由比ヶ浜「あたし、本当のビッチになっちゃったんだー・・・」 (58)

取り敢えずスレ立て所か書き込み自体初チャレンジで正直スレ違いの可能性にビクビクしながら俺ガイルSSの投稿していこうかと思いますので気が向いた方は少しばかりのお付き合いお願いします

書き溜めはもう全部終わっているので完走前提です
読みづらい等の意見などはこのSSには殆ど反映出来ないと思いますがご了承いただけると幸いです

後内容ですが砂糖吐けるような甘さは無くどちらかというとコーヒに少しばかりのミルクで口当たり柔らかくして苦味を飲み込んだ最後の方で底に沈んだ砂糖で口直しって流れになるかと思います

こんな感じの文章を書くタイプなので読む読まないの参考にして下さい

では、始めます

カーテン越しの朝日をぼんやりと浴びつつ漏れた言葉は誰に届くわけもなく溶けてしまった

隣では大学の男友達が何も着ずに眠っている


いわゆる朝チュンってやつ?


雑誌や少女マンガで使われてたシチュを思い出しつつ周囲を見渡すとお酒の缶や食べ散らかしたおつまみが目に入る

そうだ、昨日は大学から近いとこに住んでる男友達の所にお邪魔したんだった

それでシャワーも浴びないでそのまま寝ちゃったんだ

汗臭いしシャワー借りちゃおう

いつもより足腰に力を入れつつバスルームに向かう


おっといけない着替えも持ってかないと


昨日の下着は袋に入れて予備の下着と薄い生地の服、デニムのショートパンツを持ってバスルームへ

頭のおだんごを解きつつ鏡を見ると昨日の余韻か少し気の抜けた雰囲気と目のむくみが気になる


うー・・・そんな遅くまでやって無いはずなんだけどなー

きゅっと音を立ててコックを捻るとシャワーヘッドから冷たい水が飛び出す

水がお湯に変わったのを確認してから髪を濡らす

ぼんやりとこのバスルームを使い始めたことを思い出す

今年の夏の飲み会、友達同士で集まった場にこの部屋の主はいた

大学入学当初からよく声は掛けられていたがお酒に飲まれ、気がついたらホテルの一室であの人と寝ていた

最初は自分のしたことが信じられなかった

それでも自分を縛っていた枷が無くなった様な気がして、その後も何度も一夜を過ごした

それからというものあたしはいろんな人に体を許した

自分の中の何かが薄くなっていく感覚と共に心も軽くなっていった

今では何人かの男友達はひと声かけたら準備万端であたしを迎え入れて入れる

この部屋の主もあたしの処女を捧げた人ではあるが今や何人かの一人でしか無い

クリスマスが近くなって皆が皆あたしと聖夜を過ごす気満々だ

こうなって初めてのクリスマスをどうしようかとは思っているが、その場のノリでいいかなーとも思う

パーティーにでも行って適当に見繕うでもいいしね

そんなこと考えつつも髪の毛の手入れは余念無く済ましていく

携帯のバスセットも慣れたものだ

男性の家で過ごすことを前提の持ち物なので自然と持ち物は多くなるがしょうが無い

最近回数が多くなっているのが原因か下半身にちょっとした痛みが走る


初めての頃は筋肉痛で少し苦しんだが今はもうそんなことはない思うんだけど・・・


最近ハマっていることに意識が行ってしまいそうなので全身のストレッチを始め考える事を一度やめる

半身浴は出来なかったがしょうが無い

バスルームを出て体を拭き用意していた服を着る

一度家に帰ってから大学に行っても間に合うことを確認しつつ起こさないよう準備を済ませてしまおう

カタンとシャーペンを机に置き少し休憩

黒板の前をウロウロする教授は変わらないスピードで授業を進めるがさっぱり内容が分からない

背伸びして入学した大学はあたしの頭でついていくには少しキツい

大学受験に失敗してすべり止めで入ったこの学校には総武高からの人が混じったそれなりの大学だ

元々あまり勉強の好きではないあたしは最初の方こそ粘っていたが今では友人の手を借りて最低限の単位を取る程度だ

殆どの講義は内容がわからない

自然に窓の外に目が行ったり見つからないよう携帯を弄ったりする

視線を感じ斜め後方を確認するとこないだ飲み会であたしにしつこく話しかけてきた人がアイコンタクトをしていた

笑顔で返して再びシャーペンを取る


ああ、早く終わんないかなー・・・



男「ねぇ、由比ヶ浜さん、だったよね?」

結衣「うん、そだよー。どしたの?」


飲み会での人は講義が終わると直ぐにあたしの方に話しかけてきた

いきなり無下には出来ないので軽く話を合わせる

男「えー、こないだ話したのにそれなくないー」

結衣「あははごめんねー」

男「オレ今の講義全然分かんなくてさーちょっと助けると思って教えてほしんだけどいいかなー?」

結衣「実を言うとあたしも全然ダメだったんだー。もうさっぱりで」

男「そうだったんだーやっぱあの教授が訳分かんねんだな!」

結衣「ホントだよねー」

男「ところで由比ヶ浜さんってこの講義入れてんの?」

結衣「ううん、今日はもう帰っちゃおかなーって思ってるとこ」

男「マジで!?奇遇だねオレも今日終わりなんだよねーどう?この後映画行かね?」

結衣「あー良いかもねー」

男「そうと決まれば早速行こうぜ」

結衣「そうだね、行こっか!」


そう言ってあたしは見ず知らずの人の誘いに乗っかる

この人の狙いはなんとなく感づいていたが、その上で付いて行くことにした

男「いやーなかなかだったんじゃない?」

結衣「そうだねー話題作なのも分かるよー」

男「いやー良かったよー。結衣誘ってつまんなかったらどうしようかとハラハラしてたもんー」


この人と会うのは今日で2日目のハズであるがすでに名前呼びで親しげに話しかけてくる

この手の距離感には慣れているので何も思うところは無いが、ちょっと調子付いてる顔はあまり見ていたくない

それに実はあの映画も既に別の人と見て内容は知っていた

その時と似た様な会話をして流しつつカフェの紅茶を口にする


・・・・・・あんまり美味しくない


大学生になってから外で飲む紅茶は対して美味しいものではない

かつて飲んでいた部室の紅茶が原因であることは間違いない

そんな紅茶ももう久しく飲んでいない

彼女とはここ半年程会っていない

それと同時に彼とも会ってはいない

理由は簡単だ

恋人同士の間にただの友人が居たら邪魔だからだ


ヒッキーとゆきのんは恋人であたしはその友達

そんな関係であれば部外者であるあたしは居辛くなるのは当たり前だ

気にしなくていいと言われても気になってしまうのだ

みんながバラバラの大学に入学してからも時間を見つけてはあの時の奉仕部の様に集まっていた

カフェやゆきのんのお家にお邪魔しては大学の話をしたり共に料理をしたり買い物をしたりした


それが続いたのも1年とちょっとってぐらいかな


あたしは居心地の悪さを感じて二人から少し距離を置くようにしたのだ


男「結衣はこの後まだ時間ある?」

結衣「うんあるよー」

男「そっか、じゃあちょっとカラオケ行かね?」

結衣「いいねー行こっか」


露骨な時間稼ぎとわかりつつも付き合う。恐らくこの人の頭の中は既に夜のことでいっぱいなのだろう

胸へと注がれる視線に気付かない振りをしてカフェを後にした

男「結衣って思ってたとおりエロいんだね」

結衣「ふふ、そうかも、はっ・・・、ん、ん、んぅん、はっ」

男「ふっ、んっ!結衣、結衣」

結衣「あ、あっ、ん、はぁっ、!ぁあ!」

男「ん!・・・・・・・・・・・・はぁ、っ、はあ!はぁ、はぁ」

結衣「ふー、はぁ」

男「・・・・・・結衣」


あたしに口付けをしようと近づいてくる見慣れない顔

思わずその口に指を当てて止めてしまう

そして不自然に思われないよういたずらっぽく微笑んでおく


結衣「ねぇ、もう一回イケる?」


甘い声をだすと中で大きくなるのが分かった

そうしてまた一夜、体温を確かめ合う夜を過ごした

中に出さないからと言われてやった初めてのゴム無しはクセになると言っていた

やっぱり男の人ってゴムあんまり好きじゃないのかな?

そんなことがあってからピルは欠かさないようにしてるけど未だにゴム無しは不安が残る


その、やっぱり最初の感覚は違う、と思うよ


でも男の人にとっては大分違うらしくありとなしじゃ全然反応が違う

そんな顔が見たくてゴムなしを求められたらなるべく応じるようにはしてる


あたしを求める顔にもドキッとするしね

取り敢えず今日はこの辺までで

次の投下は午後8時か9時位になる予定です

それと書き込みして頂いた方へ
言い回しかなり面倒くさいですよねごめんなさい
他にいい表現が思い浮かばなかったもので
あと反応してもらっただけで嬉しかったです

こんばんわ
昼頃に我慢できなくてちょっと覗いた時は書き込みの多さにちょっと驚きました
反応無い可能性も考えてたのでかなり頬緩んでたと思います恥ずかしい

書き込みはドキドキですが物語はブレさせない予定です
少しでも楽しんでいただけるなら嬉しいです

では、続きます



大学の講義はいつも通りわかんない

それでもノートだけは取るようにしてるけどここ最近は眠気が強い気がする

気がついたら講義終了も偶にあったりする

友達に申し訳なく思いつつもノートを借りる時も最近疲れてる?と心配までされる始末

少し熱っぽい気がするのは確かだ

風邪かもしれない


翌日起きてびっくりした

講義の時間はとっくに過ぎた時間に起きた

それどころか殆どの講義が終わっている時間だ

丸々一日サボってしまったようだ

ママに起こされた気もするがどうやらずっと寝てたらしい

喉は渇いて熱もある

ふと近くにはポカリスエットも置いてある

無意識の内に買っていたのだろうか

ベットから降りると軽い立ちくらみがある

取り敢えず鼻をかむ為に体を起こす


風邪拗らせちゃったかな?

頭も痛いし


お気に入りのルームフレグラスも今だけは頭痛の原因になってる気がする

頭痛に顔をしかめつつ、つい乱暴にスティックを瓶から取り出しゴミ箱に入れてしまう

更にむせ返る様な香りが広がり、逃げるように自分の部屋を後にする

すると直ぐ喉に上がってくる感覚に慌てて洗面所に走る

水を流して一気に胃の中を戻す


結衣「・・・・・・・・・っ!!っっっぁ!」


涙と一緒に聞きなれない声が漏れる


結衣「ぁ、げほ、ぇほ!はぁ、はぁ、はぁ・・・」


洗面所の前で立てなくなる

考えちゃダメ、きっと気のせいだ

胸の奥が苦しくなって頭が真っ白になってくる

必死になって不安を飲み込む


大丈夫きっとただの風邪だから


ちゃんと薬だって飲んでたし

そんなことあるわけない

それでも不安は消えない


不安を後押しする様にお腹がちくちく痛んだ


体調不良を押して外に出る

向かうは近所の薬局だ

薬局で妊娠確認薬を買ってトイレに駆け込む

使い方を流し読みしてすぐに使う

生きた心地がしない

握ったスマホは震えていてホーム画面から動かない

スマホのアラームが鳴り、震える手で妊娠確認薬を膝の上に持ってくる


浮かんだ印は、陽性だった


うまく息が出来ない

カランっと音を立てて手から滑り落ちた

あたしの中でも同じ音が鳴った気がした

神様、あたし、なにか悪いことしましたか?


気が付くとあたしは総武高へと足を運んでいた

薬局から自宅に向けた足はいつしか別な方へと向いていた

睡魔と熱で朦朧とする意識の中であたしは、いつかの通学路を通っていたらしい

校門の前まで来て喉の奥が詰まりそうになる

このままあの部室に行けばあの時の彼と彼女に会える気がして

あの時の自分に戻れるような気がして

自分の中で渦巻く感情を見たくなくて目を閉じ、しゃがみ込んでしまう


目を開けたら隣に彼女が居て、彼が来るのを共に待って

クリスマスのイベントをどう成功させるか意見を出し合う為の相談をするための、・・・・・・


でも目を開けてもあたしは制服を着てなかった

熱に浮かされ、夢を見てしまったようだ

当然、彼女は隣に居なくて

彼は、あたしを見てくれなくて

帰るときに目で追っていた背中はもう見えなくて

そして

あたしの方に歩いてくる姿はもう覚えてない


しゃがみ込んでいるあたしの近くを度々誰かが通っている

少し遠回りされている感覚に孤独感が増す


ヒッキーもこんな経験をたくさんしてたのかなー


蘇る記憶の残滓を愛でつつ彼のことを思う

今あたしに出来る最後の現実逃避だった


ヒッキーならこんな状況慣れっこなのかなー


クスッと笑おうとしても声はおろか表情もピクリとも動かない

それでも現実を見たくなくて、彼の面影を辿り続ける

彼の声、仕草、表情を細かに思い出していく


「由比ヶ浜?」


だから、彼に呼ばれる夢を見ることだってあるはずなのだ

なのに

その声は確かなリアリティを持っていた


嘘だ

そんなはずはない

夢をみているだけだ

耳に残ったあの気怠げな声が聞こえる気がするだけの筈だ

期待して顔を上げてもきっとそこに彼はいない

そんな都合のいいことありえないし

しゃがみこんだあたしの目の前で止まる気配

恐る恐る顔を上げてると

変わらない雰囲気を纏った彼が、戸惑った表情で立っていた



結衣「ヒッ、キー?」

八幡「久しぶりだな」

結衣「う、うん・・・」


さり気なく差し出された手を握るとぐいっと立たされる


八幡「こんなところでしゃがんでると不審者と間違われて通報されるぞ」

結衣「なっ!されないしっ!ヒッキーじゃないんだから!」

八幡「俺だってされねぇよ、なんなら気付かれないまである」

結衣「なんでそこで自信満々っ!?」

小町「いやー、正直今のお兄ちゃんは通報されると思う」

結衣「あ、小町ちゃん…?」


制服姿の小町ちゃんがひょこっと顔を出す


小町「やっはろーです!結衣さん!」

八幡「ちょっと、今さらっと俺の存在は不審者としてしか認識されないって扱いしなかった?」


小町「だってもし小町がお兄ちゃんの隣に居なかったら校内で誰かにすれ違う度に目撃証言として職員室に連絡行くよ?」

八幡「なにそれ辛い・・・」

小町「大丈夫だって!きっとその度平塚先生が笑い飛ばしてくれるよ!」

八幡「完全に面白がってんじゃねぇかよそれ」

小町「結衣さんはどうかしたんですか?」

結衣「え・・・?その、歩いてたらいつの間にかここに・・・・・・」

八幡「なに、お前夢遊病だったの?」

小町「お兄ちゃん!女の子にはねーセンチメンタルになってしまう時期があるのです!」

小町「デリカシーの無い発言はポイント低いよ!いつまでたってもごみぃちゃんなんだから」

八幡「なにしろデリケートなもんで、だからこそ安全な自宅に居るのが一番」


変わらないなー、ヒッキーは


たった半年合わなかっただけで彼が変わるとは思えないが、今のあたしは変わらない彼に気持ちが落ち着く

浮かんだ笑みは多分あたしの気持ちが全て詰まった笑みだったと思う

癒やされて、安心して、気の抜いた、疲れた笑みだったんじゃないかな


小町「・・・・・・?結衣さん、大丈夫ですか?」


小町ちゃんがこちらを覗きこむ

ドキリッ、とした

トイレでの光景が頭をよぎり、あたしの現状を思い出す

一緒に思い出したかのように下半身の痛みを感じる

ヒッキーもあたしの異常に目を向けようとする


結衣「あ、あはは。大丈夫だよ!ちょっと考え事してただけ、で・・・・・・」

八幡「なぁ、由比ヶ浜」




八幡「お前もしかして無理してんじゃねぇか?」




ヒッキーの問いかけは、ここ数日のあたしの不安をノックして、なにかが決壊してしまいそうだった

今日の投下はここまでにします
明日も多分これぐらいの時間かもう少し早く投下すると思います

取り敢えず、お疲れ様でした

それでは今日の投下を始めます


小町「ちょっとお兄ちゃん、少し向こう行ってて」

八幡「お?お、おう」

小町「結衣さん、小町には結衣さんに何かあったように見えます」

結衣「・・・・・・」

小町「なんとなくですけど今の結衣さんに必要なのはおにいちゃんな気がします」

小町「でも正直、今の兄に結衣さんを任せるのは凄く危険だと思っています」

小町「小町は兄の幸せは大事ですが雪乃さんと結衣さんもその次くらいには大事です」

小町「結衣さん、兄と雪乃さんを、大事に出来ますか?」



言葉に詰まるあたしを見て、小町ちゃんは少し悲しそうな表情をした


小町「小町は、結衣さんを信じてます。信じたいなーって思ってます」

小町「小町は結衣さんを信じてもいいですか?」


その後小町ちゃんはヒッキーにあたしを送るよう言って帰ってしまう

帰り際に、浮気なんてしたら小町的にマイナスポイントだよ!と釘を指すのを忘れない。本当によく出来た妹だ

ヒッキーは一度ため息をした後あたしに行くぞ、と声をかけて歩き出す

ヒッキーはもちろんのこと、あたしからも話しかけることが出来ずに家の近くまで来てしまった


結衣「ヒッキー、ここでいいよ」

八幡「あ?おお」


彼は立ち止まりあたしを見る


八幡「由比ヶ浜、お前一体どうしたんだ?」


ヒッキーの質問が何を聞きたいのかわからなかった

でも早く返答しないとマズイことになる

優しい彼のことだきっとあたしのネガティブな感情には気付いてる

ポジティブな事には一切目が行かない癖にその逆の感情にはいくら隠しても気が付かれてしまう



ヒッキーはまた歩き出しこっちに近づいてくる


やめて、これ以上あたしに近づかないで!


俯き、唇を噛むあたしに一歩分の距離を開けて立ち止まるヒッキーは躊躇いがちに額に手を当てる


八幡「やっぱり、お前熱あるだろ」

結衣「え?」

八幡「足取りも覚束ないし、顔もずっと赤い。どうせ家すぐそこなんだろ?さっさと帰って休め」

結衣「う、うん」


至近距離であたしを気遣うヒッキーから慌てて顔を逸らして一歩下がる


八幡「・・・・・・流石に傷つく」


あたしの様子をみたヒッキーはズーン・・・って聞こえそうなほど落ち込んでいた


ヒッキー、イジケてる子供みたい


笑いを堪えられないでいるとむすっとしたままあたしの家に向けて歩き出す

彼の背中を追いつつもこみ上げる何かを無理矢理あたしの中に押し込めた

参考にしたいのですがどの辺がですか?


結衣「あたし、妊娠したっぽいんだー・・・」

八幡「・・・・・・・・・・・・そ、そうか・・・・・・その、オメデト・・・・・・」


ヒッキーは動揺と苦虫を噛み潰した様な凄まじい葛藤を混ぜつつぼそぼそと告げる


八幡「由比ヶ浜がどんなやつを選んだのか知らないが、その、なんだ」

八幡「お前が選んだ相手なら恐らく良い奴なんだろうな・・・・・・」


やめてよ


八幡「この時期に身ごもるくらいなんだ、えーと」


それ以上言わないで、お願い・・・!


八幡「お前が幸せなら俺から言うことは、な、に、・・・・・・も」


無意識の内に涙が溢れ出して来て、何も考えられない


八幡「由比ヶ浜?」


嬉し泣きじゃないことを感じ取っているのかあたしに近寄り気遣う声色を掛けてくれる

そんなヒッキーのぬくもりが欲しくなって胸元に抱きついてしまう


結衣「あ、あたし、・・・グスッ!誰との、間の子か、わがんないの、・・・ヒック!」

八幡「っ!!」
八幡「お前!」

結衣「どうしようビッキー・・・あたし、あたし・・・!あ、っ、ぅああああああ!」


一度決壊してしまったら、一度思ってしまったのなら、もう取り繕うことは出来なかった

あたしの中の不安を始めとした感情はとうとう蓋を押し出して溢れ出る


身籠った


女としての幸せの象徴と言っていいハズの存在はあたしにとっては汚れの証だ

手当たり次第の人に体を許して授かった子は本当なら愛し、愛される人との間に出来るものなのに

生涯を誓った相手どころか付き合っている人もいない


それなのに子を持ったあたしはビッチなのだろう


愛ではなく体だけの関係を欲したあたしはきっと天罰を受けたのだ

嘘を付いて誤魔化して周りに合わせるだけのあたしは間違いなく悪いことをしたのだ


どうしてこんなことしちゃったんだろ、と理由を探すまでもなく開いた蓋から漏れる感情が叫ぶ


どうしてあたしを選んでくれなかったの!?

あたしの方がずっと彼のこと想ってたのに!

なんであたしじゃなくて彼女を選んだの!

あたしはずっとヒッキーを見てたのに!


 なんで、なんでヒッキーはあたしから目を背けるの・・・?


あたしは、ゆきのんとヒッキーが羨ましくて、妬ましくてしょうがなかったんだ



不意に見せる表情だったり、愛おしげな仕草だったり、穏やかで満たされた空気だったり

彼の愛情を一心に受けるゆきのんを見るのが辛かった

彼が面倒臭いと言いつつ彼女に尽くす姿を見るのがたまらなく悔しかった

なんで彼の見る先があたしじゃないんだろうと何度も声を殺して泣いた

何度も何度も折れかかった心を持ち直すのは辛くて耐えられなかった

でも二人が幸せならそれでいいとずっと思ってた、思っていたかった

自分の中の醜い感情を認めたくなかった

ヒッキーがゆきのんに、しょうが無いとか、嫌そうな顔を向ける度に


あたしならそんな事しないよ

だからあたしと付き合って


そんな言葉を飲み込み、目元を隠した

あたしは、ずっとずっと


嫉妬していたのだ

今日の投下はこれで終了します お疲れ様でした

ごめんなさい
一部抜けている部分があったので今日修正入れます

>>44 由比ヶ浜さんには幸せになって欲しいと切実に思ってます
   あんな一途な女の子が幸せにならないなんて切なすぎて耐えられません

>>33 >>26 の間に入る話が抜けていました

それと今日は諸事情で約4時間後の1時に続きの投下をします

>>33 >>36 の間

ママはヒッキーを見てあらあらとテンションが上がるが、あたしの様子を見て穏やかに上がっていってと言う

彼は珍しく素直にうっすと言って通してもらっていた


八幡「さて、熱もあるとこだし手短に済まそう」


立ったまま話を始めるヒッキーに少し違和感を感じる


結衣「そだね、座ったら?」

八幡「いや、すぐ帰る。本当なら後日にしたいくらいだがな」

八幡「それでも今のお前はちょっとほっとけないんでね」


そっか今のヒッキーいつもに比べて強引なんだ

だからだろう。あたしの中でせき止めてる言葉が出てきてしまったのは

予告より少し早いですが寝ちゃいそうなので投下します



一度泣いた後は涙と一緒に感情まで流れでてしまって何も考えずにヒッキーに引っ付いた

ヒッキーの服を掴んだ手は力が緩んでくれない


彼には付き合っている恋人がいる、だから甘えちゃいけない


そう思っていても、今この手離したらそのままここを立ち去ってしまう気がして

ヒッキーは抱きつかれたまま固まっていた

躊躇いがちに伸びた手がひと通り泣いた私の頭を撫でて慰めてくれる

その手つきが優しくて、またジワッと来てしまう


さすが腐っていても彼女持ち


結衣「ごめん、取り乱した・・・」

八幡「いや・・・」ギリッ

結衣「えへへ」スンッ

八幡「無理やり、やられたのか・・・」

結衣「・・・・・・うんうん、自分から」

八幡「・・・・・・・・・・・・・・・そうか」

結衣「もう、ヒッキーにビッチって言われてもしょうがなくなっちゃた」

八幡「・・・・・・」


結衣「ねぇ、ゆきのんとヒッキーはどう?うまくやってる?」

八幡「ああ」

結衣「そっか・・・
   よかった、なんかちょっと救われた気がする」

八幡「・・・・・・」

結衣「やっぱりさー、ちょっと思っちゃうんだー

   あの頃に戻りたいなーって
   ヒッキーが居て、ゆきのんが居て、みんなで幸せな時間を過ごしてたあの時に」

八幡「・・・・・・」

結衣「何が『本物』か解った気がして、手に入れられそうな気がしてたのに

   結局わたしには解んなくなっちゃた
   でもヒッキーもゆきのんも多分解って、手に入れられた
   もう少しだったんだけどなー、どうしてこうなったんだろ」


結衣「・・・・・・ねぇヒッキー」

八幡「・・・・・・」

結衣「ヒッキーとゆきのんなら、手放したりしないよね?」

八幡「・・・・・・当たり前だ
   あの傲慢、冷徹な効率主義者の氷の女王が手に入れたものだ
   そう簡単に手放すわけがないだろ

   俺も、お前も」


苦しそうにこちらに向けられた流し目は直ぐに痛ましいものを見たかのように逸らされてしまう

押し潰されないように必死になって堪える彼の顔に、あたしは・・・・・・疼いた


そこで、私の中に火が、灯る。とても、黒い火だ

自分の中にこんな感情が燃え上がるとは思ってなかった


今まで思いつきもしなかった分、



          一度思いついてしまった今となっては、



                         取り繕うことなど出来はしない



 とてつもなく甘美な誘惑だった



結衣「ねぇヒッキー、えっちでもしない?」

わたしは小町ちゃんの顔を思い出しつつそう言った


俯いたヒッキーの拳に力が入るのが視界に入る


結衣「あたしも経験積んだし、ヒッキーもゆきのんとだけじゃつまんないでしょ?」


震えるのを我慢する。あたしも多分ヒッキーも


結衣「最近はナマの方がいいなーって思ってるし、ゆきのんじゃ出来ないプレイも出来るよ」


無意識に谷間を見せるような蠱惑的なポーズで甘えた声が出る。これは一体誰の声なんだろう


結衣「ねぇ、」


慣れた手つきでヒッキーの内股をなぞってズボンのチャックに伸びていく

その手をヒッキーは乱暴に掴んで、腹のそこから絞り出すようにして呟く


八幡「止めろ由比ヶ浜・・・!」


顔を上げこちらを睨みつけるヒッキーはわたしがこれまで見たことがない怒りと悲しみの形相だった

いつものような感情を隠そうとしつつする表情じゃない

微塵も隠そうともしない剥き出しの怒気と泣きそうな瞳が一線を超えたことをわたしに突き付けていた


痕が残るほど強く掴んだ私の手を振り払い立ち上がる

見下ろすヒッキーにわたしの言葉はもはや届かない

多分ここがわたしの終着点なんだ


八幡「由比ヶ浜、少し覚悟してくれないか」

結衣「ん。大丈夫。」


ここに来て、ヒッキーに全部話した

わたしの全てを見せつけた

多分こうなることを望んで

だからもう、覚悟は出来てる


八幡「俺はお前に失望した」


結衣「・・・・・・っ」ジワ

八幡「由比ヶ浜結衣と言う人物に対し、俺は心底気持ちが悪いと思う」


言葉の暴力は胸を突き刺してヒドイ痛みを伴う

覚悟なんてなんの役にも立たない


八幡「裏切った、って言葉には乗せきれない
    こんな気持ちになるのは初めてだよ」


かつて好きだった人にこんな目を向けられて、耐えられる気がしない

彼の優しさを知ってる分辛かった


八幡「今のお前の存在には苛立ちしか感じない

    お前に対しても、-----自分に対してもな

    なぁ、由比ヶ浜」


トンと足音を鳴らして一歩分距離が空く

彼が帰ってしまう

この時間が終わることに安堵と共に取り返しの付かないことをした後悔が同時に押し寄せる

でも、これは必要なことだ

自分の気持ちに蓋をするには避けては通れない道だ

それでも今あたしの胸の痛みに涙が溢れ出すのが止められない


八幡「今のお前はかつての俺のやり方そのものだ

    今のお前はあの時の俺を見てい気がして酷く気分が悪くなる

    どうしてそうなってまで、俺たちを頼ってくれないんだ?」


ひっきー・・・?


彼は少しだけはなれた位置で、今にも泣いてしまいそうな声で、あたしに問いかけてくる

歪んだ視界に映るこの光景、この瞬間は、間違いなく、あの時間だ


八幡「俺は、確かにあの時、話しても分かり合えるとは限らないと言った
    けどな、言わなきゃずっと分からないと言ったのは由比ヶ浜、お前だろ?
    俺の欲しかった本物、はこんなんじゃない」


途切れ途切れの言葉はもう暴力では無くなってた

その分、別な感情が込められた言葉はあたしの奥底まで響いている


結衣「あたしだって、本物がほしい!」


結衣「そんなこと、ヒッキーに言われなくたってわかってる!」


かつて彼が望んだことが、彼だけの願いとは限らない

彼の願いはあの場にいた全員に例外なく伝染してしまった


結衣「だから、あたしを、」


だから出掛かったあたしの願いは多分心の奥に沈めた本心だったのだろう

考える間も無く、配慮も遠慮もしない自分勝手な願い事を言いかけた

ヒッキーに伝えてもきっと彼を困らせるだけだと分かっている願いだ

飲み込むことが出来たのはドアをノックする小さな音と少しだけ覗かせる気まずそうな顔だっただった


ママ「結衣ー・・・。大事なことなのは分かるけど、もう少し静かにお願いしてもいいかしらー?」


うー・・・

ママ・・・・・・

本当に空気読んで欲しいよ


結衣「分かったっ!分かったから!ちょっと向こう行っててっ!」


ヒッキーは顔を両手で隠して自分の存在を消そうとしてる

真っ赤な耳までは隠せてないけど

話が中断されてあたしとヒッキーのテンションは一気に落ちて冷静になる

おずおずと座るあたしたちは多分似たり寄ったりな顔をしてるはず


結衣「・・・・・・・・・」

八幡「・・・・・・・・・」


あたしもヒッキーもすっごい恥ずかしいことしてたや


八幡「あー・・・、てかお前、さっき本気で俺を誘えるって思ってなかったろ」

結衣「うーん、そうかも」


まだ恥ずかしさから抜け出せない


結衣「考えたら、ママだっているしね
    あたしだってヒッキー誘ってそのままえっち出来る気しないかなー
    それにヒッキーにゆきんの以外、抱けるとは思えないよ」

八幡「・・・確かに
    まぁ、それに、その。俺の童貞をくれてやるのは雪ノ下って決めてるからな」

結衣「・・・・・・・・・・・・え、それって」


え?

ヒッキーが童貞卒業してないってことは、


ぇえ?


えええええええええええぇっ!?


だ、大学生でしかも交際2年の男女が一回もエッチしてないってこと!?

イメージし辛いとは思ってたけどまさかこんなカップルがいるとは思わなかった


開いた口が塞がらないわたしをみてヒッキーは凄い複雑そうな顔で真っ赤にしている


八幡「その、そうゆう雰囲気になったことはあるんだが、そのー、あー・・・求められてないんじゃないかって・・・」

結衣「えーそんなこと絶対ないよっ!ゆきのんはヒッキーになら絶対して欲しいって!」

八幡「いや!あー!だ、だがカップルだからって考えなくいたすのはそのー・・・・・・」


もにゅもにゅ言うヒッキー可愛い・・・・・・!


ヒッキーの表情にテンションが上がってしまったあたしを恥ずかしげに見て

八幡「くっ・・・・・・こn、・・・・・・・・・。」

途中で強制的に口を閉じる彼の様子に言いかけてた言葉の続きを悟る

あたしは僅かな彼の気遣いに触れてまた胸の奥がジワリと熱くなる


あたしの中で燃える火は少しずつ大きく、熱くなっていく

封じ込めて忘れようとしていた熱はもうあたしの中には収まりきらない

黒かった火は更に上回る大きな炎に飲み込まれてしまった


あたしはヒッキーが好き


もうこの気持はどうしようもないくらい大きなものになってる


 ヒッキーの側に居たい


この気を抜けば焦がされてしまう様な熱はもう止められない


  ヒッキーと話したい


あの頃だって彼が好きだった


   ヒッキーに受け止めてほしい


でもあの頃のままじゃいられない


    ヒッキーに、愛して欲しい

だって


     ヒッキーに、あたしの愛を伝えたい


彼はあたしの親友と付き合ってるんだもん


       貴方を、愛してます



「ずっとずっと、好きでした」


          貴方の愛を、あたしにも下さい


「こんなあたしですが、これからも好きでいさせて下さい」


                貴方の人生にあたしを連れて行って下さい


溢れた思いは止まることなく口を付いて言葉となり、願いは涙となって頬を滑り落ちた

こうして由比ヶ浜結衣の恋心は再び鮮やかに燃え上がった

今日はここまでです 機会がありましたらまた

あ、それと午後8時頃の書き込みにてこのSSは終了とします
最後の書き込みを残す気はないのであしからず

レスをくれた方には感謝を
ここまで読んでくれた方にはお礼を

ありがとうございます

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年08月11日 (火) 06:53:26   ID: MugBwuIu

神作乙

2 :  SS好きの774さん   2015年08月11日 (火) 13:29:56   ID: aR1lKSk5

超面白かった。続きがすっごい読みたい

3 :  SS好きの774さん   2015年08月11日 (火) 14:23:51   ID: OzB5qPqk

結衣「あ~!!超お腹減ったしっ♪♪」

4 :  SS好きの774さん   2015年10月31日 (土) 03:10:55   ID: shttmpQH

ケータイ小説じゃん

ビッチに何を言わせても滑稽なだけだろ

5 :  SS好きの774さん   2016年04月21日 (木) 22:57:38   ID: uMW8Tom_

ゴミ

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