加賀「どういった風の吹き回し?」提督「私だってそういう気分の時もあるさ」 (24)

※前に書いた艦これSSとは関連性はないです

――――――――――

鎮守府 執務室

提督「……」カキカキ

提督「ふう、疲れたなー」

赤城「提督、少し休まれてはいかがでしょう?」

赤城「午前中に半分以上の書類を片付けていたので、少しの休憩を挟んでから再開すればきっと今日も早めに終わらせられると思います」

提督「確かに、赤城の言うことはもっともだね」

提督「じゃあ、休憩のついでに少し鎮守府を見回ってくるよ」

赤城「はい。ただ、遊びすぎて疲れを更に溜め込まないようにしてくださいね?」

提督「その点は気をつけるよ」

提督「赤城も、私を休ませている間にしっかり休むように」

提督「お前も、たまに休憩の時間すら仕事していることがあるからね」

赤城「言われなくても、もうしませんから……」

提督「じゃあ、行ってくるよ」


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――――――――――
鎮守府内

提督(私の鎮守府は、目立った戦果こそ上げていないが活気がある)

提督(私も含めた鎮守府の一人ひとりが支えあって、そして少しずつ着実に海域を突破していく)

提督(他の連中からすればゆるいだとか生ぬるいだとか思われそうだが、結果が出せている以上は何も問題は無い)

提督(こうして休憩時間中に見回りをするのは、艦娘達に何か問題がないか確認するため)

提督(もし何か悩みがあったら、私が悩みを聞いてあげるし、私に相談しづらそうにしていたらさりげなくその艦娘と関係が強い姉妹艦などにさらっとお願いをしたりする)

提督(そうやって、なるべく不安の目を摘み取って出撃や遠征、演習などに影響がないようにするのがある意味仕事とも言えるけど、書類仕事と比べれば疲れは特に感じないしこれくらいは許される……はずだ)

提督(見回っていると、駆逐艦達は遊びに誘ってくることが多い。軽巡や重巡の場合はお話がしたいと要求してくるし、軽空母の場合は卵焼きの味見を頼んだり昼間からお酒を呑もうと誘ってきたり……これは一部に限った話だ)

提督(後は金剛型姉妹がお茶会に参加しないかと誘ってくることもある。別に参加してもいいのだけれど、大体の場合は休憩時間を大幅に過ぎるためあまり誘いには乗らないようにしている)

提督(他にもいろいろあるが、よく多いのはこれくらいだ)

提督(ただ、ここ最近私が彼女達のお願いを断ってまで自ら出向くところがある)

提督(それは――)

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鎮守府 弓道場

ヒュン! ストン

加賀「……」

提督「今日も一人かい?」

加賀「提督……ええ、そうよ」

提督「錬度がそろそろ限界に達するくらいあるのに、欠かさずしてるなんて関心するよ」

加賀「日々の積み重ねが、大事ですから」

提督「そうだね。おかげでこの鎮守府も随分と戦力が揃ったし、資材もしっかり備蓄が出来ているわけだからね」

加賀「……ところで、私に何か用かしら?」

提督「いつも通り、休憩の時間の暇つぶしさ」

加賀「いつも言ってるけど、退屈ではないのかしら?」

提督「別に、そんなことはないよ」

提督「鎮守府内で一番落ち着けるし、加賀の鍛錬の一挙一動を見てるのも中々楽しいからね」

加賀「……そう。退屈でないのなら、別にいいけれど」

提督「うーん、でもここ最近は見ているだけじゃ少し物足りないかな」

提督「加賀、余っている弓はあるかな?」

加賀「ありますが……提督もしてみたいのですか?」

提督「うん、一度くらいは経験しておきたいと思っていたし、加賀や赤城がどれくらい大変なことをいつもしているのかを知りたい」

加賀「……少し待っていてください」

――――――――――

提督(加賀が予備の弓とを持ってくると、私はその弓を左手に持ち右手に矢を持って加賀が行っている姿勢を真似しようとする)

提督「……うーん、こうかな?」

加賀「提督、その構えじゃちゃんと飛ばないわ」

提督「おかしいところがいろいろあるのか?」

加賀「ええ、順に間違いを正していくわね」

加賀「まず、左手の親指に矢が乗っていません。このままだと矢が下を向いてしまう可能性があるのよ」

提督「へー……これでいいかな?」

加賀「ええ、では次の指摘だけれど……」

提督(この後も加賀による指摘は続き、私は一回撃つまでに結構疲れてしまった)

提督(だが、加賀が丁寧に教えてくれるし、たまに指摘の際に私の身体に触れたりするので、役得だと思うことにした)

提督(一回目はそれでもうまく飛ばなかったが、なんとなく正しい姿勢というのを多少理解できたのでもう一回だけ、試してみた)

提督「……」ググッ

提督「……」パッ

ヒュン! ストン

加賀「……二回目で中央ギリギリなら、十分凄いと思います」

提督「加賀の指導が良かったからね」

提督「ただ、とっさの判断で正確に矢を放たなければいけないこともある加賀達は凄いね、私ならあらぬ方向に飛ばしてうまく発艦できなさそうだ」ハハハ

加賀「そうね。錬度の低いうちは私もそういうことがありました」

提督「そうだったっけ?」

加賀「はい、艦娘として生まれ変わった一年以上前は先にいた赤城さんと祥鳳に弓と矢で発艦する方法を教わりながら、何とかものにしました」

加賀「けど、二人は改になるまでの錬度があった中私はまだまだそこまで満たなかったので、想定外の襲撃を受けた時は発艦にもたついたこともあります」

加賀「誰しもがそうです。生まれ変わって最初のうちは何となくやり方はわかっても、しっかり出来るわけではありません」

加賀「こうして練習を積んで、身体に覚えさせているからこそ、想定外な出来事があっても慌てず落ち着いて対処が出来ます」

加賀「式神を使う龍驤たちもそう、心が乱れていてはちゃんと式札を艦載機にして飛ばすことは出来ません」

加賀「これに関しては、主砲や副砲で戦う戦艦たちも同じです。落ち着かなければ撃っても当たらないのですから」

提督「確かに、加賀の言うとおりだな」

提督「皆、作戦中はどんなことがあっても怯まず、落ち着いてその場で陣形を決めてそれぞれの役割を果たしている」

提督「いつもは楽しく遊んだりしているのに、しっかりスイッチを切り替えて、どんなに強い敵がいても諦めず勇敢に戦っている」

提督「本当に凄い、尊敬に値するよ」

加賀「……冷静になって戦えるのは、提督も関係しているのよ?」

提督「ん、私が?」

赤城「そうですね、加賀さんの言うとおりです」

加賀「赤城さん……」

赤城「提督は、私たちの戦いに関与できる部分は事前に得た情報から作戦を立てることと、通信による指示だけです」

赤城「ですが、私たちの中で一人でも大破が出たら即時撤退をさせてくれますし、その時にあった的確な指示をくださるから、私たちは安心して戦えるのです」

赤城「それに、提督を皆信頼しているから、どんな状況になっても諦めずに最後まで戦いぬける、少なくとも私はそうですよ」

加賀「私も、提督のことは信頼しています」

提督「赤城……加賀……」

赤城「さて、そろそろ休憩はおしまいにして、執務を再開しましょうか」

提督「……そうだね、そろそろ再開しないと遅くまでかかってしまいそうだ」

提督「ああそうだ、執務が早く終わったら、私と呑みに行かないか?」

赤城「はい、ぜひ参加させていただきますね」ニコッ

加賀「そうね……私も、参加します」

提督「OK、じゃあ終わり次第加賀は迎えに行くとしよう」

提督「あ、そうだ。加賀にはもう一つお願いがある」

加賀「私に、ですか?」

提督「うん、また今度、弓の練習に付き合ってもらってもいいかな?」

加賀「それくらいなら……いつでも付き合います」

提督「ありがとう加賀、ではまた夜に会おう」

加賀「はい」

赤城「加賀さんも、適度に休憩はしてくださいね」

加賀「はい、気をつけますね」

――――――――――

提督(ちなみにこの後、私の財布の中身が大破……することはなかった)

提督(他の鎮守府だとこの二人はとても大食いなことが多いらしいが、ここではそういうことはなく他提督からとても不思議がられている)

提督(ただ、容赦なく高価な酒を呑もうとするので、そちらに金がかかったのは言うまでも無い)

――――――――――
ある日の夕方
鎮守府 執務室

加賀「艦隊、帰投しました」

提督「ご苦労様、状況はどうだった?」

加賀「はい、カレー洋リランカ島沖の港湾棲姫の撃破を達成しました」

加賀「こちらの被害状況は、伊401と扶桑、山城が大破。伊401はダメコンを未使用のままです」

加賀「中破は武蔵と大和、私は小破です」

赤城「上々ね」

提督「うん、被害は多いが少ない出撃で突破が出来た、これは喜ばしいことだね」

加賀「ありがとうございます」

加賀「ところで、戦艦四隻の被害を考えると高速修復剤を用いたほうが良いと思うのですが、使用の許可をいただけますか?」

提督「ああ、しおい以外は全員使ってくれ。しおいは修復が早いからそのままドックで休むよう伝えてくれ」

加賀「分かりました。では、私は皆さんに伝えてきますね」

提督「うん、よろしく」

加賀「失礼しました」

ガチャ バタン

赤城「……提督、渡すものがあったのではないでしょうか?」

提督「心配しなくても、後でちゃんと渡すさ」

提督「加賀も入渠して万全の状態でいて欲しいし、今渡すとなると赤城に全て見られてしまって恥ずかしい」

赤城「ふふ、私のことは気にしなくていいですよ?」

提督「そういうわけにはいかないさ、雰囲気って物が大事だからね」

赤城「分かりました。なら終わった後に加賀さんにでも聞くとしましょうか」ニコッ

提督「うん、そうしてくれると助かるよ」

赤城「では、私は先に夕食を食べてきますね」

提督「うん、行ってらっしゃい」

――――――――――

加賀「提督、入渠の方は無事終わりました」

提督「報告ありがとう。しっかり傷は治せたかな?」

加賀「はい、おかげさまで万全です」

提督「それなら良かった。今から君に大事な話があるんだ」

加賀「私に……ですか?」

提督「うん、とりあえず近くに来てくれ」

加賀「はい……」トコトコ

提督「……加賀、君にはこれを受け取って欲しい」パカッ

加賀「これは……まさかケッコンカッコカリの――」

提督「うん、その通りだ」

提督「加賀、私は君のことを心から愛している」

提督「だから、君がよければぜひ受け取って欲しい」

加賀「……私で、いいのですか?」

提督(きっとこのとき、加賀は赤城のことを気に掛けていたのかもしれない)

提督「加賀で言いというわけではないよ。加賀じゃないと駄目だ」

加賀「……」

提督「……」

提督(私は、加賀が決めるまで黙って待つ)

加賀「……はい、是非受け取らせてください」

提督「ありがとう、加賀。じゃあ、つけるよ」

提督(左手の薬指に、丁寧に指輪を嵌める)

加賀「……」

提督「どう? 今の気持ちは」

加賀「私……感情表現が……その……」

提督「知ってるよ、だから加賀の言葉で聞きたい」



加賀「……提督、私、これでも今……」



加賀「とっても幸せ、なのですけれど……」


提督「よ、良かった……」ギュッ

加賀「て、提督!?」カァァッ

提督(加賀は驚いているけど、私は気にせず強く抱きしめる)

提督「加賀、今は私たちの関係はカッコカリに過ぎない」

提督「だけど、深海棲艦との戦いが無事終わったら、今度は本当の結婚をしよう」

提督「二人で末永く、ずっと一緒に……」






加賀「――はい」ギュッ






加賀「私は、提督にずっと……ついていきます」





提督(その時の加賀は涙で瞳を潤ませながら、微笑んでいた)

終わり

以上です

加賀と赤城は大食い設定ありが多いのでなしにして書いてみました。無いと普通に大和撫子のイメージですね

弓道知識はまったくなかったので付け焼刃程度にしかかけないと思ったのでこれくらいにしました

提督は少し口調とかいじってみたけどあまり変わってる気がしないですね
キャラ付け難しいです

では、HTML化依頼してきます。ありがとうございました

艦これ作品次スレ
ビスマルク「行きましょう」提督「ああ、行こうか」 - SSまとめ速報
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