【Fate】士郎「いくぞ英雄王――――ブキの貯蔵は十分か」【スプラトゥーン】 (58)



 アインツベルン城


イリヤ「あ、いらっしゃいシロウ! 朝からずーっとシロウが来るのを待ってたんだから!」

士郎「久しぶり、イリヤ。……でも、俺だけじゃなくて家の皆まで呼ぶなんて珍しいな」

凛「あら衛宮君。イリヤからの手紙、ちゃんと読んでなかったの?」

士郎「俺は、桜がかいつまんで教えてくれた内容しか知らなかったから、何か催し物があるってことくらいしか聞いてないんだ」

イリヤ「立ち話もなんだし、まずは応接室に集まってもらおうかしら。セラ、お願いね」

セラ「了解いたしました」

士郎「イリヤは来ないのか?」

イリヤ「私はちょっと練しゅ……準備があるから、また後でね。ふふ、たっぷり可愛がってあげるから」ニコ


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1440514905


士郎「……それで、何の集まりなんだ、これは?」

セラ「詳しい説明は、応接室にて私が。では皆さん、こちらへ」

大河「話には聞いてたけど、やっぱりイリヤちゃんのお家っておっきいのね~」

凛「本宅はこの何倍もあるんでしょう?」

セラ「ええ。冬木の城は所詮は仮住まい。お嬢様がお住まいになるにあたって、ご不便にならない程度の広さしか有しておりませんので」

士郎「こんなに広いお城で不便になるって、それこそバーサーカーくらいじゃないのか?」

セラ「あれは元より、便利も不便もありませんので」

士郎「ま、まあそうだけど……」


桜「(相変わらず、先輩にはキツいんですね、セラさん)」

士郎「(まあ、そういう性格だから仕方ないとしか)」

セラ「何かおっしゃいましたか、衛宮様」

士郎「いえ、何も」

セイバー「タイガ。あまりあちこち触らない方がいい。どこに罠が仕掛けてあるか分かりませんから」

士郎「セイバー……! イリヤがそんなことするはずないだろ?」

セイバー「しかし、彼女自身にそのつもりはなくとも、あの従者は明らかにシロウに敵意を抱いています。タイガがそのとばっちりを受ける可能性は十分にある」

士郎「俺がその被害を被る可能性はもっとあると思うんだが……」


セイバー「安心してください、シロウは私が必ず守ります」

士郎「セイバー……」

凛「はいはい、そういうのは後にして。ちゃっちゃと先行くわよ」

桜「ライダー? どうしたの、立ち止まったりして。うわ、何だか怖い絵だね、これ。頭から蛇……って、あ」

ライダー「……貴女もそう思いますか、サクラ」

桜「そ、そんなことないよライダー! 元気出して!」

セイバー「…………」

士郎「どうしたんだ三人とも。置いて行かれるぞー」

セイバー「はい、ただいま参ります」



 ――――――


 応接室


セラ「では、一服なさったところで本題に入らせていただきます」

セラ「――――スプラトゥーン、というゲームをご存知ですか」

士郎「ああ、たまにCMでやってる奴だろ? イカみたいな子供が水鉄砲みたいな銃で、ペンキみたいなのを撃ち合ってる奴」

凛「イカみたいな、ではなくイカ。ペンキじゃなくてインク。観てれば分かるでしょ?」

士郎「う、うるさいな。洗い物の合間にちらっと観ただけなんだから、そんな細かいこと分かるはずないだろ」

桜「ま、まあまあ二人とも。セラさんのお話の最中ですから……」

セラ「他のお二人はいかがですか?」

大河「うん、ていうかうちにあるし。私は全然弱っちいから、皆にボコボコにされちゃうんだけど」


ライダー「CMで流れている程度のことなら、一応」

セラ「了解いたしました。単刀直入に申しますと、これからお嬢様を交えてこのスプラトゥーンをプレイしていただきます」

士郎「えっと、あれってこの場にいる全員で同時に出来たりするもんなのか?」

凛「当たり前じゃない。じゃなきゃどうやって遊ぶってのよ」

士郎「だって、4つまでしかコントローラーを挿すところがないのに、どうやって7人でやるんだ?」

凛「……私もてんで疎いけど、もしかして衛宮君って、あんまりゲームとかしない人?」

士郎「小学校の頃はたまに友達の家でやったりしたけど、中学からは部活が忙しくて、あんまり触ってないな。そんなに欲しいとも思わなかったし」

凛「あー……なんか納得」

桜「先輩らしいですよね」

士郎「な、何だよ二人して」


セラ「続けてよろしいでしょうか、衛宮様」

士郎「あ、どうぞ」

セラ「今回は大部屋に8組の本体と回線をご用意いたしましたので、皆様全員がお顔を合わせたままプレイすることが可能です。不慣れな方には、僭越ながら私と『彼』の方からチュートリアルを兼ねたレクチャーをさせていただきます」

士郎「……よく分からないけど、それって結構な大工事だったんじゃないか? それに、ゲーム機って割りと高いんじゃ」

アーチャー「そのために私が呼ばれたというわけだ、衛宮士郎」

凛「ちょ、アーチャー!? 何でこんなところにいるのよ!」

アーチャー「何でも何も、彼女に呼ばれたからとしか答えようがないな」

凛「そうじゃなくて! 何で呼ばれたのかってことを聞いてるの!」

アーチャー「この城には通信回線を増設できる者も、彼女の分を除いた7人分のニンテンドーネットワークIDを設定している暇のある者もいなかった。ただそれだけのことだ」



士郎「もしかして、本体とソフトを用意したのも」

アーチャー「ふん、私がそこまで堕ちたとでも思ったか、衛宮士郎。きちんと金を払ったに決まっているだろう。それとも、過去に似たようなことをした経験でもあるというのか」

士郎「そんなことあるわけないだろ! ただ、ちょっと疑っただけだ。悪かった」

アーチャー「完全に同一のハード、もしくはソフトを用いて回線にアクセスした場合、任天堂の方から何らかのペナルティを課せられる可能性がある。そのようなつまらぬ事態は避けたかったのでな」

士郎「お前……」

アーチャー「冗談だ。元より私には、高度な電子機器を完璧に投影することなどできはしない」

士郎「(信用ならない……)」

凛「(嘘臭いわね……)」

アーチャー「時に衛宮士郎。お前にTPSの経験などないだろう。ここは私が直々に教導してやる。何、臆することはない。ものの一時間でお前にイカシューティングの何たるかを叩き込んでやろう」

士郎「……ああ、よろしく頼む」



 プレイルーム


アーチャー「スプラトゥーンの基本は『塗る』『センプクする』『撃つ』だ。この三工程さえ習得すれば、すぐにお前もブキを握ってナワバリに立つことができる」

士郎「それだけじゃないんだろ?」

アーチャー「当然だ。自陣塗りに徹するのならこれでも十分だが、こと対人を意識するのなら全く足りん。この工程に『狙う』を付け加える必要がある」

士郎「狙撃なら少しは自信がある」

アーチャー「威勢がいいのは結構だが、果たしてチュートリアルを終えた後でも、同じ台詞を吐けるかどうか見ものだな」

士郎「何だと……?」

アーチャー「ゲームパッドに搭載されたジャイロ機能は、TPS初心者が狙いを定める上で非常に役に立つ。だが、当然人には向き不向きというものがある」

アーチャー「安心しろ、ゲームパッドにはジャイロを切って右スティックで照準をする機能もある。例えジャイロに適応できなかったとしても、あまり気を落とさないことだ」

士郎「うるさい、そんなことやってみなくちゃ分からないだろ――――!」

アーチャー「ふん……」


 ――――――――


桜「……ずいぶん向こうは盛り上がってますね」

凛「アーチャーも衛宮君にあれこれ指図できて楽しいんじゃない?」

桜「あはは……」

セラ「お二人はもうチュートリアルは終えられたのですか?」

凛「うん。最近のゲームってすごいのね。身体を動かすとゲームのキャラまで一緒に動くんだから」

桜「えっと、それは多分姉さんがイカちゃんと一緒に動いちゃってるだけだと思います……」

ライダー「……このゲームには、ビークルの類はないのでしょうか」

セラ「はい。今のところはそのようなものは実装されておりません」


セイバー「……タイガ。明らかに背部のインクタンクと接続されていないブキがあるのですが、どのようにしてインクを供給しているのでしょう」

大河「細かいことはいーのよセイバーちゃん。そういうもんよ、そういうもん」

セイバー「はあ……」


 ――――――――


 バトルドージョー(一対一のオフライン対戦モード)


アーチャー「――――そら、見たことか。理想と現実の違いを思い知るがいい」ズドン!

士郎「くそっ……何で当たらないんだ! ちゃんと、狙いを、定めてるのに……ぐあっ!?」バチュン!

アーチャー「しかし不思議なものだ。現実よりもゲームの方が射撃が下手とはな」

士郎「お、前……! 初心者相手にスナイパーなんてズルいと思わないのか!?」

アーチャー「私はジャイロ機能のないクラシックコントローラーを用いているのだ。このくらいのハンデはあって然るべきだろう。それと、チャージャーと言え、チャージャーと」

士郎「同じだろ!」


アーチャー「重要なことだ。現実の武装を想起させるネーミングはこのゲームのコンセプトに反する。スプラトゥーンは、ポップでカジュアルな雰囲気が売りのゲームなのだからな」ズドン!

士郎「くっ……!」バチュン!

アーチャー「長距離ブキ相手にわかばシューターで正面から突っ込んでいくなど愚の骨頂だ。お前のサブは何のために搭載されていると思っている」ズドン!

アーチャー「『撃たれる前に撃つ』――――確かに一つの正しい選択だ。だが、照準の正確さで私を上回ることは、今のお前では不可能だということを理解しろ」ズドン!

アーチャー「最短経路を往くだけが近道ではない。敵の裏をかけ。背後に回り込め。移動するときはイカセンプクを活用しろ! ヒト状態でのこのこ歩いていては、的以外の何ものでもないぞ!」ズドン!

アーチャー「敵の一手先、二手先三手先を読め。そして目の前に描き出せ、五秒後の生存を!」ズドン!

士郎「う――――おおおおおおおおお!!」パパパパパ!


 ――――バチュン!


士郎「よし……!」

アーチャー「――――ふん、成長したな。今回の敗北は餞別としてもらっておけ」

訂正
>>12
×アーチャー「――――ふん、成長したな。今回の敗北は餞別としてもらっておけ」
○アーチャー「――――ふん、成長したな。今回の勝利は餞別としてもらっておけ」


アーチャー「だが忘れるな。お前はまだまだヒヨッコで、ネットの猛者たちからすれば、スプリンクラーにも劣るインク袋だということを」

士郎「ご忠告どうも。それと、レクチャーしてくれてありがとな、アーチャー」

アーチャー「頼まれたからやったまでだ。礼なら彼女に言うんだな」

セラ「そろそろゲームにも慣れた頃合いでしょう。お嬢様をお呼びして参りますので、しばしお待ちを」

アーチャー「バトルが始まるぞ。凛、気を緩めるな」

凛「当然よ。アーチャーこそ、私の足を引っ張らないでよね」

桜「わ、私たちは楽しく遊べればいいよね、ライダー」


ライダー「サクラ。このホットブラスターというブキはとても愉しいブキですね。ポイズンボールを喰らってよたよたと逃げる敵を容赦なく責め立てる快感……素晴らしい」パシュン!

桜「ラ、ライダー? 手さばきが怖いよ?」

士郎「セイバーはどうだ? ゲームなんてやるの、初めてだと思うけど」

セイバー「ええ。操作法はひと通り覚えました。少なくとも、貴方の盾になることくらいはできそうです」

士郎「えっと、これそういうゲームじゃないからな?」


 バタン


皆『!!!』

イリヤ「お待たせしてごめんなさい。それじゃ、手始めに」

イリヤ「ナワバリバトルから始めましょう」


 つづく

今回の投下はこれにて終了です
特にどのルートという想定はありません
当時の冬木にWiiUやスプラトゥーンがあることについては、平行世界ということで納得いただけたらと思います
では読了いただきありがとうございました

こんばんは
次レスから投下開始します


アーチャー「全ブキ、全ギア購入済み、サブスロットも最大まで解放済みだ。厳選も済ませてある。好きな組み合わせを選ぶがいい。ああ、アミーボ特典装備も当然揃っているぞ」

凛「……何時間やりこんだのよアンタ。しかも7機分も」

アーチャー「狙撃兵は標的を仕留めるために、時には数日間も身じろぎ一つせずに匍匐し続けることも求められる。この程度、忍耐のうちにも入らん」

士郎「ブキってのは、この銃とかローラーみたいなのだろうけど、ギアって何なんだ?」

アーチャー「モンスターハンターで言うところの防具……と言ってもお前は分からんか。ギアを装備すると、バトル中に有利になるスキルが手に入る」

凛「概念武装みたいなものってこと?」

アーチャー「……まあそこまで大それた代物ではないが、そういう理解でも間違いはない」


アーチャー「効果を実感しやすいものだと、例えばこの『ガチホワイト』に搭載された『イカニンジャ』だ。このギアを装備すると、イカ状態でインクの中を移動しても、飛沫や軌跡が見えにくくなる。要は『気配遮断』と似たようなものだと思っていい」

アーチャー「どのブキと合わせても一様の効果を発揮する汎用型のギアだ。とりあえず装備しておいて損はない」

アーチャー「ただ、ガチマッチなどで『一秒でも早くその場に駆けつけなければならない状況』が発生した場合、イカ移動速度の遅さが足枷となることもある」

凛「そういうときは『スーパージャンプ』を使えばいいんじゃないの? ゲームパッドに表示された味方のアイコンをタッチすると、そこに飛んでいける奴」

アーチャー「それも時と場合によりけりだ。そのあたりはバトル中に私が解説してやろう」

アーチャー「何をつけたらいいか分からないという者は、アタマに『インク効率アップ(メイン)』の『サファリハット』フクに『スペシャル増加量アップ』の『ミスターベースボール』クツに『安全シューズ』の『モトクロス ソリッドブルー』を装備することを勧める」


アーチャー「インク効率アップ(メイン)は、ブキ使用時のインク消費量を約0.88倍に抑えることができるようになる。インク管理のおぼつかないうちは、焦って撃ち過ぎたがためにインク切れを起こすことが多々あるからな。事故防止という意味でも有用なギアだ」

凛「0.88倍って……なんか微妙ね。使えるの、それ?」

アーチャー「実例を示そう。『スプラローラー』を装備し、試し撃ちモードに移行するんだ、凛」

凛「えっと、ブキ選択画面でYボタンだっけ」

アーチャー「今君はインク効率アップのギアを一つもつけていない。その状態で射撃ボタン……中指で背面のZRを連打してみてくれ。ちゃんと回数も数えるんだ」

凛「こう? えっと、1,2,3……12回でインクが切れたわ」

アーチャー「では次に、サファリハットを装備して同じ操作を試してくれ」

凛「1,2,3,4……あ、14回ローラーを振れたわ」


アーチャー「ローラーの敵の撃破手段は、この振りによるインク飛ばし攻撃がメインになる。たった2回、されど2回だ」

アーチャー「シューター同士の戦闘では、後1発が当てられずに倒されるというケースも珍しくない。近距離なら確定1発、カス当たりでも確定2発となるこのブキにおいて、振り回数の多寡はチーム全体の勝利に直結するといっても過言ではないぞ」

アーチャー「おっと、前説が長すぎたな。これ以上は随時バトル中に解説するとしよう」

イリヤ「それじゃ、最初のステージは……『Bバスパーク』がいいかしら」



 ジャジャーンミヨヨンミヨヨン


オレンジチーム
しろう(わかばシューター)
セイバー(スプラシューターコラボ)
さくら(もみじシューター)
ライダー(ホットブラスター)


士郎「こっちのチームは俺とセイバーと桜とライダーか」

セイバー「ということは、相手チームにはイリヤスフィールとアーチャーがいるわけですね」

ライダー「ですが、タイガとリンも相手チームですし、戦力は互角と言っていいでしょう」

凛「ちょっと! それどういう意味よライダー!」

桜「頑張りましょうね、先輩っ!」

士郎「ああ」



 ゲーム開始


士郎「(まずは高台を取る……! チャージャーにあそこを取られると、いきなり頭を抑えられた状態で中央に入らなくちゃいけなくなる!)」

士郎「(とにかく早く、何より早く、あの男よりも早く、あの場所へたどり着く――――!)」パパパパパ

士郎「(あれ、登れない……?)」

ライダー「士郎、壁の塗りが不十分です。それでは登ることはできない」パン

士郎「サンキューライダー!」

士郎「(よし、アイツはまだ登ってきてな――――、あ)」


           キイイイイ……


           \、ノしィ ’          
         ___ ,つ て            
           ̄ ̄`Y^\         


            ボンッ!

       ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
      <  スプラッシュボムで  >
      <    やられた!    >
       VVVVVVVVVVVVV


   くコ:彡 
 
 ―――ついてこれるか




士郎「ぐっ……! くそ、気付かなかった!」

アーチャー「真っ先に高台を取ることなど定石中の定石だ。故に私は簡単にお前の裏をかくことができる。少しは頭を使って行動するんだな」

士郎「この野郎……!」

セイバー「シロウ、冷静になってください。まだ開始から15秒と経っていません。ゲームはこれからです!」

士郎「そうだったな、ありがとうセイバー。危うく頭に血が上るところだった」

セイバー「遮蔽物や曲がり角を有効に活用するのです。血気にはやって飛び出しても何もいいことはない。……いきます!」


 
           \、ノしィ ’          
         ___ ,つ て            
           ̄ ̄`Y^\         


            バチュン!

       ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
      < スプラローラーコラボで >
      <    ひかれた!    >
       VVVVVVVVVVVVV


 σ人三 コロコロ

 あかいあくま



凛「あら、ごめんなさいセイバー。ただ塗ってただけだったんだけど、うっかり轢いちゃったみたい、うふふ」

セイバー「…………!」プルプル

ライダー「セイバー。こういうときこそ冷静にならなくてはいけませんよ」

セイバー「……ええ、重々に承知しております。ライダー、忠告痛み入る」

ライダー「ゲーム開始前にざっと確認したのですが、相手のブキ構成はローラーが2人、チャージャーが1人、シューターが1人という構成のようです」

士郎「藤ねえは間違いなくローラーだ……となると、イリヤがシューターか。ブキの種類は?」

ライダー「いえ、さすがにそこまでは……失礼、リン。仕留めさせていただきます」パシュン!


凛「うぇっ!? ちょっと、何よこれ! 全然動けないんだけど!? きゃあっ!」バチュン!

桜「やった! ライダーすごい!」

ライダー「サクラのもみじシューターと、私のホットブラスターに搭載されたサブはポイズンボール。被弾した相手の移動速度と攻撃力を大きく削ぐことができます」

ライダー「ホットブラスターは射程はそこそこ、連射速度は最低クラスですが、その分弾の当たり判定と威力が大きい。カス当たりでも確定2発ですから、大雑把な照準でも敵を倒すことができるのです」

アーチャー「ふむ。早くもライダーはイカシューティングに慣れ始めているようだな。良いことだ――――」ズドン!

ライダー「…………っ!」

 
           \、ノしィ ’          
         ___ ,つ て            
           ̄ ̄`Y^\         

            バチュン!

       ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
      < スプラチャージャーで  >
      <   やられた!     >
       VVVVVVVVVVVVV

  くコ:彡

 ―――ついてこれるか


アーチャー「こちらとしても、手加減をせずに済む」

ライダー「…………面白い」メキメキメキメキ



桜「ライダー! 曲がってる! 曲がってるよゲームパッド!」

イリヤ「皆ずいぶん楽しんでくれてるみたいだけど、別に敵を倒すことが目的じゃないから、そのへんを忘れちゃダメよ?」

アーチャー「単純にリスポーンするまで敵戦力を低減し、また倒した敵は、自チームの色のインクを周囲に撒き散らすために、間接的に塗ることもできる」

アーチャー「だが、あくまでこのバトルはナワバリバトル――――『より多くナワバリを自色で塗った方』が勝者となる。キル数を稼ぐことに執着するあまり、肝心の塗りが疎かになる、などという事態は避けたいところだな」

イリヤ「敵の頭を弾くゲームがしたいなら、普通のFPSをやることね」

セイバー「なるほど……敵を倒すことだけが全てではない、ということですね」

士郎「よし、大体要領は掴めてきたぞ……」

桜「はい、ここからがわたしたちの反撃です!」


ブルーチーム
―――ついてこれるか(スプラチャージャー)
あかいあくま(スプラローラーコラボ)
Illyasviel(?)
ふゆきのとら(ダイナモローラーテスラ)


 つづく

これにて今回の投下は終了です
読了いただきありがとうございました

長らくお待たせしました
続きを次レスから投下します


デデーン


12.3% 86.5% 



士郎「…………」

セイバー「…………」

桜「…………」

ライダー「…………」

士郎「……けちょんけちょんに負かされたな」

セイバー「……申し訳ない、シロウ。私がもっと宝具(スペシャル)を使いこなせていればこんなことには……」

桜「いえ、私がもっとボムを当てることができていれば……」

アーチャー「さて、では反省会をするとしようか。衛宮士郎、お前なりにこのバトルの反省を述べてみろ」

士郎「……お前を倒すことに夢中になって、突っ込みすぎた」

アーチャー「先ほどイリヤが言ったように、このバトルは敵を倒すことが目的ではない。塗ることが目的だ」

アーチャー「それ以前に、味方の生存状況も把握せずにフィールドのど真ん中に踊り出るなど言語道断だ。私の教導は全く貴様に浸透していなかったようだな」

士郎「……返す言葉もない」

アーチャー「次は間桐桜だ。君に関しては、まずブキ選びからして間違っている」



桜「はうっ」

アーチャー「君が使ったもみじシューターは、サブがポイズンにスペシャルがスーパーセンサー……つまり、敵をキルするにはメインの射撃を用いるしかない」

アーチャー「だがもみじシューターはわかばシューターと同等……スプラシューター系列以下の射程しか持たない。つまり、敵を倒すにはかなりの至近距離にまで近づかなければならん」

アーチャー「しかし、スプラッシュで牽制ができ、いざというときにはバリアを張れるわかばと違い、もみじの攻撃性能は最低レベルだ。ポイズンを食らって弱体化した相手に倒されることすらままある」

アーチャー「つまり、このブキは完全な支援型、それもかなりの熟練を要する上級者向けのブキだ」

アーチャー「塗り性能自体は悪くないが、それを言うならわかばの方が圧倒的に初心者には向いている」

アーチャー「まあ、塗りポイント自体はそこそこ稼げているところを見ると、動きは悪くない」

アーチャー「様々なブキに触れることで、自分のスタイルに合ったものを見つけるのが重要だ」

桜「は、はいっ。ありがとうございます!」

アーチャー「次はセイバーだが……単純にまだゲームに慣れていないのだろう。これからしっかり練習すれば、きっとすぐに上達する。私が保証しよう」

セイバー「分かりました、アーチャー」


士郎「ちょっと待て! 明らかにセイバーの講評だけ甘くないか!?」

アーチャー「そのようなことはない。彼女の使用ブキはスプラシューターコラボ。牽制用のキューバンに遠距離攻撃に適したスーパーショットという実に恵まれた構成のサブとスペシャルを有している」

アーチャー「立ち回り自体も……まあ、初見で凛に轢き殺されこそしたものの、それ以降は無闇に射程で劣るブキを使う者に近づかず、塗れる範囲を堅実に塗り」

アーチャー「ダイナモを使っていた藤村大河や、プライムシューターコラボを使っていた彼女などの、接近戦で優位に立てる相手のみと相対し、少なくとも相打ちに持ち込んでいる」

アーチャー「スーパーショットは初心者には少々扱いづらい代物故に、キル数こそ稼げてはいないが、長くプレイする内に照準も安定してくるだろう。よって、私から特別アドバイスすることはないということだ」

士郎「な、なるほど……意外としっかり考えてたんだな」

アーチャー「当然だ」

ライダー「アーチャー。私への講評はないのですか?」

アーチャー「ふむ。ライダーはホットブラスターだったな。構成はぶつけた相手の移動速度をヒト状態時・イカ状態時ともに著しく減衰させるポイズンボムと、射線上に広い円柱形の攻撃判定を持つ音波を放つメガホンレーザー」


アーチャー「連射が効かない代わりに当たり判定が広く、当たれば確定2発に持ち込めるホットブラスターと、敵の動きを封じるポイズンボムの相性は悪くない。だが、ことナワバリバトルにおいてメガホンレーザーははっきり言って無用の長物だ」

アーチャー「ホッケふ頭やハコフグ倉庫のような縦長で且つ平坦なステージならばともかく、Bバスパークはステージ自体が狭く、また高低差も大きい。発射後に射角の修正が効かないメガホンレーザーの真価は発揮しづらいだろう」

アーチャー「さらに、ある程度敵の動向が読みやすいガチマッチならいざ知らず、敵がステージ全体にバラけてしまうナワバリバトルでは、一体仕留めることすら難しい」

アーチャー「実質、メガホン持ちはナワバリではスペシャルを封印して戦っているようなものになってしまう」

ライダー「…………なるほど」

アーチャー「だが、射撃後の硬直の隙をつかれないため、また敵の射線から逃れるために常にジャンプしながら撃ち続ける『バッタ撃ち』を教えずとも会得したことは驚愕に値する」

ライダー「……ありがとうございました、アーチャー」

アーチャー「では引き続きナワバリバトルを続けていこう。次のステージは――――」



士郎「それから俺たちは、何度もナワバリでインクを交えた」


 ――――――


 ネギトロ炭鉱


セイバー(スプラシューターコラボ)「試合開始です、シロウ。まずは右手の広場を占拠します!」

士郎(わかばシューター)「ああ。俺も随伴する! イリヤは左手から自陣に踏み込まれないように牽制しててくれ!」

イリヤ(スプラチャージャー)「分かったわシロウ!」

士郎「藤ねえはその間に自陣の塗りを固めておいて――――あ、落ちた」

大河(スプラローラーコラボ)「ちょ、何でいきなり死んじゃったのー!?」

アーチャー(リッター3K)「金網の上でイカになると、すり抜けて下に落ちてしまう。そうでなくとも落下死の多いステージだ。十分に気をつけてくれ」

大河「言うのが遅いのよー!」

アーチャー「……すまない。私の失態だ」


士郎「よし、スペシャルが溜まった……! 行くぞ、ライダー!」

ライダー(デュアルスイーパー)「…………」ズドドドドド

士郎「今だ、バリア!」

ライダー「…………フ」ズドドドドド

士郎「無駄だライダー! 接近戦にさえ持ち込めば、連射速度と確定数で勝るこっちに分が……って、ちょ、待」キキキキキン


 ボチャン


士郎「お、押し出された……」

セイバー「シロウ!?」

アーチャー「バリア使用時に敵に攻撃された場合、ダメージはない代わりに大きくノックバックを受けてしまう。落下死の危険性がある場合には、無理をせず逃げることに専念した方がいい」

士郎「それを先に言え!」

アーチャー「聞かれなかったからな」

士郎「こ、この野郎……!」



 ――――――


 タチウオパーキング


士郎(バケットスロッシャー)「高低差がすごいな……藤ねえ、またうっかり落っこちたりしないでくれよ」

大河(カーボンローラー)「大丈夫大丈夫! 私、こう見えても結構ゲームとか得意なんだから!」

士郎「どうだか……」

凛(スプラスコープワカメ)「あらあら衛宮君ってば。もう人にご高説ができるようになったの?」

士郎「べ、別にいいだろちょっとくらい……」

桜(金モデラー)「私が味方の陣地を塗りますから、先輩たちは中央の占拠をお願いします!」

士郎「ああ。頼んだぞ、桜」

桜「はいっ」


士郎「開始前の集合シーンで、アーチャーがチャージャーを持っていたのが見えた。無闇に突っ込むと餌食になるのは間違いない」

士郎「……だから、敢えて道に沿って広場まで行く。さすがにあの高台から俺たちの陣地を狙撃するなんて真似は……」

凛「衛宮くんストップ!」


 ズドン!


士郎「……は?」

アーチャー「3Kスコープの射程は全ブキ中トップだ。あまり甘くみるな」

士郎「は、反則だろ! あんなに距離が離れたところから狙撃できるなんて……!」

凛「……確かに、あの射程の長さは十分に脅威だけど、忘れないで衛宮くん。それ以上に厄介なのはアーチャー自身の技量と、サブのクイックボムよ。チャージャーだからといって、強引に近づけばいいなんて考えてると返り討ちに遭うわ」

アーチャー「そういうことだ。凛のおかげで命拾いしたな、衛宮士郎」

士郎「……だが問題ない。別に、俺が無理して倒しに行く必要はないんだ」

アーチャー「なに」


士郎「お前がそこにいる限り、俺たちは広場に入ることはできない……なら、そこからお前をどかせばいい」

アーチャー「……! しまった!」

士郎「やれ、桜! あの野郎に、キツい一発をくれてやれ!」

桜「はい! ちょうどスペシャルが溜まりました。トルネード、撃ちます!」バヒュウウン

アーチャー「くっ……!」ピョン

アーチャー「(広場が敵色で塗られている……! スプリンクラー、凛の仕業か!)」

アーチャー「(ダメだ、逃げられない……!)」


 ズドン!!


凛「イカニンジャのせいで足が遅くなってたのが仇になったわね、アーチャー。私でも簡単に着地点を狙って仕留められたわ」

アーチャー「……一本とられたか」


士郎「……遠坂。何でアーチャーのギアが分かったんだ?」

凛「何でって、ガチホワイト着てたんだからイカニンジャがついてるに決まってるじゃない」

士郎「な、なるほど……」

桜「姉さん、かなりはまってますね……」

凛「な、何よ。分かりやすいギアなんだから、ちょっと見ればすぐ覚えられるでしょ!」

セイバー(ヒッセン)「……!」バッシャバッシャ

ライダー(ボールドマーカー)「…………」ババババババ

士郎「(あの2人はあの2人で眼が血走ってるし……)」

士郎「(こりゃ皆すぐ上達しそうだ)」


 つづく

これで今回の投下は終了となります
読了いただきありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年10月20日 (火) 03:19:59   ID: 2lfzKk2d

アーwwwwwwチャーwwwww

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