穂乃果「天国に一番近い矢澤」 (260)

にこ「……はぁ」テクテク

にこ「今日もバイトだけで一日が終わったわね」

にこ「ったく、こっちは何かとお金がかかりすぎなのよ」

にこ「……」テクテク

にこ「……もうそろそろ潮時ね」

にこ(高校卒業後にアイドルを目指して上京してきて早二年)

にこ(念願のアイドルになれたものの鳴かず飛ばずで、やってることはただのフリーター
もうそろそろ地元に戻るってのも……)

にこ「そう、ね……。今からブレイクするとしても歳だって……
うん、やっぱりそうしよう」

にこ「そうと決まれば早速明日ね。別れを告げる人なんていないし……」

にこ「……よーし!なんだかすっきりしたわね!早速新幹線の予約しときましょう!」

にこ「そして早いところ家に帰ってお酒でも飲まなきゃ!」

にこ「あはははっ!アハハハ……」トボトボ





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にこアパート前

にこ(あれ、家の灯りがついてるわね……、消し忘れたかしら?)

にこ「はぁ、今月も厳しいのに痛いミスね……」

にこ「まあいっか、もう戻るんだし。トップアイドルなんて結局―――」

にこ(まあ、良いわ。早くお酒でも飲んで忘れましょう……)

ガチャ

???「ぷはーっ!やっぱり下界に来たらこれだよね~」

にこ(!? だ、誰かいる!?)

???「あれ?玄関から音がしたけど帰ってきたのかな?」トコトコ

にこ(こ、こっちにくる!ど、泥棒!?いや、ストーカーかも!?)

???「あ、にこちゃんだよね?おかえりー、待ってたよ!」

にこ(や、やっぱりストーカー!?そ、そりゃあアイドルなんだし
それくらいはあるかもと思ってたけど)

???「あれれ?違ったかな……いいや!そんなはずない!
神様がくれたデータと特徴が一緒だもん!」

にこ「さっきから一体何を言って……
そ、それより誰なのよアンタ!雅から本当にストーカー―――」

???「あっ、そうだったよね。ごめんね、私の名前は穂乃果だよ!」

にこ「ほ、穂乃果……?」

穂乃果「うん!これからよろしくねっ」

にこ「っ……!そういうことじゃないわよ!なんで私の家にいるの?
なんで名前まで知ってるのよ!」

穂乃果「うーん、その辺話すと長いから立ち話もあれだしさ
取りあえず中入ってよ!お酒でも飲みながら説明するからさ!」

にこ「な、人の家で我が物顔してるのよ!それにそのお酒だって私のだし……
アンタ今すぐ出て行かないと大声出すわよ!」

穂乃果「うっ……け、警察沙汰はちょっと……怒られちゃうから……」ブルブル

にこ「はあ?不法侵入かましといて何言ってるのよ」

穂乃果「うぐぅ……い、いやぁ……これには色々理由がありまして……」アセアセ

にこ「理由?……やっぱりあんた私のストーカーなの……?」

穂乃果「ち、違うよ!ストーカーなんかじゃなくてその……もっと神聖でいい存在的なですね」

にこ「―――」ピッピッピッ

穂乃果「あ、あの……そ、そのいじってるのって携帯だよね?確かこっちではガラケーとか言う……」

にこ「もしもし警察ですか。ウチに不審者が―――」

穂乃果「ぎゃあああっ!!待って待って!警察は駄目!査定下がっちゃうから!減点だよ減点!」

にこ「だああっ!だったら早く名乗りなさい!じゃないと本当にするわよ!」

穂乃果「わかった!わかったから待ってっ!穂乃果は!穂乃果は天使なんだよ!
だから警察はダメェェェッ!」

にこ「……?」

穂乃果「穂乃果は天使!天使なの!天使に警察は御法度なんだよ!」

にこ「そう……」ピッ

穂乃果「ほっ……いや~本当に信じてもらえるかが不安だったんだけど―――」

にこ「―――もしもし、救急ですか?」

穂乃果「って信じてない!?だああああっ!救急もだめーっ!」ガシッ

にこ「話なさいよっ!天使とか誰が信じるのよ!」ジタバタ

穂乃果「待って待ってええ!話を……話を聞いてー!」



数十分後

にこ「……それでつまりアンタはダメ人間である私が
本当に生きる価値がないのかを見に来た天使ってわけね」ズタボロ

穂乃果「そ、そうだよ!ようやく信じてくれたみたいだね!
いやぁ……揉み合ったりとここまで随分長く―――」

にこ「……」ピッピッピ

穂乃果「だから通報は駄目えええっ!」パシンッ

にこ「くぅーっ!信じられるかああああっ!いきなり現れてダメ人間やら
生きる価値がないとか死ぬとか何様よっ!」バアァンッ

穂乃果「えっと、天使様?」ナンチャッテ

にこ「……」プチーン

穂乃果「えへ、えへへ……」

にこ「出てけええええええええっ!」

穂乃果「うわぁぁぁんっ!このままだと死んじゃうんだよ!?命題を達成しなきゃダメなんだよ!?」

にこ「信じられるかぁぁぁぁっ!」ボコスカ

穂乃果「ひいいいいっ!」ダッダッダ

ガチャッ

にこ「よしっ!チェーンも閉めて……!」ガチャン

にこ「これで良しね。まったくなんだったのよ……新手の宗教?」

にこ「ったく……散々食い散らかしてくれたわね」ヨイショット

にこ「アイドルグッズ達に手を出されなかったのだけが救いね」フゥ

にこ「ポスターも無事みたいだし。まあ良しとしますか」

にこ「はあ……本当に警察に突き出してやればよかったわ……ん?」ペラッ

にこ「これ……」

穂乃果『でね!これが命題だよ!これクリアしてダメ人間じゃないって証明してかないと
にこちゃんは死んじゃうんだ!』

にこ「っ……」ブンブン

にこ「嘘に決まってるわよ!全く……」チラッ


『命題
  2015年9月20日13時までにトップアイドルの夢を諦めたら即死亡』

にこ(でも……でも、なんで)

にこ(なんで時間が……私が予約した電車の時間と同じなの……!)

~~~~~
次の日 9月20日 12時30分 新幹線乗り場

にこ「……ここまでは何もなかったわね」

にこ「別に信じてる訳じゃないけど、さすがに拍子抜けね」

にこ「そして、この荷物の少なさにもね」チラッ

にこ「鞄一個だけとか本当、東京でなにやってたんだか……」

にこ「まあそれも今日までか……事務所には落ち着いてから適当に連絡しとけばいいわよね……」

にこ「どうせもう私になんて……ふんっ」テクテk

ガシッ

にこ「……何よ」

期待

穂乃果「これ乗ったら……死んじゃうんだよ……?」

にこ「アンタ、あんなの信じると本気で思ってるの?
変な宗教の勧誘なら別行ってくれる?」

穂乃果「うぅ……やっぱりまだ信じてくれないんだね……」

にこ「当然よ。ほら、いいから離しなさいよ―――まさか力づくで……」

穂乃果「そ、そんなことはしないよ!穂乃果は天使だもん」プンプン

にこ「はぁ……まだ言ってるのね。まあもういいわ……じゃあね」

グググッ

にこ「何よ。酒代払わせるわよ?」

穂乃果「もう一度考え直そうよ……」

穂乃果「そうだよ……この電車に乗るってことは夢を……夢を諦めちゃうってことなんだよ……?」

にこ「っ……!」

穂乃果「それでいいの……?ずっと頑張ってきたんだよ?一人で東京にまで来て
アルバイトしながら……」

にこ「アンタに……昨日会ったばっかりのアンタに何がわかるのよっ!黙ってて!」

穂乃果「確かに昨日会ったばかりで……にこちゃんのことデータでしか知らないことも多い……」

にこ「だったら……軽々しく口を出さないで……!」

穂乃果「でも……これだけはわかるよ!にこちゃんが本当にアイドルが好きだってこと!
少しでもあの部屋にいれば伝わってくるよ!」

にこ「っ……!」

穂乃果「あんなぼろぼろのアパートで、家具だって最低限なのに……
グッズはいっぱいあって、どれも新品みたいにピカピカで……」

にこ「―る―い」

穂乃果「穂乃果はバカだけどわかるよ……アイドルが大好きでずっと憧れてたんだって……」

にこ「う―さい――」

穂乃果「そんな大切な夢を諦めちゃったら!
死んじゃうみたいなものだよ……!」

にこ「うるさいっ!!!」

穂乃果「っ……」ビクッ

にこ「何よ知ったほうなことをベラベラと……私が簡単に夢を諦めたように思うの!?
どれだけ頑張ったかアンタにわかるの!?」

にこ「一人でこっちまで来て!住む場所も、入れてくれる事務所も探して!
アイドルだけじゃあ食べていけないからアルバイトだってして!」

穂乃果「にこちゃん……」

にこ「ずっと一人で……やってきたのよ……」グッス

にこ「諦めきれるわけない……けどもう、いいでしょ……私だって……疲れたの……」ポロポロ

穂乃果「つらかったんだね……」

にこ「……当然じゃない」グス

穂乃果「そうだよね。こんな知らない場所で……たった一人で……頑張ったもんね」モギュッ

にこ「うっさい……離して……」ポロポロ

穂乃果「離さないよ」

にこ「なんでよ……」

穂乃果「もう一人じゃないんだよ」

にこ「っ――――!」ポロポロ

穂乃果「つらい時は穂乃果が傍に居るから、泣きたい時は一緒に泣こうよ
大変なときは一緒に頑張ろう?だから……もう一度だけ一緒に走ろうよ」

にこ「い、一緒にって……」

穂乃果「穂乃果はにこちゃんの天使だもん
にこちゃんが頑張るなら穂乃果も一緒だよ?」

にこ「で、でも……それでもまた無理だったらどうするのよ……」

穂乃果「ふふっ、大丈夫。穂乃果知ってるんだ」

にこ「何よ……」

穂乃果「神様はね、乗り越えられる人にしか試練を与えないんだよ」

にこ「っ―――」ポロポロ



<デンシャガハッシャシマスホームノシロイセンカラハナレテクダサイ

穂乃果「行っちゃった……」

穂乃果「これで、良かったんだよね……にこちゃん」

にこ「……ええ。これでいいの」

穂乃果「……うん」

にこ「ねえ、やっぱり私は死んだと思うわ」

穂乃果「え?ど、どういうこと?だってにこちゃんはここに……」

にこ「……昨日までの腐った矢澤にこは死んだのよ
ここにいるのはまた違う私よ」

穂乃果「……!うんっ!よーしこれから穂乃果も天使として精一杯頑張るぞーっ!」

にこ「……あ、言っとくけど別にアンタが天使だって信じたわけじゃないわよ?」

穂乃果「え……ええええっ!?」

にこ「当然じゃない。天使なんているわけないし」

穂乃果「あそこまでしたのにっ!?」

にこ「別に天使らしいことしたわけじゃないでしょ?アンタはただのストーカー一号よ!」

穂乃果「うえぇぇっ……そんなぁ……」

にこ「……まあ、感謝はしてるけどね」ボソッ

穂乃果「まあいっか、これから時間はいっぱいあるし
徐々に信じてもらえば……よし!じゃあ帰ろうかっ!」

にこ「そうね……ってそういえばアンタってどこに住んでるのよ?」

穂乃果「ふぇ?もちろんにこちゃんの家だよ?」

にこ「……は?」

穂乃果「?」

にこ「いや、冗談は良いから……家くらいわからないと連絡取りにくいじゃない」

穂乃果「それなら大丈夫!これからはずっと一緒だからね」フンス

にこ「あ、アンタ……それまさか本気で……」

穂乃果「とーぜん!天使ってそういう物なんだよっ!」

にこ「もしかしてその設定でゴリ押す気なの……!?」

穂乃果「だから設定じゃないってー!それより帰り買い物しよ!お布団とか買わなきゃ!」タッタッ

にこ「ちょ!勝手に―――」


にこ(まあ……でもいいか。一人には飽きてたとこだし)

にこ「……ちゃんと責任とりなさいよね」ボソッ

穂乃果「ほらー!早く行こうにこちゃん!」

にこ「ああもうわかったわよっ!待ちなさい!」

穂乃果「どんなお布団買おうかな~♪」

にこ「お金は自分で持ってるんでしょうね」

乗り越えたら見えてくるさ~

穂乃果「大丈夫だよ~。神様に経費はある程度もらえてるから♪」

にこ「何よ経費って……」

穂乃果「ウチはホワイトだからね!」フフン

にこ「なんでそこ誇らしげなのよ……もう、とっとと行くわよアン……こほん。穂乃果!」

穂乃果「うんっ!」




次の日

穂乃果「ぐう……ぐう……」zzz

にこ(まったく……流されて済ませることになっちゃったけど
あのぐうたらペ天使は何時まで寝てるのよ……!)ジュージュー

にこ「ったく、居候なんだから私より早く起きてご飯ぐらい作りなさいよ……!」

<それでは次のニュースは昨日会った新幹線での謎の爆発事故です

にこ「ん?」

『2015年8月20日13時15分に突如新幹線の一部車両が爆発した事故が―――

原因は依然不明であり―――

なお、奇跡的に爆発した車両に乗客はいなく―――

今後の調査が―――』


にこ「この時間……この新幹線にこの車両……ま、まさか……」ゾワッ

穂乃果「ぐごごっ……うごごっ……」zzz

にこ「い、いや……ま、まさか、まさかね……」

にこ「あは……あはははは……偶然、偶然よ……」

にこ「偶然……よね?」チラッ

穂乃果「すやあ……すやあ……」zzz


つづく

なんかのパロか?
まぁ、とりあえずオモロー
期待

天国に一番近い男好き

~~~~~
第二話 曲をもらえ!

2015年10月1日 矢澤ハウス

にこ(私の家には数日前から天使が住んでいる)

穂乃果「にこちゃん~お茶ぁ~!」

にこ(訂正ね、私の家には数日前から自称天使のペ天使が居座っている)

穂乃果「お茶あぁ~!!」

にこ「アンタ家事もせずに毎日お茶だのアイスだの酒だの餡子は嫌だの……一体何様よ!」

穂乃果「だから天使様だって言ってるでしょ!」プンプン

にこ「こぉぉぉんなぐうたらな天使は聞いたことないわよ!天使だって言うなら証拠見せなさいよ!」

穂乃果「え、証拠?」

にこ「そうよ!天使らしく羽根で飛んでみたり、恋人同士をくっつけるとか
輪っかをくぐったりしなさいよ!」

穂乃果「うー……最後のは天使関係ないじゃん……それならできそうだけどさ
でも証拠かあ……そうだ!テレビを見て!」

にこ「テレビ?」

『では、次は明日のお天気をお願いします。―――さん明日のお天気はどうですか?』

『はい!こちらお天気アナウンサーの―――』

にこ「ニュースがやってるだけじゃない」

穂乃果「ふふふっ。見える!穂乃果には見えるよっ!」ジー

にこ「見えるって何がよ……」

穂乃果「このお天気お姉さんはさっきのアナウンサーの人と結婚するよ!」

にこ「は、はあ!?アンタ急に何言ってるのよ……」

穂乃果「えへへ、これが穂乃果の唯一の天使らしい特技、その名も『運命の赤い糸見だよ!』」

にこ「……」

穂乃果「実は天使は人間の運命の赤い糸ってのが見えちゃうんだよね~!
これで誰と誰が付き合ってるとか誰を想ってるかが一発で――「で?いつ結婚するのよ」

穂乃果「ふぇ?」

にこ「だからいつ結婚するのよ」

穂乃果「え……あ……み、見れるのは糸だけだでいつとかまでは……」

にこ「……」ジトー

穂乃果「ま、まさか信じてない!?」

にこ「そりゃねえ……」

穂乃果「えー!?唯一の天使らしい特技なんだよ!?」ガーン

にこ「命題とか言うのだってあれ以降来ないじゃない
アンタやっぱり私のこと騙して……」ジトー

穂乃果「ち、違うって!全くにこちゃんは疑い深いなあ……」

にこ「じゃあなんで命題がこないのよ!」

穂乃果「うーん。今の時期は忙しいんじゃないかな?こっちで言う繁盛期みたいなさ」

にこ「は、はあ?忙しい?天使にも忙しいとかあるの?」

穂乃果「んー。天使がって言うかこの場合は神様がかな」

にこ「神様が?」

穂乃果「ほら、命題って届けてるの神様だし」

にこ「は、はあ!?あの紙って神様が届けに来るの!?」

穂乃果「えっ、天国の常識だよ?」

にこ「そんな常識を私が知るわけないでしょ……」

穂乃果「えへへ、そうだったね!でね、命題は全部神様が直接渡しに来るから
忙しい時は遅れちゃうんだよ」

にこ「神様って一番偉い人よね?なんでわざわざそんなのが届けに来るのよ……」

穂乃果「えーっと、確か経費削減とか言ってたかな?」

にこ「……天国も世知辛いのね 」

穂乃果「『辛い時こそトップが頑張る!』がもっとーのお方だからね!驚きの白さだよ!」

にこ「そのせいで私は待つことになってるんだね……」

ガチャ バタンッ

にこ「んっ?今玄関から何か……」

穂乃果「あー!もしかして!」タッタッタ

にこ「……嫌な予感がするわ」



穂乃果「にこちゃーん!来た来たっ、命題が来たよー!」ピョンピョン

にこ「やっぱり……」ジトー

穂乃果「ん、どうしたの?」

にこ「ちょっとタイミング良すぎなんじゃないの?」

穂乃果「ふぇ?タイミング?」

にこ「だってそうでしょ?命題が来ないって話をしてる時にちょうど来るなんて怪しいわよ!」

穂乃果「そ、それはきっと神様がにこちゃんの為に頑張ってくれたんだよ!」

にこ「そんなことで頑張るならもっと手っ取り早く助けて欲しいわよ」ブツクサ

穂乃果「ほ、ほら!神様は人間の意思を尊重するって昔、天使学校でならったし!」

にこ「何よ天使学校って……。意志ってやるか死ぬかの二択じゃない……まあ別に信じてる訳じゃないけど」ブツクサ

穂乃果「ちゃんと信じなきゃダメだよ!命がかかってるんだから……
ほら、命題の確認しなきゃ!」グイグイグイ

にこ「ああもう。わかったから落ち着きなさよ」ビリビリ

穂乃果「どんな命題が来たの?楽だといいなぁ……」

にこ「えーっと……
『命題
  2015年10月2日7時までに西木野真姫に曲を作ってもらえなければ即死亡』
……は?」アゼン

穂乃果「にしきのまき……?だれだれ?その人に曲を作ってもらえばいいの!?」

にこ「にしきのまき……に曲を……作ってもらう……?」ポカーン

穂乃果「にこちゃん知ってるの?じゃあさっそく頼みにいこうよっ!」

にこ「むしろ穂乃果は知らないの……、西木野真姫を……」

穂乃果「ふぇ?んー。天使学校では習わなかったなぁ……」

にこ「そう……アンタって本当幸せものね」

穂乃果「えへへ、そうかなぁ?―――って!知ってるなら教えてよ!
お互いパートナーには情報を提供し合わなきゃだよ!」フンス

にこ「はぁ……いい?西木野真姫ってのはね。数々の賞を総なめにしてる作曲家よ」

穂乃果「へえー。すごい人なんだね」

にこ「ええ、日本で一番ね。……特にアイドルの曲作りに関してはずば抜けてて
作詞まで一人でやっちゃうのよ」

穂乃果「あ!そういえばにこちゃんのアイドルグッズにもちらほら名前があった気が……」

にこ「そして出した曲は全てバカ売れ。この西木野真姫に曲を作ってもらうのが
トップアイドルになる一番の近道って言われてる程よ」

穂乃果「す、すごいっ!じゃあにこちゃんも一気にトップアイドルだよ!
……そしてこれだけ早く更生できればきっと穂乃果にもボーナスが!」ムフフッ

にこ「甘いっ!西木野真姫の真髄は性格の方にあるのよ!
―――なんでそんなにバカみたいに売れるかわかる?」

穂乃果「いい曲だからじゃないの?」

にこ「もちろんそれがあるけど……。西木野真姫がアイドルに曲を作るのは稀なのよ」

穂乃果「え?」

にこ「どんな大金を積んだとしても決して自分の気に入った人以外には曲を作らない……
ドルオタ界隈では世界一がんこな作曲家とも呼ばれてるほどに……」

穂乃果「うーん……よくわからないけどとりあえず頼みに行ってみようよ!
時間もあまりないしさ」

にこ「時間?」

穂乃果「だってほら、『2015年10月2日7時までに――』って」

にこ「ネエホノカキョウッテナンニチダッタッケ?」

穂乃果「今日は10月1日だよ?」

にこ「……」

穂乃果「にこちゃん?」

にこ「……終わったわ」ズドーン

穂乃果「ど、どうしたの急に諦めモードになっちゃって!」

にこ「西木野真姫に曲をってだけ無理難題なのに……明日の朝って……
ただの死刑宣告じゃない……」

穂乃果「ま、まあまあ!まだ話してもいないんだしさ!」

にこ「アンタは知らないのよ……ネットで広まっている西木野真姫の噂を……」

穂乃果「噂は噂かもしれないよ!ほら、やらないで諦めるなんて駄目だよ!」グイグイ

にこ「ああもう……わかったわよ……」

穂乃果「ほらほら!レッツゴーだよっ!」




真姫宅前

にこ「えーっと確かこの辺りなんだけど……もうちょっと先かしら」

穂乃果「ねえにこちゃん。さっきから穂乃果達が沿って歩いてるこの壁みたのって……」

にこ「はあ?壁に決まってるじゃない」

穂乃果「そ、そうだけどさ……なんでこんなところに壁があるの?」

にこ「なんでってそりゃあ、家があるからに決まってるじゃない」

穂乃果「家って……もしかして……西木野真姫の……?」

にこ「当然じゃない。それより玄関への案内板がないか見落とさないようアンタももっと周囲を見て―――」

穂乃果「えええええええっ!?これ全部が家なのおおおっ!?」

にこ「あーもうっ!うっさいわねえ。今更何驚いてるのよ」

穂乃果「今更も何もふつう驚くよ!?サンクトペテルブルク大学並みに広いよ!?」

にこ「はあ?どこよそれ。……西木野真姫のお宅訪問なんて
半年に一回くらいTVの企画でやってるじゃない」

穂乃果「異常だよ……これが慣れってやつなんだね……」ブルブル

にこ「バカなこと言ってないでとっとと行くわよ
TVだと確かそこを曲がったとこが玄関だったような……っ!」サササッ

穂乃果「ん?どうかしたの―――ふごっ!?」

にこ「ちょっと静かにしてなさいっ」ヒソヒソ

穂乃果「んー!んー!」ジタバタ

にこ「あそこにいるのって……」



ことり「―――!―――!――!」

『――――――!―――!―――!』



数分後

ことり「―――。―――」ペコリ

『――――』



にこ「ふう、行ったみたいね……」

穂乃果「ふごぉー!ふごぉー!」ジタバタ

にこ「あ!忘れてたわ」パッ

穂乃果「ぷはあっ!にこちゃん酷いよっ!一体急にどうしたの!」

にこ「アンタこそどうしてもこうしたもないわよ!
今の見てわからないの?南ことりよ!南ことりがいたのよ!」

穂乃果「ん……?南……ことりちゃん……?」

にこ「そうよ!今を煌めくトップアイドルの南ことりがいたのよ!?
一体どうしてここに……」

穂乃果「なんか揉めてるみたいだったね~。それでなんで穂乃果達は隠れたの?」

にこ「えっ?そんなの決まってるじゃない」

穂乃果「ま、まさか昔からの因縁のある知り合いとか……!」

にこ「もちろんその場の雰囲気よ!」

穂乃果「……」ピーポーン

にこ「あっ!こらっ、勝手にインターホンを!まだ心の準備ができてないわよ!」



『……はい』

にこ「にっこにっこにー!貴方に笑顔を届けに来た矢澤にこでs―――『ガチャッ』

穂乃果「ありゃ、切られちゃった」

にこ「く……くう……こっちが勇気を振り絞ってキャラ作ってやってるってのに……!」ピーポーン

『……』

にこ「すみません~!オトノキ芸能の物ですが、実は西木野先生にお願いがありましてぇ!」
キャピッ

『……帰って』

穂乃果「お話だけでも!」

『ガチャ』

穂乃果「あっちゃー。取りつく島もないってやつだね!」

にこ「ぐう……なんだか腹が立ってきたわね!」ピンポーンピンポーンピーポーン

穂乃果「その意気だよ!諦めたらそこで終了って神様も言ってた!」

にこ「持久戦よ!」



数時間後

にこ「……」ピンポーンピンポーンピーポーンピンポーンピンポーンピーポーン

穂乃果「ぐう……」zzz

にこ「穂乃果」ピンポーンピンポーンピーポーン

穂乃果「……!はい!起きてますっ!」

にこ「まだ何も言ってないわよ!アンタ寝てたんでしょ!?」

穂乃果「ね、寝てないって言ったじゃん!」

にこ「自己申告してるようなものでしょ!変わりなさいよ!」

穂乃果「えー!やだよっ!天使はそんな借金取りみたいなことしないもん!」

にこ「アイドルだってしないわよ!……変わらないとアンタの分の夕飯作らないわよ」グヌヌ

穂乃果「う、ぐう……そんなぁ……それだけは、それだけはどうか!」ジタバタ

にこ「さっさと変わりなさいっ!」ウググ

ほのにこ「ギャーキャーワーワー」

ガチャッ

ほのにこ「……ん?」

真姫「……げっ」



真姫の家

にこ「いや~ごめんなさいね。西木野先生自らお迎えに来て下さって」オホホホ

穂乃果「いやー。てっきり穂乃果は無視されてるのかとばかり思っちゃった!」

真姫「してたのよ!まだいるなんて……インターホンの電源を切ってたのが仇になったわ」

穂乃果「作戦勝ちってやつだね!」イェーイ

にこ「さすがにこにーね!」イェーイ

真姫「くっ……。それで話って何?私だって暇じゃないのよ?」

にこ(っと、そうだったわね……さて、どうやって切り出しましょうか
ここで気に入られるかですべてが決まるわね……)

穂乃果「あのね!西木野せんせーに曲を作ってもらいたくって来たんだ!」エヘン

にこ「そう!私たちは西木野先生に曲を……っていきなりかいっ!」バコーン

穂乃果「え?結論から最初に言うのがいいって昨日TVでやってたよ?」

にこ「それは昨日見た面接特集でしょ!?今は面接じゃないの!ビジネスなの!」

穂乃果「え?ビジネスと面接って違うの?」

にこ「ああもうアンタは―――「こほんっ」

ほのにこ「あ、あははは」チラッ

真姫「それであなた達二人は私にネタを書いてもらいにきたってわけなの?」

にこ「ネタじゃなくて曲よ、曲!お笑い芸人じゃなくて私はアイドルなの!」

真姫「アイドル?へえ……貴方たちが……」

穂乃果「あ、穂乃果はアイドルじゃなくて天使だよ!」

真姫「天使?」

にこ「そ、そういうキャラなのよ!」

穂乃果「えー!?―――ふごっ」

にこ「ややっこしくなるからそのあたりは秘密にしなさいっ」ヒソヒソ

穂乃果「ふごお……」コクコク

真姫「私にはどちらかと言うと芸人の方が向いてると思うけど……」

にこ「ア イ ド ル !」

穂乃果「……」コクコク

真姫「まあどっちでもいいわ。とりあえず帰ってくれる?あなた達に曲を作る気はないわ」

にこ「なっ!?」

穂乃果「そ、そんな……」

真姫「悪いけどいきなりやってきただけの貴方たちに曲を作ってあげれるほど暇じゃないのよ」

にこ「お、お金なら何とかして用意するわ!」

穂乃果「うん!経費出るからっ……多分!」

真姫「お金の問題じゃないわ。むしろお金とかもういらないわよ」

にこ「他のアイドルには曲を作ってるのに……!」

真姫「あれだって知り合いから頼まれたから書いただけよ」

にこ「で、でも……」

穂乃果「任せて。穂乃果にいい考えがあるの」ボソッ

にこ「穂乃果……」

真姫「そういうことだからわかったのなら―――」

穂乃果「西木野せんせー……いや真姫ちゃん!」

真姫「は、はああ!?な、何よいきなりちゃん付けして///」

穂乃果「今日のところは曲は諦めます!」

にこ「ちょっと穂乃果!」

真姫「わかったみたいじゃない。なら早く―――」

穂乃果「なので私たちと友達になってください!」フンス

にこ「へっ?」

真姫「はい?」



寝ます
>>24
天国の一番近い男っていうドラマのパロSSになります

面白いね支援

くっそ懐かしい
どっちかというと最初にやったやつのパロディなのかな?

いいぞ

期待してる

『な、ななな!急に何言ってるのよ!///』

『曲は諦める!でもせっかく知り合ったんだもん!友達になろうよっ』

『な、何よそれ!大体ビジネスで来たんでしょ!?いきなり友達って……』

『それはそれ、これはこれだよ!穂乃果って言うんだよろしくね真姫ちゃん!』

『う……よ、よろしく……///』

『それでこっちの小さい子はにこちゃん!トップアイドル目指して修行中なんだ』

『ちょっと穂乃果!本当大丈夫なの……』ボソボソ

『いいからいいから。ほら挨拶して』ボソボソ

『……矢澤にこよ。よろしく西木野先―――『よそよそしいの禁止だよ。友達になるんだからねっ』

『っ……よ、よろしくね。ま、真姫ちゃん……?』

『こ、こちらこそ……』

『よーし!じゃあ三人で握手しよ!』ギューッ

『ちょ、ちょっとアンタ穂乃果!///』

『友達になった記念だから。ね!』ギューッ

『く……な、なんなのよこれ……///』ギュー

『イミワカンナイ……///』ギュー




にこ「何かあると思ったらその後はすぐ帰っちゃうし……」

穂乃果「もっと一緒にお話ししたかったけど、真姫ちゃんが用事あるって言うんだもん」

にこ「アンタ本当にどういうつもりなの?もうそろそろ説明しなさいよ」

穂乃果「そうだね!不安にさせたままじゃあ悪いし
……名付けて『友達になってお互いをよく知ろう作戦』だよっ!」

にこ「……はい?」

穂乃果「もう、忘れちゃったの真姫ちゃんの言葉を」

にこ「真姫ちゃんの言葉って……アンタまさか……」ブルブル

穂乃果「ふふっ。確か言ってたよね『知り合いから頼まれたから書いただけよ』って!」

にこ「……」ブルブル

穂乃果「つまり真姫ちゃんは知り合いになら曲を書いてくれるってことだよ!
だからこれから仲を深め合って期限までに曲を書いてもらえばいいんだよっ!」

にこ「……」ブルブル

穂乃果「穂乃果の完璧な作戦はどう!こう見えて天使歴も長いベテラン天使なんだよ!」フンス

にこ「そう……そうね……完璧ね……完璧よ。完璧すぎて言葉もでないわよ……」

穂乃果「でっしょー!」エッヘン

にこ「ただね……アンタは一つだけ見逃してることがあるのよ……」

穂乃果「ふぇ?」

にこ「この命題の期限は……明日の朝7時までってことをねっ!!!」バチコーン

穂乃果「……」

穂乃果「……あっ!」

にこ「『あっ!』じゃないわよ!このバカ天使!バカ!あほのかぁ!?」バチーンバチーン

穂乃果「ど、どどどどどうしよう!?どうしようにこちゃーん!?」

にこ「どうしようもこうしようもないわよ!もうすっかり夜だし……。このダメ天使!」

穂乃果「うわあああああんっ!ごめんね!ごめんね!穂乃果はダメ天使だったよ!」

にこ「アンタがいい案あるって言ったから信じたのに!
何がベテランよ!あほのか!あほのかあああっ!」

穂乃果「うわああああああああああああんっ!」

<ギャーギャーギャー

<ワーワーワーワー



数時間後

ほのにこ「ごくっ……ごくっ……ごく……」

ほのにこ「ぷはっー!」

穂乃果「あ~、やっぱりお酒最高だよねぇ……」ヒック

にこ「まったくこの飲んだくれ天使が……ひっく……
アンタがまともなら私はもうちょっと長生きできてるのよ?」

穂乃果「うー……ごめんねって……ひっく……」

にこ「ぐびっ……ぐびっ……くぅっ!」

穂乃果「お~!いい飲みっぷりだねえ」

にこ「そりゃあ、ヒック、明日何があるかわからないんだからぁ?
飲まなきゃやってらんないわよ!」グビッ

穂乃果「うん……穂乃果もとことん付き合うから!今日は飲み明かそう!」

にこ「とーぜんよ!……ったく、冗談じゃないわよ。いきなりダメ人間扱いされて
死刑宣告とかぁ……」ヒック

穂乃果「あは、あはは……」グビゥ

にこ「まー?別に?明日死ぬなんて思ってないけど……一応ね?」ぐいっぐいっ

穂乃果「う、うん……」

にこ「あー!もう!辛気臭い顔するんじゃないわよぉ?アンタは能天気に笑ってなさいよ」ひっく

穂乃果「笑える状況じゃないと言いますか……」

にこ「ならもっと飲みなさいよっ!ほらほらっ……んぁ?」

穂乃果「ありゃりゃ、なくなっちゃったね」

にこ「もう?まったく早いわねー……」

穂乃果「じゃあ穂乃果が買いに行って来ようか?きっと今日くらい経費で……」

にこ「……」ジトー

穂乃果「ど、どうしたの?目が座ってるけど……」

にこ「前々から思ってたんだけどぉ?あんたっていくら持ってるのよ?」ヒック

穂乃果「ふぇ?」

にこ「だから……その財布の中を見せなさいって行ってるのよー!」ガバーッ

穂乃果「ま、待ってよにこちゃん!強引すぎ……見せるから!見せるからー!」

にこ「かんねんしなさーい!」パカッ

穂乃果「ああもう……酔いすぎだよぉ」

にこ「んんっ……?何よこの変なおもちゃみたいなお札はぁ……」ヒック

穂乃果「あ、それはね―――」

にこ「こんなんじゃあ買い出しなんていけないじゃない。ひっく、このあほのかっ!」パコーン

穂乃果「あいたっ……。うう……円もちゃんと入ってるのに……」

にこ「あー……。どうせならアイドルらしくお高いワインでも飲みたいわねえ……」ウプッ

穂乃果「ワインはこの辺りには中々ないかなぁ?
真姫ちゃんなら色々持ってそうだけど……」

にこ「真姫ちゃん……それよぉ!」ヒック

穂乃果「え?どれ?」

にこ「行くわよっ!支度しなさいっ」ヒックヒック

穂乃果「え?ど、どこに!?」

にこ「真姫ちゃんの家よ!」



夜中 真姫家

穂乃果「ね、ねえ。こんな夜中にお邪魔したら迷惑じゃないかな……?」

にこ「明日で死ぬかもしれないのに知らないわよ。最後に高級ワインくらい飲ませなさいよっ」ひっく

穂乃果「ま、まあ確かに……」

にこ「それにだいじょーぶ。もう真姫ちゃんと私たちは友達だしねー?」ピーポーン

『……』

にこ「……」ピーポーン
ピーポーン
ピーポーン
ピーポーン


穂乃果「ね、ねえやっぱり寝てるんじゃ……」

にこ「ごらー!起きなさい真姫ちゃんっ!にこにーのお酒が飲めないっていうの!?」ヒック

ピーポーン
ピーポーン
ピーポーン

穂乃果「に、にこちゃん!夜中だから!夜中だから!」

にこ「……大体誰のせいだと思ってるのよ」ジトー

穂乃果「う……めんどくない……」

にこ「だったらアンタも協力しなさいよっ
高級ワイン飲めないで言ったらアンタに化けてでてもいいんだからね!」ヒック

穂乃果「うぅ……わ、わかったよ……まーきーちゃーん!!!!」

にこ「まきちゃゅあーん!」ピーポーンピーポーンピーポーン

ガチャッ

ほのにこ「あっ!」

真姫「あああっ!うるさいっ!今何時だと思ってるの!?」

にこ「穂乃果!確保よっ!」ヒック

穂乃果「ら、らじゃー!」

真姫「え、ええ?きゃああっ!?」

穂乃果「ご、ごめんね……今はにこちゃんに逆らえないんだ……」

真姫「ほ、穂乃果?一体何を……って酒くさっ!?」

にこ「乗り込むわよー!お宝はどこじゃー!」フラフラ

真姫「お、お宝って……まさか強盗!?」

穂乃果「ち、違うから!友達の家に遊びに来ただけだからねっ」テヘヘヘ

真姫「と、友達の家に!?///」

穂乃果「そ、そう!二人でお酒飲んでたらどうせなら真姫ちゃんもって思ってさ!」

真姫「そ、それで私の家に……」

穂乃果「う、うん!だからよかったら一緒にお酒をですね……」

真姫「そ、それなら早く言いなさいよ……。わざわざ来てくれたんならもてなさなきゃダメじゃない///」

穂乃果「えっ!?」

にこ「ワイン!にこにーの高級ワインはどこなの!?」ヒック

真姫「待って!ワインならちょうどいいのが―――」

にこ「あらー。気が利くじゃない」

真姫「べ、別に褒めても何もでないわよ///」



穂乃果「真姫ちゃんって……案外ちょろい?」



真姫の部屋

にこ「あ~!夢だったのよぉ……こんなふかふかのソファーの上で
高級ワインを飲むのが……」ゴブッゴブッ

真姫「あーあ。ひどい飲みっぷりね」

穂乃果「ち、ちなみにアレいくらするの……?」

真姫「ん?モノの値段なんていちいち覚えてないわよ」

穂乃果「うわー……絶対高いやつだよ……」

にこ「ふーん、ならぁ……たくさん飲んでおかないと損よねえ?」ゴビグビ

真姫「まあ別にいいけど……ふふっ、本当アイドルとは思えないわね」

にこ「今はオフよ。オフ。友達しかいないからキャラ作る必要もないわよ」ヒック

穂乃果「うんうん!」

真姫「あ、ごめんなさい。もっと何かあるのかと思っただけよ」ゴクゴク

にこ「ふーん」グビグビ

穂乃果「ま、真姫ちゃん!それよりおつまみがないよ~!何か食べたいっ!」アセアセ

真姫「え?そういえばモンドールのチーズがあったわね……。ちょっと持ってくるわね」トコトコ

穂乃果「う、うん!」

にこ「……」



穂乃果(ふぅ。真姫ちゃんたら地雷原に突っ込もうとするんだもん。焦っちゃったよ)

にこ「ねえ」ヒック

穂乃果「どうしたのにこちゃん?あ、お酒ならまだこっちに―――」

にこ「……穂乃果はどこまで知ってるの?」

穂乃果「え?」

にこ「だから私のこと、どこまで知ってるのかって聞いてるのよ」ヒック

穂乃果「どこまでって……」

にこ「いきなり私の家に不法侵入してきたりするくらいのストーカーだもん
どうせ知ってるんでしょ……アイドルを目指した理由くらい」ひっく

穂乃果「だ、だからストーカーじゃないのにぃ……まあ、うん……」

にこ「……まあ事務所の人とかも知ってるしいいけど」

穂乃果「勝手にごめんね……」

にこ「初っ端から不法侵入かましといて何言ってんのよ」ひっく

穂乃果「うー……反省してます……」

にこ「ったく……」グビグビ

穂乃果「さ、さすがにもうそろそろ飲みすぎだよ……。ほら!朝からバイトがあるっていってたよね!」

にこ「うぃーっく……このままだとバイト前にお陀仏なんじゃなかったの?」

穂乃果「あ……」

にこ「まあ、あんたの言ってることが正しければだけど~」ゴクッゴク

穂乃果「……」

にこ「私の家はね、貧乏だったのよ」

穂乃果「にこちゃん?」

にこ「黙って聞きなさいよ。ひっく……服だってろくに買ってもらえない
ランドセルも、いつ買ったのかもわからないようなオンボロだったわ」

穂乃果「うん……」

にこ「沢山からかわれたりもしたわ。……だから私はキラキラしたものに憧れた。」

穂乃果「それがアイドル……」

にこ「ええ。いつからだったから覚えてないけど……それでも覚えてる」

にこ「初めて見たアイドルを、TVの中でとってもキラキラしてた姿を」

穂乃果「……」

にこ「驚きだったわよ。こんなキラキラしてる仕事があるんだって
そして、私もこんな風になれるのかなって」

にこ「気づいたら心のもやもやが消えて笑顔になってたの」

にこ「そして結果が今の私ってこと。私もあの時見たアイドルみたいに輝きたい
そしてみんなを笑顔にしたい」

穂乃果「にこちゃん……」

にこ「ひっく。アンタが一方的に知ってるのも気持ち悪いから、話しときたかったのよ
―――じゃあ飲み直すわよっ!」

穂乃果「ま、まだ飲むの!?」

にこ「当然っ!……いいでしょ?最後なら付き合いなさいよ」

穂乃果「あ……うん……」

にこ「……それにしても真姫ちゃん遅いわね。チーズまだかしら」グビッグビッ



ちょっと前

真姫「私としたことが、モンドールは常温に戻さなきゃダメことをすっかり忘れてたわ……」

真姫「すぐ出せそうなものポテチしかなかったけど大丈夫かしら……」タッタッ

にこ『―――貧乏だったのよ』

真姫「……ん?」ピタッ

にこ『黙って聞きなさいよ。ひっく……服だってろくに買ってもらえない
ランドセルも、いつ買ったのかもわからないようなオンボロだったわ』

真姫「これって……」サッ

にこ『――――だから私はキラキラしたものに憧れた。』

真姫(あ……)

にこ『驚きだったわよ。こんなキラキラしてる仕事があるんだって
そして、私もこんな風になれるのかなって』

真姫(っ……私さっき……)

にこ『まあその結果が今の私ってこと』

にこ『――――そしてみんなを笑顔にしたい』

真姫(……)クルッ

真姫(確か前に暇つぶしで……)トコトコ



10月2日 朝6時半

にこ「にごぉ……にご……」zzz

穂乃果「……穂乃果のせいでごめんね」

穂乃果「一緒に頑張るって言ったばっかりなのに……穂乃果のせいで……」

ガチャッ

真姫「あら……貴方まだ起きてたの?」

穂乃果「あ……真姫ちゃん?」

真姫「って、どうしたのよそんな悲しそうな顔して……もしかして二日酔い?」

穂乃果「ち、違うよ!ちょっと……色々あってね」

真姫「ふーん……」

穂乃果「あ!そういえば真姫ちゃん。あの後戻ってこなかったけど、どうしたの!?」

真姫「ああ。こっちも色々とあったのよ」

穂乃果「もー!大変だったんだよ!にこちゃんたらお酒が切れて勝手に家探し始めるし
真姫ちゃんも何処にもいないしで……」

真姫「地下の防音室にいたのよ」

穂乃果「え?なんでそんなところに……」

真姫「はい。これ」サッ

穂乃果「え、何この機械」

真姫「音楽プレイヤーよ。……にこちゃんが起きたら二人で聞いてみて
要望とか聞きたいことあったら、ここに連絡してくれればいいから」

穂乃果「え?ええ?ど、どういうこと……!?」

真姫「はあっ……鈍いわねえ……作ったのよ」

穂乃果「作った?」

真姫「っ……!あ、あなた達の曲を作って言ってるの!」

穂乃果「曲を……作った……?」

真姫「む。昔暇つぶしで作った曲があったのを偶然思い出したのよ!
それをちょっと直しただけよっ」フンッ

穂乃果「な、なんで!?それの昨日はダメだって言ってたのにっ」

真姫「だ、だって……友達でしょ///
それに……」

穂乃果「それに?」

真姫「……にこちゃんにひどいこと言っちゃったから」ボソッ

穂乃果「ひどいこと?―――あっ!真姫ちゃんもしかして昨日の会話を……」

真姫「べ、別に聞く気なんてなかったわよ!
でも聞いちゃったから……」

穂乃果「それで曲を……」

真姫「……あんまり期待しないでよ。暇つぶしに作ったやつなんだから」

穂乃果「うん……でも、それでもとっても嬉しいよ真姫ちゃーん!」モギューッ

真姫「な、何よ急に!///」

穂乃果「真姫ちゃんは命の恩人だよっ!ううう!大好きっ!」ギューッ

真姫「ちょ、ちょっと!///大げさすぎよっ!///」

穂乃果「うわぁぁぁんっ!真姫ちゃーんっ!」モギューッ

真姫「ハ、ハナシテ!///」

にこ「なによぉ……うるさいわね……うっ、気持ち悪い……」

穂乃果「にっこちゃーん!」

にこ「ほ、穂乃果……あ、頭がいた……」

穂乃果「見て見て!真姫ちゃんが!曲をねっ!」ブンブンブン

にこ「うげっ……や、やめて……気持ちが……にごぉ……」バタンッ

穂乃果「これで命題突破だよ!やったね―――ってにこちゃん?」

真姫「あーあ……」

にこ「にごぉ……」

穂乃果「にこちゃん!?しっかりして!にこちゃーん!」



数時間後 にこの家

穂乃果「うぅ……なんでこんなことに……」

にこ「ああもうっ!こっちのセリフよ!なんでアンタと……」

穂乃果「にこちゃんんがきちんと穂乃果のこと説明しないから……」ジー

にこ「な、何よ!私のせいだっていうの!?」

穂乃果「だって……ねえ?」

にこ「うぐぐ……!」



『はあ?なんでパート分けされてるかって?だってあなた達2人組でしょ?』

『ソロで歌う?ダメよ。これは二人に贈った曲なんだから』

『……まあいらないって言うならいいけど。え?それは違う?』

『なら待ってるわね。二人が私の曲を歌ってくれるのを。そしたらまた飲みましょ』

にこ「こうなった以上は仕方がないわね……これから毎日特訓よ!」

穂乃果「と、特訓!?ヤダヤダ!穂乃果は家でワイドショー見てたい!」

にこ「……誰のせいでこうなったと思ってるるのかしら」ボソッ

穂乃果「!?」

にこ「ワイドショーそんなモノ明日から見る暇なんてないと思いなさい!」

穂乃果「は、はい……」ガックシ

にこ「よし、不本意ではあるけどあの真姫ちゃんの曲に穂乃果のデビュー
……うん、話題性はバッチリね」

穂乃果「なんで穂乃果までアイドルやることに……」

にこ「よし絶対にこのチャンスをモノにするわよ!」

穂乃果「なんでこんなことにぃ……」ガックリ





穂乃果「うぅ……穂乃果のワイドショー生活がぁ……昼ドラがぁ……」

にこ「アンタいつまで言ってるのよ……
ほら、ワイドショーなら今やってるから見納めしときなさいよ」

『次のニュースです―――』

にこ「そういえばバイトサボっちゃったわね……。
何の連絡も着てないことを見るとクビってことも……」

『今朝、7時ごろに起きたオトノキザカでの陥没事故ですが―――』

にこ「へ?」

『現地からの中継でお送りします』パッ

にこ「なんだか見覚えが……」

『今朝7時頃に起きた大手牛丼チェーン店での陥没事故ですが―――』

にこ「ここって……この場所って……」

『幸いアルバイトの欠勤により閉店となっていたため怪我人はなく―――』

にこ「私のバイト先じゃない……」ワナワナ

『以上現場でした』

にこ「もし、私がバイトに出ていたら……、もし昨日飲んでなかったら……」チラッ

穂乃果「うぐぅ……特訓やだぁ……」ゴロゴロゴロ

にこ「やっぱり穂乃果って……」ボソッ

~~~~~
第3話 生放送
2016年1月21日

穂乃果「~~~♪」ピコピコ

にこ「?アンタこれから仕事だってのにご機嫌じゃない」

穂乃果「当然だよ!だって今日の仕事は―――」

にこ「そうね、今日の仕事は念願の―――」

ほのにこ「―――テレビ!」



移動中

にこ「テレビ……テレビ……ついに念願のテレビデビュなのね……」ウルウル

穂乃果「うんうん!二人で頑張って来たもんねっ」

にこ「まあ、まだ三ヵ月しか経ってないけどね」

穂乃果「それでも地獄のような特訓の日々だったよぉ……」カチカチ

にこ「アイドルってのはね、歌だけじゃなくてダンスにキャラまで完璧にしてようやくアイドルなのよ!
穂乃果にそれを叩きこむのは本当骨が折れたわ……」

穂乃果「そのおかげでテレビ出演までいったもんねっ!
どんな感じで映るんだろう……楽しみだなぁ」シャンシャン

にこ「……」ジー

穂乃果「~~~♪」シャンシャン

にこ(そういえば、もう三か月以上もたつのよね……)

にこ(私が穂乃果と出会ってから三ヵ月以上が過ぎた)

にこ(最初の方は色々とあった気がしないでもないけど
今ではこうやって二人でトップアイドルの道へと……ん?)

穂乃果「あーっ!GOOD出しちゃった……」プンプン

にこ(何か……大切なことを忘れてる気が……)

穂乃果「このゲームのGOODは絶対ぐっどじゃないよ!」プンプン

にこ(何か……何か、命に係わるレベルのことを……)

穂乃果「今度はミスらないようにしなきゃ……よしっ!」

にこ「ってええええええええええ!
なんで私たちが普通にアイドル街道を突っ走ってるのよぉぉっ!?」バンッ

穂乃果「え?どうしたの急に―――あああっ!?曲はじまってたああ……」

にこ「すっかり忘れてたけどアンタそういえば天使よね!?」

穂乃果「え?そういえばも何も穂乃果は天使だよ?」

にこ「何こっちでアイドル生活満喫しちゃってるのよ!
何のためにいるかわかってるの!?命題ってどうなったのよ!」

穂乃果「何の為かってそりゃあアイドルに……あ、命題……?そうだ!命題!」

にこ「この数か月間が忙しすぎてすっかり忘れてたわ……」

穂乃果「えへ、えへへ。穂乃果の方もすっかりアイドルになりきっちゃいまして……」アセアセ

にこ「あんだけ特訓してたらまあ……それよりも命題は結局どうなってんのよ」

穂乃果「あっ!そうだね。さすがに数ヶ月もないなんておかしいし、聞いてみるね」ピッピッピ

にこ「ったく……。なきゃないでいいんだけど―――って聞いてみる?」

穂乃果「んーっと……『命題はまだですか?』っと……」ピッピッピ

にこ「……ねえ、ちょっと前からよくスマホでゲームするようになったわよね」

穂乃果「え?ああこれ?『穂乃果より』っと」ピッピッピ!

にこ「前から気になってたけどそのスマホってどうしたのよ」

穂乃果「んーと、このスマホは神様から支給されたやつなんだ」ソウシンット

にこ「は、はあ?神様がスマホを支給!?」

穂乃果「うん、なんだか自分で命題届けるのに疲れたんだって」

にこ「経費削減とか言ってたわよね……」

穂乃果「長期的に見ればこのほうがなんちゃらとか言ってたよ!」

にこ「はぁ……なんというかどこから突っ込めばいいのやら……」

穂乃果「返信いつ頃かなぁ?今のうちに今日の打ち合わせをしちゃおうよ」

にこ「そうね……。さっきの通り今日は念願のテレビの仕事よ!」

穂乃果「うん!楽しみだなっ!」

にこ「うぅ……ついにここまでたどり着けるなんて……」グググッ

穂乃果「やっぱりにこちゃんもテレビのお仕事は初めてなの?」

にこ「そりゃそうよ。私はそんな期待されてなかったから……
テレビはおろか他の仕事だってほとんど回してもらえなかったわよ」

穂乃果「あれ、でもここ数カ月で写真撮ったりインタビューされたり色々お仕事してたよね?」

にこ「……それだけ真姫ちゃんの曲が凄いってことね。ここまで推しだしてもらえるんだもん」

穂乃果「そっかぁ……」

にこ「私自身の力じゃないわよ……」

穂乃果「……よーし!じゃあせっかくの機会だもん!
ここでにこちゃんが凄いってところもっと見せないとだね!」

にこ「穂乃果……」

穂乃果「そうすればもっともっとお仕事だって増えるよね!頑張ろうっ!」

にこ「……ええ、そうね!せっかくのチャンスだもの。やるったらやるわよ!」

穂乃果「うん!」

にこ「で、今日私たちが出る番組だけど―――」




穂乃果「ふーん、じゃあ花凛って言う二人組の芸人の方とのトーク番組なんだね」

にこ「ええ、小泉花陽と星空凛。若いながらも息の会った芸で
瞬く間にお茶の間の人気者になっていくつもの冠番組を持ってるやり手よ」

穂乃果「確かにテレビでも何度も見たことある……!そんなすごい人達の番組に出るんだね!」

にこ「と言っても深夜番組だけどね、ここでトークで私達の紹介をしつつCDを売り込むってわけ」

穂乃果「なるほどっ!えへへ、簡単そうでよかったぁ」

にこ「ったく、そんな甘くないわよ……。それと一つ注意点があるわ」

穂乃果「注意点?」

にこ「この番組は生放送ってのがウリなのよ」

穂乃果「生放送……?」

にこ「普通の番組は収録した後編集してマズイシーンなどはカットしてるの
でもこの番組はそれをしてないでリアルタイムで流してるのよ」

穂乃果「それが何かあるの?」

にこ「だーかーらー!穂乃果がもし変なことを口走ったら
それが一気に全国に流れるのってことよ!発言には気をつけなさいよっ!」ビシッ

穂乃果「う……き、気を付けます……」ブルブル

にこ「とまあこんなところね。着いたら早速挨拶に行くわよ」

穂乃果「はーい」



楽屋

穂乃果「んー?あっ!」キョロキョロ

穂乃果「あったよにこちゃーん!あったあった!!」ブンブン

にこ「こらっ!あまり大声を出さないっ!……ここが花凛の楽屋ね」

穂乃果「どんな人達なんだろう。優しいといいなぁ」

にこ「ほら、ちゃんと身だしなみを整えなさい」

穂乃果「あ、そうだね!」パタパタ

にこ「ったく、ちょっと髪がはねてるわよ」ペタペタ

穂乃果「うわあっ!ありがとうにこちゃん」

にこ「アイドルなんだから気をつけなさいよ?じゃあ行くわよ」

穂乃果「うん!」

コンコン



コンコン

『はーい!空いてるにゃー』

穂乃果「にゃ?」

にこ「気にしちゃだめよ。―――失礼します~!」

穂乃果「失礼します」

ガチャ

にこ「こんばんは~!今日ご一緒させていただきます矢澤にこです~!
よろしくお願いしますっ」ニッコ

穂乃果「こんばんはっ!穂乃果ですよろしくお願いしますっ!」

凛「わー。誰かと思ったらアイドルさんたちがきてくれたにゃ!」

花陽「わざわざ挨拶にまで……ありがとうございます!」ペコリ

穂乃果「ねえねえ、あの人『にゃ』って」ボソボソ

にこ「星空凛はそういうキャラ作りなのよ」ボソボソ

花陽「花凛の小泉花陽です。よろしくお願いします」

凛「星空凛だにゃ~!今日はよろしくねっ」

にこ「はい、よろしくお願いしますね」ニコッ

花陽「わぁ……///」ボーッ

穂乃果「花陽さん?」

花陽「あ、あわわっ!なんでもないです!」

凛「くすくす、かよちんはアイドルが大好きなんだよ!
だからよかったらサイン書いてあげて欲しいにゃ」

花陽「り、凛ちゃん!いきなり悪いよそんなの……」

穂乃果「穂乃果達のサイン!?書く書く全然書きますよ!」

花陽「ほ、本当ですか!?あ、あと……その別に敬語じゃなくていいですよ」

にこ「え……でも……」

凛「うんうん、凛たちの方が歳下だしね。いつもは先輩ばっかりだから
敬語で話されるとやりにくいにゃ~」

にこ「ええ、その方がやりやすそうだしいいわね」

花陽「えっと……にこちゃんと穂乃果ちゃん……?///」

凛「あははっ!名前呼んだだけなのにかよちん真っ赤だにゃ!」

花陽「うう……アイドルの人との仕事は久しぶりだったから……緊張して……」

穂乃果「うぅ……珍しい反応をもらえて本当にアイドルになったんだって、実感が……
そうだ!早速サイン書いてあげるねっ!」

にこ「いつかプレミアムが付くからきちんと保管しとかなきゃダメよ?」

花陽「もちろんです!」

凛「あー!凛も欲しいにゃっ!」



穂乃果達の楽屋

穂乃果「ふぅ、ちょっと不安だったんだけど優しそうないい人達だったね!」

にこ「そうね。この分なら本番も楽に―――『メールダヨッメールダヨッ』
―――んっ?」

穂乃果「あっ!穂乃果だ!」

にこ「本番の時はちゃんと電源を切るか楽屋に置いときなさいよね?」

穂乃果「はーい。えーっと……あ!神様からだ」

にこ「嫌な予感が……」

穂乃果「あっ!にこちゃん、命題だよ!命題が届いたよ~!」

にこ「なっ―――!ちょっと見せて!」バッ

『命題
  2016年1月22日9時までに全国区になれなければ即死亡』

にこ「な、何よこれ……全国区って知名度がってことよね……」

穂乃果「うわー……今回も時間が短いね」

にこ「って!あと10時間もないじゃない!?どうしろってのよ!」

穂乃果「あっ、待って!まだ追伸が―――」

『追伸
今まですっかり忘れてましたごめんなさい』

にこ「がああああああああっ!なんなのよこの神はあああっ!?」バシンッ

穂乃果「ああっ!穂乃果のスマホがっ!?」

にこ「こんなことなら命題のことなんて思いださなきゃよかったわ……
ってかなんで聞いちゃったのかしら……」

穂乃果「えへへ、にこちゃんって結構素直だもんね」」

にこ「うっさい!ああ……あと10時間足らずで全国区ってどうすればいいのよ……」

穂乃果「まあまあ、落ち着いてにこちゃん」ナデナデ

にこ「……なんで穂乃果はそんな落ち着いてるのよ……前回並みに無理難題じゃない」

穂乃果「ふふっ、問題です。穂乃果達はこれから何のお仕事でしょう!」

にこ「……テレビね」

穂乃果「そしてこの番組は!」

にこ「……生放送」

穂乃果「つまーり!ここで一気に知名度をあげればおっけーなんだよ!」バーン

にこ「……」

穂乃果「……と、穂乃果は考えたのですが……にこちゃん?」

にこ「……具体的には?」

穂乃果「ふぇ?」

にこ「生放送と言っても深夜番組でどうやって一気に有名になれるのよ」

穂乃果「あ……えっと……その……ニュースに乗るとか!」

にこ「……乗るとしたら『若手トップアイドル!突然の死!?』って見出しね」

穂乃果「で、でもにこちゃんは別にトップアイドルじゃないし……!」

にこ「うっさいっ!ああもう!アンタなんでそんな適当な作戦しか思い浮かばないのよ!」

穂乃果「だ、だってもう時間もないし!」

にこ「だったらスマホを渡しなさい!直接抗議してやるわよっ!」

穂乃果「だ、ダメだよ!」

にこ「ぐ、ぐううっ!じゃあどうしろって言うのよ!?」

てんちか懐かしい
モノカンパニー編は特に大好きなドラマだったよ

穂乃果「そ、それをこれから考えてこう!
ほら、二人で力を合わせればきっと―――」

<矢澤さん、穂乃果さん。もうそろそろお時間なのでスタジオまでお願いします

穂乃果「……」

にこ「……」

穂乃果「ノ、ノリで頑張るっきゃないね!」

にこ「だあああ!なんでなのよぉぉぉぉっ!?」



凛「さーて今夜もやってきました!火曜日深夜恒例の『深夜のかよちん』のお時間ですにゃー!」

花陽「か、かよちんのお時間です!……ね、ねえ凛ちゃん」

凛「司会はおなじみ星空凛とー!」

花陽「やっぱりかよちんって番組名はちょっと……あ。小泉花陽でお送りします!」

凛「もー!かよちんその話毎回してるにゃー!」

花陽「で、でもやっぱり名前と被ってわかりにくいし……」

凛「視聴者も今更番組名が変わったほうが困るにゃ!」

花陽「うぅ……確かにそうかも……」

凛「ってことで始まりました!深夜のかよちんです!」

花陽「うぅ……すっかりこれで定着しちゃった……」

凛「もう諦めるにゃっ!それでかよちん、今夜のゲストは?」

花陽「そ、そうでした!―――今夜のゲストは今話題になってるアイドルユニットの――」

凛「わくわく!」

花陽「にこちゃんと穂乃果ちゃん御二人ですー!」

凛「わー!ぱちぱちだにゃー!」

パチパチパチパチ

穂乃果「どうもー!皆さんこんにちは!……じゃなかったこんばんは!穂乃果だよっ」

にこ「にっこにっこにー!みんなのアイドル矢澤にこでーすっ!」キラッ

花陽「では、今日はこの四人で進めていきますっ」

凛「よろしくだにゃー!」

穂乃果「よろしくお願いしますー!」

トントン

にこ「ちょ、ちょっと本当にどうするつもりよ」ヒソヒソ

穂乃果「どうするもこうするも始まっちゃったし……」ヒヒソ

にこ「確かにそうね……、でもどうにかしなきゃ―――」ヒソヒソ

凛「あー!二人でコソコソ話してるにゃっ!」

ほのにこ「!?」ビクッ

花陽「くすくす、二人は本当に仲がいいんですね」

にこ「え……あ……そ、そうなんですよ!ねー?」

穂乃果「もっちろんですよ!穂乃果にこちゃんのこと大好き!」モギューッ

にこ「ちょ、ちょっと穂乃果!///」

穂乃果「大丈夫、きっと何とかなるから。だから今は頑張らなきゃ」ボソッ

にこ「うん……」コクッ

凛「ラブラブだにゃー!ひゅーひゅー!」

花陽「ではここで早速お二人のプライベートから聞いてみたいと思います!」フンス

凛「相変わらずアイドルにはぶっこんでいくにゃー!
穂乃果ちゃんは明らかにだらしなさそうだけどプライベートでもそうなの?」

にこ「はい、プライベートの穂乃果は……とにかくダラしなくて―――」

穂乃果「あー!にこちゃんひどい!穂乃果のイメージが下がっちゃうよ!」

にこ「だってー。本当のことだしぃ?」

穂乃果「むぅ……確かにご飯も洗い物も洗濯もにこちゃんまかせだけど……」

にこ「あっ、バカ!」

凛「今ご飯にお洗濯って……」

花陽「頻繁にお泊りとかするんですか?」

穂乃果「ふぇ?だって穂乃果はにこちゃんのお家に住んでるし」

花陽「ええっ!?一緒に暮らしてるんですか」

穂乃果「そうだよ?」

凛「にゃー!これは驚き!まさかの同棲発言だにゃー!」

にこ「はぁ……」アッチャー

花陽「では!二人の出会いも含めてそのあたりのお話をですね!是非!是非!」フンス

凛「か、かよちん息が荒いにゃ……」

にこ「(私が適当に誤魔化すから、穂乃果は相槌入れときなさい)」チラッ

穂乃果「(えへへ、了解!)」チラッ

――――
―――
――

にこ「それで親戚の紹介で穂乃果と出会って―――」

穂乃果「ウンウン!」

花陽「へぇ~。二人とも地方の方から上京してきたんですね」

にこ「仕事も便りもない中こっちに来て最初は本当に大変で―――」

穂乃果「ソウソウ!」

凛「凛たちも二人で一緒に上京してきたからその苦労はよくわかるにゃ……!」

――――
―――
――

にこ(もう時間が……)

花陽「では次はですが―――」

凛「っと!かよちんかよちん!もうかよちんが終わりのお時間が近づいてるにゃ」

花陽「凛ちゃんもう何がなんらかわからないよぉ……」


にこ(っ!こ、このままじゃ全国区に!何か何か……!)

凛「えへへ、ごめんだにゃ!」

花陽「もうっ!……では、お時間も近づいてきましたが
最後のトークテーマは何かご希望はありますか?」

凛「ラストはゲストが決めたテーマでのトークにゃー!」

穂乃果「ほら!みんなそれぞれ特技とかあるでしょ!そのお話をしようよ!」

にこ(穂乃果……どういうこと……?)

凛「わかるにゃー!かよちんはお米と食べるとその銘柄を一発で当てれるにゃ!」

花陽「ちょっと凛ちゃん、恥ずかしいよぃ……///」

凛「にこちゃんや穂乃果ちゃんも何かあるの?」

にこ「に、にこは……家事とか……お料理とか……?」

穂乃果「う、うん!にこちゃんのお料理は凄く美味しいんだよ!」

凛「それも今度是非食べてみたいにゃ!穂乃果ちゃんは?」

穂乃果「え!?穂乃果!?」

花陽「穂乃果ちゃんが出した話題だし……」

凛「きっとすごい特技を隠し持ってるはずにゃ!」

にこ(そ、そうよ!穂乃果は天使なんだしきっとすごい特技見たいのがあってもいいはず!)

穂乃果「穂乃果の特技……」

にこ(家ではぐーたらしてゲームしてベタベタしてよく寝てるだけだけど
きっと隠された特技が……)チラッ

穂乃果「すごい……特技……」ボーゼン

にこ(……終わったわ)

陽「穂乃果ちゃん?」

凛「どうしたにゃ?」

にこ(あの顔は何も思い浮かばなかったときの穂乃果の顔……
ここまでなの―――「う、占いやりまーす!」

にこ「……へっ?」

花陽「占い……ですか?」

凛「穂乃果ちゃん占いなんてできるの?」

穂乃果「ま、まかせて!こう見えて穂乃果の恋愛占いは百発百中だから!」

にこ「あっ……」

『唯一の天使らしい特技、その名も『運命の赤い糸見だよ!』』

凛「なんだか怪しいにゃー!」

にこ「ほ、穂乃果の恋愛占いは凄まじいのよ!昔からよく当たるって評判で―――」

穂乃果「ってことで早速二人を占ってあげるね!」

花陽「え、ええ!?私たちを占うんですか!?」

穂乃果「ふぇ?だって二人しかいないし……」

花陽「そ、そうだけど……。凛ちゃんはいいの?」

凛「も、もちろんだよ!楽しみだなっ!」

穂乃果「じゃあさっそく……」ジー

凛「な、なんか滅茶苦茶見られてるにゃ……」

にこ「……穂乃果は、今あなた達のオーラを見てるの。それだけで全てが分かるわ」

花陽「うっ……すべてが……」ビクビク

凛「だ、大丈夫にゃ。ただの占いだし……」

にこ(お願い穂乃果……これが最後なの。なんでもいいから何か……)

穂乃果「……え?」キョトン

凛「お、終わったの?」

花陽「あの、結果の方は……」

穂乃果「い、言っちゃっていいのかな……?」

凛「と、当然だよ!そのために占ったんだし……ねえかよちん!」

花陽「う、うん……」

にこ(穂乃果……!)

穂乃果「じゃ、じゃあ……おめでとう!二人とも両思いだよっ」

凛「……」

花陽「……」

にこ「……」

にこりんぱな「えええええええええっ!?」



凛「か、かよちんと両想い!?なに言ってるにゃ!!!!///」

花陽「そ、そうですよ!最後だからって冗談は、だ、だめです!」

にこ「そ、そうよ穂乃果!さすがにそれは悪質よ」コソコソ

穂乃果「う、嘘じゃないよ!穂乃果にはきちんと二人が赤い糸でつながってるのが見えたの!」

にこ「ほ、本当なの……?」

穂乃果「もちろん!こんなに太い糸は見たことないもんっ。
2人だって薄々気づいてるはずだよ!」

凛「う……り、凛は……///」

花陽「うぅ……///」

にこ「え……ま、マジなの……?」

穂乃果「ねえ、二人とも人を好きになるのはいけない事じゃないんだよ?
だから隠す必要なんてないって穂乃果は思うよ」

凛「かよちんは昔からとても大切な人で……で、でもそんな恋愛なんて……」

花陽「あっ……凛ちゃん……」ウルッ

凛「あ。ち、違うよ!好きだけど、その……」アセアセ

穂乃果「大切だって言う気持ちも好きって気持ちも変わらないんだよ!
……だからあとはファイトだよっ」

凛「その……かよちんは本当なの?好きだって……」

花陽「あ……う……わ、私は……///」カァァッ

穂乃果「じゃあ行こうかにこちゃん」

にこ「え……ちょ、ちょっと!あの二人を置いてっていいの!?それに番組は!?」

穂乃果「大丈夫!神様がよく言ってた。『ラブアンドピース』だって!
……意味はよくわからないけど」

にこ「何よそれ……まあ」チラッ



凛「凛は……本当はずっと前からかよちんがね……」

花陽「わ、私だって凛ちゃんが……」


にこ「まあここにいると火傷しそうだし……。とれ高も大丈夫でしょ」

穂乃果「いこっ!にこちゃん」

にこ「ええ!」



次の日

『ぱなりん熱愛発覚!生放送で生プロポーズ!?』

『キューピッドはアイドル!?ぱなりん電撃入籍!』

『深夜番組でまさかの入籍!?世話人は新人アイドル!?』

『アイドルの特技が思わぬ事態に。ぱなりん入籍!』

穂乃果「ひゃー、どのテレビも新聞も昨日の話題で持ちきりだね!」

にこ「そうね……」

穂乃果「いや~。穂乃果達の名前もちゃんと載っててよかったよかった
乗ってなかったらどうしようかと思っちゃったよ!」

にこ「ええ……」

穂乃果「あれ、命題をクリアできたんだよ!嬉しくないの?」

にこ「嬉しいけど……嬉しいけど……なんなのよこの扱いはああああああ!?」

『キューピッドは新アイドルの穂乃果』

『アイドルの穂乃果さんの特技により―――』

『現在売り出し中のアイドル穂乃果さん(とにこさん)の――』

にこ「知名度は上がったけど、アンタがメインになってんじゃないいいいいっ!?」

穂乃果「い、いやぁ……それはまあ状況を考えると仕方がないといいますか」アセアセ

にこ「くぅ~!トップアイドルへの障害がこんな身近なところにいたとはね……」

穂乃果「しょ、障害!?穂乃果はにこちゃんの味方!相棒だよ!」

にこ「今度ご飯に毒でも混ぜて……」ボソボソ

穂乃果「い、今物騒な単語が聞こえたよ!?」

にこ「知らないわよっ」プイッ

穂乃果「ま、待ってよ!にこちゃん!にこちゃぁぁぁんっ!」





にこ(……助けてくれてありがとう穂乃果)




一方その頃

『なお、近々リリースされる穂乃果さんとにこさんの新曲は
あの西木野真姫の提供と言うことで―――』

『ファンの間では早くも話題に―――』


ことり「……ふーん。そっかぁ」

ことり「真姫ちゃんひどいなぁ……。ことりには曲くれなかったのに」

ことり「にこちゃんと穂乃果ちゃんかぁ……。近々挨拶に行った方がいいかなぁ?」

ことり「そうだ、どうせなら……」ピッピッピ

ことり『あっ!プロデューサーさんですかぁ?ちょっとお願いが♪実はですね―――』

ことり『そこを何とか……発売日は……』

ことり『ことり一生懸命頑張りますから!―――本当ですか?ありがとうございまし♪』ピッ

ことり「くすくす、トップアイドルはことりだよ」

ことり「世界で一番輝いてるのも、一番綺麗なのもことりなの」

ことり「そう、あの人みたいに……」

ことり「くすくすくす」

ほのたん中にと思ってたけど間に合わなかったのでゆっくりやります

乙です
楽しみに待ってます


やっぱ「天国に」は一期のだよなぁ

元ネタ知らんがおもろい
この天使穂乃果ちゃんかわいすぎ

これ3回目失敗してた場合の死因って決められてたりする?

おもしろい
のんたんがどんなキャラで登場するのか気になる

今一番の期待

~~~~~
第3.5話 死因

にこ「しっかし、何とか今回の命題もクリアできたのね」

穂乃果「だね~♪本当どうなる事かと思っちゃったよ」シャンシャン

にこ「本当にね。……そういえば今回の死因ってなんだったのかしら」

穂乃果「死因?」

にこ「いや、今まではニュースでそれとなくこれかな?っての流れてたのよ
でも今回はなかったから……」

穂乃果「あー。そうなの?そんなに気になるなら神様に聞いてみようか?」

にこ「まあ気にならないって言ったら嘘になるわね……って、聞けるの!?」

穂乃果「んー。ちょっと待っててね。『神様、今回の死因ってなんだったですか?』……っと」ソウシン

にこ「軽っ!?……しかし何度見ても信じられないわ。スマホで神様とメールとか」

穂乃果「天国も近代化が進んでるってことだよ!」

にこ「本当意味わからないわよ……」

穂乃果「まあまあ、そのうちにこちゃんもきっと天国にいけるよ!」

にこ「……当分は行きたくないわね」

メールダヨッメールダヨッ!

穂乃果「あ!お返事だ。―――ほほおっ。これは中々ショッキングな……」フムフム

にこ「ちょ、ちょっと!一人で読んでないで教えなさいよ!」

穂乃果「あ、そうだったね!えっとね―――」

にこ「自分の死因を聞くってのも嫌な気分がするわね……」ドキドキ

穂乃果「超小型隕石が直撃でぐしゃ!だったんだって」

にこ「―――は?」

穂乃果「えーっと、あの後何もなかった場合、にこちゃんは花凛さんたち含めスタッフさん達と打ち上げで―――」

にこ「そういえばあの騒動で打ち上げどころじゃなくて、二人で家でやったわね……」

穂乃果「すっかり盛り上がったにこちゃんは、朝まで飲み続けてその帰りに隕石が直撃してお陀仏だって!」

にこ「……」

穂乃果「いや~、人生って何があるかわからないね」

にこ「い、いや……さすがにそれは強引すぎない……?」

穂乃果「でも隕石直撃なんて中々ないよ!もしかしたら本当に今頃
世界一不運なアイドルとして全国区に……」

にこ「まったく嬉しくないわよ!爆発、陥没ときて次は小型隕石!?
絶対そのうちガツンと文句言ってやるわ……!」

穂乃果「ま、まあ!全部回避できてるし、ね!」ドオドオ

にこ「ぐぬぬぅ~~っ!」

>>127
考えてなかったんで後付でごめんなさい。

わざわざ書いてもらってすまんの

次も待ってるで

おつおつ

教師編の最後の命題は超小型隕石のおかげでクリアだったから超小型隕石はありえなくはないんだよな

ブーメランとか蛇のエピソードが記憶に残ってるなあ
教師編とカンパニー編の天道の人格が違かったのってなんか理由あったっけ?

>>139
モノカンパニーの時は神様もいるっぽくてガチ天使っぽい感じでやってたけど、教師編の時は病院を抜け出した病気の可哀想な人扱いだったって感じだったんだよな。
それも相まってモノカンパニーの時の天道を否定するカタチにもなってしまったから教師編は評価が低いという俺の中の見解。

ラストシーンでそれも全部ブラフで天使だったのか・・・って感じだけど視聴者に任せるって感じだったよね
モノカンパニーとはノリが違うし、多分モノカンパニーの方が受ける作りだとは思ったわ

ちょっと語りすぎじゃないかな?

めちゃくちゃ懐かしいな
ドラマの方のストーリー全然覚えてないけど、これは面白い!

~~~~~
第4話 天使

2016年3月20日

穂乃果「ぐぅ……ぐぅ……ォッカ……あきた」zzz

にこ「起きて穂乃果!大変!大変なのっ!」

穂乃果「うう……?なぁににこちゃん……穂乃果の朝はまだ始まってない……よ」zzz

にこ「それどころじゃないわよっ!早くテレビを……」ユサユサ

穂乃果「んぁ……あとで……見るよぉ……。朝食つくって、まっててぇ……目玉焼きがいい」zz

にこ「……」プルプル

穂乃果「あ……黄身は半熟で……よろし……く……ぐうっ……」zzz

にこ「―――アホなこと言ってないで起きなさい!このあほのかっ!」バチーン

穂乃果「うぐぅ!?な、何々……どうしたの……?」ヒリヒリ

にこ「おはよう穂乃果、いい朝よね」ニコッ

穂乃果「お、おはよう!な、なんかだ笑顔が引きつってない……?」

にこ「ふふふっ、そう?アンタもだいぶ私の事だわかって来たじゃない」ニコッ

穂乃果「ず、ずっと一緒にいるからかな!あはははっ!
そ、それより穂乃果に用事って……」

にこ「っと、そうだったわ!取りあえずテレビを見なさい!早くっ!」

穂乃果「テレビ?」

『昨夜、突如発表された南ことりさんの新曲―――』

にこ「よかった、まだこのニュースのままね」

穂乃果「ことりちゃんに新曲?でもこれがどう大変なの?」

にこ「いいから!発売日に注目しなさい!」

穂乃果「発売日?」

『―――注目の発売日はなんと4月30日です!』

穂乃果「あれ、この日ってもしかして……」

『4月30日は同時に先日話題になったアイドルユニットの―――』

穂乃果「こ、これってやっぱり……!穂乃果達のCDの発売日!? 」

『トップアイドルが直接対決を挑んできたなどと
ネット上では話題を呼んでおります―――』

穂乃果「……」ポカーン

にこ「私が穂乃果を叩き起こした意味、分かってくれたかしら」

穂乃果「ね、ねえ……これってどういうことなのかな……?」

にこ「どういうことも何もテレビの通りよ……。CDの発売日を合わせて私達を潰す気なのよ」

穂乃果「そ、それって……やっぱり……」

にこ「そう、トップアイドルの南ことりがね」

穂乃果「こ、ことりちゃんが穂乃果達を!?」

にこ「それだけ私たちが、注目されてるってことだけど……随分強引なやり方じゃない」

穂乃果「……何かあったのかな?」

にこ「さあね……。ま、もうどうしようもないし
気にせずやるしかないのかし『メールダヨッ!メールダヨッ!』

にこ「……」

『メールダヨッ!メールダヨッ!』

穂乃果「あ、穂乃果だ」スッ

にこ「ちょ、ちょっと待ちなさいっ!穂乃果にくるメールなんて一つしか―――」

穂乃果「あ、やったぁ!にこちゃん命題が来たよっ!」

にこ「や、やっぱりぃぃぃ……しかもこのタイミングって……」ブルブル



にこ「……」

穂乃果「……」チラッ

『命題
  2016年4月30日24時までに南ことりに勝てなければ即死亡』

にこ「はぁ……本当どうすんのよこれ……」

穂乃果「あは、あははは……」

にこ「いつも滅茶苦茶な命題ばっかりで頭悪いんじゃないかって思ってたけど
今回ばかりは確信に変わったわよ……」

穂乃果「き、きっと神様にも何か考えが……あると思うんだけど……」

にこ「私に死んでほしいって気持ちは、ひしひしと伝わってくるわね」ハァ

穂乃果「うぅ……だ、大丈夫だよ!今度もきっとなんとかなるよ。だから一緒に頑張ろう!」

にこ「……まあ、そうね」

穂乃果「にこちゃん!」パァァッ

にこ「ふんっ、思えばずっと滅茶苦茶な命題ばかりだったものね
……いいわよ!やれるとこまでやってやろうじゃないの!」

穂乃果「おぉ!さっすが!さすがよっ!」ヒューヒュー

にこ「ふふん!―――となるとどうやってことりに勝つかね……」

穂乃果「この期限って曲の発売日だよね?やっぱり売上とかなのかなぁ」

にこ「でも売上って一日でわかる物でもない気がするけど」

穂乃果「でも他に明確に勝ち負けが出るようなものってあるかな?」

にこ「うーん……確かに中々ないわね」

穂乃果「じゃあきっとCDの売上で勝たなきゃいけないんだよ!」

にこ「他に思い浮かぶものもないし、その路線で動くのが一番かしら……」

穂乃果「じゃあもっとCDのアピールをしなきゃだね!よーし。やるぞぉー!」フンス

にこ(……でも本当にトップアイドルのことりに―――駄目ね。弱気は)

にこ(穂乃果だって居てくれる、頑張るのよ矢澤にこ!)パンッ



二週間後 4月3日

移動中

穂乃果「にこちゃーん!次の仕事は!」

にこ「えっとつぎは……ラジオのゲストね」

穂乃果「おおっ!穂乃果ラジオ大好き!だってぐーたらな体制でやっててもばれないんだもん!」

にこ「はいはい、バカなこと言ってないでさっさといくわよ」

穂乃果「はーい!」


にこ(命題の日から2週間、私たちは順調に仕事をこなしていった)

にこ(トップアイドルとの直接対決が話題性を呼び、仕事の依頼もどんどん増えてきてる)

にこ(でも、だからこそ気が付くものもある。私たちと南ことりでは元々の人気が圧倒的に―――)

穂乃果「にーこちゃんっ!」モギューッ

にこ「っ……何よ」

穂乃果「えへへ!マッサージだよっ」ギュー

にこ「バカ、ただ抱き着いてるだけじゃない」

穂乃果「それでいいの!次のお仕事も頑張ろうね!」モギューッ

にこ「……ええ、そうね」ニコッ

穂乃果「うんっ!」ギューッ

?「くすくす、二人とも仲がとってもいいんだね」

にこ「なっ―――あんた……!」

?「知ってるかな?アイドルユニットって仲が悪いユニットも多いんだよ。羨ましいなぁ」

穂乃果「こ、ことりちゃん……」

ことり「くすくす。ことりのこと知っててくれてるんだ
初めまして穂乃果ちゃんとにこちゃんですよね。よろしくね」ペコッ

穂乃果「あ……よ、よろしく!」

にこ「バカっ!穂乃果何よろしくしてるのよ!」

穂乃果「だ、だって挨拶されたし……」

ことり「穂乃果ちゃんは素直でかわいいね。……にこちゃんはよろしくしてくれないの?」

にこ「アンタの返答しだいよ。一体どういうつもりなの?」

ことり「なんのことかなぁ?」

にこ「新曲の発売日よ!明らかに私たちに被せて来たじゃないっ」

穂乃果「に、にこちゃん。偶然かもしえないし……、そこまで強く言わなくても」アセアセ

にこ「偶然のわけないでしょ!穂乃果は黙ってなさい!」

ことり「うん、偶然な訳ないよホノカチャン♪」

穂乃果「う……」

にこ「いったいアンタどういうつもりで被せてきたのよ!」

ことり「ええ?どういうつもりも何も一つしかないよね」

にこ「……」

ことり「そう、もちろん出る杭は早めに打っておくためです♪」

にこ「……やっぱりね。それ以外ありえない物ね」

穂乃果「こ、ことりちゃん……なんで……」ブルブル

ことり「だって当然でしょ?あの真姫ちゃんに曲を書いてもらったアイドルだもん
一番の危険人物だよ」

にこ「何よその危険人物って」

ことり「ことりがトップアイドルとして輝き続けるためのだよ」

にこ「そのために他人を蹴落とすって言うの!?」

ことり「もちろん。アイドルは競争社会なんだよ?
ずっと下にいたにこちゃんは知らないかもしれないけどね」

にこ「っ……!」

ことり「二人が真姫ちゃんの曲をもらって人気が出て……その陰で何人ものアイドルが蹴落とされてる
ことりも同じことをしてるだけだよ……ちょっと直接的だけど♪」

穂乃果「ち、違うよ!にこちゃんはそんなんじゃ―――」

ことり「くすくす、結果的にはそうなってるんだよ?」

にこ「だから何よ……そんなの覚悟してみんなアイドルをしているはずよっ!」

ことり「なら、にこちゃんもね♪」

にこ「……なんとでも言ってなさいよ。それにこのまま黙って蹴落とされる気も―――」

ことり「そうそう、一つお知らせがあるの。ことりのCDの特典に
ライブの最速先行抽選申込券がつくことになったんだ♪」

にこ「は……!?」

ことり「一人何枚買ってくれるかなぁ?くすくす
穂乃果ちゃん達は何か初回特典とかつくの?」

穂乃果「えっと……プロマイドが……」

ことり「そっかぁ。それじゃあちょっと厳しいかもね。うーん、さすがに可愛そうになっちゃった
……そうだっ!良かったらこの番組に出て見ない?」ペラッ

にこ「なっ!これってゴールデンの音楽番組じゃない……!」

穂乃果「こ、これってあれだよね!アニメが終わった後やってるあの有名な―――」

ことり「そこのスタッフさんと知り合いなの♪一組だけ出演者が足らないみたいでね
―――よかったらことりが推薦してあげるよ」

穂乃果「に、にこちゃん!これに出ればもしかしたら!」

にこ「……もちろんアンタもこの番組にでるのよね」

ことり「当然だよっ。ほら日付見て見て」

穂乃果「4月29日……発売日の前日!?」

ことり「ね、いい宣伝になると思わない?きっとにこちゃん達が出てくれたらすっごく盛り上がるよ!」

にこ「っ……か、勝手に決めるわけには行かないわ、スケジュールとかあるし」

ことり「そっかぁ……じゃあ考えといてね。返事は今週中にくれればいいからっ」



夜 矢澤ハウス

にこ「はぁ……本当参ったわね……徹底的に潰す気マンマンじゃない」

穂乃果「うん……ことりちゃんとっても怖かった……」

にこ「特典までガチ中のガチ、勝てる見込みなんてもう0よ……」

穂乃果「そ、そんなっ!?諦めちゃだめだよ!」

にこ「穂乃果は知らないかもしれないけど『最速先行抽選申込券』ってのはね
一人がそれ目当てで何十枚も買うような世界なのよ」

穂乃果「何十枚も……」

にこ「それに対してこっちは全5種類のプロマイドとポスター
厳しいどころの騒ぎじゃないわね」

穂乃果「うぁ……そ、そうだ!じゃあことりちゃんの紹介してくれた番組に出ようよ!」

にこ「……」

穂乃果「ことりちゃんのファンだっていっぱい見るんでしょ?
あそこで一気ににこちゃんの良さを知ってもらえれば!もしかしたら―――」

にこ「無理よ。あんなの私たちに止めを刺す為の罠に決まってるじゃない」

穂乃果「罠……?」

にこ「きっとステージ構成はおろか歌う順番だってことりが有利になってるはずよ」

穂乃果「で、でも……!」

にこ「出たら最後、徹底的な力の差をわからされるだけよ」

穂乃果「じゃ、じゃあ何もせずに諦めちゃうの!?」

にこ「……」

穂乃果「アイドルになる夢がようやく現実になってるんだよ!
全部ここで台無しにしちゃうの!?」

にこ(夢……ね)

穂乃果「確かに負けたら死んじゃう……でも、それでもにこちゃんに諦めて欲しくないよっ!」

にこ「……」

穂乃果「だって……だって穂乃果の好きなにこちゃんは
楽しそうに歌って踊って全力でキラキラしてるにこちゃんだもんっ!」

にこ(っぅ……!)

穂乃果「諦めてふさぎ込んでるにこちゃんなんて穂乃果きら――」

バチコーン

穂乃果「い、痛ッ!?」ヒリヒリ

にこ「人が黙っていればいい放題言ってくれるわね……!
誰が何もせずに諦めるなんて言ったのよこのあほのかっ!」バンバン

穂乃果「にこちゃん!」パァァァッ

にこ「罠?上等じゃない!罠だろうがなんだろうか
ゴールデンの音楽番組なんて最高にキラキラできる場所に出ないわけがないでしょ!」

穂乃果「うん、うんうん!そうだよねっ!76そうだよね!」

にこ「私の輝きをことりのファンに見せてぜーんぶ奪い取ってやるわよっ!」

穂乃果「きっとにこちゃんならできる!やらなきゃだよ!」

にこ「そうと決まれば時間はないわ、早速明日からビシバシ行くわよ!
ってことで今日は早めに寝るわよ!」

穂乃果「うん!穂乃果も精一杯頑張る!まずは寝る前の歯磨きからっ!」スタスタスタ

にこ「……待って穂乃果」

穂乃果「ん、どうしたの?にこちゃんが先に歯を磨く?」

にこ「……最後まで一緒に居てくれる?」

穂乃果「……当然だよ。だって穂乃果はにこちゃんの天使だもん。じゃあ歯磨いてくるね!」

にこ「……うん。ありがとう」



2016年4月29日
早朝

穂乃果「……」

にこ「んっ……朝……?」

穂乃果「あ、にこちゃんおはよう。でもまだちょっと早いかな?」

にこ「ふぁぁぁっ。今日は色々準備もあるしいいわよ
それにしても穂乃果が起きてるなんて珍しいじゃない」

穂乃果「えへへ、今日くらいはね!」

にこ「……そうね、今日が勝負の日だものね」

穂乃果「うん……」

にこ「……思えば穂乃果と出会ってから随分経ったわね」

穂乃果「そういえばもうすぐ一年くらいたつんだね……。時の流れって早いね」

にこ「天使でもそう思う時があるのね」

穂乃果「当然だよ。天使だって生きてるんだもん!」

にこ「天使って生きてるの?」

穂乃果「も、もちろんだよ!神様にちゃんと命をもらって天使になるんだよ!」

にこ「まあ……そうよね。あんなによく食べてよく寝る穂乃果が生きてないって話なら
生きるって何かって思えてくるしね」ウププ

穂乃果「むぅ……なんだか引っかかる……!」

にこ「気のせいよ気のせい。本当、あんたといると飽きないわ」

穂乃果「穂乃果もね、にこちゃんと一緒に居るの大好きだよ」

にこ「っ……///真顔でそういうこと言うのも本当に穂乃果らしいわね」

穂乃果「……にこちゃんは穂乃果と会って良かったと思う?」

にこ「な、何よ急に」

穂乃果「えへへ。ほら、命題とかで色々大変な目にあってるし。今だってさ……」

にこ「あー。そういうことね……うん」

穂乃果「穂乃果が派遣されてこなくて
あのまま帰ってた方がよかったのかってふとさ……」

にこ「……ねえ覚えてる?あの時の駅のホームでの会話」

穂乃果「……うん。もちろんだよ」

にこ「なら、一度だけ言うわ。私が私のまま今も生きてるのは穂乃果のおかげよ
穂乃果と一緒に居た時間に後悔なんて一欠けらもないわ」

穂乃果「ほ、本当!?」

にこ「……」プイッ

穂乃果「にこちゃん?」

にこ「一度だけって言ったでしょ」

穂乃果「ええ!?ま、待ってよもう一度ちゃんと聞かせて!」

にこ「ダメよ。ほら、穂乃果は寝てなさい。ご飯できたら起こしてあげるから」

穂乃果「うぅ……いじわる」

にこ「ふふん、仕返しよ。さてと今朝は豪勢にいくわよ!」




2016年4月29日


『以上現場からの中継でした』

『次のニュースです、緊急来日したロシアの大統領―――』プチン

にこ「穂乃果―?もうそろそろ時間よ。準備できた?」

穂乃果「ま、待って!今寝癖直してるからっ!」

にこ「ああもう!スタイリストさんにしてもらいなさいよっ!」

穂乃果「えー!ヤダよ恥ずかしいもん!」

にこ「わがまま言わないっ!」

穂乃果「うー……ちぇっ」

にこ「まったく……ほら、行くわよ」

穂乃果「にこちゃん、今日頑張ろうね!」

にこ「……当然よ!今日ことりのファンを全部奪って、5月から二人でトップアイドルよ!」

穂乃果「うん!トップアイドルになったら
凛ちゃんにラーメンおごってもらう約束したから頑張らなきゃ!」

にこ「甘いわねー。私は花陽には世界で一番おいしいお米に
真姫ちゃんには世界一で一番おいしい焼肉をおごってもらう約束したわよ」

穂乃果「な、何それ!?ほ、穂乃果も!穂乃果も連れてってよ!」

にこ「ふふっ、当然よ。その代りラーメン私も連れてきなさいよね」

穂乃果「もっちろん!じゃあ―――」

にこ「行くわよ!」

~~~~~
楽屋

ことり「くすくす、二人ともちゃんと来たんだね」

穂乃果「あ!ことりちゃん……」

にこ「撮影の時間は守る。アイドルとして常識よ」

ことり「うんうん、ごめんね、ちょっとだけもしかしたら来ないんじゃないかって思っちゃって」

穂乃果「もー!穂乃果達はドタキャンなんてしないよ!」

にこ「ええ、別に逃げる理由もなにもないもの」

ことり「……ふーん。もう出演順は聞いた?」

にこ「ええ、私たちはことりから2~3こ後ろらしいわね」

ことり「ごめんね、ことりの後で。本当は前にしてあげたかったんだけど―――」

にこ「別にいいわよ。その方が印象に残るだろうし」

ことり「逆かもしれないけどね?」クスクス

にこ「……言ってなさい。行くわよ穂乃果」スタスタ

穂乃果「あっ。う、うん!……」チラッ

ことり「頑張ってね!ことりも楽屋から見ててるから」

穂乃果「あ、ありがとう。ねえ……」

ことり「うん?どうかしたの?」

穂乃果「ことりちゃんは……なんでアイドルになろうとしたの?」

ことり「えっ――――?そんなの一番輝きたいか……ら……?」

にこ「穂乃果―!早く来ないとお弁当食べちゃうわよ!」

穂乃果「あ、ごめんね!今行くからっ!―――じゃあもう行くね!ことりちゃんの曲も
穂乃果達見てるから!」タッタッタ

ことり「……」

ことり(私は……一番輝きたいからアイドルになったんだよね)

ことり(うん、そうだよ。輝くためにアイドルになったんだもん。
誰にも負けないで誰にも邪魔されないように輝くためにトップアイドルに……)

ことり(でも……あの子のと話してると何かが……)

<南ことりさん。そろそろお時間でーす

ことり(っと、いけない。今は集中しなきゃ)

ことり(私はことり、天使のように輝いて、どこまでも綺麗な存在なの……!)



にこ「早速始まるみたいね」

穂乃果「うん……」

『走り~だす!べりべーりとれーいん!あ~ま~くて―――』

にこ「自分のイメージに逆らわない、ド直球の可愛い系ね」

穂乃果「すごい……歌も踊りも……」

にこ「これが急造で作った曲なの……?悔しいけどさすがトップアイドルね……」

『やんやんっ!―――』

にこ(私たちはこれに勝てるの……?
完成度もずっと準備してた私達よりこっちの方が―――)

穂乃果「でも……なんかことりちゃんらしくないね」

にこ「え?」

穂乃果「本当はもっと楽しそうに、自由に歌うのに……なんだか窮屈そうだよ」

にこ「ことりのこと何か知ってるの?」

穂乃果「……うん」

にこ「でも最初に見た時はことりのこと知らないって言ってなかった?」

穂乃果「トップアイドルの南ことりちゃんはね」

にこ「それって一体―――」

<にこさん、穂乃果さん。もうそろそろ出番になりますー

にこ「あっ。はーい!―――とりあえずその話はあとね。私はちょっとお手洗いと
衣装周りの最終チェックに行ってくるわ」

穂乃果「うんっ!次会う時はステージに入る前だね!」



ステージ裏

ことり「はぁ……はぁ……」

ことり(うんっ。歌も踊りも完璧!
この後ににこちゃん達が何をしてきても印象には残ら―――)

穂乃果「……ことりちゃん」

ことり「!? ほ、穂乃果ちゃん?どうしたのこんなところまで来て
2人の出番はまだなんじゃ……」

穂乃果「ご、ごめんね!ちょっと聞きたいことがあって」

ことり「聞きたいこと?あ、もしかしてステージで緊張しないコツとか―――」

穂乃果「違うの。ただ……なんであんなに窮屈そうに歌ってるのかなって」

ことり「……え?」

穂乃果「ことりちゃんは本当はもっと自由に歌えるはず……歌えてたはずだよ!
それなのになんで……」

ことり「な、何言ってるのかな?自由にって……ことりのステージ、すごく綺麗だったでしょ?」

穂乃果「綺麗だった、すごかったけど……でも、それだけだよ
ねえ、どうしてアイドルを目指したの?」

ことり「だ、だから誰よりも輝きたくて……!」

穂乃果「本当に……?ならこんな風に他の人の妨害をしなくても
ことりちゃんだったら十分輝けるはずだよ!」

ことり「……そんなことないよ。アイドルってのは所謂、弱肉強食だよ
大体にこちゃんだって―――っ」

『―――って言うの!天使やってるんだ!』

ことり(く……これ……昔の……何で今……)

穂乃果「……ねえことりちゃん、にこちゃんと同じことをしてるだけだって前言ってたよね」

『リハビリ一緒に頑張ろよ!ほら、完治するまでずっと一緒にいてあげるから!』

ことり「うっ……そ、そうだよ!にこちゃんだって
他人を蹴落として輝こうとしてるんだけだよ!」

穂乃果「違うと思う。にこちゃんは自分が輝くだけじゃなくて
みんなに笑顔になってほしいからアイドルをしてるんだと思うよ」

ことり「笑顔に……?……っ」

『天使のお仕事?うーん説明が難しいなぁ……。
よし!考えておくからそれはまた今度ね!』

ことり(なんで……今になって思い出してくるの……この子と話してると……なんでっ……)

穂乃果「その過程でもちろん蹴落としちゃうこともあるかもしれない
……でもにこちゃんなら蹴落としちゃった子達も、いつか笑顔にできる穂乃果はそう思う!」

穂乃果(きっと、だから穂乃果が派遣されたんだよ
そしてことりちゃんも―――)

ことり「そ、そんなのただの綺麗ごとだよ……!
この世界はそんなに優しくないってきっといつかわかるよ!」

穂乃果「ことりちゃん、何があったの……?」

ことり「べ、別に私はトップアイドルで……それ以外何も―――っ!」

『どうして泣いてるの?辛いことがあったら全部お姉ちゃんに話していいんだよ?
そうすればきっと少しは楽になるよ』

穂乃果「辛いことあったなら話してみてよ!そうすればきっと、少しは楽になると思う」

ことり(なんで、なんでなんでなんで!あの人とこの子が被るの!?)

<あっ、探しましたよ。穂乃果さーん!もうそろそろ出番ですー!


穂乃果「あ!はーい、今行きますっ!
―――ねえなんでアイドルを目指したのか、まだ覚えてる?」

ことり「……」

穂乃果「じゃあ穂乃果達のステージ見てて!きっと思い出せるからっ!」タッタッタ

ことり「……」




ステージ裏

にこ「ちょっと穂乃果!どこ行ってたのよっ。ギリギリじゃない!」

穂乃果「えへへ、ごめんごめん。ちょっと道に迷っちゃいまして……」アセアセ

にこ「はぁ……まったく穂乃果は―――今日は全力100%の笑顔で行くわよ!」

穂乃果「もちろん!」

にこ「そして絶対に来月からも二人で頑張るわよ!」

穂乃果「うん!」



ことりの楽屋

ことり(何のためにアイドルを……?輝きたいため……?あの人みたくなりたいから?
あの人みたく輝きたかったから……?)

ことり(何か違う気がする……どうして今更こんなことを……)

『ではお次は話題沸騰のアイドルユニットの―――』

ことり「……きた」

にこ『Hi hi hi! にっこり―――』

穂乃果『悩むより あせ~るより―――』

ことり(へぇ、さすが真姫ちゃんの作った曲だね。完成度は凄いけど
―――でも)

にこ『元気いっぱいになって欲しいから―――』

ことり(アイドルは曲・歌・踊り全てが揃ってこそだよ
全体してみた時の完成度は私には全然及ばない……)

ことり(穂乃果ちゃんは兎も角、にこちゃんなら気づいてるはず……なのに)

穂乃果『とーどーけー!魔法~♪』

にこ『笑顔の魔法~♪』

ことり(なんでそんな楽しそうに歌えるの……?)

ことり(私のあの完璧なステージの後なんだよ?
それなのになんであんな自然な笑顔ができるの……?)

ことり(私の方が輝いてるってはっきりわかるのに!―――っ)

ことり(なんで!なんであんな楽しそうに踊れるの!?)

穂乃果『ほらっ!楽しくなれ♪』

ことり(っ……!なんで……!?)

『―――この前言ってた天使のお仕事だけどね、ようやくわかったよ!』

ことり(っ……!なんであの子を見てると、昔のこと思いだしてくるの……?)

『みんなを笑顔にすること!それが天使のお仕事!』

ことり(あ……)

ことり(そうだ……私はあの人みたくなりたくてアイドルになった
輝けば、いっぱい輝けばあの人みたくなれると思ったから―――本当に?)

『ふぇっ?天使になりたい―――それは難しいかも……』

ことり(あの人はいつも笑顔でぴかぴかしてて、とっても輝いていた)

『な、泣かないで!―――そうだ!』

ことり(だからあの人みたくなりたくて……輝かなきゃって思って―――違う)

『ことりちゃんも違うことでみんなを笑顔にしてみてよ!そしてらきっと―――』

ことり(違う……、違うよ……私、最初はあの人みたく、泣いてる子に元気をあげて
みんなを笑顔にしたいと思ってアイドルになったんだ……)

にこ・穂乃果『にこっ♪』

ことり「……なんで忘れちゃったの?」

ことり「どこで、忘れちゃったんだろう……」

司会『以上、初登場の新ユニットの―――』

ほのにこ『ありがとうございましたっ!』

ワーワーワー

ことり「……」



ステージ後

穂乃果「はぁ……はぁ……!」

にこ「はぁ……はぁ……!……やりきったわね」

穂乃果「うんっ!とっても気持ちよかったね」

にこ「ったく、人の命がかかってるってのに……。でも本当そうね」

穂乃果「きっと大丈夫だよ!それより早く打ち上げ行こうよ打ち上げ!」

にこ「ぷっ、くすくす。まだ駄目よ。こういうのはね
全員が終わるまで待って最後に挨拶しなきゃいけないのよ」

穂乃果「ええっ!?そうなの!?」

にこ「だから打ち上げはまだお預けね。まだ時間もあるし楽屋で何か摘まみましょう」

穂乃果「だねっ!―――あ」

にこ「なぁっ!」

ことり「……」

穂乃果「ことり、ちゃん……」



にこ「……何しに来たのよ。勝利宣言です♪とかだったら一発殴るわよ?」フンッ

穂乃果「に、にこちゃん!そんなことしちゃだめだよ!」

にこ「冗談よ。穂乃果って本当マイペースよね……」

穂乃果「えへへ。神様にもよく褒められるよっ」ボソッ

にこ「そっちは多分褒めてなさそうだけど……。で、何の用なの?」

ことり「……」

にこ「終わったばかりで疲れてるし
用がないなら楽屋に戻るけど―――「……ごめんなさい」

穂乃果「!」

にこ「は、はあ!?ご、ごめんなさい……?」

ことり「あ……い、意味が分からないよね……。でも謝らなきゃって……」

にこ「……もしかして、『明日のCD売上はことりの勝ちでごめんなさい♪』的な……」

ことり「ち、違うの!……その、潰すとか、発売日被せたりとか……そのこと、謝りたくて」

穂乃果「ことりちゃん……!」

にこ「……」ボーゼン

ことり「こ、こんなことまでしたのに、突然謝っても信じてもらえないと思うけど……
ごめんなさいっ!」

にこ(これも罠……?何かあるのかも……。でもそんな感じには……)

穂乃果「にこちゃん……」

にこ「……とりあえず話を聞かせてもらっていいかしら?」



楽屋

にこ「で、いったい何よ。直前にわざわざあんなこと言っといて今更謝りたいって」

ことり「……二人のステージをみてたら、その……思い出したの
なんでアイドルを目指してたのかって」

穂乃果「……」

にこ「はあ?なんでそんなことを……」

ことり「わ、わからない!わからないけど……ステージ見てたら思い出したの
アイドルを目指したきっかけ……天使さんとのこと」

にこ「て、天使!?」ドンッ

穂乃果「……」

にこ「ど、どういうことよ天使って!」チラッ

穂乃果「……」ウツムキ

ことり「うん……あのね、私がアイドルを目指した理由
……私は昔、天使さんに出会ったの――――」

――――
―――
――

ことり「すっごく小さい頃……まだ小学生に上がる前くらいだったかな?
交通事故にあって入院してた時期があったの」

ことり「特に足の傷がひどくて、その頃は傷が消えるかもわからないって言われて
毎日辛いリハビリで……ふさぎ込んじゃった時があってね」

ことり「そんな時に私の元に、突然天使さんがやってきてくれたの……」

にこ「天使……」チラッ

穂乃果「……」

ことり「天使さんとっても綺麗で輝いてて
私の事、ずっと隣で励ましてくれて、いつの間にか私も笑顔になって」

ことり「―――いつか天使さんみたいにみんなを笑顔にしたい
輝きたい思ってアイドルを目指したんの……なのにっ!」

にこ「……でも、それなら叶ってるじゃない。ことりのおかげで大勢のファンは笑顔になってるわよ」

ことり「駄目だよ。その裏で私はいっぱいの人に嫌なことしちゃった……
する必要もないのに……。天使さんはみんなを笑顔にするだけだったのにっ!」

にこ「ことり……アンタ……」

ことり「いつからだろう……。アイドルやってて楽しかったはずなのに
嫌なこともいっぱいあって、そのうち最初の事なんて忘れちゃって……」

にこ「……」

ことり「でもありがとう。二人のおかげで思い出せたの
あの人との思い出をきちんと」

にこ「なんで私たちのステージでそんな大切なこと思い出したの……?」

ことり「なんでだろうね……多分、にこちゃん達がとっても楽しそうに踊ってたからな……」

にこ「楽しそうに?」

ことり「ライバルであるはずの私までそう思えるくらいに……ね」

穂乃果「……思い出せたんだね。ちゃんとアイドルを目指した理由」

ことり「うん。―――二人ともごめんね。そして……ありがとう」



矢澤ハウス

ガチャッ

穂乃果「ただいまー!ふぅ……やっぱり我が家が一番落ち着くねっ!」

にこ「……」

穂乃果「いや~。今日は疲れたね……。ゴールデンのテレビって大変なんだね……」

にこ「穂乃果」

穂乃果「は、はい!」ビクッ

にこ「座りなさい。正座ね」

穂乃果「ま、待ってにこちゃん!今日はいっぱい踊って足が―――」

にこ「正座」ジトー

穂乃果「は、はい……」



にこ「で、どういうことなの?」

穂乃果「い、いやですね。どういうことと言われましても―――」

にこ「こそこそ居なくなってると思ったら……
ことりの言ってた天使、あれって穂乃果よね」

穂乃果「え、い、いやぁ?どうだろう……天使っていっぱいいるし」

にこ「……明日の夕飯はピーマンの丸焼きね」ボソッ

穂乃果「うっ……ほ、穂乃果です!穂乃果でした!」ババッ

にこ「ったく、素直に言いなさいよ……。で、なんで隠してたのよ」

穂乃果「か、隠してたわけじゃなくてですね……」

にこ「な ん で 隠 し て た の ?」ジーッ

穂乃果「じ、実は天使にも守秘義務と言う物がありまして……
過去のことはあまり口外しちゃダメなの……」

にこ「ふーん。それで……」

穂乃果「本当はね、ずっと言いたかったんだけど……ごめんね」

にこ「……別にいいわよ。そういう理由なら穂乃果を責めるのは筋違いだし」

穂乃果「う、うん……」

にこ「ただ……また穂乃果に助けられちゃったなって思っただけよ」

穂乃果「穂乃果に?」

にこ「だって穂乃果が居たからことりは思い出したんじゃない……
私は別に―――」

穂乃果「それは違うよ!」

にこ「いいわよ別に。自分でもわかってるから……」

穂乃果「確かにきっかけは穂乃果かもしれないけど……思い出したのは
にこちゃんがことりちゃんの理想のアイドルだったからだよ!」

にこ「私が……ことりの理想?」

穂乃果「そうだよ!ことりちゃんの理想……みんなを……自分もライバルも
周りの全てを笑顔にできるアイドル、それがにこちゃんだって穂乃果は思うよ」

にこ「笑顔にできるアイドル……」

穂乃果「そうだよ!にこちゃんは、とっても凄いんだからっ!」フンス

にこ「……はぁ。おだてても明日のピーマンは減らないわよ?」

穂乃果「本心だよ!……って!?明日ピーマン確定なの!?」

にこ「ってか、本当に命題はこれでクリアなの?
別にことりは負けたわけでもないと思うんだけど」

穂乃果「か、神様に聞いたら大丈夫って言ってたし
多分平気だと思うけど……多分」

にこ「これで明日の朝ぽっくり逝ってたらシャレにならないわよ……」

穂乃果「だ、大丈夫だと思うんだけど……ねえ?」

にこ「いつか本当に神様とやらに苦情言ってやるわよ……絶対」

穂乃果「だ、ダメだよそんなことしちゃ!」

にこ「そもそも命題がめちゃくちゃすぎるのよ!今回だって―――」

ギャーギャー ワーワー

~~~~~
コトリハウス

『こんなこと言うのもあれだけど……よかったら今度ことりのライブ来てくれるかな……?』

『お礼がしたいの……思い出させてくれた二人に……』

『ほ、本当!?ありがとう!頑張るね!』

ことり(調子よすぎちゃったかな……)

ことり(でも……ちゃんと変わった所、あの二人に見せたかったから……)

ことり(うん!そうだよ、来てくれるって言ったんだもん。頑張らなきゃ)

ことり(ふふっ。新生南ことりスタートだね)

ことり(天使さんもきっとどこかで見ててくれるかな……?)

ことり(今度こそ間違えないから―――!天使さんみたいになるためにもっ)

~~~~~
天国

?「なるほどなぁ……」

?「厳しい命題だしすぎたから、サービスしようと思ったんやけど……」

?「……矢澤にこ、だいぶ成長したみたいやね」

~~~~~
第5話 穂乃果
2016年5月4日

不動産屋

にこ「うーん……ここは立地が……こっちは家賃が……」

穂乃果「うわー!にこちゃんみてみて、このお部屋トイレが2つもあるよ!」

にこ「はあ?そんなにいらないでしょ」

穂乃果「じゃあこっちは!お風呂が二つもある!」

にこ「お風呂も二つもいらないっ!……あ、この部屋とかいいわね」

穂乃果「あっ!こっちは台所が二つ―――」



にこ「結局一日じゃあ決まらなかったわね……」

穂乃果「日本のお部屋事情って凄いんだね!いっぱい物件がありすぎて迷っちゃうよ」

にこ「穂乃果は変な部屋に惹かれすぎなの!もっと立地やら値段やら見なさい!」

穂乃果「うっ……で、でもびっくりしちゃったよ!
にこちゃんがいきなり引越ししようだなんてさ」

にこ「仕事も増えてきたんだし、いつまでもあのボロアパートになんていないわよ」

穂乃果「そっかぁ、穂乃果はあのお部屋も結構好きだったけど……」

にこ「大体二人で住む部屋じゃないし狭いじゃない」

穂乃果「うーん……確かにものすごく狭いよね」

にこ「ま、いい機会だしね。明日こそいい物件見つけるわよ!」

穂乃果「うん!」

にこ「治安も良くて駅から近くで台所も広くて家賃も安くて―――」ブツブツ

穂乃果「ねえにこちゃん」

にこ「エアコンも最初からついてた方が―――んっ。何よ?」

穂乃果「新しいお部屋になっても夜は一緒にお布団並べて寝ようね!」

にこ「は、はあ!?そんなことしなくても
ちゃんと穂乃果の部屋もあるとこにするわよ」

穂乃果「えー……寂しいし一緒に寝たいよ……ダメ?」

にこ「……まあその方が電気代とかも浮きそうだし別にいいけど」フンッ

穂乃果「やったっ!実はもう寝てる時に
にこちゃんを枕にしないと眠れなくてさ」エヘヘ

にこ「だああっ!穂乃果は本当に寝相が悪すぎなのよ!」プンプン

穂乃果「えー!だってにこちゃん小さくて駄着心地いいんだもんっ」

にこ「あーもう!ナシ、やっぱり一緒に寝るのはナシよっ!」

穂乃果「えええっ!?さっきは良いって―――」

にこ「穂乃果が変なこと言うからっ―――!」

ワーワーワギャーギャー



深夜

にこ「ぐぅ……ぐぅ……」zzz

穂乃果「んんっ……ぐぅ……にこちゃ……」zzz

Pipipi!pipipi!

穂乃果「うぐっ……ううっ……目覚まし……?」ゴシゴシ

穂乃果「ってっ!穂乃果のスマホ!?」ピッ

穂乃果「は、はい!お疲れ様ですこちら穂乃果です!」

穂乃果「あ!神様っ!いえ。大丈夫です!」ヒソヒソ

穂乃果「にこちゃんなら穂乃果の隣で寝てますけど……」チラッ

にこ「すや……すや……」

穂乃果「何か用事なんですか?もしかして命題の送り方が電話になったとか!?」

穂乃果「違う?じゃあ何の用なんですか?」

穂乃果「――――え?」

穂乃果「今すぐにですか!?ま、待ってください!」

穂乃果「で、でも穂乃果、実は今アイドルやって約束が……」

穂乃果「た、確かに今のにこちゃんなら一人でやってけるかもしれないですけど……」

穂乃果「で、でも……そこを何とか……せめて挨拶だけでも……」

穂乃果「はい……、わかりました……はい、はい……」

穂乃果「すぐに、帰ります……」ピッ

穂乃果「……」

穂乃果「ごめんね……」

穂乃果「お別れも言えないけど……ルールだから……」

穂乃果「ごめんね……」

にこ「すや……すや……」zzz



次の日 朝

にこ「んっ……むごっ……あさぁ?」

にこ「んんんっー!ふぁぁぁつ……」ノビノビ

にこ「今日は朝から不動産めぐりするんだったわね……、ほら穂乃果も早くおきなさ―――」

にこ「あれ?穂乃果?」



三日後

にこ「すみません、その仕事もキャンセルで―――」

にこ「はい、実は穂乃果が病気でして、当分お休みを―――」

にこ「本当にすみません、大切な時期に!」

にこ「ありがとうございます!穂乃果にも伝えてきます。失礼します」ピッ

にこ「はぁ……これでしばらく仕事の方は大丈夫ね」

にこ「ったく、あのバカ。三日も無断でどこ行ってんのよ……」

にこ「スマホだって置きっ放しで、連絡も取れないじゃない……大丈夫よね」

にこ「穂乃果に限って事件とかは……大体隣で寝てたわけだし……」

にこ「いったい何があったのよ……」

ピーポーン ピーポーン ピーポーン
ピーポーン ピーポーン ピーポーン

にこ「っ!穂乃果っ!」タッタッタッ

ガチャッ

にこ「穂乃果!アンタ一体今までどこに―――え!?」

絵里「Есть ли здесь Honoka!?」(穂乃果はここにいるの!?)バンッ

にこ「なっ―――!外人!?」

絵里「Ответьте!」(答えて)ガシッ

にこ(一体何を言って―――あれ、この外人どっかで……)

絵里「Ответьте!」グワングワン

にこ(ちょ、力強い―――な、なんなの!?)

海未「―――絵里、落ち着いてください。ここは日本です
ロシア語では彼女も戸惑ってます」

にこ「あ、アンタは日本人ね!な、なんなのよこいつは……!」

海未「すみません、絵里はこう見えて熱くなりやすくて」

にこ(んっ……エリ……?そ、そうよ!確かニュースで!)

『次のニュースです、緊急来日したロシアの大統領―――』

にこ(こいつ……あの大統領とそっくり……!?)

絵里「っ、ごめんなさい……つい我を忘れていたわ……」

海未「お騒がせしてしまってすみません。まずは自己紹介をしましょう」

絵里「……そうね。ロシアで大統領をしている……えーっと、日本名だと絵里よ」

にこ「なぁ!?ほ、本当の大統領なの……な、なんでうちに……?」

海未「私は秘書兼SPの園田海未と申します
実は矢澤にこさんにお話がありまして―――」

にこ「大統領が……私に話……?うそでしょ……?」

絵里「もういいでしょ海未!―――矢澤さん、穂乃果は?穂乃果はここにいるの!?」

にこ「な、っ……ほ、穂乃果!?」



にこ「はい、大統領にあうお茶はあいにくないから我慢してよね」コト

海未「ご丁寧に私にまで……ありがとうございます」

にこ「それで……穂乃果に会いたいってどういうことなの?
まさか穂乃果のファン……って感じでもなさそうね」

絵里「……それよりも穂乃果はここにいるのね?」

にこ「穂乃果は、ちょっと出かけてるの。数日前くらいから」

海未「数日前……ですか。行先などは聞いていますか?
……突然消えてわけではないですよね」

絵里 「ま、待って!それって……ようやく見つけたと思ったのに……!?」

にこ「っ―――!だ、大体アンタたちなんなのよ!
穂乃果穂乃果って、きちんと説明しなさいよっ!」

海未「そう、ですね……まずは私たちの事を話しましょう」

絵里「私は穂乃果……天使に救われたの」

にこ「!? ど、どういうことなの!?」



絵里「今でこそ大統領なんてしてるけど、昔の私は最低の人間だったわ……」

絵里「ロシアを変えるっていう夢に破れて
ただ隅っこの方で生きてるだけ……そんな毎日だった」

にこ(それって私と……同じ)

絵里「そんな時に突然現れたのが穂乃果だったの」

にこ「!?」

絵里「そのあとはあなたもわかるでしょ?私は穂乃果を受け入れて
一緒に命題をクリアしていった―――」

海未「その過程で私とも出会ったんですよ」

にこ(つまり、こいつは……穂乃果の前のパートナーってこと……?)

絵里「三人で毎日必死になって命題をクリアしてったわ」

海未「とても慌ただしく……楽しい日々でした」

にこ(ま、待って……前の人がいて私になったってことは……)

絵里「突然穂乃果がいなくなるまではね―――」

にこ「ぁ……」

―――――
――――
―――
――



にこ「……」ボー

にこ「……」

にこ「―――」

にこ「穂乃果アンタは本当に消えちゃったの……?」

『穂乃果はある日、突然消えたわ』

『誰にも別れを告げずに、使ってた私物も全て置いたままで突然……ね』

にこ「なんでよ……なんでなのよ……」

『だけど私は穂乃果に会ってどうしてもお礼を言いたかったから……
だから必死に探し回ってたの』

『そんな中、ネットであなた達を見つけたんです。ですが……遅かったみたいです……』

にこ「一緒に居るって言ったじゃない……なのに!なのにぃ……」グスッ

にこ「トップアイドルになるまで一緒に居るって……!言ってたじゃないっ!」

にこ「なのにっ……ぐすっ……なんでよっ!」

にこ「なんで……嘘つきっ!」ポロポロ

にこ「一人じゃないって言ってたじゃない!
一緒に居るって……嘘つき……嘘つき……」グッス

にこ「お願いだから……帰って来てよ……」

にこ「もう会えないなんて嫌よ……そんなの……そんなのっ……!」ポロポロ



夜中

にこ「ん……っ……あ……」

にこ「……いつの間にか寝てたのね」

にこ「穂乃果……」

にこ「こんなに私物ばっかり置いて消えて本当どうするのよ……」

にこ「あんたのサイズの服なんて私じゃ着れないわよ……」

にこ「家だって引っ越すって話してた最中じゃない。なんで消えるのよ……」

にこ「穂乃果がいなくなったら……私はどうすればいいのよっ……!」

Pipipipi!Pipipi

にこ「あ……これ……」ピッ

『うわーっ!この日深夜のお仕事なの!?
起きれるかなぁ』

『そんなの私が起こしてあげるわよ。それに不安だったらスマホでアラームでも書けとけ場?』

『そうだ!スマホのアラームだよっにこちゃん!』

にこ「そっか、穂乃果のスマホ……
本当なら仕事の予定だったから鳴ったのね……」

にこ「あほのか……。そんなの私が起こすからいらないわよ」

にこ「アラームなんて……ん……」

『メールダヨッメールダヨッ』

『はーい。えーっと……あ!神様からだ』

にこ「そ、そうよ……!そうだわ!このスマホが穂乃果のなら……!」ピッピッピ

にこ「もしかしたら―――お願いっ―――」

にこ「――――」ピッピッピッ

にこ「……あ、あった。ここにメールすれば……!」

にこ「でも相手はあの神様……よね……それにしたところで上手く行くすら……」

にこ「っ!また私は弱気になって……違うでしょ
。―――やるったらやる!そうよね。穂乃果」ピッッピッ

『話があるの。たまにはこっちの話も聞きなさいよ by矢澤にこ』

にこ「お願い……お願い……お願い……」

<メールダヨッメールダヨッ

にこ「!」バッ

『神田明神で待っとるよ』

にこ「来たっ!きっとこれが……これが穂乃果のくれたチャンス……!」

~~~~~
神田明神

にこ「はっ……はっ……はっ」タッタッタッ

にこ「いったいどこに……」キョロキョロ

希「―――ふふっ、そんなに焦っても神様は逃げないよ」

にこ「っ!あんた……アンタが!」

希「初めまして、そして命題クリアおめでとう。ウチが神様や」

にこ「アンタが神様……」

希「ふふっ、希でええよ。地上に降りると時はそう名乗ってるから」

にこ「希……」

希「よろしくなあにこっち♪」

にこ「……」

希「どうしたん?話があるって言われたから、わざわざ時間裂いて来たんやけど」

にこ「くっ……あまりにも予想と違いすぎて驚いただけよ!」

希「でも厳ついオジサンより可愛い女の子の方が親しみやすいやろ?」

にこ「知らないわよ……ああもう!単刀直入に言うわ。穂乃果を返しなさい」

希「ふふ、会わせろじゃなくて返せって来るとは予想外やったね」

にこ「アンタの予想なんて知ったこっちゃないわよ」

希「まあ、人間ってのはいつもウチの予想を裏切るから面白いんやけど」

にこ「どうでもいいわよ。それより早く穂乃果を!」

希「うーん、命題をクリアしたご褒美くらいはあげたいけど
……残念だけどそれは無理やね」

にこ「な、なんでよ!?」

希「そりゃそうやん。だって穂乃果ちゃんはウチの部下やし
次のお仕事に備えて休養中や」

にこ「何よ次の仕事って!」

希「もちろん次のダメ人間を更生させるお仕事やね」

にこ「だ、だったら穂乃果にはアイドルの仕事だって……!」

希「それはまあ、成行上仕方がないとはいえ本業はこっちやしね」

にこ「何よ本業って!大体一緒に居てくれるって約束だって……」

希「にこっちには穂乃果ちゃんのしている仕事の重大さはわかる?」

にこ「……ダメ人間の更生でしょ」

希「そのダメ人間を通して周りの人、そして人類を笑顔にして行ってるんよ?」

にこ「……どういう意味よ」

希「にこっちの思ってる以上に多くの人を笑顔にしてくのが、穂乃果ちゃんの仕事ってことや
ただでさえ人でも足りないし、悪いけど穂乃果ちゃんを返すのは無理やね」

にこ「じゃ、じゃあ穂乃果は……」

希「んっ……まあでもにこっちの情熱を認めて一度だけ合わせてあげることくらいなら――」

にこ「っ!会えるの……?穂乃果に……?」

希「特例で一度だけやったら、まあ、ええかな?」

にこ「穂乃果に……」

希「最後の挨拶くらいやったらね、じゃあちょっと呼んで―――「……ふざけんじゃないわよ」

にこ「黙って聞いてれば、ダメ人間とか特例とか一日だけとか!勝手なことばかり!
大体命題だってそうよ!」

希「会いたいんやなかったの?」

にこ「もちろん会いたい!だけど……だけど会うだけじゃ嫌!
私は……私は穂乃果と一緒に居たいの!」

希「でもなぁにこっち、何回も言うけどそれが穂乃果ちゃんのお仕事で―――」

にこ「突然現れて、私の人生を変えてって、一緒に居てくれると思ったら
人類を笑顔にするからさようなら?冗談じゃないわよっ!そんなの……人類ぐらい私が全部笑顔にしてみせるわよっ!」

希「……どういうつもりなん?」

にこ「簡単よ!穂乃果の仕事の分まで私がみんなを笑顔にしてみせるわ!
―――なんなら一生を使ってもいいわ」

希「だから穂乃果ちゃんを返せと……」

にこ「そうよ!穂乃果の分の仕事は私がする―――だから!」

希「でも駄目やね。それでも穂乃果ちゃんが
天使として働いた方がより多くの人を―――「知ってる?今の世の中ってお金なのよね」

希「へっ?急に何を言い出すん?」

にこ「―――そうね、トップアイドルが収入の殆どを寄付したら何百万人救えるかわかる?」

希「……何言ってるかわかってるん?一生あのボロアパート暮らしになるんやで」

にこ「私にとっては二人で住むあのボロアパートが一番の豪邸よ」

希「頑張っても頑張っても、今と同じランクの暮らししかできないんよ?」

にこ「でも、隣には穂乃果が居てくれる」

希「穂乃果ちゃんだってそれを望むかは……」

にこ「知らないわよ。それくらい勝手にいなくなった罰よ
……どうこの条件なら穂乃果よりも多くの人を笑顔にできるはずよ!」

希「確かに、そうやけど……本気なん?天使と人間じゃあ時間の流れだって違うんよ?」

にこ「そうなったら穂乃果に介護でもしてもらうわよ」

希「……本当に一生笑顔を与え続けるつもり?」

にこ「ふんっ、元々生涯アイドルのつもりだったし別に何とも思わないわよ!
何なら死後だって笑顔に与えられるくらいになってやるわよ!」

希「ふむ……確かに、それなら……」ブツブツ

にこ「ブツクサ言ってないで神様ならとっとと決断しなさいよっ!」

希「……さっきの言葉に嘘偽りはないって誓ってもらうけどええん?」

にこ「もちろん、いいわよ。だから早く―――」

希「はぁ……穂乃果ちゃんも本当、凄い子のとこ行っちゃったんやね」

にこ「穂乃果にだって責任はあるわよ」

希「まあうちは人が笑顔になるならそれで―――
後は頑張ってね、穂乃果ちゃん」パァァァッ

にこ「なっ!ま、眩しっ―――!」



にこ(―――急に希が光りだして、どうなったの……?)

ザッザッザ

穂乃果「にこちゃん……」

にこ「ほの、か……?穂乃果なの……?」

穂乃果「う、うん……あの……「この……この……あほのかっ!!!」モギューッ

穂乃果「にこちゃん!?」

にこ「何急に消えてるのよ!?一緒に居るって言ったじゃない!約束してたじゃないっ!」

穂乃果「ご、ごめんね……それがルールで……」

にこ「ルールなんて知らないわよっ!このバカ!バカバカ!……どんだけ心配させるのよ」グッス

穂乃果「ごめんねにこちゃん……」

にこ「本当ばか……!やくそく、ちゃんと守りなさいよ……ぐっす」

穂乃果「うん。大丈夫だよ、今度こそ約束守るから
2人で頑張らなきゃんだもんね」

にこ「っ……穂乃果、聞いてたの……?」

穂乃果「うん、二人のお話、聞こえてたよ」

にこ「……なら聞きたいことがあるの。穂乃果は……いいの……?」

穂乃果「え?」

にこ「今更かもしれないけど……全部勝手な私のわがままじゃない……
私は穂乃果に傍に居て欲しかったけど穂乃果は――「にこちゃん!」モギューッ

にこ「ほのか……?」

穂乃果「これが穂乃果の答え!穂乃果も……ずっとずっとにこちゃんと一緒に居たい」

にこ「後悔しない……?お金だってないんだから、美味しいものも食べれないわよ……?」

穂乃果「にこちゃんならどんなものでも美味しく作ってくれるもん」ギューッ

にこ「一生あのボロアパートのままなのよ……?」

穂乃果「穂乃果はあのアパート大好きだよ。
―――だってずっとにこちゃんの傍に居れるから」

にこ「穂乃果っ……!」モギュー

にこ「ずっと、一緒に居てよね……トップアイドルになっても……
ずっと!ずっと一緒に……!」モギューッ

穂乃果「うん。約束だよ、それだけは―――それだけは絶対に守るから」ナデナデ



数日後

にこ(こうして穂乃果との日々がまた戻ってきた)

にこ(今はキャンセルしてしまった仕事の後処理で大変な日々を送っている)

にこ(きっとこれからも色々なことが起こるんだろうと思う)

にこ(でも、どんなことがあっても負けない)

にこ(私はもう一人じゃないから)

にこ(―――隣にはずっと穂乃果が居てくれるから)

<ホノカー!イルノ!?イルノネ

<ホノカイルンデスカ!?

穂乃果「あ、あれ……この声って……」

ドンドンドンドン

<ドイテクダサイ!ドアヲハカイシマス!

<サスガウミミネ!

にこ「これって国際問題にならないかしら……」

にこ(……本当、騒がしい日常が戻ってきたわね)

おわり

~~~~~
エピローグ
60年後
病院

ピッーーーーピッーーーーピッーーーーピッーーーー

にこ(……)

にこ(もうそろそろね……)

にこ(一人残していくのは不安だけど……ごめんね……)

ガラララッ

穂乃果「にっこちゃ~ん!御着替えもってきた―――って!にこちゃん!?」

にこ(あー……うっさい、体に響くわ……)

穂乃果「だ、大丈夫!?みゃ、脈が……先生!」ギュッ

にこ「い、いい……から……」

にこ(あー、ほんといつまでたってもすべすべね。……羨ましいわ)

穂乃果「で、でも!」

にこ「自分のことくらい……わかる、……わよ……」

穂乃果「な、何言ってるの!?だ、ダメだよ……そんなの……ダメだよぉ……」

にこ(あーあ、泣くんじゃないわよ……って言っても無理か)

穂乃果「やだよぉ……行かないでよにこちゃん……」ポロポロ

にこ「最後、言いたかった……こと、あるの……」

穂乃果「や、やだ!やだやだ!最後じゃない!最後じゃないからっ」ぐっす

にこ「きい、て……」

穂乃果「ま、待ってよぉ……ダメだよ……ぐっす……ずっと一緒に居るって……」ポロポロ

にこ「ほのか、あえて……ほんと……」

にこ(―――よかった)

ピーーーーーーーーーーッ

穂乃果「にこちゃん……!にこちゃん……!にこちゃんっ!!!」ポロポロ



にこ(あー、結局言えなかったわね)

にこ(まあいっか、通じてるでしょ。多分)

にこ(それにしても暖かいわ……本当もう一眠り……)








?「こらーっ!起きろーっ!」ゲシッ

にこ「にごぉっ!?」ガバッ

希「おっ、ようやく起きた!」

にこ「な、何何!?ちょっと何よ!?―――ってアンタ……希!?」

希「良かったぁ、ウチの事まだ覚えててくれたんやね」

にこ「……あー。そういうことね。死んだから天国に行ったってことね」

希「久しぶりやね、どうだった?その後の穂乃果ちゃんとの生活は」

にこ「どうせおおむね知ってるんでしょ?おかげさまで最高だったわよ」

希「くすくす、そうやろね。っと、ウチも暇やないし早速始めよか」

にこ「始める?そっか、輪廻転生とか言うものね。」

希「えーそれでは簡潔ながら矢澤にこの入社式を始めさせていただきます」

にこ「……はい?」

にこ「……はい?」

希「ここに矢澤にこの入社を―――」

にこ「ちょ、ちょっと!待ちなさいよ!何よ入社式って!」

希「え?いや、一人だけでも形式って大切やん?」

にこ「そういうことじゃないわよ!入社式って何よ!」

希「え?どういうこと?」

にこ「こ、こっちのセリフよ!私って死んだのよね……?なんで入社式なんて……」

希「あー、なんやウチとの約束忘れちゃったみたいやね」

にこ「約束……?それなら私は生涯みんなに笑顔を与え続けて―――『何なら死後だって笑顔に与えられるくらいになってやるわよ!』

にこ「―――きたんだけどぉ……?」

希「今の当時の録音やけど、思い出した?」

にこ「え、いや……それって……」

希「にこっちには死後も働いてもらわんとダメやからね♪」

にこ「そういう意味の発言じゃないと思うんだけど……
大体こんな老体に!……あれ?」

希「あ~、天使ってイメージが大切だから全盛期に戻しといたんよ」

にこ「は、肌がすべすべ……!?腰も曲がってない……!?おぉ……おおおおっ!?」

希「喜んでくれたみたいで良かったわ。その勢いでこれからガンガン働いてな♪」

にこ「そ、それとこれとは話は別よ!だ、だいたい穂乃果はこの話―――」

ドタドタドタドタ

希「お~、来たみたいやね」

にこ「何この音……」

希「メール見てすっとんできたみたいやね♪」

にこ「ま、まさか……!」

希「ふふっ、約束したんやろ?ずっと一緒に居るって」

にこ「っ……!」

希「感動の再開を邪魔するのもあれだから一回席を―――「待って!」

希「ん?どうしたん?早くしないと着ちゃうよ」フッ

にこ「……私たちはトップアイドルになってもずっとあのボロアパートに住んできたわ」

希「そうみたいやね、改修工事何度もして頑張ってたなぁ」

にこ「警備員も置いてないのに一回も何の事件が起こらなかったのはなんで?」

希「さあ?」

にこ「それどころか何の騒ぎにもならなかった……ずっと不思議だったの」

希「んー、日本のマスコミもまだまだってことやないの?」

にこ「……じゃあもう一つ聞くわ
引退後もずっとずっと差し入れをしてくれてた人って誰かわかる?」

希「さぁ……それこそウチが知ったことじゃないやん」

にこ「他のファンの差し入れは全く来ないのに、その人だけ家に直接くるのよね
―――確か名前は紫の蓮の人だったかしら」

希「へー、すごい人もいるもんやね」

にこ「穂乃果は最後まで気づかなかったみたいだけど
私はあんなにお馬鹿じゃないわよ」

希「……大切な部下を支えるのも上司の仕事やん?
っと、じゃあウチはもう行くから!またあとでっ」バタンッ

にこ「……ったく。ありがとう、助かったわよ本当」

ダダダダダダダッ

にこ「……さて、次はこっちね。あーあ、ようやくゆっくりできると思ったんだけど」

<―――ャン!ニ――――ン!

にこ「でも……悪くないわね」

ドタドタドタドタ

にこ「もうそろそろかしら……どんな顔して会えばいいのやら」

にこ「挨拶も、だだいま?おかえり?また会ったわね?奇遇ね?
どれもあまりピンと来ないわね」

にこ「まあなんだっていいかしら。だって―――」

ガチャ

穂乃果「にごちゃああああああああああああんんっ!!!!」

にこ(これから先もずっと一緒なんだしね)

おしまい

ほの誕から伸びに伸びまくってほのたんかもわからなくなり
内容も趣味に走り誕生日まったく関係ないですが、読んでくれた方が居ましたらありがとうございました

最高でしたわ

前にかいたのあったら教えてほしい

乙です

面白かった
天国に一番近い男また見たくなってきた

乙!

>>238

穂乃果「いいよ!一人でかまくらつくるから!」 
穂乃果「あづいぃぃぃぃ!」 
にこ「なんでまたセンターが穂乃果なのよ!」 
穂乃果「大学にいってから絵里ちゃんがあまりかまってくれない……」

海未「なんですかこれは?」真姫「穂乃果が書いた歌詞よ」 
真姫「穂乃果が風邪?」 
絵里「これであの子と!」 
穂乃果「海未ちゃんって女の子が好きなの?」 
穂乃果「幸せはお米から」 
海未「今行きます!」

穂乃果「夏と言えばアイスだよね~♪」海未「……」

穂乃果「賢い犬ほのわん」 
穂乃果「穂乃果「カードのお告げ(安価)であの子を攻略?」 
穂乃果「親友が二人います」

穂乃果「絵里ちゃんの……」 
穂乃果「夢の中でなら」 
絵里「>>2をして穂乃果を落とすわ!」 
真姫「>>2をして穂乃果にアタックよ!」

穂乃果「今、全てを終わらす!」
穂乃果「とっておきのプレゼントがあるんだっ」 
穂乃果「ほのきちプラネット?」
穂乃果「ことりちゃんそれって本当なの?」 
海未「>>2で穂乃果にアタックです」
穂乃果「癒し処ホノケイア」 
穂乃果「遺書」
穂乃果「穂乃果「ことりちゃんの手作りチョコは美味しいね!」ことり「……」
穂乃果「なんだろうこの飴玉」
穂乃果「気になるあの子の落とし方?」凛「穂乃果ちゃんがトラックに弾かれたにゃ!?」
海未「穂乃果は私が守ります!」
穂乃果「すっごい!」にこ「当然よ!」

いっぱいあった

>>242
Thank You

遺書の人だったか
今回も最高でした

これはなかなかの名作

全部読んだことある気がする
にしてもよくこんな書けるな

>>242
ほとんど読んだことあるよ…
どれもホント好き。今回のもとても感動しました
本当に、本当にありがとう

まとめて投下してくれたお陰ですんなり読めた
本当に楽しめたありがとう

有能

俺の一番好きな作者さんだった
乙これからも期待してます

乙!元ネタ見た事ないけど面白かった!

富士山のやつほんと好き

こんな時代さえ君とならへ~ぶん
懐かしかったし面白かった!また書いてくれ

乙!マジでよかった

おつ


ほとんど見てたわ
今回も最高だった

ホノケイアの人か!!
面白かったです!!
次回作待ってます!!

一気に読みました!
とっても面白かったです。

マジか、どれも好きだわー
ほのにこ最高!ありがとう

感動した…!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年08月05日 (水) 22:22:14   ID: TWkU8QZu

続き気になる

2 :  SS好きの774さん   2015年08月09日 (日) 23:12:09   ID: yua2OS-M

懐かしいな!期待してる

3 :  SS好きの774さん   2015年08月12日 (水) 21:46:54   ID: qpAMJPeD

あー究極のほのにこをみた。こういう話はパイセンの格好良さが光るから非常によい。

4 :  SS好きの774さん   2015年08月14日 (金) 00:40:08   ID: -xhzO0EG

良かったです!

5 :  SS好きの774さん   2015年08月15日 (土) 22:01:33   ID: pu6cYI-G

最高でした!

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