渋谷凛「あのさ、一ついい?」 武内P「なんでしょうか」 (43)

凛「いつも笑顔笑顔言ってるアンタ自身が一番笑顔が少ないのってどうなの?」

武内P「それは……」

凛「確かに最初よりは自然な笑顔が出るようにはなってるよ? でもまだ仏頂面の方が多いでしょ」

武内P「しかし私はあくまでプロデューサーでして」

凛「それは分かるんだけどさ。そんな険しい顔で笑顔の力云々言われても説得力がないんだよね」

武内P「はあ……自分では普通の顔をしているつもりなのですが」

凛「伝わりにくいんだよ。だからみりあにも何考えてるのか分からないとか言われちゃうんだよ」

武内P「えっ」

凛「あ、これ言っちゃダメなやつだった」

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莉嘉じゃなかったかその台詞

>>2
マジでか。みりあだと思ってた

武内P「そうですか……」ズーン

凛(めっちゃヘコんでる)

武内P「いえ、渋谷さんのおっしゃる事はごもっともです」

武内P「自分自身に笑顔がないようでは、アイドルの方々とのコミュニケーションや、クライアントとの業務にも差し障りがあるやもしれません」

凛「そこまで考えてなかったけど、まあいいや。とりあえず私の言いたいこと分かってくれたみたいで」

武内P「はい。この件につきましては、一度社に持ち帰って検討させて頂きます」

凛「アンタの会社はここでしょうが!」

武内P「そうでした……」

凛「なに? 動揺してるの?」

武内P「赤城さんに何を考えてるのか分からないと言われたことが予想外に響いています」

凛「いや、ごめん勘違いだった。それ言ったのみりあじゃなくて莉嘉だよ。だから大丈夫」

武内P「フォローになっていません」

凛「とりあえず無愛想な顔するのやめなよ」

武内P「渋谷さんにそれを言われるとは」

凛「は?」

武内P「申し訳ありません」

凛「一回笑顔やってみて」

武内P「こう、でしょうか」ニコァ……

凛「怖い怖い。顔に影が落ちてる」

武内P「難しいものですね」

凛「もっと口角を上げて、明るくなるように意識して」

武内P「はい。どうでしょうか」ニタァ…

凛「快楽殺人者みたいな顔になってるよ」

武内P「どうにも自分では分からないもので……」

凛「……まあ言い出したのは私なわけだから、勿論対策は考えてあるよ」

武内P「本当ですか!」

凛「任せて。じゃあ、笑顔の特訓開始だよ!」

武内P「はい! よろしくお願いします!」

未央「……」ジー

卯月「……」ジー

未央「なにあれ」

卯月「さあ?」

未央「とにかく面白そうだから物陰から見てよっか」

卯月「そうですね」

~レッスンルーム~

凛「じゃあ始めるよ」

武内P「お願いします」

未央「なんかしぶりん、私達とのレッスンより気合い入ってない?」

卯月「プロデューサーさん意外とジャージ似合いますねえ」

未央「どんな特訓するんだろう」

卯月「くすぐり百連発とか」

未央「地味にキッツいなそれ」

凛「まずはこれ」スッ

武内P「なんですかこれは」

凛「雑巾」

武内P「それは見れば分かりますが。何故雑巾なのでしょうか」

凛「まず右手で床にワックスをかけて、左手でそれを拭き取る」

武内P「あの、渋谷さん」

凛「なに?」

武内P「これはベストキッドの」

凛「さあとっととやる!」

武内P「は、はい……」

凛「ワックス塗る! ワックス拭く! ワックス塗る! ワックス拭く!」

武内P「ワックス塗る……ワックス拭く……ワックス塗る……ワックス拭く……」キュッキュッ

卯月「あれただレッスンルームの掃除してるだけなんじゃ?」

未央「レッスンルームの床が綺麗になるのはいい事だよ」

凛「うん。上出来だね」

武内P「レッスンルームの床がとても綺麗になりましたね」

凛「じゃあ次。まず足をハの字に開いて」

武内P「はい」

凛「次は中腰になって両手を前に出す」

武内P「はい」

凛「私が身体中に茶碗を置いていくから落とさないでキープしてね」

武内P「渋谷さん」

凛「なに?」

武内P「これは酔拳の」

凛「じゃあ茶碗にお湯入れていくからね」

武内P「ちょっと待ってください」

凛「はいお湯ー」ザババー

武内P「くおおおっ……!」プルプル

未央「ほんとになんだこれ」

卯月「笑顔要素が皆無なんですけど」

凛「一秒間に10回の笑顔が出来るようになれ!」

武内P「はい!」

凛「それが出来たら次は10分間笑顔になり続けて、10分間笑顔を吐き続けろ!」

武内P「はい!」

未央「私なんかよく分からないけど感動してきちゃったよ」

卯月「それプラシーボ効果とかストックホルム症候群とかそういう何かじゃないですか?」

凛「はあ……はあ……よく耐えたねプロデューサー……」

武内P「はい……ありがとうございました……」

凛「じゃあ特訓の成果を見せてもらおうかな」

武内P「お任せ下さい」

未央・卯月「「ちょっと待ったあ!!」」

凛「未央に卯月!」

武内P「どうされたのですかお二人共」

未央「君たちの特訓は全て見させてもらったよ」

卯月「陰ながら応援させて頂いてました」

凛「こっち来れば良かったのに」

未央「いやなんか異様な空気だったから」

武内P「何故今になって急に?」

卯月「特訓の成果を間近で見たくて」

凛「なるほどね……じゃあプロデューサー。特訓の成果、私達に見せてよ」

武内P「はい! 参ります!」

武内P「ニコッ!」ピカー!

未央「うおおおっ! 眩しい!」

凛「バッチリだよプロデューサー!」

卯月「フェイスフラッシュかと思うくらいの輝く笑顔です!」

武内P「ありがとうございます! これも渋谷さんのお陰です」

凛「じゃあ早速常務の所にいくよ」

武内P「えっ」

未央「そうだよ! 今のプロデューサーの笑顔を見せ付ければ常務だって笑顔の力に納得してくれるはずだよ!」

卯月「そうです! パワーオブスマイルですよ!」

凛「プロデューサーの笑顔でプロジェクトを存続させるんだよ!」

武内P「……分かりました。常務の所へ行きましょう!」

一同「オー!」

~常務のお部屋~

コンコン

美城常務「どうぞ」

武内P「失礼致します」

美城常務「君か……なんの用だ?」

武内P「私の笑顔を見ていただきたいのです」

美城常務「は?」

凛「パワーオブスマイルですよ」

未央「お願いします常務!」

卯月「プロデューサーさんの笑顔を見てあげて下さい!」

美城常務「なんだ君たちまで……そんなくだらない話をしに来たのか?」

卯月「お願いしますババア!」

美城常務「おいお前待て」

未央「なんで笑顔を見てくれないんですかババア!」

凛「一回見てくれれば分かりますよババア!」

美城常務「そんな新しい語尾かのようにババアを連呼する輩の言う事を聞くと思っているの?」

武内P「私からもお願いしますババア」

美城常務「ほんっといい度胸だな君たち」

未央「先っちょだけ! 先っちょだけですから!」

美城常務「なんの先っちょだ! ……いいでしょう。そこまで言うなら見てあげます」

卯月「ほんとですかババア!」

美城常務「おい、ババア禁止だ。次に言ったら殺すぞ」

卯月「分かりました……」

美城常務「そこまで私に啖呵を切るならそれなりの覚悟はあるんだろうね?」

武内P「勿論です」

凛「驚くものを見せて差し上げますよ」

美城常務「……では、見せてみなさい」

武内P「参ります。ニコッ!」ピカー!

美城常務「……」

武内P「以上です」

美城常務「……で?」

未央「で? って見なかったんですか今の!?」

卯月「完璧な笑顔だったじゃないですか!」

凛「これ以上ないほどの出来の笑顔ですよ!?」

美城常務「……正直言って、だからなんだ? という気持ちしかないんだが」

武内P「そんな!」

美城常務「とりあえず帰りたまえ。君たちの非礼に対する処置は追って通達する」

卯月「ちゃんと見て下さいよババア!」

美城常務「お前またこの野郎……!」

未央「そうだよ酷いよババア!」

凛「ちゃんと見てよババア!」

卯月「親の七光り!」

未央「アナル弱虫ペダル!」

凛「セーラームーンの妖魔人間体!」

未央「プリキュアの女幹部!」

卯月「織田non!」

未央「諜報参謀マリバロン!」

美城常務「……」ジワァ

武内P「あ、皆さんストップ。常務泣いてます」

~その後~

武内P「プロジェクトが強制解体になりました……」

凛「まあそうなるよね」


おわれ

おわりです。HTML依頼出してきます

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年04月29日 (日) 07:52:51   ID: MdWZT2nW

このバカテスみたいなノリ好きだわ

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