【艦これ】二十四の瞳【SS】 (14)

 とある鎮守府に起きた(一部) 実話。
 短いよ!



『ソロモン海攻略作戦中につき、立ち入り厳禁』

 提督執務室の扉には、そう殴り書きされた紙が一枚貼られている。

 数日前からは、閉ざされた扉の向こうから、悲鳴とも嗚咽ともつかない、もはや正体不明の何かの叫び声が響いてくるようになった。

 それ以来、艦娘の誰もが形容のし難い恐怖を覚え、ここに近寄ろうとしない。

 それでも。

 いったい室内では、何が起きているのだろうか。

 そう思う者が現れるのは、決して不思議なことではない。

 中を一度でいいから見たい。

 たとえ歴戦の航空母艦、栄えある第一航空戦隊の旗艦であっても、好奇心というものには時として抗えない。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1440570709


 もしかすると、この大規模作戦において、未だに出撃の機会を与えられない不満を解消したかったのかもしれない。

 部屋の主は先ほど、憔悴した姿でフラフラと何処かへ姿を消した。

 さながら生ける屍のごとく……。

 あのままでは、提督の身が危ない。

 なんとかしなければならない。

 赤城はそう思っていた。

 表面上は。

 自分を騙すために様々な理由を取り繕うが、結局は好奇心だ。

 もはや、強靭な精神力を持ってしても、それを抑えることなどできない。

 赤城は意を決して、執務室のドアノブを握る。


 力を込め、それでも細心の注意を払い、少しづつ、ゆっくりと、それを回していく。

 やがて。

 カチャリ、と金属が動いて擦れる音が響き、現世と隔絶を図る戒めが解かれる。

 ギ、ギ、ギ、と嫌な軋みを少しだけ立てながら、封印された世界への扉が開いていく。

 その向こうに広がるのは。

 
 いつもの執務室だった。

 
 何も変わらない。


 いや。

 やたらと暑い日が続いた今年のこの季節に扉を締め切り、人が一人篭り続けていたのだ。

 当然、むっとする程の男の体臭がこもり、空気は澱んでいた。

 しかし、ただそれだけだ。

 そんなものは、艦である時代に嫌という程体験している赤城とっては、日常と何も変わらない。

 安堵する。

 けれど、心のどこかで怒りも感じた。

 ここまで決意をさせておいて何もないということに対する、端から見れば不条理きわまりない怒りだ。

 それをぶつけるための何かを赤城は探す。

 きっと、駆逐艦娘秋雲が言っていた『夏の大イベント』とかいうもので獲得した戦利品を使って、怪しげなことをしていたに違いない。


 周囲にこれだけの魅力的な艦娘が揃っているにもかかわらず、だ。

 秋雲も言っていたではないか。

『嫌がる提督に無理やり付き合ってもらったけど、最後は満更でもない風に色々買っていた』と。

 その時秋雲が持っていた、あの薄い、いかがわしい書籍の数々……。

 赤城の勝手な想像が、さらに怒りを増幅させる。

 見つけ出して、徹底的に諌める必要がある。

 鎮守府内の風紀を保つために。

 敵機を探し、敵艦を追い詰める時の瞳で、赤城は室内を物色していく。

 ふと、部屋の片隅に積まれている段ボールが目に付いた。

 貼られていた送り状を剥がした跡がある。


 秋雲が言っていた。

『たくさん買ったら、持って帰るの大変なんで、送るんですよ』と。

 これに違いない。

 赤城は確信してその箱に近寄る。

 箱の隅に小さく――

 
『スシ詰め合わせ、六セット』


 と、書かれているのが目に付いた。

 赤城の思考が、激しい火花を散らして焼き切れる。


 この数日、提督は一度も部屋を出ていない。

 だれも、その姿を見ていないのだから、そういうことだ。

 その間の食事は、おそらく出前だったに違いない。

 そうすると、これは。この中には……。

 今、ここにこうして忍び込むために、赤城は昼食を辞退している。

 そうしなければ、誰かに見られてしまうから。

 皆が昼食のために食堂に集まる隙を見て、赤城はここにいる。

 だが、スシの二文字を見たことで、赤城は空腹を覚える。

 腹が減っては戦ができぬと言うではないか。


 とある潜水艦娘も言っている。

『スシの補給は大事!』と。

 ……いや、魚雷だったか。

 そんなことはどうでもいい。

 とりあえず食べる。そして探す。

 いやいや、待て。

 ここでこのスシを食うことで、自分を出撃させない提督への復讐も、部屋に閉じこもりいかがわしい行為に励む提督を止めることもできるではないか。

 食欲と好奇心とのせめぎ合いで混乱する頭が、支離滅裂な理論を打ち立て、荒唐無稽な結論へ帰結していく。

 結論が出た瞬間に赤城は壊れた。

 段ボールへ飛びつき、蓋を開く。


 そこで赤城は見た。

 
 自分を見つめる、二十四の瞳を。

 
 どんよりと曇り、希望もなく、目的もなく、ただそこで赤城を見つめる瞳の群れを。

 
 実戦配備される前の、小さな瑞鶴と翔鶴の群れを。

 
 それは赤城を見て、希望と、期待と、救いを求め、一斉に嗤い――

 
「きゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 赤城の悲鳴だけが、晩夏の鎮守府に響き渡った……。


 その後――

 赤城の悲鳴を聞いて駆けつけた一部の艦娘が、同じ光景を目撃し恐怖のあまり錯乱。

 その段ボールごと解体ラインに乗せようとしたところを提督に発見され、瑞鶴と翔鶴は全員無事に実戦配備された。

 その後、鎮守府の財政難はしばらく続いたとか、続かなかったとか……。


 後日、提督執務室から、今度は『ヒソ入り』と書かれた段ボールが発見され、誰かを毒殺するのではと言う噂が流れるという事件もあったが、これはまた別の話だ。

 中身がなんだったかは言うまでもないだろう……。

 その際、嫌疑をかけられ憲兵に身柄を拘束された提督は、取り調べの際に『Romaが欲しかった』と供述したと記録されている。


 余談ついでに、不可思議なことはまだある。

 近年、大流行の兆しを見せている十七人のダンスユニットだ。

 あれはどうやらこの鎮守府からデビューしたらしい。

 もともとは那珂ちゃんのバックダンサーをやっていたそうだが、那珂ちゃんがそのダンサーに人気を奪われる形で引退しているため、過去を語ろうとはせず、詳細は不明だ。

 昔のユニット名は『舞風組』と言うらしい。

 全員が同じ背格好で、顔まで似ているのだから、区別がつかない人が多数らしい。

 コアなファンでもなかなか難しいそうだ。
 

 世の中は誠に不思議である。

 艦!

かっとなってやった。
後悔している。
五航戦15セットは大事に育てる……。
二航戦4セットもな。メロンパンじゃないといいが……。

舞風……どうしようか。

ちなみに、雲龍もRomaもいまだ出てません!

つーわけでお目汚し失礼致しました。
さっさとHTML化出してきます……。

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