【咲-Saki-】京太郎「有珠山で過ごした記憶」由暉子「2ページ目ですね」【安価】 (539)


こうして俺は皆と知り合って、仲良くなって、色んな思い出をつくったんだ。


揺杏。

爽。

チカ姉。

ユキ。

なるちゃん。


こんな風に呼んでたっけ、懐かしいな。

そして俺は小学校を卒業して新しい一歩を踏み出した。

彼女達と一緒に、中学というまだ見ぬ世界へ。


これは、俺の記憶の2ページ目。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1439556204


・京ちゃんが主人公の安価スレ

・スレタイ通り有珠山メイン

・安価とコンマで育成したり恋愛したり

・このスレの京ちゃんは北海道生まれ

・期間は小学1年生から高校3年生まで

・と言っても流石に12年間しっかりやるのは不可能なのでキンクリ多め

・麻雀要素は多分薄め

・エンディングに行けるのは一人だけ、ハーレムはナシ

・単行本派なので14巻までの内容のみ反映しています

以上のことにお気をつけてご参加下さい


1スレ目
【咲-Saki-】京太郎「有珠山で過ごした記憶」【安価】
【咲-Saki-】京太郎「有珠山で過ごした記憶」【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1438008560/l50)


【時間の流れについて】

『中学3年の秋』までは一年を『春』『夏』『秋』『冬』の4つの季節に分割。

季節ごとに季節共通のステータスアップイベントと季節限定の思い出取得イベントを行います。

つまり小学時代と中学時代で行動は合計70回。

『中学3年の秋』以降は流れる時間の区切りが1週間となり、これは中学3年10月1週目から高校3年3月1週目まで。

1週間の行動回数は基本的に1回ですがイベントなどがある場合は例外でイベント毎に行動回数及び行動内容が変わります。



【好感度と思い出】

中学3年の秋まで好感度は存在しません。

代わりにそれまでの間は女の子と行動すると、思い出が取得出来ます。

思い出には『○○との思い出』『○○との大切な思い出』『○○との苦い思い出』の三種類があり、コンマ判定で成功すると『思い出』が、大成功すると『大切な思い出』が、失敗すると『苦い思い出』が取得できます。

『思い出』と『大切な思い出』の個数によりそのキャラと京ちゃんの関係が変化し、中学3年の秋の時点でそれぞれ好感度に換算されます。

好感度に換算される数値は『苦い思い出』が3、『思い出』が6、『大切な思い出』が9となります。

そして好感度が100を越えたキャラは『告白』が可能になります。



【告白と彼女】

好感度が100を越えたキャラに行う事が可能で成功するとそのキャラが彼女になってくれます。

ただし彼女に出来るのは一人だけ、複数人と付き合うことは不可能です。


【ステータス】

体力……運動能力や力の強さを表します。

学力……学校での成績の良さ、頭の良さを表します。

雀力……麻雀の実力を表します。

雑用……掃除から料理や裁縫などの腕前を表します。


〈中学生時のステータスについて〉

・体力

1~10 もやし中学生

11~20 平均的な中学生

21~30 運動できる中学生


・学力

1~10 少しおバカさんな中学生

11~20 平均的な中学生

21~30 頭が切れる中学生


・雀力

中学生の間は上昇しませんが経験は蓄積されます。


・雑用

1~10 ちょっと危なっかしい中学生

11~21 平均的な中学生

21~30 雑用ならおまかせあれ!な中学生


須賀京太郎

中学入学時

【ステータス】

体力 9

学力 12

雀力 0(+7)

雑用 8

【思い出】

『揺杏との大切な思い出~お隣さん~』

『由暉子との大切な思い出~同じ小学校の女の子~』

『成香との苦い思い出~桜の木の下の女の子~』

『由暉子との大切な思い出~短冊のお願いごと~』

『由暉子との苦い思い出~見れなかった満月~』

『誓子との思い出~初めてのバレンタイン~』

『誓子との苦い思い出~砕けたクッキー~』

『由暉子との大切な思い出~二人のプール~』

『由暉子との思い出~楽しい誕生日会~』

『揺杏との思い出~あったかい手袋~』

『誓子との苦い思い出~誕生日の怪我~』

『爽との大切な思い出~口元のクリームの味~』

『由暉子との大切な思い出~しっかり抱きとめて~』

『成香との苦い思い出~行けなかった誕生日~』

『由暉子との大切な思い出~背負い駆け抜けた桜の木~』

『揺杏との思い出~ギリギリ渡せたプレゼント~』

『誓子との苦い思い出~間に合わなかった麻雀大会~』

『揺杏との苦い思い出~満月の夜に叱られて~』

『爽との大切な思い出~上級生との喧嘩~』

『由暉子との大切な思い出~かまくらは秘密基地~』

『由暉子との大切な思い出~旅館での一晩~』

『由暉子との苦い思い出~お化けなんて嘘さ~』

『成香との大切な思い出~真っ赤なツーショット~』

『揺杏との大切な思い出~手編みのマフラー~』

『誓子との思い出~年賀状を出し忘れて~』

『成香との苦い思い出~カピバラの威嚇~』

『由暉子との大切な思い出~相合傘~』

『揺杏との大切な思い出~はじめてのビキニ~』

『揺杏との思い出~月明かりの中の幼馴染~』

『由暉子との大切な思い出~おれの大切な友だちだから~』

『誓子との大切な思い出~雪降る町の少女~』

『揺杏との苦い思い出~卒業式の夜の涙~』


新スレでもよろしくお願いしますーぅ

ってことで中学編、始めるよー


中学の制服に腕を通して鏡を見る。

ちょっと大きいかな……。

でもまあ背はすぐに伸びるって言われたし、これくらいで大丈夫か。

そんなことを考えながらカーテンを開けると、窓の外には幼馴染の顔があった。


準備したら家の前で待っていろと言われて外に出て幼馴染を待つ。

少ししてから俺の元に一つ上の幼馴染がやってきた。


揺杏「んじゃ、いこっか」

京太郎「うん」


揺杏に連れられて中学への道を歩いていると前方で赤い髪の少女がこちらに手を振りながら駆け寄ってきた。


爽「よっ、入学おめでとう京太郎」

京太郎「ありがと爽」

爽「うんうん、にしても制服ぶっかぶかだな」

京太郎「そう?」

爽「そう」

揺杏「まあすぐおっきくなるよ」

爽「だな」


二人の幼馴染は笑いながら前を歩いて行く。

そうだ、今日から彼女達が俺の先輩になるんだ。


爽「そう言えば部活は決めた?」

京太郎「まだ、そう言えば二人の部活は?」

爽「私は女子ハンドボール部だよ」

揺杏「んで私がハンド部のマネージャー」

京太郎「二人共ハンドなんだ」

爽「そうだなー、京太郎もハンドやるか?」

京太郎「男子もあるんだ?」

揺杏「あるよー、まあウチは女子も男子もそんな強くないけどね」

京太郎「じゃあ俺もハンドにしよっかな」

爽「いいねえ」

揺杏「へばんなよー?」

京太郎「へばんねえよ!」



ハンドボール部に入部することが決定しました


京太郎「こ、こんにちはー」


入学式を終えてクラスで何人かと仲良くなり、放課後ハンドボール部の見学に行くことになった。


「む、新入生か」


ガタイのいい三年生らしき先輩に圧倒されながら俺たちはハンド部の見学をした。

先輩達は皆いい人そうだ。

練習は厳しそうだけど、三年間頑張ろう。



ハンドボール部に入部しました

運動部に所属しているので季節ごとに体力が1上昇します


『季節共通』

1 自主練

2 勉強

3 児童館

4 友達の家

↓3


《4 友達の家》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


爽「いやあ、京太郎がうちに来るなんて初めてじゃない?」

京太郎「小さいころに一度だけありますよー」

爽「そういや敬語になったけど、なんで?」

京太郎「部活で先輩にタメ口って言うのも気が引けるしどうせなら普段から敬語の方が良いかなと思いまして」

爽「なるほどなー。あ、ここが私の部屋」

京太郎「おじゃましまーす……って」

爽「そこら辺適当に座ってね」

京太郎「爽先輩」

爽「ん?」

京太郎「掃除しましょう」

爽「えー、めんどくさいからまた今度な」

京太郎「駄目です!女の子がこんな汚い部屋なんて!!」

爽「ええ……」

京太郎「ほら、片付けますよ」

爽「あ、そこ危ないよ」

京太郎「へっ?」

爽「私の下着が散らかってるから転びやす……」

京太郎「うおっ!?」

爽「あー」

京太郎「いっててて」

爽「だから言ったのに」

京太郎「だから言ったのにじゃなくて片付け手伝ってくださいよっ!」



雑用が1上昇しました


『春』

1 花見

2 梅雨

3 旅行

↓3


《3 旅行》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


爽の家族と俺の家族での旅行。

前ユキと行った時とは違い今回は家族毎で部屋をとったので俺の隣では両親が寝ている。

朝早くに目が覚めてしまった俺は二人を起こさないようそっと部屋を出た。


旅館の外に出ると東の空が真っ赤に染まっている。


京太郎「うお、すげえ」

爽「本当にな」


突然横からした声に驚いて思わず飛び上がりそうになる。

隣を見ればいつの間にか爽先輩が立っていた。


京太郎「爽先輩、朝早いですね」

爽「京太郎もな」

京太郎「なんか目が覚めちゃいまして」

爽「私もだ……そこのベンチにでも腰掛けるか」

京太郎「あ、はい」


爽先輩が近くにあったベンチに腰を下ろし、俺も後に続く。

二人でただ朝焼けを見つめる。

沈黙を破ったのは爽先輩だった。


爽「そういえば京太郎、部活はどうだ?」


京太郎「た、楽しいですよ」


思わず見栄を張ってしまった。

嘘だ。

正直しんどい。

練習はハードで体力が保たない。

でも爽先輩に弱いところを見せたくなくて、嘘をついてしまった。


爽「んー、やっぱキツいか」

京太郎「え?」

爽「キツいんでしょ?練習」

京太郎「はい……」


そう言えばそうだった。

小さい頃からこの人には隠せなかった。


爽「今はしんどいかもしれないけどさ、それは皆同じだから」


穏やかに笑いながら俺を元気づけてくれる。


爽「ここで頑張れば、残りは楽しくやれるよ」

京太郎「……はい」

爽「約束な」

京太郎「約束?」

爽「そう、しっかりハンドをやり切るって約束。指出して?」


ゆーびきーりげーんまん。

爽先輩と俺の小指を結び合わせて約束をする。

それが終わると爽先輩は部屋に帰って行き、俺は一人になった。

気付けば俺の中にはやる気が満ちていて。

爽先輩からパワーを貰ったような気がした。



『爽との大切な思い出~旅行~』を取得しました


『季節共通』

1 自主練

2 勉強

3 児童館

4 友達の家

↓3


《1 自主練》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


京太郎「あー、しんどっ」


部活が終わってからグラウンドを走っていた俺は目標を達成してそのまま地面に座り込んだ。

しんどいけど、爽先輩との約束だ。

体力が無いなら人一倍頑張ろう。

目を閉じて息を整えていると首筋に冷たい何かが当てられる。


京太郎「うおっ!?」

揺杏「頑張ってんね―」

京太郎「驚かすなよ揺杏……先輩」

揺杏「無理に敬語にしなくていいよ?京太郎の先輩呼びとか違和感あるし」

京太郎「爽先輩は結構馴染んだんだけど、なんか揺杏はなあ」

揺杏「なんだそれ」

京太郎「なんだろ」

揺杏「まあ私は呼び捨てでいいよ、幼馴染のよしみってことで」

京太郎「……わかった」

揺杏「水分しっかり取って、校門で待ってるから早く着替えて来いよ」

京太郎「ああ、ちょっと待っててくれ」

揺杏「いそげよー」



体力が1上昇しました


『夏』

1 七夕

2 夏祭り

3 肝試し

4 プール

5 キャンプ

↓3


《5 キャンプ》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


ちょっと今日はここで終了で

キャンプの話は小ネタと一緒に明日の開始前に投下します

それじゃおやすみー


昨日の続きから

前スレの小ネタを先に読んだほうが良いかも?です

それじゃ始めまーす


テントの中で俺は今女の子と二人っきりだ。

いや、正確には今ではなく『今晩の間』だが。

どうしてこうなったかと言えば一組につきテントは一つということをすっかり忘れて俺とユキを一組で申し込んでしまったことが原因だ。

ユキの方はあまり気にしていないみたいで「なんだか懐かしいですね」なんて言っているが俺としては大問題である。

中学生にもなれば女の子を異性として意識し始めるお年頃だ。

その上ユキは中学生とは思えないような大きさだ。

……何がとは言わないが。

そんな訳で俺は絶賛大ピンチである。


由暉子「京太郎くん」

京太郎「な、なんだ」


突然名前を呼ばれてびくんと反応する。ちょっと挙動不審すぎるぞ、俺。


由暉子「外に行きませんか?」


全く気にしてない様子のユキもどうなんだ……。

そんなことを思いながらも問い返す。


京太郎「外?」

由暉子「はい、なんだかあの夜のことを思い出してしまって。京太郎くんさえ良ければどこかで星を眺めたいなと思いまして」

京太郎「ああ、いいよ」


あの夜のこと。

その言葉で俺の中の気持が切り替わる。

そして俺も、純粋に見に行きたいと、そう思った。


テントを出てすぐ近くにあったベンチに二人並んで腰掛けて空を眺める。

確か、あの方角だったっけ。

そう思って空を見るとユキも同じ方を見ていた。


由暉子「京太郎くん」

京太郎「ん?」

由暉子「懐かしいですね」

京太郎「ああ、そうだな」

由暉子「また、見れないでしょうか」

京太郎「……どうだろ」

由暉子「見れると、良いですね」

京太郎「見れるさ、きっと」

由暉子「……はい」


ユキと静かに言葉を交わす。

ずっとこうしていたい、隣で口元に笑みを浮かべて夜空を見つめるユキを見ながらそう思った。


どれだけ長い時間そうしていたかは覚えていない。

ただ、意識が遠のき始めたところで柔らかい物が俺に倒れかかってきて意識がはっきりした。

隣を見れば眠ってしまったのかユキがもたれかかってきている。


京太郎「おいおい、こんなところで寝たら」


そう言いかけて言葉が止まった。

原因は視界に飛び込んできたもの。

ユキは背が低い為必然的に俺が見下ろす形になる。

そしてその角度とユキの胸元の開いた服のコンボによって肌色の渓谷が目に映り込んで――。

慌ててユキから目を背ける。

危ないところだった、もう少しで理性を失っていたかもしれない。

頭を振って邪念を払いユキをテントへと運ぶことにする。

だがしかしここでも問題が。

引きずっていく訳にもいかないしお姫様抱っこなんてする腕力は生憎だがない。

背負っていくしか方法がないのだがそうすると……。

いや、ここで寝かせておいて風邪を引かせるわけにはいかない。男京太郎、誘惑に耐え抜いてみせるッ。

そう決心してユキをおんぶする。


ふぉおおおおッ!?

デカイッ、そしてッ、やわらかああああああああいッッッ


背中に押し当てられる二つの巨大な柔らかい物の感触。

押し寄せてくる誘惑に耐えながら何とかユキをテントに運び寝袋に入れて寝かせると俺は一人トイレに走った。



『由暉子との大切な思い出~キャンプ~』を取得しました


ちょっと離席

30分くらいから再開予定で


『獅子原爽 イベント』

《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


照りつける日差しの中で行われるハンドボールの大会。

まだ一年生で初心者の俺は当然ながら試合に出れるはずもなく他の部の仲間達と応援していた。

だが俺たちの応援も虚しくうちのチームは前半始まってすぐに大差をつけられて既に負けムードになっていた。

そもそも初戦の相手が強豪校に決まった時点で士気は下がっていたのだが、あんまりにもあんまりな実力差に見ているのが辛いほどだ。

そんな中で友人達は俺に言った。


「女子の方の応援に行って来いよ」


女子ハンドボール部も現在試合を行っている。

向こうもそれなりに強い学校とあたってしまったと爽先輩は言っていた。


「獅子原先輩、幼馴染なんだろ?」

「応援しに行けよ」

京太郎「いやでも……」

「大丈夫だって、もし何か有ったら須賀は熱中症でぶっ倒れましたって言っとくから」

「バレても俺たちが何とかすっから、行って来い」

京太郎「皆……」

「あの先輩、後輩にもフレンドリーで優しくて結構慕われてんだぜ」

「ファンクラブもあるとかないとか」

「だから、しっかり励ましてこいよ」

京太郎「……おう!」


友人達に後押しされて俺はひっそりと抜けだした。

そして女子の方へと走る。

もうすぐ休憩時間になるころだ、それに間に合う用に急がねえとっ。


全力で走り抜けて女子の試合が行われているコートに辿り着く。

休憩には間に合った、そして点差は……?

得点表に目を向ける、かなりの接戦だ。

少し負けているが強豪相手によく食らいついてる。

ベンチの方に顔を向けるとマネージャーの雑用をしている揺杏と目が合う。

揺杏は俺を見て少し驚いたような顔をしたがすぐにニッと笑い頷いた。

揺杏はきっと爽先輩を呼んでくれる。

そう確信して休憩時間を待つ。

前半が終わり選手たちがベンチに戻って来た。

そしてしばらくして爽先輩は俺の元にやってきた。


爽「男子の方は?」

京太郎「抜けてきちゃいました」

爽「私のために?」

京太郎「は、はい」

爽「そっかそっか」


話していて余裕がないのが分かる。

かなりしんどそうだ。


京太郎「先輩」

爽「ん?」

京太郎「頑張ってくださいっ」


それだけしか言えない。

友人達に言われて飛び出してきたが、俺にはこんな言葉をかけることしか出来ないのか。

そう思い知らされて思わず唇を噛み締める。


爽「なーんでお前がつらそうなんだよ」


爽先輩はそう笑いながら言うと、俺を抱きしめた。


京太郎「なっ、先輩!?」

爽「ちょっとこうさせてよ」

京太郎「わかりました……」


汗と土の匂い、そしてそれに少し混じった女の子の香りに包まれる。

俺を抱きしめる爽先輩の身体は柔らかくて華奢で、コートであれだけ動いているこの人も女の子なんだと実感させられる。


爽「ちょっとドキドキしてる?」

京太郎「しっ、してませんっ!」

爽「えー?」


否定はしたが勿論嘘だ。

心臓はバクバク言っている。

それは爽先輩も分かっているわけで火照っていた頬が更に熱くなるのを感じる。


爽「ありがとっ」


爽先輩がすっと俺から離れた。

その笑顔からはさっきまでの余裕の無さは消えていた。


京太郎「あの、爽先輩?」

爽「京太郎からパワー貰ったからさ」

京太郎「俺に爽先輩に渡すパワーなんて……」


俺は新入生の中でも下から数えたほうが早いくらいだ。

そんな俺にパワーなんて……。


爽「あるよ」

京太郎「え?」

爽「いっつも部活が終わった後自主練してただろ?」

京太郎「それは……」

爽「入部してすぐと比べて見違えるほど動きが良くなった、私にはわかる」

爽「もう練習も前ほどつらくはないだろ?」


確かに今では大分ついていけるようにはなった。でも……。


爽「京太郎は凄いよ、よく頑張った」

爽「だから私も、頑張らないとな」


努力が認められた気がして、ちょっと嬉しかった。

嬉しくて、目に入ってしまった砂を必死で拭う。


爽「ちょっと、勝ってくるわ」


そう言い残して爽先輩はコートへと走っていった。


後半は白熱した試合だった。

両チームの激しい点の奪い合いが繰り広げられる。

中でも爽先輩の活躍はまさに獅子奮迅とも言える勢いだった。

そして試合が終了する。

爽先輩達は優勝候補の学校相手に辛くも勝利した。

残念ながら次の試合で敗退してしまったが、その試合の結果はとても誇らしく、何より嬉しかった。

試合が終わった後、爽先輩は俺に一言だけ「二年後はお前だぞ」と告げて帰っていった。

もしかしたら爽先輩は泣いていたのかもしれない。

二年後。

俺も同じように試合するんだ。

絶対レギュラーになってやる。

そう決心した。

そして胸に焼き付けた。

今日この日のことを。

この試合の、爽先輩の勇姿を。



『爽との大切な思い出~試合~』を取得しました



『季節共通』

1 自主練

2 勉強

3 児童館

4 友達の家

↓3


《1 自主練》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


誓子「あ、京太郎くん?」

京太郎「おはようございます誓子先輩」

誓子「先輩?」

京太郎「ああ、部活で爽先輩とかも先輩呼びなんで」

誓子「そっかー、そういえば爽と同じ中学だもんね」

京太郎「はい」

誓子「それでなにしてるの?」

京太郎「ランニングを、俺体力ないんで」

誓子「偉いなあ、私もした方が良いかなランニング……」

京太郎「へ?誓子先輩運動部じゃないですよね」

誓子「あはは、そうじゃないけどちょっとそういうことが気になるお年頃なのよ」

京太郎「えっと、どういう……」

誓子「ダイエットよ、ダイエット。もう、こんなこと女の子に言わせないの」

京太郎「す、すみません」

誓子「そんな謝るほどのことじゃないんだけどな……そうだ、ランニングってことは運動部なんでしょ?何部に入ったの?」

京太郎「ハンドです」

誓子「へえ、それじゃ爽達と同じなんだ」

京太郎「まあ二人の影響って感じですけどね」

誓子「そうだろうと思ったけど、ああランニングの途中だっけ。邪魔してごめんね」

京太郎「いや、俺も誓子先輩と話せて楽しかったんで」

誓子「それは嬉しいな、じゃあ頑張ってね」

京太郎「はい!」



体力が1上昇しました


『秋』

1 運動会

2 月見

3 紅葉狩り

4 お泊り

↓3


《3 紅葉狩り》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


両親達に連れられて揺杏と俺は紅葉狩りに来ていた。

のだが。


揺杏「つまんねー」

京太郎「そういうこと言うなよ、紅葉綺麗じゃん」

揺杏「綺麗だけどさあ」


何故か不満そうな揺杏。

特に何かした覚えは無いし、どうしたものか。


京太郎「なあ、あっち行ってみようぜ」

揺杏「一人で行けば」

京太郎「……じゃあそうするわ」


結局夕方になって帰る時間になっても揺杏は不機嫌そうなままだった。

本当にどうしたんだろうか。どうにもわからないので帰り際に尋ねる。


京太郎「なあ揺杏」

揺杏「何」

京太郎「俺、なんか悪いことしたかな」

揺杏「別に」

京太郎「じゃあ何で……」

揺杏「知らないっ」


そう言うと揺杏は家に帰って行ってしまった。




揺杏「……はあ」

揺杏「なにやってんだろ」

揺杏「別に爽がズルいとかそんなこと……」


揺杏「せっかく1日一緒だったのに、私のバカ……」







『揺杏との苦い思い出~紅葉狩り~』を取得しました


今日はここまで

それじゃおやすみー


揺杏の嫉妬は爽が京太郎を抱きしめてるのを見てなんかもやもやするみたいな感じだから選手かどうかはあんまり関係ないかもしれない

京ちゃん視点で書いてるせいで女の子側の気持ちを上手く書けてない気が

ユキのいじめとかもユキ視点で書けばもうちょいわかりやすかったとは思うんだけど

それやっちゃうとどうしてもユキだけ話が長くなりすぎちゃうしで

出来るだけキャラに差を付けないようにしたいんで今のまま精進していきたい所存

それじゃ今日も始めてくよー


『季節共通』

1 自主練

2 勉強

3 児童館

4 友達の家

↓3


《1 自主練》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


京太郎「ああ、よく来たなユキ」

由暉子「お邪魔します……筋トレですか」

京太郎「おう、スポーツは身体が大事だからな」

由暉子「そうですね」

京太郎「ユキも来たしこのくらいにしとくか」

由暉子「あ、お邪魔してしまいましたか?」

京太郎「いやそんなことはないけど」

由暉子「そうだ!私に何かお手伝いできることはありますか?」

京太郎「な、なんの?」

由暉子「筋トレに決まってるじゃないですか」

京太郎「なんかあるかな……あはは」

由暉子「なにか……腹筋なんてどうでしょう?」

京太郎「腹筋?」

由暉子「確か足を抑えたほうが良いんですよね」


何故か筋トレの手伝いをする気になってしまったユキ。

こうなったらやるまで止まらないだろうし腹筋をすることにする。


由暉子「んと、こうっ」


ユキが俺の足を両腕でガッチリホールド。

ぎゅむっと全身で押さえつけられる。

足に当たる胸のことを意識しないようにしながら腹筋を始める。

状態を起こして前に倒すと必然的にユキの顔が目の前に来る。

腹筋をする度に顔と顔がくっつきそうな距離に近づいては離れる。

ユキは真剣な表情のままでどうやら気にしているのは俺だけらしい。

目を硬く閉じて目標回数を終える。


由暉子「ふう、お疲れ様でした!」


ユキは満足気だったので何よりだが俺は体力よりも精神力が鍛えられた気がする。



体力が1上昇しました


『冬』

1 クリスマス

2 大晦日

3 正月

4 バレンタイン

5 雪

↓3


《3 正月》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


新年を迎え世はお正月。

俺はユキの家でこたつに入ってテレビを見ながらおもちを食べていた。

おもちはユキの親父さんがついてくれたおもちらしくとても美味しい。


由暉子「んー!柔らかくて美味しいです!」


おもちを食べて身体を上下に揺らすユキ。

リアクションがオーバーだな。

もっと柔らかくて美味しそうなものがブルンブルン揺れてるぞ。

同時に浮かんだツッコミと下ネタを胸の内にしまいながら自分のおもちを頬張る。

モチモチしていてたまらない、やっぱりつきたては格別だ。来てよかったぜ。


おもちも食べ終えこたつに入って暖まりながら正月特番を見るが正直退屈で欠伸が出そうだ。


由暉子「ふぁあ……」


なんて思っていたら隣でユキが本当に欠伸をしていた。


京太郎「眠い?」

由暉子「はい、大晦日は年越しまで起きているので元旦は眠くて」

京太郎「そっか、まあ眠かったら寝てもいいんじゃないか?」

由暉子「そうですね……」


由暉子「あ!」


ユキが何かを思いついたのか声を上げる。

嫌な予感しかしないが果たして……。


由暉子「京太郎くん、膝枕ってわかりますか?」

京太郎「まあわかるけど」

由暉子「私して貰っても良いですか?」

京太郎「俺の膝をユキが枕にするってことか?」

由暉子「はい!」

京太郎「なんでまた」

由暉子「本で読んだんですがどんな感じなのか気になって」

京太郎「何だそれ、良いけどさ……ほれ」

由暉子「それでは失礼します……」


言い出したら聞かないだろうしさっさと膝を明け渡す。

ユキは眼鏡を外すと俺の膝に頭を乗せると目を閉じて、一瞬で寝た。


京太郎「いやいくらなんでも寝るの早すぎだろ」


ほっぺたをぷにぷにとつねってみるが起きる様子は無い。

何のために膝枕をしたのかわからないがまあ本人の寝顔が満足そうなので良しとしよう。


京太郎「……寝てるし、良いよな」


そっと頭を撫でてみる。

するとユキは気持ちよさそうに微笑んだ。


……かわいい。


って何考えてんだ俺は。

確かにユキはあまり目立たないが学年でも屈指の可愛さだ、眼鏡を外せば尚の事。

でも好きとかそういうのじゃないから!

こんなUFOとか超科学とか言ってる女の子を好きになるわけ……。

……どう、なんだろ。



『由暉子との大切な思い出~正直~』を取得しました


『桧森誓子 イベント』


《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


休日の朝、いつものコースを走っている時のことだった。

誓子先輩の家を通りすぎようとした時俺は発見した。

玄関から郵便受けの途中で倒れている誓子先輩を。


京太郎「ちょっ、誓子先輩!?」


慌てて門を開けて駆け寄る。


誓子「京太郎、くん……?」


良かった、意識はあるみたいだ。

とりあえず片手で肩を支えて上半身を起こさせてやる。

風邪かと思って額に手を当ててみると物凄い熱だ。


京太郎「一旦家の中に戻りましょう、歩けますか?」

誓子「ちょっと、しんどいかも」


フラフラの誓子先輩を支えて彼女の部屋の中へと運ぶ。

家の中に人の気配が無いことを不審に思って聞いてみたところ両親が出かけているらしい。

帰ってくるのは今日の夜だとか。

熱を計るとやはり熱が高い。

どうしたものか……。


病院までは距離があって俺が運んで行くのは無理だし……。

そうだ、俺の親を呼んで病院に連れて行って貰おう。

誓子先輩に着替えるよう言って部屋を出る。

誓子先輩の家の電話を拝借して自宅に電話して親を呼び出す。

事情を話すとすぐに車で迎えに来てくれるらしい。

自分なりに上手く事を進められてちょっと調子に乗ってしまった俺は勢い良く扉を開けた。

そう、開けてしまった。誓子先輩が着替え中だということを忘れて。


視界に飛び込んできたのはピンクの可愛らしい下着しか身につけていない誓子先輩の綺麗な身体。

この前ダイエットしなくちゃなんて言っていたがそんな物が必要とは思えない美しいスタイルに思わず息が止まる。

いや、もう少し胸があると良いかな。

同学年の規格外の少女と比較して一点を見つめる。

一方で誓子先輩は何が起きているのか理解できずに不思議そうな顔でこちらを見つめていた。

理解が追い付いたのか熱でほんのりと高調していた頬が羞恥によって真っ赤に染まる。

あ、やばい。

そう思った瞬間、誓子先輩は手の届く距離にあったゴミ箱を掴むと悲鳴を上げながら俺に向って投げ飛ばした。


誓子「バッ、バカーーーーッ!!!」

京太郎「うがっ!?」


ゴミ箱は俺にクリーンヒット。

俺の頭にすっぽりとハマって俺は後ろに倒れこむ。

ゴミ出しをしてすぐだったのか中に何も入っていたのでまだ良かった。

その後なんやかんやあって誓子先輩を病院に運び診察を終えてまた誓子先輩の家に帰ってくる。

償いにと看病をしたのだがその間全く口を利いてもらえなかったのがかなり堪えた。

最後に帰る時、小声で「ありがと」とだけ言ってもらえて救われはしたが。



『誓子との苦い思い出~看病~』を取得しました


須賀京太郎

中学1年生終了時

ハンドボール部所属

【ステータス】

体力 9→16

学力 12

雀力 0(+7)

雑用 8→9


【小学生時代の思い出】

『揺杏との大切な思い出~お隣さん~』

『由暉子との大切な思い出~同じ小学校の女の子~』

『成香との苦い思い出~桜の木の下の女の子~』

『由暉子との大切な思い出~短冊のお願いごと~』

『由暉子との苦い思い出~見れなかった満月~』

『誓子との思い出~初めてのバレンタイン~』

『誓子との苦い思い出~砕けたクッキー~』

『由暉子との大切な思い出~二人のプール~』

『由暉子との思い出~楽しい誕生日会~』

『揺杏との思い出~あったかい手袋~』

『誓子との苦い思い出~誕生日の怪我~』

『爽との大切な思い出~口元のクリームの味~』

『由暉子との大切な思い出~しっかり抱きとめて~』

『成香との苦い思い出~行けなかった誕生日~』

『由暉子との大切な思い出~背負い駆け抜けた桜の木~』

『揺杏との思い出~ギリギリ渡せたプレゼント~』

『誓子との苦い思い出~間に合わなかった麻雀大会~』

『揺杏との苦い思い出~満月の夜に叱られて~』

『爽との大切な思い出~上級生との喧嘩~』

『由暉子との大切な思い出~かまくらは秘密基地~』

『由暉子との大切な思い出~旅館での一晩~』

『由暉子との苦い思い出~お化けなんて嘘さ~』

『成香との大切な思い出~真っ赤なツーショット~』

『揺杏との大切な思い出~手編みのマフラー~』

『誓子との思い出~年賀状を出し忘れて~』

『成香との苦い思い出~カピバラの威嚇~』

『由暉子との大切な思い出~相合傘~』

『揺杏との大切な思い出~はじめてのビキニ~』

『揺杏との思い出~月明かりの中の幼馴染~』

『由暉子との大切な思い出~おれの大切な友だちだから~』

『誓子との大切な思い出~雪降る町の少女~』

『揺杏との苦い思い出~卒業式の夜の涙~』


【中学生時代の思い出】

『爽との大切な思い出~朝焼けの約束~』

『由暉子との大切な思い出~キャンプの夜に~』

『爽との大切な思い出~先輩の勇姿~』

『揺杏との苦い思い出~紅葉と嫉妬と~』

『由暉子との大切な思い出~膝枕で寝正月~』

『誓子との苦い思い出~看病失敗?~』


というところで本編は今日はここまで

それじゃお疲れ様ー


爽が卒業して俺の学年もひとつ上がった春。

小学生の頃は無かった『先輩になる』という感覚にちょっぴりワクワクする。

そういえば爽に言われたっけ。

「勉強も部活も遊びも、全力で楽しめよ」って。

あったりまえだ、死ぬほど楽しんでやる。

そう思って家を出る。

前までは俺の家の前で揺杏が待っていて一緒に登校していたが今では別々だ。

大きくなったし仕方がないのかなとも思うが少し寂しい。


まあそんなこと考えていても何も変わらないか。

そう割り切って中学校への道を駆け出す。

中学生活、全力で楽しまなきゃ!


『季節共通』

1 自主練

2 勉強

3 児童館

4 友達の家

↓3


《2 勉強》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


京太郎「ぐええ、頭いてえ」

誓子「あはは……」


何をしているかと言えば誓子先輩の家でお勉強である。

学年が上がるとともに難しくなった宿題にお手上げになった俺は頼れるお姉さんに助けを請うことにしたのだ。


誓子「~~だからここが~~でしょ?」

京太郎「なるほど」


隣に座って同じ問題集に向かっているので自然と距離が近くなる。

時折肩がくっついたりほんのり甘い女の子の香りがしてドキッとする。

その度に解説を聞き逃して叱られるなんてことを繰り返しながらもどうにかこうにか宿題をやっつける。


誓子「お疲れ様」


優しく笑いながら頭を撫でてくる誓子先輩。

恥ずかしいのだがなんだかとても心地よくて、やめてくれとは言えず俺はされるがままに撫でられていた。



学力が1上昇しました


『春』

1 花見

2 ホワイトデー

3 雨

4 旅行

↓3


《2 ホワイトデー》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


3月14日。俺は最近学校で女子達に噂のケーキ屋さんに来ていた。

何故かといえば理由は単純。

爽先輩から貰った手作りチョコレートのお返しである。

俺も手作りクッキーに挑戦してみたものの出来上がったのは真っ黒に焦げた謎の物体。

どうしたものかと困っていたところに爽先輩からこんな電話がかかってきた。


爽『最近どうか?いやー、もう受験勉強で大変でね』

爽『ところでホワイトデーって勿論覚えてるよね?』

爽「うんうん、それなんだけどさ。このお店知ってる?』


その店は勿論知っていた。美味しいということも、メチャクチャ値段が高いということも。

しかし受験疲れの話やハンドのことで色々教わったこと、そして何より手作りチョコが死ぬほど美味しかったということを盾に取られて断ることは出来ず、そのケーキ屋のケーキを奢ることになったのだ。


そして目の前には超ゴキゲンな爽先輩とこの店の看板メニューで一際値段の張るイチゴのショートケーキ。

ああ俺の小遣いが……。

心のなかでほろりと涙を流す。

俺の分?そんな物は勿論無い。

一個でも財布に相当のダメージなのに二個なんて絶対にありえない。


爽「それじゃ、いっただっきまーす」


高い高いケーキを爽先輩が口に運ぶ。

指をくわえて見ていることしか出来ない悔しさを噛み締めながら俺はその様子を見守った。


爽「うっま!何これ!」


目を輝かせながらガツガツと食べ進んでいく爽先輩。

ああ、もっと味わって食べて……。

不意に爽先輩の動きが止まる。

フォークを口に咥えながら俺の方をじっと見つめる。


京太郎「爽先輩?」


俺が小首を傾げると爽先輩はケーキの残りを切り分けてフォークで刺して持ち上げるとそれを俺の方に向けた。


爽「私の、一口あげるよ」


何と慈悲深い……!っていや待て、それは俺の奢ったケーキでは?

感激しそうになり慌てて思い直す。


京太郎「ありがとうござ」


まあ貰える物は貰っておこうと大きく口を開けて食べようとした時ふとフォークが目に入る。

さっきまで爽先輩が使っていたフォークだ。

少し前までは咥えていたしケーキを食べている最中もフォークにくっついたクリームを味わうようにぺろりとなめていたはずだ。

これ、間接キスになるんじゃ……?

その考えに思い至った瞬間、ケーキをフォークごと口に含む寸前で俺の動きが停止した。

爽先輩は気付いていないのか気にしていないのか不思議そうにこちらを見ている。

どうしようかと逡巡し、気づいていないなら役得だと思って貰ってしまおうという結論に達する。

そういうわけで爽先輩が差し出したケーキを一口で食べる。

甘いし美味しい、のだがそれよりも間接キスをしたという考えの方が頭を支配してしまいとてもじゃないが味わっている余裕など無い。


爽「どう?」

京太郎「美味しい、です」

爽「うんうん、それじゃ残りは私が……」


そう言って爽先輩は静止した。フォークを凝視したまま。


京太郎「爽先輩?」


俺が声をかけるとボンッと音がしたかの如く爽先輩の顔が真っ赤になった。

どうやら気づいてしまったらしい。

チラチラとこちらを伺う爽先輩は新鮮で可愛らしかった。


京太郎「どうかしましたか?」

爽「い、いや別に……そ、そうだ。残りは京太郎にやるよ」

京太郎「良いんですか?」

爽「あ、ああ。私はもう十分味わったからな」

京太郎「それじゃ失礼して」


爽先輩からケーキとフォークを受け取って残ったケーキを食べる。

その間爽先輩はもじもじしながら俺がフォークを口に含む度にあっと声を上げたりぴくりと肩を震わせたりしていた。

爽先輩のそんな様子は初心な女の子のようで、普段は見られない一面を見ることが出来て俺は大満足だった。



『爽との大切な思い出~ホワイトデー~』を取得しました


『岩館揺杏 イベント』


《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


ハンドボール部の今年のゴールデンウィークは地獄の一週間となった。

去年の男子の初戦敗退を嘆いた顧問の先生が部費をやりくりして合宿を取り付けたのだ。

そこまではまだ良かったのだが、その練習内容がいけなかった。

連日の過酷な練習で限界まで身体をいじめ抜かれた俺たちの身体はボロボロになり、二日目以降は悲鳴を上げる身体を気力で動かしているような状態だった。

体調不良を訴える者が続出した合宿だったが俺はどうにか持ちこたえていた。

日々の自主練の賜物か俺が倒れることはとうとう無かった。

それでもかなりの疲労のせいか最終日の夜は半分意識を失ったような状態で割り当てられた部屋に倒れこんだ。

部屋割りはと言えばまさかの全部屋個室。


夜遊んだりしないようにということらしく現地でそれを聞いた時は持ってきたトランプ等が無駄になったと嘆いていた。

だが今になって考えてみれば個室だろうが大部屋だろうがトランプは無駄になっていただろう。

そんなことを考えて苦笑していると部屋の窓を叩く音がした。

聞き覚えのある叩き方。久しく聞いては居なかったが小さい頃に幾度と無く聞いたその音を忘れるわけがない。

なんとか這いよって窓を開けると一人の少女が部屋に入り込んできた。


揺杏「よ、よう」


それは少し恥ずかしそうに頬を赤らめた幼馴染だった。


京太郎「何しに来たんだよ」


そう問うが揺杏は拗ねたように「別に」と言うと容赦なく俺を引きずり始めた。


京太郎「ちょっ、いたたたたっ」

揺杏「よいしょっと」

京太郎「いってえ……何すんだよ」


揺杏は敷きっぱなしの布団の上まで移動させるとうつ伏せの俺に跨って座る。


京太郎「おもっ」

揺杏「そーいうこと言うな」


思わず声を上げた俺の頭を軽く叩くと揺杏は俺の身体に体重をかけて押し始めた。

どうやらマッサージをするつもりのようだ。

無言のままただマッサージをしていく揺杏。

それにしても気持ちいい。コイツは本当にこういう所で器用というか。

身体の緊張が解れていく。

どれだけそうしていたかわからない。

というか少し寝ていた。

バシンと背中を叩く音で目が覚める。


揺杏「んじゃ私自分の部屋戻るから」


そう言って窓から出ていこうとする揺杏を追いかけようと慌てて立ち上がる。


京太郎「おおっと」


駆け寄ろうとしてふらついて転びそうになった俺はいつの間にか揺杏に支えられていた。


揺杏「まったく、無理すんなって」

京太郎「悪い」


しっかり地面を踏みしめていることを確認して離れようとすると揺杏が近づいてくる。

華奢な腕が腰のあたりに回されて優しく抱きしめられる。


揺杏「じゃ、じゃあな」


何が起こったかよくわからない間に揺杏は窓から去って行ってしまった。


京太郎「……なんだったんだ、あいつ」




『揺杏との思い出~合宿~』を取得しました


『季節共通』

1 自主練

2 勉強

3 児童館

4 友達の家

↓3


《4 友達の家》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


由暉子「いらっしゃい京太郎くん」

京太郎「おう、それで手伝って欲しいことって?」

由暉子「はい、母に本を整理してくれと言われたんですがちょっと私だけでは大変で」

京太郎「お前の部屋SF系の本でいっぱいだもんなあ」

由暉子「手伝って頂けますか?」

京太郎「勿論、俺に任せろ」

由暉子「それではよろしくお願いします」


そして俺はユキと一緒に本の整理をすることになったのだが……。


由暉子「あ、それそっちじゃありません」

京太郎「なに!?」


由暉子「足元危ないです」

京太郎「うおっ!?」


由暉子「それ古いので注意して扱って下さいね」

京太郎「大丈夫だいじょうっ……」

ビリィッ

京太郎「……ゴメン」


なんて事が多々有り整理は難航し結局日が暮れるまでかかってしまった。


京太郎「うへえ、いつもの部活より疲れた」

由暉子「手伝わせてしまってすみません」

京太郎「ああ、俺の方こそいろいろ迷惑かけてごめんな」

由暉子「いえ、それでも助かりましたよ」

京太郎「そうか?」

由暉子「はい、ありがとうございました」



雑用が1上昇しました


『夏』

1 七夕

2 夏祭り

3 肝試し

4 プール

5 キャンプ

↓3


《4 プール》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


あの合宿以来揺杏とは昔のように話すようになった。

登校もまた一緒にするようになったし帰りも俺が自主練を終えるまで待っていてくれる。

一年くらいの間距離を置かれていた理由は聞いても教えてもらえなかったがあまり気にしないことにした。

揺杏と前みたいな仲に戻れただけで嬉しいしな。

そして昨日、そんな揺杏から明日プールに行こうというお誘いがあった。

部活も休みだったし特に予定も無かったので二人で行くことになった。


当日、着いてすぐに着替えてプールに行って揺杏を待つ。

なんか前もこんなことあったよな。

確かまだ俺が小学生の時だから二年前かな。

あの時はビキニの水着にドキドキしたんだっけ。

懐かしい思い出が脳裏に蘇る。

昔の記憶に浸っているとトントンと肩を叩かれた。

振り向くとそこには肌色、そして。


京太郎「うーん、平たいな」

揺杏「何がだっ!」

京太郎「あだっ」


思わず純粋な感想を呟いてしまいグーで殴られる。

どうやらいつの間にか同学年の少女を基準に見るようになってしまっているらしい。

揺杏もスレンダーでスタイルは良いし無いこともないのだがどうしても彼女と比べると見劣りしてしまう。


揺杏「まったく、行くぞー」


そして揺杏は少し不機嫌そうな顔をしながら俺の手を引いて歩き始めた。


揺杏と競争したり水中で追いかけ合ったりしてプールを満喫する。

その間も揺杏を眺めていたわけだがやっぱり年上の女の子だけあってついつい意識してしまう。

二年前の時とは違うが今日もビキニで露出もなかなかだ。

年頃の中学生にこれで意思するなという方が間違っているというものだ。

そんなことを考えながら揺杏に見惚れていると揺杏も俺の視線に気づいたようでジトーっとこちらを見てくる。


揺杏「なーに見てんだよ」


不味い、このままでは俺がエロガキみたいじゃないか!

……いや事実そうなんだけれども、そう思われるのは避けたい。

そういうわけで何とか弁解しようと試みる。


京太郎「い、いやなんていうか……水着、似合ってるし可愛いなって」


咄嗟に本音を呟いてしまい死ぬほど恥ずかしい。

しかもこれじゃ揺杏のことを見てたってバレバレじゃないかっ。

頭を抱えたい気分だ。


揺杏「な……っ」


と思ったがな何だか揺杏の様子がおかしい。


揺杏「そ、そういうことは早く言えよな……」


小声でそう呟いている揺杏の顔はほんのりと赤い。

そう言えば今日は最初のやり取りのせいで水着のことは何も言えてなかったな。

不意打ちで褒めたから照れてるのか?

まあ何にせよ上手く誤魔化せたな、うん。



『揺杏との大切な思い出~プール~』を取得しました


『季節共通』

1 自主練

2 勉強

3 有珠山高校麻雀部

4 友達の家

↓3


京太郎「本当に大丈夫なのか?」

揺杏「へーきへーき、部活引退してから何度か来てるけど何も言われないし」

京太郎「それならいいけど……」

揺杏「あ、いたいた。おーい、爽ー!チカセーン!」

爽「よく来たな京太郎」

誓子「いらっしゃい京太郎くん」

京太郎「あ、二人共久しぶりです」

爽「よし、とりあえず中に入りなよ」

京太郎「はい」



京太郎「……で、何やってんですか?」

爽「UNOだけど」

京太郎「いやでも麻雀部って」

誓子「あんまり気にしないほうがいいわよ」

京太郎「ええ……」

揺杏「そうそう、細かいこと気にするとハゲるぞ」

京太郎「やめろ!!」

爽「まあそれはともかく、ようこそ有珠山高校麻雀部へ!」

京太郎「麻雀部とはいったい……うごごごご……」



雀力に経験が1蓄積されます


『秋』

1 運動会

2 月見

3 紅葉狩り

4 お泊り

↓3


《1 運動会》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


今日は運動会だ。

だが、俺の学校のではない。

では誰の運動会かと言えばユキの学校の運動会である。

俺がわざわざカメラまで持って他校の運動会に来ているのには訳がある。

いやストーカーとかじゃないから、断じて違う。

俺がここに来た理由、それは数日前に遡る。

ユキの家を訪ねていた俺は帰り際にユキの親父さんに呼び止められた。

何やら頼み事が有るというので聞いてみればユキの運動会の日に両親揃って用事が入ってしまい見に行くことが出来ないのでその姿をカメラに収めて来て欲しいとのことだった。

最初は断ろうとしたのだが親父さんの必死さに負けて引き受けてしまった。

ちょっと親馬鹿が過ぎるんじゃないだろうかと思いながらユキの出番を待つ。

プログラムによればダンスをするらしい、実は俺も少し楽しみだったりする。

おっと、今やってる綱引きが終わって次がユキの番だな。

体操服姿にチアリーダーが持つようなポンポンを両手に付けた集団に目を向ける。

眼鏡にポニーテール、見つけた。ユキだ。

すると向こうも俺の視線に気づいたのか此方を見て驚いたような顔をしている。

どうやら親父さんから聞いてはいなかったらしい。

明らかに動揺しながらも周りに遅れないよう進み始めるユキ。

俺は目を離さないようにしながらカメラを構えた。


入場が終わりダンスが始まる。

ユキは隅の方で必死に踊っていた。

周りに合わせるのが精一杯な様子で地味に動きが遅れている。

しかし何と言っても凄いのは揺れだ。

来ているのが体操服なおかげでユキが大きく動く度にブルンブルン暴れまわっている。

え?鼻の下が伸びてる?気のせい気のせい。

って言うかまさか親父さんが見たかったのって……いや、それは無いよな。うん。

そうこうしているうちにユキのダンスも終わる。

この後見るものは特に無いし帰ろうとしているとユキが駆け寄ってきた。

やはり揺れが凄い。


由暉子「きょ、京太郎くん……なん、で……」


息を切らせて問いかけるユキ。

事情を説明するとユキは赤くなって恥ずかしがっていた。


由暉子「もうっ、お父さんはっ……」

京太郎「でも良かったよユキ」

由暉子「そうでしょうか、たくさん間違えてしまいましたし駄目駄目だったと思うんですが」

京太郎「いや、凄い真剣そうに頑張ってたじゃん」

由暉子「それは、京太郎くんが見てるから頑張らなきゃって」

京太郎「真剣に頑張ってるの、カッコ良かったぜ」

由暉子「そうですか?」

京太郎「ああ」

由暉子「そっか……ありがとうございますっ、京太郎くん」


よしよしと軽く頭を撫でてやるとユキがえへへっと嬉しそうに笑う。

汗だくになりながら笑うユキの笑顔は、すごく輝いて見えた。



『由暉子との大切な思い出~運動会~』を取得しました


今日はここまででー

ちょっと聞きたいんですが、このスレって楽しんで貰えてますかね?

その辺あんまり自信なくて不安でして

もし何か思ってることとかあれば行って頂けると有難いです

それじゃまた明日ー


みんなありがとう

そう言って貰えると励みになる

中学編もあと一年ってことで、今日も投下始めるよー


『季節共通』

1 自主練

2 勉強

3 有珠山高校麻雀部

4 友達の家

↓3


《4 友達の家》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


京太郎「本読んでたらこんな時間か、腹減ったな」

由暉子「もうお昼ですからね。あ、京太郎くんお昼食べていきませんか?」

京太郎「迷惑じゃないか?」

由暉子「いえ、今日は両親が居なくて私が自分で作って食べることになっていたので。一人分増えるくらいなら大丈夫ですよ」

京太郎「ユキが良いならお願いしようかな」

由暉子「はい、それじゃあ腕によりをかけて作りますね」

京太郎「あ、俺も何か手伝うぞ?」

由暉子「京太郎くんは座って見ていて下さい」

京太郎「アッハイ」



由暉子「できました!」

京太郎「おー、いい匂い」

由暉子「さあ召し上がれ」

京太郎「それじゃいただきます!」

由暉子「どうですか?」

京太郎「うん、美味い!」

由暉子「ふふ、それは良かったです」

京太郎「ああ、ありがとなユキ!」

由暉子「どういたしまして」



雑用が1上昇しました


『冬』

1 クリスマス

2 大晦日

3 正月

4 バレンタイン

5 雪

↓3


《2 大晦日》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


京太郎「あ、これ最近人気のアイドルグループだな」

由暉子「そうなんですか?」

京太郎「ユキは知らないのか?女の子の方が詳しそうなもんだけど」

由暉子「私こういったことには疎くて」

京太郎「そっか」


12月31日の夜。

俺とユキはユキの家のこたつに入って大晦日恒例の歌番組を見ている。

そう言えば今年の正月もここでおもちを食べてたんだっけ。

なんか最近は学校も違うのによく一緒に居る気がするな。


由暉子「京太郎くんと年越しなんて初めてですね」

京太郎「だな」


いつもは俺も自分の家で年を越していたし、こういうのは初めてだ。

あ、幼馴染の揺杏は例外だけど。

そんな話をしているとユキのお母さんが年越しそばを運んできてくれた。

お礼を言ってからユキと揃って手を合わせる。


「「いただきまーす」」



京太郎「ふう、美味しかったあ」

由暉子「お腹がいっぱいになったら眠くなってきました」

京太郎「もう少しで年越しだから頑張れー」

由暉子「いはい、いはいれふー」


眠たそうに大きな欠伸をするユキのほっぺたをつねって起こしてやる。

ユキの肌はもちもちしてて気持ちよかった。


由暉子「あ、カウントダウン始まりますよ」

京太郎「ほんとだ」


気付けばテレビではカウントダウンが始まっている。

カウントダウンはあっという間に終わりが近づき、そして――。


さんっ

にー

いちっ


京太郎「あけまして!」

由暉子「おめでとうございますっ!」


俺が今年最初に見たのは、ユキの笑顔だった。

今年もいい年になりそうだ。



『由暉子との思い出~大晦日~』を取得しました


『本内成香 イベント』


《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


京太郎「それにしてもなんか久しぶりですねー」

成香「そうですね、いつぶりでしょう」


ここは学校近くの大型ショッピングセンターのフードコートの一角。

学校帰りにゲームセンターで遊んでいたら成香先輩と偶然出会って少し話していくことになったのだ。

成香先輩と話すのも久しぶりだ。

それにしても……。


京太郎「成香先輩は全然変わりませんね」

成香「むっ」


あれ?なんか今急に不機嫌そうな顔になった気がしたけど、気のせい?


成香「そう言う京太郎くんは随分大きくなりましたね」

京太郎「ま、まあ成長期ですから」


確かに中学に入ってからは背もぐんと伸びて部活のおかげで体格も良くなったと思う。

でも何か言い方に刺があるのは一体何故なんだ。


成香「はあ、羨ましいです」


その一言としょんぼりした顔で合点がいく。


京太郎「ああ、成香先輩身長のこと気にしてるんですね」

成香「そんなストレートに言わないでくださいっ!」


叩かれた。


京太郎「で、やっぱ大きくなりたいんですか?」

成香「当たり前です、私も春からは高校生なのにこんなちっちゃくて」

京太郎「ふむ」

成香「一つ上の友だちはなんだか大人のお姉さんって感じで……ああ、私ももう少し身長が有れば……」


いやー、もう少しくらいじゃ足りないと思うんだけど……これは口に出さない方が良いな、うん。


成香「どうしたらいいと思いますか?」

京太郎「どうしたらって言われましても」

成香「ですよね……」

京太郎「というか、小さくてもいいじゃないですか」

成香「よ、良くないですよ!」

京太郎「でも俺、成香先輩の小さくて可愛らしい所、結構好きですよ」

成香「……」

京太郎「えっと……」

成香「そ、そうですか?」

京太郎「はい、俺はそう思います」

成香「そう……小さくて可愛い……」

京太郎「成香先輩?」

成香「ありがとうございます京太郎くん、私も京太郎くんのこと結構好きですよ」


そう言い残すと成香先輩はスキップしながら帰っていった。

時折すてきですっと言う声が聞こえてくる。

「京太郎くんのこと結構好きですよ」……か。

へへっ、女の子に好きなんて言われたの初めてじゃないか?

先に言ったのは俺だけどやっぱ嬉しいや。



『成香との大切な思い出~相談~』を取得しました




須賀京太郎

中学2年生終了時

ハンドボール部所属

【ステータス】

体力 16→20

学力 12→13

雀力 0(+7→+8)

雑用 9→11


【小学生時代の思い出】

『揺杏との大切な思い出~お隣さん~』

『由暉子との大切な思い出~同じ小学校の女の子~』

『成香との苦い思い出~桜の木の下の女の子~』

『由暉子との大切な思い出~短冊のお願いごと~』

『由暉子との苦い思い出~見れなかった満月~』

『誓子との思い出~初めてのバレンタイン~』

『誓子との苦い思い出~砕けたクッキー~』

『由暉子との大切な思い出~二人のプール~』

『由暉子との思い出~楽しい誕生日会~』

『揺杏との思い出~あったかい手袋~』

『誓子との苦い思い出~誕生日の怪我~』

『爽との大切な思い出~口元のクリームの味~』

『由暉子との大切な思い出~しっかり抱きとめて~』

『成香との苦い思い出~行けなかった誕生日~』

『由暉子との大切な思い出~背負い駆け抜けた桜の木~』

『揺杏との思い出~ギリギリ渡せたプレゼント~』

『誓子との苦い思い出~間に合わなかった麻雀大会~』

『揺杏との苦い思い出~満月の夜に叱られて~』

『爽との大切な思い出~上級生との喧嘩~』

『由暉子との大切な思い出~かまくらは秘密基地~』

『由暉子との大切な思い出~旅館での一晩~』

『由暉子との苦い思い出~お化けなんて嘘さ~』

『成香との大切な思い出~真っ赤なツーショット~』

『揺杏との大切な思い出~手編みのマフラー~』

『誓子との思い出~年賀状を出し忘れて~』

『成香との苦い思い出~カピバラの威嚇~』

『由暉子との大切な思い出~相合傘~』

『揺杏との大切な思い出~はじめてのビキニ~』

『揺杏との思い出~月明かりの中の幼馴染~』

『由暉子との大切な思い出~おれの大切な友だちだから~』

『誓子との大切な思い出~雪降る町の少女~』

『揺杏との苦い思い出~卒業式の夜の涙~』


【中学生時代の思い出】

『爽との大切な思い出~朝焼けの約束~』

『由暉子との大切な思い出~キャンプの夜に~』

『爽との大切な思い出~先輩の勇姿~』

『揺杏との苦い思い出~紅葉と嫉妬と~』

『由暉子との大切な思い出~膝枕で寝正月~』

『誓子との苦い思い出~看病失敗?~』

『爽との大切な思い出~同じフォークで~』

『揺杏との思い出~合宿の夜に~』

『揺杏との大切な思い出~不意打ちに照れる幼馴染~』

『由暉子との大切な思い出~運動会と汗と笑顔と~』

『由暉子との思い出~年越し~』

『成香との大切な思い出~身長相談~』


やったね成香ちゃん、中学編で初めての出番だよ!

それとちょっと数字を出してみたら好感度の偏りが思ったよりヤバかった、主にユキ

ちょっと早いですがキリもいいので今日はここまでー

それじゃお疲れ様ー

乙です
その内成香ちゃんより小さい後輩できるよ!


>>317
成香「確かに背は私の方が上ですけど何だか他の部分ですごく負けたような気がします!」


そう言えば某京太郎が主役な宮守の薄い本を買ってきたんですがとてもすばらでした

宮守成分が足りない、特に京塞

読者様の中に、京塞を書いてくれる方はいらしゃいませんかー!?


あと今夜は22時頃開始予定ですと予告をば


俺も今年から中学三年生か。

揺杏も卒業しちゃって少し寂しくなるけど、今年はいろんなことがあるからな。

まずは部活の大会でレギュラーになれるよう頑張らないと。

鏡を見ると中学の制服を着た自分が映っている。

二年前はぶかぶかだったこの制服も今じゃぴったりだ。

俺も大きくなったなあなんて思っているとあっという間に時間は過ぎて時間はギリギリだ。

慌てて家を飛び出して一人で中学への道を駆け出す。

それじゃ中学生活残り一年、精一杯楽しもうかな。


『季節共通』

1 自主練

2 勉強

3 有珠山高校麻雀部

4 友達の家

↓3


爽「で、自主練はいいの?」

京太郎「い、息抜きも大事かなーって」

揺杏「レギュラー落ちしても知らないぞー?」

京太郎「大丈夫だって、多分」

誓子「おーい、私の小中の友だち連れてきたわよー」

成香「は、はじめまし……って京太郎くん!?」

京太郎「成香先輩!?」

誓子「え?」

揺杏「へぇ」

爽「ほほぅ」

京太郎「待った、そこの二人が考えてるような仲じゃ無いからな!顔で分かるぞ!!」

揺杏「やっと京太郎にも女が出来たのかと思ったのに」

爽「だったらからかってやろうと思ったのに」

揺杏「つまんないな」

爽「な」

成香「えと、私はどうすれば」

誓子「まあなるかはこっちに座って?」

成香「はい」



雀力に経験が1蓄積されました


『春』

1 花見

2 ホワイトデー

3 雨

4 旅行

↓3


《1 花見》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


由暉子「もう三年生ですね」

京太郎「だなー」


公園のベンチで桜を眺めながらユキと談笑する。

部活のハードな練習の合間のちょっとした休息だ。


由暉子「お弁当、つくってきましたよ」

京太郎「おお、サンキュー」


この前ユキの家で御馳走になったお昼御飯は美味しかったからな。

今日のお弁当も楽しみだ。


由暉子「さあ、どうぞ」


ユキが開けたお弁当箱の中には綺麗に整った三角形のおにぎりが詰まっていた。


京太郎「おお、おにぎりか」

由暉子「味も沢山ありますよ」

京太郎「どれが何味だ?」

由暉子「それは食べてみてからのお楽しみです」

京太郎「にしてもたくさんあるな」

由暉子「たくさん食べて、練習頑張ってくださいね」

京太郎「それじゃたくさん食べさせてもらおうかな」

由暉子「はい」


ユキお手製のおにぎりを頬張りながら会話を続ける。

なんか、幸せだなあ。

桜の下でにこやかに笑うユキと一緒に居るとそんなことを感じる。

ちょっと年寄り臭いしこっ恥ずかしいから決して口には出さないけど。



『由暉子との思い出~花見~』を取得しました


『季節共通』

1 自主練

2 勉強

3 有珠山高校麻雀部

4 友達の家

↓3


爽「もうすぐ大会だけど調子はどう?」

京太郎「んー、まあまあですかね」

誓子「ちょっと、ハートの6止めてるの誰よ」

揺杏「まあ頑張って初戦敗退にならないようにな」

京太郎「いやいや、今年はウチ優勝するんで」

誓子「ねえ、誰かクローバーの5も止めてるわよね」

成香「京太郎くんならきっと優勝できますよ」

京太郎「だろー?」

爽「成香は優しいなあ」

揺杏「ほんとほんと……あ、上がった」

誓子「え!?早くない!?ってそれハートの6じゃないの!?」

爽「お、私も上がりだな」

京太郎「俺もー」

成香「4番でしたか」

誓子「ハートの5以下とクローバーの4以下が全部手持ちにあるってどういうことよっ!?」



雀力に経験が1蓄積されました


『夏』

1 七夕

2 夏祭り

3 肝試し

4 プール

5 キャンプ

↓3


《4 プール》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


京太郎「おーい、ユキーこっちだー!」


大会前最後の休日、俺はユキとプールに来ていた。

息抜きし過ぎ?いやいや練習はしっかりしてるから大丈夫大丈夫。


由暉子「お、おまたせしましたー」


駆け寄ってくるユキの姿はなんとスク水。

紺色の布が胸元ではちきれるんじゃ無いかと思うくらいに伸びている。

走ってくると当然揺れるわけでそれはもう物凄い。

どのくらいかと言うと周りに居る人々が一斉に振り向くくらい。

……って俺以外の男共は見るなァッ!

と言うわけにもいかないのでユキの手を取ってなるべく人の少ないところに移動する。

いい具合に空いているところを見つけて早速プールに入る。


京太郎「ほら、ユキも来いよ」

由暉子「あの、京太郎くん」

京太郎「うん?」

由暉子「私実は泳げなくて……」

京太郎「あー」


そう言えばユキは運動苦手だったっけ。

空いている場所を探すことに夢中であまり考えていなかったがここはユキだと足がつかない。

かと言って流石夏休み、親子連れの客は多く足がつくようなプールはいっぱいだ。

さて、どうしたものか……。


浮き輪とかあれば良かったが……浮き輪?

ああ、俺が浮き輪代わりになればなんとかなるんじゃないか?

そうと決まればっ。


京太郎「ユキ、俺にゆっくり入ってきてくれ」

由暉子「でも……」

京太郎「大丈夫、俺に捕まってれば溺れないから」

由暉子「だ、大丈夫ですか?」

京太郎「ああ、俺を信じろ」

由暉子「それじゃあ……」


水中に入ってくるユキを抱きかかえるようにして支える。

俺に掴まっているのでユキも沈んだりしていない。

と言うか普通に浮きそうな気もするんだけど。


京太郎「じゃあ水に浮けるようになるか」


ある程度練習するとユキはなんとか自力で立ち泳ぎが出来るようになった。

それからは俺がユキを引っ張って二人で一緒に泳ぐ。


由暉子「泳ぐのって、気持ちいいですねっ」


ユキは楽しんでくれたみたいだ。

俺も楽しい時間を過ごしてリラックス出来たし、大会前の良い休暇になったな。



『由暉子との大切な思い出~プール~』を取得しました


とりあえず今日の更新はここまでにします

色々出てる意見や質問に対する返事は整理してからするので少々お待ちを

他にも聞きたいことや思ってることがあれば待ってる間に書き込んで貰えれば合わせてお返事しますよ


まず安価についてですがなるべく好きな選択肢を自由に選んでもらいたかったので制限は設けていませんでした
そういう方針でやってこうなってしまったのはうまい具合にルールを設けられなかった自分が悪かったと思います
参加者の皆さんには申し訳なかったと思います

そして今後の展開のことですが高校編のシステムは中学編までの流れを見てから調整する予定だったのでちょっと返事が出来ません
ただ告白については「高校入学時」「地区大会優勝時」「インハイ前夜」みたいなポイントでの特殊イベントにしようかと考えていましたし好感度にも調整を入れてバランスを取る予定でした

あと「ルート」というものは想定していません
例えばユキが彼女になったとしても他の四人だって京太郎の幼馴染であり先輩である訳で
そう言う友人としての関係も含めて「有珠山高校」を描写するつもりでした
だから彼女が決まったからあとはそのキャラだけってことにするつもりは有りませんしユキが人気だから京ユキ一本にするなんてこともしません

なのですが今回のことを考えると安価でそういうのは無理なのかなとも思いまして
本当は安価で選ばれて出来上がった京太郎と有珠山の5人の関係って感じで書きたかったんですけども
いっそ中学ですっぱり終わった方がいいのかもしれませんね

あまりうまくまとまっていない気もしますがこれが自分の考えです
このスレをどうするかは明日これを読んだ皆さんの意見を聞いて考えようと思います

それでは書けてる分の小ネタだけ前スレに投下して今日は寝ます


昨日も言いましたがこのスレの彼女は一つの立ち位置であって全てではありません
例えばもしユキが彼女にならなかったとしてもユキには「京太郎と同い年の親友」という唯一無二の立ち位置があります
勿論他の四人も同じで、そういうところも楽しめるスレになるように書きたいと思っています

それとこのスレは有珠山のスレであってヒロインの誰か一人だけのスレでは無いです
なので自分の一番好きなキャラ以外の話も楽しんで貰えたらなと

安価についてですが安価に偏りが出来ることが悪いとは思いません、そのキャラが好きな人が多くいるということですから
ただ今回は他のキャラを取ろうとしている人が居る中で連続で取れてしまっているのでちょっと考えないといけないかなと
自分としてはルールで縛って窮屈にするのは本意ではないので制限は設けずにみなさんの良心に任せたいんですがやっぱり難しいですかね

とりあえず高校編はやる方向で考えていますが少しの間お休みしようかと
理由はまず高校編のシステムを練る時間が欲しいというのが一つ目
今回のことで少しモチベーションがちょっと下がってるというのが二つ目
前から他のキャラでも何か書いてみたいって気持ちがあったので気分転換に別のスレを書いてみたいというのが三つ目
勝手かもしれませんが多分今再開しても途中で折れそうなので……
あまり時間はかけないつもりですし休止中も前スレの方でリクエストは受け付けます

長くなりましたが自分の考えは以上です

よろしければ皆様のご意見をお聞かせください、何かあればお返事します

了解です

ルールで縛らないならそりゃとった安価は絶対で自由ってなっちゃうし
由暉子を除いても他4人の中で偏るだろうし普通に同じキャラの連続はなしでいいんじゃ
偏りが出来るのが悪くないなら連続で取れることがあるのも当然だろうし

しゃーない
自分はこのスレ大好きなのでモチベが回復することを祈って待ってます

愉快犯も混じってきそうだし制限設けず良心に任せるのは難しいと思うけど期間を空けるならまあ大丈夫かも?
取りあえず別スレに期待

安価なんだから偏りはあるわな
ひとまずはゆっくり休んで

はい

ルールで縛りたくないけど連続で取られるのはモチベがってのが良くわからないのよね
同じキャラの場合は安価下にずらしますで誰も文句言わないと思うけど
他でもよく見るやり方だし

りょーかいよー

>>1の好きなようにやってくれや
俺はいつ更新が来てもいいようになってるぜぃ


>>441>>443>>444>>445>>446>>448
ありがとうございます


>>442>>447
連続で取ることが悪いとは思ってませんよ
ただ他のキャラが見たい人が居る中で自分の好きなキャラが取れればそれでいいっていう考えが良いかと言われるとそうでは無いと思います
そこを制限で調整するっていうのは難しいし制限をかけるとかえって不便になってしまう
だからその部分をそれぞれの良心に任せたいと思っていたけどそれは難しそうなのかなっていう話です
なのでモチベーションが下がった理由も連続で取られたからって訳じゃありません
あまりこういう話を長々と続けたくないのでこの辺りで切り上げて貰えるとありがたいです


別スレについてはいくつか考えてるんですけど安価非安価どっちが良いとかありますか?


モチベの方はちょっとリアルでも色々あった疲れとかも重なってて一時的に落ちてただけなのであまり気にしないでください
今はむしろ書きたいくらいなんですが高校編のシステムがどうにも上手くまとまらなくて
中学編の残りのイベントはあと二つだけなので出来そうなら明日くらいにそれをやってまず中学編を終らせたいと思います
その後は少し時間を頂いてシステムを練りながら開いた時間で前から書こうと思っていたものを非安価で書こうかなと
なので申し訳ありませんがそれまで待っていて貰えるとありがたいです
それではまた明日


大会当日の朝。

ついにこの日がやってきた。

着替えて部屋を出るといい匂いが漂ってくる。


京太郎「母さん朝食の準備出来て……え?」


キッチンに足を踏み入れてその光景に目を疑う。

そこにあったのは見慣れた母が料理する姿ではなく。


揺杏「よっ、おはよ」


エプロン姿の幼馴染だった。


京太郎「揺杏!?なにやってんだよ」

揺杏「なにって、弁当作ってるんだけど」

京太郎「誰の?」

揺杏「京太郎の」

京太郎「……え?」

揺杏「ちょーっと待ってな、すぐ出来るから。あ、朝ごはんはもう出来てるからさっさと食べちゃいな」

京太郎「お、おう」


困惑しながらテーブルに用意されている朝食を食べることにする。


京太郎「……うめえ」


間違いなく揺杏の味だ。

いつも美味しいが今日はいつも以上に美味しいような……。



揺杏「出来たよ、お弁当」

京太郎「おお、サンキュ」

揺杏「朝ごはんはどうだった?」

京太郎「うまかった、すっげえ」

揺杏「そ、そう……」

京太郎「弁当、ありがとな」


揺杏が手に持っている弁当箱を受け取ろうとして、空振る。


揺杏「おっと」

京太郎「おおっ?」


弁当箱を引き戻した揺杏が不敵に笑って言う。


揺杏「私の弁当、食べる前に負けたりしたら承知しないからな?」

京太郎「はは、わかってるよ」

揺杏「愛妻弁当ならぬ愛幼馴染弁当ってね、ほら」

京太郎「サンキュ」

揺杏「絶対勝てよ」

京太郎「勿論!」


俺は弁当を受け取ると幼馴染に見送られて家を出た。


運良く強豪と当たらなかったことも有って午前の試合は順調に勝ち進むことが出来た。

そして昼、揺杏に渡された弁当箱を開く。

弁当箱には俺の大好物のメニューがぎっしり詰まっている。

こんなにたくさんの種類、しかもわざわざ俺の好物ばっかりを選んで……いやあ、午前中に負けなくって本当に良かった。

そんなことを思いながら揺杏お手製の弁当を頬張る。

美味い、今まで食った弁当で一番かもしれない。

これは……負けられねえな。

しっかり完食したその時、後ろの方から仲間達の声が聞こえてきた。


「し、獅子原先輩!?」

「おい、あの隣に居るお姉さん美人じゃね?」

「わかるわ、すっげえ優しそう」

「いや俺はあの小さい娘の方が」

「「このロリコン!!」」


爽「えーっと、京太郎いる?」

誓子「あはは……」

成香「ち、小さい……」


……ええっ、なにこの状況。


爽「よー、調子はどう?」

京太郎「ぜ、絶好調です」

誓子「これスポーツドリンク、無理したら駄目だからね?」

京太郎「あ、ありがとうございます」

成香「タオル、使いますか?」

京太郎「それは自分のがあるんで……」

成香「あっ……ごめんなさい」

京太郎「や、やっぱり使わせてくださいっ!」

成香「本当ですかっ?」

京太郎「はい……」

成香「それじゃあどうぞっ」


嬉しい、すごく嬉しい。

んだけど、周りの視線が……。


「なんであいつだけ……獅子原先輩ぃ……」

「俺もスポーツドリンク貰いてえ……」

「タオル……ハァハァ……」

「おい警察」

「わかった」


いや警察は不味いんじゃ……。


京太郎「えっと、流石にちょっとこれは」

爽「恥ずかしい?」

京太郎「そっ、そういう訳じゃ!」

爽「まあ女子高生三人に応援されたりしたら嫉妬されるよな」

京太郎「わかってるんならもうちょっと配慮してくださいよっ」

爽「いやだって面白いじゃん」

京太郎「これだからこの人は……あぁ」

爽「まあ大丈夫大丈夫、手は打ってあるから」

京太郎「手?」

爽「そう、手」


爽「おーいお前ら、ちょっと並べー」


「え?俺たち?」

「獅子原先輩が俺のこと呼んでくれたあっ!」

「いやお前のことってわけじゃないだろ」


爽「ゆあーん」

揺杏「お待たせー」


「岩館先輩キター!!」

「ん?あれ何持ってんだ?」


爽「それじゃあ並んだやつから順番にアイス受け取ってけよー」

誓子「はい、頑張ってね」

成香「頑張ってください!」


いきなり現れた揺杏が両手に提げていた袋からアイスを取り出すと先輩達が配り始める。

何だかよくわからんがさっきまでの嫉妬の視線は消えて皆嬉しそうにアイスを食べている。

なるほど、流石爽先輩。これならチームの士気も上がるな、うん。

さて、それじゃあ俺もアイスを貰って……。


爽「あ、京太郎の分は無いぞ」

京太郎「いやだって爽先輩二本持って」

爽「私の」

京太郎「でも」

爽「私の」

京太郎「……くっ」

誓子「まあまあ、優勝したらアイスくらいいくらでも買ってあげるから」

成香「はい、優勝したら!」

揺杏「『優勝したら』な」

爽「な?」

京太郎「優勝して絶対奢らせてやるからなああ!!!」


午後の試合は今まで以上に気合十分で快勝。見事決勝進出を決めた。

いやあ、アイスが効いてんなあ。

試合中に爽先輩の名前叫びながらシュート決めてる奴まで居たし。

まあでもそれで勝てるんならなんでも良いさ。

決勝の前にトイレトイレっと……。


由暉子「京太郎くんっ」

京太郎「ユキ?」


トイレから出て少し歩いたところで呼び止められる。

振り向くとそこには見知ったポニテの眼鏡っ娘。

時間はまだまだ余裕があるのでユキと少し話していくことにする。


京太郎「来てくれたんだな」

由暉子「はい、ウチの学校の人たちも今日大会だと言っているのを聞いたので」

京太郎「そっか、ありがとな」

由暉子「いえ、気にしないでください」

京太郎「ん、そうだな」

由暉子「スポーツの応援には初めて来ましたが、生で見るのは違いますね」

京太郎「そうか?」

由暉子「はい、熱気と言うか。それに皆さん真剣ですごくカッコいいです」

京太郎「カッコいい?」

由暉子「はい、さっきの試合の京太郎くんもカッコ良かったですよ」

京太郎「そ、そうか」


やばい、嬉しい。

ユキにそんなつもりは無いんだろうけどやっぱそう言われるとな。

にしてもカッコいいかぁ……へへっ。


由暉子「京太郎くん?」

京太郎「おおっと、悪い悪い」

由暉子「それじゃあ私は戻りますね」

京太郎「ん、俺ももう行かなきゃ」

由暉子「決勝戦、頑張ってくださいね」

京太郎「おう」


もうすぐ決勝戦だ。

流石に決勝まで勝ち上がってくるだけあって相手も強い。

だけど勝ち上がったのはこっちも同じだ。

だから、負けてたまるかっ。


京太郎「いくぞっ!」

「「「「「「おうっ!!」」」」」」


試合が、始まる。


それは一方的な試合だった。

前半が終わって選手達はベンチに戻っていく。

点差は絶望的だ。

まるで歯がたたない。

格が違う。

そんな相手と戦ってボロボロになった仲間たちはベンチで皆下を向いていた。

無論、俺も。

相手が強かったから、相手が強豪だから、俺達は弱小で決勝まで来れただけでも奇跡だから。

だから、仕方ない。

そんな空気。

今ならわかる、一年の頃に見た三年生の先輩達の気持ちが。

圧倒的な力の差を見せつけられて、心が折れる。


……いや、そうじゃないだろ。

あの人は……爽先輩は最後まで下を向いたりしなかった。

それだけじゃない。

揺杏も、誓子先輩も、成香先輩も見てる。

顔を上げるとユキのまっすぐな視線が俺を射抜いた。

そうだよな。


諦めたりしたら、カッコ悪い!


後半が始まると俺は叫んだ。

叫んで、必死に相手に喰らい付く。


京太郎「うおおおおおっ!!!!」


勝ち負けなんて関係ない。

最後の一分一秒まで、全力を尽くすんだっ。



「須賀……」

「マジかよ」

「もう逆転は無理っしょ」

「……俺、行くわ」

「え?」

「アイツ一人に良いところは譲れねえよな」

「同感」

「お前はどうする?」

「ったく……こうなったら、やるしかねえじゃん!」


仲間たちの気迫を感じる。

後半は白熱した試合だった。

後半の得点だけを見れば同点。

つまり、負けた。

でも悔いはない。

俺は自分に出せる力を出し切ったんだから。

全力を使い果たしてコートで倒れこむ。

楽しかった。

その気持ちはチームの仲間たちも同じだったらしく、皆笑っていた。


そして、俺の中学最後の夏は幕を閉じた。



『皆との大切な思い出~大会~』を取得しました


書いてたら長くなってしまった、もっと短く終わるはずだったんだけどなあ

続きはまた明日ってことで今日はここまで

まあ続きって言っても残るは秋とユキのイベントだけですが

それじゃおやすみー


『季節共通』

1 自主練

2 勉強

3 有珠山高校麻雀部

4 友達の家

↓3


《4 友達の家》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


誓子「それにしても残念だったわね、大会」

京太郎「まあ仕方ないですよ」

誓子「そう?」

京太郎「はい、俺は決勝進出ってだけで十分満足ですから」

誓子「京太郎くんがそう思ってるならそれでいいけど」

京太郎「ところで用事ってなんですか?」

誓子「知りたい?」

京太郎「そりゃあ」

誓子「ふふっ、少し待ってね」

京太郎「はあ」

誓子「じゃーん」

京太郎「これ……もしかして誓子先輩の手料理ですか?」

誓子「正解、頑張った京太郎くんにご褒美ってことで」

京太郎「ありがとうございます!」

誓子「さ、食べて食べて」

京太郎「いただきます」

誓子「どう?」

京太郎「うん、美味しいです」

誓子「揺杏ほどではないけど?」

京太郎「そうですねー揺杏の料理と比べると」

誓子「へぇー」

京太郎「っていやそういう訳じゃっ」

誓子「良いのよ?気にしてないから」

京太郎「目が笑ってないんですが」

誓子「気にしてないけど……京太郎くんは勿論洗い物のお手伝い、してくれるんだよね?」

京太郎「……はい」



雑用が1上昇しました


『秋』

1 運動会

2 月見

3 紅葉狩り

4 お泊り

↓3


《1 運動会》

1 真屋由暉子

2 本内成香

3 岩館揺杏

4 桧森誓子

5 獅子原爽

↓3


《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


成香「運動会、見に行きたいです!」

京太郎「ええっ?」


それは有珠山高校の麻雀部から帰る途中のこと。

たまたま成香先輩と二人で話していると運動会の話になり、成香先輩はそう言い出しのだ。


成香「ハンドの大会の時の京太郎くんはすてきでしたから、是非運動会も!」


笑顔でそう言われては誘うしかない。

そんな訳で運動会の日時と俺の競技の時間を伝えておいたのだ。

そして運動会当日。

俺は騎馬戦に出ていたのだが……。


成香「京太郎くーん!がんばってくださーい!!」


その声援は俺を元気づけてくれる。

元気づけてくれるのだがその声援に嫉妬した敵によって俺は完全に包囲されて絶賛大ピンチだ。

俺も何とか奮戦したものの多勢に無勢、無理したせいで騎馬が崩れてしまう。


京太郎「うわっ」


そして俺は、頭から落ちて気を失った。


目を覚ますと俺はベッドに寝かされていた。


京太郎「保健、室……?」

成香「京太郎くんっ!」


成香先輩の声が聞こえたかと思うと急に抱きしめられた。

視線を移すと桜色の髪をした少女が俺の胸に顔を埋めて泣いていた。


成香「心配、したんですよっ……ひうっ……もし起きなかったらってっ」

京太郎「大袈裟、ですよ」


ぽろぽろと大粒の涙を流す成香先輩の背中を擦ってやる。


京太郎「ずっとついててくれたんですね」

成香「はい……」

京太郎「心配させて、ごめんなさい」

成香「もうっ……本当、ですよ」


成香先輩は顔を上げて涙を拭うと微笑んだ。


成香「こわかったんですから……でも、良かったです」


不意に成香先輩の顔が近づく。

頬に、柔らかいものが触れた。


京太郎「な……」

成香「心配させた罰ですっ」


成香先輩は再び微笑むと


成香「あっ、先生呼んできますね」


そう言って去って行った。



『成香との大切な思い出~運動会~』を取得しました


『真屋由暉子 イベント』


《コンマ判定》

01~32 失敗

34~65 成功

67~98 大成功

ゾロ目 大成功+α

↓2


気怠い、頭が痛い。

どうやら風邪を引いたらしい。

熱を計ってみるとかなりの高熱。

そんな訳で今日は学校を休んで家で寝ていることにした。

両親は今日は家に居ないので一人だ。

と言ってもきっと親から伝わって揺杏辺りが看病に来るだろう。

布団に入って考え事をしていると眠気が襲ってくる。

気付けば俺は眠りについていた。


起きると額に冷えたタオルが乗せられていた。

部屋の中に人の気配がする。


京太郎「ゆあ……」


そう呼びかけて止まる。

違う、揺杏じゃない。

じゃあいったい誰が……。

首を動かしてそちらを向くとそこには一人の女の子が居た。

フリフリの服に短いスカート。

そして何よりも特筆すべき点は、かなり可愛い。

アイドルと言われても納得してしまう程に。

でも何故だろうか、見覚えがある気がする。


「あ、起きましたか?」


その声、まさか……。


京太郎「ユ、キ……?」

由暉子「おはようございます、京太郎くん」


そんなはずはない、俺の知っているユキはもっと地味で眼鏡でポニテで……。


由暉子「ああ、この格好ですか?ちょっとイメチェン?をしてみたんです」

京太郎「イメチェン……」

由暉子「に、似合ってますか?」

京太郎「ああ、すごく可愛い」


熱のせいか、いつもでは言わないような本音が口から滑り落ちていく。


由暉子「かわいい……」


ユキはどこか嬉しそうに俺の言葉を繰り返すと顔を近づけてきた。


京太郎「なっ、ユキ?」

由暉子「じっとしていてください、体温を……」


タオルをどけるとユキの額が俺の額にくっつけられる。

ユキの顔がこんなに近くに……。

間近で見るユキの顔に俺は思わずドキリとさせられる。


由暉子「まだ熱はあるみたいですね……タオルを変えてきます」


そう言い残してユキは部屋を出て行った。



『由暉子との大切な思い出~看病~』


今日はここまでで

それと色々考えたんだけどやっぱりこのスレは中学編までで終わりにしようと思う

理由としてはまず高校編のシステムがなかなか上手くまとまらなくていつ始めれるかわからないこと

それからもしシステムが上手く出来ても完結させられるか不安があるってこと

だから高校編を楽しみにしてくれてる人が居たら本当に申し訳ないけどこのスレはここで完結にさせてください

そういうことなのでこのスレは後はエピローグを書いて依頼を出して、前スレは書けなかったネタを投下して埋めて終わりにする予定

エピローグはまた明日書こうと思う

それじゃおやすみ


ユキの看病のおかげもあってすっかり風邪も良くなった。

そんな俺に爽先輩から電話で「今日の放課後ウチの部室に来い」との命令が。

俺としてはユキにお礼と聞きたいことが有るのだが、まあそれは後でも良いかな。

爽先輩の命令をすっぽかすと後がめんどくさそうだし。

そういう訳で有珠山高校の校門を通り抜ける。

あった、麻雀部の部室だ。

まあ麻雀部とは名ばかりのテーブルゲーム部なんだけどさ。


京太郎「爽先輩、急に何の用ですか」


扉を開けるとそこには……。


爽「遅いぞ京太郎」

誓子「待ってたんだから」

揺杏「五分遅刻だな」

成香「すてきじゃありませんね」

由暉子「ふふっ、まったくです」


京太郎「ユキ!?」


京太郎「俺が居ない間にそんなことが……」


ユキを見た俺は始めは動揺していたが爽先輩達から事情を聞かされて今は落ち着いた。

それにしてもまさか俺の昔からの知り合いがこの部室に集まるなんて、すごい偶然だ。

俺を囲むように座っている五人の顔を見渡して改めて思う。


爽「そういうわけだから京太郎もウチに来いよ」

京太郎「はい、まあ元からそのつもりでしたし」

爽「そっかそっか、それじゃまずは打ってみる?」

京太郎「麻雀、ですか?」

爽「勿論」

誓子「京太郎くん麻雀出来たっけ?」

揺杏「私らが児童館でやってんの見てたしだいたいはわかるんじゃない?」

京太郎「いやあ、流石に見てたってだからそこまで出来るか」

成香「京太郎くんも、初心者なんですね」

京太郎「そうなりますね」

成香「そうですか、それなら私と一緒ですね!」

京太郎「はい」

誓子「まあ一度やってみましょう、京太郎くんは私が後ろで見てるから」

京太郎「お願いします誓子先輩」

誓子「まっかせてー」


楽しい。

皆と笑いながら麻雀をするのが。

そういえばと対面のユキの顔を伺ってみる。

俺はユキが俺以外と仲良くしているところを見たことがない。

だから少し心配だった、ユキが本当に心から楽しめているのか。

だがそんなことは杞憂だった。

俺の目に映るユキの笑顔は、これまで見たどんなユキの表情よりも輝いて見えたから。


ユキだけじゃない。

揺杏も、爽先輩も、成香先輩も、誓子先輩も。

皆この時間を楽しんでいる。

皆と一緒に過ごす、掛け替えの無い時間だ。

そう、俺達の青春はまだ始まったばかりなんだ。





カン!


このスレはこれで完結になります

依頼は前スレを埋め終わった後に出すので言いたいことや聞きたいことが有ればそれまでにどうぞ

埋め終わったら次は非安価で一本書いてみるつもりです

それではここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました

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