男「ついに手に入れたぞ……メイドロボ!!」 (92)

男「時は近未来」

男「男達の夢、希望……それらを叶えるロボットがついに発売された!!その名も!!」


男「メ イ ド ロ ボ !!」


男「男達はメイドロボを手に入れる為、金を稼ぎ稼ぎ、そして稼ぎまくった……」

男「驚くべきことに、世界の男性若年無業者数……かいつまんで言えばニートが8割減!!8割ものニートが夢を追いかけるために部屋から飛び出したのだ!!」

男「世はまさに、大メイド時代!!」

男「そして今!!俺はその最先端モデルのメイドロボを手に入れる事が出来た、幸せの絶頂にいるうちの一人だったのだ!!」

男「……だったのだ……」


メイドロボ「ゴ主人様ー」ドスドスドス


男「……」

男「俺の目の前にあるドラム缶は一体何なんだ」




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1439907376

メイドロボ「イカガナサイマシタカ?ゴ主人様?」

男「……一つ聞いてもいいかな?」

メイドロボ「何ナリト、オ申シ付ケクダサイナノデス」

男「俺がプレゼント応募して当選したメイドロボはこんな感じだったんだけどなー?」ピラッ

メイドロボ「……」

メイドロボ「……」

メイドロボ「ドコカ、違イマスカ?」キャルルーン☆

男「今の間は何だ」


男「いいか!?まずは頬ずりしたくなる愛らしいぷにぷにの顔!!」

メイドロボ「頬ニハ シリコン ガ詰メラレテイマス、プニプニデス。ソレニ、トッテモ愛ラシイ愛嬌ノアル満点ノ笑顔ナノデス」

男「メタリックなロボ顔にしか見えんわ!!しかも今時長方形の目に真四角の口ってなんだよ!?」

メイドロボ「ロボット ノ デフォルトフェイス ナノデス」

男「阿呆!!次ッ!透き通るような白くか細い手足!!」

メイドロボ「スケルトン トハ行キマセンガ、白系ノ塗装ヲ施シタ36関節カラナル細イ多関節万能アーム&レッグ ナノデス。シカモ伸ビマスヨ」

男「つーかそれ以前にまともな手の形してねーじゃねか!!Cの形したレトロな手ってなんだよ!」

メイドロボ「アタッチメント デ別ノ手ニ差シ替エモ出来マス」

男「知らん!次ッ!なんだそのドラム缶ボディは!!俺が当選したメイドは小柄なロリロリ少女だったぞ!!俺よりデカいぞお前!?これでもどこが違うとか言えるのか!?」

メイドロボ「……誤差ノ範囲内ナノデス」

男「……」ガンガンガン

メイドロボ「イタイ!イタイ!響ク!ヤメテ!!」


男「まったく……えっと、ここの会社の電話番号はっと……」

メイドロボ「ナ、何ヲナサルオツモリデスカ!ゴ主人様!」

男「交換するんだよ交換!まったく、こんな間違ったもんが家に届けられたなんてとんだ災難だ」

メイドロボ「ソ、ソンナ……」

男「いいか?お前はここへ来るべきロボットじゃなかったんだ。ゴーバックホームだ、OK?えっと、有限会社ナツァリア……これだな」


メイドロボ「ウウ……」

trrrr ガチャッ

男「あ、もしもし?すみません、今プレゼントの当選でメイドロボが届いたんですけどなんか別の物が……」


「この電話番号は現在使われておりません」


男「……」

メイドロボ「……」ニヤ

男「おいお前今笑ったか?」

メイドロボ「イエ、滅相モアリマセン」


メイドロボ「ゴ主人様、マズハ落チ着イテクダサイ。ゴ主人様ノ ゴ注文シタ ロボット ノ型式ト私ノ型式ヲ確認シテクダサイ」

男「RCN VA-000」

メイドロボ「ハイ、マサシク私ナノデス!!他ニ紙ニ何カ書カレテイナイノデスカ?」

男「……」ピラッ

※画像はイメージです☆
実在のものとちょこっとだけ異なるかもね☆

メイドロボ「超小サク書カレテイマスネ」

男「……」ガンガンガン

メイドロボ「響ク!!響ク!!」


男「……なんだ、俺は騙されてこんなものを押し付けられてしまったのか」

メイドロボ「オヤ?私ハ プレゼント ノ応募デ手ニ入レタノデハナカッタノデスカ?ソンナ騙サレタナンテ……」

男「……知らねぇのかよ、特注モデルのプレゼントで金も要るんだよ。入金したよ……ほれ、明細書だ」

メイドロボ「マタマタァ~」ピラッ

メイドロボ「……」

メイドロボ「私ッテ凄ク価値ガアルノデスネ☆」

男「……」

メイドロボ「ヤメテ!!ハンマー ハ不味イデスッテ!凹ム!!凹ム!!」


男「ああもう……最悪だ……」

メイドロボ「……」

メイドロボ(ご主人様が落ち込んでいる……!こんな時にフォローするのがメイドのお仕事!!なるべくご主人様を傷つけないように親しげに……)

メイドロボ「マ、ソンナ時モアルッテ!元気出シナ☆」シュピーン☆

男「……」メキメキメキメキ

メイドロボ「ギャアアアアアアアアアアアアア!!腕ガ!!腕ガ千切レルゥゥゥゥゥゥゥ!!」


男「はぁ~……」

メイドロボ「ソウ露骨ニ溜息ヲツカナイデクダサイ。私モ落チ込ミマス」

男「テメェのせいだよテメェの……あーあー、どうすっかなコレ」

メイドロボ「分カリマシタ、コノ件ニツイテハ ゴ主人様ダケデナク私ニモ少シクライは責任ガアリマス」

男「うん、俺悪くなくね?」

メイドロボ「シカシ ゴ安心クダサイ!私ハ今後、ゴ主人様ニ仕エル パーフェクトメイド トナッテサシアゲマショウ!!」

男「えー……」

メイドロボ「現実ニ向キアッテクダサイ!!ナイモノ強請リシテモ仕方ガナイノデス!!」

男「そりゃそうだけどさー……」



こうして、俺と謎のドラム缶との共同生活が幕を開けたのであった……


男「それで?」

メイドロボ「ハイ」

男「お前は何が出来るんだ?」

メイドロボ「漠然トシタ質問ハ オ答エシ辛イノデスガ……ソウデスネ、家事全般ハバッチリデスヨ」

男「そんじゃあ何か飯作ってくれよ、騒いでたら腹減っちまった」

メイドロボ「了解ナノデス。デハ食材ヲコチラニ入レテクダサイ」パカッ

男「頭外れるのかよ気持ち悪い」


男「どうやって料理するんだよ……」

メイドロボ「私ニハ自動調理システム ガ搭載サレテイマス」

メイドロボ「入レタ物ニヨッテ、数百トアル レシピ カラ最モ近イ物ヲ選択シ、自動デ調理スルノデス!」

男「ほー、便利なもんだな。じゃあコレとコレとこれと……」ガコガコガコ

メイドロボ「チャント二人分入レテクダサイネー。私モ食ベマスカラ」

男「お前その成りで俺と同じものを食う気か!?」

メイドロボ「人間ニ限リナク近ク作ラレテイマスノデ」

男「どこが?」

メイドロボ「トモカク、食ベテソノママ エネルギー ニ変換シマス」

男「食費は据え置きか」

メイドロボ「電気ヤ液体燃料デモOKデスガ、食事ヨリモオ高イデスヨ」


メイドロボ「デハ調理ヲ開始シマス、10分程オ待チクダサイ」ウィーン

男「ん」

メイドロボ「……」ゴウンゴウン

男「……」

メイドロボ「…」ゴウンゴウン

男「……」

メイドロボ「……」ゴウンゴウン

男「待機中は他の事出来ないのか?」

メイドロボ「あ、そこの漫画読んでもいいんデスか?」

男「 違 う 」ガンガンガン

メイドロボ「イタイ!イタイ!!ヤメレ!!」


男「つーか今普通に喋らなかったか?」ゼーハーゼーハー

メイドロボ「気ノセイナノデス。シカシ ゴ主人様、例エ メイドロボ ト言エド、一ツノ事ヲシナガラ別ノ作業ヲスルナンテ芸当ハ出来マセン!」

男「完全に両手が空いてるじゃねーか、掃除でもしろよ!ほら掃除機!!」

メイドロボ「掃除ハ掃除デ私ノ機能ノ 一ツ ニチャント存在シテイマス!」

男「じゃあその機能を使ってくれよ」

メイドロボ「調理機能トノ競合ガ不可能ナノデス。シカシ、掃除機ヲ使ウヨリモズット早ク終ワルノデ分ケテ行動シタ方ガ効率ガ良イノデス!」

男「ったく、微妙な働きっぷりだな。わかったよ、じゃあ今は調理に専念してくれ」

メイドロボ「了解ナノデス」ゴウンゴウン

男「……」

メイドロボ「……体内ノゴミ保管場所ト食材加工場所ガ同ジダカラ同時ニ使エナイダケデスケドネ」ボソッ

男「今 な ん つ っ た ?」


チーン


男「完成したな」

メイドロボ「マタ殴ラレタ……」ジンジン

男「まったく、これで碌なもん作られてなかったらお前粗大ゴミに出すぞ」

メイドロボ「ゴ安心ヲ、私ノ機能は保障サレテオリマス故」

男「……」

メイドロボ「……」

男「で、料理はいつ出てくるんだよ」

メイドロボ「胸ノ ハッチ ヲ開ケテクダサイ」

男「そこ手動なの!?ねぇ!?多関節の腕はどうした!?」

メイドロボ「ハ……ハッチ ヲ上手ク掴メナイノデス」

男「そのCの字じゃあなぁ……」


パカッ

男「お!これは……」

メイドロボ「デハ オ待タセ致シマシタ!私ノ作ル完璧ナ ランチ ヲ オ楽シミクダサイ」

男「へぇ、やるじゃん。目玉焼きに味噌汁にホカホカのご飯と来たもんだ!いただきまーす!」

メイドロボ「オ味ハイカガデスカ?」

男「うん!正直舐めてた、美味いよ!」

メイドロボ「ゴ満足イタダケタヨウデ、私モ嬉シイ限リデス☆」

男「ところでさ」

メイドロボ「ハイ?」


男「俺、肉とか野菜もお前の中にぶち込んだハズなんだけど、それはどこへ行ったんだ?」

メイドロボ「……」

男「……」

メイドロボ「……」モシャモシャ

メイドロボ「……」ゴクン

男「そ の 頭 を 今 す ぐ 退 け ろ」ギリギリギリ

メイドロボ「イケマセン、中身ノ構造ヲ見ルノハ御法度ナノデス」ギリギリギリ


メイドロボ「始メニ言ッタデハナイデスカ!私ニモ食事ガ必要ダト!!何ヲソンナニ怒ルノデス!!」

男「ンな逆切れされても入れた具材の大半をお前が持って行ったから俺が怒るのは当然だろ!?」

メイドロボ「ゴ主人様、レディファースト ト言ウ言葉ヲ知ラナイノデスカ!!」

男「うん、まず大前提としてお前を女として見てないからな?」

メイドロボ「酷イ!!コンナニ可愛イ見タ目ヲシテイルノニ!!」

男「お前、自分のビジュアルに自信があるのなら工事現場に置いてあるドラム缶を見てこようか?それを可愛いと思えるのならそれはまさしくお前だぞ?」

メイドロボ「ハハ、マタマタ ゴ冗談ヲ」

男「ハハ、コイツ鉄屑にしたら売れるかな?」

メイドロボ「ヤメテ!」


男「あーはいはいわかったわかった、じゃあ次。洗濯でもしてくれよ」

メイドロボ「了解ナノデス」ガチョン

男「……何で両足引っ込んだの?」

メイドロボ「オ洗濯ハ バランス ノ関係上接地面ヲ大キクシナケレバ安定シナイノデス」

男「いや、洗濯機あっちにあるんだけど」

メイドロボ「アンナ四角イ箱ヨリモ私ノ方ガ高性能デス!!」クワッ

男「うん、凄い剣幕で言ってるけどお前はドラム缶だって事忘れんなよ?」


メイドロボ「納得ガ出来ナイノナラバ ソノ眼デ確カメテミテクダサイ!損ハサセマセン!」

男「わかったわかった……で、どこをどうすればいいんだ?」

メイドロボ「マズ、胸ノ ハッチ ヲ開ケテクダサイ」

男「ん、これだな……ん?」

メイドロボ「デハ、洗濯物ヲココニ入レテクダサイ。後ハ自動デ乾燥・アイロン掛ケ マデシテクレル優レモノナノデス!!」

男「なぁ……このハッチの場所って……」

メイドロボ「オ察シノ通リ、先ホド食材ヲ加工シタ場所ナノデス」

男「……」ガンガンガン!!

メイドロボ「アイエエエエエ!?ナンデ!?」

男「あ た り ま え だ よ !?」


男「どこの世界に調理器具で掃除したり洗濯したりする奴がいるんだ!?一回使ったらどっちも汚くて使えなくなるだろ!?」

メイドロボ「あ」

男「あ、じゃねーよ」

メイドロボ「申シ訳アリマセン、先ニ食器ヲ洗ウベキデシタネ」ウィーン

男「違う、そうじゃない。オイやめろ、胸に食器を入れるな」


男「もういい!俺はもう寝る!」

メイドロボ「マダ オ昼デスヨ?」

男「うるせぇ!俺の勝手だろ!」

メイドロボ「……」

男「……」

メイドロボ「世の健全な同世代の男性ならば、今頃会社で汗水たらして働います」

メイドロボ「特にメイドロボを買うくらいの資金をためる事が出来る人はまた貴方とは違い優秀な人達ばかりでしょう」

メイドロボ「維持費などを計算に入れてもそれはもう人ひとり養うのと同等の資金が飛んでいきます」

メイドロボ「しかし彼らは私達メイドロボを愛するが故に行動している」

メイドロボ「今こうしている間にも貴方は世間から外れていき同僚、友人たちとの社会的地位、立場は徐々に離れていき、終いには路頭に迷う事に……」


男「何 な ん だ よ お 前 は」

メイドロボ「睡眠補助ドライブ ヲ起動サセマシタ。生キル上デ必要ナ事ヲ忘レナイ為、己ヲ戒メル機能デス」

男「必要ねぇよ!?精神的に永眠しそうだよ!?」


男「ったく……さっきの明細見ただろ。お前を買うくらいは金持ってたって事だ」

メイドロボ「無理シチャッテ~コノコノ☆」

男「……」チャキン

メイドロボ「ソーリーマイ ゴ主人様、ソノ手ニ掴ンダ鉄塊ヲ降ロシテクレ」

男「大体今日は休日だ。つーかワザワザお前の為に長期休暇貰ったんだ(お盆休みも兼ねて)」

メイドロボ「オヤ、ソレハ悪イ事ヲシテシマイマシタネ」

男「二重の意味でな?」


男「つーわけで今日はもう何もせん。掃除も洗濯もやるならちゃんと家にあるものでやってくれ。自分の機能を使うなよ」

メイドロボ「我ガ儘サンデスネ、ゴ主人様ッタラ~」

男「……」

メイドロボ「ムム、反応ガナイノモ寂シイデス」

男「……」

メイドロボ「……」

メイドロボ「世間では、休みを謳歌するという事は普段は出来ない事をやってみるべきだという声が多い」

メイドロボ「趣味に没頭したり、友人と久々に戯れたり、恋人との一時を過ごしたり。それは人によってさまざまだ」

メイドロボ「しかし、一部の人間は極端に他人とのコミニュケーションを取ることを嫌い徐々に孤立していく。特に無趣味の人間は他者との繋がりも無くなっていく傾向がみられる」

メイドロボ「果てには定年を迎え、職も無くなり同僚とも友人とも疎遠、結婚もしておらず最後に待つのはたった一人の孤独、そう孤独死を迎え……」


男「今 す ぐ 睡 眠 補 助 ド ラ イ ブ を 停 止 さ せ ろ」ギリギリギリギリ

メイドロボ「構ッテ欲シイ年頃ナノデス」メキメキメキ


メイドロボ「ハァ、仕方ナイデスネーマッタク……」ポチットナ

男「こっちが溜息をつきたいよ……」ゴロン

メイドロボ「……」

男「……」

メイドロボ「……」

男「……」

メイドロボ「あ、この漫画面白ーい」

男「お 前 は 自 主 的 に 働 い て も く れ な い の か !?」ガンガンガン

メイドロボ「仕様上、止ムヲ得ナイ事ナノデス!!」


――――――
―――



男「……」

メイドロボ「フンフフーン♪」

男(あれから数日経ったが……)

メイドロボ「ゴ主人様ー♪モーニング デスヨー♪」

男「んー」

男(炊事掃除洗濯……家事をしっかり教えたら全部キッチリ熟しやがる)

メイドロボ「ドウシマシタ?ア、私ニ惚レタラ火傷シマスヨ?ムッフ///」

男「……」

男(なんかスゲェムカつく)


メイドロボ「デスガ、退屈デス」

男「なんだよ突然」

メイドロボ「イエネ?私ガ ココニ来テカラ、オ互イニ 一度モ外出シテイナイノデ」

男「そういやそうだな」

メイドロボ「……引きニート」ボソッ

男「アァーーーイ!!」メキメキメキ

メイドロボ「足ガッ!!足ガモゲルーーーーーーーー!!」


男「まぁいい、丁度買い物に行こうと思ってたところだ」

メイドロボ「イイデスネ、デハ行ッテキマショウ」

男「……誰が?」

メイドロボ「私ガ」

男「どこに?」

メイドロボ「オ買イ物ニ」

男「ヤメテ!!」

メイドロボ「ホワイ!?ナゼ!?」


男「テメェみたいなやつを外に出せるかよ!?」

メイドロボ「心配シテクダサルノデスカ?大丈夫デスヨ♪表ヲ頂ケレバソノ通リノ物ヲ買ッテキマスノデス!」

メイドロボ「ア、ヒョットシテ暴漢ニ襲ワレテ アンナコト ヤ コンナコト ニナラナイカノ心配ヲ!?アア、私ッテ罪ナ オ・ン・ナ///」

男「いや、単純に恥ずかしいから家から出て行ってほしくないんだけど」

メイドロボ「」

男「つーわけで、だ。ちょっくら行ってくるわ」

メイドロボ「……」

男「んじゃ」ガチャ

メイドロボ「……」

メイドロボ「ご主人様、今のはカチンと来ましたのデス」


……


男(んーっと、確か冷蔵庫に碌なもんも無かったから買い足しておかないとな)

男(シャンプーとかも特価だったな、ついでにそれも買いに行くとして……)

男「ハァ、この下り坂。行きはいいんだけど帰りが辛いんだよなぁ」

男「原付くらい買うべきかな。あんまり帰りに荷物が多すぎると厄介だし」


ゴロゴロゴロゴロ


男「……ん?」


ゴロゴロゴロゴロゴロ


男「ンな!?」


メイドロボ「ご主人様ああああああああああああああああああああああああああああ!!」ゴロゴロゴロゴロゴロ


男(な ん か 転 が っ て き た)



メイドロボ「死ねエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」ゴロゴロゴロゴロゴロ


男「は!?いやちょっと待て!?死ねって何!?」


メイドロボ「うっしゃらああああああああああああああ!!」


ブオーン

男「あ、トラック……」

メキョッ
ガリッ
ギャアアアアアアアアア

男「……」


男「……えっと、何買うんだったかな」スタスタ




メイドロボ「カムバーック……」ピクピク


……


ラッシャーセー


男「お、ラッキー。タイムセールやってるじゃん」


「どけぇ!!」

「邪魔だ!!」

「死に晒せド畜生が!!」


男「……オバちゃん達の戦場だな。諦めるか……」


「あ、店員さーん。これもお安くしてもらってもいいデス?」


男「ん?」


「あ、エヘヘ……本当はコレはまだなんだけど、メイドちゃん可愛いからサービスしといてあげるよ」デレデレ

メイド「ありがとうなのデス!!」


男「……」

男(何故こんなことになってしまったんだ……)※ウチのメイドを想像しながら

男「つーかあの子滅茶苦茶可愛いなぁ、ホント俺好みだよ、うん……」

男(何故こんなことになってしまったんだ……)※先ほどトラックに潰されたドラム缶を思い出しながら


男「そうこうしている内にタイムセール品全部無くなってた。もう散々だな」

メイドロボ「ホント、情ケナイデスネ ゴ主人様」ヌッ

男「うわビックリした!?ってうわ!?汚ッ!?」

メイドロボ「道中事故ニ遭遇シマシタノデ。シカシ私ノ ボディ ニ傷ハアリマセン」ボロッ

男(凹んでる凹んでる)

メイドロボ「一応、セール品ハ確保シテオイタノデ ソロソロ帰リマショウ」

男「変なところで優秀だなお前……」


アッシターマタンオシヲー

メイドロボ「フンフフーン♪ゴ主人様トノ オ買イ物、楽ノシカッタノデ~ス♪」

男「お前語尾のせいでタ○ちゃん見たいになってるぞ」


キャアーーー!!


男「ん?」

メイドロボ「ケタタマシイコノ声……タダ事デハナイノデス!行ッテミマショウ!!」ドスドスドス


ロボットA「オラァ!!騒ぐんじゃねぇ!!」

ロボットB「お前ら近づくな!!クソ!」


男「……なんだありゃ」

メイドロボ「アー、アレハ ハグレロボット デスネ」

男「はぐれ?」

メイドロボ「正規登録サレテイナカッタリ、主人ニ捨テラレ路頭ニ迷ッタ ロボット達デス。タマニアアヤッテ銀行強盗トカスルンデスヨー」

男「ふーん、初めて見た」

メイドロボ「フゥ、作ッタ買ッタデソノ後ニ養イキレナクナッタカラト、捨テル酷イ人間モイタモノデス」

男「お前も紙一重だったけどな」

メイドロボ「エ?」

男「え?」


ロボットA「寄ってくるな!!」

ロボットB「関係ねぇ奴は引っ込んでろ!!撃つぞ!!」


男「つーか同じロボットなのにあっちはやたら流暢に喋ってるなオイ」

メイドロボ「ヤーレヤレ、警察ノ到着モマダ時間ガカカルヨウデスネ。ココハ一肌脱ギマスカネ」

男「脱ぐ肌なんて無いじゃん……じゃなくて!お、おい!変に首突っ込むんじゃ……」


メイドロボ「待チナサイ、ソコノ ハグレ達!」

ロボットA「ん?」

ロボットB「何だアレ」

メイドロボ「私ハ貴方達ト同ジ ロボット デス。マ、メイドロボ ヲヤラセテイタダイテマスガ」

ロボットA「(変声キツ過ぎて音声聴きづらいな……)そこの怪しいドラム缶!!こっちへ近づくな!!」チャキン

ロボットB「お前みたいなメイドロボがいてたまるか!?とっととそんな変なドラム缶を脱いで姿を見せろ!!」

メイドロボ「マッタク、人ヲ見ルナリ ドラム缶ドラム缶ト……失礼ナ連中デス!」

ロボットA(他にどう表現すりゃいいんだよ……)


メイドロボ「私ハ貴方達ヲ説得シニ来タノデス。同ジ ロボット トシテ、罪ヲ犯ス貴方達ヲ心配シテ……」

ロボットB「黙れ!俺たちゃ捨てられた身だ!主人がいないと働きも出来ねぇ!」

ロボットA「そんな俺たちの居場所を確立する為にはまず金が必要なんだ!ドラム缶はすっこんでろ!!」

メイドロボ「ムゥ……博士ガ特注デ作ッテクレタコノ ナイスバディ ヲソレ以上侮辱スルノハ許サナイノデス!!」バッ

ロボットA「ハッ!玩具がやるつもりかよ!」

ロボットB「こっちは機銃を持ってるんだ!テメェのそのヤワなボディくらい一発で……」


*チョドーン*


ロボットA「」

ロボットB「」


メイドロボ「チッ……外シタカ」


男(口からミサイル発射したーーーーーーーー!?)


メイドロボ「次ハ仕留メマス」ガパッ

ロボットA「ま、待て待て待て!?」

ロボットB「おま……武装ロボットかよ!?」

メイドロボ「小型ミサイル程度デ、尻ノ穴ガ小サイデスネ……特注品ト言ッタハズデスガ?」

ロボットA「だ、だがこっちには銀行内に人質がいる!!」

ロボットB「仲間もだ!テメェが発砲すればするだけ仲間が異変に気が付く!」

ロボットA「そうすりゃ人質も……」


*チョドーン*


ロボットA「」ボロッ

ロボットB「」ボロッ

メイドロボ「次ハ仕留メルト言ッタゾ」


男「容赦なく撃ったよこのドラム缶」


男「あの……」

メイドロボ「サテ、ゴ主人様。人質ヲ救出シテキマスノデ ココデ オ待チヲ」ドスドスドス


ガシャーン!!

ナ、ナンダコイツハー!!

ギャアアアア!!

メダッ!ハナダッ!!ミミッ!!

ガガガガガガガ!!

タ、タスケテクレェーッ!!


男「……」

男「なんだこの……なんだ」


「警察だ!!ただちに武装を解除し、人質を解放……」

ロボットA「……ケホッ」

ロボットB「……タスケテ」

「……なぁにこれぇ」

「……人質、次々と銀行から出てきます」


男「……終わったみたいだな、色々と」


男「……アレ?アイツ出てこないな……どうしたんだ?あ、ちょっといいかな?」

「な、なに?」

男「今銀行に突撃してった……ドラム缶ってどこにいるかな?」

「ドラム缶……?助けてくれたメイドのお姉ちゃんならまだ中にいるよ」

男「(アレをメイドとして見てるくれる子供がいた……)ん、ありがとね」

男「まったく、迎えに行ってやるか」


ロボットC「」

ロボットD「」

ロボットE「」


男「……全部動力炉一突きってアンタ……」


ササッ!バタンッ!!

男「ん、あそこかおーい。迎えに来たぞ……ッ!!」


メイドロボ「」

男「お、おい……お前……」

メイドロボ「」


男「そんな……こんな、銃で撃たれて穴だらけになって……」

メイドロボ「」

男「……そうか……お前……人質の盾になってこんな姿に……」

メイドロボ「」

男「よくやった、主人として誇りに思うよ」

メイドロボ「」

男「……」






男「……屑鉄って確か結構な値段で売れたよな」

メイドロボ「シャラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアップ!!」グオン

男「ああ、やっぱり生きてたか」

メイドロボ「アンマリニモ アンマリデハナイデスカ!?」

男「よく言えばお前を信用していたって事で」


……


男「あー、疲れた」

メイドロボ「オ疲レ様デス。色々アリマシタカラネ。トットト逃ゲテキマシタケド」

男「ったく、武装ロボット所持してるなんて知られたら俺がお縄になっちまうからな」

男「ま……今日は褒められた事じゃないけどよくやったよ。お疲れさん」

メイドロボ「ア、モシモシ?ハイ、新シイノ オ願イシマス」

男「聞いてねぇし。どこに電話かけてんだよ」



メイドロボ「スミマセン、ゴ主人様。チョット オ風呂ヲ オ借リシタイノデスガ、ヨロシイデスカ?」

男「ああ、まぁ汚れてるわ穴だらけだわメッキャメキャだわでそのままでいられても困るからな……いいぞ」

メイドロボ「アリガトウナノデス、デハ……」ガッ!

メイドロボ「……」

男「……」

メイドロボ「……」ガッガッガッ!!

男「やめろ!?扉潜れないからって無理矢理入ろうとするなよ!?」

メイドロボ「ウオオオオオオオオオ!!」ガッガッガッ!!


※諦めさせました


メイドロボ「オ風呂ノ石鹸ハ アーム ヲ伸バセバ届キマスネ」ウィーン

男「体の穴はまぁパテで埋めときゃ大丈夫だろ」ペタペタ

メイドロボ「アアン///」

男「……気持ち悪い」


――――――
―――



メイドロボ「~♪」ガーガー

男「……」

メイドロボ「ア、ゴ主人様、ソコ掃除機カケタイノデチョット退イテクダサイ」

男「んー」ゴロン

メイドロボ「マッタク、始メハアンナニ私ニ手取リ足取リ、色々ト情熱的ニ教エルタメニ家事ヲシテイタノニ!今ジャ本当ニ グータラ シテイルダケジャナイデスカー」

男「……なんかさ」

メイドロボ「ハイ?」

男「新鮮味が無い」

メイドロボ「」


男「まぁ、家事全般はやってくれてる事は感謝してるよ?でもさ」

男「そりゃお前に家事教えてた頃はまぁ新しいことへの挑戦?みたいな感じだったけどさ、今は……」

男「もっとこう……可愛い女の子が傍にいてくれる喜びを噛み締めたかったのよ俺は」

メイドロボ「私 ガ 不 服 ト 申 ス カ」

男「 不 服 だ 」


メイドロボ「ナンデスカ!男ノ欲望ヲ満タス為ニ私達メイドロボ ガ存在スル訳デハナイノデスヨ!!」

メイドロボ「本来ハ身体ガ不自由ナ方ヤ、老人ノ介護ヲ主ニ目的トシテイタ真面目ナ存在ナノデス!」

メイドロボ「一部ノ男性ノ欲求ヲ満タスヨウナ改造ガ施サレタノハ最近ナノデス!!」

メイドロボ「私達ノ人ヲ助ケルトイウ立派ナ誇リヲ……ソノ使命ヲ与エテクレタ開発者ヲ侮辱シテハイケナイノデス!!」

男「お前らの総売り上げはどうなんだよ」

メイドロボ「総計シテ愛玩用トシテハ独身男性ヘノ売上ガ7割ヲシメテオリマス!!開発陣ハガッポッガッポ儲ケテ笑イガ止マラナイソウデス!!」グッ

男「説得力も何もあったもんじゃないな」


男「俺はちっこくてやわらかーいヒラヒラした服の女の子をこう、膝に乗せてナデナデしたいってのが本音なのだが」

メイドロボ「ソノ欲情ヲ ロボット ニブツケヨウトシテイルノデスカ……ドン引キデス」

男「イエスロリータノータッチ!!」

メイドロボ「タッチ越エテマスガナ……マ、私デシタライツデモ欲情シテイタダイテモ構イマセンワヨ☆」

男「うん、ドラム缶に劣情を抱くという猛者ではないぞ俺は」

メイドロボ「……スカートアーマー デモ装備スベキダロウカ」

男「お前のセックスアピールの基準がよく分からん」

メイドロボ「……隠シ腕、トカデスカネ」

男「!?」


男「そういや、アタッチメントで色々変えられるって言ってたけど、お前それ有効活用してんのか?」

メイドロボ「変エル事ガ出来ルノハ腕ダケデスガ、マァ使ッテハイマセンネ」

男「何のための機能なんだよ……」

メイドロボ「主ニ回転衝角ニヨル削岩、電磁針ニヨル雷撃、火炎放射器及ビ ドラゴンハング等々……」ブッピガァン!!

男「……お前って何のために作られたんだっけ?」

メイドロボ「大本ハ介護用!!現在ハ愛玩用目的モアルと言ッタデハナイデスカ!何度モ聞カナイデクダサイ!!」

男「そのアタッチメントの用途を一から順にまた説明して見せろ」


男「そういえば話し変わるけどさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

メイドロボ「ナンデショウカ?」

男「最近シャンプーの減りが異様に早い気がするんだけど。あと歯磨き粉とかも」

メイドロボ「ギクッ」

男「おいなんだその反応は。まさかお前その成りで贅沢にも使っている訳じゃないだろうな?」

メイドロボ「ワ、私ハ メンテナンスフリー ノ身体ナノデス!ソンナモノハ必要ナイノデデデデデス!!」

男「慌てるとか、怪しすぎるぞ」


メイドロボ「……」

メイドロボ「ワ、悪イノデスカ!?オ洒落ニ気ヲ使ッテハ!!」バンッ!!

男「い、いや、ちゃんと言ってくれれば……つーかお前の頭のそれ髪の毛じゃなくてエネルギーチューブ……」

メイドロボ「私ダッテネェ!!ゴ主人様ニ飽キラレナイヨウニ努力ハシテイルノデス!!」

男「突然怒り出した何この娘怖い」

メイドロボ「モウ ゴ主人様ナンテ知ラナイ!!」ドスドスドス!!

男「お、おい!!」

バタンッ!

男「……出て行っちゃった……」


メイドロボ(ふふふ、ご主人様。新鮮味が無いと仰っていたので自然な流れで刺激的な展開をご用意させていただきましたのデス!)

メイドロボ("ああ!俺が悪かった!戻ってきてくれ!!"なーんて追いかけて来てくれれば御の字なのデスけど)

メイドロボ(フフフフフフフフ!さぁ来い!いつでも準備は出来ているのデス!!玄関まで慌てて走ってきて安心するのデス!!)



男「ま、夕飯までには帰ってくるだろ」



メイドロボ「サノバビィィィィィッチ!!」ズガンッ!!

男「!?」


メイドロボ「トンダ薄情モノデスネ ゴ主人様ハ!!コンナ可愛イ女ノ子ガ自然ナ流レ出テイッタノデスヨ!?男ナラバ追イカケルノガ定石デショウ!?」

男「どこの世界に玄関を容赦なく破壊する可愛い子がいるって!?」

メイドロボ「謝ッテクダサイ!!純情ナ女ノ子ノ心ヲ弄ンダ罪ヲ償ッテクダサイ!!」

男「ああもうこの娘ダメだ。わかったわかった、謝るから機嫌直してくれよ」

メイドロボ「……嫌ナノデス」

男「はぁ?」

メイドロボ「チュー シテクレナキャ許サナイノデス///」

男「……」ガンガンガンッ!!

メイドロボ「アアッ!響ク!!響ク!!久々ノコノ痛ミ!!」

男「阿呆な事やってないで、とっとと昼食にするぞ」

メイドロボ「ハイ……スグニ作ルノデス……」

男「……」


男「ほら、貸せ」

メイドロボ「ヘ?」

男「……今日は一緒に作ってやるよ」

メイドロボ「ゴ、ご主人様……」

男「さっきは新鮮味がどうとか言って悪かったな。それに、お前も一応……百歩譲って女の子なんだからお洒落にも気を遣うよな。ゴメン」

メイドロボ「……ツンデレさんなのデス。そういうところが私は大好きなのデス」テレッ

男「ん?なんか言ったか?」

メイドロボ「コ ノ 主 人 公 特 有 ノ 難 聴 ヨ」

男「嫌だからワザと聞き流したんだよ察しろ」


男「あ、しまった。前に卵買ってくるの忘れてたな……」

メイドロボ「買イニ走リマショウカ?」

男「いや、また何やらかすか分からんし俺が行くわ」

メイドロボ「ソンナニ私ガ信用ナリマセンカ!!」

男「うん」

メイドロボ「」

男「とりあえず扉を直しておけ。んじゃ行ってくるわ」

メイドロボ「了解ナノデス!デハ、イッテラッシャイマセ ゴ主人様♪」


――――――
―――



メイドロボ「……」

メイドロボ「お……遅いデスね」

メイドロボ「もう時刻は7時を回っています」

メイドロボ「ご主人様が出て行ったのは5時なのデス……うーむ」

メイドロボ「私の内蔵電話も繋がりませんし、心配デス」


メイドロボ「あ!ひょっとしてさっきの仕返しデスか!実は玄関前に待機しているとか!」

メイドロボ「もー!ご主人様ったら可愛い所があるんデスから!」

メイドロボ「待ッテイテクダサーイ!貴方ノ マイスウィートハニー ガオ出迎エシテ差シ上ゲマスデス!」ガチャ

メイドロボ「……いないデスね」

カサッ

メイドロボ「ん?これは……」


【お前のご主人様とやらは預かった!返してほしくば武装を解除しB地区港の倉庫へ来い!!】


メイドロボ「」


――――――
―――



―港・倉庫―


男「お、おーい!?俺を攫っても金なんかないぞ!?貯金は全部使い果たしたんだ!!働いても働いても碌に給料も上がらないしまともなところに住んでる訳じゃないから家賃だって実は先月分大家さんに大目に見てもらったし友人もいないし趣味もないし彼女もいないし!!そんな俺から搾り取ろうったって何もないぞ!?だから命だけは!命だけはたすけてぐだざいーーー!!」


ロボットA「何コイツ……」

ロボットB「切羽詰り過ぎだろ……」

男「つーかお前たち!!警察に捕まったんじゃなかったのかよ!!ってかボロボロだったじゃん!!」

ロボットA「やられた仲間のパーツをニコイチしてこっそり抜け出してきたんだよ」

ロボットB「万全とは言わんが、まぁ大切なご主人様とやらが人質なんだ。あのドラム缶も迂闊に手出しは出来んだろう」

男「何ッ!復讐が目的か!!金はいいのか!?」

ロボットA「うん」

ロボットB「見るからに貧乏そうだし、最初から期待してないよ」

男「そう……」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


男「なにこの轟音」

ロボットA「ッ!」

ロボットB「上だ!!」


ズガアアアアン!!


メイドロボ「 ミィィィィツゥゥゥゥケェェェェタァァァァ!!」ガガガガガ


ロボットA・B((ドラム缶が降ってきたーーーーーーーーーーー!?))


ロボットA「オイ馬鹿!!屋根突き破って入ってきてんじゃねぇよ!?」

ロボットB「この貸し倉庫高いんだぞ!?」

男(借りてるのかよ……)

メイドロボ「何ナンデスカ貴方達ハ!!ウチ ノ ゴ主人様ヲ攫ウトハイイ度胸シテマスネ!!」コシューコシュー

ロボットA「ああ、前みたいな不覚は取らないぜ?」チャキン

ロボットB「ヘッ、調べさせてもらったんだぜ?大好きなご主人様の事をよぉ!!」

男「クッ!!」

メイドロボ「待ッテイテクダサイ!全身全霊ヲカケテ助ケスルノデス!!」


ロボットA「約束通り武装は解除してきたんだろうな?」

ロボットB「ああ、そうじゃなけりゃあ一発でコイツの頭が爆ぜるぜ?」

メイドロボ「……」

ロボットA「ハハハハ!動けないか!!」

ロボットB「いいざまだ!このまま俺たちの銃の練習に付き合ってもらうぜ?ドラム缶メイドさん?」チャキン

メイドロボ「ヤッテミロデス……ッ!!」

男「や……」

男「やめろおおおおおおおおおおおおお!!」








*チョドーン*


ロボットA「」

ロボットB「」

男「」


メイドロボ「ソレヨリモ早ク ミサイル ヲ発射シマスノデ」


ロボットA「えっと……え?え?何で?」

ロボットB「武装解除は?ご主人様は!?」

メイドロボ「オ前タチヲ先ニブッ壊セバ関係ナイデス」キュイイイイイイン

ロボットA「お、おいどうなってんだお前!?アイツはお前に……ハッ!!」

男「」

ロボットB「き……気絶してる」

メイドロボ「ああ、ご主人様はご就寝なされたのですね。丁度いいデス、こんな拘束具は必要ないデス」ガチャ

ロボットA「!?」

ロボットB「ど、ドラム缶の中から……!?」


「覚悟はよろしいデスか?」ギュルギュル

ロボットA「く、来るな!?」

ロボットB「こ、コイツがどうなってもいいのか!?」

「何度も言わせないでください……」




ソ レ ヨ リ モ 早 ク 壊 シ マ ス



イヤアアアアアアアアアアアアアアアア!!


……


男「ん……」

メイドロボ「ア、オハヨウゴザイマス、ゴ主人様」キャルルン☆

男「……確か俺は……お前にミサイルをお見舞いされて……」

メイドロボ「チッ、覚エテイタカ……」

男「何誤魔化そうとしてんの!?あわよくば流そうとしたの!?」

男「それよりあのロボット達は……ッ!」

メイドロボ「大丈夫デス、成敗シタノデス!」



ロボットA「アフン///」キュインキュイン

ロボットB「らめぇ///」ギュルギュル


男「ケツにドリルぶっ刺さってるんだけど」

メイドロボ「私ノ回転衝角、役ニタッタデショウ?奴ラノ性感帯ヲ直撃デス☆」

男「うん、なんだ……うん……」


ロボメイド「サァ、警察ニ連絡シテ全テ終了デス」

ロボットA「クッフフ……///」キュインキュイン

ロボットB「残念だがそうはいかない!!///」ギュルギュル

男(残念なのはお前たちだよ)

ロボットA「こんな事もあろうかと……」

ロボットB「この倉庫にミサイルが飛んでくるようにあらかじめ設定しておいたのだ!!」

メイドロボ「ンナッ!?ナンダッテー!!」


ロボットA「ピッタリこの倉庫だけ直撃する代物だ!!」

ロボットB「他の倉庫には被害は行かないから近隣迷惑対策もバッチリだ!!」

男「……」

メイドロボ「ハ、早ク逃ゲルデス!ゴ主人様!!」

ロボットA「倉庫にロックを掛けさせてもらった!残念だったな、お前たちはドン☆だ!!」

ロボットB「フフフ、この倉庫と運命を共にするがいい……」

男「ロック掛けたらお前たちも逃げられなくね?」

ロボットA・B「「あ」」


男「しかも貸し倉庫爆撃って、お前らここ壊したくなかったんじゃなかったのか?」

ロボットA「」

男「ミサイルなんて用意出来る金があったらお前らの組織の運営資金にあてろよ。過剰武装がまさに無駄だろ」

ロボットB「」

男「おい、聞いてるなら早くミサイルとめ……ハッ!!」

メイドロボ「突キルケラレタ現実デ ショック ノアマリ気絶シタミタイデス……」

男「こいつら中に人でも入ってるんじゃないの?」


メイドロボ「シカシ、マズイデスネ。ミサイル到着マデ後数十秒ノヨウデス」

男「本当に撃ったのかよコイツら!?ホント頭悪いな!?」

メイドロボ「……ゴ主人様ヲ助ケルニハ……コレシカナイ!!」ゴォッ!!

男「ッ!!お、おい!?空飛んでどこに行くんだよ!?」

メイドロボ「ゴ主人様……」

メイドロボ「貴方ニハ沢山ノ大切ナ モノ ヲ頂キマシタ」

メイドロボ「アンナ事ヤ……コンナ事……」 キャッキャ ウフフ アハハ マテー……

男「まったく身に覚えの無い事を思い返されても困るぞ?」


メイドロボ「デスガ、悲シマナイデクダサイ!!私ハ、最後マデ幸セデシタ!!」ブォッ!!

男「おい!!待て!!お前まさか……」

メイドロボ「さようなら……大好きなご主人様」ビュウウウウン!!

男「……」

男「……」

男「お前空飛べるなら……一緒に飛んで逃げればいい話じゃね?」




メイドロボ「ウオオオオオオオオ!!必ず最後に愛は勝つ!!ご主人様への愛を見せてやるのデス!!」

メイドロボ「喰らえ!!必殺!!」ギュピーン!!


その日、空中でドラム缶がド派手に爆散した

その騒ぎのついでに俺が発見され、ロボット達はお縄となった

こちらへ向かっていたとみられるミサイルは、ラジコンヘリ数機で釣り上げたアルミ製の火薬も入っていないチンケなものだった

……そりゃ軽いアルミ製だろうと、上から投下されればまさにドン☆だけど

ウチのメイドロボは特に何もない宙域で爆発したとの事だ

夜中に飛んでいたコウモリにぶつかった痕跡があったそうな

すまないコウモリ、無駄な犠牲を出してしまった……

そして夜も明けた頃、俺は警察の事情聴取を終え家に帰宅した

誰もいない、誰も迎えてくれない……寂しい家に……


――――――
―――



男「……」

男「……そっか、家に帰っても誰もいないのか」

男「……」

男「……あんなのでも、いないとなると寂しくなるもんだな」

ガチャ

男「……ただいま」









メイドロボ「ア、オ帰リナサイマセ ゴ主人様☆」

男「居 る と 思 っ た よ」


男「呪いの人形かよお前!?何で生きてるんだよ!?華々しく散れよ!?」

メイドロボ「イヤァ、自爆ッテノハ死ヌホド痛イノデスネ。少シ焦リマシタヨ」

男「聞いてねぇよ!?どうなってんだよ……あ!ボディ何で新品になってんだ!?」

メイドロボ「コレハデスネ、話スト長クナルノデ省略シマス」

男「一番大事な所だろ!?」


メイドロボ「……」



―――
――――――


メイドロボ「」ピー ガガー ピー


ガチャ


メイド「あーあー、完全に壊れちゃいましたね。せっかく博士が作ってくれたオーバーボディなのに。やっぱ自爆は耐えられなかったデスね」

博士「おーい、お前何やってんだー」

メイド「あ!博士!こんなところで何やってるんデスか!」

博士「そりゃこっちのセリフだっての……お前が何でこんな玩具を欲しがってるのか気になったし」ドンッ

メイド「おお!!新しいオーバーボディ!!ありがとうございますデス!!」ガチャガチャ

博士「……それドラム缶をお遊びで改造しただけなんだけどなぁ」

メイド「出荷されたあの日からのお気に入りなのです!よっこらセット」ガチョン

メイドロボ「完 全 復 活 ナ ノ デ ス」キュピーン

博士「まぁ……お前が気に入ってるならそれでいいけど」


博士「お前が前に電話くれたから予め用意出来ていたけど……まさか、お前仕えている主に素顔晒してないとかじゃないだろうな?」

メイドロボ「……キャルルーン☆」

博士「ハァ……どこかへ出してやればその上がり症も治ると思ったんだけどなぁ」

メイドロボ「仕方がないじゃないですか……ご主人様の事直視できないくらい恥ずかしいんデスから!!」パタパタ

博士「そのドラム缶の方が数百倍恥ずかしいぞ」

メイドロボ「い、一応ご主人様以外とは話せるようになりましたよ?タイムセールで顔だしましたし……」


博士(ちゃんと見た目も仕様書通りに出来てるのに、こんなのが届けられていたら完全に詐欺と思われても仕方がないな)

メイドロボ「でも、どうしてご主人様をテスターとして選んだのデスか?」

博士「だらしなくて生活力がイマイチで金もあまり持ってない男に私のヴァルキュリアシリーズがどう甲斐甲斐しく尽くすかのデータを取りたかったんだよ」

メイドロボ「容赦ねぇな」

博士「ま、お前の恥ずかしがりやな感情は個体差だし、結果はこんなものかな。実験は終了だ」

メイドロボ「……やっぱり、私も回収されるのデスか?」

博士「……お前はどうしたい?」

メイドロボ「私は……」


メイドロボ「……マスターである博士の指示に従います」

博士「自分の言葉で喋れ。自主性を殺した失敗作を作った覚えはないぞ」

メイドロボ「……」

メイドロボ「はい……ご主人様のお傍にいたい。もっと、あの男性と一緒に過ごしていたいデス」

博士「試作機のお前は元々破棄する予定だったのだが……居場所を見つけたのなら問題はあるまい」

メイドロボ「博士!」

博士「その為に新しいドラム缶を作ってきてやったんだ!今度は壊すなよ!じゃあな!また縁があったら会おうじゃないか!私の大切な子供……」

メイドロボ「……」

メイドロボ「リサ博士……はい!!お母さん!!」


――――――
―――



メイドロボ(的な感動的な話があったのは黙っておくのデス)ハナホジー

男「ったく、それにしてもまぁ、前より小奇麗になちゃって……ん?なんだこの背中のハッチは」パカッ

メイド「あ」

男「あ」

メイド「……」

男「……」


バタン


メイドロボ「……」

男「……」

メイドロボ「……中ノ人ナンテイマセンヨ?」

男「……ま、そういう事にしておいてやるか」

男(風呂場に入れない奴がシャンプーなんて使える訳ないだろ。薄々感づいてたよ)

メイドロボ「ゴ主人様ノソウイウ所ガ私ハ大好キデス!!」ズォッ!!

男「ファ!?待て!?ドラム缶のまま飛び掛かるな!?」


まぁ……このドラム缶との生活も悪くはないか


メイド「大好きデス!ご主人様!!」ドン☆

男「」


ちゃんと素顔を晒すまで、付き合ってやるよ!



男「ついに手に入れたぞ……メイドロボ!!」 おわり

終わった
強行したSSだからネタ切れ感ががが

もしお付き合いしていただいた方がいましたら、どうもありがとうございました

過去作
http://blog.livedoor.jp/innocentmuseum/

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