工藤忍「橙色に染まる場所」 (19)


海での遊びもそろそろ終わりだな。

日も傾いてきたしあがって着替えよう。

それにしても柚ちゃん対あずきちゃんのバドミントン対ビーチバレー異種競技対決はすごかったな。

まさか柚ちゃんがあんな必殺技を持ってるなんて。

穂乃香ちゃんは知ってたみたい。

確か民明書房っていうので読んだっていってたっけ?

バドミントンの語源は抜刀眠遁まさか寝ながら居合いの構えで打つとは…。

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全四話中の三話目です。

前作
綾瀬穂乃香「空の青と海の青と青い私」

前々作
喜多見柚「黄色い花は太陽の花」



柚「いやー、遊んだね。」

あずき「もうへとへとだよ。」

穂乃香「忍ちゃん、どうしましたか?海のほうに何かありますか?」

忍「いや、なんていうかさ。海を見ていると故郷を思い出すなって。」

柚「忍チャンは青森だよね。」

忍「そうだよ。あずきちゃんと柚ちゃんの故郷は海がないんだよね。」

あずき「長野県はほかに魅力がたくさんあるから平気だもん。」



柚「埼玉だって。」

穂乃香「なにがあるんですか?」

柚「聞いて驚け!TDKがあるよ。」

忍「おお!某夢の国があるのか。」

あずき「あれ?それって千葉県じゃ…。」

柚「うん。東武動物公園。」

忍「どこだよ!」



柚「遊園地と動物園、さらにプールまであるレジャー施設を知らないの?!」

あずき「知らないよ!」

忍「ん?いやこの前莉嘉ちゃんがPさんとTDKにいったって話してたような…。」

あずき「わかる人がいるの?!」

柚「ほら!知らないなんておっくれってるー。」

忍「うわ!違うし。おかしいのは柚ちゃんでしょ。」

柚「じゃあ今度アンケートとろう。対象は莉嘉チャンと美嘉サンと唯サンと彩華サンね。」

あずき「ずるい!それはずるい!」

柚「そんなことない。」



穂乃香「あの…、そんなことより忍ちゃんの故郷の話では?」

柚「そうだった。」

忍「Pさんには見せたことがあるんだけどさ。いつかみんなにも私の故郷の海を見せたいなって。」

穂乃香「綺麗なんですか?」

忍「そうだね。ちょうど今みたいに夕日が海に反射してさ。茜色に染まるんだよ。」

穂乃香「それは見てみたいですね。」


忍「なんか感傷的な気分になれる場所だよ。」

穂乃香「いいですね。」

忍「それでそのあと空と海が深い青一色になるんだ。綺麗なんだよ。」

穂乃香「すごく楽しそうに話しますね。」

忍「まあね。私のお気に入りの場所なんだ。今度みんなに見せてあげたいんだ。」

穂乃香「時間が出来たらみんなでいけるといいですね。」


忍「絶対に感動するよ。」

穂乃香「ふふ、こんな生き生きと話す忍ちゃんは珍しいですね。」

忍「そうかな…。それほどいい場所なんだ。」

穂乃香「忍ちゃんがそれだけ推すなら間違いないですね。」

忍「うん!」


柚「茜色ってなんだか凄く熱そうな色だね。」

あずき「ボンバー!って感じだね。」

忍「…。橙色に染まるんだよ。」

穂乃香「ははは…、わざわざ言い直さなくても…。」

忍「まあ、なんか場所自体が私に語りかけてくれる。勇気をくれる感じがするんだ。名づけるなら私だけのステージかな。」

穂乃香「なんかいい感じですね。」

忍「そうでしょ!」


柚「風が語りかけますって感じ?」

あずき「なにそれ?」

柚「うまい、うますぎ…いたいいたい!なんで忍ちゃんほっぺたつねるの。」

忍「柚ちゃんがちゃかしてばかりいるから。」

柚「うう…。しんみりした空気は苦手だよ…。」



穂乃香「まあまあ。そのぐらいにしましょうや。お父さん。」

忍「ふふ、わかりましたよ。お母さん。今度みんなで行こうって思ってたけど穂乃香ちゃんとあずきちゃんの三人で行こう。」

あずき「帰省大作戦だね!」

柚「え!ひどいよ!今度埼玉連れて行ってあげるから!」

忍「埼玉ってなにもないんでしょ?」

柚「失礼な!あるよ!山田うどんとか!」


忍「なにそれ?わかる?」

あずき「わからないかな。」

柚「ええ!案山子の看板の山田うどんだよ!」

穂乃香「それなら見かけたことはあるけど入ったことはないかな。」

柚「パンチセットとかおいしいよ。」

忍「へー。今度行ってみようかなってそうじゃない!また話がずれた。」



山田うどん、少し気になるな。

うー、柚ちゃんのペースに流されているな。

でもこれも悪くないかな。

親の制止も友達の制止も振り切って一人こっちに来た。

それはそれは不安だったんだよね。アイドルになれるかも賭けだったし。

もしアイドルになれたとして生活はどうするかとか考えなしにこっちに来たからね。


それともう一つ不安だったこと。

友達が出来るかどうか。

でもそんな悩みは杞憂に終わったみたい。

だってこんないい友達に囲まれているんだもん。

故郷の橙色に染まる場所は私にとってとても大事な場所。私だけの場所。

大切な人にだけ教えるんだ。私たちの場所。

Pさんには教えてあげたし、今度はフリスクのみんなで行きたいな。

いや、絶対に行く。私の全部見せてあげたい。

そんな大切な大切な友達だから。みんなと夢を一緒に追いたいからね。






「本当に大好きで、本当に大切な場所だからみんなに見てもらいたいんだ。」




以上短いけど終わりです。

書き終わってから忍の一人称アタシだったことを思い出しました。

本当にすみません。

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