【艦これ】響「不死鳥の止まり木」 (37)

登場人物:提督,響,暁,雷,電.

ぴったり30レスで終わるはず。

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提督「お、おい響……ちょっと酔い過ぎじゃないか? いくら飲めるって言っても駆逐艦なんだし、そろそろ止めた方が……」

響「……ひっく。いいんだ、私は明日はオフだから……ひっく」

提督「いや、俺の管理責任が問われるんだよ……普段から小っちゃい子にあまり飲ますなって、妙高さんとか香取さんとか煩いんだぜ?」

響「大丈夫。自分で勝手に飲んでるだけだから……ひっく」

提督「そういう問題じゃなくてな……まあ既に手遅れだしな……今日は好きなだけ飲め! 俺が許す!」

響「言われなくてもそうするさ……司令官、頂戴」

提督「あ、俺がお酌するのね……はいはい響様の仰せのままにしますよ……」

響「ばーしぱす……ところで司令官、話は変わるんだけど」

提督「なんだ? 俺の贔屓のチームがたった1年でJ2に降格しそうでヤバい話か?」

響「違うよ……それは響の知ったことではないから」

提督「酷い! 響の薄情者!! お前もJ2に落としてやろうか!!?」

響「わけがわからないよ……ねえ、私の話を始めてもいいかな?」

提督「お、おう……余計な茶々を入れて済まなかったな」

響「うん……実はね……」

提督「……おう」

響「しばらく前から……『ハラショー疲れ』で悩んでいたんだ」

提督「……はい? ちょっとよく分からないんだが……もう少し詳しく!」

響「鎮守府の誰と居ても、ハラショーと言わなければいけない気がしてね。気が滅入ってたんだ……」

提督「ほう……そうだったのか」

響「私だってハラショー以外に言いたいこと、たくさんあるんだけどね……」

提督「そりゃそうだろうな」

響「でも、皆は私にそれを期待しているみたいでね……」

提督「なるほどね……あっ!」

響「どうしたの?」

提督「そういや、何時からかハラショーハラショー言う子が増えたよな? あれも関係あるのか?」

響「大ありだよ!」

提督「お、落ち着けって……」

響「あっ、すまない……その原因が、諸悪の根源が、あのくそったれのアニメ撮影なんだ……ひっく」

提督「そ、そこまで言うか……」

響「事実だからね。事実を言っただけで、何か都合が悪い事があるかな? 響はどこか間違ってるかな?」

提督「だ、大丈夫だ、問題ない」

提督(響ちゃん怖い……相当おかんむりだぞこれは……)

響「ねえ、司令官はどう思ったかな?」

提督「どう思ったって……アニメ撮影か?」

響「うん。特に私に関してね……ひっく」

提督「そうだなあ、うーん……響がアニメに出て、俺も嬉しかったよ。響も、第六駆逐隊のみんなも、天使だなぁ……って」

響「……うん、ありがとう」

提督「でも……響は、ハラショーしか喋ってなかったような気がするなぁ……」

響「……そうだね」

提督「俺以外の皆もそう思ってたのかな……」

響「うん。皆の印象に残ってしまったらしくてね……あれ以来、私がリアクションをとる瞬間、一斉に視線が集まってきて……」

提督「なるほどなぁ……ハラショーを期待してる視線か」

響「うん……Блин, надоело……うんざりだったよ」

提督「響はそういうの嫌がりそうだもんなぁ」

響「私は余計な所で目立ちたくないよ。目立つなら戦果とか功績がいい」

提督「立派だな、えらいぞ。監督としても使いたくなるよ、ゴールやアシストに貪欲な子は」

響「えっと……監督じゃなくて提督じゃないのかな?」

提督「……そうだね、うん。私は貴女の提督ですよ」

響「? うん、私の司令官だよ」

提督(私の司令官……私だけの司令官……言われてみたい……)

響「司令官? さっきからちょっと変だよ。さては酔ってるね?」

提督「俺が変なのは元からだし、へべれけのお前に言われたくは……っていうか、ちょっと待て……あれれ~?」

響「どうかしたの?」

提督「いや、気のせいかもしれんが……響とこんなに仲良くなったのって、アニメ撮影の頃からじゃないか……?」

響「!……ふふ……そうかもしれないね……ふふ……」

提督「な、何故笑いをこらえているのでしょうか……?」

響「ふふっ……奇妙な偶然もあるものだね……」

提督「え、マジで笑ってる理由が分からん……どういうことなの……」

響「ふふふ……はぁ……可笑しいね」

提督「失礼ですが、可笑しいのは響さんの方ではないでしょうか……」

響「……司令官も、同じだと思ってたんだよ」

提督「お、同じ? 何が?」

響「ハラショーかぶれの皆と同じ、その内の一人ってね……」

提督「……なるほど」

響「でも実際は違ったんだ……司令官は、私に何も求めなかったから」

提督「……つまり、響が俺と一緒に居るようになった理由は」

響「うん」

提督「ハラショーと言うことを……強いられていないと感じたから? もしくは俺がハラショーと言わなかったから?」

響「……まぁ、そういうことだね」

提督「えぇ……」

響「でも、私にとっては大事だったんだ。ノイローゼになりそうだったし……」

提督「そりゃ深刻な問題だが……」

響「そうだよ。それに、司令官に安らぎを求めた、とも言えるよ」

提督「そう言われると聞こえはいいけどな……」

響「何が不満なのかな?」

提督「いや、ちょっと浮かれてた俺が馬鹿みたいだっていう話さ……」

響「……どういうこと?」

提督「あのラヴリーエンジェル響ちゃんに好意を寄せられてるのかな……なんて恥ずかしい自惚れもあった訳だよ」

提督「実際は、たまたま都合が良い相手だっただけ……ってな」

提督「まぁあれだ……正式オファーだと勝手に思い込んでたけど、実は飛ばし、エアオファーだったみたいな……」

提督「サムライブルーのエアKになった気分だな、はは……」

響「……いいんだよ」

提督「へ?」

響「キッカケなんて、何だっていいんだよ。些細な事だよ……あれからずっと、私は司令官と一緒だよね」

提督「ま、まぁ……そうだけど」

響「確かに最初は、空気を読むのに疲れて、逃げてきたかもしれないけど……」

響「今は……ハラショーとか抜きで、司令官と居たいと思うようになったよ」

提督「響……」

響「今の私にとって、司令官は……」

響「司令官は……」

響「と……」

提督「と?……」ドキドキ

響「止まり木……かな」

提督「と、止まり木……??? 俺は止まり木? 鳥が羽根を休めるやつ? ってことは響ちゃんは鳥さん?」

響「そうだね……私は、籠の中の鳥さ」

提督「……以前と何か違うのか……?」

響「違うよ。全然違うよ。戦艦クラスと秋津洲くらい違うよ」

提督「そ、そうなんだ……そりゃえらい違いだな……」

提督「ちなみに以前は……?」

響「以前の司令官は……さしずめ縁切寺の坊主って所かな」

提督「なんだその嬉しくない例えは……」

響「まぁ……緊急避難所みたいなものさ。私は切羽詰まってたんだよ」

提督「うーん……よく分からんが、響の為になったなら何でもいいや……」

響「……ふふ」

提督「ど、どうした?」

響「私達、次は何に変わるのかな……?」

提督「何にって言われてもな……すぐに思いつかないな」

提督「そもそも響は……って寝てるし……」

提督(あれだけ飲んでりゃ無理もないか……)

提督(さっさと暁型の部屋に届けてくるか)

提督「しかし……止まり木ねえ」

提督(そんな名前のスナックだかバーが在った気がするが……そういう意味じゃないよな……?)

提督(まぁ違うとは言い切れないが……)

提督「……なんにせよ、坊主よりはマシか」

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暁「響! いつまで寝てるの! そろそろ起きなさいよ!」

響「ん……いまなんじ……?」

暁「もうお昼よ。ヒトフタマルマル。オフだからって寝過ぎだわっ」

響「きのうすこしのみすぎてね……」

雷「駄目じゃない! 節度を持って飲まないと!」

電「なのです。隼鷹さんみたいになっちゃいますよ?」

響「うん、きをつけるよ……」

暁「ほら、顔洗って、歯を磨いて、目を覚ましてきなさい」

響「うん、ありがとう……」

響「……」パシャパシャゴシゴシ

響「ふぅ……気持ちいいな」

響(私が寝過ごすほど飲んだくれるとはね……焼きが回ったかな)ニュルン

響(司令官と何を喋ったか、あまり覚えてない……)シャコシャコ

『司令官は、私に何も求めなかったから』

響「……あれ?」

『それに、司令官に安らぎを求めた、とも言えるよ』

『今は……ハラショーとか抜きで、司令官と居たいと思うようになったよ』

『今の私にとって、司令官は……』

『止まり木……かな』

『私は、籠の中の鳥さ』

『私達、次は何に変わるのかな……?』

響「う、うわあああああああああああああ!!!!!!!!」ダッシュ

暁「ぴゃあっ!?」

雷「ど、何処行くのよ!?」

電「歯ブラシ咥えたまま行っちゃったのです……」

雷「せ、洗面所にGでも居たのかしら……?」

電「ふにゃああああ!?」

暁「それは無いわよ。響は虫とか平気だもの……」

暁(もしかして、昨日の何かを思い出した、とか……?)

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響(お酒の勢いに任せてなんてことを……)

響(穴があるなら入りたい……穴掘って埋まっていたい……)

響(どんな顔で司令官に会えばいいんだ……)

提督「おう、響! よく眠れたか?」

響「!?」ビクッ

提督「歯ブラシ咥えたままふらふらしてると危ないぞ?」

響「ん~!!!!」ダッシュ

提督「あ、あら……何で逃げたし……」

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暁「あっ居た! 司令官!」

提督「(響の次は暁か)……おう、おはよう」

暁「お、おはようございます……ちょっと聞きたいんだけど、いいかしら?」

提督「んー?」

暁「昨日……響と何かあった?」

提督「……いや、特別何もなかったぞ。一緒に酒飲んだだけだ」

暁「ホントに……?」

提督「嘘吐いてどうするんだよ……俺はシミュレーションが嫌いなんだ。くたばれダイブ野郎どもってもんよ」

暁「え……えっちなこととか、してない……?」

提督「……はい???」

暁「だ、だからっ! 響が叫んで走り去るなんて、普通じゃないっていうか……え、えっちなことしたの、思い出して、とか……」

提督「あのなぁ……そんなこと考えるお前が一番えっちだ」

暁「ぴゃあっ!? え、えっちじゃないわよっ! 司令官のバカ!」

提督「バカって言うほうがえっちだ、エロつきめ」

暁「え、エロつきじゃないもん! エロ司令官!」

提督「……はぁ。本当に何も無かったよ。ガーディアン紙の移籍情報並みに信じていいぞ」

暁「よ、よく分からないけど……信じるわ。司令官、嘘言ってるようには見えないから」

提督「ありがとな。まぁ昨日気付いたことと言えば……響がいつもよりお喋りだったかもな」

暁「へ~……でも、それでああなるとは思えないわね……」

提督「……別に恥ずかしい暴露話とかも無かったしなぁ」

提督(俺にとって嬉しいような悲しいような話くらいだよな)

提督(都合のいい男とか、坊主とか、止まり木とか……流石に関係ないだろ)

暁「うーん……それじゃ、司令官は関係ないのかもね。ごめんね、色々言っちゃって……」

提督「いや、全く気にしなくていいぞ。むしろありがとう」

暁「な、なんでお礼を言われてるのかしら……?」

提督(暁の口からえっちとかエロとか聞けたからな!)

提督「……あ、もしかしたら、部屋に送るときにおんぶしたからかな?」

暁「そう……なの?」

提督「まー止むを得なかったとはいえ、身体に触れてしまった訳だし、悪かったかもな。ごめんって、響に伝えておいてくれ」

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暁「あっ響! やっと見つけた!」

響「……やあ暁。さっきは取り乱してすまない」

暁「ううん、大丈夫よ。それより、司令官から伝言預かってきたわ」

響「えっ!?」

暁「ど、どうしたの? そんなに驚いて」

響「え、いや……何でもないよ。それで、伝言って……」

暁「えっとね……響をおんぶした時、身体に触っちゃったから、ごめんなさいって」

響「……それだけ?」

暁「ええ、それだけよ。どうして?」

響「……いや、無ければ無いでいいんだ。ありがとう、暁」

暁「う、うん。どういたしまして」

響「ねえ、暁はお昼、済ませたのかな?」

暁「まだよ。響が起きてから、一緒に行こうと思ってたから……」

響「それじゃ、司令官も誘って、皆で行こうか」

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提督「響、どうかしたか?」

響「……うん。美味しいね、このパスタ。天龍いちおしなだけあるね」

提督「ああ、アイツは意外とこういうの詳しいもんな。ホントうまいわ」

響(司令官は昨日私が言った事、理解してないみたいだ)

響(さっき取り乱したのは、取り越し苦労だった訳だね……)

響(まぁ……だから楽なんだけどね。変に気を遣わなくていいから)

提督「パスタと一緒にワイン飲みたくなってきたな……」

雷「ダメよ、昼間からお酒飲むなんて! 昨日も飲んだんでしょ?」

響(……でも、お酒はしばらく止めておこうかな)

響(何から何まで喋ってしまいそうだし……)

響(今回は大丈夫だったけど、次回はそうとは限らないしね)

暁「響、手が止まってるけど、もうお腹一杯?」

響「……いや、そんなことないよ。まだ食べられるさ」

暁「そう? それならいいけど……」

響(それに……酔っ払っていたら、『止まり木』から落ちてしまいそうで)

響(『止まり木』の次に変わるまでは、お酒はお預けだね……)

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響「マルマルマルマル。司令官、そろそろ切り上げたら?」

提督「そうだな……後は明日に回すか」

響「今日もお疲れ様、司令官」

提督「いやいや。響も、こんな時間まで付き合ってくれて、ありがとな」

響「うん、どういたしまして」

提督「……明日、二人で飯でも行かないか? ロシアの郷土料理の店、見つけたんだ」

響「それはいいね。是非お供させてほしいな」

提督(あの日以来、しばらく響とは飲んでいない)

提督(でも、相変わらず彼女と一緒に居る。それは変わらない)

提督(結局、響が暴走した理由は分からず仕舞いだったけど……)

提督(こうして以前と変わらず、楽しそうにしていれば、それだけで十分だ)

提督(それに……いつか響から誘われる日が来る気がしている)

提督(『止まり木』の俺は、ただ、止まってくれるのを待つだけだ)

おしまい

おつつ
続編書いてもええよ?というかむしろ書いてください何でも島風


なかなか面白かった

乙!


ギャグかと思ったらこれはなかなか

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