黒魔法使い「お前、自分の矛盾に気付いてるか?」白魔法使い「え?」 (25)


戦士「何なんだ。『勇者』=『主人公』って」冒険者「ん?」
戦士「何なんだ。『勇者』=『主人公』って」冒険者「ん?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1439079824/)


これの続編というか、同じような方向性の話です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1440287372

白魔「ちょっと待って下さいね。この人の治癒を終えてから、お話を伺いますので」

白魔「神よ……その聖なる力で、この者の傷を癒し給え……」

モブ「ああ、聖なる力で傷が癒えました! 白魔さん、ありがとうございます!」

白魔「私の白魔法は、神の大いなる愛で、人々を救うものですから」

黒魔「それだ! それを言ってるんだ俺は!」

白魔「え。……あ、もしかして私のセリフ、驕慢に聞こえました? でしたら」

黒魔「違ぁぁう! 『神の聖なる力』ってところ、おかしいと思わんのかお前は!」

白魔「『神聖』って言葉もありますし、『神』と『聖』とが並ぶのはおかしくないと思いますけど」

黒魔「その2つはな。だが、『魔』はどうだ? 『白魔法』使いさんよ」

黒魔「魔界の魔、魔物の魔、魔王の魔、呪われし魔剣の魔、だ」

黒魔「『神』の力を借りた『聖なる』、白『魔』法。おかしいとは思わんか?」

白魔「そう言われると……でも『魔』という字自体は、悪だとは限らないのでは?」

白魔「限らないから、悪に属するものには、わざわざ『悪魔』と、『悪』の字をつけてますし」

黒魔「だから列挙しただろ。『悪』の字がつかずとも、明らかに『悪要素』満載の、」

黒魔「『魔』の字が使われている言葉、たくさんあるぞ」

黒魔「ついでに、あちこちで調べてみたが……」


【魔】
人を迷わすもの。修行をさまたげ、善事を害する悪神。
人間わざでない、不思議な力をもち、悪をなすもの。

人の心を惑わす悪鬼(悪魔)や災いをもたらす魑魅魍魎

人の心を迷わし、悪に引き入れる悪霊。悪魔。

「人々を、人間を不幸へ、不幸へと誘おうとする力、負の力、エネルギーである」

魔はサンスクリット語 māra の音写,魔羅の略語で,殺すものという意味

白魔「……」

黒魔「この通りだ。『魔』一文字だけで充分、『神』や『聖』とは反対方向になってるだろ」

黒魔「『魔』一文字で既に、『悪』を含有してるんだよ。むしろ『悪魔』は重複みたいなもんだ」

白魔「た、確かに。これだけ並べられると、認めざるを得ませんね。『魔』の意味を」

白魔「『魔法』ではなく、『マジック』や『スペル』だったら問題ないのでしょうが……」

黒魔「ああ。このジャンルは、TRPGであれ、あるいは小説であれ。西洋の発祥だ。当然、漢字は無い」

黒魔「剣や魔法やドラゴンの世界を描いた、古い、元々の、原典では『魔』の字は使われていない」

黒魔「だが、それらを日本語訳するにあたって『魔法』とし、『魔』という漢字を使ってしまった」

黒魔「昔話で悪役をやってるような、悪い『魔女』とか『魔法使いの老婆』だけだったらいいんだが、」

黒魔「正義側の、しかも神に属するようなものにまで『魔法』を使ってしまったのが間違いだった」

黒魔「そして、いつの間にやら、それが定着してしまった」

白魔「神の力を借りようが、悪魔の力を借りようが、要するに『超能力』ですからね」

白魔「手から火を出したり、ケガを治したり、空を飛んだり、自然を操ったり、心を読んだり」

白魔「普通の人の能力を超えた能力。単純にそのまま書けば『超能力』」

白魔「とはいえ『超能力』では味気ないから、でしょうか。『魔法』という言葉を生み出した」

黒魔「そうだ。さっきも言ったが元々は『魔女』のように、『魔』は悪側だけのものだった」

黒魔「『魔』とは悪魔で魔王で、それに連なる者は悪の手先。そういうものだった」

黒魔「だが、毒を巧く薬として使って、世の中に役立てる技術も生まれた。それが、」

黒魔「ゲームなどの黒魔法(使い)ってわけだ。魔女っ子だの、魔法少女だのもここに入れていい」

黒魔「黒側はこれで筋が通る。この解釈があれば、『魔』を正義に活用しても問題はない」

黒魔「だが『神』や『聖』と、『魔』とは、毒と薬。いわば存在の根が違う別物。同居はできん」

白魔「でも……どうすればいいんです? 今更『超能力』にはできないでしょうし、」

白魔「全く新しい言葉を創り出したって、そうそう定着させられるとは思えませんよ」

黒魔「ふっ。新しいどころか、むしろ日常ではほぼ使わないほどの、古い言葉が使えるんだ」

白魔「と言いますと?」

黒魔「白魔法とか、神聖魔法とかの使い手としては、『僧侶』もいるだろ。聖職者だ」

白魔「はい」

黒魔「聖職者の中には、『お坊さん』も入るよな?」

白魔「ええ。それはそうですが」

黒魔「昔話でも霊感商法でもいい。数珠や錫杖を構えて『悪霊退散! 喝!』の、アレ」

黒魔「アレを何と言う?」

白魔「何と言う、と言われましても……?」

黒魔「どこぞの破戒僧の技、拳の衝撃を二重にしてどうとかいう、超能力じみたものについて、」

黒魔「目撃者であるケンカ屋は、何と表現していた?」

白魔「えーと……『仏の力を借りる、法力ってやつだろ』でしたっけ?」

黒魔「そう、それだ! それで万事解決する!」

白魔「? 確かに『法力』という言葉は新しいものではないですけど、それで何を?」

黒魔「よく聞け。神だの仏だのに仕える聖職者が行使する力を、『法力』と称するわけだ」

黒魔「聖なる白い力、白い法力。なら、その力を使った術は『法術』と称するのが妥当」

黒魔「神が定めた法、『神法』なんて言葉もあるからな。『神』と『法』は、馴染みのコンビだ」

黒魔「そして、魔界・魔王に通じる黒い力を、『魔力』と称して、」

黒魔「こちらは黒い力、黒い魔力。その力を用いた術を、『魔術』と称する」

白魔「あ……」

黒魔「気付いたか? 黒い魔力の魔術と、白い法力の法術。魔術と法術、その2流派の総称が、」

白魔「『魔法』……ですか。なるほど、筋は通りますね」

黒魔「手から火を出す、触れてケガを治すといった者は、総じて『魔法を使う者』で『魔法使い』」

黒魔「その中に、黒に属する『魔術』使いと、白に属する『法術』使いがいる、と」

白魔「『僧侶』というのはどうします? 撤廃するわけにもいかないでしょう」

黒魔「それはただの職業名だ。酒場にいる『戦士』が、『傭兵』を生業にしててもおかしくないだろ」

黒魔「『傭兵』さんの、パーティー内でのポジション名は『戦士』である、と言ってもいいな」

黒魔「だから『僧侶』という職業・肩書きでメシを食ってる、『法術使い』とか『法術師』。これでいい」

黒魔「無論、ポジション名だの職業名だのの扱いは、どっちがどうでも好きにすりゃいい。どうせ同一人物だ」

白魔「そういえばFFでは1から早々に『白魔法』が出てますが、使い手は『僧侶』ではないんですよね」

白魔「だから神に仕えている聖職者ではなく、『魔』であっても問題はないということですか」

黒魔「そうだ。そしてDQ3の『僧侶』は、『白(あるいは神聖)魔法』を使っていなかった」

黒魔「こっちもこっちで、『魔』と『神聖』の矛盾をしっかり回避できているわけだ」

黒魔「だから、それぞれの原点であるこの2作は問題なかったんだが……問題のある作品もある、ということだ」

白魔「で、どうするんです?」

黒魔「似たような問題について、頑張ってる戦士がいるんでな(上記)。俺も共に励むつもりだ」

黒魔「言葉の認識をひっくり返す、長い長い戦いは、まだ始まったばかりだからな……」


戦士と黒魔の戦いはこれからだ!
ご期待ください!

以上です。
これは、前回の『勇者=特殊な存在・主人公』よりもさらに根が深いんですよねぇ。
スレイヤーズにもロードスにもあります。
ただ、ソードワールド関連書籍の後書きか何かに、「神聖+魔法」という表記について
言及してた記述があったような記憶が微かに。勘違いかもしれませんが。

ちなみに。
作中で、「普通は『魔法』というべきところを『魔術』に統一する」だけでやってたら、
担当さんに気付いてもらえず、口絵の文で「魔法」と表記されてしまったことが。
以後、作中できっちり説明するようにしてますが、残念ながら今のところ、↑これが私の、
「口絵を貰える身分」の最後の作品……現在、カムバック目指して努力中……

まあ、物語の展開やキャラの設定などには触れない、単に呼称だけのことですから。
ファンタジーものでさえあれば、ほぼどんな作品にだって練り込めるネタですからね。
これからも、ずっと続けますよ!

もちろん、パクリ大歓迎。布教の仲間ってことですから。
このネタを世に出し、世間に広めるという夢の、
先を越されてしまって私が悔しがる日を、楽しみに待っております。

ついでに。今回ちょっと触れたので、これも言っときましょう。いつか書きたいネタ。

「この世の、全ての『能力者』たちを超えた最強の存在! その名は『超能力者』!」

『超』がつかない能力なら、誰だって持ってるんですよね。記憶とか、空間認識とか。
この世に、『能力者』でない人間なんか、一人もいないわけですよ。
なのに、現状は……と。これも、いつか世に出したいところです。

荒木先生だって、「スタンドは『超能力』を目に見えるように描いたもの」と
仰ってますし。スタンドは「超・能力」であって、ただの「能力」に非ず。
サイコキネシス、テレポーテション、スタンド、ってなもんです。

野球がスポーツであるのは当然だから、「野球というスポーツの選手」を略して「野球選手」。
同様の理由で、「スタンドという超・能力を使う者」を略して「スタンド能力者」と。

日本だと神と妖等の魔はほとんど同一だから別におかしく無いんだが

別に白魔法が神の力を借りて~、ってイメージはないから矛盾してるとは思わない。でも神聖魔法とかは確かに変かもな。
まぁ、細かいことを気にしてると体に悪いから程々に。

魔は人を魅了するし髪の力も人を魅了させるからそこまで間違ってないんだよなー

それに魔法ってもう一つの単語になってるから魔と法を分ける意味が無い

白魔術師でも白魔導師でもなく白魔法使いって何?
光の4戦士くらいにしかなくね
他には仮面ライダーワイズマンことパパが出て来るがあれは見た目が白いだけだし
白魔法といえばFFだが本文中に書いてる通り基本白魔導師が聖職者とか無いし、FFには神官とかモンク僧とかのジョブもあるし
ローザの祈りは天に祈ってるけど神とは限らん

そもそも白魔術って害悪を及ぼさない魔術ってだけだし、これだけでこのスレ終わり
神聖魔法についてはそれっぽい名前付いてるだけだけとか白魔法と別個だったりするから考えるだけ無駄

前スレでもそうだったが無粋というか本質を理解できてない奴が沸くのは仕方がないことなんだろうね

そもそも白魔法は神聖な力ではない。魔法は言葉の通りは魔の法であり超常の力。黒魔法との違いは利他的、つまりは他者にとっての益を授ける術を言う
黒魔法は利己的、つまりは自身にとって益のある術を言う
ゲーム感覚で魔法や魔術語る前に、せめてセフィロトやクリフォトの関係性を調べてから語れよ阿呆くさ

パクリ大歓迎って
いやいや……大層なご身分ですなぁ
やはり口絵が貰える作家様は違いますなあ、え?

ゲーム的「白魔法」は回復だけじゃなくて状態異常系も持ってるしなぁ

コンヒュあたりは特に「人を惑わすもの」じゃん?

白魔導師って本来神に仕えてるわけでもなんでもないわけで
前レス風にいうなら「何なんだ。『白魔導師』=『聖職者』って」という部分が問題なんだと思うけど

なんでもよくね?

前作は同意出来る所もあったんだけど、今回は難癖つけてるようにしか見えないなぁ

主張は面白いけど自分語りはなくていいです

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom