【艦これ】加賀さんの休日 (41)



今日は加賀さんの休みの日である


加賀さんは何をしようか、と思案を巡らせていた


加賀「……龍驤」


基本的にこの加賀さんというのは赤城さんの次には龍驤さんである


別に友達が少ないわけではない(本人談)


今日は赤城さんは出撃しているので龍驤さんに会いに行く



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加賀さんは龍驤さんの部屋の前にいた


加賀「……」


小さく深呼吸をして恐る恐るノックをする


加賀さんが自分から龍驤さんを訪ねるのは初めてであった


龍驤「はーい。お、加賀か珍しい。ははーんさては赤城が出撃やから暇なんやな?」


加賀「……」


龍驤「ええってええって、入って映画でも観よう」


龍驤さんはイギリスのスパイ映画を流し始めた


龍驤「はー、いつ見ても緊張感の無いBGMやね。まあそこがいいんだけどさ」



しかし加賀さんは映画に全然集中できなかったのだ


それもそのはず


龍驤さんはポップコーンを食べていた


ただ食べるだけなら気にならないだろう


龍驤さんはすごい勢いで食べていたのだ


ヒョイパクヒョイパクとでも表現しようか


とかくすごかった


加賀さんはその様子が面白く


とても映画どころではなかったのであった



ただ時間が経つにつれ加賀さんもだんだん腹が立ってくる


もういい加減にして欲しいと思った


加賀(頭にきました)


龍驤「ん?なんや加賀、用事でも思い出したって顔やね」


加賀「そんな事は……」


龍驤「ええってええって、行ってきな」

加賀「……ごめんなさい」


加賀さんはそそくさと退散した


龍驤「……やっぱ『ムーンレイカー』の方がよかったんかな」



加賀さんは考えていた


普段加賀さんが廊下を歩いていると


艦娘たちは丁寧な挨拶をしてくる


一方赤城さんや龍驤さんにはくだけた挨拶や立ち話


というより自分以外にはみんなフレンドリーなのだ


加賀さんはなんとなく悲しくなった


そこで名案を思いつく


加賀(鎮守府のみんなをアッと驚かせてみれば、距離も縮まるかも)


早速、加賀さんは近所のスーパーへと向かう


もちろんいつものママチャリで


それを見かけた鳳翔さん曰く


かつてないほどニヤけていたらしい



秋月さんも本日は休みであった


特に行く宛もなく鎮守府を散歩していると前から加賀さんが歩いてくる


花柄のエコバッグを抱えていた


秋月「こんにちは、加賀さん」


加賀「これ」


秋月「えっ?」


加賀さんはエコバッグをあさる


加賀「アメリカの牛缶」


そう言って加賀さんは秋月さんにSPAMを手渡す



秋月「わあ、初めて見る……」


加賀「これで丈夫な子供を産んで」


下ネタであった


秋月「やだぁ加賀さんたら、そんな相手いませんよ。でもありがとうございます」


秋月さんは照れながら答える


通じたか通じなかったかは微妙なラインだった


だが加賀さんは通じたと判断したようだ


加賀(やりました)


さあ次に行こう、と加賀さんは足早に去って行った


秋月「あのう、どうして子供って……行っちゃった」



加賀さんが食堂に行くと熊野さんと暁さんがお茶を飲んでいた


熊野「あら、加賀さん。ごきげんよう」


暁「ごきげんようです」


熊野「あら、可愛らしいバッグですわね」


加賀「え」


このエコバッグは加賀さんが自分で選んだ物である


加賀さんはちょっぴり頬を染めた


そしてエコバッグをあさり始める


加賀「これ」


熊野「あら……」


暁「これって……午後ティーじゃないの!」



加賀「飲んで」


熊野「え、ええ……後でいただきますわ」


加賀「今」


熊野「今!?」


さすがの熊野さんも声を荒くして驚いた


熊野「構いませんけども……」


熊野さんはカップに入っていた紅茶を飲み干し


代わりに午後の紅茶を注ぎ込む


暁さんも同じよう飲み干した


そして熊野さんが暁さんのカップに午後の紅茶を注ぐ



熊野「いただきます」


暁「いただきまーす」


加賀「うん」


加賀さんは二人の様子をジッと見つめていた


加賀「美味しい?」


熊野「え、ええ……」


暁「まあ、午後ティーね……」


加賀「そうね……」



加賀さんは心の中でガッツポーズをとる


加賀(やりました)


そうして新たなターゲットの元へと向かって行った


熊野「……なんだったのかしら」


暁「でも、午後ティーも美味しい」


熊野「あら、それじゃあレディーにはまだ程遠いですわね」


暁「えー!どうしてー!」



加賀さんが埠頭へと向かうと三人の駆逐艦たちがいた


なにやら女性誌を広げて騒いでる様子である


初霜「やっぱり、爽やかな方が好きかも」


白雪「こっちの渋い人も捨てがたいけど」


長月「いや、見た目はともかく男は中身だ」


初霜「でも見た目が良くないと中身なんか見たくならないし……」


白雪「野菜だって、見た目が悪いのは買わないでしょ?」


長月「そんな悲しいこと言うなよ……」


加賀「……」



初霜「うわっ!!加賀さん!?」


白雪「あ、こんにちは加賀さん」


長月「どうも」


加賀さんは一言呟く


加賀「石原莞爾」


初霜「……えっ」


白雪「どうして、石原莞爾……?」


加賀「石原莞爾」


長月「……まさか、石原莞爾が好きなタイプって言うんじゃないだろうな」


加賀「そう」



もちろん加賀さんなりの冗談である


本当に好みなタイプな訳ではない


多分


初霜「そう、ですか……石原莞爾……」


白雪「石原莞爾って……」


長月「うーん、石原莞爾かァ……」


三人の駆逐艦たちはウンウンと唸り始めた


加賀(やりました)


加賀さんはまたもやしてやったとばかりにルンルン気分で歩き出した


初霜「石原莞爾……」


白雪「渋い系、かな……」


長月「爽やかさも無くはないが……」



加賀さんは今度は入渠ドックへと向かった


脱衣所に入ると下着姿で筋トレしている鬼怒さんがいた


ある事情があって加賀さんは鬼怒さんが苦手である


しかし加賀さんは立ち向かう


鬼怒「あ、加賀さん!お風呂入るの?」


加賀「……」


加賀さんは無言でエコバッグからある物を取り出した


加賀「これ」



鬼怒「ええっと……黄色と黒のしましまだね、このパンツ」


加賀「鬼怒のパンツ」


鬼怒「……」


加賀「鬼怒のパンツはいいパンツ」


鬼怒「……」


加賀「……ごめんなさい」


加賀さんは土下座をした


鬼怒「いや、怒ってはないんだけど……加賀さんってそんな冗談を言うんだね」



鬼怒さんはなんとなく加賀さんが可愛く思えた


加賀「そう、今後はそういうお茶目な部分もプッシュしていこうかなって思ってます、はい」


なぜか流暢に喋り出す加賀さん


鬼怒「ふふ、いいと思う」


鬼怒さんは加賀さんの意外な面を見れて嬉しかった


加賀(やりました!!)


加賀さんもまた嬉しかった


そしてウキウキとした様子で脱衣所を立ち去る


鬼怒「……はっ!違う、加賀さんとはそんな関係じゃ……もう!筋トレの続きやろっと!」


阿武隈「外でやってよお姉ちゃん汗臭いの」



加賀さんは工廠に来ていた


伊19「あ!加賀さんなの!」


伊58「こんにちはー!」


二人は何かを期待している様子である


どうやら今日の加賀さんは面白い、と伝わっているようだ


加賀さんはエコバッグをあさる


加賀「これ」


伊19「人形なの?」


伊58「何の人形?」


加賀「カトリーヌちゃんとオーイちゃん」



伊19「名前、聞いたことあるよ……?」


加賀「訓練ごっこして遊ぶ」


伊58「訓練ごっこ……」


二人は顔を見合わせ肩をすくめた


なんか思ってたのと違っていたのだ


加賀(やりました)


しかし加賀さんは目的を果たしたので次へと向かう


伊19「確かにヘンなの」


伊58「でもたまには、いいかもね」



次は執務室へと向かった


今日は秘書艦の長門さんしかいない


加賀さんはあの堅物に面食らわせてやろうと思った


長門「加賀か、何か用か?」


加賀「これ」


加賀さんはエコバッグの中身の最後の一つを取り出す


それはTシャツであった


長門「なんだ、これ」



加賀「着て」


長門「えぇ?ああ、構わんが……」


加賀「スカートも脱いで」


長門「な、なぜ」


加賀「いいから」


長門さんは不思議に思いつつも自身の服を脱ぎ手渡されたTシャツを着た


長門「ちょっと大きいな……なんだこの柄は」



 _人人人人人人_
 > 提督LOVE <
  ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄



長門「ちょっと待て!なんのつもりだ加賀!」


加賀「やりました」


加賀さんは長門さんの服をサッとエコバッグに入れた


長門「待て!服を返せ!」


加賀「追いつけたら。でも職務放棄は重罪。執務室から出られるかしら」


長門「ぐぅっ!だが!これは!」


長門さんはシャツを引っ張って下着を隠している


なので追いかけようにも、といったところである


ついに加賀さんは執務室を飛び出す


長門「だあああああ!!待ってくれ加賀ああああぁぁぁぁぁぁ…………はずかしぃょぅ……」



加賀さんがカートゥーンみたいな動きで廊下を練り歩いていると江風さんがいた


江風「え、加賀さん……」


加賀「こうふう」


江風「えっ」


加賀「えふう」


江風「……あ!かわかぜだよ!」


しかし加賀さんは全く聞いていない



加賀「こうかぜ」


江風「かわかぜ」


加賀「シエ風」


リベッチオ「シエスタ!」


江風「えっ」


加賀「シエスタ」


リベッチオ「シエスタ!」


江風「かわかぜ!」


加賀さんとリベッチオさんはハイタッチしたあとスキップで駆けて行った


江風「かわかぜだもん……ぐすん」



リベッチオさんと別れた加賀さんはエコバッグをブンブン振り回しながら廊下を歩いていた


するとそこへ陸奥さんが近付いてくる


陸奥「長門から電話があったのだけど」


加賀「やりました」


陸奥「よねー。いい加減ヤキモキしてたところだし」


加賀「あの二人にはちょうどいい薬ね」


陸奥「そうね、ありがと。進展があったら長門から聞いとくわ」


加賀「さすがに気分が高揚します」


長門さんの服を手渡し陸奥さんと別れる


加賀さんは部屋に戻ることにした



今日のいたずらは大成功だった、と加賀さんは思った


畳に寝て意味もなくゴロゴロ転がっているとノックの音が鳴る


加賀「どうぞ」


扉を開けると龍驤さんだった


龍驤「加賀、すまんなー、ウチ自分勝手やったかも」


加賀「……」


龍驤「だからほら、今度はこれ見よ。『ムーンレイカー』」


加賀「ポップコーンは?」



龍驤「……あ!ポップコーンやったんか!すまん!もう全部食べてもうたー!」


加賀「そう……それなら見ましょう」


龍驤「え?それならって……まあええわ、見よ見よ!」


加賀さんにとってこの休日は


とっても充実した1日となったようだ


翌日に提督さんと長門さんがなぜか同じ部屋から出てきたとか


秋月さんが毎日のようにSPAMを出すのでキレた照月さんが秋月さんの前歯をへし折ったりとか


鎮守府にちょっとした変化が訪れたが


それはまた別のお話



おしまい

終わり
短編に味をしめた男!

あと一応置いておきまする

【艦これ】加賀さんの冒険
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このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2019年12月14日 (土) 01:53:29   ID: aM28_3Bw

石原莞爾...

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