南条光「ヒーロー見参!」 龍亞「俺だって!」 (70)

モバマス×遊戯王5D'sのSSです
世界の命運をかけるようなデュエルは行われません
今回は少しだけデュエル描写を丁寧に描いています
また遊戯王側は最終回から少し経ったくらいです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1438988810

龍可「チームのみんなと離れてから半年以上経った」

龍可「そんなある日、お父さんとお母さんが仕事の都合で1週間だけ日本に滞在することになったの」

龍可「久しぶりに日本に帰れるチャンスだと思ってお願いしたら、学校を休んでついていくことを許してくれた」

龍可「そういうわけで、私達は今、日本に戻って来ている」

とある都内のホテル


龍亞「どうせ日本で暮らすなら、住み慣れたあの家がよかったなあ」

龍可「しょうがないわよ。お父さんとお母さんの仕事場からは、ネオ童実野シティはちょっと遠すぎるんだから」

龍亞「うーん……ま、ホテルもホテルでいいけどね」

龍可「そうそう。前向きに考えなきゃ」

龍可「ところで龍亞。遊星にはいつ会いに行く? 電車を使えば、私達だけでもネオ童実野シティまでは行けるけど」

龍亞「………」

龍亞「俺は行かない。龍可だけで行ってきてよ」

龍可「もう、まだそんなこと言ってるの?」

龍亞「もう決めたんだ。ほっといてくれ」

龍可「最近デュエルの実力が伸び悩んでるからって、遊星に合わせる顔がないなんて思う必要ないのよ」

龍亞「……俺は遊星に約束したんだ。もっともっと強くなるって」

龍亞「なのに、半年やそこらでもう壁にぶつかるなんて……こんなかっこ悪い姿、見せたくない」

龍可「いじけなくてもいいじゃない」

龍亞「うるさいな、ほっといてくれって言ってるだろっ」

龍可「あ、ちょっと龍亞! もう、また布団にもぐりこんで……」

龍亞「ぐー、ぐー」

龍可「それ、寝てるふりのつもり?」

龍亞「ぐーぐーぐー!」

龍可「はあ……」

外に出て


龍可「どうしよう……」

龍可「(遊星も龍亞に会いたいだろうし、龍亞だって、今を逃したら次に遊星に会えるのはいつになるかわからないのに)」

龍可「(本当は会いたいに決まってるんだから、意地張ってないで私についてくればいいのよ)」

龍可「……龍亞を元気づける方法、ないかな」

龍可「(いつまでもあのままだと、私だって嫌)」

龍可「………」

少女A「こら麗奈! またいたずらしたなっ」

少女B「べー、悔しかったら追いついてみなさい!」タタタッ

少女A「……あっ、麗奈、前!」

少女B「えっ」

龍可「え?」

ゴツン!

龍可「いったぁ……」コテン

少女B「あいたたた」

少女A「ふたりとも、大丈夫か!」

光「ほら麗奈、謝らないと」

麗奈「な、なんでアタシが光の言うこと聞かなきゃならないのよ」

光「悪いことしたら謝る! これ、ルールだよね」

麗奈「んぐっ……悪かったわ。ちゃんと前見てなくて」

龍可「う、ううん。私も、ちょっとぼーっとしてたから……おあいこってことで」

光「よし。これでめでたしめでたし……あれ。君、手に擦り傷ができてるじゃないか」

龍可「え? あ、うん。でもこのくらいたいしたことないから」

光「いやダメだ。こっちの追いかけっこのせいで怪我させちゃったんだから、ちゃんと手当しないと」

光「ちょうど事務所が近いし、ちょっとついて来てくれない?」

龍可「で、でも」

麗奈「素直に聞いた方がいいわよ。こいつ、一度言い出したらなかなか自分を曲げないから」

麗奈「……アタシも、怪我されたまま帰られるとなんかアレだし」

光「麗奈は根はいい子なんだよね」

麗奈「そ、そんなんじゃないわよ! アタシはレイナサマ! 世紀の大悪党なのよ! アーッハッハッハゲホゲホッ」

龍可「………」

龍可「(なし崩し的について行くことになってしまった)」

いったん中断します

ちなみに関連作

卯月「ネオ童実野シティでライブ、ですか?」 武内P「はい」(卯月「ネオ童実野シティでライブ、ですか?」 武内P「はい」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1438272921/))
輝子「フヒ……サティスファクションタウンでライブ……?」 モバP「ああ」(輝子「フヒ……サティスファクションタウンでライブ……?」 モバP「ああ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1438637872/))

これらと同一世界観ですが、読んでいなくても話は理解できると思います

事務所にて


光「よし、手当て完了!」

龍可「ありがとう」

光「たいしたことじゃないさ、ヒーローにとっては」

龍可「ヒーロー?」

光「正義の味方。みんなの味方。アタシはそれを目指してるんだ」

麗奈「それより先にトップアイドル目指しなさいよね」

光「終着点は同じじゃないか。ヒーローアイドルでトップをとるんだから」

麗奈「まったく……ま、アタシが世界的トップアイドルになるほうが先だけどね」

光「ああ! 一緒に頑張ろう!」

麗奈「……毎度毎度、真っ直ぐすぎてからかい甲斐がないわね」

龍可「(アイドルってやっぱり個性的な子が多いのね)」

光「ここで会ったのも何かの縁だし、龍可ちゃんも何か困ったことがあったらアタシに頼ってくれ! できる限りは協力するから」

龍可「困ったこと、かあ……」

光「ん? その顔、もしかして現在進行形でなにかある?」

龍可「んー……」

麗奈「バカね。会ったばかりの相手にいきなり悩みを言えるわけないでしょ」

光「あ、それもそうか。別に言いにくいことだったら無理に聞かないからさ」

龍可「………」

龍可「ううん。せっかくだし、ちょっと聞いてもらおうかな」

麗奈「別に光に合わせなくていいのよ?」

龍可「そういうわけじゃないの。初めて会った人達相手のほうが、こぼしやすいこともあるかなと思って」

光「なるほど。知り合いが壁にぶつかって伸び悩んでいて」

麗奈「兄貴分の友達とも会おうとしない、と」

龍可「うん……」

龍可「(知り合いじゃなくてお兄ちゃんなんだけど、ちょっとぼかしちゃった)」

龍可「その子、最近デュエルを楽しめていないような気がするの」

光「楽しめていない、か」

麗奈「フン、アタシだったら無理やりにでも引っ張っていくわ」

麗奈「うじうじしているような子は、このレイナサマにひざまずいて言うこと聞いてればいいのよ」

光「麗奈はそれでいいのかもしれないけど。龍可ちゃんは優しそうだし、そんなことできないよ。龍可ちゃんは優しそうだし」

麗奈「なんで今優しいって2回言った? アタシが優しくないと言いたいわけか」

麗奈「あ、アタシだって部下には優しい一面を持っていたりするのよ?」

龍可「今時はそういう悪役が流行りらしいよね」

麗奈「そう、その通り!」

光「話がズレていってる気がする」

麗奈「あとはそうね。色仕掛け!」

龍可「色仕掛け?」

麗奈「その知り合いって男なんでしょ? だったらちょーっとそっち方面にアピールしてやればコロッと言うこと聞いてくれるに違いないわ」ククク

龍可「そ、それはないと思う。あはは(本当は兄妹だし……)」

光「麗奈、もっと真面目に考えてあげないと」

麗奈「なによ、じゃあアンタは何か思いついたっていうの?」

光「それは……」

麗奈「人に文句言う前に自分が代案出してみなさいって話よ」

光「ぐぬぬ」

龍可「悪役が正論でヒーローを言い負かしてる……」

光「うーむ。いったいどうすれば」


??「お困りのようですね」

龍可「?」

光「誰?」

裕子「ユッコです!」

麗奈「なんだ裕子か」

裕子「むー、なんですかそのため息は」

麗奈「役に立ちそうにない子が来たから」

裕子「失礼な! 私もたまには役に立ちますよ」

龍可「たまになんだ」

光「堀裕子さん。アタシ達の先輩アイドルなんだ」

麗奈「で、どうすればいいのよ」

裕子「ふっふっふ。そんなことは決まっています」

裕子「デュエルです!」

龍可「デュエル?」

裕子「はい。私のサイキックパワーがそう告げています」

龍可「サイキック……?」

龍可「(まさか、アキさんみたいなサイコパワーを?)」

光「デュエル……なるほど、確かに」

麗奈「え?」

光「だってさ、その男の子はデュエルについて悩んでるんだ。一度頭をからっぽにして、楽しいデュエルをやればいいんじゃないかな」

光「龍可ちゃん。その子、デュエルアカデミアに通ってるんだよね」

龍可「うん。そうだけど」

光「だったら、普段のデュエルの相手はみんな強い人ばかりで気が抜けないんだと思う」

光「アタシみたいな普通のデュエリストと戦えば、リフレッシュになるかも」

光「だよねっ、裕子さん」

裕子「え? あ、はい!(そこまで考えてなかったです)」

麗奈「む。光にしてはいい案ね」

龍可「楽しいデュエル……確かに、今は成績とか気にしすぎなのかも」

光「というわけで作戦決定! デュエルだ!」

龍可「でも、いいの? 初めて会った私のためにそこまで」

光「それがヒーローってものさ。それに、もうアタシ達は友達だし」

光「デュエルは、基本誰とやっても楽しいし!」

龍可「……ありがとう」

翌日 346プロ中庭にて


龍亞「騙された……」

龍可「なにが?」

龍亞「俺は気分転換にお出かけしようって言われてついて来ただけなのに」

龍可「だから気分転換にアイドルのプロダクションに来たんじゃない」

龍亞「わけわかんないよ! なんで俺がこんなところでアイドルとデュエルすることになってるんだ!?」

龍亞「せめて先に説明してくれよな!」

龍可「だって龍亞、説明したら来なかっただろうし」

龍亞「龍可~……」ジトー

龍可「ほらほら。ここまで来たら逃げられないよ。結構注目されてるし」

みく「何が始まるにゃ?」

莉嘉「なんかー、南条光ちゃんと男の子がデュエルするらしいよ?」

蘭子「血沸き肉躍る予感のする決闘……」

未央「男の子? ……よく見たらあれ、チーム5D'sの双子の子達じゃない?」

凛「そういえば、テレビで見た覚えあるかも」

卯月「ということは、遊星さんの……」




龍亞「か、かわいい子ばっかりだな」アセアセ

龍可「みんなアイドルだもん」

光「龍可ちゃん、もう準備できた?」

龍可「うん、こっちは大丈夫」

光「アタシは南条光! 楽しいデュエルにしよう!」

龍亞「こ、これはどうもご丁寧に……俺の名前は龍亞」

光「それじゃ早速――」

裕子「あ、ちょっと待ってください」

光「裕子さん?」

裕子「龍亞くん、でしたよね。このカード、使ってみてください」

龍亞「え? 使ってみてって、そんないきなり」

裕子「いいからいいから。サイキックラッキーカードですっ」

龍亞「は、はあ」

裕子「(一度言ってみたかったんですよね、このセリフ♪)」

光「よし。今度こそ準備OK」

龍亞「まだ事情は把握しきれてないけど……デュエルな以上、俺は負けられない」

光「じゃあ始めよう」


光・龍亞「デュエル!!」


※カードの効果、ルールはだいたい5D'sのアニメ準拠です(先攻ドローもあり)
なのでLPも4000スタートです

龍亞「先攻は俺だ! ドロー!」

龍亞「………」

龍亞「(なんてこった。手札にディフォーマーが一体もいない)」

龍亞「(デッキの構成は問題なかったはず……くそっ、これも俺の実力不足が原因なのか)」

龍亞「(でも、墓地からディフォーマーを回収できるマジックカード《ジャンクBOX》はある……なら)」

龍亞「俺は手札から、カードガンナーを守備表示で召喚!」

カードガンナー 守備力400 レベル3

龍亞「さらにカードガンナーのモンスター効果を発動! 自分のデッキの上からカードを3枚まで墓地へ送って、その枚数×500ポイント攻撃力をアップさせる」

光「守備表示なのに攻撃力を上げる?」

龍亞「俺は3枚のカードを墓地に送る」ガチャ、ガチャ、ガチャ

龍亞「(よし、ディフォーマーが墓地に落ちた! でもこのターンはまだ様子見だ)」

龍亞「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド!」

手札4枚 伏せカード1枚

光「アタシのターン!」

光「……ふふっ」

龍亞「?」

光「アタシは手札からマジックカード《融合》を発動!」

光「手札のE・HEROクレイマンとE・HEROザ・ヒートを墓地に送り」

光「融合召喚! 来い、E・HEROノヴァマスター!」

ノヴァマスター 攻撃力2600 レベル8

光「うおお! いつ見てもヒーローのソリッドビジョンはかっこいいな!」

龍亞「いきなり攻撃力2600!?」

龍亞「融合をメインにした、HEROデッキか……」




裕子「裕子?」

麗奈「裕子じゃない、融合よ」

龍可「HERO……さすが、本人がヒーローを目指しているだけあるかも」

裕子「いきなり光ちゃんお得意のパターンが出ましたねー」

麗奈「初手で全部素材をそろえるあたり、相変わらず運がいいわ」

麗奈「ていうか龍可。あの男の子、ただの知り合いじゃなくてアンタの兄貴じゃない」

龍可「ごめんなさい。少し言いづらくて」

麗奈「まあいいけど」

裕子「これは龍亞くんもきついですね。さすがサイキック融合です」

龍可「サイキック? HEROはサイキック族じゃないけど……」

麗奈「裕子の口癖みたいなもんだから気にしなくていいわ」

光「さらにアタシはE・HEROスパークマンを攻撃表示で召喚!」

スパークマン 攻撃力1600 レベル4

光「バトル!」

光「E・HEROノヴァマスターで、カードガンナーを攻撃!」

龍亞「くっ……おとなしく破壊されるしかないか」

光「ノヴァマスターの効果発動! モンスターを戦闘で破壊したのでカードを1枚ドロー」

龍亞「俺もカードガンナーの効果を発動。このモンスターが破壊され墓地に行った時、1枚ドローだ」

光「さらにスパークマンでダイレクトアタック! いっけー!」

光「聖なる輝き、スパークフラッシュ!」

龍亞「……食らうしかない!」

スパークマン「ハアッ!」

龍亞「あぐっ!」LP4000→2400

光「いいぞ、スパークマン! アタシはこれでターンエンド」

手札3枚 伏せカード0枚 LP4000

龍亞「俺のターン、ドロー」

龍亞「(あっちはいきなり大型モンスターを出してきた)」

龍亞「(その分手札をかなり使ったけど、ノヴァマスターの効果である程度リカバリーしてきてる)」

龍亞「(……でも、俺だってこのまま負けるわけにはいかない)」

龍亞「墓地にあるマジックカード《D・リペアユニット》を除外することで、手札からマジックストライカーを攻撃表示で特殊召喚!」

マジックストライカー 攻撃力600 レベル3

龍亞「さらにD・ライトンを守備表示で召喚する」

D・ライトン 守備力200 レベル1 チューナー

光「攻撃力600のモンスターと、守備力200のモンスター……」

龍亞「たとえ攻撃力や守備力が低くても、こいつらは頼れるカード達さ」

龍亞「俺はマジックストライカーで攻撃!」

龍亞「このモンスターは、プレイヤーに直接攻撃することができる!」

光「なにっ!?」

光「うぐっ」LP4000→3400

光「そうだった……マジックストライカーにはそんな効果があったんだった」

光「前にも受けたことあるのに忘れちゃってた」

龍亞「さらに俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

手札3枚 伏せカード2枚 LP2400



麗奈「なかなかやるじゃない、アンタの兄貴」

裕子「攻撃力や守備力が低くても頼れるカード……いい言葉です」

龍可「遊星から教わったこと、ちゃんと覚えているのね。龍亞」

龍可「だったらあと少し、立ち直るためのきっかけがあれば……」

光「アタシのターン! ドロー!」

光「よし!」

龍亞「まさか、また来るのか?」

光「その通り。まさかを起こすのがヒーローさ!」

光「手札から2枚目の融合を発動!」

光「フィールドのE・HEROスパークマンと、手札のE・HEROネクロダークマンを融合し――」

光「闇の力も、使いこなせば正義のヒーロー! E・HEROダーク・ブライトマンを攻撃表示で召喚!」

ダーク・ブライトマン 攻撃力2000

龍亞「2体目の融合モンスター、またE・HEROか」

光「さあ、攻撃だ! ノヴァマスターでマジックストライカーにアタック!」

龍亞「いつまでも好き勝手させてたまるか!」

龍亞「トラップ発動! 強制脱出装置!」

龍亞「ノヴァマスターを指定し、手札に戻す!」

光「融合モンスターは手札に戻らず、エクストラデッキに戻る……やるねっ」

光「でも、まだダークブライトマンの攻撃が残ってる。D・ライトンにアタックだ!」

龍亞「攻撃力2000VS守備力200……でも、守備表示なら戦闘によるダメージは」

光「E・HEROダーク・ブライトマンは、守備表示モンスターを攻撃した時、こちらの攻撃力と相手モンスターの守備力の差のぶんだけ相手にダメージを与える!」

龍亞「な、なんだって!? そんなことさせるか!」

龍亞「トラップ発動、攻撃の無力化! 相手モンスターの攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる」

龍亞「なんとかしのいだ……」

光「うーん、駄目だったか。今のが通ってればライフを600まで減らせてたのに」

光「でもさすがデュエルアカデミアの生徒だな。アタシワクワクしてきたっ」

龍亞「………」ポカン

龍亞「(手札を3枚も使って出したノヴァマスターを除去されたのに、落ち込むどころかワクワクしてるのか?)」

光「アタシはこれでターンエンド」

手札2枚 伏せカード0枚 LP3400

龍亞「俺のターン、ドロー!」

龍亞「よし、俺も来た……!」

龍亞「俺は、D・スコープンを攻撃表示で召喚」

D・スコープン 攻撃力800 レベル3 チューナー

龍亞「さらにマジックカード《ジャンクBOX》! これにより、墓地のD・ラジカッセンを攻撃表示で特殊召喚するぜ」

D・ラジカッセン 攻撃力1200 レベル4

光「カードガンナーの効果で墓地に落としていたのか」

龍亞「行くぞ!」

龍亞「レベル4のD・ラジカッセンに、レベル3のD・スコープンをチューニング!」

龍亞「世界の平和を守るため、勇気と力をドッキング!」

☆4+☆3=☆7

龍亞「シンクロ召喚! 愛と正義の使者、パワー・ツール・ドラゴン! 攻撃表示だ!」

パワー・ツール・ドラゴン 攻撃力2300 レベル7

龍亞「さらにパワーツールドラゴンの効果――」

光「か……かっこいい!!」

龍亞「へ?」

光「シンクロ召喚もかっこいいけど、今の召喚の時の口上めちゃくちゃいい!!」キラキラ

光「いいなあ、アタシもそういうのもっと考えようかなあ」

龍亞「ど、どうも……」



龍亞「え、えっと。パワーツールドラゴンの効果、続けていい?」

光「あ、ご、ごめんっ。急に割りこんじゃって」

龍亞「モンスター効果で、1ターンに1度、自分のデッキからランダムに装備魔法カード1枚を手札に加える事ができるんだ」

龍亞「この効果で手札に加えた装備カードは……D・コード。俺はこいつをパワーツールドラゴンに装備!」

龍亞「D・コードを装備したモンスターが表示形式を変更するたびに、マジックカードかトラップカードを1枚破壊する……んだけど、今は君のフィールドにどっちもないね」

光「装備魔法カードまで呼べるのか。すごいなあ」

龍亞「バトルフェイズだ」

龍亞「俺はパワーツールドラゴンでダーク・ブライトマンを攻撃!」

光「こっちの攻撃力が300低いから、破壊されちゃうか」LP3400→3100

光「でもヒーローはただでは倒れない!」

光「ダーク・ブライトマンの破壊時、相手フィールド上のモンスター1体を破壊する」

光「アタシはパワーツールドラゴンを指定!」

龍亞「おっと、そうはいかないぞ」

龍亞「パワーツールドラゴンの効果発動! このモンスターが破壊される時、代わりにこいつに装備されている装備カードを1枚墓地に送ることができる」

龍亞「D・コードを墓地に送ることで、パワーツールドラゴンは破壊されないのさ」

光「くそー、やるなあ」

龍亞「続けて俺はマジックストライカーでダイレクトアタック!」

光「ぐう……!」LP3100→2500

龍亞「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

手札1枚 伏せカード1枚 LP2400

龍可「光さんのライフは2500、龍亞の2400とほぼ並んだ……」

麗奈「龍亞のフィールドには3体のモンスター。対して光の場にはなーんにもなし」

裕子「手札も2枚。ちょっときついですね……」

龍可「でも……楽しそう」

麗奈「ワクワクできるデュエルが信条らしいから、追いこまれたら追いこまれたで燃えるんじゃない?」

麗奈「それに、光はドロー運かなりいいから。こっから立て直すのも普通にありえるのよねー」

光「逆境で輝けなくちゃ、ヒーローにはなれない」

光「アタシのターン、ドロー!」

光「アタシは手札から、マジックカード《貪欲な壺》を発動!」

光「墓地のモンスター5枚をデッキに戻し、その後カードを2枚ドローする」

光「(昔は強欲な壺が使えてたらしいけど……羨ましいなあ)」

光「さらにマジックカード《手札断殺》。お互いカードを2枚捨て、デッキからカードを2枚ドロー!」

光「(これで引けなきゃ、もう……頼むっ)」スッ

光「………」

光「き、来たっ!!」

龍可「(あの反応、何か来る!)」

光「手札からマジックカード《ミラクル・フュージョン》!」

光「墓地にいる融合素材となるモンスターを除外することで、融合モンスターを融合召喚することができる!」

光「アタシは手札断殺の効果で捨てたE・HEROフェザーマンとE・HEROバーストレディを除外し――」

光「E・HEROフレイム・ウィングマンを攻撃表示で召喚!」

フレイム・ウィングマン 攻撃力2100 レベル6

龍亞「3体目の融合モンスター……でも、攻撃力はパワーツールドラゴンより低い」

光「今はまだ、だけどね」

龍亞「……っ」

光「ヒーローは、舞台が整った時に最高の力を発揮するんだ」

光「アタシはフィールド魔法《摩天楼―スカイスクレイパー―》を手札から発動!」

光「そしてフレイムウィングマンでパワーツールドラゴンに攻撃!」

龍亞「攻撃力はこっちが上――」

光「スカイスクレイパーの効果発動!」

光「E・HEROが自分より攻撃力の高いモンスターとバトルする時、そのE・HEROの攻撃力を1000ポイントアップする!」

フレイム・ウィングマン 攻撃力2100→3100

ミス
>>39の最後の龍可は龍亞です

龍亞「パワーツールドラゴンの攻撃力は2300。ということは、破壊されて800ポイントのダメージ……!」LP2400→1600

光「いいや、それだけじゃない!」

龍亞「なんだって!?」

光「フレイム・ウィングマンの効果! このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える」

光「つまり、パワーツールドラゴンの攻撃力分、2300ポイントのダメージだ!」

龍亞「うわああああ!!」LP1600→0



龍可「龍亞!」

光「やったー! 師匠直伝のコンボが決まった!!」


龍亞「(南条光ちゃん……すっげー感情豊かって言うか、はしゃいでるっていうか)」

龍亞「(バトルの展開に喜んだり悔しがったりして、ピンチになっても諦めない)」

龍亞「(相手モンスターの効果にも素直に感動して、いつもワクワクしている)」

龍亞「ワクワク、か……」

龍亞「(海外のデュエルアカデミアに転校して、すぐに成績上位のグループまで這い上がって……そこからなかなか結果が出ない余り、焦りすぎてたのかも)」


光「アタシの勝ちだ!」


龍亞「そうだ……デュエルは楽しいものなんだ」

龍亞「(光ちゃんには、大事なことを思い出させてもらったな。あとでお礼言わないと)」

龍亞「……でも」



龍亞「それはどうかな?」

光「え?」

龍亞「俺は、守備表示のD・ライトンの効果を発動!」

龍亞「自分のライフがゼロになった時、ライトンのふちの部分のルーレットが起動!」

龍亞「緑と黄色の縞々模様、緑でルーレットの光が止まれば、俺のライフは100になって生き残れる!」

光「ライトンにそんな効果が!? つまり、2分の1でまだ勝負はつかない……」

ピピピピピピピ……

龍亞「一か八かのルーレット……やばい、すっげえワクワクするっ」

龍亞「ルーレットの結果は……」

ピピピピ、ピ、ピ、……ピッ


龍亞「……緑!」

龍亞「俺のライフは100になる!」LP0→100

光「まさか、ライフ0から復活するなんて!」

龍亞「どうだ! これが俺のしぶとさだ!」

光「決まったと思ったのになあ……でも、まだまだこれから!」

光「カードを伏せてターンエンドっ」

手札0枚 伏せカード1枚 LP2500

龍可「ふう……」

麗奈「とんでもない方法でしのいだ……」

裕子「逆転の目は残りましたけど、龍亞ちゃんは光ちゃんの伏せカードが気になるんでしょうね」

龍可「……でも龍亞、笑ってる」

龍亞「……すー、はー」

龍亞「俺の、ターーン!」


龍亞「っ! 裕子さん、来たよ!!」



裕子「融合?」

麗奈「今度は融合じゃなくて裕子!」

龍可「裕子さんが渡したカードをひいたのよ!」


龍亞「俺はディストラクターを攻撃表示で召喚!」

ディストラクター 攻撃力1600 レベル4

光「サイキック族のモンスター……裕子さんのカード!」

龍亞「最高のタイミングで来てくれたよ」




裕子「ディストラクターは、ライフを1000ポイント払うことで相手の伏せカードを1枚破壊できる効果を持っています」

麗奈「確かにそれを使えば、光の伏せカードは壊せるけど……龍亞のライフは100しかないから払えないわ」

龍可「ううん」

龍可「あの楽しそうな表情……龍亞にはきっと、勝利の道筋が見えているんだわ」

龍可「ひとつひとつの効果だけでは状況をひっくり返せなくても、全部を組み合わせれば道は開ける!」

龍亞「トラップ発動、リビングデッドの呼び声! 墓地からモンスターを1体選び特殊召喚する!」

龍亞「俺が選ぶのはもちろん、パワーツールドラゴンだ!」

パワーツールドラゴン 攻撃力2300 レベル7

龍亞「パワーツールドラゴンの効果発動! デッキから装備魔法カードを1枚、ランダムで手札に加える!」

龍亞「そして……俺のデッキの切り札を呼ぶ!」

光「切り札……パワーツールドラゴンの上!?」

龍亞「レベル7のパワーツールドラゴンに、レベル1のD・ライトンをチューニング!」

龍亞「世界の平和を守るため、勇気と力がレボリューション!」

☆7+☆1=☆8

龍亞「シンクロ召喚! 進化せよ、ライフ・ストリーム・ドラゴン!」

ライフ・ストリーム・ドラゴン 攻撃力2900 レベル8

龍亞「効果発動! シンクロ召喚に成功した時、ライフ2000以下のプレイヤーのライフを2000に回復する!」LP100→2000

光「ライフを回復!?」

龍亞「そして俺はライフを1000ポイント支払い、ディストラクターの効果発動! 伏せカードを1枚破壊する!」LP2000→1000

光「くっ……破壊されたカードは、聖なるバリアミラーフォース……」

龍亞「あぶなっ……破壊せずに突っ込んでたら全滅だったかも」


龍亞「最後の仕上げだ。俺はパワーツールドラゴンの効果で手札に加えた装備魔法カードを発動!」

龍亞「団結の力! ライフ・ストリーム・ドラゴンに装備だ!」

龍亞「団結の力の効果は、自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体につき
、装備モンスターの攻撃力を800ポイントアップするもの」

龍亞「俺の場には、ライフ・ストリーム・ドラゴン、ディストラクター、そしてマジックストライカーの3体のモンスターがいる」

龍亞「よって、攻撃力2400アップ!」

ライフ・ストリーム・ドラゴン 攻撃力2900→5300

光「こ、攻撃力5300!?」

龍亞「行くぞ! マジックストライカーでプレイヤーにダイレクトアタック!」

光「ううっ!」LP2500→1900

龍亞「そして、ライフ・ストリーム・ドラゴンでE・HEROフレイム・ウィングマンに攻撃!」

光「スカイスクレイパーの効果で、フレイムウィングマンの攻撃力は3100……」

龍亞「でも、それでもこっちが2200上だ」

龍亞「いっけー! ライフ・ストリーム・ドラゴン!」

龍亞「ライフ・イズ・ビューティーホール!!」

光「うわあああっ!!」LP1900→0

龍亞「発動する効果はもうない……俺の勝ちだ!」


龍亞 WIN!

デュエル終わったところでいったん中断します

龍可「終わった……」

麗奈「……ま、まあまあいい試合だったんじゃないの?」

裕子「その感想の割には身を乗り出して観戦してましたけど」

麗奈「うるさい! かっこよかったなんて思ってないんだからっ」

龍可「龍亞……もう大丈夫だよね」

パチパチパチパチ……!


龍亞「拍手が……」

光「いいデュエルっていうのは、自然に周りの拍手を生み出すものなんだって。そう聞いたことがある」

龍亞「そっか……俺、そんなデュエルができたんだな」

龍亞「すごく楽しかった。ありがとう!」

光「アタシも」


光「ガッチャ! 楽しいデュエルだったよ!」

龍亞「ガッチャ……?」キョトン

光「いい試合ができた時のあいさつ。アタシの師匠から教わったんだ」

光「楽しいデュエルをありがとうって意味」

龍亞「へえ、なんかかっこいいな! 俺もやるよ」

龍亞「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ!」

龍亞「へえ。じゃあそのE・HEROデッキも師匠の影響なんだ」

光「もともとヒーローは好きだったんだけど、うまいデッキの組み方がわからなくて」

光「そんな時、世界中を旅してるっていうおじさん……十代さんって人と偶然出会ったんだ」

光「短い間だったけど、いろんなことを教えてもらったなあ」

龍亞「運命の出会いってやつ?」

光「そうかも。あの頃の思い出が、今のアタシの力の一部になってるし」

光「師匠は言ってた」

光「世の中楽しいことばかりじゃない。辛くて苦しくて、逃げ出したくなるようなことに直面する時だってある」

光「それに向き合うのが、大人になるってことなんだって」

龍亞「……大人って、大変なんだね」

光「アタシ達が知らないことが、まだまだたくさんあるんだろうね」

光「でも師匠はこうも言ってた」

光「大人になっても、決して忘れちゃいけない大事なものがある」

光「それが、ワクワクする心だって」

龍亞「ワクワク?」

光「それがある限り、大丈夫なんだってさ。だからアタシも、忘れないようにしてるんだ」

龍亞「そっか……じゃあ、俺もそうする。ワクワクを忘れないように、がんばるよ!」

光「またデュエルしよう」

龍亞「もちろんだ! ……といっても、次に日本に来れるの、いつになるかわかんないけど」

光「いつかは会えるよ」

龍亞「そうだな。いつかまた、デュエルだ! その時はまた俺が勝っちゃうもんねー」

光「言ったなあ? 次はリベンジだぞ、リベンジ!」



麗奈「……なーんか、いい感じ?」

龍可「というより、友情を深めているだけに見えるけど」

裕子「勝負の後には握手して、サイキック讃えあい、ですね!」

龍亞「ごめんよ、龍可」

龍亞「今までいろいろ勝手にひとりで焦って、いじけてて」

龍可「ほんとにね」

龍可「でも、もういいわ。龍亞が元気になってくれたから」

龍亞「龍可……ありがとう。俺、もっともっといい兄ちゃんになるから!」

龍可「うん! それじゃ、遊星のところに行きましょ!」

龍亞「おう、さっそく明日行こう!」

翌日 ネオ童実野シティにて


龍亞「って感じでさ、HERO使いの子とデュエルしてすっげえ楽しかったんだ!」

龍可「最後はお互いに『ガッチャ!』なんてポーズとってたわね」

遊星「………」

龍亞「遊星?」

龍可「どうしたの? びっくりしたような顔して」

遊星「……いや、なんでもない」

遊星「久しぶりにふたりの元気な顔が見られてうれしい」

遊星「よかったな、龍亞。その出会い、大切にするんだぞ」

龍亞「うん! もうアドレス交換もしちゃったもんねー」

龍可「龍亞? わかってると思うけど、光ちゃんに恋とかしちゃダメだからね」

龍可「アイドルと恋愛なんて、すっごく大変なんだから」

龍亞「わかってるわかってる」

龍可「本当かしら」ムー

その日の夜


龍可「すぅ……すぅ……」

龍亞「ぐぅ……ぐぅ……」

遊星「(ふたりとも、よく眠っているな)」

遊星「(夜風にでもあたりに行くか)」




遊星「………」

遊星「十代さん。あなたもまだまだ、現役で頑張っているんですね」

遊星「いつの日か、あなたや遊戯さんとデュエルできる時を楽しみにしています」



おしまい

おまけ


龍亞「遊星の部屋に」

龍可「大きな女の人のポスターが……」

遊星「ああ、それはもらいものなんだ」

遊星「俺の応援しているアイドルのチームでな」

龍亞「なーんだ。やっぱり遊星も女の子に興味あるんじゃん!」

龍可「アキさんに至急知らせないと……」

遊星「?」

おまけその2


武内P「それでは、『シンデレラの舞踏会(仮)』に関連する企画案についての意見をうかがいたいと思います」

武内P「前回の話し合い以降、何か新しい案を思いついた方はいらっしゃるでしょうか」

凛「……はい」

武内P「では、渋谷さん」

凛「パワー・オブ・ガッチャ」

武内P「………」

武内P「ガッチャ?」



未央「あ、それいいかも」

卯月「あのデュエル、よかったですよね」

李衣菜「ガッチャってなんかロックな雰囲気ある単語だよね」

みく「そうかにゃ?」

智絵里「ええと……ガッチャって?」

かな子「何日か前に、中庭でデュエルがあったんだけど――」

莉嘉「あ、わかった! 常務にデュエルで勝負を申しこめばいいんじゃん!」

みりあ「わー、楽しそう!」


武内P「……よくわからないので、とりあえず説明をお願いします」

終わりです。お付き合いいただきありがとうございました

デュエルに関しては、ガチカードやガチデッキではなく本人のキャラに合ったものを考えました
まともなデュエル描写を書くのは初めてなので至らぬ点は多々あったと思います。非力な私を許してくれ

遊星の弟子の龍亞VS十代の弟子の南条くん、みたいな形になりました。この二人はおそらく好みがかなり似ているのではないでしょうか
龍亞の召喚口上を聞いているとそう感じます

次を書くとしたらどうなるかはわかりません。特にネタ思いついてないです

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