃げ切ることすら不可能に近いだろう。

「…イリヤスフィールは、どうなっているんだ……?」

一応、死んではいないのだろうが…―――。
それと同等の状況にあるのではないだろうか。

「現在は聖杯をこの世界に繋ぎ止めている。聖杯が役目を果たした時に、器もその使命を終えるだろう」

「………死ぬってことだな」

「端的に言えば、そうだ。しかし、アインツベルンのホムンクルスとはそのために生み出されるもの。これが正しい在り方だろう」

「…そうだな、お前の言ってることは間違って無い。……だが、衛宮はそれを否定するだろうぜ」

「当然だな。あの男の意思を受け継ぐ者だ……そのくらいでなければ、つまらない」

あの男。
恐らく、衛宮切嗣だろう。
僕からみれば、あいつは意思を受け継いだのではなく呪いを背負わされたようなものだが――――。
その呪いも含めて、衛宮は衛宮なのだから。

「それについては同意だよ。……本当におもしろいやつだぜ、衛宮は」







弟がPC使うってよ
少ないがここまで


「一つ訊いておこう。――――間桐慎二、お前は聖杯に何を願う?」

「……そんなこと聞いてどうするつもりだ」

「なに、参考にするまでだ。私とお前の利害が一致する可能性も、無いとは言い切れんだろう」

無いと言い切れる。
僕の願いが魔術回路の取得、またはイリヤスフィールの存命である以上間違いない。
いや、僕の願いがなんだろうとこいつの願いがなんだろうと、ここまでミスマッチな組み合わせは無い。
世界の見方が全く別物だろう。
そもそも言峰と利害が一致するというのが、人間的に相当終わってると思う。

「…言いたくない」

「ほう。そうか、それならば構わない」

言峰が瞼を閉じる。
そのまま腕を後ろに回して組み、孔に向かって歩き出す。

「お、おい」

聖杯に言峰が近づくのは普通に怖い。
こちらも駆け足気味でその後を追うが――

「それ以上はこちらに来ない方がいい。私も容赦できなくなる」

「……!」

僕はその言葉と、その気迫に―――反射で足を止めてしまった。


「訊き分けが良いな。生き延びるには大切なことだ」

「お、お前…聖杯になにをする気だよ!」

「下準備はもう殆ど終わっている。テルミが来るまで私にやれることは大して無い」

本気で言っているのだろう……。
僕に対してプレッシャーをかけて何の意味があるのだという話だし。
―――――いや……状況によっては、意味はあるのか。
それは――――既に衛宮と遠坂がここまで辿りついており、出方を伺っている場合だ。
僕にプレッシャーをかけて動きを封じれば、自然と状況が停滞する。
それはほとんど衛宮達を封じたも同じだろう。
僕を見捨てることは、あの二人には不可能だ。
―――だからと言って無理につっこむのも不味い。
そうすることで衛宮や遠坂は僕を助けに入ってきてくれるだろうが、それでは言峰の思い通り。

「成程ね……僕は餌ってことか…」

「さて、なんのことかな?」

言峰は口元を歪ませるが、僕にはそれが笑顔には見えなかった。
この男は、僕のことなど見ていない。

「………餌役をやるのは別にいい。だけど、どう動くかは僕が決める」

「―――――…そうか。私も衰えたな……見上げた根性だ、間桐慎二」

「お前に褒められても、嬉しくねえよ」


1、言峰に近づく。
2、踵を返して逃げる。
3、令呪を使ってアサシンを呼ぶ。
4、動かない。

>>436



ここまで

2と4は被害なし
1だとライフル弾ぶち込うわああああ!
3だとセイバーがうわああああ!
一応道場パートも存在はするが、まだ一度も発動してないな

書いてきます

つまり1が正解だったのか

>>449 うわああああ!は慎二の悲鳴だからwww







僕は動かない。
何をするにしてもリスクが伴うし、そのリスクが及ぶのが僕だけではないからだ。
衛宮や遠坂が何か策を練っているかもしれないのに、何も考えていない僕が適当に動いて状況を悪くするのは避けたい。
それに、アサシン達が戦闘中である以上その決着を待つというのは恐らく正しい。
言峰に出来ることはもう殆ど終わっているのだから、僕が動くべきはアサシン達が勝つにせよ負けるにせよ、むこうの決着が付いたそのときだ。

「――――利口な判断だ。しかし良いのか?これはある意味、私が思った通りの展開だが……」

「そんなもん、全部お前の思い通りだろ。きっとお前は、何がどうなったってどうでも良いんだよ」

「……そう見えるか。―――そうだな。それも正解の一つだろう」

言峰は、至極どうでも良さそうに答える。
だが、そんなことはこっちこそどうだって良い。
僕はこの受け答えを長引かせているうちに、やるべきことがあった。
僕がやるべきこと。言峰が許容する範囲で、僕に出来ること。

「ところで、この柳洞寺の石段は何段あるか知ってるか?」

「………。唐突だな。―――知らないが、それがどうした?」

「いや、ちょっとね。知らないなら数えてくると良いよ。今すぐに」

「何のつもりかは知らないが、そんな言葉に乗るとでも思うか?」

「…衛宮程度なら引っかかる手口なんだが……まあ、無理だろうね」

「衛宮士郎も、随分と低く見られたものだな」

……これで伝わるだろうか。
とても分かり易くいっているので、言うなれば半ば言峰にもバレるくらいの気持ちで言ったので、伝わってないと困るのだが。


柳洞寺[池周辺・茂み]


「士郎、聞いた?」

「ああ。慎二のやつ、こんなときに何言ってるんだか……」

「……はあ。やはりというかなんというか……。気付いてないのね……」

「?……どういうことだ?」

「慎二はこう言いたいのよ。『衛宮は石段に行け』」

「………」

「唐突に話題を振ったのは、わざと違和感を出して私たちに伝わりやすくするため。『今すぐに』は『急いで向かえ』。最後に士郎を貶めたのはあなたに対するメッセージだと示すためよ」

「そんなことしたら、俺達の存在に言峰が感づくんじゃ……」

「…もうとっくに感付かれてるわよ。慎二が気付いてるくらいなんだから」

「………それなら余計に怪しまれるだろ」

「その違和感は衛宮君を貶めることで上手く消してるわ。無茶な話題展開からの唐突な罵倒でも、慎二が言うなら違和感ゼロだもの。あいつ、綺礼の性格も読めてるし、なかなかやるじゃない」

「……じゃあ慎二は、なんで俺を石段に向かわせるんだ?」

「恐らくだけど……石段でアーチャーが戦っているわ。しかも、令呪が必要になるような相手と」

「……!」

「行きなさい、士郎。―――――ここは私が何とかするから」


柳洞寺[石段下部・道路]


アーチャーは階段を転がり落ちていながらもダメージは殆ど受けずに、アスファルトの路面に足を着く。
蒼白の少女は空中でエネルギーを噴出することで体勢を立て直すことで、アーチャーよりも先に武器を構えていた。
光の剣をスカートのように全方位に構え、腰回りでそれを回転させる。

「っ!」

アーチャーは匍匐の体勢でそれを避ける。
直後、地面で寝返りを打つようにして俯けから仰向けに体勢を切り替えたアーチャーは、肘を曲げながら顔の正面に小さく銃を構え、下から少女を掠めるように発砲した。

「ダメージ極少。戦闘続行」

銃弾は、少女の脇腹の皮を引き裂く程度に留まる。
アーチャーはそれによって彼女が怯むことを期待していたのだが、全く効果はなかった。
回転していた光の剣が真下を向き、斬頭台の刃の如く落下する。

「くっ!マズいマズい!!」

地面を死ぬ気で転がってアーチャーはその場を凌ぐが、そこで終わるはずもない。
少女は地面から引き抜いた剣を頭上に集め、アーチャーに追撃を加えるために移動する。
地面を滑るような移動。転がっていることもあり、アーチャーには距離感がつかめなかったが―――少なくとも、転がっている自分よりは速いだろう。
そう思うならば立てば良いと思うだろうが、そこにはアーチャーの思惑がある。
剣が振り下ろされたその場所は、ガードレールの上だった。

「―――…よし、止まった!」

勿論、光の剣は本来ガードレール如きで止まらない。
勢いのままに切り裂いたはずだ。
ならば、なぜ止まったか。
それは単純に、勢いが足りなかったからだ。
ガードレールの下に潜り込んだアーチャーは、振り下ろされた剣に向かって幾発もの銃弾を叩き込んでいた。
止まった剣に気を取られた少女は隙だらけで、その隙はアーチャーが狙って作ったもの。見逃すはずもない。
アーチャーは少女の足を強く払う。
尻餅を着く――――程度ではない。
少女は剣をガードレールの中に残して、空中を回転した。







ここまで


回転している少女の腹部に向かって、遠心力を乗せた肘を放つアーチャー。
μ-12は回避も防御も選択出来ず、道路の反対側―――石段の最下層まで吹き飛ばされた。
そこで体がバウンドし、来た道を戻るように回転しながら階段を跳ねて登る。

「――――被害、計測。――――問題なし。戦闘続行」

回転をなんとか食い止め、μ-12は眼下に迫っているであろうアーチャーの視認を試みた。
見えたのは石段と、アスファルト。それに左右に広がる森だけだ。

「こっちだよ」

その言葉と同時に、着地音が響く。
声がしたのは真上から。
アーチャーは少女が吹き飛ばされていたあの一瞬で、μ-12の頭上まで移動していた。。

「―――対象を認――――」

言おうとした矢先、攻撃しようとした矢先。
靴底を伝い、アーチャーの全体重が彼女の両肩に落下した。
いくらアーチャーが痩身だからといえど高身長の男性である。
その重みを落下の衝撃込みで受けたμ-12の膝は曲がり、腰が沈む。

「耐えるのか、凄いな。―――――それなら、もう一発行くよ!」

アーチャーは少女の肩で小さく飛び上がり、今度は膝で肩を打つ。
再び押し付けられた重みを前に、少女は石に膝を付いた。

「被害…計測。―――――駆動系に損害確認。――戦闘行為を継続可能と判断。戦闘続行」

「……なかなか根性がある。アサシンが聞いたら喜びそうだな」

アーチャーは少女の肩を離れて着地するその間に、ローリングソバットを放つ。
μ-12は地に着いた膝を立てながらの後ろ移動でそれを回避。

「対象の脅威レベルをA以上と判断。リミッターの解除を提案。―――――――――――――承諾を確認」

「リミッター……?出力にまだ上があるのか?」


柳洞寺[石段・森]


俺が石段にたどり着いたのは、その時だった。
見たこともない蒼白の少女が、およそ呪文とはかけ離れた何かを詠唱している。

「エネルギー収束。術式展開」

少女から沸き立つ魔力が、彼女の頭上に集まる。
何かを形作ってるかのように集まる魔力――――その形は――――

「――――――………剣…――」

恐らく、巨大な剣だ。
膨大過ぎる魔力で形成された、世界を斬るほど巨大な剣。

「――――ヴァッシュ。……ヴァッシュ、駄目だ!あんなに強力な剣は防ぎようが無い…!」

「……来たのか、シローくん。―――剣?彼女は、剣を作っているんだね?」

「………ああ、間違いない。あれは剣だ。あんなもの振り下ろされたら、この山…いや、下手したらこの町ごと吹き飛ぶぞ…!」

「それは危険だな。なんとしても防がないと」

どうやって、と言おうとした。
だけど、それは無粋だろう。
彼の生前を、俺は聞いている。
命を失わせないためならば、なにを投げ打ってでも行動するのが彼なのだから。

「シローくん。実は、止める方法が無いでもない。今のぼくでは魔力不足で、君の令呪を丸ごと三画消費してしまうけどね」

「―――構わない。それで誰かを救えるのなら、安いものだ」

「きみならそう言うと思ったよ。―――――お互い、つくづく馬鹿だよね」

「それも、構わないさ。馬鹿でもいい。誰かが死ぬより何倍もマシだ」

その言葉に、銃士は優しく微笑んだ。
俺が手の甲に浮かぶ令呪をかざすと、構えた銃に異変が生じた。
銃身に電流が走る。
ヴァッシュの魔力が銃に移動し、それが増幅して再び戻る。
その繰り返しの中で、いつしか異変は銃だけでなくヴァッシュにも訪れていた。
融合。ヴァッシュの腕と、ヴァッシュの銃が―――――――稲妻を迸らせながら、重なり合う。









済まん、ここまで
そして明日は来れないぜ

その銃は。その腕は。
最早、一つの砲だった。

「この力に明確な名前は無い。愛着が湧くと、多用するかも知れなかったからね。―――――でも聖杯戦争の性質上、『宝具』には真名が付けられてる」

「―――――訊いても、いいか?」

「もちろん。……この宝具は、『煌月穿つ大嵐(フィフス・ムーン)』。………ぼくが月を穿った事件の名だよ、皮肉なことにね」

「月を―――穿った……」

確かに、強力だ。
令呪三画分と言うのも頷ける。

「A・ARMと言う呼び方もあるにはあるが……固有名称じゃないからね。だからまあ、仕方ないな」

蒼白の少女が形成する魔力の塊は徐々に剣の形を成し、その頭上に高々と掲げられる。
対するヴァッシュも同じように、宝具―――『煌月穿つ大嵐』を真上に向かって掲げた。

「そんな威力だ。大袈裟じゃなく、星一つ壊すような破壊力だって相殺できるだろう」

構えた剣と、構えた砲。
お互いに光を放ち、迸らせ――――――――その力を発揮する。

「エネルギー安定。――――――顕現せよ。『神殺しの剣・草薙(カミゴロシノツルギ・クサナギ)』」

「……おおおおお……おおおおおおおおおおおお!!穿てええええええ!!!」

片や巨大な剣。それは草木に阻まれたここからでは全容が見えないほど大きく、そして神々しい剣。
片や無骨な砲。雷を纏う砲身から漏れ出る閃光は、破壊だけではない信念の光。

振られた剣と、放たれた閃光。
神をも殺す斬撃と、星をも穿つ砲撃。
―――――――――――冬木の町を、光が包む。








すまん!呼び出しくらったのでここまで!
明日たくさん書くね!

柳洞寺[境内]


「向こうも終わったみてーだな。しかしあんなモンかます程の相手だったとは、意外だぜ」

柳洞寺の境内。
立っているのは一人の男だけだった。
セイバーは割れた石畳にうつ伏せに倒れ、アサシンは半壊した社の壁に力なく寄りかかっている。

「まあ、以外と言えばこっちもそうか。まさかこんな器用貧乏共に梃子摺るとは思わなかったわ。宝具も無ェようなゴミクズがいるってのに、俺も鈍ったもんだ」

そう、ハザマとて無傷ではない。
身体の到る所に重打撃を受けた痕があるし、衣服は所々焦げている。
それでも、他の二人よりはマシだ。
他の二人は、五体満足なのが不思議なくらいに―――――傷だらけだった。

「……クソが、止めを刺す余力は無ェな……チッ…クサナギを呼んで来るか……」

ハザマは、その足を引きずりながら石段の方へと進む。
――――神殺しと星穿ちの衝突は、アーチャーの消滅と言う形で決着していたから。


柳洞寺[石段]


「対象、『弓兵』の消滅を確認」

石段の上。先刻までアーチャーが居たその場所には、解き放たれた魔力の渦が只々逆巻くのみ。
完善の英霊。
甘すぎたその信念を――――甘いままに貫こうとした破綻者。
聖杯戦争における彼の結末は、その信念に共感してくれる相棒とともに―――異なる世界の人類を守るという、実に彼らしいものだった。
結局彼はこの戦争で一騎のサーヴァントすら撃ち破ってはいない。
サーヴァントとしては、落第だ。
だけどそれは、彼の信念を鑑みるならば当然のこと。
そして、衛宮士郎のサーヴァントであるならば、さして意外でもない。
これは仮定の話だが―――――――彼の願いは、ある意味で叶えられたのではないだろうか。

「クサナギ。終わったんならさっさと来いっつーの。こっちは殆ど死に体なんだよ」

痩身の男が少女に話かける。
少女は間髪入れず即答した。

「了解。追従します」

ここから去る。
二人が去る。
なんの目的で、衛宮士郎に止めも刺さず――――――

「アサシンは根性だけのアホだが、セイバーがウゼェ。暇がありゃ回復魔術で元通り。アレは手に負えねーわ。お前が止め刺せ」

「了解。セイバーとアサシンの…――――――――『衛宮士郎』の意識レベル上昇」

「……は?」

「戦闘の意思が見受けられます。警戒態勢に移行」


「――――――――――『投影、開始』――――」

魔力を集める。
全身の魔術回路が焼けきれるかのようにフル稼働し、魔力が稲妻のように駆け巡る。
脳を無理矢理に回転させ―――――
心臓を滅茶苦茶に刻み―――
視覚で剣を描く。

真上の空間に収束する魔力。
その力は、今し方この場所で解き放たれた暴力と同質のもの。

「――――――――ッ!―――まさか、テメェ!!」

それは聖なる力、神を討つ聖剣。
ただの人間には身に余る力。
巨大にして強力。
星を穿つ砲を相殺したその剣の名は――――

「――――――――『神殺し、の――――』………――――」

――――――収束したはずの魔力が、光の欠片になって散る。
現在の衛宮士郎では、扱えない力。
少々、駆け足過ぎたのだ。ここまで来れたのだって、それこそ奇跡なのだから。
彼は、連続して奇跡を起こせる選ばれたものでは無かったのだろう。
衛宮士郎は、糸が切れた人形のように崩れ落ちる。

「『衛宮士郎』の意識レベル低下。昏睡状態」

「……この野郎、脅かしやがって…『神殺しの剣』なんざ投影されたら、堪ったモンじゃねェぞ……」

ハザマは考えを改める。
衛宮士郎について、判断を変える。

「放っといてもいいかと思ったが―――――――やっぱ殺すか」


柳洞寺[境内]


ハザマが立ち去ったその場所で、地に杭を突き立てる音が鳴る。
突き立てられた杭は、通称『五十五寸釘』。

「………ぐっ…!……ゼェ…ぜえ……、……けぬ………負けぬぅ……!!」

息も切れ切れで、釘を杖に見立てて立っているのがやっとという有様。
アサシンは、それでも諦めてはいなかった。
まるで諦めることを忘れたかのように。まるで死んでも戦うかと言うように。

「…拙者は、屈せぬ!……悪党に……正義の味方が、負けたとあっては…世の理が……曲がってしまうではござらんか…!!」

釘を突いて、歩出す。
酷く無様で、泥臭く、往生際が悪いその行為は――――――しかし無駄では無い。
その魂さえ枯れ果てていないのならば、勝負が成り立つ余地はあるのだから。
セイバーとアサシン。
この二人が境内でハザマと事を構えたその意味が、ここで分かる。

「―――――…………ア、サシン……」

呟く声は、下方向から。
セイバーも、意識は失っていなかった。

「……セイバー殿…。無事でござったか……」

「…はは、無事じゃ…無いだろ……。――――――――――――アサシン、これ……使ってくれ…」

渡されたのは、一つの瓶。
液体が入ってはいるが、アサシンにはこれの用途がわからない。

「………これは…?」

「――…エリクサー……。…完全回復の万能薬、だよ……それを使って、アイツに勝って……」

「――――…済まぬが……これは拙者が、使うわけには…行かぬでござろう………」

ならば、どう使うか。
簡単だ。
アサシンは施す者であればこそ、そう易々と施されるわけにはいかなかった。
―――――アサシンは、さも当然のように―――それをセイバーに飲ませる。


柳洞寺[池]


「凛。それに、衛宮士郎。そろそろ出て来たらどうだ?」

言峰が言う。
……まずいな。と言うことは、衛宮は石段に向かわなかったのか…?

「……感謝するわ。タイミング、見失ってたのよね」

言峰の予想に反して、茂みから出てきたのは遠坂一人だった。

「おい、遠坂。衛宮はちゃんと……」

「石段に向かったわ。わたしが居なかったら危なかったかもしれないけど」

「ほう。…気配を読み違えたか」

……それは、本当に助かった。
ならば考えるのは現在のことだ。
僕が停滞させた状況。
それを言峰が動かした理由。

「………言峰。戦場はどうなっている」

「何を言っている、間桐慎二。ここも戦場の一つだろう」

「いいから答えろよ」

「……接戦とは言え、セイバーとアサシンは敗北。アーチャーは消滅したようだな」

「………!?…お前、プレッシャーを掛けたいだけじゃないだろうな!」

「…残念ながら、きっと真実よ。綺礼は、嘘だけは吐かない」

「……それは、意図的に隠してる情報はあるってことでいいんだよな」

アーチャーは、消滅。
セイバーとアサシンは敗北。
ならば、あの二騎は消滅していないと考えるのが妥当だ。
そしてセイバーには高速回復魔術がある。
ならば心配はするべきではない。
だって僕は、アサシンに全てを任せてここに来たのだから。







ここまで


柳洞寺[池]


「―――遠坂。あの状態からイリヤスフィールをどうにかする術はあるか?」

「そのどうにかっていうのがわたしの想像通りなら、無理ね。言ったでしょう?…ああなったら、聖杯に願うでもしない限りは助からない」

「いや、それは仮定の話だったろうが」

「……今なら自身を持って言えるわ」

「…………そうかよ」

ならば、僕は魔術回路を諦めるべきなのか?
魔術の存在を知ってからずっと――憧れ、妬み、渇望し続けてきたものを?
正直言って、僕はイリヤスフィールの命と自分の願いを天秤に掛けても、自分の願い側の器が下がる。
僕にとっての魔術回路とは、それくらい大切なものだ。
何でも出来ると思っていた僕のプライドは、産み落とされた瞬間から軋轢を生んでいたのだから。
魔術以外は、何でも出来た。
だけどそれだけ。
あの家では―――――僕は欠陥品だった。

「プライド………ね。――――実に、僕らしい理由だな」

僕の人生は、プライドに振り回されて自分で自分を苦しめる滑稽なものだ。
曲げられないし、曲げようとも思わない。
だから今回もそうしてやる。
僕は魔術回路も大切だけど――――それとプライドなら、プライドのほうが百倍大事なんだよ。
ここであいつを見捨てたら、アサシンに顔向け出来ないからな。
あの忍者の前だけでは、僕は最高の主でありたい。

「じゃあ遠坂、言峰から聖杯を奪うぞ。仕方無いから、イリヤスフィールを救ってやる」

「……ふふ、良く言ったわ!やってやろうじゃない!!」


「それは……宣戦布告と受け取って良いのだろうな」

言峰が、構える。
いつか遠坂もやっていた、中国拳法の構え。
僕にはその構えの名前などわからないけれど、凄みだけは感じ取れた。

「遠坂!離脱だ!」

「え!?」

「速く!何でもいいから派手にかませ!」

「…わかったわよもう!!」

遠坂が宝石を取り出した。
それらは光を灯しながら力を宿す。

「Funf、,Drei、,Vier……!―――Der Riese、 und brennt、 das ein Ende――――!」

正面の言峰を包み込むようにして、魔術の弾丸を連続速射。
言峰は一つ一つにきちんと対応している。

「こっちだ!茂みに逃げるぞ!」

「ちょっと慎二!綺礼と私は地形程度で覆る戦力差じゃないわよ!?」

「分かってる!この稼いだ時間の間で自分強化でもしておけよ!」

そう言っている間に僕たちは茂みに逃げ込み、言峰はすべての弾丸を捌き切った。
勿論、素手では無い。
その両手、指の隙間からは――――爪のような薄い刃が伸びている。


「黒鍵っ…―――!!」

「……あれがあいつの礼装か…?」

「代行者の武器、そして概念武装よ!」

遠坂はそういうと、焦り気味に魔術を唱える。

「stark―――Gros zwei」

「肉体強化。それで私を殺せるつもりか、凛」

「うるさい、黙ってなさい!無いよりはマシでしょう!?」

「それもそうだな。では、始めようか」

言峰が茂みに向かって走る。
足場が悪いこちらは咄嗟に逃げようにも逃げれないが、それは元より考えていない。
と言っても、僕には何も出来ないのだが。
だから全部、遠坂の魔術頼りだ。

「vox Gott、Es Atlas……――――!」

重力制御。
茂みの中には地に落ちた大量の葉があるし、草木が吐き出す水滴もある。
それらを空に浮かせることで、言峰の行動に一瞬だけ躊躇いを生む。
そこに向かって―――

「Es ist gros,Es ist klein…………!!――vox Gott、Es Atlas……――――!」

「―――…!」

もう一度呪文。
今度は地面では無く、言峰自身に向かってだ。
言峰の足が、地上から離れた所で―――

「―――はあっ!!」

八極拳の掌底。
言峰の身体も、池の中に突き飛ばす。
そして、そこは遠坂、悲惨にも追撃を行った。

「Fixierung, EileSalve――――!」

数多の宝石が砕け散りながら、光を放って言峰を追う。








ここまで


「やったか!?」

「そんなわけないでしょ!あんな程度で死ぬくらいなら聖杯戦争を生き残るなんて無理よ!」

遠坂の言う通りだった。
池に落とされてずぶ濡れのため、先ほどより動きは鈍いが―――言峰は痛みを感じていないように見える。
あれだけの魔術の雨を、まさか防ぎきったとでもいうのか。

「腕を上げたな凛、見事な連撃だ。しかし詰めが甘い。狙うのなら私ではなく私の落下地点にすべきだった」

言峰が両手の黒鍵を構える。
爪のように構えたそれを、左右とも逆の脇腹付近に持って行き―――

「慎二、伏せて!!」

「ぬぐおお!?」

僕は突然、遠坂に頭を掴まれ地面に叩き着けられた。
強化が掛かってる叩き着けなので、相当痛い。
しかし、痛いくらいで済んで良かったというべきか。
―――僕の頭部があった空間を、薄い刃が通過していった。

「あの野郎、概念武装を投げやがった!!正気か!?」

「違うわ慎二、アレはもともと投擲武器!しかも柄さえあれば何度でも作成可能よ!」

「なんだよそれ!代行者の礼装は無茶苦茶だなオイ!!」

「一応、由緒正しき礼装なのだがな」

僕は遠坂に引っ張り起こされ、その場で構える。
聖杯もあるので僕たちはここから離れたく無いし、言峰だってそれは同じだろう。
だから茂みの中だ。
山中と認識されるであろうこの場所なら、良くも悪くも邪魔が入ることは無い。
アサシンやセイバーの加勢が期待できないのは痛いが、ハザマが乱入出来ないというのは大きいだろう。
だからこいつは、二人だけで倒すしかないのだ。


言峰が茂みの中に入ってくる。
僕の思惑に感付いているのか、それとも感付いていないのか。それはわからない。
だが、たとえ感付かれていようがどうでもよかった。
状況が整うだけで、十分。

「良いのか?私をここまで近寄らせては、危険だろう」

「それはこっちの台詞よ。迂闊に近づいてきて後悔しても知らないから」

「ふむ。それは怖いな。―――――――ならば、近づくのはここまでしよう」

「――っ!」

茂みの端から繰り出される、黒鍵の投擲。
これは―――――良くない。
言峰が茂みに入ってすぐに歩を止めてしまっては、ハザマが言峰を見つけてしまう可能性がある。
そうなったら、茂みの外から繰り出されるアンカーで僕達は一方的に消耗していくだろう。
遠坂がいらない牽制をするから状況がいまいち微妙に停滞してしまった。
どうにかして、あのエセ神父をこちらに引きずり込む手段は無いだろうか……。

「ってうおお!?危ねえ死ぬかと思った!!」

まずい。まずい、まずいまずい!
黒鍵は僕の方まで狙ってくる。
今の一撃は僕の頬を掠めていた。
遠坂は肉体強化でなんとか凌いでいるが、僕は地面に這いつくばりながら転がるくらいしか出来ない。

「ふざけるな遠坂!!お前、この状況どうしてくれるん―――ひいい!!見ろ!今僕黒鍵喰らって死にかけただろうが!はやく何とかしろおお!!」

「いま考えてるから静かにしなさい!て言うか、人に頼りきっておいて文句言うな!!」


「考えている、か。ここから脱するには、事前に功夫を積んでおくぐらいしか策は無いだろう。宝石を取り出す暇など与えていないのだからな」

「――――……くっ!ちくしょう!!」

遠坂が焦ってきている。
本当に、手段はないのだろうか。
まず考えられるのは言峰の弾切れ。柄の数が足らなくなることだが、この程度は遠坂が思い至らないわけがない。
つまりその可能性はない。恐らく言峰は弾の供給速度を調整して、遠坂の強化が切れるのを待っているのだろう。
遠坂がやっていないという理由で、魔術的な脱出・交渉なども同じく不可能。
僕に出来ることといったら、コンテンダーによる射撃くらいのものだが……。
これは、僕の切り札だ。
そして恐らく、言峰には初撃以外通用しないだろう。
それを、こんなところで消費してしまうのか?
僕が言峰に一矢報いることが出来る、唯一のカードを……?

「――――――…慎二、ごめんなさい」

「……は?」

――――遠坂が突然、謝罪の言葉を口にする。
その顔は――――およそ遠坂らしくない、悲痛なそれで―――――――

「――――…わたしでは、これ以上言峰の攻撃を防げない。ここは山中で、セイバーたちの助けも期待できないわ」

「おい、やめろ。なに言ってんのお前――――」

「――…わたしたちは、ここまでよ」

遠坂の肉体強化が―――――効果を失う。
動きが急激に遅くなり、無防備になったその心臓目がけて――――黒鍵の刃が飛ぶ。









ここまで

『凛ちゃん、DEAD END――――ではないぜ。安心しなよ』

乙ー
そして最後の最後でwww
あんた仲間入り後はなんどそれっぽい台詞で美味しい役を掻っ攫ったかw

>>490
『ごめん、紛らわしかったね。これは僕参戦フラグとかじゃないよ。』

俺め、普通に書けばよいものを………クマーはまだ来ません、あしからず

昨日のあれはクマー喋らせたい病が発症しただけなのです……
道場パートだと登場の機会はあるんだがね……









僕は、遠坂が死んだと思った。
そもそも、あのバケモノみたいな強さを持つ言峰の投擲した刃など、どんな人間が避けれるというのだ。
いままで肉体強化状態で防げていたのだって、今思えば途轍もないことじゃないか。
そのくらいに圧倒的な戦力差が、遠坂と言峰にはある。
衛宮切嗣の警戒は、ならば正しかったわけだ。
言峰とサーヴァント無しで戦うのは笑えるほど愚かな行為だったとこのタイミングで気付く僕は、間抜け意外の何物でもない。
そう――――――サーヴァントさえ、居れば―――――
刃を弾く音と、遠坂の声が聞こえる。
僕にはそれが可笑しな悲鳴に聞こえたほどの絶望的な状況下。
しかし、その声には―――――――安堵の感情が込められていた。

「――――――………セイバー…!」

――――セイバー…――――?
確かにそこには、鍵を両手に構えた少年がいた。
でも、なぜ?
ここには結界があるんだから、サーヴァントは侵入出来ないはずじゃ――――

「―――そうか……あなた、死んでもいなければ聖杯と契約してもいないのだもの。結界の中だろうが、関係ないのね…!」

「そういう事!ギリギリセーフだったな、リン!」

遠坂はその瞳を涙で潤し、力が抜けたように膝から崩れ落ちた。

「……本っ当に…ギリギリ過ぎよ…ばかぁ…」

地面に腰を降ろした遠坂は、その場にへたり込んで頬に水滴を伝らせる。
助けなんて、あり得ないと思っていたから。
セイバーの出自について失念しているなんて、うっかりにもほどがある。


「………セイバー、だと?…テルミは何をしている…?ここまでイレギュラーが連続するものなのか…?」

言峰が後ずさる。
セイバーの参戦など、予期していなかったのはあいつも同じだ。

「…………仕方ない。相手がサーヴァントとなると、出し惜しみは出来ないか……!」

言峰が腕をかざす。
僕には一瞬、その意味が分からなかったが――――直ぐに思い当たる。
この聖杯戦争に置いて、キーとなるルールの一つ…。

「―――――――…あの野郎、まさか……、令呪でハザマを…!!」

「違う、そうでは無い。令呪はなにも、サーヴァントに対してしか使えんわけでは無いぞ」

――――なんだって?
つまりそれは………―――――

答えを言う暇もない。
今までとは格段に違う速度で繰り出される八極拳の肘鉄。
高速で移動してきたそれは、セイバーの鳩尾を的確に打ち抜いた。

「……ごあぁ…!」

「セイバー!!?」

セイバーにダメージを通す。
言峰は、人の身でありながらサーヴァントを相手どるつもりだ。
その後も掌底、足払い、抜き手、投げ、双掌底と連続で繰り出す。
不意を打たれたからか、セイバーはそれを無防備に受けるしかなかった。

「遠坂、退け!明らかに危険なのはわかるだろう!?」

声をかけても、動こうとしない。
未練がましく、異常な展開を理解しようと立ち止まっている。

「でも…セイバーが!」

「サーヴァントだぞ!?信頼しろよ!!」

「あいつは!―――綺礼は、令呪でその体をブーストしてるのよ!?そんな当たり前が通用する存在じゃない!!」


柳洞寺[石段]


衛宮士郎が気を失っているうちに、その身には命の危機が迫っていた。
『神殺しの剣』の投影――――そんな大それたことさえ試みなければ、今頃は安眠していても問題なかっただろうに。

「……このガキ…一体何を抱えてやがる…?何を思って、日常なんて送れてたんだ…?―――こんなに気持ちの悪い人間は、初めて見るぜ…」

衛宮士郎が居るべき場所は、こんな平和な町ではない。
悲惨な戦場でこそ映え、苛烈な惨状にこそ居場所があるはずの、破綻した精神。
そうでなければ、『無限に聳える剣の丘』などという心象風景は形成されない。
『碧の魔導書』による魔翌力吸収の副作用で見させられるこの景色は――――綺麗なくせに、酷く冷たい。

「クソが、胸糞悪ィ……衛宮士郎――俺にはお前が、あのマイナス野郎より気持ち悪く見えるんだよ……」

テルミは、衛宮士郎の頭部を指さす。
そのまま後ろに控えた少女に、命令を下す。

「おい、十二。―――――衛宮士郎を――」

殺せ。
そう言おうと思った―――いや、確かに言ったはずだ。
言ったはずのそれが、別の音によってかき消されていた。


「待て待て待てえええええええええい!!士郎殿を手に掛けると言うならばああ!拙者を倒してからに致さぬかあああああああああああ!!!!!」


月と、そして巨大な釘を背負った大男。
叫ぶ怒号は獅子の咆哮。
その忍装束はボロボロになっていたが――――傷は完治し、そして魂は、もとより砕けてなどいない。

「……呆れたモンだぜ。あれだけやられて、まだ立つか……」

「セイバー殿の助力を得て!獅子神萬駆、再び見ッ参!!!覚悟しろ悪党め!!その重罪、正義の拳で打ち砕いてくれる!!!」









ここまで

下がっているではないか…


柳洞寺[石段]


「十二。あの死に損ない、蹴散らせ」

「了解。――――対象は事象兵器を所持。危険度は不明。対象の殲滅を―――」

「とおりゃあ!!」

言葉を紡ぐ時間さえ与えない。
全速力で石段を駆け下りたアサシンは、μ-12の懐に潜り込む。

「風の如き颯天の拳いい!!」

突きだす右手。吹き荒れる烈火は《風》の文字を少女に刻む。
腹部を打撃されて動きに遅延が生じた隙を、アサシンは見逃さない。

「天貫く山のように力強くううう!!!」

振り上げる拳。魂揺さぶるその噴火は《山》の文字と共に少女を空へと叩き上げる。
アサシンはまだ止まらない。無防備に空を舞う少女に向かって飛び上がった。

「振り下ろすは灼熱の太陽おおおお!!!!」

握った手を真っ直ぐに振る。生じた爆炎は《火》の文字を形作り、少女は石段を跳ねた。
その浮き上がった体に向かって放たれるは拘束効果を持つ特殊な釘。
地に舞い戻ったアサシンは空中に固定されたμ-12に向かって大きく拳を振り、再度地面に叩き着ける。

「林を駆けるが如く、忍べええええい!!!!!」

地に伏せる少女に放たれた一蹴。焼け付く業火は地を削り、《林》の文字が浮き上がった。
――――地を離れる少女。そう。連続攻撃はまだ終わっていない。

「萬駆双掌打、天ッ剛ッ戟いいいいいいイイィィ!!!!!!」

止め、と言わんばかりの全力。
双掌底は彼女を石段から突き飛ばす。


アスファルトの地面に落下したμ-12は、自己のダメージを計算する。

「―――全体にわずかな損傷あり。戦闘を続行します」

「はっ!ザマぁねーなオッサン!!お前が万全の状態だろうと、こいつには勝てねェよ!」

その通り。
この程度の攻撃をいくら繰り出されようと、その身に纏う障壁には響かない。
アーチャーのように一点集中の攻撃ならば重大な損傷だっただろうが、アサシンはそういう細かい工夫はしていなかった。
だが―――――

「そうでござるか。――――まあ、予想はしていたでござるよ」

「ようやく諦める気になったかァ?じゃあそこで待ってな。まずは衛宮士郎を――――――――――おい。何の真似だ?」

アサシンは、その背の『五十五寸釘』を構えていた。
まるで、その宝具を使うかのように。

「ただ、使うだけでござるよ。――――拙者の、アークエネミーを!」

「―――……ふざけてんのか?…テメェにはその宝具の名が思い出せてねェんだろ?」

「さて、どうでござろうなぁ?あのセイバー殿がその魔力の殆どを使い、拙者の記憶を呼び戻したのでござるが……」

「テメェ……。―――…オイ、十二。こっちに来い」

テルミは少女を自分の前に立たす。
例え嘘でも、あの釘を自ら躱すほどの余裕は無い。盾としての配置だ。

アサシンが闘気を込める。
両眼に、両拳に魂を燃え滾らせ―――――――――――その宝具の名を叫ぶ…!


「イカルガの想い!殿の想い!そして、かの聖帝の想い!!受けてみよ!!――――『鳳翼――――――烈天上』おおおおおおおおおお!!!!」


「―――!!!―――あの、野郎!マジで言いやがった!!」

『鳳翼・烈天上』。
それは、この聖杯戦争のルール上あってはならないものだ。
『烈天上』の効果、それは―――――――魔力の消滅である。
魔力がその釘の先に触れた途端、そこには何も無くなってしまう。
たとえどんな大魔術だろうが、たとえどんな聖遺物だろうが――――徹底的に消し去ってゆく。
宝具など意味を成さないし、サーヴァントなど一溜まりもない。
つまり――――これを防ぐにあたって、サーヴァントの盾など無意味は無い。
テルミはその時点で、μ-12に対しての魔力供給をストップ――どころか、『碧の魔導書』の力を使ってμ-12から魔力の回収にさえ乗り出していた。
冷静さを欠き、独りで先走った。
その後に起きる現象が―――想像と全く異なるものだとも知らず。

「――――――――――――――s、損害超過。これ以上の戦t闘、およびg、現界は不k可――能―――――」

その心臓を穿つは『鳳翼・烈天上』。
その光景は、本来起こるはずの無いもの。
――――『鳳凰・烈天上』に穿たれたサーヴァントが、こうして形を保っているのは、あり得ない。

「――――――――――――――――――テメェ、嘘だろ……?――まさか、宝具を使って無ェのか…?」

「使うも何も……拙者は生前にこの『烈天上』を使用してはおらん。……つまり、真名が思い出せようが効果が判ろうが――――ハッタリ程度の意味しか持てぬのでござる」

「――――――――――――――――――――――――――――――……ふざけんじゃねぇぞ………!!」

光となって消える少女。
アサシンは痛む心を押し殺し、堂々と不敵に笑って見せた。


「さあ、お次はご覧に入れよう!拙者が誇る最高の奥義!!」








ここまで


無意味は無い‥?

>>508
orz 脳内で処理して……


柳洞寺[池]


セイバーは言峰の連続打撃を受けきった。
人間の拳とはいえ、言峰は規格外だし令呪によるブーストもある。
少し足がよろめいていたが、倒れない。

「へへっ。こんなの、さっきに比べたら全然だ」

両手の剣を構える。
右手に持つ銀色の剣は肩に掲げ、左手に携えた紅色の剣は右脇腹に添えるように。
見たことも聞いたこともない、独特の構え。
そもそも、二刀流の剣士いうのが史実には圧倒的に少ないのだ。
あんな構えの剣士など、居たらすぐにわかるだろう。
―――わからないということは、特殊な背景から歴史より抹消された剣士…?
いや、遠坂は―――死んでいないと言った。
………わけがわからないな。

「とにかく、今は状況を伺うぞ。セイバーが言峰を聖杯から遠ざけたら、あとは何とかしてくれ」

「……そこまで人任せなのね。そもそもあんた、セイバーが来なかったらどうするつもりだったのよ」

「死んでただろうな。戦略をミスした。済まなかったよ」

「……あっさりと謝らないでくれるかしら…気味が悪いじゃない」

相変わらず失礼な女だ。
そもそもというなら、そもそも僕のような半分素人になし崩しとは言え戦略委ねてるのはお前じゃないか。

「まあ、手立てが無いわけでもなかったんだが……あまり使いたい手ではないな」

「?……なによそれ。聞かせなさい」

嫌に決まってる。
コンテンダーの存在は身内にだって明かせない。
そうすることで失われる効果は大きいのだ。


「これでも駄目か。―――ふむ。出し惜しみは本当にやめておこう」

言峰は、再び手をかざした。
令呪を二重にした身体強化。先ほどまでとは目に見えて速度が違う。
いや、目に見えてというのは言葉の綾だ。
何故なら―――言峰の動きを、僕は目でとらえることが出来なかったのだから。

「うっ!」

セイバーが防ぐ。
しかし、ギリギリだ。
令呪の力は、それほどまでに強力ということか。
―――そういえば、僕はまだ一度も令呪を使用していない。
アサシンは聞き分けの良いサーヴァントだったし、戦闘も申し分なかったから使う機会を逸していたが―――
これは、つまり魔力の塊なわけだよな。
……それなら、もしかして――――――――

「遠坂。一つ訊きたい」

「何よ、まだこっちの質問に答えをもらってないけど?」

「令呪っていうのは、あんなふうに身体強化にも使える。あれは、言峰だからこそ出来ることだったりするのか?」

「……無視って………。…そんなことは無いわ。わたしだってあんただって、強く想えば身体強化ぐらい可能なはずよ」

だったら、行けるかもしれない。
この方法なら、聖杯だって無理やりこじ開けれるし―――上手く行けば言峰もどうにかできるはずだ。

「でも、わたしが身体強化したところで綺礼には勝てないのはわかるでしょう?」

「そうだろうな。僕もそんなこと期待しちゃいない」


「お前、令呪は何画残ってるんだっけ?」

「二画だけど……まさか、ほんとに身体強化に使うつもり?」

「そんなわけあるか。使うとすればセイバーの強化だろ。…言峰の令呪は既に三画消費されているはずだからそれでも別にいいが――――」

「いえ、まだ残ってるわよ、綺礼の令呪。代行者権限で予備令呪を持ってるもの」

――――――――――――なんだそれは……!
マスターとしては本格的にチートじゃないかあの神父!
…いや、取り乱すな。関係ない。
いくらあいつが令呪を持っていようが、勝負は一瞬で着くんだから。

しかし、それはまずいな。
令呪をどれだけ持っているかは知らないが、全投与されたらセイバーだって少々危険か…?
やつには概念武装もあるわけだし、念を入れておくべきだろうか。
しかし、あのセイバーだぞ?
回復魔法といい、剣技といい――サーヴァントとしては申し分ない力だ。
…心配のし過ぎか?
ここは―――――


1、セイバーの強化は無し。僕は行動に移る。
2、セイバーを強化。僕は行動に移る。
3、セイバーを強化。様子を見る。

>>








ここまで来たら一度も死なないパーフェクト慎二を目指そうぜ
また明日

orz

安価 >>522

鳳翼が鳳凰になってる部分があるけれど気にしたら負けだ……!








「遠坂。セイバーに令呪で命令しろ」

「なにをよ。それによっては令呪の価値が随分かわってくるわ」

「『言峰から一撃も受けるな』だ。僕もそろそろ出し惜しみはやめる」

「なによ、その命令!ふざけてるの!?」

「馬鹿だな、ちゃんと考えてるっつーの。『倒せ』みたいに直接的な命令だと、一気に全令呪を投与してくるリスクが増えるだろうが」

さらに、直接的な命令は遠坂自信を危険にさらす。
いくら言峰でも、令呪で強化されたセイバーなど相手にしたら死ぬ。死ぬはずだ。
どうせ死ぬなら、マスターの方だけでも殺しておこう、という風に考える可能性は十分あるだろう。
旧知のよしみで手加減などあり得ないのは、先ほどの戦闘で確認済みだ。

「とにかく、やってくれ。お前だけ令呪を使わされるのが嫌なら、僕も使ってやろうか?」

……これは案外悪くないかもな。
アサシンは信頼しているが、それでもブーストが無いよりは有ったほうがいいだろうし。
―――いや、待て。やっぱり状況が判らないのに闇雲にブーストを掛けるのは駄目だ。
もしも衛宮が人質に取られていたりしたら、強化がむしろ邪魔になる。
まあ、これは衛宮が死んでいないことが前提条件になるわけだが。
……なんだかんだで、僕はあいつのことも信頼してるってか?

「――……わかったわ、やればいいんでしょう!?今度ばかりは全部あんたに任せるんだから、しくじったら承知しないわよ!」

「あんまり期待はすんなよ?今からやるのはミスっても被害が少なく、かつ効果的だと思われる安全策なんだから」

とは言え、完全にマイナスが無いわけでもない。
失敗した場合、僕は切り札を失う。
だが、言峰にもいくらかの令呪を消費させることは出来るはずだし、失敗したときはそれでイーブンとしよう。
言峰の令呪をじわじわ消費させる。セイバーへの命令はこれを目的としたものだ。

「じゃあ僕は動くぜ。遠坂は言峰に気付かれるけど狙われない絶妙な位置でも探してから、令呪使用な。ちゃんと言った通りにやれよ」

「………あんたに命令されるのは癪だけど…いいわ。乗ってやろうじゃない」

そうして、僕と遠坂は離れる。
僕は茂みの奥側から回り込むように移動。遠坂は戦闘する二人へと慎重に近づいていった。


移動中に聞こえるのは、鉄と鉄が弾きあう音。
僕はその音を頼りに戦場との距離を測る。
腰を曲げ姿勢を低くして歩いているため、目視で確認できないのだ。
それはもちろん向こう側からも確認されないというリターンのために行っている行為なので、文句は無い。
しかしこう進むのが遅いと、どうしても気持ちが急いてしまう。
ステルスアクションゲームの主人公はこんな気持ちで戦場を進んでいるのだろうか。

「はは。何を考えてるんだ、僕」

緊張で心臓が壊れそうだ。
遠坂の前だから強がっていられたが、一人になった途端これとは情けない。
手足は震えているし、呼吸も荒い。それなのに聴覚は敏感で、剣戟の音が脳を揺らす。
目の前が霞んでいるのは涙のせいだと気付き、衣服でそれを滅茶苦茶に拭った。

「おいおい、ビビってんのか?それでも僕かよ、お前」

紛れもなく、僕だ。
ビビって、みっともなく泣きべそをかいている――いつもの僕だった。
爺に。桜に。衛宮に。魔術師に。才能に。
僕はずっとビビッてきた。

「……はは…こんなになるまで、良くやったよ。もう十分だろ。僕の才能だって、証明できたはずだ」

このままいっそ、逃げてやろうか。
そもそもセイバーがいるんだから、僕がでしゃばる必要なんてないだろ。
全部終わった頃に、『僕の出番を取りやがって』とでも悪態をつけば……――――

「………情けない……それでもあいつのマスターかよ!!」

僕みたいなやつがアサシンのマスターなんて、ほとほと身に余る。
―――――――――だけど、上等だ。
たとえ身の程知らずと罵られようが、僕はあいつのマスターだ。

「僕がこの程度で怖気づくとでも?―――いいよ、わかった。魂燃やしてやろうじゃないか…!」









レス数少ないけどここまで


柳洞寺[石段]


「獅子神忍法、究極奥義……――――――――」

合わせた両手。地を突く両足。
身に纏う黄金は、煌めく勝利の証。
見開く瞳に宿るは、情熱と正義。
――――――世界を回る風よりも疾く。
――――――――世界を覆う林よりも静かに。
―――――世界を照らす火炎よりも熱く。
―――――――世界を形作る山よりも高らかに。

獅子神萬駆は一人であって独りではない。
―――イカルガの民―――殿、テンジョウ―――聖帝サウザー。
漢は――――皆の想いを背負って立つ。

「――――――――――――…『風林火山』!!!!!」


「く、クソが!クソがクソがクソがあああ!!何でテメェ如きが俺を押してやがる!!何でそこに立ちふさがってやがるんだよおお!!」

後ずさる。
既にテルミは境内での戦闘で消耗しきっていた。
対するアサシンに傷は無い。セイバーの存在は、テルミにとって鬼門となった。
しぶといアサシンをもう一度叩き伏せることは、全快のテルミでさえ若干の嫌気が差すほどなのだから。

「そうだ、ヒャハハ!聖杯!聖杯だ!アレさえあれば体力くらいどうってこと――」

「させるかあああ!!」

ウロボロスを構えようとしたテルミの元へアサシンが来る。
高速で近づいて、拳を振りかぶった。

「くっ!!ウゼェっつーの!調子乗ってんじゃねェ!!」

ギリギリで回避。
そのままテルミは靴底でアサシンを狙うが、一撃は空を切って地面に落ちた。
その隙に――――

「士郎殿はしっかりと助けさせて貰ったでござるよ!」

「―――…っ!……ゴミクズが!」


「韋駄天!韋駄天よりも疾き韋駄天ッ!!」

衛宮士郎を小脇に抱え、アサシンは石段を駆け上がる。
元居た場所は下方だったにもかかわらず、その移動に要した時間は一秒に満たない。
まさに一瞬で、アサシンは衛宮士郎を半壊した柳洞寺の中、比較的無事である部屋へと隠した。
そして堂々と、境内のド真ん中に構える。

「さあ、いつでも参られよ!拙者は逃げも隠れもせぬうう!!」

――――――――………。
数秒待つと、石段のしたからアンカーと鎖が伸びてきた。

「お?来るでござるな?」

アンカーは空を噛み、テルミを持ち上げる。
そこからさらに上に向かって射出。

「…むむ?……空中からの奇襲でござるか?」

かなりの上空にたどり着いたところで、次にテルミは水平にアンカーを射出した。
方向は―――――池側。
聖杯のある位置。

「………ぬおお!?しまったあああああ!!」







ここまで


柳洞寺[上空]


「ヒャッハー!!やっぱあいつ馬鹿だわ!あのアホ面傑作!」

鎖を握り締めながら、テルミは上空で高笑いをする。
蛇の牙が食らいつく空は聖杯の一歩手前。
手繰り寄せて、余力で飛べばそれで到着だ。

「これで終わりだな!お疲れさん!!ヒャハハ!ヒャッハハハハハハハハハハハハー!!」

ウロボロスを握る手に力を込める。
後は推進力に身を任せているだけで――――――

「―――――……がぁ…!?」

――――頬が痛い。―――止まる。―――脳が揺れる。―――押し戻される。
テルミは現状を認識するために、一拍を要した。
そして、把握した結果は―――――アサシンの妨害。
ウロボロスの力で、テルミは確かに移動を始めていた。
上空で、しかも高速で移動するテルミを捉えることは難しい。
しかし――――アサシンの『風林火山』は、その速度さえ凌駕する。
それならば後は光速でテルミの進路上に躍り出て、タイミングよく膝を突き出すだけ。
アンカーを引き寄せたそのままの速度を、ダメージに変換された。
そんな事を考えている間に――蛇の牙は空から離れ、テルミの身体は痺れるようにゆっくりと落下を始めていた。

「……ぐっ!ざけんな!!」

「それは此方の台詞でござる!この卑怯者めが!!」

テルミはアサシンの言葉など意にも解さずウロボロスを後方の斜め上空へと射出し、そこまで移動した。
ひとまずの離脱。アサシンはすぐに追ってくるだろう。
……仕方ない。
不本意だが、そうするしか手が無いようだ。

「あああ!ウゼエええ!!クソッタレが!要は、先にテメェをブッ殺せばいいんだな!!」


アサシンはこちらに向かって直線的に駆けてくるはずだ。
テルミはそれを見越して、三重に重ねたナイフを投げる。

「いい加減死ねオラァ!!」

その投擲には直線ルートを潰す意図があったのだが、その行為は無意味に終わる。
アサシンは放たれたナイフを、クロスさせた腕に受ける。鋼の小手に、投げられたナイフなど刺さりはしなかった。
腕をクロスに構えたまま、アサシンは一直線に体当たりを繰り出す。

「――――極晴萬駆十字砲!!!」

「―――……ぉえ…!―――っ…ゴミクズ、があ!!」

下方から猛スピードで腹部を打撃され、テルミはふわりと浮き上がる。
浮き上がっている間に、何もしないのは愚かだ。
現在アサシンは隙だらけ。
テルミは両拳を握り、左右一発ずつアサシンの鼻っ柱に叩き込んだ。

「――…ぐっ!まだこんな力が…!!…それがお主の根性でござるな!?」

「テメエと一緒に、すんじゃねェ!!」

怯むアサシンに向かい、ウロボロスを撃つ。
それは難なく躱されるが、テルミは無視して一度下方に逃げた。

「派手に躱し過ぎなんだよ馬ァ鹿!!」

地面にはまだまだ遠いが、アサシンよりはかなり低い位置。
テルミは下から上空を駆けるアサシンに向かって、ウロボロスを撃ちまくる。

「オラオラオラオラァ!死ね死ね死ね死ね死ね死ねェェ!!ヒャハハハハハー!!」

撃っては引き寄せ、撃っては引き寄せ。
縦横無尽に駆け巡るアサシンの逃げ道をじわじわと潰すように、空気を悪意で埋め尽くす。


「キレが増してござる。あの男……追い詰められて力を発揮するたいぷでござるか…?………とてもそうは見えぬが…」

アンカーと鎖の隙間を掻い潜り、アサシンは反撃の糸口を探っていた。
この猛攻の隙を縫って相手に近づくことは出来なくもないが、それではきっとカウンターの餌食だ。
ならば、ハザマの落下を待つ。
重力には逆らえないのだから、着地の寸前にでもアンカーで上昇してくるはずだ。
そこを叩いて、逆に地面へ突き落す。

「我慢比べなら、拙者の十八番でござる!!」

「………そっか。そうだな。我慢強さじゃ適わねーわ。だからこの辺で止めにする、ぜ!!」

ウロボロスによる逆さの雨が止む。
アサシンは出掛かりを潰そうと拳を構えるが―――
ハザマがアンカーを放ったのは―――上空では無かった。
それが噛みつくのは、池川の空。

「ぬお!?お主またもや!!」

「アホが!!誰がテメェなんかと馬鹿正直戦うかっつーの!!聖杯さえありゃこっちのもん――――」

「させぬわああああああああああああああああ!!!!!」

怒号と共に、アサシンは振りかぶる。
空を噛む蛇の頭部に向かって放つは、『鳳翼・烈天上』。
覚醒していないとはいえ、アンチアークエネミーの力を持つ代物だ。
ウロボロスとの衝突で、お互いがお互いを弾き合う。








話が進まん…!
ここまで


柳洞寺[池周辺、茂み]


「この大声は……アサシンだな」

どうやら無事らしい。
そして今現在はハザマと交戦中だろう。
はるか上空から聞こえた気がするが……まあ、戦っているのがあの二騎なら不思議でもない。

「だったら僕も、覚悟しないといけないか」

引き金を引く覚悟。
銃弾を撃つ覚悟。
人を撃つ覚悟。
人を、殺す覚悟。

現在、言峰とセイバーは互いの得物を弾き合っていた。
セイバーが防御のために掲げた鍵剣を、言峰が黒鍵で弾いて。
言峰が殺すために振るった黒鍵を、セイバーが鍵剣で弾く。
ということはつまり、遠坂は指示通りに令呪を使用したのだろう。
響くのは鉄同士がぶつかり合う気味の悪い高音だけだ。
肉を切り裂く音も無ければ、功を焦る呻き声も無い。
ただ黙々と、刃を運ぶ。

「……この緊張感を、僕がぶち壊すのか。はは、失敗したら即死だな」

一方の僕と言えば、木の上だった。
夜の暗闇と生い茂る木の葉が僕を隠しているので、恐らく向こう側からは認識されていない。
此方からは剣戟の音と飛び散る火花で確認できる。
この場所は暗殺のために選んだ。
外せば最後、黒鍵の餌食。逃げ場はないし、反撃の余裕はもっと無い。
言峰も、自分が余所見したところでセイバーは攻撃をしないというのが令呪の内容とこれまでの戦闘から予測出来ているだろう。
出来ているからこそ、攻め手を緩めないのだと思う。
状況が変わるのを、嫌がっている。
反撃されないからといって、足を止めるのは愚策だと気づいている。


「………くそ、やっぱりこうなったか」

正直、足を止めてくれるのを期待していた面もある。
その方が効率が良かったから。
それが無理でも、やらなければならないことには変わりない。

「…イメージ。…弾丸が当たるイメージを強く持て…―――――」

放たれた銃弾が、言峰の心臓を打ち抜くイメージ。
ピストルから射出されるライフル弾というのは、なかなか想像しがたい物があるけれど―――
僕はその光景をより鮮明に、より奇跡的に想像する。
―――――――――――――――――――――令呪。

「令呪。令呪を以て―――この弾を当てる――――」

手の甲が熱い。小さくだが、光を放つ。
その効力か―――――僕の世界は、まるで時間が壊れたかのように――遅くなる。
頬を撫でる風も。揺れる木の葉も。
言峰の動きも。セイバーの動きも。
僕にはそれが、細部まで見聞出来た。
得物同士が接触する光景が目に入ってから体感で三秒後。
それだけ遅延して、僕の耳に剣戟の音が響く。

銃を構えた。
真っ直ぐ言峰に向かってだ。
隙を探る。じっくりと見て、動きのおかしい部分を探す。
その瞬間が来たのは僕の体感で10秒程たった頃だったので、現実には一瞬だろう。
言峰が、腕を掲げる。
あれは――――令呪を使用する動き。
セイバーとの戦闘中、時間を置いて少しずつ令呪を使用していた、あの動きだ。
あれは、通常の僕にさえ認識できる大きな挙動。
つまり隙だ。

ここで手加減するほど、僕は甘いやつじゃない。
確実に殺す。言峰綺礼は、僕が仕留める。
この感覚では、言葉に出しても紡げない。
だから僕は、心の中で叫んだ。

――――――――――――令呪を以て――――言峰綺礼を撃ち殺す!!


―――――――――――――――――――…………―――

「―――――――――――――起源弾、だと?」

言峰が何か言っているが、僕には聞こえない。
膨大な魔力を身に宿した反動か、酷い貧血のような症状だ。

「……は、ははは。…これで僕も、立派な人殺しってわけだ……」

木の上からずり落ちた僕は、茂みの草木をクッションにして地に落ちる。
辛うじて使える視覚で確認すると、弾丸はきちんと言峰の心臓を打ち抜いていた。
令呪の発動さえ中断させた―――完璧な狙撃。

「――――――衛宮、切嗣―――――――やはり―――お前は――――」

言峰はうわ言のように何かを呟く。
これは恐らく僕の見間違いだが――その顔は、殺されたというのにやけに嬉しそうだった。
言峰は膝から崩れ落ち、俯けになって地面に横たわる。
それから一切動かなくなった。

「セイバー、…聞こえるか?……その剣で聖杯の孔を閉じて、もう一度開くことは可能か……?」

「え?…たぶん、出来るけど……どうして?」

「―――…頭痛が酷くてな。何言ってるか分からないが……可能なら、一時的に孔を閉じてくれ」

木から落ちたその時、僕は見た。
聖杯に向かって蛇を伸ばすハザマと、それを阻むアサシンを。

「アサシンの勝負に……野暮なモンを持ちこまれたくないんだよ」










ここまで


柳洞寺[上空]


弾かれたウロボロスは、しかし咬みついた空間から牙を離さなかった。
撓んだ鎖を無理に引いて飛んだため、目的地である聖杯を大きく通り越して池の真上に放り出される。

「チッ…!あの野郎……!―――…まあいい、さっきよりは近づいただろ」

そして何より、聖杯が目視できる位置に来た。
言峰はきっちり準備を終えているようだし、あとはテルミが聖杯に向かうだけで片がつく。

「ヒャッハー!悪いな!俺の勝ちだわ!!」

ウロボロスを射出する。
今度は聖杯に向かって直接だ。
『鳳翼・烈天上』はウロボロスを弾いた時点で天高く舞い上がって行ったので使えない。
アサシン本人が割り込んで止めるしかないが、それも読めているのなら対応できる。
単純に、進行方向に向かって足を突き出していればいいだけだ。
この予想は概ね正解で、そもそもウロボロスで移動中のテルミを止めることが基本的に不可能なのだから、この結論が出るのは当たり前だった。
故にアサシンが取った行動は、実に理に適っていながら荒唐無稽を絵に描いたようなものとなる。

「行かしはせぬ!」

「―――――は?」

テルミがウロボロスを射出し、移動に移ろうとするその直前。
一瞬だけ出来るそのタイムラグに付け込んだアサシンは―――――後ろからテルミの襟首を掴んでいた。

「―――――テ、テメェ…クソ、離せ!汚ぇ手で触んじゃねェよ!!」

テルミは暴れながら、伸ばした蛇に必死で縋る。
聖杯さえ―――聖杯さえあれば――――!!

―――――――――――――……銃声が響いた。

地上に有った人影の一つが倒れ、動かなくなる。
残る二つの人影と、そこの向かって駆けよる人影。
二つの人影が何かを話し、そのうちの片方が動きを見せる。
その動きは―――――――


「―――――――――――――――――――…聖杯が――閉じやがった、だと…?」

魔力を感じない。
孔は塞がっており、誰が見てもそう思うはずだ。

「良くわからぬが、これでこの勝負は決着でござるな。―――――覚悟致せ」

襟首を掴んだまま、アサシンは片膝を振りかぶる。
テルミはその言葉に我を取り戻し、小さな抵抗を行うが意味は無い。
アサシンに掴まれた時点で、テルミが勝てる要素は無くなり。
聖杯が閉じられた時点で、テルミが生き残る要素は消えた。
これは、もう既に戦いであって戦いではないのだから、抵抗が通じる余地は無かった。
始まるのは、決着を宣言したアサシンが止めを刺すために放つ―――終止符だ。

「『獅子神忍法、激奥義』――――――――――――受けてみよおおおお!!!」

振りかぶった膝を斜め下方からテルミの脇腹へと振りぬく。
痛快な打撃音とともにテルミの身体が回転しながら吹き飛んだ。

「まだまだあああああ!!!」

回転するテルミの進行方向に高速で回り込んだアサシンは、テルミを斜め上方へ打ち上げうように蹴る。
飛び上がったテルミの視界では速度のせいで月が一気に大きくなって、まるで巨大な隕石のようにさえ見えた。
その月の中心に、穴が開いていて―――――いや、あれは…穴じゃない。
通称、『五十五寸釘』。真の名を―――――――――――『鳳翼・烈天上』。
ウロボロスと弾き合ったそれが、これほどまで上空に打ち上げられていた。
そもそも、なぜここまで高くにこれがあるのか。
アンチアークエネミーの力を以てウロボロスを弾いたのなら、ここまで高くは跳ねあがらない。
弾かれてなおウロボロスが空を噛んでいたのだから、『烈天上』だってそこまで反動は受けないはずだ。
――――――――――――――まさか、腕力だけでウロボロスを弾いたとでもいうのか?


「撃ち上がれええい!!――――――天に咲く花火の如くううううううう!!!!!」

更に高く打ち上げるための左正拳。
それで飛び、『烈天上』の真下に来た瞬間―――その先に目がけてテルミを突き上げる右拳。

「『激萬駆疾風撃』!!!!――――――――――――――――これが………――!!」

そして、もう一撃。
アサシンは『鳳翼・烈天上』の上、大きな月を負って炎を宿した拳を構える。


「正義の鉄槌でござるううううううううううううううううううううううううううう!!!!!」

振り下ろした拳が釘に叩き着けられた瞬間、炎が火炎へと昇華され『烈天上』に引火した。
山を打ち砕くかの如き速度で撃ち出されたそれは、テルミの胴体に当たっても一切の減速をしない。
引火した火炎は何時しか業火に変わり、それがまた昇華して―――地上からは燃える箒星にさえ見えた。
『烈天上』が山に接触するまでに要した時間は、アサシンが叫び終わるよりも短い一瞬。

真下には池があった。
しかし、それはもう過去の話。
灼熱纏う『烈天上』が着水した時点で、池の水は干上がって――――
そこにはひび割れた大きなクレーターと、半分以上が地に突き刺さってなお赤みを帯びて蒸気を発する『鳳翼・烈天上』だけだった。

落下しながら、アサシンは叫ぶ。



「――――――勧善懲悪!!――――正義は、勝ああああああああつ!!!」












ここまで


不可解な空間[教室のような部屋]




「『はい!戦闘が一段落したところで、今日は番外編!』」

「わたし、間桐桜と球磨川さんのラスボス(?)コンビでお送りする解説コーナー!」

「『その名もー?せーのっ……。』」

「……え?え?…わたし、そういうのなにも聞いて無いですよ…?」

「『だろうねー。僕の勝手なアドリブだし。』」
「『まあコーナーのタイトルなんてどうだっていいんだよ。』」
「『あろうがなかろうが、そんなことはどちらでも同じことさ。……なんちゃって。』」
「『とにかく、これから始まる無駄極まりない自己満足の数レスが何のためにあるか。重要なのはそこだ。』」
「『桜ちゃん。説明してあげて頂戴。』」

「はい。このコーナーはネタバレの故にステータスに書き込めなかった――もとい書き忘れていた宝具の情報を開示し、わたし達が解説していくコーナー…だそうです」

「『もといの前後が逆だぜ桜ちゃん。あと、コーナーを二回言うと文体に違和感が出るぜ。』」
「『…まあ御察しの通り、これから始まるのは自己満足で気持ちの悪い駄文だけど許してくれ。』」
「『ただただ宝具の情報だけポンと書き込んで「ここまで」じゃあ、面白味がないだろう?』」

「そもそも宝具の情報に興味がある人とかいるんですかね」

「『そこも含めて自己満足なんだろうぜ。』」
「『宝具の情報と同時にイレギュラークラスのハザマさんとμちゃんのステもわかるとかなんとか。』」
「『ま、興味が無いなら無視してもらって大いに結構さ。本編には一切関係ない。』」

「それでは早速始めちゃいますね。まずはセイバーさんの宝具から!」


宝具:『世界の心を繋ぐ鍵』(キーブレード)
所有者:セイバー(ソラ)  ランク:A+
種別:対人宝具
レンジ:1~3  最大捕捉:2人

鍵状の剣。基本的には一振りで戦うが、疑似的な真名解放であるフォームチェンジを行うことで二刀流になる。
物理攻撃だけでなく、魔術攻撃の威力を高める効果も持つ。
錠前が有る物や開閉が可能な物、果ては封印や呪いといった解除の概念が存在するものならば全て解除可能。
なお、封印や呪いを解除してからもう一度掛けなおすというのは、場合にもよるが基本的に難しい。
しかし錠前や扉ならば物理的、精神的、物質的、電子的のいずれに分類されるものでも開閉は容易で、対象の規模や神性などの要素を一切無視して効果を発揮する。
この効果は宝具を所有している時点で常に帯びているものであるため、魔力は一切消費しない。
数多くの形態が存在し、一つ一つで異なる効果を持つ。



「なんでこんな宝具がA+なんですか!EXで然るべきでしょう!?」

「『まあまあ。落ち着けよ桜ちゃん。それにはちゃんと理由がある。』」

「本当ですか?納得のいかない理由なら今から表記をEXに変更してもらいますからね?」

「『大丈夫、きっと納得するって。』」
「『そもそも、よく読んでみなよ。確かに内容は凄まじいし、しかも代償なしだ。ルールによっては最強だろう。』」
「『でもこれ、戦闘面での解説がほとんど無いよね。』」

「…そうですね。しかも、レンジも最大捕捉も貧弱です」

「『そう。つまりこの宝具は聖杯戦争において、罠などの妨害に対する耐性が高まる程度の意味しか持たない。』」
「『ガチンコバトルでは、ただの剣――は言い過ぎだけど、他と比べたら大したモノじゃあないんだぜ?』」

「なるほど。壊れ性能の宝具には違いないですが、聖杯戦争においては存分に効果を生かせないというわけですね?だからランクもA+ですか」

「『そういうこと。……あれ?僕、案外真面目に解説してる?』」


宝具:『劣化・穢れ無き螺子』(マイナス・オールフィクション)
所有者:ランサー(球磨川禊)  ランク:??
種別:対界宝具
レンジ:0~∞  最大捕捉:∞

すでに起きてしまった事象の因果を抹消することによって、その事象が起きたという事実をも抹消する。
手をかざす動作とともに発動されることが多いが、動作の必要はなく、さらに言えば真名解放の必要すらない。
因果律の抹消を行っているので、ダメージや魔力消費は勿論、死亡・消滅まで無かったことに出来る。
しかし、球磨川自体に蓄積できる魔力容量が極端に少ないため、マスター無しでは一瞬すら現界出来ない。故に、マスターの死を無かったことには出来ない。
因果律の抹消という特性上時間軸には干渉しているが時間を渡っているわけでは無く、そのため『時間を無かったことにする』ということも(劣化版では)出来ない。
また、想いの強い事柄についても劣化版では干渉不可能となっている。


宝具:『穢れ亡き螺子』(ブックメーカー)
所有者:ランサー(球磨川禊)  ランク:E-
種別:対人宝具
レンジ:1~5  最大捕捉:1人

この宝具の影響を受けた者は、宝具を除いたステータスがこの宝具の使用者と同じになる。
ランク表記がE-になっているのは、この宝具の使用者が球磨川禊であるため。
球磨川禊が使用した場合、影響を受けた者のステータスは軒並みE-。一般人が素手で殴っても勝てる。
球磨川本人には『劣化・穢れ無き螺子』が存在するため、非常に効率がいいようにも思えるが、そもそも軒並みE-の球磨川がこの宝具をサーヴァントに当てるのは不可能に近い。



「『僕はこれ無しだとただの雑魚キャラだから。チートとか言われても困る。』」

「いやいや、これはおかしいですよ。因果律の抹消って……今更ですけど、とんでもない」

「『僕自体が弱いから、何度生き返ったところで結果は変わらないんだけどね。』」
「『ほら、いつぞやのアーチャー戦。あれなんて、ただただボコボコにされて情けなく逃げ帰って来たでしょ?』」

「……そうでしたっけ?…むしろ球磨川さんがボコボコにしてたような……。…気のせいですか?」

「『気のせい気のせい。じゃあ、次行ってみようか。』」


宝具:『煌月穿つ大嵐』(フィフス・ムーン)
所有者:アーチャー(ヴァッシュ・ザ・スタンピード)  ランク:A+
種別:対界宝具
レンジ:10~99+α  最大捕捉:1000+α

拳銃と腕を合体させた光子砲。
本来はエネルギー、物質、時空間の構築と崩壊や事象、概念、果ては因果率の改変、崩壊、構築が可能で、あらゆる時間軸や平行宇宙、更に現在の宇宙よりも超高次元の世界にも及ぶほどのもの。
しかしそれらの要素は聖杯の力を超えているために再現不可能であり、サーヴァントとしての彼が放つものは単純に高威力の魔力砲である。
流石に本物と比べたら見劣りはするが、高威力と言うのは伊達じゃ無く、火力は今回呼び出されたサーヴァント中最高。その上、攻撃範囲は惑星を跨ぐ。
だが、魔力消費も大きく、令呪無しではまず発動不可能。
召喚直後の状態ならば令呪一画に付き一発でやりくりできたが、魔力供給を受けずにスキルだけで現界していたヴァッシュでは、令呪を三画用いても消滅を免れなかった。



「なぜ球磨川さんの宝具が再現出来て、アーチャーさんの宝具は再現できないんですか?」

「『それは呼び出されたのが本人か否かの違いだね。』」
「『本来、冬木の聖杯戦争に呼び出されるサーヴァントはその精神性と身体的特徴を再現した偽物でしょ?』」
「『かのヴァッシュ先生も、つまりは偽物だ。歴史に名を刻んで、その情報をもとに構築されている。』」
「『だけどほら、僕は死んだのか死んでいないのか微妙な状態で、ようはアルトリアちゃんみたいな状態でこの戦争に呼ばれたからね。』」
「『本物である僕が僕のスキルを使えるのは当たり前で、つまり再現がどうこう以前の問題なんだよ。』」

「ああ、そういうことですか。なんとなくわかりました」

「『それにしてもすごいよね。+αだぜ、+α。』」

「まあ星穿っちゃうような威力ですからね。1000やそこらじゃ足りないでしょう」

「『ほんと、格が違うよな。僕なんて∞だよ?』」

「………あれ?…自慢だったんですか…?」


宝具:『聖帝十字陵』
所有者:ライダー(サウザー)  ランク:C
種別:結界宝具
レンジ:1~10  最大捕捉:1人

ピラミッド型の建造物、聖帝十字陵を再現する固有結界。
固有結界の影響を受けるのは使用者と、使用者が選択した一名のみ。
つまり、確実に一対一の状況を作り出すことが出来る宝具。
この空間で敗北したものはそれがどんな形であれ消滅ないし死亡を免れない。
使用者が敗北した際のデメリットは大きいものの、マスターを対象にして一対一の勝負が仕掛けれるというメリットはある。
しかし固有結界である以上魔力の消費は激しく、使いどころは難しい。



「未登場の宝具ですね」

「『そりゃそうでしょ。こんなあからさまな死亡フラグ、自分で発動しないよ。』」
「『まさかサウザー様も自分の死に場所が宝具になるなんて予想してなかっただろうね。』」

「……そういえば、あれが有りませんでしたっけ?」

「『ん?あれって何?』」

「あれですよ。―――――――ライダーさんの乗っていた、台車」

「『………。………よし。次行こうか。』」

「…い、いいんですかそれで」


宝具:『個たる証の選択四技』(アビリティチョイス)
所有者:キャスター(ミュウツー)  ランク:A
種別:―
レンジ:―  最大捕捉:―

召喚したマスターによって、三つの宝具が選択される。(『存在の証明』は確定)
マスターの性格が大いに反映されるため、マスター次第で強くも弱くもなる。
また、この宝具によって選択された四つの技は回数制限こそあるものの、発動にマスターの魔力を必要としない。
遠坂凛が召喚者であった今回の構成は以下の通り。

『存在の証明』(サイコブレイク)  種別:対城宝具  レンジ:40~99  最大捕捉:1000人
『悪意への対抗』(ハドウダン)  種別:対人宝具  レンジ:5~10  最大捕捉:1人
『生命の維持』(ジコサイセイ)  種別:対人宝具  レンジ:―  最大捕捉:―
『精神の補強』(メイソウ)  種別:対人宝具  レンジ:―  最大捕捉:―



「『じこさいせい(笑)。凛ちゃん、ミュウツーにこれは無いわ。』」

「あ、そんなに酷い構成なんですか?」

「『聖杯戦争的には割と使えそうだけど、ポケモンとしては無いね。』」
「『慎二くんなら特殊フルアタだったろうな。士郎くんは物理攻撃入れてそうな感じ。』」
「『葛木先生は……あれ、予想出来ないぞ……。ぴったりのコンビなのに。』」

「それなら球磨川さん、わたしは?わたしだったらどうなりそうですか?」

「『からげんき。ゆめくい。ドレインパンチ。』」

「……?…それは、凄いんですか?」

「『うん。ある意味。』」

まだ続くけど、いったんここまで


宝具:『もう一人の自分』(パワード・ハルク)
所有者:バーサーカー(ロバート・ブルース・バナー)  ランク:C
種別:対軍宝具
レンジ:―  最大捕捉:―

怒りによって緑の巨人と化し、圧倒的な物理攻撃力と再生力を得る。
狂化が付与していたため常時発動。
発動中はただそれだけで膨大な魔力を消費するため、並みのマスターでは維持できない。
狂化も込みで常に怒りを感じているような状態であり、イリヤクラスでないと召喚した時点で魔力が枯渇する。
この燃費の悪さから、ランクはC。
例え狂化が付与しておらずとも(その場合はキャスターに該当)勝手に発動してしまうことがあるため、彼を召喚してまともに戦えるのは五次においてイリヤのみ。



「『デメリットばかり書かれているけど、これ普通に最強だよね。殴られたら強くなるんだぜ?』」
「『そもそも、相手がハルクって聞いた時点で裸足で逃げ出すって。』」

「先輩、真名知ってたのによく逃げないで立ち向かえましたよね……」

「『まあ、あれが主人公の力ってやつなんじゃない?知らないけど。』」
「『主人公に一家言ある僕の知り合いが欲しがりそうな人材だよ。』」
「『勝てないはずの敵に勝つ。あの主人公特権、僕にもちょっとでいいから分けて欲しいね。』」

「でも、球磨川さんが却本刺したら狂化が空回りですよね。そう考えると相性は良さそうですよ?」

「『いやだから、僕の投擲した螺子なんて当たらないし。』」
「『そもそも勝てないんだって。設定的に。』」


宝具:『悪を砕きし正義の鉄槌』(ホウヨク・レッテンジョウ)
所有者:アサシン(獅子神=バング)  ランク:??
種別:対人宝具。
レンジ:2~5  最大捕捉:1人

通称『五十五寸釘』。
発動した状態のこの釘の先端に触れた魔力は消滅する。
引き起こすのは形を保てなくなる、霧散するといった『魔術を魔力に戻す』という現象ではなく、完全に消滅である。
魔力自体をかき消すため、これで打破したサーヴァントは聖杯に戻らない。
サーヴァントに当てれば勿論必殺だか、それはマスターにとっても例外ではない。
マスターがこの宝具の影響を受けると、魔力を精製する魔術回路自体が消えてなくなる。
テルミの言った通り、この戦争において禁じ手中の禁じ手。
しかし、獅子神=バングには扱うことが出来ない。



「『うわぁ……。ここにきて、最悪のチート武器だよ…。』」

「マスターにも効果あるんですね……アサシンさん強すぎません?」

「『いや、そんなことはないぜ。』」
「『確かにこの宝具が使えたらその時点で無双出来るけど、どうやったってバングさんはこれ使えないから。』」
「『僕が勝てないのと一緒で、設定的に無理。』」

「そうなんですか。……まあ、宝具無しでも十分強かったですが…」

「『宝具有りだったらもう手が付けられないね。』」
「『ハルクでさえ瞬殺だもの、これ。』」


真名:テルミ=ユウキ
クラス:キャスター(四次)

筋力D 耐久E 敏捷B 魔力A+ 幸運D 宝具EX

陣地作成(D) クラススキル。
道具作成(A+) クラススキル。

対魔力(B)  魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。
反骨の相(EX)  一つの場所に留まらず、また、一つの主君を抱かぬ気性。同ランクまでのカリスマを無効化する。
単独行動(C)  マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。Cランクならば1日は現界可能。
加虐体質(B)  自己の攻撃性にプラス補正がかかる。これを持つ者は戦闘が長引けば長引くほど加虐性を増し、普段の冷静さを失ってしまう。
投擲[短刀](B)  短刀を弾丸として放つ能力。



「あれ?意外にステータス低いですね」

「『宝具EXがどれだけ凄いかっていう証明だよ。』」
「『このハザマさんは道具作成もヤバいけど、宝具の内容はもっとヤバい。』」
「『まあ、見てもらった方が速いかな。』」



宝具:『魂を喰らう碧い蛇』(ウロボロス)
所有者:テルミ=ユウキ  ランク:B
種別:対人宝具
レンジ:1~30  最大捕捉:1人

精神を直接攻撃出来る。そのため、通常の治療では回復しない。
また、空間に喰らいつくことでアンカーを固定し、高速で移動することも可能。


宝具:『蒼の魔導書』(ブレイブルー)
所有者:テルミ=ユウキ  ランク:EX
種別:対軍宝具
レンジ:1~10  最大捕捉:10

レンジ内にいる生物の生命力を吸い取る。
レンジ内のサーヴァントの宝具・幸運を除いたステータスを一ランク下げ、現世への定着を薄める。
さらにテルミの体力は徐々に回復し、捕捉している人数に応じて回復量が変化。
また、自分の筋力、耐久、敏捷のいずれかを、捕捉しているサーヴァントの数=1ランクだけ上昇させることが可能。


宝具:『蒼の継承者』(カラミティ・トリガー)
所有者:テルミ=ユウキ  ランク:EX
種別:対城宝具
レンジ:―  最大捕捉:―

μ-12の召喚。聖杯の補助無しでは不可能。
ステータスは別項。



「うわ……これでもかってくらいの宝具ですね…」

「『もう戦う気も失せるでしょ?媚売るしかないじゃん。』」

「媚っていうか……引っ掻き回してた感じですけど…。……そもそもこの『蒼の魔導書』、球磨川さんにも影響するんですか?その場合のステータスって……」

「『軒並みE--だよ。却本が捗るよ。』」

「そんなステータス、もはやサーヴァントじゃないですよ……」


真名:μ-12
クラス:―

筋力B 耐久C 敏捷A 魔力A 幸運E 宝具A+

特殊クラスのためスキル無し。


宝具:『神殺しの剣・草薙』(カミゴロシノツルギ・クサナギ)
所有者:テルミ=ユウキ  ランク:A+
種別:対神宝具
レンジ:1~99  最大捕捉:1000

文字通り、神を殺す剣。
詳細不明。



「なんというか……素っ気ないですね。詳細不明って…」

「『仕方ないじゃん。マジで不明なんだから。』」
「『あれよ、威力的にはエクス「約束された勝利の剣」と同等かそれ以上ってとこ?』」

「あ、しかもこの宝具、所有者テルミさんじゃないですか!」

「『まあ…彼女自体がハザマさんの所有物ってことになってるし…。』」

「……酷い話ですね」

「『桜ちゃん。笑顔が怖いぜ。』」


「『ああ、あと属性ね。割と重要でしょこれ。』」



ソラ      中立・善
球磨川     混沌・悪
ヴァッシュ   混沌・善
サウザー    混沌・悪
ミュウツー   混沌・中庸
ハルク     混沌・狂
バング     秩序・善
テルミ     混沌・悪
μ-12      秩序・悪



「……混沌だらけですね」

「『そうだね。混沌だけ善、中庸、悪、狂と全パターン揃ってるね。』」

「もう嫌ですよ、こんな聖杯戦争……」

「『……悪いけど、桜ちゃんも明らかに混沌属性だぜ?』」



「『まあ、情報公開はこんなところかな。あとはエンディングに向かって一直線だぜ。』」

「割と長いコーナーでしたね、これ」

「『うん。せっかく設定作ったんだから公開しときたいんでしょ?』」
「『まあ、僕の出番はこれでおしまいだと思うから、後はよろしくね。』」

「えー?わたしもっと球磨川さんと居たいですよ」

「『いや、そんなこと言ったってこれ番外編だし。』」
「『はやく話進めないと。』」

「いいですよ進めなくて。わたしにはBAD ENDしか待ってませんし」

「『驚くほど自分勝手な理由だね。桜ちゃんってそんなキャラだっけ?』」

「大部分は球磨川さんのせいですが」

「『えー?嘘だろ?僕は悪くないよ。』」

「いいえ、最悪です。わたしを放って逝くなんて何事ですか?」

「『…むしろ生き返ったんだけど……。』」
「『まあいいや。今日は―――っていうか日を跨いじゃったけど、今回はここまで。』」
「『エンディングも例によって帳尻合わせ+自己満足だから、期待せずに待っててくれよ。』」


乙です!
このスレのお陰でバングのモチベが上がってきたwwww

あと揚げ足を取るようですまんが、テルミのブレイブルーは蒼じゃなくて碧だった気が

>>592
うわあ、ここでミスるとは………
今から碧に差し替えたい…

真名はテルミ=ユウキなのかユウキ=テルミなのか

>>597
orz  やっちまったぜ ………


柳洞寺[干上がった池]


「慎二殿おお!無事でござるか!?」

アサシンが到着した頃には僕の魔力酔いもすっかり抜け、気分を除けば万全の状態だった。
セイバーのおかげか、アサシンにも目立った外傷は無い。

「アサシン、良くやった。それでこそ僕のサーヴァントだよ」

「いやいやぁ~、褒めても何も出ないでござるよ~?」

上機嫌だな……。
技を綺麗に決められて嬉しかったのだろうか。
僕が人を殺してナイーブになっているというのに、相変わらず空気の読めないやつだ。

「ところで、衛宮はどうしてるの?…まさか……」

「あいや、大丈夫でござる。しっかり生きているでござるよ。現在は寺の一室で眠っているはずでござる」

……ま、心配はしてなかったけどね。
さて、これからどうしようか。
衛宮のアーチャーは消滅し、本人は現在気絶中。
遠坂とセイバーは健在だ。主従共に疲労度は僕達と同じようなもので、残る令呪も一画ずつ。
となると、聖杯を手に入れるのはどちらになるのだろう。
向こうは向こうで何か話をしているみたいだし、それが終わるまで待ってやるか。

―――――――――――――――――――――――――――――――

「リン。聖杯の権だけど、シンジとアサシンに譲ってあげることは出来ないか?」

「…?……どういうことよ。あなたには、探さなくちゃならない人がいるでしょ?」

「…人探しなんて、自分でするよ。それに、コトミネを倒したのもハザマを倒したのも、あの二人だろ?」

「う……確かに、そうだけど………でも、綺礼の件は手柄を横取りされただけでしょう?」

「コトミネの攻撃がリンに向かないように気を使ったんじゃないか?シンジ、殺したこと後悔してるし」

「『これで僕も、立派な人殺しってわけだ』、だったかしら……。変なところで卑屈よね、あいつ」

「………駄目かな?」

「――――――…はぁ、わかったわ。いくら慎二でも、ここまで来たらイリヤを助けるでしょ。勝利の栄冠くらい、譲ってやるわよ」


「慎二、アサシン。ちょっといいかしら」

良く通る声で、遠坂が僕達を呼んだ。
相手は遠坂だ。戦闘になる可能性も十分にある。

「……アサシン。一応だが、警戒はしておけよ。遠坂だってあくまで魔術師だからな」

「承知でござる。……勝負となったらセイバー殿が相手でも、全力でお相手致す所存でござるよ」

歩幅を意識しながら、不自然さが出ない程度にゆっくりと近づく。
僕もアサシンも肉体的には殆ど万全だが、精神的には結構きているのだ。
それで遠坂を相手取るとか、正直普通に面倒なんだけど……

「なんだよ、僕に用事か?手短に済ませよ?」

「聖杯のことよ」

いきなり本題かよ……。こいつの性格、もっと曲がってなかったっけ?

「ああ、聖杯のことね。全く、これだから魔術師は…。いいよわかった。ただしマスター狙いはお互いに無しな?正々堂々の勝負ならアサシンも受けて立つって―――」

「え、ちょっと待ちなさい違うわよ。わたしたちは、あんたたちに聖杯を譲るって言おうとしたのだけど……」

「はいはい、譲るのね。OKOK。じゃあアサシン、僕の前に出て構え―――――――――――は?……譲る?…お前が、僕に…?……聖杯を?」

「――――…ぬお?おおう?……凛殿、本気で言っているのでござるか…?」

遠坂はセイバーの方を睨みつけた後、顔を真っ赤にしてこっちを怒鳴りつけてきた。

「……最後に片を付けたのはあなたたちだし当然でしょ!いいから黙って受け取る!反論の余地はないわ!」

こいつ、照れてやがる……!


柳洞寺[聖杯前]


「じゃあ行くぞー。シンジ、アサシン、準備はいいかー?」

「早くしろ。全裸のイリヤスフィールが様々な意味で痛々しいから、切実に」

セイバーはその言葉に苦笑いで頷くと、紅い宝石の鍵剣を真っ直ぐイリヤスフィールに向けて構える。
開口。
聖杯の孔が開き、夥しい量の魔力が溢れ出る。

「……これ、中に入ればいいのか?」

「恐らく、そうではござらんか?なぁに、違ってもきっと大丈夫でござるよ!」

そういって、アサシンは僕を小脇に抱える。
っておい。まさか……―――――――――――

「とおりゃ!」

「ちょ!お前ふざけんなあああああぁぁぁ………」






「……本当にあんな奴らに任せて大丈夫だったかしら」

「うーん……きっとね…。―――――でさ、リン。……そろそろ、オレも行かなくちゃいけないみたい」

「…旅の途中、だものね。最初は記憶が混濁しているだけだと思っていたわ」

「はは、そりゃ疑うよな。こんなに長く一つの世界に留まったのは初めてだし、ひょっとしてオレ、ホントに死んだのかとも思ったよ」

「あなたの記憶を夢で見て、事情を知った時には驚愕したものよ。魔法の領域さえ超えた、キーブレードの勇者さん」

「…くれぐれも、他の人には言わないでくれよ?あんまり噂になると、世界の歴史が変わっちゃうからさ…」

「ええ、任せなさい。―――それじゃ、さようなら。あなたとこの戦争を戦えてよかった。不謹慎だけど、楽しかったわ」

「うん、オレも。――――じゃあ、さよなら!今度また、遊びにくるよ!」


聖杯[内部]


「……なんと奇怪な。聖杯内部はこのような造りでござったか」

そこは、――――――――学校の教室だった。
黒板があって、教卓があって――――
これは、本当に聖杯の内部なのか……?



「本当に聖杯内部だよ。現在は球磨川くんの影響を受けていた10年間の名残で、こんな有様だけどね」



「……お前は…?」

教室の中心に位置する机の上に腰かける、少女。
髪は長い黒髪で、柔らかい笑みを浮かべている。

「僕かい?僕は安心院なじみ。親しみを込めて安心院さんと呼んでくれ」
「といっても、本人じゃあないけれどね。球磨川くんの忘れ形見であるこの僕が、いまは聖杯のパワーを管理している」
「ああ、だからって、これが過負荷聖杯ってわけじゃないぜ?彼はきっちり生き返って、今頃いやらしい名前の同盟でも設立しているだろう」
「いなくなったとはいえ、彼の影響力は絶大だ。悪い方向に絶大だ。だからこうして、聖杯のプログラムを若干歪ませてしまってた」
「でもまあ、問題があるとすれば僕がやかましいくらいのものだ。願いはしっかり叶えるよ」
「さあ、願いを言え。どんな願いも2つだけ叶えてやろう」


「…要するに、ここで言った願いが実現するってことだな?」

「随分とまあ要されたものだ。しかし、間違いじゃない。叶う願いは君とサーヴァントの2つ分だ」

……僕の願い。
――――――――――――――――――――――そんなもの、決まってる。


1、イリヤスフィールを普通の人間として生き返らせる。
2、イリヤスフィールをホムンクルスのまま生き返らせる。
3、魔術回路をよこせ!

>>611








ここまで

1


「決まってんだろ。イリヤスフィールを生き返らせろ。それも、人間としてだ」

「―――……慎二殿」

言ってやった。
もうここまで来たら、言うしかない。
外にいる奴らに殺されたくはないからな。

「うーん、聖杯の機能と僕のスキルを使えば可能だろうけれど……それってちょっと卑怯じゃないかい?」
「『生き返らせる』と『人間に作り替える』という二つの願いを、それで消費してしまっているように思えるよ」

「そんなことは無い。だって、あいつはもともと人間なんだろ?ホムンクルスとして改造するほうがプラスワンだとは思わないか?」

「成程、そういう考え方もあるのか。勉強になるぜ」
「無知ってのは、怖いと同時に強いよね。イリヤちゃんはそういう人造とはまた違うんだけれど、良しとしよう」
「大サービスだぜ?あくまで平等である僕がサービスなんて、本当に珍しいんだからな」

「……助かるよ」

案外、融通の効くものなんだな。
この聖杯の人格―――《安心院なじみ》という人格の影響か?
…それをいうなら、そもそもこの人格でなければ変にごねたりもしなかったのかもしれない。

「まあ、この件については君たちが出て行った直後に叶えるぜ」
「そうしないと、この空間に居られなくなっちゃうからね」
「じゃあ次は、きみの願いを聞こうか。正義のヒーロー、獅子神バングさん」

名指しされたアサシンは、真っ直ぐな瞳を少女に向けた。
口元が綻んでいるのも頷ける。
アサシンにだって叶えたい願いはあるだろう。それが実現するのだ。
滅んだ祖国の復興とか、そんなことを言っていたっけ。
僕の願い――魔術回路の取得なんて、その願いに比べたらどれほどちっぽけだろうか。

「拙者の願いは、元より決まっているでござる」

アサシンが、願いを語る。

「拙者の願いとは……我が主、慎二殿の体内に魔術回路を作ってもらう事でござるよ!」


「――――――――――――――お、おい。アサシン、お前――」

「はっはっは!いやぁ良く考えたら、祖国の復興は後の世代の者達にしっかりと任せてきたのでござった!ここで拙者がそれを叶えるのは無粋でござろう?」

だからって…!
だからって何も、僕のために使わなくても…―――!

「慎二殿が他人に施すために願いを消費したのでござる、拙者だけ私利私欲で動くのは卑怯ではござらんか!それに、短い間とは言え主であった慎二殿に忠を尽くすのは、忍として当然の事!」

「と、当然なんかじゃない…!願いを叶える権利は、お前がサーヴァントとして戦った報酬なんだぞ!?こんなの、契約不履行だろ!」

「最初こそ、そういう約束で呼ばれたわけでござるが―――今となっては、もう関係はござらん。拙者は、拙者の意思で慎二殿に従ってきたのでござる」

「……アサシン――――――――――」

「これが拙者にとっての報酬でござる。主に尽くすこと、それはイカルガ男児の誉れであり、誇り。主は黙って、忠を受け取るものでござるよ」

快活な笑み。
アサシンはきっと、本心で言っている。
僕は――そこまでされるようなことをしただろうか。
―――いや、違うか。そうじゃなくて――
僕はこれからも、こいつに恥じない生き方をしていかなくちゃならないんだ。

「――――……ふん!勝手にしろ!後悔したってしらないからな!」

「はっはっは!そのようなこと、拙者に限ってはござらんよ!後悔など、している暇はないのでござる!」


「じゃあ、バングさんの願いはそれでOKかい?美しき主従愛ってやつだね。僕としたことが、涙腺が緩んできちまったぜ」
「それで――おさらいすると、慎二くんの願いが『イリヤスフィールの蘇生、人間化』。バングさんの願いが『間桐慎二に魔術回路を作成』、か」
「うんうん、なるほど。これは案外効率がいいな。イリヤちゃんの回路を慎二くんに移植すればいいわけだもんな」
「細部で問題は発生するけど、それは僕のスキルでなんとか誤魔化せるだろ」
「よしよし、モーマンタイだ。任しとけよ、御注文にはきっちりお応えするぜ」

「忝うござる。拙者、これで心置きなくこの世を去れるでござるよ」

……そうだよな。
アサシンとも、これでお別れってことか。
やっと静かになるな、清々する―――――とは、流石に強がりでも言えない。
僕にとってはもう、ただのサーヴァントでは無くなってしまった。

「なあ、アサシン。お前に教えられたことは多かったよ。お前の主としてこの戦争を戦い抜いたこと――それに恥じない生き方を選んでいくつもりだ」

「どうしたのでござるか?ここはいつも通り、キツい調子で送り出すべき場面でござるよ!」

―――――はっ、そうかよ。
だったら、そうしてやろうじゃねえか。

「じゃあなアサシン!もう二度と聖杯戦争に来るんじゃないぞ!お前は僕のサーヴァントなんだ、他の奴の使い魔になるなんて許さないからな!!」

「―――――――――――――――――――――承知でござる!――では慎二殿、達者で!!」
















間桐邸[慎二の部屋]



「シンジー!起きてー!わたしお腹空いたー!」

イリヤスフィールが僕を揺する。

「……ぅ…イリヤスフィール、まだ9時半じゃないか……しかも日曜日…休日くらい、休ませてくれよ…」

あれから時は流れた。
僕達は無事に学校を卒業し、遠坂はイギリスへ行く準備をしている。
僕と衛宮は現在、卒業直後の連休中だ。
崩壊した校舎は再建を行っているが、僕の在学中にはとうとう完成しなかった。
やむを得ず、近隣の学校機関等の部屋を間借りして残りの授業を消化したのだ。
遠坂と僕は居住区画が近いこともあって同じ場所で授業を受けていたので、散々嫌味を言ってからかったっけ。

「それ昨日も聞いたー!小学生より怠けてるなんて、情けなくないのー!?」

「お前は、普通の小学生じゃないだろ……」

「い・い・か・ら!おーきーるーのー!!」

「……あーあー、わかったから揺するな!……ったく、頭痛えよ…」

イリヤスフィールは、この通り健在である。
体内の魔術回路は、心臓を残して大方取り除かれた。
故に聖杯としての機能は、もうない。
寿命に関しても、《あの人格》がなにやら手をまわしたようで、ここから人間と同じ速度で成長していくそうだ。
現在は爺の人脈をフルに活用して戸籍を捏造し、海外で叔父が作った子供と言うことにしてある。
小学校にも入学させて、順調に普通の人生を歩み始めているところだ。
そして、何故か知らないが衛宮家では無く間桐家に住みついている。そのために叔父の娘にせざるを得なかった。
そのせいで、桜からはロリコン呼ばわりされる日々だ。

「で?なんだっけ、朝食?……そんなもん、衛宮の家に行けばいいだろうが」

「だってシロウの家、遠いんだもの。バイク乗せてってよ、バイク!」

「あー…それが目的か……」

カワサキのエストレア。塗装はホワイトだ。
この辺りは田舎であり、満足に電車も走っていないため、卒業までの間に免許が取得できる。
普通は自動車の免許を取るべきだが、敢えて二輪で取った。
乗りたかったので、仕方ない。


間桐邸[桜の部屋]


「おい、桜。いまからイリヤスフィール連れて衛宮の家に行ってくるから、留守番頼むぞ」

「『いいですよ。わたしに番が務まるかどうかは置いておいて、了解です。』」

―――桜の胸には、未だに螺子が刺さったままだ。
そのためか、高校は中退してしまって、現在は引きこもりのニートである。
基本的に漫画雑誌を読むかゲームをするかネットを見るか……。―――買い物もネットで済ませるため、外出は一切無いと言っていい。
間桐家の資産は僕が受け継いでいるので、十分養ってはいけるが―――こうも堂々とダメ人間をやられると流石にちょっと腹が立つ。
この駄目人間を衛宮に押し付けようともしたが、無理だった。
というかそもそも桜がほとんど部屋から出ない。家からは絶対に出ない。
家事スキルも壊滅したので、家政婦さんには頭が下がるばかりだ。

「……とやかく言うつもりはないけどさ、お前の人生ってそれでいいの?」

「『球磨川さんが居なくなった今、これがわたしのあるべき姿です。』」
「『間桐桜の真の姿――それは閉ざされし空間の守護者―――。』」

「うるせえよ。じゃあ、行ってくるからな」

「『はーい。精々道行く人に誘拐犯だと間違われないよう気を付けてくださいね。』」


衛宮邸[正門]


「あら。慎二にイリヤ。奇遇ね、あんたたちも衛宮くんに用?」

衛宮邸の玄関先には遠坂が立っていた。
こいつも今来たという様子である。朝っぱらから衛宮に用事とは……。

「なに、こんな朝早くから。お前と衛宮、付き合ってんの?」

「ぶふぉ!!―――な、ち、違うわよ!」

付き合ってはいないらしいが、本人談なので怪しいものだ。
が、まあ、遠坂はイギリスに行くわけだし、今更どうということもないか。

「ちなみに僕たちは朝飯を食いに来ただけだ。イリヤスフィールがどうしてもってうるさいからな」

「えー?シンジも楽しみにしてるでしょ?シロウのご飯」

「…あんまりそういうこと言うと、家政婦さんが泣くぜ?」

桜が料理をしなくなって、ちょっと張り切ってるのに……。
変わり果てた桜には、流石に驚きを隠せないようだったが。

「で?デートのお誘いじゃないなら、何の理由で遠坂がここに来るわけ?」

「…っ!―――それは、あれよ。士郎をイギリスに連れて行こうかと思って…」

「やっぱお前衛宮の事好きだろ。いいよ、わかってるから否定すんな」

「違うって言ってるじゃないこのワカメ!!才能ある魔術師をこのまま日本で腐らせておくのは勿体ないでしょ!?」

「………ワカメって…お前なあ…!!」

「はいはい、面倒だからそうゆーのいいわ!一刻も早くシロウのご飯を食べなきゃ死んじゃうー!」


衛宮邸[玄関]


「シロウー!!ごはんちょうだーい!」

「おい、イリヤスフィール。いくら衛宮の家だからって、挨拶は忘れるなよ」

「そうだった。じゃあ、おっじゃましまーす!シロウ~!ごはんー!」

イリヤスフィールは靴を脱ぎ棄てて廊下を駆けてゆく。
僕はその靴と自分の靴を揃えると、衛宮の家に上がった。

「ふふ、すっかり保護者じゃない」

「今はあいつも間桐の人間だからな。しっかりして貰わなきゃ、いろいろ困るんだよ」

主に収入面で影響が出そうだ。
そういえば、まだ全ての土地を回り切ってないな。一応は把握しておかないと。
我が家には一人ダメ人間がいるので、備蓄を削り続けるのは若干不安だ。

「……はあ、やることが多くてまいるよ……。遠坂、あの引きニートどうにかしてくれない?」

「…実妹がそんなことになっているという現実を受け入れたくないからパス」

「………そうかよ」


衛宮邸[居間]


「おはよう慎二、遠坂。今日は突然どうしたんだ?」

エプロンをつけた衛宮が、料理をしながら顔だけこちらに向けた。
イリヤスフィールは既にテーブルに着いていて、湯呑みに出された緑茶を啜っていた。

「ああ、僕らは飯食いに来ただけ。遠坂は、なんだっけ?デートのお誘いだっけ?」

「いい加減にしないと宝石ぶち込むわよ………!」

「くっくっく!衛宮の奴、固まってるぜ!ま、精々仲良くやれよ!」

僕はその場から離脱すると、イリヤスフィールの正面に腰かけた。
白髪の少女が湯呑みで茶を啜っているという光景は何ともアンバランスだが、妙に似合ってもいる。

「そういえばシンジ。修行の進度だけど……」

「あー………いや、僕も一応、頑張ってはいるんだけどな…」

一応、僕は膨大な量の魔術回路を手に入れはした。
元はイリヤスフィールの回路であるため、操作系の性質を持つ。
しかし、才能が無いため、そもそも魔力を上手く運用出来ない。
出来ることといえば、僕の持つ『支配』の性質と組み合わせた『低レベル使い魔の乗っ取り』くらいのものだ。
アサシンには申し訳ない限りである。

「わたしも原理とかは良く知らないから、なんとも言えないけど……そもそも考え方が間違ってるんじゃない?」

「は?どういうこと?」

「わたしの回路だからって、わたしみたいに出来るとは限らないってこと。シンジはきっちり呪文から覚えるべきよ」

「いや、いまはそれが主体だよ……呪文で魔術を発動させてる」

一応、発動しないことは無い。
しかし、そのすべてが想像以下の出来だ。

「まあ、すぐには強くなれないわ。これからもがんばりましょー!」

「……はいはい」




僕はこの聖杯戦争で獅子神萬駆と出会い、共に過ごした。
魔術師としての資格を得ることが出来たのも、こうして穏やか日常を送れるのも、全てはあいつが居たからに他ならない。

僕は―――決めたことがある。
僕ではあいつのようになれないし、なろうとも思わない。
だけど、ああいう人材を育てることは、僕にだって出来る。

僕が道を説くなど、何事かと思うかも知れないが。
僕が他人を導くなど、身に余ると思うかも知れないが。

僕は、決めた。


「分かってる、頑張るさ」

「そうそう。もっと頑張らなきゃ、シンジの夢はいつまでたっても叶わないよ?」

「ああ―――――魔術の教師。正しい力の使い方を、僕が示すんだ。あいつみたいに、清く正しい生き方を説く、つもりだよ」

あいつに恥じない生き方。
これが僕の答えだ。











Burning Heart    HAPPY END






次は凛ちゃんさんか桜がスレタイかと思われる
酉はこのまま使うつもり

まあ、やるのは暇が出来たらだけどね?

残りでホロウ時空の1レス完結の短編とかやっとく?
なんか蛇足っぽいけど

じゃあとりあえず桜編で
ヴァッシュVSバングは、そのうち>>302で4を選んだルートをやればいいか


間桐邸[桜の部屋]


「『あー、暇ですねー日曜日。はやく明日にならないかなー。ジャンプ読みたいなー。』」

寝間着でベッドの上に寝転がりながら、そんなことを呟く。
ニート故の発言だった。
兄さんはわたしが家から一歩も出ない引きこもりだと勘違いしているみたいだが、実はそうでもない。
常にこの閉ざされた空間を守護しているわけにはいかないのだ。
毎週月曜日の、早朝2時。
近所のコンビニに週刊少年ジャンプが入荷されるその時間だけは、胸に刺さった螺子も白く染まった髪も意に介さず外出する。
それはもちろん店員さんには怪訝な顔で見られるし、監視カメラにだって写るので恥ずかしくないことは無いが、わたしが選らんだ生き方だから仕方ないだろう。
甘んじて受け入れようではないか。
深夜に出歩いては危険だと先輩あたりは心配するかもしれないけれど、考えてみればこんな格好で外出するわたしの方がよっぽど不審者なのだった。

「『まだ18時か……暇過ぎますよ、これはちょっと……。』」

取りあえず起き上がる。
手にしていた携帯ゲーム機をクイックセーブして手放し、わたしは以前と比べて随分と散らかってしまった部屋の床、物を避けながら歩いて扉の前まで移動した。
廊下に出るだけで、もう若干気持ち悪い。
球磨川さんはこんなに絶望的な世界を飄々と生きていたのだと思うと、ぞっとする。
いや、それは辛いものだったとは思うけれど―――球磨川さんはあれで家族を大事にしていたみたいで、迷惑を掛けたくなかったのだそうだ。
……それで学校に行き、結果赤の他人に迷惑をかけているというのは、なんともあの人らしい。

「『……とりあえず、冷蔵庫。』」
「『と思いましたが、そういえば兄さんがご飯置いてあるって言ってましたっけ。』」

ならば、頂かない理由は無い。
わたしはホクホクの笑顔でリビングに向かう。


間桐邸[リビング]


「げっ…サクラ……」

わたしの名を呼ぶ声。
イリヤさんがソファに腰かけていて、テレビ画面には朝アニメ的な映像が流れていた。

「『ああ、イリヤさん。お帰りなさい。学校は楽しかったですか?』」

「……今日は日曜日よ」

「『そういえばそうでしたね。いやー、ずっと家にいると感覚が狂っちゃいますよ。』」

えへへ、と照れ隠しに笑ってみたけれど、イリヤさんは別にどうと言うこともなく無表情だった。
そもそも、イリヤさんもわたしに学校の話題を振られたくはないだろう。

「何か用?」

「『ええ、ちょっと夕食をと思いまして。』」

「それなら台所に置いてあるわ。わたしはこれからシンジの鍛錬をしないといけないから、これで」

「『そうですかー、兄さんも頑張りますねぇ。』」
「『それじゃあイリヤさん、襲われないように気をつけてくださいよ?』」

イリヤさんは微妙な表情でテレビと周辺機器の電源を落とすと、早足に地下へと向かっていった。
あの部屋は、現在兄さんが修行場として使っている。
電灯が付けられ、雰囲気は以前と大幅に変わっているそうだ。
わたしは直接見ていないので、よく知らないけれど。

「『さて、今日のご飯はー…』」
「『カルボナーラ!イタリア系は久々ですねー♪』」

うん。この生活は素晴らしい。
螺子の影響か、いくら食べても体重が増加しないのだ。
男子的には筋力が上がらないマイナスだけれど、女子的には割と理想の体構造。怠惰にだってなる。

「『まあ、結果これが運動量を減らしているので、負のスパイラルには変わりないんですが。』」


間桐邸[リビング]


「『兄さん。お風呂に入りたいです。沸かしてください。』」

「………お前、何様なわけ?」

現在は22時。そろそろ寝溜めして、2時前には起きたい。
最近は兄さんが長い時間鍛錬をしているため、どうしてもこのくらいの時間になってしまう。

「『だから閉ざされし空間の守護者ですって。この家の守り神的ななにかです。』」
「『ほら、わたしが淹れたお風呂なんて兄さんは入りたくないでしょ?だったら早く。』」
「『それともあれですか。イリヤさんにでもお願いしますか。』」

「……両方怖い。違う意味で怖い。………はあ、わかったよ。やればいいんだろ、クソっ」

「『それでいいんですよ。兄さんはわたしに逆らう権利なんて無い。』」
「『まさか、あの酷い仕打ちの数々を忘れたとは言わせませんからね?』」

「…………クソが」

兄さんはとても扱いやすくて助かる。
わたしとしてもこの言葉は常時使える切り札なので、球磨川さん様様だ。
螺子の影響で、厚顔無恥に厚かましくなれた。

「『じゃ、わたし部屋でゲームしてますね。』」
「『お風呂沸いたら最速で呼んで下さい。』」

「…………」

わたしの人間関係は、こんな感じだ。
姉さんは全然会いに来ないし、先輩が来ても部屋の扉を開けはしない。
でも、寂しくはない。全然ない。
この胸にいつだって――――球磨川さんは突き刺さっているのだから。







ここまで

終わってた乙

遅くなったけどこのスレのED貼っとくわ
http://m.youtube.com/watch?v

>>662
ドンマイ だいたい何かは分かるので代わりに俺が貼らせてもらうわ

http://www.youtube.com/watch?v=jCfKoL23whg


冬木市[道路]


「『~♪~♪』」

深夜の道路を、スキップで進む。
片手に週刊少年ジャンプを入れたビニール袋を提げた、スウェットにサンダル姿のわたし。
ここまでは普通の女子だ。いや、近所のコンビニに、しかも深夜に行くのだから、スウェットにサンダルでも普通だと思う。
胸の螺子と白髪だけはどうしようもなく異常だが、これだって、まさか本当に突き刺さっているとはだれも考えないだろう。
ちょっと奇天烈なファッションセンスをお持ちの方だと思われるだけだ。
こんな変な格好の人に、まさか不審者も声を掛けてはこないだろう。
なので、堂々としたものだ。

「『見開くは~こ~がね色の両~がっん~♪額には~ふ~たえ~に決意のあっかしぃ~♪』」

「おお!これはこれは!ないすばでぇのうら若き女子がこの真夜中に一人で歩いておった故、注意しようと近づいてみれば、お主はさ」――逃げた。割と全力で。

後ろから声を掛けられたので姿は見えなかったが、声は男で、完全に不審者だった。
怖い怖い怖い。
いまのわたしでは対抗する術が全くない。
少し前なら、容赦なく影の餌食にしていたのに…!
どうやら追ってくる気はないようだが、しかし念には念を。
家まで体力が持つか不安だが、それでも、やるしかない。



「くら殿ではござらんか!いやぁ長らくご無沙汰でござった!此度は何故かもう一度この世界に現界したゆえ、挨拶に伺おうと――――
―――って、なぜ振り返りもせずに全力で逃げるのでござるか!?拙者でござるよ!正義の咎追い、獅子神萬駆でござる!怪しいものではござらんよおおお!!?」



間桐邸[庭]


「『ハァ―――ハァ――――危うく、犯られるところでした…――――。』」

本当に、危ない。
せっかく球磨川さんに戻してもらった純潔を、こんな形で失ってたまるか。

「『と、とにかく、兄さんでも叩き起こして、どうにか――――あれ?』」
「『―――わたしの部屋に、電気……?』」

消してきたはずだ。間違いない。
―――――ということは――――

「『兄さんか……あのワカメ、勝手にわたしの部屋に入るなとあれほどキツく言いつけておいたのに……!』」
「『………ふふ、あーなんだか久しぶりに料理でもしたくなってきたなぁ。』」
「『ワカメの刻みをメインに、お吸い物でも作りましょうかー。』」
「『うふ、うふふ♪じゃあ先ずは、台所にいって包丁を持ってこなきゃ♪』」

さて、久しぶりのお料理だ。
腕は鈍るどころか壊滅しているが、今回の料理にそんなことは関係ない。
丸刈りくらいで済ますつもりだけど、手が滑って頭が割れてしまっても、まあ、仕方ないか。

「『~♪~♪』」

わたしは再びスキップをしながら、扉を開けて廊下を進む。


間桐邸[桜の部屋・扉の前]


扉の前に立つ。
―――――テレビの音。――コントローラーを弄る音。
イリヤさんはわたしの部屋に入ることなど絶対にないので、これは兄さんで間違いない。
なぜわたしの部屋でゲームをするのかは謎だが、そんなことは問題ではなかった。
ムカつく。
わたしがあんなに怖い目にあっている間に、この兄はのうのうとゲームとは。
しかも義妹の部屋で。
変態には、アサシンさんよろしくの正義の鉄槌が必要だ。
ドアノブを回して全力で開くと、台詞と共に包丁を振りかぶった。

「『――――――――――――――ただいまです兄さん死んでください♪』」


「『えっ!?ちょ、桜ちゃん待っぎゃあああああああああああああ!!?』」


――――――――――――――――――――兄さんじゃなかった。
わたしは振りかぶった包丁を、落とす。
この人はあんな変態じゃなくって――――――――――――――――――
―――わたしがずっと、待ち望んでいた人―――。

「『なに、なにこのパニックホラー!訳がわからないぜ!僕なんか悪いことした!?』」
「『それなら謝るから!この通り!ごめんね桜ちゃん!良くわからないけど、気に障った!?』」
「『―――ええ!?ちょっと、泣かないでよ!ヤバいぜ、どうしたらいいか分からないぜ!主導権は僕が握るつもりだったのに!』」

「く、球磨川さぁ…ん」

わたしの胸の螺子は、彼の声を聴いた途端に消えてなくなって――――
出てきたのは涙だけだった。
こんなに嬉しいのに、球磨川さんがおろおろしていて恰好は付かないけれど――
―――いや、これで案外、恰好つけているのかな?
わたしが変に、気負わないために。
――――わたしは涙を止めて、無理矢理に―――へらへら、笑って―――。




「……グスッ…うぇ…く、球磨川さん…――――――――……お帰りなさい!」

「『うん。ただいまだぜ。桜ちゃん。』」



プロローグ終了。ホロウ時空の短編スタート。
まずはどれやっとこうか?

1、銃士VS忍者(ここだけ過去if)
2、慎二「とりあえず、鍋でもやるか」
3、心優しきガンマンの日常[子猫編]
4、心優しきガンマンの日常[落し物編]
5、球磨川さんかんさつにっき
6、KUZUKI  ~作られし者達~
7、慎二くん修行中![イリヤ先生]
8、慎二くん修行中![遠坂先生]
9、教会に住まう者共 「マジ空気悪ぃわ」
10、轟け!バーニング道場!《間桐慎二》
11、轟け!バーニング道場!《球磨川禊》
12、轟け!バーニング道場!《間桐桜》

>>669

10


【轟け!バーニング道場!《間桐慎二》】

衛宮邸?[道場]


師匠「ここはバーニング道場。人生に悩む子羊を救済する、正義の相談室でござる!」

弟子4号「わたし、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンもとい弟子4号と!」

師匠「師範代である拙者、獅子神萬駆が!悩みを聞いてズバッと解決ゥ!!」

弟子4号「はいはいしつもーん!わたしはなんで4号なんですかー?」

師匠「それは分かる人には分かるのでござる!チビッ子シスコン丸眼鏡やら暴食パンチラ猫娘やら多重人格魔法少女やら、拙者もいろいろ有るのでござる!」

弟子4号「なるほど!まったくわからないっす!うっす!」

師匠「分からなくても気合いでどうにかなるでござるよ!では弟子4号!さっそく相談者を招きいれるのでござる!」

弟子4号「うっす!今回の相談者はー?―――シンジー!!」


慎二「あのさ…この面子でやるなら、別に家でも構わなかったよな」


弟子4号「でもシンジ、雰囲気って大切じゃない?」

師匠「そうそう、雰囲気でござる!そんなことより、慎二殿。悩みとはいったい何でござろう?」

慎二「ああ、それは……大体わかるだろうけど、桜のことだよ」

弟子4号「引きこもりでニート、その上ランサーが復活したせいで更に暴走中だものね」

師匠「螺子が抜けて、おいしい飯が食べられるのは嬉しいのでござるが、言い換えれば胃袋を握られているわけでござるからなぁ」

慎二「その通りだ。……なんだよ、この悩みってここにいる全員の悩みかよ」

師匠「桜殿は慎二殿に対して一際厳しく当たってござるが、まあ、間接的に拙者達にも被害が及ぶことも少なくないでござるし」

弟子4号「そもそもランサーが家にいるのも結構不安だわ」


慎二「そうだな……原因最有力はやはりランサーだな」

師匠「慎二殿の過去の行いも――ゲフンゲフン!――そうでござるな!悪いのは、かの優男!これで決定でござる!」

弟子4号「ししょー!笑顔が引きつってるっす!」

師匠「そそそんなことはござらん!せせせ拙者はいつも通りの爽やかな笑顔でござるよ!」

慎二「……まあ、それは置いておくとして、やっぱりランサーか。あいつどうしよう」

師匠「なんなら拙者からガツンと言っておいてもよいのでござるよ?」

慎二「へえ。なんて?」

師匠「括弧つけるのもいい加減にして、男二人、本音で語ろうではござらんか!…と」

慎二「お前が懐柔される未来しか見えねーよ!!」

師匠「では、拳で語ろうではござらんか!…と」

慎二「そんなもん拳を騙られて終わりだろうが!!」

弟子4号「別に上手くない言葉遊びをそんなに堂々と言われても……そんなことだから別のキャラみたいだとか言われるのよ?」

慎二「…嘘だろ?なんでここで辛辣なのお前。僕、普通に被害者だぜ?心労で倒れてもおかしくないんだぜ?」

弟子4号「じゃあシンジ。あなたは自分に責任が無いと言い切れる?」

慎二「そ、それは……」

弟子4号「サクラにとっては、これが今まで受けてきた痛みなんだから。シンジはもう少し甘んじて受けるべきだと思うの」

慎二「……っ!」

弟子4号「はい、わかったら今すぐ謝りに行く!土下座以外は認めないんだから!」

慎二「く、くっそおおおお!!覚えてろよイリヤスフィール!!」



弟子4号「ふう。これで一件落着ね」

師匠「………拙者の立つ瀬がないでござる」

さあ、次だ!

1、銃士VS忍者(ここだけ過去if)
2、慎二「とりあえず、鍋でもやるか」
3、心優しきガンマンの日常[子猫編]
4、心優しきガンマンの日常[落し物編]
5、球磨川さんかんさつにっき
6、KUZUKI  ~作られし者達~
7、慎二くん修行中![イリヤ先生]
8、慎二くん修行中![遠坂先生]
9、教会に住まう者共 「マジ空気悪ぃわ」
×、轟け!バーニング道場!《間桐慎二》
11、轟け!バーニング道場!《球磨川禊》
12、轟け!バーニング道場!《間桐桜》

>>675

(´・ω・) >>678

5


【球磨川さんかんさつにっき】

間桐邸[リビング]


「やあ衛宮。よく来てくれた」

ある日、俺は慎二に呼び出された。
その日の間桐邸の内には、俺と慎二の二人だけ。
イリヤは学校で出来た友人の家に遊びに行っているらしいし、桜とランサーも出かけてしまったらしい。
何故かアサシンは、霊体化して屋根の上で見張り番をしている。

「それで?なんの用だよ、慎二」

「用ってほどのことでもないよ。ただ、桜のことでさ」

「桜が、どうかしたのか?」

「…どうかしたのか、って……どうかしてるのは見ればわかるだろう」

「………」

酷い言い種だが、確かに。
桜は聖杯戦争以来、どこか様子がおかしい。
慎二はあの螺子が原因だと言っていたが、それが取れた今でも様子に変化はなかった。

「原因は……ランサー、か?」

「だろうね。ほぼ確実にそうだ。困ったもんだよ、妹があんなに堕落させられるなんて。こんなのあんまりだ」

「堕落って……そんなに酷いのか?」

「部屋の有様を見ればわかるよ。て言うか見て行け。そもそもお前はそのために呼んだ」

「なんでさ!嫌に決まってるだろ!女子の部屋だぞ!」

その言葉を聞いた慎二は、呆れた顔で肩を竦める。
こちらを馬鹿にしたような―――つまり、いつもの慎二だ。

「女子の部屋と言ったな、衛宮。だがな、それは違うんだよ」

「……どういう事だ」

「あの部屋にはランサーも住んでる。いや、ほとんど軟禁に近いか。とにかく、男子が居る事には違いない。わかる?あそこは既に、女子の部屋じゃない」

「…じ、じゃあ―――あそこは、一体…」

「あそこは今、男女の部屋ってことさ!ほおら、不純な香りがプンプンするだろう!?今のうちに調べておかないと手遅れになるぞ!」

「て、手遅れに!?」

俺は何を思ったか、慎二に言われるがまま誘導され、桜の部屋のドアノブに手を掛けてしまう。
――――このときはまだ、あんなことになるなんて考えてもいなかった。







ここまで

帰ってきて速寝落ちしたorz
そして明日(今日?)も来れなさそう……済まない

待たせたな!いや本当に








間桐邸[桜の部屋]


「ここが……桜の部屋…」

「何やってるわけ?ほら、さっさと入れよ」

慎二が俺の背中を押す。
勢いよく侵入したその部屋は、桜の部屋とは思えないほど盛大に散らかっていた。

「…ここ、本当に桜の部屋か?」

「意外に散らかってるってか?あいつが今誰と一緒にいるか考えてから喋れよ」

ランサー。確かに、部屋を片付けそうなイメージはないけど……
しかし、かといって散らかっている部屋を良しとするイメージもない。
ああ見えて意外と綺麗好きだと思う。

「ランサーは変態だからな。部屋が散らかっているのは嫌だが、部屋を片付けたれない女子には興奮するらしい。本人が言っていた」

「へ、変態じゃないか……」

性癖が矛盾している。
しかも、部屋を片付けられない女子に興奮するって……

「恐らく桜は、そのことに気付いている。だからこそ、掃除をしないんだよ。ここまで来ると気持ち悪いだろ?」

「…………」

「とりあえず今の桜がどんな状態にあるかはわかった?それなら次の段階に進もう」

本気で遠慮したいが、ここまで来た手前引き返せない。
それに、俺だって桜がこれ以上堕落するのは見過ごせなかった。

「…なにをするんだ?」

「探すんだよ。アレなことをしているという、決定的な証拠をさ」

「なんでさ!」

それは流石に不味いだろ!


「なんでって……それを聞くか衛宮…」

「いやそもそも!どんな理由があろうと男女のプライベートに勝手に探りを入れるような真似をするのは――」

「それが、イリヤスフィールのためでもか?」

「――――――…?」

「あいつ、こう言ったんだよ。『シンジ、シンジ。桜の部屋がギシギシうるさいんだけど、あれなーに?』って」

「なっ!?」

「僕はさ、困ったよ。どうしたらいいんだろうって。とりあえずその場はごまかしたけど、次があったら、あいつは自分で確かめようとするかも知れない」

「そ、それは駄目だ!イリヤにはまだ早い!」

「桜にそのことを言ったら、『そういう事してったて証拠はあるんですか?』って。だからこの行為は、あいつを守るために必要なものなんだ、衛宮」

「任せろ慎二!俺がイリヤの純情を守って見せる!」

こうしてはいられない!
一刻も早く桜を論破する証拠を見つけなければ!

「――――――――――――…ククク、チョロいぜ。全部桜からの制裁を逃れるための策、イリヤスフィールの件は嘘だってのに」

「ん?慎二、なんか言ったか?」

「あ?いや、何も?それよりほら、さっさと働け」

「ああ、言われなくてもそうするさ!」


それから数分後。
特にめぼしい証拠は出てこなかったが、気になる物を発見した。

「―――……『球磨川さん、かんさつにっき』…?」

「え、衛宮…これは……」

「どうやら、桜がつけている日記…みたいだけど……」

「名前からして、狂気を感じるな……。僕としては、さっき本棚にあった『証拠の残らないワカメの料理法~心を圧し折る~』も気になるが…」

それは本当に気になった。
そもそも、証拠ってなんだ。
―――いや、今はそんなことじゃなくて。

「これを見るのは……流石に不味いんじゃないか…?」

「しかし衛宮。……これ以外にめぼしい成果は無い。危険だとわかっていても諦めない勇気を、僕たちはあの戦争で学んだんじゃないのか?」

「いや、それとこれとは話が……」

「イリヤスフィール」

「……慎二。覚悟を決めろよ。ここから先は命がけだ…!」

俺は、意を決してその日記のページを開く。
もう後戻りは出来ない。
そこに綴られていたものは…―――――







ここまで


○月◇日 ◎曜日     はれ   ☆☆☆☆☆

今日は球磨川さんと一緒に一日中漫画雑誌を読んでいた。
漫画を読んでいるときの球磨川さんは表情の変化が豊富でかわいい。
今度ふたりで漫画喫茶にでも行ってみよう。



○月△日 □曜日     はれ   ☆☆☆☆

球磨川さんとゲームをした。
分かっていたこととはいえ、結果は全勝。
わざと負けようとしても負けられないとまでは、流石に思わなかった。
らしくもなく泣きそうになっていた球磨川さんはかわいかった。



○月▽日 ⊿曜日     くもり  ☆☆

球磨川さんが近所の小学生に意地悪をしていた。
どんなことを言って泣かしたのかは気になるが、恥ずかしいのでやめてほしい。
後で兄さんに謝りに行かせなければ。



△月Ω日 Σ曜日     あめ   ★

球磨川さんがイリヤさんと楽しそうに話していた。
イリヤさんの表情はよく覚えていないけれど、きっと楽しそうにしていたに違いない。
一応、球磨川さんも馬鹿ではないので、そのあたりは大丈夫だと思う。
それとは全く関係ないが、兄さんの夕食には健康のことを考えてムカデの擂り身でも入れておこう。


△月▽日 ▼曜日     あめ   ★★★

球磨川さんがわたしに無断で外出した。
そのことについて質問しても、何も答えてくれない。
表情もいつもと変わらない様子だったが、球磨川さんの表情なんて宛に出来ない。
たとえどんな用事だろうと、わたしは球磨川さんに怒ったりしないのに。
特に理由はないけれど、兄さんの部屋にナメクジを放っておいた。



△月×日 ×曜日     あられ  ★★★★★★

球磨川さんがわたしに無断で外出した上、姉さんと談笑しているのを目撃した。
一応、いいわけくらいは聞いてやってもいい。
余談だが、兄さんの筆箱の中身を全てミミズに差し替えておいた。



×月×日 ×曜日     あらし  ★★★★★★★★★

姉さんが嫌い。姉さんが嫌い。
わたしの球磨川さんと喋るな。
今度、お仕置きが必要だろうか。
今は寝ている兄さんの口にゴキブリを螺子込むくらいで勘弁してあげよう。



罰月罪日 殺曜日     はれ   ☆☆☆

誤解だった。
球磨川さんが嘘をつかずに話をしてくれて助かった。
なんとか姉さんも殺さずに済んだけど、今後はこういう紛らわしいことはやめてほしい。
明日は二人でショッピングに出かけよう。



 月 日  曜日          ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

許さない許さない嘘嘘嘘嘘嘘つきうそつきは死ねしねしねしね




「ひいいいいいいいい!!!」
「うわあああああああ!!!」

慎二と俺は、その日記を放り投げるように手放した。
慎二の顔は死体同然に青ざめている。それは、当然だ。
あんな内容のもの、慎二じゃなくても顔面蒼白である。
それが怒りの対象とは別のところで巻き添えを喰らっていた慎二本人ともなれば、それはこうなるだろう。

「ええええ衛宮頼む助けてくれぼぼ僕はもうこんな仕打ち耐えられない嫌だこんなの絶対いつかあいつに殺されるあの怒り様じゃ次になにをされるか!!」

「お、落ち着け慎二!とりあえず落ち着くんだ!今すぐイリヤを呼んで俺の家に来い!大丈夫だ、ある程度の安全は―――」




「――――――――――――――――――――――――ああ、見たんですね。それ――――――」




―――――桜が居た。桜が、一人で、そこに居た。
基本的に、いつもの桜だけど、その手に持っているものが、異常だった。
右手には。
一束の、ウェーブが掛かった黒色の髪の毛。
左手には。
ボロボロになった、元は黒かったであろう学生服。
そして異常がもう一つ。
その学生服も含め、全体的に――――――――桜は血で染めたように、真赤だった。

「さく、ら……!…ひ、ひ、ひいいいいぃぃ…!!」

慎二は、声が出せるだけ立派だと思う。
俺の喉は渇ききってしまって、たった一言さえ、紡ぐことも出来ないというのに。

「嫌だなぁ――――わたし、それだけは見られたくなかったなぁ―――――あ、そうだ♪」

桜はそういうと、右手に持っていたそれをあっさりと手放して、指を振った。
―――――――――――――――――――――影。影の魔術が――――

「めんどくさいんで、兄さんと先輩も――――姉さんみたいになっちゃってください♪」

俺と慎二は影に吸い込まれ、二度と意識を取り戻すことはなかった――――――





DEAD END

『【球磨川さんかんさつにっき】はフィクションです。実際の時系列とは一切関係ありません。』

1、銃士VS忍者(ここだけ過去if)
2、慎二「とりあえず、鍋でもやるか」
3、心優しきガンマンの日常[子猫編]
4、心優しきガンマンの日常[落し物編]
5、球磨川さんかんさつにっき
6、KUZUKI  ~作られし者達~
7、慎二くん修行中![イリヤ先生]
8、慎二くん修行中![遠坂先生]
9、教会に住まう者共 「マジ空気悪ぃわ」
10、轟け!バーニング道場!《間桐慎二》
11、轟け!バーニング道場!《球磨川禊》
12、轟け!バーニング道場!《間桐桜》

>>704




ここまで


1、銃士VS忍者(ここだけ過去if)
2、慎二「とりあえず、鍋でもやるか」
3、心優しきガンマンの日常[子猫編]
4、心優しきガンマンの日常[落し物編]
×、球磨川さんかんさつにっき
6、KUZUKI  ~作られし者達~
7、慎二くん修行中![イリヤ先生]
8、慎二くん修行中![遠坂先生]
9、教会に住まう者共 「マジ空気悪ぃわ」
×、轟け!バーニング道場!《間桐慎二》
11、轟け!バーニング道場!《球磨川禊》
12、轟け!バーニング道場!《間桐桜》


×付いてなかったでござる

なんだ、死んだかと思ったぜ
初デッドがこんなんてwwwwww


6

あー、これはどうしよう
じゃあ 6はきっと長いので、 11→6の順で。

今日はだいぶ遅くなるぜ


【轟け!バーニング道場!《球磨川禊》】

衛宮邸?[道場]


師匠「ここはバーニング道場……人生と言う道を迷走する者に勇気を与える、正義の相談室でござるよ!」

弟子4号「わたし、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンこと弟子4号と!」

師匠「拙者、獅子神萬駆が!悩みを聞いてズバッと解決致す次第で候!!」

弟子4号「さて、今回の相談者はー?―――……げっ」


球磨川「『助けてングえもーん!!』」


弟子4号「…はい、ランサーっす。ししょー、わたし帰っていいっすか?」

球磨川「『いやいやダメでしょ。僕だって相談者なんだぜ?平等に扱わないといけないんだぞ?』」

師匠「あいや、しかし球磨川殿。お主、最近は悩みなど無いのではござらんか?」

弟子4号「サクラとも上手く行ってるみたいだし。所構わずイチャイチャイチャイチャと、わたしが見ても苛つくくらいなんだから」

師匠「そもそも現在の桜殿と上手くやれる人材なぞ、この御仁以外には居られぬでござろうなぁ」

球磨川「『いや、まあね?君たちの言ってることは概ね正しいよ。正しいんだけどさ。』」

弟子4号「なに?十分満たされてるでしょ?あなたは底辺なんだから、高望みはいけないと思うけど?」

球磨川「『慣れてはいるけど、酷い言われようだな。というか、問題はその満たされている部分にあるんだよね。』」

師匠「ぬう?……どういうことでござるか?」

球磨川「『満たされ過ぎてるというか、満ち満ちているというか。満たそうとされ過ぎているというか、満たし切らされたというか…。』」

弟子4号「ししょー!ランサーの話が要領を得なくてムカつきまーす!」

師匠「それは拙者も同感でござるが、まあ落ち着くのでござる。――して、球磨川殿。具体的言えば相談の内容とはどういったものなのでござるか?」

球磨川「『そうだね、まあ要約すると――「ヤンデレ桜ちゃんに愛されて部屋から一歩も出れない」―――みたいな?』」


師匠「愛情表現が苛烈になって恐怖さえ感じさせるとは……桜殿のハートもしっかりバーニングしているみたいでござるな!」

球磨川「『待ってくれバングさん、そんな甘っちょろいものじゃあ、決してないんだ。恐怖なんてものじゃない!』」

弟子4号「へー。じゃあどういうもの?」

球磨川「『飴と鞭で言ったら、アレは全部飴なんだ。飴を嘗めすぎて舌が痛くなるようなもので、優しく、優しく――僕を拘束していく!』」

師&弟4「「………」」

球磨川「『恐怖なんて感じる隙も無い!僕は気付いたら廃人寸前だった!柄にもなく、僕は怖い!このまま僕は、生かさず殺さずの状態で管理されるんじゃ……』」

師匠「…いや、流石にそこまでは無いでござろうが……。…ここ最近…桜殿の危険度が鰻登りでござるよ」

弟子4号「頭おかしいとは思っていたけど……まさかそこまでとは……」

球磨川「『だから、助けてほしいんだ。原因は僕にあるとはいえ、責任まで求めるのは酷だと思わないかい?だってこんなこと、誰が予想出来たっていうのさ!』」

弟子4号「普通に責任はランサーにあると思うけど…責任能力がなさそうね」

師匠「まさに最低の名を冠するに相応しい男でござるな。恥を知れい!」

球磨川「『言いたいだけ言えばいいさ。心無き暴言には慣れて――――――うわああ!!』」

師匠「どどどどうしたのでござるか!?」

球磨川「『影!足が影に呑まれた!嫌だまだ死にたくない!ちょっと待って嘘だろ!?この空間は不可侵領域じゃないのかよ!』」

弟子4号「むしろギャグ補正の領域だから、こんな状況は起こりやすいわ。大丈夫、ここで死んでも大抵は無事よ」

師匠「初耳でござる!しかも割と拙者も頻繁にとばっちりを受けそうな空間設定でござるな!」

球磨川「『いや悠長なこと言ってないで助けて!この影で死ぬのはなんか嫌だ!バングさんは正義の味方なんだから――――ってうわ!影がなんかすごい勢いで暴れ出して…――』」

師匠「おおお!?球磨川殿が一瞬で影の餌食にー!?」

弟子4号「はい、これにて一件落着!」

師匠「この娘、適当でござるー!」








ここまで
明日(今日)は6やるね

【KUZUKI  ~作られし者達~】



《日本時間 23:59》
アインツベルンの屋敷[エントランスホール]


「本当に行くのか?」

「ああ。……情報提供、感謝する」

白い屋敷の扉の前で、二人の男が言葉を交わす。
温厚そうな顔立ちの、どこか不安げな男と。
表情のない、仏頂面の男。

「君の目的は、わからなくもない。だけど、不毛なものであることは、理解しているかい?」

「勿論だ。私が作られた意味、そしてキャスターが作られた意味。そのどちらにも通ずる道は、これしかない」

「……そうか。それなら、もう何も言わないでおこう。長い旅路になるだろうが、帰りはいつになる?」

「それを聞いてどうするつもりだ?―――バナー博士」

そういうと、仏頂面の男――葛木宗一郎はバナー博士に背を向け、歩き出した。
その歩みに迷いは無い。
しかし決してポジティブなものではなく――まるで、死にに行く兵士のような足取りだった。

「訊いておかなければ、生きて帰ってこないだろう?」

「―――そんなことはない。私は、死にに行くわけでは無いのだからな」



これが、葛木宗一郎が日本で交わした最後の会話である。
そう。彼は結局、この国に帰ってくることはなかった。
それは当然といえよう。
何故ならば、彼の向かった場所というのは、ホムンクルスの工房。命の造られる場所。
――――――――――――アインツベルンが居を構える、その地だからだ。
例え本人に死にに行くつもりが無くとも、それは殆ど自殺に等しい行為。
彼と、彼の従者の目的は―――――意味無き命を増やさぬために、その元凶を討つことだった。


《現地時間 14:22》
ドイツ・ベルリン[草臥れた宿の一室]


『ここからなら私がテレポートで連れて行くことも可能だぞ、クズキ』

キャスターが言う。
葛木は着ていたコートをハンガーに掛けてから、キャスターの方へ向き直った。

「感知される可能性はないのか?」

『私の力は魔術では無い。感知のしようがないだろう』

「そうか―――しかし、今は休もう。慣れない旅の直後に戦闘では、本調子が出ない」

飛行機に揺られて一路ドイツまで。
キャスターは自身の核に冬木の魔力に似せた念派を流すことで自信を騙し、こうして冬木の外に出てきているが、そう長くは持たないだろう。
そうなると、主に戦闘は念派で強化された葛木が請け負うことになる。
出来る限り急いだ方がいいのは確かだが、それで全力が出せないのでは意味が無い。

『そうか――そうだな。では、私は霊体となっているぞ』

キャスターは姿を消した。
消しただけで、すぐそこには居るだろうが――何度見ても馴れないと、葛木は眉を動かした。
これが―――魔術。
物理法則を完全に無視して、それなのにより多くの制約に囚われた法則。
人間には圧倒的に必要のない力の、その一端。
過ぎた力は、人を暴走させる。暴力も権力も財力も――行き着く果ては暴走だ。
ならば魔力も、そうだろう。
アインツベルンは、そうだった。
暴走した魔術師は、人の手に余る力で人の手に余る化物を生み出す。
ホムンクルスの生み出される意味とは――はたして何なのだろうか。
葛木は思う。
私と同じだ。私達と同じだ。
今に至ってなお、造られた意味を見つけられない私達と、同じだ。
ならば生み出される前に、こうして思い悩む前に―――その根源から断つしかない。

「………」

空にはまだ太陽が昇っていたが、関係なかった。
真夜中に起きて、夜襲がしやすくなるならばそれでよいだろうと、そう思った。


《現地時間 02:00》
ドイツ[深い森]


『不味いな。どうやら感付かれたようだ。魔力ではなく人に反応する結界とは、迂闊だった』

半日を準備に使って戦闘態勢を整えたのだが、この分では暗殺は無理そうだ。
葛木は警戒しながら身を屈め、感覚を冴えわたらせながらゆっくり進む。
その拳には申し訳程度のテーピングと、キャスターの念派を纏っていた。

『魔力――恐らくホムンクルスだろう。それがこちらに向かっている』

「正確な位置まで割れているのか。……地形が悪いな。相手によっては考え物だ」

『気を付けろ。これは肉体を強化しているであろう魔力の流動だ。つまり、貴様と同じ戦闘スタイルを取ってくるだろう』

つまり、肉弾戦。
拳を武器に戦うスタイル。

「このまま、進める所までは進む。その途中で鉢合わせた場合は戦闘だ」

『殺す覚悟は出来ているか?』

「誰に言っている?私は暗殺者だ。戦うだけの意味無き人形を、殺すことでしか救えん咎人だぞ」

『そうか。迷いが無いなら、それでいい』

そこでお互いの言葉は途切れる。
キャスターは温存のため霊体となり、葛木は気配を消した。
音さえも殺すように、静かに進む。

殺すこと。それが、覚悟なのか諦めなのか―――――本人にも、よくわかっていなかった。







ここまで

先生はやはりシリアスが似合うな


「ヘイヘイ!そこのお前!お前だよ!画面の前のお前!」

独り言を叫びながら歩く、覆面の男。
どうやらあれがホムンクルスと言うことで間違いないらしい。

「シリアスパートだと思った?残念!俺ちゃんでしたwww」

これはもう独り言というか、虚空に話しかけているといっても過言ではない。
それくらいに大声で、堂々とした挙動だった。

「前回、アインツベルンの鯖って俺ちゃんだったじゃん?そのデータを素に造り上げられたのが俺ちゃん!言うなればデッドプールツー!うはww最強のポケモンみたいwww」

デッドプール2と名乗るそれが、葛木に気付いている様子は無い。
しかし、ここまで正確に歩を進めてきたのも事実。この矛盾は、一体どういう事だろう。

「そんなもん、潜んでる位置を正確に描写してくんなきゃワカンネーっつーの!」

「……!」

心を読まれた。
葛木はこれに動揺する。
あれは、どうやら読心術の使い手らしい。
それも、捕捉していない相手の心まで見通すような力――――これが、魔術。

「安価で6を取ってくれたsi+XXEoyoには俺ちゃんから愛を込めたプレゼント!ってことで、鉛弾要る?あ、要らない?」

このまま待っていても何も始まらない。
葛木は、姿を現すことにした。

「随分と独り言が多いな。無駄な機能は削られるものではないのか?」

「無駄じゃネーし独り言でもネーよ!俺ちゃんには画面の向こうのお友達がついてるんだモン!」

「……すまんな。余計な問いだった」

そう言って、葛木は拳を放った。
しなる腕。死なる腕。
暗殺者の拳は蛇のように、鳩尾を狙う。

「キャアアア!乱暴しないデええええ!」

対するホムンクルスは、奇声を発しながらも拳を膝蹴りで払った。


「…案外、腕は立つようだな」

「うるせぇ馬鹿!ほんとビックリしたんだゾ!」

ホムンクルスは子供のような難癖をつけると、その台詞とはおよそ不釣り合いな得物を取り出す。
構えたのは機関銃――――マシンガンだった。しかも、両手に一丁ずつである。

「お返しに俺ちゃんも先生をビックリさせたげるネ!撃ち方構えー!3、2、1――――撃てー!」

BANG!BANG!BANG!と叫ぶ声さえ、もはや聞こえない。
放たれる弾丸の嵐と共に、発砲音は森の静寂をぶち壊す。
葛木は樹木の陰へと逃げ込むが、その行為に意味があるとは思えなかった。
銃撃は辺りの木々を平気で圧し折っている。
だから、葛木が無傷だったのは奇跡と言っていい。

「無傷ってマジかよ!だーかーらー!こっちとしては、どの木の陰に隠れたのかを描写してほしいワケよ!無駄弾撃っちゃったジャン!」

「……成程。そこまで便利な読心術ではないようだな」

確かに驚いたが、この大雑把な戦闘法では葛木を倒せない。
この程度では、接近戦の技術もたかが知れているだろう。

「オイオイ、嘗めんなヨ先公!俺ちゃんが大雑把な戦法しかできネーって?………ゴメン、その通りカモwwww」

ホムンクルスが次に取り出したのは、確かにこの上なく大雑把な武器。
とても一個人に使うような兵器ではない。
それは――――対戦車用、グレネードランチャーだった。


静けさが戻りつつあった森に、不似合いな爆炎が上がる。
どうやらこのホムンクルスは山火事など気にしないらしい。
その爆風を、葛木は念波で受けていた。

『危ないところだったな』

「…うむ。済まない。あそこまでやるとは、正直考えていなかった」

『私がやるか?』

「いや、あちらがどう出るかは掴めてきた。継続して私が戦う」

『そうか。死にそうになったら助けてやる』

「ああ、頼んだ」

再びキャスターは姿を消す。
障壁を張る魔力さえ今は節約したいというのに―――あのホムンクルス、こちらの心が読めるだけあって、戦い方を心得ている。
たかが知れているという評価は取り下げよう。

「テレレレレッテレー♪俺ちゃんの評価が上がった!」

「………」

「オイオイ何その顔?俺ちゃんの評価を上げるのは正しいことだゼ?だって俺ちゃんスーパー強えし」

そういうとホムンクルスは、背負っていた二振りの日本刀を抜く。
それを両手とも逆手に構え、低く低く、地を這うように構える。

「なんなら先生に合わせて近接戦やっちゃるヨ?むしろアタイはもうその気ヨ?カモンベイベー!」

「………いいだろう。泣きを見ても知らんがな」







ここまで
やっぱりギャグでした

デッドプールツー、略してプルツーか

また他スレに酉付けたままお邪魔しちまったぜ……
だからこれは、戒めなのです







>>1ザマァwwwwwそれとお前らあんまり褒めんなヨww俺ちゃん照れちゃうwww………だが>>730、テメーのプルツーは無いケドなァ!!」

急に笑いだし、そして突然怒ったかと思うと、もう次の瞬間には敵に向かって駆けている。
この情緒不安定は、相手取るのはやり辛い。

「ヒュウwwww」

「―――!」

ホムンクルスが刀を振る。
速い―――しかもそれが、二本。

「やっぱり刀ってスタイリッシュでイイヨねwww銃の重厚感も捨てがたいケド、俺ちゃん今日は刀で殺すわwwwww」

一件、滅茶苦茶に刀を振っているように見える。
事実それは滅茶苦茶な振りなのだが、それがマイナス要素にならない領域にまで、このホムンクルスは辿り着いていた。
なんと言っても、速すぎだ。その速さこそが、無駄な動きをそのまま陽動にまで昇華している。

「黙っちゃってんジャンかよ先生!ほら、先生も少しは応援されてんだから、元気だせって!ナ?」

「――――よく言う!喋る暇さえ、与えない癖にか!」

葛木は少しずつ後ろに下がる。
留まることのない連続の斬撃、これを躱すので精一杯。
強化された拳を放つ隙を見つけた所で、打ち込めばすぐに輪切りにされるだろう。

「シネーし!輪切りとか発想怖っ!イテーんだよアレ!俺ちゃんならやっても内臓引きずり出して鍋パーティー程度ですゥー!キモいから食わねーケドネ♪」

「貴様、狂っているのか?」

「違う違う!むしろ真実が見えてるのは俺ちゃんの方だから!俺ちゃんだけがこのスレの良心だから!」






ここまで

読心術もちの相手に勝つにはなにも考えないのが一番

まあまあそう怒るなよ、プルツー


「クマーの話ならスレ違いじゃなくねェ?あと>>734、読心術じゃなくて読スレ術なwwwこれ重要wwwww」

「――――ハァ、ハァ―――くっ…!」

ホムンクルスが刀を振るのを止めて、再び虚空に話かけ出した。
息は、全く切れていない。
ホムンクルスである以上人間基準で考えるのはおかしな話だが、出来ればスタミナの総量くらいは人間基準であってほしかったと、葛木は奥歯を噛む。
これで、大振りな攻撃を繰り返すことによる体力切れを待つ、という選択肢が消えたわけだ。
隙はあるのに付け込めない。体力は葛木より上。逃げようにも、読心術で捕捉される。
これは、本格的に不味いかも知れない。
初めて遭遇したホムンクルスを相手に、キャスターを頼るのは避けたかったが…―――

「…こうなっては、仕方ない。―――キャスター!」



Ξ(^J^)つ『ふん。貴様が戦うのでは無かったのか?』  〔シュレッダーたん〕
                    Ξ(^J^)つ『ふ〔シュレッダーたん〕ガリガリガリ!!



「…キャスター?なぜ出てこない…?」

「いやいや、出させねーヨ?俺ちゃんポケモン飼ってないのに卑怯ジャン?」

意味が分からない。何をしたというのだ。
葛木には、ホムンクルスが虚空を押している光景しか見えなかったのだが…
まさか、こちらには見えない何かを、奴は見ているというのか?
――――十分にあり得る話だ。
そもそも葛木は、魔術師ではないのだから。魔力など、一片すらも感知できない。
つまり、あのホムンクルスは魔力を感知し、操作する力を持つということか。

「それにほら、>>735が反省してないし?俺ちゃんがもっと活躍して、俺ちゃんの凄さを思い知らしてやんナきゃ!」


『あのホムンクルス…!ふざけた力だ……!』

キャスターが念話で話しかけてくる。
確かに、ただの読心術師ではない様だし、ただの狂人でもないようだ。

「そうだ!イイこと思いついたwwww」

怖すぎる。
碌なことでないことはわかるが、それが具体的に碌でもない何なのかは全く予想できない。

「お前ら、マブカプ3ってやったことある?あるなら勿論、俺ちゃんは使ってるよネ?」

「…なんだそれは」

「先生じゃねーから。俺ちゃんはこいつらに向かって話してんの!ちょっくら黙っててクダサイマスカぁ?」

そういうとホムンクルスは此方に堂々と背を向けて、大声で独り言を続ける。

「カタナラマ!ってあるジャン?Hで下段拾える技。あれのオマージュっつーか、派生技みたいなの思いついたwwwwwww」

そういって、ホムンクルスが取った行動は―――葛木には信じられない物だった。
腰に手を当てる。そして刀を、一本。―――股に挟んで、こう叫んだ。

「これがホントのカタナマラ!……なんつっテwwwwwwwwww」


「…………………………………………」


その姿勢のまま、ホムンクルスが兎飛びのように寄ってくる。
いままでの行動も大概だが――――この行動が一番狂って見えた。

「オラオラwww突いたるでぇwwww突きまくったるでぇwwwwwww」

「……………………」

最早、言葉も無い。
言葉も無いが、葛木が敢えて何かを言ったのなら、こうだろう。

―――――――――――馬鹿なのか?――――――――――

「オイ先公!――――――――…… や ら な い か ?」

「ふっ」

「ギャフン!」

葛木の拳が側頭部に命中。
ホムンクルスの声があまりにもわざとらしいため警戒したが、どうやら本当に気絶したらしい。

「……なんだったのだこれは」

『…それはまさか、私に問うているのか?』

ここまで阿呆だと、殺す気も失せる。
それに、このホムンクルスならば葛木のように造られた意味に悩むようなこともないだろう。
拳を振るうのも億劫になったので、結局捨て置くことにした。

「……進むぞ。一刻も早く」

『………同意しよう』

葛木は、再び足を出す。
意味を持たぬ者達が、意味を持たぬモノを生ませぬために行う、意味を得るための戦場に向かって――――――


To be continued

ギャグ無しではやってられなかったんです……後悔は、してない!

1、銃士VS忍者(ここだけ過去if)
2、慎二「とりあえず、鍋でもやるか」
3、心優しきガンマンの日常[子猫編]
4、心優しきガンマンの日常[落し物編]
×、球磨川さんかんさつにっき
6、KUZUKI  ~灰色の暴力~   ←new!
7、慎二くん修行中![イリヤ先生]
8、慎二くん修行中![遠坂先生]
9、教会に住まう者共 「マジ空気悪ぃわ」
×、轟け!バーニング道場!《間桐慎二》
×、轟け!バーニング道場!《球磨川禊》
12、轟け!バーニング道場!《間桐桜》

>>742

6で! どう考えてもグレイハルクだ…


6連続!?休む暇も無くシリアスか! 悪くないな






【KUZUKI  ~灰色の暴力~】



《現地時間 05:20》
ドイツ[アインツベルン城]


『クズキ、気を付けろ。強力な魔力と、悪意を感じる……』

「そうか。現状でも十分気を付けているつもりだが、善処しよう」

葛木とキャスターは現在アインツベルン城の一階、その無駄に入り組んだ通路を堂々と進んでいた。
先ほどのふざけたホムンクルスに捕捉された以上、こちらの存在は既に割れているだろう。
最早隠れる意味も無い。
先ほどから小一時間程このフロアを徘徊しているのに刺客が来ないところを見ると、警戒されているか、もしくは嘗められているか。

『いや、単純に二階で待ち構えているのだろう。気配の位置は上方だ』

「二階、か。行けるものなら、さっさと行きたいのだがな」

小一時間同じフロアを徘徊しているのは、何かの作戦というわけでは無い。
ただ単に、二階へと続く階段が見つからないだけだ。
無駄に入り組んでいると表現はしたが、それは案外無駄ではなかったようである。と言うか、それが目的なのだろう。

「アインツベルンは戦闘に関しては素人同然だと聞いていたのだが――――城の構造は例外のようだな」

『このような誰でも思いついて金さえあれば実行可能な浅知恵を認めるな。私はむしろ素人以下だと評価を下そう』

「ほう?打開策でもあるのか?」

葛木は真剣に尋ねたのだが、それに対してキャスターはクツクツと笑った。
こういった際は主に葛木の経験を元に打破するのが定石なので、逆の立場は珍しいのだろう。

『あるとも。それも、最初からな。貴様が好む策とは思えなかったので黙っていたが、もう頃合いだろう』

「この際だ。大抵のことには目を瞑ろう」

『それを聞いて安心した』

言い終わるよりも早く、キャスターは姿を現した。
右手には紫に輝く光弾。
それを、二階の床――――つまり一階の天井目がけて投げつける。
破壊音。
その光弾が砕いたのは二階の床のみに留まらず、城に一直線の風穴を開けた。
一階からでも、昇ったばかりの朝日が見える。

「―――――――いいのか?こんな形で力の無駄使いをして」

『無駄では無い。これで全フロアに通じる道が出来たのだ、安いものだろう?』


二階に上がった両名は、二階の捜索を開始した。
目的は勿論ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンの殺害だ。
最上階に居る、などと言う愚かはいくら戦術眼が無くてもしないだろうという憶測、ある種の期待を込めた行動。
しかし、この行動が招くのはアインツベルンの八代目当主では無く―――――

『――――!…クズキ!来るぞ!』


「■■■■■■■■■■■■■■■――――――――――――!!!」


灰色。
ここと上層を隔てる天井を砕いて現れたのは――――視界を埋め尽くす、灰色だ。
あそこまで暴力だけで完結した肉体を、葛木は今までに見たことが無かった。
破壊するための構造。破壊するための駆動。破壊するための破壊。

「――――こ、これは――」

『バーサーカー…狂戦士のホムンクルスだ!クズキ、貴様は退け!私でなければこいつの相手は出来ない!』

「くっ!」

言われた通りに、葛木は退く。
一目見た瞬間に、あれは人の手に余る物でないことは分かった。
造られたとはいえ、所詮人殺しの道具としてだ。
キャスターとは違う。
キャスターは――――――――――――《最強》の名を冠するために、造り出された怪物。

きっとこれが、キャスターとの別れだろう。
最強たるキャスターでさえ、あの灰色を相手に魔力を温存しては戦えない。
魔力が切れたとき――――それはキャスターの消滅するときだ。
ならばこそ、別れは言うまい。
現状で自分に出来ることをするまでだ。
男はキャスターに背を向けて、その場から走り去る。
声は無い。あるのは―――靴が床を叩く音のみ。



『それでいい。――――貴様を生かす。私はそのことに、意味を見出しているのだから』


灰色が言う。

「ソレガオ前ノえごカ?」

『―――ほう。貴様は、言語を繰れるのだな』

「馬鹿ニスルナ。―――アノ魔術師ハ酔狂デナ。アル程度忠実ニ再現シナケレバ気ガ済マンラシイ」

『ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルン。貴様の産みの親なら、クズキが殺しに向かったが』

「アンナ爺ハドウデモイイ。オ前、さーう゛ぁんとダナ?聖杯無キ今、ナゼアノ男ニ従ウ?」

『従う?何を言うかと思えば。私は誰にも従わんさ』

「矛盾シタ答エダ。ナラバ、アノ男ハ何ダト言ウノダ!」

『あの男は―――――私の、理解者だ』

「理由ハワカラナイガ、オ前ヲ殴リタクナッタ。――――■■■■■■■■■■■―――!!!」

突然言葉を切った灰色は、大きく腕を振るう。
キャスターを床ごと一階に叩き下ろすかのような一撃は、しかしキャスターを掠めもしない。
テレポートで後ろを取ったキャスターは、念力で灰色の巨躯を浮かす。

『こんな物か。期待外れだな。貴様の本体は、物理法則さえ捻じ曲げる怪力だったぞ?念くらい、防げぬものか?』

「■■■■■■■■■■―――!!■■■■■■■■■■■―――――!!!」

重力を消されながらも、空中で足掻く灰色。
キャスターはそれを眺めていても良かったのだが、しかしこうして実体化していられるのにも制限がある。
攻め手を緩める意味は無い。

『そう足掻くな。今、楽にしてやる』

キャスターが腕を下に振る。
それに合わせて浮いていた灰色の巨体も、地に落ちた。
いや、堕ちた、と言うべきか。
灰色が叩き着けられた衝撃によって、一階跡形も無くが吹き飛んで――――城の二階が一階へと差し替わるほどだったのだから。







ここまで。

いろいろ誤字とか脱字が……

人の手に余る物では無いと分かった→人の手には余る物だと分かった
一階跡形も無く→一階が跡形も無く

マジでこんなんばっかりですいません


『―――――この程度では、流石に死なないか』

舞い上がる粉塵の中で、巨体が蠢く。
怒りによって更に隆起した全身の筋肉が瓦礫を押し上げ、血走る目はキャスターを強く睨んでいた。

「■■■■■■■■■■■■■■■■―――――――――!!!!」

振るう剛腕。
それが巻き起こす風圧だけで、人間など彼方に吹き飛ばされてしまう。
腕が地面に叩き着けられた瞬間など、考えるまでも無い。

『―――――――くっ!』

キャスターでさえ怯むほどの衝撃。
轟音は森を突き抜け、地面には亀裂が走り、数多の小島を作り出す。
まるで、ここから世界が崩壊を迎えるかのような有様。
このホムンクルスは、やはり本体同様侮れない。

『ふん。お互いに屋内向きの戦闘スタイルでは無いようだな』

「ダッタラ、押シ出シテヤロウカ!」

『必要ない。寧ろ―――――――――その役目は、逆だ』

キャスターが尻尾を薙いで、灰色の巨躯を吹き飛ばす。
浮き上がった巨体に向かって更に一撃。放つのは、先ほど城を貫いた物と同様の光弾だった。
光弾は灰色に接触しても弾けず、宣言通りに屋外まで叩き出す。その過程でいくらか壁は破壊したが、この城は案外頑丈なようだ。
屋外に至ってようやく光弾が光球まで膨らみ、更に森に差し掛かろうというところで膨れ上がる。
圧縮された力が球の形状を維持するのに耐えられなくなったような、突然の―――それは爆発だった。

「■■■■■■■―――――!!」

『叫べるだけでも上出来だろう。どうやら基礎の部分は本体と相違ないらしい』

爆発の余波も冷めぬうちに、キャスターは灰色の上へと瞬間移動した。
その勢いのまま、巨躯を念力で上空に放り投げる。
近接物理攻撃が主体の相手から、移動手段を奪うことがどれ程酷なことか。
灰色はただ、スターマインの如く撃ち出される光弾に耐えるしかない。


「■■■■■――――――!!■■■■■■■■■■――――――!!!」

『悪いな。貴様の耐久力の前では、すぐに楽にしてやるという宣言は撤回せざるを得なかったようだ』

そう、耐久力である。
最早生物の頂上ともいえるこの戦闘において、灰色が競い合う道具として持ちだすものがそれだった。
キャスターは破壊を旨とした圧倒的な攻撃力。
狂戦士は朽ちるどころか際限なく増す生命力。
半端な宝具では致命傷が与えられないのは、バーサーカー本体で実証済だ。

『神経回路の破壊も――――この分では効果無しだろうな』

あれだけの装甲を纏っていながら体内がガラ空き、ということはないだろう。
肉体が強靭ならば、それを操作する回路とて強靭と見て間違いない。
そもそも、『怒りに応じて力を増す』という特性上、神経に強化が施されないはずがなかった。

『――――――――――…こんなものか。所詮私も、道具だからな』

紡ぐ言葉は、まるで自らを否定するようなそれだったが―――
――にも関わらず、キャスターは笑っていた。
戦うために生み出された。
破壊を前提に構築された。
《最強》の存在。

『消滅も止む無し。あとはクズキを、信頼するとしよう。―――――――それでは、幕と共に刻む。――私の――――』

その《最強》が誇る、破壊の終着点。
彼が、ここに居たというその――――――




『――――――――――――――「存在の証明(サイコブレイク)」を―――――――――』


テレポートで移動したそこは、空中。灰色の正面。
両手を突き出し、集めるのは――
――粒子。大気。風圧。光。熱量。重力。魔力。実体、非実体、無限から虚無に至るまでの、その全て。
校舎を破壊したときのものとは、まるで比較にならない。
あらゆる全てを無理矢理にねじ込んだ暗黒宇宙のようなそれは、人間の拳にも満たないサイズだが―――
―――――――――――――あらゆる全てをこのサイズに詰め込むということが、一体何を意味するか。
そして―――――それを一気に解き放つということが―――何を招くか。

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―――――――――――――――――――――!!!」

灰色が叫ぶそれは、恐怖から来る怒りの慟哭か。
死を覚悟した鼠は、猫にさえ牙を剥くという。
しかし灰色は、それさえ許されない。
なぜならば――――――灰色とて、力の一部―――あらゆる全ての、その一つだから。

『そのサイズまで圧縮されてなお、命があるのか。――――ホムンクルスとは、呆れたものだな』

だが、その命もここまで。
解放は一瞬で、全てを吐き出して終わる。
灰色が次に元のサイズへ戻るときのは―――ただのエネルギーの塊だ。

『それではな。久々に全力を出した。―――悪くなかったぞ』

冬木の地で、全力のこれを使うことは出来なかった。
初めは、小娘に封じられていて。
最期は、寺の中――――クズキの恩人とやらを傷つけぬため。

力が――――解き放たれる。

その爆圧は、爆心から半径20km余りを更地に変えて。
上空を通過していた人工衛星の機能を完全に破壊し。
だけどそれでも―――――――――アインツベルンの城だけは、形を保っているのだった。

それがキャスターの思惑通りだったことは確かだが、しかしキャスターにさえ、あの力を制御するなど不可能だ。
ならば、どう守ったか。
――――――――――簡単だ。
そもそも、『存在の証明』を発動するのに、力は殆ど必要ない。
そこに有る物を、ただ集めて、戻すだけ。
だから余った魔力を掛けて―――自らの消滅を掛けた。


たった一部を守るのが精一杯だったとはいえ、彼は最期に――――自らの『生み出された意味』に抗い、それを克服していった。










ここまで

乙乙……かっこいいよ、ミュウツー……
最強のポケモンは伊達じゃない。サイコブレイクを『存在の証明』って振ってたのすら伏線かよっていう

>灰色が継ぎに元のサイズへ戻るときのは――
ここだけ気になったけど

>>756
ぎゃあああああああ恥ずかしくて死ぬうううううう


                             .....::――‐::...._
                          /.:∠=--ミ、::::::.`ヽ
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                             ::::l:::iy'fミ人_j//.:从lノ:::::l |::!:::|l    「こんなタイミングで突然だけど、今日は例のお祭り企画のために作成したマスターを紹介しようと思う」
                         ;|::|l::ト.:ヒリ    テミ㌫::::::j:j/.:: l:|     「手直しが必要になる可能性があるからね」 
                          i|::|l::|   ノ   .ヒツ/.:j:/:/.::::::从
                         ||::|l人.丶 _,  .:/.:/;'::/./.::/.::::〉        「コンセプトは『仲間ならサポート。敵なら咬ませ犬』!」
                         ||::|l::|l:\_ .. :<:イ:/:/:/.::/.::::/〉        「主人公にはなれないけれど、その分使い勝手の良さそうなキャラにしようと考えている」
                          j乂}l|乂_.} :.:.:;/.:::::/:/く:イ:_::乂{、
                         ,r.i:TT:|:::::/ノ ::/::::/ ̄ ヽ.∨:::\ \       「まあ、取りあえずは原案を見てくれ」
                           /:| | | |:|三三;:'__:/ -<  l. }:::::::::.∨ 〉
                       / | Ⅵ:::|===/-く_      |.八:::::::::ヘ´
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            乂.ノ:::::::::j./.::::::く::::\/⌒Y´ ̄::::::/.::::/.::::://.::::/.::/.::::::::∨  人


名前:氷上舞姫 (ヒガミ マキ)
属性:秩序・善

筋力E 耐久E 敏捷D 魔力A 幸運E  (人間基準。魔力Aなら凛ちゃんくらい?)
使用魔術:障壁 鏡体障壁


引っ込み思案であがり症。
内向的で口数は少ないが、内心ではいろいろ考えている。
嫌なことを嫌とはいえないけれど、駄目なことはしっかり駄目というタイプ。
性格故か友人は少ないが、外見はそこそこ美人なので本気出せば人気者。出さないけどね、自信ないし。
暴力が嫌いで、血を見るのも嫌。
聖杯戦争に参加したのも親(両親共に魔術師)から言われて嫌々。押しに弱い子なんです。
だから聖杯に掛ける願いとかあんまり無いよ。

使用する魔術は防御に特化した障壁系。展開規模で耐久力が変化する。
魔力を一点に集中させることで、サーヴァントの攻撃もある程度防御or相殺可能(Bが相殺出来るか出来ないか。基本的に宝具は無理)。
また、逆に魔力を拡散させることで薄い硝子のような障壁を広範囲(一般的な学校の敷地を覆うくらいまでならなんとか)に展開できる。侵入者探知用。
ただしこの魔術を構成する概念が自己防御から生ずるものであるため、展開時には氷上が内部に居る必要がある。
したがって、設置型の結界として運用することは不可能。
どちらも常時展開可能だが、展開中は魔力ダダ漏れで感知され放題に。

鏡体障壁はある程度(鯖基準でBくらい)の魔術攻撃を反射する。
だだし、投影された剣や魔術で強化された拳など物理主体の魔術は例外。
要するにノーダメージ一倍返しのミラーコート。
展開範囲は自分の正面のみで、持続時間3秒程度。疲れるので連続では出せません。

通常の障壁は物理・魔術両方防げるけど反射しないからカウンター狙えないよ。鏡体障壁は物理でスルーできるよ。という、双方の使い分けが鍵。

        ,.....::::::: ̄ ̄::::::....、
      .,.::’:::::::::::::::::::::::::::::::::::`:..、
      /.:::::;≠―‐ミ_ヘ:::::::::::::::::::::.ヽ
    ./.:::::/'´ ̄ ̄  `∨:::::::::::::::::::∧
   .:/\:;′__    :';:::::::::::::::::イ::::i⌒>
    /.:::::::i:i__l__:| |:::::|l__>i::::::::<>:::::| ⌒i
   ,::/:::::::l::::i|::::| |:::::|:Ⅵl::l|:::::::::::::::::::::上ニ>.ト、       「とまあ、こんな感じだ」
  ;’i::::::::::l:rトミ:_|_|___|_|__|_l|_::::::::::::::::;ト、 .∨:::::`:..、  「名前については西尾厨の>>1が勝手に付けただけで、絶賛募集中だぜ」

  i::|::::::::::∧乂}  ‐f示ア!:::::::::::/:∨   ∨::::::::::::.、
  |::|::::::::::|:∧  __ ` ´/::::/:iく:_:::::::: ̄ ヽ}::::::::::/ ∧    「鏡体障壁うんぬんが若干ウゼーかなーと思ってるんだがどうだろう」
  |::|:::::/|:|l. 〈>..`=’-<::::/ノ ..} i_:::::::::::::::::::::://:::i    「攻撃魔術はこのまま無しの方向で行きたいな」
  |;'|:::l|..|从 l|=ミ(∧l>/〉´‐ミイ_ノ_.`ー‐ァ:::::: ̄:::::::::::l|

  ||:::リ.    ゝヘ__/ィ.//  ./从:::::::¨`'´:::::::::::::::::::::::::リ
    |:/        }人__ノ:::{\::::::::::::::::::::::::::::::::::/
    |l         /!\__j_,/.  \::::::::::::::::::::_;:::く
          ./.::/ .ト-:/    /'イ ̄.天.__./
           .//   .|:::;′...//::l|_/::::::::::::|
         (ノ .     |:/   ̄〉::::::::::::::::://l/
              (_j   .<::::::::::::_// /
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           .x</===ミ、:>:.、

           .〃.:::/ __ ∨:::::::.ヽ
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            .i:::::::;i:j⌒|:::::||:::||liⅥ:::::::l::i:'
            i|::::|:lj」zミ―'¨ィz≧}{!::::::|::|:’
          .||::::|从.ヒリ    .ヒ}》|:::::::|::|::::,
          l||::::|::';.   l     .i:|:::::::|::|::::::,   「ああ、あと、代理AAも募集したほうがいいのかな?」
           |||::::|从   、_., .从::::::l/|::::::i      「良さげなのあったら頼んだぜ」
           |||::::|l|:::\    .イ};’:::: j::リ.:::::|
           |||l:::|l乂::_;}`::::´  /::::::::/:/.:::::/      「じゃあ今日の分書いてくるね」
           Ⅵ:::l|:/ハ ∨.: .,’:::;::く:イ:::/ヘ 
        .∠乂:∧i:::|三二ミ:i/:::::::.\ー .乂
          /.\\V:|==xノ'::::::r '´..:>ヽ ̄`ヽ
          .j∧ \::人l|l/..:::::::::>'´ ,. ‐}’
         |. ∨ _>ミl´ ‐r<   ./  |∧
        ノ   }  .|_イ}ト、_ 〉 .∨.:/\  |l:::|
        .,{二ニl{  ./ j/.∨〈:.  Ⅵ∨ .`  `i:|i
      人  ,从  ヽ′ .}_/    .}|: ∨:.  .|:||
     ./\:><i    |、       ノl::.  _ >Ⅵ
       \:::::::::::::lト:.  }      ./ l| ̄:::::::::::::∧〉
     /:::::>x::::|| i  |    ;’/l|:::::::::::::::::::ィ′

      /.::::/.::;′./\        イ.从`¨¨.T:::::;′
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    /.::::/.::::: | /` 、      ._.< |. .,’:;′
  ./.::::/::::::::::|ノ::>x `  ― ゜ x<::\’:/


代理AAは眼鏡ほむほむかな


《同時刻》
ドイツ[アインツベルン城]


ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンは頭を抱えていた。
入り組んだ城の構造にしてしまったが故に全フロアを貫通させられ。
それを止めるためにグレイハルクを向かわせれば、一階が跡形も無く消し飛び。
全ての行動が、裏目に出ている。

「……何故…何故なのだ…!最強のバーサーカーを忠実に再現してホムンクルス化したと言うのに…!」

グレイハルクを形成していた魔力の反応は、爆発するように霧散した。
あの揺れは、止めを刺されたときのものらしい。

「デッドプールが言うには、敵のサーヴァントはキャスターのはず!…最弱クラスごときに、バーサーカーが何故負ける!」

彼は知らない。
その最弱クラスとして現界したモノが、異世界で《最強》の名を冠していたことに。
――――――――そして、自らの長き生命活動にも、同じく終止符が打たれようとしていることに。



――――――――――――クシャ――――――――――と、紙を握り込んだような音。



その音を、ユーブスタクハイトは聞くことが出来ない。
音を認識する機能など、
――――――――――――――――砕き、貫かれた脳に―――――――――――――――
残っている訳もないだろう。
葛木宗一郎による殺害に容赦は無く、躊躇もない。

「…………………キャスター、済まなかったな。このような無益に付き合わせたことを、許してくれ」

拳に付着した頭蓋骨の破片や脳の残骸を払いながら、無表情で葛木はそう言う。
表情は無いが――――――何も思っていないわけでは、無かった。
遅すぎると言われてしかるべきだが、この時点でようやく、葛木は自身の内にも心と呼べるようなものがあることに気付く。
それは、キャスターの消滅を悲しむことで、気付けたもの…――――

「――…いや、違うな。私は、キャスターの消滅に悲しんでいるのではない」

そもそも、悲しみなら常に感じている。
葛木は悲しみを、心だとは思わない。そんなものは、ただの非常だ。

心。詳しく言うなら―――――正の感情。
喜び。楽しみ。愉悦。快楽。
そう言ったものこそ、心と呼べる。

ならば葛木は、何に喜びを感じたか。
キャスターは彼を称して、『理解者』と言った。
葛木がキャスターの何を理解し、何を共有し、何を求め合ったか。
キャスターが最期に得たもの。それは何だったか。

葛木は微笑む。

「この命も――――――――――――――粗末に出来ないな」

赤く染まった部屋を後にし、葛木は城を下る。
その足取りはもう、死に向かう兵士のそれでは無い。


《三日後 現地時間 11:09》
ドイツ[ケルン・ボン空港 F1]


「よう先生。元気ィー?」

「…………」

全身タイツの覆面男が、そこに居た。
森はあの惨状だったので、てっきり死んだと思っていたのだが……

「何?俺ちゃんのこと嘗めてんの?ヒーリングファクター半端ネーんだゾ!塵になっても三日あればナントカなるっつーの!」

「……………」

アインツベルンは何故そこまで気合いを入れていたのだろうか。

「そりゃあアメコミ大好きアインツベルンだからネ!ケリィに無理やり俺ちゃん押し付けるとかマジ馬鹿wwww」

「………」

そもそも、この覆面がここに居る意味が分からない。

「それはアレだよ。俺ちゃん行く当て無いからさー?先生に着いてこうかなーって」

「………………チッ……」

ふざけるのも大外にしろ。

「ちょwwww怒んないでってwwwwていうか地の文で会話するなヨwwwww」

「……喋る必要がないなら、省略して何が悪い」

「俺ちゃんが一人で喋ってる頭のおかしいやつみたいになるダろ!!」



それは間違っていないのだが、ともかく。
こうして、葛木宗一郎とキャスターの物語は幕を閉じる。
しかし、葛木の人生は終わらなかった。
いまも世界のどこかで、自らの信念のために何かを殺しているだろう。
――――――――――――――――やかましい相棒と共に。





DeadPool END







急にAA使い出したのは練習のためだよ

            /::: 二二二ニ= 、:::ヽ
           /::/::::::::::::::::::::::::::::::`:::::::::ヽ
          /::::::::::::::::::::::::::::::::、::::、:::::ヘ:::::ヘ
         /:::::::::/::l:::l:::l:::::::l:::::、ミ:::::V:::::::::、::::l っ
         /:::::::l:::l::ト::::ト:::\::\::ヽヘ::::l::::Nl::::::ヽ  っ
        .l:::/::::l:::トlVノ:ヾ::: \ ,ミニk::l:::トl::::::::::)
      c  |/:::l:::Vl-ィ=-、 `  ィ弋U:jリ::::::::|⌒,:::::l
       c l::::l;;;;;;|弋cア , ― 、( ヒっ)lヘ::::::l ノ::::ノへ

          l::ト::::::トゝ='  '  ,. ̄,,,l/::::::Y:::::::::::::::ト   「ラ、ライダー待って…!」
          V|/::::::l''';:   _   :;'' |::;::::::ト―-:::::::::::l-、
          ノ:ヽ:::へ 、    `  イ::::::/―-- .、::::::::::l     「一人は、その、危険…だよっ!」
          l:::::::::::、:::t `  - ''  ノ l//  /    .ヽ::::トヘ
         .>(::::/ .\\/ ヘvr' ノ._   l      ヽ::):)_
         (:::(:::::/    / ̄ヽ_/: : :l  l        ヘ:::)
         >:::::::l    .|: : : : (:.:.): : : : l  l        ト、),
        .(:::::::::::)、  ./ .|//: ハ:ヽ_/  l        ィ、::),//
        ノ::::::ノ フ  l   /_/  l:_:|r-r-.、 ゝ、     /  `)'::へ
      >(:::::::::ノ /-―.、     r-l  l  ト、--―''  ̄ ` (  l::::::::::ヘ
      /:::::::)' /:::×:::::::`.-..、 ./ l l  ト  l ヘ、      .l
     ./:::::://  /    l ::::::::::`^l l | ヘUト,()t、Uヘ      |
     l:::::://  /     l ;;-、:::|_l |       `'ト ̄ ̄ ̄




>>765 こんな感じか おお、イメージぴったりだな

                                 __ .... __

                              _ = ´      `丶、
                            ./::::i、         \
                             /::::::::::::l            _....、i、
               _...._         /:::::::::::::::|       /::::::::i、i

              /´  .i        ハ::::::::::::::::i      ノ:::::::::::::::l l
             i   .:::l       //::::::::::::::::::|     /:::::::::::::::::::i |

               i   .:::::i       / i:::::<⌒ヽ_:l    ノ:::::::::::::::::::::/ /
             .L..__:::::/       i /::::::::: ̄`::〉-=-.:::-"~'ヘ::::::::::::i  i
             i  ::: i        l .l::::::::::::::::::/   .|::::`-........ゝ::::::/ l    「だって俺ちゃん全クラスに適性あるしwwwwww」
            .ノ..._ .::::.|        ハ::::::::::::::ハ,   l::::::::::::::::::::::::::/ /     
        __ .. イ_  .::::::: l        i  i::::::::::/ ::..  .::|:::::::::::::::::::::::/ /     「ケリィが呼んだんだからセイバーで出るしかないっしょwwwwwwwwwwww」
     , ィ ´ー-<.._ `ー::::. i        l  i::::::/     l:::::::::::::::::::::ノ /
    〈         `ヽ ::: |       i、 `"´      |::::::::::::::/ イ´
  .  )、     :::人::::::/       λ         ヽ::-'''´  //
    /  `ー-....::::ノ:::::〉/        ん_i、            / .i
   λ....        )::メ.        / :: `.、          _ .ノ  l
 γ':::i、 ..__  __.. ィ::::::l       人_   :`ー...._ ... 一:´::::::  :|
 l::::::::/        i::::/   _,.一"´   ` =- ....__::::::::::::::::::::::::::-一´`ラミ=- ,、_
. ハ::::::ヽ、__     _.:/i,一´ l  l                   /ミミミシ三`-、_
  i、::::::::i、 `   ̄  :、/三 l l  |                 ./ミミミミ/ /三三三
  .`、::::::::i、     _,イ三= | l  l                 /ミミミミ/ /三三三三
   \:::::`ー-=.イ´三三三| |  .|               ./ミミミミ/ /三三三三

     `ー-:::-イ三三三三ハ  .i               lミミミミ/ /三三三三




とりあえずオリ升のステをやる夫スレ風に直してみる


┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
  【名前】:募集中ダヨ!
┣━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━┓
  【特徴】:魔術師                【レベル】:15      【属性】:秩序・善
┣━━━━━━━━┳━━━━━━┻━━┳━━━━━━┻━━┳━━━━━━━━━┳━━━━━━━━┓
   【筋力】:E(10)     【耐久】:E(10)     【敏捷】:D(20)      【魔翌翌翌力】:A(50)    【幸運】:E(10)
┣━━━━━━━━┻━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━┻━━━━━━━━┫
               .....::::::::::──:::::..........
.             /:::::::::::::::::::/::::::::::____:::\
           /:::::::::::::::::::::::::;ィホ孑"⌒ ̄¨ミメヘ
          /::::::::::::::::::::::::::/:::::::/;ィ :::/ ::::::::!::::::::::':,

          ,'::::::::::::|:::::::::::::::| ::::/:/ |:::/ |::::::/|::::::::::::::::.
.          '::::::::::::::|:::::::::::::::l-/-/-l‐' .| :;' |::ト;:::::::::: l
         | ::::::::::: |:::::::::::::::l/行テメ、 レ′.l`l-l-::| :::|

         | ::::::::::: |:::::::::::::::| 弋 ソ  .l   ィ=-j/| :::|
         l ::::::::;Ⅵ:::::::::::::::!ヽ __ ノ  ̄.{ ヒリ j:::::|
         l :::::八-|:::::::::::::::|///     ' ` ─ ,::::::|

         |::::::::::::`|:::::::::::::::|.       c-っ  //,:::::::|
         八 ::::::::: |:::::::::::::::|              ノ ::::::|
.        /:::::::::::::::八::::::::::::::|> ..      .. <:::::::::::|
        /:::::::::::::::::::::∧:::::::::::|__  ≧y‐<:::::| ::::::::::::::|
      /:::::::::/.⌒ヽ- ヘ:::::::::|  ̄テメx;;_ :::::::l::::::::::::::::|

.      i::::::/        .∧:::::|  _  ||/::::::::::|:::::::::::::::!
.    /i/         ∧:::|'⌒ \|||:::::::/ |::::::::::::::;
   /:ノ"           .!   Ⅵ    `マI⌒`゙|リ|:::::::/
  /:::::(──- ,,      |   `}    ,ム  ,ノ| | :::/
. /::::::::::\      \    |    |     / | ∨  | |::/
..i::::::::::::::::::X      \ ノ    人  /| i|  Ⅵノ j∧
/i:::::::::::::::〈       ヽ/      `´  | i|  | i|/ \ヽ、
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┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫

  【スキル】
  ◆障壁 分類:魔術
   物理・魔術ともに防御可能な障壁を展開。展開規模で耐久力が変化する。
   魔翌力を一点に集中させることで、サーヴァントの攻撃でもある程度防御or相殺可能(Bが相殺出来るか出来ないか)。
   半径5メートルの球体ならマスター基準でAランクの攻撃を防御出来る。
   一般的な学校の敷地を覆うくらいの規模で展開すると、強度は硝子程度。防御には使えないので侵入者探知専用。
   ただしこの魔術を構成する概念が自己防御から生ずるものであるため、展開時には氷上が内部に居る必要がある。
   したがって、設置型の結界として運用することは不可能。
   どちらも常時展開可能だが、展開中は魔翌力ダダ漏れで他マスターから感知され放題に。

   
   ◆鏡体障壁 分類:魔術
   サーヴァント基準でBランク相当までの魔術攻撃を反射する。

   だだし、投影された剣や魔術で強化された拳など物理主体の魔術は例外。
   要するにノーダメージ一倍返しのミラーコート。
   展開範囲は自分の正面のみで、持続時間3秒程度。酷く疲れるので連続では出せない。
   
┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫

【来歴】
そこそこ高名な魔術師の家系出身。
そこそこで満足出来ない両親から聖杯戦争に参加することを強いられる。

【能力】
恵まれた魔術の才能を持つが、攻撃面では全く生かせない。

【性格】
引っ込み思案であがり症。 押しに弱い。
内向的で口数は少ないが、内心ではいろいろ考えている。
嫌なことを嫌とはいえないけれど、駄目なことはしっかり駄目というタイプ。
外見はそこそこ美人なのだが、自身はそう思っていない。
暴力が嫌いで、血を見るのも嫌。

【聖杯への望み】
特に無し。強いて言うなら自分を変えたい、とか

小森 霧でいいんじゃないかな(サンデー詠みつつ)

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   ,::/:::::::l::::i|::::| |:::::|:Ⅵl::l|:::::::::::::::::::::上ニ>.ト、       「どうだろう、見れるものにはなったかい?」
  ;’i::::::::::l:rトミ:_|_|___|_|__|_l|_::::::::::::::::;ト、 .∨:::::`:..、  
  i::|::::::::::∧乂}  ‐f示ア!:::::::::::/:∨   ∨::::::::::::.、    「あとは名前か。じゃあ、範囲安価で良さげなの抽出しちゃうぜ!」
  |::|::::::::::|:∧  __ ` ´/::::/:iく:_:::::::: ̄ ヽ}::::::::::/ ∧    
  |::|:::::/|:|l. 〈>..`=’-<::::/ノ ..} i_:::::::::::::::::::::://:::i    
  |;'|:::l|..|从 l|=ミ(∧l>/〉´‐ミイ_ノ_.`ー‐ァ:::::: ̄:::::::::::l|  「>>773、版権物はちょっと……それにそれ、このスレの桜ちゃんだから」

  ||:::リ.    ゝヘ__/ィ.//  ./从:::::::¨`'´:::::::::::::::::::::::::リ   
    |:/        }人__ノ:::{\::::::::::::::::::::::::::::::::::/      「それが採用されるかどうかは取りあえず>>775->>777の範囲に入ってから考えよう!」
    |l         /!\__j_,/.  \::::::::::::::::::::_;:::く
          ./.::/ .ト-:/    /'イ ̄.天.__./
           .//   .|:::;′...//::l|_/::::::::::::|
         (ノ .     |:/   ̄〉::::::::::::::::://l/
              (_j   .<::::::::::::_// /
                      ̄ ̄


Saga入れ忘れてるぜプルツー

草加雅人ってのはどうだろう

                      ___
                   ..:::::::::::::::::::::::::::::....、

                   /::::::/-――-\:::::::::\
                  /:::::::::/         ヽ:l:::::::::ヽ
.                 /:::::::::/ 厶 ―‐=ミ、 |:|:::::::::l:::.
                 ::::|:::::l:|イ::|:l|:::::::::|ハ:::::::ト.|:::::::::|::l:l
               |::::|:::::|:|:|::::|:l|:::::::::|_l|::::::||_|:::::::::|::|::l    「版権物を書いてくる奴は邪魔なんだよ!」
               |::::|:::イ|:|::::|ハ:::::::| l|:::::儿|:::::::::|::|:::l
              :::::|:::::レ厶=ミ、  ̄ ≫テ气|:::::::::|::|:::::.、       「なんてね、嘘嘘。どうせ抽出して混ぜちゃうし」

                /:::::|:::::|《ハヒ.〕    ヒ..ン |::::::::l|::|l::::::}
             {:::|:::|:::::|ヘ ´   l     |::::::::l|::リ:::/     「じゃあプルツー、外町鏡、草加雅人からいいとこ取りすると……」
                  ∨:::|:::::|l:::ヽ   _ _,   , |::: :::リ/::/
                 ヽ人:::|l_ ノ ト 、     イト|:::::/厶廴_
               イ「:|ヽヽ::.::.|/l ><  / ノ//::/ /`.       「人津鏡(ヒトツ カガミ)ちゃんに決定ー!西尾っぽくていいね!一つの鏡、人写す鏡ってか?」
                 ハ |::| |\:: |、     /// /::/〃   |
             l | い.┘::.::.:|ニニニ7::.::└ ::/〃  l |\

           /| | \::.::.::.::|-―‐-/::.::.::.::/ l″   l|  \   「皆さんどうもお疲れ様&ありがとう!」
            ´ ̄ | |  / \::.::| ::.::.::./::.::.::/  | /   | ̄ ̄`
                 ノ |∨    ヽl::.::.::厶 イ    | /   人   「明日はコンマの練習も兼ねて慎二君を動かしてみるつもりだよ」
                /\|{   /⌒大 ⌒\     j.__//∧
             ∧\>ヘ   \/∧\_/    /:::::::::.く/:::/       「じゃ、今日はここまで!」
          /\-'::::::‘, / / |  ゝ    /::::::::::::::::::/
          /::::::::/::>==ミl  ⌒V   ∨    /} ̄¨丁
         .:::::::::::〃::::::::|  |    /    l   /    |
      〃:::/::::::l|:::::::::::|  |l //     ヘ   {    |ー 、    _
      ll::::.′::::l|:::::::::::|  |l/       \ \ l     |:::::::::\/   ヽ
       ||::::|:::::::::l|:::::::::::|  / /       \ ∧   |::::::::/    ==ミ、
      l|::::|:::::::::ぃ :::::: |/_ `ー-   --''´  ∧   |:::::/ /  /   }〉
        いl:::::::::::ヽ::::.く_    ̄ ー――--―  厶 ヘ  | ̄{〉∠=―<  ̄\
       ヽヽ::::::::::::::::/: ̄ミニ二二二ニニ二: : : :!|/|「::::::::::::::::::::::\ ̄`
          \\:::::/: :/.|: : \: : : : : : : : : _彡: :ト : :\〈 ノ|::::::::::::::::::::::::::::ヽ


┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
  【名前】:人津 鏡(ヒトツ カガミ)
┣━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━┓
  【特徴】:魔術師                【レベル】:15      【属性】:秩序・善
┣━━━━━━━━┳━━━━━━┻━━┳━━━━━━┻━━┳━━━━━━━━━┳━━━━━━━━┓
   【筋力】:E(10)     【耐久】:E(10)     【敏捷】:D(20)      【魔力】:A(50)    【幸運】:E(10)
┣━━━━━━━━┻━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━┻━━━━━━━━┫
               .....::::::::::──:::::..........
.             /:::::::::::::::::::/::::::::::____:::\
           /:::::::::::::::::::::::::;ィホ孑"⌒ ̄¨ミメヘ
          /::::::::::::::::::::::::::/:::::::/;ィ :::/ ::::::::!::::::::::':,

          ,'::::::::::::|:::::::::::::::| ::::/:/ |:::/ |::::::/|::::::::::::::::.
.          '::::::::::::::|:::::::::::::::l-/-/-l‐' .| :;' |::ト;:::::::::: l
         | ::::::::::: |:::::::::::::::l/行テメ、 レ′.l`l-l-::| :::|

         | ::::::::::: |:::::::::::::::| 弋 ソ  .l   ィ=-j/| :::|
         l ::::::::;Ⅵ:::::::::::::::!ヽ __ ノ  ̄.{ ヒリ j:::::|
         l :::::八-|:::::::::::::::|///     ' ` ─ ,::::::|

         |::::::::::::`|:::::::::::::::|.       c-っ  //,:::::::|
         八 ::::::::: |:::::::::::::::|              ノ ::::::|
.        /:::::::::::::::八::::::::::::::|> ..      .. <:::::::::::|
        /:::::::::::::::::::::∧:::::::::::|__  ≧y‐<:::::| ::::::::::::::|
      /:::::::::/.⌒ヽ- ヘ:::::::::|  ̄テメx;;_ :::::::l::::::::::::::::|

.      i::::::/        .∧:::::|  _  ||/::::::::::|:::::::::::::::!
.    /i/         ∧:::|'⌒ \|||:::::::/ |::::::::::::::;
   /:ノ"           .!   Ⅵ    `マI⌒`゙|リ|:::::::/
  /:::::(──- ,,      |   `}    ,ム  ,ノ| | :::/
. /::::::::::\      \    |    |     / | ∨  | |::/
..i::::::::::::::::::X      \ ノ    人  /| i|  Ⅵノ j∧
/i:::::::::::::::〈       ヽ/      `´  | i|  | i|/ \ヽ、
:::::::::::::::::::::}     | 丿           | i|  | i|   i }

┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫

  【スキル】
  ◆障壁 分類:魔術
   物理・魔術ともに防御可能な障壁を展開。展開規模で耐久力が変化する。
   魔力を一点に集中させることで、サーヴァントの攻撃でもある程度防御or相殺可能(Bが相殺出来るか出来ないか)。
   半径5メートルの球体ならマスター基準でAランクの攻撃を防御出来る。
   一般的な学校の敷地を覆うくらいの規模で展開すると、強度は硝子程度。防御には使えないので侵入者探知専用。
   ただしこの魔術を構成する概念が自己防御から生ずるものであるため、展開時には人津鏡が内部に居る必要がある。
   したがって、設置型の結界として運用することは不可能。
   どちらも常時展開可能だが、展開中は魔力ダダ漏れで他マスターから感知され放題に。

   
   ◆鏡体障壁 分類:魔術
   サーヴァント基準でBランク相当までの魔術攻撃を反射する。

   だだし、投影された剣や魔術で強化された拳など物理主体の魔術は例外。
   要するにノーダメージ一倍返しのミラーコート。
   展開範囲は自分の正面のみで、持続時間3秒程度。酷く疲れるので連続では出せない。
   
┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫

【来歴】
そこそこ高名な魔術師の家系出身。
そこそこで満足出来ない両親から聖杯戦争に参加することを強いられる。

【能力】
恵まれた魔術の才能を持つが、攻撃面では全く生かせない。

【性格】
引っ込み思案であがり症。 押しに弱い。
内向的で口数は少ないが、内心ではいろいろ考えている。
嫌なことを嫌とはいえないけれど、駄目なことはしっかり駄目というタイプ。
外見はそこそこ美人なのだが、自身はそう思っていない。
暴力が嫌いで、血を見るのも嫌。

【聖杯への望み】
特に無し。強いて言うなら自分を変えたい、とか



《改訂版なり》

>例のお祭り企画
kwwsk

>>784
名も無き聖杯戦争(仮)。作者スレで話が出てる企画っす。
神父の人も参加するってよ!wwktkだぜ!

人が居るならコンマ練習に慎二君を動かしたいと思います
ただ、コンマやら酉やらは偶発的な事象に対してのみなので少なめ…?

戦闘(今回は無いけど)は完全にイベントになる予定

うん、まあこんな時間だし?
一人いてくれるだけでも嬉しいし?
な、泣いてないし!


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:::::::::::::::: / ::::: / ::: / :::::::::人::::::::〈      ,|::::::〉´ ヽ;: {:::::: <:::::::ヽ

:::::::::::::::/ :::::::/::::: ノ -= - -  _:::ヽ      ´}:::/.┬ 、}::Ⅴ::::: 〉\:}
::::/´ ヽ、 ノ:::::::〈´ ヽ>-...ハ´ヽ::/     レ:::::::l / :::/:::::::/  /′
::::l 「 \}::ヽ::::::::: 〉 ,./ |:::::::::::i  }’     `っ_/ ′.|::::::/  ヽ   「さて、今日はやることも無いな」

::::|丨   `ヽ{ヽ::/ ヘ `つ:::/             `¨´  lハ/
. \ \ ヽ  }7   ゛ `¨¨´        ヽ      .       「夕方になれば魔術の修行もあるが、今は朝の7時。どうしたもんかな」
 }ハ::\ ー  )                〉    /
.  }/ ヽ¨´}:lム,                   ィ

       八:::| ヘ         _ -   ノ   , ’
.        Ⅵ  \      `ー… ´  /
      「´ヘ    ≧ュ.、        ./
.       |  \     ≧ュ.、    ィヘ
.       |    `≧ュ __ _ _ー._Lノl\
    /  ̄l 、         |:::l:::| ̄     |  `ー
斗七´.   \.            |:::l:::|       l
         `ミ、      |:::l:::|     ノ
           `ミ 、 .   |:::l:::|   /
              `.   }:::}:::}彡´
                ー-〉::〉::〉-=-
                 |:::l:::|



僕は自室で、そんな風に独り言を呟く。
あの戦争が終わってから、それなりに充実した日々は送っている。
だから、暇と言う状況は結構珍しかったりするのだ。

「どうせだから、そうだな――――――――」


1、どこかに出かけるか(あとで場所選択、連れ添い人選択)
2、誰かと話すか(忍者・幼女・妹・括弧付け)


安価↓一

〔2でいいのだろうか〕





「アサシンと話でもするか――――おい、アサシン、居るか?」


       _
        ″ー- 、_; ; ; ;| ; ; ; ; ; ; ; /\\、 、,,       ヤ! !,1へ; ; ; ; ;|; ;| ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ヽ

            ,, -"" ./| ; ; ; ; ;!; ;√_\   \》、_《/".. ヤ; !ヤ  \;; ;|; ;| ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ヽ
          ,,/ ; ; ;/; ; ;| ; ;;ヘ ;;.!; ;トミ三≡=--    =≡ ,三三三ヤ ミ; \|; ;|; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;ヽ
       ,, - " ; ; ; ; ;//"! |/ /! ; ;! .| " ̄ ̄ヾ   , ー 、"´ ̄  ̄ヾ  ヤ;  !; ;| ; ; ; ; ; ; ; ; ; _; ; ; ; ;ヽ
--ーー ; ̄ ; ; ; ; ; ; ; ; ;"  { ! /; ; ;| ; ; ;| ;| / _,,  -.,/    ム≧__ \   !; ; ; ; ;| ; ; ; ; ; ; ; ; ;\ "''ー__;ヽ
   ̄" ×,, ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;{ .! / ; ; ;| ; ; ;|  ヤ"    { !  !  }   ""''= ,|; ; ; ; ; } ; ; ; ; ; ; ;r; _ ヽ   \ミ
       "''- __ ; ; ; ; ; ;{ ;彳; ; ; ; | ;|/                  ム r;|; ; ; ; ; } ; ; ; ; ; ; ; ;\ " ゝ  「勿論でござるよ!」
           //    ! ; ; ; ;!ハ .从 !      ,, -ーー- 、   ,{ ;l/ !ヤ; ;; ; }; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;\
          /    人 ; ; ; ; ;! ハ/ ; ;!  'ー-"        ″--′ ; ; ;.}; ; ; !/ ; ; ; ; ; ; ; ; ; ヤ      「拙者に何か用でござるか?」
             / 1 ; ; ; ; ;リ ; ; ; ;!//    ,,;;;;;;;;;;⌒;;;;;;;;;,,,   ヤ ; ; ; ;}; ; ; ;}; ; ; ; ; ; ;r、; ; ヤ

            /.  1 ; ; ; ;ハヾ ; ; ; ; ;/      ":::::::::::::::      .〉 ; ; ;|_ /; ; ; ; ; ; ; ;| .`\ヤ"
           ,/" ; ; ;1 ; ; ;/汁 ; ; ; ;ハ                / ; ; ; ; ;≦ ; ; ; ; ; ; ; ;|
          / ; ; ; ; ;1 / ; ; ;}; /ヘ レ^ヽ               ./ ; ;,v/ ̄;/!; ; ; ; ; ; ; ; }
         ,/ ; ; ; ; ; ;^ ; ; ; ; ;,{/; ;; ;; ;| へ              ///  ,|; / |;; ;; ;; ;; ; ノ
        / ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;}; ;; ;; ;|; ; ; ;\_ , , , , , , , , , , ,   、<    |/   |; ;; ;; ;;/
     _,,ソ ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;_,,/"!; ;; ;; ;|   ; ; ; ヾーー--ニー一 ≦; ̄  ̄ ` ー-‐ー 、_; ; /

   ーー---ーーーー''""    !; ; ; ; ;!    ; ;;,, +-" ̄                      ̄

                    !; ;; ;/ !  ,,-''"           ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;
                     !; ;ソヤ”         ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;
                  ,,,;;;≦"”   ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;

                /""     ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;  __  ー
              /       ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; < ; ; ; ; ; ;
             /     , , , ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;/

「用って程でもないんだけどな。最近どうだ?充実してる?」

「無論でござる!昨日も冬木の平和を守るため、深夜にパトロールをしておった次第でござるよ!」

不審者じゃねーか。
警察程度には捕まらないだろうが、問題を起こされるのは嫌だな……

「パトロールって……この町だぞ?そんな物騒なこともないだろ」

「いやいや、最近は暴走族が跋扈しておるようでござるからなぁ。冬木の平和も危ういところでござる」

「へぇ……暴走族ね。一応、僕も気負付けておくよ」

            _____
        /:::::::::::::::::::::::::::ゝ、
     ......::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ::ヽ
    〈:::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::ヽ::::::::::::::ミヽ

      >;;:::::::::::::::ヽ:::::ヾ::::::|ミ::::::::::::::::::::ヽ、
    .〈:::::|:::::::f:::::::::;;''')::::人::ハミ:::::::::::::::::从
     i:::|::::::::トミ''   〈::::{ /}::L ミ::y-ミ::ヽ
     |::|::::::::::::::ヽ   ):)fイ:丁 ソr}k ):| )    「一瞬で話が終わってしまった……」
     |::|::::::::::Y}::|__  ~  ¨´     Y/:::l
     { ヾ:::::::::t k夕         r':::::jゝ       「まあ、アサシンとは日常的に話してるしこんなもんか」
         ̄ゝ(ヘ  <   _     ヾリ
       (    ヽ  ´     /   ヽ
               > 、___/---──ゝ.
             z-≠─- 、   ヽ へ─--ヘ
          |      \    `    ゝ、

          |        \         \
          |         \         \
          |                     \
          |           イ          }

          f\   ノ       ヘ          }
          {  \イィ´ ̄      ヘ         }


1、どこかに出かけるか(あとで場所選択、連れ添い人選択)
2、誰かと話すか(幼女・妹・括弧付け)

安価↓一

                 ___...、
                 _,/:.:.:.:.:.:.:.ヽー‐ュ
               ,.イ:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.L.__
              j:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!
              /:.:.:.:/:.: /:.:.:.:.: /Vヘ:.:.:l.:.:.:ハ
          イ:.:.:.:.:.:.:.〈:.:.:./:./ `"´}:.:〉:.:.:.:ヘ

          く:.:.:.:./:./ノ):ハ:.)  /:.;ハ:.:.:.:トゝ
           ):.イ:.〈ハリ≧、(   ,)斗ト:.γ     「家に籠りきってるのもなんだしな。出かけるとするか」
          ノハ/こハ)込) )   込)ヽハリ
               ∨(       、  /
              |ゝト  、___´  /
            ノ从 ヽ      /
              __|  >  イ
               _r┘:.:. ̄ ̄`|||´|
       _.,..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ー:.:-.:.:.:.|||:イ¨:...、 _
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どこに行こうか(衛宮邸・遠坂邸・新都・新都の公園・学校跡地・教会)  ↓一
誰と行こうか(忍者・幼女) ↓二

「おい、イリヤスフィール。朝食も兼ねて衛宮の家に行くぞ」

         -‐ "  ̄ ̄ `  、
     ,  ´          、  ヽ
.   /            、   ヽ  ヽ
.  〃     r、    、   \ ‘,. ‘,
.  /.     r 、|_ヽ 、   \  z=ミ、., ,,
  ′  i    V  ヽ ヽ  `ヽ、  ヽ ,jノ
 i    l    ’ ,斗= 丶、__,γ⌒ヾ,Ⅳ
. j   i  i   ∨   -‐ `ー=ミ、 ら:Y }イ
. |     i  ∧´,ィ.く⌒     弋:ソ V
. !  .′ l.   i忻::ハ         ,:   Ⅵ
.j  ,'   _|  j_,.八弋_ノ          ト
.| ,.イ   { r| ' ゙´「 `゙      r::::::ⅵ  ∧ ヽ    「やったー!今日のシンジは出来るシンジね!」
.! ノ :'  乂j/  l         {:::::::: j  /  } ‘,
  /    ,/   ,-.、       乂:::ノ .イ } .!  ‘,   「褒めてつかわす!」
  /   ,/    /,ハ   ‐-   ___/=ミ j.   }
 '  〃   /彡::::`r‐,-.,=、 ,/::::ヽ:.∧:.:.:.ヽ   ,
   '    /:O:\:/ / | iヾヘヽ:{:Oハ:.:.:.:.:ヽ ,/
. /    /:.:.:.:ヽ:.:.:!.      Y:.Ⅵ:.:./__` - 、:ヽ
.   ,  〃:.:.:.:.:.r:、:.ハ       |-x{:.(_{___ `  .i:.:.ヽ
  ,  /:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:Y:.} ,ィミ、 ,j>^}ヽ{      {:.:.:.ハ
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八、 ハ:::::::.:.:.:.:.:{:.:.:.:.t:.:.:.:::イ:::':ノ}. .ノ. . {:.:.:.ヽノ:.:.t}!:.:.ム

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「何様だよ、お前。ほら、そういうのいいから、さっさと行くぞ」


衛宮邸[正門]


「はい、到着。――――ん?どうした、イリヤスフィール」

.              /                         ‘,
             /     .::::/:.                    ‘,
              .′    │V.:i|       i  i    i   ‘,      ‘
          :     i   |''"´i|  i   |  |    l:   ‘,   ‘,    .
           i i  |   |  i|  |   |  |    |i    ‘,   ‘     :
           | |  |   |  i|  |   |  |    |i    ‘,  |   |  i
           | |  |   i  .八  、   :、 :、   、     ‘  :|  |  |
           | |  |   L. ‐-\_\_,, \ \.___\‐-ミ :! :!  |  |
              |  |   |  ___ \{\  i|\(\__」\  |: /.:. │ !
             Ⅵ   |   |/,ィ示ヾ   \{   ,ィ示ヽ\、|/.:  │ |
             ,: | _ ..-‐《 {i:::::::::i}          {i::::::::::i} 》‐- .._│ |    「……ねえ、シンジ。あれって……」
.            / |       |  V辷シ        V辷シ .′     | │
           /  :|       |                 i      | │
.         .′ __|       |゚         i         |      |─=ミ
        i /.:.i|       |人        ____         ..:'|      | .:.:.:.:. \
         / .:.:. i|       |:.:.:.\     ー‐ '    / : |      |.:.:.:.:.:.:.:. ‘,
.        /.:.:.:.:.:.i|       |‘, :. ` : . .      . イ.:.:.:.:.:.|      |.:.:.:.:.:.:.:.:. ‘,
.         .′ .:.:.:.:i|       |.:.‘,.:.:.:.:.:.:.. >--< .:.:.:.:.:.:.:.:.: |      |.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ‘
        i .:.:.:.:.:.:.:i|       |.:.:.:.:.、:.:.:.:.: /: : : : : : ‘, :.:.:.:. イ:|      i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
.      | .:.:.:.:.:.:.:i|       |.:.:.:.:.:.\:.:∧:. : : : .: .:∧:.:/ .:.:.|:     ,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
.      | .:.:.:.:.:.:.:i|       |.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:.:ゝ-----′:´ .:.:.:.:. |    /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|

そこには衛宮邸の塀をよじ登って、必死の形相で逃げる人物がいた。
それは―――


直後コンマ判定

1~3・……アーチャー、だな。
4~6・衛宮…?何やってるんだあいつ。
7~9・と、遠坂……お前……
0・特殊だよ

「……アーチャー、だな」

何故そんなことをしているんだろう。
と思っていると、アーチャーがこちらに気付いたようで、こんなことを言ってきた。

  ii!i      .|i     / \ //  ヽヾ  // \\-ニニニ|i/ .|i    //\\
  i!i! 〃   ii!ヾ   //   Y./    \/// ̄ ̄ ̄ ̄  i!  .|i   .//  / /
  i!i! ,',' .〃 .i!  ヾ //    `        |i   メ       i!  i  _\ヾ./
   〃 〃  i!   \                 |i  / ∧.     i! |i/ |i!i
 ヽ_/|    i!             i!   i! 〃〃-  ∧     .|   //
ニニヾ. て|i  i!               i!/ヽi! //ニヽ ヽ ∧    |i___i!i!    〃ヾ
 ○ヾ  i!ヾYi!            i!/ヽ/  i! /〃  ヾヽ  ∧   i!   `'守>'ニニ
 コ  |i  .i! ヾ ___     ∧i!   .|iヽ/|iヾ。  | i .i! |∧  .i! i!´ニニニニニニ
  i ̄ i!  i!  |i    __   ゞ    ー  ヾ ヽヾ ノノ /./ ・ヽ i! .i|ニニニニニニ      「シンジくんイリヤちゃん!いまはこの家に入らない方がいい!」
 ´~ニニヾi.. .|i    |i_`ヽ     ``  ` ゝ _  ,   ∧i! ー―iニiニニニ
/i     .|iー |i    |iー          -  ≧=- ''     i!  __ ヾヽ,'ニニ`
|i ー ` `ヽ i!     |i   u     , ゝ-彡人      U  ,_‐‘ ,_‐,._にニ三
,`'守|i   x ≦i!.   .|i      r   ノ.  / /`ヽ     /    i! |iニi!ニi!ニ
   i コ ヽ   i!   .|i___  ー   / /    \.  /., ‐:、  i! 《ニi!ニニi!ニ
`ヽ∠ゞ ̄ヽヽ  i!   i!    ^    て..イ t     〃  .弋_丿/|i kニi!ニニニニ
  〉ニiニニニ〉  .i!  i! //|i      ∨    /    /./.,‐ 、` ヽニ`ヽニニ
 うニニiニ≦´__i  i!/  .i!       ヽ  ./     〃 弋_ ハー――|i
三ニニiニニ/ ̄〃ヾ  i     U      V      /     /      ヾ_
ー-ニニニ/   |i  i!ヾ i           /.,‐ 、  /         _   i!ヽ
     ヽ   ヾ  i! ヾ         〃 .弋_丿/        _ ヾ i__/
             i!   U     //    / /,‐ 、       ,‐、 |i
        \     ≧=――、_,' ̄ /     /\弋丿      弋丿 ヾ_ニニ

「ど、どうして……?」

「い、いや、その、それはちょっとプライベートなことだから………」

「理由もわからず引き下がれるかよ」

「駄目だ!言えない!と、とにかく、絶対に入るなよ!後悔するぞ!」

そう言い残すと、アーチャーはその場から疾走していった。

「………で?どうするの、シンジ」

そりゃもちろん……


1、やめておこう。恐らく危険だ。
2、行くしかないだろ!

安価↓一

「………やめておこう。恐らく、危険だ…」

あのアーチャーがあそこまで狼狽していたのだから、それはもう恐ろしいことになっているに違いない。
僕は衛宮にご愁傷様と手を合わせて天国に行けるよう願うしかない。

.        /                      ヽ
       / /                        ‘,
.      / /     ,ヘ  ,                ‘,
    .′    /-ミV i|     :i|    i|:  ‘. '
     i    :     i|     :i|    i|    i| i    :
.     i |    i     i|     :i|    i|│  i| |    |
.     | |    |___从_   i|    i|│  i: ;     :|
.     | |:  ´ |       \   il    7ト|   ハ/     |
.     | |    |..ィ笊芯ヽ \八   / :|/} /iト、    |
.     | │ ー〈 {i::::::::i}     }/7笊㍉ |       |
.     | |    | 戈辷シ        {i::::::::i} ヽ|:     |    「えー?じゃあゴハンはー?」
.     | |    |       i    戈辷シ .ノ「 ̄    |
.     | |    |                    ,'|    │
.     | |    |     __        /│    │
.     | |    |、    ` ー‐`      イ´ |    │
.     | |    │\           .イ.:.:|.:.:.|    │
.     | |    |: : :|` .      .  i.:.:.:|.:.:.|.:.:.|    │
.     | |    |: : :|   `'ー     |.:.:.:|.:.:.|.:.:.|    │
.     | |    |: : :l            |.:.:.:|.:.:.|.:.:.|    │


「その辺の店で食うしかないだろ」


どこに行こうか(間桐邸・遠坂邸・新都・新都の公園・学校跡地・教会)
↓一

あ、行ける場所に商店街も追加で

やっちまったぜ…安価下一

                     /::\,,__
                 ┌ーヽi::::::::::::::::::ヽ ̄`',
                 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
                /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
               ノ::/::/:/:::!:::::∧∧:::::::::::::::::i、:::\

               / /:/::/::::i:::::/   }:::):::ヘ::::ヘ::ヾヽ
               { {:く;;{:::∧:(   (:::(ヽ:::::):::ヾ::} }
                ヘ::)::)ノ¬))   ):)フ::ハ::::):/
                 {ヘ!:(丁;;jゝ   ´「;;;j厂レ!iヘ
                   {∧   ̄       ̄  / ソ
                 ゝヘ      '       /ノ
                   リヘ  ´  ̄`  /!!′   「ってことで商店街に来たわけだが……」
                   \|\ __ / |/!

                   ┌‐┴─rr─‐‐┴!
         ___ _____r=┤: : : : : |||: : : : : ├、,,

        /: : : :: : : : : : : : : : : : : : : : 〃/: : : : : : : : :`:ー:-:.:.、,,,__
        /: : : : :: : : : : : : : : : : : : : : :i ! |: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :`ヽ
        /: : : : : :: : : : : : : : : : : : : : : i ! i: : : : : : : : : : : : : : : : :: : : : : ',
        /: : : : : : ;;: : : : : : : : : : : : : : i | i: : : :r=====ュ: : : :;;: : : : : : i
       /: : : : :;: : ;;: : : : : : : : : : : : : : i | i: : : : : : : : : : : : : : : ;; : : : : : : i
      /: : : : : ;: : :;; : : : : : : : : : : : : : i l l: : : : : : : : : : : : : : : ;;: : : : : : : |

「きゃー!こういう場所って大好きー!ねえシンジ!わたしあのコロッケ欲しいー!」

「あーはいはいわかったよ、金はやるから自分で買ってこい」

僕は財布から五百円玉を出すと、イリヤスフィールに手渡した。

「おつりは貰ってこいよ?ああ、あと、僕の分も頼む」

「しょーが無いなー。わたしに任せなさーい!」

うわー、テンション高いなー……
これは今日の鍛錬がめんどくさいことになりそうだ。


遭遇コンマ判定(直後)

1~2・「あ、兄さんじゃないですか」
3~5・「やあ、シンジくん。忠告は聞いてくれたんだね」
6~9・別に誰とも合わなかった
0・特殊だよ

                 f、  /i/}   ,イ
                  ト、  i V  /./ イ /  ___
                  ト、} \} ゛ /  / ̄ ̄ /
                 i ヘ             ̄_ ニ-‐ __
             从      ,ィ 、         ̄ /

               ヾ   /|ヽ /厶}_i‐‐ヘz_      ≦‐,
              ,‐-、i |゛゙゙'′¨ | |   i}<       ,イ=、
               /ハ/|_}_   ,- } i― 、 | ヽz     / /
                 i | i' ヾi `,    レ'__  ! 刈    ./
                 ヾ ノ-,ィf仞-、/ '⌒ミ、/i__ .リ    /
              {   }'   、   人/⌒ヽ‐‐ V
              ` ‐-' ヽ     ̄       厂i }   「やあ、シンジくん」
                   ',  ‐ ― -- '      ハア′
                   ',          __≦刈    _  「忠告は聞いてくれたんだね」
                 ',_ -‐ ―――===彡'、  イ      ̄\
               /|    f_j        /
               } r‐、     r‐、   //
               ヽ弋ノ_   弋ノ_ 少∧
                〉 f_j _ イ / 〈 l:.:.i
             _/   }/ Y ヽ }  ∧ マ:i
              / ┴―、/   弋丿 i   } マ

「ん?――ああ、アーチャーか。まあね。明らかな死地に飛び込むほど、僕も酔狂じゃないさ」

「ハハ、それで正解だよ。……アレを見ていたら、きっとあの家に行けなくなるところだった…」

そこまでの物なのか…………。
そんな言い方をされると興味が湧いてしまうのは僕だけではないはず。

「ということで、どこか泊まれる場所をさがしてるんだけど……」

「あー、それなら僕の家に来るか?部屋は空いてるし、掃除したら大丈夫だろ」

危険人物が二名ほど居るが、この際気にしては駄目だ。
関わってはいけない類の奴らだからな。

「シンジ、お待たせー!あれ、アーチャーじゃない。ここに居たんだ」

「やあイリヤちゃん。突然だけどぼく、今日は君たちの家に厄介になるね」

イリヤスフィールは一瞬考え込んだが、どうやら問題は無かったようだ。

「うん、わかったわ。せっかくだからシンジの鍛錬に協力してよね、アーチャー!」

「それくらいならお安い御用さ。喜んで引き受けよう」

僕を除いたところで僕の修行プランについてどんどん話が進んでいく。
まあ、アーチャーなら比較的大丈夫な部類だろうが……

「じゃあ、夕方に間桐邸を尋ねさせてもらうよ!」

そう言って、アーチャーは踵を返した。

                            ___
                      ,. '"´    ``丶、_
                         , '       `ヽ、\ `ヽ、
                        ,⊥.     、  \ \}__\ `ヽ、
                     /      ヽ  \ヽ 斥く\\ヽ. \
                   '     i  ヾ┘>'--ゝ``心ヽ\ ヾ.  〉    _,,. -- .._
                      l  ,   l   ∨ ,.ィ¬    ||∨  /  /´,. -‐   _ |
                      | ,'  l   |;抖込.  ,ハ |┴/  /ア´  j   ___'´ |
        _  ,.-       / /   li i  ト、``¨´   ´丿〃 /  ,. ー<_/⌒ヽ 丿
.      //⌒〃       /     li ,'  j-ム... __.. イ´V,イ ,イ  _{_{_{_l_i、\ヽ /  「さあシンジ?わたしたちも動き出しましょー!」
    ,イ ,′ { 、       / /    ' /   /Tf壬__   {¨>ヘ!l{ ! _>-、_____jノ/
.   l l {.   ゝ 二二¨´ /       //  / ノノ-|..._` ̄ ̄\人`<    └―'     「次はどこに行くの?」
.   | ! `‐ ...__,,,.. -''´    , ' 〃  / /´ ̄「`ヽ.ニ..__/ l l、 ヽ

    ', 、             / /   ///´   | =- } /   ,' |ヾ、 |
.    i\        _,. ‐''´ /   ,//´     丿 _,. j/    〃 | ll l
     '、 `ー ..__       , ,イ  ,.イ〃     / ´ /ー┬ァ'' | ll l
     、ゝ 二...___ ̄ _,. - ''´〃| /´|.|l     _ _,,.∠.   レ‐''Tア, ll l
     ` ー==ニニ´-‐ ''"´lレl /  ` _ -‐_/ \      ´,'  ll |
             ,. <´| |′-‐''´ _,. ''´    ,> -=   '  ll |
             ,. ‐'´     ヽ _r‐''´      /\          ll |
        r‐'"´       _/…――---<   ヽ、    ...___jj_∧
    ,. -‐ァヘ. }       ,. ‐''´        __....\        /゚! ∧
,. -‐ァ┴ァ'' \ ∨   /´          ̄      \.       / | ´ ∧
ト、  く__   }_」___/〉                    _> 、  /  i| / 

どこに行こうか(間桐邸・衛宮邸・遠坂邸・新都・新都の公園・学校跡地・教会)
↓一

新都[ビル街]


                          /ニ `ー - <
                    >- - 、}ニニニニニニ l- <
                _  」ニニニニニニ.\ニニニ ヽニニ .∨
                 `Yニニ }ニニニニニlニニ.\ニニニ\ニニ.|
                 | ,ニ/ ニニ l\ニ |',ニニ.\ニニニ',ニ l
                 , /ニニ./ニ / _\l ',ニヽニ .\ニニ ヽニヽ
                   //.ニニ {ニく´    } ニ}ニニ }ニニ`ミ、丶∨
               //ニ`} ニヽニ.゚.    ノニ.人.ニ 人ニニ} 、.Y
               .'/lニニ/ニニ∧ ニ/  くニ.〈 _{ニ}.ニニニ ∨
               {' .{ニ{ニニ. ̄_ヽ  `}/ __} / /' }ニ .〈
                 `ヽ ヽニく.´「 ̄「`  { くア'L ノ_ヽ /  }ニ }
                 人 {`Y 入_ノ_   `ヘ{  ̄ ̄ }'  .lハ}

                   ヘ{ l      ,          / .∧     「来たはいいが……さて、何をしようか」
                      ∧    〈{        /-<
                        、   __   7   , }.∧{
                        \         ./  }' l }' >-  -<
                          「 ヽ     / ̄\.  |_/: : : : : : : _ > 、
                       _ l /   -<     \: : : : : : : : :/: : : : : ∨
                _ -― < ̄: : : :「/,            \: : : : :./: : : : : : : : :∨
          >-< : : : : : : : : : : : : : : : {/ ,              \: :/: : : : : : : : : : :}
          ,' l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ .く  ̄`ヽ.           ヽ: : : : : : : : : : ∧
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          ,': : :.l: : ./: : : : : : : : : : : : : : 47 : : : : _: : : : : : : : : : |     |  > 、∧
       {: : : .l: / : : : : : : : : : : : : : :..47: : : : {ニニニニニ}: .| ̄ ̄ ̄ ̄: : : _.l: : 〉

       l: : : Ⅳ: : : : : : : : : : : : : : : :47: : : : : : : : : : : :  ̄: : |___: : : -: : : : : | {´


「えー?決めてなかったの?駄目なシンジー」

「僕に対する評価ってそんなに揺らぎやすいもんなの?お前そのときの気分で適当に言ってるだろ」

「つまり、シンジの評価は適当ってことよ!」

「酷い話だ……」


遭遇判定
1~2・「ヒャッハー!」
3~4・「『やっほー。』」
5~6・イリヤ(誰よアイツ……見ない顔ね)
7~9・「おおお!慎二殿にイリヤ殿おお!!」
0・特殊だよ

直後コンマ

                           ∧: : /:/: : : : :/: : : : ,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :<____ ,
                          /  \}∧: : : : : /: :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /
                             /      }/}/ イ彡: :__: ,: : : : : : : : : : : : :__,. : : :-: : : : : /
                        |l |               イ: : : : : : : : : : : : : : : : :__,. : : :<
  r=ミ、,=ミ、__ ,.---- 、____,...--===- }ト、{ ;                  /: ,. : : : : : : :  ̄ ̄ ̄: : : : : : : : : : : : ≧=-
   マニ>=/'ニニニニニニニニニニニ' | ∨      /      /イ__:_: : : : : : : : : : : : : : : :_,. : <  ̄
   |二ニ//ニニニニニニニニニニニ ' { じ}     / /´ ̄ `ヽ、  {__ノ` <: : : : : : : rr- 、: : : : : : : 、
   }ニニ//ニニニニニニニニニニニニ!  ∨}    / /         ヽ、__,\     ` <_: : { ー〈: : : : : : : : \
 と¨ニニ//ニニニニニニニニニニニニ|  /    ,ィ{    ①    }イ /: >、     \: .  \/ ̄ ̄ ̄`
   ー{イニニニニニニニニニニニニ {/     `ヽ \         /   /: : /⌒\    ヽ、   `ヽ、__
     |ニニ>  ´ ̄ ̄ ̄ }ニニニ <___,       ` ー― 「` ー- '-<__  ノ:\     \イ: : : :∧
       ̄              |ニニ>- l {\            ゝ、_       `ヽ: : : \    `ヽ、_: : : \   「ヒャッハー!!」
                      |/     | |>、\_  ___,.ィ  r-< ー- 、    ヽ、: : }  \ \}: `ヽ、: :} 、
                 /       { \`_ー_ ̄__,..  ¨´ _, L ノ \: : : `ヽ、     `ヽ     \/:ヽ: : : : : マ\    「オラオラ、どうした子猫ちゃんよお!」
                 `7>、    、     ___,...  - ´   `ヽ   \ /ニニ 、       /: : : : : : : : : マニ>、
                  /ニニ>、  `¨¨¨¨´ \         |__ \  `ヽ、ニニ〉  \  ∨: : : : : : : : : : ::マニニヽ  「この猫避けペットボトルが怖くて何もできねーのかぁ?」
                /ニニニニニ\      |  、         (ヽ`ヽ\     ̄     `/ヽ: : : : : : : : : : :/ニニニ
               /ニニニニニニニ\     !  \      ∧   、__>、_    \/: : : : : : : : : : : : : ∧ ̄ ̄`ヽ     「ケヒヒヒ!ヒャハハハハー!!!」
             /ニニニニニニニニニ 〉   ∧     ',    /  \    ̄`    /`ヽ、: : : : : : : : : : : /  、/////
               /、ニニニニニニニニニ/   / }     :    /     ー _ _/: : : : : : : : : : : : : : : :/    ∨///
           /  \ニニニニニニニニ\     |         /        /ニ\: : : : : : : : : : : : : : : : : /       ∨//

――――――――――――見なかったことにしよう。
あの緑髪の男が水入りペットボトルを振りかざして子猫を追い払っている姿は、きっと幻覚に違いない。

「シ、シンジ……あれって…」

「何もない、何も無いんだイリヤスフィール。あそこには何もないんだよ……」

「え……えー…?」


僕達がその場から離れようと足を動かした、その時。

「―――!誰だ!!」

気付かれてしまった。
どうやら幻覚では無かったようだ。

                             、----. 、
                              _  \: : : : \  ':、
                          __\: : 、: : : : : :∨: : Y
                     __≦--- 、: :ヽ: `ヽ、: : : !: : : },ィ:7
                     \: : : : :- 、: : :\:_: : : :\: |: : :/: :/

                        _>:-:、: : \: : :\`ヽ、: /}: :/: :/:イ
                        \: : : : :ヽ、: : 〉⌒::::::::::、::::::::::`∨:/ィ
                        >: : : : : Y _\::::::}::i{:::/ ∨/
                      /⌒: : :、: : {   下tォ、:::::,::ィォ'ア{/
                        >: :{⌒'        /:.    |
                        ⌒ヽ乂_,      __    ,
                               \八   /_ニ -ヽ  /        「テ、テメエら…!まさか、『アレ』を見たってのか…!!」
                            从 \   ー ` /---- 、

                            /   | ` 、___..イ      >
                               イ/   |  :.    ト、     <
                      ,..--=ニニ{ニ{    |      ' ヽ   /`ヽ、
                  /ニニニニ |ニム   /\       }  /∧ニ \
                  イニ\ニニニニ|ニ } ,イ\:::::≧=-- 、  | /:/  マニニマ=-、
                     /ニニニマニニニ|ニ ∨ニ  `¨¨¨¨\:::`T::´∨   ∨ニニ、ニ==-、
                 /ニニニニマニニ/ニニニ|       `¨¨\::::\   \ニニ\ニニ}
              /ニニニニニマニ/ニニニニ!、         ` ー `ヽ、 \ニニ\ニ|

                /ニニニニニニ}ニ{ニニニニ{:::、           | |  \::\ \ニニ}!|
             /ニニニニニニニ∨ニニニニ|::::::\          | |    }:::::::ヽ }ニニ |
            ,'ニニニニニニニ/ニニニニニ|::::::::::::\         ! !  ,:':::::::::::|/:|ニニ\
             /ニニニニニニニ {ニニ(___)ニ !::::::::::::::::::\     | |  /::::::::::::/::/ニニ /-- 、
           /ニニニニニニニ/ヽニニニニ/::::::::::::::::::::::::\   / j /::::::::::::/:::{ニ\_/ --、 \

「……に、逃げるぞイリヤスフィール!!」

「え、ちょ、シンジ!!」

「逃がすかっつーの!ウロボロス!!」


回避判定(直後)
1~8・躱せるわけないじゃん……
9・奇跡は起きるものじゃない、起こすものだ!
0・特殊だよ

5か6なら詠矢空希だったのか

////'
////{_                ,.--、

//////≧、             /////> 、
//////////> 、         //// <//>、
////_////////>      ////    ` </\
////| `  <////////> 、////        }//}
////|      `  <////ニ//// 、       |//|
////|            `  <///////> 、   |//L
////|            //// ` <//// > 、マ//}       _
////|              ////      `  <// }//|、      ////\
////|          ////           `|//|//> 、_////</}

////|            ////             |//| `  <////\ }/|  _       ,、.r、_,.
////|________////                マ//、    l//-<//{、 /;≧、       {:_:l:/イ
////////////////// /                    マ//、    ///    |/|</= l/ r=、  _,.{{o '/、
/////////////////_/                マ////////     Ⅵ// |/!/={=r、_/|{`´//}、__
////| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                       ̄ ̄ ̄´      ̄  ー' ,..:ー'==}、,!Y//r、//rィ、
////|                                           ///イ}// |::|{/ {  ̄¨`
////ム                                            /// ////::::|//{
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                                   __,,,、イ´;;;;;`>=-、,,,
                                  /;;;γ;;;;;;;;┌;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/_
                                    ノ;;;;;;;;i;;;;;/;;;;ノ;;;;;;/;;;/i;;;;;;;;;;;;;;7
                                 {;;;;;;;;ノ;;;;ノ;;く;;一〈;;;;;!wノ/i;;;;;;;′
                                 i;;;;ノ;;;;;;;イルイ>(;;;γ  彡';;;八
                               ノ;;;/じソ  `で;;)`);ト  (;;ノ;;;ソ)

                                 !;;トj (    `ー= ソ   ヘ;);;(´ソ
                                );〉ー  u        6ソ)ノ)リ
                                 (;/  ;    / ⌒ 、 ゝ/        「ひ、ひいいいいいいい!!!!!」
                                )  \  ヽ - '   ′
                       ,.-ー-:.、__    ┌‐┴¬、,,,, > _ /
                     /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ̄´¨`.:.:.:.:.:.:|;;|;;|:.:. ̄i
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                       /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|;;|;;|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/         \:.:.:l.:.:/:.:.:.:.:.:.:ヽ
                       ノ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|;;|;;|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l           ∨ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\

高速で射出されたアンカーは人間に避けることが可能なほど生易しいものではない。
僕の命は―――この際どうでもいいけど。

イリヤスフィールにだけは、生き延びて欲しかった。

でけどそれも無理だろう。
僕の下半身は蛇に食われて無くなっていたが、視力はなんとか生きている。
ぼくが最期に見た光景は――――――――――その蛇が、少女の頭部を喰らうその瞬間だったのだから――――


DEAD END

>>825 バゼットさんでした

まあ、こんな感じか。練習に御付き合いいただいて感謝感激雨霰


1、銃士VS忍者(ここだけ過去if)
2、慎二「とりあえず、鍋でもやるか」
3、心優しきガンマンの日常[子猫編]
4、心優しきガンマンの日常[落し物編]
×、球磨川さんかんさつにっき
×、KUZUKI  ~灰色の暴力~   ←new!
7、慎二くん修行中![イリヤ先生]
8、慎二くん修行中![遠坂先生]
9、教会に住まう者共 「マジ空気悪ぃわ」
×、轟け!バーニング道場!《間桐慎二》
×、轟け!バーニング道場!《球磨川禊》
12、轟け!バーニング道場!《間桐桜》

>>831

夜にもまた来るよ

2

そういやホロウ時空なのにソラはいないの?

>>832 いるけど今までの流れじゃ出てこれなかった
    てか、ソラさんはホロウ時空じゃなくても居るよ。グミシップ乗って来ればちょちょいのちょいだよ。





【慎二「とりあえず、鍋でもやるか」】


アサシンを始めとしたサーヴァント達が一斉に現界した数日後。
この間桐家ではそれを祝う催しを行おうという話が持ち上がっていた。
誰が言い出したのかはもうわからないが、この再召喚を果たして喜んでいいものか。
ひょっとしたら、何かが水面下で進行しているかもしれないというのに。
―――――だがまあ、嬉しくないといったら、嘘になるよな。

「『で?結局、具体的には何をやるつもりなんだぜ?』」

「わたしとしては、あんまりハードじゃない方がいいですね。あと、出来れば外出は無しで」

「桜殿……たまには外界の空気を吸ったほうが良いのではござらんか?」

「今更サクラに何言ったって無駄よ、アサシン。それよりも面白そうなこと考えて!」

「『僕の意見としてはノーパンしゃぶしゃ―――』」

「それイリヤさんにやらせるつもりですか?わたし以外の女に?それ以上言ったら胴体とお別れですよ球磨川さん」

「『それも已む無し―――とは、流石に言えないかな、はは。…はぁ…。』」

現在はそれに関する会議もこんな感じで、各々が言いたい事をただ捲し立てるだけの惨状になりつつあった。
この状況を打開すべく、僕が持ちだした案と言うのがつまり――


「じゃあ―――とりあえず、鍋でもやるか」


だった。
アサシンは忍者だし鍋とか好きそうだし、そもそも僕の意見なら断らないだろう。
イリヤスフィールは『ニッポンのブンカ』って言っとけば大抵なんとかなる。
問題はランサーが乗って来るかどうかだ。
あいつが乗ってこれば、桜は否応なしに受け入れる。

「どうだ?祝いの席としてはポピュラーだし、悪くない案じゃない?」

僕は、とりあえずここでアサシンの反応が返ってくると思っていたのだが、その予想は外れる。
悪い意味で――――最悪の意味で、大外れだった。


「『いいね、鍋。各自で具材を持ちあって闇鍋としゃれ込もうじゃないか!』」

「は?はあ!?何言ってんだやめろ!お前らに闇鍋なんてやらせたら――」

「なにそれ?ヤミナベ?楽しいの?」

「『そりゃ楽しいよ。とってもね。』」
「『なぜなら闇鍋ってのは、それぞれが選んだ具材を一つの鍋に入れて素敵なハーモニーを奏でようという、親睦を深めるためにあるようなものだからさ!』」
「『選んでくる食材は食材であるならば何でもOK!どう?楽しそうでしょ?』」

あ、これ駄目なパターンだ。
イリヤスフィールは完全に説き伏せられただろう。
そうなってしまうと、僕とアサシンに拒否権はない。
無邪気に弱いところが共通点というのはこの場合皮肉でも何でもなく、完全に悲報だった。

「た、楽しそー!」

案の上イリヤスフィールは目を輝かせている。
ランサーを危険人物だとしっかり認識した上でこれなのだから、精神的には(肉体もだが)やっぱり子供だ。
それを、いまはただ恨むだけである。

「『よし、それじゃあ桜ちゃん。早速食材選びに出かけようぜ。』」
「『しっかり食材を選ぶんだよ?――――あ、未調理もフグとかも無しだからね。』」

「わかってますよ。そうですねー……どうしましょうか、っていってもほとんど決まってるんですが」

そして、あの二人が乗り気というのが何より不味い。
二つの意味で、恐らく不味い。
アサシンは只ならぬ雰囲気に生唾を飲み、イリヤスフィールは無邪気にはしゃぐ。
僕は、今日の夕食になるであろうスーパーの惣菜を、頭の中で選ぶのだった。


まあ、やるからには(せめて僕達だけでも)真面目にやろうとアサシン、イリヤスフィールを連れて家を出た。
ある程度真面目に、と言っても闇鍋というものは難しい。
例え全員が真面目にやったところで失敗するのが闇鍋なのだ。
全員がメイン食材を持ってきて味を潰しあったり、サポート食材ばかりで味気なかったり、果ては全員が〆のうどんだったり。
纏まって食材を購入した方が調和はとれるのだが、それではそもそも闇鍋じゃない。
まあ、なんにせよあの二人のせいでまともな鍋にならないのは明白だったので、僕は考えるのを止めた。

「さて、どうするよお前ら」

「拙者、取りあえず海に行ってこようかと」

「あー海ね、了解……って了解しないよ!海!?なぜ突然!?」

「食材でござろう?拙者、一潜りして来ようかと思ったのでござるが」

「……お、おぅ…」

普通に密漁なのだが、そもそもサーヴァントに法律は通用しなかった。
サーヴァントじゃなくても、このクソ速い忍者を国家権力程度で捕らえられるとは思わなかった。

「ま、まあ良いんじゃない、か?そこまで本気出してもらっても、実際報われないだろうけど…」

「いやいや、球磨川殿のあの目は本気でござったよ!漢の本気には拙者とて本気で答えねばあああ!」

それは確かに本気だったかもしれないが、方向性は絶対に違う。とは、とても言えなかった。
というか、この大声が響く中で何を言おうが伝わるまい。
もう既に走り出してしまったアサシンにその行為が徒労だと説いたところで、何も変わらないのだった。

「……イリヤスフィール。何が食いたい?鍋以外でだ」

「え?ヤミナベやるんでしょ?なんでヤミナベ以外で食べたいものなんて聞くの?」

「その闇鍋が、きっと食えるような代物じゃないからだよ……」







ここまで

               ____
           .x</===ミ、:>:.、

           .〃.:::/ __ ∨:::::::.ヽ
             ,’:::::;'イ´i|:::::|l__|iミ}i:l::::::::∧
            .i:::::::;i:j⌒|:::::||:::||liⅥ:::::::l::i:'
            i|::::|:lj」zミ―'¨ィz≧}{!::::::|::|:’
          .||::::|从.ヒリ    .ヒ}》|:::::::|::|::::,
          l||::::|::';.   l     .i:|:::::::|::|::::::,   「お前ら、仮面ライダー好き過ぎだろ……」
           |||::::|从   、_., .从::::::l/|::::::i
           |||::::|l|:::\    .イ};’:::: j::リ.:::::|
           |||l:::|l乂::_;}`::::´  /::::::::/:/.:::::/     「それと、鯖はスレ主さんによって変わるだろうからなんとも……」
  _ /     Ⅵ:::l|:/ハ ∨.: .,’:::;::く:イ:::/ヘ
 〈_....ノ    ∠乂:∧i:::|三二ミ:i/:::::::.\ー .乂     「まあ、僕作のライダーに至ってはきっとボツだろうけどね」
          /.\\V:|==xノ'::::::r '´..:>ヽ ̄`ヽ
          .j∧ \::人l|l/..:::::::::>'´ ,. ‐}’
         |. ∨ _>ミl´ ‐r<   ./  |∧    「このスレが終わったらまたこの形式の安価スレを立てるつもりなんだけど」
        ノ   }  .|_イ}ト、_ 〉 .∨.:/\  |l:::|
        .,{二ニl{  ./ j/.∨〈:.  Ⅵ∨ .`  `i:|i   「そこにマスターとして鏡ちゃんを出すのもアリかもな」
      人  ,从  ヽ′ .}_/    .}|: ∨:.  .|:||
     ./\:><i    |、       ノl::.  _ >Ⅵ     「メディアさんが反則したせいでマスター枠一人足りないし」
       \:::::::::::::lト:.  }      ./ l| ̄:::::::::::::∧〉
     /:::::>x::::|| i  |    ;’/l|:::::::::::::::::::ィ′

      /.::::/.::;′./\        イ.从`¨¨.T:::::;′
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  ./.::::/::::::::::|ノ::>x `  ― ゜ x<::\’:


七花さんだってそりゃ全盛期の状態で来るだろうし、そうなると否定姫が一緒に現界するんじゃ…?







スーパー[錯乱サー組](←誤字じゃないよ)


「『よし。こんなもんかな。』」

そういう球磨川さんの買い物カゴの中には、大量のメントスと、そしてコーラが入っていた。

「…えーっと、球磨川さん?これ、どんな意味があるんですか?」

「『あれ?桜ちゃん、これマジで知らないの?』」
「『はは、それはいい。きっと楽しいことになる、見てからのお楽しみだね。』」

笑ってる。
しかも、凄く楽しそうに。

「そうですか。じゃあ期待しておきますね」

「『そういう桜ちゃんの選んだ食材は、あー…、意味は分かるけど……うん。』」

球磨川さんがこんな反応をするのも無理はない。
わたしが選んだ食材は―――――ワカメ(生)とワカメ(乾燥)だ。
もちろん兄さんの目の前でこれでもかと言うくらい酷い調理を施すつもりである。

「『凄いよな。努力を惜しまないもんな、桜ちゃんは。』」
「『もうこれ、一週回って慎二くんの事好きなんじゃね?』」

「そうですね。蚊の次くらいには好きです」

「『……桜ちゃんの中で蚊がどれくらいの位置に居るかはしらないけど、少なくとも高くはないだろなぁ。』」

「はい。基本的に虫は嫌いですからね」

「『まあ…そりゃあね。君が蟲好きだったら薄い本だよ。そういうの、もうあるだろうけどさ。』」

「はい?どういうことですか?」

「『いや、なんでもないよ。』」
「『僕も人の事言えないけど、不用意な発言には気を付けようぜ。』」

……それは絶対に球磨川さんが言えることではないと思った。
鍋の具材にメントスとコーラとワカメとワカメを選出したわたし達は、インスタントラーメンのコーナーに足を運ぶ。


別のスーパー[忍者不在の慎二組]


イリヤスフィールがダークホースだというのは、予想できても良かったはずだが、僕はそんなことを露ほども考えていなかった。
なんというか、流石アインツベルンである。
アハト翁が「強いマスターと強いサーヴァントを組ませたら最強じゃね?」と考えているのと同じ。
イリヤスフィールは、「おいしいものとおいしいものを混ぜたら絶対においしいはず!」という思考のもとで行動している。

「とりあえずポッキーでしょ?トッポでしょ?あとは…あ!ネリアメ!これアサシンがおいしいって言ってた!それとそれと…ガムはもちろん欠かせないわ!えーっと、次にー…」

こ、こいつ…馬鹿なんじゃないか…?
それを混ぜたものを自分が食わされるんだぞ?味覚がおかしいのか?それとも頭がおかしいのか?
僕は二人分の惣菜焼きそばをカゴにいれて、その惨劇の前哨が終わるのを待った。
僕が闇鍋(もはや違う意味に聞こえる)に投入するものはイリヤスフィールが持ってきたうちの一つでいいだろう。

「……よし!こんなところね!シンジ、終わったわよ!」

ああ、終わったな。色々と。

「つーかそんなに要らないから。……食べ物を粗末にすんなよ」

「ソマツ?え?食べるんでしょ?」

「……食えるもんならな」

もういいや。そのうちの8割は別の場所に保管しておこう。
犠牲となる二割には申し訳ない限りだが、イリヤスフィールがこれなので止むを得まい。
そもそも、料理として完成している菓子を鍋にぶち込んで更に料理しようというのが分からない発想だよな。
……ん?―――あれ?
こいつ、ひょっとして――――

「なあイリヤスフィール。お前さ、鍋って何か知ってる?」

「ナベ?……ヤミナベの仲間?」

や、やっぱりか!
と言うことは、こいつは菓子を湯に入れて煮込もうとか考えていたわけじゃないんだ!
よかったー!

僕はそこからイリヤスフィールに鍋の説明をして、さらに闇鍋についても説明した。
もちろん、ランサーが何を企んでいるかもである。
その話に戦慄したイリヤスフィールは菓子を棚に戻し、代わりにかまぼこを持って来る。

「ちゃんとした鍋は、今度衛宮達とやろうぜ……」

「………うん」


切り立った崖[斑鳩の熱き獅子]


「うおおおおおおおお!!!この波、この飛沫いい!!イカルガの海を思い出すでござるううう!!!!!」

岸壁の上に堂々と立つ一人の忍者。
紅いマフラーが潮風に靡く。
衣服はいつもの忍者装束――――では無い。
纏うは、赤褌とマフラーのみ。
鍛え上げられたその肉体が、惜しげも無く披露されていた。

「さああ!荒波が拙者を呼んでいるうう!!いざ行かん!熱き魂と共に!!―――とおおおおおおッう!!」

意気揚々と崖から海に飛び込むアサシン。
勿論、岩場に落下するようなヘマはしない。
――――この忍者のギャグ補正は、その程度に収まらない。

「さあ!海の幸たちよおおお!!拙者がおいしくいただ―――」

アサシンが気付く。
背ビレを水面に立てて泳ぐ、明らかに大きすぎる魚影に―――。
つまり、サメだ。
それがいま、この瞬間。水面に顔を出して、大きく口を広げたのだ。

「拙者がおいしくいただかれるでござるうううううう!!?」

一瞬で顔が青くなる。
上に向かって泳ぐように手足を振るが、勿論意味は無い。

「ぐぬぬっ…!かくなる上は……獅子神忍法、究極奥義いい!!」

『萬駆風林火山』。
確かにそれならば、空を駆けることは出来よう。
しかし、いまのアサシン(CS仕様)には―――――風林火山シールが圧倒的に足りていなかった。

「ふうううううりいいいん!!かざあああああぁぁぁ……―――――――」

空しく響く悲鳴のようなそれが、断末魔にならないことを祈ろう。






ここまで

間桐邸[玄関]


僕とイリヤスフィールは、間桐邸の玄関でアサシンの帰りを待つ。
完全なお通夜ムードだった。
なぜならば、もうテーブルでは地獄の扉が開いているのだから。
桜が持ってきたものも嫌がらせではあったが、鍋の具材としては十分にあり得るレベル。
だから、あの惨状は実質ランサー一人で作りだしたわけだ。
もう、流石という他ない。

「ぜぇー…ぜぇー……獅子神萬駆、ただいま帰還…!」

「…おう――――おおう!?なんでそうなった!?」

アサシンは爽やかな笑顔を浮かべているが、―――――半裸で血塗れだった。
その背に担いでいるのは、5メートルは有るんじゃないかと言う……なんだアレ。ジョーズ?
こんなサメが日本の近海に居たとでもいうのかこいつは。

「見ての通り、この鮫と水中で戦った結果でござる…!戦闘自体は難なく勝利したのでござるが、初撃の噛みつきを貰って、このざまでござるよ……」

初撃で鮫に咬みつかれてなお戦い、難なく勝つアサシンがここに居た。しかも水中。
いくらサーヴァントとはいえ、アサシンってそんなに戦えるクラスじゃなくね?
……まあ、今更なんだが。

「そうか。…そうかぁ…」

「では早速、桜殿においしく調理してもらって来るでござる!きっと喜んでもらえるとおもうでござるよ!」

アサシンには申し訳ないが、その鮫はきっと僕達の腹には入らない。
そもそも、僕たちは鍋に手を付けないつもりだ。

「いや……僕達は遠慮するよ。実はもう食べちゃったんだよね」

「ぬお!?そうなのでござるか!?鍋、拙者も参加したかったでござる!」

「鍋はまだやってるよ。僕達が食べたのは鍋じゃなくて惣菜焼きそばね」

「……はて?どういうことでござるか?」

「いやー、スーパーの惣菜焼きそばが死ぬほどおいしそうで買い食いしちゃったんだよね。桜には怒られたけど。…色々と」

「…成程!二人とも、いけない子でござるなぁ!!はっはっは!ならば拙者がまとめて三人分いただいてしまうでござるよ?」

「ああ、是非頼む」

というか――――――その言葉を待っていた。


間桐邸[リビング]


「お待たせしましたアサシンさん!はい、どうぞ♪」

「――――――――――――――――――へ?」

アサシンが見た者は、明らかに鍋では無かった。
というか、只の泡だ。机の上に、泡の塊が置かれた。

「さ、桜殿……?な、鍋は…?」

「これです♪」

これです♪と言われた所で、そこにアサシンが鍋と認識できるものは無かった。
よもやこの女子、狂ったのではあるまいななどと考えもしたが、泡をよくよく見てみると―――

「―――あ。…た、確かに…鍋はあるようでござるが……」

これは、しかし泡の中に鍋があるといった感じだ。
ほとんど泡が本体。

「さ、桜殿……?拙者は、これをどうやって食えばいいのでござろうか…?」

「口に入れて、でしょうね♪」

いやいや、でしょうね♪ではなく……。
そもそも泡は食べれるものでは無いような気がする。
一応、箸で泡を掴もうとするが、勿論意味は無かった。

「いや桜殿……これは絶対におかしいとおもうのでござるよ…お主ともあろうものが、このようなモノを料理などと――――」

「なんですか?球磨川さんの選んだ食材を馬鹿にするつもりですか?」

やっぱりあの男が元凶でござったかあー!!!と心の中で叫んだところで状況は変わらない。
主にも、『頼む』と言われてしまったし……―――――――。

「ぐぬぬぅぅ…!!―――拙者はぁ……拙者はぁぁ……!!!」

参るうううううううううううううう!!!!!
と叫んだ直後、大量の泡を吸い込むように口にしたアサシンは、こう思った。

あ。鍋として見なければ、これ結構おいしいかも知れないでござる。――――と。





「『え!?こんなオチかよ!』」

アサシンが酷い目に合うENDだと思った?
それもうサメで終わったの

1、銃士VS忍者(ここだけ過去if)
×、慎二「とりあえず、鍋でもやるか」
3、心優しきガンマンの日常[子猫編]
4、心優しきガンマンの日常[落し物編]
×、球磨川さんかんさつにっき
×、KUZUKI  ~灰色の暴力~
7、慎二くん修行中![イリヤ先生]
8、慎二くん修行中![遠坂先生]
9、教会に住まう者共 「マジ空気悪ぃわ」
×、轟け!バーニング道場!《間桐慎二》
×、轟け!バーニング道場!《球磨川禊》
12、轟け!バーニング道場!《間桐桜》

>>859

さがっとるやないかーい

1

おお、初めてこのスレで安価取れた

>>860
IDがなんとなくバングっぽいので、たぶんその加護

【銃士VS忍者】

衛宮邸[庭]


俺が縁側に出ると、そこにはヴァッシュとアサシンが向かい合って立っていた。
これから、例の手合せが始まるのだろう。

「いくらうぉーみんぐあっぷの手合せとは言え、ヴァッシュ殿を相手取るのでござる!拙者も気合いを入れて参らねば!」

アサシンは屈伸運動をして、熱気を高めている。
その体からは大気との温度差からか、湯気が立ち込めていた。

「この間までの僕とは一味違うよ。他ならぬきみに、根性叩き直されたからね」

対するヴァッシュは、銃のリロードを行っていた。
いつもなら一瞬で済ますそれを、時間をかけて丁寧に。

「さて士郎殿、いい所に参った!今から手合せを始めるゆえ、合図をお願いしてもよろしいか?」

「え?あ、ああ。わかった、任せろ」

俺は縁側から出て、ヴァッシュとアサシンの間に立つ。
掌を前に突き出しながら、見よう見まねで開始の合図を口に出す。

「―――――…いざ、尋常に……―――」

双方が、構えを取る。
アサシンはいつもの、もはや彼のイメージといっても過言では無い構え。
見開く瞳には轟々と燃える闘志が宿る。
そしてヴァッシュ。彼は二丁の銃を体の前でクロスさせる。
サングラスで覆われた両目には、静かに揺れる覇気が見える。

俺は、掌を上へ思い切り振り上げながら―――叫ぶ。

「――――勝負!!」


先に動いたのはヴァッシュだった。
最初の地点から助走も付けずにジャンプし、空中で逆さに。
アサシンの頭上を取る。

「むむ!これは見事!――しかぁし!」

繰り出される銃弾の雨を、アサシンは両腕をクロスさせて防ぐ。
当然、その程度で防ぎきれるわけもない。
幾発かの弾をアサシンはその身に浴びたが、しかしそれに動じるアサシンでもなかった。

「そうなっては隙だらけでござるよ!―――でええいい!!」

ヴァッシュがアサシンを飛び越えて着地しようとするその瞬間を狙って、振りかぶった拳を放つ。
体重を乗せに乗せた、隙だらけの重い拳。
だが、それは着地に気を使うヴァッシュが生み出す隙ほど大きくは無かった。
辛うじて蹴りを繰り出して相殺を試みるヴァッシュだが、威力の差は一目瞭然。
更に、踏ん張りの効くアサシンに対して、ヴァッシュは未だ空中。
起きる結果は明白だった。

「……ぐ、おお!」

ヴァッシュの身体が、まるで埃のように吹き飛ぶ。
この例えは大げさでは無く、実際にアサシンの拳は風圧だけで土誇りを舞い上げていた。

「どうしたどうしたああ!!貴殿の実力はそんなものではなかろう!!!」

アサシンが吠える。
地面を転がっていたヴァッシュは、その言葉に呼応するように体勢を立て直して膝を突いた。

「いやいや、きみの実力も相当だ。成程、ほんとうに手加減無しってわけか」

「無論!!拙者とて忍の頭領!手加減をしてヴァッシュ殿を下せるなどと思うほど未熟ではござらん!」

「そうかぁ……だけど、悪い。ボクはどうしても手加減してしまうよ。相手がきみなら尚更だ」

「………馬鹿にしているわけではないというのは承知しておるが…ふうむ。酔狂な御仁でござる。――――と、なれば――」

そこで言葉を切ったアサシンは、一度構えを解いて――――大きく深呼吸をした。

「拙者が腕で!全力を引き出す他あるまい!!」


アサシンが動く。
――――――動いた。という事だけしか、認識できない。
それほどの高速。
影を断つほどの高速移動。
動いた時には、もう既に――――

「―――極晴萬駆十字砲!!」

―――アサシンの拳が、ヴァッシュを叩き飛ばしていた。

「…!……くッ、速い!」

「これぞ拙者が引き継いだ武人の想い!!この技がそう簡単に見切られては、拙者の立つ瀬がないのでござる!!!」

俺の視界に写ったのは、アサシンがその言葉を紡いだ数秒と―――そして断たれた残像だけ。
それはまるで四方八方から放たれる砲弾のように、ヴァッシュを狙い、打撃する。
ヴァッシュは勘と予測を頼りにして回避するしかない。
高速で動く、それだけで。
アサシンは攻撃と回避と足止めを、同時に行っているのだから。

「……これは…!やるなアサシン!きみはやっぱり凄い!」

追い詰められているにも関わらず、ヴァッシュは笑顔だった。
それは、そうだろう。
ふたりは今、どこまでも純粋にお互いを高めあっているのだから。








ここまで

これが終わったら、そろそろ新規で始めて欲しい.....

>>870
よっしゃ!任せろ!
と言いたいところだが、お祭りのほうもあるし……

一応、今回の形式でスレタイを凛にするか、貴方作成してコンマスレ(鯖の安価システムは引き継ぎ)かの二択なんだけど……
どちらにせよ、祭りと被ると更新頻度は落ちるかも……

四次はダイジェストでお送りしましょう
基本的にその三騎以外は普通です。御三家だけ空気読んでない。

・ケリィがデップー召喚。(無理矢理)会話が成立する。
・トッキーがザマさん召喚。「キャスターかよ、がっかり」
・おじさんがクマー召喚。「『復讐しようぜ!』」
・おじさんがウロボロスの餌食に。クマー敗退。
・デップーがメタってアサシン相手に無双。ハサン(全員)敗退。
・デップーがメタって龍ちゃんを発見。三枚に卸す。ギルは単独行動。
・ディルさんが正々堂々の勝負を仕掛けてくるけど、デップーがメタってケイネス発見。ケリィの狙撃。ディル敗退。
・王の軍勢と碧の魔導書の相性悪すぎィ!征服王敗退。
・ギル、宝物庫の宝具が消失。犯人はデップー。ギル敗退。
・ザマさんがマーボーそそのかして愉悦ッ!トッキー死去。
・ザマさんがデップー見つけるけど戦いたくないよぅ……汚染もあるし、10年後まで待つ。
・聖杯ヤバいわ。ケリィ絶望。「令呪を以て命ずる!セイバー!聖杯を「OKOKwwwwww」
・DAI☆SAI☆GAI

大体こんな感じ。


その高速の包囲網の中、ヴァッシュは思考を巡らせる。
相手は一人だ。
高速で動いているとはいえ攻撃は近接打撃なのだから、その瞬間ならば位置の特定は不可能ではない。
攻撃のパターンを考えるに、アサシンは自分を一歩も動かすまいとして包囲を仕掛けている。
ならば、そもそも移動できるような隙を作るわけにはいかないのだ。
ヴァッシュが動こうとすれば当然、そこを潰しにくる―――!

「バアアアアン!!」

「来たね!」

アサシンが突きだした拳を、小さく跳んで躱して――――膝を丁度、アサシンの顔面の高さに持って行く。
あの速度だ。当たれば昏倒していてもおかしくない。
だからそれは、当たらなかったのだろう。

「ちぇすとおおおおお!!!」

――――縮地。一瞬にして、隙だらけの後ろに回り込まれた。
突き出された拳は攻撃のためでは無く、躱させるためのブラフか。
放たれる蹴り。彼の身体はまたしても軽々と吹き飛ばされた。
地面を滑り、転がり、そうしてやっと膝を突く。

「……はは、マズいなぁ。実は僕なんかより全然強いだろ、アサシン」

「謙遜も過ぎると美徳ではござらんぞ?このような付け焼刃、ヴァッシュ殿が対応出来ぬわけがなかろう!」

言ってくれる。
確かに、高速打撃は付け焼刃かも知れないが―――縮地については、そうでは無いだろう。
あんなもの、一日やそこらで身に付くハズがない。
動きの細部まで洗礼された、見事な技術だった。

「さあ、もう一度参るでござるよ!対応せねば、これで拙者の勝ちでござる!」


ヴァッシュはもう一度、包囲網の弱点を考えてみる。
先ほどは攻撃を誘ってからのカウンターを狙ったが、それを更にカウンターされた。
高速で動いている以上、一発目の攻撃は誘うしかない。
此方からの攻め手は殆どなく、いい手だと思ったカウンターも反された。
力技――たとえば攻撃を喰らいながら攻撃するという方法も無くはないが、それは避けるべきだ。
アサシンの拳は重い。そう、受ければ吹き飛んでしまうほどに。
『喰らいながら』という前提が、そもそも成立しないのだ。
何とか踏ん張ったところで、反撃できる余裕などあるわけがなかった。
ランサーのような宝具があるというなら話は別だが―――いや、あれは例外だろう。考察する意味も無い。

ならば、やはりカウンターか。
ただのカウンターで足りないなら、カウンターのカウンターを―――更にカウンターするまでだ。

そう決めて、ヴァッシュは構えを取った。
左手と共に銃を肩に担ぐように乗せ、銃口を後ろに。
右手の銃口は、正面に向ける。
これでアサシンが縮地で後ろを取ることは無い。
これから先は、彼の技量と―――そしてアサシンの技量がものを言う。
ヴァッシュが一歩前に出ると―――

「ここでござる!!これぞイカルガ忍者の技あああ!!」

それを潰すように、アサシンが拳を放ってくる。ここまでは先ほどと同じ。



そしてその数秒後には、アサシンが仰向けに倒れていた。


何が起きたのかと言われるとヴァッシュの思惑通りカウンターのカウンターのカウンターが成功したと言わざるを得ないが、そもそもアサシンの縮地を読み切る事など可能なのか。
アサシンの縮地は真後ろに関わらず、全方位に移動できる究極の返し手であり、そして攪乱技でもある。
これで敵を肩すかしにして逃げおおせる、というのがパターンの一つだ。
つまり、途轍もなく自由度が高い。
縮地の後で取る行動には、無限の選択肢があるといっても過言では無いほどだ。
それ故に、ヴァッシュはあえて隙を作った。
そもそも、構えからしておかしかったのだ。ヴァッシュのあの構えは、横からの攻撃に弱すぎる。
しかし、あまりガラ空き過ぎるとアサシンには誘いだと露見してしまう。
あのニンジャは、それくらいの練度だ。
では、ヴァッシュはどうやって隙に誘い込んだのか。

誘い込んだのではない。アサシンが自ら突っ込んできたのだ。
それが、作られた隙だと分かっていてなお。
なぜならば、作られた隙であろうとなかろうと一瞬でも隙があるならば、アサシンの速度で突けぬはずがないのだから。

そこを、利用する。
ヴァッシュはそう来ることまで読んだ上で、あの構えを取ったのだ。
といっても―――――――――構えを取ったのは、アサシンに縮地を選択させるための数秒のみ。
・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・
アサシンが縮地で右側に移動し、脇腹に肘打ちを放つと予想して―――彼はその時点で構えを解いた。
アサシンはそれに気付いていなかっただろう。
パイロットの三割頭と言うように、高速での移動中は思考力が落ちる。
咄嗟の構えの変化など、気付いたところで気にしなかっただろう。

しかしヴァッシュはその動きにこそ、全霊を掛けた。
少し腰を捻るだけ。少し膝を落とすだけ。少し肘を曲げるだけ。
その動作を最速で、正確に無駄なく行うことで――――――――――縮地で移動してきたアサシンの鼻っ柱に、肘鉄を見事命中させた。

「ごッ――――あッ……があああ!!」

高速で移動してきたアサシンは、その肘に激突するだけで低空を派手に回転しながら飛行する。
そのうちに速度も弱まって、背中を地面に削るようにしながら着地した。

「ぐ…おおおぉぉ……!!…お、お見事ぉぉ……」

アサシンは鼻を両手で押さえながら、仰向けのままにそう呟いた。
どうやら本気で痛かったらしい。

「流石だよ、アサシン。きみならきっと、正確に脇腹を狙ってくれると信じていた」

アサシンが予想に反した行動をとればその時点で、ヴァッシュは打撃を受けていただろう。
微妙な体勢変更も『縮地で右側に移動し、脇腹に肘打ちを放つ』という最善の一手ピンポイントにしか効果を発揮しないカウンター。
このカウンターでヴァッシュが信じたものは――――自分ではなく、アサシンだった。

「これでも伝説のガンマンだからさ。銃じゃないけど、狙い撃ちしたんだ。そこはしっかり決めないとね」









ここまで


台詞に・ってどう振るの?


・ ・ ・ ・ ・
こんな感じ?

ブラウザによって文字の幅が変わるから、フリガナみたいに・を配置するのは無理だろうなー
全文字が等間隔になる携帯やスマホのブラウザ向けなら、普通に重ねたい文字の一行上に打つだけ
文字によって幅が変わるPCとかのブラウザ向けなら、AAシミュレーターとかで位置を調整してからコピペかなぁ

>>881
ふむ、わかりました
次からはこういう、こまっしゃくれたことしませんorz

ああ、ついでに祭りの話ですが、鏡ちゃんは落選しましたwwwwwwww
かわりに薄幸そうな女子(ほぼ桜)が通ったので、一応報告。わりと重要なキャラっぽい?
そして鯖はザマさんで通しといたよwwwwwwやったねwwwwwwwwww


「鯖はザマさんのAAで通しといたよ」です、ごめんなさい
全然別人で、一応史実の人。
ただし性格はほとんどザマさん(+クマー)なので問題なく受け入れることができるはず!







倒れていたアサシンがよろめきながら起き上る。
その顔はスッキリしたもので、涙目なことを除けばいつもと変わらない様子だ。

「いやはや、見事でござる!これは拙者の完敗でござるな!」

どうやら決着はついたらしい。
たしかに、これ以上の戦闘はもはや手合せの域を超えてしまうだろう。
しかしその言葉を聞いて、ヴァッシュは不服そうに顔をしかめた。

「なんだよアサシン。こっちがちょっと本気だしたらやめるのか」

「いやいや、本気のヴァッシュ殿を一瞬でも引き出すだけでこの苦労。それに何度も言うように、本気の貴殿など相手にしたらこの身がいくつあろうと持つはずがなかろう!」

はっはっはっは!!と快活に笑い飛ばすアサシン。
負けを認めてここまで嬉しそうなのは、手合せがとても楽しかったからだろう。
反対に、勝ったヴァッシュは口を尖らせて拗ねていたが、一応納得はしたようだ。

「ボクが楽しいのはここからだったのに……しかもボク、一発も銃で有効打とってないじゃないか」

「銃の有効打は出来れば勘弁してほしいでござるが………ヴァッシュ殿の本気を相手取るとなると、最低でも『風林火山』は使わねば…」

「なにそれ?奥義ってやつ?」

「左様。しかし発動条件があるのでござる。今は使用不能でござるよ」

「ふーん?まあ、機会があったら見てみたいね」

ヴァッシュとアサシンは、手合せの直後にそんな話をしていた。
二人の戦闘は、俺視点では一体何が起こっているか全くわからなかった。
高度過ぎて真似できない。そもそも自力の差がありすぎる。
だけど、お互いの戦闘スタイルは知ることができた。
技術と経験で、どんな状況からでも活路を切り開く。
アサシンにはそれだけ技の選択肢があるし、ヴァッシュはそれをするだけのテクニックがある。
変わる状況に合わせて、能動的に戦闘法を切り替えるスタイル。
――――なるほど。正義の味方にぴったりだ。


「ヴァッシュ。アサシン。―――――俺、絶対正義の味方になるよ!」

俺の突然の発言に、

「ええ!?いきなりどうしたシローくん!」

ヴァッシュは大げさに驚いて、

「それは良い決意でござる!士郎殿ならきっと立派な正義漢に成れるでござるよ!!」

アサシンは真っ直ぐに答えてくれた。

そうだ。
――――――『正義の味方になる』
切嗣と交わした、最後の約束。
二人のように真っ直ぐな男に、俺もならなくてはならない。
この力―――――投影で、悪を切り裂く―――。
誰も見捨てない。
俺は、そう改めて決意する。

「――――――――――――よし!!」

「……え?あれ?シロー君?シロー君!?どこ行くの!?」

決意を新たに、俺は走り込みを開始した!

「おいおい嘘だろ!?いま深夜だぞ!戻ってこいシロー君!」

「うおおおおお!!士郎殿も、魂が滾っているのでござるな!?拙者もお供いたすううう!!!!」

「アサシン!?ちょ、ちょっと待って!」

―――――さあ、走り出そう!
―――――黄金の夜明けに向かって!!


                                                fin …?

【Fate】彼らは名無しの聖杯を奪い合うようです (お饅頭ギンガ ◆FR5jPnW6snWhさんのスレ)
【Fate】彼らは名無しの聖杯を奪い合うようです - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377766571/)

宣伝です。
このお方こそ企画の大元。つまり↑のスレが正史と言える。

いや、善でも霊は霊だから破ぁ!でなんとかなる。はず。

>>893
寺生まれのTさんの話は、八尺様と引き分けるパターンもあってな……

>>895
あー…そういわれれば確かに……
しかし『破ぁ!』は宝具だからワンチャン…!

祭りは、そのうち予告らしきものを貼ってからスレ立てするね。








――――――――――――――――――――『聖杯戦争』―――――――――

        ――――――――――――――――――――7人のマスターと、7騎のサーヴァントの、殺し合い―――――――







                 __

             ,  r、´__ `¨  、
           / /」  ヽ―- ミミx ヽ\
          / イ´ ,. |       `ヾ. ハ ヽ

            /  / ハ.! | | |  |  !  ', ',
         /  i  iヾー! ! i! l!  .ト、 l.|   | |
        i   ! `ト==ト、|∨!斗=|七i!´  .| |             ――――その勇は語られぬもの―――
        |   ヘ |ィチミ. Ⅵ '仔ぅミx!   .! |
        | .'   Ⅵ.マ__リ  ヾ b__ンイ!  リ  !
        | ト,    ハゝ   、       l  .′ |                           ο   O     / 。
         .Ⅶハ  圦   r―.、  .イ  ハ  .!                               ヽ。 O     /
         ヾ| ',.  |.:.:.> . `ー'´ .イ/  /.:.:\∧                        ο   ヽ  。  //  O_,
          .}〈|  |.:./.:.:r!≧=≦-'1|  .ハ.:.r‐‐' ハ                                iヽ:''"゙゙'':.,/
          ./ !  l/_.:.人__Y__ . -‐i!  L_V_,、 _!                   -―==ニ二 ;:     :; 二ニ=―‐‐
         /.ィ |  l  _ /_    | /  /.::::::`:.、                     。  'O   :、,. ..,::'、‐-   。
       /.::::.V / 〔_イ:只ト、__:〕  | { ,.イ::::::――‐`>―_ァ                      O   //`v:: 、j  。 O_,
      /.:::::::::::/ /  ./:/ヘ|ヘ     ! l::::::!::::::::::::::::// ̄:::}                       //。  |   ヽ
     ./.::::::::::::l/!  ,〈_/.//|.:.〉   ,.|  !::::l::::::_//.::::::::::八_                     /    ο    O
    (ニニニ./.:::::::Y´::::///::`´:ヽ/.::|  | {ニ..-―:'.:::::;ィ≦>´_!__              /
     ヘ:::::::::::{:::::::::::::::::::i i'i':::::::::::::::::::::::|  i!::::i::::::::,..ィ<:::::::::::::::::::::::::::::::>...、
     /\::∧:::::::::::::::::|.l |::::::::::::::::::::::::! !.リ.:::::〉T Ti>i 、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`´>...、_                 /) /)/)
     / /.|:{ ハ::::::::::::::::!.! !::<_::::::::::::/イ/.:::;イ | |.|  ! i>i 、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>ァ―...、    /∠ /)´)/
    ./ /<´从,ヘ:::::::::::::|.| |::::::::::`¨::::/´/| | i! ! ! |  i! ヘ. > 、:::::::::::::::::::::::::::::::::://.:::::::::::::::`>'´_.ノ ///´    ――その命は儚きもの――――
   / .,イ ,.{´::::::::/.::::::/人\:::::::::::::::::__/、 l ! .リ | | |  |ハ  ∨    ` <:::::::::::::://::::::::::::::::> ´   ̄´//
  .///.//.:::::::〈_`_´/: : :\\_/_,ィ´ /,イ./ / ハ .!  ! }  }        ` </::::::::::::::>´` ̄ ̄ ̄ ̄´´
  // // ,'::::::::::::::|: : : : : :ヘ: : :`ー:ィ:/:リ // / / ,/ 乂 ,リ  !  !           `ヽ:_>´
 .i/  i/ /::::::::::::rノ: : : : : : : ヘ: : :/∠⊥// / / 〃/  ,イ   ! リ
 {'  { '.:::::::::,ヘ|o`i--r―、--「o ̄  _⊥' 、{ 〃/// ,イ.リ  //
 ト、  ∨.:::::::/ o 〉Tー┴-┴‐ゝir o´     ∨{ | !.{ / }/ 〃
 廴\/::::::::/  /::∧: : : : : : : :ハヘ      ∨从 !{ /'  {{
    /.:::__/ /´.::/i: :i: : : : : :〃:ハ::: ̄ヽ     ∨,)_乂_  込_ィ

                _, _             ,         _
 ________i ̄/:;:丶‐、       ,   ノ, _ . -ー '' ~ ̄  ̄ \         _._
  ` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄{_,..}:;:;:;:;:;:;:`ー.、   / !,///zニーィ_,:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ヽ.       , ヘ.  `i
               `丶:;:;:;:;:;:;:;:;:ヽ、!v'.////////////:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::;:;:;L ,,.. -‐'";:;:;:;:;ヽ. _〉

                 }:;:;:;:;:;::;:;:;:;/////////////////丶:;:;__,,.. -‐=" ̄:::::::;:;:;:::::::::::::::::_〉     ――――剣撃は夜の闇に消え―――――――
                {:;:;:;:;:;:;:;:;:;:{////////////////く⌒`:;:;:;ヽ::;:;:;:;:;:;:;:;:;::::::::::::::,.. -‐ '"

                 .\:;:;:;:;:;:;:;〈////////////////、ゝ:;:;:;:;:;:::}:;:;:;:;::::::::::::.,-‐'"
                  /\:;:;:;:;:;冫//,'//,ィ/,' ‐- 、._ヽゝ:;:;:;:;:::::::i::::::::,.-''::::::}
                 /:;:;:;:;:;:;\_,,..7,//!,//y'|/     !ィヽ`:::::::::::::/'":::::::::::::!
                /:;:;:;:;:;:;:;: ∠_   ゙、!{ {ゝ ´ ∠フ lイ:;::::::::,..-‐":;:;:::::::::::::::::i
         _ , .. . -‐´:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;`ヽ.∧!ヽ     / \ ̄:;:;:;:;:;:;:::::::::::::::::/
   _,,. -‐ ":;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:`‐ ` ‐---‐,.ヘ,,.. ィ:;:;:;:;:;:;:;:;:::::::::::::::::/

   ' " ̄ ̄ ~゛``¨ ¬ー --  、 .._:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;`‐-‐´:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::::::::::::(
                       了:;:;:;ー-:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:_,,..、:;:;:;:;:;:;:;:;:;::::::::::::ヽ
                        |:;:;:;:;:;:;:;:;:;:Ti、_;:;:;:;:;:_;:f下、:;:;:;:;:;:;:;:;:::::::::{
                        !:;:;:;:;:;:;:;:;::i ト‐- ニ. ┤| \:;:;:;:;:;:;:;:;:;:::i           ―――――――その後に残るのは、勝利か敗北か―――――

                         !:;:;:;:;:;:;:;:::i i:;:;:;:;:;:;:;:::レ'   \:;:;:;:;:;:;:;:丶
                         i:;:;:;:;:;:;:;::i i:;:;:;:;:;:;::::!      \:;:;:;:;:;:;:;:\
                          }:;:;:;:;:;:;:{.}:;:;:;:;:;:;:::!       `丶、:;:;:;:;:;ヽ
                          }:;:;:;:;:;:::|:;:;:;:;:;:;:::{          `丶、:;:`、

                          {:;:;:;:;:;:;:{:;:;:;:;:;:;::}              `丶、
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                             ゝ:;:-:;:f
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                             {:;:;:;:;:;}
                             .ヽ_/

                             ,.ィ __,
                            /: /イ:/ィ≧

                            /'/: /_ノヽr、_,..       __,
                              {:|: :/イ {ノ ,.-}      |::::/           ―――――交わる憎悪―――――――
                          ∧: :{: :-ミ  / {        }:/
                          {ニ(_,.ィ--- ' _,.ィ__r--、  /'
、                            マニ\: r、<  {:::/ー<_/-、_,...ィ _            ―――――狂う調律―――――――
∧                        r≧=--/ニ /^ヽ|、` \-'ニニニニ/ィ }

、 ヽ                         /ニニ\ニニ{/ニ} }、   \_ニニ/{_/
:', \                    _」ニニニYニニ彡ニヽ:\  { ヽ マニニ                 ――――溶ける混沌―――――――――

 \  }                   「ニニニニ }ニニニニム:::::\ ヽヽ }マニ{
  / |!---、                    /ニニニニニ;ニニニニム:::::::\} }/:::マニ':.
  ,  /\_ノ:.:.、               ,:'ニニニニ> ´ \ニニニニ}::::::::::::/:::::::::\ニ
. / ///∧:.r、:.:`ヽ-、        /ニニニニ/     ヽニニニ!:::::::::::{::o::::::::::}\                          ,イ
_,...イ//////{_|r 、:.:|、ニ\__,.ィニ- 'ニニニニ/        /ニニニj::::::::::::|:::::::::::::::|ニ\、                       //
{ `<-ィァ  | |-、}マニニニニニニニニ/        ,.イニニニ /::::::::::::|::::::::::::::::マニニ\             __,.. - ´/
ヽ、_,.イ  ノ l! } }ニニニニニニニ/       /ニニニニ,'::::::::::::: |:::/^Y 、::::マニニニヽニ≧==-r'⌒}-< ̄ -- ' _,...イ
    ヽ_,.イ _,.ノ /\ニニニニニ>´        /ニニニニニ/:::/ ̄´¨´===、-= マニニニ\ニニ/,ィr、(ヽ_..,-、/´ ̄
     `¨ー- '<////}>  ´ ̄         /ニニニニニニ,',.ィ:.:.:.:.| |:| |{===}| |- 、マニニニニ\{/_,イ¨´ {_/
        \___\//           /ニニニニニニ /:.:.:.:.:.:.:.:{_」 -=====―-{∧ニニニニニ、
               `¨´         ,..イニニニニニニニニ /> ´ニニニニ|ニ|ニニニニ}ニニニニニ\

ヽ_  ` ー-== >. /. . : ̄´: : .─. . 、 ニニニニニニニニニニニニ/ニニニニニニニニニニ/ ./
ニニニ==─- /: /: : : : : : : : : : : : : : ヽ ニニニニニニニニ二/ニニニニニニニニニ二/ ./
.ニニニニニiV: : : : : : : : : : : : : : _: : : : : : : ヽニニニニニニ二/ニニニニニニニニニ二/ ./
ニニニニニ〉: : : :: : : : : `: : : : : : : `: : : : : : :ヽニニニニニ/ニニニニニニニニニニ/ ./
.ニニニニ/: : : ::ヘ: : : : : : : : : ヽ: : : : : : : \: :iニニニニ/ニニニニニニニニニニ/ ./
ニニニニニi: : : : : : ヽ : :_:_: : : : : ハ ヽ: : : <´: :ゝニニニ/ニニニニニニニニニニ/ ./

ニニニニニ|: |: : : : : : \   ` 、: :i ∠、ヽ: : ヽ iへ ヽ'ニニニニニニニニニニ/ ./       ―――貴公は何を望む?――――――
.iニニニヘ::|: : ',: :、: : : .ヽ-    ' イんハ /.!、: : ヽニヽ ヽニニニニニニニニ/ ./
ニニニニニ〉、: ::ヘ: :',`f ん,ハ     ゞ‐ '  ! /≧_、i//ニニニニニニニ/ ./
ニニニニ//=ヽ: :ヘ: ',ヽ弋_ソ   ,       l'仁ニ//二二ニニニニ//
.ニニニ//ニニヽ|ヽ-',ヘ     _  ァ   .∧ニ //二二ニニニニ//        ――――――――地獄よりも醜い争いの中で―――――――
ニニニ//ニニニニニニゝ、::ヽ   ` ´ .∠ヘ ',.//二ニニニニニニ//

..二//ニニニニニニニニニヽ::ヽ二ニニ ´ ∠', i、',ニニニニニニ//

ニ//ニニニニニニニニニニニへ::\ ー  </ .! ー─── へ
../  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  >、:ハ_< /   l    /ヽ   〉  >─!三三三!            ―――――悪を、善を。真実を、虚構を。――
.二二二二二二二二二≦イ   ` ヽ  .l   /   ヽ./ニニ/ /__|三三==============
二二二二二二二ニ=‐            ヽ .!. ∠ __ヽ__ ヽニニ=ニニ.!三三ニi二二二二二二
二二二ニ=-‐ ヽ            > ´ト<三三三三/ ハニニニニ.|三三─============
ニ=‐       ヽ ` ー───<: : : : : :川、ヽヽ : : : :ヽ/ ̄ ̄ ヽil三三三ニニニニニニニ
          ヘ  ヘ |   ,'      |: : : : : :i l !:ヽ:ヽヽ: : ::/      |三三三=============
 ̄ 、      ヘ  ヘ     i   i|: : : : : ヘl |: : ヽ ヽ /          ̄ ̄ ̄
 ̄ヽヽ      ヘ  リ.      l   i|: : : : : : `.!: :/: ::イ
   ヽヽ      Vヽ   、  .!   {: : : : : : : : : イ" /l 、
\  ヽゝ-、    /i:i:i:ヽ  ヽ ',   i: : : : :_ . .': /: i   iヽ
  ヽ  ∧ム_ /i:i:i:i:i:i:i:i:ヽ   iー {─. .´: : : /: : l   |: ハ
.ヽ  / ',i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i: ヽ  、 .|:: :: :: :: ::/: : ::ヘ  /:: ::i 、                 ――――その手で刻む気概はあるか?―――
:: ::ヽ/  .',i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/   /: : : : : :/: : : |: ::ヽ : : : ! \
:: :::∧    ',i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/   /: : :: :: ::/:: :: :/|: : : : : : /    \
::::/: :ヘ   ヽi:i:i:i:i:i:i:i:/   /: : : : : : ::/: :: ::/: |: : : : : :i     i\
:/──ヽ   ` i:i/   /: : : : : : : : : : : : /i: ::|:: :: :: ::ノ     |  \

         -ー= ニー - ― 、__

       ,ゝー'  ̄  /        ヽ /::\
     ー= 二 .>/ / ,ィ     !  \ /::::::::::ヽ  ___
      {:;>'  /  / /,'     l l ヽ l:::::::::::::::!/:::::::::|
    /  ,/ メ / /,ム斗 |   | !  レ::::::ヽ;:〈l;r'⌒ヽノ
    〃,ィ::1/ ィfミl ,// 示ミ| i!    lノ   !:::::\::::y ハ   \
 、_ノ,イ:::::::! /}fツj从! {r,ソⅥ  /   ∧:::::::::::f   |     ヽ
   ,:|:::,xレⅣ゜ 、 ////゚。リy´    ,ィヘ ヽ;_;/|  !     .ト,ハ、_
  _ノ ,7 イ j ! , 、   /ィ′  ∠ノり  /:::::::V ,    |          ――――壊れる者もいるだろう―――狂う者もいるだろう――――
   /f .j  ∧      /   /一彡"ノ,L;// /  ,イ  !
  /:::::::!/|. / ハ、    ,イ  ∧ 彡_,.>'  _.ノイ ,/ .| l ノ         ――――壊れている者だって、狂っている者だっている―――――――――――
 ≠ ̄j! ヽ{, |::::j  ̄ ̄ヽ l,ル'  ヾァ'´.       |./  ヽk!
          レ'     Ⅵ  /∧__ _       |!
             ,ィァ仁;>' r:;/  \
           /,::!  , ―j:| , -    ヽ
          f  |:|_ _ ._ ./;f′  ヽ  、
          l  「i^|」_「|_fラ/         l
          |  |!i! 川  /           {            ,ィi!i|
             ,  ,j!i! l l ! f             〉     ______ /: :i!i|
         〈  ヾ! V∧乂          , __r:=v:.: : :.: :.: :. : :. :.:i!i|
            \  \V∧ ゝ、     ∧: :/::::::〉ー‐、.: : : :.: :. :.i!iト     ―――――――それら全てをその身に背負い―――――
         __ ヾ≠;`V∧  .>===く: :.\:::::ハ::::::::::レ::1: : : : :ji!!  \
          |i!l: :\くム_LlV∧ くムLl_|」イ-―〈:V::::::;;/::::::ト、__,.〃    ヽ   ―――聖杯を手にする覚悟はあるか?―――――
          |i!|: : く::::::}  ハi!、}0 }   K:::::::r::::::V:.\:::::::::::::ト.三く
         li!|: :/:::::|  lム_}i!_iリ   {i!>、:::::::::::}: : : .ー一': : : ゛ミ、     ハ
       /: : : : ヽ::::;.!  |: : : : :!    !: : : ー一': : : : : : : : : : : : : ゛ミ、       ハ
      /: : : : : : : :.:ーl  |: : : : :|    ;: : : : ;iト; : : : : : : : : : : : : : : |i!|.       |
    ,.<: : : : : : : : : : : : ハ   ; : : : :|   ;!: : : //ヘヽ; : : : : : : : : : : : : !i!!.       !
    >ミ\: : : : : : : : : :i!ハ  l: : : : :!  ,!: : ;〃  `ヾ三三三三三彡"      ,
   /  ヾミ三三三三j!i!|| ∧: ;イ: :|. _ノ一"                    /
  ,            _」ト、/ V./ ̄               / /  /  〉
  |          \__/                 /  /  __ ーr,
  l              ̄F!                 〃       い_フ
   ,   i!          ノ,|                     ∧_j〉
   ∨  i!         { l                  }ィハノ~
   r≧、_  /     弋.乂      \〈       / _,イ一′
     ̄ }rく    、   Y  / ヽ       ヽ  ノ  f ト_ノ
       ー廴r‐、}__j _| j!ヾ_く > ー    r‐ミ、__ ノ

           ̄     ̄ ~  'ーzノZ_V_ヽ/ー′

エ エ|//l 77\ \夫l夫l夫l天l天天天天天天_天天天天天天|天|夫|夫|夫/ /77|//|エ エ
 エ .|//|'777\ \夫|天|天|_ィ≦ ̄ ̄Yi'´ ̄ ̄`:iY ̄ ̄≧、.|天|天|夫 / /7777|//| エ

エ エ|//l \7777\ \/´ヾ. マ 、   .| !     .l l    ./ ,r'`iヽ、/ /777/|//|エ エ
 エ .|//|xxx\7777\ ,`< ,ヘ__∨__.l-`≦- ≧'-l__/__/   >'、/7777/Xx|//| エ
エ エ|//|'XXXx\_/´> 、>'´   .:   :   : | | | :   :  :  `''< ,_<´ヘ__/'XXX,|//|エ エ
 エ .|//|XXXXxl工 {__/:   :  :   :   : | | l :   :  :  :  :V__}.工!'XXXX,|//| エ
エ エ|//|XXXXx|エエ| | :   :  :   :   : | | l :   :  :  :  : | |エエ|XXXXx|//|エ エ
 エ .|//|XXXXx|エエ| | :   :  :   (` : | | l : .´)  .:  :  : | |エエ|XXXXx|//| エ
エ エ|//|XXXXx|エエ| |===l{======)===-| | |-===(======}!===| |エエ|XXXXx|//|エ エ

 エ .|//lx 、.λィ;|エエ| | :   :  :   (_, : | | |   、).. :  :  : | |エエl;、λ.ィ x|//| エ
エ エ|//|x .)νノ;|エエ| | :   :  :   :   : | | l :   :  :  :  : | |エエl; )νノ.x|//|エ エ
 エ .|//|X,マY7x|エエ| | :   :  :   :   : | | l :   :  :  :  : | |エエ|xマY7'X|//| エ
エ エ|//lXX∨ x|エエ| | :   :  :   :   : | | l :   :  :  :  : | |エエ|'x∨XX|//|エ エ
 エ .|//|XXXXx|エエ| | :   :  :   (` : | | l : .´)  .:  :  : | |エエ|XXXXx|//| エ
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 エ .|//|XXXXx|エエ| | :   :  :   (_, : | | |   、).. :  :  : | |エエ|XXXXx|//| エ
エ エ|//|XXXXx|エエ| | :   :  :   :   : | | l :   :  :  :  : | |エエ|XXXXx|//|エ エ
 エ .|//|XXXXx|エエ| | :   :  :   :   : | | l :   :  :  :  : | |エエ|XXXXx|//| エ
エ エ|//|XXXXx|エエ| | :   :  :   :   : | | l :   :  :  :  : | |エエ|XXXXx|//|エ エ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


―――――――――――――――――――ならば―――――――良いだろう。

―――――――――――――開くがいい、その扉を。



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聖杯戦争開始二日前 ??:??【???】

                    /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニヽ
               /⌒ ー---イアニニニニニニ/ニニニニニニニニニ!
              '   l_,.---<_,..  -― アニニニニニニニニニニ |____
             /   ,. ´         _,.ィニニニニニニニニニニニ/{ニニニ>--- 、__
          _,.'- ´   _,..イニニニ/ニニニニニニニニニニニニ/:::∨ニニニニニニニニ`ヽ
       /⌒: .、 ` ¨¨¨¨¨¨¨ ⌒<ニニニニニニニニニニニニ/:::::::::::::、ニニニニニニニニニ}

  _,.. -: : ´: : : : : : :_\  、__,....._   ` <_ニニニニニニニニ,..::':::::::::::::::::::::〉ニニニニニニニニ '
: ´: : : : : : : : : : : : :´ : : :ヽ  `ヽ、_ニニ> 、___アニニニニニ>´::::::::::::::::::::::::/ニニニニニニニ/
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :}     `ヽニニニニニニニ>:::´::::::::::::::::::::::_,...ィニニニニニニニニ/
`ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : _,.ィァ---:..、  \、__>::::´::::::::::::::::::::::::::,..ィニニニニニニニニニ /    「はは!いいですねぇ!」
  \: : : : : : : : : :,.. <  /ニ\::::::::\  \_:::::::::::::::::::::::::::::::,..ィニニニニニニニニニニ /
> 、 \: : : :_,.. ´、ニニニニニ>、:::::::\___ァ:::::::::::::::, ィニニニニニニニニニニニ/\     「…どうやらあなたは私にとって、とても都合のいいマスターのようだ」

ニニニ=-<_    <ニニニニニニニ≧====≦ニニニニニニニニニニ___,.イ: : : : : : .、
ニニニニニニ >、   ` <二ニニニニニニニニニニニ__,..r: 、  l ̄〉: : : :、: : : : : : :{ `\    「初日の、しかも召喚直後から三人も『喰える』とは。嬉しい誤算です」
ニニニニニニニニ|       |: `: <ニニニニニイ、: : : : |   \:∨-': : : /⌒\ : : : : |
ニニニニニニニ ,       |: : :、: : \ニニイ    }:/ : /       〉}: :|: : : {    \: : : .
ニニニニニニニ/          \: :\: :{  ̄      /}/       ,: |从{\: :!       \: :〉
ニニニニニニ /            \: :\:、  、_  '   ,    .イ: :!    `\       \
ニニニニニニ,'             >--≧=- 、_ ̄ ´   / |⌒、
ニニニニニニ{           /ニ{   |   、       イ    |  } 、
ニニニニニニ|          /二ニ|  \  ` ー   ´ /   /  /ニ\


「――――――――――――――、――――――――――」

「おや、ならばこれは偶然ですか。それはなんとも、運が良い!」

「――――、――――。――――――――――」

「あ、いえいえ。運が良いのはあくまで私です。あなたのことなんて、知ったことではありませんから」

「―――――」



「関係ないんですよ、そんなことは。出来ないなら、させるまで」

「――――――?―――――、―――――――――!」

「あーはいはい、声を荒立てないでください。耳が痛い」

「―――――、――――――」

「そうですね。具体的に言いましょう。あなたはもう『こちら側』です」

「――、―――――?」

「ええ。後戻りはもうできません。―――――どうやらまだ迷っているようですねぇ……」

「―――――――、―――」


ニニニニニ,/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ /、ニニニニニニニニニニニ/:::::::::::::::::::::::::/ニニニニニニニ
ニニニニ/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ニニニニニニニニ
ニニニ/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ニニニニニニニニニ
ニニニ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,..:'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.ィ≦ニニニニニニニニニニ/
\ニ' ̄ ̄ `ヽ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ニ≧、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,...ィ≦ニニニニニニニニニニニ/

  ´       `ヽ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,.:'ニニニニニ≧=-----------=≦ニニニニニニニニニニニニニ/
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.'              ヽ:.:.:.:.:.,.ィニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ ィ
                  }:.'/ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ>. :´: /
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           ∧: : : : : : : : : |   \ 弋 i ォ<__________,.ィ /´   ,:': /: : : : :/
           / ∨: : : : : : : : :.    ` ̄ ¨  `ヽ` \: :l: : : : : :./: /         /: /: : :/: /
            /ニ\∨: 、: : : : : : .               }: |: : : : :./}:/         /: /: : :イ:./ 、
         /ニニニム: : \: : : : :',                |/|: : : / /         /イ: ://イニニ > 、
          ∧ニニニニヽ: : \: : : :、             / /: /:|          ///ニニニニニニニ> 、
        ,  ヽニニニ| \:} \: : :\             / ´  |         / イニヽニニニニニニニニ> 、   「では、問いましょう」
`  、_    {    }ニニニ!   {  、` ー-`               ` ,    _    ,.:'ニニニマニニニニニニニニニ
        ̄ ̄ ´ /ニニニ{   ∧ \   __         、    ,.:'     ,.:'´ /ニニニニマニニニニニニニニニ     「あなたは――――――殺られる側ですか?」
            /ニニニ |    ∧   、   \          _/  __/  イ /ニニニニニ,ニニニニニニニニニ
        イニニニニ!    ∧   \   `   、__    _,.ィ/  ,:'   {ニニニニニ }ニニニニニニニニニ
ニニニニニニ/ニニニニl|      \    、     ` 、  ̄ ̄ /    /    |ニニニニニ |ニニニニニニニニニ    「それとも――――――――――――殺る側ですか?」
ニニニニニニ,'ニニニニニ}       \   \        ` こ´_,..:  ,.:'    l|ニニニニニ |ニニニニニニニニニ



「―――、――――――」

「今までのことは聞いていません。私が問うたのはこれからのあなたです」

「――――――――――――、――――」

「ええ、答えはまた後日にでも。ただまあ……始まる頃には決めておいてくださいよ?」

「―――?」

                  __|ニニニニニニニニ,ィ}ニニニニ}
                 /ニ}ニニニニニニニ/:/ニニニ,ィ
                /ニニ|\ニニニニ>´:::/ニニニィ: |
             {ニニニ{:::::::::::::::::::::::::::::,.ィニニニ/: :|: {

             乂ニニニ>=====<ニニニイ!/ }: 从`
              ` <ニニニニニニニ>´Ⅵ|.イ: /=、_

                 {∧: :{:、-=、}:/ '    リ} Ⅵニマ>、
                    /  \〉ム / 、    ,イ ' |/ |ニニマニニ>、
                     /\ ー= ´ / ,:'  }ニニ}ニニニニ> 、_     「そのくらいは、あなたでも知っているんじゃないですか?」
                    /ニニ}>、__....イ /   !ニニ|ニニニニニニニニ>、
                        /ニニニ|ニニ| ∧∧  /|ニニニマニニニニニニニニニ}
                    /ニニニ jニニ / {^:::}∨ !ニニニ}ニニニニニニニニニ       「戦争ですよ。――――『聖杯戦争』。私はそのために喚ばれた駒です」
                      {ニニニニ|ニニ|  |:::::|   |ニニニ|ニニニニニニニニニ|
                   \ニニニ|ニニ| /:::∧  |ニニニ|ニニニニニニニニニム、     「あなたの願いと、私の願い。共に叶えようではありませんか!」
                     、ニ/ニニ∨::::/::::l   |ニニ ムニニニニニニニニニニ}
                     ∨ニニ/::::∧::::|   !ニニ ニ\ニニ 、ニニニニニニ\_
                           }ニ /:::::::/ }::::|   }ニニ、ニoニ \ニニ\ニニニニニニマム
                      |_/::::::::::∧ /イ   !ニニ マニニイ\ニニ 、ニニニニニ マニ 、               /
                            /ニ\:::::::/|:::::、 | |  |ニニニ∨、ニ \\ニニ\ニニニニ \ニ\        /ニ
                        //\ニ\,'ニ、:::::\}  }ニニニ \\ニ } }ニニニ、ニニニニニ\ニ}      /ニニ
                    { { / /}ニマニム::::::::\ /!ニニニニ \_/ニニニニ\ニニニニニマニヽ、    /ニニニ
                     ー-' /ニニマニム:::::::::/:::\ニニニニニニニニニニニ }ニニニニニ}ニニ\/ニニニ/
        r- 、            /ニニニマニム::::::{0::::::::\ニニニニニニニニニニ lニニニニニ|ニニ/ニニニ/
    「 、   \/\_           イニニニニ }ニ/::::::|::::::::::::::::\ニニニニニニニニニl!ニニニニニ}ニイニニニ /
    | }、   }ヽ: : :}ヽ r=≦ニニニニニニニ,'ニ/ ::::: |0:::::::::::::::::::\ニニニニニニニニ/ニニニニニ|ニニニニニ/

    |「Y ー-イ: : : : :\`¨\\ニニニニニニ}イ:::::::::::,::::::::::::::::::::::::::::\ニニニニニニ/ニニニニニ /ニニニニニ{
     ヽr=ミ=- \: : : : : :ヽ  } }ニニニニニ/:::::::::::::::/{):::::::::::::::::::::::::::::::\ニニニ/ニニニニニニ/ニニニニニ,'
      `} ーr=、_\: : : : :} / /ニニニイ 「::::::::::::::イ 「\::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ニ/ニニニニニニニ/ニニニニニ/

        ー} ー' ノ-  ´∨イニ/¨´rr=/¨7 ̄ ̄ ̄「¨ヽ-、::::::::::::::::::::::::::::::::/ニニニニニニニ,イニニニニニ/
          `¨´      ̄ ´   //:/ /: ==== / /: / 〉⌒\::::::::::::::::/ニニニニニニニ/ニニニニニ/
                     「//:/ / : : : : : / /:={ /=ミ、: : \:,. イ\\ニニ/⌒マニ/ニニニニニ /
                    /ー'¨ー'¨¨¨¨¨¨ ーく:_:_/: : : : :\/: : : \ ヽ マニ{ニ()ニ}/ニニニニニ/

                       /ニニニニ{ニ/ニニニニニ>,イ、: : : : : : :∨} }ニ|ニニ|ニニニニ イ
                    /ニニニニニ|ニ{ニニニニニニニ≧; \: : : : : }/イ-l|ニニ|ニニ /











     「あなたの望みは、ここで生まれ――――ここで終わる」

  
                           「この世界よりも悪辣に、狂ってみる気はありますか?」












                                   ,./
          _          !          _,._ィ/
        '´¬‐、`ヽ       |l        ,. '',~‐ァ゙´`
   i       _┌───┐  l::l  r┐  ./::/:/_         i
    l'、   ,.:':´:::::::::`ヽ 「`ヽ│   l:::l l | /;゙::,'´::::::::::::::`ヽ    ,.'!
   ';::':、 /:::::;‐'"´ ̄`| | _ l_| _ノ::::乂 |_:_::|::::r'"´ ̄`ヽ;:::`, ,、'::/

    ヽ;:::`:::::/  ,. -.. 、| |丿|. / r、 ヽ`┐┌〃´_`ヽ,.. ‐ 、 ゙;::::'´::; '゙
      `ヽ:::{ /'´ ̄ヽ| _  !_{  }:| |;;;゙| |.イ f;;;;i i'´ ̄ヽ }:::/´          Fate/No name ~名も無き聖杯戦争~
       ヽ;'、     | |`; |'゙冫'´, |;;;゙| |`| ┌─┘     /,:'
          `'ー   | |:::l」イ / l |/ | | _i !   _   ‐''´
                __j 〔_:{  じ 「八 `人 `ー'/
            └ァ‐n‐┘フー'^ー{ _cケ´ r iー'n_                                   Coming Soon !!!
            fr、}f トr<ャvァ::rニ、「lr‐ャ| |‐< r′

           /ト''_)!_7c゙{ ヽ∧j_l:l_|j_|〉,くj_|゙l_{_ソ
          /:/      ̄(_ソ  ';:::;'
         //             V
      ノ/


という、ここまでが予告編です
『名も無き』スレ立てしたらこっちのスレ死ぬかも……

先にこっちのスレの残りの短編を見たいです

>>913
マジか。…じゃあ同時進行かな……

×、銃士VS忍者(ここだけ過去if)
×、慎二「とりあえず、鍋でもやるか」
3、心優しきガンマンの日常[子猫編]
4、心優しきガンマンの日常[落し物編]
×、球磨川さんかんさつにっき
×、KUZUKI  ~灰色の暴力~
7、慎二くん修行中![イリヤ先生]
8、慎二くん修行中![遠坂先生]
9、教会に住まう者共 「マジ空気悪ぃわ」
×、轟け!バーニング道場!《間桐慎二》
×、轟け!バーニング道場!《球磨川禊》
12、轟け!バーニング道場!《間桐桜》

>>915

12
とりあえずバーニングコンプリートしよう

【轟け!バーニング道場!《間桐桜》】

衛宮邸?[道場]


師匠「ここはバーニング道場……全ての若き芽に希望を与える、正義の相談室でござる!」

弟子4号「わたし、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンこと弟子4号と!」

師匠「拙者、獅子神萬駆が!悩みを聞いて、それはもうズババッと解決ゥ!」

弟子4号「さて、今回の相談者はー?―――……はぁ、なるほど、こういうオチね」

師匠「ぬ?どうしたのでござるか弟子4号!一体誰が相談者なのでござるか!」



桜「ああ、わたしです」



弟子4号「こういうオチよ。わかった?」

師匠「いや、オチもなにも……この道場がまるで今日で終わるかのような言い方でござるな」

弟子4号「実際終わるわ。いろんな意味で」

師匠「い、いったい今宵何が……!」

桜「あのー、相談してもいいですか?」

師匠「むっほ!そ、そそそうでござるな!相談!なにはともあれ先ずは相談でござる!」

弟子4号「気を付けてね……きっと師匠に対応できる相談者じゃないわ」

桜「じゃあ聞きますけど……愛の止め方ってわかります?」

師匠「愛、でござるか……?」

弟子4号「こ、これはちょっと予想外の内容だったわ」


師匠「えーっと?桜殿は愛を、何故止めたいと申す?」

桜「それはですね、これ以上愛が強まると……球磨川さんを照れ隠しで殺してしまいそうで…」

弟子4号「…『強い想いのこもった現象は無かったことには出来ない』んだっけ……恐ろしいよ、愛」

師匠「はっはっは!そんなことでござるか!」

弟子4号「う、嘘でしょ?師匠、こんな質問に答えることが出来るって言うの!?」

師匠「拙者とて、愛に生きる者でござるからな!同じような経験があるのでござるよ!愛で赤鬼が死ぬところでござった!」

弟子4号「わ、わからないけどすごい…!」

桜「本当ですか!解決策!教えてください!」

師匠「ふっ……簡単なことでござる。それは――――」

桜「そ、それは…?」

師匠「それは―――――愛を強めることでござるううううううう!!!」


桜「そ、それはどういう……」

師匠「愛と言うのは御しきれぬもの、しかあし!同時に達観するほど強まればそれは最早逆に安定致す!」

桜「…!つ、つまり、愛の高速安定ライン!」

師匠「その通りでござる!!さあ、ここまで来たらとことんまで行ってしまわれよ!!」

桜「なるほど……、なるほどぉ…!さ、流石ですよ!もう行けるとこまで行きます!!」

弟子4号「ヤバい、ヤバいわ…!こいつら変に相性が良い!」

桜「ははははははははは!!!楽しい!人生って楽しいですね!!!!!」

師匠「然り!!さあ、愛に向かって駆けぬけるでござるううううう!!!!!!」




その数日後。
間桐邸が愛で半壊する大惨事に、それは発展するのだが……

それはまた、別のお話


1、銃士VS忍者(ここだけ過去if)
×、慎二「とりあえず、鍋でもやるか」
3、心優しきガンマンの日常[子猫編]
4、心優しきガンマンの日常[落し物編]
×、球磨川さんかんさつにっき
×、KUZUKI  ~灰色の暴力~
7、慎二くん修行中![イリヤ先生]
8、慎二くん修行中![遠坂先生]
9、教会に住まう者共 「マジ空気悪ぃわ」
×、轟け!バーニング道場!《間桐慎二》
×、轟け!バーニング道場!《球磨川禊》
×、轟け!バーニング道場!《間桐桜》

>>923

このスレが終わるまでに書けなかったのはお蔵入りですよ、っと
ここまで

9

あっちとんでもない状況だし、今日はお休みっす
移転ェ…

どういうこと?

>>930 昨日はサーバー移転で書き込めなかったんだ……それで祭スレが中途半端な感じで止まってたから……






【教会に住まう者共 「マジ空気悪ぃわ」】


教会。
冬木の地にひっそりと佇むそこには、一人の少女と、二人の男性が居た。

「……………」

「…………………」

「――――……」

「…あのー、空気悪いですよ皆さん。何かお話でも……」

黒いスーツにハットを被った緑髪の男がそう切り出したが、反応する者はいない。
法衣に身を包んだ少女は何の感慨もなさそうにステンドグラスを見つめたまま。
筋骨隆々、武人然とした雰囲気を漂わせる男は腕を組んだまま無言だ。

「……えー…なんで私がこんな役買ってでないといけないんでしょう……あなたたち自分勝手すぎやしません?」

「―――――……」

「………………ふん」

「あ!いま反応した!ライダーさんいま反応しましたよね!」

「…………」

「……無言ですか。わざわざ拾ってやったのに無言ですか」

緑髪の男の顔には笑顔が浮かんでいるが、それは完全に引きつっていた。
ハットに置く手に力が入っているのがわかる。

「あのですねぇ。私、用があるからとここに呼ばれたんですよ」

「―――――…」

「……」

「ねえ、聞いてます?貴女に呼ばれたんですよカレン・オルテンシア!」

「―――――――……」

「………………このっ…クソアマッ…!!」

緑髪の男の瞳に殺意が込もった、そのとき

「あら。いたのですか、ハザマ。てっきりうるさい蠅かなにかかと」

少女―――カレン・オルテンシアはそう返した。


ハザマの脳内でいろいろなものが弾け飛んだ。
それは、一転して笑いがこみ上げてくるほど。

「……ケヒ!ケヒヒヒヒ!…ヒャハハハハハハハハハ!!!」

その狂ったような笑みのまま、腰のバタフライナイフに手を回す。
完全にぶち切れていた。
その瞳には殺意しかないといっていい。
しかし―――――

「うるさい、蠅」

カレンが投じた真赤な布で、その動きは封殺される。
『マグダラの聖骸布』。男を拘束する効果をもつ礼装。

「テメェマジコロス!解きやがれゴミクズ女ァ!!今日と言う今日はぶっ殺ス!」

教会の床でマグロのように跳ねるハザマ。
まぬけこの上ない。

「間抜けね、蠅。蠅だから性別が分からなかったけど、どうやらその分ではオスのようね」

「……っ!マジで刻まれてえみたいだなオイ!上等だオラァ!死ねクソが!!」

ここまで暴言を吐いているのに、ハザマに出来るのは跳ねることだけ。
カレンはそれを実につまらなさそうに眺めていた。

「……語彙が貧弱ね。何度も聞いたセリフです。あなた、ひょっとして馬鹿?」

「…!殺す!テメェマジ殺す!!」

「ほら。二回目の『てめえまじころす』」

「……!ケヒ!ケヒヒヒ!いい度胸だこのクズが!後でどんな目に合うか……!」

「あら。頑張ったじゃないですか。ニュアンスに大差はないけれど、新しい語彙ですね」

これから似たようなことが延々と続く。
……いつもの事だった。


「……ふん」

ライダーは教会から出て、間桐邸に向かう。
あの光景は見飽きた。
好敵手と拳を交えた方がどう考えても有意義だ。

「馬鹿な男だ……あの女に逆らおうとは」

ライダーはアサシンとの戦闘で改心した。
その為か、カレンに反発して無暗に懲罰を受けようなどとは考えない。

「これも、やつのおかげ……か」

これから向かう間桐邸。
獅子神=バングとの決闘に、ライダーは胸を躍らせる。

「……ふっ。待っているがいい。――――今日こそは分けで終わらんぞ……!」


「がああああああ!!!テメェマジコロスぞおおおおおおおおおお!!!!」


……いい話風にまとめようとしたライダーだが、後ろから聞こえてくる騒々しい声で台無しだ。
聖帝は、この生活がいつまで続くのかと―――悲哀に満ちた目で空を眺めた。






このレスでまとめて安価も取ってしまおう

×、銃士VS忍者(ここだけ過去if)
×、慎二「とりあえず、鍋でもやるか」
3、心優しきガンマンの日常[子猫編]
4、心優しきガンマンの日常[落し物編]
×、球磨川さんかんさつにっき
×、KUZUKI  ~灰色の暴力~
7、慎二くん修行中![イリヤ先生]
8、慎二くん修行中![遠坂先生]
×、教会に住まう者共 「マジ空気悪ぃわ」
×、轟け!バーニング道場!《間桐慎二》
×、轟け!バーニング道場!《球磨川禊》
×、轟け!バーニング道場!《間桐桜》

>>935

ここまで


台無しちくしょうwwww
7で!

【慎二くん修行中![イリヤ先生]】



間桐邸[地下工房]


「ほらシンジ!もっと集中!魔力全然沸いてないよ!」

「………!」

僕は現在イリヤスフィールの指導の下で、人形と視覚を共有する魔術の鍛錬を行っている。
出来はいまいち…どころか、壊滅的だ。
全くもってイメージが出来ない。

「………っ!…―――駄目だな、これは……たぶん向いてないぞ、僕」

「……はぁー、そうね。確かに全然だめだわ」

「やっぱり使い魔関連を伸ばした方がいいんじゃない?それなら辛うじて向いてるんだろ?」

イリヤスフィールが予想するに、僕の起源は『支配』らしい。
生き物を従える力―――――間桐の代表的な魔術。
ただ、やはりそこは僕なので大したことは出来ない。
イリヤスフィールが微弱な魔力で急増した低レベルな使い魔を乗っ取るのがやっと。
自分で生き物を使い魔にすることには、まだ成功していない。
練習次第ではどうにかならないでもないという話だったのだが…―――

「シンジが目指すのは先生でしょ?えり好みなんてしちゃだめよ」

「……いや、まあそうなんだけどさ。………一つくらい極めてみるのもいいんじゃないかと…」

「それは止めておいたほうがいいわ。どうせ中途半端なところで限界がくるもの」

「なんでそんなことがわかるんだよ」

「わたしの膨大な魔術回路があってそれだもの」

「……いや、でもそれはお前の主観だろ?他の誰かに言われたってわけじゃ――」

「リンも同意見だって」

遠坂め……現界なんて来てみなければ越えられるかさえわからないんだぞ。
もっと浪漫を持ってほしい。

「マキリの領域にはどうあがいても辿り着けないんだから、速めに諦めた方がいいわ」

「……あそこまでは、別に目指してないけどさ」


そう考えると、間桐臓硯と言う魔術師は本当に凄い人物だったのだろう。
あれだけの量の使い魔を同時使役して、さらに自身まで形成するとは。
その血を引いている―――と言われても、全く実感がわかない。

「あそこまでの領域―――これはお前の製作者も含めた話だが――その領域に踏み込むまでに、何年掛けたんだろうな」

「かけたのは年月じゃないわ―――――魂よ」

――――幼女の癖に、カッコつけるんじゃない。

「シンジ、勘違いしないでね?魂を掛けて魔術を極めるというのは、廃人になる覚悟のある者のすることよ」

「―――……ぼ、僕にだって、そのくらいの覚悟は―――」

「あってはダメなのよ。だってシンジは……先生になるんでしょ?」

………むう。
幼女に論破されてしまった。
実年齢が年上なだけはある。

「魔術師っていう人種は、揃いも揃って狂人よ。リンもシロウもそうだし、サクラなんてあの通り。だけどシンジはああなっちゃ駄目」

「それは―――魔術師になるな、と言っているのと同じだろ」

「……――『魔術師じゃなくて、魔術使いになれ』――――わたしの父親、キリツグが士郎に言った言葉……」

「……どういう意味だよ、同じだろそんなの」

「魔術師は、根源への到達を望む者。利己で魔術を使う者。……シンジが目指す先生は、こういうものじゃないでしょう?」


「………わからないな。一つの魔術を極める事が利己なのか?」

「利己でしょ?それって虚栄心じゃない?」

―――その、通りだ。
確かに、見栄を張りたいだけか。
―――――――五大元素―――――虚数属性――――――――投影魔術。
あいつらみたいな『特別』を、愚かしくも高望みした。
僕に魔術回路があるというそれだけで――――すでに十分、奇跡なのに。

「……虚栄、だな」

「そうよ、わかればいいの」

「だからって、指導者が教え子より劣っているのは駄目だろ」

「劣っているのはいいわ。駄目なのは教えれないことよ。名選手が名監督に成れるわけじゃないっていうのは、逆も然りなんだから」

なんで今日はこんな突っかかってくるんだろう。
こんな語彙とかあるんだな、こいつ。

「…はっ、元気付けてくれるのは嬉しいけどね」

「そんなのじゃないよ?ホントのことだもん」

イリヤスフィールが置いてあった人形を手に取ると、こっちへ放り投げる。
僕はそれを、片手で難なくキャッチした。

「世の中にはキャッチボールが出来ないコーチだっているかもしれないでしょ?出来なくても、方法を知ってれば教えられる」

「……なるほどね。つまり今日のこれは成功が目的じゃなくて、ただの学習ってわけか」

「そ。いつかきっと必要になるから、覚えておいてね?」

「ま、そうしておいてやるよ」

僕は人形を持ったまま、イリヤスフィールと共に階段を上がる。
いまはまだ、何とも出来ない知識を頭に詰め込んで。






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4、心優しきガンマンの日常[落し物編]
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>>940

ここまで

3

これから一日置きになるかと……
ちゃんと書きます、書きますから許して…

【心優しきガンマンの日常[子猫編]】




[路地裏]


「うおっ!こっち来るんじゃねえクソ猫!お、おいやめ―――――ックシ!」

猫に飛び掛かられて、盛大にくしゃみをする緑髪の男。
ハザマは、重度の猫アレルギー持ちだった。
猫に触れるだけで湿疹が出て、くしゃみと涙が止まらなくなる。
そのせいか、最近は見るだけでもかゆみを感じるほどだ。
動物特番とか消えてなくなればいいのに。ハザマは常々そう考えている。

「テメェ!首輪ついてんじゃねえか!速く飼い主のところへ――――ックシュ!ックシ!!――――あ゛ぁ゛うぜえええ!!」

といっても、触れられないから振りほどけない。
そもそもハザマのスーツには(とある少女の悪戯で)焼き魚とマタタビの匂いが染み込んでいる。
逃げても逃げても寄ってくるのだ。

「うがああああ!!!ウロボロス!!!」

ハザマは上空にアンカーを射出し、高速で移動することによって体にまとわりついた猫を振りほどいた。
落下する猫の運命は、はたして…―――――

――――――――――――――――――――――――――――――――

私の名は、ヴァッシュ・ザ・スタンピード。
愛と平和を司る、正義のガンマンである。
現在は、平和を守るために街中をパトロールしているところだ。

「……はぁ…暇だなぁ…なんか振ってきたりしないだろうか…」

と言った矢先、空から猫が振ってくる。
振って来たりしないか、とは確かに行ったが――――何故猫が?
そう思ったが、取りあえず助けない訳にもいかないだろう。


「ミャー!」

「よしよし、無事で何より。ギリギリだったな、滑り込みセーフだ」

というか、本当に滑り込んだ。
身体の前面を目いっぱい削ったので、瞳には涙が浮かんだけれど―――これは助けれた幸福を喜んでの涙だ。
そういう事にしておこう。

「よしよし。ところできみは、なんで空から降って来たんだい?」

「ミャ?」

「ああ、そうかそうか。それは君にもわかんないか」

「ミャー!」

「ふむふむ。じゃあ飼い主さんは何方?」

「ミャー」

「お、首輪ついてるじゃん――――これは―――」



【おや:ハザマ】



「こ、これは……!!」


勿論、重度の猫アレルギー持ちであるハザマが猫など飼うはずもない。
これは言わずもがな、カレン・オルテンシアが仕込んだ数多の計略の一つ。
カレンは―――――誰か親切な人が猫を届けてくれるようにと、町中の野良猫に首輪を付けていたのだった。
これに付き合わされたライダーは本当に哀しそうな目をしていたのだが、そんなことは全部まとめて裏話である。
彼、ヴァッシュ・ザ・スタンピードが知る由もなかった。

―――――・――――・―――――――・――――――――――



「ええ…?あの男、猫とか飼うの?イメージ全然沸かないぞ……」

「ミャー」

「……うーん、でもなあ。ほっとけないかあ」

これも何かの縁だ。
情けは人の為ならず。
この子を彼のところまで届けるくらい、問題ないだろう。

「そうだよ。べつに戦いにいくわけじゃないんだし」

きっと彼も飼い猫が迷子で困っていることだろう。
僕は俄然やる気になって、猫の親捜しにのりだした。
―――決して、暇だからではない。







ここまで


「ミャー」

「ん?あの路地裏が気になるの?」

これは、無駄かもしれないが行ってみるべきだろう。
手がかりは【おや:ハザマ】の首輪だけ。
教会に置いてきても、また一人で迷子になる可能性もある。
ならば取りあえず猫が興味を示した方に進んでみるしかない。

と、裏路地を除いたところで―――――衛宮士郎と遭遇する。

「あれ、シローくん?なにしてるんだよ」

「ああ、ヴァッシュか。いや、ここで子猫が鳴いてたから、腹でも空かせてるのかと思ってさ」

確かに、見るとそこには小さな猫が寝転んでいた。
愛くるしい表情で餌を求めるその姿はすさんだ心を癒して――――

「ん?……その猫…首輪つけてない?」

「…ああ、本当だ。付けてるな。えっと、名前は………んなっ!」

そのリアクションが出てくるということは、それはつまりそういうことだろう。

「……まさか、ヴァッシュ。お前の持ってる猫も、つまりそういうことか?」

「つまりそういうことさ……」


「…まあ、届けない訳にも行かないよな」

「ですよねー。……じゃあ、行こうか。あの男を探しにさ」

「わざわざ探す必要もないだろ。教会に預けてこれば―――」

「いやでも、それだとまた逃げる可能性もあるんじゃない?」

「ああ、そうか。―――――じゃあ、教会の前でしばらく待っていよう。それなら確実に手渡しできる」

おお。言われてみれば確かにそうだ。
じゃあ、教会で待ち伏せするとしよう。


教会[外]


教会にたどり着くと、そこにはアサシンがいた。
両手には―――――――――大量の猫。

「お、おいアサシン。その猫、いったいどうしたんだ…?」

「おお!!これはヴァッシュ殿に士郎殿!今日はお日柄もよく!!」

アサシンは快活な笑顔と大声で挨拶をすると、猫を大量に抱えている理由を説明し出した。

「この猫は街中をパトロールしているときに見つけたのでござる。首輪に飼い主の名が記されておったため、届けに参った!」

軽く30匹は居るぞ…?
あの男、そこまで猫好きだったのか?
それは、なんか嫌だな……。

「まあいいや。じゃあ三人でここであいつの帰りを待つとしよう」

「ああ、そうだな」

「はっはっは!良いことを気持ちも晴れるでござるなあ!!」


教会[内部]


「この町は良い人が多くて面白いですね」
「聞いてます?ライダー」

「……………」

――――――――――――――――――

教会[からちょっと離れた場所]


「あ、あいつらあそこでなんてもん抱えて待ち伏せしてやがんだ……!」
「クソが!嫌がらせのつもりかよ!死ね!」




ここまで




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>>956


【慎二くん修行中![遠坂先生]】


「ねえ慎二。あなた、試してみたいこととかある?」

「は?なんだ突然」

遠坂からそんなことを言ってくるとは、珍しい。
鍛錬を監督しているときの遠坂は、それは確かに五月蠅いが、無駄口を叩く奴でもない。
ということは、何か意味があっての振りなのだろう。
僕は真剣に考えて、答えた。

「……まあ、魔術はどうせ出来ないしな。だったら、魔法薬とか魔道具とかを作ってみるのもいいかもな」

このあたりなら遠坂も得意そうだし、教えるのにも向いていると思う。
前にイリヤスフィールに尋ねたときは『ここをズババってやってドカーンだよ!』という擬音のみの説明が帰ってきたので、いい機会だろう。
その点遠坂は感覚では無く知識を土台に道具を作成しているはずなので、理屈狂いの僕の教師としては最適だ。
理論がしっかり把握出来れば、後は自己流でどうとでもなる。

「ああ。確かに良いわね。魔法薬なら材料自体に宿ってる神秘である程度の効果は発揮するし、レシピもある。案外向いてるんじゃない?」

「そう思ったから言ってみたんだよ。お前ならそういう知識もあるだろ?」

「勿論。いやー、あんたに物を教えるのは楽でいいわー。地が優秀だから自分で出来ないことも理屈で飲み込めるし、説明が無駄にならないもの」

「あ?……お前の説明で理解できない奴とか、相当頭が固いか、ただの馬鹿だろ」

「じゃあ、その両方でしょうね」

「誰が?」

「士郎」

あー……なんかお互いに違う方向に勘違いしたまま話を進めて、最終的に取り返しがつかなくなった最悪のタイミングで勘違いに気付く感じだな。
遠坂は優秀だが、無意識下で相手にもその優秀さを求めているところがある。
衛宮は意地っ張りのうえに思い込みの激しい奴なので、子弟関係は上手く行かないだろう。


「……そもそも、お前が衛宮に何を教えるっていうの?あいつは特例中の特例なんだろ?」

「特例ってのは否定しないけど、教えることが無いってわけでもないのよ。基礎的な魔力の運用法くらいなら知ってて損はないでしょう?」

基礎、ね。
僕はその運用自体もまだ満足に出来ないから、衛宮にとやかく言う筋合いはないな。

「まあ…基礎とはいえ、この辺りは殆ど感覚でどうにかするしかないから。慎二にはちょっと辛いでしょうね」

「………ま、そういう話は後でいいよ。先ずは魔法薬の調合についてだな」

この家の書庫にも薬学関連のものはいくつかあったが、大半が生物に支配的な影響を与える薬や、その起点となる効果をもった薬などについて。
間桐の性質上、そちらに偏るのは仕方がないと言えるが、僕にはもっと幅広い知識が必要だ。
その点遠坂は宝石魔術の家系。魔力を貯蔵することが出来る。
その性質が利用出来る礼装関連にも相当造詣が深いと見た。

「先ずはあれだな。タイミングやら時間制限やらが無く、純粋に知識だけで出来上がるで礼装とか無いか?」

「無いわよ。魔術師にとって、時間とタイミングなんて基礎中の基礎で、要点中の要点だっての」

「……だよな。となると、センスの問題か………」

まさか、この僕が自身のセンスの無さに悩むときが来るとは。
芸術センスは勿論の事、スポーツ万能で射撃センス抜群、博学でスマートなこの僕が!
……という冗談は置いておくにしても、センスというのが一番厄介であることは間違いない。

「そういう、あとはノリで何とかなる!みたいな無茶言わないでほしいよね」

それはつまり、ノれないやつはどうにもならないってことだろうが。

「人それぞれのタイミングだから、他人に教えてもらうのことは出来ないわね。自力で頑張んなさい」


「逆に、最高クラスに難しい礼装ってどんなものがあるのさ。これは純粋な興味で、そこを目指すってわけじゃないけどよ」

「わたしの知っているものだと……そうね…カレイ………いえ、宝石剣、かしらね」

「宝石剣……って言えば、あれか。第二魔法を一時的に行使出来るようになる礼装だったか?」

「あら、知ってるのね。流石は知識だけ一流」

「うるさい。何で知ってるかって言われたら、イリヤスフィールに聞いたんだよ。魔法の話題になったときにな」

アインツベルンも、かつては第三魔法『天の杯』に至った一族らしい。
魂の物質化、聖杯の降霊にもその要素が組み込まれているとかなんとか。
そして、遠坂が扱う宝石魔術の大元も、魔法使いの一人。

「キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。宝石翁が自らの名を冠する礼装が、『宝石剣ゼルレッチ』よ」

「………とんでもない次元の話だよな。魔法なんて、あり得ないにも程がある」

「間桐もいい線までは行ってたみたいだけどね。まあ、廃れちゃったら意味ないか」

こういう事をいい笑顔で言って来る辺りは流石である。
桜とランサーをこいつの家に送り込んでやろうかとさえ思った。

「は!まあいいさ!僕はお前らとは目指してる場所が違うんだ!精々頑張って根源にでも辿り着いてろよ魔術師!」

「なによその罵倒なのか応援なのかよくわからない台詞は……ま、いいんじゃない?あんたも頑張んなさい。レシピはまた今度持ってきてあげるわ」

頑張んなさい、って……それ何回言うんだよ。
そんなに頑張らないとだめなのか、僕………いや、仕方ないけどさ…。






ここまで!次回で終わるよ!

最期がこれでいいのだろうか……



【心優しきガンマンの日常[落し物編]】


[交番]


「……ああ、またあんたか…また落し物拾ってきたの?何?暇なの?」

私の名は、ヴァッシュ・ザ・スタンピード。
愛と平和を司る、正義のガンマンである。
今日は落し物を持って、交番に届けに来たところだ。

「あ、いえいえ。暇とかじゃないんですよ。これはぼくがやりたくてやってることなんで……」

「……あんた、歳は?」

「………実年齢言うと、驚いちゃうとおもいますよ?」

「あー、じゃあいいや。大体わかった」

そういうと、すっかり顔なじみになったお巡りさんは席を外して書類棚まで行き、何か探し物を始めた。
ぼくは別れの挨拶を告げるタイミングを逸してしまったので、大人しく待つ。
この落し物、はやく受け取ってほしいんだけど。

それから数分して、お巡りさんが探し物を終えて帰ってくる。
その手には、『就職ガイド』と書かれた冊子が一つ。

「あ、あのー……それは一体…」

「見ての通り、雇用指南書だけど」

「な、なんで僕にそれを……?」

「あんた、その歳でそんなチャラついた格好してるし、毎日日中に落し物届けに交番来るし、無職だろ?」

「む、無職……」

いやいや、僕はサーヴァントであって、働いていないのはそもそも当然というか。
サーヴァントは戦うことが仕事というか。
他にも働いていないサーヴァントは沢山………あれ?


セイバー→異世界で絶賛冒険中。時たま遠坂邸に手に入れた宝石の配達。
ランサー→働けてこそいないものの、面接はたびたび受けている。
ライダー→教会でシスターの補助。
キャスター→世直し。
バーサーカー→セラ、リーゼットの調整。
アサシン→間桐家の貸土地の現地監査。
ハザマ→魔導具の作成、取引。



あ、あれ?
まさか、なんの意欲も無いのはぼくだけなのか!?
いやちょっと待て!キャスターの世直しは仕事じゃない!
ランサーだって働いてないという結果については同じじゃないか!
意欲がないわけじゃないんだぞ!ぼくに合っている仕事がないだけだ!

「ほら、これ読んでみろ。先ずは自分に合った仕事を探すところから―――」

――――――――あ、いやちょっと待って。待ってください。
いくら合っている仕事でもやれない理由が……そ、そうだ、ほら……。

「ぼ、ぼくはその、仕事が出来ないんですよねー、ほら、日中は家に誰も居なくなっちゃいますから、手薄ですし!」

そう、つまりこれは警備のため!
警備のために仕事をしていない、むしろ警備こそが仕事なんだ!

「いやお前いま外出してんじゃん」

「そうでしたー!」

しまったー!そこは盲点だった!
しかし、家にいると暇――――もとい町の平和が心配になるから………

「いや、そもそも手薄ってなんだよ。鍵かけろよ」

「………っ!」


「じゃ、じゃああなたは、誰もいない寂しい家に一人で帰宅して、一人でただいまと呟くんですか!?」

そう!ぼくがいるからシローくんは寂しくないんだ!

「俺、一人暮らしだからね?寂しいとか余計なお世話だよ」

「ソ、ソウデスカ……」

なんということだ………神よ…。
あなたは…あなたはそこまで、私を働かせたいのですか?

「きっとお前、何か重要なものをどっかに落としてきてんだよ。他人の落とし物にばかり気を使ってないで、そいつを探して来たらどうだ?」

お巡りさんは、白い歯を見せて笑っていた。爽やかな笑顔だ。
差し出された冊子を、ぼくは反射的に受け取る。

「で、でも……僕に、普通の仕事なんて出来るでしょうか…」

「ああ、出来るさ。それ呼んで勉強しな。家の方たちもきっと喜んでくれるさ」

「お、お巡りさん…!あなたって人は、なんて恰好いいんだ!さっそく家に帰って勉強してきます!」

そうと決まれば、頑張るしかない!!




―――――数日後――――――




「………ねえ、シロウ。アーチャーはなんでずっと蹲ってるの?」

「イリヤ……あんまり触れてやるな………」




「『これでバイト7連続不採用だね。まあ、ドンマイ。元気出せよ。』」

「…………………くぅ……」

ぼくはどこかに、立ち直る気力を落として来てしまったようだ。
落とした気力は、誰か親切な人がバイト先とともに運んできてくれると信じて……今は寝よう。

書き切ったー!

やったぜ!これで本スレはめでたく終了だぜ!
悪ふざけみたいなお祭りスレもやってますが、こことは全く別次元だからあれは気にしなくていいです
見てくださってる方々も、緩い気持ちで流すように見てやってください

ポケモンとかBBとかで10月忙しいので、たぶん新規は年末辺りかと

乙。結局ソラは出てこなかったか

>>967

oh………
凛ちゃん自体が出しにくかったから……

0、それからの僕たち
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>>972

0!

【それからの僕達】


「ただいまー、はいシンジ。時計塔からお便りよ」

「―――ああ、わかった。そこに置いておいてくれればいい」

あれから、五年。
サーヴァント達は、当然もういない。
あれから数年で、僕は魔術協会に所属する『魔術使い』となった。
まだ教鞭をとるまでには至っていないが、おおよそ順調だと言える。
時計塔で学んだ訳ではないのだが、そこは一応名門の間桐。協会所属になるのに苦労は無かった。
表向きには爺から引き継いだ土地の管理で稼いでいけるし、生活面では苦労も無い。
桜が未だに引きこもりなのは、この際無視するとしよう。

現在の主な活動は、『聖杯戦争の阻止、管理、早期終結』である。
今回の手紙も、その関連だろう。
何者かがアインツベルンを打倒したことにより聖杯戦争に関する知識と技術が流出したのが原因で、世界各地で聖杯戦争が行われるようになった。
しかし、それら一つ一つの完成度はお世辞にも高いとは言えず、未完成な聖杯が被害をまき散らすこともしばしば。
そうしてこの世界に溜まっていく不純な魔力が、この冬木に集まって渦を成す。

これから幾年も待たずして勃発する、第六次聖杯戦争。
それを未然に防ぐこと―――それが無理でも、先送りにすること。それがこの地に住まう僕の仕事だ。

本来、冬木の管理者は遠坂だが―――あいつはあいつで忙しいらしい。
そして、この事案には衛宮もよく携わっているが、専門が違うのであまり顔を突き合わせることは無かった。
その両名は、世界各地で頻発する聖杯戦争に介入して、未然に阻止、ないし参加して聖杯を処理することで原因を潰すのが専門。
対して僕は―――というより、僕とイリヤスフィールは、冬木の聖杯に直接干渉することで、降霊までの時間稼ぎをしているというわけだ。
『あの人格』が健在ならこんなことをする必要は無いのだが、あれはランサーの影響で一時的に生まれた捻じれ。
今も聖杯の中身があいつだという保証はない。

「…世界各地の歪んだ願いが聞き届けられずに、歪んだ魔力として冬木の聖杯に滞留している―――これを降霊させたら、何が起こるか……」

イリヤスフィールが一時的かつ簡易的に聖杯とリンクをした時には、そんなことを言っていた。
それでも、求める魔術師は後を絶たないだろう。
時計塔は、イリヤスフィールを含む冬木御三家の当主全員が説得した結果、阻止に一応の協力はしてくれているが、勃発してしまえば関係ない。
衛宮、遠坂を含む数名の魔術師が、今も世界の何処かで戦争に関わっている。
そのうちの幾人が、果たして第六次聖杯戦争の阻止を目的として戦っているのだろうか。


「シンジ、難しい顔してないで勉強おしえてよ。わたし、もうすぐ受験なんだから」

「あー、はいはい。ちょっと待ってろよ、今準備する」

ということで、堅苦しい話は抜きにして、私生活の話。
僕は23歳で大地主。買収した企業や、それとは別に動かしている僕の個人資金も考えると、総資産では富豪と言っていいだろう。
魔術に時間を割くために、僕はむしろ積極的に稼いだ。
社会的な地位が高まれば、自由時間も増えるからだ。

イリヤスフィールは、普通の中学校に進学したし、次も普通の高校の入試を受けるそうだ。
身体は多少成長したものの、もともとあまり上背の有る方でもないらしく、受ける印象はあまり依然と変わりない。
口調や態度が多少大人びてはきたが、まだまだ子供である。
成績は上の下。僕が勉強を見てやってこれである。興味の無いことには力が発揮できないタイプのようだ。
その容姿や性格からか、友人も多いようだし、上手くやっているみたいだ。

桜は、言わずもがな。堂々としたものである。
踏ん反り返って引きこもる。胸を張って働かない。
自宅警備が天職です!とかいう戯言を、この前はほざいていた。
しかし残念ながら、警備員としての能力は高い。
影で侵入者を察知してから即攻撃という一連の動作で泥棒もスパイも僕も基本的には一溜まりも無い。
だから、たまに本気で僕に向かって繰り出してくるのはいい加減やめて欲しい。

遠坂は、こちらも言わずもがな、立派な魔術師である。
この世界で広く名を馳せる、稀代の魔術師うっかり遠坂と言えば知らない奴はいない。
世界各地で(主に暴力的に)魔術を行使して、無理矢理聖杯戦争を止めたりしている。
8割方はそつなくこなすのだが、残りの2割でうっかりをおこして、しかもその2割に限ってとんでもない規模の戦争だったりする。
ある意味では、一番敵なのかも知れない。

そして衛宮。なんと奴は、固有結界を展開するに至ったそうだ。
時計塔で学んだ数年、一般の魔術を行使出来ない衛宮は、ひたすら魔術回路の効率的な運用を極めた。
時計塔であの投影を使うと封印指定にされかねない、と言うのも勿論ある。
だが本音は、自らの魔術を向き合うために、先ずは基盤から作っておきたいと言う事だろう。実に奴らしい。
その結果が固有結界だというのだから、流石の僕も聞いて呆れた。
どこまで、世界に愛されているのだろうか。


「OK、準備できたぜ。ほら、シャーペン出せよ。今日は歴史だ」

歴史―――――イリヤスフィールが最も苦手な部類の科目である。
というか、浮き沈みが激しい。
西洋関連の問題なら、正解率は100パーセントに近い。そのあたりは流石だろう。
しかし、問題は日本史。
こいつの日本に対する理解は、圧倒的にねじ曲がっているのだった。
サムライは斬鉄、斬空が当たり前で、主にヨーカイと戦うのが仕事の人たちだと思っていたり、
ニンジャは空中を自在に駆け、正面から相対した上で敵を打つ者だと思っていたり(この責任はあいつにある)、
ブショーは一騎当千の実力者で、実は全員女の子だと思っていたり―――――
どうやら先代のアインツベルン当主(と某忍者)から詰め込まれたファンタスティックジャパニーズビジョンが払拭出来ないようだ。
あと、西洋関連でも時たま魔術的な解釈をして解答することで×を貰ってきたりもする。

「とにかく……あれだよね…気持ちは分かる、とだけ言っておこう」

歴史という科目は、自分の趣味が出したくなってしまう科目だ。
『授業では違う習い方をしたけど、僕はこういう解釈なんだ!』と意気込んで解答したら余裕で△、なんてことはザラだった。
点取り合戦だと割り切ってしまえばいいのだが、何か良くわからないプライドが邪魔をするというのは、大いに共感できる。
だからイリヤスフィールも、正解が分かっているうえで、間違った日本の知識が邪魔をするのだろう。
だって、その方が楽しいから。

「英語と数学で高い点取れるだろうし、受験の心配はしてないが……一般常識として、な?」

「うっ……だって、お爺様はこれが正しいって……」

「うん、いやだから、気持ちは分かるけど……流石に認めろっての。日本はそこまで愉快痛快な歴史を刻んでないんだよ…」

イリヤスフィールの勉強を見てやっているのは、教鞭をとる練習になると思ったからだが、痛感するのは才能の無さだった。
どうやら、僕は教えるのに向いている性格ではないらしい。
ダダを捏ねた子供への対応の仕方など、皆目見当もつかない。

「痛快なニンジャは居たじゃない!」

「いや、あれは例外だろ……今更だが、本当に忍者だったのか疑問だよ」

「ニンジャだったでしょ!あれがニンジャの有るべき姿なのー!シンジの分からず屋ー!」

「うわー分からず屋って。その台詞お前にだけは言われたくねー」

こんな感じで、僕達の日々は続いて行く。
物語は終わっても、人生は終わらない。
その意味が、不幸を表すか―――幸福を表すか。
凡人である僕には、理解できない事だけど―――――




きっとあいつは、今の僕を応援してくれるだろう。



                               《True End》

告知はしないよ
突発的に初めて、偶然来た安価のキャラで進行するから楽しいのです

年末あたりには立つだろうと思われるが、立たないかもしれないのでその辺はご了承
スレタイは大体同じような感じだと思う

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