ハンジ「やぁ! みんな!」幼児「……」(141)


*ハンジは女性。一応リヴァハンではある
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



――旧調査兵団本部――


ペトラ「ねぇ、誰かリヴァイ兵長がどこにいるか知らない?」

エルド「いや、知らないな」

グンタ「今日は朝から本部へ会議だったろ?」

ペトラ「もう戻ってる筈なんだけど……」

オルオ「ふっ、ペトラ。そんなだから俺の領域に」

ペトラ「エレン、兵長を見掛けなかった?」

エレン「いえ、見てないです」

オルオ「…………」



バターンッ!


ハンジ「やあ! みんな!」
幼児「……」ムスッ


リヴァイ班エレン「「「「「…………」」」」」

ハンジ「あれ? どうしたの、みんな」

エルド「いや、どうしたも何も……」

グンタ「ハンジ分隊長が抱き抱えてる子はどこの子ですか?」

ペトラ「というかなんで子供を連れてきてるんです?」

オルオ「ガキが来る所じゃありませんよ」

エレン「……ハンジさんのお子さんですか?」


リヴァイ班「「「「!?」」」」


ハンジ「ぶっ! あっはははは!! 違うよ! 私に子供はいないよ!」
幼児「……」ムスッ


エルド「……しかし随分ぶすくれてますね」

ハンジ「あーここに来るまで退屈だったのかな? その所為で機嫌が悪いのかもね」クスクス
幼児「……」ムッスー


オルオ「可愛いげのねぇガキだな……」

幼児「……」ギロ

エレン「め、目付きが鋭いですね」


ハンジ「幼児なのにねぇ」ケラケラ
幼児「……」イラッ



ペトラ「でも手とかちっちゃくて可愛いですよ」ニコニコ

幼児「……」シワー

エルド「眉間にシワが……可愛いと言われるのは嫌なのか?」

ペトラ「あ、男の子だもんね。ごめんね」


ハンジ「ぶふふっ! くくくく……」プルプル
幼児「……」ジロリ


グンタ「なんで笑ってるんです?」

ハンジ「いや、ちょっとね……」ククク

エレン「……あの目付き……どこかで?」

オルオ「そのガキは何なんですか? こんな所に連れてきちゃ危ないですよ」

グンタ「そうですよ。一応兵団の拠点の一部なんですから部外者を、ましてや子供を連れてくるのは……」



ハンジ「部外者じゃないよ? むしろあなた達より深く兵団には関わってるね」ブフフ
幼児「……いつまで無駄話をするつもりだ、クソメガネ」


リヴァイ班エレン「「「「「!!?」」」」」

ペトラ「え……? い、今の……え?」

エルド「ま、まさか、ありえない……ですよね?」

グンタ「は……?」

エレン「…………」ポカーン

オルオ「俺は、はなから気品溢れるお子様だと思ってましたー!!」

ペトラ「嘘つけっ!!」


ハンジ「ぶあはははは!! みんなの反応いいね!! あはははは!!」
幼児「……チッ」



エルド「と、とにかく説明を求めます……その子は……」

ハンジ「うん、リヴァイだよ」ズイッ

幼リヴァイ「脇持つんじゃねぇ。離せ」

リヴァイ班エレン「「「「「ええぇええぇええ!!??」」」」」

幼リヴァイ「うるっせぇな」

グンタ「ちょっ、実はリヴァイ兵長のお子さんなのかと思ったら……本人!?」

エルド「な、なんでそんな事に……」


ハンジ「医療班の実験の失敗に巻き込まれてやんの」ケラケラ
幼リヴァイ「チッ」


ペトラ「医療班は何してるんですか……?」ハァ

ハンジ「いや、なんか違う実験してたらしいんだけど、何をどう間違えたのか軽く爆発が起きてね」


ハンジ「んで、そこにいた数人の医療班員と、たまたま通り掛かったリヴァイに液体が掛かっちゃって」

エルド「もう理解の範疇を越えてます……。幼児化するってありえるんですか?」


ハンジ「ありえちゃってるね。まぁ巨人化する人間もいることだしね」
幼リヴァイ「……」ムッスー


エレン「……」

オルオ「も、戻るんですか?」

ハンジ「さぁねぇ……」

ペトラ「さぁって! 戻らなかったら問題ですよ!!」

オルオ「兵長のいない調査兵団なんてっ……!!」

グンタ「兵団の主力がいなくなるのは相当な痛手ですよ? それに兵長がいないだけでも士気に関わります」

エルド「エレンの預かりだってリヴァイ兵長がいてこそですし……」チラッ

エレン「……」


ハンジ「まぁまぁ、落ち着いて。医療班が今、頑張ってくれてるから」

エレン「……あの、中身はリヴァイ兵長のままなんですか?」

エルド「そういや……どうなんです? 見た目は3、4才くらいですかね?」


ハンジ「そんくらいだね。中身は……」
幼リヴァイ「おい、いい加減降ろせクソメガネ」ジタバタ


ハンジ「はいはい」スッ

幼リヴァイ「……」キョロキョロ

ハンジ「あんまりウロチョロしちゃダメだよ」

幼リヴァイ「ここ、城だろ? 探検したい」

リヴァイ班エレン「「「「「!?」」」」」


エルド「ハ、ハンジ分隊長……!?」

ハンジ「うん、見ての通り中身も子供だよ。でなきゃ大人しく私に抱かれてると思う?」

グンタ「は? あ? ええぇ!?」

ペトラ「やっば!! 可愛いっ!!!」

オルオ「中身が幼児であろうとも兵長は兵長です!!」

エレン「……ど、どうしたら……」オロオロ

ハンジ「普通の子供として扱っていいんでない? まぁ口と目付きはすこぶる悪いまんまだしたまに……」

幼リヴァイ「ハンジ、城見て回りてぇ」グイグイ

ハンジ「はいはい、ちょっと待ってね。まだお話終わってないからねー」ナデナデ

幼リヴァイ「チッ。つまんねぇ」ムスッ


エルド「ふ、普通に扱えと言われても……」アワアワ

ハンジ「幼児に成り立ての時はまだかろうじてリヴァイのままだったんだけどね」

ハンジ「幼児化後すぐに寝ちゃって、起きたら中身まで幼児化してたんだよね」

ハンジ「医療班のとこは混沌としてたよ」ケラケラ

グンタ「……確かに大変そうですね」

エルド「完全に幼児なんですか? 記憶とか……」

ハンジ「んー、完全って訳でもないかなぁ。人は覚えてるしたまに大人っぽいし……」

オルオ「そうなんですか?」

ハンジ「うん、リヴァイ、この人だぁれ?」→

幼リヴァイ「オルオ・ボザド」

オルオ「おぉ! 覚えてくださっている!!」ダバダバ


エルド「泣くなよ」

ハンジ「この人は?」

幼リヴァイ「エルド・ジン」

グンタ「フルネームで覚えてくださってるのか……」

ハンジ「この人は?」

幼リヴァイ「グンタ・シュルツ」

ペトラ「か、可愛いなぁ」

ハンジ「このお姉さんは?」

幼リヴァイ「ペトラ・ラル」

ペトラ「うっはー! ありがとうございますー」ニコニコ


ハンジ「そいじゃ、最後、この人は?」

エレン「……」ドキドキ

幼リヴァイ「巨人」

エレン「え?」

幼リヴァイ「巨人になれる、エレン・イェーガー」

グンタ「……変な覚え方してますね」

ハンジ「そうなんだよ。中途半端に記憶があるみたいで。
    全て逆行しているようではないんだけど精神が子供のようだ。だからまぁ、ここに連れてきたんだよ」

エルド「ああ、そこここで言ってはいけない事まで吹聴されると困りますもんね」

ハンジ「そ。悪いけど元に戻るまでここで面倒見ててくれる?」

ペトラ「もちろんです!!」

オルオ「是非もないです!!」


幼リヴァイ「エレン、巨人になれ」

エレン「ええ!? む、無理ですよ!」

幼リヴァイ「無理じゃねぇんだよ。お前が巨人化出来ねぇと意味ねぇだろ」

エレン「は、はい。頑張ります……」

幼リヴァイ「それでいい」フンッ

エルド「……時々兵長に戻ってません?」

ハンジ「そう、時々ね。ごちゃ混ぜというか思考がたまに戻ってるのかな……でも基本幼児だよ」

ペトラ「あああぁ!! もう、かっわいいー!!」

幼リヴァイ「!」ビクッ

ペトラ「リヴァイ兵長、こっちに来てくれませんか!? 抱っこさせてください!!」キラキラ


オルオ「待て! 俺が先だ!!」フンス

ペトラ「何でよ!!」

エルド「やめろ、お前ら」

エレン「そうですよ、いくら子供になったからって……」

エルド「こういう時は俺からで……」ゴホンッ

エレン「……」

グンタ「いやいや……俺からだろう」

ワイワイギャイギャイ

ハンジ「あははははは!!」ゲラゲラ

エレン「み、皆さん……」

幼リヴァイ「……」


ペトラ「じゃんけんしよ! じゃんけん!!」

エルド「よっしゃ! 順番決めよう!!」

グンタ「そうだな」

オルオ「ぜってぇ勝つ!!」

リヴァイ班「「「「じゃーんけん、ぽい!!」」」」

ペトラ「やった! 勝った!! いっちばーん!!」

オルオ「くそっ!!」

グンタ「くっ!」

エルド「ちくしょう!」

ペトラ「リヴァイ兵長ー!」クルッ



エレン「…………」
幼リヴァイ「……」ギュッ


ペトラ「……」

エルド「……」

グンタ「……」

オルオ「……」

ハンジ「エレンの後ろに隠れちゃってるね」


エレン「あ、えと、兵長、ペトラさんが呼んでますよ?」
幼リヴァイ「……あいつら気持ち悪ぃ」ギュッ


リヴァイ班「「「「!!」」」」ガーンlll


ハンジ「あははは! みんなの異様な空気を感じちゃったみたいだねぇ」

ペトラ「あ、でもエレンの後ろに隠れちゃってる兵長も可愛い……」キュン

エレン「ペトラさん……」

エルド「……つい興奮してしまったな」

グンタ「こんな兵長見れないからな……俺としたことが。すみません、兵長」

幼リヴァイ「……もう、騒がねぇか?」

ペトラ「はい、反省しました」

オルオ「すみませんでした」

幼リヴァイ「……ならいい」スッ

ペトラ「くっ!」バンッ

エルド「どうした? 壁なんか叩いて……」


ペトラ「兵長素直……本当、やばい。母性本能くすぐられ過ぎる……撫で回したい」クゥ!

エルド「……落ち着け」

ハンジ「まあ、とにかく頼むよ? 私は戻るから」

幼リヴァイ「!」

グンタ「あ、もう戻られるんですか?」


ハンジ「まあ、いても仕様がないし――」
幼リヴァイ「……」ガシッ!


ハンジ「!?」
幼リヴァイ「ハンジ、行くのか?」ジッ


ハンジ「あ、うん」
幼リヴァイ「……俺は置いてくのか?」ジー


ハンジ「あ…………えっと……」ダラダラ
幼リヴァイ「……ひとりにするのか?」ジー



ハンジ「いや、ひとりじゃないでしょうに……」ダラダラ
幼リヴァイ「……」ジー


エレン「……すごく不安そうな顔してますね……」

エルド「ひとりにするなとか言われたな……俺達はさっきので信用無くしたか……」ションボリ

グンタ「まあ、大の大人がこぞって自分を取り合いしてたら怖ぇよな……」ションボリ


ハンジ「ちょ、これどうしよう?」オロオロ
幼リヴァイ「……」ジッ


エレン「……ハンジ分隊長を頼りきってるみたいですね」


ハンジ「ええ!?」
幼リヴァイ「……」ギュッ


グンタ「目が覚めて、近くにいたのはハンジさんだけだったんですか?」

ハンジ「というか幼児化前からね。ちょっと前を歩いてたリヴァイだけが被害にあったんだけど……」


―――
――



『これはどうなってる!?』

『子供になるなんて……!?』

『とにかく被害者は集まれ!!』

ザワザワザワザワ……


ハンジ『なんか凄い事になってるね』

幼リヴァイ『ありえねぇ』ズーンlll

ハンジ『……ごめんね』


幼リヴァイ『何がだ』

ハンジ『私を庇わなきゃ避けられたでしょ?』

幼リヴァイ『……いや』

ハンジ『ごめん』

幼リヴァイ『謝られるような事は……』クラッ

ハンジ『リヴァイ?』

幼リヴァイ『なん……だ、眠……い……』パタッ

ハンジ『リヴァイ!?』


『なんだ!? 全員眠った!?』


ハンジ『子供になった者全員……?』


幼リヴァイ『』スゥスゥ

ハンジ〔このまま……目を覚まさないとか……ないよね?〕ゾッ

ハンジ『医療班!!』

『は、はい!』

ハンジ『実験をしていた薬品の中に毒物や劇物は!?』

『命に関わるような物はありません!』

ハンジ『……そう』ホッ

とある医療班員『だが安心はできない』

ハンジ『!?』

とある医療班員『死にはしないかもしれないが戻れるか分からない』


ハンジ『……』

とある医療班員『とはいえ薬効が切れれば戻るかもしれない。勿論、我々は全力を尽くして解毒薬を作る』

ハンジ『頼みます』

とある医療班『すまない……』

ハンジ『……』

幼リヴァイ『ん……』パチッ

ハンジ『!? リヴァイ!!』


―――
――



グンタ「ハンジさん?」

ハンジ「ん? ああ、そうそう、その後すごい騒ぎだったよ」

ハンジ「一旦被害者を一ヶ所に集めたんだけど、みんなすぐ寝て、ものの数分で起きたら精神も幼児化」

ハンジ「全員ギャン泣き。リヴァイはびっくりしてたけど泣いてはなかったな」

ハンジ「……でもそういやずっと裾握られてたわ……」

エルド「訳がわからない状況で不安だったでしょうね。
    そんな中ずっと側にいてくれた人に信頼を寄せるのは当たり前かもしれません」

ハンジ「刷り込みかな? まぁ嬉しいけどもエルヴィンに状況説明しにまた戻らないといけないんだよね」

グンタ「団長はまだ知らないんですか?」

ハンジ「医療班から聞いてるだろうけど私からも報告しないとね」

幼リヴァイ「……」スッ

ハンジ「ありゃ?」


幼リヴァイ「……行けばいいじゃねぇか」ムスッ

エレン「……これは……拗ねてますね」

ペトラ「くはっ!! 鼻血出ちゃうっ!!」バンッ

オルオ「落ち着け、ペトラ」ダクダク

ペトラ「……あんたが落ち着け。鼻血拭きなよ」

幼リヴァイ「拗ねてねぇ! 仕事なら仕方ねぇじゃねぇか!!」

エルド「理解あるお子様だ……」

ハンジ「あはは、理解してくれて助かるよ。それじゃお願いねー」フリフリ

リヴァイ班エレン「「「「「はい!」」」」」

幼リヴァイ「あ……」

ハンジ「ん?」

幼リヴァイ「……」ムゥ


ハンジ「……」

幼リヴァイ「……」ジッ

ハンジ「……はぁー、分かった! 負けた!!」

幼リヴァイ「?」

ハンジ「リヴァイ、大人しく待ってて。報告し終わったらすぐ戻るから」ポンッ

幼リヴァイ「!」パァ

エルド「……笑ってはいないが表情が明るくなったな」

幼リヴァイ「大人しくしといてやる」

ハンジ「あははは! みんなに迷惑掛けないようにね」ナデナデ

幼リヴァイ「わかってる」

ハンジ「じゃーねー」

――バタンッ

今日はここまでで

今更ながらの幼児化ネタだけど最新刊の情報は入れてないつもり
書いてた時の情報が旧調査兵団本部にいる時までだった


エレン「……ハンジさん、お母さんみたいでしたね」

グンタ「確かに」

幼リヴァイ「……」ムゥ

エレン「不安そうな顔してますね」

ペトラ「あー……えと、大丈夫ですよ、兵長」ニコッ

幼リヴァイ「……」ジッ

ペトラ「……」ニコニコ…

幼リヴァイ「……」ジッ

ペトラ「……――っ」クルッ

エルド「どうした、ペトラ」

ペトラ「はぁ、はぁ。ダメ!! めっちゃ飛び付きたくなった!!」

グンタ「重症だな」


幼リヴァイ「……エレン」

エレン「はい」

幼リヴァイ「お前だけがまともかもしれん」ハァー

エレン「へ、兵長?」

幼リヴァイ「?」

エレン(……本当にたまに兵長に戻るみたいだな。自覚はないみたいだけど)

エルド「とりあえず、昼食にするか」

ペトラ「そうだね。あ、兵長は普通に食べられるよね?」

オルオ「まあ食材を細かくしとけば問題ないはずだ」

ペトラ「さすが大兄弟。了解」


幼リヴァイ「んっ」ヨジ

エレン「あ、手伝いますよ。椅子に座るんですよね?」

幼リヴァイ「ん↑」←手を広げてる

エレン「はい、よいしょ」グイッ

幼リヴァイ「ん↓」ストン

ペトラ「ーーっ!」ガッターン!

エルド「うお! どうした、ペトラ?」

ペトラ「何? 今の一連の動作!? 可愛すぎでしょう!?」

オルオ「うむ」ダクダク

グンタ「重症過ぎるぞ、お前ら」


幼リヴァイ「……エレンはここにすわれ」ペシペシ

エレン「え? 兵長の左隣ですか? でもいつもは向こうの方で……」

幼リヴァイ「いまあいつらが近くだとやべぇ気がする」

エレン「はぁ……それは確かに……」

幼リヴァイ「こっちはエルドな」ペシペシ

エルド「光栄です」

幼リヴァイ「グンタはエレンの隣にいてやれ。エルド、お前はひとりでとめられるよな?」

エルド「あ、はい」

グンタ「俺らはあの二人のストッパーか……」

幼リヴァイ「……お前らはもうおかしくなるなよ?」


エルド「はい、大丈夫です」

グンタ「あいつらより理性はあります」

幼リヴァイ「……ならいい」

エレン(あれ? なんかちょっと違和感がしてきたな……なんだろう?)

ペトラ「はい、お食事です」カチャン

オルオ「新兵! なんでお前が兵長の隣にいるんだ!」

エレン「兵長にここに来いと言われたものですから……」

オルオ「そんな! 本当ですか!? 兵長!!」

幼リヴァイ「お前らあつくるしい」

オルオ「」ガーンlll

ペトラ「私も入ってる!!」ガーンlll


エルド「まあ、理性を抑えていきゃ、許してくれると思うぞ?」

オルオ「くそっ!! お前らだって抱っこ争奪戦に参加してやがったくせに!!」

グンタ「あの後騒いでないからな、俺らは」

ペトラ「くっ!!」

ペトラ(だけど私はここで唯一の女性! きっと私に甘えてきてくださる時がくる筈!!)

ペトラ(それまで我慢よ!! ペトラ!!)

エルド「一人で食べられますか? 兵長」

幼リヴァイ「ばかにするな。へい気だ」

エレン(……やっぱり何か変だ)

エレン「兵長……」


幼リヴァイ「なんだ? しょくじちゅうは静かにしろ」

エレン「! やっぱり!」

ペトラ「どうしたの?」

エレン「幼児化が更に進んでるみたいです!」

グンタ「えっ!?」

幼リヴァイ「うるせぇぞ」

エレン「……と、少しずつですが幼児の喋り方になってきてます……」ヒソッ

エルド「おいおい……大丈夫なのか、それ」ヒソッ

幼リヴァイ「……」モグモグ

エレン「あ、兵長、口に付いてますよ」フキフキ

幼リヴァイ「んー」


グンタ「何、冷静に世話してんだ」

エレン「あ、いや、もう子供にしか見えなくて……」

幼リヴァイ「だれが子どもだ!」ガチャン

リヴァイ班((((誰がどう見ても子供です、兵長))))

エレン「兵長、ダメですよ。机叩いたりしちゃ。こぼれますよ」

幼リヴァイ「む、そうだな」カタンッ

エルド「エレン、あいつ順応し過ぎだろう……」

ペトラ「まあ、いろいろあり得ないような目に合ってきてるみたいだから……」

幼リヴァイ「……」トロン

エレン「?」


幼リヴァイ「……」ショボショボ

グンタ「ありゃ、眠くなってきたのか?」

オルオ「お腹いっぱいになると眠くなるよな、幼児は」

エレン「大丈夫ですか?」

幼リヴァイ「……ん」ゴシゴシ

ペトラ(可愛い……可愛すぎ)ホワン

エルド「お昼寝の時間か……」

グンタ「しかしどこに寝かせる? 部屋にひとりにさせるわけにはいかないだろ?」

エレン「交代で見ていればいいのでは?」

エルド「……どうなると思うんだ? エレン」


エレン「……」チラッ

オルオ「……」

ペトラ「……」

エレン「すいませんでした」

オルオペトラ「「なんでこっち見て言うんだ(の)」」

グンタ「どうするんだ?」

オルオ「布団だけ持ってきて机の上に寝かせよう」

ペトラ「ええ? 机の上?」

オルオ「ベッドごと持ってくるわけにもいかねぇし、床に寝かせんのはなんか違ぇだろ」

エルド「まあ、そうだが」

オルオ「予備の布団あったよな? 取ってくる」ガタッ

ギィィ……バタンッ


幼リヴァイ「んー……」コックリコックリ

ペトラ「あ、兵長」ガタッ

グンタ「あー、船漕ぎ始めたな」

エレン「そろそろ限界ですね」

ペトラ「兵長、落ちますよ?」スッ

幼リヴァイ「ん」ガシッ

ペトラ「!?」

幼リヴァイ「んー」ギュー

ペトラ「ふ、へ、兵長が、だ、抱きついてきた!」オロオロ

エルド「眠くて警戒心が解けちゃったんだな」

ペトラ「え、何これ? 撫で回していいの?」


グンタ「落ち着け。そしてやめとけ」

エレン「普通に抱き上げてくださいよ」

ペトラ「う、うん」ソッ

幼リヴァイ「ん……」スゥスゥ

ペトラ「あれ? 寝ちゃった?」

エルド「みたいだな」

幼リヴァイ「」スゥスゥ

ペトラ「か、可愛い……」ホワワン

グンタ「ペトラ、落ち着けよ?」

ペトラ「大丈夫。寝てるからそれほど……」


幼リヴァイ「んー」モゾッ

ペトラ「はぁぁぁ!! 可愛いぃぃ!!!」

エルド「落ち着いて深呼吸しろ。嫌われるぞ」

ペトラ「それは嫌!! すぅー……はぁー……」

幼リヴァイ「」スヤスヤ

ペトラ「……可愛いなぁ」ポワッ

エルド「まぁそのくらいなら大丈夫だろ」

ガチャッ

オルオ「持ってきたぞ」

グンタ「おぅ、じゃあさっそく机の上に……」


オルオ「ああ!?」

グンタ「なんだ?」

オルオ「ペトラ! 抜け駆けだろ!!」


ペトラ「何それ」
幼リヴァイ「」スゥスゥ


オルオ「俺にも抱っこさせろよ!」


ペトラ「オルオ、うるさい。起きちゃうでしょ」
幼リヴァイ「ううーん」


オルオ「と、俺にも抱っこさせろ」ヒソッ


ペトラ「せっかく寝てるのに起こす気? いいから布団敷きなさいよ」ヒソヒソ
幼リヴァイ「」スヤスヤ



オルオ「ちっ! くそっ」バサッ

エレン「何か今の夫婦みたいでしたね」

ペトラ「それは絶対に違う」ギロッ

エレン「す、すいません!」

オルオ「新兵、おい、新兵。お前、分かってるじゃねぇか……」ニヤッ

ペトラ「いいからさっさと敷けっ」ゲシッ!!

オルオ「いだっ! おまっ、向こう脛をっっ!!」←涙目

グンタ「エレン、言うなら離れてひっそりとだ」ポンッ

エルド「そうそう、でないとあいつら照れちゃうからな」ポンッ

エレン「は、はぁ」


ペトラ「そこ、聞こえてるよ。エレンに変な事吹き込まないで」キッ!

エルド「おっと、怖ぇ怖ぇ」

オルオ「準備できたぞ」

ペトラ「あぁ……名残惜しいなぁ」

グンタ「だからといってずっと抱いておくわけにもいかないだろ」

ペトラ「うん……」ソッ

幼リヴァイ「」スゥスゥ

ペトラ「可愛いなぁ」ポワッ

エルド「あとは見張るだけだな」

グンタ「今日、明日くらいで戻るといいんだがな」



―――
――



――コンコン

ペトラ「はい」ギィィ

ペトラ「あ、エルヴィン団長……」


エルヴィン「やぁ」
幼女「……」ギュッ


リヴァイ班エレン「「「「「……」」」」」

エルド「あの……」


グンタ「眼鏡はしていませんがもしかしなくても……」

ペトラ「その女の子は……」

幼女「ハンジさんだよ!」

エレン「自分で言った!」

幼ハンジ「まだ記憶はある。すんごい眠いのを我慢しているんだ」

オルオ「なんでまたそんな事になってんですか?」


エルヴィン「うむ、自分でも調べたいと医療班の元に行ってな」
幼ハンジ「滑って転んで薬品まみれになったんだ。リヴァイより薬品だらけになったよ」ケラケラ


エレン「笑い事なんでしょうか……?」

ペトラ「眼鏡はどうされたんですか?」

幼ハンジ「大きすぎたし、今は目、悪くないから外してるよ。
     それといつ戻ってもいいように服と共に持ってきてはいる。ペトラ預かってて」スッ


ペトラ「あ、はい」

幼ハンジ「幼児化した人達を見てきたけど、
     どうやら今までに経験した事象や記憶はそれなりにあるけれど行動や思考、知識は幼児の様だね」

幼ハンジ「上手く記憶や知識を引き出せず幼児化していた様に見えたよ」

リヴァイ班エレン「「「「「……」」」」」

幼ハンジ「? どうしたの?」

エルド「いえ、何でもないです」

エルド(……ちっちゃいけどハンジさんなんだな)


エルヴィン「もう下ろしていいか? ハンジ」
幼ハンジ「あ、いいよ。ありがとう、エルヴィン」スタッ


幼ハンジ「あれ? そういやリヴァイは?」キョロキョロ



幼リヴァイ「」スゥスゥ


エルヴィン「机の上で寝ているな」

幼ハンジ「そうなの? 背が低すぎて見えないな」ピョンピョン

ペトラ「か、可愛い……///」

幼ハンジ「エルヴィン、机の上に乗せて」バッ

エルヴィン「ああ」ヒョイッ

幼ハンジ「ありがとう」ストッ

幼リヴァイ「」スゥスゥ

幼ハンジ「あはは! 寝てら」ツンツン

幼リヴァイ「うーん……」

エルヴィン「こらこらハンジ。寝ているんだから起こしては駄目だろう?」

幼ハンジ「ごめーん」


エレン(エルヴィン団長がお父さんのようだ……)

エルド「ハンジ分隊長もこちらで預かるんですか?」

エルヴィン「うむ、ハンジが連れていけと言うものでな。リヴァイと約束したと」

グンタ「あぁ……律儀ですね、ハンジ分隊長」

エルヴィン「それに精神も幼児化したらどこに行くかわからんからな、ここなら城に閉じ込めておけそうだ」

エルド「……いざとなったらエレンで釣る……ですか?」

エルヴィン「察しがいいな」

グンタ(人身御供か)


ペトラ「いやぁぁ!!」

エルヴィンエルドグンタ「「「!?」」」

エルド「どうした……!!」


ペトラ「かっわいいぃー!!!///」


幼ハンジ「」スースー
幼リヴァイ「」スゥスゥ


エルヴィンエルドグンタ「「「……」」」

ペトラ「うわぁ……誰かに絵にしてほしいぃー!」

エレン「ペトラさん、静かにしないと起きちゃいますよ」

オルオ「気持ちはわかるがな」

エルヴィン「寝てしまったか」

エルド「起きたら中身も幼児化してますね」

グンタ「兵長はともかく、ハンジ分隊長は活発そうだなぁ」

エレン「……精神も幼児化したら巨人に興味持ちますかね?」

ペトラ「あ、そうだね」


エルヴィン「大丈夫だと思うが。先程ハンジが言っていた様に記憶はそれなりに残る様だしな」

エルド「確かに時々兵長に戻っていましたが」

グンタ「しかし不安定ですね……」

エルヴィン「偶然できた物だからな。効果がどれ程か分からない。全て‘恐らく’‘多分’といった具合だ」

エルド「それは薬効が切れたからといって戻るのかもわからないという事ですよね?」

エルヴィン「ああ、わからない」

ペトラ「それって医療班が解毒剤を作れなかったらこのままという可能性も……?」

エルヴィン「可能性としてはあるかもしれない」

グンタ「それは……」

エルヴィン「まぁ、一日様子を見てみよう。朝には戻っているかも知れないしな」


エルド「あ、あとひとつ報告が。更なる幼児退行の傾向がみられます」

エルヴィン「そうなのか?」

エルド「はい。少しずつではありますが話し方が幼児のように……」

エルヴィン「そうか……」

エルド「記憶など他の部分まで共に幼児化しているかは定かではありませんが」

エルヴィン「ふむ、どのみち様子を見る以外に手立てはない。ただ覚悟はしておこう。報告をありがとう」

エルド「いえ」

エルヴィン「では私は戻る。二人をよろしくな」

リヴァイ班エレン「「「「「はい」」」」」


パタンッ

今日はここまで


エルド「大変な事になったな」

グンタ「そうだな。このまま朝まで寝ていてくれたら助かるんだがな」

エルド「難しいだろうな」

グンタ「まぁ、みんなで協力すればなんとかなるだろう」

エレン「そうですね」

ペトラ「兵長も可愛いけどハンジさんも可愛いなぁ」ウフフ

オルオ「確かにハンジさんも可愛いが兵長は天使だな」

ペトラ「あんたが言うと犯罪臭がする」

オルオ「なんだと!?」


エルド「……」

グンタ「……」

エレン「……」

エルド「あいつらの暴走も止めないとな」

グンタ「そうだな」

エレン「お二人はもう大丈夫なんですね」

エルド「一時の気の迷いだ。忘れてくれ」

グンタ「あんだけ暴走してる奴等がいると冷静に己を省みる事ができるしな」

幼ハンジ「うーん……」パチッ

ペトラ「わ! 早い。本当に数分だったね」


幼ハンジ「あれ……?」キョロキョロ

エレン「どうしました?」

幼ハンジ「エルヴィンは?」

エルド「本部に戻りましたよ」

幼ハンジ「……えるう゛ぃんはぁー?」ジワァ

グンタ「えっ?」

オルオ「マズイ! 保護者が急にいなくなって不安になってんだ! ハンジさん! 隣にリヴァイ兵長が!!」

幼ハンジ「りばい?」グスッ

幼リヴァイ「」スヨスヨ

幼ハンジ「リヴァイだ!」パァ!


グンタ「おぉ! やるな、オルオ」

オルオ「うちにも小さいやつがいるからな」フゥー

幼ハンジ「リヴァイリヴァイ」ペシペシ

エレン「あ!」

幼ハンジ「リヴァイー!」ペシペシ

幼リヴァイ「うぅ……」パチッ

ペトラ「あらら、起こしちゃった」クスクス

エレン「笑い事なんでしょうか?」

ペトラ「可愛いからよし」

エレン「え」


幼ハンジ「リヴァイ! ハンジ来たよ!!」

幼リヴァイ「お前……だれだ?」ボー

幼ハンジ「酷いなー! ハンジだよ!」

幼リヴァイ「……なんでちっちゃいんだ?」

幼ハンジ「ちっちゃくなった! リヴァイとお揃いだよ!!」ニッコー

幼リヴァイ「おそろい……」

幼ハンジ「うん! お揃い!!」

ペトラ「――っかぁぁー! 可愛いっっ!!///」

オルオ「ああ、可愛いな」ホワッ

エルド「可愛いのは認めるが……」

グンタ「ペトラ、興奮しすぎだ。オルオは顔がだらしない」

オルオ「だらしないってなんだ!!」


幼リヴァイ「同じになったのか……」

幼ハンジ「うん、同じ! ねぇ、遊ぼ!」

幼リヴァイ「ん」コクリ

ペトラ「あぁー、可愛いよぉー///」

オルオ「無上の可愛さだな」フフフ

エレン「なんか二人がただの親馬鹿に見えてきたんですが」

グンタ「親ならまだいい傾向だな」

エルド「いきすぎてお二人から嫌われないように注意しないとな。この世の終わりくらいへこみそうだ」

幼ハンジ「何して遊ぼうか?」

幼リヴァイ「そうだな……」ウーン

グンタ「ここから出したりするのは危ないか?」

エルド「城の中でも迷子になりそうだしなぁ」


幼ハンジ「……」

ペトラ「あ、私絵本いくつか持ってるよ。持ってこようか?」

オルオ「なんでそんなもん持ってきてんだ」

ペトラ「いいでしょ、別に。落ち着くんだから」

幼ハンジ「絵本? 読みたい!」

ペトラ「良かった! じゃあ持ってくるので待っててくださいね」

幼ハンジ「うん!」ニッコォ

ペトラ「はうっ!! 可愛いっ!!///」キュンッ

エルド「早く行ってこい行ってこい」

幼リヴァイ「本とかつまんねぇ」

グンタ「肩車とか興味ないですか?」


幼リヴァイ「!!」

エレン「目が輝いた」

幼リヴァイ「乗ってやってもいい」

エレン「何故か上からですね」

オルオ「それがまた可愛いじゃねぇか」ホワワン

エレン「オルオさん、気持ち悪いです」ヒキッ

オルオ「んだと!?」

エルド「事実だ。受け入れろ」ポンッ

ペトラ「絵本持ってきたよ」

グンタ「おっ? 戻ってきたか」

幼ハンジ「わーい! 読んでぇー」


ペトラ「ふふっ、いいですよ。じゃあお膝に乗ります?」

幼ハンジ「うん、のる!」

ペトラ「鼻血出そうなくらい可愛い」クゥッ

グンタ「ハンジさんに対してもか」

エルド「ははっ、いつものハンジさんとのギャップで余計に可愛く見えるのかもな」

エレン「兵長より幼児化が早く感じますね」

グンタ「ん? そうか?」

幼リヴァイ「グンタ、いつまで待たせやがる」グイグイ

グンタ「あぁ、すみません。……よっと、どうです?」

幼リヴァイ「おぉ……」

エレン「驚いてる?」


オルオ「あ、ずりぃぞ、グンタ!!」

グンタ「ずるいってなんだよ」

幼リヴァイ「……」キョロキョロ

ペトラ「――そうして二人は家族となり末長く幸せに暮らしました」

幼ハンジ「良かったねぇ。二人結婚できて。巨人にも食べられなくて」

ペトラ「……今は巨人の事、忘れててもいいんですよ?」

幼ハンジ「ダメだよ、ペトラ。忘れちゃダメなの。……私達は決して忘れちゃだめだ」

ペトラ「ハンジさん……」

幼リヴァイ「ハンジ!」

幼ハンジ「ああ! リヴァイ楽しそう! 私も肩車ぁー!!」

ペトラ「わっ! ハンジさん、いきなり暴れちゃダメですよ」


エレン「あ、あれ驚いてたんじゃなくて喜んでたのか」

オルオ「では俺が……」

幼ハンジ「エルドがいい」

オルオ「何故!?」ガーン

ペトラ「気持ち悪いからじゃないの?」

幼ハンジ「違うよ? エルドがここじゃ二番目に背が高いからだよ」

エレン「あぁ、そうですね」

オルオ「良かった、気持ち悪がられてる訳じゃなかった」ホッ

ペトラ「少し反省しました」

エルド「少しなのか」

幼ハンジ「エルドエルド、肩ぐるま」グイグイ


エルド「はいはい」

幼ハンジ「はいは一回だよ」

エルド「はい。よっと……」

幼ハンジ「おぉー!! 高ーい!!」

幼リヴァイ「ハンジ」

幼ハンジ「リヴァーイ!」フリフリ

ペトラ「何、この二人? 天使?」

オルオ「天使だな、間違いない」

エレン「ペトラさんとオルオさんはこのままで大丈夫ですか?」

グンタ「どんどんおかしくなるな」

エルド「お陰でこっちは完全に冷めたけどな」


幼リヴァイ「……」ジッ

幼ハンジ「! ……ねぇねぇ、リヴァイ、お城探検する?」

幼リヴァイ「ん」コクリッ

ペトラ「はぁー、本当にお二人共可愛いよぉー///」

オルオ「あぁ、この世で一番の可愛さだな」フフフ

エレン「親馬鹿化が進んでませんか?」

グンタ「もう放っておこう」

エルド「相手すると疲れるぞ」

幼ハンジ「エルド、下ろしてー。自分でお城探検したい」

エルド「はい、どうぞ」スッ

幼リヴァイ「グンタ」

グンタ「はい」スッ


幼リヴァイ「……」スタッ

エルド「探検か……危険な所は……」

幼ハンジ「……」ニヤリッ+

幼リヴァイ「……」スタスタ

幼ハンジ「行くよ、リヴァイ!!」タッ!

幼リヴァイ「ん」タッ!

グンタ「!? 逃げる気か!」

ペトラ「でもあの小ささなら重い扉を開けるのは困難の筈!!」

幼リヴァイ「……」ゲシッ、バーンッ!!

幼ハンジ「さすがリヴァイ!!」タッ!

幼リヴァイ「これくらいなんでもない」タッ!


エレン「足蹴で!? 兵長すげぇ!!」

オルオ「あの体躯で両開きの重い扉を開けただと!? さすが我らがリヴァイ兵長!!」

エルド「感心してる場合か!! 脱走したんだぞ!?」タッ!

グンタ「しかし二人で何も話もしていないのに……!!」タッ!

エルド「妙な所で気が合うな! あのお二方はっ!!」チィッ

ペトラ「嘘っ!? もう姿が見えない!」ザッ

エレン「あんな小さいのに!?」

オルオ「子供は隠れたりするのが案外上手だったりすんだ。以外な所にいたりするからな。見られないように逃げたんだろ」

グンタ「しかしなんで逃げるんだ。お城探検に反対したりしないのに」


エルド「ここから出したりするのはよくないって話を聞いてたのかもな」

オルオ「それと自分達だけで行きたいんだろ。子供は探検なんかに大人が入る事を嫌うもんだ」

ペトラ「オルオ、子供心をよく理解してるね」

オルオ「ま、まあな」フフン

オルオ(俺はいい父親になれるぜ、ペトラ)フッ

ペトラ「オルオが子供だからだろうね」

オルオ「誰が子供だ!」

ペトラ「だって兵長の似てない物真似するし」

オルオ「これは俺の素だ」キリッ

ペトラ「やっぱり子供だよね」

オルオ「なにおぅ!?」


エルド「お前ら夫婦漫才はそこまでにしろ! 手分けして探すぞ!」

ペトラ「夫婦じゃない!!!」

オルオ「そうだな、ペトラはまだ俺の女房になる手順を踏んでいない」

ペトラ「先にこいつ、血祭りにあげていい?」

グンタ「後にしろよ、探しにいくぞ」

エレン(後で血祭りにあげられるんだ……)



リヴァイヘイチョウー!!
ハンジブンタイチョウー!!



幼ハンジ「行ったね」ヒョコッ

幼リヴァイ「ああ」

幼ハンジ「近くに隠れた方が結構見つからないよね」ウヒヒッ

幼リヴァイ「オルオは惜しかったな。どこに行く?」

幼ハンジ「そうだなぁ、上から下にたんけんした方が効率よさそう」

幼リヴァイ「こうりつ?」

幼ハンジ「むだに動かなくてもいいって事だよ。行こう」スッ

幼リヴァイ「ん」ギュッ

幼ハンジ「えへへ、リヴァイの手、温かいね」ギュッ

幼リヴァイ「ハンジもな」

幼ハンジ「子供って体温高いよね。きょじんも」

幼リヴァイ「きょじんの話はやめろ」

今日はここまで



―――
――



幼ハンジ「わぁー! 高ぇー!!」ワッヒョーイ!

幼リヴァイ「ちっ、この辺りはほこりっぽいな」

幼ハンジ「リヴァイ! 見張りだいからのけしきがきれいだよ!」

幼リヴァイ「そうじしたい」

幼ハンジ「今はおそうじなんていいだろ! ほら、こっち」グイッ

幼リヴァイ「む……」

幼ハンジ「よいしょ」ヨジヨジ


幼リヴァイ「あぶねぇぞ」

幼ハンジ「まどにたって見た方がよく見えるし」

幼リヴァイ「……おれが先にのぼる」スタスタ

幼ハンジ「うん、ってなんでまどから離れるの?」

幼リヴァイ「……」タッ

幼ハンジ「おっ?」

幼リヴァイ「よっ……」ダンッ、トンッ

幼ハンジ「うおぉぉ! すげぇ!! 三角とびだぁ!!」キラキラ

幼リヴァイ「ほら」スッ

幼ハンジ「うん!」ギュッ

幼リヴァイ「ん」グイッ


幼ハンジ「よいしょ……ありがとう、リヴァイ」

幼リヴァイ「いや、べつに」

幼ハンジ「うっひょうー!! いい眺めー!!」

幼リヴァイ「そうだな。まどはまどでもガラスもないまどだからおちるなよ」

幼ハンジ「だいじょうぶだいじょう……」ズルッ

幼リヴァイ「!?」

幼ハンジ「ひっ!!」グラッ

幼リヴァイ「ちっ!!」ガシッ!!

ドサッ!!

幼ハンジ「痛っ……」

幼リヴァイ「だから言っただろ! ばかが!!」スタッ


幼ハンジ「あ……うぅ……」ジワッ

幼リヴァイ「!!?」

幼ハンジ「ふぅうぅ……うわぁぁぁん!!」

幼リヴァイ「お、おい」アセッ

幼ハンジ「うああぁぁぁん!!」

幼リヴァイ「な、泣くな」ナデナデ

幼ハンジ「りばいー!!」ギュゥ

幼リヴァイ「あ、おい!」

幼ハンジ「怖かったぁぁぁ!!!」

幼リヴァイ「……」

幼ハンジ「落ちるかとおもったぁぁ!!」

幼リヴァイ「……」ナデナデ


幼ハンジ「ふぇぇぇ!!」

幼リヴァイ「もうだいじょうぶだから落ちつけ」ポンポン

幼ハンジ「ひっく、りば、ひっく」グスッ

幼リヴァイ「きたねぇな」ゴシゴシ

幼ハンジ「リヴァ、ごめ、ひっく、なさひっく」

幼リヴァイ「もういい、つぎは気をつけろ」ナデナデ

幼ハンジ「ん、リヴァイ」グスッ

幼リヴァイ「ん?」

幼ハンジ「助けてくれてありがとう」ニコー

幼リヴァイ「……ん」

幼ハンジ「リヴァイやさしいねー」

幼リヴァイ「……別に」


幼ハンジ「へんな水がばしゃってかかりそうだったときもたすけてくれたよね」

幼リヴァイ「?」

幼ハンジ「やさしいリヴァイ好きだよ」ニヘー

幼リヴァイ「……」

幼ハンジ「リヴァイはー?」

幼リヴァイ「あ?」

幼ハンジ「リヴァイはハンジのこと好き?」

幼リヴァイ「……どっちかといえばな」

幼ハンジ「そっかぁ」ニヘー

幼リヴァイ「……」

幼ハンジ「あ、好きどうしはね、けっこんしないと」


幼リヴァイ「けっこん?」

幼ハンジ「うん、さっきの絵本にかいてた。かぞくになるんだよ。なろう?」

幼リヴァイ「どうするんだ?」

幼ハンジ「えーっと……ゆびわするのかな?」

幼リヴァイ「そんなもんねぇぞ」

幼ハンジ「だよねぇ。うーんと、じゃあ……あ! ちゅーすればいいんだよ。こっちの方がかんたんだ」

幼リヴァイ「……いやだ」

幼ハンジ「えぇ? なんでぇ?」

幼リヴァイ「なんかいやだ」

幼ハンジ「なんかって何?」

幼リヴァイ「なんかはなんかだ」


幼ハンジ「でもゆびわないからそれしかないよ? すぐ終わるし、ほっぺだよ?」

幼リヴァイ「……」

幼ハンジ「リヴァイ、わたしとかぞくになるのは嫌なの?」

幼リヴァイ「それは……」

幼ハンジ「リヴァイ、わたしのこと嫌い?」

幼リヴァイ「きらいじゃない」

幼ハンジ「じゃあ、しよう?」ギュッ

幼リヴァイ「! はなせ」ペシッ

幼ハンジ「!」

幼リヴァイ「あ」

幼ハンジ「ふぅ……」ジワァ


幼リヴァイ「ハ、ハンジ」オロッ

幼ハンジ「うわぁぁぁん!」

幼リヴァイ「ハンジ、見つかる。なくな」ナデナデ

幼ハンジ「リヴァイに嫌われたぁー!!」ウワーン!

幼リヴァイ「きらってねぇ」ナデナデ

幼ハンジ「うぅぅ、ほんとうに?」グスッ

幼リヴァイ「ああ」ナデナデ

幼ハンジ「……かぞくになるのはダメなの?」

幼リヴァイ「なんでなりたがるんだ?」

幼ハンジ「リヴァイはみんなをかぞくみたいに思ってるんでしょ?」

幼リヴァイ「……」


幼ハンジ「ならホントのかぞくになった方がいいんじゃないかと思って」

幼リヴァイ「……」

幼ハンジ「かぞくになってくれる?」

幼リヴァイ「わかった……」

幼ハンジ「じゃあ、ほっぺ出して」

幼リヴァイ「ん」

――チュッ

幼ハンジ「よし、じゃ、リヴァイも。ん」ズイッ

幼リヴァイ「俺もするのか」

幼ハンジ「そうだよ。はやく」


幼リヴァイ「……」

――チュッ

幼ハンジ「んへへー。これでかぞくだねー」ニヘー

幼リヴァイ「……ん」コクンッ

幼ハンジ「リヴァイかぞくー」ギュー

幼リヴァイ「……」

幼ハンジ「もうリヴァイはひとりじゃないよー」ナデナデ

幼リヴァイ「!」

幼ハンジ「みんなもかぞくだからね」スッ

幼リヴァイ「……みんなにもしなきゃいけねぇのか?」


幼ハンジ「あ、そうだね。しなきゃいけないかも!」

幼リヴァイ「いい」

幼ハンジ「ん?」

幼リヴァイ「おまえだけでいい。ほかの奴にまでするのもされるのもめんどくさい」

幼ハンジ「ええー、だめだよ。みんなかぞくがいいよ」

幼リヴァイ「めんどくさい」

幼ハンジ「うーん……そうだ! わたしがリヴァイの代わりにするよ」

幼リヴァイ「あ?」

幼ハンジ「口うつしする! リヴァイ、こっちむいて」グイッ

幼リヴァイ「おい……」

――チュッ


幼リヴァイ「!?」

幼ハンジ「――よし! リヴァイのちゅーもらったからちゃんとみんなにわたすね」

幼リヴァイ「おま……ぇ」

幼ハンジ「あ! みんなからはされなくてもだいじょうぶだよ!
     リヴァイはいち番のかぞくだからわたしもしただけだからね!」

幼リヴァイ「……おれはしなくていいんだな」ハァー

幼ハンジ「うん、だいじょうぶ、これでわたしがちゅーしたらリヴァイのかぞくになる。
     わたしがかぞくふやすからだいじょぶ」

幼リヴァイ「……そうか」

幼ハンジ「そうだよ」ニッコォ

幼リヴァイ「……そろそろべつのばしょにいくか」

幼ハンジ「うん!」



ギィィ

幼ハンジ「つぎはしたにおりてみる?」

幼リヴァイ「そうだな……」


ペトラ「いた!! みんな! いたよ!!!」


幼ハンジ「!!」

幼リヴァイ「にげるぞ」ガシッ

幼ハンジ「うん」ダッ



ペトラ「あ、コラ! 待ちなさーい!!」

オルオ「いたのか!?」

ペトラ「うん、あそこ!」

オルオ「追うぞ!!」ダッ

ペトラ「うん!」ダッ

エレン「オレたちも追いましょう!」

グンタ「そうだな」

エルド「いや、待て」

エレン「えっ?」



―――
――



ペトラ「待ってください!!」


幼ハンジ「あはは! こっちだよー!!」フリフリ

幼リヴァイ「……」フリフリ


ペトラ「はぁぁ! 可愛いぃー!!」

オルオ「同意だが。堪えろ! 悶える度に速度が下がる」ダバダバ

ペトラ「血の涙!?」


幼ハンジ「あ、リヴァイ、かいだんだ。ここからおりよう」

幼リヴァイ「ん」



ペトラ「お二人共、待ってください!! ハンジさん、エレンが巨人になってくれますよ!」


幼ハンジ「!」ピクッ

幼リヴァイ「だまされるな、エレンがきょじんになるのにはおれがいいといわなきゃいけねぇ」ギュッ

幼ハンジ「!! そうだね! うっかり行くとこだった。だまされないよー!!」フリフリ


ペトラ「なっ!? 失敗した! お二人で逃げられると使えない!!」

オルオ「ちっ、リーチの差で距離は縮まってるがまた隠れられるとやっかいだな」

ペトラ「下に降りてしまう前に捕まえたいけど」


幼ハンジ「ここおりたらまたかくれよ?」

幼リヴァイ「ん」


エルド「そうはいきませんよ」



ガシッ、ガシッ

幼ハンジ「!?」

幼リヴァイ「!?」

グンタ「やっと捕まえた」

エレン「挟み撃ち成功ですね」

エルド「そうだな。全く、疲れたよ」


ペトラ「あ、みんな」

オルオ「おぉ、捕まえたか」

エルド「ああ、お疲れ」

幼ハンジ「あははははは! つかまったー!」

幼リヴァイ「ちっ」


エルド「お二人共、お城探検はみんなでしましょう。危ないですからね」

グンタ「怪我するのは嫌でしょう?」

幼ハンジ「あ……そうだね! さっきあぶなかった」

エレン「何かあったんですか?」

幼ハンジ「まどにのぼったらおちそうになった」

エレン「は!?」

幼ハンジ「リヴァイがたすけてくれたよ」

グンタ「さすがリヴァイ兵長ですね」

幼リヴァイ「……あたりまえのことだ」

ペトラ「ハンジさん! 駄目でしょう? そんな危ないことしちゃ」メッ

幼ハンジ「ごめんなさい」ペコリ


ペトラ「可愛いから許す」

エレン「ペトラさん!?」

ペトラ「ああ! 違った! 反省してるならいいです」ナデナデ

幼ハンジ「えへへー」

エルド「完全に子供扱いしてるな」

グンタ「そういやハンジさんの言葉使いが完全に幼児化してるな」

エレン「やっぱり兵長より進行が早いですね」

エルド「リヴァイ兵長より多く薬品を被ったような事を言っていたからその所為か?」

オルオ「人によって違うのかもしれねぇな」

幼ハンジ「ねーねー、はやくいこうよ!」

ペトラ「そうだね。みんな、行こう」



―――
――



幼ハンジ「」スヨスヨ
幼リヴァイ「」スヤスヤ


エルド「寝たな」

エレン「幼い子供って全力ですね」グッタリ

グンタ「そうだな」

オルオ「適度に流さねぇともたねぇぞ」グッタリ

ペトラ「全力で相手してたくせに」

オルオ「兵長相手に気を抜けるか!」


みんな「「「「しー!!」」」」

オルオ「わ、悪ぃ」

ペトラ「ところでどうする?」

オルオ「?」

エレン「どうするって何がですか?」

ペトラ「このままここで朝まで寝かせる訳にはいかないでしょう?」

エルド「そうだな、万が一ということもあるしな」

エレン「万が一?」

グンタ「効果が一日だという可能性があるだろ? 朝には戻っているかもしれん」

オルオ「そ、そういうことだ」

ペトラ(本当に理解してたの?)


エレン「ああ、じゃあ朝起きたら服が破れちゃいますね」

リヴァイ班「「「「!?」」」」

エレン「服は替えた方がいいんでしょうか?」

エルド「よく気がついたな、エレン。とんでもない事になるところだった」

グンタ「二人も別々に寝かせた方がよさそうだな」

ペトラ「じゃあ、ハンジさんは私の部屋だね」

エルド「そうなるな」

オルオ「なら兵長は俺の……」

グンタ「兵長の部屋でいいだろ」

オルオ「ぐっ」


エレン「服はどうしますか?」

エルド「うーん、大人用に変えるのもなぁ。寝返りうったら脱げそうだしな」

ペトラ「ハンジさんには絞りのないワンピースみたいなの着せとくよ」

グンタ「ああ、それはいいな」

エレン「えっ? じゃあ兵長にも……?」

エルド「いや、そりゃダメだろう」

エレン「じゃあマッパですか?」

エルド「エレン……ますますダメだろ。風邪引きそうだし」

グンタ「ローブでも巻いておくか……」

ペトラ「……裸ローブで就寝……」


グンタ「いやまぁ、なくはないだろ」

エレン「誰が脱がすんですか?」

エルド「お前、結構遠慮なく言うな」

エレン「?」

オルオ「そこは俺が」フンッ

ペトラ「キモい」

オルオ「キモいたぁなんだ!!?」


幼リヴァイ「ん……」パチッ
幼ハンジ「」スヤスヤ



ペトラ「あ、ちょっと! 起きちゃったじゃない」

オルオ「ああ、すみません兵長。起こしてしまって」


幼リヴァイ「……」ボー
幼ハンジ「」スヤスヤ


グンタ「ボーッとしてるな」

エルド「今のうちに部屋に連れていって自分で着替えてもらおう」


幼リヴァイ「?」
幼ハンジ「」スヤスヤ

今日はここまで
次で終わる、多分



――朝――


リヴァイ「ん……朝か……」ムクッ

リヴァイ「……」

リヴァイ「…………何故裸にローブなんだ?」

リヴァイ「すぐ近くに着替えが置いてはあるが」スッ

リヴァイ「? ……昨日の事があまり思い出せねぇな」ハキハキ

リヴァイ「昨日は会議の為に本部に行って……それから……何かあったような……」シュルシュル

リヴァイ「……ハンジにでも聞くか」キュッ



―――
――



リヴァイ「どこのガキだ、これは」

幼ハンジ「……」アングリ

ペトラ「ハンジさんです」

リヴァイ「ああ?」

エルド「ええっと、実はですねカクカクシカジカ」

リヴァイ「……俺もこうなっていたのか?」

グンタ「ええ、まぁ。兵長、覚えてないんで――」

幼ハンジ「リヴァイでけぇ!!!」ゲラゲラ!


リヴァイ「あ?」

幼ハンジ「うはは! ありえねぇ! うははははは!!」

リヴァイ「このゴミを捨てる場所はどこだ?」

エルド「リヴァイ兵長、落ち着いてください」

幼ハンジ「リヴァイこえぇー! おとなになれよー」ゲラゲラ

リヴァイ「……チッ」イラッ

グンタ「まあまあ、兵長」

リヴァイ「……俺もこうなっていたという事は朝ローブ一枚だったのは……」

エルド「朝には戻るかもしれなかったので。ハンジさんはまだ戻っていなかったので着替えてますが」

リヴァイ「やはりそれでか……」

オルオ「すみません、他に方法が思いつきませんで」

グンタ「一応言っておきますが、ご自身で着替えて頂きましたので」


リヴァイ「……まぁいい」

エレン「ハンジさんは戻らなかったんですね」

グンタ「被った薬品が多かった所為か、リヴァイ兵長より後だったからその時間差か……」

エルド「時間差だとすると後2、3時間後くらいか?」

幼ハンジ「リヴァイリヴァイ! でかくなったんだからかたぐるまして!」

リヴァイ「何でだ。しねぇよ」

幼ハンジ「えぇ……」

リヴァイ「あっちへ行け」シッシッ

幼ハンジ「! ……うぅ」ジワッ

エレン「あ」


幼ハンジ「うぅぅ……ふぅええぇぇん!!」

リヴァイ「!?」

幼ハンジ「リヴァイにきらわれたぁぁ!!」ウェェン!!

ペトラ「ああ、大丈夫ですよ、ハンジさん。嫌ってなんかないですよ」ナデナデ

幼ハンジ「だっていやそうにしっしってやったぁぁ」グスグス

ペトラ「ええっと、それはそのぅ……」アセッ

リヴァイ「……」

エレン「……兵長」チラッ

リヴァイ「……」


エルド「……」チラッ

グンタ「……」チラッ

オルオ「……」チラッ

リヴァイ「…………」

ペトラ「兵長……」チラッ

リヴァイ「……………………嫌ってない」

幼ハンジ「ほんとに!?」

リヴァイ「ああ……」

幼ハンジ「ペトラ! きらってないって!!」パァ!

ペトラ「でしょう?」ニッコリ


幼ハンジ「リヴァイ!」

リヴァイ「なんだ」

幼ハンジ「かたぐるま!!」

リヴァイ「誰がするか」

幼ハンジ「ペトラ、はなしがちがう」

ペトラ「えっ? いや、その、グンタじゃダメですか? ここじゃ一番……いやその」モゴモゴ

リヴァイ「……」

エレン「あぁ! グンタさんが一番背が高いですもんね!」ポンッ

リヴァイ「……」


エルド(こいつ、本当に遠慮ないな)

グンタ(居心地悪くなるからやめろ、エレン!)

オルオ(このくそ新兵が!)

ペトラ「エ、エレン……」

エレン「ハッ!?」ビクッ

リヴァイ「……」

幼ハンジ「リヴァイがいーいー」

ペトラ「何故兵長にこだわるんですか?」

幼ハンジ「リヴァイがじぶんよりせがたかいなんてありえないじゃん。おもしろそうじゃん」

リヴァイ「とりあえずコレは窓から捨てればいいか?」

エルド「やめてください、兵長」


幼ハンジ「リヴァイ……」ジッ

リヴァイ「他の奴にしてもらえ」

幼ハンジ「うぅ……」

リヴァイ「――っ!」

幼ハンジ「うぅぅ」

リヴァイ「…………わかった」ハァー

幼ハンジ「やったよ! ペトラ!!」

ペトラ「は、はぁ」

ペトラ(私を巻き込まないでください、ハンジさん……)ビクビク

リヴァイ「泣き真似か」チッ

幼ハンジ「さっきはちゃんとないてた。おとこなんだからいったことまもれよ、リヴァイ」

リヴァイ「クソガキが」



―――
――



幼ハンジ「おぉー! たかーい!!」ヒャッホー!
 リヴァイ「……」シワシワー


ペトラ「よ、良かったですねぇ」

エルド「兵長の眉間のシワが」ヒソッ

グンタ「いつもより深いな」ヒソッ


幼ハンジ「今、グンタよりちょっとだけたかいよ!」ヒャッホー!
 リヴァイ「……」



幼ハンジ「リヴァイもこのけしきみれればいいのにね! むりだけど!」ケタケタ!
 リヴァイ「降りろ、クソガキ」


幼ハンジ「リヴァイおとなげねぇー。まぁいいや。ペトラー」

ペトラ「はい」

幼ハンジ「だっこー」

ペトラ「はい、ハンジさん」スッ

リヴァイ「……」


幼ハンジ「あはは! ペトラやわらかーい」ギュッ
ペトラ「ハ、ハンジさん!///」


幼ハンジ「リヴァイごっつごつなんだよ。きんにくだらけ」
ペトラ「は、はぁ」



幼ハンジ「すわりごこちわるいの!」

リヴァイ「無理矢理ねだっておいて随分な言い種だな」

幼ハンジ「でもたのしかったよ!」ニッコー

リヴァイ「……」


幼ハンジ「あ、そうだ」
ペトラ「?」


幼ハンジ「ほっぺにちゅー」チュッ
ペトラ「!?///」


オルオ「なっ!?」

エルド「ハ、ハンジさん、何を?」


幼ハンジ「これでペトラはかぞくだよ」
ペトラ「へ?」



幼ハンジ「エレン、おいで」

エレン「え?」

幼ハンジ「おいで」

エレン「はい」スッ

チュッ

エレン「!?」

幼ハンジ「よし!」

リヴァイ「何がしてぇんだこのクソメガネは」

幼ハンジ「めがねしてないよ」

リヴァイ「……」


幼ハンジ「エルド」

エルド「はいはい」

幼ハンジ「だからはいは、いっかいだよ」

エルド「はい」

チュッ

幼ハンジ「次グンタ!」

グンタ「なんか流れ作業になってますが」

幼ハンジ「いいから、かがむ! たかすぎてとどかないよ?」

グンタ「すみません」スッ

チュッ


幼ハンジ「オルオ、こい!」

オルオ「俺にだけ厳しくないッスか?」

エレン「あれ? オルオさん……」

オルオ「ハッ!? お、俺にだけ厳しいじゃねぇか」

幼ハンジ「えらそう!」ゴンッ

オルオ「へぶっ!」ブシュッ

ペトラ「頭突きがアゴにクリーンヒット!?」

幼ハンジ「ほら、かがむ」

オルオ「はひ」ジンジン

チュッ

幼ハンジ「よし!」


ペトラ(こ、これって次は……)

エルド(リヴァイ兵長に向かうのか?)チラッ

リヴァイ「……」

幼ハンジ「リヴァイ! かぞくふえたよ!」

リヴァイ「そうか」

幼ハンジ「みんなリヴァイのかぞくだよ!」

リヴァイ「?」

グンタ「ん? どういう意味ですか?」

幼ハンジ「リヴァイとはさきにかぞくになてたよ」

エレン「えっ?」

エルド「幼児になってる時にしたんだろうか?」ヒソッ


グンタ「かもな。リヴァイ兵長は幼児の時の記憶がないみたいだけどな」ヒソッ

幼ハンジ「みんなかぞくにしたかったけどリヴァイがみんなにちゅーするのめんどくさいっていうからかわりにしたの」

リヴァイ「さっぱりわからん」

ペトラ(そこは面倒臭がらないで頂けたらっ!)クゥッ

エルド「何を考えてるか手に取るようだな」

幼ハンジ「ええーなんでリヴァイわからないの? あ、おとなリヴァイとはしてないから?」

リヴァイ「しなくていい」

幼ハンジ「でもかぞく……」

リヴァイ「しねぇ」


幼ハンジ「ぺとらぁ……りばいがぁー」
ペトラ「ええっと」オロッ



リヴァイ「もう泣き真似は通用しねぇぞ」


幼ハンジ「ちっ」
ペトラ「ハ、ハンジさん?」


幼ハンジ「じゃ、もういっかいかたぐるましてよ。それでゆるす」

リヴァイ「許してもらわなきゃならねぇような事してねぇよ」

幼ハンジ「ならぜんりょくでなきわめいてリヴァイのなまえさけぶ」

リヴァイ「……脅しか」

幼ハンジ「あることないことされたってエルヴィンにいう」

リヴァイ「汚ねぇ野郎だな。チッ、ペトラ、乗せろ」スッ

ペトラ「は、はい」

ペトラ(へ、兵長が頭差し出してる……うぅ、なんかこの構図ドキドキする///)スッ



幼ハンジ「よっしゃ! すわりごこちわるい!」ノッシリ
 リヴァイ「お前……」シワー


幼ハンジ「チャンス!」チュッ
 リヴァイ「!?」


エレン「あ、頭にちゅーした」


幼ハンジ「ゆだんしすぎだ、じんるいさいきょう!」
 リヴァイ「このクソガキ!」


幼ハンジ「これでおとなリヴァイもかぞく! みんなかぞく!!」エッヘン!
 リヴァイ「……」


エレン「……なんでちゅーなんですか?」

幼ハンジ「ちゅーしたらかぞくになるでしょ?」


エレン「?」

幼ハンジ「ほら、けっこんだよ!」

ペトラ「あぁ、誓いのキスですね」

幼ハンジ「そう、それ。えほんにのってた」

ペトラ「あ! あれで……」

幼ハンジ「みんなにしたからみんなかぞくだよ」ニッコー

エルド「ははっ、俺ら全員ハンジさんと結婚させられたのか」

グンタ「あはは、光栄だな」

オルオ「兵長と……」ジーン

ペトラ「家族……」ジーン

エレン「……オレも、ですか?」

幼ハンジ「? そうだよ。あたりまえじゃん」


エレン「ありがとう、ございます……」

エレン(今、オレは沢山の人に化け物とか思われているのに……)ジーン


幼ハンジ「リヴァイはへいだんのみんなをかぞくのようにおもってるからね。かぞくにしたかったんだ」
 リヴァイ「……」


幼ハンジ「これでみんなほんとにかぞくになったよ! よかったね、リヴァイ」ニコー
 リヴァイ「……」


リヴァイ班エレン「「「「「ハンジさん……」」」」」ジーン

エレン「……あ、そろそろ時間やばくないですか?」

エルド「そうだな、正確な時間は分からないから早めに部屋に行ってもらうか。ここで戻られても困るしな」

リヴァイ「……ペトラ、連れていけ」ヒョイッ

幼ハンジ「おぉ?」



ペトラ「はい。ハンジさん、お部屋で本読みませんか?」
 幼ハンジ「ほん? よみたい!!」


ペトラ「じゃあ、行きましょうか」
 幼ハンジ「うん! きょじんのほんもある?」


ペトラ「うっ……あ、ありますよ」
 幼ハンジ「うっしゃあ! はやくいこう、ペトラ!」


ペトラ「行ってきます……」

リヴァイ「ああ……」

エルド「頼んだぞ、ペトラ」

グンタ「悪いな」

エレン「が、頑張ってください!」


オルオ「ふっ、俺の女房になる為の必要な手順のひとつと思え、ペトラ」

ゲシッ!!

オルオ「ぬぐあっ!!? 向こう脛がっ!!!」


ペトラ「みんな、ありがとうね」
 幼ハンジ「オルオ、いたそうだね。いいこいいこしようか?」


ペトラ「しなくていいんですよ。ハンジさんの手が汚れます」
 幼ハンジ「けがれるの? じゃあオルオ、じぶんでいいこいいこしてね?」


オルオ「うぅ……ハンジさんが女神に見える」シクシク

エルド「結構な扱いだが女神に見えるのか」

グンタ「そりゃまぁ、ペトラの扱いに比べたらな」

エレン(……迷いなく蹴り入れた……怖ぇ)



―――
――



ハンジ「やぁ、みんな。迷惑かけたね」

リヴァイ「全くだな」

ハンジ「リヴァイには言われたくないんだけど」

リヴァイ「自ら薬品被りにいきやがった奴が何ぬかす」

ハンジ「う゛、いや、足滑らせただけだよ。事故事故」

エルド「効果が一日で良かったですね」


グンタ「このまま戻らなかったらどうしようかと思いましたよ」

オルオ「本当に! 良かったです。兵長のいない兵団なんて調査兵団じゃないといっても過言じゃありません!」

ペトラ「オルオに同意するのには躊躇しますが同意です。お二人共戻られて本当に良かったです」

エレン「ほっとしました」

リヴァイ「……心配かけたな」

リヴァイ班エレン「「「「「いえ!」」」」」

ハンジ「しかし、記憶にあまり残らなかったのは残念だね」

リヴァイ「俺は残らなくて良かった」

ハンジ「小さいリヴァイは懐いてきて可愛かったよ」


リヴァイ「そんな報告は必要ない」

ハンジ「あ、ごめん。幼いリヴァイね。小さいじゃ今かどうかわからないよね」

リヴァイ「お前のそのクソしか詰まってねぇような頭削いでやろうか?」

ハンジ「クソなんて詰まってないよ。いつも快便だし。あ、まだエルヴィン来てないの?」

リヴァイ「……」

エルド「そろそろ来られるんじゃないですか?」

グンタ「あちらもみんな戻っているでしょうし」

――コンコンッ

ハンジ「おっ、噂をすれば、かな? はーい」

ギィィ

エルヴィン「あぁ、やはり戻っていたか」


ハンジ「やっぱりエルヴィンだった。馬連れてきてくれた?」

エルヴィン「ああ」

ハンジ「良かった。連れてきてくれてなかったらエルヴィンと同乗しなきゃいけないところだったよ」

エルヴィン「私と同乗は嫌か?」

ハンジ「重くて馬がかわいそうだよ」ケラケラ

エルヴィン「早速本部に戻ってもらうぞ。仕事が滞っている。君の班がてんやわんやだ」

ハンジ「うわぁ、ちょっと戻りたくないなぁ」

エルヴィン「気持ちはわかるがな」

ハンジ「あはは。じゃあ、みんな、落ち着いたら礼に来るからね」

リヴァイ「来なくていい」


ハンジ「リヴァイにじゃないし。みんなにだし」

リヴァイ「……チッ」

ハンジ「そいじゃ戻るかな。あ、そうだ。リヴァイ」チョイチョイ

リヴァイ「なんだ?」スッ

ハンジ「まだお礼を言ってなかったから。爆発の時庇ってくれてありがとうね。助かった」

リヴァイ「……前にいただけだ」

ハンジ「くはっ、天の邪鬼め。礼くらい素直に受け取りなよ」

リヴァイ「……お前は助けられたからといって薬品に飛び込みに行くな。意味ねぇだろ」

ハンジ「それについては反省してるよ。餅は餅屋に任せるべきだった。気をつける」

リヴァイ「そうしろ」


ハンジ「んじゃ、改めてみんなまたねー」

バタンッ

リヴァイ「騒がしい奴だな」

エルド「リヴァイ兵長、覚えてる事って全くないんですか?」

リヴァイ「ん? ああ、特に何も――」

――――――――――――
――――――――――――


幼ハンジ『口うつしする! リヴァイ、こっちむいて』

幼リヴァイ『おい……』


――――――――――――
――――――――――――


――ガンッ!!!

リヴァイ班エレン「「「「「!?」」」」」

エルド「い、いきなり壁に頭突きしてどうしました!?」

リヴァイ「……嫌な事を思い出しそうになったから今消した」パラパラ

リヴァイ班エレン(((((そんな無茶な……)))))

リヴァイ「……」



――幼ハンジ『みんなもかぞくだからね』



リヴァイ「…………」



―――
――



ドカカッドカカッ

ハンジ「ふふっ」

エルヴィン「なんだか嬉しそうだな、ハンジ」

ハンジ「うん、楽しかったからね」

エルヴィン「何か覚えているのか?」

ハンジ「うーん、断片的に少しだけ、かな? 楽しかったっていう感情は覚えてるんだけど」

エルヴィン「ふむ、全く覚えていない訳ではないのか」


ハンジ「あれ? 医療班員は何も言ってなかったの?」

エルヴィン「まだ詳しくは聞いていなかったからな。戻ったら報告書を出してもらおう。君達もな」

ハンジ「うへぇ、仕事が増えた」

エルヴィン「断片的にと言っていたがどういった事を覚えている?」

ハンジ「うーんと、リヴァイとみんなで追いかけっこみたいな事してたり、巨人の本読んだり……」

エルヴィン「子供に巨人の本か」

ハンジ「私が読みたいって言ったと思う」

エルヴィン「だろうな」

ハンジ「あとは――」


――――――――――――
――――――――――――



幼リヴァイ『!?』

幼ハンジ『――よし! リヴァイのちゅーもらったからちゃんとみんなにわたすね』



――――――――――――
――――――――――――

ハンジ「――――」

エルヴィン「? どうした?」

ハンジ「いや……/// なんでも」

エルヴィン「そうか?」

ハンジ「まぁ、覚えている事は報告書に纏めておくよ」

エルヴィン「ああ、頼む」

ハンジ「……」


ハンジ(……あとでリヴァイと口裏合わせてあれは報告しないよう相談しに行かないとな)ハァー

ハンジ(覚えていれば、だけど)

ハンジ(全く、何してくれてんだ子供の私っ)ガシガシ

エルヴィン「しかし、一日で済んで良かった。……この壁外調査は日を改めることができないからな」

ハンジ「そうだね……」



――幼ハンジ『みんなもかぞくだからね』



ハンジ「……」





リヴァイハンジ「「みんな家族、か……」」



おしまい

読んでくれた人、レスくれた人ありがとうございました

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