花陽「イソギンチャク」 (135)

うみぱなに可能性を感じました。
恋愛モノを上手く書けるかはわかりませんが、とりあえず見切り発車。
花陽視点の地の文あり。
そんなに長くはならないはずです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1439121941

きっかけはわかりません。
でも気づいた頃には、あなたの顔ばかり見ていて、言葉に聞き入っていて、その姿を目で追っていました。
この気持ちは、絶対に間違いとか気のせいとかじゃないと思うんです。
花陽は…

海未「ワン、ツー、スリー、フォー…」パンパン

花陽「はっ、はっ、ほっ、ふっ…」

海未「花陽!もう少し動きを大きく!」

花陽「はいっ!」

海未「穂乃果!そこ足が逆です!」

穂乃果「うぇっ!?ごめん!」



海未ちゃんが前でリズムを取りながら全体を指導する、いつもと変わらない練習風景。
ラブライブの地区予選に向けて、最近はみんな気合いが入っています。
でも…



花陽「わあっ!」ドテッ

海未「花陽!大丈夫ですか!」

花陽「いてて…」



バランス崩しちゃった…。
花陽は運動があまり得意じゃないから、みんなについていくので精一杯です。
ああ、もう本番も近いのに…。



海未「少し休憩にしましょう。根を詰め過ぎてもいけませんから」

花陽「みんな、ごめんね…」

凛「いいのいいの!次は頑張ろっ!かよちんならできるよ!」

穂乃果「そうそう!何回失敗してもいいの!ファイトだよっ!」

海未「…センターである穂乃果にミスがあっては困るのですが」

穂乃果「あ、あはは…」

ことり「まあまあ。それよりみんなお菓子食べる?マカロン作ってきたの!」

花陽「う、うん!」



私がミスをしても、みんなこうやって励ましてくれます。
本当に優しい、大切な仲間です。
期待に応えられるように、頑張らなくちゃ。

にこ「まあどうせ~?にこにーがお客さんの視線、ぜーんぶ集めちゃうから~?ミスってもバレないけど~?」

真姫「キモチワルイ」

にこ「ぬぁんですってぇ!?」

花陽「ふふっ」クスクス



にしてもこの2人、本当に仲が良いなあ。
つい数ヶ月前に知り合ったばかりとは思えないや。


…もしかして、実は付き合ってるとか?

いやいやいや、そんなわけないよね。
だって、女の子が女の子を好きになるなんて、ありえないもん。

普通じゃ、ないもん。



花陽「はあ…」


希「そーんな大きいため息ついたら、幸せが逃げてくで~?」ワシワシ


花陽「ぴゃああああっ!?」

花陽「の、希ちゃんっ!?」

希「むふふ~」ワシワシ

花陽「や、やめてよぉ!//」

海未「希!!やめなさい!」

希「海未ちゃんもやる~?」

海未「なっ…/// は、破廉恥です!!とにかくやめなさい!!」

絵里「希、もはやただのセクハラよ。ストップ」

希「は~い」パッ

花陽「うう…//」

希「元気出たやろ?」

絵里「出るわけないでしょ…。希がやりたいだけじゃない」

花陽「もうっ!」



希ちゃん、いつもワシワシMAXとか言ってるけど、もしかしてそっちの趣味が…?
だとしたら相手は絵里ちゃんかなあ…。

…って、なに考えてるんだろ。
さっきありえないって思ったばかりなのに。



花陽「……」

海未「さ、さて、そろそろ休憩を終わりにして練習を再開しましょうか」

穂乃果「ええーっ!?もうちょっとおやつ食べたいー!!」

海未「予選が近いのですよ?あまり時間に余裕はありません」

穂乃果「うっ…。わかったよぉ…」

海未「では、通しでやりますので配置についてください」

ことり「はぁーい」





海未「ワン、ツー、スリー、フォー…」パンパン

花陽「ほっ、はっ、ほっ、ふっ…」

海未「みなさん良い感じです!その調子で!」



褒められた…!
まだみんなにもついていけてる。
よし、さっき言われた通りもっと動きを大きくして…



花陽「うわぁっ!」ドテッ

海未「! ストップです!」



また、やっちゃった…。調子に乗ったからだ…。
しかもさっきと同じところ、また転んじゃって、せっかく上手くいってたのに中断させて…。

凛「かよちん、大丈夫?」

花陽「う、うん…。ごめんね…」

凛「気にしない気にしない!さ、もう一回やろ!」


海未「…いえ。ダンスはここまでにします」

海未「少し水分補給をしたら音楽室に行きましょう」

花陽「ご、ごめんなさい…。花陽のせいで…」

海未「謝る必要はありません。次こそは成功させましょう」

花陽「…うん」


海未「では、真姫。あとはお願いします」

真姫「わかった。まだDTMでの音源が完成してないから、ピアノで我慢してね」



やっぱり、ダメなのかなあ…。
人より鈍臭い私が、アイドルなんて…。
こんな、みんなの足を引っ張ってばかりで…。

音楽室


真姫「それじゃあ、始めましょうか」

凛「はーい!テンション上がるにゃー!」

穂乃果「新曲っ!新曲っ!」

真姫「はしゃぎ過ぎ。落ち着いてくれる?」

凛「だって新曲だよ?そりゃあ燃えてくるよ!」

穂乃果「しかも合宿中に、穂乃果達も手伝った新曲だもんね!」

真姫「穂乃果は曲作りチームじゃなかったでしょ。しかもずっと寝てたって聞いたけど」

穂乃果「あ、知ってたんだ…」エヘヘ

ことり「あはは…。しかもその後結局3人とも寝ちゃったんだよね」

凛「えーっ!?みんなのんきに寝てたの!?凛なんか死にかけたのに!!」

真姫「それ逆に何やってたのよ…」

希「でもおかげで良い景色は見られたやろ?」

凛「それはそうだけど!!海未ちゃんなんて作詞も忘れて夢中で

海未「…なにか?」

凛「…なんでもないですにゃ」


絵里「ほらほら。雑談もその辺にしないと。時間がないってさっき話したでしょ?」

真姫「あ、ごめん。じゃあ始めるわね」

花陽「…よぉし」



ダンスじゃ失敗続きだったけど、歌は頑張らなきゃ。
せめて、みんなの足を引っ張らないように…。

穂乃果「ゆめーのとっびっらー…ずっとさーがしっつーづっけーたー…」

海未「きみとーぼくーとーのー…」

絵里「つながりをさーがぁーしぃーいてぇーえたぁー…」



何回か聞いたけど、やっぱり良い曲だなあ。
歌は全部真姫ちゃんが作って、歌詞は全部海未ちゃんが書いてるんだよね。
すごいなあ…。ほんとに高校生なのかな?



のぞうみりん「Yes! じぶんをーしーんーじーてっみんなをーしーんーじーてっ……」



…自分を、皆を信じて。



えりにこまき「……かがーやけー…まよいなーがらーたちーあーがーるーよー…」



迷いながらも、立ち上がる。


やっぱり海未ちゃんの書いた歌詞は元気が出ます。
海未ちゃんが書いたから、かもしれないけど…。
頑張ろうって思える。そんな力があるような気がする。



ことほのぱな「つかれーたとっきーにーぼくをーはげーまーすー…」


花陽「…」チラッ

海未「?」


花陽「…きみのーえがーおーはさーいこーう!!」

ことほの(は、花陽ちゃん?)


真姫「…ストップ。花陽、ハネすぎ。もう少し抑えて」

花陽「あっ…//」

とりあえず今日はここまで。やっぱり難しい。
明日から不定期で更新していきます。
見かけたら読んでやってください。では。

少し書いたので、日付が変わるまでには続きを投下します。
あまり進まないかも。

夜・小泉家


今日は散々だったなあ…。ううん、今日も、かなあ…。
ダンスもできない、歌もミスして、そのせいでみんなに迷惑かけて。
おかげでご飯がいつもより美味しく感じなかった…。
いや、美味しいんだけどね?



花陽「…気晴らしに何かテレビでも見ようかな」ポチッ


《…それでは正解を見てみましょう。こちらのVTRをご覧ください。…》

花陽「…興味ないや」ポチッ


《…容疑者は『超能力開発をしていた』などと意味不明な供述をしており…》

花陽「…イミワカンナイ」ポチッ


《ダンソンゴレライ♪ ダンソンゴレライ♪》

花陽「…………」ポチッ

チャンネルをポチポチ回すのって何て言うんだっけ?
ナントカいんうみたいな音だった気がする。えーっと、えーっと…
……スクランブル?スクランブルエッグ?
あ、明日の朝ごはんはスクランブルエッグにしてもらおうっと。
そう考えたらお腹が空いてきちゃった。今日はあんまり食べれてないからかなあ。
もう寝ようかな。ドラマか何かやってれば良かったんだけど…。


《……フンッ…フンッ……》

あ、ドラマやってた。
なんのドラマだろう…。野球モノ?
野球部っぽい人が誰もいない練習場で、1人でずっと素振りしてる…。


《おい!何やってんだ!もうとっくに練習時間は終わってるぞ!》

《す、すいません、監督っ!!》

うーん、やっぱり途中からじゃ話が分からないや。
野球もルールとかわかんないし。
せめて恋愛モノとかだったら…。



花陽「…切っちゃおう」プツッ

でも、居残り練習かあ…。まさに青春って感じがする。
しかもこの展開って、きっとこの人がキーマンになって試合に勝っちゃうんだよね。
努力は裏切らない!とかの理由で。
スポーツモノによくある王道の展開だよね。

…ほんとに、裏切らないのかな。
努力したらもっと出来るようになるのかな。



花陽「………………」

翌朝


花陽「いってきまーす」

花陽ママ「行ってらっしゃい。毎日頑張るわねえ」

花陽「うん。絶対に地区予選通過したいから」


花陽「あ、そうだ。今日は帰るのが少し遅くなると思うの」

花陽ママ「あら、凛ちゃんとラーメンにでも行くの?」

花陽「そういうわけじゃないんだけど…。夜ご飯は用意しておいてほしいな」

花陽ママ「…?まあ、わかったわ」

花陽「それじゃあ、いってきます」

練習後・部室


絵里「にこ、希。帰りましょ」

にこ「しょうがないわねー。このスーパーアイドルにこにーと帰れるなんてあり

希「じゃあ皆、戸締りよろしくー」

にこ「ちょっとぉ!?喋ってる途中!」

絵里「馬鹿なことやってないで、帰るわよ」

にこ「なーによもうー!!」ムッキー



凛「凛たちも帰ろー!」

真姫「そうね」

花陽(…ようし)


花陽「ご、ごめん2人とも!私ちょっと急いでるから先行くね!」ダッ

凛「え、ええっ!?」

花陽「また明日ー!!」ダダダ

凛「はやっ!?あっ、また明日ねー!!」



真姫「…何を急いでたのかしらね」

凛「凛もわかんない。真姫ちゃん、帰ろっか」

真姫「そうね。じゃあ、後は頼んだわ」

穂乃果「うん!バイバイ!」

ことり「また明日ね~」

海未「お疲れ様でした」

穂乃果「…さて、戸締まりもしたし穂乃果達も帰ろっか!」

ことり「うん!」

海未「あ、私は弓道部の方に少し顔を出していきますので、先に帰っていてくれますか?」


穂乃果「えー?そのくらい待ってるよ!」

ことり「んー、穂乃果ちゃん、帰ろう?」

穂乃果「でもぉー…」


ことり「帰りに、海未ちゃんに内緒でクレープ買っちゃお?」ボソッ

穂乃果「!!」

ことり「ことり、この前新しくできたお店に行ってみたいの」ヒソヒソ

穂乃果「!!!」


穂乃果「じゃ、じゃあ海未ちゃん!弓道部がんばってね!」

海未「…?ええ」

アルパカ小屋・裏手


花陽「………」コソッ

花陽「…そろそろ、みんな帰ったかな?」



みんなと同じ練習量じゃきっと花陽は足を引っ張るだけ。
なら、もっともっと練習しなくっちゃ。
みんなに知られたら、きっと付き合うとか手伝うって言ってくれるかもしれないけど、
それじゃまた迷惑をかけちゃうから。
つまり、秘密特訓です!
ん、なんだかカッコイイ…。
人がいなくて、音楽もかけられる所といったら…。

屋上


花陽「………」ソーッ



うん。ここしか無いよね。
下校時刻も過ぎてるし、もう誰も来ないはず。
見つかったら絶対怒られるけど…。



花陽「…さぶっ」プルッ



夏が終わって秋に向かってる季節の夜。
昼間よりやっぱり寒いけど、この位なら逆に涼しくて動きやすいかも?



花陽「ケータイから音楽かけて…。音を小さくすれば聞こえないよね?」



真姫ちゃんがくれた練習用の音源。
まだ仮歌だけど、単にリズムを取るだけよりは本番に近い練習で。
いつも通りやってたんじゃ、絶対みんなには追いつけないから。
よしっ、始めよう!

今日はここまでです。
個人的に、秋とか冬の夜に散歩するのが好きです。あの空気が好きです。
また少し書いたら投下しに来ます。
では。

ちまちま貼っていきます

花陽「よっ、ほっ、たっ、はっ…」



よし、ここまでは大丈夫。
これまでも何回も成功してた。
問題は…



花陽「うわっと!」ドテッ



やっぱり、ここが一番難しいなあ。
他はちゃんとできるのに。


~♪
『迷いながら 立ち上がるよ』


…でも、諦めない。
できるまで何度でも、自分を信じて!

花陽「わたたっ…」グラッ



あ、転ばなかった!
今までで一番良い、けど…まだまだ、こんなんじゃダメ。
もっと完璧に踊れるようになるまで。
もう一回!



花陽「よっ、ほっ、たっ、はっ…」



次!
集中して……



花陽「てぇいっ!」タンッ

花陽「!!」



やった!!できた!!
これでやっとみんなに追いつけた!
これで…



花陽「ってうひゃあっ!!」ドテッ



いてて…。
成功したのが嬉しくて気が抜けちゃった。
1人で練習してて良かったあー…。



パチパチパチパチ…



花陽「え!?」


海未「とてもよかったですよ。花陽」


花陽「う、海未ちゃん!?なんで!?いつからここに!?」

海未「少し前からです。ドアの隙間から様子を伺っていました」

海未「弓道場へ行く際に花陽が校舎に入っていくのが見えたので、もしかしたら…と思ったのですが」

海未「まさか本当に練習してるとは思いませんでしたよ」ハァ

花陽「ご、ごめんなさい!すぐ帰るね!」バッ


海未「…待ってください」

花陽「?」


海未「誰も帰れとは言ってませんよ」

花陽「え?」

海未「一番の問題点は克服したようですが、さっき転んでいましたよね?」

花陽「う、うん」


海未「…どうせなら、全部できるようになるまで練習しませんか?」

海未「…はい。お疲れ様でした」

花陽「ふぅ、ふぅ…」



成り行きで、海未ちゃんとのマンツーマンレッスンになっちゃった。
ルールに厳しい海未ちゃんが、まさか練習を許してくれるなんて…。

特別って感じがして、すごく嬉しい!
じゃなくて…
2回やり直しちゃったけど、やっとノーミスでクリアできた!
これで…これで…!!



海未「…時に、花陽」

花陽「え?なに?」


海未「あなたは、何のためにここまで練習に打ち込んでいるのですか?」

花陽「?」

いきなりどうしたんだろう?
何のためにって、あんまり言いたくはないけど…



花陽「…本番で踊る時に、みんなに迷惑をかけないためだよ」


海未「…だと思いました」

海未「もう1ついいですか?」

花陽「うん」


海未「私たちは、何のためにライブをするのですか?」

花陽「なにって、それは…」



海未ちゃん、どうしたんだろう?
そんなの答えは1つしか無いよ。
夏は成し遂げられなかった、私たちの目標。



花陽「ラブライブの最終予選に出場して、最終的には優勝するため…だよね?」


海未「…まあ、間違ってはいませんが」

海未「私たちは、μ'sとはどういう存在でしょうか」

海未「花陽が憧れ、目指していたものとは、なんだったでしょうか」

海未「そしてそれは、ただラブライブに出場するために活動するものだったでしょうか」


花陽「………あっ」



そうだ。私は、私たちは…。

海未「私たちは、スクールアイドルです」

海未「踊りを頑張るのも歌を頑張るのも、悪いとは言いません」

海未「むしろ褒められるべき行動です。花陽の練習に対する姿勢はとても素晴らしいと思います」

海未「ですが、その根底にある目的を忘れてはいけませんよ」

海未「私たちのやるべき事は、応援してくださる皆様を笑顔にすることです」

海未「そしてその姿勢がラブライブへの出場、そして優勝という結果に繋がるのだと思います」

海未「先ほどのダンス、険しい顔ばかりで可愛い顔が台無しでしたよ?」


花陽「あっ…」カァァ



確かに、笑顔を作る余裕なんて無かった気がする。
やっちゃった…。ダンサーじゃなくて、アイドルなのに。



花陽「も、もう一回!お願いします!」

海未「…いえ。今日はもう遅いので明日にしましょう」

花陽「えっ?…あっ!もう21時!?」

海未「警備の方に見つからないように、こっそり出ますよ」

花陽「う、うん」



もうそんな時間かと思うと、急にお腹が空いてきたよ…。
ずいぶん長い間練習してたんだなあ…。

帰路


花陽「ふう…。なんとかバレなかったね」

海未「もうこれっきりにしてくださいね?不法進入になるかもしれませんし」

花陽「うっ…。気をつけます…」


花陽「えーっと、じゃあ、また明日ね」

海未「…いえ」

花陽「?」

海未「夜道を1人では危険です。送って行きましょう」

花陽「ええっ!?でも海未ちゃんの家ってあっちじゃ…」

海未「お母様には帰りが遅くなると伝えてあるので大丈夫です」

花陽「じゃ、じゃあ…。お願いします…」



優しいなあ…。
海未ちゃんが隣に居てくれると安心するよ。
海未ちゃんと2人で帰るのも初めてかなあ?
あ、少し、ドキドキする…。

海未「………」スタスタ


花陽「………」テクテク



あ、あれ…?



海未「………」スタスタ


花陽「………」テクテク



ど、どうしよう…。
2人きりなのに、どういう話をすればいいのか分かんない…。
海未ちゃんも無言だし…。
えーっと、えーっと…。



グゥ~...



花陽「!!///」

海未「…おや」


花陽「き、聞こえた!?///」

海未「ええ。お腹に随分と大きな虫を飼っているんですね」クスクス

花陽「う、うぅ…///」



お、お腹の音聞かれちゃった…///
恥ずかしい…。早く家に着かないかなあ…。



海未「…まあ、それだけ練習にエネルギーを使ったということです」

海未「よく頑張りましたね。花陽」ニコッ

花陽「…!!」



褒められた…!
落として上げるなんて、そんなの反則だよぉ!
いや、海未ちゃんにそんな気は無いんだろうけど…。
でもやっぱりすごい恥ずかしい…

海未「…穂乃果も花陽を見習ってほしいものです」

花陽「え?穂乃果ちゃん?」

海未「きっとことりに誘われて何か甘いものを食べに行ったはずですから」

花陽「あ、海未ちゃんがいないから…」

海未「少しキツめのダイエットメニューでも考えてみましょうか」

花陽「…他人事に思えないや」





小泉家前


花陽「ありがとね。海未ちゃん。ここまで付いてきてもらっちゃって…」

海未「私が好きでやったのですから、気にしないでください」

花陽「じゃあ、また明日ね!おやすみなさい!」

海未「ええ。おやすみな


グゥ~...


海未「!!///」


花陽「へ?」



花陽のお腹の音…じゃないよね。絶対気づくし。
ということは…。



海未「……///」プルプル



あ、照れてる海未ちゃん可愛い。
そうだよね。もう夜中だし、海未ちゃんも夜ご飯食べてないだろうから…。

花陽「よ、よかったらご飯食べてく?」

海未「い、いえ!このくらい我慢できます!」

花陽「でも今日はお世話になったから、そのお礼もしたいし…」

花陽「あっ!そうだよ!こんな夜中に出歩くなんて危ないって、海未ちゃんさっき言ってたし!」

海未「わ、私は鍛えていますので…」

花陽「でも女の子だもん!危ないよ!」

花陽「ね?上がって?」

海未「うう…。で、ではお言葉に甘えて…」



海未ちゃんと2人でご飯食べるのも、ひょっとして初めて?
思わぬ収穫、ってやつかなあ。
ちゃんと踊れるようになったご褒美だったりして。ふふっ。

ここまでです。
この先もぼんやり考えてはいるんですけど、海未ちゃん視点も書かないと余計つまらんなと思いました。
この流れでぶっこむのは無理があるので、全部終わってからこのスレか新スレで海未ちゃん視点を書きます。
駄文ではありますがこの先も読んでくれたら嬉しいです。
では。

こんばんは。
読んでくれてる人達優しい。頑張ります。
とは言いますが、ここ最近忙しくて書き溜めが無いので、今日は書いて即貼り付けていきます。
では、どうかお付き合いください。

ガチャッ


花陽「ただいまー」

海未「お、お邪魔します…」

花陽ママ「ああ、おかえりなさい…って、あら?お友達?」

海未「そ、園田海未と申します。花陽さんと同じ、スクールアイドルのメンバーで…」

花陽ママ「ああ、あなたが海未さん!えーっと確か…PVでウサ耳付けてた子ね!」

海未「な、なぜそれを!?」

花陽ママ「ウチの子の初めてのPVよ?何回も見返したわ!可愛かったわねえ~」

海未「あ、ありがとうございます…///」



え?お母さん何回も見たの?
ちょっと恥ずかしいなあ…。

グゥ~…


海未「わあああっ!?///」

花陽ママ「あらあら、お腹空いてるの?」

花陽「私の居残り練習につき合わせちゃって…」

花陽ママ「あら、そうだったの。で、ウチで食べてくってことね?」

海未「は、はい…。急に押しかけて申し訳ありません…」


花陽ママ「大丈夫よ。お米は花陽用にちゃんと2合炊いてあるから」

花陽「お、お母さん!!///」

海未「…まさか、いつもはそれを花陽1人で?」

花陽ママ「育ち盛りって大変よねえ~…」

海未「いや、育ち盛りにしても、2合ってお茶碗約4杯分では…」

花陽「も、もうその話はいいからっ!!はやく用意してぇっ!///」

花陽ママ「はいはい。海未さん、座って待っててね」パタパタ

海未「あ、はい…」



お母さんったら、余計なこと言わなくていいのに!
それも海未ちゃんの前で!
しょうがないもん!お米美味しいんだもん!お腹空くんだもん!

リビング


海未「ごちそうさまでした」カチャッ

花陽ママ「はい、お粗末様でした。お口に合ったかしら?」

海未「はい。さすが花陽の家と言いますか、白米と豚の生姜焼きとの組み合わせが絶品でした」

花陽ママ「ふふっ。ありがと」


花陽ママ「特にお米は、炊き方を間違えると花陽に怒られちゃうからねえ」

花陽「お、お母さん!!///」モクモグ

海未「こら、花陽。口の中にものを入れながら喋らないでください。お行儀が悪いですよ」

花陽「ご、ごめんなさい」ゴクン

花陽ママ「海未さんはしっかりした子ねえ…」



花陽ママ「そういえば、着替えは持ってきてるの?」

花陽「へ?」


花陽ママ「見た感じ荷物ってカバンだけでしょ?あれに着替え一式入ってるの?」

花陽「え??」


花陽ママ「あら?お泊まりするんじゃなかったの?てっきりそうかと思ったんだけど…」

花陽「ええええっ!!?」



お、お泊まり!?
海未ちゃんが私の家に泊まるの!?
なんでそう思ってるのお母さん!?

花陽ママ「というか、こんな時間に外を出歩かせるわけにもいかなかいでしょう」

花陽「そ、それはそうだけど!」

花陽「なに、何かまずいことでもあるの?」

花陽「ない、けど…」

花陽ママ「じゃあ決まりね。お風呂沸かしてあるから、適当に入ってね?洗い物してきちゃうから」

海未「えっ、あっ、は、はい」



そ、そこまで考えてなかった…!!
いや、確かにそういう理由で引きとめたし、嬉しいんだけども!!
恥ずかしいような、なんというか!こう!

花陽「ごちそうさまー」カチャッ

花陽ママ「はいどうも。あ、海未さんの寝間着、花陽が貸してあげなさいね?」カチャカチャ

花陽「あ、そっか。持ってきてないんだった…」


花陽ママ「あ、海未さーん?洗濯物洗っちゃうから練習着とか出しといてくれるー?」

海未「い、いえ!そこまでお世話になるわけにも…」

花陽ママ「どうせ洗うんだから1人も2人も変わらないわよ。それに早く洗わないとシワになっちゃうし臭いでしょ?」

花陽ママ「朝までには乾くようにするから、洗濯物は全部出しておいてね」

海未「わ、わかりました…。何から何まですみません…」

花陽ママ「いいのいいの!花陽が凛ちゃん以外を連れてくるなんて珍しいんだから!」

海未「やはり、凛もよく来ているのですか?」

花陽ママ「ええ。小さい頃から何度も来るから、もう1人の娘みたいに思ってるわ」フフッ

海未「そうですか…」


花陽「海未ちゃん、先お風呂入ってていいよー?」

海未「あ、いえ、あの…」

花陽「もうお客さんなんだから遠慮しないで!後で着替え持ってくね?」

海未「…わかりました。お願いしますね」


花陽ママ「花陽は変なとこばっかり育ってるから、下着とか大丈夫かしら?」

花陽「や、やめてよ!///」

海未「あの…私にも刺さるので…」ペターン

花陽「えーっと…ど、どうしよっか…」

海未「今晩は今使っているもので良いです。明日の朝、私の家に寄って着替えればいいですし」

花陽「じゃ、じゃあ明日は少し早く出て海未ちゃんの家に行こっか」

海未「ええ。お願いします」


脱衣所


花陽「海未ちゃーん?着替え、ここに置いておくねー」

海未『ありがとうございます』シャワァァァ

花陽「………」



このドアを開けたら、海未ちゃんがいるんだよね…。
シャワー中の海未ちゃん…///

……って、何考えてるの!!これじゃ変態だよ!!
…でも、合宿の時に見た海未ちゃんの裸、綺麗だったなあ…///
いやいやいや!!ダメだよそんなこと考えちゃ!!



花陽「リ、リビングにいるから、上がったら教えてねっ!」

海未『はい。わかりました』シャワァァァ

花陽「///」タッ





リビング


海未「上がりましたよ。良いお湯でした」

花陽「そ、そっか。それじゃあ、えーっと…花陽の部屋でくつろいでる?」

海未「そうですね。案内してもらえますか?」

花陽「うん。こっちだよ」


花陽部屋


花陽「散らかってはないはずだけど…」

海未「大丈夫ですよ。花陽はいつも部屋を綺麗に保っているのですね。良い心がけです」

花陽「…もしかして、穂乃果ちゃんと比べてる?」

海未「穂乃果の部屋もせめて常に物が片付いていればいいな、と」

花陽「ひどいよ海未ちゃん」クスクス


花陽「じゃあ、花陽も入ってくるね」

海未「ええ。ごゆっくり」





風呂場


花陽「ふう…」カポーン



なんとか、問題なく今日が終わりそうでよかった…。
突然のお泊りだけど、あとはもう寝るだけ……
って、あれ?
寝るって、もしかして…


花陽部屋


花陽「ふうー…。あがったよー」ガチャッ

海未「お帰りなさい。日付も変わりましたし、髪が乾いたらもう寝ましょうか」

花陽「えっ、もうそんな時間…」



海未ちゃんって確か日付が変わる前には寝てるんだよね?
きっと今すごい眠いんだろうなあ。
それを考えるともう寝てもらいたいけど、なんというか名残惜しいや…。
どうせならもっとお話したいなあ。
せっかくのお泊まりだもん。



海未「………」

花陽「………」



ああ、まただ。2人とも黙っちゃう。
このまま寝るなんてもったいないよ。
おやすみの時間も迫ってきてるし、何か話題無いかな、えーっと、えーっと…
お泊まりだから…



花陽「う、海未ちゃんって、好きな人とかいる?」

海未「はいっ!?」


花陽「……あ」


花陽「わわわっ!!待って待って!!今のナシ!!ナシでっ!!」


ど、どどどうしよう!?
いくらお泊まりの定番とはいってもダメだよこの質問は!!色々と!!
海未ちゃんすごい困惑してるじゃん!!



海未「れ、恋愛ですか…。私には、まだ早いかと…」

海未「と、というか何故突然その話題を振るのですか?」

花陽「ふぇ!?あ、いや!!深い意味は無いの!!ただ、お泊まりの定番だから!!」

海未「そ、そういうものなのですか…。穂乃果やことり達とはそういった話はしないので…」

花陽「そ、そうなんだ…。花陽も凛ちゃんとそんな話はしないけど…」


花陽「………」

海未「………」


花陽「も、もう寝よっか!」

海未「そ、そうですね!」


花陽「で、どこで寝るかなんだけど…」


花陽「花陽のベッドしかないね…」

海未「そうですね…」

花陽「2人じゃちょっと狭いかもだけど…」

海未「わ、私は構いませんので」

花陽「じゃ、じゃあ2人で寝よっか。花陽は、向こう向いて寝るから」


花陽「じゃあ、おやすみなさい」

海未「おやすみなさい」





やっぱりこうなるよね…。
海未ちゃんと一緒のベッドだなんて、凛ちゃんと寝るのと気持ちが全然違うよ…。
そっぽ向いてても、海未ちゃんがいるってだけで違う…。緊張…
……しない…落ち着く……。
もう、眠れちゃいそう………

かよちんが寝たので僕も寝ます。やっとこさ50レス。
海未ちゃんそこ変われって自分で思いました。
では。

お待たせしております。
明日の夜また投下するつもりでいるので、もう少々お待ちください。

こんばんは。
キリのいいところまで、短いかもしれませんが落としていきます。


翌朝


花陽「ふあーあ………っ!?」


海未「スー……スー……」



海未ちゃんがいる!!なんで!?
…って、お泊まりしたんだったね。

海未ちゃんの寝顔、可愛い…。



花陽「……」ツンツン


海未「むぅ……スー……スー……」



可愛い!!
も、もっとやっても…!

…いや、やめといたほうがいいかな。
最初の合宿で、海未ちゃんを無理に起こしたらどうなるか学ん



海未「………」パチッ

花陽「」


起こしちゃった…。
…あの時みたいに、音速まくら投げの刑かなあ。
ごめんなさいお母さん。花陽はここまでみたいです…。



海未「……おはよう、ございます…」


花陽「え?あ、お、おはよ!」



た、助かったあ…。
自然に起きただけみたい。



海未「私より早く起きているとは…。花陽は早起きなんですね…」

花陽「あ、違うの。今日はたまたま…」

海未「そうですか…。少し、顔を洗ってきますね…」

花陽「あ、うん。洗面所はお風呂と同じとこだから」

海未「わかりました…」テクテク



海未ちゃん、意外と朝は弱いのかなあ?
すごくぼーっとしてたけど…。


玄関


海未「何から何まで、ありがとうございました」

花陽ママ「いいのよ気にしなくて。また来てね?」

海未「はい。また近いうちに」


花陽ママ「じゃあ、行ってらっしゃい。練習頑張ってね」

花陽「いってきまーす」

海未「お世話になりました。行って来ます」





園田家前


海未「では、すぐに着替えてくるので少し待っていてください」ガララッ

花陽「うん。わかった」



結局ここに来るまでも特に弾む会話が無かったなあ。
まあ、私たちは凛ちゃんとか穂乃果ちゃんに引っ張られるタイプだもんね。
話を広げられるように努力しなきゃ…。



「あれー?花陽ちゃん?」


花陽「えっ?」


穂乃果「おっはよー!」

ことり「おはよ~」

花陽「あ、おはよ!2人とも!」


穂乃果「なんで花陽ちゃんが海未ちゃん家の前にいるの?」

花陽「えーっとね、まあ、いろいろあって…」

ことり「海未ちゃんを待ってるの?」

花陽「うん。昨日急にウチに泊まる事になって、今海未ちゃんが少し着替えてるの」

穂乃果「え!?海未ちゃん、花陽ちゃん家に泊まったのー!?ずるいー!!穂乃果もお泊りしたいー!!」

花陽「あはは…。穂乃果ちゃんも、また今度ね?」

穂乃果「うん!約束!絶対だよ!」



穂乃果ちゃんは朝から元気だなあ。
そうだ、いつも一緒にいるこの2人なら…。


花陽「ね、ねえ。2人とも」

穂乃果「んー?」

花陽「2人は海未ちゃんといつもどんな話してるの?」

穂乃果「どんなって…うーん…」

ことり「宿題はやったのですかーとか、起きるのが遅いですーとか?」

ことり「ほとんど穂乃果ちゃんのお説教だよね」

花陽「そ、そうなんだ…」

穂乃果「そ、そんなことないよ!」アセアセ


参考にはならないかなあ…。
怒られるより、褒められたいや。
昨日、海未ちゃんに褒められたんだっけなあ…。むふふ…。



海未「お待たせしました…おや。穂乃果、ことり」ガララッ

花陽「!」

ことり「あっ、海未ちゃん!」


穂乃果「海未ちゃん!待ち合わせ場所に来ないなら連絡してよー!電話にも出ないしー!」

海未「電話…?電話なんて…あっ、すみません。携帯の電源を切っていたんでした」

穂乃果「もうっ!」プンプン



あれ?立場が逆転してる?
穂乃果ちゃんが海未ちゃんを怒るなんて…。
ちょっと珍しい光景かも。



海未「…それはそうと、穂乃果」

穂乃果「?」


海未「昨日はことりと甘いものを食べに行きませんでしたか?」

ことり「!?」ビクッ

穂乃果「え、ええ~?穂乃果は知らないなあ~…」

海未「…制服の袖のところにクリームが付いていますよ」

穂乃果「えええっ!?うそっ!?」バッ

海未「嘘です。やはり食べに行ったのですね」

穂乃果「い、いやあ~……」ダラダラ

海未「練習量を増やされたいのですか?」キッ


穂乃果「ご、ごめんなさーいっ!!」ダッ

海未「あ、待ちなさい穂乃果!!まだお説教が終わってません!!」ダッ

穂乃果「助けてことりちゃーーーん!!」


ことり「…まあ、こんな感じだよ」アハハ

花陽「あはは…。いつも通りだね…」



穂乃果ちゃんが海未ちゃんに勝てる日なんて来るのかなあ…。
来ないだろうなあ…。


昼間・屋上


海未「ワン、ツー、スリー、フォー…」パンパン

花陽「はっ、ほっ、たっ、やっ…」

海未「みなさん、その調子です!」



よし!出来てる!昨日の練習が身についてる!
もうすぐあそこだけど、これなら…!
いけるっ!



花陽「たあっ!」タンッ


海未「もうダンスは完璧ですね。お疲れ様でした」

凛「かーよちーーんっ!」ダキッ

花陽「わあっ!?凛ちゃん!?」

凛「やっぱり凛の言う通りだったでしょ!かよちんならできるって!」

花陽「うん!ありがと、凛ちゃん!」

凛「へへへ~」


海未「本当に、よく頑張りましたね。花陽」

花陽「ううん、海未ちゃんのおかげだよ。頑張ろうって思えたのも、頑張れたのも…」

凛「えっ?2人で何かしてたの?」

花陽「あっ、な、なんでもないよっ!」

凛「? まあかよちんが踊りきれたし、凛も鼻が高いにゃ!」

海未「凛が誇る事ではないでしょう。頑張ったのは花陽なのですから」

凛「そんなことわかってるよー。海未ちゃんお堅いにゃー。カタブツだにゃー」

海未「なっ…!凛!」

凛「わあっ!にっげろーーー!」ピューッ

海未「待ちなさい!!」ダッ



海未ちゃんは忙しいなあ。
みんなのお説教役?もあるし、練習の監督をして、メニューも考えて、作詞もして…。
そんな海未ちゃんだからきっと好きになったんだよね。
花陽も、海未ちゃんみたいに強くなれたら…。

…よし、決めた。
今度のライブが終わったら…。

今日はここまでです。
海未ちゃん編も少しずつ考え出してる今日この頃。
次の投下は日曜の夜になるかと思います。
では。

こんばんは。
今日は書き溜めを投下するだけです。
この前は切るところを間違えたなあとか思いましたが、気にせず貼っていきます。


数日後


夜・花陽部屋


花陽「これで、いいかな…」ドキドキ


『昨日はライブおつかれさま!楽しかったね!
本番でミスしなくてよかったよ~。

でね、花陽がちゃんと踊れたのも、きっと海未ちゃんのおかげだと思うの。
だから、そのお礼も兼ねて今度の日曜に2人で遊びに行かない?』


花陽「送信…っと」ポチッ



ああ、送っちゃった。
昨日のライブと同じくらい緊張したなんて、ちょっと不真面目かな?
都合が合うといいなあ。
合ったら、その日に、絶対…!


30分後


花陽「………」ソワソワ



まだかな。まだかな。
メールを送ってからずっとケータイを気にしちゃって、雑誌を読むにも集中できなくて。
もどかしいよ…。早く返信来ないかな。


ヒーイタリーミチターリー♪


花陽「!!!」バッ



やっときた!もう、待ちくたびれたよ海未ちゃんっ!
それで、それで、お返事は…。


『ええ、構いませんよ。
お昼からでいいですか?
朝は稽古があるので…』


花陽「…!」パアァ



やった!やった!海未ちゃんとデート!
1日中一緒にいれないのはちょっと残念だけど!
日曜が楽しみ!ああ、早く日曜にならないかなあ!
あっ、待ち合わせとか決めなきゃ!



花陽「~~~♪」ポチポチ


日曜日

昼・駅前


花陽「あっ、海未ちゃーん!」タッタッ

海未「おや、早いですね。まだ集合20分前ですよ?」

花陽「それを言うなら海未ちゃんだって!いつから待ってたの?」

海未「10分ほど前に着いたばかりですよ」



えっ、もしかして花陽が時間通りに来たら30分も待たせることになったんじゃあ…。
早めに来てよかったあ…。ほんとは10分も待たせたくなかったけど。
30分も前に来てくれるなんて、海未ちゃんも今日を楽しみにしてくれてたり…?



海未「朝稽古がいつもより早く切り上げられたので…」



…現実はそこまで甘くなかったみたい。
でもめげません。少なくとも、今日が終わるまでは。


花陽「じゃあ、どこ行こっか?海未ちゃんはどこか行きたいところとかある?」

海未「…実は一か所あるのですが、そこは後回しにします」

花陽「えっ?」

海未「その方が都合がいいんです」


海未「花陽は、どこか行きたいところはありますか?」

花陽「むー…。今日は一応海未ちゃんへのお礼も兼ねてるんだけど…」

海未「…でしたら、アイドルショップへ連れて行ってくれませんか?」

花陽「え?どうして?」

海未「今、スクールアイドルでもプロのアイドルでも、どのようなアイドルが注目されているのか、参考にしたいので…」

海未「花陽なら、そういったことには詳しいでしょう?」

花陽「…うん!海未ちゃんがそう言うなら!花陽の持ってる情報を全部伝授しちゃうね!」

海未「ええ、お願いします」クスッ

花陽「あ、そしたらこの前にこちゃんに教えてもらったお店があるの!最近できたばっかりなんだけど、結構広くてラインナップも豊富なんだって!花陽もまだ行ったことは無いんだけど…」

海未「では、そこに行きましょうか」

花陽「うん!」


アイドルショップ


花陽「…でね、プロで最近注目されてるのはこのグループでね」

海未「ああ、このグループなら私も知っています。音楽番組などで最近よく見かけますね」

花陽「そうなの!この人たちはルックスも良いけどなにより曲が評価されててね、スクールアイドルみたいに作詞作曲、振り付けまで自分たちでやっちゃうの!」

海未「それはすごいですね…。こう言っては失礼かもしれませんが、ただの歌手や音楽プロデューサーとして活動しても売れるのではないですか?」



よし、食いついてくれてる!
楽しんでくれてるのかな?思いっきり花陽の趣味の話になってるけど。
これで海未ちゃんもアイドルにもっと興味を持ってもらえたらいいなあ。
頑張らなくちゃ。



花陽「うん。きっと売れるかもしれないけど、きっと本人たちがアイドルであることにこだわりが……ってあぁーーーーーっ!!!」

海未「わっ、は、花陽?」ビクッ


花陽「こ、こここれは、これはあああぁぁぁ…」ワナワナ

海未「あ、部室にも置いてある…」

花陽「伝伝伝っ!!!まさかこの店にも置いてあるなんてぇ…」パァァ

花陽「お、お値段は…」チラッ

花陽「………はあ…そうですよね…」ズーン

海未「そ、そろそろ出ましょうか?」

花陽「うん…。ああ、伝伝伝が遠ざかってくぅ…」



まさかこんなところで伝伝伝にお目にかかれるなんて…。
いつか海未ちゃんと観てみたいなあ…。
にこちゃんに頼めば貸してくれるかな…。


道中


海未「そろそろ良い時間ですかね…」

花陽「あ、最初に言ってた行ってみたいところ?」

海未「はい。少し電車で移動することになりますがいいですか?」

花陽「うん!お母さんには遅くなるかもって言ってあるから!」

海未「では、行きましょうか」


某所


海未「着きました。ここです」

花陽「水族館…?海未ちゃん、魚とか好きだっけ?」

海未「特別好きというわけではないのですが、この時間は『夜の水族館』というイベントがあるそうです」

花陽「へえー…」

海未「楽しいかと思ったのですが、大丈夫ですか?」

花陽「うん!なんだか、ワクワクするね!」

海未「では、入りましょうか」



海未ちゃん、ちゃんと下調べしてくれたのかな?
水族館ってあんまり来ないから楽しみ!
夜の水族館ってどういう感じなんだろう?


館内


花陽「わあ…」

海未「これは…綺麗ですね」



館内は照明が暗くしてある分、水槽が強く光って見えます。
周りがカップルばかりなのもあってか、昼間に来る水族館よりも静かで、幻想的な空間…。

その雰囲気を味わいながら歩いていくと、小さな水槽がいくつか展示されているエリアに着きました。



花陽「わあ…。いろんな色の水槽があるね」

海未「はい…。小型の魚のスペースでしょうか」



赤や紫や黄色、色とりどりの水槽の中に、クラゲとか…えっと…
名前は知らないけれど小さくて可愛い魚たちが泳いでます。


花陽「あ、この魚は知ってるよ」

海未「クマノミ、ですね。私も、昔やっていた映画で知りました」

花陽「うん、花陽も。子どものクマノミが頑張る話だったよね」

海未「いえ、タイトルはそのようなストーリーを連想させますが、メインはその父親の話だったと思います」

花陽「…あれぇ?」


花陽「…あ、そうだったかも。よく覚えてるね」

海未「子どものころ、あの作品に惹かれて魚に興味を持った時期もありましたからね」

花陽「そういえば花陽の周りも、魚博士になりきってる子が何人かいたなあ」

海未「では、昔のなりきり魚博士から雑学を1つ」

花陽「え、なになに?」

海未「この水槽にも展示されていますが、クマノミがよく住処にしているこれは何か、知っていますね?」



見ると、鮮やかな色の水槽に、うねうねとうねるあの植物が。
…あ、いろんな色があって綺麗。


花陽「イソギンチャク、だよね?」

海未「ええ。触手の先には毒を持っていて、クマノミ以外の魚が住もうとするとその毒にやられてしまいます」

花陽「すごいよね、植物なのに、クラゲみたい」


海未「やはり、間違えていましたね」クスッ

花陽「え?」

海未「海藻と同じかと思うかもしれませんが、イソギンチャクはれっきとした動物です。餌を食べますし、移動も繁殖もするんですよ」

花陽「えええ!?そうなの!?」

海未「はい。ちゃんと口や吸盤のような器官を持っています。先ほど言っていた毒にやられた魚は、イソギンチャクに食べられてしまうんです」

花陽「し、知らなかった…」



ずっと植物だと思ってた…。
これは大発見だね。
帰ったらお母さんに教えてあげようっと。


海未「さて、イソギンチャクが動物であることがわかったところでもう1つ」

花陽「今度はなに?」ワクワク

海未「イソギンチャクの英名を知っていますか?」

花陽「英名…?うーん…」


花陽「…Sea Kintyaku?」

海未「…クスッ」

花陽「わ、笑わないでよぉ!// わかんないんだもん!」

海未「ふふっ、失礼しました。では正解発表です」


海未「正解はSea Anemoneです」

花陽「アネモネ…?」


海未「春に咲く花のことです。つまり直訳すると、海の花となります」

花陽「なるほど…。イソギンチャクの触手を、花にたとえたんだね」

海未「ええ。恐らくそうでしょう」

海未「動物であるのに『花』とは…と、子どものころにこれを知った時、なにか自分が賢くなったような気がしました」

花陽「確かに…。ちょっとおかしいね」クスッ



海未ちゃんの授業を楽しんだ後も、夜の水族館をいろいろ回りました。
お土産屋さんでちょうどクマノミのキーホルダーがあったから、
お揃いを買おうって提案したらオッケーをもらえて、それだけで幸せな気持ちになりました。

そして、また電車に揺られてアキバまで帰ってきて、今2人で帰り道を歩いています。
つまり、その時が近づいてきてるということです。
花陽の、今日1番の大きな目的。


短いですがここまでです。次でラストかも。
Sea Anemonw=うみぱなってだけでスレタイを決めてました。
話をねじ込めてよかった。
では。

帰路


海未「今日はありがとうございました」

花陽「ううん、こちらこそ!」

海未「たまには、2人で遊ぶのもいいですね」

花陽「…うん!」



たまには、かあ…。
やっぱり望みは薄いかもしれない。
でも、悩むのも今日で終わりだもんね。
あとは、どう転ぶかが問題。



花陽「あ、公園のベンチがあるね。ちょっと休んでいかない?」

海未「えっ?まあ、いいですが…」

花陽「ふう…」トスッ

海未「疲れたのですか?でしたら早めに帰って寝たほうが…」

花陽「…ううん。もう少し、ここにいさせて」



勇気が出るまで、もう少し待って。



海未「…?はあ」トスッ





海未「どうしたんですか?もしや体調が悪いのでは?」

花陽「ううん。体は大丈夫だから。心配しないで?」

海未「それならいいのですが…」


花陽「…今日はほんとに楽しかったね」

海未「ええ。アイドルショップに水族館。どちらも普段行かない所だったので、とても有意義な休日でした」

花陽「また、行こうね?」

海未「はい、勿論です」ニコッ



ほんとに、また行ってくれるのかな?
顔を合わせるのも気まずくなっちゃうかもしれないのに。

花陽「………」

海未「………」


うみぱな「「…あの」」

うみぱな「「あっ…」」


花陽「う、海未ちゃんからでいいよ」

海未「い、いえ。花陽からどうぞ」

花陽「いやいや、そこは海未ちゃんから!」

海未「いえいえ、是非とも花陽から!」


うみぱな「「…ふふっ」」クスクス



緊張、ほぐれてきたかも。
今なら、言える…?



花陽「…じゃあ、花陽から、いい?」

海未「はい。どうぞ」

花陽「…あのね」


花陽「……っ」グッ

海未「………花陽?」



もう喉まで言葉が出かかってるのに、その先が言えない。
あと少しなのに。
どうしても不安になっちゃう。



海未「……?」



ダメ。こんなとこでつまづいちゃダメ。
せっかくここまできたのに。

…そうだよ。失敗したらなんて考えてちゃダメ!
迷ってでも立ち上がるの!!
どうせ1回きりだから、後悔しないように!!



花陽「……っ!」スクッ


花陽「海未ちゃんっ!!」

海未「は、はいっ!?」ビクッ


花陽「私は、あなたの事が好きです!!どうか私と、付き合ってください!!」ガバッ

い、言っちゃった…!!
海未ちゃんが好きって、目を見ては言えなかったけど!!
言っちゃった!!



花陽「……っ」ドキドキ

海未「…………」


海未「……顔をあげてください、花陽」

花陽「は、はいっ!」スッ


花陽「…あっ」



返事、聞く前に分かっちゃったかも。



海未「…………」



海未ちゃん、すごい悲しそうな顔。

海未「…花陽。あなたがそんな気持ちを私に抱いてくれることは本当に嬉しいです」

花陽「…」

海未「今まで手紙をもらったことは何度かありましたが、今回ほど嬉しかったことはありませんでした」

海未「ですが、私はこう思うのです」


海未「その気持ちは、勘違いではありませんか?」

花陽「…えっ?」

海未「自分でいうのも変ですが、憧れや尊敬。そういった気持ちを恋心と誤認してしまってはいませんか?」

花陽「ち、違うよ。花陽は…」

海未「そもそも、女性同士でそういった感情が芽生えることはほとんどありえませんから。きっと私の言った通りのはずです」

海未「…突き放すようで悪いですが、これで失礼します。今日はありがとうございました」

花陽「ま、待って!まだ、話は…」

海未「今夜はじっくり考えてみてください。おのずと答えは出るはずですよ

海未「…では」

花陽「う、海未ちゃんっ、海未ちゃぁんっ!!」


花陽「……うううっ…」ポロッ

花陽「ああっ……うああぁあっ……」ポロポロ



花陽は、振られちゃいました。

ラストといったな?あれは嘘だ。
もう少しお付き合いください。

明日、昼から夕方にかけて投下予定です

翌朝・花陽部屋


花陽「………んぅ」ムクッ

花陽「……まだ4時半…」



昨日、あれから何してたんだっけ…。
…帰ってきて、ご飯も食べずに寝ちゃったのかな。
あんまり覚えてない…。



花陽「…シャワー浴びよう」



朝練、行きたくないなあ…。
ごめんなさい。学校には行くから。



花陽「…っ」ポロッ

教室


花陽「…」ガララッ

凛「あ、かよちん来た!」

真姫「どうしたのよ。連絡もなしに朝練を休むなんて」

花陽「…ごめんね」

凛「かよちん、体調悪いの?大丈夫?」

花陽「…大丈夫だよ。心配してくれてありがと」ニコッ

真姫「まあ無理はしないことね。なんなら放課後練も休めば?」

花陽「うん…。そうしようかな」



みんなの優しさが痛い。
花陽が勝手に暴走して勝手に自滅しただけなのに。
弱いところなんて見せたら、きっともっと心配かけちゃうだろうから、表面だけでも取り繕っておかなきゃ。

…海未ちゃんはちゃんと来てるのかな。
まあ、来ない理由が無いよね。
しばらく練習行けなくなっちゃったなあ…。

夜・花陽部屋


『かよちん、本当に大丈夫?
みんな心配してたよ。
無理しないで、ご飯食べて、今日はもう寝るにゃ!>ω<
明日は頑張ろうね!』


花陽「凛ちゃん…」



そのみんなの中に、海未ちゃんは入ってるのかな。
入ってたら嬉しいなあ…。

…あの時の海未ちゃんの言葉。
あれは、海未ちゃんなりの優しい振り方だったのかな。
でも、勘違いなんかじゃないことは花陽が一番よくわかってるもん。
もう一回、海未ちゃんと合ってお話ししてみようかな…。



花陽「………」


『凛ちゃん、心配かけてごめんね。
私は大丈夫だよ。

明日も練習行けないかもしれないから、みんなにも伝えておいてくれる?』



ごめんね。
もう、前みたいに勇気を出すことができないの。

翌日

放課後・1年生教室


花陽「はあ…」



凛ちゃんと真姫ちゃんに心配されながら過ごす一日はほんとに辛かった。
早く立ち直らなきゃいけないのに、一歩も動けないでいるの。

これじゃ、前みたいな臆病でどんくさい花陽と一緒だよ。
少しは変われたと思ったのに。
誰か、誰か…。



ガララッ


ことり「失礼しまーす…あ、花陽ちゃん!」

花陽「ことり…ちゃん?」

凛「あれ?ことりちゃんどうしたの?」

ことり「ちょっと花陽ちゃんに用があるんだけど、いい?」

真姫「でも、花陽は体調が悪くて…」

ことり「だからことりが来たんだよ♪」

花陽「…えっ?」

ことり「ことりは全部分かってるから!」



もしかして、海未ちゃん…。
話しちゃったの?



真姫「いや、話が全く見えないんだけど…。まさか、保健委員だからとか言わないわよね?」

ことり「もっちろん!ちゃんとした理由はあるよ!」


ことり「それで花陽ちゃん、どうかなあ?」

花陽「…うん。わかった」

ことり「やった!じゃあ、ことりの家に行こっか♪」

花陽「え?」

凛「えっ、練習は?」

ことり「絵里ちゃんには話してあるから!今日の練習はお休みします!」

真姫「はぁ?なによそれ」

ことり「じゃあね!また明日ー♪」グイッ

花陽「わわっ!引っ張らないでよぉ!」


まきりん「「………」」ボーゼン

まきりん「「意味わかんない…」」

南家・ことり部屋


ことり「ささっ、入って入って~」

花陽「お、お邪魔します…」

ことり「飲み物とか持ってくるから、ちょっと待っててね!」

花陽「あ、うん!お構いなく!」



ここがことりちゃんの部屋…。
どうして、ここに連れてこられたんだろう。
慰めるため?振られちゃったのはしょうがないよって?



ことり「お待たせ~…って、どうしたの?そんなに暗い顔して…」

花陽「…ううん、なんでもないよ」

ことり「さてさて、えーっと…」

ことり「もうなんとなく分かってるとは思うけど…ことり、この前の日曜のこと、全部聞いちゃったの。ごめんね」

花陽「ううん、別にいいよ」

ことり「うん、それでね、えっと、なにから話そうかな…」


ことり「…こういうこと、あんまり他の人の口から言っちゃいけないと思うんだけどね」

花陽「?」


ことり「本当は、ウソなの」

ことり「海未ちゃん、本当は花陽ちゃんのこと、すっごく大好きなの」

花陽「…え?」

こんがらがりそうになった頭を、必死に整理する。
ウソ?何が?あの日のお返事が?それとも、あの日が全部?
大好き?でも、恋愛的な好きなら、どうしてあんな返事を…。



花陽「…その大好きって、どういう大好き?」

ことり「もちろん、一人の女の子として、花陽ちゃんが好きってことだよ」

花陽「それなら、なんで海未ちゃんは…」

ことり「花陽ちゃんを振ったのか、っていう話だよね?」

花陽「…うん」

ことり「…正直ね、ことりも海未ちゃんの考えてることはよく分かんないの」

ことり「恋は盲目ってよく言うから、きっとそういうことなんだって思うことにしたんだけど…」

ことり「確か海未ちゃんは、もっと良い人がいるって言ったんだよね」

花陽「うん。それは勘違いだから、考え直してって…」

ことり「一応聞いてみるけど、勘違いじゃないんだよね?」

花陽「そんなわけないよっ!!」

ことり「わっ…」

花陽「あっ…。ご、ごめんなさい…」

ことり「う、ううん。ことりもちょっと意地悪な質問しちゃった。ごめんね」

ことり「えーっと、話を戻すと、海未ちゃんはほんとに花陽ちゃんには別の人が良いって思ってるの」

ことり「誰だかわかる?」

花陽「…もしかして、凛ちゃん?」

ことり「うん。凛ちゃんは花陽ちゃんと一番仲がいいから、嫉妬しちゃったのかも」

花陽「あの海未ちゃんが、嫉妬…」


ことり「あの海未ちゃん、かあ…」

花陽「?」

ことり「花陽ちゃんから見て、海未ちゃんってどんな人?」

花陽「え?えーっと、いつもきっちりしてて、大和撫子で、花陽とは違って非の打ちどころが無くて…」

ことり「うん。間違っては無いけど、ちょっと勘違いしてるところがあるかなあ」

花陽「勘違い?」

ことり「海未ちゃんだって一人の女の子だから、そこまで完璧ってわけじゃないの」

花陽「え?」

ことり「照れ屋さんだし、実はすっごく負けず嫌いだし、結構あたふたすることもあるし」

ことり「子どものころは、ことりや穂乃果ちゃんに話しかけることもできなかったんだよ?」

花陽「そうなんだ…。今の海未ちゃんからは、考えられないよ」

ことり「たぶん、花陽ちゃんの前では常にきちんとしたところを見せようとしてたんじゃないかなあ」

ことり「それだけ花陽ちゃんのことを真剣に考えてたんだけど、考えすぎちゃって疲れちゃったのかも」

ことり「告白されたんだしオッケーしちゃえば良かったのに…」

花陽「…」

ことり「あっ、ごめんね。ことりが一人で話しすぎちゃったね」

花陽「ううん、大丈夫だよ」


花陽「あの…海未ちゃん、一昨日からどんな感じなの?いつも通り?」

ことり「うーん…。いつも通り振る舞おうとしてる、って感じかなあ」

ことり「ぼーっとしてる時が多いし、きっと心の中は罪悪感でいっぱいなんだと思うよ」

ことり「花陽ちゃんに酷いことした、って日曜の夜に泣きながら電話かけてきたぐらいだもん」

花陽「…そうなんだ」

ことり「…もう答えは決まってると思うけど、花陽ちゃんは、どうしたい?」

花陽「花陽は……」



勇気、出さなきゃ。
このまま二人とも辛い思いをしてるなんて嫌だよ。
こんなところで、終わりたくない!



花陽「海未ちゃんに会って、もう一回告白したい!花陽の気持ちを、伝えたい!」

ことり「うんうんっ!よく言えましたっ♪」

花陽「そうと決まれば学校に戻ります!きっとまだみんな練習してるはずだから!」

ことり「あ、ちょっと待って花陽ちゃん」

花陽「へ?」

ことり「海未ちゃんのほうの準備ができたら、向こうから連絡することになってるの!」

ことり「だから、それまではことりの家にいてほしいなあ」

花陽「そ、そうなんだ…」

花陽「あ、じゃあその間に、海未ちゃんのお話もっと聞かせてもらってもいい?」

ことり「うん!じゃあ、海未ちゃんのあんなところやこんなところまで教えちゃいます♪」

1時間経過


ことり「それでね、その時海未ちゃんが~…」

花陽「へえええ…。そんな一面も…」





2時間経過


花陽「…そろそろ練習が終わる頃だね」

ことり「うん…」





3時間経過


花陽「………」

ことり「穂乃果ちゃぁん…」



キミヨサーイテッアツイキーボウノハテ♪


花陽「!!」

ことり「きた!!」

花陽「それで、海未ちゃんはなんて?」

ことり「えーっと、あの公園に来てくださいって書いてある…あの公園?」

花陽「…!」

花陽「ことりちゃん、行きましょう!」

ことり「えっ!?う、うん!」

終わりが近いのにすごいだれてきた気がする…。
一週間以内にまた来ます。きっとそれがほんとのラスト。
では。

公園入口


花陽「きっと、ここに…」


穂乃果「あっ、花陽ちゃん、ことりちゃん!」

ことり「穂乃果ちゃん!」

穂乃果「遅くなっちゃってごめんね?」エヘヘ

花陽「穂乃果ちゃんも協力してくれてたんだ…。ありがとう、花陽のために…」

穂乃果「いいのいいの!困った時はお互い様だよっ!」

穂乃果「あ、海未ちゃんならベンチのとこにいるから!花陽ちゃん、ファイトだよっ!」

花陽「…うんっ!」

ベンチ前


海未「…」


花陽「…海未ちゃん?」

海未「…!」

花陽「えーっと…こんばんは?」

海未「…こんばんは」

花陽「一日会ってなかっただけなのに、なんだか久しぶりって感じがするよ」

海未「…そうですね」

花陽「………」

海未「………」



この、会話が続かない感じも久しぶりかも。
でももう前の花陽とは違うんだよ、海未ちゃん。
まだまだ話したいこと、いっぱいあるんだもん。



うみぱな「…あの」

うみぱな「あっ…」


海未「…ふふっ」

海未「この前と同じ、ですね」クスクス

花陽「…!」

花陽「海未ちゃんが笑った!」

海未「はい?」

花陽「花陽がここに来てから、ずっと真顔で怖かったんだよ?」

海未「おや、そうだったでしょうか…。それは失礼しました」

うみぱな「…ふふふっ」



こうして笑いあえてるだけでも嬉しいよ。
昼間までの気分がウソみたい。
やっぱり、海未ちゃんは笑顔じゃなきゃ。



海未「…今度は、私から言ってもいいですか?」

花陽「うん」

海未「…まず、先日はすみませんでした。自分でも相当酷い事を言ったと思います」

花陽「…ううん、海未ちゃんだって、辛かったんだよね」

海未「…はい?」

花陽「ことりちゃんから聞いたの。あの後のこととか、昨日の海未ちゃんの様子とか」

海未「んなぁっ…!?」



海未ちゃん、すごい顔。
これがことりちゃんの言ってた、海未ちゃんの顔芸…。
うん、こっちも好きだけどいつものほうが好きだなあ。



花陽「あっ、ことりちゃんを怒らないでね?花陽が聞いて答えてくれただけなの」

海未「なんとも言い難い気分です…」

花陽「これでおあいこじゃ、ダメかなあ?」

海未「花陽がそれで良いのなら…」

花陽「じゃあ、この話はおしまいっ!」


海未「…ありがとうございます。では、次にいっていいですか?」

花陽「うん!」

海未「……あの…そのっ………っ」

花陽「…!」


海未ちゃん、次に言いたい事はなんとなくわかるよ。
だって、まるでおとといの花陽を見てるみたいだから。
これもことりちゃんに聞いちゃったんだ。
ごめんね?



海未「…せ、先日、花陽の想いを無碍にした私が言うのも変な話ですが…」


海未「…ずっと前から、花陽のことをお慕いしておりました」


海未「どうか、私とっ…お、お付き合いしてくださいっ!!」


花陽「………」



そんなの、答えはすぐに出るよ。
勘違いなんかじゃない、花陽の大好きな海未ちゃんへ。



花陽「…私も大好きですっ!!喜んで!!」

海未「……え?」

花陽「え?」


海未「突然、振られた相手にこんな事を言われて、困惑するかと思ったのですが…」

花陽「あ、え、えーっと…」



穂乃果「うーーーみちゃーーーーーんっ!!!」ダキッ

海未「わっ、ほ、穂乃果!?」

ことり「二人とも、おめでとっ!」

花陽「ことりちゃん!?まさか、全部見てたの!?」

ことり「えへへ、ごちそう様でした♪」

花陽「タ、タイミング悪いよ!ことりちゃん!」コソコソ

ことり「え?あ!そっか!まだチューとかしてないから…」

花陽「そ、そうじゃなくて!!」


海未「…なるほど、ことりでしたか」ユラァ

ことり「え?」

穂乃果「う、海未ちゃん?なんだか怖いよ?」オロオロ

花陽「う、海未ちゃん、ことりちゃんは何も悪くないの!」アセアセ


海未「…あなた、花陽になにを話したんですか?」

ことり「………」ギクッ


ことり「…ことり、二人の邪魔しちゃ悪いからかえ

海未「待ちなさい」ガシッ


ことり「………」


海未「言い残したことは?」


ことり「…ごめんなさい」

海未「人の想いを勝手に告げるなど、信じられませんっ!!」

ことり「だ、だって、こうするしか…」

海未「他にも良い方法などいくらでもあったでしょう!?」

穂乃果「ま、まあまあ海未ちゃん…」

海未「穂乃果は黙っていてくださいっ!!」

花陽「あ、あの、海未ちゃん…?」

海未「なんですか!!」クワッ

花陽「ひぃっ…」

穂乃果「う、海未ちゃん!花陽ちゃん怖がらせてどうするの!」

海未「はっ…。す、すみません…」

花陽「え、えっと、ことりちゃんが話してくれなかったら、私たち、付き合えてないと思うんだ…」

海未「それは、そうですがっ…」

花陽「それどころか、きっとずっと気まずいまま…」

海未「うぐっ…それを言われると…」

花陽「ね?今回は許してあげよう?」

ことり「花陽ちゃぁん…」ウルッ

海未「………」


海未「…次は許しませんからね」

ことり「…!海未ちゃぁんっ!」ダキッ

海未「こ、ことり!?」

花陽「ふふっ」クスッ



本当は花陽も海未ちゃんに抱き着きたいところだけど…。
きっとこれから、その機会はいっぱいあるはずだから。
そうだよね、海未ちゃん?

数日後


花陽「今日も楽しかったね!海未ちゃん!」

海未「そうですね。一日があっという間でした」

花陽「花陽の行きたい所ばっかりだったけど…ほんとに良かったの?」

海未「ええ。私は、花陽が喜んでくれればそれで」ニコッ


花陽「むー…」ムスッ

海未「? どうかしましたか?」

花陽「海未ちゃんはなんにも分かってませんっ!」

海未「はい?」

花陽「花陽は海未ちゃんにも楽しんでほしいの!花陽だけが楽しむなんてダメ!」

海未「私も楽しかったですよ?」

花陽「そうじゃなくて、なんというか、えーっと…」

花陽「じゃあ、今度は海未ちゃんの行きたい所に行こうよ!」

海未「行きたい所…」

海未「…では、今から一緒に来てもらってもいいですか?」

花陽「え、今から行くの?」

海未「はい」


海未「私の家に」


花陽「………」

花陽「ええええええええっ!!?」


海未「今夜は寝かせませんよ?」

花陽「」


海未「……言ってみるとかなり恥ずかしいものですね」

花陽「ほ、ほんとに行くの?」

海未「私の行きたい所に行くんでしょう?」

花陽「い、いや、あの…。まだ心の準備が…//」テレテレ

海未「…心配しなくても、いかがわしい事なんてしませんよ。さっきのは冗談です」

花陽「ええっ!?しないの!?」

海未「…はい?」

花陽「………あっ」


花陽「……」


花陽「…………///」ボンッ



花陽「ご、ごめんなさいいいっっ!!!////」ダッ

海未「あっ、待ちなさい!!何を考えていたんですか!!」ガシッ

花陽「聞かないでくださいぃぃぃ!!!////」

海未「ひとまず私の家に行きますよ!話はそれからです!!」ズルズル

海未「明日の朝は稽古に付き合ってもらいます!!煩悩退散です!!」

花陽「う、海未ちゃんが変な事言うからぁ!!花陽は無実だよぉ!!」

海未「問答無用!!さあ、行きますよ!!」


花陽「…誰か助けてぇぇぇぇ!!!」




おわり

以上で完結になります。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
奥手すぎる海未ちゃんに対して、珍しく主導権を握るかよちんも良いと思うんです。
情景は極力夜に拘ったんですが伝わったでしょうか…?
かよちんの丁寧語をほとんど使ってきませんでしたが、りんぱなと同じくらい心的距離が近いってことでご容赦ください。

後半かなり雑になったと自覚しております。申し訳ありません。
前に言った通り海未視点でもう一度書くので、そちらで罪滅ぼしをしたいと思います。
スレを建てたらここで宣伝をしますので、気が向きましたらそちらでもお付き合いください。

では。本当にありがとうございました。

海未「Sea Anemone」
海未「Sea Anemone」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1442058848/)

アナザーストーリー新スレ、建てました。
お時間ありましたらどうぞ。

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