南条光「光あるところ、闇があるっ!」 (369)

夏・事務所女子寮

ある部屋



ガチャッ

ギィィィィィィィッ




南条光「……」

光「……来たぞ」



???「……」

????「……」



???「フフ……待ってたよ。『キミ』も……いや、キミならいつか『此方側』に来ると思っていたよ。遅いか、早いか、その違いはあったけれどね」

????「ウフフ……その通り……我らの選別の眼は誤魔化せない……!
さぁ!!我が新たな同胞よ……!!共に我らと新たなる覇道を歩もうぞ!!」





光「……ああ」

光「頼む……アタシに……アタシに“悪”をっ!!“闇の力”を教えてくれっ!!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1440284784


???「……」

????「……」





二宮飛鳥「フフ……あぁ、歓迎しよう……この必然を」

神崎蘭子「ええ……迎えましょう……新たなる闇の同志を!!」

ドンッ!!

光「すまない……他に教えを乞える人間が……アタシの周りに“闇”に精通した人間が思ってたよりいなかったんだ……っ!!」


※ひかるのともだちリスト
①珠ちゃん(闇浅そう)
②千佳(ラブリーチカ)(闇無さそう)
③晶葉(博士)(闇気にしなそう)
④プロデューサー(お金無さそう)


飛鳥「気にする必要はないさ……さっきも言ったように同志が増えること自体はボク達も吝かではないからね……」

光「おお!なんかそれっぽい言い回し!」






三好紗南(※部屋の隅)「……」ピコピコ

紗南(……朝からなんか二人がずっとソワソワしたりカッコつけたりしてると思ったら……こういうことか)ピコピコ

飛鳥「……。だが、キミは運が良いな……ボク達二人という理(ことわり)からはみ出し、抗う存在が側にいたんだからね……」

カチャッ←コーヒーカップ(カフェオレ)

飛鳥「……」ゴクリ

飛鳥「……キミの望む答えに辿り着けるかはわからないが……存分に学んでいくと良い……」フッ

光「おお……っ!すごく“闇”っぽい!!」

蘭子(飛鳥ちゃんカッコいい……!!)キューンッ

飛鳥「……♪」




紗南「……」ピコピコ

善の南条光
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悪(の演技)の南条光
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闇の世界の住人・アスカ
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漆黒の闇に堕ちた堕天使・ブリュンヒルデ
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めっちゃゲームが好き・三好紗南
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光「で、早速なんだが助けて欲しい」

蘭子「ふむ……聞こう……!」

光「うん。今度アタシ……悪役をやることになったんだ」

飛鳥「……!へぇ、意外だ……よくキミのプロデューサーがOKを出してくれたな」

蘭子「うむ……我らが友がそのような選択を輝きの同志に与えるとは……」

光「……多分プロデューサーも色々考えた結果だと思うんだけど……」

光「……」

飛鳥「……」

蘭子「……」

光「……どうしても……」




光「どうしても……役の気持ちが掴めないんだ……っ!!」

飛鳥「……どんな役なんだい?」

光「えっと……泥棒で……悪くて……乱暴で……悪くて……スゴい悪い奴だっ!!」

飛鳥「……自分の役なのに“奴”なのか……」

蘭子「偽りの自分を形作るには魂の欠片があまりに朧気ではないか……?」

光「……共感出来ないんだ!!何が面白いのかさっぱりわからないし酷いことばっかり言うしっ!!」

光「……アタシこんな酷い言葉使いたくない。人にこんなこと言うなんて……」

蘭子「ふむ……言霊は使い手を表しもの……望まぬ言霊を使い与えられた契約に挑む事を輝きの同志が躊躇い迷うのも無理はない……」

光「そうなんだ……どうしても抵抗があって、役に……役に全く入り込めないんだ……っ!!」

飛鳥「……」

光「……」

蘭子「……」

光「……正直本気で嫌なんだ」

飛鳥「……それで悪に通じるカケラの1つでもある“闇”を、まずはボク達から学びたい……と」

光「ああ。まずはこう……順番と段階を踏んでいこうと思ったんだ。特訓だ!!」

蘭子「ふむ……しゅそうな……しゅしゅしょうな……殊勝な心掛け、実に良いぞ……!!」

光「ああ!ヒーローだからな!困ったらとりあえず特訓しないと!」

光「……あ、今は悪い奴だけど……それでも、特訓しないと……!」

飛鳥「……成る程」




紗南(……全てに人選ミスだと思う)ピコピコ

光「最初は麗奈に弟子入りしたんだ」

飛鳥「ほぅ……!」

蘭子「なんと……!」

光「その日の内に破門されたんだ……」

飛鳥「ほぅ……」

蘭子「なんと……」

光「うん……」

飛鳥「……」

蘭子「……」

光「……何がいけなかったんだろう……」

※回想



小関麗奈「オーホッホッホッホッホッホッホッホ……ゲホッゲホッ!」

麗奈「ようっっっやく!アンタも悪の道の素晴らしさがわかったみたいね!良いわ!この心が広くて器が大きい悪の中の悪、悪の女王のレイナサマが悪のなんたるかを教えてあげる!!」

光「おお!引き受けてくれるのか!悪ばっかりだな!」

麗奈「オーホッホッホッホ!
でも……その代わりアンタは今からアタシの下僕……つまり部下になるのよ!!これからはアタシの指示には絶対服従、アタシを呼ぶときは必ず様を付けてレイナサマと呼ぶこと!……良いわね?」

光「えー」

麗奈「ちょっ……そこで抵抗すんじゃないわよ!?」

光「……くっ!これもヒーローとしてレベルアップする為に必要な事なのか……!!」

麗奈「ガチで嫌そうな顔すんじゃないわよ!?アンタ何しに来てんの!?喧嘩売りに来たの!!?」

光「……だって何させられるかわかんないし」

麗奈「変なところで正直になるんじゃないわよ!!アンタね!悪は楽じゃないの!大変なの!レイナサマは忙しいんだからね!?
悪の道に入るのなら、悪を学びたいなら学びたいで、さっさと覚悟決めなさいよ!!」


光「……っ」グッ…

光「……っっ!」ググッ…

光「……っっっ!」グググッ…

光「~~~~~っっっ!!」 ギリッ…



ガクッ…



光「――……くっ!わかった……っ!!」



麗奈「……アンタ……言っとくけどこれアタシじゃなかったらもうここで門前払いだからね?」

休日出勤になっちゃったから一旦ここで切るの(´・ω・`)
昨日は光が取れてすごく嬉しい1日でした(KONAMI)

僕もめんどくさい光Pだけど続き書いても良い系かな?(´・ω・`)

(スマホだからID変わってるけど>>1です)

麗奈「悪の道講座その①!まずは見た目から入るわ!!」

衣装ズラッ

光「おー!衣装がたくさん!どうしたんだこれ?」

麗奈「事務所の衣装室からそれっぽいの片っ端から持ってきたのよ!さぁ!悪への第一歩!まずは形から悪になりきるのよ!!」

光「なるほどっ!形からは大事だな!!アタシもヒーローっぽい衣装を着ると一気に気合いが高まるぞ!!」

麗奈「……わかってると思うけどアンタ今悪党だからね?」

光「」ハッ

麗奈「……」

麗奈「まぁ良いわ……悪い女の衣装といえば、そう!露出!」

光「レイナサマ変態なのか?」

麗奈「ぶっとばすわよアンタ」

光「ごめん」

麗奈「セクシーよセクシー!男を虜にして操る程の魔性さとえんようさが悪の女の華なのよ!!その為に肌を見せてセクシーに行くの!それが悪なの!!」

光「えんよう?」

麗奈「えっなんか違ってた……?」

光「……」

麗奈「……」

光「……妖艶?」

麗奈「! そうよ!それそれ!」

麗奈「というわけでハイ、さっさとこん中から好きなの選んで着替えなさい」

光「えー」

麗奈「なんで抵抗してんのよ!?」

光「だって無駄に露出多いし……」

麗奈「人の話聞いてた!?アンタほんとにやる気あんの!?」

光「気が進まないんだ」

麗奈「喧嘩売ってんのかしらコイツ」

光「もうちょっと控え目なのはないのか?」

麗奈「早速タメ口になってるし……」

光「あっ……ないのかレイナサマ?」

麗奈「取って付けたし……結局タメ口だし……」

麗奈「アンタね!?悪役に挑戦するんでしょ!?悪の気持ち知りたいんでしょ!?だったらアタシの言うこと聞きなさいよ!!」

光「でもレイナサマ」

麗奈「でもって!!アンタだって形から入るのが大事なのは認めてるでしょう!!」

光「形から入るにしても別の路線もあると思うんだ。悪の道だってきっと1つじゃないと思うし……ホラ、特撮とかの悪役でも全身鎧とかでカッチリ着込んだ格好良い見た目の奴とかいるし。
どうせ悪役やるなら格好良い方が良い」

麗奈「選り好みしてんじゃないわよ!!アンタは今悪の女王レイナサマの下僕、悪の一員なんだから、素直に言われたことをやりなさいよ!!」

光「与えられた役割の中でも自分の色を出していく努力はすべきだと思うんだ」

麗奈「アンタたまにホント無駄に口が回るわね」

光「……」テレテレ

麗奈「褒めてないわよ」

光「えっ」ガーンッ

麗奈「……」

光「でも悪もこだわりがないと何かを成すことって出来ないんじゃないかなって」

麗奈「……その全力で抵抗しにくるスタンスがそのまま悪に回ればどれだけ良いことなのか……」

光「格好良い系の悪そうな衣装とかないのかな」ゴソゴソ

麗奈「ないわよ!!諦めなさいよ!!」

光「麗奈」

麗奈「な……なによ」

光「あっ……レイナサマ」

麗奈「……」

光「レイナサマは……何かイタズラしようとする時……それが出来なそうな時でも……簡単に諦められるのか?」

麗奈「……!」

光「……自分の弱い心に負けるのか?」

麗奈「……!!」

光「……簡単に、自分を曲げられるのか……?」

麗奈「……アタシもう仕事で正義の魔法少女やっちゃったし……」

光「……」

麗奈「……」

光「……」

麗奈「……」

光「……なんかごめんなレイナサマ」

麗奈「……別に良いわよ」

光「……」

麗奈「……」

光「……大好評だったなアレ」

麗奈「……そうね……好評だったわ……」


光「……ファンレター増えた?」

麗奈「……増えたわ。特に……ちびっ子とかから」


光「……」

麗奈「……」

光「……あの後また麗奈は悪役路線に戻ったな」

麗奈「……そうよ。根っからのワルだもの。そっちが本来のアタシなのよ」

光「……」

麗奈「……」



麗奈「……ファンレターが」

光「……?」

麗奈「……幼稚園ぐらいの子の字で……女の子よ。平仮名ばっかでヘッタクソな字で書いた……ファンレターが来たわ」

光「……」

光「……なんて書いてあったんだ?」

麗奈「……」





『れいなちゃん は わるいこに なってしまったんですか?』

『おねがいです いいこのれいなちゃんにまたもどってください』

『わたしの いちばんだいすきな クレヨンあげるから やさしいれいなちゃんに もどってください』




麗奈「……」

光「……」

光「……」

麗奈「……赤とオレンジだったわ」

光「……レイナサマの役のイメージカラーだな」

麗奈「……」

光「……」

麗奈「……」








麗奈「……なんなのよこれっ!?」

麗奈「なんの話させてんのよ!!」

光「レイナサマ……正義を背負った後に悪に堕ちるのって……とても大きな代償を伴うんだな……」

麗奈「五月蝿いわよ!それっぽいこと言って誤魔化すんじゃないわよ!」

衣装ズラッ

麗奈「良いからさっさと着替えなさいよ!!」

光「うーん……」

麗奈「きぃぃぃぃぃっ!!いい加減にしなさいよ!!ならもうアタシがしぼってそっから選ばせてやるわ!!」

バンッ

麗奈「こっちの、セクシー過ぎる衣装と!!」

バンッ

麗奈「こっちの恥ずかしい衣装と!!」


麗奈「さぁ!選びなさい!!」

光「……」

飛鳥「……そうか……キミがそんな目に遭っていたとは、ね……」

蘭子「……うむ……まさか輝きの同志がそのような過去を経てここに来ていようとは……」

光「……ああ」

飛鳥「……それで今もそんな格好をしているのかい?」

蘭子「悪の女王との繋がりが切れた今も……?」

光「……うん……破門にはされちゃったけど……まだアタシは悪について学べていない……!だからまず、形から悪になるって麗奈の教えは守ろうと思って……」

飛鳥「なるほどね……その格好で部屋に入ってきたときは何事かと思ったけれど……経緯を聞けばなんのことはない、全てに合点がいったよ」フッ

蘭子「同志のその姿も、道を求める為に必要な儀式の1つだったのだな……」

光「……うん」

紗南「……」ピコピコ






※バ○キンマンっぽい全身タイツの南条


紗南(……恥ずかしい方を選んだのか)ピコピコ

飛鳥「よくそんな衣装がウチの事務所にあったね」

光(全身タイツ)「鈴帆がキグルミの時に着るアンダースーツに小悪魔イベントの時の小物を足したんだ」

蘭子「おお……手元に残りし宝具のみで新たなる法衣を生み出したか……!」

飛鳥「ヒトの知恵が成せる技だね……それで、何故キミは破門になったんだい?」

光「……」






麗奈「実践訓練よ!杏は有無が安し!って言うでしょ!?何事も実体験して学ぶのが一番なのよ!悪でもなんでもね!!」

光(全身タイツ)「なるほど……でもそれ案ずるより産むが安しじゃないのかレイナサマ」

麗奈「……そうとも言うわね」

麗奈「フフッ……まずはイタズラからよ!事務所を大混乱に陥れてやるわ!!」

光「そんなこと許さないぞ!」ザッ!

麗奈「全身タイツで凄まないでよ!ってかアンタ今の自分の立場わかってんの!?」

光「あ……そうだった」

麗奈「……全くしっかりしなさいよね」

光「……悪って難しい」

麗奈「まずはあそこで寝てる小春にイタズラを仕掛けるわ」

古賀小春「zzz…」スヤスヤ

光「フッ……あんなに穏やかに眠っているなんて……事務所が平和な証拠だな」

麗奈「その平和を今からぶち壊すんだけど」

光「」ハッ

麗奈「さぁ!イタズラするわよ!このヤバイぐらいデッカイ音がするレイナサマ特製のクラッカーで……」

光「……でも起こしちゃ可哀想だぞ」

麗奈「いい加減割り切りなさいよ!!アンタこの程度の事も嫌がるようじゃ悪者になんかなれないわよ!」

光「……」テレテレ

麗奈「褒めてないわよ。人としては褒められてもここでは褒められてないわよ」

麗奈「さぁ……行くわよ……一、二、さんで……」

光「……なぁレイナサマ」

麗奈「もう!なんなのよ!?なんだっての!?」

光「……いや、ちょっと気になったんだが……」

麗奈「何よ!手短にしてよね!」

光「……イタズラってどの辺が面白いんだ?」

麗奈「……は?」

光「……」

麗奈「……どの辺ってそりゃ……アタシのやったことで周りがビックリしたり混乱したり……」

光「……」

麗奈「……ワルはそもそも悪いことするもんだし……」

光「……」

麗奈「……イタズラやドッキリで人がビックリしてる姿見るのって楽しくない?」

光「……」

麗奈「……」

光「……酷いこととかしない奴とかなら……わからないでもない……か?」

麗奈「……」

小春「zzz…」スヤスヤ

麗奈「……なんか毒気抜かれちゃったわ」

光「……変なこと聞いたみたいでごめんな」

麗奈「……別に良いわよ。イタズラなら他にもあるし」

光「イタズラはするんだな」

麗奈「……調子狂うわね……」








光「……そんな感じで、そのあと麗奈がなんかイタズラとかしようとする度に気になった事を聞いてたりしたら……結局全部やめちゃったんだ」

飛鳥「……」

蘭子「……」

飛鳥「……なんだろうね……今ボクは少し麗奈に同情する思いだよ」

蘭子「うん」

飛鳥「麗奈は良くやったと思うよ」

光「……」

光「……で、でも!悪を学ぶのには失敗したけど……アタシは結果的にイタズラを未然に防いだ……事に?」

飛鳥「そうだね。キミは悪の立場を学ぶ為に悪の世界に入った筈が平和を守ってしまった」

光「やったな!」

紗南(やっちゃったね) ピコピコ

飛鳥「やって“しまった”……では、ないのかい?」

光「……はい。その通りです」

蘭子「輝きの同志よ……同志はそのままでは偽りの衣を纏うことなど永久にできはしない……!」

光「……はい」

蘭子「うむ。何より……同志のために自らの時を割き与えた悪の女王が……それでは報われないではないか」

飛鳥「……」ウンウン

光「はうっ」ガーンッ

光「……くっ!その通りだ……っ!本当に……アタシは馬鹿だ……!大馬鹿だ……っ!!」ガクッ

飛鳥「……」

蘭子「……」

光「……でも……でも麗奈のイタズラは……アタシにはどれもどうしても気が進まなかったり出来ないものばっかりで……やっぱり出来なかったんだよ……!!」グッ…


【レイナサマのやろうとしてたイタズラリスト】
①寝てる小春にドッキリ(未遂)
②トレーニングしてるアイドルのドリンクを激辛にすり替え(未遂)
③事務所の空調をいじって嫌がらせ(未遂)
④Pのモバゲー通帳を印刷して机に貼っとく(成功)
⑤ユッコのスプーンをフォークにすり替える(未遂)
⑥早苗のスルメをタコにする(未遂)
⑦飛鳥の描いてる漫画をコピーしてPの会議の資料に混ぜる(未遂)
⑧法子とみちるの買物袋の中身を入れ換える(未遂)
⑨蘭子のスケブをコピーしてホワイトボードのスケジュール部分に貼る(未遂)
⑩時子の椅子にブーブークッションを置く(未遂)
⑪幸子の


飛鳥「待って。⑦と⑨待って」

現在の南条光(参考資料・写真右)
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org484311.jpg

生まれながらの悪・小関麗奈
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org484310.jpg

傷ついた悪姫
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org484312.jpg

飛鳥「……どうやらボクらは過ちを認めねばならないようだね……でもそれも歩みを止めぬ為には必要な事なのかもしれない」

蘭子「……うん。光ちゃん……ありがとう」グスッ

飛鳥「……ボク達は間違っていた。キミのような人間はこの事務所には必要だった。今ならわかる」

蘭子「~~~!」コクコクッ

光「気にするな!事務所の平和を守れてアタシも嬉しいぞ!!」

飛鳥「これからも変わらないキミでいて欲しい。不変を望むのは停滞を意味するのかもしれないが……それでも、時が流れやがて滅ぶものとわかっていても願わずにはいられない……本当に大切なものを遺していきたいと願うのは自然なことなのだから……」

蘭子「我らが同志よ……今より同志は闇と光が交わり生まれし新たな絆……そう、“友”と呼ばせてもらう!!」

光「ああ!アタシ達はもう友達だ!!」

飛鳥「“友”か……記号に意味はないと知りながら……不思議と悪くない響きだね」フッ

蘭子「我が友、光よ!これからもこの混迷し恐怖と悲哀の潜む世界を照らすがよい!それこそが友の生きる道!!」

光「ああ!任せろ!なんたって、アタシはヒーローだからな!!」




光「今日も事務所の平和はアタシは守る!!」






終わr


紗南「ちょっと待てぃっ!!」バンッ

紗南「さっきから3人とも何してんの!?なんなのこれ!?」

光「さ……紗南っ!?びっくりした!?どうしたんだ急に!?」

紗南「思わずツッコんじゃったんだよ!ここツッコみが足りないよ!」

飛鳥「驚いたな……ああ、驚いたよ。ゲームをやってる時は周りでテロが起こっても気づかないと言われてるキミが、まさかボクらのことを認識していたなんて」

紗南「……ゲームはしてたといえばしてたけどキャラメイクしたり装備着せ替えしてただけだからね。プレイに集中そんなにしてなかったの」

紗南「……そうじゃなくてっ!!」

バンッ

蘭子「」ビクッ

紗南「あっ、ごめん……。 さっきから黙って聞いてたら何してんの!?3人ともグダグダじゃん!?」

光「何って……アレ?」

蘭子「そういえば……」

飛鳥「……」



紗南「やっぱり目的忘れてたし!?何なのこの3人!?」

光「さっき友達になったんだっ!!」テレテレ

紗南「へー良かったね。 違うよ!!そうじゃない!!」

紗南「ハイ思い出す!光ちゃん何しに来たの!?」

光「悪を学ぶために、まずは“闇”を学びにきた!」ドンッ!

紗南「ハイそう!ポーズはいらない!!なんで学びにきたの!?」

光「仕事の役作りのためだ!!まずは特訓から初めt」

紗南「ハイそう!でももう間違ってるよ!!ゲームで例えると選択肢ミスってるよ!ダメな分岐に進んでるよ!!この先にEDは無いよ!!」

光「何っ!?……そんなっ……!一体何 が違っていたというんだっ!?」

紗南「もう全部だよ!!努力の方向性も発想も人選も全部全部ミスってるよ!!」

光「えっ!?」ガーンッ

飛鳥「」ガーンッ

蘭子「」ガーンッ

紗南「なんでショック受けてんの!?さっきまさに闇学びにきてたはずなのに光で終わりそうになってたじゃん!!」

光「言われてみれば……」

紗南「大体相談する相手がおかしいよ!!なんでこの二人なの!?具体的に何学べるの!?この二人から学べる闇なんかないよ!!
っていうか闇学ぶって何!?」

光「えっ!?」ガーンッ

飛鳥「」ガーンッ

蘭子「」ガーンッ

光「で……でも二人とも闇っぽいぞ!!難しい事言うし難しい言葉使うし……」

紗南「浅いよ!判断基準も認識も何もかも浅すぎるよ!そんなんじゃボスの弱点も見付けられないし永遠に課題なんかクリア出来ないよ!!
というかこの二人に闇なんかないよ!あったとしても薄っぺらいペラッペラの闇だよ!!」

飛鳥「」

蘭子「」

光「そ……そうなのかっ!?」ガーンッ

紗南「そうだよ!言っちゃなんだけどこの二人の闇なんてせいぜいキングダムハーツのグーフィーレベルだよ!ギリギリドナルドまですらいかないよ!もうあるかないかだよ!
試練の山に行く必要もないしカルマ値もそんなに溜まって無いよ!!」

光「例えがわからない……」

飛鳥「」break!

蘭子「」break!

紗南「まず、前提から出来てない!そんなんじゃミッションクリア出来ないよ!?見てられないよ全く!!」

光「……め……面目ない……?」

飛鳥「……」

蘭子「……」


紗南「良い!?クリアしなきゃいけない課題が目の前にある時はね!まず自分のレベルと手持ちを確認しなきゃダメなの!!」

光「……レベル?手持ち?」

紗南「そう!もう!ほら!そこ座って説明するから!」

光「(´・ω・`)」ストン

飛鳥「(´;ω;`)」ストン

蘭子「(´;ω;`)」ストン

紗南(……あれ?なんか他の二人も座り始めた……まぁいいや)

バンッ

紗南「ハイこのホワイトボード見て!まずね、ミッションのクリアを目指す為にはクリア条件を確認すること!これ大事!」

光「クリア条件?」

紗南「そうだよ!クリア目標を確認しとかないと何をすれば良いかがわからないじゃん!まずは改めて光の目標は何なの!?」

光「悪役をちゃんと演じられるようになる……」

紗南「すごい嫌そう!どんだけ拒絶反応出てるの!?」

飛鳥「仕方がないさ、それが彼女だもの」

蘭子「うむ。まさに友は光よりの使者」

光「いやぁ」テレテレ

紗南「甘っ!?一転して甘々になってるよ!いくら助けてもらったからってチョロすぎるよ!干し肉で仲間になるドラキーレベルだよ!?」

光「さっきから例えがわからないぞ……」

蘭子「……」←わかる

紗南「じゃあ次!クリア出来ないのは何故か! さっき『ちゃんと演技できない』って言うけど具体的にどんな風にできないの?感情移入出来ないって言ってたけど、それだけなの?」

光「え?」

紗南「台本持ってる!?」

光「ハイ持ってます先生!」

飛鳥「先生!悪くないけど名人の方が良いかな……さて、どれどれ」

光「名人……」

紗南「ふむふむ……うわ、結構出番多いってかメインの一人じゃん!」

蘭子「おお……流石我が友」

紗南「じゃあ早速演技してみよう!」

光「えっ!?でもまだアタシ感情移入が……」

紗南「ハイそこ!そこが間違ってるよ!クリア条件が違う!感情移入なんていっちょ前に本職の役者さんみたいな事はまだ言わなくて良いの!」

光「え?」

紗南「共感なんて出来なくても、演技さえ出来てれば良いんだよ!悪い役やってる人が演技する度にその役に一々共感しながらやってるなんて多分そんなにないよ!?」

光「!!」

蘭子「!!」

紗南「いや蘭子ちゃんはツアー出演経験あるでしょ!?」

飛鳥「なるほど……一理あるね。勿論感情を込めて役になりきり演技できることに越したことはないが……何も共感しろなんて誰も言ってはいない……盲点だったね」

光「あ……アタシもだ……!アタシはアイドルだから……なりきらないとなりきらないとってそればっかり思ってた……!」

紗南「感情移入できないって『だけ』ならそこまで問題じゃないはずなんだよ」

紗南「そもそも、上手く演技できるのがミッションクリアの条件じゃないし」

光「?」

紗南「そっちはせいぜいサブミッションだよ。関節技の方じゃないよ?アタシ達のメインのミッションは『ツアーを成功させる』、ここを間違っちゃダメだよ」

光「」ハッ

飛鳥(……そういえばそうか)

蘭子(紗南ちゃん賢い……)

紗南「クエストの方が良かったかな?無理にサブクエストもやってSランククリアを狙う必要はないんだよ!Aランクでもいいからまずはメインの方を成功させないと!」

紗南「だからまずは演技してみて!ツアーに支障がない程度に演技だけでも出来てるならもう欲張らなくて良いから!仕事に支障がないなら、変なトレーニングもその変な全身タイツもやらなくて良いんだよ!」

光「紗南……紗南はスゴいな!!」

紗南「演技してみて光!まずはそこからだよ!」

光「よし!わかった!」

紗南「はいじゃあまずこのページのこの台詞!『テメェら全員ぶっ潰す!』……ハイ!」

光「テメーラゼンインブッツブス」

紗南「なんて!?」

光「……くっ!どうだった紗南!?」

紗南「どうだったって何が!?どうレビューすれば良いの今の!?何今の『くっ!』って!?」

光「えっ!?そんなにダメだったか!?」

飛鳥「……」

蘭子「……」

紗南「演技以前の問題だったよ!見たことないほど無表情だったしなんで気を付けしてんの!?」

光「こんな酷い言葉言いたくないんだ……」

紗南「拒絶反応の結果!?逆にスゴいよここまでいくと!」

飛鳥「これは……酷いな……」

蘭子「うむ……我らの想像の遥か上……いや下をゆく……」

光「」ガーンッ

紗南「ツアー中ずっとそれでいくところだったの!?怖いよ!この夏一番怖い思いしたよ!」

光「今日の紗南はテンション高いな……」

紗南「望まざる高さだよ!ツッコミが足りなすぎるんだよ!」

紗南「……ねぇ光ちゃん、ここの台本の『悪そうな笑顔で立ち去る』ってちょっとやってみて。顔だけで良いから」

蘭子(光“ちゃん”になってる……)

光「えっ」

光「こ……こうか?」ググッ…

紗南「……っ!? 筋肉が動く音がしてるのに無表情になってる!こわっ!」

光「え?」ググッ…

飛鳥「ふむ……ボクの分析によると顔の筋肉が本人の意志と相反し抵抗することによって硬直が起こり今の無表情に繋がっているんじゃないかな」

紗南「どういう現象!?」

光「今アタシどんな顔になってるんだ?」ググッ…

蘭子「……蝋人形?」

紗南「マズイよ光ちゃん!これはダメな方のマズさだよ!こんな人間いるなんて想定外だったよ!」

光「じ……自分では引くぐらい悪そうな顔をしてるつもりなんだけど……特撮とかに出てくる悪い奴の顔をイメージして……」ググッ…

飛鳥「ふむ……自分が最も嫌悪する対象を想像することによって逆に身体の拒絶反応が強くなってる可能性があるね」

紗南「寧ろ入れ込みすぎてこうなってるの!?
ってかヤバイよこれ!光ちゃんそんなんじゃアイドルの仕事なんてやっていけないよ!?
というか、そこまで悪いことに拒絶反応起こしてたら他の仕事でも多分やってけないよ!!」

光「ならもうヒーローとして生きるしか……」ググッ…

紗南「どさくさに紛れて尚マイウェイ!?一周回ってスゴいよ!!」

紗南「光ちゃんしっかりして!ヒーローである前にアイドルなんでしょ!?プロなんでしょ!?アタシもゲーム関係ない仕事沢山やってるよ!心を強く持って……悪そうな顔をして!」

光「……!」ググッ…

光「アタシ……アタシは、ヒーローで……」グググッ…

光「でも……アイドルで……」グググググッ…

光「悪そうな……悪い顔……悪……悪……悪……っ!!」

光「“悪”っ!!」


カッ











光「……」

フシュゥゥゥゥ…

紗南「……!!」

飛鳥「……!」

蘭子「……!」



光「……今のアタシの顔……どんな顔してる?」

紗南「……」



紗南「……モノクマみたいになってる」

光「モノクマ?」ググッ…

紗南「……半分悪い顔になってる」

光「おおっ!前進だな!」ググッ…

紗南「してない!上手く説明できないけど多分これは前進じゃないよ!別の何かだよ!」

飛鳥「人間の顔の筋肉の付き方や構造的にこれはあり得るんだろうか……」

蘭子「……光ちゃん怖い」

光「怖い……?つまり悪役っぽい?」ググッ…

紗南「怪人っぽくはある……かな。ファンには見せられないけど」

光「……?」ググッ…

紗南「光ちゃん……どうしてそこまで悪いことに拒絶反応を起こすの……」

光「……」

光「……話さなくちゃならないのか……このアタシの始まりを……」フッ…

蘭子(あ……顔戻った)

飛鳥「そこまでの強い意思の源……確かに興味はあるね」

紗南「……話して、光ちゃん?」

光「……アレは……まだアタシが幼稚園にも入ってなかった頃だったな……」





――アタシはその頃から……テレビの特撮ヒーロー番組に夢中だった……












ヒーロー『テレビの前の皆!今日も応援ありがとう!君達のおかげで今日も私達は勝利できた!』

ひかる「わーいっ!ヽ(´∇`*)/」

ヒーロー『お風呂入れよ!歯磨けよ!お母さんのお手伝いをして悪い子になっちゃダメだよ!!』

ひかる「わかったーっ!!ヽ(´▽`*)/」












光「……」

紗南「……」

光「……それ以来私は悪い子にはならないと決めて生きてきたんだ……!」

紗南「……」


紗南「えっ」

紗南「ちょっと待って!?今ので終わり!?」

光「? 何がだ?」

紗南「もっとこう、他に何かないの!?ほら……ゲームのスペエビみたいにトラウマやコンプレックスの克服的なドラマを経た結果……みたいな!」

光「そんなこと言われてもな……」ウーン…

蘭子「幼少の頃、悪の組織に誘拐されそうになった所を何処かより来たれし英雄に救われたような経験は?」

光「逆にないぞ。アタシ実家徳島だし」

紗南「……確かに徳島に悪の組織がいるとは思わないけど……」

飛鳥「というか、逆にというよりは普通に無いが正しいと思うけどね」

紗南「逆に云々って言うなら逆にスゴいよこれは……逸材だよ……なんの逸材かはわかんないけど……
そのきっかけだけでこれなら正直もうお手上げだよ……打つ手無しだよ……根づよすぎるよ……」

光「」ガーンッ

光「……本当にもう、アタシに出来ることはないんだろうか……」ズーン…

紗南「……正直、ここまでだとアタシ達ももうどうすれば良いのか……」

光「……アタシ……」

紗南「……?」

光「アタシ……アイドル失格だ……馬鹿だ……本物の……っ! でも、出来ないんだよ……!」

紗南「……!」

光「したくても出来ないんだ……曲げ方がわからないんだ……」 グスッ

紗南「……光ちゃん……」

飛鳥「光……」

蘭子「我が友……」

紗南「……バラバラだね」


光「~~~っ!」グスッ

光「……皆、ごめん。やっぱりアタシ無理なんだ……ヒーローは諦めちゃいけないって言うけど……こんなに助けてもらって迷惑もかけて……こんなのヒーローのすることじゃないよ……!」

紗南「……」

光「涙まで見せるなんて……ヒーローとしてもアイドルとしても……失格だ……アタシ……っ!」グスッ

光「……自分がアイドルに……ヒーローになってからは、余計に思ったんだ。アタシはファンやプロデューサーの気持ちを裏切るわけにはいかないって。裏切らない人間になるって……」

蘭子「……!背負うものの覚悟、か……」

光「……でも梨沙や晴には……アタシはヒーローじゃなくてアイドルなんだって……そう言われて……わかんなくなって……」

紗南「……」

光「……そしたら悪役の仕事が来ちゃって……悪いことや酷いこと、ファンやお客さんの前で……演技でも人にしなきゃいけなくなって……」

飛鳥「……まぁ、キミには辛いだろうね。人よりも、何倍も」

光「……」

光「……頭の中ごちゃごちゃで……麗奈に弟子入りしてもダメで……今日が、最後の頼みだったんだ……」

光「飛鳥は平和とかそういうの信じてないし蘭子は堕天使だけど……二人ともアタシとは別の自分の世界ややり方をしっかり持ってて……いきなり悪じゃなくてもって、何かが掴めるかもって、そう思ったんだ……」

飛鳥「……」

蘭子「……」

光「……二人は……」

飛鳥「……?」

蘭子「?」

光「二人は、自分のなりたいものと正反対の、やりたくない仕事でも出来る……?」

飛鳥「……どうだろうね」

蘭子「我が名は純白の聖天使、神崎蘭子!!」ビシィッ

光「……」

飛鳥「……」

紗南「……」



紗南「……この場合『普通の喋り方で普通に喋る仕事とか出来る?』ってことになると思うんだ」

蘭子「!?」ガーンッ

光「……できる?」

蘭子「~~~っ」ブンブンブンッ

蘭子「い……いきなりは……む…無理……っ!」

光「……そっか……」

光「……」

紗南「……」



飛鳥「……諦めは進化を阻む」

光「……?」

飛鳥「終わるのは簡単さ。いつだってね。そして人は弱い……弱いからこそ、壁に当たった時逃げる道を選んだり、進むのを止める……その選択を誰も責める事は出来やしないさ……」

光「……っ」

飛鳥「……いや、一人だけ責められる存在がこの世にいるね……それは選んだ本人の心さ」

光「……!」

飛鳥「ココロ……不確かで不定確で、存在すら曖昧で、そして誰より僕らを惑わすもの……今キミを惑わしてるもの、ココロ……」

光「……」

飛鳥「……ボクはキミが出来るか出来ないかには……今キョウミは無いかな……ただ、『どうすべきだと思ってるか』、そして、『どうしたいか』……今知りたいのは、そっちだよ」

光「……どうすべきか……どうしたいか……」



光「……っ!!」

光「アタシ……アタシは……こんな役……悪い役は、『やりたくない』!!それが正直な気持ちだ!!」

飛鳥「……」

紗南「……光ちゃ」

光「でも!!」

紗南「……!」


光「……っ!逃げるのは……もっと嫌だ!!『逃げたくない』!!悪い役に……『負けたくない』!!」



飛鳥「……」フッ

紗南「……光ちゃん……!」

蘭子「……我が友……!」



光「うおぉぉぉぉぉぉっ!まだだ!アタシは諦めない!!」

光「戦うんだ!自分の弱い心と!!勝つんだ!昨日のアタシに!!」

光「……皆、頼みがある!助けてくれ!!」


飛鳥「……やれやれ、仕方ないね」フッ

蘭子「うふふっ……我等にかかれば造作もない事だわ……!」

紗南「……しょうがないね……乗り掛かった船だし、やりかけのゲームはクリアせずに放置しない主義なんだ」




光「本番までに……せめて演技だけでも、出来るようになるんだ!!」

光「それが……アタシがすべきこと!!」













光「……具体的にどうしよう」

紗南「……考えたんだけどさ。まずは抵抗の心を和らげるべきなんじゃないかな?」

飛鳥「そうだね。心が納得できなくてもまずは形だけでも作ることさえ出来ればツアーは終えられる」

光「……正直ほんとに嫌なんだ」

蘭子「わかっているぞ我が友よ……しかし今は……」

光「ああ!わかってる!やろう!まずは何をどうしたら良いんだろう!」

紗南「……形……形……?」



紗南「!」ピコーンッ

光「麗奈にもっかい弟子入り?」

紗南「そう!光ちゃん麗奈ちゃんのことどう思う?」

光「悪戯は困ったものだけど良い奴だと思うぞ!特訓もなんだかんだ手伝ってくれたし!」

紗南「そう!つまり……そこが鍵!」

光「???」

紗南「光ちゃんが完全に悪への抵抗心を消すのは無理……でも抵抗心を減らすことはできるはず……作戦①、まずは悪への認識をずらす!!」

光「……悪への?」

紗南「そう!その為の麗奈ちゃん!」

光「麗奈の物真似?」

紗南「そう!麗奈ちゃんを見ながら物真似をやってみるの!『悪い奴』を真似するのは嫌でも『小関麗奈』を真似するのには抵抗がないハズ!」

光「……なるほど……確かに麗奈はそんなに酷い感じや嫌な感じはしないな」

紗南「それを繰り返していけば悪そうな台詞とか言い方に抵抗がなくなっていくかも!上手くいけば本番までに形だけは作れるよ!さらに、上手いこといけば自然と役にその辺がフィードバックされるかもしれない!」

光「……おお!」

飛鳥「なるほどね……光は最初悪の中身を学ぶことばかり考えて麗奈に師事を仰いだ……けど今度は悪の外側を麗奈に学ぶ作戦か」

蘭子「悪の模倣は出来ずとも、友の形を模倣することは出来る……か……フッやるではないか遊戯の同志よ……」

紗南「遊戯?あ……ゲームか」

光「でも……アタシ一度破門されたし……それに……麗奈はもう……」

紗南「やる前から諦めない!さぁ!麗奈ちゃんのところに行こう!」

光「……でも、まず何処に行ったかを知らないと……」

紗南「……?」

飛鳥「……プロデューサーなら知ってるんじゃないか?」

光「……いや……っていうか……」

蘭子「……?どうしたのだ友よ?」

光「……」




光「……麗奈は……もう……っ!」

※回想



麗奈「キィィィィィィッ!アンタのせいで悪戯全部失敗じゃない!なんなのよアンタ!」

光「くっ……!図らずも事務所の平和を守り続けてしまった……!これもアタシがヒーローだから……!」

麗奈「ほんと何なのよコイツ」

光「麗奈、悪って難しいんだな」

麗奈「難しすぎるわよ!身内のせいで難易度ダダ上がりよ!!具体的にはアンタのせいよ!!全く……役立たずな部下のせいで悪いことの1つも出来やしないじゃない!!」

光「でもそれって良いことなんじゃないかな」

麗奈「良いことやってどうすんのよ!?もう怒ったわ!!次、最後の悪戯はアンタが直接やりなさい!!」

光「えぇっ!?アタシが悪戯するのか!?」

麗奈「そうよ!大体、元々はアンタに悪の心を教える為にやってやってんのよ!!自分の手を悪事に直接染めれば悪の気持ちだってわかるでしょうよ!」ニヤリ

光「でも……」

麗奈「はいシリアス禁止!やるったらやる!アンタ曲がりにもヒーローなら最初の約束守りなさいよ!今日はアタシの命令聞きなさい!!」

光「うっ……」

麗奈「!」

麗奈「そうね……ターゲットはアイツが良いわ……!!」

相川千夏「このサンドウィッチ美味しいわね唯ちゃん」

大槻唯「でしょー!?ちなったん絶対気に入ると思ったんだー!!」








光「……千夏にか?」

麗奈「そうよ!アタシが上手く誘きだすからあの二人が席を立ったら皿の上のサンドウィッチをこの激辛サンドウィッチにすり替えるのよ!!」

光「そんな……とんでもない悪事じゃないか!!」ガーンッ

麗奈「黙ってやりなさい!アンタそのまんま本番までいってツアー台無しにしたいの!?」

光「うっ……」

麗奈「さぁやりなさい!そうして悪に堕ちるのよ!!悪の心を知りなさい!」

光「……ゴクッ」

光「仕事……成功……アイドル……ヒーロー……悪……」ブツブツ

光「……っ!わかった!」

麗奈「そうよ!それでいいのよ!!」







麗奈(……)

麗奈(……プッ……アーハッハッハッハッハッ!!)

麗奈(ほんと馬鹿でおめでたい奴ね!これでいつかに千夏にやられたお返しをしてやれるわ!!自分の手を汚さずに!!)

麗奈(もしもバレても実行犯はコイツ!しかもこの馬鹿は糞真面目にヒーロー気取ってるから今仲間のアタシを売ったりしないで勝手に一人で罪を被るのは確実!!完っっっ璧な作戦ね!!)


麗奈(光……よくもアタシの邪魔を散々してくれたわね……上手くいっても失敗しても……思い知るが良いわ!!本物の、“悪”の恐ろしさをね!!)バーンッ

光「……ところで麗奈……あっ、レイナサマ、このサンドウィッチはレイナサマが作ってわざわざ持ってきたのか?」

麗奈「え?そうだけど?」

光「……手作りなのか……」

麗奈「……?そうよ!パンと材料事前にお小遣いで買ってきといて朝早起きして用意した、レイナサマ特製の超スペシャル(激辛)サンドウィッチよ!!それがどうかしたっていうの!?」

光「……」

麗奈「……」

光「……」

麗奈「……」














光「(*´▽`*)」

麗奈「なんなのよっ!?」

麗奈(裏声)「相川千夏様~!大槻唯様~!プロデューサーさんからお電話がかかっておりますが~!」

千夏「……?プロデューサー?」

唯「え~?なんでケータイじゃないんだろ?まぁいいや!いこいこ!」








光「……」コソッ

千夏のサンドウィッチ

光「……」

光(やるのか……?本当に悪事を……この手を悪に染めるのか……?ヒーローなのに……)

光「こんな……でも……ファンが……プロデューサーも……ヒーローも……」ブツブツ


麗奈「何やってんのよ!二人戻ってくるわよ!さっさとやりなさい!」

光「でも……」

麗奈「アンタの覚悟はそんなものなの!?」

光「……!」

光「……っ」


梨沙(回想)「仕事選んでんじゃないわよ!プロのアイドルなんでしょ!?」


光(ごめんなさい……!お父さん、お母さん、アタシに正義を教えてくれたヒーローの皆、ファンの皆……!あ、あとプロデューサーも……!)



サッ←サンドウィッチ




光「~~~っ!」ガクッ


麗奈「やった……!ホラ!さっさと戻ってきなさい!二人が帰ってくる前に!!」

麗奈「よくやったわ光!これでアンタも悪の一員よ!ワルの世界は簡単には足を洗えないんだからこれから覚悟しなさいよね!!」

光「……」ズーン…

麗奈「聞いてないし……」

麗奈「……!」




千夏「誰も呼んでないって……なんだったのかしら」

唯「ん~わかんないけど、何もないんだったら良いんじゃない?」

千夏「……そうね」



麗奈「二人が戻ってきた!ふふっ!見物ね……!」

光「……」ブツブツ

麗奈「ちょっと!何ブツブツてんのよ!アタシ独り言みたいじゃない!」




唯「なんの話してたんだっけ?あ!そうそう!でさぁ~っ!ちなったんがオススメしてくれた刑事の映画のヤツなんだけど……」

千夏「あぁ、アレね?アレは私も人に勧められたものだったんだけど……中々良かったでしょう?」



スッ←サンドウィッチ




麗奈「……!」

光「……タシ……アタシはなんてことを……」ブツブツ

千夏「私も最初は正直期待していなかったけど……主演の女性始め出演者全員の演技力の高さと構成含めた全てに途中から完全に持っていかれたわ……今度のツアーの参考にもなると思って何度か、ね……」

パクッ

千夏「……」モグモグ



千夏「――……っ!?」ドクンッ

千夏「!?!?」

ガタターンッ

唯「ち……ちなったん!?どうしたのっ!?」

千夏「ゲホッ……ゲホッゲホッ!!な……なんなの!?これ!?さっきのサンドウィッチと……ゲホッゲホッ……違うヤツだわ!……」ガタタッ

唯「ええっ!?」










麗奈「アーハッハッハッハッハッ!!やった!遂にやったわ!!悪戯(と報復)、今日初めての……大・成・功よぉぉっ!!」

光「……っ!!」ハッ

光「あぁっ……!なんてことを……!」

麗奈「アッハッハッハ!アンタのおかげで悪戯大成功よ!!さぁ……あとはさっさとズラかるだけ……」

千夏「ゲホッ…ゲホッゲホッ」

ガツンッ

ガチャァァァンッ

千夏「あっ……コーヒーが……」

バシャァッ

唯「あっ……」

千夏「あ……」




麗奈「……?静かになったわね……」ヒョコッ

光「……?」ヒョコッ



千夏「服に……コーヒーが……」

唯「それ……唯がちなったんの誕生日にプレゼントしたの……」

千夏「……!」








麗奈「……」ダラダラ

光「」

千夏「本当に……ごめんなさい、唯ちゃん……私……折角貴女がくれた服だったのに……」

唯「……ううん、良いよ。ちなったんが悪いわけじゃないもん。……それより、ちなったん服はどうするの?大丈夫?」

千夏「……ええ、私は大丈夫よ。でも……このサンドウィッチ……よくみたらパンもさっきまで食べてたのと違うような……」

唯「えぇ~っ!?何それ!?ひょっとして、誰かの悪戯!?ひっどぉぉぉぉい!!」ウガーッ






麗奈「……!」ダラダラ

麗奈「し……知~らないっと……」コソコソ

麗奈「だ……大体やったの光だし……アタシ関係ないし……悪くないし……」

麗奈「……あれ?光は?」





光「本当にごめんなさい!アタシ……アタシのせいで本当に……それ……アタシがやったんだ!!」




麗奈「」ホゲァ

千夏「えっ……?ていうか、貴女、光ちゃん?……何なのその格好……」

唯「あは……あははははははははははっ!?何その格好!?何その格好!?ヤバイ!ヤバイヤバイウケる~~~!!」

光(全身タイツ)「その悪戯……アタシがやったんだ!!アタシ……どうしても悪い奴の気持ちがわからなくて……それをわかろうとして……こんなこと……!!」

千夏「……!まさか、今度のツアーの役作りをしようと……?」

唯「あははははははははははっ!写メ……写メ撮っても良い!?あははははははははははっ!!」

光「……」コクッ

千夏「……そう」

唯「……え?ほんとに良いの?」

光「……本当にごめんなさい!アタシ……なんていう取り返しのつかないことを……!!」

千夏「……!」

唯「……ホントに良いの?んじゃ撮るよー。ハイ、チーズ!」パシャッ

光「……アタシ……なんて詫びればいいのか……」ズーン…

千夏「……」

唯「可愛く撮れたよー」






麗奈「……!」コソコソ

麗奈(……っ!なんて馬鹿正直な奴!信じらんない!)

麗奈(ってかアタシの名前出すんじゃないわよ……!絶対出すんじゃないわよ!)

麗奈(フリじゃないんだからねっ!!)

千夏「……そうだったのね……」


光「……っ」ガタガタブルブル…


唯「……ちなったん?」

千夏「……」

千夏「……フゥ……私も梨沙ちゃんも少し追い詰めすぎたのかしら……」ボソッ

光「……?」

千夏「こっちの話よ。気にしないで」

千夏「……そうね、確かに役作りの為とはいえ、これはやり過ぎたわね。こうなるとは思ってなかったのかもしれないけど……結果的に、ね?」

光「……はい……!」

千夏「……でも、そうね……1つ聞かせてくれる?どうして私を狙ったのかしら?」

光「……えっ」

千夏「……ひょっとして、私が厳しいことを言ったと思ったから?」

光「ち……違うよ!そんなことないしそんな風にも思ってもない!!」

千夏「……そう」

眼鏡クイッ

光「……?」




麗奈(……!言うんじゃないわよ……絶対言うんじゃないわよ!)コソコソ

麗奈(フリじゃないんだからねっ!!)

千夏「……そういえば私も役作りでね……今刑事ドラマとかで勉強してるの」

光「! 千夏も?」

千夏「ええそうよ。一緒ね」

千夏「……だから色々と真似っこしたくなっちゃうの」

唯「へー……ちなったんにしては珍しいね」

千夏「そうね。ところで光ちゃん」

光「は……ハイ!」ビクッ

千夏「私が決まった曜日と時間にこの席でコーヒーや軽食を取ること……知ってた?」

光「? 今初めて知ったけど……」

麗奈(調べたのはアタシよ……まぁアイツはそこまで知らないだろうけど……)

千夏「そう……もしかして、誰かに私を狙うように言われたの?」

光「えっ!?」ビクッ

麗奈「」ビクッ

千夏「ごめんなさいね。光ちゃんが出てきたそこの生け垣、彼処は光ちゃんぐらいの背格好の子が2~3人ぐらい隠れられそうな大きさがあるじゃない?
光ちゃん一人ならもっと良い、別の隠れる所があるんじゃないかしらって」

光「……!」

千夏「それで、もしかして複数犯かしら?って、思ったの。あとはこのサンドウィッチ、これは事前に念入りに用意してないと出来ないと思うわ。でもいくら役作りの為に光ちゃんがここまでするとも思えない」

光「……!」

麗奈「」ダラダラ

千夏「さっきの光ちゃんは嘘をついてるようには見えなかったから私をターゲットにしたのはたまたまか光ちゃんが故意に選択した訳でもないかになるわね」

千夏「加えて、私の指摘を受けてから光ちゃん、無意識に目線がチラチラあの生け垣の方を見てるわ。もしかして彼処に誰か隠れてて、それをバラさないようにしてるのかしら?」

光「……!!」

麗奈「」ダラダラ…

光「……っ」

光「そ……それは……」チラチラチラチラ

麗奈(ちょっとぉぉぉぉっ!?わざとやってんのアイツ!?)



千夏「ごめんなさいね、細かいところが気になるの私の悪い癖なの」

麗奈「や……ヤバイわこれ……確実にヤバイ流れだわ……さっさとズラかって……」コソコソ…


唯「犯人(ホシ)確保ォーーーッ!!」

ガシィッ

麗奈「ぎゃああああああああっ!?何!?何なの!?唯!?いつの間にっ!!」

唯「イエー!ちなったんと唯のサイキョーコンピプレー!」

麗奈「は……離しなさい!クッソー!油断したわ……!!卑怯よアンタ達!」


光「……!」

千夏「上手くいったわね」

眼鏡クイッ

麗奈「意識を自分に向けて回り込ませてたのね……!アンタら……囮なんて卑怯よ!!それでも刑事役なの!?ムキーッ!離せー!離しなさいってばーーーっ!!」

唯「やっだよーん☆」ヘヘーンッ

千夏「ふっ……ごめんなさいね。役以外でもウチには相棒がいるの。すごく優秀で可愛い相棒が、ね」

眼鏡キラーンッ


光「……麗奈……」

麗奈「ムキーーーッ!離せ!離しなさいよ!この鬼畜!眼鏡!杉下!右京!!」

千夏「全部言っちゃってるじゃないの」

光「もう諦めよう麗奈……悪はこの世に栄えない運命なんだよ……」

麗奈「何勝手に諦めてんのよ!!栄えなくても滅ばないのが悪なのよ!離せーーーっ!
そもそもアタシは無罪よ!やったのは光よ!!アタシ悪くないもん!コイツは好きにして良いからアタシは解放しなさいよ!!」ウガーッ!

千夏「清々しいまでの悪ね」

光「くっ……!その通りだ……やったのはアタシだ……どんな罰も受け入れる……好きにしてくれ!!」

麗奈「本人もこう言ってるわ!アタシは見逃しなさいよ!」

唯「もう公衆の面前に全身タイツで正座させられてる時点で結構な罰だと思うけど……」

唯「……捕まえたはいいけどどうするの?ちなったん」

千夏「……そうね。やったことの罰は、やはり受けないといけないわ」

麗奈「はぁぁぁぁぁっ!?刑事が私情で容疑者罰して良いと思ってんの!?マスコミが黙ってないわよ!椿に言いつけてやる!!」

千夏「……刑事なのは役なだけだし椿ちゃんはジャーナリスト希望じゃないわよ?」

千夏「……ハァ……とりあえず、まずは光ちゃん?アナタからね」

光「……っ!はい……」

光(……アタシ……ヒーローだったハズなのに悪いことホントにやってしまって……人の大切なものを汚してしまって……)

光(……こんな事をしてしまうなんて……やっぱり悪なんか、学ぼうとすべきじゃなかったんだ……!)

光「……」

千夏「……」

スッ

光「……!」ビクッ




コツンッ



光「……っ」

光「……あれ?」

光「……?」

千夏「いくら役作りの為とはいえ、次からは気を付けなさい。これに懲りたら、ホントに悪いことは悪戯でもやっちゃダメよ?」

光「……は……はい……」

千夏「そう。もう行っていいわ。役作りなら別の形で模索しなさい。その方がアナタにも合ってるわ」

光「……はい……」

光「……って、えぇ!?終わりなの!?」

麗奈「え?そうなの?」

千夏「……?ええ、そうよ。どうしたの?」

光「だって……だってアタシ、唯が千夏にあげた大切なプレゼント汚しちゃって……もっと、もっと怒られたり、叱られたり、やった悪いことに対してちゃんと罰を受けなきゃ……!!」

千夏「……。そうね……ツアーの前にあんまり厳しくお仕置きする訳にもいかないし、光ちゃんは反省してる、でしょう?」

光「う、うん……でも……」

千夏「……いいのよ。本当に。唯ちゃんも、いいわよね?」

唯「え?うん。ちなったんがいいなら唯は気にしないよ!」

千夏「そう。ありがとう。ね?本人達がこう言ってるから、もういいのよ」

光「……でも……」

千夏「……そうね。悪いことをしたらペナルティを受けなきゃいけないのは、確かにそうよ。でも『罪を憎んで人を憎まず』……はまだ難しいかしら。ケースバイケースってことがあるのよ」

光「……」

千夏「そうね……例えばあそこのテーブルを見て」

光「……?」







和久井留美「へぇ……ここのカフェはコーヒーが一番美味しいと思っていたけど……このココアも美味しいのね……盲点だったわ。流石の情報力ね、ナイトウォーカーマキノ」

八神マキノ「ふふっ……でしょう?意外なところに意外な掘り出し物がある……これはどんな事にも通じるわ、ルーミィキャット」

留美「今日は素敵な情報をいただいたお礼よ。ここは私が出すわ、ナイトウォーカーマキノ」

マキノ「あら……じゃあ、お言葉に甘えようかしら?ルーミィキャット」

留美「ふふっ……明日は私のオススメのお店を紹介するわ。ナイトウォーカーマキノ」

マキノ「ええ。楽しみにしてるわ。ルーミィキャット」










光「……」

麗奈「……」

唯「……」

千夏「……」

唯「……仲良さそうだね」

千夏「……あの二人もツアーに出るのよ。アナタの部下のコンビの役でね」

光「!!」

千夏「皆、今それぞれのやり方で役に集中しようとしてるわ。アナタは今回たまたま、間違えただけ。だから、もう切り替えて別のやり方を探して、そっちをやりなさい。
ここでしょんぼりするより、やらなきゃいけないことがアナタにはあるでしょう?」

光「……」

千夏「今優先すべきは罪の清算より使命を果たすことよ?ヒーローさん」

光「……!」



光「……うん!わかった!千夏!唯!本当にごめんなさい!!」

千夏「ええ」

唯「もういいよ~!」

光「本当にごめんなさい!!アタシ、別のやり方を探してみる!!ヒーローとして!!」

ダッ




唯「……行っちゃったね。あのカッコのまま……」

千夏「……『ヒーローとして』か……」

唯「?」

千夏「……いえ……『もう大丈夫』には……早いかもしれないわね」

唯「……???」

千夏「……」

唯「……」

麗奈「……」

麗奈(信じらんない……アイツ……アタシのこと置いていきやがった……)


千夏「……さて」

麗奈「」ビクッ

千夏「麗奈ちゃん」

唯(……あ、これヤバイやつじゃん……)

麗奈「」

千夏「……」

麗奈「……」ダラダラ

千夏「……」

麗奈「あの……えっと……」

千夏「……」

麗奈「……」





麗奈「罪を憎んで人を……」

千夏「この服ね」

麗奈「……はい」

千夏「すっごくね……お気に入りだったの」


麗奈「……」

ガチャァァァァァンッ←倉庫の扉



麗奈「出せーーーっ!出しなさーーーい!!これは監禁よ!!犯罪よ!!」

千夏「逃げないように容疑者を勾留してるだけよ(適当)」

(ドアノブ固定)

麗奈「こんな所に閉じ込めてどうするつもりよ!!」ドンドンドンッ

千夏「そうね……とりあえずプロデューサーさんとちひろさんを呼んでくるからキツめのお説教を覚悟していなさい」

麗奈「はぁぁぁぁぁっ!?ふざけないでよ!!出せーーー!つーか電気どこよ!!真っ暗じゃないの!!」

千夏「その倉庫電球そういえば切れてたわね」

麗奈「ちょっと!!これアタシがここにいること忘れて帰っちゃうオチなの見えてるじゃない!!」

千夏「私がそんなうっかりすると思うの?」

麗奈「故意にやりそうなのよ!!これはダメよ!ダメなアレよ!!問題行為だわ!!」

千夏「しばらくそこで、覚悟しながら大人しくして反省してなさい。いきましょう唯ちゃん」

唯「うん……でも大丈夫なの?」

千夏「空調は生きてるし高い場所だけど窓もあるから空気は大丈夫よ。すぐプロデューサーさんとちひろさんに言うし」

唯「ホントに言うの忘れたら悲惨だね」

千夏「ふふっ……そうね」

千夏「……そういえばあの倉庫、何故か私が固定する前に扉が外側から固定されてたわね……」

唯「え~何それ?なんかあったのかな?」

千夏「……さぁ……」

唯「何か閉じ込めてたりして……お化けとか……怪物とか!」

???(お化けの話かな?)にゅっ

千夏「……まさか」

唯「なんてね~!」

千夏「……あ」



モバP「くっそー!レッスンの時間なのにアイツ何処行きやがったんだ!?」

千夏「プロデューサーさん、丁度良かったわ」

モバP「あ!千夏さん!唯も!愛海見てません!?」

千夏「愛海ちゃん?見てないわよ」

唯「唯もー」

モバP「おっかしいな……帰ったのか?」

千夏「何?どうかしたの?」

モバP「いや……アイツまた発作起こして……今度はちひろさんに目をつけたみたいなんですけど……走って逃げるちひろさんを追いかけて……そのままいなくなっちゃって……」

千夏「そう……残念だけど私達二人とも見てないわ」

モバP「……そうですか……」

千夏「……」

モバP「……うーん」





モバP「アイツ……一体何処行ったんだ?」

※倉庫の中



麗奈「くっそー……真っ暗で何も見えないし……静かで不気味だし……」

麗奈「……これも全部光のアホがアタシのジャマばっかするからよ!もう怒ったわ……ここから出たらアイツに真っ先に悪戯してやる!!」




ガタッ




麗奈「っ!?」ビクッ

麗奈「……な……何?」


シーン…



麗奈「……誰かいるの?」

麗奈「……」ゴクッ


???『……ま……』


麗奈「……声?」

麗奈「……人……なの?」

『……ま……』

『……や……ま……』


麗奈「……っ」

麗奈(何!?何なの!?まさか……お化け!?)

麗奈「……!ケータイ!ケータイのライトで……!」

パッ

麗奈「……っ」ビクビク…

スッ…

麗奈「!! 誰!?」


シーン…



麗奈「……誰もいない……?」








『……おやま?』

麗奈「!?」

麗奈「何……今の……耳元で喋られたみたいな……」


シーン…


『……おやま?』

麗奈(!? 右から!?)バッ



シーン…


麗奈「……?」



『やま?』



麗奈(!? えっ!?今度は左から!?)バッ



シーン…










『やま?』

『おやま?』

『おやま?』

『やま?』

『こやま?』

『やまやまやまやまやまやまやまやまやまやまやま…』



麗奈「……っ」

麗奈「な……何よ……何よ何よ何なのよっ!?」



シーン…



麗奈「で……出てきなさいよ!!何が……誰が隠れてんのよ!?」

光「麗奈忘れてた」







光「……!あっ!千夏!唯!」テッテケー

千夏「あら光ちゃん。まだ着替えてなかったの」

唯「おっすー!どしたん?」

光「うん。あのさ、あのあと麗奈どうなった?」

千夏「麗奈ちゃん?反省しないみたいだったからプロデューサーさんにお仕置きしてもらおうと思って、そこの倉庫に今一時的に閉じ込めて……」


ドンッ!ドンドンドンドンッ!


光「!?」

千夏「!?」

唯「わっ!?ビックリした!!」




麗奈『誰かぁぁぁぁぁっ!!出して!!出して出して出してぇ!!ここから出してぇぇぇぇっ!!』


光「この声……麗奈!?」

唯「すごい怯えてる……よっぽどお説教怖いのかな?」


麗奈「助けて!!誰か……本当に助けて!!誰かぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


光「……!麗奈!!どうしたんだ麗奈!?」

唯「大袈裟だなー麗奈ちゃん」

千夏「……?いえ、待って。何か様子が……」

唯「……え?」

麗奈「その声……光!?助けて!!ここ開けて!!」

光「どうした麗奈!?何があったんだ!?」

麗奈「真っ暗で何も見えないけど……ここ何かいる!!何かいるの!!」

光「何か……?何かってなんだ!?」

麗奈「わかんない!わかんないけど怖い!!視線を感じるの!!何も見えないのに!!」

光「と……とにかく落ち着くんだ!」

千夏「……?」

唯「……あ、ここ何か落ちてるよちなったん」

千夏「え?」

千夏「……ヘアゴム?」

唯「誰のだろ。どっかで見たことあるね」

光「……?」

光「……あ!それ見たことある!確か愛海のヘアゴムだ!」

唯「愛海ちゃんの……?」

千夏「……」



千夏「……まさか……!」

千夏「麗奈ちゃん!それ以上大声を出しちゃダメ!」

麗奈「千夏……!?アンタそんなこと言ってアタシに助けを求めさせないつもり……」

千夏「違う!相手にアナタの居場所を知られるわ!!」

麗奈「!!」ビクッ

ピタッ…

千夏「……いい?落ち着いて……」

千夏(小声でいくわよ……落ち着いて、扉と壁にそって部屋の隅、角に移動しなさい。音を立てちゃダメよ)

麗奈「……っ!」コクコクッ

千夏(麗奈ちゃん、まさか明かりとかをケータイで点けてないわよね?)

麗奈(最初はつけてた……けどすぐ電池切れになっちゃって……)

千夏(そう……不幸中の幸いね。扉から離れて……じっとしてて。扉の固定を外すから……その音に『ヤツ』が扉側に来るかもしれないわ。アナタは『ヤツ』に気付かれないように、まずはそっと離れなさい)

麗奈(……!わかった!)

麗奈(そっと……ゆっくり……そっと……)コソッ

麗奈「……っ!」



麗奈(ついた……部屋の角……)


ガタッガタガタガタッ


麗奈「!」

麗奈(……扉の固定を外そうとしてる音……よね?)


ガタガタガタッ


麗奈(お願い……早く開いて……)



カタッ



麗奈「」ビクッ

麗奈(こ……この音……扉の方からじゃない……!)


カタッ


カタカタッ



麗奈「……!!」

麗奈(どんどん近付いてきてる……それも……こっちに……!!)

麗奈(……お願い……お願いよ……来ないで……気付かないで……!!)

カタッ…

麗奈(誰か……誰か助けて……パパ……ママ……プロデューサー……光……!)

カタッ…

麗奈(誰でも良い……誰でも良いから……神様……!もう悪いことしません……!だから……だから……っ!!)

カタッ…

麗奈(……っ!!)



千夏「あと少しよ!麗奈ちゃん!!だからそのまま!」

光「麗奈!諦めるな!あと少しだぞ!!」



麗奈(……!!)

麗奈(お……音を立てちゃダメ……っ!じっとして……静かに……)


カタッ…



シーン…





麗奈(……)

麗奈(……?静かになった……)


麗奈(……助かった……の……?)

※イメージ映像
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org496380.jpg

麗奈(……このまま……見つからずに……)


『うひひ……おやま……おやま……』


麗奈「!?」





『見いつけた』







光「千夏!まだなのか!?」

千夏「くっ……方結びにしてしまったのは迂闊だったわ……!」

唯「唯、ハサミもらってくる!!」

光「千夏!早くしないと麗奈が……」




「いやああああああああああああああああああああああっっっ!?」



千夏「!!」

光「!?」

ガタッ

バンバンバンッ


麗奈「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!助けて!!誰か!!誰かぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

悪霊『うひひひひひひ!!おやま!!おやまぁぁぁぁぁぁぁっ!!』

麗奈「いやぁぁぁぁぁっ!!こないで!!やだ!!やめてぇぇぇぇぇぇっ!!」


光「麗奈!?麗奈ぁぁぁぁぁっ!!」バンバンバンッ

千夏「麗奈ちゃん!?麗奈ちゃん!!光ちゃん、扉から離れて!!」

光「麗奈!!麗奈ぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


麗奈「助けて!!やだ!!光!!助けて!!」

悪霊『おやまぁぁぁぁぁっ!!おやま!おやまが二つぅぅぅぅぅっ!!』

麗奈「やだぁぁぁぁぁぁぁっ!!ママ!!助けて!!怖いよぉぉぉぉっ!!」

光「麗奈っ!!逃げろ!逃げるんだ!!」

悪霊『無駄だよぉぉぉぉっ!!何処に逃げてもおやまの場所はわかるよぉぉぉぉぉっ!!』

麗奈「やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


光「麗奈ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

千夏(……!扉を叩き続けたことで固定してる紐がほどけはじめてる……?これなら……!)

悪霊『うひひひひひひひひ!扉の外に4つおやまがあるのもわかってるよぉぉぉぉぉっ!!』

千夏「!!」ビクッ

麗奈「助けて!!早く開けて!!出してぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

千夏「……!!」

千夏(マズイ……『ヤツ』は……想像以上の化け物だわ……!)

千夏(恐らく『ヤツ』は長時間光の閉ざされた空間にいたことで感覚が異常に敏感に研ぎすまされているんだわ……そしてアドレナリンを始めとする興奮物質の過剰分泌により今のヤツの活動能力は数倍にまで跳ね上がっている……!)

光「麗奈!麗奈ぁぁぁぁぁぁぁっ!」

千夏(どうする……どうするの千夏……このまま扉を開ければ麗奈ちゃんは助かるかもしれない……けどヤツを解き放ってしまうことになる……その被害は計り知れない……!)

千夏(……決断……決断するのよ千夏……!!)



麗奈「助けて!!早く出してぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

麗奈「もう悪戯しないから!!良い子になるから!!出してぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

光「麗奈!!クソ!こんな紐……早くほどいて……」

千夏「……っ」

悪霊『うひひひひひひひ……もう逃がさないよぉ……!!』

麗奈「ひぃっ……!」

悪霊『捕まえたぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』

麗奈「やっ……」



「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」




光「……!?麗奈!!待って!!あと少しで……あと少しでほどけるから……」

ガシッ

光「!?」

千夏「ダメよ光ちゃん!ヤツを外に出してはダメ!!」

光「!? 何言ってるんだよ!?中に麗奈が……」

千夏「……麗奈ちゃんはもうダメよ……諦めなさい」

光「!?」

千夏「……もう無理なの。助けられないわ。……あと私達に出来るのは、ここを封鎖して女子寮から専門の人……木場さんと清良さんを呼んで対処を任せるしかないわ」

光「何言ってんの!?だって麗奈は中にいるんだぞ!?見捨てるのか!?」

千夏「そうよ!!今アイツを外には出せないわ!!今ちょうど小学生組の子達が事務所に帰ってくる時間なのよ!?このままヤツを外に出して、何かあってからじゃ遅いの!!」

光「……!!」

光「でも……そんなの!!」


「いやああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!?」



光「!! 麗奈……」

光「……!」

光「……ダメだ……!やっぱり見捨てられない!!」

ガシッ

千夏「ダメよ光ちゃん!!耐えて!!お願い!!」

光「いやだ!!麗奈!!待ってろ!!すぐ助ける!!」



麗奈「光……グスッ……光……助けて……っ」



光「麗奈!!離して!!離してよ千夏!!」

千夏「ワガママを言わないで!!アナタもヒーローなら助けられる人間を確実に助けることだけを考えなさい!!」

光「いやだ!!そんなの……そんなのヒーローじゃない!!」

千夏「……!そんなんじゃ助けられる人も助けられないわよ!!」

光「違う!全部助けようとするのがヒーローなんだ!!見捨てない!見捨てたくない!!今助けを求めてるのは麗奈なんだ!!」



麗奈「……光……っ」



光「中にいるのが唯でも千夏はそう言えるのか!?」

千夏「……っ!!」

光「離して!麗奈!!麗奈ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」




麗奈「……っ」

麗奈「光……光……色々……ごめんね……」



光「離して!待って麗奈!!諦めちゃダメだ……!!」

光「麗奈……!」

麗奈「光……」


麗奈「……ありがとう……!」


光「……っ!」








『おっひょおおおおおおおおおおおおおおおっ!!』

「ああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁっ……」






光「……!!」

光「麗奈ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」






シーーーン…



光「……っ!!」

ガクッ…

光「……ぅっ……ヒック……グスッ…こんな……こんなことって……」

千夏「……っ」

千夏(……ごめんなさい……麗奈ちゃん……っ!)



光「……ごめん麗奈……!ごめん……っ!アタシ……ヒーローとしても……悪者としても……なんにも……麗奈になんにもしてやれなかった……!」



ポタッ…←涙



光「ぅ……うぅ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!!」

光「うわあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!」











※回想終わり



光「……だから……麗奈は……もう……」

紗南「……」

飛鳥「……」

蘭子「……」グスッ…







紗南&飛鳥(……泣けば良いのか笑えば良いのかわかんないんだけど……)

光「まぁつまりそういう訳で麗奈にはもう頼れないんだ」

蘭子「グスッ……秘められし哀しき運命の輪舞曲……!」

紗南「いや何処で泣いたの?どういう訳かさっぱりわかんないんだけど
完全にパニックホラーゲームになってたじゃん途中。聖靴学園でも聞かないレベルの悲鳴だったよ」

光「……クソ映画だって書かれてたな」

飛鳥「光!駄目だ!それ以上いけない!!」

紗南「愛海ちゃんが化け物になったってことしか今の回想では伝わってこなかったんだけど何?T-ウイルスにでも感染してたの?」

光「愛海は素面だぞ」

紗南「素面なの?」

光「……! 登山星人アツミンと名付けるのはどうだろう?」ハッ

紗南「どうでもいいよ。てか何途中のイメージ映像。完全に人類じゃなくなってるじゃん。プ○デターじゃん」

紗南「寧ろヘルメット無しで体温感知してるってプ○デターよりスゴいじゃん。プレデター以上だよもう」

光「古い映画知ってるんだな紗南……」

紗南「絶対話盛ってるでしょ……皆ノリおかしいし千夏さんも普通に扉開けて麗奈助けてあげなよ」

光「でも千夏も辛かったと思うんだ」

紗南「なんのフォロー?」

光「その後木場さん達が到着して麗奈を助けてくれたんだけど……余程の恐怖を味わったのか麗奈は気を失っていて愛海も興奮のあまり鼻血を流して気絶していたんだ……」

飛鳥「もはやアイドルとはなんなんだ。というか彼女が一体なんなんだ」

光「くっ……わからない……!」

光「わかることは……麗奈の想いを無駄にしないためにもアタシは次のツアーを頑張るしかないということだ……!」

蘭子「グスッ……うん!頑張ろう光ちゃん……!頑張ろうね……!!」


紗南「笑美さん辺りの人が欲しくなってきたよ」

事務所内・医務室



光「……本当に麗奈に頼るのか?」

紗南「どのみちダメもとだよ。それにお見舞いも兼ねとこうと思うし」

飛鳥「しかしまさか昨日から気絶してそのまま眠り続けているとは……」

蘭子「悪の女王がその魂に刻まれた傷は深い……」

光「もう散々迷惑かけちゃったんだ……静かに眠らせてやろうよ」

飛鳥「故人みたいになってるじゃないか」

紗南「大袈裟なんだよ皆……胸揉まれそうになったぐらいでそんな……」

ピッ…

ピッ…

ピッ…

紗南「……」

飛鳥「……」

蘭子「……」


※医療ベッドに眠る麗奈


紗南「……」

紗南「……何で人工呼吸器と心電図ついてんの」

蘭子「れ……麗奈ちゃん、死んぢゃうの……?」ブルブル

光「違うぞ、大丈夫だ。晶葉が作った夕美特性穏やかな気持ちになる花の香りを鼻に送る機械とメトロノームのように一定の感覚で音を鳴らすことで精神を落ち着かせる機械だぞ」

紗南「ややこしいよっ!?ややこし過ぎてご両親に見せられない絵になってるじゃん!!」

光「今日の紗南は元気だな……」

飛鳥(……ちょっと不治の病にかかった病人みたいで格好良いかも……)ドキドキ

紗南「これ無理矢理起こして良いのかな?」

光「……さぁ?」

飛鳥「ただの気絶だろう?あまり詳しくはないが眠っているのと大差ないんじゃないのか?」

蘭子「禁断の果実や神への供物の香りを嗅がせば目が覚めるのでは……?」

光「んーでも美味しいモノの匂いで起きるなんてそんな単純な……」

紗南「今食べ物持ってないしね」

飛鳥「やはり普通に声をかけるのが良いんじゃないのか?」

光「麗奈ー!起きてー!」

麗奈「」シーン…

光「……ダメだな」

紗南「麗奈ちゃーん!寝過ぎだよー!」

麗奈「」シーン…

飛鳥「麗奈……目覚めの刻だよ……麗奈……」

麗奈「」シーン…

蘭子「目覚めよ!悪の女王よ!!」バーンッ

麗奈「」シーン…



光「……起きないな」

紗南「……ほっぺ軽めにつねってみよっか」

蘭子「それは流石に気の毒では……」

飛鳥「こちょこちょしてみるとかどうだろうか」

光「飛鳥の口からこちょこちょなんて言葉が出るとは思わなかった」

紗南「くすぐるで良かったよね」

飛鳥「……忘れてくれ」

蘭子「……こちょこちょ」

飛鳥「お願い忘れて」

10分後……


光「……何しても起きないな」

紗南「……ほんとに何しても起きないね」

蘭子「我が魔力を持ってしても封印の眠りから覚まさぬとは……!!」

飛鳥「やはり自然に目覚めるのを待つしかないのだろうか……」

紗南「おーい!麗奈ーーーっ!!起きてーーーーっ!!」

麗奈「」シーン…

紗南「あっちに隙だらけで悪戯しがいの有りそうな子がいるよーーーっ!?」

麗奈「」シーン…

紗南「……ダメかー……」



飛鳥「……悪戯といえばボクと蘭子は麗奈の悪戯で危うく人生を終わらせられる所だったのを思い出した」

蘭子「我が怒り如何程も衰えること非ず」

紗南「今思い出さなくても……」

飛鳥「……寝てる隙に顔に落書きでもしてやろうか」

紗南「子供か」

光「そんな……抵抗できない相手に悪戯なんてアタシが許さないぞ!」

紗南「光ちゃんも結構な目に遭ってるのに少しも怒ってないのはある意味スゴいね」

光「……」テレテレ

紗南「褒めて……いや誉めてるで良いやもう」

飛鳥「蘭子ペン持ってる?」

紗南「するの?悪戯」

蘭子「ここに深紅と黄昏を描く魔晶がある」

紗南「するんだ?悪戯」

飛鳥「赤とオレンジか……出来れば暗色系が好みだったが仕方ない」

紗南「そんなに漫画人に見られたくなかったの?」

蘭子「封じられしパンドラは開いてはいけない。この世を呑み込む厄災が込められているの」

紗南「はぁ……」

光「ちょっと待つんだ二人とも!いくら恨みがあるからって、無抵抗の人間相手にそんなことはさせられない!!」

光「例え顔に落書きとかそういうのでも!見逃す訳にはいかない!!」

光「何故ならアタシは!ヒーローだかr」

飛鳥「ペン水性だね」

光「……水性なら良いか」

紗南「えっ!?良いの!?」

飛鳥「しかし赤とオレンジか……実際何を書いてやろうか」

麗奈「」ピクッ

光「!」

紗南「どうしたの?」

光「見ろ!今麗奈は反応したぞ!」

紗南「えっ!?」

飛鳥「まさか……悪戯を感知して……!?」

蘭子「まさか悪の女王は本当の封じられた瞳の持ち主だった……!?」

光「何に反応したんだ麗奈……!」

紗南「飛鳥なんて言ったの今!?」

飛鳥「えっ……赤とオレンジで何を書いてやろうかって……」


麗奈「」ピクッ

全員「!!」


紗南「ひょっとして赤とオレンジに反応した……?でもなんで……」

飛鳥「赤とオレンジ……何かあったかな」

蘭子「深紅と黄昏……深紅と黄昏……」ウーン…

光「……」ウーン…



光「!!」ハッ

光「キャァァァァァッ!誰か助けてぇぇぇぇぇっ!!(裏声)」

全員「!?!?!?」

紗南「えっ!?何っ!?どうしたの光ちゃん!?」

飛鳥「キミの口からキャーとか聞くとは思わなかったよ!?」

蘭子「ぷ……プロデューサー呼ばなきゃ……」ワタワタ

光(違う!これ演技!麗奈を目覚めさせる為の演技だよ!)

紗南「演技……?」

光「いやぁぁぁぁぁぁっ!!助けてぇぇぇぇぇっ!!マジカルテットォォォォォッ!!(裏声)」

麗奈「」ピクピクッ

紗南「!!」

蘭子「麗奈ちゃんが反応した!」

光「ホラ!やっぱり!赤とオレンジは麗奈が演じた正義の魔法少女、マジカルガール・フレイムの色だ!!麗奈は無意識にその色に反応したんだ!!」

蘭子「おお!素晴らしき読みぞ友よ!!」

紗南「やるじゃん光ちゃん!!」

光「へへーっ」テレテレ



飛鳥「……」

飛鳥(……悪は?)

紗南「そうとわかれば……誰か助けてぇぇぇぇぇっ!!マジカルテットォォォォォッ!!(裏声)」

麗奈「」ピクッ

光「助けてぇぇぇぇぇっ!!マジカルガール・フレイムゥゥゥゥゥッ!!(裏声)」

麗奈「」ピクピクッ

蘭子「我が救援を求めし声に応えよ焔の魔法少女よ!!(裏声)」

麗奈「」シーン…

蘭子「……あれ?」

紗南「ホラ!飛鳥も早く!」

飛鳥「ボクはそういうのはちょっと」

光「早く来てぇぇぇぇぇぇっ!!マジカルガール・フレイムゥゥゥゥゥッ!!(裏声)」

麗奈「」ピクピクピクッ

「助けてーーーっ!!」

「誰かーーーーっ!!」

「早く来てーーーーっ!!」

「マジカルガール・レイナちゃん、助けてーーーーーーっ!!」


麗奈「」ピクピクピクピクッ…




麗奈「――!!」カッ


ガバッ


光「!!」


麗奈「『アーハッハッハッハ!何処のどいつか知らないけれど!アタシの地球を好き勝手しようだなんて生意気ね!!』」

麗奈「『アタシの許可なく世界の平和を乱そうとする奴は許さないわ!!』」

麗奈「『覚悟なさい!ここからは……マジカルガール・レイナサマが!正義の炎でアンタら全員、焼き払ってやるんだから!!』」


バーーーンッ!!



光「」

紗南「」

蘭子「」

飛鳥「」




麗奈「……あれ?」

麗奈「あれ?アタシこんな所で何してんの……?記憶が……つーかアンタらここで何して……」

光「うわぁぁぁぁぁんっ!!麗奈ぁぁぁぁぁぁっ!!」ガバッ

麗奈「ちょっ……何!?なんなの!?光っ!?何よ!?アタシそういう趣味ないんだけど!?」

紗南「うわぁぁぁぁん麗奈ァァァァァァァッ!!」ガバッ

麗奈「ぐえっ!?アンタも!?」

蘭子「麗奈ぢゃあああああああんっ!!」ガバァッ

麗奈「ぐえぇっ!?ちょっ……やめて!鼻水!鼻水つくから!」

飛鳥「フッ……やられたよ……キミの心に燃える……正義、とやらの力……どうやらボクは侮っていたらしい」

麗奈「なんの話よ!?勝手に盛り上がらないでよ!!何!?なんなの!?」

光「麗奈!!良かった!良かったぁぁぁぁぁぁぁっ!!」ウワァァァァン…

麗奈「……えっ?何よ?アンタどうしたのよ……」

光「よぉぉぉぉし!麗奈を皆で胴上げだ!!」

麗奈「えっ」

光「これが麗奈の正義の力だ!よーーしっ!皆行くぞ!!」

麗奈「ちょっ……何よこのノリ!?なんなの!?本気でやるの!?」

グイッ

麗奈「ちょっ」

光「行くぞーーーっ!!わーーーっしょい!!」

ワーッショイ!ワーッショイ!ワーッショイ!

麗奈「わっ」

紗南「わーーーっしょい!!」

麗奈「ちょっ」

蘭子「わーーーっしょい!!」

麗奈「まっ…」

飛鳥「わーーーっしょい!!」

麗奈「あ……」


ワーッショイ!ワーッショイ!ワーッショイ!ワーッショイ!ワーッショイ!


麗奈「……アーハッハッハッハ!!よくわかんないけどもっとアタシを誉め讃えなさいアンタ達!!」


ワーッショイ!ワーッショイ!ワーッショイ!ワーッショイ!


麗奈「アーハッハッハッハッハッハッハッ!!なんだかよくわからないけど気分が良いわ!!もっとレイナサマを崇めなさい!!」


ワーッショイ!ワーッショイ!ワーッショイ!ワーッショイ!



光「わーっしょい!!わーっしょい!!わーっしょ……アタシ手届いてないぞ!?」

紗南「早速なんだけど麗奈ちゃんの物真似に挑戦させて欲しいの」

麗奈「急になんなのよ」

光「麗奈!もう一度アタシに悪を教えてくれて!ガワだけ!!」

麗奈「ガワってなんなのよガワって……専門用語?」

紗南「実は光ちゃん悪役に挑戦するんだけどそれ以前の問題を抱えてて」

麗奈「それは知ってるけど……というかそこは覚えてるけどそれ以前って何の」

飛鳥「じゃあ142ページの最初の台詞いこうか。3、2、1、ハイ!」

光「キサマラゼンインブッコロス」

蘭子「うわぁ」

紗南「つまりこういうわけなんだけど」

麗奈「なに今の!?」

光「正義の心が悪を拒むんだ」

麗奈「表情死んでるって次元じゃなかったわよ!?なんなのアンタ今の!?精神病!?」

光「くっ……!酷い言葉を拒絶するあまりこんなことに……!」

飛鳥「これをボクは密かにジャスティス・シンドロームと呼称したい」

麗奈「やかましいわよ!っていうかアンタちょっと……えっ!?マジなのアンタ!?」

光「本当だ……演技が出来ないんだ」

麗奈「出来ないってレベルじゃなかったじゃない!?弟子入りの時も思ったけど、アンタどんだけ悪いことに耐性ないのよ!?っていうか想像以上じゃない!!」

蘭子「うむ……我らが輝きの友の胸に燃えし聖なる炎……邪悪の侵入を阻むあまり、それが漏れ出し表層に静の姿として顕現している。この凍てついたヴァルハラに舞い降りしめg」

麗奈「……何言ってんのかわかんないから普通に話してくれる?」

蘭子「」ガーンッ

飛鳥「……実は彼女、悪いことが出来ないだけじゃなかったんだ。悪いことが嫌いすぎて汚い言葉も言えなかったんだよ」

麗奈「何それほんと意味わかんない」

蘭子「……麗奈ちゃん、もう一回光ちゃんの特訓付き合って?」

麗奈「今の見て付き合うって言うと思うの!?どう考えても修羅の道になるのが見えてるじゃない!もうこれ生半可な事じゃ矯正できないでしょ!!」

光「そこをなんとか」

飛鳥「ふむ……仕方ない、光。秘密兵器だ」

麗奈「何よ秘密兵器って」


光「……お願い、助けて麗奈?」ウワメヅカイ

麗奈「わぁ……可愛い……!」


麗奈「アホかぁっ!!違うわよ!何今の!?なに余計な演技だけ出来てんのよ!?逆に腹立つわ!!」

光「ダメだった」

飛鳥「切り札も通じないか……」

蘭子「……万策尽きたか……!」


麗奈「……なんなのよこの集団」

紗南「麗奈のツッコミすごく安心する」

光「頼むよ麗奈!!アタシのヒーローシールチョコに付いてたウエハース全部あげるから!!」

麗奈「いらないわよ!何オマケ目当てで食べきれなくなるまで買ってんのよ!!」

飛鳥「今日の寮の食堂の日替わりメニューなんだっけ?」

蘭子「……ボルシチ?」

光「頼むよ麗奈!!アタシのボルシチに入ってるお肉1個あげるから!!」

麗奈「いらないっつの!ってかボルシチって何!?ウチの食堂そんなの出るの!?」

紗南「冷凍庫にそういえば蘭子ちゃんのブラックモンブランあったよね」

蘭子「っ!?」

麗奈「いや欲しくないわよ!?何!?どんだけ食い意地張ってると思われてんのアタシ!?そんな認識なの!?」

光「麗奈はもうちょっと食べた方が良いと思う」

紗南「ちょっと細すぎるよね」

麗奈「余計なお世話よ!!このセクシーなくびれはアタシの武器なの!!」

光「頼むよ麗奈!アタシの宝物のジャスティスマンのキラシール……グスッ……あげ……ヒック……あげるから……っ!」

麗奈「泣くほど未練持ってんじゃないわよ!!絶対要らないけどそうでなくても受け取れるわけないでしょ!!要らないけどねほんっっっとに!!」

飛鳥「……光、そこは悪役のシールの方が良いんじゃないか?」

光「あぁ、じゃあこのデビル佐々木田のシールを麗奈に」

麗奈「本気で要らないのこっちに回すんじゃないわよ!!誰よそのオッサン!?」

紗南(麗奈のツッコミスキル想像以上に高いな……)

紗南「本当にお願い麗奈……このまま本番迎えたら光ちゃん可哀想通り越して目も当てられなくなっちゃうよ……」

飛鳥「せめて棒読みだけでもなんとかしてあげたいんだ」

麗奈「アレ棒読みってレベルで片付けて良いの?」

紗南「台詞だけじゃないんだよホントに……光ちゃん、アレやってみて」

光「アレ?」

紗南「うん!ほら、悪そうな顔!ハイッ!」パンッ

光「こうか?」

ググッ…

麗奈「!?」

麗奈「ぎゃああああああああっ!?アンタ……アンタそれなんなの!?どうなってんの!?なんで顔面が左右で別の表情になってんのよ!?」

蘭子「友の中では今偶像たる役目を果たさんとする意思と悪しき波動を拒む正義の魂がぶつかりあっている……それらが肉体に表れあのような分割された姿になっておるのだ……!」

麗奈「どういう理屈なのよ!?ホントに人間なの!?完全に怪人じゃないの!?」

光「アタシもさっき鏡を見てドン引きした。これをとりあえず特撮ヒーローにあやかって石ノ森フェイスと呼称したい」

紗南「アタシはモノクマフェイスと呼んでる」

飛鳥「ボクと蘭子は二人で話し合った結果古の聖書に伝わる滅びの町にかけてソドムとゴモラと呼ぶことに……」

麗奈「どうでもいいわ!すごくどうでもいい!!」

麗奈「これアタシより病院連れていった方が良いんじゃないの?」

紗南「そういう正論言わないでよ……」

麗奈「大体、なんでアタシなのよ?」

紗南「うん……見ての通り光ちゃん、悪いやつの物真似や酷い言葉は言えないの」

麗奈「言えないとか出来ないって次元じゃないわね……」

紗南「でも麗奈ちゃんのことは嫌いじゃないから真似できるんじゃないかって」

光「うん」

麗奈「は……はぁっ!?何それ!?」

光「麗奈!アタシは麗奈のこと嫌いじゃないぞ!!」

麗奈「えっ……ちょっ……なんなのよアンタ急に!?」

光「寧ろ麗奈の中に燃える正義を知って好きになったぐらいだ!!」

麗奈「はぁ!?好きってアンタ……な……何言ってんの!?だ……大体無いわよ!無いからね正義なんて!!」

飛鳥「……」
蘭子「……」
紗南「……」

麗奈「なんで黙るのよ!」

紗南「まぁそういう訳で麗奈の物真似で悪いポーズに慣れる事で悪い演技を克服してツアーに挑もうって作戦なんだけど」

麗奈「回りくどいしめんどくさい!?」

光「地道な克服しか物事を上手くやる道は無いと思うんだ」

麗奈「急にトレーナーみたいな事言い出したんだけど」

光「お願い麗奈助けて!物真似させて!絶対上手くやるから!そっくりな物真似するから!!」

麗奈「クオリティの高さを問題にしてるんじゃないわよ!!あぁ~……もう!仕方ないわね!!」

光「!!」
飛鳥「!!」
蘭子「!!」
紗南「!!」

麗奈「見ちゃいらんないわ!!良いわよ!!この麗奈様が助けてあげるわ!!」

光「麗奈すき!!」ガシィッ

麗奈「早い!まだ早い!!最後まで聞け!!」グィッ

麗奈「良い!?このアタシが二回も助けてやるんだから半端は許さないわよ!!」

光「大丈夫だ!アタシは特訓に手抜きはしない!!」

麗奈「ふん!言ったわね!?途中で泣き言言っても聞いてあげないんだから!!」

光「あぁ!望むところだ!!」



麗奈「このアタシの物真似特訓……レイナサマ本人が手伝ってやろうじゃないの!!」



光「……!」ジーン…

麗奈「アーハッハッハ!感謝なさい!」

光「麗奈すき!!」ガシィッ

麗奈「フン!もっとレイナサマの素晴らしさを噛み締めて……」

紗南「アタシも麗奈すき!!」ガシィッ

麗奈「ぐぇっ」

蘭子「麗奈ちゃんすき!!」ガシィッ

麗奈「うぐっ」

飛鳥「やれやれ……ここはボクも空気を読むべきかな」ガシィッ

麗奈「はぅっ」

ズデェェェェェェェンッ…

麗奈「ぐ……ぐるし……」


光「いてて……よーし!皆ありがとう!!このメンバーで悪役特訓、頑張るぞぉぉぉぉぉっ!!」


「「「おーーーーーっ!!」」」




麗奈(は……早まったかし……ら……)ガクッ…

光誕生日おめでとーーーっ!!

光「よろしく頼むぞ!麗奈!」

麗奈「なんだかまるで自分が善人になったみたいだわ……」

紗南「……」

麗奈「ってか変な感じね……自分の物真似今からやられますって……まぁ大物歌手みたいな気分で悪くはないけど」

飛鳥(悪くはないのか)

紗南「幸子辺りなら確実にノリノリだっただろうね」

蘭子「うむ……目に浮かぶようだわ……」

光「麗奈!早速特訓したい!お手本を見せてくれ!!」

飛鳥「そうだね……じゃあ僕らが客観的に似てるかどうか、どうすれば似るかのアドバイスをしよう」

光「ああ!頼む!」

蘭子「ふふ……任せなさい!」

紗南「オッケー!辛口レビューとファ○通レビューの2種類あるけどどっちがいい?」

光「ど……どう違うんだ……?」

麗奈「さて……じゃあいくわよ」オホンッ

光「ああ!どんと来い!」

麗奈「……」

光「……」ジーッ…

麗奈「……その穢れのない目でじっと見るのやめてくれる?」

光「見ないと物真似出来ないぞ……」

麗奈「……そうよね……はぁ……」

オホンッゴホンエフンッ

麗奈「……」スゥーッ…


麗奈「アーハッハッハッハ!アタシがレイナサマよ!!」バーンッ!

光「……おお!」

紗南「絶好調だね麗奈!」

麗奈「ふん!アタシの度胸の強さをナメちゃダメよ!なんたってアタシは悪の女王レイナサマで……」

紗南「早速やってみて!光ちゃん!」

光「ああ!よし!やってみるぞ!」

麗奈「えっ……いきなりそんな真似するの?ちょっと心の準備が……」

光「スゥーッ……!」


光「アーハッハッハッハ!アタシがレイナサマよ!!」バーンッ!


飛鳥「……」

蘭子「……」

紗南「……」

麗奈「……」


光「……できた……!」ハッ

光「なぁなぁ!どうだった!?今の!!」

麗奈「……えっと……」

麗奈「オホンッ……! ダメよダメダメ!全っっっ然ダメ!!何今の表情と構え!!言い方!!完全にただの小悪党じゃない!!手下Aか精々そんな雰囲気しか出てなかったわ!小者感丸出しでもう全っっっ然レイナサマに似てな」

飛鳥「似てるな……」

麗奈「えっ」

蘭子「うむ……」

紗南「そっくりだったよ……」

光「ホントか!?」

紗南「うん」

麗奈「え……嘘……」

光「やったやった!!出来たぞアタシ!やっぱりヒーローに不可能は無いんだ!!」

麗奈「えっ……今のそんなに似てた……?」

飛鳥「所作、角度、表情、笑い方、間、全てにおいて完璧だったといって良いね」

麗奈「うそ……」

蘭子「まるで鏡のようにその姿を写しきっていたわ……!」

麗奈「ちょっ」

紗南「2Pカラーって言われても信じるよアタシ……なんというか、まさにリトル麗奈って感じだったよ……」

麗奈「」ガーンッ

光「アタシの方が年上なんだけど……」ガーン…

麗奈「嘘……アタシってあんな感じなの……?」

飛鳥「……何やらダメージを受けているようだね」

紗南「理想と現実の解離にショックを受けてるんだよきっと……」

蘭子「だが……これで我らが掲げる目標に辿り着く為の道が見えたのではないか……?」

紗南「たしかに……麗奈の物真似が出来る、これは大きな収穫だよ……」

光「ああ!この調子でどんどん特訓していこう!」

紗南「おーっ!」

麗奈「……」ズーン…

紗南「折角だし物真似のバリエーションも増やしていこう」

麗奈「!」ピコーンッ

麗奈「賛成!賛成よ!アタシだけ物真似されるなんて不公平よ!!アンタ達も物真似されなさい!!」

飛鳥「えっ……ボクらも……?」カミガタサッサッ

蘭子「不意にそのようなことを言われても……我らにも準備というものが……」ナオシナオシ

麗奈「なんでちょっとノリノリなのよ!?」

光「皆ありがとう!!よーし!!どんどん物真似して悪役出来るようになるぞ!!」

結城晴「なー梨沙ーあっちぃよー……事務所の冷凍庫の中にあった梨沙のパピコ二人で分けようぜー……」

的場梨沙「はぁ!?ダメに決まってんでしょ!!アレはライラと分けて食べる用に買ったヤツなんだから!」

晴「じゃあオレと梨沙でパピコの半分を半分に分けりゃいいじゃーん……」

梨沙「どんだけバテてんのよ!だからこの暑さでサッカーなんて反対したのよ!!」

晴「パピコぉ~……」

梨沙「どんだけパピコ食いたいのよアンタ……」

晴「……ん?」

梨沙「……?何?どうしたのよ」

晴「……あれ……」

紗南「はい麗奈!」パンッ

光「アーハッハッハッハ!アタシがレイナサマよ!!」バーンッ!

紗南「はい飛鳥!」パンッ

光「絶対なんて、絶対ないのさ」フッ…

紗南「はい蘭子!」パンッ

光「クハーハッハッハッ!闇に飲まれよ!!」ババッ

紗南「はい悪!!」パンッ

光「オメーラマジデブッツブス!」

紗南「……っ!!まだダメかぁぁぁぁぁっ!!」

光「くっ……!でも……何か掴めてきた気がする……かも……!」

飛鳥「うん、気のせいか少し変わってきた気がするよ」

蘭子「うむ。変化の時は訪れている……!」

麗奈「そうね……ほんとに少しだけど少しはマシになってきてるんじゃないの?」

光「ほんとか!?」

紗南「出てるよ!特訓の成果!たぶん!!」

光「よーし!!じゃんじゃん続けるぞ!!」

晴「……」

梨沙「……」

晴「光のやつ……確かもうすぐ梨沙と一緒にツアー出るんだろ……何遊んでんだ……?……つーか、オレらが折角アイドルらしくなるように手助けしてやったのになんも変わってないように見えるし……大丈夫かアイツ」

梨沙「……」

晴「……梨沙?」

梨沙「バカね……アンタにはわからないの?」

晴「???」

梨沙「……ふん……生意気にもホントに役作りや特訓してるって訳ね……」フッ

梨沙(そうよ……!アンタはやれば出来るんだから……手間かけさせないでさっさとここまで上がって来なさいよね……っ!!)




梨沙(この…… “一流(プロ)”の“舞台(ステージ)” に……!!)


ドンッ!







晴「なぁパピコぉ~……っ」

梨沙「ちょっとっ!?アタシ今メチャクチャかっこつけてたんだけど!?台無しじゃないの!どんだけパピコ食べたいのよアンタっ!!」

晴「えぇ~……」

紗南「はい蘭子!」

光「闇に飲まれよ!」

紗南「麗奈!」

光「麦茶の中身を烏龍茶にすり替えてやったわ!」

紗南「蘭子!」

光「闇に飲まれよ!!」

紗南「飛鳥!」

光「眩しいんだ……このセカイすべて……!」

紗南「飛鳥!」

光「くっ……もうこの熱を抑えることはできない……!」

紗南「紗南!」

光「クリフトは馬車に」

紗南「蘭子!」

光「闇に飲まれよ!!」

紗南「悪!!」

光「闇に飲まれてブッツブス!」

紗南「!!」

飛鳥「混ざった!!」

光「あれ……こんがらがってきた……?」

麗奈「アンタが闇に飲まれてたけど」

蘭子「ふむ……虚像達其々の境界線が曖昧になってきているようね……」

飛鳥「チャンスかもしれないね……!」

麗奈「ねぇ闇に飲まれてんのコイツの方だったんだけど」

紗南「どんどんいくよ!」

光「えっ……わかった!!」

麗奈「ひょっとして無理にツッコまなくても良い感じなの?」

紗南「はい麗奈!!」

光「平伏しなさいアンタ達!!」

紗南「飛鳥!!」

光「今ボクのこと……イタイ奴だって思ったろ?」

紗南「蘭子!!」

光「闇に飲まれよ!!」

紗南「紗南!!」

光「ブライも馬車に」

紗南「蘭子!!」

光「闇に飲まれよ!!」

紗南「麗奈!!」

光「モバPの水筒の中身をもずくに換えてやったわ!!」

紗南「悪奈!!」

光「貴様ら全員平伏しな潰さい!!」

光「……っ!?」ハッ

光「今!今ちょっと言えそうな感じになってた!!」

紗南「来たよ!!きたきた!!レベルが上がってるよ!!」

飛鳥「とうとう貴様を言えるようになったね……これは成長だよ」

蘭子「流石友!クックック……!この幕劇の終演も見えたり!!」

麗奈「悪奈にツッコんだら多分ダメな流れよねコレ」

光「言えた!言えたぞ麗奈!麗奈と混ざって悪そうな『貴様』が言えた!!やったやった!!」

麗奈「……っ」

麗奈「……」ハァ…

麗奈「全く……こんなんで満足してんじゃないわよアンタ!!こっからでしょこっから!!どんどん先に進むのよ!!」

光「……っ!!うん!!」


光「よーし!!目指すは悪そうな台詞をちゃんと言う!!頑張るぞぉっ!!」

2時間後……

女子寮・麗奈の部屋(夜)


麗奈「なんでアタシの部屋なのよ」





紗南「ハイ悪鳥!!」パンッ

光「イタイ奴だってぶっ潰ろっ!?」

飛鳥「……っ!惜しい……っ!」

紗南「悪子!!」パンッ

光「闇に全員ぶっ潰すろ!!」

蘭子「まだ届かぬ!!」

紗南「悪南!!」パンッ

光「トルネコぶっ潰す!」

紗南「違う!でもぶっ潰すは言えたよ!」

麗奈「トルネコに恨みあるみたいになったわね」

紗南「悪奈!!」パンッ

光「アンタら全員ぶっ潰す!!」

紗南「よし!!ぶっ潰す言えた!!」

飛鳥「これでちゃんと言えたのは7回目だ!!」

蘭子「だがまだぞ!!ここまでは何度も歩んだ道程……!!」

紗南「ハイ!!じゃあ最後悪!!」

光「おう!!」

光「貴様ら全員ぶっ潰す!!」

紗南「あぁぁぁぁっ!!惜しい!!あと少し……ん?」

飛鳥「……ん?」

蘭子「???」

麗奈「……えっ」

光「……おぉっ?」

光「今……」

飛鳥「……どうやらボクの聞き間違いじゃないようだね……」

蘭子「うむ……今……然と我が耳にも言の葉が届いたぞ……!!」

紗南「ひ……光ちゃん!!もっかい!!もっかいやろ!!」

光「あ……あぁっ!!」


紗南「じゃあ……オホンッ……ハイ!!悪!!」パンッ

光「貴様ら全員ぶっ潰す!!」バーンッ

紗南「……」

飛鳥「……」

蘭子「……」

麗奈「……」







光「や……やった……っ!」

麗奈「言えた……!」

「やっ……」


「「「「「やったぁーーーーーーっっっ!!!!」」」」」

光「言えた!!言えたぞ皆!!」

紗南「やった!!やったよ光ちゃん!!」

蘭子「お……おめでとう光ちゃん……っ!おめでとう……っ!」グスッ

飛鳥「フッ……本当にやり遂げるとはね……だがこれは“流石”と言うべきなのかもしれないね」

麗奈「全く……ほんとに……手間かけさせんじゃないわよアンタは!!」

光「うん!……皆、本当にありがとう……アタシなんてお礼を言えば良いのか……」

麗奈「フン!アンタこのレイナサマの優しさに一生感謝しなさいよ!!」

光「ああ!!ありがとう!!一生感謝する!!」

麗奈「……っ!もう!調子狂うわね!」

紗南「やったね光ちゃん!!」

光「ああ!!これでやっとまともに練習できるぞ!!」

蘭子「うむ!!ここが終わりではない……! ここはまだ始まりの場に過ぎぬわ! 幕は閉じたまま……戯曲を奏でる刻はまだ来ぬ……!!」

光「そうだ!まだ台詞を言えるようになっただけだ!本番までもっと練習しないと……!!」

紗南「その意気だよ光ちゃん!!」

光「ああっ!!」

紗南「ねぇ光ちゃん!!もっかいやってみて!!」

蘭子「うむ!我も友の悪しき姿をもう一度この目でみたい!!」

飛鳥「そうだね……ここまで苦労したんだ……もう一度見てみたいな」

麗奈「ならこのレイナサマがダメなところがないかチェックしてあげるわ!!優しいから!!」

光「よし!!任せろ!!何度だってやってやるぞ!!」

光「……オホンッ!」



光「貴様ら全員ぶっ潰す!!」バーンッ!

光「貴様ら全員ぶっ潰す!!」バーンッ!

光「貴様ら全員ぶっ潰す!!」バーンッ!

光「貴様ら全員ぶっ潰す!!」バーンッ!

光「貴様ら全員、ぶっ潰すっ!!」バーンッ!!




光「……」



光「……ねぇ、もうちょっとソフトな表現にしない?」

紗南「それアタシ達に言われても……」

紗南「すっかり遅くなっちゃったね」

アオーンッ!

麗奈「今の遠吠え何よ」

紗南「食堂開いてるね。もうご飯食べにいこっか」

蘭子「うむ……あとは我々には休息のための湯浴みの時間も必要ぞ。早くせねば天使たちが癒しの地に集い困難になる」

飛鳥「ボクたちの身体は今、食事も休息も両方求めてる。動物としての本能……所詮ヒトもそこは変わらないというコトかな……ゆっくり食事もお風呂も取るなら早めに動いた方がいい」

麗奈「ならさっさと行きましょ。なんかどっと疲れたわ……」

光「麗奈は昨日から今日の夕方まで眠りっぱなしだったしな」

麗奈「……なんか記憶がすっぽり抜けてる部分があんのよね」

紗南「……」

紗南「……あ、今日食堂のメニューなんだっけ?」

光&飛鳥「ボルシチ」

麗奈「……え?ほんとにボルシチだったの?」

紗南「ボケじゃなかったんだ……」



蘭子(ボルシチ食べるの初めて……!)ワクワク

紗南「あ~いいお湯だった!!」

飛鳥「1日の疲労が嘘のように消える……入浴は先人が遺した偉大な文化の1つと言えるね」

蘭子「我が魔力完全に回復せり!!」

光「よし!後は寝るだけだな!!」

紗南「えっ!?もうっ!?」

光「えっ」

飛鳥「……キミらしいと言えばキミらしいけど……でもボクらの時間(トキ)は、まだここからなのさ」

蘭子「……」ウンウン

飛鳥「寧ろここからが本番と言ってもいい」

光「えっ……でももう9時になるぞ」

紗南「まだ9時だと思うけど……」

麗奈「どうせ『早寝早起きは人として大事だ!』とかなんかそんなんでしょ。にしてもお風呂、空いてて良かったわねホント……折角空いてたからこっそり悪戯仕込もうと思ったのに」

光「あ、そうだ!麗奈!!シャンプーとリンスをボディソープと入れ換えようなんて悪戯はもうやっちゃダメだぞ!!」

麗奈「あーもう!しつこいわね!!わかったわよやめないけど!!」

光「こら麗奈!!この前も事務所に置いてたプロデューサーの歯磨き粉と洗顔クリームすり替えたり悪戯ばっかり……」

麗奈「あ~もう!うっさいわねほんとアンタ!いよいよ悪党になるんだからいっそ普段のヒーローもお休みしたら!?」

光「ヒーローなのに……悪?ウッ…!頭が……!?」

麗奈「……まだ完全には無理なのね」

飛鳥「まぁ演技が出来るようになっただけでも前進じゃないか」

紗南「モノクマフェイスなくなったしね」

蘭子「……あれは恐怖だったわ……!」

麗奈「器用なのか不器用なのかわかんないヤツね……」

光「頭が……!くっ右腕が……っ!!」

紗南「それ飛鳥?」

飛鳥「え?」

光「なんだか不安になってきた」

蘭子「……? 不安、とは?」

光「確かに演技は出来るようになったけど……まだまだ心の方がやっぱり悪になるのを拒んでるというか……」

紗南「……」

光「演技とはいえ悪いことをするなんて……だって悪いことって悪いことだし……もし子供が真似したら大変だし……」ウーン…

麗奈「考えすぎなのよアンタは」

飛鳥「ボクも麗奈の言う通りだと思うよ。そもそも仮にそれで真似をする子供が出てきたとして、そういう子供は光がそういう姿を見せなくても他の誰か悪い人に憧れてその人の真似をするようになる。そういうものさ」

光「……」ウーン…

麗奈「めんどくさい奴ね……」

蘭子「だがそれも友に譲れぬ信念がある証左……友自身の気持ちは友にしか変えられないわ」

飛鳥「未知の世界へ向かう不安や恐怖、悪い可能性を棄てきれない、もしくはそちらに囚われてしまう……それはニンゲンの哀しきサガさ」

麗奈「こっちは台詞がめんどくさいわね……」

紗南「……」

紗南「……!」ピコーン!

紗南「じゃあさ!もっかい悪いことに挑戦しちゃおうよ!」

光「……え?」

飛鳥「?」

蘭子「……再び我らで小悪魔がごとき戯れに挑むというのか?」

光「……でも千夏さんたちと約束したし……」

麗奈「千夏……?倉庫……ウッ頭が……!?」

紗南「ううん、イタズラするんじゃなくて……別の、誰にも迷惑かからない悪いことをやってみるの!」

光「……?」

光「……でも、それもやっぱり悪いことなんじゃ……?」

紗南「大丈夫大丈夫!そんな大したことじゃないよ!!」

光「?」

紗南「あのさ……」



紗南「皆で集まってさ 夜更かし、しない?」



女子寮・小関麗奈の部屋







麗奈「全く!なんでアタシの部屋なのよ!?」

麗奈「いきなりだから布団足りないし狭くなるからよく考えたら大変じゃない!引き受けちゃったけど!!
というかアイツら全員アタシより歳上よ!?普通そこでアタシの部屋選ぶ!?なんかすごくナチュラルな流れでアタシの部屋になってたわ!!」

麗奈「……でもまぁ……いいわ!アタシは悪の女王、器の大きな女帝レイナサマよ!!その程度……許してやろうじゃない!!」

麗奈「……それより問題はここから先よ!女が夜中に集まってパーティーなんて一見すると微笑ましい光景に違いない……でも違う!違うわ!!」

麗奈「パジャマパーティー……パジャマ!それは普段見えない所での女子力を他人に見せる機会!」

麗奈「女の戦いは自分以外の女が同じ場にいる限り朝から晩まで終わらないのよ!お昼にやってたドラマで言ってたわ!!」

麗奈「ふふ……オーホッホッホッホッホッホ……ゲホッゲホッ!!」

麗奈「ここはレイナサマのセクシー過ぎる寝巻き姿で圧倒的な女子力を連中に見せつけて格をハッキリさせるチャンスなのよ!!」

麗奈「フッフッフ……準備は完璧ね!さぁ……アイツら……いつでも、かかってくるがいいわ!!」バーン!!






シーン…







麗奈「……」

麗奈「……みんな遅いな……」ボソッ

麗奈「……」

麗奈「……まさか皆約束忘れて寝ちゃったんじゃ……」

ピンポーン

麗奈「!!」ガバッ

ダダダダダダダッ

ガチャッ

麗奈「レイナサマよ!!アンタ誰!?」

光「アタシだぞ!」

麗奈「光ね!!遅いわよ!!何チンタラしてたのよ!!」

光「ごめん……録画ちゃんと出来てるかどうしても気になってHDのチェックをしちゃってたんだ」

麗奈「オタク!バカ!さっさと上がりなさい全く!!」

光「お邪魔しまーす」

ガチャッ

光「おおっ!意外と整理されてるようでやっぱり散らかってるぞ!!」

麗奈「一言多いのよ!新兵器の開発に忙しかったの!!……あ、そこスライムあるから踏んじゃダメよ」

光「はーい」

麗奈「全くどいつもこいつも……アンタが一番乗りってどういうことよ!!」

光「ん?皆まだだったのか?」

麗奈「そうよ!全く時間にルーズとか一番ダメなやつよ!! それでも社会人なのかしら!!」

光「うっ……ごめんなさい」

麗奈「……」

光「……」




麗奈「なんで悪の女王のアタシが正義のヒーローに社会のルール説教しなきゃなんないのよ」

光「アタシ麗奈は良い子だと思う」

麗奈「ほんと怒るわよアンタ」

麗奈「まぁ良いわ!とりあえず他の連中が来るまで待つわよ!布団自分の持ってきたんでしょうね!?」

光「ああ!バッチリだぞ!地味に大変だった!階段とか!」

麗奈「寝るときはそこ空けるからそこに敷きなさい!わかったわね全く!!」

光「ああ!任せろ!!」

麗奈「……」

光「……」

麗奈「……」

光「……」


麗奈「……あのさ」 光「……なぁ麗奈」


麗奈「……」

光「……」


麗奈「……同時に言いましょう」

光「……ああ」

麗奈「……」

光「……」













「 「 そのパジャマ……何? 」 」

麗奈「ちょっとアンタ!何よそのパジャマ!?ホントにアイドル!?ふざけてんの!?」

光「えっ!?ふっ……ふざけてないぞ!これはアタシの大事なパジャマの中でもとっておきで……というか、麗奈こそその格好何だ!?アタシドア開けて思わずビックリしたぞ!?」

麗奈「はぁっ!?アタシの格好の何処が変なのよ!?」

光「だって……それ……」


【大人のバスローブ】小関麗奈


光「なんでバスローブなんだ!?ここいつからホテルになったんだ!?」

麗奈「違うわよ!アタシの部屋よ!お小遣い使って通販で買ったのよ!なんなの!?逆になんか文句あんの!?」

光「文句とかじゃないけど……ワイングラス超でかいし……」

麗奈「別にこれぐらい普通の大きさよ!大人のワルの女と言えばバスローブとワイングラスが必須なの!レイナサマは器がでかいからワイングラスもでかいのよ!」

光(ゆう○ろうみたいだな……)

光「ゆう○ろうみたいだな……」ボソッ

麗奈「アンタ何思ったことそのまま口にしてんのよ!?」

光「麗奈……まさかそれで飲酒を……!?」ハッ

麗奈「違うに決まってんでしょ!?エナドリよエナドリ!流石にそこまでアタシも分別つかない女じゃないわ!」

光「おおっ……!流石だな麗奈!見くびってすまない!」

麗奈「フン!見くびらないでよね!……っていうか!アンタ!アンタ絶対人の事言える格好じゃないでしょ!?」

光「えっ!?」


【光るヒーローパジャマ】南条光


麗奈「……」

光「……」

麗奈「……」←女子中学生

光「……」←女子中学生


麗奈「……逆になんでなのよアンタ……」

光「……」

麗奈「よく見たらホントになんなのよアンタそれ……CMとかで見たことあるわよそのパジャマ」

光「これは今絶賛日曜朝に放送中のヒーロー番組の……」

麗奈「違う、聞いてるのそこじゃない」

光「これホラ、暗闇で光るんだ」

※手で影を作って模様を光らせてる

麗奈「わぁすごい……!違う!アホか!なんだそれ!?なんの役に立つのよ!何が楽しいのよ!?」

光「これを着ることによって夜眠るときでもいつだってヒーローが一緒にいてくれる」

麗奈「やかましいわ」

光「戦隊ヒーロー、仮○ラ○ダー、ウル○ラ○ンの三種類あるんだ」

麗奈「聞いてないし。すごくどうでもいい」

光「枕が違ってもこのパジャマでグッスリな優れものだぞ」

麗奈「確実にアンタ限定よねそれ」

麗奈「なんなのそれ……アタシの魔法少女番組でもたまにそんなんのCMやってたけど……」

光「麗奈は自分の番組のパジャマ買わなかったのか?」

麗奈「……千佳のしか発売されなかったし……」

光「……」

麗奈「……」

麗奈「……大体なんでアンタそれ着れるのよ……」

光「なんか普通に入っちゃったんだ、サイズ……」

麗奈「……」

光「……正直アタシも普通に着れるとは思ってなかった」

麗奈「……そう」

麗奈「なんか毒気抜かれちゃったわ……大人っぽいパジャマでアンタら見返してやろうと思ってスタンバってたのに馬鹿みたいじゃない」

光「それでバスローブになったのか……?」

麗奈「あーあ……馬鹿馬鹿しくなっちゃった。なんか飲む?エナドリとコーラあるけど」

光「じゃあ(エナドリは高いから)コーラ」

麗奈「はい」

光「ありがとう」

プシュッ ゴクゴク

光「ぷはっ!冷えてて美味しいな!」

麗奈「あっ」

光「えっ!?」

麗奈「……振って渡すの忘れちゃったじゃない」

光「……仮に降っててもここレイナサマの部屋だから爆発したら麗奈が大変だと思うけど……」

麗奈「……」

光「……」




麗奈「……皆遅いわね」

光「……そうだな」

麗奈「……どんなパジャマで来ると思う?」

光「えっ?……どんなって……」

麗奈「……蘭子は絶対黒よね」

光「あぁ、そんな感じがするな。こう、お洒落なレースとか付いてそうだ」

麗奈「レッスン着がそんなんだったし多分そうよね……」

光「……紗南は多分なんかゲームっぽい感じだと思う」

麗奈「どんなのよそれ……」

光「……ボタンやコントローラーが付いてるとか?」

麗奈「どこが作るのよそんなパジャマ……」

麗奈「……飛鳥は……」

光「……飛鳥……」

麗奈「……意外と極端に味気ない無地で灰色の上下みたいなのとか」

光「……飛鳥だからこう、やっぱりめちゃくちゃ拘ったお洒落なパジャマとかじゃないのか?」

麗奈「……」

光「……」

麗奈「まぁ何が来ても大人のセクシーさならやっぱりアタシのが一番でしょうね」

光「え?」

ピンポーン

麗奈「!!」


紗南「おーい!遅くなってごめーん!来たよー!」


麗奈「この声は紗南ね!全く!遅いじゃないもう!光ですらもう来てるのに!」

光「ですらは酷いぞ!」

麗奈「開いてるから入って良いわよ!」

光「無用心だな。女子寮だから良いけど」

ガチャッ


【キャンプ用パジャマ】三好紗南


紗南「遅くなってごめーん!折角だからこないだのキャンプの撮影の奴着ようと思ってさ!探してたら遅く……」

麗奈「遅いじゃない全く!ほんと全くよ!!」

(※バスローブ&ワイングラス(大))

光「おお!この前のキャンプの奴だな!テレビ観てたぞアタシも!」

(※光るヒーローパジャマ(男子用))

紗南「……」

(※パジャマ)





紗南「……あのさ、これアタシ逆に空気読めてない感じになってる?」

麗奈「なんでよ」

紗南「ボケた方が良かったのかなって……」

光「いや、そんなことないぞ」

麗奈「ボケてもないからねアタシ達。逆に」

紗南「……そうなんだ……逆に……」

光「うん……逆に……」



紗南(……今夜もツッコミ頑張ろう)

麗奈「でもまぁこれで三人目ね。今のところやっぱりアタシがセクシーね」

紗南(セクシーのつもりだったんだ……)

光「でも一番カッコいいのはアタシのパジャマだと思うな!」ビシィッ

紗南「……そうだね……そこまでいくともはやカッコいい気がしてくるね」

光「おぉっ!わかってくれるのか紗南!ありがとうっ!!」ビシィッ

紗南「……」

麗奈「あと来てないのは蘭子と飛鳥ね」

紗南「うわー濃そう」

光「うん。アタシらもそんな話してたんだ」

紗南「多分蘭子ちゃんはこの中じゃ一番お洒落に時間かかるから遅くなる気がする」

麗奈「なら次は飛鳥が来そうね」

光「友達同士なんだしそんな気にする必要ないと思うけどなぁ」

麗奈「アンタはもう少し気にしなさいよ……」

光「えっ」

紗南「光ちゃんは……うん……」

光「えっ!?」

光「おかしい……何故だ……こんなにカッコいいのに……」ウーン…

紗南「ショック受けてる……」

麗奈「ほっときなさい。悩ませときましょう」

ピンポーン

麗奈「あっ来たわ!」

紗南「来たね。どっちだろ」

光「暗闇で光るのに……」ブツブツ

麗奈「さぁ……どっちかしら。遅いわよ!誰!?」


飛鳥「ボクだよ」


麗奈「飛鳥ね!開いてるから入って良いわよ!」

紗南「無用心だよね……女子寮だから良いけど」

飛鳥「そうかい?じゃあ、お言葉に甘えるよ」

紗南「あっ!光ちゃんとアタシも来てるよー!」

飛鳥「その声は紗南かな?じゃあ、後は蘭子が来るのを待つだけだね」

光「やっぱりウ○ト○マンの方が良かったのかな……」ブツブツ

麗奈「……」ドキドキ

紗南「……」ドキドキ

麗奈(どんなパジャマだと思う?)

紗南(飛鳥のパジャマ……想像できないね)

飛鳥「じゃあ、入るよ」

ガチャッ



【眼鏡とジャージ】二宮飛鳥




飛鳥「フッ……月並みな言葉だけど……親しくなったヒト…友人……そんなヒト達と一緒にこの世を照らす光が消えた刻を過ごs」

紗南「あっごめん」

麗奈「ちょっと待って」

紗南「あの、すいません」

麗奈「どちらさまですか……?」

飛鳥「……」

紗南「……」

麗奈「……」

飛鳥「……」



飛鳥「……ボクが誰か……そう、ボクは誰だろうね……観測する存在によってボクがボク足らしめるモノであると証m」

紗南「飛鳥だ!?これ飛鳥だよ!?」

麗奈「嘘っ!?ホントに飛鳥なの!?」

紗南「間違いないよ!台詞めんどくさいもん!」

飛鳥「……」

紗南「なんで!?なんで飛鳥なの!?」

麗奈「冗談でしょ!?なんでアンタが飛鳥なのよ!?」

飛鳥「……哲学の時間かい?」


光「ブツブツ……アレ?あっ!飛鳥だ!いつ来たんだ?」

飛鳥「……やぁ光」

光「アレ?飛鳥ジャージなんだな」

飛鳥「……まぁね」

光「?」

光「でも意外だな。飛鳥ってすごくお洒落なパジャマとか着てそうなイメージあったぞ」

麗奈(ガッツリいったわねコイツ……)

紗南「うん……アタシ達正直そう思っててビックリしちゃったよ」

飛鳥「……」

飛鳥「……ヒトはそれぞれ他人に抱くイメージというものがあるけれど……そのイメージが常に本当の姿と合致するかはわからないものさ」

飛鳥「今のボクがまさにそう……ボクに対する“二宮飛鳥”という記号への、キミ達が持つ“イメージ”……そのイメージと ここに存在する本来のボクの姿は違う……観測者によって世界は姿を変える……でもね、セカイは決してそれだけのものではないのさ」フッ

光「??? なるほどなー」

紗南「……」

麗奈「……」

ピンポーン

麗奈「! 蘭子ね!開いてるわよ!入って!!」

???「えっ!?あれ? ……あっ、ごめんなさい。私、蘭子ちゃんじゃないの」

麗奈「?」

???「開いてるのかな?入って良い……?」

麗奈「……誰かしら?何?」


ガチャッ


栗原ネネ「わぁ!皆集まって楽しそうね!今日はどうしたの?」

飛鳥「――っ!?」

ネネ「ごめんなさい、飛鳥ちゃんがこっちに来てるって聞いて……お邪魔だったかな?」

麗奈「? 別にそんなことないけど」

ネネ「そう?良かったぁ」ホッ

紗南(ネネさんこのメンツのこの格好に微塵も動じてない……スゴいな)

光「ネネさんどうかしたの?飛鳥に用なの?」

ネネ「あ、うん。飛鳥ちゃん昨日漫画のインク服に溢して大変なことになっちゃって、それでなんとかならないかなって相談受けてたんだけど……」

飛鳥「……」

麗奈「……」

紗南「……」

ネネ「カッコいい方のパジャマとかシャツはね、やっぱりちょっとどうしようもないのがいくつかあったんだけどね……ホラ、飛鳥ちゃんお気に入りだって言ってたあのパジャマ!あっちはなんとかなりそうだったから、それを伝えたくって」

飛鳥「――っ!?」

ヒラッ

ネネ「見て!ホラこれ!シミもインクも全然残ってないんだ!」

紗南(あ、可愛いパジャマだ)

麗奈(可愛いわね)

光「可愛いパジャマだな!」

飛鳥「」

紗南「……」

麗奈「……」

ネネ「……?」



飛鳥「……」

飛鳥「……ネネさん、わざわざごめん。どうもありがとう」

ネネ「? ううん!気にしないで!」

ネネ「あ、じゃあこれ!お部屋に持っていっとくね!」

飛鳥「うん……ありがとうネネさん……」

ネネ「うん。お邪魔してゴメンね皆」

バタンッ



飛鳥「……」

紗南「……」

麗奈「……」

光「漫画のインク溢しちゃってたんだな飛鳥……でもお気に入りのパジャマが大丈夫そうで良かったな!」

麗奈「光」

紗南「光ちゃん」

光「?」

麗奈「そっとしといてあげましょう」

紗南「今だけ、今だけだからさ」

光「……?」

飛鳥「……」

光「……わかった」

飛鳥「……」




飛鳥「……深夜に」

飛鳥「……眠気覚ましに……コーヒーを飲もうと思って……手がインク瓶にぶつかって……」

紗南「……」

麗奈「……」

光「……」

飛鳥「慌てて拾おうとしたんだけど……ちょうど畳んで重ねてた洗濯物の上に落ちちゃって……」

飛鳥「……」

光「……飛鳥……ミスは誰だってするものさ」

麗奈「そうよ……うん。アンタ今回たまたま運が悪かったのよ」

紗南「なんか……ゴメンね。そんなタイミングだったのにお泊まり会しよっかなんて提案しちゃって……」

麗奈「来るのが遅かったの……来るかどうか迷ってくれてたからなのね……なんか、うん。言いたい放題言って流石に悪かったわ」

紗南「うん。ジャージのこと好きたい放題言ってゴメンね」

光「大丈夫だぞ飛鳥!ちょっと比奈さんみたいになってるけど眼鏡もジャージも似合ってるぞ!!」

飛鳥「……」




飛鳥「……ジャージなら……」

紗南「!」

飛鳥「……ジャージならいくらインクついても良かったのに……」

紗南「……」

麗奈「……」

光「……」

光が来てくれた、それだけで人は生きる力を持てる

紗南「……あとは蘭子ちゃんだけだね」 

麗奈「どんなパジャマで来るのかしらね」

飛鳥「意外とジャージじゃないかな」

紗南「なんか……レースとか付いてそうだよね」

麗奈「絶対黒とかそんなんよ。もしくは紫」

飛鳥「きっとジャージだよ」 

光「普通のパジャマかもしれないぞ。熊の絵が描いてたり……」

麗奈「言っとくけど熊本県は別に熊で有名な国ってわけじゃないからね」

光「えっ」

飛鳥「熊のアップリケとか付いたジャージだよきっと」

紗南「飛鳥の精神が崩れてる……」

コンコンッ

麗奈「!」
紗南「!」
光「!」
飛鳥「!」

蘭子「お……遅くなってごめんなさい……入っても、良い?」

麗奈「来たわ!蘭子ね!遅いわよホントに!」

紗南(遅刻したの気にして標準語になってる……)

光「もう皆来てるぞ!」

飛鳥「蘭子……ちゃんとジャージに着替えてきたのかい?」

蘭子「えっ!?……えぇっ!?」アセアセ

紗南「気にしなくて良いよ」

麗奈「今のは無視しなさい。入って良いわよ」

蘭子「あっ……じゃあ……」



ガチャッ



【少し背伸びネグリジェ】神崎蘭子(SR+)


蘭子「お……遅くなってゴメン……ね?」


紗南「……」←普通のパジャマ
麗奈「……」←バスローブ+ワイングラス(特大)
光「……」←光るヒーローパジャマ(男子用)
飛鳥「……」←眼鏡とジャージ

蘭子「!!?」


シー……ン……


蘭子「……? あ、あの……へ、変……だった……?」オドオド


4人「……」










((((……なんかエロい))))


な ん か エ ロ い ! !
 

麗奈(馬鹿な……日本人の女子中学生でパジャマにネグリジェですって……!?)

紗南(ネグリジェ……!漫画やゲームやこないだ見かけた川島さんのパジャマでしか見たことない……!!)

飛鳥(蘭子……!信じてたのに……!)

光(これは子供が着ても良いものなのか……!?)


4人「……っ!!」

蘭子「……!」アセアセ

蘭子「……? へ……変、だった?」


麗奈「アンタ!ふざけんじゃないわよ!何アタシよりセクシーに決めてんのよ!?ホントにセクシーじゃない!!」

蘭子「ぴぃっ!?」

紗南「生地が薄くてほんのり透けてるよ……これはダメだよ。ゲームならCEROが厳しくしてるレベルだよ」

蘭子「ふぇっ!?」←今気づいた
 
飛鳥「蘭子……キミは……キミだけはジャージだと信じていたのに……!」

蘭子「え?」

光「蘭子!それはダメだ!ダメな奴だ!子供に見せられない奴だぞ!!」

蘭子「ぴゃあっ!?」

蘭子「そ……そんなに……」

紗南「?」

蘭子「そ……そんなに……その……」 

蘭子「え、えっち……?」カァァァァッ

4人「……」


麗奈「エロいわね」

蘭子「」

紗南「うん。エロい」

蘭子「」

飛鳥「エロスの化身だね」

蘭子「」

光「アタシあまりエッチなのはいけないと思うんだ」

蘭子「」ガーーーンッ


蘭子「う……」

蘭子「うわぁぁぁぁぁん!!着替える!!お部屋帰って着替えるぅぅぅぅっ!!」ワァァァァンッ

紗南「わあっ!?蘭子が錯乱しだした!?」

飛鳥「お……落ち着くんだ蘭子!!」

蘭子「やだぁぁぁぁっ!!着替える!もう着替えるの!!」

飛鳥「ただどうしても着替えるというならジャージに……」

紗南「飛鳥も錯乱してる!?ヤバいよどうすんのこれ!?」

麗奈「ちょっと!光が言い過ぎるから蘭子泣いちゃったじゃないのよ!アンタ!謝りなさいよ!!」

光「え……えぇっ!?そ、そうなのか!?
ご……ゴメンなさい!!」

麗奈「……ホラ、コイツもここまで言ってるし許してやってよ」

紗南「何してんの」

蘭子「うわぁぁぁぁぁん!!えっちじゃないもん!!えっちじゃないもん!!」

紗南「コント見てないし……ごめん!ごめんね蘭子ちゃん!皆言い過ぎたよ!!」

麗奈「あーもうわかったわよ悪かったわよ!だからあんま大声出さないでよ!近所迷惑になるでしょ!?」

蘭子「うわぁぁぁぁぁぁぁんっ!!えっちじゃないもん!!」

麗奈「ダメだわ……完全に幼児退行してる」


「えっちじゃないもん!!」

ガチャッ

飛鳥「ん?」

光「……?」

紗南「アレ?」

麗奈「え……なんで急にドアが開いて……」

蘭子「……?」



お肌のために早く眠りたい
隣の部屋の川島瑞樹(28)「……」

瑞樹「……」ニッコリ




麗奈「……」
紗南「……」
飛鳥「……」
光「……」
蘭子「……」


瑞樹「……」

クイッ←親指ジェスチャー

(黙って)

クイッ←親指ジェスチャー

(寝ろ)


麗奈「……」
光「……」
紗南「……」
飛鳥「……」
蘭子「……」


瑞樹「……」ニコッ

 
5人「……」


「「「……ごめんなさい」」」
 




紗南「……あー怖かった」

麗奈「顔パックしたままだったわね……」

紗南「キュウリ付いてたね……」

蘭子「恐ろしき威圧感……我が魔力による防御壁をああも容易く破られるとは……」

光「また他人に迷惑をかけてしまった……」

飛鳥「フッ……まさか、恐怖なんて感情をフツウの暮らしの中で彼処まで強く感じるコトになるなんてね……」

紗南「ジャージがなんか言ってる」

麗奈「あービックリした……でもいきなり怒られるなんて早速稼いじゃったわね」

光「稼いだって何を?」

麗奈「決まってんでしょ!“悪ポイント”よ!!」

全員「「「「“悪ポイント”!?」」」」

麗奈「声がでかい!そうよ!さしずめ悪事のポイントね。夜中に大騒ぎして隣人に怒られるなんてかなりの悪よ!そうね……確実に25悪ポイントは固いわ!」

飛鳥「成る程……そうやって少しずつ悪ポイントを貯めて芸の肥やしにしていくわけだね」

光「なるほど!そうやって悪の役に近づいていくわけか!」

蘭子「ふっふっふっ……流石悪の女王、泉のごとく様々な悪への道が湧き出るようだな……!」

紗南(何そのシステム)

麗奈「そうよ!この悪ポイントを今夜は兎に角稼ぎまくるのよ!」

光「くっ……しかしあまり悪に近づきすぎるのは……っ!」

麗奈「アーハッハッハッ!(小声)いい加減諦めなさい!悪という駅へ続く列車は一度走り出すと途中で止まらない片道切符なのよ!!」

紗南「何言ってんの」

光「因みに夜更かしはどれぐらい悪ポイントが貯まるんだ?」

麗奈「そうね……もし朝まで夜更かしとかになれば200ポイントぐらいは硬いかしら」

光「高っ!? 基準がわからないぞ!」

麗奈「馬鹿ね!アイドルが夜更かしなんて悪いことに決まってんでしょ!美貌の大敵だし仕事やレッスンに支障が出たら大変よ!!夜更かしなんてとんでもない悪よ!!」

光「おぉっ……!なるほど……」

蘭子「確かに……流石悪の女王……!」




紗南「……」←徹夜常習
飛鳥「……」←徹夜常習

光「でも夜更かしって実際何すれば良いんだ?」

紗南「え?そんなの決まってるじゃん」

ドサドサドサッ

紗南「大勢で夜更かしなんて言ったら徹夜でゲーム、略して徹ゲーしかないでしょ」

光「何処に持ってたんだ紗南!?」

飛鳥「ハードまで複数あるとは……驚きだね」

蘭子「遊戯の友はもしや財の溢れる王族貴族の出身なのか……?」

麗奈「多分『うわーお金持ちだね!』って感じの意味かしら」

紗南「沢山あるけど複数プレイ出来るソフトばっかりだよ!麗奈の部屋のネット環境聞くの忘れてたからオンライン系は外したんだ。で、最近のゲームはオンライン重視で大勢1つの部屋に集まって出来るゲームは昔のほうが豊富だしじゃあハードから持ってくれば良いかなって」

光「? なるほどなぁ……」

紗南「ホラーゲームもあるよ」

怖いパッケージ

飛鳥&蘭子「ぴぃっ!?」

紗南「あはははごめんごめんジョークジョーク」

麗奈「今悲鳴一人多くなかった?」

紗南「ゲームは良いよ~。時間がいくらあっても足りない」

光「そんなに楽しいのか……」

紗南「楽しいよ~。プロデューサーにもよく勧めてるんだけど忙しいから中々出来ないって言ってるのがちょっと残念だなー」

麗奈「5人いるけどどうするの?」

紗南「あーそうだねー……悪の気持ちを知りたいならきっと桃鉄とかが一番なんだろうけど……」

光「?」
蘭子「?」

※桃鉄=友情を破壊しかねないゲームの1つ。あらゆる面で残酷

紗南(仮に四人プレイでこの二人にチーム組ませたとしても多分かなり弱いだろうな……)

紗南「んー、ちょっと難しいね。普通にパーティーゲームにしよっか」

<マンマミーア!

光「でもゲームって大丈夫かな?紗南がそんなに言うなら絶対楽しいと思うけどあんまり楽しすぎたら盛り上がって大声だしてまた怒られるかも……」

麗奈「ボリューム抑えりゃいいでしょ。怒られたらそれはそれで悪ポイント追加よ」

紗南「ゲームで盛り上がっても仕方ないよ。役の為だもん」

飛鳥「最初から悪気100%だね」

麗奈「そうよ。悪だもの。川島瑞樹がナンボのもんよ。顔面パックなんか1回見たらもう怖くないわよ。早速ゲームしましょ。なんか友達の家に遊びに行った時みたいね」ワクワク

蘭子「わ……私ちゃんとプレイ出来るかな……?」ドキドキ

紗南「ダイジョーブだよ!すぐに出来るし覚えるよ」ウキウキ

麗奈「配線合ってるかしら。じゃ、やりましょう」

光「こんな時間にTVゲームなんて……一体どれだけの悪ポイントなんだ……っ!?」

麗奈「こんな時間にゲームしちゃうのも仕方ないわよね。だってこれも光の役の為だもの」ワクワク

紗南「そうだね。仕方ないよ。光ちゃんの為だもん。早くゲームやろ。早くゲームしよ」ウキウキ

飛鳥「便利な大義名分を得たものだね」

光「皆……アタシの為にそこまで……ありがとう!」グスッ

麗奈「そういうの良いから。アンタはコントローラー何色が良いの?」

光「赤!ヒーローはレッドが基本なんだ!」ビシィッ

麗奈「はいじゃあ赤。あとボリューム少し抑えなさい」

光「あ、はい。ごめんなさい」ストン

紗南「よーしこのゲームにしよう!最初に操作とかプレイの仕方とか出るよ!ちゃんと見ててね!」

光&蘭子&麗奈「は~い!」

飛鳥「……」

紗南(あ、説明書読んでる)

更新完全に止まっててすいません。というか残しててくれてホントありがとうございます
モバマスとデレステが完全に殺しにかかってました。すいません
今もレイナサマ来てるしホンマに死にそう

紗南「まずはゲームに慣れるとこから始めよっか!」

麗奈「チュートリアル?アタシこういう面倒なの苦手なのよね。まどろっこしいじゃない!」

光「麗奈!ちゃんと操作とかやり方とか覚えてからの方がいいぞ!アタシ自信ないし!」

麗奈「堂々と何言ってんのよ」

蘭子「うむ……我も修練の儀を終えぬ事には競いの場に挑むことは……」

麗奈「アンタは何言ってるかわかんないから普通に喋ってくれる?」

蘭子「私も自信ないから最初こういうのあると嬉しいなって」

麗奈「そう……」

飛鳥「蘭子の言う通りさ……ボク達はまだこのゲームのことを何も知らない……いや、実際には「識る」という行動n」

麗奈「じゃあさっさとチュートリアルとやら始めましょう」

紗南「そうだね」

光「塩対応だな……」

紗南「何処でそんな言葉覚えたの光ちゃん……?」

紗南「皆操作方法覚えたー?」

光「……うん!大体わかった!」

麗奈「ホントかしらコイツ……」

蘭子「た……たぶん!」

飛鳥「まぁ……知識としては頭に入ったし……体感としても少しだけど覚えたとは思うよ。実際に思うように動かせるかはわからないけど、ね」

紗南「よーしじゃあルールはバトルロイヤルだね。チームマッチにしよう」

カチッ

1vs4

麗奈「はぁっ!?アンタ1人対アタシ達全員!?」

飛鳥「これは……」

蘭子「紗南ちゃん……大丈夫なの?」

光「なぁ紗南!いくらなんでもこれじゃ不公平じゃないか!?」

紗南「だいじょーぶだいじょーぶ!アタシ経験者だし!」

麗奈「嘗められたもんね!良いわ!ボッコボコにしてやる!」

光「でも……こんなの卑怯な感じがするし……」

紗南「大丈夫だって!ホラ!光ちゃんが好きななんとか戦隊だって5対1でいつも相手をフルボッコしてるじゃん!」

光「戦隊は一応敵も何十人も部下つれてるんだ紗南……」

蘭子「いーっ!って奴かな……」

光「それはラ○ダーだな」

麗奈「どっちでもいいわよオタクねもう!」

飛鳥「秘密結社か……組織としての規律を保つためや帰属意識を促すためなんだろうが……それでも彼らは何故……皆一様にあんな目立つ格好を採用しているんだろうね……」

麗奈「そんなの悪の美学よ!決まってんでしょ!」

飛鳥「……まさかこっちから援護射撃が来るとは」

紗南「アタシ経験者だよ?アタシが誰かと組んだらそこ有利すぎて逆に不公平になるじゃん!ね?」

光「でもこんな……だってさ、四人で一人を攻撃するなんて……徒党を組んで怪人でもない女の子を襲うのは卑怯って言うか……」

紗南「皆女の子だけど……」

光「うん、そうだけど……これじゃあまるで悪い奴がすることみたいじゃないか……!」

紗南「……」

全員「……」

光「……」





紗南「じゃあいいんじゃないの?今は逆に」

光「……あ、そっか……」

紗南「うん……逆に」

麗奈「2回言って元に戻ったわよ」

紗南「よーしじゃあ始めるよー!」

蘭子「うぅ……足引っ張ったらごめんね……?」

光「大丈夫だ!皆初めてだしフォローしあうのが仲間だ!」

飛鳥「自分がどの程度動けるのかもわからないのに連携が取れるとは思わないけどね……」

光「飛鳥!やる前から諦めちゃダメだ!皆の心を1つにするんだ!」

蘭子「でも……心を1つにするなんてどうやって……」

飛鳥「ふむ……ボクと蘭子は兎も角光と麗奈と組むのは今日が初めてだからね……ココロの波長を合わせるのも簡単とは思えないけど」

光「飛鳥……!くっ……だが確かにそうだ!何か切っ掛けがあれば……」

麗奈「何ゴチャゴチャ言ってんのよ!?始まるわよ!!クックック……紗南め!数の暴力でコテンパンにしてやるわ!」

紗南「上等!まぁ最初はアタシもゆる~く行こうかな!接待プレイだね!」

麗奈「きぃ~!憎たらしい!!アンタ達!アタシが危なくなったらアンタ達はリーダーのアタシの盾になるのよ!!良いわね!!」

麗奈「アタシがヤバくなったらリーダーの為に死になさい!」

光・蘭子・飛鳥「……」


飛鳥「わかったよ。ピンチになったら君に全て任せるよリーダー」

麗奈「えっ違」

蘭子「前線に立ち戦士の規範を示そうとは中々出来ることではないわ……良かろう、窮地に陥りし時は我等が長たる貴女に全てを託すわ」

麗奈「違……アタシに任せるんじゃなくてアンタ達がアタシを護……」

光「頼んだぞ!リーダー!!」

麗奈「えっ……ちょっと……」


紗南(心が1つになってる)


光「よーし行くぞ皆!こっちにはリーダーがついてる!」

麗奈「ちょ……ちょっと……」

飛鳥「リーダーがいれば何も問題はないね」

蘭子「うむ……指針たる人物、導き手さえいれば例え我等が無人の島に辿り着いても何も心配することはないわ……!」

紗南「多分蘭子ちゃんのは違うリーダーの話だと思う」


光「よし行くぞ紗南!少し気は引けるけど……でもアタシは勝負に手加減はしない!!」

紗南「よーし行くよ!ゲームスタート!カウントダウン!!」

麗奈「ちょっと!ちゃんとアンタは手加減しなさいよ!?」

蘭子「飛鳥ちゃん……離れないでね?」ドキドキ

飛鳥「折角数の有利がある以上無闇に離れることはないよ蘭子。安心していい」

紗南「だいじょーぶだいじょーぶ!ちゃんと手加減するよ!」


3、2、1、GO!!


紗南「アタシが初めての子達相手に全力なんか出すと思う?」

 


──虐殺だった。



 

光「……」ズーン…
麗奈「……」ズーン…
蘭子「……」ズーン…
飛鳥「……」ズーン…


紗南「……」


紗南「……ごめん、ゲームの事になるとつい熱くなっちゃって……途中から、ちょっとだけ本気だしてた……」

全員「……」

蘭子「ちょっとって、どのぐらい?」

紗南「……5割?」

光「戦意喪失した蘭子も容赦なく追いかけて始末してたな……」

麗奈「ターミネーターみたいだったわね」

蘭子「……」

紗南「……7割だったかも」

飛鳥「ボクはリターンと同時に始末されたよ」

麗奈「完全にポイントもタイミングも全部暗記されてたわよね」

光「蘭子を庇おうとしてまとめて消されたりもしてたな……」

紗南「……9割」

麗奈「しかもアタシのこと皆が盾にしようとするから全部最初に殺されたんだけど」

紗南「それは知らないけど……」

光「くっ……!全力を出しても手加減してる相手に敵わないのは……やっばり悔しいな……っ!」ギリッ…

紗南「ごめん、ぶっちゃけ全力だった」

光「あぁ……全力だったのか……」

飛鳥「どのみち片手間で始末されてたから複雑だね」

麗奈「アンタの接待プレイって言葉は2度と信用しない」

紗南「ごめん」

紗南「でもホラ、ゲームは積み重ねと練習量がやっぱり大事だからその辺の差が今回出ただけだよ」

蘭子「じゃあ、私たちも練習すれば紗南ちゃんみたいに上手くなれる?」

紗南「なれるなれる!徹ゲー(徹夜でゲーム)何週間か続ければ皆そこそこ戦えるように……」




麗奈「見ときなさい光、これも1つの悪の形よ。言った言葉をすぐ翻す、ワルの常套手段よ」

光「悪って色々あるんだな……」

麗奈「ダメね!バランスがダメだわ!手加減できないガチゲーマーを素人集団の中に放り込んじゃこうなるのは火を水より明らかだったわ!」

蘭子「……ひをみるより?」

麗奈「……そっちだった気がするわ」

飛鳥「他にゲームは何かないのかい?」

紗南「全国のプレイヤーと対戦できるFPS!」

光「戦争ものか……怖そうだな」

麗奈「血とか出るのはダメよ。蘭子が恐がるわ」

蘭子「しゅん……」

紗南「なら格ゲー!!格闘ゲームがあるよ!!」バンッ!


<ガタッ (※川島さんの部屋)


全員「……」シーン…



飛鳥「格闘ゲームか……さっきの二の舞になる気がするけど」

紗南「あとは桃○……ド○ポン……ア○スクライマー」

麗奈「よくわかんないゲームばっかね……」

蘭子「盟約を破り禁忌を侵すまたと無い機会……折角ぞ、我等のこの瞳を別の方向へ向けても良いのではないか……?(折角夜更かしするんだから他のこともやってみない?)」

紗南「ゲーム以外もやってみようって?うーん……」

麗奈「……いえ!ゲームも良いんじゃない?ただし別のゲームよ!」

紗南「別のゲーム?」

飛鳥「麗奈……何か案があるのかい?」

麗奈「フッフッフ……これよ!」

※割り箸

光「……」


光「これ何に使うんだ?」

麗奈「アンタほんとにお子様ね!割り箸使ったゲームって言ったら1つしか無いでしょ!?」

光「……お尻で割るのか?」

飛鳥「」ブフッ

光「麗奈……アタシ達仮にもアイドルなんだからそういうのはどうかと思うんだ」

麗奈「なんでよ!?逆になんでその予想に辿り着くのよ!?そんな提案するわけないでしょ!?よしんばそうだとして徹夜でお尻使って割り箸割って何が面白いのよ!?」

飛鳥「」プルプル…

光「でもPさんが俺の忘年会芸の鉄板だって……」

麗奈「……アタシあいつとの付き合いちょっと考え直そうかしら……」

麗奈「割り箸使ったゲームなんて1つしかないでしょ!?」

紗南「……鼻に挿すの?」

飛鳥「」ブフォッ

麗奈「なんでドジョウ掬いなのよ!?そんなの鈴帆とかしかやんないわよ!!」

光「鈴帆はするのか……」

麗奈「鈴帆はするでしょ多分……」

飛鳥「」プルプル…

麗奈「割り箸使ったゲームなんて1つしかないでしょ!?割り箸使ったゲーム……つまりそれh」

飛鳥「お……お尻で割り箸……」プルプル…

麗奈「何ツボに入ってんのよ!?」

蘭子「……」

さすさす(※飛鳥の背中)

麗奈「……割り箸を使った大人のゲーム……そう!!」


<ドンッ (※川島さんの部屋)


全員「……」シーン…



麗奈「割り箸を使った大人のゲーム……そう、王様ゲームよ!!(小声)」

紗南「王様ゲーム!?」(小声)

蘭子「王様ゲーム!?」(小声)

飛鳥「なるほど、König(ケーニッヒ)ゲームか……」(小声)

紗南「なんで今ドイツ語で言ったの?」

蘭子(飛鳥ちゃんカッコいい……!)

光「おお!王様ゲームか!!」(小声)



光「……王様ゲームって何するんだ?」

麗奈「……アンタはホント期待を裏切らないわね」

麗奈「割り箸の中に1つだけ印が付いてるわ!これを一斉に引いて印が付いてる割り箸を引いた奴が王様になれるのよ!」

光「おお……なるほど。だから王様ゲーム……もし王様になったら何をどうするんだ?」

麗奈「ハッ!これこそが王様ゲームの醍醐味よ。王様になったらね……王様以外の奴等になんでも言うこと聞かせられるの。一回につき一回だけだけどね!」

光「ああ、そういうゲームか。……ん?なんでも……?」

紗南「まぁ流石に限度はあるけどね。お金ちょうだいとかはダメだよ」

光「えっ!それはダメだ!そんなのはダメだな!……うーん……でもなんでもか……アタシそういうの考えるの苦手だから上手く参加できるかな……」

蘭子「私も……少し怖いかも……」

麗奈「大層ね……深く考えすぎなのよアンタたち」

飛鳥「しかし、何故王様ゲームなんだい?」

麗奈「アタシは悪(ワル)のカリスマアイドルになるのよ?その為にセクシーな事も出来るようになっとかなきゃいけないのよ!」

飛鳥「正直、そのセクシーと王様ゲームとどう関係あるのか、理解できないね」

麗奈「アタシだって知らないわよ!でもこないだやってたセクシーな芸能人特集で765プロの百瀬だったかなんだったかってアイドルが言ってたわ!「セクシーな女は合コンで王様ゲームとかやる」って!」

飛鳥「メディアの情報を鵜呑みにしてそれに踊らされてしまう、短絡的な思考と言わざるをえないね」

麗奈「やるの?やらないの?」

飛鳥「まぁ断る理由も特にない、かな?」

麗奈「めんどくさいわねコイツ……無駄にカッコつけてるし」

紗南「今ジャージなのにね」

麗奈「クックック……アンタらどれを引くか決めた?じゃあいっせーのーで!で行くわよ……3、2、1……」


「「「「いっせーのーーで!!」」」」


パッ

全員「……」

麗奈「……えっ!?ちょっと!アタシの印が付いてないじゃない!」(小声)

飛鳥「ボクも外れだ。しかし君……ズルとかイカサマとかせず普通に参加したんだね……」

麗奈「……忘れてたわ」

紗南「アタシも外れだ~」ウーン…

光「アタシもだぞ……ん?じゃあ……」



蘭子「……!」パクパク



光「蘭子が王様か!」(小声)

蘭子「ど……どうしよう……私……私王様になっちゃった……!」プルプル

飛鳥「落ち着くんだ蘭子、いいね?しかしそうか、蘭子が王様か……」

紗南「王様っていうより魔王だね」

蘭子「!! 魔王!?」ピクッ

麗奈「ちょっと!このアタシを差し置いてなんでアンタが王様なのよ!」

光「そういうゲームだからじゃないのか?」

蘭子「ど……どうしよう……」

飛鳥「落ち着くんだ蘭子。無理はしなくても良い」

蘭子「でも……」

紗南「なにか一発芸やらせるとか?」

麗奈「はぁ!?嫌よ一発芸なんて!」

蘭子「何か秘密を喋らせるのはどうかな?例えば恋バナとか」

紗南「王様ゲームだから嫌とかルール違反じゃ」

麗奈「蘭子!ダメよ!変な命令なら許さないわ!」

蘭子「ふぇぇ……」

光「こら麗奈!蘭子をいじめるな!」

蘭子「うぅ……(´;ω;`)」

紗南(15cmぐらい身長低い子の後ろに隠れてる……)

ぁぁぁぁ…アイプロが……終わっちゃった……レイナサマ可愛かった……

飛鳥「しかし、恋バナという単語が蘭子から出てくるなんてね……」

蘭子「うぅ……」

光「うん。アタシも恋し……恋……恋なんたらみたいなこと言うかと思ってた」

麗奈「アンタの語彙力なんなの」

光「くっ……まだまだ修行が足りない……!」

麗奈「……なんの?」

紗南「恋バナか……」

麗奈「……」

光「……」

蘭子「……」

飛鳥「……」


紗南「……」



紗南(一体このメンバーの誰にそんな浮いた話が存在しようか……)



飛鳥「……こういう場合割り箸に振られた番号を指定してその相手に話させるのがセオリーじゃないのかな?」

紗南(興味あるの!?恋バナ!?このメンツでも続けるの!?)

蘭子「な……なるほど……!」

蘭子(お……大人っぽい感じだと思ってつい恋の話なんて言っちゃったけど……!)ドキドキ


蘭子「お……オホン!……で、では魔王の御名において命じよう!」

全員「!!」

蘭子「クックック……では「3」の数字に選ばれし者よ!我等が前で秘めされし過去を晒すがよい!!」

バーン!

全員「……!3番……!?」



光「……」

飛鳥「……」

紗南「……」

麗奈「……」








光「あ、3番アタシだ」


「「「!?」」」
 

麗奈「え……光が!?アンタが3番なの!?」

光「うん。アタシ3番だな」

飛鳥「まさか一番この話題と縁のなさそうなキミが選ばれるなんて……」

紗南「光ちゃんの恋バナなんて聞いたらPさん全身から泡吹いて気絶しちゃうだろうなぁ……」

飛鳥「……ああ」

麗奈「……目に浮かぶわね」

紗南「でもまさか光ちゃんかー……」

蘭子「む……無理はせぬでもよいぞ……?」アワアワ

麗奈「大丈夫なの?恋バナできんの?つーかアンタそういう感情存在したり持ち合わせてんの?」

光「皆アタシのことなんだと思ってるんだ……?」


光「……っていうか、そこまで言うなら皆は何か恋バナとかあるのか?」


全員「」

光「」


全員「……」

光「……」


全員「(´・ω・`)」

光「(´・ω・`)」

光「……仕方がないな……アタシのとっておきの話をしようか……お父さんにもお母さんにも誰にも話したことのないとっておきの秘密の奴だ」

飛鳥「!」バッ

麗奈「えっ……!?」

紗南「え……あ、あるの?光ちゃん、恋バナあるの……!?」

蘭子「──っ!」ドキドキ


光「アレは……アタシがまだ小さい頃の話だった……」

麗奈「今も小さいでしょアンタは」

光「ち……ちっちゃくないぞ!140cmはある!!」

飛鳥「麗奈……今は少し静かにしてくれないか」

紗南「麗奈、ちょっと静かにして!」

蘭子「麗奈ちゃん……めっ!」

麗奈(……すごい怒られた……)



光「相手の人とは……話したことはないんだけど……アタシはその人の事をずっと見てて……だから勝手に色々知ってたんだ……」

飛鳥「……」ゴクッ
蘭子「……」ゴクッ
紗南「……」ゴクッ

麗奈(え…え……?う、嘘……ほ……ほんとに恋バナなの……!?)ドキドキ

光「相手の人は……すっごく背が高くて……とても大きい人だったんだ」

飛鳥「……」ドキドキ
蘭子「……」ドキドキ
紗南「……」ドキドキ
麗奈「……」ドキドキ

光「すごく背が高くて……ちょっと猫背だけどカッコよくて、力持ちで……」

飛鳥「……!」ドキドキ
蘭子「……!」ドキドキ
紗南「……!」ドキドキ
麗奈「……!」ドキドキ

光「それで、困ってる人を見過ごせない人でもあったんだ。他所から来た人だったけど……その場に困ってる人がいたらいっつも飛んできて、頑張って、怪我や痛い目に遭っても人助けをして……」

光「すごく……すごくカッコよかった……!!」

飛鳥「──!」ドキドキ
蘭子「──!」ドキドキ
紗南「──!」ドキドキ
麗奈「──!」ドキドキ

光「でも……とうとうある日、元々住んでた所に帰らなくちゃいけなくなって……帰っちゃったんだ。住んでた所に……」

飛鳥「……っ」
蘭子「……っ」
紗南「……っ」
麗奈「……っ!」

光「アタシはまだ子供で、なんにもわかってなかったけど……それでも……すっごくショックだったなぁ……」

飛鳥「……」
蘭子「……」
紗南「……」
麗奈「……」

光「……」

光「それで、この話はおしまい……かな……」フッ…


全員「……っ!」ドキドキ…



紗南「……!」

紗南「ハァーッ……!ドキドキしたー!……まさか光ちゃんにそんな話があったなんて……」

飛鳥「……っ」ドキドキ…

蘭子「うむ……うむ……輝きの友にもそのような甘く美しく、そして儚い記憶があったのだな……」

麗奈「……なんか、なんか面白くないわ……何かしらこの複雑な感じ……光の癖に……」

光「酷いな」

紗南「背高くて大きい人かーそれで人助けも好きって確かに子供の頃見てたらカッコいい!ってなっちゃうだろーなー」

蘭子「うむ……どのような相手だったのか、少し見てみたかった気もするわね……」


光「あ、見れるぞ。写真がある」

全員「!?」

光「まぁ写真っていうか……えーっと……あ、これだこれだ!」ゴソゴソ

全員「……!!」ドキドキ…

光「……まぁ、写真って言うか……」





ドンッ


ウル○ラマンのBlu-rayBOXの箱絵


光「写真というよりパッケージなんだけど」


全員「」


光「いやー小さい頃はお父さんの録画してくれた奴でしか見たことなかったんだけど……最終回は今見ても最後にウル○ラマンが去っていくシーンで涙腺が……」

光「……?」


光「どうしたんだ皆……?」

光「……どうしたんだ皆……全員ずっこけたみたいになってるぞ」

全員「……」


麗奈「……ずっこけてんのよ。リアルでずっこけたのは初めての経験よ……」

光「 アタシもリアルでずっこけてる人は初めて見たけど……」

麗奈「……ダメねアンタ。やっぱりダメよ」

光「えっ」

飛鳥「……キミに色恋の話を期待したボク達が間違っていたよ」

光「えっ!?」

紗南「違うんだよ光ちゃん……徹頭徹尾間違ってるんだよそれは……」

光「そうなのか……?」

蘭子「……ごめんね光ちゃん……私が変な命令しちゃったばっかりに……大人っぽいと思って少し考えなしだったよ……」

光「そんな標準語で謝られても……」

麗奈「やっぱりこのメンツでその手の話に持っていこうとしたのが間違いだったわ。そもそも誰よ王様ゲームやろうとかくだらないこと言い出したの」

光「麗奈だけど……」

麗奈「……」



麗奈「……いい?光。自分の失敗は出来るだけ他人のせいにするのも立派な悪の姿なのよ。覚えときなさい」

光「おお……なるほど……?」

紗南(……誤魔化したな)

麗奈「……」



麗奈「王様ゲームはやめましょう。大人っぽいを考えるなら別のやり方を見つければいいのよ」

飛鳥「……そうだね。このステージはまだボク達には早かったのかもしれない」

光「……なんかごめん」

紗南「もう気にしなくて良いと思うよ、どうせ他の皆もこのメンバーじゃセ○ィロスとかセ○ィロスになってたと思うし」

麗奈「いや誰よそれ。どんだけソイツに初恋奪われてる奴多いのよ」

光「大人っぽい……そうだな……確かに大人っぽくはなりたいな」

麗奈「へーアンタもそんなこと考えるの」

光「大人になれば背も伸びるだろうしバイクが似合うように……」

麗奈「そんなこったろうとは思ったわ」

紗南「光ちゃん身長まだ諦めてないんだね……」

光「あ……諦めないぞ!だってこのまんまじゃバイクに乗っても足もつかないし……っ」

麗奈「スクーターで良いじゃない」

光「す……スクーター……」

光「……スクーターに乗ってるヒーローって……どうなんだ?」

麗奈「……」
紗南「……」
蘭子「……」
飛鳥「……」

飛鳥「……まぁ……何か事件が起きたとして、現場には間に合わないだろうね……」

光「……」

光「麗奈、冷蔵庫の牛乳飲んでいい?」

麗奈「良いわよ。牛乳拭いた雑巾作ろうとして忘れてそのままのあるからそれ開けて」

紗南「何しようとしてんの……」

麗奈「大人っぽい夜更かしって他なんかないの?」

光「低脂肪乳だ」

麗奈「安いのよそっちの方が」

飛鳥(意外としっかりしてるのか……)

蘭子「大人っぽい……」ウーン…

光「背が伸びますよーに背が伸びますよーに」ゴクゴク

麗奈「つーかアンタら普段夜更かしとかどうしてんの?」

光「プハッ……撮り貯めした録画見てると遅くなっちゃってる時があるな」

麗奈「オタク!ほんとオタクね!」

紗南「徹夜でゲーム」

麗奈「こっちもオタクじゃない!なんなの!?」

蘭子「我がグリモワールに我が魔力を注ぎ写しとっているわ」

麗奈「最早意味がわからない!」

飛鳥「……そうだね……ボクは……」

麗奈「良いわよアンタは。どうせ漫画とか描いてんでしょ」

飛鳥「……」

蘭子「いや、我が友麗奈よ……その認識は誤りと言わざるをえんぞ……!」

麗奈「ごめん普通に喋ってくれる?」

蘭子「」ガーンッ

蘭子「この中で大人っぽいなら……飛鳥ちゃんが一番だと思う!」

飛鳥「……」

麗奈「え?」

紗南「飛鳥?」

光「あーなるほど。確かに。難しい言葉いっぱい使うしな」

紗南「基準が浅いよ光ちゃん……」

麗奈「飛鳥がぁ?」

紗南(本人目の前でこれもスゴいな……)

飛鳥「……」

飛鳥「……ボクが大人のように見えてるのなら、それがキミのセカイの中のボクなんだろう……」

飛鳥「だけど……それはあくまでキミのセカイに観測されたボク……ボク自身のセカイでは……結局は大人と子供の境界も、そしてボクという主観と客観の観測も」

光「飛鳥は夜更かししてる時何してるんだ?」

麗奈(悪意なくすっ飛ばしたわね)

飛鳥「……」

飛鳥「……あまり大したことはしていないさ。ラジオを聞いたり……古い歌をこうしてカセットプレイヤーで聞いたり……それだけだよ」


コトンッ (※レトロなカセットプレイヤー)


麗奈「おお……」

紗南「な……なんだろう……確かにこれ少しCOOLでカッコいいかも……」

蘭子(飛鳥ちゃんカッコいい……!)

光「なるほど……ラジオとカセットプレイヤー……大人っぽくてカッコいいな」


飛鳥「……」


光「そして褒められても特に興味の無さそうなCOOLな雰囲気……大人だな……!」

光「ラジオか……今何やってるんだろうな……」

紗南「ラジオなんてゲームの中でしか聞いたことないや」

蘭子「我も同じく……」

麗奈「なんか面白い番組とか今やってんの?」

飛鳥「ん……そうだね……この曜日と時間なら……いつもは洋楽専門のラジオなんかをよくつけてるね……」

光「おお!」

紗南「お……大人っぽい……!」

麗奈「くっ……やるわね飛鳥……!」

蘭子「流石我が友……!」


飛鳥「……」


光「洋楽のラジオか……」

紗南「……聞いてみる?」

麗奈「あんまり大きな音はダメよ。隣怖いから」

全員「……」シーン…


隣の部屋『……』


全員『……』シーッ

 
~~~♪~~~~♪♪


光「……」
紗南「……」
麗奈「……」
蘭子「……」
飛鳥「─」


~~♪~~~~♪


光「……」
紗南「……」
麗奈「……」
蘭子「……」


~~♪~~~~♪♪♪


四人(なんか……今すごく大人っぽい気がする……)


~~♪~~♪~~~♪♪
 

紗南(聞いたことのない国の言葉……歌……)

麗奈(知らない言葉……知らない歌……)

蘭子(でも不思議と聞き入ってしまう……なんだか不思議な感覚……)

光「飛鳥が洋楽のラジオを聞く理由……なんとなくわかった気がする……」

飛鳥「……フフ……そうか。こうしてセカイを誰かと共有する事は……ボクは魂を誰かに明け渡すことより、勇気が必要なことだと思ってる……その領域に、踏み込んでよかったかもしれない」フッ


~~♪♪♪~~♪♪


光「……」

光「……ところで飛鳥」

飛鳥「……ん?」

光「……この人たち……なんて言ってるんだ?」

飛鳥「……」


~~♪♪~~♪♪♪~~♪


飛鳥「……」

光「……」

飛鳥「……」

紗南「……」
麗奈「……」
蘭子「……」


~~♪♪♪~~♪(外国語)


飛鳥「……」

飛鳥「……」


飛鳥「……言葉がわからなくても、感じることはできる。歌にはそのチカラがあり……それを識るのではなく知っているのが……ボクたちアイドル……だろう?」

光「……!」
紗南「……!」
麗奈「……!」
蘭子「……!」

光「おお……!確かにその通りだ!飛鳥の言う通りだな!」

紗南「そうだね。言葉なんかわかんなくても感じることは出来る!洋ゲーやってる時とかたまにあるし!」

蘭子「うむ……我も見知らぬ言語の未だ知り得ぬ言の葉を真の意味を知らず用いる事がある」

麗奈「そうね……言葉がわかんないなんて些末なことだったわ。あとわかんないのアタシ一人じゃなくて良かった」

飛鳥「……」

飛鳥「言葉の意味を知ることは理解を深め真の輝きを見せることに繋がるんだろうけど……だがそれをしなくても通じるものはある……だろう?」

光「……そうだな。なんかそんな気がしてきた。何歌ってるのかわからないけど」

紗南「……うん。こうやって耳を傾けてるだけで感じることが出来るものもあるよね。何て言ってるのかわかんないけど」

蘭子「うむ。魂の共鳴……それさえあれば我等には他に何も要らないわ……何処の国の歌なのかわからないけど」

麗奈「やるわね飛鳥……アンタのこと少し大人って認めてやるわ!歌はなんの歌なのかわからないけど!」

飛鳥「フッ……なら今は何も考えずただ聞き入ろう……音の旋律……まだ見ぬセカイから奏でられる調べを……」


~~♪♪~~~♪♪~♪♪♪♪


全員『……』



──そのあと、アタシ達は歌が終わるまで……目をつぶって歌に聞き入った……


──正直何言ってんのかさっぱりだったけど……アタシ達は耳から入ってくるその不思議なリズムと感覚を楽しんだ……


──その日……アタシ達は少し大人になった気がした。


──一夏の、小さな小さな背伸びだった。








──あと関係ないけど後日聞いてた歌の特徴を事務所にいた夏樹さんや涼さんに話したらスゴい複雑そうな顔して『忘れろ』とだけ言われたのはちょっと気になった。

(語り:南条光)

飛鳥「……フッ……ボクらは今日、言語という境界線を越えた先の心の旋律を共有した……所謂『フツウ』とは少し違う、特別な経験だったけど……悪くはなかったんじゃないかと思うよ?」

麗奈「まぁね……中々有意義な時間の使い方だったわ。ちょっと大人っぽかった気がする」

蘭子「ええ……今宵の集い……こうして新たな見識が増えることによってまた一つ我も自らの世界を上の領域へと昇らせることができた気がするわ……!」

光「うん、そうだな……なんかこう、さっきのとか大人って感じがしたな……」

紗南「洋ゲーやってると少し大人っぽくなった感じがするけど、洋楽もなんかそんな感じがするね」

光「まぁ、何歌ってたのか正直アタシさっぱりだったけど……」

全員「……」

光「あ……でも大人な感じはしたけど悪とはあまり関係なかったかも」

飛鳥「……そこは、あれだよ。ボクらの第一目標は夜更かしという悪いことをするためのモノで……」

蘭子「う、うむ。その通り。我らはこの闇の帳の下りた世界が終焉を迎える時まで如何に時を終えるかが……その……えっと……」

光「なるほど……それもそうか……」

麗奈「良いのよ別に細かいことは。それにアレよ、大人になると自然と人って悪い部分が膨らむもんなのよ。早苗がそんな感じのこと言ってたわ」

光「えっ!?そうなのか!?」

麗奈「声がでかいわよ!隣に聞こえたらどうすんの!?(小声)」

シーン……


全員「……」ホッ

紗南「元警官が言うとなんかこう、重みがあるね」

飛鳥「ヒトが普段モラルと理性という仮面(ペルソナ)の下に隠している部分を見続けている訳だからね……」

光「……」

光「……そうか……確かに特撮もそんなこと言ってる作品もあったな……大人になるってことは悪に近づく事にも繋がりかねないのかもしれない……アタシも気を付けないと……」

麗奈「今悪に近づこうとしてんだけどね」

光「(゜ロ゜)」ハッ

紗南「……」

紗南「……あのさ、麗奈ちゃんも光ちゃんも両方いるしこの際だから聞いとこうかなって思ったんだけど」

光「……?」
麗奈「……?」

紗南「二人のいう「悪」って具体的になんなの……?」

光「?」
麗奈「?」

紗南「……いや、今更かなぁと思ったけど、ふと気になっちゃって……」

紗南「光ちゃんがヒーロー好きになった理由は一応聞いたけど悪いことを嫌がる以上ヒーローとの約束以外にも嫌って思う理由があったりするのかなって」

紗南「いや、普通はそりゃ悪いことはダメとかって教わるし育つんだけどね?わかってるけどさ」

飛鳥「……言われてみると片方は悪を拒絶し片方は悪そのものになりたがる……不思議な組み合わせだね」

光「そ……そうか?」

麗奈「そ……そうなのかしら……?」

蘭子「……ふむ……そうね。我が友達の考える悪とは何か、折角の今宵の機会、改めて話し合うのは良いかもしれないわ……!」

光「……」
麗奈「……」

光「悪、か……改めて言われると……うーん……やっぱり……うん」

飛鳥「……」



飛鳥「……ちなみに……ボクの考える悪とは……」

紗南「長い?」

飛鳥「え?」

紗南「長くなりそう?」

飛鳥「……」

紗南「1レスでまとまる?」

飛鳥「れ……れす……?」

???「読んだれすか~?」

飛鳥「……」

飛鳥「……後で良いです」

紗南「うん、ごめんね」

光「……さっき誰かいなかった?」

光「……悪とはなにか、か……難しいな。やっぱりこの時代、価値観がより複雑かつ多様化した現代において、何が正義で何が悪かを見極めそれを語るのは、簡単ではないと思うんだ」

紗南「!?」

蘭子「光ちゃんが難しい感じの話を……!?」

飛鳥「まさか、キミも普段は仮面(ペルソナ)を被って……!?」

麗奈「……。どうせそれ特撮番組の受け売りかなんかでしょ、多分」

光「……うん」

紗南「あ、なんだ……」ホッ
蘭子「びっくりした……」ホッ
飛鳥「ああ、驚いたよ……」ホッ

光「……皆アタシのことなんだと思ってるんだろう」

麗奈「……アンタ嘗められてんのよ。馬鹿だと思われてんの。年下とかにタメ口聞かれるタイプね」←年下

光「」ガーンッ

蘭子「わ、私そんなつもりじゃ…」アワアワ

光「くっ…!だが、麗奈の言ってることは悔しいが正直否定できない……!」

蘭子「……できないの?」

飛鳥「……まぁ、目の前に実例がいるからね」

※小関麗奈(13)、南条光(14)

紗南「……光ちゃんはほら、親しみやすいんだよ……多分……」

光「尻すぼみなのか……でもフォローありがとう紗南」ズーン…

光「……やっぱり背が低いから威厳が足りないのか……?」ウーン…

飛鳥「落ち込んでしまった……」
蘭子「ど、どうしよう……?」

麗奈「めんどくさいわね。でかくて威厳だらけの奴が正義振りかざしてたら恐いんだからアンタは今のままで良いのよ」

光「!!」

光「そうかな……?……そうかも……うん!そうだな!アタシはアタシだ!その通りだ!気にすることなんてなかった!」

麗奈「そうよくだらない」

光「ああ!ありがとう麗奈!」

飛鳥「立ち直ったね」

蘭子「良かった……光ちゃん……っ」

紗南「何今の落として上げる流れ……新しいツンデレなの……?」

紗南「で、麗奈の考える悪ってなんなの?」

麗奈「悪の女王のアタシにそれを聞くの!?良いわ!答えてあげる!」

紗南「ノリノリだね。そしてお隣にも気を付けてるんだね」

麗奈「怒られるの恐いし……違う!そうじゃない!
いい!?『悪』ってのはね、昔から自分のために手段を選ばず他人を蹴落としたり踏み台にしたり支配しようとする奴って決まってんの!それがワルなのよ!アタシはそれを究めるの!!」

蘭子「麗奈ちゃん……そんなのになりたいの?」

麗奈「ちょっ……素で返すんじゃないわよ!?堕天使目指してる奴に言われたくないわ!!」

麗奈「世の中他人の為だのなんだのと良い子ちゃん気取った連中もいるけどね!アタシから言わせたら馬鹿よそんな連中!」

紗南「目の前にそんな子いるけど……」

光「ああ!やっぱり人の役に立ちたいもんな!」

飛鳥「そしてそんな麗奈も今光の為にと特訓に付き合ったりしてくれてるよね」

光「麗奈すき!」ガバッ

麗奈「んぎゃぁっ!?違う!放せ!今は違う!流れ読め!」グイッ

光「ごめん」

麗奈「あのね、良い!?いくら綺麗事言ったってね!?他人の為にどれだけ頑張っても報われるとは限らないし得なんかしないのよ世の中!!ってか無駄なの!ダサいのよそういう、その、自己満足とか!!
だったら、悪いことしようがなんだろうが自分のために生きるのが一番に決まってるわ!」

麗奈「大体『正義が勝つ』って何よ!?馬鹿じゃないの!?勝った方が正義なのよ!悪い奴が勝てば悪い方が正義になるしフツーに考えてルール守ってる奴がルール破ってる奴に勝てるわけないわ!
なら手段を選ばず自分のことしかしない悪の方が良いじゃない!絶対良いわ!」

麗奈「“ワルの方がカッコいい!”とか“悪役の方が好き!”なんて単純な話よ!周りなんか気にせずどうなろうが自分のために自分のやりたいことやってる奴って羨ましいじゃない!あと周りがそんな悪に右往左往してる様も滑稽だしね!!つまらなくないの!!」

麗奈「それが『悪』よ!そしてアタシはそんなワルどもの頂点に立って世界を征服する悪の女王レイナサマになるのよ!!なりたいのよ!どう!?わかった!?」

全員「……」

麗奈「ゼェ…ゼェ…なんかすごく酸素を使ったわ……仕事でもこんなに沢山一度に喋ったことないかも……」

全員「……」シーン…

麗奈「……?」

全員「……」シーン…

麗奈「な……何よ?なんか言いなさいよ……」

全員「……」シーン…

麗奈「……ふ……フン!ひょっとして今更このレイナサマのワルっぷり恐れをなしたわけ?ずっと言ってんでしょ!アタシは生まれつき生粋の悪なのよ!ワルの中のワル、それがアタシで……」

紗南「……」
蘭子「……」
飛鳥「……」
光「……」

麗奈「……な……何よ……なんか言いなさいよ……」

全員「……」

麗奈「……」



麗奈「ひょ……ひょっとしてアタシのこと嫌いに──?」ボソッ

紗南「いや、ビックリしたね」

麗奈「!?」ビクッ

紗南「意外と考えてるんだね麗奈ちゃん」

麗奈「!? は……はぁっ!?どういう意味よ!?」

蘭子「うむ……まさか悪の女王がそのような思想の下で悪を為そうとしていたとは私も驚いたわ……!」

麗奈「どんな考えだと思ってたのよ!?」

飛鳥「いや、ボクも驚いたよ……てっきりキミは理由もなく悪いことに憧れてるだけだと思っていたからね……」

麗奈「大概失礼ねアンタも」

光「……」

麗奈「……な……何よ?」

光「……いや、麗奈の言ってた悪、そして今度の役について、ちょっと考えてさ」

麗奈「……?」

光「こうやって改めて振り返ると……悪っていうのはただ単純に悪いことをすることじゃないってアタシ思うんだ」

飛鳥「ほぅ……今度は光の悪についての論か……興味深いね。で、キミの考える悪とはなんなんだい?」

光「……そうだな……やっぱり麗奈が言ったのもその通りだとは思う。でも、アタシが考える悪っていうとやっぱり、自分のためだけとかではないと思うんだ。『悪』ってのはやっぱり、『誰かを踏みにじること』だと思う」

蘭子「……踏みにじる?」

光「うん」

光「正義って難しくてさ。正しいって思ってした事でも誰かを傷つけたりするかもしれないんだ」

紗南「まぁそうだね。ゲームとかでもよくそういうのは描かれるよ」

蘭子「うむ。書物にもそのような事が描かれていることはある」

飛鳥「古来から哲学者や倫理学を修める者達もきっと幾度も議論してきた事なんだろうね……」

麗奈(えっ……?コイツらひょっとしてアタシが思うより頭良い……?)

光「自分も悪になるかもしれないんだよ。正義って。昔から特撮とかでも言われてるけど、気を付けないといけないんだ」

飛鳥「善悪はコインの表と裏、簡単にひっくり返る事もある、と?」

光「うん。だから正義の味方は常に気を付けなきゃいけないって」

光「アタシにとっての悪は、どんな理由があっても誰かを踏みにじるのが『悪』、かな」

光「踏みにじられた人はずっと傷つくし哀しい思いをする。悪はやっぱりダメなんだ」

光「アタシの役も……すごく嫌な奴だ。自分のために色んなモノを盗んで、沢山の人を不幸にする。主人公もそのせいで大切な思い出を踏みにじられてるんだ」

紗南「悪い奴だね……」
麗奈「中々のワルだわ」
蘭子「良くないと思う……」
飛鳥「まさに悪だね」

光「うん」

光「そして……そういう悪を止めるのが、『正義』だと思うんだ」

蘭子「正義……?」

光「うん。やっつけるんじゃなく、止める。それが、アタシが思う正義。悪の話じゃなくなっちゃうけどね」

飛鳥「……だがその正義はキミがさっき言ったように、悪に容易に変わりえるものではないのかい?」

光「……」

飛鳥「誰かを踏みにじるのが悪だとして……それを止めること事態がそれを行う人間にとっては『自分の意思を踏みにじられる』行為に繋がる事態もある訳だ」

光「……うん。だから難しいんだ。それでも、止めないと沢山の人が大切なものを踏みにじられて哀しむから、迷ったり考えながらでも、誰かが止めなきゃいけないんだよ」

光「やっつけるんじゃなくて、止める。それがやっぱりアタシが思う正義なんだ」

光「……誰かが悪い気持ちや弱い気持ちに負けそうになった時……それを止めたり出来る、勇気をあげられるアイドルになりたい……」

光「それが、アタシが目指してるヒーローでアイドルなんだ……!」


蘭子「……!光ちゃん……っ!」

飛鳥「……光……!」

紗南「光ちゃん……光ちゃんも色々考えてるんだね……!」

麗奈「……ふん、まぁアンタがどうでもアタシは変わらないけどね!」


光「……ああ、アタシにも一緒だ!そこはずっと変わらない!」


紗南「……」

紗南「……まぁ光ちゃんがどうでも次にやる役はその正反対な存在な訳で」

光「うわぁぁぁぁぁぁっ!!そうだったぁぁぁぁぁっ!?」ウワァァァァッ

麗奈「忙しい奴ね」

飛鳥「折角さっきまでカッコよく決めてたのに」

蘭子「哀れなり我が友よ……」


光「うぅ……やっぱりどうすれば……このままアタシは悪になって良いのか……!?誰かを踏みにじる悪になんて……」



ガチャツ



光「?」
紗南「? 何今の音」
蘭子「えっ……」
飛鳥「……扉の音?」
麗奈「あっ……そういえば鍵開けっ放しに……」
















玄関の暗闇に白い首だけが浮かんでる





全員「!?!?!?」

お肌のために早く眠りたい

暗闇に白い美肌パックを付けた顔だけがぼうっと浮かんでる・川嶋瑞樹(28)「……」



全員「――……っ!!?」



光「……っ!」←声もでない
紗南「──……っ!!」←声もでない
麗奈「──っ!?」←声もでない
飛鳥「──……っ」←息が出来ない
蘭子「」←意識がない



川嶋瑞樹(28)「……」








「ええんやで」






全員「!?」ビクッ





「若いんやし」

「今そういうん」

「楽しんで」

「ええんやで?」





全員「……!?」

「……」


「せやけどな」




全員「」ビクッ




「これ以上」


「ウチの儀式を邪魔する言うんやったらな」


「おどれら」


「ワシの肌を踏みにじるいう」






「悪やぞ」





全員「……」


全員「……」



全員「すいませんでした」

光「あー……怖かった。いや、怖くないけどヒーローだし」

麗奈「……結構余裕ねアンタ」

紗南「いやー怖かったね。真っ黒の空間に白い顔だけ浮かんで……下手な和製ホラーゲームより怖かったや」

飛鳥「少し調子に乗りすぎたね……川島さんは早苗さんの部屋で今日は寝るそうだよ」

光「川島さん怒らせちゃったなぁ……酷いことをしてしまった……」


蘭子「……」プルプル


光「……蘭子がまだ回復してないな」

紗南「仕方ないよ、怖かったもんね」

飛鳥「あれは最早理性で制御できるものではない、本能的な恐怖さ」

麗奈「流石のアタシもヤバイ!って思ったもの。蘭子なら仕方ないわよ」

光「そうだな。ところで皆……」




蘭子「……」ギュー…
飛鳥「……」ギュー…
紗南「……」ギュー…
麗奈「……」ギュー…

光「……」



光「……いつまでアタシに抱きついてるんだ……?」

麗奈「……これはアレよ。まだビビってるとか、そういうんじゃないわよ。アンタが寒いと思ってこうしてるのよ」ギュー…

光「今もう夏だぞ……」

飛鳥「何を隠そう震えが止まらなくてね。何かにしがみついてないと安心できないんだよ」ギュー…

光「どうしたんだ飛鳥……キャラがおかしいぞ」

紗南「いやホントさっきしがみついた時からこう、指が離れなくなっちゃってさ……アハハ……あ、ヤバイまだ震えてる」ギュー…

光「まぁアタシは別に良いけど……」

蘭子「……ぁ」ボソッ

光「?」

蘭子「っjぢsgwyしjふyhしこすdkwそhうぃどどどあp2929919うfyぃ」

光「怖い怖い怖い怖い!?大丈夫か蘭子!?どうやって発音してるんだそれ!?」

蘭子「……マ"マ"ぁぁぁぁぁぁぁぁっ」ウワァァァァァンッ

ギュー… ギリギリ

光「ぐえっ……む、胸で顔が塞がって……く、苦しい……!」

麗奈「相当怖かったのね……気の毒に」ギュー…

飛鳥「怖かったろうね……もう大丈夫だよ蘭子」ギュー…

紗南「スゴいね光ちゃん。モテモテじゃん。絵面だけならハーレムだよ」ギュー…

光「あ……アタシはママじゃないぞ……」ギリギリ…

蘭子「うわぁぁぁぁんっパパァァァァァッ!!」ギューッ

光「ぐええええっ!?ぱ……パパではもっと無いぞ!?」

光「死ぬかと思った」

麗奈「大袈裟ね」

蘭子「……ヒック…うぅ……」クスン…グスン…

紗南「落ち着いた?」

蘭子「うん……ごめんなさい……」

光「そうか、良かったな!うん!」

光「……麗奈は胸ないな」

麗奈「なんで今それ言うのよ!?アタシはアンタらより年下よ!これからなのよ!!つーか比較対象(蘭子)おかしいでしょ!」

紗南「まぁまぁ。ほら、アタシ達はまだレベル上げの途中だからさ……」

飛鳥「この話はやめないかい」

光「でも胸なんかあってもアクションとかの邪魔になりそうだよな」

麗奈「なんかって何よ。あるに越したことないでしょアイドルなんだし」

「くっ」

飛鳥「この話はやめよう」

紗南「今誰かいなかった?」

光「……どうしたら蘭子みたいに大きくなれるんだろう」

蘭子「……?」キョトン

飛鳥「胸の話はもうやめよう」

光「身長の話だぞ」

飛鳥「あぁ、身長の話か」

麗奈「……身長……身長ね……確かに気になるわ」

紗南「……どうやったら伸びるんだろうね」

飛鳥「そうだね……ここにいるメンバーは比較的小柄な子が多い」

紗南「まぁ、うん。そうだね。アタシも背大きくないし」

光「食べ物が原因なのか……?蘭子の好きな食べ物ってなんだ?」

蘭子「ハンバーグ」

光「ハンバーグか!美味しいよな!」

蘭子「うん!」ニッコリ

麗奈「中学生の会話なのかしらこれ」

飛鳥「なるほど、ハンバーグを食べるのか……」ジーッ

蘭子「……?」

光「よし、ハンバーグか!覚えておこう!」

紗南「あとはほら、筋肉付けすぎると伸びないって聞くね」

光「えぇっ!?」ガーンッ

麗奈「筋トレし過ぎなんじゃないのアンタ」

光「で……でもヒーローだし……特訓しなきゃだし……」

麗奈「さっき抱きついてる時も思ったけどアンタ意外と身体しっかりしてるのね」

光「鍛えてるからな!」ビシィッ

飛鳥「そうだね……あとは夜ちゃんと睡眠を取るべき、とかもよく聞くね」

光「なるほど……睡眠か……」



※深夜



光「……」

飛鳥「……」
紗南「……」
蘭子「……」
麗奈「……」

光「おやすみ皆」モゾモゾ

麗奈「布団に潜るな!やると思った!!」ガシィッ

紗南「ダメだよ光ちゃん!光ちゃんの特訓の為の夜更かし(悪いこと)なんだよ!!」ガシィッ

光「話してくれ皆!身長180cmが……身長180cmが遠くへいってしまう!!」

紗南「思ったより理想高っ!?えっ40cm!?40cmも身長伸ばすつもりだったの!?14歳からどんだけのチャレンジなの!?」

蘭子「せ……折角ここまで頑張ったんだから最後までやろうよ!!」

光「うっ……っ!で……でも身長……身長175cmはやっぱり欲しいし……」

紗南「5cm妥協した……」

麗奈「遠くにいくも何も元々近くにないわよそんなもの!!えぇーい!布団から出なさいよ!!」

光「嫌だ!!このまま寝るんだ!そしてぐっすり眠ってニチアサの時間になっても寝てたら起こしてくれ!!」

麗奈「あれ!?意外と厚かましい!?何なのコイツ!ってかお母さんかアタシは!!起ーきーなーさーいー!!」ギリギリ

飛鳥「順調に悪の芽が育ってきてるね」

麗奈「言ってる場合か!このタイミングで育つな!えぇぇぇぇい起きなさいよ!起きろ!布団から出なさいワガママ娘が!!困らすんじゃないのぉぉぉ!!」ギリギリ

蘭子(お母さん?)

光「やだぁぁぁぁ……身長165……身長170cmがぁぁぁ……」

紗南「10cm妥協しようとして5cmに留めた……」

飛鳥「譲れないラインなのかな……」

麗奈「こいつ意地でも布団から出ない気ね……どんだけ身長への執着スゴいのよ……」

光「だってもう14歳なんだ!アタシには後がないんだ!」モゴモゴ

紗南「光ちゃん、正直それをやるのって4年くらい遅かったと思うんだ」

光「手遅れだって勝手に決めつけて、それをやらなかったらアタシはこの先ずっと後悔するかもしれない、そんなの絶対嫌だ!」モゴモゴ

紗南「うわヒーローっぽい!でもシチュエーションが極めて無駄だ!」

光「……アタシ背の順で一番前にしかなったことない」モゴモゴ

蘭子「で……でも!小さい方が可愛らしいとか、そういうのあると思う!小梅ちゃんとかちっちゃくて可愛いし……」

光「……」

光「……小梅ちゃんアタシより2cmも大きい……」モゴモゴ

全員「……」

光「……」モゴモゴ

光「……いつか千佳ちゃんにも抜かされちゃうのかな……」モゴモゴ

飛鳥「ミノムシから声が聞こえる……」

紗南「意外と根深いコンプレックスなんだね……」

麗奈「身長ぐらいで小さいやつね」

光「」グサッ

蘭子「光ちゃん!?」

麗奈「あっしまった」

紗南「トドメ刺した」

光「……」モゾモゾ

麗奈「拗ねないでよ……悪かったわよダブルイーミングで小さいとか言っちゃって……」

光「……」モゾ…

光「……」

光「……ダブルミーニング?」

麗奈「……そうとも言うわね」

紗南「二人って仲良いよね」

蘭子&飛鳥「……」ウンウン

光「……靴のサイズが全然変わらないんだ」

麗奈「良いじゃないの買い換えなくて良いし楽でしょ」

光「まぁ靴自体にはそんなに拘らないけど小学校からサイズが変わらないのってやっぱり気になる……」モゾモゾ

飛鳥「二人とも仮にも中学生女子ならもう少し拘りを持った方が……」

蘭子「うん……ファッションに靴は大事だと思うよ……」

紗南(ファッションの流れじゃ発言できないね)

光「でもアタシ服とか普段お母さん任せだし……」

麗奈&飛鳥&蘭子「えっ」

光「えっ」

紗南「ミノムシになっちゃった光ちゃんがほんとに眠る前に布団から出さないと」

飛鳥「やれやれ……ここにきて問題発生か……でもやらないとボクらはこの先に進めないからね……」

紗南「普通に本末転倒になるしね」

蘭子「うむ……なんとしても同胞を封印されし天岩戸より誘い出すのよ……!」

麗奈「おーきーなーさーいーーーっ!!」グイグイ

光「やだぁぁぁぁっ!やーなのぉぉぉぉぉっ!」グィーッ

麗奈「何可愛く嫌がってんのよ腹立つ!ここでビジュアルレッスンの成果出すな!つーかコイツの力強過ぎじゃないっ!?全っ然布団剥がれないんだけど!!」グイグイ

光「やぁぁぁぁだぁぁぁぁぁっ!!」グイーッ



紗南「……貴重な光ちゃんだね」

飛鳥「……二度と見られない気がするよ」

蘭子「うむ……しかし友もたまには秘められし自らを表に出すことが必要なこともあろう……」

飛鳥「そうだね……心のペルソナは誰しもが持つもの……時にはそれを外し自らをさらけ出すことは、蘭子の言う通り必要なことかもしれない」



光「う"ぅぅぅぅぅっ……やなのぉぉぉぉぉぉぉっ!!」グィーッ

麗奈「こ・ん・の・ンワガママ娘ェェェェェェッ!!」グイグィーッ

光「うああああ……やだなのぉぉぉぉぉぉぉ……っ」ググイーッ



紗南「……」

飛鳥「……」

蘭子「……」



紗南「……」

紗南「もうちょっと眺めてよっか」

麗奈「ゼェーッ ゼェーッ ……全っっっ然動かない!おかしいでしょ!なんなのよコイツ!動かざる子と山猿のごときじゃない!」

飛鳥「……動かざること山のごとし?」

麗奈「……そうだったかも」


光(ミノムシ)「……」


光「ガメラの構え」ボソッ

麗奈「蹴り入れてやろうかしらもう」

紗南「どうどう」

蘭子「光ちゃん、折角の特訓なんだしもうちょっと頑張ろ?」

光「……!」

光「……っ」モゾモゾ…

飛鳥「どうやら『折角自分のために集まってくれたのに……』という気持ちと『でも身長170cmが遠くに行ってしまう……』という2つの気持ちの狭間で迷ってるね」

麗奈「そんなになの?そんなに身長欲しいものなの?」

飛鳥「彼女も14歳だからね……色々ギリギリなのかもしれない」

光「……」

紗南「ゲームのキャラとかなら1~2年後が舞台の続編とかで皆背伸びてたりするんだけどねぇ」

麗奈「あったま来た!もうこっちにも考えがあるわよ!」

飛鳥「麗奈の考えか……嫌な予感しかしないな」

麗奈「本人の前で言うんじゃないわよ!見てなさい!ホラこれ!」

バン!←光の荷物

蘭子「む……?それは我が友の所有物では……」

麗奈「そうよ!お泊まり用に持ってきた光のカバンよ!」

光「……」ピクッ

麗奈「クックックックッ……さぁ!早くでないとカバン開けてアンタの荷物全部見ちゃうわよ!スマホ(事務所に持たされてるやつ)だって中身見ちゃうわよ!」

光「……」ピクッ

蘭子「そ……それは流石にやり過ぎでは……」

麗奈「うっさいわね!出てくりゃ見る必要なんかないのよ!さぁ!どうすんの!?」

光「……!」モゾモゾ

紗南「……」

紗南「……よくわかんないけど迷ってるのかなこれ」

麗奈「ほーらカバン開けちゃうわよ!何が入ってるのかしら~?」

光「……!」モゾ…

麗奈「クックックックッ……どんな恥ずかしいものが出てくるのかお楽しみねぇ……まずは……」

ゴソゴソ

麗奈「……?何これ」

ドンッ

※『レイナサマも出演!子供向け特撮魔法少女番組マジカルテットDVD(録画)全話分』

麗奈「」

紗南「あ、マジカルテットのDVDだ!」

麗奈「」

飛鳥「これは驚いたな……全話分ある」

麗奈「」

蘭子「おぉ……記憶の円盤の一枚一枚にそれぞれどの記憶(話数)が封じられているか記してあるのか……」

麗奈「」

紗南「手書きできるDVDなんだね」

光「……皆で観るかもって思って」ボソッ

麗奈「」

麗奈「ちょっ……アンタ何持ってきてんのよ!!」

飛鳥「確かにそうだね……こんなものを持ってくる必要はなかったんじゃないかな?」

麗奈「そうそうその通り……こんなものって何よ!?馬鹿にしてんじゃないわよ!!」

紗南(大好きなんだね麗奈ちゃん)

麗奈「何『大好きなんだね麗奈ちゃん』みたいな顔してんのよ!違う!違うから!」

光「……ダメだったか?」ヒョコッ

麗奈「首だけ出して!亀みたいに!」

飛鳥「ダメというより……ここは麗奈の部屋なんだから麗奈のデッキの中にきっと番組が入ってると思ったのさ。だから、ね」

光「あぁ、なるほど」

麗奈「録ってない!録ってないから!」

蘭子「……3倍?標準?」

麗奈「え?そりゃ標準に決まってるじゃない」

四人「……」 ニッコリ

麗奈「優しい笑顔で見るな!腹立つコイツら!」

麗奈「あああああっもう!ダメとか良いとかの話じゃない!わかるでしょ!
何が哀しくて自分の出演してる番組友達と一緒に観なきゃいけないのよ!!

光「……!!」

麗奈「恥ずかしいの!あたりまえでしょ!!」

四人「……」

麗奈「……?何よ」

光「……今麗奈アタシ達のこと友達だって!!」パァァァ…

紗南「麗奈ちゃんの口から……」ジーン…

飛鳥「……フフッ…まさかキミの口からそんな言葉が出るなんてね……」テレテレ

蘭子「我が友レイナ!我等の友情の契りは永遠ぞ!!」ビシィッ

麗奈「ぎゃあああああなんなの!?もうホントになんなのコイツら!なんでアタシが恥ずかしい思いしなきゃなんないのよ!!もぉぉぉぉぉ!!」

麗奈「ぅぅぅぅぅ……」プシュゥゥゥ…

紗南「真っ赤になってうずくまってる」

蘭子(可愛い)

飛鳥「少しからかい過ぎたね」

光「大丈夫か麗奈」

麗奈「やかましいわ!原因が心配してんじゃないわよ!」

光「でも悪は自分を棚上げするものだってさっき麗奈言ってたし……」

麗奈「あ、ホントだ。ちゃんと覚えてたのねアンタ。偉いじゃない」ナデナデ

光「ヘヘッ」テレテレ

麗奈「悪への道も順調に進んで……違う!おかしい!そうじゃない!!」

グイッ (※アホ毛)

光「いだっ!?」

麗奈「あっごめん」

麗奈「コイツに恥ずかしい思いさせる筈だったのよ!アタシが恥ずかしい思いしてどうすんの!!」

光「麗奈!友達を想うことは恥ずかしいことなんかじゃないぞ!!」

麗奈「五月蝿い!一々口に出すと恥ずかしくなるもんなの!アタシはそうなの!!」

麗奈「あったま来た!2回目よ!コイツの鞄の中身もっかい見てやるわ!」

麗奈「何が入って……ん?」

麗奈「……何これ」

光「……変身ベルトだ。これを腰につけてスイッt」

麗奈「こっちは?」

光「変身ブレスレットだぞ!これを空に掲げt」

麗奈「これは何なのよ」

光「変身ペンライトだ。これを空に掲げt」

麗奈「じゃあこれは?」

光「変身グラスアイだ。これを装着するt」

麗奈「ふーん、じゃあこれは?」

光「変身電動歯ブラシだ。歯を磨いてピカピカにしたあとこれを空に掲げt」

麗奈「変身ばっかりじゃない!?何これ!?どう反応したら良いの!?」

蘭子「スプーンが入ってる……」

飛鳥「ベルトも複数入ってるね」

紗南「わーオタクっぽい」

光「流石に全部は持ってこれなかったけどな……」フッ

麗奈「持って来なくて良いわよ別に!つか何!?これ持ってきてアンタはどうしたかったのよ!」

光「えっ……何って言われても……?」

蘭子「」フンスフンス

飛鳥「着けてみたのかい?似合うね蘭子」

麗奈「何着けて楽しんでんのよ!男子か!!」

紗南「でもオタクは取り合えず持ってきちゃうとかあるよね。わかるわかる」ゲーム機ドバー

麗奈「アンタもどっからそんなに出してんのよ!さっきはスルーしたけども!」



麗奈「……四国ってオタクか変なやつしかいないの?」

光「そんなことないぞ多分」

麗奈「……どうすんのよこの変身グッズ。どうしたかったのよ……」

光「……どうって言われても……」

光「……」


光「……変身?」

麗奈「……何に?」

光「5人集まってるし……戦隊?」

麗奈「……だったらせめて変身アイテム統一しなさいよ……」

紗南「そういう問題なの?」

光「麗奈は仕事で変身したからそんなことが言えるんだ!変身は羨ましくてカッコいいんだぞ!」

麗奈「いつまで引っ張るのよ魔法少女レイナサマ!?なんなの!?お気に入りなの!?そんなに羨ましかったの!?」

光「変身は羨ましいけど魔法少女は別にそんなでもないかなぁ」

麗奈「羨ましがりなさいよ!?魔女っ娘良いじゃない!?何が不満なのよ!?」

光「個人的には可愛いよりカッコいいの方が好き」

麗奈「布団にくるまってカッコ悪いやつが何言ってんのよ!?いつまでカメみたいな姿してんの!?早く人間に戻りなさいよ!」

紗南「カメ怪人に変身みたいな」

光「はっ!これはもしかして悪役っぽいのか……!?」

麗奈「その変身で満足なのアンタは」

飛鳥「光……ヒトは誰でも別の何かに変わりたいと……変身願望を抱くものだ。ただボクは変わる先は選んだ方が良いと思うよ」※変身グラス

蘭子「ええ……今の貴女は本当に貴女が変わりたかった姿なの……?」※変身ベルト

光「……っ!!」※イモムシ

麗奈「二人とも説得してくれてるみたいだけど完全に台無しだからね?」

飛鳥「キミはどうやら変身が好きなんだね……だがもう一度思い出して欲しい。キミが本当に今なりたいもの、本当になりたかったものを……」

蘭子「そして今の貴女の姿が本当にそれに、そこに辿り着くのに相応しい姿なのか……ちゃんと心で感じるのだ、我が友よ!」

光「……っ!!」ハッ

光「本当に……アタシがなりたかったもの……今のアタシがしてることが……本当にそこに繋がるか……!?」

光「……」


光「……しn」

麗奈「身長170cmとか言ったらぶっ飛ばすわよ」

光「……」

麗奈「……」

光「……」

光「……悪い奴のことを……少しでも知ること……!悪い奴に……なれること!」

麗奈「……」
紗南「……」
飛鳥「……」
蘭子「……」



麗奈「……そうだっけ?」

光「えっ」

紗南「多分そう?」

蘭子「夜更かししたりゲームしたり悪いことスゴくしちゃったね……」

飛鳥「そういえばそうだね。悪いことしまくりだね」

光「えっ……あれ?」

飛鳥「……今そこに至るのにこれは必要なのかい?とか言っちゃったけど……これひょっとしてボク達ってもう目的果たしてるんじゃないのか?」

光「えっ」

蘭子「夜更かししたり怒られたり悪いことは既にやり遂げているわ……」

光「あ……」

紗南「アタシ確かに『ちょっと悪いことしよう!よし!じゃあ夜更かしだ!』とは言ったけど、よく考えたら何も徹夜に拘る必要ないねコレ」

光「……」

麗奈「引きずり出して悪いこと続けるわよ!ってことばっか考えてたわね……」

麗奈「でも冷静に考えたらアタシ達も光も悪いこともうしちゃってて、なんやかんや光もそれ楽しんでたわよね?」

光「……えっと……」

飛鳥「……光は楽しくなかったのかい?」

光「えっ!?そんなことないぞ!皆と一緒に色々出来て楽しかったぞ!」

飛鳥「ふむ……なら、これってつまりキミは夜更かしという悪いことを既に楽しんだ、悪いことを楽しむ事が出来たという話になってるんじゃないか?」

光「!?」

紗南「なんか改めて目的ぱっと挙げるともう達成してるような気するよね」

光「えっ……と……」

蘭子「我らの目的は……既に果たされていたわけか……盲点だったわね……」

紗南「悪いこと知るために~知るために~ってしてたけど知ってるってかやってるじゃん!的な?」

飛鳥「ね。そうだね」

光「……」

飛鳥「改めて考えれば考えるほど光を起こす必要ってなくないかい」

光「……」

蘭子「私も……だって光ちゃんこうやって見たらもう目標果たしてる……」

光「……」

紗南「確かにゲームのクリア条件満たしてるならもう無理強いするのは余計なことかも」

光「……」

飛鳥「……このまま寝てもいいんじゃないか彼女は」

光「……!」

飛鳥「光は寝せて……ボク達はボク達で勝手に夜更かしして遊ぼう」

光「!!」

紗南「そうだね。やることやってんだし光ちゃんはもう寝ても良いんだよね……アタシ達はアタシ達で楽しめばいいし、やっぱりもう寝せてあげよう」

光「!!」ガーンッ

光「……!……!」

麗奈「……」

光「……麗奈……」チラッ

麗奈「……」



麗奈「無理強いして悪かったわね……グッスリそのまま寝なさい」

光「……!!」

麗奈「さぁ、そのまま亀のようにお眠り……ニチアサの時間になったらちゃんとしっかり起こしてあげるから……」

紗南「お母さん?」

光「……!……!」プルプル

麗奈「さーて、もういいでしょ。じゃあアタシ達はアタシ達で遊びましょうね」

紗南「じゃあ何やる?」

飛鳥「……そうだね、深夜のテレビ番組、何か点けてみないかい?」

蘭子「この時間のテレビ……!どんなのやってるんだろう……」

四人「……」チラッ


光「……」プルプル


四人「……」


((((思ったより効いてるな……))))




麗奈(わかりやすいやつね)

飛鳥(この数日で少しわかったことがある。彼女は意外と俗っぽく誘惑に弱い)

麗奈(どんなヒーローよ)

紗南(人間味があるんだよ)

飛鳥(さっきの蘭子の言葉がヒントだったね)

蘭子(日本神話でもある……無理矢理外にんじゃなく周りが楽しそうにしてたら勝手に出てくる話……!)

飛鳥(寝る寝ると言いつつ顔を出してこちらとコミュニケーションを取る意思を見せている……つまり充分彼女の興味と楽しみはこっちに向いてることに気付いたのさ)

蘭子(楽しかったって言質もさっき取れたもんね)

紗南(そこであえて引き離す方が効果あるんじゃ?って踏んだんだね!流石!)

麗奈(やるわねアンタ……ただの中二馬鹿じゃなかったのね)

飛鳥(……今のは酷くない?)

飛鳥(行こう!なるたけ楽しそうに振る舞って彼女の興味を引くんだ……!)


光(※イモムシ)「……!」モゾモゾ


麗奈「あー何しようかしらー?光が寝ちゃうし四人になっちゃうしなー(棒演技)」

飛鳥「折角変身アイテムがあるんだから戦隊ごっこでもするのはどうかなー(棒演技)」

光「!?」

飛鳥「あーでも四人だから戦隊ごっこは無理だなー(棒演技)」

飛鳥「……」チラッ


光「……」プルプルプルプル…


紗南(いける!いけるよ!もう一押しな気がする!)

蘭子「あ……あーなら何しよっかなー!た、楽しいこと何しよっかー!?(棒演技)」

麗奈「夜更かしといえばー美味しいお菓子よねー(棒演技)」

蘭子「えっ!?お菓子あるの!?」

麗奈「素で食いついた!?あ……あるわよ沢山お菓子、そこの下の扉の中」

紗南「えっ本当?わー美味しそー!!(素)」


光「」ピクピクピクッ


麗奈(反応した……意外と食いしん坊なのかしらコイツ)

飛鳥(夜食が欲しくなる時間だからね)

麗奈「わ……わー美味しー!このポテチすっごく美味しいわー!(棒演技)」

パリパリポリポリ

光「……」グーキュルルー

麗奈(わかりやすっ)



麗奈「飲み物取ってくるわ!あーお菓子に合うのは何かなー?牛乳かなー?」

光「……」ピクッ

紗南「ポッキーも美味しー!」

光「……!」

飛鳥「この時間のじゃがりこも最高だね」

光「……っ!」

蘭子「プリンもすっごく美味しい!」ニマー

麗奈「ん?ちょっと!冷蔵庫の中のプリンまでなくなってるんだけど!誰よアレ食べたの!?楽しみにしてた奴よ!」

蘭子「えっっ」ササッ

光「……」

飛鳥「美味しいなーこの時間のお菓子は!(棒演技)」

光「!!」ピクピクッ

紗南「普段は怒られるしダメだけど今は皆悪い子する為だから食べれちゃうなー!(棒演技)」

光「……」

麗奈「ねぇちょっと!誰よプリン食べたの!?」

飛鳥「まぁ悪い子とは関係なくこの時間は夜食が食べたくなるからなぁー(棒演技)」

麗奈「聞いてる!?誰かアタシのプリン知らないの!?」

飛鳥「あーお菓子美味しいなー(棒演技)」

モグモグポリポリ

麗奈「誰か盗った!?ねぇっ!?」

紗南「あープリングルスも美味しいなー!(棒演技)」

麗奈「今プリンって言った!?ねぇちょっと」


光「……」グゥゥゥキュルルゥゥゥゥゥゥ…


飛鳥「音でかっ」

紗南(わかりやすっ)

麗奈「ちょっと!アタシの……」

麗奈「アタシのプリン!!誰か食べたの!?」

光「……!……!」モゾモゾ

麗奈「迷ってる!思ったより迷ってるわコイツ!やっぱりちょいちょい俗っぽいわよコイツ!(小声)」

飛鳥「ヒーローといっても人間だからね……人は結局欲望には勝てないのさ……でもあと一押し……あと一押しだけ足りないね……!(小声)」ポリポリ

紗南(じゃがりこ一人で占領してる……)

麗奈「ねぇ、ところで誰かアタシのプリン」

蘭子「っ!」ゴクンッ

蘭子「あ……あの……あと少しで光ちゃんを、外に出せると思うから……何か考えよ!?(小声)」

ササッ←プリンの空カップ

麗奈「えっ!?うーんあと一押し……お菓子作戦……飲み物作戦……あと何がある?」

紗南「あっ、そうだ飲み物、皆ホットミルクでいい?アタシ人数分今から作ってくるよ」

麗奈「えっ?いいの?」

紗南「電子レンジじゃなくてキャンプの時みたいにヤカンでやろーっと!」

飛鳥「……!それはなんだか心惹かれる感じだね……」

蘭子(洋画みたい……!)

麗奈「ホットミルクはね、ハチミツ入れると美味しいって悠貴が言ってたわよ」

蘭子「美味なる誘惑……(美味しそう……)」

飛鳥「ハチミツなんてあるのかい?」

麗奈「あるわよ。悪戯用に木に塗って虫とか呼ぼうかなって。本物の虫怖いからやめたけど」

飛鳥「見切り発車過ぎるなキミは……」



光「……」グーキュルルー

光「……」グーキュルルー

光「……」グーキュルルー

光「グーキュルルー」グーキュルルー



麗奈「そこまで露骨で何故粘るのよ!?最後もう口で言ってんじゃないの!!」

飛鳥「身長は欲しいけど皆が盛り上がってて寂しいし無視されるのは嫌だしお腹空いたしでも今から欲望に負けるのは……みたいに葛藤してるのかな」

蘭子「甘味な誘惑を抗うことは我が魔力を持ってしても容易ではないわ……!恥じることなど何もない……!」バッ

ポイッ(※ゴミ籠にプリンの空カップ)

光「……」グーキュルルー

麗奈「粘るわね……ちょっと布団(イモムシ)の前にクッキー一枚置いてみよ」

コトン…

光(イモムシ)「……」

麗奈「……」
飛鳥「……」
蘭子「……」


にゅっ (※光の手)


ひょいっ(※クッキー)


シュッ


麗奈「クッキー取って引っ込んだ!?」

光(イモムシ)「……」モッモッモッ



麗奈「……多分食ってるのだけはわかるわ」

飛鳥「この調子でお菓子を出して手を出した所を掴んで引っ張り出すのはどうだろう?」

麗奈「アタシが言うのもなんだけどコイツ結構な馬鹿力よ……上手く出せるかしら」

蘭子「フッ……造作もないわ……我等は四人……対して相手は僅か一人……負ける要素がないわ……!」

紗南「それフラグ」

麗奈「あっ!戻ってきた!ホットミルク!飲むわ!」

飛鳥「ボクもいただこうかな」

蘭子「あ……私も……!」

紗南「はいはい順番ね。ハイ、光ちゃんのはここ置いとくね」

コトン (※ストロー付き)

光「……」

光「……アリガトウ」ボソッ

麗奈「いやアンタが起きてるのはわかってるから。小声の必要ないから」

光「……」

チュゾゾゾゾゾゾ… ←ストロー

麗奈「なにこれ……バレてないと思ってるの?プライドなの?」

飛鳥「こうなったら最後の手段だね」

麗奈「最後の手段?そんなのあるの?」

飛鳥「比奈さんに借りてきたDVDだよ。よくわからないが比奈さんの趣味の友人から布教用に貰い受けたものだそうだよ」

紗南「布教用……ガチなヤツだね」

蘭子「飛鳥ちゃんそんなの持ってきてたんだ……」

飛鳥「……」

飛鳥「……まぁ、折角行くなら何か皆と話の種になりそうなものを……って……」

飛鳥「……」

紗南「……飛鳥ちゃん……パジャマ汚して来るの迷ってたのに……そんなことまで……」

麗奈「結構可愛いわねコイツ……」

飛鳥「……」

飛鳥「……皆でDVD観てたら気になって顔ぐらい出すかもしれないだろう?DVD観てる内にそのままなぁなぁで布団から出てくる流れになれば狙い通りさ」

紗南「っていうかこれなんのDVD?」

飛鳥「えっ?……さぁ、『悪を学ぶならこれッスね!』って言ってた記憶だけど……」

麗奈「R指定の怖い奴かしら……」

蘭子「ぴぃっ!?」

飛鳥「いや……流石にそんなのは中学生には渡さないと思うけど……」

飛鳥「……」

飛鳥「渡さないよね?」

紗南「知らんよ」

飛鳥「とりあえず点けてみよう」ウィーーン パタンッ

蘭子「どんなDVDなのかな……」

紗南「悪を学ぶ……怖いのとか残酷な奴だったりして……」

麗奈「こういうのこそ光が見るべきなんじゃないかしら……」

紗南「……」チラッ

光(イモムシ)「……」ジー…

紗南「大丈夫大丈夫、めっちゃこっち気にしてる。ポ○モンのコ○ルーみたいになってる」

麗奈「引くに引けなくなってんのかしらね……」

蘭子「光ちゃん、じゃがりこ食べる?」

スッ ←じゃがりこ

光「……」

モゾコクンッ

にゅっ←光の手

ひょいっ

シュッ

光「……」ポリポリポリポリ

麗奈「……ひょっしてアイツあれ楽しくなってきてんのかしら」

紗南「あ、そろそろ始まるよ!悪を学ぶDVD!」

<ナンタラカンタラエンタテェイムェェェントゥ!!

麗奈「まぁ悪を学ぶって言ってもアタシは今さら学ぶ悪なんてないけどね!」

蘭子「おぉ……流石悪の女王麗奈……!」

飛鳥「まぁ、普段アレだけ悪に拘るキミか見れば大概の創作物の悪は既に見慣れたものなのだろう……」

紗南「でも悪っていっても色々だよね。ボス戦の前に回復してくれたりさ」

飛鳥「……それは果たして悪なのか?」

光「……」モゾモゾ


麗奈「……あ!始まったわよ!」







『とぅ!そこまでだ悪党ども!正義の戦士!ヒーローマン!!参☆上!!』

ババーン!

ヒィールォームワァァァンッ!


~~♪(※OP)



全員「「「!!!?!!?」」」

(ヒーローマンのテーマ)

~♪

ジャッジャカージャッジャッジャ…

ジャスティィィィィスッ!!(シャウト)




麗奈「……」
紗南「……」
飛鳥「……」
蘭子「……」



((((なんか始まった……))))



麗奈「……なにこれ。なんか始まったんだけど」

紗南「特撮だね。特撮ヒーローっぽいよ」

飛鳥「特撮に見えるね。休日朝とかにやってる子供が見るようの」

蘭子「うむ……我にもやはり同じように見えるが……」

麗奈「っていうかヒーローマンって……名前スゴいわね」

紗南「すごい自己主張。絶対に引かないヒーロー性に溢れてるね」

飛鳥「この番組を作ったスタッフはこの名前に何も思わなかったんだろうか」


『私の名はヒーローマン!悪は決して許さない!』


飛鳥「OPの最後に台詞、しかも今日日聞かない程にシンプルなものがきたね」


『そしてぼくはヒーローマンの相棒のジャスティスくんだ!』


麗奈「やっすいマスコットみたいなのいるんだけどなにこれ」

紗南「マスコットじゃないの……?ホラ、マスコットいればグッズ出せるしちびっこに人気出るし」

飛鳥「低年齢層へのあからさまなアピール……そして商業主義の汚い大人の意志がこれだけでもう垣間見えるね」

紗南「……っていうかOPのシャウトの『ジャスティィィィィスッ!!』ってやつ、これそのまんま見るならマスコットの名前無駄にシャウトしてるだけなんだけど」

麗奈「緊急の用があったんじゃないの?叫んで呼ばなきゃダメなぐらいの」

蘭子「緊急って……どんな?」

紗南「……トイレの紙がなかったとか?」

飛鳥「」ブフゥッ
蘭子「」ンフゥッ

麗奈「男子か!発想が!」

飛鳥「……」プルプル
蘭子「……」プルプル

紗南「ゴメン。今のは流石にアタシもないよねって思った」

麗奈「全く……ん?」


曇りなき眼でTVの画面を正座して視聴してる

南条光(14歳)


光「……」(※真剣)


全員「「うわぁっ!!?」」

紗南「出てきてた!あっさり!」

光「……」ジー…

飛鳥「しかも正座してる!真剣だ!」

光「……」ジー…

蘭子「曇りなき眼で……あの、えっと、映されし電子の箱を観てる!」

麗奈「蘭子!かなり無理ある!」

光「……」ポリポリモグモグ

蘭子「あっ!さっきのじゃがりこ食べてる!」

麗奈「なんなのコイツ!自由か!自由すぎるわ!!あんだけ何しても出てこなかったのにこんなあっさり……」


光「待って皆!静かに!!」ビシィッ!

全員「「!?」」



光「──本編が……始まる……!」



全員「「……」」






全員((あとでシバこう))

麗奈「特撮で釣れるのねコイツ……面白いぐらいに」

光「ヒーローマン……あの伝説の戦士のDVDが見れるなんて……それもこんなに高画質で!」

飛鳥「オタクのようなことを言い出したよ」

紗南「オタクなのは間違いないと思うけど」

光「すごい……ちゃんと当時のCMまで残ってて……感覚的にこのCMが終わったら次はもう本編だ!」

蘭子「完全に己の世界へと入り込んでいるようね……」

麗奈「オタクだとは思ってたけど思ったよりオタクでビックリしてるわ」

光「特別なんだ!ヒーローマンは!」

蘭子「特別……?」

光「うん!特撮ヒーローとしては名作と呼ばれながら当時の放送時間(平日の早朝)に恵まれず視聴率が望むほど奮わなくて更には番組スタッフとテレビ局、スポンサーの不和によって大幅な放送短縮を受け打ち切りになってしまった悲劇の名作なんだよ!!」

飛鳥「完全に曰く付きじゃないか」

光「しかも当時の契約のイザコザが酷かったらしくて映像ソフト化にも恵まれてないんだ」

蘭子「可哀想……」

光「おじいちゃんが録画してたVHSでしか観たことない……!」

麗奈「古そうとは思ってたけどそんな古い作品なのねコレ……」

蘭子「おじいちゃんも特撮ヒーロー好きなんだ……」

光「お父さんとお母さんも好きだよ」

麗奈「どんな一家よ……」

ヒーローマン『俺は善野正義(ぜんのまさよし)!スポーツが好きな普通の高校生だ!』


飛鳥「ヒーローになる為に生まれてきたような名前だね」

光「うん!カッコいいよな!」

蘭子(カッコいいんだ……)

紗南「光ちゃんの名前も充分ヒーローみたいだよ」

光「!?」

蘭子「うん。「ひかり」じゃなくて「ひかる」なのがちょっとヒーローっぽいと思う」

光「そ……そうか!そうかな~♪」テレテレ

麗奈「……コイツの素直さたまに心配になるわ」

紗南「まぁそこも光ちゃんの良いところだと思うし……」



<キキィィィ…ドォォォォンッッ

善野正義『うっ……やっちまった……まさかトラックに轢かれそうな子供を庇って代わりに死んじまうとは……』



飛鳥&紗南「「いきなり超展開!?」」

飛鳥「いきなり主人公が死んでしまったよ!?」

蘭子「始まってまだ2分経ってない……」

麗奈「しかもテンプレみたいな死因じゃない……」

紗南「えー……こっからどうすんの?」

光「フッフッフ……皆そう思うだろ?」ドヤァ

麗奈「……思ったより腹立つわねコイツのこのノリ」



ジャスティスくん『聞こえるかい……?聞こえるかい地球人の少年……』

善野正義『うっ……誰の声だ……?』

ジャスティスくん『ぼくはヒーロー星からこの星を救うためにやってきたジャスティスっていうんだ』

善野正義『ヒーロー星……ジャスティス……?スゲェ名前だな……』

ジャスティスくん『……君にだけは言われたくないなぁ』

善野正義『うるせぇ!オフクロ……の姉貴の旦那さんの親父さんにもらった大事な名前だ!ほっとけ!!』


麗奈「作中でツッコミ入れるんだ……」

紗南「ていうか名付け親遠っ」

ジャスティスくん『君の行動に僕は感動したよ……地球人に限らず口で何か言うのだけは立派でも咄嗟に身体が動く人は少ない……迷わず子供を助けた君のその心の美しさ……このまま死なせてしまうのは惜しい』

紗南「意外と毒がある……」

善野正義『……ふん……どうしようもねえよ……なっちまったもんは……それに、褒められても身体が勝手に動いただけで大層な理由があった訳でもないしな』

飛鳥「ヒーローの鑑だね彼は」

ジャスティスくん『ヒーローの鑑だね君は』

飛鳥「被った…なんかやだな」

ジャスティスくん『ねぇ、君は死にたくない?』

善野正義『……当たり前だろ。それに俺は今日……待ち合わせの約束があったんだ……』

ジャスティスくん『……待ち合わせ?』

善野正義『あぁ。隣の家に住んでる、ガキの頃からの幼馴染……愛沢友子って奴に今日は買い物に付き合わされる予定だったんだよ……』

ジャスティスくん『……』

善野正義『ちっ……アイツ……まだ待ってるだろうな……』

ジャスティスくん『……』

ジャスティスくん『ちっ……彼女持ちかよ』

善野正義『えっ』

飛鳥「えっ」
麗奈「えっ」
紗南「えっ」
蘭子「えっ」

ジャスティスくん『なんでもないよ☆』

紗南「何この番組……ちょいちょい黒くいくの?」

光「子供向けのイメージを脱却するために当時のスタッフが試行錯誤した名残が見えると評判なんだ」

麗奈「絶対これスタッフに独り身の人いたでしょ。マスコットに舌打ちさせたわよ」


ジャスティスくん『君がもし生きたいと願うなら……ぼくと一心同体になれば君は助かる事が出来るんだ!』

善野正義『なんだって……!?』


紗南「あぁ、そういう展開なんだ……」

光「王道だ!ワクワクするよな!」

麗奈「別に……」

光「えー?」

飛鳥「しかし胡散臭いね……最近の漫画やアニメだとこういうのはマッチポンプでマスコットが仕掛けていたとか実は裏があって利用されているだけとけがセオリーだよ」

光「……特撮でもあるな……アタシ最近のそういう流れ自体はちょっと複雑なところあるかも」

蘭子「でも……禁忌の契約や闇を抱えて深淵を進む者の姿はいつの時代も心揺さぶられるものよ……」

飛鳥「確かに……そういうセカイの暗部を映しながらそれに抗いエンディングまで進む主人公達の姿は……人を惹き付けるものがあるね……」

光「きっとどっちもどっちの良さがあるんだろうな!アタシはこういう昔ながらのも大好きだ!」

飛鳥「……」

麗奈「どうしたのよ?」

飛鳥「……いや、」

飛鳥(……まぶしいなって)

紗南「少しわかる」

飛鳥「頭の中読むのやめてくれないか」

善野正義『おーい!待たせた!』

愛沢友子『もー!遅いよ正義!』

ジャスティスくん『あれが友子ちゃん?へー可愛いね!』

善野正義『うるせえ!』

愛沢友子『なに?どうしたの?』

ジャスティスくん『僕の姿は君にしか見えないし声も聞こえないよ!』

善野正義『あ、そうだったな……なんでもない!悪いな!』


紗南「見えないんだ……ありがちだね」

光「こっちも王道だよな!自分にしか見えない不思議な仲間!」

飛鳥「こういうのいつも思うんだけど端から見たらかなり危ない人なんじゃないかな」

光「あぁ!だから隠さないとダメなんだ!変なやつだと思われちゃうからな!」

飛鳥「……そうか……いや、そうなんだけど……アレ?」


善野正義『これでも午前の部活終わって、全力で来たんだぜ!』

ジャスティスくん『車に轢かれながらね☆』

紗南「黒いなコイツ……」

愛沢友子『もう!じゃあ早く買い物行きましょ!彼氏へのプレゼント、一緒に選んでくれる約束でしょ?』

善野正義『おお!』


ジャスティスくん『ええっ!?』

飛鳥「えぇっ!?」
紗南「えぇっ!?」
麗奈「えぇっ!?」
蘭子「えぇっ!?」



ジャスティスくん『ま……正義の彼女じゃなかったの!?』


飛鳥「う……うん!ボクもてっきりそうかと……」

蘭子「私も……」

紗南「うん、アタシも思ってた……」

麗奈「幼馴染の女の彼氏へのプレゼント選ぶのに付き合うって良い奴だけどなんも思わなかったのかしら」

紗南「兄妹みたいな感覚なんじゃない?」

ジャスティスくん『幼馴染とはいえ彼氏へのプレゼント選びに付き合うなんて……兄妹みたいな関係なのかい?』

紗南「被った……」

麗奈「なんか嫌ね……」

善野正義『うるせー!ただの惚れた弱味だよ!』

ジャスティスくん『!!』



全員&ジャスティスくん(((まさよし……っ!!)))

紗南「なんなの正義くん……いい人過ぎるじゃん……」

麗奈「コイツこんなに良い奴なのに今のところ何一つ報われてないわよ……変なマスコットと一心同体になっただけで……」

飛鳥「いや、車に轢かれても生き返ったのは運が良いと言うべきなのか……?」

蘭子「正義くん……可哀想……」

光「自分が辛くても誰かのために頑張れる……正義は良い奴だな!」ウンウン

麗奈「良い奴だけど……なんなのコイツ……何この感覚……」

紗南「この短時間で正義くんの株鰻登りだよ……」


ジャスティスくん『略奪しようとは思わなかったのかい?』


紗南「ジャスティスくん株が上がるところがないよ……」


善野正義『アイツは昔から人を見る目があったからな……アイツが好きになった奴なら信用できるし……幸せそうなアイツを泣かせるのだけは勘弁なのさ』


全員&ジャスティスくん(((まさよし……っ!!)))

愛沢友子『今日はありがとう!1日付き合わせちゃってごめんね、助かっちゃった!』

善野正義『いや、別に。気にすんなよ!暇してたし!』


紗南「好きな女の子の恋人へのプレゼント選ぶのに1日付き合わされちゃった……」

麗奈「気の毒すぎるでしょコイツ……」


善野正義『良いよ。気にすんな!兄妹みたいなもんだろ俺ら』


飛鳥「この人辛すぎないか」

善野正義『このあと彼氏とデートだろ。さっさと行ってこいよ!』

飛鳥「この人辛すぎるだろう……」

蘭子「可哀想……」

光「くっ……!大切な人の前では辛い顔は見せない……正義!カッコいいぜ!」

麗奈「アンタは単純で良いわね……」


ジャスティスくん『君は反吐が出るほどお人よしなんだね』

紗南「このマスコット今なんて?」

善野正義『うるせえなぁ……皆が笑って幸せなのが1番だろ!これも立派な俺の幸せなの!』

ジャスティスくん『……まぁ、そういうところが素敵だと思って君と合体したからね。でも、皆の幸せっていうのは単純じゃないよ……何故なら……』


ドカァァァァァンッ


善野正義『!?』
ジャスティスくん『!?』

全員「「!!?」」

???『が~はっはっは!ようやく暴れる時が来たぜ!!俺達「秘密結社ダークシークレット」の力を世界に見せつけるのだ~!!』

警官「なんだお前達は!止まりなさい!」

???『あーん?日本の警察か……ふふっ馬鹿め!』

???『俺様はダークシークレットの改造怪人!全身銃器の「ガンボディ」様よ!!』



ワー!キャー!

ドカーン!ズガガガガッ!




紗南「あ、悪役だ」

飛鳥「またシンプルにストレートな悪役がきたね」

蘭子「怖そう……」

麗奈「へー……中々悪くないデザインね。やっぱり悪よ!悪の方がアタシは好みね!」

光「出たなガンボディ!コイツは一話の敵にして街を壊したり暴れたり……本当に悪い奴なんだ!」

飛鳥「悪役だからね」

警官『動くな!威嚇射撃じゃない!次は当てるぞ!!』


光『あっ!警官が……』ハラハラ

麗奈「アンタは先の展開知ってるんでしょーが」

紗南「拳銃だ。やめといた方がいいと思うけどなー」

蘭子「なんで?」キョトン

飛鳥「テンプレだからね。拳銃を撃っても怪人には効かず逆に怪人の強さの引き立て役になってしまう展開さ」

紗南「ゲームでも拳銃は威力低めだしねー」

麗奈「やれ!暴れなさい悪役!悪の力を見せつけるのよ!!」


ガンボディ『くっくっく……そんな玩具で俺達に刃向かう気か?』

警官「け……警告はしたぞ!」


パァンッ

カキンッ

ガンボディ『ふははははは!効かんなぁ!日本の警察官の装備なので俺が止められるものかぁ!』


飛鳥「ホラやっぱり」

光「くっ……ガンボディめ!なんて恐ろしい強さなんだ!!」

蘭子「ど……どうすればいいの……?」ハラハラ

紗南「良い視聴者だね蘭子ちゃん……」

麗奈「良いわよガンボディ!どうせヒーローが出たら殺られちゃうんだから今の内に暴れなさい!」

ガンボディ『いいデモンストレーションだ!全世界に我らの商品を売り込むために、そして最初に俺様に刃向かった見せしめに、食らうがいい!このガンボディの力を!』

ガシャシャンッ

警官「ひっ……」

ガンボディ『死ねぇ!!』


ズガガガガガガガッ


警官「ぎゃああああああっ──」ドドドドドッ

警官「──」

ドサァッ


蘭子「」

紗南「」

飛鳥「」

麗奈「」


ズガガガガガガガッ

ドカァァァァァンッ

ボゴォォォォォンッ

キャー!ワー!キャー!

「ビルが崩れるぞー!」

「人が……人が撃たれたー!?」

「いやぁぁぁぁぁぁっ!!」



ガンボディ『わははは!もっと泣き叫べ!全世界に中継したか!?これが秘密結社ダークシークレットの科学力だ!』

ガンボディ『世界中がこの力を欲しがるように、もっと商品のデモンストレーションをするぞ貴様ら!』

手下達『『シークレット!!』』※返事




蘭子「」パクパク

蘭子「お……お巡りさん……死んじゃった……?」

麗奈「や……やりすぎなんじゃ……」

飛鳥「……思ったよりガッツリ死ぬんだ……」

紗南「血……赤いんだね……いや、当たり前だけど……」

光「くそっ!悪め!なんて酷いことを……絶対に許さないぞっ!!」クッ…!

全員「「……」」



ガンボディ『グハハハハハ!捕まえた民間人どもはこれで全部か!?』


『た……助けてくれ!見逃してくれ!』

『いやぁぁ……』

『うわぁぁぁん!怖いよママぁぁぁぁぁぁっ!』

『どうしてこんなことに……』

『もうやだぁぁぁぁ……』


ガンボディ『喜べ!貴様らはこのダークシークレットが開発した特殊弾丸の実演販売の的に選ばれたのだ!さーて、どの弾丸からにしてやろうか……』



麗奈「……っ!もう!なんなのよコイツ!誰か早くなんとかしなさいよ!!」

紗南「最悪すぎるよコイツ!」

飛鳥「悪趣味にも程があるね……」

蘭子「誰か……早く誰か……!」ハラハラ

光「くっ……アタシに力があってここに飛び込めたら……っ!!」ギリッ…

麗奈「アタシだってマジカルガールレイナサマに変身できればこんなやつ……」

紗南「あっ!待って!捕まってる人達の中に友子ちゃんがいる!」

飛鳥「!?」

蘭子「ええっ!?」

ガンボディ『よーし小娘!まずはお前が商品実演販売の第一号だ!』

愛沢友子『ひっ……!』ビクッ!

飛鳥「あぁっ!?」

蘭子「ダメっ……!!」

ガンボディ『ふっふっふ……さーてどの弾丸にしてやろうか……』


ビシィッ!


ガンボディ『?』

ガンボディ『なんだ?……石ころ?誰だこの俺様に生意気な……』



友子の彼氏・良男(よしお)『俺の友子に手を出すな!逃げろ友子!おい化け物!こっちだ!』



愛沢友子『良男!?』

飛鳥「……誰?」

蘭子「多分恋人だよ!友子ちゃんのピンチを助けに来たんだよ!」

紗南「彼氏ほんとにいい人じゃん!」

光「この人はすごい勇気なんだ!」

麗奈「で……でもこっからどうすんのよ!!」

ビシィッ!

良男『こっちだ化け物!ついてきやがれ!』

ダッ

麗奈「そうよ!早く逃げないと……」



ガンボディ『ふっふっふ……実演販売の商品が決まったぞ……』

ガシャンッ

ガンボディ『この追尾爆発弾、ホーミングボム砲は相手がどんな複雑な地形に逃げても完璧に追跡して命中するまで止まらないのだ!』


愛沢友子『い……いや!やめて!』


ガンボディ『逃げろ逃げろ……!さて、そろそろか……死ね!!』

バシュッ

ボシュゥゥゥゥゥ……


愛沢友子『いやぁぁぁぁっ!!』

蘭子「……っ!ダメ!逃げて!!」

飛鳥「……っ!!」


ボシュゥゥゥゥゥ……



良男『ハァハァ……ん……?うわぁ……!?』


ボシュゥゥゥゥゥ……


良男『くっ……くそっ!』ダッ


麗奈「逃げなさいよ!早く!」

紗南「あぁっ!弾丸がビルとか瓦礫とか避けて……こんなのチートだよ!どうしようもないじゃん!!」




ジャスティスくん『つまりその時僕たちの追いかける敵が逃げ込んだのがこの星で、そいつが技術を与え力を増やし、この星を征服しようとしてる連中がいる!そいつらがぼくたちが戦わなきゃならない相手なんだ!』

善野正義『そんな奴等がなんだって日本に!』

ジャスティスくん『この国は周りを海で囲まれてる上に兵器の使用にはとても大きな制限がかかってる!それでいて一定レベルの武力も保持している先進国だ!怪人や兵器のテストやデモンストレーションには最適なのさ!』

善野正義『ふざけやがって……』


ドカァァァァァンッ


善野正義『爆発音……!?急がないと……』

ダッ

善野正義『……ん!?アレは……友子の彼氏!?』


良男『──……』



蘭子「……っ!!」

全員「「「よしおォォォォォォッ!!!」」」

善野正義『お……おい!しっかりしろ!どうした!?死ぬな!オイ!』

ジャスティスくん『正義……残念だけどこの傷ではもう……融合できるぼくのような存在もいない……この人はもう……』


蘭子「……っ」ガタガタ

飛鳥「そんな……良男が……!」

光「良男……っ!何回観ても辛いよ……辛すぎる……!クソッ!悪め!悪め……!」ギリッ

麗奈「……っ」


良男『うっ……誰だ……?目が……目が見えない……』

善野正義『おい死ぬな!お前が死んだら友子が哀しむ!』

良男『耳も聞こえ辛い……だ、誰かわからないけど……た……頼む……友子を……俺の大切な人を助けてくれ……!』

善野正義『!!』


紗南「良男……こんなになってまで……!」
飛鳥「良男……」
蘭子「良男さん……!」
麗奈「……馬鹿ね……!」
光「良男……良男も立派なヒーローだぞ……!」


良男『頼む……友子を……と……』

良男『』ガクッ…


全員「「「よしおォォォォォォッ!!?」」」



善野正義『……』

ゴゴゴゴゴゴゴ…

ジャスティスくん『……行こう、正義』

善野正義『あぁ……安心しろ』

スッ (良男の瞼を閉じてやる正義)


善野正義『友子は……お前の恋人は……俺が絶対に助けてみせる……!』

善野正義『……あとは任せろ!!』



全員「「「まさよしぃぃぃぃぃっ!!!!」」」


川島さんと反対側の隣の部屋

奥山沙織の部屋


奥山沙織「……う~ん……」ムニャムニャ

奥山沙織「……まざよしって誰だぁ……?」ムニャムニャ

ガンボディ『ふははははは!今度こそお前だ小娘!』

愛沢友子『いやぁ……いやぁぁぁぁ良男ぉぉぉぉ……っ』

ガンボディ『ふっふっふ……さて、貴様にはどんな弾丸が……』



『待てぇぇぇぇぇい!!』



ガンボディ『!?何者だ!!』



謎のスーツの男『貴様らの悪事見逃せん!この俺が……貴様らの相手だ!』


ガンボディ『……?なんだ?このコスプレ馬鹿は……!』

ガンボディ『あんな高いところに陣取って……馬鹿となんたらは高いところが好きとは良く言ったものだ!』



謎のスーツの男(善野正義)『……』


善野正義『なんで高いとこに昇るんだよ!目立つし的になるだろ!』

ジャスティスくん『注意を引き付けるんだ!そして狙われても周りの人に被害が及ばないし、全体も見逃せる!敵を一人残らず把握するんだ!』

善野正義『最もらしいこと言いやがって……!』

ジャスティスくん『さぁ!変身だ!』



謎のスーツの男『……』

ガンボディ『馬鹿なやつめ……撃て!』

手下達『『シークレット!!』』

ズガガガガガガガッ

謎のスーツの男『効かん!』ガギギギンッ

ガンボディ『馬鹿な!戦車も撃ち抜くわが社のシークレット弾が……!』

ガンボディ『貴様……貴様何者だ!一体……!』


謎のスーツの男『……俺は正義の戦士、そして貴様ら悪を討つためやってきた……』


愛沢友子『……?』

愛沢友子『この声……何処かで……』



ガンボディ『……!?』


ヒーローマン『俺は正義の味方!!ヒーローマンだ!!』


ドンッ!!


(続く)


~♪(ED)



光「……」
麗奈「……」
紗南「……」
飛鳥「……」
蘭子「……」


光「いやぁ~面白かった!な!皆!」


麗奈「……」


((((途中から真剣に見てしまった……!))))

飛鳥「なんか……よく特撮とかでツッコまれる所に触れてた気がする……」

紗南「うん……でもなんか、なんだろ……アタシ途中からツッコむどころか正座して見てたよ……」

麗奈「……はっ!アンタらまだまだね!こんな子供向け作品真剣に……」

蘭子「麗奈ちゃん正座してる……」

麗奈「こ……これは違うわよ!そうよ!たまたま正座してたの!」

飛鳥「にしても普通ここで切るかい?主人公の戦闘シーンをほぼ描かずに次回に持ち越すなんて第一話としては致命的だよ」

紗南「あーそうだよね。なんか物足りないっていうか……」

麗奈「マジカルテットの時スタッフが言ってたわ!初っぱなからのインパクトで視聴者の心を掴むのが大事だから戦闘シーンは大事だって……」

光「あっ!予告編だ!」

全員「「!!」」ザザッ


ジャスティスくん『次回のヒーローマンは!!』


『馬鹿なっ!このガンボディの攻撃が……貴様は一体……!』

『この拳は……愛する者を想って死んでいった男の拳だ!』

『パパは皆をまもる警察官でしょ!?なんで死ななきゃダメだったの!?』


『待って!……あなた……あなたの正体……もしかして……』


ジャスティスくん『来週もヒーローマンをよろしくね!』



麗奈「……」
飛鳥「……」
蘭子「……」
紗南「……」

光「……は~!予告編とかもカットされず最後まで入ってる!素晴らしいなこれは!!」ゴマンエツ

飛鳥「……ま、まぁなんだろうね。予告編で次回に関心を向けたいのはわかったよ」

蘭子「戦闘シーンちらっとだけどスゴかった……!」フンス

麗奈「……で、でもこれヤバくない?全何話か知らないけど4クール番組とかならそれ見てたら朝どころか昼まで余裕で越えちゃうわよ」

光「打ちきりだから全21話だぞ」

紗南「短っ!どんだけトラブルあったの……相当でしょそれ……」

光「CM飛ばせばそれなりに短くはなる」キリッ

麗奈「慣れてるわねコイツ……」

飛鳥「……」
蘭子「……」
紗南「……」

紗南「……どうする?」

飛鳥「……ま、まぁ……気にならない……なんて嘘をつくつもりはないよ」

麗奈「……でも折角皆で集まって夜更かしするのに特撮観て過ごすだけになるのは流石に……」

蘭子「……」

光「……実はアタシこれ最初の方、1クールしかちゃんと観れてないんだ」

全員「「「!!」」」

光「1クールでも話は綺麗にまとまってたけど……比奈さんが悪を学ぶのにこの作品が一番って言うなら……悪を学ぶためにも、続きがちゃんと観たい……!!」

光「皆が気が進まないって言うなら……皆が飽きるまでで良い!悪を学ぶため!色んな人の視点も欲しい!それまででいいから、一緒に見てくれ!」


飛鳥「……光」

麗奈「……まぁ、悪を学ぶためなら仕方ないわね」

紗南「……うん。理由があるなら仕方ないよ」

蘭子「うん、光ちゃんの勉強のためにも、観よう!」


光「皆……!皆!どうもありがとう!!」

光「アタシは良い仲間達を持った!!」ジーン…



紗南「……あ、じゃあ飲み物用意し直そう」
麗奈「お菓子まだあったわよね」
光「アタシじゃがりこ一本しか食べてない」
飛鳥「これ見たことないお菓子だ。貰っていいかい?」
蘭子「わ、私今のうちにおトイレ行ってくる……!」



比奈「皆今頃お泊まり会してるんスかねぇ……いやぁ、若いっていいっスねぇ……」

大西由里子「ユリユリ達だってまだまだ若いじぇ……それにお泊まり会ならこっちもしてるじゃん!」

比奈「……いやぁ、こっちはもう、なんていうか枯れちゃってるじゃないっスか……」

由里子「枯れてないから!腐ってるだけだからっ!まだセーフ……な筈……!」

比奈「……女二人揃って夜遅くまで同人誌読み漁るって……」

由里子「アンソロの2巻読み終わったじぇ」

比奈「あっ、次こっち貸して欲しいっス」

由里子「この人の描く表情マジヤバイですね」キリッ

比奈「わかるっス」キリッ

基本書きたいもの書いてるだけなのでゴチャゴチャしててすいません

あとヒーロー&ヒーローの「今年は光に満ちた素敵な年になる」っていうの、信じてますちひろさん。
死にたくないので寝ます
おやすみなさい

http://i.imgur.com/nBMaZuo.jpg

【悪を学ぶ……!それは悪がどんな感じなのか……自分の目で確かめる事である!】




怪人ドクダミン『ふははははは!このダムの水を全て怪人変化液に変えてやったのだ!お前が昨日まで仲良くしていた村人は全て怪人にしてやったわ!』

ジャスティスくん『なんてことを!?』

ヒーローマン『貴様……貴様ァァッ!絶対に許さん!』

ジャスティスくん『手足もいでぶち殺してやる!!』

光「クソぉっ!!悪めぇぇぇっ!!」

麗奈「なんでアンタまでキレてんのよ」

飛鳥「完全にTVの前の子供だね」

紗南「光ちゃんは純粋だなぁ」

蘭子「村人の人達いい人だったのに……」グスッ

紗南「こっちも純粋だった」

飛鳥「大丈夫さ。子供番組でえてしてこういう事態は大元の怪人を倒せば元に戻るんだよ」

怪人ドクダミン『ふははははは!ちなみに一度怪人になった人間は殺さねば元には戻せんぞ!!』


ヒーローマン&5人『「「悪めぇぇぇぇぇっ!!」」』

ヒーローマン『友子……友子!?どうしてこんなことを……!?』

友子『これで……良男の所へいける……』ガクッ

ヒーローマン『友子ォォォォ!?』

怪人ネクロマン『ふははははは馬鹿な女だ!この俺の霊魂を操る力で死んだ恋人にもう一度会わせてやったらあっさり言うことを聞いたわ!ヒーローマン!貴様の正体を確かに見たぞ!』

光「くっ……!許せない!死んだ人を想う心を弄ぶなんて……!」

飛鳥「しかしまさか一度助けたという繋がりだけで友子をスパイに使われるなんて……」

麗奈「まさかの展開と悲劇的な偶然だったわね……」

ヒーローマン『お前だけは……お前だけは絶対に許さん!』

ジャスティスくん『両目くり貫いて耳と繋げてやる!』

怪人ネクロマン『ふははははは!そんなにその女に会いたければそいつの魂でも呼んでやろうか?』

ヒーローマン&5人『「「悪めぇぇぇぇぇ!!」」』

怪人マスメディアン『ふはははははヒーローマン!貴様の正体がわかった以上強すぎる貴様と直接戦う必要などない!貴様と貴様の家族の情報をこのまま電波ジャックで全国に流すのだ!』

ジャスティスくん『野郎!電波ジャックで街頭TVだけじゃない!全国のTVにこれを流してるんだ!』

善野正義『くっ……!何をする気だアイツは!?』

光「くっ!何をする気なんだ悪め!?」

紗南「TVジャックだって」

飛鳥「もし現代でやるならネットジャックとかになるのかな」

怪人マスメディアン『哀れな一般市民ども!これが善野正義とその家族達の顔と住所だ!』

麗奈「えっ!?顔バレどころか全国バレしてんじゃない!?」

蘭子「展開が最終回だよ!?」

飛鳥「まだ数話残ってるのに!?」

怪人マスメディアン『明日の正午までに善野正義とその家族をお前たち一般市民の手で殺せ!さもなくば都心の病院全てに仕掛けた爆弾を起爆させる!!』

善野正義『な……なんだと!?』

怪人マスメディアン『ふふふ……貴様が護ってきた人間たちが今度はお前たちへの最も強力な敵となるのだ!!』

正義&5人『「「悪めぇぇぇぇぇぇぇ!!」」』

※防衛隊(中盤でできた正義の仲間)基地

隊員A『ダメです!このままではあのジャンボ旅客機はこの基地に突っ込んできます!!』

善野正義『くっ……あの旅客機には大勢の人が……隊長の奥さんと子供さんも乗ってるのに!?』

隊長『……!!』

※飛行機の中

隊長の娘『お母さん……怖いよぉ……』

隊長の妻『大丈夫……大丈夫よ……』


蘭子「……!!……!!」ハラハラ


怪人ハイジャッキュー『ふははははは!この旅客機には大量の新型爆弾を仕込んでおいた!基地にぶつかる前に客ごと撃ち落とすか基地をこのまま破壊されるか選ぶがいい!!』

隊長『うっ……うわぁぁぁぁぁぁっ!?』


善野正義&5人『悪めぇぇぇぇぇぇぇ!!』

ダークシークレット総帥『ふははははは!よくぞここまで我が幹部達を退けてやってきた!どうだったかね?君の死んだ想い人を改造して作った最期の怪人を倒した感想は!?』

5人「「悪めぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!」」

ヒーローマン『……貴様だけは……貴様らだけは今日ここで……必ず滅ぼす!!今まで悪の犠牲になった人達の為にも……!!』

光「そうだ!頑張れヒーローマン!!」
麗奈「そんな奴に絶対敗けんじゃないわよ!!」
蘭子「お願い……勝って……!!」
紗南「大丈夫だよ!ヒーローマンなら……!」
飛鳥「そうだ。今までだって彼はどんな逆境も引っくり返してきた……!!」

ダークシークレット総帥『愚かな!私に勝てるつもりだとはな……!!我がダークシークレットの最高傑作にして究極の商品である私の力、思い知るがいい!』

ジャスティス『黙れ抜け作!テメェをぶっ殺してアジの開きみたいにして壁に張り付けてやる!!いくぞヒーローマン!!』

ヒーローマン『あぁ!最後の……最後の決戦だぁぁぁぁ!!』

5人「「「頑張れぇぇぇぇぇっ!ヒーローマァァァン!!」」」




隣の部屋の奥山沙織「……」ムニャムニャ…

沙織「……ウーン…」

沙織「がんばれぇ……ヒーローマン……」ムニャ…


ダークシークレット総帥『馬鹿なぁぁぁぁァァッ!!?』


ドゴォォォォォォォォンッッッ


善野正義『ジャスティス……しっかりしろジャスティス……!』

ジャスティスくん『ドジっちゃった……でも……これで僕の目的も果たせた……良かったんだ……これで……』

善野正義『ジャスティス……お前の……お前のおかげで俺は……!この星は……!』

ジャスティスくん『はは……やめてよ正義……僕は僕がしたいことをしただけさ……』

善野正義『ジャスティス……!』

ジャスティスくん『正義……悪は……悪意は簡単に大勢を不幸にするんだ……君はそれをずっと見てきた……でももう君はそれに敗けないし呑まれない事も知ったよね……』ゴフッ

善野正義『あぁ……あぁ……!』

ジャスティスくん『正義……正義の心を忘れずにね……そして……いつまでも変わらず……真っ直ぐで……元気に……』

ガクッ…

善野正義『……!!』


善野正義『ジャスティス……』
光「ジャスティス……!」
麗奈「ジャスティス……」
紗南「ジャスティスくん……」
蘭子「ジャスティスくん……!」
飛鳥「ジャスティスくん……」



正義&5人『「「ジャスティィィィィィィス!!」」』

光「……」
麗奈「……」
紗南「……」
蘭子「……」グスッ
飛鳥「……」


光「終わってしまった……カッコ良かったヒーローマン……」

麗奈「思わず途中から応援してしまったわ……」

紗南「割りと最序盤から応援してたような気がするけど……」

蘭子「正義を貫く白き刃がごとき魂の輝き……どこまでも眩しきその有り様……我が魂にも届いたわ!!」グスッ

飛鳥「子供向け特撮だと侮ったね……悪と定義付けされた彼らの行い……想像以上に悪だったよ……」

紗南「悪かったね。悪すぎた気がするんだけど」

麗奈「悪はやっぱりラインをきっちり守らないとダメね。極悪よあれじゃ」

蘭子「だがあそこまで飛び抜けた悪はかえって邪なる魂がいかにして悲劇を呼び禁忌とされるかをまざまざと見せつけていたように思うわ……」

光「そうだな!やっぱり悪はダメだ!」

紗南「そうだね。なんで悪いことしちゃダメなのか……哀しむ人がたくさん出ちゃうのもそうだし……醜さや怖さがわかりやすく描かれてたと思うな」ウンウン

飛鳥「悪……人の心の闇や悪意……周りを省みず他者を平気で犠牲にする恐ろしさ……成長するにつれて忘れがちだった事を改めて観てる人に教えてくれたのかな……」

光「」ウンウン

紗南「いやー……ね?」

麗奈「そうね」

飛鳥「ウン」

蘭子「ええ」

光「あぁっ!」



光「やっぱり、悪いことは絶対にダメだな!!」



-完-




「……って」





麗奈「じゃないでしょぉぉぉぉっ!?」

バンッ

四人「「「っ!?」」」


麗奈「おかしい!アタシたち途中からおかしくなってた!違う!そうじゃない!学びたかったのはそこじゃなくて!!」

紗南「……」ハッ

光「どうしたんだ麗奈」

麗奈「どうもしてない!多分正しいのはこっち!違うの!目的見失ってたの!アタシ達何しようとしてたかアンタ覚えてる!?」

光「悪を学ぶ!!」ビシィ!

飛鳥「いやぁ……よく学べたね」

蘭子「ええ。悪の恐ろしさ、この心に刻んだわ」

麗奈「うん、合ってる。学んでる。でも違うの!!多分遠い!遠ざかってるの!!」

紗南「……そうだ……つい夢中になってたけど狙いはそこじゃないよ」

麗奈「そうなの!紗南!アンタだけよアタシの味方は!」

光「アタシも麗奈の味方だぞ!」

麗奈「あ……うん……ありがとう……でもフレンドリーファイアなのよアンタ」

麗奈「光、アンタ悪について今どう思う?」

光「改めて、絶対にダメだなぁと思いました」※正座

蘭子「」ウンウン

紗南「うん。改めちゃったんだね」

麗奈「1人増えてんだけど」

飛鳥「そうか……番組を観るのに夢中で気付かなかったが……アレを観たことで光の悪に対する認識がよりマイナス方面に向かってしまったかもしれないのか……!」

紗南「まさかTV番組1つでそんな……」

麗奈「光、今悪い台詞言えそう?」

光「任せろ!えっと……」

光「貴様ら全員ぶっつぶす!」ビシィ!

紗南「!?」

紗南「『ぶっ潰す』が『ぶっつぶす』に……!?」

麗奈「なんてことなの……」

光「ウーン……あんなに悪いものを見た後のせいなのかもしれない……?」

麗奈「あぁもう!全部あの番組が悪いのよ!折角ここまできてたのに!悪すぎるでしょ!なんなのよアレ!」

紗南「確かに悪かったね……」

蘭子「悪かったわ……」

麗奈「加減しなさいよ悪ぐらい!悪を加減できない悪はただの邪悪よ!そこより上はないわ!!ウチの光に変な影響与えないでよね!!」

光「……麗奈はアタシのお母さんかなにかなのか?」※年上

飛鳥「……」

グッ カチッ

飛鳥「?」

TVのリモコン

飛鳥「あっ……手で踏んじゃったのか」

パッ

蘭子「あっチャンネルが……」


『馬鹿な真似はやめろ!!』


光&麗奈「!?」


刑事『やめるんだ!故郷のお袋さんが泣いてるぞ!』


麗奈「……あぁ……ビックリした。よく深夜とかにやってるドラマの再放送ね」

紗南「なーんだ……ビックリしt……」

「……えっ」


5人「「「っ!!?」」」

刑事『馬鹿な真似はやめるんだ!!』

犯人『うるせぇ!このガキを殺すぞ!』


蘭子「……うそ……」

飛鳥「あぁ……なんてことだ……」

紗南「……!」

麗奈「……光……この人たち……」

光「……」

光「……うん」



刑事『それ以上罪を重ねるな!!』

ダークシークレット総帥の役者さん


犯人『黙れ黙れ!俺の犯罪計画はまだ終わってねぇんだ!!』

善野正義(ヒーローマン)の役者さん



光「……っ!!」

麗奈「……」

紗南「……すごい偶然だね」

蘭子「……」

飛鳥「……なんだろうねこの……複雑な感じは」

光「……」



刑事『これ以上悪事を重ねるのはやめろ!!』

犯人『黙れ黙れ!今まで何人もぶっ殺してきたんだ!こんなガキ1人、マジでぶっ殺すぞ!!』



光「……」

麗奈「……」

光「……」

飛鳥「……役者だね。顔も声も同じなのにどちらも同じ人とは思えないよ」

蘭子「うん……あんなにカッコ良かった人が……こんなになるなんて……」

紗南「……スゴいね本当に。……でも」

光「……」


光「悪って……」ボソッ


光「……悪って……どう表現したらいいんだ?」

麗奈「……」

光「……もし上手く出来るようになって……なったら……もしも上手く出来ても……」



光「今アタシが感じた不思議な気持ちを……心に何か覆い被さったみたいな嫌な気持ちを……アタシのファンの人達も感じちゃうのかな……?」

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