幼馴染「やっほー」男「ん?(247)


男「えっと、どちらさまですか?」

幼馴染「え」

男「今、俺は幼馴染って人と待ち合わせしてるんですが……」

幼馴染「え?」

男「あ、もしかして幼馴染さんの知り合いですか?」

幼馴染「い、いや、知り合いも何も……」

男「違うんですか、じゃあいいです」

幼馴染「え、え?え?え?ちょっと!こっち向いてっ」


男「知り合いでもないのに、うっとおしいですね」

幼馴染「いやっ!私!私が幼馴染だからっ!」

男「は?何を言っているんですか?幼馴染なんて見当たりませんけど」

幼馴染「ちょっとぉー!頭上でキョロキョロしないでよっ」


男「何ですか、まだ用があるんですか?」

幼馴染「私と待ち合わせなんてしてないでしょ?!」

男「もちろんです。俺は幼馴染と待ち合わせしてるんですから」

幼馴染「だから、その幼馴染が私でしょ!?」

男「???」


幼馴染「あーもうっ!何よ!もういい!男なんて知らないっ」

男「ぷっ……ははっ……あーはっはっは!はははははははははははげほっ……くくくっ」

幼馴染「な、なによぅ……」

男「ごめんごめん、あー腹痛い……。久しぶり、幼馴染……ぶっ」

幼馴染「ど、ど、どういうこと……?」

男「え?ちょっとしたイタズラだけど……くはっ……あまりに慌てる様子が面白くて……ふっ」

幼馴染「つまり、私が幼馴染ってのはわかってたってこと……?」

男「そうだねぇ。一瞬で分かったよ。だから遊んだんだけど」


幼馴染「……」

男「あれ?怒ってる?」

幼馴染「……違う……。忘れられてなくて良かったって安心したの……」

幼馴染「しかも、待ち合わせなんてしてないどころか連絡先も知らないし……」

幼馴染「同姓同名の彼女が出来たかと思ったし……」

男「忘れてないし、同姓同名の彼女もいないよ」

幼馴染「うん。はぁーーーーーーーーーーーびっくりした!」


男「ごめんねーつい久々に会えて嬉しくてさ」

幼馴染「いつぶりだっけ?中学?」

男「そうだね。まぁ中学ではほとんど話してないけどね」

幼馴染「男が急に余所余所しくなるんだもん」

男「思春期だったんだよ。あと、高校は別だったね」

幼馴染「話さないからどこに行くか分からなかったんだよ」

幼馴染(私の予想より頭のいい高校に行っちゃうし……)


男「にしても大学で同じになるとはなー。学科まで同じだし」

幼馴染「私もびっくりしたよ……自己紹介のとき目を疑ったもん」

男「なんであんとき声かけてくれなかったの?」

幼馴染「ふつーは男から声かけるもんでしょーがぁー」

男「かけようと思ったんだけどさー、こっちを気にしてソワソワしてたから放っておいた」

幼馴染「え」


男「いつ痺れを切らしてこっちにくるかなーって思ってさ」

幼馴染「ひど……」

男「同じ学科なら話す機会多いから大丈夫だろーって」

幼馴染「一ヶ月も?」

男「いやー自己紹介からだから3週間でしょ」

幼馴染「私と話したくなかったの?」

男「授業中もこちらに視線を向ける幼馴染が面白かったまる」

幼馴染「……ぅう……さいてー……」


男「今日の講義もう終わった?」

幼馴染「ん」

男「じゃぁなんか食べに行こうよ」

幼馴染「ほんと?!」

男「ほんとほんとー」

幼馴染「じゃぁ、ぱふぇだよ!」

男「発音がギリギリぱへって言ってるみたい」

幼馴染「パフェ」

男「おっけ」


幼馴染「で、奢りだよね?」

男「もちろん。あ、あとメアド交換しとこうよ」

幼馴染「そうだよー高校のとき男に連絡できなくて困ったんだからねー」

男「中学んとき俺が携帯持ってなかったからね。でも、何か用事あった?」

幼馴染「それは、あの、うん、いろいろとね」

幼馴染(夏祭り行こうとか……初詣行こうとか……)


男「互いの家に行くような仲じゃなかったからねー」

幼馴染「ちょっと遠かったからね」

男「小学校のときは結構行ったり来たりしてたのにね」

幼馴染「いつから行かなくなったんだろー」

男「中学でしょ。あ、俺が素っ気なくなったからか」


幼馴染「それだ!男のせいで私は!」

男「私は?」

幼馴染「なんでもないですー」

男「? まぁいいか。ほかの懐かしい話は喫茶店でしようか」

幼馴染「どこに行くんだろーって思ってたら喫茶店?高くない?」

男「ここにあるのは中身のない財布……」

幼馴染「え!?なに、私に奢れってこと?!」

男「なわけないじゃん。ちゃんと金は入ってるよ」

幼馴染「びっくりさせないでよ……」

男「ま、俺の財布の心配なんかいいからパフェを楽しみな」

幼馴染「はーい」


===

幼馴染「もぐもぐ」

男「いい食べっぷりっすなぁ」

幼馴染「んへへ美味しいんだもん」

幼馴染「男はコーヒーだけでいいの?」

男「甘いものはちょっと苦手……」

幼馴染「確かに昔っからお煎餅とか食べてた……」


男「なんかダメなんだよなー軽く吐き気?みたいな感じがする」

幼馴染「はい、あーん」

男「うげ……まじかよ……」

幼馴染「とか言いながら食べてるし」

男「んー……」

幼馴染「美味しい?」


男「甘ったるい。あと幼馴染の味がした」

幼馴染「はぇ?!」

男「冗談」

幼馴染「さ、さっきから何なの……私の心臓を止めたいの?」

男「ハートを射止めたいの」

幼馴染「ま、また冗談をー」

男「冗談だ」(真顔

幼馴染「もー変なことばっか言ってると誤解されるよ?」


男「狼少年だって?」

幼「女ったらしだって」

男「あーそれは困るな。幼馴染だけに使うことにするよ」

幼馴染「うー」

男「いって、叩くなよっ」

幼馴染「私騙され易いんだからやめてよー」

男「だから面白いんだろ?というか、自覚はあったんだね」

幼馴染「うん。でも騙されてるのに気づかないから無意味」


男「ふぅん……今は一人暮らし?」

幼馴染「当然でしょ。地元からここ近くないわよ」

男「一人暮らしだと宗教の勧誘とかセールスとか来たら気を付けなよ?」

幼馴染「……うん」

男「何その変な間……もしかして、もうやられたの?」

幼馴染「いや、大丈夫だったんだけどー……友達いたから」

男「壺とか売られそうだった、と」

幼馴染「印鑑だった……」

男「なるほど」


幼馴染「男は大丈夫なの?」

男「ん?あー俺はこの前居留守した」

幼馴染「それって酷くない?」

男「下手に出て口車に乗せられるよりはいいだろ?」

幼馴染「そうだけどー可哀想っていうかー」

男「勝手に押しかけてるんだから無視されても可哀想ではないだろ」

幼馴染「うーん……そうかなぁ……」


男「そーそー」

ヒョイッ

幼馴染「あっ!私のウエハース!」

男「これはあんまり甘くないから美味しいんだよなー」

幼馴染「ううー」

男「だから叩くなって!好きだったの?これ」

幼馴染「うん」

男「んじゃぁ、はい」

幼馴染「あれ?なんであるの?」

男「幼馴染が好きだったらいけないなーと思って半分残しておいた」

幼馴染「半分減ってる……」


男「俺が噛じったのダメだったらごめんね?」

幼馴染「だ、大丈夫……」

男「間接キスとかダメだったっけ?」

幼馴染「女同士は余裕だよ」

男「男子とは出来ないってことか」

幼馴染「そ」

幼馴染(でも、男のなら……うう……ドキドキする……)


男「別に食わなくてもって……それ好きなんだったな」

幼馴染「食べれるよ」

男「あんま考えずに取ってゴメンなー?」

幼馴染「別にいいよ」

男「なんでニヤニヤしてんの?」

幼馴染「んーん、美味しかったよって」

幼馴染(ちょっとコーヒーの味がしたなんて……言えないもん)

男「ならいいけどさ」


幼馴染「そういえば男って高校で何してたの?」

男「部活?」

幼馴染「そ」

男「全部!」

幼馴染「へ?ぜ、全部って全部掛け持ちってこと?」

男「やってなかった!」

幼馴染「…………」

男「…………」


幼馴染「…………」

男「幼馴染は?」

幼馴染「私はバレーしてたよ」

男「なるほど、だから部活を引退して、ちょっと肉がついていい脚をしてるのか」

幼馴染「い、いい脚って……」

男「変態ですいませーーん」

幼馴染「まだ言ってないんだけど」

男「顔にでてた」

幼馴染「ほんとに?」

男「ほんとー」


幼馴染「気をつけないとなぁ……」

男「ちっさい頃からだよな」

幼馴染「うそ!?」

男「幼稚園のときにー、保育士のあの背の高い男の先生好きだったでしょ」

幼馴染「……顔に出てたの?」

男「あの先生と話してた時、めっちゃ顔が綻んでた」

幼馴染「うわー恥ずかしい……」


幼馴染「私も男の何かそういうの思い出そっ」

男「何もないでしょー……たぶん」

幼馴染「あっ……」

男「思い出した?」

幼馴染「い、いや、これは……うわ……変なの思い出しちゃった……」

男「顔が真っ赤ですけど」

幼馴染「男はね……覚えてる……?」


男「何を?」

幼馴染「小学校のとき、男の家で……その……お医者さんごっこして……」

男「わかった、忘れろ」

幼馴染「……男が私の体を……」

男「おい、これ以上言うなよっ……」


幼馴染「まさぐって……胸も……お股も……」

男「…………」

幼馴染「…………」

男「何で全部言っちゃったの……?」

幼馴染「珍しく男が焦ってたから……面白くて?」

男「一緒に自滅してんじゃねーか……顔がほんと茹で蛸だよ」

幼馴染「うん……」


男「ほんっとすいませんでしたっ!」

ガンッ

幼馴染「え、いいよいいよ!ど、土下座までしなくてもっ」

男「いくら知識がなかったとはいえっ!!」

幼馴染「き、気にしてないからっ……」

男「……ほんとごめん……逆に知識ない頃でよかった……」

幼馴染「知識あったら最後までしてた?」

男「そうだねー」

幼馴染「危なかったね」


男「中学のときもバレー部だったよな」

幼馴染「下手な話の逸らし方ー」

男「えー」

男「じゃぁ何さ、責任でも取ればいい?」

幼馴染「それってつまり……?」

男「ああいうのをしてもいい関係になるってことかな」

幼馴染「……付き合うってこと?それとも結婚?」


男「セフレ」

幼馴染「しね」

男「冗談ですーすいませんー」

幼馴染「いいムードかと思ったのに台無しじゃんっ」

男「幼馴染の真顔のしねはマジで怖かったー」

幼馴染「男のせいじゃん」

男「はははー」


幼馴染「そういえば、男って自炊してる?」

男「よし、晩御飯うちで食え!腕前を見せてやる!湯切りまじでうまいぞ!」

幼馴染「カップ焼きそばじゃん」

男「幼馴染は?」

幼馴染「ちゃんと自炊してるよ?と言っても夜だけだけど」

男「朝強くないもんな」

幼馴染「なんで知ってるの……?言った記憶ない……」


男「幼馴染の母ちゃんが話してた。あの子朝弱くて、下着姿で学校行こうとするのよーって」

幼馴染「……」

男「ほんとだったのか?」

幼馴染「お母さんのバカ……」

男「うわー……」

幼馴染「ひいた?」

男「是非とも見たかったわー」

幼馴染「私がひいた」

男「冗談だってー」

幼馴染「さっきの誰にも言わないでよ?」

男「言わないよ。その代わり、今日の晩御飯作ってー」


幼馴染「え?それ、本気?」

男「本気です。昨日でカップラーメンが切れてたの思い出した……」

幼馴染「買い物いけばいいじゃん」

男「まぁそうだけど、幼馴染の料理食べてみたいし」

幼馴染「食べたことないっけ」

男「バレンタインでチョコは貰ったし、いつだかクッキーも食べた」

幼馴染「そうだっけ?」

男「確かな。でも、お菓子じゃん。お菓子とご飯は違うからさ」


幼馴染「うーん、でも二人分作る食材ないから、買い物行くよ?」

男「そんくらいならオッケーだ」

幼馴染「じゃぁ、いいよ」

男「よっしゃ!って、幼馴染の家ってどの辺?」


幼馴染「んっとね、~~ってところ」

男「え?うちもそこなんだけど」

幼馴染「そこの、私は2丁目」

男「俺も2丁目」

幼馴染「アパートの名前は○○!」

男「……俺も○○……」

幼馴染「203号室……」

男「俺も203号室……」

幼馴染「それは嘘でしょ!」

男「ホントは202号室」


幼馴染「え、本当に?」

男「これは俺もビックリだ……本当だよ」

幼馴染「なんで今まで気づかなかったの……?」

男「こっちが聞きたいよそれは……」

幼馴染「まさか隣の部屋だなんて……」

男「そういえば大家さんが同じ県出身の可愛い女の子も入居したって言ってたわー」

幼馴染「そんな……可愛くないよ」


男「それはともかく、お前だったのかー」

幼馴染「ともかくって……嫌だった?」

男「これから毎晩幼馴染が料理作ってくれるなんて嬉しいなー」

幼馴染「毎晩!?」

男「さすがに冗談だよ。俺も大学生からヒモまがいのことはしないさ」

幼馴染「冗談ばっかで何が本当かわからないよー……」

男「高校時代のあだ名は狼少年だからな」

幼馴染「嘘つきじゃん」

男「そうだな」


幼馴染「大学でも嘘つきするの?」

男「本心を知られるのが好きじゃないんだ」

幼馴染「信じてもらえなくなるよ」

男「それは困るから、最小限にはするつもり」

男「信じてもらえなくて高校では面倒な目にあったからなー」

幼馴染「そっかぁ、大変だったんだね。自業自得だけど」

男「まさにそれだな」


幼馴染「そろそろ買い物行く?ていうか行かないとご飯作るの遅くなるかも」

男「じゃぁ行きますかー」

===

幼馴染「なんで手を……つないでるの?」

男「小学校時代を思い出すため?」

幼馴染「は、恥ずかしいよ……」


男「幼馴染って店とか行くとすぐ迷子になるじゃん」

幼馴染「そんなになってた?」

男「中学んときに班が一緒で、みんなで何か買ってくるみたいな授業あったじゃん」

幼馴染「うん」

男「そんとき、店に入って1分立つ前に迷子になった」

幼馴染「……思い出した……店内放送で呼ばれたんだ……」

男「半泣きで俺らんとこに駆け寄ってきたよな」

幼馴染「……ぅぅ……」


男「友はそんときにお前を好きになったんだってさ」

幼馴染「ふぇ?!」

男「中学の卒業式でアイツ告ってきただろ?」

幼馴染「そうだったね……断ったけど……」

男「あの後俺に泣きながら報告してきてウザかったんだよ……」

男(おかげで幼馴染に俺が告白し損ねたんだけど……)


幼馴染「そうなんだ……。男は誰かにこ、告白したりしなかったの?」

男「うぇ!?い、いやー、べ、別に好きな人いなかったからなー」

幼馴染「なーんだ、つまんないのー」

男「そういう幼馴染は?」

幼馴染「男」

男「へ?」

幼馴染「いや、別に告白はしなかったよ」

男「好きな人はいたんだ」

幼馴染「う、うん」

幼馴染(目の前に……ずっと想ってる人がいますけど……)


男「そっか、そうだよなー」

幼馴染「ね、いつまで手、つないでるの?」

男「あ、嫌だった?」

幼馴染「嫌ではないけど……カップルみたいだなって」

男「実際には幼馴染だけどね」

幼馴染「うん」


男「夕飯何作るの?この食材みても分かんないんだけど」

幼馴染「んっとね……分かんない……」

男「はぁ?」

幼馴染「い、いや、あのね、手、繋いでたら緊張して買い物してるの忘れてて、適当に突っ込んじゃった……」

男「ははっ、なんだそれー」

幼馴染「取り直してもいい?」

男「次は何作るか決めてから取ろうなー、俺も考えるからさ」

幼馴染「夕飯遅くなってごめんね?」

男「いいよ。俺も手伝えば早くなるでしょ」


幼馴染「カップ焼きそば以外作れるの?」

男「ああ、この前なんかお湯を沸かして注いだんだぞ?」

幼馴染「カップラーメンじゃん……しかも焼きそば系より簡単だし」

男「まぁ、最低限はできるからさ。それに作らせてばっかも悪いし」

幼馴染「最低限がどのくらいか怪しいけどね」

男「で、結局何作る?」

幼馴染「んーカレーかな」

男「楽だから?」

幼馴染「一人だと食べきれないくらい作っちゃうから」


男「食い扶持がいないと食べれないんだね」

幼馴染「作りやすいし好きなんだけどね」

男「俺も好きだよ」

幼馴染「ふふっ」

男「どうした?気が狂ったか?」

幼馴染「なんでもなーい」


男「まぁいいや。だいたい買い終わった?」

幼馴染「うん」

男「じゃ、レジ行ってくる。物詰めるとこで待ってて」

幼馴染「え?お金は?」

男「ないよ?」

幼馴染「えぇ?」

男「気にすることはないよ」

幼馴染「言葉足らず……あとで払うからー」

男「はいはい」


=

幼馴染「私にも荷物持たせろー」

男「何で?」

幼馴染「男が重そう」

男「どっちも同じくらい重いから俺が持つって言ってるじゃん」

幼馴染「でもでも、なんか気持ち的にさぁ」

男「んじゃぁ、俺のリュック持ってよ」

幼馴染「よしきた!」

男「ほいよ」

幼馴染「うわー軽い……」

男「財布と筆箱しか入ってないからな」

幼馴染「教科書は?」


男「サークル室」

幼馴染「もう部屋の鍵持ってるの?」

男「いや、あのサークル室開っぱなんだよ」

幼馴染「なにそのサークル……」

男「サークル棟の空部屋」

幼馴染「ええ……勝手に使っていいの?」

男「知らん。空いてたから置いておいた」

幼馴染「ダメだよー。月曜日取りにいくよ?」

男「げ、まじでかー」

幼馴染「当たり前じゃん」


男「うへー……。あ、幼馴染ってサークル入った?」

幼馴染「うん。なんかースポーツなんでもサークルみたいな?」

男「なにそれ?」

幼馴染「名前のまんまだよー。その時のみんなの集まりと気分でするスポーツを決めるの」

男「ほうほう。して、男女比は?」

幼馴染「4:6で女子のほうが多いよ」

男「よし!俺もそこに入ろう!」

幼馴染「女の子目当て?」

男「そう見せかけた幼馴染目当て」


幼馴染「……え?」

男「知り合いいたほうがやり易いじゃん」

幼馴染「あーそういうことね」

男「あれ、機嫌悪くなった?」

幼馴染「男は一生荷物持ちでもしてればいいよ」

男「幼馴染専用の?」

幼馴染「そっ、それは……好きに……すれば?」

男「ふぅん、どうしようかなぁ」

幼馴染「あ!家もうすぐだよ!」

男「知ってるー部屋隣だもんねー」

幼馴染「そうだった……ほんとにほんとに隣?」

男「よーし、俺の部屋の鍵がそのリュックに入ってるから開けてみ?」


ガチャ

幼馴染「空いた……」

男「入ってみ?」

幼馴染「男の匂いがするー」

男「まじ?俺そんなに臭う?」

幼馴染「イヤな匂いじゃないよ」

男「ならいいや」

幼馴染「はい、男の部屋訪問終わりー」

男「もういいの?」

幼馴染「うん」

幼馴染(どきどきしすぎちゃうから……ね)


男「じゃー幼馴染の部屋訪問すたーとー」

幼馴染「その前に、冷蔵庫に食材入れてね?」

男「はーい」

幼馴染「こんなときは素直なんだね」

男「こんなとこで素直じゃなかったら捻くれすぎでしょ」

幼馴染「それもそうね」


男「幼馴染の匂いがするー」

幼馴染「変な臭い……?」

男「いや、いい匂い。香水とかの匂いは嫌いだけどさ。つけてないでしょ?」

幼馴染「うん」

男「だよねー。自然な匂いだよー」

幼馴染「よくわかんないよ」

男「そのまんまさ。おおー部屋がファンシー」

幼馴染「ちょ、ちょっと子供っぽいかなって思うんだけどさ……」

男「俺の何もない部屋よりはいいよ」

幼馴染「男は必要なものしかなかったね」

男「もうちょっと何か増やそうかなと思って一ヶ月」


幼馴染「あのぬいぐるみあげようか?」

男「いやいや、さすがにそれは悪いでしょ」

幼馴染「いいよ、あげるー」

幼馴染「その代わり新しいのがほしいなぁー」

男「集ってんの?」

幼馴染「毎晩の御飯と引き換えにどーですか!」

男「ふむ、良いであろう」

幼馴染「やった!」


男「で、あれはいらないの?」

幼馴染「一番お気に入りのやつだけど?」

男「え?」

幼馴染「男にならあげたいし、それに男に新しいのもらえるんならいいかなって」

男「おお、そ、そうか」

男(上目遣いでそんなこと言われたらドキってするだろ……)


幼馴染「うん……じゃ、じゃぁそろそろご飯作るね」

男「お、おう。何か手伝うか?」

幼馴染「玉ねぎ切ってー」

男「涙が出るから避けただろ」

幼馴染「いいじゃないそれくらい」

男「よっしゃ!切るぞ!」

幼馴染「ふふっ、何そのやる気ー」


男「包丁を持つのは何年ぶりかな……久しぶりだな、包丁よ」

幼馴染「嘘!?」

男「嘘だよ。じゃー切りまーす」

幼馴染「おお……意外にうまい……」

男「そうだろ?めっちゃうまいよー」


幼馴染「声を出した瞬間に崩れてく……もうぐっちゃぐちゃ」

男「おお?少し失敗したなー」

幼馴染「これで少しなの?!」

男「こんくらい序の口だろ」

幼馴染「ちょっと貸して、こうやるの」

男「は、早すぎて手がみえない……!」

幼馴染「冗談はいいから」


男「うまいな……等間隔で切れてる」

幼馴染「こんな感じで切ってねー」

男「うわーハードル高ぇ」

幼馴染「早くしてよ?もう他の材料は切れてるんだから」

男「嘘だろ!?は、はぇぇ」

幼馴染「玉ねぎは始めのほうで炒めるんだから早くー」


男「とか言いつつなんで抱きしめてくるんだ?」

幼馴染「あっえっな、なんでもないっ」

幼馴染「友達と料理するとこんな感じだから……つい……」

男「そうなのか。でも、危ないからやめような?」

幼馴染「うん、ごめん……」

幼馴染(男に抱きついちゃうなんて……私のバカ……ナイスばか!)


男「よし、切れたぞ!」

幼馴染「……及第点」

男「……さー炒めようかー」

幼馴染「あとは一人でできるからテレビでも見てていいよ?」

男「んー確かに邪魔になるだけみたいだしなぁ」

男「さっきの仕返しだけしとこう」

幼馴染「へ?あっ……だ、抱きしめるなんて……」

男「幼馴染暖かいなぁ」

幼馴染「男はおっきいね」


男「幼馴染が小さいんだよ。頭に顎が乗せられるー」

幼馴染「そーやって馬鹿にするー」

男「馬鹿にはしてないよ。小さくて可愛いって」

幼馴染「うー……」

男「ていうか、新婚みたいだなこれ」

幼馴染「!!」


男「数年ぶりに会ったのにこの親しみってなんだろうね」

幼馴染「幼馴染だから……じゃないの?」

男「小さい頃に一緒にいた人ってでかくなって会ってもすぐに親しくなれる」

幼馴染「うん」

男「幼馴染っていいね」

幼馴染「うん」

男「玉ねぎ焦げそう」

幼馴染「うん……って嘘!?」

男「じゃー俺はテレビ見てくるー頑張ってー」

幼馴染「え、ちょっと!ひどーーい」


男(あれ以上はちょっと暴走しそうだからな)

幼馴染(心臓が五月蝿すぎて料理に集中できない……)

=

幼馴染「できたよー」

男「おおー美味そう」


幼馴染「ちゃんと料理できるんだからね?」

男「食ってみないと分かんないだろ」

幼馴染「じゃぁ食べなよ」

男「はい、あーん」

幼馴染「えっ?」

男「ほら、あーんって。口開けろよ」

幼馴染「あ、あーん」

男「もぐもぐ」

幼馴染「うわ!口開けさせといて!」


男「美味しいじゃん!うちの母親よりうまいわー」

幼馴染「ほ、ほんとに?」

男「母はレトルトカレーしか作ったことないけどな」

幼馴染「比較対象変えてよ……」

男「俺の周りにカレー作れる人いたかなぁ」


幼馴染「カレーって簡単な料理じゃないの……?」

男「いや、ウチの家系が料理下手すぎるんだよ」

幼馴染「限度ってものがあるんじゃ……」

幼馴染「それに、男の家で私ご飯いただいたことあったよね?」

男「あーあれ作ったのは……誰だっけ……父か」

幼馴染「料理できるじゃん」


男「母が死ぬほど下手だからな。せざるを得なかったんだ」

幼馴染「で、男のお父さんはカレー作らなかったの?」

男「毎週のように作ってたぞ」

幼馴染「それと比べてどう?」

男「父のカレーはカレーであることを忘れるような味だったからなぁ」

幼馴染「なにそれ……怖いんだけど……」


男「味は美味しいんだけどな」

幼馴染「で、結局どっちが美味しいの?」

男「余裕で幼馴染のがうまいよ」

幼馴染「やった!」

男「そうこう言ってるうちに完食したしな」

幼馴染「早いねーさすが男の子」

男「おかわり!」

幼馴染「はいはい」


ガチャ

幼友「ばびゅーーーーーーーーーん!!」

幼馴染「!?!?」

幼友「おっ邪魔しまーーーーすぅう……う……うわ!男の子!!」

男「こんばんわー」


幼友「え、何なに!?か、彼氏?は、早いよ幼馴染!抜けがけ!?」

幼馴染「抜けがけじゃないし、彼氏じゃないし!」

男「なんだよ幼馴染、そんな嘘言うなよー」

幼馴染「ひゃんっ……!だ、抱きしめないでよ……男が出てくるとややこしくなる……」

幼友「お、お邪魔しましたーーー……」

幼馴染「ちょ、ちょっと待ってぇ!」


幼友「な、なんでしょうか……?」

幼馴染「あのね……この人はね、男って言って……

男「幼馴染の友達?」

幼馴染「え?お、男?」

幼友「は、はいそうです、彼氏サン。で、出ていきますね」


男「カレー作ったんだ、食べていきなよ」

幼友「いいんですか?」

幼馴染「お、幼友?ちょっと、ねぇ……」

男「大方幼馴染のご飯食べに来たんでしょ?」

幼友「え?な、なんでそれを……」

男「いや、普通友達の家にマイ箸だけ持ってこないでしょ」

男「今日はカレーだから箸は外れだけど」

幼友「はははーじゃぁ、お言葉に甘えて……」


幼馴染「私の話を聞いてよー……」

男「いいでしょ?」

幼馴染「まぁ……いいけど……」

幼友「もう一回、お邪魔しまーす」

男「いらっしゃーい」

幼馴染「いらっしゃーい……」


=

幼友「なるほど!男さんは幼馴染の幼馴染なんですね!」

男「そうそう。だから残念ながら彼氏ではないよ」

幼馴染「残念なの?」

男「喜ばしくも彼氏じゃないって言ったほうがよかった?」

幼馴染「それは絶対やだ」


幼友「仲いいんだねーこれが噂の男さんかー」

男「噂?」

幼馴染「ちょっとそれは言わなくていいって!」

幼友「いや、幼馴染の男の子がいるってのは聞いてたんですよ」

男「ほぅ……あ、敬語じゃなくていいよ?」

幼友「あ、はい……じゃなくて、うん」


幼馴染「幼友、さっきの続き言ったらもうご飯あげないよ?」

男「ちょーーーっと、幼馴染は黙っててねー」

幼馴染「んぐっ!んー!んー!」

幼友「後ろに座って手で口を塞ぐなんて……大胆……」

男「んで、続きは?」

幼友「あ、それは、なんかその男の子とは高校も別になったし、接点が少なすぎるんだけど」

幼馴染「んーーーー!!!んーーーーーー!!!」


幼友「忘れられなくって、また会えないかなぁって毎日のように言ってたの」

男「ほほぉ……その男の子について他に何か言ってなかった?」

幼友「中学のときは素っ気なかったけど、帰りが一緒になったらちゃんと話してくれたし、買い物にも行ってくれたりしてすごく楽しかったって」

幼友「で、いつもはカッコイイのにバレンタインにチョコあげたら真っ赤になって照れて可愛かったとか」

幼馴染「んーーーーーーーーーーーーー!!!」

幼友「高校のときの下校で一回だけ会ったときに今まで通り親しくしてくれて嬉しかったとか」

男「そんなこと言ってたんだぁー……」

幼友「あとは……」


男「すとっぷ」

幼友「へ?」

男「これ以上は俺が恥ずかしいからやめとくわ」

幼馴染「ぷはぁあああーーーーー……幼友のばか!!!!」

幼友「あうちっ!」

男「いい叩きだ……」

幼馴染「男も……ばかっ」

男「いってぇー俺にはビンタか……」


幼友「ちょっと調子に乗りすぎた?」

幼馴染「ちょっとじゃないよ!うう……恥ずかしい……」

男「でも、そんなに話してくれてめっちゃ嬉しいよ」

幼馴染「……ぅ」

幼友「いちゃいちゃすんなよーウチ悲しいぞー」

幼馴染「イチャイチャしてないよ!」

幼友「にしては親しくない?」


男「幼馴染が触り心地のいい体つきだからつい」

幼馴染「男がすぐ触ってくる。っていうか、触り心地いいって太ってるってこと?」

男「太くも細くもないってことだよ」

幼馴染「ならいいけど……」

幼友「触り易くていいなぁー楽しそう」


幼馴染「幼友はスタイル抜群じゃん」

幼友「そんなことないよ!さっき体重計ったら0.5kg太ってた!」

男「んなもん気のせいのレベルだろ……」

幼友「その気のせいが続いたら大変なことになるの」

幼馴染「それは言えてる……幼友はもうちょっとくらいなら大丈夫に見えるけどね」


幼友「幼馴染はもうちょっと太ったらぽっちゃりの仲間入りだよ?」

幼馴染「うそ!?」

幼友「うーそっ!」

幼馴染「もーびっくりした……男みたいな嘘つかないでよ」

男「俺は嘘なんて付いたことないぞ?」

幼馴染「すでにそれが嘘じゃん」

男「ばれた?」

幼馴染「ばればれー」


幼友「そういえば、男くんの学科は?」

男「幼馴染と同じだよ?確か幼友さんも一緒でしょ?」

幼友「……ああ……いたかもしれない……自己紹介で見たかも……」

男「俺は覚えてたよーめっちゃ美人がいるーって」


幼友「いやいや、美人だなんてそんな……」

幼馴染「…………」

男「俺は幼馴染みたいのほうが好きだけどね」

幼馴染「……っ!!」

幼友「幼馴染、表情変わりすぎ……わかり易いよ?」

男「俺もそれさっきコイツに言った」


幼馴染「出ちゃうもんは出るもん」

幼友「か、かわいい!抱きしめていい?男くん!」

男「ご自由にどうぞ~」

幼馴染「私の意見はー……うぎゅー」


幼友「カレーは美味しいは幼馴染は可愛いわ……ここは天国か……っ!」

男「俺は毎晩それを味わえるなんて桃源郷かー」

幼友「毎晩!?」

男「毎晩」


幼友「夜這い?」

男「夜這い」

幼馴染「いやいやややや!夜這いはナシで!」

男「ちぇー」

幼馴染「な、何、するつもりだったの?」

男「これっぽっちも」


幼馴染「はぁ……びっくりした……」

幼馴染(でも少しだけ、残念に思う私がいるんだよな……)

幼友「じゃー夜這い担当はウチがするねー」

幼馴染「しなくていいからー」

男「俺は観察日記つけるかなー」

幼馴染「いらないよね?」

男「ソーデスネ、イリマセンヨネ」


幼友「あ!今日見たいテレビがあるんだ!ウチ帰るね!」

幼馴染「あ、うん。またねー」

幼友「ばいばーい。男くんもバイバイ」

男「じゃーなー」

幼友「あ、幼馴染、明日休みだしデートにでも行ったら?」

幼馴染「ふぇ?」

幼友「ばびゅーーーーーーん!」

ガチャン


男「嵐のように来て、帰っていくんだな」

幼馴染「いっつもあんな感じだよ。でも、その代わりーとか言って色々教えてくれたり、物をくれたりするんだ」

男「面白い人だなぁ」

幼馴染「……惚れそう?」

男「友達にしたいかな」

幼馴染「ふふっ」

男「何笑ってんの?」

幼馴染「秘密ー」


男「にしても、幼友ちゃんナイスあいでーあ」

幼馴染「でーと?」

男「デート行こうか」

幼馴染「で、でも私たちまだ付き合ってないというか、付き合ってからじゃないとあれっていうか」

男「デートは付き合ってなくてもできるだろ?」

幼馴染「まぁ……そうだけど」


男「どこ行きたい?」

幼馴染「んーどこでもいいけど……男は行きたいとこあるの?」

男「見たい映画があるな」

幼馴染「じゃぁそれ行こうよ」

男「あーでも感動ものだからなー」

幼馴染「私、ボロ泣きしちゃう……」

男「泣け泣けー」

幼馴染「大人になったから泣かないもん」

男「楽しみにしてるよ」


幼馴染「ちょっと食器洗ってくるね」

男「じゃぁ幼馴染はテレビ見といて」

幼馴染「私が洗うよ」

男「料理作ってもらったのに悪いって」

幼馴染「でも、結局食材費受け取らなかったし、私作ることしかしてないよ?」

男「いいのー。そんなの霞むくらい美味しかったんだから」

幼馴染「そんなに?えへへ」

男「だから皿洗いは俺がします」

幼馴染「今日はその言葉に甘えちゃうよ」

幼馴染「でも、明日からは私も洗うから」

男「私が、じゃないんだ」

幼馴染「一緒に楽しく皿洗いしよーよ」

男「へいへい」


=

男「……寝てるし」

幼馴染「……zzz……zzz」

男「ベットに移動させてやるかな」

男「しかし……俺が出て行ったら鍵どうすんだよ……」

男「玄関前で番犬でもするか……」


ガシッ

男「お……っと」

幼馴染「だめ……もうちょっといて……」

男「起こした?」

幼馴染「寝る……でも……あとすこ……し」

男「わかったよ。ここにいるから寝なー」

幼馴染「ん…………zzz……zzz」


男「……寝たか……?」

男「幼馴染は可愛いなぁ……ほんと……会えてすげー嬉しいよ……」

男「ちょっとベタベタしすぎだとは思うけどさ……嫌がってないからいいだろ?」

男「明日、楽しみだ……」

男「好きだよ……幼馴染…………zzz」


====

チュンチュン

幼馴染「……んぁ…………」

男「……zzz」

幼馴染「……男……?……男!?!?!?!?」

男「ぉお……おはよ……」


幼馴染「おおおおおお、男がなんで!ここで!寝てるの!?」

男「すげー目覚めいいじゃん」

幼馴染「ち、違う!びっくりして目からウロコでもう!なにコレなんで!」

男「昨日、幼馴染が引き止めたんじゃん……」

幼馴染「うそ……覚えてない……」

男「ええー……酒でも飲んでたの……?」

幼馴染「飲んでないよ……」

男「じゃぁ寝ぼけてたのか」


男「昨日、お前が引き止めて、眠るの待ってたら俺も寝てた。ok?」

幼馴染「頑張って起きて自分の部屋に帰ってよー……」

男「隣だしいいじゃないか……それに、いい胸元だ」

幼馴染「え?……あっ…………!!!!!!」

パシーン

男「いたたた……目ぇ覚めた」

幼馴染「変態!変態!」


男「変態だよ……。じゃ、俺は一旦戻るわー。開けとくから適当に起こしにきてー」

幼馴染「は?二度寝するの?」

男「ちゃんとシャワー浴びてから寝ますー」

幼馴染「どっちにしろ寝るんじゃん」

男「まぁね」

幼馴染「うー仕方ないなぁ……私の準備終わったら行くから」

男「はいはーい」


===

幼馴染「……男の部屋に入らないと……」

幼馴染「チャイムって鳴らしたほうがいいのかな……」

幼馴染「あ、そしたら男の寝顔見れない……」

幼馴染「こそこそ行こうっと……」


カチャ

男「……zzz」

幼馴染「……おはよー」

幼馴染「起きない」

幼馴染「へへへ……男の寝顔ー♪」

幼馴染「そういえば、久しぶりに会ったのになんでこんなにベタベタしてくるのかなぁ」

幼馴染「私の心臓がもたないよ」

幼馴染「他の女の子にもこんな感じだったのかな……」

幼馴染「高校時代の男が知りたいかも……」

幼馴染「聞くしかないかなぁ……でもすぐごまかしそう……」


男「……zzz…………zzz」

幼馴染「そろそろ起こそうかな!」

幼馴染「男ーーー!!起きろーーー!!」

男「……おは」

幼馴染「すごい眠そう……」

男「俺も朝は強くない……」

幼馴染「でも、起きてね?映画に行くんでしょ?」

男「午後からでいいよね?」

幼馴染「だろうと思ってた……」


グイッ

幼馴染「ひゃんっ」

男「一緒に寝よう?」

幼馴染「え、へ、あ、え?うそ、へ?」

男「なーんて」

幼馴染「えー……またからかったの……?」


男「朝ご飯食べないとー」

幼馴染「ばっちり起きてるし」

男「幼馴染は朝食べた?」

幼馴染「パン食べたよ」

男「余ったカレーは?」

幼馴染「口が臭くなるじゃない」

男「そーいうの気にするんだねぇ」

幼馴染「まぁ……デートだし」


男「俺の冷蔵庫にはー……何もないからー……」

男「んー……あ!菓子パンあったー」

幼馴染「賞味期限は?」

男「1年前。もぐもぐ」

幼馴染「ええ!?な、なんでそんなの食べてるの!?」

男「あー、一年後だったわー」

幼馴染「菓子パンってそんなに日持ちよかったっけ……?」

男「本当は昨日だな」

幼馴染「ギリギリせーふだね」


男「変な味がする……」

幼馴染「もう……それもうそでしょ?」

男「いやいや本当だって。食ってみ?」

幼馴染「あーうー……はむっ」

幼馴染「もぐもぐ……変な味しないよ?」

男「えー……絶対オカシイと思ったのに……」


幼馴染「栗入り生クリーム?美味しいね」

男「……栗か……」

幼馴染「あれ?男、栗だめなんだっけ?」

男「そこに栗鼠が追加されれば好きなんだけどな」

幼馴染「栗鼠を追加??栗と……り……しね」

男「わーごめんなさーいーもう下ネタは言いませんーーー」


幼馴染「で、栗食べられないの?」

男「食えるけど……好きじゃない……」

男「これ、いる?」

幼馴染「さっき朝ご飯食べたからお腹減ってないよ……」

男「んー……じゃぁ俺の口がついたとこだけ切って、幼馴染のおやつにしよう」

幼馴染「別に切らなくてもいいよ?」

男「口にはバイ菌がいっぱいです。放置したらいいことにはならないでしょ?」

幼馴染「おおー気が利くねー」


男「一回これと同じようなことして腹壊したから」

幼馴染「経験があったんだ」

男「まぁ、今なら腹壊してもお互いに世話すればいいから安心して体調崩せるわー」

幼馴染「えーそんなに体調崩さないでよ?」

男「ここ2,3年風邪とかひいた記憶ないし大丈夫だと思うよ」

幼馴染「ならいいけど……」


男「てか、着替えたいんだけど、どうする?見ていく?」

幼馴染「み、見ていく?!」

男「そうかー幼馴染は俺の裸体が見たいのかー」

幼馴染「見ない見ない!出て行くよ!」

男「それはそれで面倒だなー」

幼馴染「じゃあどうするの……」

男「クローゼットの中にでも隠れてる?」

幼馴染「そんな一人隠れんぼみたいなことしないよ……」

男「俺が風呂場で着替えてくるわー。のんびりしといて?」

幼馴染「いいの?」

男「いいの」

幼馴染「わかった」


===

男「さーデートに行きますかー」

幼馴染「う、ん。で、デート……デート……」

男「幼馴染さ、ちょっとお洒落した?」

幼馴染「へ?」

男「いや、昨日よりも可愛いなぁって思って」

幼馴染「あー、うん。ちょっとだけ……へへ」


男「いつも遊びに行く時はそんくらいお洒落すんの?」

幼馴染「んーん。いつもはいつも通りの感じでいくよ?」

男「そうか、じゃぁ珍しい幼馴染なんだな」

幼馴染「そう、ビューティ幼馴染なのです!」

男「自分で言っちゃうの?」

幼馴染「ごめん、調子に乗りました……」


男「美人つーか可愛い系でしょ、幼馴染は」

幼馴染「子供っぽいのかなぁ……背も小さいし……」

男「そうだな。その可愛らしさにさっきからすれ違う人が何人振り向いたことやら」

幼馴染「嘘でしょ?そんなわけないじゃん」

男「はい、またひとりー」

幼馴染「私が見たときはこっち見てなかったー」

男「見られてるって気づかれないように見るに決まってるじゃん」

幼馴染「うー絶対うそだー」


男「見るだけなら害はないからいいかー」

幼馴染「ねーえーさっきの本当に本当なのー?」

男「残念ながら?喜ばしながら?本当だよ」

幼馴染「嬉しいけどちょっと怖いかも」

男「俺がいるから怖くはないよ。安心してドヤ顔でもしてなー」

幼馴染「どやっ」

男「可愛い可愛い」

幼馴染「なでんなー……!」


男「小さいころは俺がなでられてたから仕返しだ」

幼馴染「そうだったねー。幼稚園だっけ?泣き虫だったもんね」

男「そうそう幼稚園。あん頃はずっと泣いてたな」

幼馴染「私のほうが強かったもんね」

男「ジャンケンだけは弱かったけどな」

幼馴染「あれはー……運が悪かっただけだもん」


男「じゃぁジャンケンしてみるか?」

幼馴染「いいよー!勝つから!」

男「普通にしても面白くないし、負けたら映画奢りでいい?」

幼馴染「うぇ!?」

男「勝てるんだろ?」

幼馴染「勝てるよ!」

男「なら賭けてもいいよな」

幼馴染「うぐっ」


男「はい、じゃーんけーん」

「「ぽんっ」」

幼馴染「勝ったあーーーーー!!!」

男「うわ……負けた……」

幼馴染「ほらほら!勝ったじゃん!」

男「昔はいつも始めはチョキ出してたのに……」

幼馴染「そうだったの?!」

男「だから俺は連勝してたんだよ……年が経ったってことかー」

幼馴染「ずるじゃん!ずるじゃーーん」

男「へいへい、ズルしてましたー」

男「でも幼稚園のころだよ?もう時効でしょ」

幼馴染「それもそうかもねー」


男「はー映画奢りかー」

幼馴染「別にいいよ?昨日もいっぱい奢らせちゃったし」

男「言い出したんだからちゃんと払うよ」

幼馴染「でも……」

男「金の心配ばっかしてるとハゲるぞー」

幼馴染「は、ハゲないよ!女の子だもん」

男「女でもハゲる人はいるんだよ」

幼馴染「うそぉ……やだぁー」


男「幼馴染って昔からそんな髪型だったっけ?」

幼馴染「前はロングだったよ?」

男「あれ?そうだっけ……」

幼馴染「小さいときのこといっぱい覚えてるのに容姿は覚えてないの?」

男「なんか……んー……容姿なんかより中身を好きになったからなぁ……」

幼馴染「ふぇ?す、好き!?」

男「あ、いや!と、友達としての好きな!?」

幼馴染「ああ……友達かー」

男「うん……」


幼馴染「い、今の私の髪型どう?」

男「すごい似合ってるし、可愛いよ」

幼馴染「やったぁ!」

男「黒髪ショートか……染めなかったんだ?」

幼馴染「染めたらお金もったいないじゃん?」

男「幼馴染ってお金大好き?」

幼馴染「なんで?」

男「お金のことばっか考えてる気がする」


幼馴染「違うよー。一人暮らし始めたらお金のこといっぱい考えないといけないから、ね」

男「あー確かにそうかも」

幼馴染「男は適当なのに何故かうまくやり繰りできそう」

男「最終的に幼馴染がうまくまとめてくれると信じてる」

幼馴染「私?!」

男「俺、そういうの苦手だしさ……」


男「あ、映画館着いたー」

幼馴染「逃げた逃げた逃げた」

男「ほらほら、もうすぐ上映開始だぞ。早くー」

幼馴染「わかったからー」

幼馴染(男はどう……私のことどう思ってるのかな……)


===

幼馴染「ひぐっ……よかったねぇ……ぐすっ……」

男「ああ……うっ……よかった……ずずっ」

幼馴染「あえ?お、男も泣いでるじゃん……すんっ……」

男「うるぜぇよ……泣くどきは泣ぐんだ……ぐすっ」

幼馴染「間抜け顔ー……」

男「幼馴染だってメイク崩れてるー……」

幼馴染「え、うそ?」

男「うーそ。そもそも対してメイクしてないだろ?」

幼馴染「うん」


男「いい映画だったなぁ……」

幼馴染「こんな感動できる恋してみたいな……」

男「今は恋してないの?」

幼馴染「してるよ……。男は?」

男「……してる」

幼馴染「私の知ってる人?」

男「一番知ってるけど一番知らない人」

幼馴染「どうゆう意味ー?」

男「そういう意味ー。幼馴染のほうは?俺が知ってる人?」

幼馴染「んっとね……すごく知ってたり、でも知らないこともあるかも」

男「同じような答えじゃん」

幼馴染「ほんとだね……ふふっ」


男「あ、目がちょっと赤いよ」

幼馴染「映画で泣いたからね。男だって赤いよ?」

男「嘘ー。かっこわるいかなぁ」

幼馴染「感情を露わにできる男の人は好まれるんだよ?」

男「もうちょっと目を赤くするかー」

幼馴染「こすったらダメだよ?」

男「ちぇー」


幼馴染「そういえばこの後どうするの?」

男「あー……喫茶店は昨日行ったしー御飯には早いしー」

男「いい天気だし、その辺の公園でも行こうか?」

幼馴染「うわー楽しそう!行こ行こっ!」

男「お、テンション上がってるねぇ」

幼馴染「砂場あるかなぁーすっなばぁー」

男「砂遊びしたいの?」


幼馴染「なんか懐かしくない?」

男「まぁ、懐かしいけどね」

幼馴染「でしょでしょー?」

男「服汚れるぞ?」

幼馴染「……ブランコでもしよっか」

男「あれ?砂遊びはしなくていいのか?」

幼馴染「いいの、あれはもう飽きた」

男「ははっ、まだ始めてすらないのに飽きたのか」

幼馴染「そうなの」


男「いいよ、ブランコとベンチで膝枕な」

幼馴染「男がしてくれるの?」

男「してほしいのか?」

幼馴染「うんっ」

男「俺もしてほしいから、交代でしような」

幼馴染「へへへー」

男「本格的にこれは恋人だな……」

幼馴染「ん?何て言った?」

男「なんでもねーよ」


幼馴染「うん?あ、ブランコ空いてるよー!」

男「ちびっこは昼寝の時間なのかな」

幼馴染「ちびっこはお昼寝しないと体力持たないもんね」

男「幼馴染もちびっこだけどな」

幼馴染「私はお昼寝いらないもんねー……ふぁーーーぁ」

男「欠伸してんじゃねーか」


幼馴染「男が昼寝とか言うから眠くなってきた」

男「先に膝枕するかー」

幼馴染「さんせー!早く座ってー」

男「ほら、来いよ」

幼馴染「し、失礼しまーす……」


男「どう?」

幼馴染「ちょっと硬いかも……でも、すごくいい気持ち……」

男「そっか、よし。寝るんだ」

幼馴染「ん……おやすみ……」

男「おやすみ」


===

幼馴染「はっ!お、おはよう!」

男「……zzz」

幼馴染「なんだよ男も寝てるじゃん」

幼馴染「あ、上着かけてある……優しい……」

幼馴染「でも男が風邪ひいちゃうよー?」


幼馴染「男ー起きてー」

男「んぁ?ああ……悪い……俺も寝てたか」

幼馴染「上着、ありがとね」

男「あー、風邪ひかれたらたまんねーからな」

幼馴染「男が引くんだからー」

男「俺は元気の子だから余裕」

幼馴染「意味わかんないよ」


男「あ、ブランコちびっこに取られてるな」

幼馴染「人が増えてるね」

男「あそこのお母様方がこっち見て話してる……」

幼馴染「会話の内容が簡単に予想できそうだね……」

男「今日は帰ろうか」

幼馴染「うん」


===

幼馴染「おはよー」

男「おは……」

幼友「元気ないぞー!男くん!」

男「月曜の朝は憂鬱なんだよ」

男「幼友は元気すぎるくらい元気だな」

幼友「あの時は驚きすぎて物怖じしてたからね!これからはこんな調子だよ!」


幼馴染「男、授業中に寝たらだめだよ?」

男「母親かっ!」

幼馴染「お母さんは授業中に寝たらダメーなんて言わないと思うけど……?」

男「ああ……授業風景なんて見てないもんな……そうだな……」

幼友「ツッコミにキレがないじゃん!」

男「ツッコミ専門じゃねーよー」


幼馴染「私がボケでー男はボケー」

幼友「誰が突っ込むの!?」

男・幼「「幼友」」

幼友「えぇーーーーーー……!!」

幼馴染「ふぁいとー」


男「美人でツッコミできたら世界狙えるぞー」

幼友「なんで世界を狙わないといけないのぉー」

男「それは自分で考えるに決まってるだろ……?」

幼友「二人とも『何言ってるのこの人?馬鹿じゃないの?』って目で見ないでーー!」

幼馴染「えへへ」

男「あはは」

幼友「もういいよぉ……。授業はじまるし……」

幼馴染「またね、男ー」

男「おー」


=

モブ「なぁ男?!」

男「んだよ、授業中だろーが」

モブ「いいんだよ、この授業くそ簡単だし」

男「そうだな、おやすみ」

モブ「ちょっと待てェェェい」

男「なに?」


モブ「なんで急にこのクラス一の美人の幼友ちゃんとクラス一可憐な幼馴染ちゃんと親しくしてんの?!」

男「俺は主人公でお前はモブってことだよ……」

モブ「頭イカレたか?」

男「えっとなぁ、三人で幼馴染の家で晩飯食ってから仲良しだ」

モブ「いろいろとオカシイぞ……」

男「必然だろ?」


モブ「泣いていいか?」

男「先生の豊満な胸で泣いてこい」

モブ「そうだな……ってこの授業の先生はババァだよ!!」

先生「モブくん、課題二倍ね」

モブ「おうふ……」


男「ご愁傷様。あとあの先生はまだお姉さんで通るよ、このロリコン」

先生「男くーん、課題ちょっと手を抜いてもいいわよー」

男「どや」

モブ「こんにゃろぅ……」

男「ガンバレー」

モブ「うっせーわー」


=

幼馴染「男ー、学食行こうー」

男「おおいいぞー。ってわけだ」

モブ「いいよ……俺は一人でパンでも食ってるよ」

幼友「いいじゃん!一緒に食べようよー!」

モブ「え!ほんとに!?」


男「2,3席離れてな」

モブ「それじゃあ他人だろ!」

幼馴染「2,3席じゃな足りないんじゃない?思い切って10席くらいが丁度いいんじゃないかな」

モブ「……」

幼友「こういう人らでも一緒に食べたい?」

モブ「何席離れれば……?」

幼友「ざっと100席かな」

モブ「ぅおおおおおおい!!!」


幼馴染「わ、びっくりした」

男「急に大声出すなよ」

幼友「発狂したの!?」

モブ「もういいっす……」

男「冗談だよ」

幼友「そーそー!一緒に食べてあげるから!」

幼馴染「そうだよー」

モブ「……くぅ……ありがとう……」


=

モブ「へぇー!幼馴染ちゃんは男の幼馴染だったんだね」

幼馴染「そうだったのー」

男「びっくりだよなぁ」

幼友「あんまり驚いてるように聞こえないよ!」

男「だって入学してすぐ気づいてたし」

幼馴染「3日位前にようやく話したし」

男「もうビックリし飽きたよな」

幼馴染「ねー」


幼友「息はぴったり、と」

モブ「俺と息を合わせてみる?」

幼友「ごめん!無理!あはっ」

モブ「……no……」

幼友「私には幼馴染がいるから!」

男「えー」


幼友「もちろん幼馴染は男のものだよ!」

幼馴染「お、男のものって……照れるよ……」

男「よーし、じゃぁ水くんでこーい」

幼馴染「メイドさんじゃないよぉー」

モブ「とか言って本当に水をとりに行くんだな」


モブ「付き合ってんの?」

男「いや、全然」

幼友「告白はしないの?」

男「久々に会ったからなぁ……もう少ししたら……かな」

幼友「他の誰かに取られないようにね?」

男「取られるどころか近づけねーよー」

モブ「かっこいいなぁ、男のくせに」

男「くせに、ってなんだよ」

モブ「僻みだよ、僻み」


男「モブは仲のいい女子いねーの?」

モブ「幼友ちゃん」

幼友「却下」

モブ「幼馴染ちゃん」

男「却下」

モブ「……いません……」

幼友「どんまーーい!」

モブ「くそぅ……」


幼馴染「何の話ーーー?」

男「モブは友達がいないって話」

幼馴染「かわいそうな人だったんだね」

モブ「何!?女友達どころか男友達も消えただと!?」

幼馴染「……そういうこともあるよ……?」

モブ「哀れんだ目で見るなぁぁあ」


幼友「正直、幼馴染とご飯食べられてる時点で友達なんていらないでしょ?」

男「幼馴染と幼友だろ」

モブ「はい!友達イリマセン!」

幼馴染「幼友はともかく、私はそんな人じゃないよー?」

男「一番可愛いくせに何を言う……」

幼友「ほんと!私がお嫁にもらいたーーい!」

幼馴染「じゃぁ幼友がお婿さん?たのしそー」


モブ「俺はペットでもいいので!!」

男「せめて人間にしろよ……捨てるなよ……」

幼馴染「男はー……んー……愛人?」

幼友「また変な役にしたね!」

男「複雑な心境だ……」

モブ「ペットよりマシじゃん」

男「自分で選んだろ、それ?」

モブ「せやな」


幼友「あ!結構時間やばい!」

幼馴染「あー本当だー」

男「いそげー」


===

幼馴染「今日の夜ご飯何にする?」

男「なんでもいいよ」

幼馴染「それは困るよー」

男「幼馴染スペシャルでー」

幼馴染「なにそれー」

男「幼馴染の得意料理を詰め込んだご飯」

幼馴染「またカレーになるよ?」


男「今日はハンバーグにしよう」

幼馴染「子どもの好きな料理ばっかりだね」

男「幼馴染といると昔のことばかり思い出すからかな」

幼馴染「……今は見てくれないの……?」

男(そんな、上目遣いで悲しそうに言われたら……ああもう心臓が鳴り止まない)

男「今ももちろん見るよ」


幼馴染「なら良かったぁ。ちょっと心配になったんだから」

男「なんで?」

幼馴染「え、あーなんでって言われると……あはは……恥ずかしい」

男「恥ずかしいって何考えてたんだよー気になるじゃーん」

幼馴染「やぁー、抱きつかないでよー歩きにくいじゃんー」

男「いいのいいの」


幼馴染「よくないよー付き合ってもないのに……これじゃ、か、彼氏彼女みたい……」

男「それもそうだな」

幼馴染「あれ?離れるの?」

男「自分が離れろっていったくせにー」

幼馴染「まぁそうだけど……」

男「ほら、早く帰るぞー!ハンバーグが待ってる!」

幼馴染「待ってはないよーー私が作るんだからねーー」


==

幼馴染「ーーー♪ーーー♪」

男「ノリノリだなぁ」

幼馴染「料理たのしいもん」

男「俺も料理楽しいとか言ってみてぇ……」

幼馴染「一緒にすれば楽しいんじゃない?」


男「じゃぁこうすればいいの?」

幼馴染「きゃぁ……なんで抱きつくの……」

男「好きだから……?」

幼馴染「ぁ……耳元でそ、そんなこと……恥ずかしいんだって……」

男「俺さ……」

幼馴染「うん?」


男「……やっぱなんでもねー」

幼馴染「えー気になるじゃん」

男「また今度言うよ」

幼馴染「ぶーぶー」

男「ぶーいんぐするなって」

男(なんであそこまで出来て……告白できねーんだよ……)

男(やっぱり怖いんだ……幼馴染とこのままの関係でいたくて……壊したくなくて……)


幼馴染「男?」

男「んっ?!あ、何?」

幼馴染「顔が怖いよ?笑ってー」

男「ほい、ほっへひっはるな……」

幼馴染「何言ってるかわかんなーい」

男「ふるへー」


幼馴染「ご飯できたよ?」

男「おお?いつのまに……」

幼馴染「男が考え事してるからでしょー」

男「んあーごめん」

幼馴染「いいよ、寛大な幼馴染ちゃんは許すー」

男「幼馴染様ー」

幼馴染「ひかえおろー」


男「さ、ご飯食べよ」

幼馴染「ここで放置なんてヒドイっ」

男「ご飯冷めるじゃんか」

幼馴染「確かにそうだけどー」

男「折角幼馴染がうまい料理作ってくれるんだからな、美味しいうちに食べないと」

幼馴染「うまい料理って……」


男「やっぱ美味いわ……もぐもぐ」

幼馴染「へへ……ありがと」

幼馴染「きゃっ」

男「おいおい、水こぼすなよ……」

幼馴染「ごめんねっ……。いま雑巾持ってくる!きゃぁっ」

ドッターン


幼馴染「ご、ごめん……」

男「滑り転んで俺の上に乗っかってくるとはな」

幼馴染「ごめんね……」

男「よかったよ、床とかに転んで怪我しなくて」

幼馴染「うん……あ、あ、の、そろそろ離さない?顔がちょっと……近いかな……」


男「……やだ」

幼馴染「え?あ……ん……ちゅっ……」

男「ごちそうさま」

幼馴染「え……え?え?え、えええええええーーーーーー!!!」


幼馴染「なななな何できっ、きききキス!?え、あれ?え、ええ!?」

男「……つ、つい?」

幼馴染「あ、あ、え、あ……ぞ、雑巾とってくる!!!」

男「お?ちょ、ちょっとー」


=

幼馴染(今!!!キスされたんだよね……!ど、どうしてっ……)

幼馴染(私の気のせいとか!そういうことじゃないよね?え?な、なんで!?)

幼馴染(も、もしかして抱きつくとかそういう感覚!?え!?男って日本人だよ!え?)

幼馴染(なんで?!どうして!?どういうことなの!?)

幼馴染(あ、なんか……意味わからなさすぎて涙でてきた……)

幼馴染(心臓はバックバクだし……もう何なの……男ぉ……)


=

男「やっちゃった……」

男「あんな近くに顔があったらキスしちゃうでしょ……」

男「幼馴染だからだけど……あーファーストキスだったよなぁ……俺はもちろん……たぶん幼馴染も……」

男「自分で自分がわからないわ……言葉よりも行動が先にでる……」

男「幼馴染の唇……すげぇ柔らかかった……味はハンバーグで甘酸っぱくなんてなかったけど……」


=

男「幼馴染?」

幼馴染「ふぇ?お、男?」

男「あ……泣いてたのか……」

幼馴染「う……うん」


男「ごめん……突然キスなんてしちゃって……ぼ、暴走したっていうか何ていうか……」

幼馴染「……うん……ファーストキス……奪われた……」

男「ほんとゴメン……好きな奴としたかったよな……」

幼馴染「した……けど……」

男「え?なんて言った?もっと大きい声で言って?」

幼馴染「なんでもない……わざと聞こえないように言ったの」

男「そうか……ごめんな……」


幼馴染「もう謝んなくていいよ?ちょっと泣いて整理したかっただけだから」

男「そっか……」

幼馴染「あ、床拭かないといけなかったね……」

男「大丈夫、俺が拭いといたから」

幼馴染「ありがと……」


男「……」

幼馴染「……」

男・幼「「あのさ」」

男「あ、先に言ってよ」

幼馴染「ううん、男が言って?」


男「いや、結構……その……真剣な話だから後でいいよ」

幼馴染「じゃぁ、先に言うね?」

幼馴染「……あのさ……今日はもう帰ってくれない?」

男「え?」


幼馴染「心の整理がつかないの……男の顔もまともに見れないし……」

男「……そっか、そうだよな……」

幼馴染「ごめん……で、話って?」

男「いや、こういう感じでする話じゃないから……」

幼馴染「わかった……じゃぁ、また明日、ね」

男「おう」


=

幼馴染「ちょっと冷たい感じになっちゃったかな……」

幼馴染「でも、ホントに男の顔見れなかったし」

幼馴染「……なんで……キスなんてしちゃうの……」


===

男「お、おはよ」

幼馴染「……おは」

幼友「んー?二人とも元気ないぞ!?どうしたの!」

幼馴染「なんでもないよ」

男「そうだぞー」


幼友「……なんか……違う!喧嘩でもしたのー?!」

男「喧嘩はしてねーよ」

幼友「喧嘩『は』してないんだね」

幼馴染「それ以外だって……何も……ないし……」


幼友「歯切れ悪い!何かあったなら相談してよ?」

幼馴染「うん、わかった」

モブ「男も相談したっていいんだぞ?」

男「あれ?いつのまにいたの?」


モブ「幼友ちゃんと一緒に来てたんだよ!」

男「まさかもう……」

幼友「こんなやつと付き合うわけないから!ただちょっと話ししてただけ!」

モブ「こんなやつって……」

男「すこし焦ってるぞ……?モブ、もしかしたらこれはチャンスかもしれない……!」

モブ「なんだって!!」


幼友「きもい」

モブ「お……っとぉ……」

男「どんまいっ!」

モブ「にこやかに言うなよっ」


幼友「あっそう言えば今日日直だ!」

モブ「頑張れーー」

幼友「教務室からプリント運ぶの面倒だよー……」

男「手伝おうか?」

幼友「いいの?じゃぁ頼んじゃうよー!」


幼友「あとー、幼馴染はポーっとしてないで起きてよー!」

幼馴染「ん?え?なに?」

幼友「話聞いといてよー!」

幼馴染「ごめん……」

幼友「まぁいいやー。じゃ、行くよ男!」

男「うーい」


=

幼友「ね、何したの?」

男「幼馴染のこと?」

幼友「当たり前じゃん。なんか今日ぼーっとしてるし、男を避けてるように見えるの」

男「まだ朝だぞ?眠たいだけなんじゃないのか?」


幼友「幼馴染とは高校から一緒なの。さすがに眠たいかどうかくらい分かるよ」

男「なるほどな、地元一緒だったのか」

幼友「そうだね。でもそれは今関係ない」


男「わかった、言うよ。幼馴染にキスをしたんだ」

幼友「なーんだキスか……って、ええ!?」

男「暴走した」

幼友「確認だけど、付き合ってないよね?あと、その先やってないでしょうね?」

男「付き合ってないし、その先はしてない」


幼友「ううーん……キスかぁ……告白は?しなかったの?」

男「しようとしたら、気持ちが整理できないから帰ってって言われてできなかった」

幼友「それは……どうすればいいんだろ。早めに告白するか、土下座するかしか思いつかない」

男「早めに告白するよ」


幼友「やっぱり男くんは幼馴染が好きだったんだね」

男「ずっと好きで、忘れられなくてさ」

幼友「素敵だね」

男「そうかな?もし大学がちがってたら絶対にもう出会うことはなかったと思うよ?」


幼友「出会えた、それが事実だよ。現実にもしもなんてないから」

男「そうだけどさ……」

幼友「まぁ頑張ってね!応援してるよ!」

男「おう……」


=

モブ「幼馴染ちゃんはさ、男が好きなの?」

幼馴染「ふぇ!?な、何言ってるのモブくん!?」

モブ「違うの?」

幼馴染「違う……くないけど……」


モブ「今日は何があったんだよ?気まづそう」

幼馴染「う……何もない……」

モブ「嘘だ。目が動きまくってるぞ」

幼馴染「うう……じゃぁ言いたくない」


モブ「あーそれでもいいや。その責任はどっちにあるの?」

幼馴染「……私かな……突き放すようなこと言っちゃったし」

モブ「ならさ、早く元通りになるようにしなよ」

幼馴染「……」

モブ「自分に問題があるって分かってるなら早く元に戻さないと意地張って悪い方に進むよ?」

幼馴染「うん……」

モブ「俺もそういう経験あるからさ……がんばれ!」

幼馴染「うん……ありがとね」


=

男「幼馴染帰ろうー?」

幼馴染「……うん。またね、幼友」

幼友「ばいばーい」

モブ「ばいー」

男「じゃーな」


モブ「よし、幼友一緒に帰ろうぜ!」

幼友「あ、女ーーー!帰ろうーー!!!」

モブ「……」

男「帰ろ?」

幼馴染「うん」

男「……」

幼馴染「……」






男・幼「「あのさ!」」

男「……ははっ。またかぶったな」

幼馴染「ほんとだね」

男「いいよ、先に言って」


幼馴染「ううん、昨日は私が先立ったから今日は男が先」

男「わかったよ。あのさ……あー……えっと……」

幼馴染「ん?」

男「えっとな……うー……あー……えー……」

幼馴染「そんなにうーあー言ってたら分からないよ」


男「ちょっと、一回手つないでいい?」

幼馴染「え?言いたいことってそれ?別にいいよ」

男「違う、言いたいことは別にあって……ただ、勇気でないから、幼馴染から貰おうかと」

幼馴染「私に言うのに私から勇気もらうの?変なのー」

男「うるせー。ほら、手出して」

幼馴染「はいどうぞ」


男「柔らかくて、小さくて、暖かいな」

幼馴染「男のも暖かいよ。大きいし、ちょっと硬いけど」

男「よし!言うぞ!」

幼馴染「うん」

男「あのさ、俺は……さ。幼馴染のことが……」















男「……好きなんだ」


幼馴染「…………へ?」

男「だから、好きなんだ!」

幼馴染「え、そ、それってどういう……?」

男「女の子として。愛だよ……好きなんだよ……」

幼馴染「ふ……ぁ……ぇ……ほ……ほんとう?」

男「ホントにホントに……大好きだ」


幼馴染「あ……あ……あの……昨日はごめん!」

男「はぁ?」

幼馴染「あぁ……違うの……もう頭がもうゴチャゴチャで……あぁ……」

幼馴染「で、でも昨日は……すぐに帰らせちゃって……ごめん……」

男「いや、あれは俺が勝手にキスしたせいだからいいけど……」

幼馴染「うう……」


男「告白の返事がそれ?」

幼馴染「ぅあ……あの……わ、私……も……その……えっと……」













幼馴染「す……好き……」


男「……」

幼馴染「何か言ってよぅ……」

男「好きだ、俺も好きだ……よかった……よかったぁ……」

幼馴染「私もよかったぁ……離れちゃって……絶対に好きに思われてないって……思って……」

男「それは俺も一緒だよ……好きだったのに告白もできずに離れて……ずっと後悔してた」


幼馴染「おとごぉ……ひぐっ……ぐすっ……うゎぁあぁぁぁあぁあん!」

男「お、幼馴染……」

幼馴染「両想いなんだよね……ぅうっ……恋人になれるんだよね……」

男「ああ……恋人になって……ちゃんと手もつなげるし、抱きしめられるし、キスも……できるよ」

幼馴染「うん……っ!……好きだよ……男……いっぱい……抱きしめて……?」

男「もちろん、幼馴染好きだ……」

幼馴染「えへへ……」


===

モブ「何?もう付き合ってるの?」

男「ああ」

幼友「早めにとは言ったけど……当日なんて聞いてない!」

幼馴染「あはは、ごめんね」


モブ「爆発しろーーー!!!こんにゃろう……!!」

幼友「ほんと……でも、幼馴染が幸せになれてよかった……ありがと、男」

男「もともと好きだったんだから、感謝なんていらねーよ」

男「それにさ……これ以上幼馴染を幸せにするから、まだ安心したらダメだよ」

幼馴染「え!?そこは安心しろって言うんじゃないの?」

男「……そんな自信ねーよー。でも、尽力する」


幼馴染「ならいいよ!幸せにしてね?」

男「ああ、当然だろ。何年だって隣にいて幸せにしてやる」

幼馴染「うん!」



おわり

最後急ぎ足で、急展開っぽかったですが終わりです

お目汚し失礼しました

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