ゆきあつ「め、めんま・・・?」2 (42)

完結させられないままスレ落ちしてしまった、
ゆきあつ「め、めんま…?」ゆきあつ「め、めんま…?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1310130442/)
の続きです
待っていてくれた人々には大変申し訳ない。
自己満足ではあるが続きを書かせてほしい。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1439131754

* * *
ああ、なんか、やられた。・・って感じだ。まるで挑戦状を叩きつけられた気分。
ゆきあつの奴は何か、汚いもの落とした感じにスッキリしていた。ああ、本当にめんまのこと好きなんだろうな。・・・イケメンかよ、ちくしょう。なんて思ってるけど俺は、悔しさよりも嬉しさのほうが大きくて、なんでだか駆け足気味になってしまう。ガキみてえ。このまま秘密基地までいっちまおうかな。こんな朝だけど、ぽっぽはいるだろ。
今まで俺を見下すように見ていたあの目が。今度は同等の立場に立って、真っ直ぐ前から俺を見てくれたんだ。幼かった頃のように。

角を曲がろうとすると、人影が現れてハッとする。やや走っていた俺はかかとで急ブレーキをかけた。……危機一髪!

「す、すみませ・・・」

ぶつからなくてよかった・・・と安心しながら、謝罪の句を述べて顔を上げた相手に、俺は言葉を呑んだ。・・・あなるだ。顔を上げたあなるとハッと目が合い、あなるがかあっと顔を赤くした。ツインテールに、いつものようにギャルい服装、バカ高いヒールなんて履いてる。・・・少し目元が赤い?あなるのほうも急いでいたようで、少し息が荒い。朝早くからなにを急いでんだか、こいつは。
「じ、宿海・・・っ!」
俺は知り合いだったことに、またも安堵して、はあーっと息を吐いた。

「なんだ・・・あなるかよ・・・」
「なっ・・・なんでこんなとこにっ!」
「はよ。何をそんな驚いてんだよ」
「お、おはよ…って何よ、驚いてないしっ!」
「あー、落ち着けって・・・
あ、お前、手伝ってくれるんだってな。めんまの。・・・鶴見から聞いた。・・・サンキュ」

するとあなるの奴はもとから赤かった顔をさらに赤くして、ぷいっとそっぽを向きながら言い放った。ツインテールが激しい動きに忠実についていくから面白い。

「っ・・!!べ、べつにあんたのためじゃ・・・っ!」
「どもりすぎだって。ハイハイ。ありがとな」

軽くあしらいつつ手を振り、去ろうとすると。あなるは意味ありげにぽつりと、呟いて。

「・・・・・・ホント、に」

それに俺は、足を止めた。

「?なんだよ・・・」

あなるは俯きがちに地面を見つめている。
『ホントに』・・・、その意味は、なんなのだろう?

「ねえ・・・宿・・・、ううん、・・・じんたん。」
「・・・なんだよ?」
「めんまと会えて嬉しい・・・?」
「・・・何言ってんだよ?」
「答えてよ・・・」

あなるの右手は、爪が食い込むんじゃないかと思うくらいに強く、ぎゅっと、左腕を握っていた。ああ、昔っからよくしてたな・・・。そのポーズ。
何か、自分の中でこらえれないものを我慢するかのような。居心地の悪い場所で自分を守る時のような・・・。

「めんまと会えて嬉しい?」

もう一度同じことを質問される。少しだけ不安そうなあなるの瞳。
大丈夫だ。素直になるって、決めたんだよ。俺。

「ああ、・・・嬉しいよ。」

驚くほど、声色もやわらかく、戸惑うことなく言葉は口をついて出た。
あなるは一瞬戸惑ったように瞳を揺らす。

「ゆきあつと、暮らしてるんだよ。めんま。
それでも・・・」
「別にそんなの関係ねえだろ。
例え俺の家に住んでようが、住んでなかろうが」
「・・・っ」
「俺と、ゆきあつにしかやれないことがあるのかもしれない。だからめんまが見えるんだろうって、思うんだ」
「じゃあ、超平和バスターズみんなじゃなくったっていいんじゃん。じんたんとゆきあつがいれば、それでかなえられるんじゃないの」
「ちげーよ。めんま、おっちょこちょいだろ。神様に見せてもらいたい相手伝える前に幽霊になっちまったんだよ。きっと」
「・・・な、なにそれ」

馬鹿じゃないの、みたいな顔をするあなるに笑いかける。

「皆に会えるようになりたかったと思ってるよ、あいつだって。」

視線が合わない時の。言葉が伝わらない時の。あの悲しい笑顔を見れば、誰だってそう思うだろう。
あなるは少し、驚いたように。でも考えるように。ふっと口元だけ笑う。

「・・・そっか、やっぱり」

あなるは視線を下に向け、右手に込めた力をひときわ強くする。そして無理な笑顔を作って言った。

「あたし、めんまにかなわないや」
「・・・?」

眉はひんまがってるし、口元はひきつってるし、てんで笑顔なんて呼べない顔で、でもあなるは必死に表情を作っているようで。なんでめんまと張り合ってんだ・・・?

「どういう意味だよ・・・」
「・・・わかんないならいい!」

そしてふい、と顔ごと視線を逃がす。どうやら機嫌がよくないらしい。自然と間のあく会話。

「・・・、あのさあ。また皆で集まろうぜ」
「・・・ん。めんまのお願い、叶えなきゃ、ね」
「今からどっか行くのか?俺秘密基地行こうと思ってんだけど」
「・・・あんたには関係ないでしょっ。あ、遅れるっ!じゃーねっ」

腕時計を見て顔色を変え、猛烈にダッシュしていく後姿。さっと方向を切り替えたときのあなるから、シャンプーやら化粧の香りが混じったみたいな、女の香りがして息が詰まる。
俺たちは本当に――成長してしまった。大きくなってしまった。あの夏の日を置き去りにして。――そうなのだけど、大きくなったあなるの、あわただしい姿に少しあきれる余裕もあったらしい俺は、高いヒールだから足首からひねったりしないことを祈りつつ見守る。

「忙しいやつ・・・」

* * *
秘密基地に向かうと、思った通りぽっぽはいた。ぽっぽはいつも早いんだか今日だけ早いんだか分からないが、秘密基地に入れば椅子に座って本を読んでいた。一歩入ると、俺が声をかけるより先に顔を上げる。

「お!?じーんたーん!なんだよ、早えじゃねえの!」
「やっぱりいると思ったよ・・・。この前はありがとな、日記帳」
「どーんとうぉーりー、問題ないぜ相棒っ」
「ちょっと意味違うんじゃ・・・」
「で、めんまは日記帳取りにきたか?なんかお願いの手掛かりは・・・」
「ああ!そうだ、それなんだけど」

俺は今朝、ゆきあつと会ってきたこと、めんまの日記帳の不思議をぽっぽに伝えた。
ゆきあつと何を話したのか、ってのは・・俺とゆきあつの間でだけ共有できるものがあるっていうか、・・・だから、悪いけど割愛。

「筆談!てこたあ、俺もめんまと話できるってことだよな!?ブラボーー!!」
「だからまた皆で集まれたらいいなって勝手に思ってんだ、あ、ホラ・・・つることあなるも、手を貸してくれるらしいから」
「お?もうそんなとこまで話進んでんの?」

朝からテンションの高いぽっぽ。いつもこんなんなんだろうか。
と思った矢先、ぽっぽはすこし目線を下に向けて、優しく言った。

「・・・協力してくれるかあ。良かったぜ。あのあとよう、女子組は帰っちまって・・・大変だったもんなあ・・・」
あのあと、というのは、7月25日のことだ。ゆきあつとめんまが帰った後、取り残された俺たちだけで起こったこと。めんまにも話していない、裏でのごたごた、もめたこと。

「あなるとつるこでも、話したんだろうな・・・」
「てかじんたん、すっかりあだ名だな」
「・・・あ、そーいや」
朝も安城のことあなるで通しちまったし。
でも、ま、
「・・・いーんじゃね?」

ゆきあつとちょっとでもわかり合えた、ってことが、俺の気を大きくしているのか、なんだかとっても気楽で。いたくて目をそむけたくなるような、昔の傷に触れるはずなのに。超平和バスターズがもとどおりになる未来がすぐ近くにある気がして。
俺の言葉にぽっぽは首が取れんばかりに頷いた。

「こうなったら早くみんなで集まりてーな!招集かけるか!」
「・・・」

俺らに――わだかまりは、ないだろうか。
あの集まった25日、超平和バスターズから一番心が離れていたのはゆきあつだろう。でも、今朝のゆきあつなら・・・。
女子だって協力してくれるって言ってるし――、

「おう!頼む、ぽっぽ」

きっと大丈夫だ。
きっと。

おうよ!とぽっぽはぐっと親指を立てた。


今日はここまで。
夏休みを利用して完結させたいと思っている。

・・・何で?何の話、してるの?
最低って?

「めんま、ちっとも変わってないの。」

ふたりのこえは重く沈む。

やだあ。つるこ、あなる・・・。

「やだよお・・・」

どうして、そんなにつらそうな顔なの・・・?
めんまのせい?

「つるこお・・っ、あなる・・・?」

めんまって、言葉がでたとたん、ふたりは・・・。
めんま、変わらないのがいけなかった?ううん、めんま、めんまがみんなの前にあらわれなければ・・・?
いけない。頭の中がまっくらになっていく。
じんたんとゆきあつは、なかなおりしたかもしれなくても。めんまの見ていないところで、他の仲間がこんな悲しい顔をしているなんて、気づかなくて。

2人はしんと、黙り込んでしまった。
あなるのブランコと、つるこのブランコの鎖をつかむ。
気付いて。気づいてくれたなら。
めんまの声が届いたなら。


「・・・どうしたの?2人とも・・・」


顔を上げない2人。

私たち3人そろったとき、こんな風な悲しい気持ちになったのなんて、めったになかった。
ねえ、女の子三人だけで、男の子には内緒のひみつ話とかしたよね。お花のかみかざりをつくって、みんなで頭にかぶりあった。めんまへたっぴで、きれいなの出来なかったのに、つるこも、あなるも、喜んでくれた。
・・・そうだ!お花!
お花のかんむりつくろう、それで、2人に渡すんだ。


「・・・でも今の時期にお花・・・さいてるかなあ・・・」
自分のひとりごとにはっとする。夏だもんなあ。お花もあつくてかれちゃってるかなあ・・・秘密基地まで行けば、いっぱい咲いてるかもしれないけど・・・
うー・・
ううー!


どうしようもなくて、あわあわしているうちに、あなるが話し始めた。

「めんま、さ、大きくなってるんだよね」
「ええ、そういうことになるわね。すいかわりの目の位置からしても・・・」
「背は低かったよね」
「そうね、昔から小柄だったもの」
「・・・かわいいだろうなあ・・・」
「でしょうね・・・」

・・・あれっ。
な、なんで急にめんまを褒める話になってるのお・・・。両手を握って、ふたりのゆくさきを見つめるめんま!

「めんまさあ・・・髪の毛長かったけど、あんまり結んだりしてなかったよね」
「そうね、いつも下ろしてた」
「たまーに結んだ時とかさ、可愛かったよね」

な、なにをいいだすんだか!か、かみって!
えううやだなあ・・・めんま照れちゃうよ・・・えへ・・

「・・・そう、ね」
「かみかざりとかさ。持ってなかったのかなあ」
「・・・かみ、かざり」

つるこが呟いたその言葉。『かみかざり』。
うん、そうなの。めんまかわいいの好きだったんだけど、そーゆーのぜんぜん持ってなかった。だから、ほしいな、って・・・・・


・・・かみかざり、欲しい、なって、



・・・!!!


「あーあ・・・なんだか、本当に懐かしいわ・・・」
「うん・・・。めんまのことばっか、だね。今日のうちら。」
「そうね」
「・・・あたしこのところ考えてたんだけどさ。
めんまのこと・・・嫌いになんかなれない・・・」

うつむきがちにあなるの話を聞いていたつるこが、あなるを見つめる。そして、ふわりと優しく笑った。

「・・・私もよ」

そんな中、
おもい、だした。
わかった。

めんまの『お願い』・・・!


「あーあ・・やっぱりかなわないんだよなあ」
「いつだってそうね、私たち」
「かなわない・・・それがめんまだし・・・。めんまはめんまなんだもん、なあ・・・」
「・・・・・・そうね・・・」
「でも、こんなきれいな気持ちで、めんまのこと成仏させてあげたいって思えて、・・・よかった」
「何泣いてるのよ」
「じんたん・・・ね、さっき会った時ね、めんまは私たちにも会いたがってるって言ってたの」
「・・・」
「めんまは、ホラ、おっちょこちょいだから・・・、神様に、伝えるのをまちがえちゃったんだ、って・・・」
「・・・っ」
「その時の、じんたんの顔・・・っ。すごく、優しい・・・笑顔でっ・・・。わ、私、かなわないなあって・・・、おも、おもった」
「・・・馬鹿、もうぐずぐずじゃない」
「つるこだってえ・・っ」
「・・・ゆきあつから、今朝、メール来たのよ、ついさっき。
今日本当は文化祭準備だったんだけど・・・」
「えっ・・・さぼったの、あのつるこが・・」
「・・見て。・・・これ」
「・・・・・・、メール?」
「読んで」
「あ、いいの?・・・じゃあ」
「・・・どう思う?」
「・・・あは、・・・つるこからしたら、かなわないね」
「おかしいの・・。みんな、好意だって受け止めてくれるんだもの・・・いい人が多すぎて、困っちゃうわね。」
「つるこ・・・」
「あいつの気持ち、一番に聞けるのは私だって思ってた。
あいつの気持ちを分かるのも、伝えられるのも、私だって。だから、・・・今はもう・・・これで十分なの。」

つるこやあなるの声をぼんやりききながら、
めんまの頭の中にぼんやり思い浮かぶ景色があった。
+ + +

+ + +
「めんまー」
「んー?」

ぱたぱたとめずらしく走りながら、つるこが話しかけてくる。いつものように胸にスケッチブックを抱えて。つるこがいっつもつけてる、かみを結ぶ丸いかみかざりを目で追ってしまった。

「あのねっ・・・、めんま、髪飾りほしいんだよね?」

めんまは首をひねった。たしかに、めんま、かみかざり欲しいなーって思ってたんだけど、何でつるこが知ってるんだろう?

「ほら、この前、『秘密の会』でしゃべった時・・・言ってたじゃない?」

『秘密の会』というのは、おんなのこだけでお話する時の、グループの名前なの!ああ、そういえばそうだった!とめんまは思い出して、手をぽんと打った。
そうそう。めんま、お花のなんていいなあって話してたんだ~。
覚えててくれたんだ、なんだかうれしくて、つるこに思わず笑顔であいづちをうつ。

「うんうん!どうしてえ?」
「えへ・・・そっかあ、ううん・・。それならいいの」

つるこはほっと笑った。でも、ぎゅっとスケッチブックを抱いた腕に、力がこもったように見えて・・・。

「?なになにー?」
「めんま、きっとびっくりするよ・・・」
「なにがあ?」
「その時が来るまで、秘密」

にっこり笑ってつるこは、また走っていった。秘密基地にもどったんだと思う。めんまはその後も、秘密基地のうらでお花つみをしてたんだけど・・・。


・・・このこと、だったのかなあ。つるこ。
+ + +

今日はここまで

そういえばここさけ公開しましたね

>>23
気になるよねあれ

実写のやつでまたあの花再興するんだろうか

+ + +


引き出しを開く。
ここに、ゆきあつの想いと。
めんまの『お願い』に、ひつようなものが、ある。

でも、勝手にもらっちゃだめだ。
ちゃんとゆきあつに言わなきゃ。
ちゃんと、ゆきあつから、貰わなきゃ。


(めんま、このパッチンがずっと心残りだったんだ・・・)

桃色に小さく、あの日の面影を残して咲く花。
ゆきあつ。

+ + +


「ただいま」
「ゆきあつ!!」

いつのまにか寝ちゃってた。
外は夕暮れ、慌てて体を起こす。
手の中にずっと握っていたパッチンを、てのひらに隠す。

「ゆきあつおかえり!」
「めんま。ただいま、」

話しだそうとするゆきあつを遮って、めんまは言う。

「思い出したの・・・」
「思い出したって・・・・
『お願い』、を?」

こくりと頷く。
ゆきあつは、おどろいたように目を見開いたまま、ぴたりと、動きを止めてしまった。

「・・・あのね。ゆきあつといるの、とっても楽しいよ!毎日、あったかくて、しあわせなんだっ。
・・・ありがとう」
「・・・!俺だって、めんまといて幸せで・・・!!
本当に、とんでもなくっ・・!信じられないくらい、俺は、幸せだったんだ・・・!」

ゆきあつが目の所に、自分の手を持っていった。ふるえる肩、漏れてくる息づかい、手にこもる力。
ああ、・・・泣かないで、ゆきあつ。

「ゆきあつ、あのねっ、・・・ゆきあつ、お花の、パッチン・・・」

ぱっちん、までいうと、ゆきあつは息を止めて目を見開く。
・・・ちょっと言いにくいような、恥ずかしいような。
めんまのお顔は今、赤いのかもしれない。

「ゆきあつ・・・。ごめんね、この前、ひきだしの、中で、みつけちゃったんだあ」
「・・!」

ゆきあつがさっと、パッチンのありかの引き出しを見た。

「あとねあとね、クローゼットには、いっぱい、いっぱいの・・・ヘアゴムとか、パッチンとか、服とか、・・・髪飾り。」
「あっ・・・あれは、・・・めんまに!」
「知ってるよ」

えへへ、・・・ゆきあつ。

「・・・ありがと、ゆきあつ」

照れちゃって、うまくわらえないやあ、
・・・笑えてるかなあ。

ほんとに、いつもやさしい。
ゆきあつはいつもやさしい。
めんまにだけじゃないと思うけど、めんまにやさしいんだから、みんなにもやさしいんだと思う。


「めんまのお願いは、ね」

ああ――
でも、どうしよう、悲しいなあ…

「ゆきあつのくれた、パッチンつけて、みんなと遊ぶことだったんだよ」

思いがえる、小さなゆきあつのまっすぐな瞳。
生まれて初めて、男の子に好きと言われた。言ってもらえた。
生まれて初めて、男の子にプレゼントをもらった。
胸がどきどきして、でもじんたんのこともあって、頭の中をぐるぐるさせながら、沸騰しそうになりながら、走った。
走っても走ってもゆきあつの瞳にまだ追われている気がして、それを思い出すと顔があつくなった。

ああ、逃げ出さずにパッチンを受け取って。
みんなでじんたんを探して、仲直りして。
次の日もみんなと遊ぶ約束をして。
パッチンをつけて秘密基地に出かけて。
その次の日も、その次の次の日も、みんなと遊んで、みんなとおしゃべりして、
みんなと一緒にいたかった―――




熱い思いにこたえるように、まばたきといっしょに涙がこぼれた。


* * *
めんまは後ろ手に持っていた何かを、手を開いて見せた。
白い小さな手の上に、桃色の花びら。
驚く俺を前にして、めんまは涙をこぼしながら笑った。


「ゆきあつ、パッチン、ありがとね」

俺のあげたパッチンだ。
少し照れたように、笑いながら首をかしげて。

「これ、めんま、貰ってもいいかなあ?」


俺はあの日の自分に、このめんまの言葉を聞かせてやりたいと、めんまの笑顔を見せてやりたいと、本気で思った。
すると――・・・目頭が熱くなって、涙が溢れてきた。
すぐには言葉が出てこなくて、何度も、何度も頷きながら、俺は、情けないこの涙をぬぐう。
けれど本当に止まらなくて、俺は涙が混じる声のまま、か細い声で伝えた。

「受け取ってくれ、・・・めんま・・・」


めんまはゆっくりと頷いて、その白く細い小さな手でもって、ぱちりと。頭に、桃色の花のパッチンをつけた。
雪のような銀色の髪に咲く、桃色の花。
めんまは白い頬を、ほっと紅潮させて満足げに笑い、瞳を潤ませながら、

「めんま、・・・死んでからも、ずっと・・・このパッチン、受け取りたかったんだと思う・・・。」

ほろりと、めんまの青い、蒼い、うるんだ瞳から、また落ちる涙。
ああ。ラムネの瓶のビー玉のようだ。瓶から取り出すと、まだラムネで少し濡れていて、夏の日差しに眩しくきらきらひかる、ビー玉のよう。

「嬉しいな・・・。ゆきあつ・・・ありがとう」


――俺はこんなに可愛い女の子を、見たことがない。

+ + +
「なあ、めんま」

ん・・・?

「俺・・・今まで、めんまにひどいことをしてしまった」

あ、ゆきあつだ・・・

「最初は、めんまの『お願い』 、かなえたくなかったんだよ」

ゆきあつ、かなあ・・・?

「めんまが、消えてしまうかもしれないから・・・」

めんまのゆめ、かなあ・・・

「・・・嘘もついてた」

なんだか眠くて・・・めはひらかない・・・

「めんまにも・・・、超平和バスターズの、皆にも」

でも聴こえるよ・・・

「めんまを誰にも・・・知らせたくなくて」

うん・・・うん

「・・・めんまの覚悟を踏みにじってた」

うん・・・

「ごめん」

・・・あやまらないで・・・

「・・・起きてる内に、言えないでさ。
臆病者で・・・ごめんな」

・・・ちがうよお
そんないいかた、しないで・・・?

「・・・」

ゆきあつ。めんま・・・

「めんま・・・」

今、ゆきあつが一緒にいてくれて、
昔、好きって言ってくれて、

「ずっと・・・好きだ」

ほんとにうれしかったの。

今日はここまで。次回でラスト。

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