【咲-Saki-】可憐「プロ雀士と共演……ですか?」【ミリマス】 (156)

下着が存在しないかもしない麻雀漫画と下着の存在がNGなアイドルゲームとのクロスssです

方言がガバガバですが許してください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1439451364

P「ああ。南エリアのプロデュース中から打診はあったんだけど、先方がぜひ可憐に出演して欲しい、と」

可憐「ぇっ……! ほ、本当に私なんかでいいんでしょうか……?」

P「『なんか』って言わない。……で、撮影場所は福岡なんだ。今、俺たちがキャラバンを張ってる西エリアには該当しないけど、近い場所だからOKしておいた」

可憐「そ、それは構わないですが。私の他に、一緒に行ってくれる子は……?」

P「いや、可憐単独の仕事だよ」

可憐(ひっ……!)

P「俺もついてくから安心してくれ。当日は日帰りだし、宿泊することもないから大丈夫だ」

可憐「は、はい……」

P「これ企画書な。三日後の週末にスタジオ入りして、そのまま撮影するから今のうちに読んでおいて」

可憐「はい……」

P「オールスターでMVPを獲ったこともある地元のスターが指導してくれるらしいぞ! 張り切っていこう、可憐!」

可憐「……は、はい!」

可憐(飛行機で福岡入りしたら、電車と車でスタジオまで移動。お昼ご飯を食べて、スタッフや共演者と短めの打ち合せをしてから収録開始……)

可憐(私がご一緒するプロ雀士の方に麻雀のルールを教えてもらって、その後に半荘一回の体験麻雀を打って終わり……なんだ)

可憐「……これなんて読むんだろう? 『ハンソウ』? ……あ、『ハンチャン』って言うんだ……」

可憐「ま、麻雀……。絵合わせゲームってことしか知らないけど、ルールが複雑らしいし覚えられるのかな……」

可憐(で、でも……。司会進行はアナウンサーの人がやってくれるみたいだし、『助っ人』をしてくれる人もいるみたいだから大丈夫……だよね?)

可憐(撮影・放送時間は1時間半前後。ネットでLIVE配信するってあるから、生放送……だよね)

可憐(それに、九州圏のローカルでテレビ放送予定って書いてある。じ、地元のスター選手が来るんだしそうなるよね……)

可憐(正直、結構……ううん、かなり緊張しそう、だけど……)

可憐「ぷ、プロデューサーさんと二人でお仕事できるんだし、頑張らなくっちゃ……!!」

撮影当日





P「おはようございます! 765プロのPと篠宮ですが、『美少女が教える麻雀教室in福岡』の収録スタジオはこちらでよろしいですよね?」

可憐「…………お、おはようございます……」

職員「おはようございます。765プロ765プロ……はい、3Fの〇〇号室が765プロ様の控え室になっておりますので、そちらのエレベーターから向かってください」

P「ありがとうございます。よし可憐、いざ収録だ!」

可憐「はっ……はぃっ!」

P(アイドルは可憐一人だけだし、いつもより更に緊張してるみたいだな。スタッフや共演者への挨拶なんかでほぐれてくれるといいんだけど……)

可憐「きょ、今日はよろしくお願いします!」

番組プロデューサー「こちらこそよろしくお願いね。プロや助っ人には方言OKって伝えてあるけど、向こうが何言ってるか分からないってときは、ADや司会役がきちんと助け舟を出すから焦らないようにね」

可憐「はい! お、お願いします!」

P「本日は、ウチの篠宮をよろしくお願いします!」

ディレクター「お願いします。リハなしの一発撮りは、正直不安でもありますが……双方で助け合って、いいものが撮れることを願いましょう」

P「もちろんです! よろしくお願いします!」

カメラ「あれ? 765さん、もうスタジオ入りしてる?」

P「はい! よろしくお願いします!」

可憐「よ、よろしくお願いします」

カメラ「どうもよろしくお願いします! 早速ですが、今日の収録ではですね……」

P「さて、主だった番組関係者へのあいさつ回りは終わったが……」

可憐「…………」

P「いよいよ、共演するプロやアナウンサーの方々にあいさつする番だぞ。心の準備はいいか?」

可憐「は、はい」

P「よし。……すいません、今回共演させていただく、765プロのPと篠宮と申します! 少しお時間よろしいでしょうか?」



(ガチャ……)



可憐(!!)

みさき「わざわざお手数かけて申し訳ありません。こちらから出向かず失礼をいたしました」

P「いえ、どうってことありませんよ」

みさき「お気遣いありがとうございます。申し遅れましたが、私、本日番組の司会進行を務めさせていただく村吉みさきと申します」

可憐(こ、この人が今日の番組を仕切るアナウンサー……。……ふわふわしていて、綺麗な人だな……)

みさき「そちらの女の子が篠宮可憐さんで、貴方が彼女のプロデューサーさんですね? 本日は、どうかよろしくお願いいたします」

P「よろしくお願いします」

可憐「よ、よろしくお願いします!!」

P「えー……野依プロは、今こちらにはいらっしゃらない?」

みさき「いえ、いらっしゃいますよ。……野依プロ、私の背中に隠れるのはやめてください」

P(背中に?)

可憐(隠れる?)

理沙「……隠れてない!」

みさき「来客に怯えたのは事実ですよね? 共演者のお二方が挨拶に来て下さったのに、失礼ですよ」

理沙「……!!!!」

理沙「……失礼しました!」プンスコ

P「い、いえ、お……私は別に……」

可憐「お気になさらず……?」

理沙「あ、ありがとう!」プンスコ

P(この人が、ここ福岡の新道寺女子高校から同じく福岡は七隅にあるプロチームに進み)

P(今は神戸のチームに在籍して、3年連続最優秀防御率タイトルの実績を持つトッププロの一人……)

可憐(野依理沙、さん。私と一緒に番組に出演するプロ雀士の方……だけど)

理沙「よ、よろしく……お、願い……!」

みさき「……初対面だからって緊張し過ぎです。野依プロ」

理沙「!!」

理沙「…………!!!!」プンスコ!

理沙「よろしくお願い、します……っ!」

P(テレビで見たことはあったけど、このキャラは素だったのか!)

可憐(し、親近感湧くなぁ……)

みさき「先ほど番組のプロデューサーに伺ったんですが、この後の打ち合わせでも、段取りの確認以上のことはしないようですよ」

P「内容自体はシンプルですからね。ウチの篠宮が野依プロにルールを教わり、その後流れで一局打って終わりと」

みさき「『助っ人』のお二人にはもう挨拶しました?」

P「いえ、まだです。企画書がわざとぼかして書いたのか、助っ人の人となりどころか、人数を聞いたのも今が初めてで……」

みさき「あら、そうなんですか。篠宮さんと年が近い女の子たちなので、ぜひお話ししておくことをお勧めします」

P「もちろんです。……いや、それを聞いて安心しました。お恥ずかしいことに、篠宮はどうも臆病な気がありまして」

みさき「存じております。私も野依プロとは付き合いが長いのですが、彼女の口下手は治る気配すらなく……」

P「グチグチ」

みさき「ウダウダ」

可憐(ぷ、プロデューサーさんたち難しい顔してるけど……何を話してるんだろう……?)

理沙「……!」プンスコ

可憐(野依プロは、さっきから顔を赤くしたまま喋らないし……。き、気まずい……)

理沙「……」

可憐「……」ビクビク

理沙「……あの!」

可憐「ひゃいっ!? な、なななんでしょうか……?」

理沙「その、……き、今日は一緒にがん……がんば……り、」

可憐「……」

理沙「がんば、が、頑張ろう! ね!!」

可憐「……!」






可憐「……はいっ! 改めて、本日はよろしくお願いします……っ!」



理沙「……うん!」プンスコ


??「失礼します。あの、野依理沙さんの控え室はこちらでよか…よろしいですか?」



みさき「野依プロの控え室なら合ってます。失礼ですが、どちら様でしょうか?」



??「あの、私たち、今日の収録でご一緒させてもらいます新道寺女子の鶴田と白水です。野依さんと村吉さんに挨拶ば……挨拶に伺おうと思いまして」



みさき「今、765プロのPさんと篠宮可憐さんが同席していますが差支えありませんか?」



??「大丈夫です!」



みさき「では、どうぞ」

??「失礼します」



(ガチャ)



姫子「改めまして、新道寺女子高校2年の鶴田姫子です! 本日は助っ人っちゅー……助っ人ということで、ご一緒させてもらいます!」

哩「同じく、新道寺女子3年の白水哩です。本日は、よろしくお願いします」

P「765プロのPと申します。二人とも、今日はよろしくお願いします」

可憐「し、篠宮可憐……です。お願いします……」

みさき「司会進行を務める村吉です。よろしくお願いします」

理沙「後輩!」プンスコ

みさき「野依プロ。どういう関係であれ、TPOは弁えるべきだと思います」

理沙「!!」

理沙「……野依理沙! 二人とも、よろしく!」

姫子「はい!」

哩「はい!」

姫子「……あの、」

可憐「は、はい?」

姫子「篠宮さんは、16歳……でしたよね? 同い年やし、名前で呼んでもよかですか?」

可憐「は、はい!」

姫子「よかった! そいない私のことも名前呼びでよかけん!」

可憐「は……うん! よろしくね、姫子ちゃん……!」

姫子「うん。可憐、よろしう!」

哩「姫子、方言出てる」

姫子「! すいません、部長……」

哩「『部長』いうのもやめた方がいいって言ったばかりぞ」

P「……白水さんも、今方言出てなかった?」

哩「!!」

哩「本当にすいません。標準語は勉強したんですが、普段が普段なだけについ……」

P「いや、大丈夫だよ。この番組に出るのが決まったとき、関係者に『自然にしてくれ』みたいな指示は出されなかった?」

哩「はぁ。出されるには出されましたけど、ネットで全国放送するなら皆さんに分かりやすい言葉で……」

みさき「そういうお節介は間に合っています。そもそも、地元の女子高生が出演するというのが番組のもう一つのコンセプトですし……」

みさき「標準語より、方言を使ってくれた方がむしろありがたいです」

姫子「……」

哩「……」

P(このアナさん、結構言うことビシッと言うよなぁ……)

P「……白水さんたちは、カメラの前でしゃべったり動いたりするのは初めてかな?」

哩「部活のことで、テレビや雑誌の取材を受けたことなら幾らかは……」

P「それでも、番組一本通して動くのは未経験でしょ? だから、下手に台本通りの演技をするよりとにかく自分たちらしく動くことに集中した方がいいと思うんだ」

P「今のは俺の個人的な意見だけど、そうした方が視聴者の皆さんも楽しんでくれるんじゃないかな?」

哩「…………」

みさき「私も同じ意見です。繰り返しますが、視聴者は女子高生の自然な姿を見たがっているのですから、方言はばりばりに出してくれた方が番組としても嬉しいんですよ」

みさき「鶴田さんの『部長』呼びにしてもそう。とにかく、出来る限り普段通りの姿勢で臨んでください」

姫子「……わかりました。私、やります!」

哩「わ、私も! き、清水の舞台から飛び降りる気持ちで頑張ゆっ!」

P「そうそう。失敗することなんか考えないで、むしろオイシイって思えるくらいの心構えでね」

みさき「……それはリアクション芸人の発想では?」

P「……あっ」

姫子「くっ、ふふふっ」

哩「ふふっ……」

哩「はっ! す、すいません、プロデューサーさん方が真剣に話しとんのに……!」

P「いや、リラックスしてくれたならいいんだ。本番でも、今みたいな可愛い笑顔を見せられるといいね」

哩「か、かわいか笑顔ですか……!?」

姫子「……部長。頬ば紅うさせすぎです……」

哩「い、いや姫子! 今のは違……」



スタッフ「『美少女が教える麻雀教室in福岡』の関係者の方々、お弁当届いたので控え室にてお受け取り願いまーす!」



みさき「あら。一旦お話しは中断ですね」

P「ですね。今は、英気を養いましょう」

姫子「はい!」

哩「はい!」

可憐「…………」

理沙「…………」

可憐(い、今の会話に全然入っていけなかった……。こ、こんなままで……)

理沙(しゅ、収録無事に終われ……)



姫子「そうだ! 可憐、お弁当の時間、ちょっちよかと?」

可憐「は、はい!?」

姫子「可憐さえよければ、一緒にお昼ば食お思うとるんやけど……部長もPさんも、いいですよね?」

哩「あ、ああ。私は全然構わんよ」

P「こっちも、可憐本人がいいなら」

姫子「やたっ! 可憐、よか?」

可憐「だ……、大丈夫だよ! 姫子……ちゃん!」

姫子「あはは。慣れんち間は、別に敬語でもよかよ?」

可憐(ひ、姫子ちゃん……優しいなぁ……!)



理沙「……………………」

理沙「青春!」プンスコ

みさき「どうかしました?」

理沙「!! な、なんでもない!」

P「……あの。本当に、お二人とご一緒してもよかったんですかね?」

みさき「構いませんよ。篠宮さんと鶴田さんの会話は聞こえましたし、男一人で女子高生三人のお昼ご飯に混ざるのも辛いでしょう?」

P「そういった年頃の子を見るのが仕事なので、苦痛ではないのですが。……ありがとうございます」

みさき「まあ、色々と確認したいこともありましたし。一発勝負の放送なので、どうしても怖さは残りますからね」

P「なるほど。……ところで、野依プロは弁当に箸をつけてないようですが……」

理沙「…………あ、えと……」

みさき「初対面の男性が近くにいるので落ち着かないだけです。……さて、早く片付けてプログラムの確認といきましょうか」

P「は、はあ……」

P(なんというか、本当に独特な関係にある二人なんだな……)

理沙「……!!!」プンスコ

姫子「そいで、部長ば『楽しいよ! おいで!』っち言うて……」

哩「やめろ姫子! そがん恥ずかしいこつ可憐に教えんでよか!」

姫子「恥ずかしいこつなかです! 堂々としててかっこよかったですよ!」

哩「そいが恥ずかしいっ言うとる……!」

可憐「……ふふ。二人とも、仲が良いんだね」

哩「よせ、篠宮。あんまし調子乗らすと次は何を喋い出すかわからんぞ」

姫子「冷たかですね!? ……それより可憐、部長の『まいる』っち名前、漢字でどう書うかわかる?」

可憐「えっ! か、漢字で書けるの……?」

哩「……初見やと、半分近くはそないな感じの反応やね……」

姫子「鉄板ネタですからねー。部長の場合、上の名前も変な読み方ですし」

哩「変とはなんね! 人が気にしようこつを……!」

姫子「ああっ、ごめんなさいぶちょー!」

可憐「……ふふふっ」

可憐(姫子ちゃんも哩さんも、仲良くしてくれて嬉しいなぁ。二人がサポートしてくれるなら、きっと収録も上手く行くよね……!)

スタッフ「それでは始めまーす。カウント5秒前。4、3、2、1……アクション!」





みさき「画面の前の皆さま、お待たせいたしました。『美少女が教える麻雀教室in福岡』、開講の時間です」

みさき「まずは、本日の講師役の紹介です」



理沙「……野依理沙! よろしく!」プンスコ!



みさき「そして生徒役には、成長著しい765プロ事務所からあのアイドルがやってきてくれました。自己紹介をよろしくお願いします」



可憐「にゃ、765プロから来ました篠宮可憐です! 麻雀のことはよくわかりませんが……この番組で、色んなことを学んでいきたいと思います!」





P(いいぞ可憐。最初こそ噛んだけど、悪くない滑り出しだ……!)

みさき「さて、麻雀を学ぶとひと口に言っても様々な切り口があると思いますが……。篠宮さんは、どう思います?」

可憐「あの、私、麻雀は『絵合わせ』みたいだっていうことくらいしか知らなくて……」

理沙「それで平気!」プンスコ

可憐「そ、そうなんですか?」

理沙「後で話す! その前に……これ!」サッ

みさき「おや? 野依プロがパネルのようなものを取り出しました……」



『・麻雀に使われる道具を知ろう

 ・用語を覚えよう

 ・麻雀牌の種類を覚えよう

 ・麻雀が始まるまでの流れを理解しよう

 ・ゲームの進め方を理解しよう

 ・麻雀の役を覚えよう

 ・点数計算を覚えよう

 ・麻雀を打つときのマナーを知ろう

 ・実際に麻雀を打ってみよう     』



理沙「目標!」

可憐「目、標……?」

みさき「なんと野依プロが、初心者な篠宮さんのために細かく、具体的な目標提示を! ですが……」

可憐「あ、あの……。これ、この番組で全部覚えなきゃいけないんですか……?」

理沙「はしょる!」

理沙「道具! 用語! 牌! 流れ! 進め方!」

理沙「五つに重点!」プンスコ

可憐「そ、それくらいなら覚えられそうかも……」

理沙「……がんばって!」

可憐「はい!」





P(うんうん。出だしはいい感じのままで行けたな……)

理沙「まずは道具! 言ってみて!」

可憐「えっ!? ……えぇっと、『雀卓』って聞いたことあるからテーブルとイスは当然として……。……あとは、牌、ですか?」

理沙「あと二つ!」

可憐「な、なんだろう……。……あっ、確か、サイコロ使いましたよね!? あとは……点数表、みたいな……?」

理沙「サイコロ正解! 点数表は、違う!」

可憐「えぇ~? でも、あと一つなんですよね……?」

可憐「……え~と、ん~っと…………」

理沙「正解……これ!」サッ

可憐「へっ? なんですか、その小さい棒は……?」

理沙「点棒! 百点、五百点、千点、五千点、一万点!」サッ、サッ、サッ、サッ、サッ

理沙「5種類!!」プンスコ

可憐「へぇ~……。……あの、百点より小さい数を表す棒はないんでしょうか?」

理沙「ない!」

可憐「どうしてなんでしょう?」

理沙「……そういうルール!」プンスコ

可憐「そ、そうなんですか……」

可憐「こ、これが麻雀用語の一覧……ですか? お、覚えきれるかなぁ!?」

理沙「大丈夫!」プンスコ

可憐「ぱ、パネルが埋まっちゃうくらい沢山書かれてるんですけど……」

理沙「こ、これ! 本当に全部だから!」

可憐「……えっと?」

理沙「だから、その……網羅! い……いらないやつもある!!」

可憐「……覚えなくていい用語もあるんですか?」

理沙「そう! マイナー! ローカル!」

可憐「マイナー……は分かりますけど、ローカルって……?」

理沙「……!!」

理沙「……地方! 国の違い!」

可憐「? そ、それはなんとなく分かるんですが……」

理沙「だ、だから……!」





P(おいおい、こんなの台本にないだろ……。ちょっと怪しくなってきたか?)





理沙「!! ……大富豪! 8切り! 階段!」プンスコ

可憐「ど、どうしてトランプの話に……」

理沙「7渡し! Jバック! 都落ち!!」プンスコ!

可憐「…………???」

可憐(の、野依プロは何を言いたいんだろう? か、考えなくっちゃ……!)

可憐(……さっきまでは麻雀の話だったのに、『ローカル』からどうして大富豪の…………あっ!)

可憐「ろ、ローカルルールに関わる用語はあまり覚える必要がない……ということでしょうか?」

理沙「せ、正解!!!」

みさき「野依プロ、大分怪しかったですが見事? この場を乗り切ることができました!」

理沙「実況しないで!」

可憐「……あはははは」





P(おっ。今のやりとりで却って空気が和やかになったかな?)

P(……俺の場合は大貧民だったけど……。……それもローカルルールみたいなもんか)

理沙「あと、手役! 絶対必要だけど、省く!」

可憐「ぜ、絶対必要なのに覚えないんですか!?」

理沙「やってる内! 覚える!」

可憐「は、はい……」

理沙「最低限は、後で教える!」プンスコ!

可憐「そ、それならちょっとだけ安心……です」

みさき「それでは野依プロ。先ほど取り出した麻雀用語のボードから、ローカルルールと手役に関わる用語を除いたものを見せていただけますか?」

理沙「……!」サッ

可憐「…………」

可憐(えっと、…………5、60語くらいかな? それでも沢山あるけれど……)

可憐「さっきのに比べたら、覚えるのは凄く楽そうです」

理沙「!! ……大丈夫! できる!」プンスコ

可憐「そ、そうですよね! ここまでしていただいているんだし、頑張らなくちゃ……!」

番組の収録・放送は進み……





可憐「えぇと、丸いのと漢字のと竹のと、あと鳥さんで……鳥が竹と同じ仲間だから、数牌は三種類」

可憐「数牌はみんな一~九まであって三×九で二十七種」

理沙「次! 字牌!」

可憐「はい! えっと、東西南北で四種類。赤いのと、緑色のと真っ白な牌で三種類……」

理沙「白! 發! 中!」

可憐「そ、そうでした。發が緑色でしたよね? ……それで、全種類を四枚ずつ使うから……」

可憐「実際に麻雀で使うのは、合わせて三十四種類と百三十六枚! ……ですか?」

理沙「……」

可憐「……っ」

理沙「……正解!!」

可憐「やっ……、やった! やりました、プロデューサ……はっ!」

みさき「……えー、ただいま呼ばれた篠宮さんのプロデューサーさんも、スタジオで篠宮さんを見守っています」

理沙「授業参観!?」

可憐「ぁ、ぅぅ……!!」





P(可憐…………)

晩飯食べるので後で続き投下します

みさき「……さて、最初に提示された目標の内『ゲームの進め方を理解しよう』まで約半分を消化したことになりますが、」

みさき「時間はまだ30分を少し過ぎたばかり。残り約1時間、野依プロと篠宮さんはどのように使うつもりなのでしょうか?」

理沙「実践!!」

可憐「えぇっ!? じ、実践ってこのタイミングでですか~?」

みさき「篠宮さん、かなり驚いているようです」

可憐「あああああの、確かに今までルールとかを頑張って覚えてきたし台本にもあったんですけど、こ、こんなに早く実践なんて……」

理沙「やらないと覚えない!」

可憐「ひぃっ……。で、でも、まだ自信が……」

理沙「……!!」プンスコ!

みさき「…………」





P「…………」

理沙「……みさき! 呼んで!」

みさき「えー、ただいま野依プロから指示がありましたので、こういうときのために番組が呼んだお助けゲストをお呼びしようと思います」

理沙「助っ人!!」

可憐「……!」

みさき「なんと、野依プロの出身校にして北部九州の名門校、新道寺女子からインターハイでのレギュラーメンバーが二人も助っ人にやってきてくれました」

みさき「お二人とも、入ってきてください」



哩「…………」

姫子「…………」





P(ここで助っ人登場か。可憐としても、気分の立て直しにいい機会だけど)

P(なんだろう……すごく、すごく嫌な予感がする…………)

みさき「それでは、お二人には自己紹介をお願いしましょうか。どちらから……」

姫子「……!」ビッ

みさき「では鶴田さん、お願いします」

姫子「はい!」



姫子「えー……新道寺女子二年の、鶴田姫子です。尊敬しとっとーがばいプロや、かわいかアイドルさんとご一緒できて嬉しさと緊張と半々っち感じです」

姫子「そいでも、助っ人として呼ばれたからには精一杯頑張います!! 可憐、遠慮なく頼ってよかとよ!」



可憐「姫子ちゃ……。……うんっ! ありがとう!」



姫子「んっ!」グッ





P(おお……立派じゃないか! 自己紹介だけでなく意気込みも語った上で可憐のことも気遣ってるし、何より方言が可愛い!!)

P(スカウトしたい!!!)

みさき「篠宮さんと鶴田さんの間には、早速絆が生まれているようですね。喜ばしいことです」

みさき「それでは白水さん、お願いします」



姫子(部長! ファイトです!)



哩「……フー」

哩「…………」





P(楽屋でもそうだったけど、クールな子だな)

哩「……んんっ。ゴホッ、ゲホッ!」



みさき「……」

可憐「……」

姫子「……!」



哩「あ、あの……。……カメラば、さっき姫子が向いてたんと同じ方向でよかですよね……?」



みさき「大丈夫だと思いますよ」



哩「は、はい! ……あの、……ンフッ、エフッ!」





P(……あれぇー?)

哩「ご紹介ば預かりまし……あっ、預かってませんでした……すいません」

哩「あの、新道寺女子の三年で副将ばやってました白水哩いいます。下ん名前は、漢字で『口』って書いてから隣に里って字ば書きます」

哩「あ、『さと』の字は、里山とかの里でして、あの、あー……っ」

哩「……は? 『巻いて』ちいうても、何を巻けば……」

哩「……あ、ああそういうこつですか! またやってしもうた……!」



みさき「…………」

理沙「…………」

可憐「…………」

姫子(部長~!)

哩「ああああああの、とと、とにかくよろしうお願いします!!」



みさき「……白水さんからは、篠宮さんにありませんか?」

可憐「!!?」ビビクン



哩「はっ。ああ、あります!」

哩「あのっ……」



可憐「……は、はい……」ドキドキ



哩「が、頑張ろう!! 篠宮ぁ!!!」



可憐「はっ、はいぃ!」ビクッ





P(白水さんめちゃめちゃアガリ症じゃないか!! 可憐や野依プロもいるのに大丈夫かこれ!?)

P(……でも、村吉さんのフォローは的確だし、鶴田さんの方はしっかりしてるみたいだし大丈夫! ……だよな?)

姫子「……そ、そいで野依プロ! 私たち、具体的に何を手伝えばよかですか?」

理沙「一緒に遊ぶ!」プンスコ!

姫子「あ、そういう流れでしたもんね。……ばってん、雀卓どころか、可憐の授業机以外にテーブルらしきものも……」

理沙「スタッフ!!」



(二、三人の番組スタッフが全自動卓を運びこみ、スタジオに設置する)



理沙「準備完了!」プンスコ

哩「お、おぉー」

可憐「こ、これが麻雀卓、ですか……」

理沙「可憐! 復習!」

可憐「へぇ!? な、なにをですか?」

理沙「やることの順番!」プンスコ

可憐「そ、そんな? 麻雀を始めるときにやることって……。いきなり訊かれても思い出せませんよぅ……」チラッ

姫子「……可憐。そがな目で見られても、私らがいきなし答え教えるんは……」

可憐「そ、そうだよね……」

姫子「落ち着いて。習ったこつ思い出しながら麻雀卓のつくりば見てけば、可憐ならきっと分かゆっ」

可憐「……うん。ちょっと観察してみるね……」

可憐(雀卓って、聞いたことはあるけどこうしてじっくり見るのは初めてだなぁ……)

可憐(真ん中にサイコロがあって、振った時に飛び出ないように上からプラスチックかなにか? でふたがされてるんだ。ここにあるスイッチみたいのを押すと振れるのかな……?)

可憐(テレビで一度だけ見たけど、真ん中の方に牌を落とすんだよね。それで、ちょっとすると座ってる人の手元から牌が出てきたような気がする)

可憐(でも、ゲームの最初にやることって? サイコロは関係ありそうだけど、二番目か三番目に使うやつだったような……)

可憐(うーん……。……当たり前だけど、イスは四つだよね。だって麻雀は四人でやるゲ……あっ)

可憐「わ、わかりました。かも」

姫子「わっ♪ いって可憐、はやくはやくっ」

可憐「まず、席を決めるんでしたよね?」

理沙「…………!」

理沙「方法も覚えてる?」

可憐「席決めの方法……そうだ! 東西南北が書かれた字牌で、裏返したのを一人ずつ選んで決めていくんでしたよね?」

理沙「正解! ……でも、ちょっと違う!」

可憐「えっ!?」

理沙「『東西南北』じゃない! 『東南西北』!」プンスコ!

可憐「トンナンシャーペー? 野依プロ、牌の種類を教えてくれたときもそう言ってましたけど、どうして……」

姫子「ほら、麻雀って中国発祥やけん。可憐も心当たりばあっと思うけど、中国語と同じ発音する用語がいっぱいあるんよ」

可憐「へぇ。……でも、どうして東→南→西→北の順番なんだろう? それも中国由来……なの?」

姫子「どうやろ? 私は単純に、隣合う方位を東から並べただけやと思うけど」

可憐「あっ、そうか。そっちの方が分かりやすい……ね」

姫子「ねっ?」





P(鶴田さんのお陰で可憐がいい具合に実践に入っていけそうだ。尺は少し心配だけど、まあいいペースかな)

みさき「というわけで、予め雀卓内に落としてあるのとは別の風牌がこちらにあります。卓上に裏返して置いて……」



理沙「可憐! 姫子! 哩! ……引いて!」

可憐「は、はいっ! ……北です」

姫子「東です」

哩「……南」

理沙「私が西! ……みんな、自分の場所に!」

可憐「はいぃっ……!」

可憐(と言っても、北ってどこから見た北なんだろう? えっと、えーっと……)

姫子「……」スッ

可憐(『東』の姫子ちゃんが一番先に座った……!)

哩「……」スッ

可憐(哩さんは姫子ちゃんの右隣、ということは、哩さんの正面になるように……)

理沙「……」スッ

可憐「……」スッ

理沙「…………」

理沙「オッケー!」プンスコ!

可憐(で、できた……!)

姫子「……可憐、今どこに座るっか迷ったとやろ?」

可憐「ぅっ! ……うん」

姫子「基本的に、座る席は東家……『東』の席ば引いた人が好きに決めていいんよ。そいたら、他の席も自動的に決まるけんね」

姫子「ちなみに、今決めたんは『仮東』いうて、実際に打つときにこの順で東家、南家……となるとは限らんから注意やね」

可憐「へぇ……。……でも、北とか南ってどっちから見た方角に座ればいいんだっけ……?」

姫子「そいは……部長、教えてやってくれません?」

哩「!!!!?」

可憐「!?」

姫子「私ばっか喋らせてもらっちゃ、申し訳なかですもん」

哩「あ、ああ……」





P(……大丈夫かなぁ?)

哩「……教えるいうても、簡単なもんよ。南家の席は、上から見て反時計回りで東家の一つ隣。東家の右、って覚えてもよかよ」

可憐「そ、そうなんですか。……あの、『ナンチャ』とか『トンチャ』って……」

哩「ナンやトンは方角で、チャってのはそこに位置取るもんのこと。漢字で『家』っち書く」

可憐「うぅ……。それなら、東席とか南席の方が……」

哩「そういうもんやけん、頑張って覚えぇ。トン、ナン、シャー、ペー、で方角さえ分かえばなんとかなゆっ」

可憐「わ、分かりました。ありがとうございます」

哩「助っ人やけん、こんくらいなんでもなかよ」





P(……うん。ちゃんと喋れてよかったなぁ)

姫子「ぶちょーっ、流石です!」

哩「姫子、主役は篠宮と野依プロぞ。私らはそがんに出しゃばらんでよか」

姫子「はわわっ。き、気を付けます!」

みさき「……それでは野依プロ。席が決まったところで、次はなにをしましょう?」

理沙「親決め!」プンスコ

可憐「お、親決め、ですか。上手くできるかな……」

理沙「頑張って!!」





P(はぁ。危ないと思うことも多々あったけど、全自動卓だし、席につけば打つまではなんとかなるだろう)

P(にしても、あそこから立ち直った白水さんと、上手くタイミングを作った鶴田さんは流石だったな)

P(スタッフの誰かが『新道寺のダブルエース』とか言ってたっけか。インハイで培った絆や経験が、役に立ったのかな……)チラッ

哩「…………はぁぁぁ~。う、上手いこと喋れてよかった…………」

姫子「部長! オンエアですよ! カメラ回ってます!」ボソボソ

哩「……いかんいかん! 姫子、気引き締めっぞ!」

姫子「はい!」





P「…………」

P(……そうだよな。どんな背景があれ、二人は素人の女子高生ってことに変わりはないんだ。それでいて、生の一発撮りなのに、可憐を気丈に支えてくれている……)

P(まだ撮影は半分以上あるんだ。俺も、彼女たちを見習って気を引き締めないとだな!)

理沙「配牌終わり! 準備オッケー!」

可憐「や、やっと……ですか。長かったです……」

姫子「あははっ。全自動卓でんこないな感じよ? 手積みでやろうと思ったら、可憐とんでもなかことになるんやない?」

可憐「えぇ~っ!! 私、ルールを覚えるのから始まってもう頭が限界に近い……です」

哩「親決めで大分苦戦しちょったね。あん決め方はややこしく見えっけど、すぐ慣れっけん。辛抱よ」

可憐「は、はい。あとは、実際に麻雀を打ってみるだけ……ですけど」





P「……~~」

ディレクター「~~」

スタッフ「~~~~」





可憐(ぷ、プロデューサーさんたちは何を話してるんだろう……?)

みさき「さて、これから四人には実際に対局の方に移っていただくわけですが」

みさき「実は半荘一回での対局を予定していたのですが、尺の関係上最後まで放送するのは難しそうになりましたので、東風戦を一回戦でお願いします」

理沙「了解!」プンスコ

可憐「わ、分かりました」

姫子「分かりました」

哩「分かりました」

可憐(半荘が東風、南風を合わせたゲームのことを言ったはずだから……東風戦ってことは、元の予定の半分の長さになるんだ……)

可憐(半分だけなら、きっと大丈夫だよ……ね?)

みさき「それでは、早速対局開始……の前に一つだけ」

理沙「なに?」

みさき「えー、台本にはなかった番組からの指示ですが、野依プロと助っ人のお二方は『空気は読まなくていい』そうです」

理沙「……!!」

姫子「?」

哩「!」

みさき「つまり、篠宮さんに花を持たせようとか考えず、他の三人に勝つつもりで真剣に打っていただいても構いませんということですね」

可憐「ぇっ……。そ、そんなの無理ですよぉ……!」

哩「……大丈夫や、篠宮。安心しぃ」

可憐「!! ……哩さん」

哩「麻雀なんて、言ってしまえば運のゲームよ。東風戦みたいな短いスパンなら、一度和了ってそれで逃げ切る場合も珍しかなかばい」

可憐「で、でも」

哩「それに、相手が真剣に打ってくれんと和了れても嬉しかないんやなかと? 格上相手にたまたまでも和了れれば、それは可憐の思い出にもなっと思う」

可憐「そ、それは……」

可憐「…………」

可憐「……が、頑張ってみます! ……でも、」

哩「でも?」

可憐「ほ、本気で打つんですよね? 哩さんも、姫子ちゃんも……」

哩「そら……」

姫子「…………」

哩「……どこまで本気で打つかわからんが、トッププロと打てるこの機会……」

姫子「私たちだって、自分の力ば試しとう……なるよ」

理沙「本気!!」プンスコ!

可憐「ひっ……」

可憐(だ、ダメだよ! さっき頑張るって言ったばかりなんだし、これだけの人たちが相手してくれるんだもん……)

可憐「ぅ……。……ほ、本当はまだ怖いですけれど、よ、よろしくお願いします!」

哩「よろしく」

姫子「よろしくお願いします!」

理沙「その意気!」プンスコ!

みさき「それでは、今回のルール確認を。赤アリ裏アリの25000点持ち。トビなしで、0点を割ったらリーチはできません」

みさき「四家立直、四開槓、四風連打は流れますし、九種九牌による場流しを認めます。流し満貫や大明槓の責任払いもありますが、その他のローカルルール・ローカル役は認めません」

可憐(い、一応は習った言葉のはずなのに何言ってるか分からないよぅ……)

みさき「要するに、持ち点とトビ以外は、今夏インターハイの団体戦と同じルールということで三人には分かっていただけると思います」

みさき「……篠宮さん。ルールそのものについて分からなくなったら、ゲーム中でも気軽にお声かけくださいね」

可憐「わ、わかりました」

みさき「では始めましょうか。……起家は、篠宮さんでしたね」

可憐「は、はいっ!」

みさき「親は最初にツモらないよう、気を付けてくださいね」

可憐「はいぃ……っ!」

みさき「それでは、ただいまから対局開始です。終局前に時間が来た場合は、こちらでお知らせしますのでお願いします」

可憐「お、お願いします」

姫子「よろしくお願いします」

哩「お願いします」

理沙「お願いします!」プンスコ



東 篠宮

南 鶴田

西 白水

北 野依



東一局 親:篠宮



可憐(は、始まっちゃった……! いきなり親だし、役とかもまだ覚えきれてないけど……)

可憐(まずは、絵を揃えていけばいいんだよね……)



~~~~~



理沙「見て!」サッ

可憐「……これは」

みさき「野依プロが新しいパネルを取り出しましたね。カメラさん、アップお願いします」



『①同じ牌が2つ=対子 

 ②同じ牌が3つ=刻子 
 
 ③同じ牌が4つ=槓子


 ④2連続する数を描かれた、同じ絵柄の数牌が1つずつ=塔子 
 
 ⑤3連続する数が描かれた、同じ絵柄の数牌が1つずつ=順子』

 
 

理沙「トイツ! コーツ! カンツ! ターツ! シュンツ!」

理沙「これらの絵合わせ! ……可憐が、さっき言ったやつ!」プンスコ

可憐「へぇ~」

理沙「対子、刻子、順子の組み合わせが基本! たまに槓子!」

可憐「か、カンツっていうのはどうやって……?」

理沙「省略!!」

可憐「……はい」


~~~~~


可憐(それでえーっと、教わった最低限の役が『タンヤオ』、『ピンフ』、『役牌』、『風牌』の……)

姫子「……れん! 可憐!」ボソッ

可憐「へっ?」

姫子「ツモ番! ツモって!」ボソボソ

可憐「はっ、……ああっ! すすすいません!」

可憐「えっと……こ、ここから引けばいいんですよね?」



みさき「篠宮さん、どうやら先ほど学習したことを実践で発揮するのに戸惑っているようですね」



可憐「えと、えと、……こ、これでお願いします!」タンッ

哩「……対局中は、あんまし喋らん方がよかよ」

可憐「ぁ……。ご、ごめんなさい」





P(…………)

可憐「……」タン

姫子「」タン

哩「」タンッ

理沙「……」タンッ

可憐「……」タン



可憐(静かだなぁ……。さっきみたいなことがないように気を付けながら、もう少し考えてみないと)

可憐(タンヤオとピンフは、どっちかが数牌だけじゃなきゃ和了れなくて、どっちかがツモじゃなきゃ和了れないみたいな……)

可憐(あれ? 鳴いちゃダメなんだったっけ? 鳴くって確か、二つ同じ牌があるときに誰かがその牌を捨てるとか、)

可憐(右隣か左隣の人が連続する数の数牌を……えっと、えっと、)

可憐(そういえば、ツモじゃなくて他人から和了るのってなんて言うんだっけ……)

哩「ロン」



可憐「そうだ、ロン! ……え?」

哩「篠宮、あんたからのロン和了や。2600お願いします」

可憐「は、はい……」



みさき「最初の和了は白水さんになりました。タンヤオドラ1で2600点の和了です」

姫子(リーチでんおかしかない手やのにダマ……。部長は速度や和了率を重視しゆうですか?)

姫子(……それより、可憐……。……大丈夫やろか)



可憐「て、点棒はこれでいいんですよ……ね?」

哩「ん。確かに」

可憐「……えと、これで親や牌を引く順番も変わりますよね……?」

哩「ああ。ゲームば進んどるけど、落ち着いて考えればええ」

可憐「は、はい。……えっと、東家の後は南家が親になるから……」

哩「そうそう」

理沙「……!」プンスコ

姫子「…………」

東二局 親:鶴田



哩「ポン」

姫子「はい」

可憐(そ、そうだ。『鳴く』ってこういう感じだった……よね)

哩「……」タンッ

理沙「」タンッ

可憐「ぅ……」タン

姫子「……」タッ

哩(野依プロが張ってるくさいが……あん表情からはなんも読めんな)タン

理沙「」タン

姫子(捨て牌からして七、八割方張っとうと思うけど……どこまでの手になってっか)タンッ

可憐(みっつずつ、みっつずつ……)タンッ

哩「!!」

姫子(ド真んっ……!)



理沙「…………」



姫子(危険牌が出たはずやのに当たらんかった……)タン

哩(……張っとらんっちゅうことか? それとも見逃し?)タン

姫子(手加減か、高目狙いなのか……)

理沙「……」タンッ

可憐(うぅ……。今、哩さんと姫子ちゃんがびくってした気がするけど、変な捨て牌だったのかな……?)タン

哩「ノーテン」

理沙「……テンパイ!」プンスコ

姫子「テンパイ」

哩(プロん河を見ゆうに、さっきは揃っとらんだけやったんか)

姫子(なんとか親番確保……やけど、)



可憐「……あぅ、あぅ」



姫子(…………)

姫子「大丈夫や可憐。テンパイ……あと一つで和了れるとこやったら手牌開いて、そうやなかったら……」

可憐「でも、テンパイなのかどうか自分じゃ分からなくて……」

哩「手牌ば開いてみい。私らが見ちゃる」

可憐「は、はい……」パラパラ

姫子「……こん手は、」

哩「三? ……いや、二向聴でノーテンやね」

理沙「役なし!!」プンスコ!

可憐「や、役なしなんですか? 同じ種類の数牌で揃えようって頑張ったのに……」

哩「そいでも、違う種類の数牌が一種でも混ざったら役はのうなるんよ。一九の刻子あっからタンピンもつかんし、こいでは……」

可憐「そ、そうでした。……や、やっぱり麻雀って難しいですね……。……あはは」

姫子「…………」

東二局一本場 親:鶴田


姫子「……」タンッ

哩「…………」タン

理沙「チー!」

理沙「」タンッ

可憐「こ、これかな……?」タン

姫子「」タン

哩「……」タンッ

理沙「」タン

可憐「…………」タン

姫子(野依プロはギア入れちゅうし、長考ばしとる部長には、それなりん手が来そうっちゅう可能性もある……)

姫子(ばってん、私にも良手ば入ったと! ちょっち怖いけど、東風戦で和了れれば一気に有利やし……)



姫子「リーチ!!」



哩「!」

理沙「……」

可憐「!!?」ビクッ

みさき「鶴田さんの先制リーチ! この対局で、初めてリーチ棒が場に出ます」



哩(親のリーチ……怖かな)タン

理沙「……」タンッ

可憐(確か、1000点棒が場に出るんだっけ? ……ふ、振り込まないようにしなきゃ)タン

姫子「」タンッ

哩「……」タン

理沙「……」タン

可憐「…………」タン

姫子(五ー八萬の両面……ばってん、五萬は自分で捨てとるし、実質八萬の単騎待ち)

姫子(そいが迷彩ばなるはず。今までん捨て牌でスジにも利きがあっし、単純やけど短期戦なら……!)タンッ

哩「」タン

理沙「……」タンッ

可憐「ぅぅ……」タン

姫子「」タンッ

哩「……」タン

理沙「……」タン

可憐「……」タン

姫子(……お願いっ! きて……っ!)タン

哩「」タンッ

理沙「……!」タンッ

可憐「…………」タン



姫子「出たっ! それロンです! 12300!!」



可憐「はぅっ! ……ぅぅぅ」



姫子「ぁっ……」

可憐「ど、どうぞ……」

姫子「……うん」

可憐「ま、哩さんも姫子ちゃんも強いんだね……。わ、私なんかがこの卓に混ざっていいのかな……」

哩「……そがなこと言うな篠宮。弱いもんでも強いもんに勝てっのが、麻雀の醍醐味やけん」

可憐「そ、そうですよね。……でも、私が勝つのはもうちょっとだけ大変、かなぁ……」グスッ

哩「……」

姫子「……っ!」

姫子「あっ、あのっ!」



可憐「!」

哩「姫子?」

理沙「……!?!!?」



姫子「や、やっぱし、一からの初心者じゃこん卓で打つんは厳しかやと思います!」

姫子「せめて、捨て牌か手作りのアドバイスくらいさせてください! じゃなきゃ、私たちも助っ人で来た意味ばなかとです!!」



みさき「…………」

みさき(ちょっと想定外ですけど、どうしましょう。確かに、ルールに関してでしかアドバイスを得られないのはきつかったですかね)

みさき(それに、少なくともゲストの二人は本気で打っていたようですし。他の三人の反応は……)



哩「姫子……」

可憐「姫子ちゃん……」

理沙(青春……!)プンスコ



みさき(……ふむ)

みさき「……ご意見は分かりましたが、気になった点を幾つかお聞きしてよろしいでしょうか?」



姫子「は、はい! なんでも!!」



みさき「鶴田さんが篠宮さんにアドバイスをしながら対局するとしましょう。他の対局者に、作戦が筒抜けになってしまうのではありませんか?」



姫子「そいは……。……た、対局者ん方々には、申し訳なかですがきっちり耳栓ばしてもらいます! 無理なら、私が声量を工夫します!」



みさき「なるほど。二つ目ですが、鶴田さんは篠宮さんにアドバイスしながら対局を続けるおつもりですか?」



姫子「す、スタッフのどなたかに代打ちばお願いしたいです! 今ん私は10000点差以上のトップですし、実力ば私たちに劣っとう方でも十分なハンデばあっと思います!」



みさき「……」

みさき「……最後にお聞きしますが、篠宮さんは、それでいいんですね?」



可憐「はっ! ……あ、あの、近くで姫子ちゃんが助けてくれるなら、すごくすごく嬉しいし心強い……です!」

姫子「可憐……!」



みさき「分かりました。今、番組スタッフで一時協議するとの指示が出たので少々お待ちください」



姫子「は、はいっ!」

可憐「はい……!」



みさき「申し訳ありませんが、視聴者の皆さまにおきましては、卓を囲んで歓談する美少女たちを鑑賞しながらお待ちいただけると幸いでございます」ペコッ



哩「び、美少女って……」

理沙「……!!!!」プンスコ!

哩(視聴者ん皆さん飽きさせんためやろうが……)

哩「な、何を話せばよかとやろう……??」

姫子「わ、私は話すことあります。……皆さん、勝手なことばして、本当に申し訳ありませんでした」ペッコリン

可憐「ひ、姫子ちゃ……」

姫子「の、野依プロと可憐の番組なんに、感情ば昂ぶって出しゃばったことして……!」グス

理沙「平気! 姫子、悪くない!」プンスコ!

可憐「そ、そうだよ! 姫子ちゃんは、私が何もできないから助けてくれただけだもん! ……だから、そんなこと言わないで……」グス

姫子「可憐……、野依プロぉ……」グスッ



哩「…………」

哩(乗り遅れてしもうた……)

哩「ひ、姫子。番組はまだ続くけん、そないに泣くとみっともなかよ」

姫子「ぶちょー……あいがとうございます」グスッ

哩「ほれ、こいで拭かんね」

姫子「えへへ……。……部長のハンカチ、やらしか刺繍ばしてるんですねぇ……」ニコッ

哩「つ、つまらんこと言うな!」

哩(よし! とにかく、会話ば混ざれてよかった!)





理沙「篠宮さん! こ、これ使って!」

可憐「の、野依プロ……! ……いいんですか?」グス

理沙「助け合い!!」プンスコ!

可憐「助け合い……。……はい! この後は私が、番組が面白くなるように頑張ってみせます!」

理沙「……ん!」プンスコ

哩「ひ、姫子。番組はまだ続くけん、そないに泣くとみっともなかよ」

姫子「ぶちょー……あいがとうございます」グスッ

哩「ほれ、こいで拭かんね」

姫子「えへへ……。……部長のハンカチ、やらしか刺繍ばしてるんですねぇ……」ニコッ

哩「つ、つまらんこと言うな!」

哩(よし! とにかく、会話には混ざれたばい!)





理沙「可憐! こ、これ使って!」

可憐「の、野依プロ……! ……いいんですか?」グス

理沙「助け合い!!」プンスコ!

可憐「助け合い……。……はい! この後は私が、番組が面白くなるように頑張ってみせます!」

理沙「……ん!」プンスコ

みさき「お取り込み中すいませんが、皆さまお聞きください。……スタッフで協議をした結果、鶴田さんの提案を全面的に受け入れて対局・収録を続行することになりました」


可憐「!」

哩「!」

理沙「……!!」

姫子「あ、ありがとうございます!!」



みさき「というわけで、鶴田さんと篠宮さん以外の三人はこちらの耳栓をしっかりと耳に詰めてくださいね」

みさき「結構強めの耳栓ですので、篠宮さんは、鳴きや和了の際の発声と身振りを大きく伝えてください」

みさき「鶴田さんは、アドバイスを長くしすぎて局の進行に影響しないよう留意すること。それから、篠宮さんをただの操り人形のようにしないようお願いします」



姫子「もちろんです! そん言いつけば、絶対ぜったい守います!」

みさき「それでは、代打ちのスタッフは席についてください」



P「……今更聞いても無駄でしょうが、なぜ私が?」



みさき「撮影・進行に直接関与せず、麻雀のルールを理解していてこのメンツでも比較的冷静に打てそうだからです」



P「……了解です……」



可憐「ぷ、プロデューサーさんが打つんだ……」

姫子「普段は仲良さげみたいやけど、今は敵やけん。一緒に倒すよ」

可憐「う、うん……!」

みさき「対局を再開する前に、得点と席順のおさらいです」



東 篠宮&鶴田 8600 

南 P 38800

西 白水 26100

北 野依 26500



みさき「それでは皆さん、始めてください」


東二局二本場 親:P


P(さて、点差はあっても満貫で簡単にひっくり返るくらいだし、どうしようかな)

P(俺が勝つのは番組的によろしくないだろうが……まあいいや、初手はこれで!)タンッ

哩(耳栓は気にならん。むしろ、集中しやすうてよか)タンッ

理沙「……」タン



可憐「……~?」

姫子「~~~~」

可憐「……!」タンッ



P(……うん、テンポは悪くないぞ)

哩(向こうの声も小声ならほとんど聞こえんし、よか感じやね)

理沙(……!!)プンスコ

哩「」タン

理沙「」タンッ

可憐「そっ、それポンです!!」

理沙「!!」

P(可憐が初めて鳴いた!)

可憐「……!」タンッ

P「」タン

哩「……」タン

理沙「……!」タンッ

可憐「姫子ちゃん……ほ、本当にこれで1位狙えるのかなぁ?」

姫子「ドラでアタマ作っとーし大丈夫。こん手牌なら、喰いタンのみで満貫もありえっと!」

可憐「赤ドラ? が来ても手が進むようにしたもんね。……速さ優先で組んだ手でも沢山点が取れるなんて、不思議だなぁ」

姫子「そいが麻雀の面白かところばい。下家ん方、チーできるようにしっかり見とってね!」

可憐「う、うん」



可憐「…………じーっ」

P(すっげぇ見られてる。はっきりわかんだね)

P(俺を注視してるってことは、河に欲しかった牌が出たかチーを狙ってるか……。差し込みを狙ってるとかってことはないよな)

P(それとも何か……いや、いくら鶴田さんが横に居ても心理戦は無理だ!)タンッ

理沙「ポン」

P(ぬっ?)

哩(ふむ……)

理沙「……!」タン

可憐「!」タンッ

P「……」タン

哩「」タン

理沙「ポン」



姫子(二副露……! せっかくテンパイできそうなんに、追い越された……?)



理沙「」タン

可憐「……」タン

P(よっしゃ。プロのお陰でツモ番回ってきて一向聴!)タン

哩(テンパイ……。この点差で押すほどの手でもなかけど、ここはひとつ……)



哩「リーチ」

P「ぽ、ポン!」

哩「!」

哩(早めに仕掛けた篠宮たちが気になっち仕掛けてみたが……Pさんも動揺しとる?)

P(今の鳴かなくてよかったかもなぁ。ま、一発消しだしテンパイもとれたからいいか)



P「」タンッ

哩「」タン

理沙「」タン

可憐「…………」タン

P「」タンッ

哩「」タン

理沙「」タンッ

可憐「……!」

可憐「ひ、姫子ちゃん……」

姫子「……うん。部長はもちろん、野依プロもPさんもここ2巡で手出し……テンパイしとるかもしれん」

可憐「でも、私たちも一向聴……だよね?」

姫子「ばってん、三家ともテンパっとるとしたら降りんのも一つの手よ」

姫子「可憐は、どうしたい? どうしたら私らにとってよか結果になると思う?」

可憐「…………」

可憐「……私は、」

可憐「……」タン

P「」タン

哩「」タン

理沙「……!」タン

可憐「」タンッ

P「」タン

哩「」タンッ

理沙「」タン

可憐「……っ!」タンッ

P「」タン

哩「…………」

哩(心なしか、篠宮ん打牌が力強うなった気がすっ)

哩(アナさんは、篠宮を操り人形んごたすなと姫子に言うとった。すっと、姫子ん考えでなく篠宮が自分の意思を持って打ってると考えた方がよかやね)

哩(ばってん……姫子ば参謀についたとしても、初心者に遅れば取るわけにはいかん!)

哩「……!」タンッ



P「ロン。2000と600です」

哩「! ……はい」



哩(考えちょった間にこれか。麻雀っちゅうのは、げに……)

可憐「……ほっ」

可憐「いま私、ちゃんと『オリ』れたよね……? 姫子ちゃんのアドバイスつきだけど」

姫子「うん、ようできてたと思う! にしても、こがな点差でようオリようっち思えたね?」

可憐「そ、それはなんとなくなんだけど……。途中まではいい感じだったのに、一向聴まで来たあたりから手が進まなくなってて……」

可憐「その間に皆はテンパイしてたみたいだから、あまりよくない流れなのかな……って思って」

姫子「そうやね。深追いば避けて失点を防げたし、可憐も考えて打つことができちゅうし。こん調子なら、きっと逆転の手も入ってくっよ!」

可憐「そ、そうかな? そうなるといいな……」

姫子「大丈夫! ポジティブポジティブ!」





姫子(……可憐が言ったからやないけど、確かに流れば変わった感じがあった)

姫子(部長のリーチやろうか? それとも、その前の……)

東二局三本場 親:P


P「……」タン

哩「」タンッ

理沙「……」タン

可憐「…………!」タンッ

P「」タン

哩「」タン

理沙「……!」タンッ

可憐「…………」タン

哩「……!」タン

理沙「……」タン

可憐「…………」タンッ

P「……」タン

理沙「ポン」

理沙「」タンッ

可憐「……」タン

P「……」タン

哩「……っ!」タンッ

理沙「チー」



哩(また二副露?)

姫子(それもこないに早い間隔で?)

可憐(て、テンパイしたのかな。怖いよぅ……)

P(いや、しかし……)

P「……ツモっ! 1300ずつお願いします!」



みさき「765プロのPさんが連続和了! いずれも安目ながら、鶴田さんの貯金と合わせて大差でのリードを築いています」

みさき「このまま番組ごと蹂躙してしまうつもりなのでしょうか? 美少女たちの反撃が見所です!」



P(やっばい楽しい……! 脳から変なの出そう……)

哩(プロを警戒し過ぎてやられたとか。……ピンフ三色、出来そうやったんが)

可憐(この局はあまり手が伸びなかったなぁ……。……ううん、ま、前向きに行こう!)

姫子(幸い、安目ばっかやし局は進んどらん。まだできゆうことはあっ)

理沙「…………!!」プンスコ!

東二局四本場 親:P


P「……っ」タンッ

哩「……」タン

理沙「……!」タン

可憐「…………」タン

P「…………」



P「リーチ!」



みさき「空気を読まない765プロのPさん、快進撃が続きます。四人の美少女は彼の勢いを止められるのでしょうか?」

可憐「…………」



可憐「り、リーチですっ……!」



哩(追っかけリーチ!)

P(めくりあいか……)

理沙(……可憐! やっと!)プンスコ

可憐「あ、あとは当たり牌が出るまで引いて、そのまま捨てていけばいいんだよね……」

姫子「そやね。あとは運を天に任せて、牌を信じるばい」

可憐「……本当に、これでリーチして良かったのかな……? リーチしたら、相手のロンを避けられなくなっちゃうし……」

姫子「……そいでも、一度決めたんやけん堂々とせな! やないと、来る牌も来んようになると!」

可憐「そ、そうなの?」

姫子「そうなの! リーチしたっちことは、前に出るって決めて牌を信じたってことやもん!」

姫子「やのに可憐が自分を、牌を信じてやらんでどうするの?」

可憐「姫子ちゃん……」

姫子「……っ」

可憐「……うん! 私、自分を……それと牌を、し、信じてみる!」

姫子「んっ!」

可憐「っ!」タンッ

P「」タン

哩「……」タン

理沙「……!」タン

可憐「」タンッ

P「」タンッ

哩「」タン

理沙「」タン

可憐「…………」



可憐(…………)



『信じてみる!』



可憐(ああは言ったけど……プロデューサーさんもリーチしてるし、哩さんや野依プロも攻めてくるかもしれないし……)タン


可憐(ま、前に出るってやっぱり怖い……! 怖いよぅ……!)タンッ


可憐(そもそも私、どうしてこんなことしてるんだろう……? 臆病な自分を変えたくて、勇気を出して、アイドルになって……)タン


可憐(765プロに入って、お手伝いやお仕事をして、ステージに立って歌って踊って……)タン


可憐(お、お仕事やライブのときは自分で前に出て色々やらなきゃいけないことが多くて、怖かっ……。……ううん、今も怖いままなのに……)タン

可憐(…………)タンッ


可憐(でも……。……前に出るのは怖いままだけど……)タン


可憐(私は、その後に感じることのできる喜びや嬉しさを知ってる。……プロデューサーさんや、765プロの皆……)タン


可憐(お仕事の場を用意してくれる人たちや、助けてくれるスタッフの人たちが教えてくれた感情……)タンッ


可憐(それに、…………。……だから、怖いと思っても、私は、)タンッ


可憐(皆の期待に応えたい! 応えなくっちゃ、いけないの! だからお願い……!)タンッ

可憐(応えて……!!)



哩「」タン

理沙「……!」タン

P「」タンッ

可憐(お願い……!)タン

哩「……」タン

理沙「……!」タンッ

P「」タンッ



可憐「……っ!」

姫子「可憐! それ……!」

可憐「ろ、ロンです! プロデューサーさん!」

P「げっ!」

哩「!」

理沙「!」

可憐「て、手牌開かなきゃ。……えっと、ピンフイーペーコー、リーチで……そうだ、裏ドラ!」

可憐「裏、裏……」



姫子「可憐、こん牌ばい!」



可憐「あ、ありがとう姫子ちゃん。……裏、」

可憐「……!! こ、これって裏ドラ乗ってる……よね?」

姫子「乗っとる! さあ可憐、得点申告の続きばい!」

可憐「うん! ……改めましてプロデューサーさん。ピンフイーペーコー、リーチドラ1で……」

可憐「…………えっと、」



哩「……30符の4翻で7700。積み棒込みで、8900」



可憐「す、すいません哩さん。……8900です!」

P「はい。リー棒込みで9900点、確かに払ったよ」ジャラ

可憐「……っっ!!」

姫子「やったやった! 可憐、初めての和了でほぼ満貫の手ば和了るなんて!!」

可憐「あ、ありがとう。……姫子ちゃんがいなかったら、きっと和了れなかった……」

姫子「な、なん言っとーね! 私はちょちょいと口出ししただけで、最後に決めたのも、当たり牌を呼び込んだのも可憐の力ばい!」

可憐「そ、そんなことないよ! 姫子ちゃんの言ってることが、正しいとしても……」

可憐「ひ、姫子ちゃんみたいに応援してくれる人が……。私みたいなのでも、期待して背中を押してくれる人がいるから……」

可憐「だから、私にもそういう力が出てくるんだよ。……きっと」

姫子「っ!! ……可憐~~~~!!」ギュッ!

可憐「あぅっ! ひ、姫子ちゃ…………」

哩「……姫子。お祝いもよかけど、対局中ばいしっかりせんね」

姫子「!! すす、すいません部長! こいは浮気とかじゃなかとですよ!」

哩「ば、バカっ! ……とにかくあと二局、卓についたら最後まで打つのが礼儀ぞ」

可憐「そ、そうですね。すみませんでした」

哩「……まあ、こいが終わったら私もお祝いしたるけん。今は全力で向かってこい!」

可憐「はいっ!」



野依「……せ、青春……!!」プンスコ!

P「…………」

P(尺は大丈夫ですか?)ジェスチャー



みさき(大丈夫です。元々、半荘想定の構成ですので)ピース



P(了解)コクッ



P(……俺が対局再開の合図をしましょうか?)ジェスチャー



みさき(彼女たちに任せても平気でしょう。待機していてください)フリフリ



P(了解)

東三局 親:白水


哩「」タンッ

理沙「……」タン

P「」タン

可憐「…………」タン

哩「……」タンッ



可憐「ロン……です! 3900!」



哩「……今度はちゃんと申告できたとね」



姫子「ふふっ。狙い通りやったね、可憐っ♪」

可憐「う……うんっ!」



哩(東一の仕返しばさせちゅうっつーことか。……まったく、姫子め……)

みさき「Pさんの次は篠宮さんの連続和了。麻雀教室で学んだことと、鶴田さんのアドバイスの効果がてきめんに表れていますね」

みさき「これからオーラスですが、その前に順位と点数を確認しておきましょう」



東 篠宮&鶴田 21100

南 P 36400

西 白水 18300

北 野依 25200



みさき「未だ空気を読まないPさんの一人浮きですか……。野依プロ以外は満貫ツモよりもいい条件で和了らなければまくれないので、やや厳しいですね」

みさき「しかし、最後の親番はその野依プロ。随一の実力を誇りながら未だ一度の和了も見せず、しかし上位順位と原点を確保し続けております」

みさき「Pさんが逃げ切ってしまうのか、野依プロや他の二家が追いつくか」

みさき「特に乗っている篠宮さんは注目ですね。それでは、オーラスです……!」

寝ます。続きは明日投下して完結までします……

東四局(オーラス) 親:野依


理沙「……!」タン

可憐「…………」タンッ

P「……」タン

哩「…………」タン

理沙「!」タン

可憐「…………」タン

P「」タンッ

哩「」タン

可憐「……ちょっと微妙な手、だと思うんだけど」

姫子「チャンタ方向に伸ばせば役はつきそうやけど……厳しかやねぇ」

可憐「どうしよう……。これで、最後なんだよね?」

姫子「落ち着いて。まだ序盤やし、野依プロが安手で和了り続けたり流局を視野に打ったりしてくるかもしれんよ」

可憐「……うん。状況を見ながら、だね」



哩(さて、こん手……。ドラは絡めやすいが、狙い過ぎてリズムば崩すんは上位二人の思う壺)

哩(ばってん、この手の手組みば慣れちゅう私ならやれる! 実際、インハイん団体戦でもやり通した!)

哩(そいに、まだこん番組でよか所ば見せられておらんしな……。……意識すんのはよくなかやけど、プロん前で恥ずかしい打牌はしたくなかね……)



P(だ、大丈夫……。満貫に振り込んだら終わる点差だが、それでも10000点差以上の首位には変わりないんだ!)

P(まったく、鶴田さんさまさまだな……。可憐とも仲良くしてくれてるし、帰ったら新道寺宛になにか贈り物でもしよう)

P(男の俺が番組をぶち壊しにするのは申し訳ないが……それでも、トッププロ相手にここまで来たならやっぱり勝ちたい! スタッフの皆さん、許してください!)

理沙「……!」タン

可憐「…………」タンッ

P「……!!」タン

哩「……」タン

理沙「!」タン

可憐「…………」タン

P「……」タン

哩「」タン

P「…………」

P(こ、この土壇場で楽観視は禁物だが……)


P(まだ5、6巡なのに役牌が来てくれている! 勝てる……かもしれない!)


P(どんな安手だろうと和了れば勝てるこの状況。今の俺に、この白暗刻はまさに神からの配剤……!)


P(手は進んでいるのに安牌には困らない。攻守両面にわたって強力な手牌だ)



可憐「…………」タン

P「それポン」

可憐「は、はい」

P「…………」タンッ



P(これで一向聴。……もしかして、)

P(こりゃ流れってのきちゃってるー?)タンッ



理沙「ロン」

P「」

P(まあしょうがないか。幸か不幸か野依プロの連荘だし、またチャンスは来るだろう)



P「……すいません野依プロ。いくらですか?」

理沙「18000」

P「はぇっ?」



哩「!!」

姫子「!?」

可憐「……?」

理沙「和了り止め! ……お疲れさまでした!!」プンスコ!



哩「……お疲れさまでした」

姫子「お疲れさまでした」

可憐「お、お疲れさまでした」

P「……お疲れさまでした…………」

得点・最終順位



野依 43200

篠宮&鶴田 21100

P 18400

白水 18300





哩(オーラスんダマでトップに親っパネ直撃……)

姫子(というか、早すぎやろ……)

可憐(よく分からないけど、……すごいなぁ)

P(結局、プロの一人浮きかぁ……はぁ)

みさき「対局お疲れさまでした。やはり、最後には野依プロが貫録を見せつけましたね」

理沙「意地!!」プンスコ!

みさき「篠宮さんの打ち筋はどうでした? 鶴田さんの助けこそ借りていましたが……」

理沙「悪くない! ……楽しみ!」

みさき「それは、篠宮さんのこの先が? それとも、また一緒の卓で打つことがでしょうか?」

理沙「両方!!」プンスコ!

可憐「え、えぇっ!? おおお、お世辞でもすごく嬉しいです……!」

理沙「本気!!」プンスコ!

可憐「はわわ……。あ、ありがとうございます……」

みさき「さて篠宮さん。今回この番組で麻雀に触れて、どうでしたか?」

可憐「……あの、はじめは麻雀って、覚えることは多いしルールが難しくてなじみにくいって印象だったんですけど……」

可憐「い、色々学んでみてもその印象は変わらなくて。……実際に打っても、オタオタして番組の進行を止めちゃいましたし……」

みさき「…………」

可憐「でも、姫子ちゃんが傍で助言してくれて、ちょっとだけ落ち着いて牌とかを見ることができるようになって、」

可憐「そうしたら、少しだけ麻雀の楽しさが理解出来たような気がしました」

みさき「……」

可憐「良い役を作るのに一生懸命になって、他家に振り込まないようにドキドキしながら捨て牌を考えて、勝ったり、負けたり……。それが楽しいから、麻雀に夢中になる人がたくさんいるんだろうな……って」

可憐「そ、そういう感じです。……あの、こんな感想でもいいんでしょうか……?」

みさき「私は、素敵な感想だと思いましたよ」

可憐「……!!」

みさき「では、もう一つ質問をよろしいでしょうか?」

可憐「は、はい。なんでしょう?」

みさき「鶴田さんと一緒に打って、和了ることができたときどう思いました?」

可憐「嬉しかったですっ! 短い間に二度も和了れて、とってもとっても……!」

可憐「次に打つことがあったら、またああいう風に和了りたいです! こ、今度はきちんと勉強して、一人で和了って点数も言えるように……」

可憐「……ご、ごめんなさい。聞いてないですよね、そんなの」

みさき「いいんですよ。お答えいただき、ありがとうございました」

可憐「こ、こちらこそありがとうございました……」

みさき「……では最後に、四人からひとことずつお願いします」



理沙「麻雀楽しい! この番組も、楽しかった!!」プンスコ!



哩「わ、私? ……えっと、麻雀でん奮わんかったけど、めったにない機会ば貰うて楽しかったです。あ、ありがとうございましたぁ!」



姫子「次は私ですね。……今日は、プロやアイドルといった、普段じゃ話せない方々といっぱい話せて麻雀もできてよかったです。ありがとうございました!」



可憐「えぇと……私にとって、かなり大変なことばかりでしたけど、皆さんの助けでなんとか麻雀を打って楽しむことが出来ました。…………、」



可憐「ま、またこういう企画があったらぜひ呼んでください! 本日は、ありがとうございました!!」

哩「お、終わった…………。…………はぁぁ~」

可憐「お疲れさまです……。哩さん、姫子ちゃん、今日は本当にありがとう」

姫子「私こそありがとう。番組ん呼ばれたときはドキドキしっぱなしやったけど、可憐みたいな子と共演できてよかったばい」

可憐「そ、そう? ……えへへ」

姫子「そや、今のうちにアドレスとか交換せんば! 夏ん間は近くの県におっとやろ?」

可憐「うん。キャラバンっていって事務所の皆で全国を回ってて、今は四国地方と中国地方を中心にお仕事してるの」

姫子「わー……。なんだか聞いてるだけでワクワクしますね、部長!」

哩「あぁ…………」

姫子「ぶ、部長……」

可憐(……本当にお疲れさまです……)

P「なんとか無事に終われましたね。お疲れさまでした!」

みさき「私としては、貴方にも最後のひとことで喋って欲しかったのですが。……急な代役を任せたというのに、すみませんでした」

P「いや、全然いいですって! 自分に白羽の矢が立ったときには驚きましたけど、トッププロと打てていい思い出にもなりましたし!」

みさき「そうですか。……それは、よかったです」

P「まあ、麻雀以前の部分で色々と肝は冷えましたが。かれ……篠宮に出演希望があったのも、そういうことだったんですかねぇ」

みさき「彼女と野依プロとのコミュニケーションは、確かに見ものではありましたね。放送の反響もそこそこあったみたいですよ」

P「収録が終わったときは心底ほっとしましたよ。ネット放送ですし、『放送事故』なんてコメントが書きこまれたりしたら洒落になりませんからね……ははは」

みさき「…………」



みさき(そっちの方向で、結構盛り上がっていたらしいということは……伏せておいてあげるのがよさそうですね)

P「ところで、野依プロはどちらに? 撮影終了してから、お礼のひとことも言えてなくて……」

みさき「こちらを窺っているようですね。Pさんの右後ろにいますよ」

P「へっ? ……わっ、本当にいた……!」



理沙「……!!」プンスコ



みさき「野依プロー。Pさんがお話ししたいそうなので、こちらに来てくれませんかー?」

P「む、村吉さん。わざわざお呼びしなくても……」

みさき「よく知らない方と話すのを恥ずかしがってるだけですから。だから、こうしてきっかけを作ってあげるんです」

P(……村吉さんって、野依プロより年下だったよな……?)

みさき「ほら、近づいて来ましたよ。上手くやってくださいね」

P「はぁ……」

理沙「な、な……なんですか!?」プンスコ

P(顔真っ赤だな。……流石に見慣れたけど)

P「……あの、撮影、お疲れさまでした!」

理沙「……お、お疲れさま……!」

P「番組の途中、篠宮が何度もお世話になりました。どういう場であれ、プロと打てたのは篠宮のいい経験になるでしょうし、俺……私にとっても、いい思い出になりました」

理沙「!! ……どうも!」プンスコ

P「今日は本当にありがとうございました! またご一緒したときには、よろしくお願いしますね!」

理沙「……!!」

理沙「……!!!!」ペッコリン

P「……」ペコッ

理沙「……さ、さよなら!」ササーッ

P(逃げるように去っていったな……まあ、それはともかく)

P「村吉さん。今日の対局って、牌譜ありましたっけ?」

みさき「ありますよ。ADのどなたがとっていたと思うので、その辺りの関係者に頼めばコピーなども貰えるかと」

P「そりゃありがたい。教えてくれてありがとうございます」

みさき「……思い出の品になりますか?」

P「それもあるんですけど、野依プロの打牌がどんな風だったのかを見てみたいなぁ、と」

みさき「麻雀がお好きなんですね。……それでは、またいずれ」

P「ええ。また、次の機会に!」

P「…………」

姫子「あ、Pさん。……ちょっとよかですか?」

P「ああ、いいよ。何かな?」

姫子「それ、今日の牌譜ですよね?」

P「うん。もうすぐ読み終わるけど、貸そうか?」

姫子「あっ、ありがとうございます! 少しの時間で大丈夫ですんで!」

P「白水さんと一緒に見なくていいの?」

姫子「あー、そいが……今、部長だいぶ参っとるみたいで」

P「はは、そうなんだ」

姫子「そうなんです」



P(まいるがまいる……。……千早なら笑うかな)

P「…………」

姫子「……野依プロの手牌、どんな感じでした?」

P「東三までは、あまりいい手が入ってないね。エンジンがかかってなかったのか、単に運が悪かったのかは分からないけど」

姫子「ばってん、点ば取れんでも失点してないのは……」

P「東風だけだからなんともいえないけど、俺の安手ツモ以外では無傷だしね。それに、何局かあった東二でも他家の良手を潰してる……ように見えなくもない」

姫子「……私の満貫や、Pさんの連荘も見越してたと思います?」

P「どうだろう……。俺のはともかく、鶴田さんのあれは可憐がパッと飛び込んだだけだし」

P「それに、俺が和了ったのは二つとも安手だったからね。これは穿った見方だけど、局数を増やして番組の尺調整なんかも考えてたのかも……」

姫子「そ、そこまでできたら超能力者ですよ!? ……あん人に限って、無理やとも思えませんけど……」

P「まあ、『初心者の可憐にチャンスを増やしてあげよう!』くらいのことは考えてたと思うんだ。俺はね」

姫子「それ、分かいます。可憐がリーチしたときのプロ、どこか嬉しそうでしたもん」

姫子「……表情ば全然変わらんかったんで、私の気のせいだったんかもしれませんけど……」

P「ミステリアスだよねぇ……」

姫子「……終わりました。牌譜、貸してくれてありがとうございます」

P「これくらいどってことないさ。むしろ、鶴田さんたちが可憐を助けてくれたお返しには全然足りないくらいだよ」

姫子「……今日は、本当に本当にありがとうございました! 可憐には言うたんですけど、夏休み中に、部長と一緒に765プロのライブば見に行きますね!」

P「おぉ、ありがとう! いい席を取るのは難しいかもだけど、顔を見せてくれると可憐も喜ぶよ!」

姫子「はい。……そんときんなったら、またお願いします!」

P「うん。白水さんにもよろしく!」

姫子「はいっ!」

P「またねー。…………」

P「…………」

P(結局、野依プロは空気を読んだということなのだろうか……?)



『本気!!』プンスコ!



P(嘘を言う人には思えなかった……けど、駆け引きできない人が麻雀に強いわけないし)

P(というか、単にプロが凄すぎて俺らじゃ本気かどうかすらも分からないだけだったりとか…………ダメだ、もやもやする!)

P「わー! もう一局だけでいいから誰か打たせてくれよー!!」

可憐「!?」ビクッ

P「おうっ? 可憐、いつの間に……」

可憐「プロデューサーさん……? あの、いま大丈夫ですか?」

P「あ、ああ。……なんだ?」

可憐「い、いえ。……少しお話ししたいだけです」

P「なるほど。移動の前に腰落ち着けて話せるのは今のうちだからな」

可憐「? この匂い……。……さっきまで、姫子ちゃんとお話ししてたんですか?」

P「うん。それより可憐、野依プロや村吉さんにちゃんとあいさつしてきたか?」

可憐「は、はい。野依プロとは、少ししかお話しできませんでしたけど……」

P「はは。もし話し足りないことがあったら、そうだな。番組……いや、プロの所属チームに宛てて手紙でも書くといいよ」

可憐「そうします。……あの、今日のお仕事なんですけど……」

P「うん?」

可憐「その……いつもと違ってシアターや事務所の皆がいなくて心細かったです、」

可憐「けど、プロやアナウンサーさん、スタッフの皆さんが助けてくれたからやり通すことができて……い、いい経験になったと、思います!」

P「…………」

可憐「特に、姫子ちゃんからは自信を貰って……。……そうだ! 姫子ちゃん、今度、哩さんと二人で私たちのライブを見に来るって言ってくれたんですよ!」

P「そうか。……今日のお仕事は、楽しかったか?」

可憐「はいっ! 私、この番組に呼んでもらえてよかったです!」

P「……よしっ! それじゃ、手荷物まとめてキャラバンに帰るぞ! 皆に今日のことを報告してやろう!」

可憐「はっ……、はいっ!」






可憐「行きましょう! プロデューサーさん……!」






これにてカン、です。色々とガバガバで申し訳ありませんでしたが、今は最後まで投下できたことにほっとしています

あとは何レス分かおまけ投げて、html依頼してきます。読んでいただきありがとうございました

P「というわけで、バラエティ番組やイベントでの共演相手を募集している目ぼしいプロ雀士が何人かいるみたいだから紹介するぞ」

可憐「ほ、本当に麻雀のお仕事するんですか……?」

P「また麻雀したいって言ってただろうに。ちなみに、野依プロからのアクションは今のところ皆無だ」

可憐「そ、そんな……」

P「まず一人目は、横浜ロードスターズの三尋木プロ。今回の野依プロと同じで、麻雀教室の相手を求めているらしい」

可憐「みひろぎ……テレビで喋ってるの見たことありますけど、結構変わった人でしたよね?」

P「いや、かなり変わった人だが」

可憐「そうなんですか。それならあんし…………えっ?」

P「二人目いくぞー」

P「大宮ハートビーツの瑞原プロで、島根県での慰問ライブのサポートメンバーを募集しているらしい」

可憐「麻雀なのに島根にライブなんですか?」

P「瑞原プロの郷里は島根だからな。『牌のお姉さん』としての原点もそこにあるらしいぞ」

可憐「だから島根……。……じゃなくて、どうして麻雀なのにライブを」

P「次は、松山フロティーラの戒能プロ。オカルトスポット巡りの相方を探しているとか」

可憐「麻雀のお仕事なんですよね?」

P「麻雀プロとのお仕事だが」

可憐「…………」

P「長野は佐久フェレッターズの藤田プロ。食べ歩き番組に共演してくれるタレントを探しているとか」

可憐「もうなにがなんだか……」

P「ちなみに、藤田プロはカツ丼なんかの重いのも余裕でイケる口だ。出演するっていうなら、可憐も美奈子に鍛えてもらわないとだな!」

可憐「はぁ……。他にはないんですか?」

P「あと一つだけあるぞ。つくばの独立リーグにいる小鍛治プロとのお仕事で、番組名が…………」

P「……いや、やっぱりなんでもない!」

可憐「えっ!?」

P(こういうのは莉緒とかが適任だから、可憐には薦めなくてもいいよな……?」ブツブツ

可憐(き、気になる……!!)

みさき「…………」

理沙「……みさき、なに見てるの?」

みさき「以前、765プロや新道寺の子と一緒に撮った番組です。動画サイトに予約していたのを、今再生してるんですよ」

みさき「野依プロもご覧になりますか?」

理沙「……ちょっとだけ!」プンスコ

みさき「では、最初から再生しましょう」カチカチッ

理沙「ありがと!」



みさき『画面の前の皆さま、お待たせいたしました。『美少女が教える麻雀教室in福岡』、開講の時間です』

みさき『まずは、本日の講師役の紹介です』



みさき「……」

理沙「……」ドキドキ

理沙『……野依理沙! よろしく!』プンスコ!





『美少女(27)  www    美少女(二十代後半) wwwwwwwwww
     美少女(大嘘)     wwwww
     wwwwww       美少女(水着とネコミミの似合うアラサー実家暮らし)
美少女()      美少女(コミュ障)         wwwwww
wwwwwwwwww wwwwwwwww      顔中牌まみれや
 美少女(独身)      美少女(アラサー)      美少女(プンスコ)      wwwwww
   wwwwwww        wwwwwwwww     wwwwwwww
  美少女(少女じゃないとは言ってない) ←野依プロは今でも少女だろいい加減にしろ! ←処女の間違いだろ 
wwwwwwwwwwwwww        wwwwwwwwww
美少女wwwwww   美少女(過去形)     美少女(アラフォー) ←アラサーだよ!            』





理沙「……!!!?!?」ガーン!

みさき(コメント非表示にするの忘れてた……)

これにて本当のおわり

いつか咲-Saki-×モバマスでも書いてみたいですし、もしかしたらまた咲-Saki-×ミリマスになるかもしれないです。そのときはよろしくお願いします

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