安部菜々「キャプテン・ウサミン ――ザ・ファースト・あべンジャー――」 (100)

映画「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」とのクロスというかパロです。

かなりむちゃくちゃで無理やりな設定です。


いくつか注意点として

アイドルと同名の人物が登場していますが、「アイドルマスターシンデレラガールズ」に登場している同名のアイドルとは別人です。

便宜上Pと名付けた人物が登場していますが、これは「プロデューサー」を指すものではありません。

元にした映画では舞台が二次大戦中の物のため、戦争に関する話が出てきます。

また、元にした映画ではアメリカ側の話のため、ここでは日本側に無理やり変更しています。そのため無理が生じています。

以前、私が書いたものに比べ、二倍近い長さになっています。

そのため、今日中に投稿が終わらない可能性があります。

以上の注意点に不快感を感じない方のみお願います。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1440030051

現代 池袋ラボ 地下空洞内

晶葉「まったく……、何故今まで事務所の地下にこんな大空洞があることに誰も気付かなかったんだ」

志希「ん~? 仕方ないんじゃない~? この事務所って昔は別の施設だったのを買い取ったって話だし~」

晶葉「そうは言っても普通は下調べくらいするだろう……。それに、当時の売買記録が存在していないとはどういうことだ!」

志希「にゃはは~。実はやばいとこから買ってたりして?」

晶葉「あのちひろさんのことだから安ければそれもありうるな……っとここが例の場所か」

志希「クンカクンカ。ん~別になんの匂いもしないよー?」

晶葉「志希……犬じゃないんだから匂いでなんでも特定しようとするんじゃない」

志希「でもあたしおばあちゃんと同じギフテッドだし~♪」

晶葉「まぁ、あの一ノ瀬博士の孫ならそうだろうな」

志希「またまた~。晶葉ちゃんだって“あの”池袋博士の孫なんだから同じでしょ~」

晶葉「……確かに祖母は高名な科学者であったが、私は私だ。関係ない」

志希「ねーねーそんなことよりここ寒くない?」

晶葉「そんなことって……志希から話を振ってきたんじゃないか」

志希「先生! 志希は興味が3分間しか持続しない子です! 待ち時間ツラい!」

晶葉「志希に言うだけ無駄か……。しかし、たしかに寒いな。今は真夏だぞ」

志希「この中なら冷蔵庫いらずで便利だねー♪」

晶葉「確かにな。私のラボの真下にあるし、食糧を備蓄しておくのは良いアイデアだ」

志希「でしょでしょ~? 晶葉ちゃんもあたしと同じで研究に没頭すると上に来ないもんねー♪」

晶葉「食事の時間がもったいないからな」ガンッ

晶葉「む? 何か蹴ったな」

志希「にゃは! なになに?」

晶葉「これは……映像に映ってた盾だな。ということは例の人型の何かもここら辺にあるぞ」

志希「んー? でもどこにもないよー?」

晶葉「そんなはずはないんだがな……。む? それは何の匂いを嗅いでるんだ?」

志希「ハスハス~♪ これ? なんかそこに落ちてた氷塊だねー♪」

晶葉「氷塊って……ここはそんなに寒いのか。不思議なものだな」

志希「にゃは?」

晶葉「どうした?」

志希「晶葉ちゃん、晶葉ちゃん。これって人っぽくない?」

晶葉「なんだと? そんなところに人が居るわけないだ……人、だな……」

志希「人……だね」

晶葉、志希「「……」」

晶葉「って! 人だと!? まずいぞ! 救急車! 救急車を呼べ!!」

志希「アイアイサー! 119番って何番?」

晶葉「ええぃ! 119は119だ! それと助手にも連絡を!」

志希「1,1,9っと……。あ、もっし~?」

晶葉「なんなんだこれは……」



1942年 日本 千葉 某所

菜々「日本はどうなってしまうのでしょうか……」

菜々「ナナにもなにかお手伝いできることがあるはず!」

菜々「よーしっ! ナナ、がんばっちゃいまーす!」



日本軍 支所 付近

菜々「……」トボトボ

菜々「子供に出来ることはないって……。ナナはもう十七歳なのに!」

菜々「周りの子はみんな兵隊さんに取られちゃって人不足って聞いたから来たのにあんまりです!」プンスカ

菜々「ナナだって見た目はこんなかもしれないんですが、やるときはやるんですよー!!!」

菜々「でも……菜々は出来ることなら世界中のみんなを元気づけれるような存在になりたいですね……」

菜々「夢は歌って踊れる芸者さん! 夢と希望を両耳に引っ提げ、ナナ頑張っちゃいますよ~!!」

菜々「フフフン、フフフン、フ~フフン♪」テクテク

菜々「……はぁ……。同い年の子達は今頃海の向こうで戦っているんでしょうか……」

菜々「どうしてナナはみんなと一緒に行けなかったのかな……」

??「ふむ。あの娘ならもしかするかもしかするかもね~」

??「ねーねーキミキミ」

菜々「はい? ナナですか?」

??「そーそー。ちょっとこの手ぬぐいの香りを嗅いでみて? ね?」

菜々「はぁ……。いいですけど……」

菜々(なんだろうこの人。すごく怪しい……)スンスン

菜々「はれ……?」

菜々(目が……目が回る……)バタンッ

??「にゃーっはっは。成功成功。さてさて、どうやって運ぼうかな~♪」

??「あ、おーい。池袋博士―。ちょっと手伝ってー♪」

池袋博士「む? 一ノ瀬博士じゃないか。私に何を手伝って欲しいんだ?」

一ノ瀬博士「ちょっとこの娘をあたしの研究室にねー」

池袋博士「ふむ、私の機械の出番というわけだな。来い! 兎ちゃん人形!」パチンッ

一ノ瀬博士「とりあえず運んだら縛っちゃおうかにゃー」



一ノ瀬研究室内

菜々「はっ……!!」

菜々「こ、ここは一体……!」グッグッ

菜々「な! 体が縛られてる……! そんな……!」

菜々(もしかしたらナナは鬼畜米英に捕まってあれやこれやされちゃうんじゃ……)

菜々「おとーさん、おかーさんごめんなさい……ナナはナナは志半ばに倒れてしまいます……。先立つ不幸をお許し下さい……」シクシク

一ノ瀬博士「あれー? もう起きてる? なんでだろ。効いてないのかなー」バサッ

菜々「あ! あなたはさっきの!」

一ノ瀬博士「いやーさっきはごめんごめん。ちょっとあたしに協力して欲しくってさー」

菜々「協力って……こんな拉致同然の事して信じられませんよ!」

一ノ瀬博士「んー? そんな反抗的な態度でいいのかなー?」

菜々「はっ……! そうでした! ナナは今動けないんでした!」

一ノ瀬博士「協力してくれない悪い娘は……こうだっ」クンカクンカ

菜々「ちょ! ちょっと待って! 何! 何をしてるんですか!?」

一ノ瀬博士「匂い偏愛家なんだよね~ハスハス」

菜々「やめてください~! ごめんなさい~!!」

一ノ瀬博士「むふー、じゃああたしに協力してくれるかなー?」

菜々「いいともー!! はっ! このやり取り、いつか流行る気がします!」

一ノ瀬博士「キミは一体何を言ってるのかなー?」

菜々「いえ! なんでもありません!」

菜々「それよりもこれほどいてくれませんか? 逃げないので」

一ノ瀬博士「はいはーい」カチャカチャ

菜々「あれ……あっさりですね。本当に逃げたらどうするんです?」

一ノ瀬博士「だって逃げたところで兎ちゃん人形の餌食だからねー。下手すりゃ八つ裂きだよ♪」

菜々(兎ちゃん人形!? なんて可愛らしい呼び名から残虐な行為が!)

菜々「し、仕方ありません。で、ナナは何をすれば良いんですか?」

一ノ瀬博士「……キミは今の日本のため何か出来るんじゃないかと自分自身を見つめ直していた。違うかね?」シンケン

菜々(雰囲気が急に……!)

菜々「は、はい! 同い年の子達はみんなお国のために働いているのに、何も出来ないナナが不甲斐なくて……」

一ノ瀬博士「あり? 本当にそうだったの?」ケラケラ

菜々「え?」

一ノ瀬博士「いやー。なら話は早いね! とりあえずこのお薬使ってみない? 気持ち良くなれるよー」

菜々「ナナの事わかって言ったんじゃないんですか!? それに気持ち良くなれるって何か危険なお薬ですよね!? それ!?」

一ノ瀬博士「にゃーっはっは。大丈夫だいじょーぶ、だーいじょーぶ。あたし謹製のお薬だから安全!」

菜々「余計に不安ですよ!?」

一ノ瀬博士「まあまあとりあえず、一本きめとこうよー」

菜々「いやー!! だれかー!! たすけてー!!」

一ノ瀬博士「あーそんなに叫ぶと……」

池袋博士「なんだ! 何があった! 何があったか分からんが兎ちゃん人形出撃!」

兎ちゃん人形『ガガ、ピーガガガ』ガシャンガシャン

菜々「ぎゃー! なんか愛くるしい見た目なのに動きがぎこちなくて気持ち悪いのきたー!」ナミダメ

池袋博士「気持ち悪いとはなんだ! この私の作品だぞ!」プンスカ

一ノ瀬博士「いやー、でも実際動きが悪いよねー。これ」ペシペシ

池袋博士「叩くな!」

池袋博士「まぁ……。その通りだな。どうしても小型化したせいで部品を削る羽目になってな」

菜々(……ナナ、電波がビビッときました。今が脱出の好機ですね!)ソローリソローリ

池袋博士「で、だ……」

池袋博士「どちらへ行くのだ?」チャキッ

菜々(ヒィっ! 目、目の間に日本刀が……!)

菜々「い、いやー……ちょっとお花を摘みに……?」

池袋博士「見え透いた嘘だな……ん? どっかで見た顔だな?」

菜々「え……? あーっ! 東京の池袋先生じゃないですか!」

菜々「ナナですよ! 安部菜々です! 初等学校で先生の授業を受けた!」

菜々「どうして千葉に? また指導に来られたんですか?」

一ノ瀬博士「にゃは? 知り合い?」

池袋博士「ああ、私の教え子……まぁ正確には違うが、教え子の一人だ」

菜々「池袋先生は千葉の初等学校に先生として一時期指導に来てくれてたんですよ!」

菜々「わー。懐かしいですねぇ! あの時先生は二十歳かそこらでしたよね!」

池袋博士「五年前だから21だな。そうか、もう五年も経つのか」

菜々「あの時の授業、良く覚えてますよー! 先生の『戦争は兵器で戦う。しかし勝利に導くのは人である。そのためにも私は人が死なないために科学を駆使する』って言葉は何故か12歳だったナナの心に響いたんですっ!」

池袋博士「……だが実際の私は何もできないままだよ」

菜々「そ、そんなことは……!」

池袋博士「事実だ。私の理想は戦争で誰も死なないことだ。だが、実際は多くの兵士が死んでいる。その多くは私や君とさして歳の変わらない若者ばかりだ」

菜々「……」

一ノ瀬博士「だから!」

菜々、池袋博士「「!?」」ビクッ

一ノ瀬博士「だからあたしの研究があるんだよ♪」

一ノ瀬博士「あたしの終着点は史上最強の軍隊! これさえあればどこも攻めてこれないってくらい強いの!」

一ノ瀬博士「だけど、軍隊を強化するのはひとりひとり」

一ノ瀬博士「その栄えある第1号にキミが選ばれたんだ!」

菜々「ナナが……ですか……?」

一ノ瀬博士「そのとーり! キミが強化兵士第1号だよ!」

菜々「ナナは……」

菜々「ナナは誰も殺したくありません……。でも! 悪党は嫌いです!」

一ノ瀬博士「にゃははっ! 良い答えだねー」

一ノ瀬博士「じゃあ、改めて。安部菜々さん。あたしに協力してくれますか?」

菜々「……はい!!」



日本軍 特殊部隊戦略科学予備軍駐屯基地

一ノ瀬博士「諸君っ! ちゅーもーくっ!」

兵士達及び菜々「「「「「「「「はい!」」」」」」」

一ノ瀬博士「うむうむ、ではキミ頼むよ!

??「お初にお目にかかります。 この部隊の訓練を任された特殊工作員のPです」

兵士A「おい、女だぜ」

兵士B「主任も女だし、最近入ったガキも女だ」

兵士C「女なんか役に立たねぇのによぉ」

菜々(むむ……)

P「そこの。君。前へ」

兵士C「何か御用ですか? お姫様」ヘラヘラ

P「ふむ。なかなか鍛えてるわね」

兵士C「特技は柔道です。何より寝技が得意です。お試しになられますか? 姫様?」

P「ふんっ!」グリンッ

兵士C「ぐえっ!」

P「少なくとも私より強くなってから言いなさい」

兵士C「りょ、了解しましたっ!」

菜々(か、カッコいい……!)

P「さぁ、敵は待ってくれないわ。ただちに訓練開始よ!」



訓練中

菜々「はぁはぁ……ぜぇぜぇ……」

菜々(き、きつい! 死ぬ!)

P「精鋭と聞いていたけどこの程度なの? これならあの世に居る私の祖父の方がまだ元気よ」

兵士達「「「はい!」」」

菜々「……は、はい……!」



池袋博士「本当に彼女を強化兵士にするのか?」

一ノ瀬博士「うん」

池袋博士「しかしだな……彼女は小柄だし、見ての通り体力もない。その点兵士Cはどうだ? すべての能力において平均以上だ」

一ノ瀬博士「大切なのは身体じゃなくて心だからねー」ガサゴソ

一ノ瀬博士「よっと……」

池袋博士「だが……!」

一ノ瀬博士「池袋博士は教え子だからって心配しすぎー。まぁ見ててよ」ピンッ

池袋博士「そんな偽物の手榴弾をどうするんだ?」

一ノ瀬博士「ん? こうするのー」ポイッ

一ノ瀬博士「危ない! 手榴弾だー!」


兵士達「「「!?」」」ダッ

菜々「!」バッ

菜々「みんな逃げて! ナナが盾になってるうちに! 早く!」ダキカカエ

菜々「……?」

菜々「試験……ですか?」


一ノ瀬博士「ね?」

池袋博士「む……」



数日後 強化兵士実験前日 兵舎内

一ノ瀬博士「いいかなー?」フリフリ

菜々「博士……どうぞ」

一ノ瀬博士「一杯どう? 良い香りだよー♪」

菜々「……いただきます」

一ノ瀬博士「これあたしの地元のお酒でねー。今はなかなか手に入らなくてねー」

菜々「……」

一ノ瀬博士「……」

菜々「なんでナナを?」

一ノ瀬博士「んー……、やっぱ聞きたいよねー」

一ノ瀬博士「あたしが作ったこの血清は内側にある、ありとあらゆるものを増幅するんだー」

一ノ瀬博士「肉体的にはもちろん、精神的にも」

一ノ瀬博士「善人はより善人に。悪人はより悪人になる」

一ノ瀬博士「だからキミを選んだ」

一ノ瀬博士「強い者は力に対して敬意を払わない。でもキミは違う。キミは弱いからすべての者に敬意を払える」

一ノ瀬博士「だからあたしと約束してっ! キミはキミのままでいてほしい。完璧な兵士じゃなくて善人のままの安部菜々で」

菜々「はい!」

一ノ瀬博士「にゃーっはっは。ふっふー。じゃあかんぱいだねー♪」

菜々「かんぱー……」グイッ

一ノ瀬博士「そうだったそうだった。明日血清打つんだから飲み物はだめだった。うっかり」テヘッ

菜々「ふふっ……。じゃあ乾杯は明日以降ですね」

一ノ瀬博士「? あたしは血清打たないから飲むよー♪」グビー

菜々「……そうですか」



翌日 東京都 車内

菜々「あそこでも追い返されました。ナナみたいなのは役に立たないって」

P「逃げ出したくはならないの?」

菜々「今日の実験ですか?」

P「いえ、そうじゃなくて、役に立たないと言われることから」

菜々「……逃げても追われるだけですから。なら立ち向かって倒しちゃった方がいいですよね!」ソワソワ

P「人と話すの慣れてない?」

菜々「そんなことはないですよ。ただ、同年代の人と話すのが久しぶりで……」

菜々「同年代の人はみーんな、戦争に行っちゃってますからね……ナナ以外はみーんな」

P「そう……ごめんなさい」



都内 某所 骨董品店

P「降りて」ガチャッ

菜々「ここ、ですか……?」バタンッ

P「ええ」ガラガラ

店員「いらっしゃいませ。今日は良いお天気ですね」

P「ええ、でも傘は持っているわ」

菜々(え、なに言ってるのこの人)

P「着いてきて」スタスタ

菜々「あ、待ってくださーい!」

菜々(お店の奥まで勝手に来ちゃったけど良いのかな……)

菜々「っ……!」プシュー

P「ようこそ。ここが我が戦略科学予備軍の秘密研究所よ」


秘密研究所内

一ノ瀬博士「やー! 待ってたよー!」

P「申し訳ありません。定刻を少し過ぎてしまいました」

一ノ瀬博士「大丈夫大丈夫。Pさんは観客席にどうぞー。ここより見やすいよ♪」

P「はい、では後ほどまた……」

菜々「お、お待たせしました! それにしてもすごいですね、ここ!」

池袋博士「何せ我が国の最高機密のひとつだからな」

菜々「先生まで!」

一ノ瀬博士「池袋博士には今日のお手伝いを依頼してあるからねー♪」

池袋博士「というわけでよろしく」

菜々「はい! こちらこそよろしくお願いします!」ペコー


菜々「ちょっと……大きいですね。これ」モゾモゾ

一ノ瀬博士「血清打つと筋肉や骨に大きな影響与えて肉体が再構成されるからねー。多分これくらいないと窮屈になっちゃうよ」

菜々「再構成……ですか……」

一ノ瀬博士「うんっ。でも人体に影響はないから心配しないで♪」

菜々「大丈夫です」

菜々「博士を信用してますから!」

菜々「ところでお酒まだ残ってますか?」

一ノ瀬博士「……さーそろそろ始めようかにゃー」

菜々「あ、ちょっと! まさか全部飲んだんですか!?」

一ノ瀬博士「さぁ! 池袋博士! 装置を動かして!」

池袋博士「良いのかあれ」 ギャーギャー

一ノ瀬博士「閉めれば聴こえないから大丈夫♪」

池袋博士「わかった……」ピッピッガシャーン

一ノ瀬博士『あーあー、ではでは。お集まりのみなさん! 聴こえますか?』

一ノ瀬博士『政府高官に軍上層部のお偉方! 更にはよくわかんない人たちまでよくぞ来てくれました!』

一ノ瀬博士『では、これから強化兵士計画第一号「安部菜々」を開始します』

一ノ瀬博士「さ、お願い」

池袋博士「ああ……」ギュイーン

池袋博士「稼働率3割……」バチバチ

池袋博士「稼働率5割……」バチッバチッ

池袋博士「稼働率7割……!」ギュイーン ピカバチッ

菜々『うああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

一ノ瀬博士「!? 停止! 池袋博士! 装置停止!」

菜々『だ、大丈夫ですっ……! 耐えられます……!!! 続けて!!!』

池袋博士「くっ……稼働率10割!!!」 キュイーンバシッビカッバチバチッ

一ノ瀬博士「っ……!」プシュー

菜々「はぁはぁ……」カシュー

一ノ瀬博士「早く! 被験者を!」

菜々「だ、大丈夫です……!」フラフラ

一ノ瀬博士、池袋博士「「……」」ジロジロ

菜々「?」クビカシゲ

菜々「どうしたんです?」

池袋博士「これ本当に成功か?」ヒソヒソ

一ノ瀬博士「たぶん……?」ヒソヒソ

池袋博士「でも、実験前と変わらないぞ……」ヒソヒソ

一ノ瀬博士「……よし、失踪。逃げちゃえ~♪」

池袋博士「あ、こら待て!」

菜々「え……これまさか失敗したんですか……?」ガクゼン

なんか偉い人「いやー、成功?して良かったですなぁ」クビカシゲ

軍の偉い人「はっはっは。いやいや、本当に良かった良かった?」クビカシゲ

P「成功、したのよね……?」

菜々「え!? た、たぶん?」

P「はぁ……まぁいいわ。多分大丈夫でしょう」

P「博士たちもどこかへ行ってしまったし、とりあえずどうすればいいのかしら」

兵士「おい! 貴様! 何をしている!!」

スパイ「ちっ……!」ガシッ

兵士「血清を……! おい! 誰かそいつを止めろ! 博士の血清を奪ったぞ!」

P「!?」バッ チャキッ

P「止まりなさい! 止まらないと撃つわよ!」

スパイ「どけ、女!」スッ

菜々(銃!?)

菜々「危ないですっ!」ピョン

菜々(うわ、うそ、体かるっ!)

P「きゃあ!」ゴチーン

菜々「うわわわ……いたい……」

スパイ「どけどけ!」ダッ

P「この! 何するのよ!」

菜々「だって銃が……!」

菜々「それより追いかけないと!」

放送『研究所内兵士に次ぐ、敵が侵入していた模様。現在、目標は出口に向け逃走中。全力で確保されたし』

菜々「と、とりあえず言ってきます!」ダッシュ

菜々(うそ! すごい速い!)

菜々「うわっと……曲がれない……! ぎゃあ!」ベチーン



骨董品店 外

スパイ「確保した! 車を出せ!(注:英語ということに……)

スパイB「了解! 早く乗れ!」(注:英語ということで……)ブォーン

菜々「待ちなさい! 悪党はこのナナがお仕置きしちゃいますよー!」ダダダッ

スパイ「なんだあのチビ! はええぇぇぇ!」(注:しつこいですが英語です)

スパイB「こえぇぇぇ! 超笑顔で全力疾走の女! 超こえええぇぇぇ!」(注:英語です)

菜々(車並の速さで走れるなんて……!)

菜々「ってうわわわわ!」ガシャーン

菜々「っ……いてて……。ああ! ごめんなさい!」

運転手「車が……潰れてる……」

菜々(ああ! 今ので見失っちゃいました……)キョロキョロ

菜々「むむ……ビビッときましたよ!」

菜々「たぶんあっちですね!」タッタッタ

菜々「居ました! 待ちなさーい!」

菜々「あっ! ちょうどいいところに!」

鍋持った通行人「え?」

菜々「ちょっとお借りしますね!」バシッ

鍋持ってた通行人「あ、ちょっと!」

菜々「せーのっ!」ブンッ ビュオーン ガーンッ

菜々「よし! 成功ですね!」

鍋持ってた通行人「本気かよ……」



都内 河川流域

スパイ「何!? 何がぶつかったんだ!?」(注:英)

スパイB「わからん! 車が横転するほどの衝撃だぞ! 戦車か!?」(注:英)

菜々「さぁ! 捕まえましたよ!パシーッ

スパイB「ぎゃあー!!!」ガクッ

菜々「あ、あれ……? 強く握りすぎちゃった……かな?」

スパイ「ひ、ひいぃぃぃぃ!」ダッ

菜々「あー! 逃がしませんよー!」ダッ

スパイ「く、来るな!」バンバンッ

菜々「うわっ! いきなり撃つなんて危ないじゃないですか!」ヒラッ

スパイ「くそっ……! おい! 貴様! 来い!」

子供「えー、飴くれたら考える」

スパイ「良いから来い!」グイッ

子供「うわー、つかまったよータスケテー(棒)」

菜々「むむむ! 卑怯ですよ!」

スパイ「近寄るな! 近寄るとこのガキを撃つぞ!」

子供「こわいよー。ねぇ、これで飴もらえるんだよね? もらえないならこれ以上働かないぞ」

スパイ「くそッ……」ズリズリ

菜々「その子を話しなさい! じゃないと! お仕置きしちゃいますよ!」

スパイ「ここまで来たら……」(注:英)

子供「え? なに? まさかそこの川に投げ込むつもりじゃないよね?」

スパイ「うるさいガキだ!」(注:英)ポイー

子供「うわぁ!」ドボーン

菜々「ああ! 大丈夫ですか!!」タタッ

菜々「今! 引き揚げますね!」

子供「あー、別に浮いてるからいいよ。それよりも追っかけたら?」プカプカ

菜々「でも……!」

子供「大丈夫だから。逃げられるよ?」プカプカ

菜々「ごめんなさい!」タッ

スパイ「これだけは持ち帰らねば……!」(注:英)ピッピッ ザバー

スパイ「こんな時のために用意してもらった潜水艦が役に立つ!」(注:英)ブクブク

菜々「なんですかあれ!」

菜々「まったくもう!」グッグッ ピョン ジャボーン

菜々(居た!)ブクブク

菜々(背びれを掴んで……! 操縦席に目がけて!)グーパン

菜々(せいっ!)バキーン

スパイ「!? むが!?もごごぐもぐもむま」

菜々(悪党はこうです! えいっ!)ポイーッ

スパイ「うわぁぁぁ!」ドシーン パリーン

菜々「ふー……! やっと捕まえましたよ!」ザブザブ

菜々「さぁ! あなたたちは一体誰なんですか!」プンプン

スパイ「一人目の敵だ……」(注:英)

スパイ「頭を切り落としても、そこに二つまた生えてくる……!」(注:英)

スパイ「ふはははははは!」カリッ ガクッ

菜々「あ! ちょっと!」ユサユサ

菜々「毒……でしょうか……」

菜々「それにしても困りました……」ウーン

菜々「なんて言ってたのかわからない……」コマッタコマッタ



秘密研究所

ザワザワ ザワザワ

P「どうして敵が入り込んでたの!」

P「ええ!? 軍上層部の推薦での見学者ですって!?」

菜々「ただいま戻りましたー……」ソロー

P「ああ、お帰りなさい菜々。で、どうだったの?」

菜々「あー、えーとですね……」メオヨギー

P「何? きちんと報告しなさい!」

菜々「えっと、どうやら二人とも持ってた毒を飲んで自殺しちゃったみたいです……」

P「ふー……何か手がかりになりそうなことは?」

菜々「え゛!? いや! 何も! 何も言ってませんでした!! 本当ですよ!!」

菜々(英語で何か言ってたけど英語わかんないし……)

P「そう……少しでも敵の手がかりがあればもっと迅速に進むのだけど……」イライラ

菜々(うわぁ……Pさんすごくイライラしてる……)

P「菜々の実験が成功したのはめでたいけど、軍が今欲しいのは一人の強化兵士じゃなくて軍隊なのよ」

菜々「じゃあ一ノ瀬博士に増やしてもらえばいいなじゃないでしょうか……」

一ノ瀬博士「んー、無理かなー」

菜々「どうしてですか?」

一ノ瀬博士「キミに投与した血清、予備も含めて全部持ってきてたんだけど、あれを敵に奪われちゃった」

一ノ瀬博士「血清はあたしひとりで作った物じゃないし、そもそも偶然できたものを培養して複製したものだから元の血清が一本でもないと作れないのだよ」

一ノ瀬博士「見たところ血清持ってないし、多分もう二度と作れないねー」

菜々「……」汗ダラダラ

菜々「も、申し訳ありませんー!」ドゲザー

P「過ぎた事は仕方ないわ。それよりも、今は今後どうするかよ!」



すみません。用事が出来たので一旦ここまでにしておきます。

あと半分くらいですので、読んで下さる方が居ましたら、あと少しお付き合いください

あー……注意書きの仕方が悪かったです。
安部菜々さんは安部菜々さんで合ってます。永遠の17歳ですから整合性もばっちりですしね。
両博士の事を指していたつもりだったのですが、分かりづらくて申し訳ありません。

それでは残り投下していきます。

東京 劇場舞台袖 初回講演

菜々「ああ……緊張する緊張する……」

座長「大丈夫だ。ただ、出てって台詞を読み上げるだけだ! 誰でも出来る!」

菜々「で、でも……! 台詞飛んだらどうすれば……!」

座長「わかったわかった」

座長「これでいいか。よっこいせっと」パシッ

菜々「?」

座長「これ持ってけ」カキカキペタペタ

菜々「これは……玩具の盾、ですか」

座長「裏に台詞張っておいてやったぞ」ホレ

菜々「あ、ありがとうございます! これで大丈夫です!」

座長「ああ、頼んだぞ」



舞台上

菜々『やぁ! みんな! 初めまして! 私の名前はキャプテン・ウサミンだ!』

ザワザワ テキセイゴヲツカッテルワヨ ザワザワ

菜々(うっ……やっぱりこの設定は無理がありますよぉ!)

菜々『どうして私が敵性語を使っているかって? はっはっは、簡単なことだ!』

菜々(やるしかないやるしかないやるしかないやるしかない)

菜々『私! キャプテン・ウサミンは日本のためにウサミン星からやってきたからだ!』

シーン……

菜々『そう! これは敵性語ではなく、ウサミン語なんだ!』

菜々『だから安心してくれ! 私は米英なんかと同じではなく! みんなと同じ日本国を愛する一人なんだ!』

菜々『それにキャプテン・ウサミンが来たからにはもう安心だ! ウサミン星の力で米英を追い返そう!』

菜々『むむ……? ビビッと電波が来たぞ……ミンミン……ウサミン星から電波を受信中……ミミミン!』

菜々『そこだ!』ブンッ ボカッ

悪役『おぅっ……』ドテーン

子供達「「「「わぁー!!」」」」

菜々『このように! ウサミン星の力を使えば敵なんていちころさ!』

菜々『さぁ! 戦場に居る兵隊さん達にウサミンパワーを届けるため、みんなに協力して欲しい!』テヲフリアゲ

菜々『いくぞ! ハートウェーブピリピリーンッ!』

菜々(恥ずかしい……)

菜々『どうしたどうした! 神国日本の勇敢な兵隊さん達にみんなの力を届けるんだ! もう一回! もう一回!』

菜々、子供達「「「『ハートウェーブピリピリーンッ!!』」」」

ザワザワ イイノカシラ? オクニガヤッテルモヨウシダシ

菜々『さぁ! 声をそろえて!』

菜々、会場全体「「「「「『ハートウェーブピリピリーンッ!!!!』」」」」」

菜々(やばい……楽しくなってきた……)

菜々『さぁ! これで戦場の兵隊さん達にウサミンパワーが届いた! これで敵無しだ!』

菜々『さて! このように! 戦場に居なくてもみんなには協力できることがある! 力を送るのもその一つだが、何より今は銃弾が足りていない!』

菜々『キャプテン・ウサミンは一人しか居ない! 私一人では兵隊さん達すべてを救う事は出来ない! だが! みんなが鉄を集めてくれれば、兵隊さん達を守る銃弾に変わる!』

菜々『さぁ! 私と一緒に戦争に協力していこう!』



東京 第7回公演

菜々『さぁ! みんなで一緒に!』

ハートウェーブピリピリーンッ!!!!

菜々『さぁ! 私と共に!戦争に……』


名古屋公演
以下略

大阪公演
以下略

福岡公演
以下略



国外 日本国軍駐屯基地 公演

菜々『さぁ! みんな一緒に!』

シーン……

菜々『あ、あれ……?』

菜々『どうしたんだ? さぁ、キャプテン・ウサミンと一緒に……』

兵隊A「馬鹿やってないでさっさと失せろ! この屑!」

兵隊B「そうだそうだー! 何がウサミンパワーだ! 使えない役立たずは帰れー!」

兵隊C「ひっこめー! お前なんかより女出せ! 女!」

ソウダソウダー カエレー

菜々『あー、えー。あー……ちょっと相談してきます!』

兵隊D「そうしてー! おじょーちゃん!」ギャハハハ



公演終了後

菜々「はぁ……」カキカキ

P「上手いものね。玉乗りしてるウサギなんて」

菜々「わわっ……Pさん! お久しぶりですっ!」ペコペコ

P「良い公演だったわ」

菜々「そんな、ことない、ですよ」

菜々「ナナが公演をすると……そこでの国民の労働意欲が3割上昇するらしいです」

P「すごいじゃない」

菜々「ははっ……そうですよね……。確かにすごいです」

P「今の生活に不満でも?」

菜々「いえ、不満はないですよ。だってこの生活を選ばなければ実験場の鼠でしたから……」ウツムキ

P「二つしか選択肢はないわけ?」アキレガオ

P「実験場の鼠か、踊るウサギか」

菜々「……」

P「隊長が呼んでたわよ。次の任務ですって」

菜々「他の選択肢もあるんでしょうか……」

P「さぁ、私には分からないわ。でも、今のあなたに求められてるのは踊るウサギよ」

菜々「わかりました……」

ワーワー ガヤガヤ

菜々「なんだか騒がしいですね」

P「……前線へ偵察に行った部隊が帰ってきたのよ」

菜々「そうなんですか。 じゃあすぐに新しい作戦が始まるんですね」

P「たった一人だけよ」

菜々「え?」

P「たった一人だけで帰ってきたの。他はみんな捕まったって」

菜々「そんな……!」

P「あなたには関係ないでしょう? 踊るウサギのままのあなたには」

菜々「Pさん……」

P「何かしら」ウデグミ

菜々「他に選択肢があるって言いましたよね……。あれは本心ですか?」

P「一言一句」

菜々「じゃあ、行かせてください」

P「それでこそ菜々ね。協力するわ」


最前線付近 車内

菜々「勝手な行動ですけど、軍を敵に回して平気なんですか!」

P「運転中よ! 話しかけないで!」

P「それに、人の心配してる場合? あなたはこれから敵地のど真ん中よ」

菜々「ナナの敵は撃てば終わりますから」

P「でも、あなたの敵は撃ち返すわよ」

菜々「これが役に立つと良いですね!」コンコン

P「はぁ……。とりあえずこれも持って行って」スッ

菜々「これは?」

P「発信機。池袋博士作だから信頼度は高いわ」

菜々「なるほど、実戦経験のないナナよりよっぽどですね!」パンパンッ ダダダダダ

P「まずい! 見つかったわ!」

菜々「ここでいいです! ナナが降りたらすぐに旋回して引き返してください!」

P「待ちなさい! まだ敵陣は遠いわよ!」

菜々「早く! Pさんまで死んじゃいますよ!」

P「私に命令は出来ないわ!」

菜々「できますよ」

菜々「ナナは……キャプテンですから!」バッ



敵軍 前線基地付近

菜々(とりあえず忍び込まないと……)

菜々(輸送車両……! あれに飛び乗れば)ピョンッ

菜々「あ……」

敵兵「!?」

菜々「ごめんなさい!」ボコーッ

敵軍 前線基地内部

菜々(ふぅ……無事に潜入出来ました……)

菜々(それにしてもこの基地……なんか他の米英軍と違うような……?)キョロキョロ

菜々(まぁいいです! 今は捕虜を探さないと!)

菜々「うーん……こっちですね! ビビッと来ました」テクテク

菜々(やっぱり何かおかしいような……)

覆面被った敵兵「~~♪」バッタリ

菜々「あ」デクワシ

覆面被った敵兵「……おいおいなんだそのコスプレ衣裳は。まったく戦時中なんだからお遊びは程々にしてくれよな」(注:英語です)

菜々(え……何か言われてるけど、どうしよう)

菜々「……」

覆面被った敵兵「ま、そういうお遊びも必要だよな。今度は何かパフォーマンス見せてくれよ! じゃあな!」(注:英語)テクテク

菜々「え? え? よくわからなかったんですが……どういうこと?」

菜々「なんだかよくわかりませんが助かりました! これで静かに探せます!」


キャプテン・ウサミン 探索中

菜々「見つかりませんねぇ……」

菜々「ここかな? えいっ」バキーッ

敵兵「!?」

菜々「あ、まずい」

敵兵「貴様! 何してる!」(注:英語)

菜々「ごめんなさい!」グーパン

菜々「ふぅ……。ん? 下から視線が……」

捕虜A「……あんたなんだ?」

捕虜B「変態、か?」

菜々「な! ナナはヘンタイじゃないですよ! ウサミン星から来た、キャプテン・ウサミンですっ! キャハっ!」ブイッ

捕虜達「「「お、おう……」」」

菜々「う゛う゛ぅん! とありえずこれで脱出してください!」カギポイー

捕虜A「あんたはどうするんだ?」

菜々「他に居ないか見てきます! ほかに捕虜は?」

捕虜C「別棟に一部隊分連れてかれてるはずだ」ユビサシー

菜々「わかりました! 別棟ですね!」

捕虜B「待ってくれ!」

菜々「どうしました?」

捕虜B「俺たちはどうすればいい?」

菜々「……じゃあひと暴れしてから脱出してください!」

捕虜A「よし! いくぞ野郎ども! 日本男児の底力、見せてやれ!」

ウオオオォォォォ!

菜々「さて! じゃあナナは別棟に行きますね!」ダッシュ


敵軍 前線基地 別棟

菜々「あ゛」

覆面被った敵兵「お?」

菜々(やばい……これさっきの人ですよ……!)

覆面被った敵兵「おう! さっきぶりだな。どうした? こんなとこまで遊びに来たのか?」(注:英語です)

菜々(やばいやばいやばい……)ヒヤアセダラダラ

覆面被った敵兵「それにしても本棟の方が騒がしいな。何かあったのか? お前知ってるか?」(注:英語)

菜々「こうなったら……」ボソッ

覆面被った敵兵「?」

菜々「えいっ!」バキッ

覆面被った敵兵「オウッ! アウチッ!」バタンッ

菜々「せ、正当防衛です! 仕方ありません!」

『誰か居るのか! 出してくれ!』ドンドンッ

菜々「あ、はーい! 今出しますね!」ドアバーン

菜々「他の人たちと合流して早く逃げてください!」

捕虜「あんたは……?」

菜々「キャプテン・ウサミンですっ!」



日本軍前線基地内

隊長「貴様一体なんてことをしてくれる!」

P「申し訳ありません」シレー

隊長「唯一の強化兵士を死なせたんだぞ!」

P「承知しております」

隊長「なんと報告すればいいのだ……くそったれ……」ブツブツ

オイ、ナンダアレ ナンダナンダ?

隊長「騒がしいぞ! 何事だ!」

兵士「隊長! ウサミンです! キャプテン・ウサミンです!」

P「さすがね、菜々」


菜々「キャプテン・ウサミン! ただいま帰還しました!」

菜々「ナナは軍令違反を犯しました。追放してください」

隊長「……っ! もういい! 捕虜の救出作戦ご苦労だった、下がれ!」

菜々「はっ! 了解であります!」

捕虜A「キャプテン・ウサミンを称えようぜ!」

兵士達「おおー!」

ミミミン、ミミミン、ウーサミン! ミミミン、ミミミン、ウーサミン!

P「おかえり。心配したわ」

菜々「発信機、壊れちゃったので……ごめんなさい!」ペコー



後日 前線基地 作戦会議

菜々「えっと、多分ここですね。ナナが見た敵軍の地図と、捕虜の方の話を合わせるとこの場所で間違いないかと」

P「ずいぶん奥地になるのね。倒す自信はある?」

菜々「ありますけど……少し装備が欲しいです。さすがにほぼ生身は怖いので……」

P「それに関しては隊長が素晴らしい人物を呼んでくれているわ」

P「入ってください。博士」

池袋博士「やぁ、久しぶりだな」

菜々「先生! どうして!」

池袋博士「いや何……君の、いや、ウサミンの活躍を聞いていてもたってもいられなくなってな。日本から飛んできた」

菜々「先生……!」

P「感動的な再会は後にして頂戴」

P「今は敵軍の兵器開発工場をつぶすのが最重要任務よ」

池袋博士「それに関してなんだが……」

池袋博士「敵軍にはどうやら一ノ瀬博士と私のかつての学友が居るらしい」

菜々「学友、ですか……?」

池袋博士「うむ……。かつて私と一緒に科学を学び、一ノ瀬博士と共同で強化兵士を研究していた男だ」

P「強化兵士……」

池袋博士「私は一ノ瀬博士と奴が一緒に研究していた頃を知らないのだが、一ノ瀬博士によると、奴によって超人血清が生み出されたそうだ」

菜々「あの血清を生み出したんですか……」

池袋博士「しかし、当時はまだ未完成だったらしいのだが、奴はその試作品を持って国外に逃亡を図り、以後消息不明だった」

P「だった、ということは見つかったのですね?」

池袋博士「ああ……奴は敵軍の兵器開発主任として、この兵器開発工場に居る」

池袋博士「今はレッドスカルと名乗ってな」

菜々「レッドスカル……」

池袋博士「ウサミン……奴を、レッドスカルを倒せるのか?」

菜々「……はいっ! 根拠はないですけど、今のナナならできます!」

池袋博士「よく言った! それでこそウサミンだ!」

池袋博士「では選別代わりにこの天才の作品を進呈しよう。いくつか持ってきたんだ」ヨッコイセ

P「だからそのように大荷物だったんですね」

池袋博士「うむ! ウサミンは盾がたいそう気に入ってたと報告があったからな! いくつか作ってきた!」

池袋博士「まずこいつがー……」

菜々(ん……?)

菜々「先生、これは?」ヨイセ

池袋博士「ん? ああ、それは駄目だ、試作品だ」

菜々「なんかやけに軽いですけど、材質はなんですか? 鉄?」コンコン

池袋博士「ビブラニウム。鋼鉄より硬く、重さは三分の一。更に振動を完全に吸収する」

菜々「すごいじゃないですか! なんで実用化しないんですか?」

池袋博士「もっとも少ない金属なんだ。地球上にはそれしかない」

菜々(ふむ……)カマエ

菜々「Pさん! どう思います?」

P「そうね……」カチャッ バンバンバンッ

P「良いんじゃないかしら?」カラカラカラ

菜々「きゅ、急に何を……!」オビエ

P「試しただけよ。作戦会議はとりあえず以上ね。博士と一緒に装備を整えて」スタスタ

菜々「……装備にお願いがいくつかあるんですが」アゼン

池袋博士「あ、ああ……この天才に任せろ」アゼン



作戦開始当日

菜々「じゃあ、行きますよー!」ブオォン ブォン

菜々「単車なんて初めて乗るんですが、上手くできるか不安になってきました……!」

菜々「わ、わ……。あ、案外いけそうですね!」ブォーン

マテー トマレー 

菜々「敵兵は無視無視! 目指すは兵器工場入口!」ブロロン ブロロン

菜々「えいっ! 単車アタック!」トビオリ

菜々「わわ……いたた……」 ドカーン

菜々「えーと……」ソロー

菜々「やった! 成功ですね!」ダッシュ



兵器工場内

菜々「あっ! 連絡しないと!」タッタッタ

菜々「本部! 聴こえますか! 侵入に成功! 繰り返します! 侵入に成功!」

P『了解。こちらも手筈通りやるわ。隊長、お願いします』


工場外 茂み

隊長「聞こえたか! 行くぞ!」

兵士達「「「「「おおー!!」」」」」


工場内

菜々(それにしてもどこに居るんでしょうか)

イタゾー ウテウテー

菜々「わわっ! 来ないでくださいー!!」タテカマエ

菜々「えいっ!」バキッ

敵兵「なんだあいつ! 盾でぶん殴ってくるぞ!(注:英語)」ニゲロニゲロ

ロケットランチャーモッテコイ! ブチカマセ!

菜々「なっ! そんなのありですかっ……!」

菜々(でも! 先生の盾なら……!)カマエ

菜々「っ……!」ボカーン

敵兵達「「「やったか!?」」」(注:英)モクモク……

敵兵達「「「!?」」」

菜々「すごい……! この盾ならもう何も怖くないっ! ……はっ! 何かこの台詞は危険な気がしますよ!」ムキズ

敵兵「だ、だめだ! に、逃げろ! ボスのとこまで急げ!」(注:英)ダッシュ

菜々「ビビッと来ましたよ! あの人を追えばレッドスカルさんのとこまで行けそうですね!」マテー


菜々「み、見失ってしまいました……」キョロキョロ

菜々「それにしてもここはどこでしょうか……」ウーン……

池袋博士『ウサミン! 聞こえるか! 私だ!』

菜々「先生? どうしたんですか?」

池袋博士『外で戦ってる部隊の一人が地図を見つけた! これで最深部まで進めるぞ! で、今どこに居るんだ?』

菜々「え゛っ……こ、ここは……どこでしょう……?」

池袋博士『まさか、迷ったのか……?』

菜々「はい……」 カッカッカッ

菜々「足音……!? 先生! 誰か来ます!」

池袋博士『落ち着け! こうなったらそいつを捕まえて吐かせるんだ!』

菜々「で、でも! ナナは英語わかりませんよ!?」

池袋博士『ふっふっふ……そんなものは想定済みだ! 通信装置の右側のボタンを押してみろ』

菜々「これですか?」ポチー

菜々「……?」

菜々「何も起きませんよ?」

覆面被った敵兵「お? 奇遇だな。また会ったな。またそんなコスプレしてるのか。物好きだなお前も」

覆面被った敵兵「まったく。前は何か急に衝撃感じたと思ったら気絶しちまってな。驚かせただろ。すまんな」

菜々「!?」

菜々(敵の話してる言葉が理解できる……!?)

覆面被った敵兵「それにしても困ったよなぁ。敵がだいぶ奥まで入り込んでるらしい。急いで格納庫に行かないと脱出できそうにないぞ」

菜々「そ、そうですね……?」

覆面被った敵兵「お、なんだお前、ずいぶん訛りがあるな。どこ出身だ?」

菜々「え゛!? う、ウサミン星ですっ!」

覆面被った敵兵「ウサミン星……? 聞いたことないけど、まぁいいか。ここもそろそろやばそうだし、早く格納庫行こうぜ」

菜々(え、これどういう状況ですか)

覆面被った敵兵「おーい、こっちだ! 急げ急げ!」テマネキ

菜々「は、はい!」



敵軍兵器開発工場 格納庫前

覆面被った敵兵「そろそろ全員集まってるかな」

菜々「そ、そうですね?」

覆面被った敵兵「急がないとやばそうだしなぁ」ガラガラ

菜々(!? ま、まずいです……! 敵がたくさん……!)

覆面被った敵兵「お、みんな居るかな」

敵兵「ぼ、ボス! そいつ! 侵入してきた奴ですよ!?」

覆面被った敵兵「何?」

菜々(やばい……!)

覆面被った敵兵「貴様! 騙したのか!? 名を名乗れ!」

菜々(こうなったら……!)

菜々「う、ウサミンパワーでメルヘンチェーンジ! 夢と希望を両耳に引っ提げ! キャプテン・ウサミン頑張っちゃいま―す! ブイッ!」キャハッ!

敵兵達((((うわキツ……))))

覆面被った敵兵改めレッドスカル「キャプテン・ウサミンだと!? ちょっとかっこいいじゃないか!」

敵兵(ボスの感性って独特だからなぁ……)

菜々「か、覚悟してくださいよ! 戦争なんてナナがう゛う゛んっ! キャプテン・ウサミンが終わらせちゃいますよ!」

菜々(それにしてもなんでレッドスカルって名乗ってるんでしょうか……)

レッドスカル「生意気な……! お前たち! やっておしまい!」

敵兵達「「「「「サー、イエッサー!」」」」」

ドアバーンッ

P「菜々! 無事!?」

隊長「キャプテン・ウサミンを援護しろ! 撃て撃て!」

菜々「Pさん!? 危ないですよ!」

ワーワー ニガスナウテー ギャー

敵兵「ボス! ここまで攻めてこられたらもう無理です! 早くワルキューレへ!」

レッドスカル「くそっ……! ここは任せたぞ!」ダッ

P「逃がさないわよ!」ダッ

菜々「わわっ、Pさん待って! 待ってください!」ダッ

P「うおおおおぉぉぉぉ! 熱血攻撃!」ブンッ

レッドスカル「そんなもの当たるか! スーパーソルジャーをなめるなよ!」パシッ

レッドスカル「食らえ!」バキッ

P「きゃあっ!」

菜々「Pさん! 大丈夫ですか!?」カケヨリ

レッドスカル「今のうちに……!」

P「私は大丈夫だから! レッドスカルを追って! 早く!」

菜々「は、ハイっ!」



敵軍戦闘機ワルキューレ内 コクピット

レッドスカル「こうなったら直接日本を攻撃する!」ピッピッ

レッドスカル「ええい! 覆面が邪魔だ!」フクメンポイ

レッドスカル「エンジン始動! 目指すは東京!」ブォオン



菜々「まずい……! 動き始めた……!」タッタッタ

菜々「とどけっ!」ピョンッ

菜々「な、なんとか車輪に掴まれました!」ゴウンゴゥン

菜々(ここを辿っていけば中に入れそう!)



コクピット

レッドスカル「『四次元キューブ』の力を使えば神々の力を手に入れられるはずだったのに、何故うまくいかん!?」

レッドスカル「それもこれもあのキャプテン・ウサミンとやらのせいで計画が……!」

菜々「そこまでです! さぁ、はやくこいつを止めてください!」

レッドスカル「来たか、キャプテン・ウサミン!」

菜々「なっ! その顔……」

菜々「酔ってます?」ハテ

レッドスカル「酔ってなどおらん! 平熱が高いせいか知らんがもともと赤ら顔なのだ!」

菜々「そ、そうだったんですか。それはごめんなさい」ペコー

菜々「ところであなたの目的はなんですか!?」

レッドスカル「良いだろう。冥途の土産に聞かせてやる……」

菜々(メイド? なんで女給?)

レッドスカル「俺はただでさえ高い平熱のせいでこの顔だ! どうにかできないか日本に留学したりしていろいろ学んだ。そして俺は一つの結論に至った!」

レッドスカル「この地球が温暖化しているから俺の体温も高いのだとな!」

菜々(そんな変温動物じゃないんだから……)

レッドスカル「そこで俺は母国に戻り軍に入った。知識を生かして軍の兵器を作るという名目でな!」

レッドスカル「そして俺は完成させたのだ! 地球寒冷化爆弾を!」

菜々「なっ! まさか地球の気温を下げるつもりですか!?」

レッドスカル「さすが察しが良いな! キャプテン・ウサミン!」

レッドスカル「まさにその通りだ! この爆弾一個では地球の温度自体は下げられんが、部分的にであれば北極レベルまで気温を下げることが出来る!」

レッドスカル「俺の計画はもう終わりだ! せめて一矢報いるためにこの爆弾を東京に落とす!」

菜々「バカな真似はよしてくださいっ!」

菜々「そんなことしたら東京に住めなくなっちゃいます!」

レッドスカル「俺の計画を邪魔するお前たちが悪いのだよ!」

レッドスカル「一ノ瀬と共に作り上げた超人血清! それに俺が手に入れた神の力『四次元キューブ』! これさえあれば俺の計画は成功するはずだった!」

菜々(『四次元キューブ』……?)

レッドスカル「それを邪魔した貴様を俺は許しはせんぞ!」ブンッ

菜々「っ!」ガァンッ

レッドスカル「スーパーソルジャーのこの俺の拳を防ぐだと……!? その盾は一体なんだ!」

菜々「これは……! 池袋先生が作ってくれたナナの宝物です!」

レッドスカル「池袋だと……! そうかあいつまでも俺の邪魔をするのか!」

菜々「とりあえず、今はあなたを止めないとお話になりません! えいっ!」ブンッ

レッドスカル「ぐはっ……、その力……! まさか!」

菜々「そうです! あなたと一ノ瀬博士が共に作った超人血清です! ナナもあなたと同じ強化兵士ですよ!」

レッドスカル「生意気な……!」

レッドスカル「……キャプテン・ウサミンよ! 俺と共に来ないか?」

レッドスカル「この『四次元キューブ』の力を使えば神々の力を手に入れられるぞ」ウィーン

菜々「ナナは……そんなものいりません!」

菜々「ナナは今の世界が気に入ってます! Pさんが居て、池袋先生が居て一ノ瀬博士が居る……。そんな世界を壊そうとしているあなたとは一緒に歩めません!」

レッドスカル「神々のパワーを手に入れられるというのに愚かな奴だ!」バキッ

レッドスカル「お前は! こんな世界のため! 国のために戦うというのか!」ブンッ

レッドスカル「俺は未来を見据えている! 本来、この星に国境は存在しない! それを人の都合で勝手に国境をつくり、人類の財産を食いつぶしている!」ボカッ

レッドスカル「そんな星になんの価値がある!」

菜々「それは……それはナナの見ている未来じゃありません!」バキッ

菜々「ナナが見ている未来は、国境を越えて、みんなで仲良く出来る素晴らしい未来です! 見ている人を幸せに出来るような芸者さんによって笑顔が溢れている未来です!」ブンッ

菜々「そのためにはナナはこの戦争を終わらせて、歌って踊るんです! みんなを幸せにするために!」ガァンッ

レッドスカル「そんなもの偶像に過ぎん!」

菜々「偶像だったとしてもやれます! いえ、ナナはやります! 日本を……地球を救うためにキャプテン・ウサミンはウサミン星から来たんですから!」ボカーッ

レッドスカル「ぐほぉ!」ドンッ

レッドスカル「よくも……よくもやってくれたなキャプテン・ウサミン……! こうなったらお前だけでも道連れにしてやる……!」

菜々「な、何をするつもりですか!」

レッドスカル「この『四次元キューブ』は未知の力を持っている! これを暴走させればお前なんか……」キュイーン

レッドスカル「っ……なんだ! くそっ……! や、やめろおおおぉぉぉぉ!」バシューンッ カンッカラカラ

菜々「今のが暴走……!? 危なかったです……! あれに巻き込まれてたらナナも……!」

菜々「はっ! それどころじゃないです!」テテテ

菜々「うーん……? これは一体どうすればいいんでしょうか……」クビカシゲ

池袋博士『……ミン! 聞こ……か! ……答しろ! ウサミン!』

菜々「先生! 聞こえます! ナナです!」

池袋博士『良かった、無事か! まったく、通信が繋がらなくてひやひやしたぞ!』

菜々「ご、ごめんなさい!」

池袋博士『いや、ウサミンが謝ることではない。それより状況は?』

菜々「えっと……『四次元キューブ』とかいうのが暴走してレッドスカルはどっかに消えちゃいました!」

池袋博士『「四次元キューブ」? なんだそれは?』

菜々「えー……ナナにもよくわからなくて……」

池袋博士『まぁいい、あとで説明してももらおう。とりあえずその「四次元キューブ」とやらを回収しておいてくれ!』

菜々「わかりました! ……あれ?」フリムキ

池袋博士『どうした?』

菜々「あっー!!! 穴が開いてます! 『四次元キューブ』があったところに穴が!」

池袋博士『どこかに消えた、ということか……仕方ない。ではその機体を止めることを考えよう』

池袋博士『どこかに地図のようなものがあるはずだ。それにおそらく現在位置が表示されている。今どこに居る?』

菜々「えっと……これかな……?」

菜々「なんだか見た事ある地形が……って、ここ千葉です! まずいです!」

池袋博士『なんだと! もうそんなところに居るのか!?』

菜々「ど、どうしましょう!?」

池袋博士『落ち着けウサミン! 今、考える!』

菜々(いくら先生が頭良くても時間が足りない……!)

菜々(……爆弾を投下されるよりは……!)

菜々「先生……! もう時間がありません! 機体を不時着させます」

池袋博士『馬鹿なことを言うな!』

菜々「でも! 急がないと大勢が犠牲になります! それなら被害が少ない今のうちに不時着させます!」

P『馬鹿なこと言わないで! 良いから待ってなさい! 命令よ!』

菜々「Pさん……これが菜々の選択なんです……」

菜々「それに、これには爆弾が搭載されてますが、この機体の中で爆発すればまだ被害は抑えられます」

菜々「これが……キャプテン・ウサミンの最後の仕事なんです」

P『菜々……』

菜々「Pさん! ナナが、キャプテン・ウサミンを辞めたら一緒にどこかへ遊びに行きましょう!」

P『わかったわ……じゃあ、今度の土曜日あたりでどうかしら?』

菜々「いいですね! じゃあ八時ちょうどにしましょう! 一日中遊びましょうね!」

菜々「ナナは歌が好きなので、一緒歌いましょう! 踊りも……あんまり得意ではないですけど一緒に!」

P『踊りなら教えてあげるわ。だから必ず来て頂戴』

菜々「いいんですか! 楽しみですね!」



敵兵器工場 通信設備前

P「ええ、そのかわり私には歌を教えてね」

菜々『任せてください! ナナ、良い曲を』ブツッ

P「菜々? 菜々!?」

池袋博士「……ウサミン」




現代 病院

菜々「……はっ! ここは……!」

ちひろ「あ、気が付かれたんですね。おはようございます。……いえ、こんにちはですかね」

菜々「……どちら様……? いえ! それよりここはどこですか!?」ガバッ

ちひろ「えっと、東京の病院ですよ?」

菜々「ば、爆弾は! 爆弾はどうなったんですか!」

ちひろ「ば、爆弾? えっと何のことかしら……?」

菜々「……本当はどこなんですか?」

ちひろ「本当はって……」

??「お、気が付いたのか」ガチャ

菜々「P……さん?」

モバP「ん? 俺の顔に何かついてるのか?」

菜々「あ、いえ……知り合いに似ていたもので……」

モバP「はっはっは。よくあるよな。ちひろさん、ちょっとお願いしますね。晶葉と志希に電話してきます」スタスタ

ちひろ「はい、わかりました」

菜々「……」

ちひろ「混乱するのも無理はないです」

ちひろ「少し確認したいのですが、あなたは安部菜々さんで良いんですよね?」

菜々「はい、ナナは……安部菜々と言います」

ちひろ「冷静になって聞いて欲しいんですが、菜々さん。あなたは多分70年ほど眠っていたんです」

菜々「……うそ、ですよね?」

晶葉「目覚めたって本当か!」ドアバーンッ

志希「にゃっはっは~♪ 無事でよかったねー♪」

菜々「池袋先生に一ノ瀬博士……!?」

晶葉「む? いかにも私は池袋だが」

志希「ハスハス~。ん~いい匂い~♪」

菜々(この女の人の言うことを信じるならナナは70年眠っていたはず……。でも先生達が居るってことは……)

菜々「ん……? 先生、若返りました?」

晶葉「失礼な! 私はまだ14だぞ! 若いに決まっているだろう!」

菜々「え゛!? 14ですか!? そんな……!」

菜々「じゃ、じゃあ! 一ノ瀬博士は……!?」

志希「ん~? あたしは18のピチピチのJKだよ♪」

菜々「でも……ナナの知ってるお二人と同じ……」

晶葉「もしや、あなたは私たちの祖母のことを言っているのか?」

菜々「祖母……?」

晶葉「ああ、私たちの祖母は戦争中に活躍した学者だ」

晶葉「それに私も志希も若い頃の祖母にほぼ生き写しくらいそっくりだ」

菜々「じゃあ……ここは本当に……」

志希「うん。70年くらい経った世界だねー」

菜々「……」

晶葉「大丈夫か?」

菜々「ええ……ただちょっと……」

晶葉「?」

菜々「お友達と一緒に遊ぶ約束が……」





夜 事務所

菜々「はぁ……」シュン

モバP「眠れないのか?」

菜々「モバPさん……」

菜々「いえ、ちょっといろいろありすぎて混乱してるだけです……」

モバP「そりゃ起きてみたらいきなり70年経ってますってそらなぁ……」

菜々「はい……」

菜々「ナナは……これからどうすればいいんでしょうか……」

モバP「じゃあ、うちでアイドルやらないか?」

菜々「あいどる……?」

モバP「んー……昔で言う芸者さん? かな? 歌って踊ったりしてみんなを喜ばせる仕事」

モバP「うちのばーちゃんもやってたんだぞ。なんか友達との約束だって言って」

モバP「それに俺は菜々さんならトップアイドルになれると信じてるしな!」

菜々「……モバPさんはナナの本当の姿を知ってもそう言ってくれますか?」

モバP「ああ、もちろん!」

菜々「じゃあ……やってみようかな……? アイドル」

モバP「お、それは頼もしいな!」

菜々「ふっふっふ……ウサミン星からやってきた永遠の17歳! 安部菜々ですっ! キャハッ!」

モバP「うわキツ」

菜々「これから、よろしくお願いしますね! モバPさん……いえ! プロデューサーさん!」


end

以上です。なんとか日付変更までに終われました。

お付き合い頂きありがとうございました。


キャプテン・アメリカはヒーローと言うよりは正義の味方って言う方がしっくりくる気がします。

盾しか取り柄がないとか言われてますが、キャプテンの純粋な正義感はキャプテンの魅力だと思います。

では、依頼出してきます。

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