提督「金剛姉妹の仲が悪い?」(366)




電「あなたが後任の司令官さんですね。よろしくお願いします」ペコ


提督「ああ、よろしく。早速だがこの鎮守府の資料を見せてくれ」


電「はいなのです」



提督「ふむ、一番練度が高いのは比叡、榛名、霧島の三人か。……
ん?待て、金剛はどうした?」


電「それは……その……」


扉『』バン!


比叡「新しい司令官はここですかー!」


提督「私だが」


比叡「結構凛々しいじゃないですかぁ、これなら大丈夫そうですね!」


電「比叡さん、司令官さんには敬語を使わないと……」


提督「構わん、堅苦しいのは好きじゃないんだ。こっちのほうがいい」


比叡「司令官太っ腹ですねぇ」


提督「大袈裟だな」


比叡「あ、そうそう。この鎮守府に来たからには言っとかなきゃいけないことがあるんですよ」


電「比叡さん!」


提督「ん?なんだ?」


比叡「それはですね「失礼します!」」


榛名「新しい提督が来たと聞いて参りました。よろしくお願いしま……何故比叡さんがいるのですか?」


比叡「私も新しい司令官に挨拶しに来たのよ」


榛名「いい加減にしてください!またこの鎮守府を壊す気ですか!」


比叡「いいがかりはよしてよ、私はそんな気なんてないよ?」


榛名「嘘です!きっとまた提督を壊す気です!例え鎮守府の全員が許しても榛名と霧島は貴女を許しませんから!」


電「はわわわ」


提督「落ち着けお前ら、司令室で騒ぐんじゃない」


榛名「あ、すみません提督」


提督「まったく、どうしたと言うんだ。金剛姉妹は仲がいいんじゃないのか?」


榛名「そんなことありません!」


比叡「だってさ」


提督「一体どうなってるんだ……?」


榛名「もっと提督とお話ししたかったのですがそんな気分ではなくなってしまいました」ジロ


比叡「……」


榛名「榛名はそろそろ失礼します。提督、くれぐれもこの人には気をつけてください」


比叡「冷たいね」


榛名「当たり前です!貴女はなんでそんな平気な顔して生きてるんですか!」







榛名「金剛お姉様を殺したくせに!」






提督「……え?」



電「……」


比叡「……」


榛名「では失礼します」バタン


提督「……どういうことだ?」


比叡「別に、そのまんまですよ」


提督「そのまんまって……お前は金剛を?」


比叡「ええ、私はお姉様を殺めました」


提督「……」


比叡「 言っときたいのは私達姉妹は仲が悪いからそこんとこ考えて指揮してくださいってことです。じゃあ私もこれで」バタン


提督「……電」


電「はいなのです」


提督「比叡が言ったことは本当か?」


電「……わからないのです。ただ鎮守府では榛名さんが言ったような噂が聞こえてくるのです」



提督「そうか」


電「詳しく知りたいなら他の人達に聞いてほしいのです」


提督「そうだな。この件について知ってるものがいるかもしれん見回りを兼ねて聞いてみよう」


提督「(仲の悪い金剛姉妹か、これは何か裏がありそうだな)」


~食堂~


夕立「新しい提督さんっぽい!よろしくっぽい!」


時雨「僕は時雨、僕の隣でぽいぽい言ってるのが夕立だよ。よろしくね」


提督「ああ、よろしく。前の席いいか?」


夕立「歓迎するっぽい!」



提督「今食堂にいるのはお前ら二人だけだしな」


時雨「皆は今遠征に行ったり出撃したりしてるからね」


提督「私がくるまでは誰が指揮を?」


時雨「長門さんだよ。流石ビッグセブンだね、なんの問題もなく鎮守府は動いているよ。一つの例外を除けいてね」



提督「金剛姉妹か?」


時雨「なんだ、知ってたんだ」


提督「まあな。で金剛姉妹は以前から仲が悪かったのか?」


夕立「金剛さん達前はすっごく仲が良かったっぽい」


時雨「そうだね、見てるこっちが羨ましく思えるくらい仲が良かったよ」



夕立「でも、金剛さんが居なくなってから三人で一緒にいるのは見たことないっぽい。なんかギスギスしてるっぽい」


提督「それはあの噂のせいか?」


時雨「うん。姉妹艦の問題だから皆やすやすとは踏み込めないんだ」


提督「お前らは本当に比叡が金剛を殺したと思ってるのか?」


夕立「そんなの信じないっぽい!だってあんなに仲が良かったもん、デマっぽい!そうに決まってるっぽい!」



時雨「僕もそう思いたいんだけど、実は噂を流した張本人が榛名さんと霧島さんなんだ……」


提督「なんだと!?榛名は噂に踊らされてた訳じゃないのか」


時雨「だから本当に謎なんだ。比叡さんがそんな事するなんて信じられないけど榛名さんと霧島さんが嘘ついてるとも思えない。お陰で鎮守府の空気は重いよ」


提督「そうか」


時雨「僕達が知ってるのはここまでだけど鳳翔さんはもっと知ってると思うよ」


提督「そうなのか?」


夕立「鳳翔さん居酒屋さんを経営してるっぽい。居酒屋には色んな人がくるからきっと役に立ちそうな情報があるっぽい!」


時雨「そういうことさ」


提督「そうか、では夜にでも行ってみるよ。ありがとう」ガタ


時雨「提督」


提督「ん、なんだ?」


時雨「あの三人を助けてあげて。比叡さんも榛名さんも霧島さんもとても苦しそうだ。僕達にはどうしようもできないから……お願い」


提督「ああ、あいつらの提督として出来る限りの事はするさ。姉妹艦はやっぱり仲良くなきゃいかんからな」


~司令室~

比叡「いきなり呼び出してなんですか?」


提督「お前には暫く秘書艦をやってもらう」


比叡「なんで私なんですか?」


提督「やらなければいけない書類が溜まっていてな。有能な秘書艦が欲しかったのだがまだ来たばかりで知り合いがいなくてな。嫌なら榛名にでも代わってもらうが」


比叡「別に嫌とは言ってないですよぉ」


提督「そうか、ありがとう」


比叡「では比叡、気合い!入れて!いきます!」


比叡「司令、ここ間違ってますよ!」


提督「おお、そうかすまん」カリカリ


比叡「司令はおっちょこちょいですねぇ。私の妹達みたいです」カリカリ


提督「……榛名や霧島か?」


比叡「ええ、それ以外に誰がいるんですか」


提督「それもそうだな」


比叡「あの子達初めはよく仲間に誤爆して大変だったんですよ。まあ大体私とお姉様が庇ってたんですがね」


提督「大変だったんだな」


比叡「そんなことないですよ。それにあの子達お姉様の影響で紅茶に煩くて」


提督「そうか」



比叡「あ、そろそろ演習の時間です。行きましょうか」


提督「ああ」


~演習場~

長門「これより実践演習を開始する。希望者は前へ」


榛名「ハイ!」


霧島「ハイ!」


榛名「比叡さんと演習がしたいです!」


長門「……またか、たまには他の相手としたらどうだ」ハァ


霧島「ですが今は正規空母の方々が出撃しているので私達の練度では相手になるのが彼女しかいません」


長門「ならばお前達二人で「いいですよ」」


比叡「私が相手になります」


長門「しかしだな……」


霧島「本人がいいと言っているのでいいじゃないですか」


比叡「ええ、二人同時にかかってきなさい。我儘な妹は姉が躾けてあげる」


榛名「わかっていますか?もし演習で貴女が沈んでもそれは事故」


霧島「私達のせいではないですからね」



比叡「うるさいわね、毎回毎回そう言うけどそれは私に勝ってから言いなさい」


長門「仕方ない、始め!」


榛名「いくわよ霧島!」


霧島「ええ、今日こそお姉様の仇を討ってあげるわ!」


提督「なあ長門」


長門「なんでしょうか」


提督「あの三人いつも演習してるのか?」


榛名「てやあああああ!」


比叡「榛名、もっと蹴りは鋭くしなさい!そんな弱い蹴りじゃ私を沈められないわよ!」


霧島「はああああああ!」


比叡「霧島、照準を定めてから発射まで遅い!私の速さを舐めてるのかしら!」


長門「ああ、あの三人は暫く出撃には出してないから代わりに演習をさせている。この調子だとまだまだ出撃させられんな」


提督「ちなみに勝率はどの位だ?」


長門「驚く事に比叡は一度も負けてない。殺意持って向かってくるあの二人を毎回返り討ちにしている」


提督「そこまで練度に差があるのか?」


長門「いや、そこまではない。これは私の勝手な推測だがそれでもあの二人を圧倒できるのは……」


提督「何故だ?」


長門「……あの三人が姉妹艦だからだと思うよ」


陸奥「あらあら、根拠のない推測ね」


長門「なんだ陸奥、居たのか」


提督「陸奥の言う通りだ。何故そう思う、ただ姉妹艦というだけだろう」


長門「わかってないな提督。姉っていうのは妹の事が何でもわかるものなんだよ」


陸奥「そうなの?」


長門「そしてどんな姿になっても妹が可愛く見えるんだよ」


陸奥「なにそれ、全然わかんない」カァァ


長門「こればっかりは姉の特権だ」


提督「(なるほど、心なしか比叡が笑っているように見えるのはそういうことかもしれんな……)」


~司令室~


比叡「ここはこうですね、司令」


提督「ああ、そうか。助かるよ」


比叡「だって秘書艦ですからね、このくらい出来て当然です」フンス


提督「しかし演習後に直ぐ来なくてもいいんだぞ、疲れてるだろ」


比叡「別に大丈夫ですよ。私無傷ですし。あ、榛名と霧島は入渠しましたか?」



提督「ああ、さっき入渠場へ行ったよ」


比叡「そうですか。……あ、よく見たら少し怪我してたみたいなんで明石さんに治してもらいに行ってきます」


提督「なに?大丈夫か?」


比叡「大丈夫ですよ。ちょっと工廠行ってきますね。時間かかるかもしれないですが気にしないでください」

提督「ああ、書類も結構片付いたから気にせず行ってこい」


比叡「ありがとうございます!では」バタン


提督「……電」


電「はいなのです」シュタ


提督「比叡の後を追え」


電「わかったのです」スゥ


電「なのです調査によると、比叡さんは榛名さんと霧島さんの部屋に行ってたみたいです!」


提督「なんだ、自室に戻っただけか」


電「違うのです。金剛さんが居なくなってからは比叡さんは二人と別の部屋で一人で過ごしているのです」


提督「じゃあ何故比叡は二人の部屋に?」


電「そこまでわからないのです」


提督「忘れ物でもしたのだろうか」



電「いえ、調査によると定期的に行ってるようなのです」


提督「ふむ、気になるな」


電「調査は以上なのです」


提督「うむ、ありがとう」ナデナデ


電「えへへ」テレテレ


提督「また何かあったら頼んだぞ」


電「はいなのです」スゥ



~居酒屋鳳翔~


扉『』ガラガラ


鳳翔「いらっしゃい」


提督「やあ」


鳳翔「あら、新しい提督ですか?初めまして」


提督「これからよろしく。所で今日は貸し切りで飲みたいと思ってるんだがいいかな?」


鳳翔「ええ、提督の頼みとあらばいいですよ」


提督「すまない」


提督「うん、この魚の煮付けは美味しいな」


鳳翔「あらあら、褒めても何も出ませんよ」


提督「ところで鳳翔、聞きたいことがあるんだが」


鳳翔「比叡さん達のことですか?」


提督「驚いたな、バレてたか」


鳳翔「顔に書いてありましたよ」


提督「これは敵わんな。ならば単刀直入に聞こう。比叡は金剛を殺したのか?」


鳳翔「……それは私にもわかりません。ですが私の知っていることなら全て話しましょう」


提督「頼む」


鳳翔「金剛さんが亡くなったのはある大規模作戦の日でした。姉妹全員練度が高かった事もあって四人とも同じ最前線の部隊でした」


提督「大規模作戦……か」


鳳翔「その大規模作戦は今までで一番難易度が高く、前線は地獄だったと聞きました。そして帰ってきた時金剛さんは居らず、気絶している榛名さんと霧島さんを抱えた比叡さんと同じ部隊だった加賀さんと赤城さんだけが帰ってきました」


提督「何があったんだ?」


鳳翔「わかりません。聞こうとしたらしいですがとてもそんな雰囲気ではなく……」


提督「そうか」


鳳翔「そしてそれだけならよかったんですが」


提督「まだ何かあるのか」


鳳翔「はい。元々提督の秘書艦をしていたのは金剛さんなんですが金剛さんが亡くなってからは比叡さんが提督の秘書艦をやっていました」


提督「ああ、報告書にもそう書いてあったな」


鳳翔「ある日……比叡さんが提督を殺してしまったのです」


提督「なん……だと?」


鳳翔「霧島さんが報告しに司令室に入るとそこには包丁を持った血塗れの比叡さんとうつ伏せになって倒れてる提督がいたそうです」


提督「そんな……」


鳳翔「私達は提督の事を愛していました。その中でも金剛姉妹はその想いが強かったです。そしてそれ以来榛名さんと霧島さんは比叡さんを目の敵にするようになりました」



提督「お前らは比叡を恨んでないのか?」


鳳翔「勿論恨んでないと言ったら嘘になります。でも金剛さんが居なくなった直後でしたから、きっと心が病んでいたんだろうと結論づけました」


提督「……」


鳳翔「一部の艦娘は今でも比叡さんを恨んでるといます。でも私は比叡さんを信じています。だってあんなに優しくて妹想いな人いませんから」


提督「頭がこんがらがってきそうだ」


鳳翔「暗い話になってしまいましたね、お口直しにどうぞ」スッ


提督「ああ、すまない。振ったのはこっちだ、気にするな」


鳳翔「根が悪い艦娘なんていないと私は思っています」


提督「……ああ、私もそう思うよ……」


比叡「今日の仕事はこれで終わりです」


提督「うむ、比叡が秘書艦になってからは仕事が早く終わって助かる」


比叡「当たり前じゃないですか、なんせ私は有能ですから」フンス


提督「そうだったな」


比叡「疲れたら喉が渇きました」ゴクゴク


提督「何を飲んでいるんだ?」


比叡「午○の紅茶です。これが私のティータイムです」


提督「随分安いティータイムだな。比叡は紅茶に拘りはないのか?」


比叡「勿論あるに決まってるじゃないですか!でもお金が無くて茶葉が買えないからこうして安物で我慢してるんですよ」


提督「給料はそれなりに支給されてるはずだが」


比叡「なんか色々使ってたらすっからかんになっちゃうんですよ」



提督「女性はお金がかかるという事か」


比叡「そういうことです」


扉『』コンコン


霧島「失礼します。提督、この後もしよければ一緒にティータイムでも如何でしょうか」


提督「ああ、丁度今日の仕事が片付いたとこだ。だが……」チラ


比叡「お姉ちゃんは誘ってくれないのかしら?」


霧島「私は提督をお誘いしているんです。貴女とお茶をすれば折角の紅茶が不味くなります。」


比叡「それは残念ね」


霧島「それといつまでもお姉ちゃん面するのは不快なのでやめてください、私達の姉は金剛お姉様ただ一人です」


比叡「嫌われてるね」


霧島「おとなしくそこで安物の紅茶でも飲んでてください。では提督、部屋で待ってますね」バタン



提督「すまんな」


比叡「なんで謝るんですか。私はここで安物の紅茶でも飲んでますからどうぞいってください」


提督「ああ、そうするよ」


比叡「あ、どっかの鎮守府で艦娘に手を出して憲兵に捕まった提督がいるそうなんで気をつけてくださいね」


提督「肝に銘じてお。では」バタン


比叡「……」ゴクゴク


比叡「はぁ、やっぱり午○の紅茶は美味しくないや」



提督「失礼する」ガチャ


霧島「お待ちしてました司令。さ、そうぞこちらへ」


榛名「提督とティータイムを過ごすことができるなんて榛名感激です!」


提督「誘ってくれてありがとう。普段艦娘と交流する機会が無いから緊張するな」


霧島「リラックスしてもらって大丈夫ですよ。今紅茶を淹れますから」


榛名「金剛お姉様が大好きだった高級茶葉です。とても美味しいですよ」


提督「そうなのか」


霧島「ええ、私達ではあの味を再現させることはできません。それ程に美味しかったです」


提督「なるほど、一度味わってみたかったな」


榛名「さ、紅茶に合う特製スコーンもありますよ」


提督「ありがとう」サク


提督「これもかなり美味しいな」


榛名「榛名が心を込めて作りました!」


提督「サクサクでとても美味しい。榛名は料理が上手いんだな」


榛名「そんな、榛名には勿体無いお言葉ですぅ」テレテレ


霧島「これも金剛お姉様から教わりました」


提督「そうなのか。金剛は凄いな、何でもできるのか」


榛名「ええ、金剛お姉様は本当に凄いのです!」


提督「良かったらもっと金剛の話を聞かせてくれ」


霧島「いいでしょう。私達のお姉様の武勇伝をたっぷりと聞かせてあげましょう」


榛名「まずお姉様の素晴らしいところはですね……」


~1時間後~



霧島「そこでお姉様の砲撃が敵のボスに直撃するんですよ!」


榛名「そうなんですよ!あの時のお姉様は最高に凛々しかったです!」


提督「ほう、流石金剛だな」



~2時間後~


榛名「お姉様は料理も上手くてですね……」


霧島「たまに変な料理を出すのですがそれもなかなか刺激的な味で」


提督「あ、ああ……」


~3時間後~


榛名「その時お姉様は言ったんです!ノープロブレムネー!と!」


霧島「流石お姉様です!」


提督「……金剛の素晴らしさは十分にわかったから一旦落ち着こうか」


榛名「は!?榛名熱くなりすぎてしまいました」


霧島「すっかり時間を忘れてたわ」


提督「二人が金剛を好きなのはわかった。……でも何故そんな金剛が轟沈してしまったんだ?」


霧島「それは……」


提督「(まずかったか……)すまん、忘れてくれ」


榛名「いえ、提督には知ってる事を全て伝えます」


榛名「あれは大規模作戦の時です。私達は次々の敵を倒していきこちらの被害も多かったですがなんとかボスをあと一歩の所まで追い詰めました」


提督「……」ズズ


榛名「加賀さんと赤城さんは周りの敵を倒していき私達四人は後一人の深海棲艦を倒せばそこで終わりでした。でもその時です」


榛名「あの人が急に私と霧島を襲いかかり、私達を気絶させて金剛お姉様を一人残して撤退したのです!」


提督「なん……だと……」



榛名「私は薄れゆく意識の中で一人取り残された金剛お姉様が泣いているのを見ました……」


榛名「あの人は提督の事を慕っていました。だから秘書艦である金剛お姉様が気に入らなかったから戦死させようとしたに違いありません!」


提督「待て、それだけでは判断が難しいぞ。何かあったのかもしれん」


榛名「はい、だから私達もきっと何かの間違いだと思ってました。……あの事件が起こるまでは」


提督「……提督殺人事件か」



霧島「はい。あれは私がいつも通り定期報告をしに司令室に行った時でした。ノックをしても返事がなく、仕方なく扉を開くとそこには刃物を持ったあの人とうつ伏せになって倒れている司令がいました」

提督「……」


霧島「私があの人に何があったのか尋ねると全て吐いてくれましたよ。たった今提督を刺した事、金剛お姉様をわざと置いてきた事、何もかも自分がやったと」


提督「……」


榛名「それを聞いて私は確信しました。きっとあれがあの人の本性なんだと。私達を気遣ってくれた優しさも、四人でいた時のあの笑顔も、全部、全部偽物だったんだって!」


霧島「だから気をつけてください司令。あの人の笑顔を信用してはいけません」


提督「……私は立場上艦娘を差別する訳にはいかない」


榛名「提督は優しいのですね。ですがいつも用心してください。私達は提督が心配なのです」


提督「頭には……入れておこう」


霧島「ありがとうございます」


提督「む、もうこんな時間か。そろそろ私は戻るとするよ」


榛名「あ、すみません気づかなくて」


提督「いいんだ、気にしないでくれ。あ、出る前に少しこの紅茶の葉を貰えないか?自分でも淹れてみたくなった」


榛名「ええ、いいですよ!」


提督「ありがとう、感謝する」


霧島「何を言ってるんですか司令。いつもこれを用意してくれてるのは司令じゃないですか」


提督「ん?ああ、そうだったか」


霧島「私達はいつも感謝しています」


榛名「はいどうぞ。また来てくださいね」


提督「ああ、ありがとう。またいつか来るよ。じゃあな」バタン


提督「(私は用意した覚えはないのだが……そもそもこんな高級茶葉どこに売ってるんだ?)」


榛名「でもおかしいですね、提督紅茶のこと何も知らないのにどうしてこの茶葉を用意できるんでしょうか?」


霧島「きっと金剛お姉様が資料に書いておいてくれたのよ」


榛名「なるほど、やっぱり金剛お姉様は凄いですね!」

今日はここまで。いつも朝更新になるし不定期だけどコメント嬉しいです。

すまぬ。>>46>>47の間抜けてた。一応挟めとく



提督「それは楽しみだ」


霧島「さ、どうぞ」カチャ


提督「ありがとう」ズズ


提督「これは美味いな!紅茶とはこんなにも美味しいものなのか」


霧島「そう言ってくれると私も嬉しいです」


榛名「金剛お姉様の淹れる紅茶はもっと美味しいんですよ!」



比叡「今日の仕事、終わりました!」


提督「ご苦労、いつもすまないな」


比叡「いえいえ、私は秘書艦ですから!」


提督「いつも頑張ってくれてるからな、お礼と言っては何だが一緒にティータイムでもどうだ?」


比叡「え?何言ってるんですかぁ!?頭でも打ったんですか!?」


提督「そうか……では私だけでこの紅茶を楽しむとしよう」スッ


比叡「ええ!?その茶葉どこで手に入れたんですか!」


提督「この前榛名達から貰った。比叡にもと思ったが比叡は午○の紅茶の方がいいようだからここは私一人で……」


比叡「ひえええええ!それはないですよぉ!私にあんな事やこんな事をさせといてぇ!」


提督「誤解を招く言い方はやめろ。執務や雑用をさせただけだろうが」


比叡「そんなことより!提督は紅茶の淹れ方がわかるんですか!」


提督「いや、全くわからん。だから練習しようと思ってな」


比叡「なんで練習にそんな高級茶葉を使うんですか!それは普通の市場では出回らない代物でなかなか手に入らないんですよ!それを練習に使うなんて許せません!」


提督「そう言われるともったいない気もするな」


比叡「そうです!司令には後で普通の紅茶をあげますんで今日は私が淹れます!」


提督「そうだな、これは比叡にあげるとしよう。ところで比叡、お前紅茶の淹れ方わかるのか?」


比叡「私はこう見えても昔御召艦をしたことがあるんですよ」


提督「なんだと?それは初耳だ。期待できるな」


比叡「ええ、だからちょっと待っててください!」



比叡「お待たせしましたぁ!さ、どうぞ」スッ


提督「ありがとう。さて、どんな味かな」ズズズ


提督「!?」


提督「何だこれは!?美味すぎる!こんな紅茶があったのか!?」


比叡「ふふ、どうです?美味しいでしょう。皇族の方々しか飲めないんですよ?」


提督「これは驚いたな、同じ茶葉なのに淹れ方一つでこうも変わるのか」


比叡「ええ、この茶葉は少し癖が強くてですね、淹れ方にコツがいるんです。妹達ではまだ無理ですね。……うん、美味しい」


提督「比叡が淹れた紅茶でこのレベルか。金剛が淹れた紅茶はどれ程の美味しさなんだろうな」


比叡「あ~……それはですねぇ」


扉『』コンコン


霧島「失礼します!今日の報告を……あれ、司令はティータイムですか?」


提督「ああ、少し休ませてもらっている」


霧島「そういえば前に淹れてみたいって言ってましたね。私も少し頂いてもよろしいですか?」


提督「ああ、いいぞ」スッ


霧島「ありがとうございます。では」ズズズ


霧島「!?……この味は!?」


提督「どうした?」


霧島「この味は金剛お姉様が淹れた紅茶にそっくりです!いや、それ以上の美味しさかもしれません……!」


提督「そうなのか?」


霧島「司令!これは一体どうやって淹れたのですか!」ガシッ


提督「お、落ち着け霧島……」


霧島「落ち着いてなんかいられません!この味をどれ程求め続けたと思ってるんですか!教えてください!どうやって淹れたのですか!」ブンブン


提督「そ、それはだな……」チラッ


比叡「……」シー


提督「わ、私の知り合いに紅茶を淹れるのが物凄く上手い奴がいてな、今日はそいつに淹れてもらったんだ」


霧島「その方は今何処に!?」


提督「もういなくなったよ。忙しい奴だから暫くは会えないなぁ」


霧島「そうだったのですか。残念です」シュン


提督「またいつかチャンスはあるさ。もう一杯どうだ?」


霧島「喜んで!……ああ、やっぱり美味しいです。これで貴女がいなければ最高のティータイムだったんですけどね」ジロッ


比叡「悪かったわね、お邪魔して」フン


霧島「貴女も運がいいですね、こんなに美味しい紅茶が飲めて。これを機に紅茶の淹れ方を学んだらどうです?」


比叡「お生憎様、私は間に合ってるから」ズズズ


霧島「一回も紅茶を入れた事が無いくせに言いますね」


提督「!?」


比叡「金剛お姉様がいたから淹れる必要がなかったのよ」


霧島「どうだか、いつも安い紅茶ばかり飲んでるし紅茶の味がわからないんじゃないのかしら」


比叡「言ってなさい」


霧島「まあいいわ、これ以上話してたら紅茶が不味くなります」ズズズ


比叡「」ジー


霧島「ああ、本当に美味しいですね、幸せです」


比叡「」ニコニコ


霧島「何笑ってるんですか」


比叡「別にぃ。何でもないよ」


霧島「そう」ズズズ


霧島「」ホッコリ


比叡「」ニコニコ


提督「……」


霧島「……っとと、こうしてる場合じゃありませんでした。まだ仕事があるので私はこれで。では提督、美味しい紅茶ありがとうございました」


提督「私が淹れた訳じゃないがな」


霧島「そうでした。淹れた方によろしく言っておいてください。では」バタン


提督「ああ、じゃあな………比叡」


比叡「はい、なんでしょうか」


提督「これはどういう事だ」


比叡「しょうがないですね、本当は誰にも言ってはいけないとお姉様と約束したんですが……」


提督「約束だと?」


比叡「実はですね、お姉様は元々紅茶を淹れるのはそこまで得意ではなかったんですよ」


提督「そうなのか?」


比叡「ええ。でも金剛お姉様はああ見えて頑固でして、妹に美味しい紅茶を淹れるのは自分の役目だ!って言って譲らなかったんで私がお姉様に紅茶の淹れ方を教えたんです」


提督「そうだったのか」


比叡「あの時はまだ私とお姉様の二人しかいなかったんで毎日つきっきりで指導しました。妹達が来る頃にはしっかりマスターしてましたよ」


比叡「私と二人で飲む時は私に淹れてくれと頼むのですが榛名や霧島の前ではお姉様が淹れてました」


提督「だから霧島と榛名はお前が紅茶を淹れれるのを知らないのか」


比叡「はい、これはお姉様の威厳に関わる事ですからね。秘密にしてくれと頼まれてしまいまして」


提督「金剛らしいと言えば金剛らしいか」



比叡「だからこれはくれぐれも秘密ですよ」


提督「ああ、わかってるよ」


比叡「ふわぁ、久しぶりに美味しい紅茶を飲んだら眠くなってしまいました。司令、少しソファで横になってもいいですか?」


提督「しょうがない奴だ。特別だぞ」


比叡「さっすが司令、太っ腹ですね!では」


提督「男がいる部屋で寝るのは無防備すぎじゃあないのか?」


比叡「」グー


提督「もう寝てるのか……全く、そのまま寝たら風邪引くぞ。上着でも被せてやるか」バサァ


比叡「むにゃむにゃ」ニコニコ


提督「この笑顔が偽物、か……偽物だろうが本物だろうが、もう少しだけ……この笑顔を眺めていようか」

ここまで。ちょっと忙しくなるから次は一週間から二週間後


比叡「今日の仕事、終わりました!」


提督「ご苦労」


比叡「この後はもう仕事ないですよね?」


提督「ああ、今日の仕事は終えたからな」


比叡「では私は出かけてきますね」


提督「そうか、楽しんでこい」


比叡「はい、失礼します!」バタン


提督「いったか……電」


電「はいなのです」シュタ


提督「定期報告を聞かせてくれ」


電「はい。なのです調査によると比叡さんの行動はいつも通りでたまに榛名さん達の部屋に入るのですが、周りを見渡したりしていて怪しいのです」


提督「ふむ、そうか」


電「それとですが……比叡さん、あまりプライベートでは誰かと話したりはしないようです」


提督「色々な噂が流れてるからな、皆も接し辛いのだろう」


電「それもあるのですが、比叡さん自身が誰とも関わらないようにしているのです」


提督「そうか……電もできるだけ声をかけてやってくれ」


電「それと先日出撃から帰ってきた赤城さんと加賀さんが入渠を済ませたそうです、今日から訓練を開始するみたいです」


提督「そうか、そういえばあの二人には話を聞いてなかったな。後で聞いてみるか」


電「報告は以上なのです」


提督「いつも助かるよ。なにかお礼に私にできることはないか?」


電「司令官さんにできること……ですか?」


提督「ああ、なんでも言ってくれ」


電「では……その……」モジモジ


提督「なんだ?遠慮せず言っていいぞ」


電「電は……司令官さんのお膝に座りたいのです」カァァ


提督「なんだ、そんな事でいいのか?」


電「は、はい!」


提督「わかった。ほら、きなさい」ポンポン


電「」トテトテ


電「」ポスン


電「ふぁぁ」


提督「これでいいか?」


電「できれば……その……頭を撫でてほしいのです」


提督「電は可愛いやつだな」ナデナデ


電「幸せなのです」


提督「しかしこんな姿誰かに見られたらまずいな……」


扉『』ガチャ


比叡「司令、そういえばこの前言ってた普通の茶葉が……」


提督「……」ダラダラ


電「はわわわ!?」アセアセ


比叡「……」


提督「比叡、これには深い訳が……」


比叡「…………です」ボソ


提督「?」


比叡「憲兵さん!こっちです!ここにロリコンがいます!」ダッ


提督「違うんだああああああ!」


電「ち、違うのですか!?」ガーン


比叡「憲兵さあああああん!」ダダダダ


提督「待てええええええ!」ダダダダ


―――――――――――――


比叡「なんだ、それならそうと言ってくださいよ」


提督「初めから誤解だと言っていただろう」


比叡「はいこれ、紅茶」


提督「ああ、ありがとう」


比叡「いえいえ、私もあの紅茶が飲めたんで。じゃあまだ用事があるんでこれで」


提督「ああ、じゃあな」


比叡「後、電ちゃんを使って私の行動を調べるのやめてください」


提督「な!? バレてたのか」


比叡「当たり前です!気づかない振りしてたけどバレバレでしたよ。誰でもわかりますって」


提督「ちょっとした出来心だ。すまんな」


比叡「まあいいですけど。今度から気をつけてくださいね。では」


提督「ああ、じゃあ……行ったか」


提督「そういえばここらへんはあまり来なかったな。ん?あそこに随分ボロい建物があるな、行ってみるか」


提督「こんな所地図には無かったが……昔の倉庫か何かか?」


明石「提督、何してるんですか?」


提督「ああ、明石か。この建物が何か気になってな」


明石「提督……本当に知らないんですか?」


提督「ああ、地図や報告書にも無かったからな。教えてくれ、これは何の建物だ?」


明石「これは……元戦艦寮です」


提督「そうか、今榛名達が居るのが新しい戦艦寮だった訳か。なるほどな、だが取り壊さないのは何故だ?」


明石「そして……今の比叡さんの住処でもあります」


提督「……は?」


明石「……本当に知らなかったんですね」


提督「嘘だろ?こんな今にも壊れそうな建物に比叡は住んでるのか?しかも一人で……」


明石「提督は比叡さんが他の艦娘達からどれ程恨まれているか知らないんですか?」


提督「恨んでいる者もいるとしか聞いてない」


明石「仲間殺し、提督殺しの肩書きを持つ艦娘ですよ?ちょっと恨まれてるなんてレベルじゃないですよ」


提督「……」


明石「そんな人が皆と同じ場所で過ごせるわけないじゃないですか」

提督「だからって何故この場所に」


明石「昔は金剛型しかこの鎮守府にはいなかったんで実質ここは金剛型の寮でした。それに比叡さん自身がここがいいと言って譲らなかったみたいです」


提督「そうか……明石、ちょっとついてきてくれ」


明石「え、まさかここに入るんですか?」


提督「そのまさかだ」


提督「構わん。その時はその時だ」


扉『』ギィィ


提督「中はまだまともだな」


明石「そうですね」


提督「比叡の部屋はどこだ?」


明石「前はそこの奥でしたけど今はわかりません」


提督「取り敢えずそこに行ってみるか」


提督「来てみたが鍵が掛かっている。どうやら当たりだな」


明石「どうやらここまでですね。さ、帰りましょう」


提督「明石」


明石「はい?」


提督「最近大本営から改修資材が届いてな。なんでも装備の改造ができるらしい」


明石「私は鍵を開けませんよ。勝手に開けたら怒られますもん」


提督「そうか、余った物は明石に譲ろうと思ってたんだがな」


明石「 い、嫌です!私はそんな悪魔の誘いには乗りません !」ウズウズ


提督「なんでも一定以上改造すると装備自体がグレードアップするらしい」


明石「提督の意地悪うううう!」ウズウズ


提督「やってくれるか?」


明石「もう!今回だけ特別ですよ!」


提督「ありがとう、助かるよ」


明石「私が開けたって言わないでくださいね!」


提督「ああ、約束する」


明石「ほら、開きましたよ」


提督「ありがとう、では入るか」ガチャ

提督「これは……」


明石「随分殺風景な部屋ですね」


提督「ベッドに机、クローゼットのみか……最低限の物しかないんだな」


明石「他の艦娘さん達の部屋はぬいぐるみだったり掛け軸だったり色々あるんですけどね」


提督「(あいつも年頃の女の子だ、可愛い物興味はあるだろう。じゃあお金は何に使ってるんだ?)」


明石「じゃあ私はさっさとさよならします。提督、改修資材後でちゃんとくださいよ!」


提督「わかった。すまないな」


明石「では」バタン


提督「あいつはずっとこんな場所で過ごしてきたのか……ん、机の上に何かが」


提督「これはノートか?」ペラ


提督「!?違う、これは家計簿だ。高級茶葉、榛名、霧島用シャンプー、榛名、霧島用の枕。榛名用の櫛、霧島用の………何だこれは、ほとんどあの二人の物ばかりじゃないか」


提督「不器用な奴め……」

―――――――――――――――


―夜・新戦艦寮―


比叡「」キョロキョロ


比叡「よし、誰もいない。榛名と霧島が風呂に入ってる内に済ませよう」ガチャ


比叡「茶葉補充して枕の替え置いといて、後掃除しとこう。あの子達いっつもここ掃除し忘れてるから」


比叡「よし、完璧です!さて見つからないうちに出ようかな」ガチャ

提督「……」


比叡「し、司令!?」


提督「この部屋で何をしてたんだ?」


比叡「別に何もしてないですよ!シャンプーが切らしたから借りようと思っただけです」


提督「わざわざ居ない時間に合わせて借りに来るのか?」


比叡「い、いいじゃないですか!ついでに色々取ろうと思っただけですよ!あの子達が憎いから取って困らせようとしたんです!だから……」

提督「」ダキ


比叡「え……?」


提督「もういい……もういいんだ」ギュウ


比叡「ちょっと、離してください!」グググ


提督「お前が給料のほとんどをあの二人の為に使ってることは知っている」


比叡「え?」ピタ

提督「お前があの二人を想っている事はよくわかった」


比叡「そんな訳……ないじゃないですか」


提督「俺の前では嘘を吐かなくたっていい。これ以上自分を苦しめるな」


比叡「……離してくださいよ」


提督「嫌だ」ギュウ


比叡「……私なんかに優しくしちゃ駄目ですよ」


提督「……」

比叡「私は皆から恨まれている存在だから……憎まれてる存在だから……」ポロポロ


提督「……」


比叡「それでも私はお姉ちゃんだから……」ポロポロ


提督「何故お前が姉という肩書きに拘るのかはわからないがそんな辛そうな顔をする奴を放っておけるか」


比叡「司゛令~」ボロボロ

――――――――――――――――


比叡「」スゥスゥ


提督「泣き疲れて寝てしまったか」


明石「あのーそろそろ戦艦寮の鍵開けていいですか?」ヒョコ


提督「ああ、もう大丈夫だ」

明石「全く、これっきりにしてほしいですね。付き合わされるこっちの身にもなってください」


提督「ありがとう」


明石「私にも一応良心がありますからね。さ、皆が帰ってくる前に裏口から出てってください」


提督「ああ」


比叡「」スゥスゥ


提督「本当に……不器用な奴だよ、お前は……」


比叡「司令、昨日はすみませんでした」


提督「ん、ああ、気にするな。部下の悩みを聞いてやるのも上司の勤めだ」


比叡「それはそうですけど」


提督「それに比叡の泣き顔なんて滅多に見れないからな。幸運だったよ」


比叡「もう、司令の馬鹿!」


提督「それはそうと今日の仕事は任せていいか?」


比叡「いいですけどどうしたんですか?」


提督「一航戦と話がしたくてな」


比叡「ああ、あの二人は私達の代わりに出ずっぱりですもんね」


提督「ああ、今日しか話す機会が無くてな。仕事頼めるか?」


比叡「ええ、まっかせてください!」


提督「助かる。あと今度から何かを買うときは俺に言え」


比叡「え?なんでですか?」


提督「俺が金半分出す」


比叡「何言ってるんですか!鎮守府予算を私的な用途に使ってはいけませんよ!」


提督「バカ言え、俺の金だ。こう見えても蓄えは結構あるから大丈夫だ」


比叡「そんな、悪いですよ」


提督「これは命令だ、反論は認めん。では行ってくる」バタン


比叡「あ……行ってらっしゃい」



比叡「司令はどうして私に気を遣ってくれるんだろう……同情……されちゃってるのかな……」


―――――――――――――――――


提督「ここが正規空母の練習場か」


瑞鶴「あれ、提督さんじゃん。どうしたの?」


提督「瑞鶴か。いや、一航戦に用があってな。二人は今練習中か?」


瑞鶴「そうだよ。今会いに行くの?」


提督「そうだが」


瑞鶴「あ~今はやめといた方がいいよ」


提督「む?何故だ?俺がいると邪魔だからか?」


瑞鶴「そうじゃなくて、ん~……行けばわかるよ。あの二人の練習中は他の空母は近づかないんだ」


提督「そうなのか。では私は行ってくるとするよ、じゃあな瑞鶴」


瑞鶴「気をつけてねー」



提督「ここが入り口だな。失礼する」ガチャ


提督「!?(空気が変わった!なんだこの全身に突き刺さるような冷たい空気は!?)」


提督「奥の方からか……行ってみよう」


提督「(あれは加賀か。何て殺気だ、冷たくて、纏わりつくような、絡みつくような殺気だ。これ以上近づけない……!)」


提督「(今度は赤城か。くっ!さっきよりも数段強い殺気だ、圧倒的過ぎる……!駄目だ、足が勝手に後ろへ……!)」


加賀「赤城さん、そろそろ」


赤城「そうね、そろそろ止めましょうか。提督、もう訓練は終わりました。どうぞこちらへ」


提督「(殺気が止んだ……)ああ」


――――――――――――――――



赤城「私は一航戦赤城、隣にいるのは加賀さんです」


加賀「どうも」ペコ


提督「よろしく。比叡達が出撃してない間よく頑張ってくれたな、感謝する」


赤城「いえいえ、事情が事情ですからね、仕方ないですよ」


加賀「当然の事をしたまでです」


提督「今では比叡と並んで二人共最高練度だ。これからも期待している」


赤城「ボーキサイトさへあれば私は何度でも出撃しましょう。働いた後に食べるご飯は美味しいですからね」


提督「程々に頼むよ……」


加賀「で、提督……何しにここへ?」


提督「ああ……前の大規模作戦について聞きたい事があってな」


赤城「そうですか……金剛姉妹は提督から愛されて羨ましいですね」


提督「同じくらいお前たちも愛してるさ」


赤城「提督ったらお上手ですね」


加賀「赤城さんを誑かす輩は私が許しません」ギリギリ


提督「落ち着け加賀」


赤城「加賀さん、食事中にそういうのは駄目ですよ」


提督「それより……大規模作戦中に何があった?」


赤城「そうですねぇ、そもそも始まりは深海棲艦が集団で各地の鎮守府を襲っているという情報があり各地の鎮守府の提督が集結し殲滅しようというものでした」


加賀「その中でも私達はトップクラスの練度でしたから、常に最前線で戦わされましたね」


赤城「そして次々と殲滅していき後敵の親玉を倒すだけとなりました」


提督「やはりお前等は凄いな」


赤城「いえ、あの頃は私達も高練度とはいえまだまだ未熟でしたからね、強かったのは金剛さんですよ」


加賀「……」


赤城「あの方はあの時点で既に最高練度でした。次々と敵を沈めてそれはそれは凄かったですね」


提督「そうか」


赤城「結論から言うとですね、私達はなぜ金剛さんが沈んだのかわからないんですよ」


提督「……」


加賀「私達は制空権争いで必死でしたからね、主力は金剛姉妹に任せていました」


提督「ふむ」


赤城「だから提督が知りたがっている事は何一つわかりません。すみませんね」


加賀「……」


赤城「あ、お茶菓子が切れてしまいました。ちょっと取ってきますね」スタスタ


提督「……」


加賀「……」


加賀「あの、一つ聞いてもいいかしら」


提督「なんだ?」


加賀「なぜ提督はあの姉妹にそこまで拘るのでしょうか。艦娘のいざこざなど提督にとってはどうでのいいことでしょう」


提督「……」


加賀「私達がどう考えどのような言動をとろうともあなたが命令すれば逆らう事はできません。面倒な事に首を突っこまずただ出撃しろと言えばいいじゃないですか」


提督「そういう扱いをしては艦娘はただの兵器じゃないか。私はお前らを立派な人間として見ている」


加賀「そう、変わった人ね」


提督「私もお前達もいつ死ぬかわからない身だ。ならばせめて生きている間は笑顔でいてほしいんだよ」


加賀「精々頑張りなさい」


提督「ああ。じゃあ私はそろそろ失礼するよ、これ以上は有力な情報はなさそうだしな」


加賀「そう、じゃあね」


提督「艦載機の妖精には何も聞かないでおく。じゃあな」スタスタ


加賀「!?」


赤城「さ、美味しい苺大福ですよ~あれ、提督は?」


加賀「先程帰りました」


赤城「あら、もっと居れば良かったのに」


加賀「……赤城さん、本当にこれで良かったんですか」


赤城「いいんですよ、比叡さんが何も言わないのに私達が言う訳にはいきませんから」


加賀「そうね」


赤城「ところで加賀さん」


加賀「なにかしら」


赤城「……提督の分の苺大福私が食べてもいいですか?」


加賀「……」

ここまで。メンテで暇だったから書き溜めてたやつ投下

電ちゃんは何でもできる艦娘なのです


比叡「司令、大本営からお電話です」


提督「大本営から?珍しいな」


比叡「なんでも緊急の用事とかで」


提督「ふむ、わかった。……ただいま代わりました」


提督「……なんですって!?」


比叡「……」


提督「はい、わかりました。では」ガチャン


比叡「どうしたんですか?」


提督「前の大規模作戦の時の親玉が再び勢力を拡大し始めているらしい」


比叡「!?」


提督「幸いまだそこまで勢力は拡大してない。だから今のうちに敵の親玉を仕留めてくれだと」


比叡「……私達はまた前線に駆り出されるんですね」


提督「……ああ、すまない」


比叡「司令のせいじゃないです。上からの命令ですから仕方ないですよ」


提督「……明日からお前たちには戦闘の勘を思い出してもらうために毎日出撃させる」


比叡「わかりました」


――――――――――――――――

―夜・居酒屋鳳翔―


扉『』ガラガラ


鳳翔「いらっしゃい……あら提督、また来てくれたんですか」


提督「ああ、魚の煮付けが食べたくなってな」


鳳翔「今日は貸し切りにしますか?」


提督「いや、いいよ。他にもここに来たい奴がいるだろうしな。それにこんな夜遅くに来る者もいないだろう」


鳳翔「そうですね、でもきっともう一人来ますよ」


提督「ほう、それは楽しみだ」


鳳翔「楽しみにしててください……どうぞ、熱燗です」コト


提督「ありがとう」クイッ


提督「……なあ鳳翔」


鳳翔「なんでしょう」


提督「今回の作戦……前の大規模作戦の第一艦隊に行ってもらおうと思っている」


鳳翔「……一人……足りませんよ」


提督「わかっている。だが金剛の穴を埋めれるような奴はまだいない。だから五人でいってもらう」


鳳翔「……」


提督「俺は酷い人間だな」


鳳翔「そんなことはありませんよ。貴方が来てから前よりも比叡さんが笑うようになりました」


鳳翔「暗かった鎮守府が少しずつ明るくなってきました」


鳳翔「だからどうか自分を責めないでください」


提督「……ありがとう」


鳳翔「提督が弱気になってはいけませんよ。艦娘の士気に関わりますから」


提督「そうだな。俺は艦娘皆の命を預かっている、弱気になっている暇はない」


鳳翔「でもどうしても弱音を吐きたくなったら」


鳳翔「いつでもここに来てくださいね」ニコッ


提督「本当に……敵わないな」


鳳翔「ふふ……あ、提督そろそろ来ますよ」


提督「ん?こんな時間に誰が」


扉『』ガラガラ


赤城「こんばんは~」


提督「!?」


赤城「!?」


鳳翔「あらあら」


赤城「ててて提督、こんな時間にここで何を……」


提督「たまには呑みたい時もあるさ。お前こそどうした?」


赤城「わ、私は鳳翔さんとお話しをしようとしただけですよ……でも鳳翔さん忙しそうだし帰りますね」


鳳翔「あら、今日は赤城スペシャルを頼まなくていいんですか?」


赤城「!?」


提督「……なるほど、そういうことか」


赤城「……」


提督「その赤城スペシャルというものはどれ位ボーキサイトを消費するんだろうな」


赤城「」ダラダラ


提督「これは居酒屋鳳翔閉店も考えなくてはな」


赤城「そんな!そんなことしたら艦娘の士気に関わります!」


提督「主にお前の士気だろう」


赤城「こうなったら閉店される前にボーキサイト食べつくしてやります!」


提督「冗談だ。頼むからやめてくれ」


赤城「なんだ冗談ですか。提督も人が悪いですね。あ、赤城スペシャル一つ」


提督「開き直って頼むんじゃない」


赤城「いいじゃないですか、毎日頑張っている私へのご褒美ですよ」モグモグ


提督「確かにお前と加賀は頑張っているな。資材もまだあるし特別に見なかった事にしようか」


赤城「それでこそ提督です!」モグモグ


鳳翔「賑やかになりましたね」フフッ


提督「出撃の時とのギャップがありすぎる」


赤城「ごちそうさまでした」マンプク


提督「本当によく食べるな」


赤城「ええ、食べるのが好きなんですよ。あれ、提督その煮魚美味しそうですねぇ」ダラダラ


提督「わかった、やるから涎を拭け」


赤城「ありがとうございます!代わりに面白い話をしてあげましょう」


提督「ほう、なんだ?」


赤城「これは都市伝説なんですけど、なんでも艦娘の艤装にはその艦娘の魂が宿るらしいですよ」


提督「ふむ」


赤城「そしてかなり練度の高い艦娘が艤装に触れると魂を共有できるみたいです」


提督「どういう意味だ?」


赤城「さあ、詳しくはわかりません。記憶とか見れるんじゃないですかね?」


提督「曖昧だな。それができたら良い事あるのか?」


赤城「ありますよ。例えば加賀さんが私の大福を勝手に食べてしまった時私が加賀さんの艤装に触れて加賀さんの記憶が見れる事を利用すれば直ぐに犯人がわかります」ドヤァ


提督「加賀がそんな事するわけないだろう」


赤城「わかりませんよ?」


鳳翔「それは赤城さんと加賀さんが反対の場合もあるんじゃないですか?」フフッ


赤城「はっ!? これはいけませんね……」


提督「お前は一回加賀に謝ったほうがいいと思うぞ」


鳳翔「でもその都市伝説私も聞いたことがありますよ。なんでも深い縁で繋がっている艦娘同士でしかできないとも言われています」


提督「深い縁か。長い間共に過ごした物同士でしかできないのか?」


鳳翔「そうだと思います」


赤城「でも私最高練度になった時に加賀さんの艤装に触れましたが何も変わったことはありませんでした。条件は満たしてると思ったんですけどね」


提督「噂は所詮噂だってことさ。大方隠し事をしないように誰かが作った話しが肥大化したんだろう」


赤城「そうかもしれませんね」


提督「さ、俺はそろそろ帰るとするよ」


赤城「じゃあ私は赤城スペシャルをおかわりしてから帰ることにします」


提督「程々にしてくれ」


鳳翔「大丈夫です、いざとなったら私が止めますから」


提督「頼もしいよ」


鳳翔「提督、今日は満月みたいですよ。帰るついでに港で見ていってはどうでしょうか?気持ちが落ち着きますよ」


提督「そうか。ありがとう、寄ってみるとするよ。では」ガラガラ


赤城「……鳳翔さん」モグモグ


鳳翔「はい?」


赤城「今の『月が綺麗ですね』と言わなくて良かったんですか?」モグモグ


鳳翔「なななな何を言ってるんですか!?私はそんな////」カァァ


赤城「わかりますよ、長い付き合いですもの」モグモグ


鳳翔「はぅぅ///」カァァ


赤城「いいんですか?このままだと提督誰かに取られちゃいますよ?」ゴックン


鳳翔「……いいんです」



鳳翔「だって……あの人が見てるのは初めから……私じゃありませんから……」


赤城「……」

ここまで。最近筆が進むから今のうちに書けるとこまで書いとく


―夜・港―


提督「なるほど、鳳翔が言っていた通りだ。今日は綺麗な満月だ」


提督「この満月を見ながらもう一杯やりたいところだ……ん?あそこに誰かいるな。こんな時間に誰だ?」


提督「暗くてよく見えん。行ってみるか」


提督「そこに居るのは誰だ?」


榛名「……提督?」


提督「ん?なんだ榛名か。こんな時間にここで何をしてるんだ」


榛名「いえ、榛名はその……眠れなくて風に当たりに……」


提督「そうか。しかしこんな夜遅くに可愛い女の子が一人で出歩くと危ないぞ?」


榛名「そ、そんな、可愛い女の子だなんて榛名には勿体無いお言葉です」


提督「そう謙遜するな。隣いいか?」


榛名「榛名は大丈夫です。どうぞこちらへ」


提督「ありがとう」スッ


榛名「……今日は綺麗な満月ですね」


提督「ああ、こんな綺麗な満月を見たのはいつぶりだろうか」


榛名「波の音も静かでとても落ち着きます」


提督「ああ、夜の港も風情があっていいな」


榛名「……」


提督「……」


榛名「……提督」


提督「どうした?」


榛名「私達は後何回この綺麗な満月を見れるんでしょう」


提督「……さあな」


榛名「不安なんです。今度の作戦が」


榛名「また私の前から誰かがいなくなるような気がして眠れないのです」


提督「……」


榛名「また一人ぼっちになってしまうような気がして……」


提督「……榛名、両手を出してくれ」


榛名「え?は、はい……」スッ


提督「」ギュ


榛名「ててて提督!?///」カァァ


提督「不安な時はこうやって誰かに手を包んでもらうといいんだ」


榛名「……提督の手、暖かいです」


提督「今まで榛名が抱いている不安に気づかずすまなかった」


提督「榛名の不安を取り除く事はできないが私にできることはしよう」


榛名「こうして手を包まれているとなんだか安心します」


榛名「どうかもう少しだけ……このままで……」


提督「ああ」


――――――――――――――
――――――――――
――――――


榛名「ありがとうございます。もう大丈夫です」


提督「これだけは忘れるな榛名、お前は一人じゃない。だからなんでも一人で抱え込むんじゃない」


榛名「提督は本当に優しいですね」


提督「そんなことはない。さあ、そろそろ戻った方がいい。寮まで送ろう」


榛名「いえ、榛名はもう大丈夫です」


提督「いいのか?」


榛名「はい」


提督「そうか。じゃあ気をつけて帰るんだぞ」


榛名「わかりました」


提督「じゃあおやすみ」スッ


榛名「おやすみなさい提督」


榛名「……」


榛名「……提督は本当に優しい方です……そんな提督が榛名は……大好きです……」


提督「ふう、今日の仕事も終わったな」


比叡「疲れました、私この後出撃ですよ。練度最大なのに」


提督「暫く深海棲艦と戦闘してなかったからな、勘を取り戻す為にも必要な出撃だ」


比叡「わかってますよ」


扉『』コンコン


霧島「失礼します。今日の出撃報告に来ました」


提督「ああ、ご苦労……霧島、眼鏡を掛けてないがコンタクトにでもしたのか?」


霧島「いえ、先程の出撃で壊してしまいました」


霧島「だからあまり見えてなくて……っ!」グラッ


比叡「」ガシッ


霧島「……余計なお世話です」バッ


比叡「そっちが勝手に私の方に転んで来たんでしょ」


霧島「(さっきまで全く別の場所に居た気がしたんですが……気のせいですね)」


提督「大丈夫じゃなさそうだな」


霧島「ええ、だから今日は街に眼鏡を買いに行こうかと思ってます」


提督「榛名と行くのか?」


霧島「いえ、榛名は今日出撃予定があるんで一人で行こうかと」


提督「それはいかんな……よし、俺もついていこう」


比叡「!?」


霧島「!?」


霧島「い、いいんですか?」


提督「ああ、もう仕事も終えたし
な。なによりこの状態の霧島を一人で行かせるわけにはいかん」



霧島「司令……」


提督「早いうちに行ったほうがいいな、今からの行けるか?」


霧島「ちょちょちょちょっと待っててください司令、少し準備に時間がかかります!」


提督「そうか、準備ができたらここに来てくれ」


霧島「わかりました!失礼します!」バタン!ダダダダ


霧島「司令と……二人で……街へ……!どの服を着ていこうかしら、髪型はこれでいいかしら」アセアセ


比叡「……司令」


提督「ん?なんだ?」


比叡「霧島に手を出したら沈めますから」ゴゴゴゴ


提督「そんなことする訳ないだろう……」ハァ


比叡「ならいいんですけどね!」フンッ


提督「何を怒っているんだ?」


比叡「別に怒ってませんよ」プイッ


提督(そうか、本当は姉妹で行きたかったんだな)


比叡(なんでだろう、なんか胸がモヤモヤする……)


―――――――――――――

提督「街に行くなんていつぶりだ」


霧島「ええ、こんなに知らない人が沢山いると少し緊張しますね」


提督「しかし白のワンピースか、似合ってるぞ霧島」


霧島「ああありがとうございます///」テレテレ


提督「さ、そろそろいこうか。霧島、手を」スッ


霧島「え?」


提督「前がよく見えないだろうからな」


霧島「そそそそうですね、前が見えないからですよね」ギュ


提督「あ、ああ」


霧島「別にこの霧島、なんも期待なんてしていませんよ!」


提督「どうしたんだ?」


霧島「なんでもないです!マイクチェックワン、ツー、ワン、ツー」スーハー


提督「おかしな奴だ」


霧島「やはり眼鏡は無難にこれでいこうかしら……」


提督「この赤なんていいんじゃないか?」


霧島「な!?司令、それは攻めすぎですよ!」


提督「そ、そうか」

霧島「司令、この服なんてどうでしょう?」

提督「おお、似合ってるな。でも何故スーツなんだ?」

霧島「司令が好きな服かと」

提督「俺はもっとラフなやつが好みだ」

霧島「いいでしょう!店員さん!ラフな服をお願いします!」


霧島「確かに私はラフな服をと言いましたが……」

提督「ラフだな」

霧島「これは少し露出しすぎではないでしょうか……///」

提督「そうか?」

霧島「その……なんというか特に胸元が開きすぎな気が……」

提督「金剛型の制服もなかなかだがな」

霧島「何故でしょう……周りの視線が痛いです……」


霧島「私の計算と口コミによるとここのパスタは美味しいらしいですよ司令」


提督「それは楽しみだ」


店員「おまたせしました」コト


提督「これは美味しそうだな」


霧島「でしょう?」


店員「今日はカップルデーとなりますのでこちらのジュース無料になっております。どうぞ」コト


霧島「ななな!?」


店員「ではごゆっくりどうぞ」


提督「……霧島」


霧島「ははははいっ!」


提督「運がいいな俺達」


霧島「……しってました、しってましたよ」


提督「どうかしたか?」


霧島「なんでもないです!」パクッ


提督「どうして俺のパスタを食うんだ!?」


霧島「司令のせいです!」モグモグ


提督「なぜだ!?」


提督「今日は楽しかったな」


霧島「ええ、こんなに楽しかったのは久しぶりですよ」


提督「ここから見る海もなかなかいいもんだ」


霧島「やっぱり私達は海軍ですね」


提督「それにしてもなぜこの鎮守府はあんな町はずれにあるんだ?あそこじゃ立地条件が悪い気がするが」


霧島「司令はご存じないのですか?あの鎮守府は元々廃港だったんですよ」


提督「そうなのか?」


霧島「ええ、なんでも前提督と金剛お姉様が二人で鎮守府を作ったとか」


提督「普通鎮守府は国から支給されるものなんだが……」


霧島「それに一つの鎮守府に金剛型全員が揃うなんて前代未聞です」


提督「ああ、同じ艦娘は二人といない。数多の鎮守府が金剛型戦艦をほしがっていたがまさかこの鎮守府が独占することになるとはな」


霧島「でもそのせいで上層部に目をつけられて大変ですけどね。大規模作戦のように無理矢理前線に送り出されたり」


提督「すまない」


霧島「司令のせいではありません。私達は貴重な戦力ですからね、戦うことは構いません。ですが私達に全て押し付け支援艦隊も出さない上層部が私は嫌いです」


霧島「でも今回ばかりは感謝してるんです」


提督「……」


霧島「だって今回の作戦は金剛お姉様が沈んだ場所を通ります。そこに行けばきっと何か手がかりがあるはずです」


霧島「金剛お姉様が何故沈んだのかの手がかりが……」


提督「霧島……お前……」


霧島「私だって薄々気づいてます。あの人が金剛お姉様を捨てたのには何か理由があるんだと」


霧島「私は間違った事が嫌いですから。真実が知りたいんです」


提督「……そうだな」


霧島「でも真実がどうであれ私はあの人を許すつもりはありません。だってあの人が金剛お姉様を見捨て、前提督を殺したのは事実なんですから……」


提督「……そうか」


霧島「さ、早く帰りましょう。日が沈んでしまいます」


提督「ああ」


提督(姉の知らないうちに妹も育っているんだな……)


榛名「今日は榛名、出撃でMVPを取りました!提督に言ったら褒めてもらえるでしょうか?」


榛名「提督、報告に参りま……ん?中で話し声が……」



比叡『司令、大本営から書類が届いてます!』


提督『大本営から直々の書類か、珍しいな。なになに』


提督『ケッコンカッコカリだと?なんだこのふざけた名前は』


比叡『ああ、もうそんな時期ですか』


提督『最高練度の艦娘と強い絆を結ぶことで更に強くなることができると書いてある。比叡、知ってるのか?』


比叡『ええ、司令が一定以上戦果を残すと大本営から送られてくるんですよ』


提督『そうなのか……しかし一つだけか。誰に使うか迷う所だ』


比叡『今この鎮守府で条件を満たしているのは赤城さん、加賀さんと私ですね』


提督『なるほど』


比叡『ケッコンカッコカリすると燃費も良くなるみたいですし赤城さんなんていいんじゃないですか?』


提督『ふむ……じっくりと考えてから使う事にするよ』


榛名「……」


―――――――――――――――

―数日後―


提督「やっと仕事が終わった。今日は比叡が買い物行ってて不在だったがなんとか終えたな」


扉『』コンコン


榛名「失礼します」ガチャ


提督「どうした榛名、ボロボロじゃないか!?何があった!?」


榛名「榛名は……大丈夫です……」


提督「こんなに怪我して大丈夫な訳ないだろう!」


榛名「提督……それよりも榛名は漸く最高練度になりました」


提督「ああ、よく頑張った!偉いぞ榛名」


榛名「ですからお願いがあります……」


提督「なんだ、俺にできる事なら何でもするぞ」


榛名「では……」









榛名「榛名と……ケッコンカッコカリしてください」













提督「な……に……?」


榛名「条件は満たしているはずです……」


提督「確かにそうだが、これはまだ誰とするか決めてないんだ」


榛名「では榛名でもいいじゃないですか……」


提督「しかしだな」


榛名「何故です?榛名はこんなにも提督を慕ってるのに何が不満なのですか?」


提督「それは……」


榛名「あの女ですか……?あの女がいるからですか……?」


提督「違う、比叡は関係ない」


榛名「嘘です!あの女は私から全てを奪っていくのです!金剛お姉様も!前提督も!そして……貴方も……!」ポロポロ


提督「落ち着け、比叡はそんな奴じゃない」


榛名「じゃあ……証明してください」ボソ


提督「……」


榛名「提督が今すぐ私とケッコンカッコカリをしてくだされば私はあの女を信用します!」


榛名「できますよね?だってあの女は関係ないんでしょう?誰にもあげる予定はないのでしょう?」


提督「……わかった」


榛名「本当ですか!」


提督「今用意するから待っててくれ」


提督「さあ、準備できたぞ。手を」


榛名「はい♪」スッ


提督「……」スッ


榛名「ああ、力が溢れてきます……!これが私と提督の絆……!」


提督「ああ、俺とお前の絆だ」


榛名「これで……提督は……榛名だけの物……」ウットリ


提督「これで比叡の事を信用してもらえるだろうか」


榛名「今はあんな女の事なんてどうでもいいじゃないですか。見てください。榛名だけの指輪です……!」


提督「(やはり駄目か……)」


榛名「ああ、榛名は今幸せです!」ダキ


提督「……離れろ榛名」


榛名「もう少しだけこのままで居させてください」ギュウ


提督「……」


榛名「提督は……幸せですか?」ギリギリ


提督「……ああ……幸せだよ……」

ここまで。次から終盤だけど書き溜め使い切ったので暫く無理かもしれぬ、終わりまで考えてるからエタりはしない。


比叡「」カリカリ


提督「」カリカリ


比叡「……司令」カリカリ


提督「なんだ?」カリカリ


比叡「聞きましたよ、榛名とケッコンカッコカリしたんですって?」カリカリ


提督「……ああ」カリカリ


比叡「まさか司令の好みが榛名だったとは思いませんでしたね」カリカリ


提督「」カリカリ


比叡「それならいっそ秘書艦も榛名に変えてはどうですか?」カリカリ


提督「」カリカリ


比叡「どこの鎮守府も秘書艦はだいたい嫁艦が……」カリカリ


提督「比叡、私語が多いぞ」カリカリ


比叡「あっはい……」カリカリ


比叡(なんかピリピリしてるなぁ……)


扉『』コンコン


榛名「提督、報告に参りました!」


霧島「失礼します!」


榛名「榛名、またMVPを取りました、褒めてください」ダキッ


提督「こら榛名、比叡と霧島が見ている。離れるんだ」


榛名「いいではないですか、榛名は提督とケッコンカッコカリしているのですから」


提督「しょうがない奴だ」


比叡「」バキッ!


比叡「あ、すみません司令、ペンが折れてしまいました。代わりをお願いします」


提督「あ、ああ。榛名、どけるんだ」


榛名「むぅ、わかりました」


提督「ほら」


比叡「ありがとうございます」


霧島「それにしてもケッコンカッコカリは本当に凄いですね、榛名の戦闘力が飛躍的に上昇しました」


提督「それはよかった」


榛名「ええ、私は強くなりました。事務処理ばかりのどこかの秘書艦よりもずっと……」ニヤリ


比叡「あんまり調子に乗らない方がいいわよ榛名」


榛名「いいえ、事実を言っているまでです。大して強くもないのに提督の側に居座り続ける女狐ほど調子に乗ってませんよ?」


比叡「いいわ、そこまで言うなら演習するわよ」


榛名「ええ、いいでしょう!提督に相応しいのは榛名だという事をわからせてあげます」バタン!


比叡「その慢心叩き直してあげる」バタン!


提督「……」


霧島「司令」


提督「なんだ?」


霧島「確かに榛名は強くなりました。それはもう圧倒的なまでに」


提督「そうか」


霧島「ですが……榛名の様子がおかしいのです」


提督「どういうことだ?」


霧島「自信からか一人で敵陣に乗り込んだり笑いながら敵を潰すようになりました」


提督「……」


霧島「敵の返り血を大量に浴びながら無傷で帰ってくる榛名を見た時私は恐怖を感じました」


霧島「あれはまるで……」


提督「わかった。暫くは榛名から目を離さないでおいてくれ」


霧島「わかりました」


提督「すまない、少し一人にさせてくれ」


霧島「はい、では失礼します」バタン


提督「一体どうしたんだ……榛名……」


―演習場―


長門「勝者、比叡!」


榛名「な……ん……で……?」アゼン


比叡「」ハァハァ


比叡「練度の差が必ずしも勝敗の差にはならないのよ」ハァハァ


比叡「榛名、貴女は確かに強くなったけどその分周りが見えなくなってる。その力に振り回されてる」ハァハァ


榛名「……私は……弱い……」


比叡「改めて自分を見直しなさい」ハァハァ


榛名「……」


比叡(とはいえ私も大破判定……これ以上練度に差がでると……)


――――――――――――――


提督「いよいよ明日出撃だ!準備はいいか?」


艦娘一同「「「「「はいっ!」」」」」


提督「第二艦隊はここで敵を迎撃!」


電「はいなのです!」


提督「第三、第四艦隊はここの警備と遠征にあたれ!」


瑞鶴「はい!」


陸奥「はい!」


提督「第一艦隊……比叡、榛名、霧島、赤城、加賀はポイントに行き敵の補給路を断ち、敵を追い込め!」


比叡「わっかりました!」


提督「以上だ!今日は各自休み明日に備えろ!」


艦娘一同「「「「「はい!」」」」」


榛名「提督!」


提督「どうした?」


榛名「この後お時間はありますか?」


提督「すまないがまだやる事が残っている」


榛名「そうですか……なら榛名も手伝います」


提督「いや、いつも慣れてる比叡にやらせるさ」


榛名「でも!」


提督「榛名は明日に備えて休むんだ。期待しているからな」


榛名「……はい」


提督「比叡、行くぞ」スタスタ


比叡「全く人使いが荒いですね」スタスタ


提督「そう言うな、後で間宮羊羹でも奢ってやる」


比叡「さっすが司令、太っ腹ですね!」




榛名「……」ギリッ


――――――――――――――


比叡「では第一艦隊出撃します!」


提督「気をつけろよ」


榛名「提督、榛名頑張ってきますね!」


提督「ああ、だが無理はするなよ」


榛名「だから提督……その……帰ってきたら二人で……お食事でも……」


提督「わかった。この前霧島と行った店に行こうか。パスタが美味しい店だ」


榛名「!?……はい」


榛名「榛名、楽しみに……してます」ギロッ


霧島「」ビクッ


霧島(榛名ってこんな怖い目つきだったかしら)


赤城「さ、そろそろ行きましょうか」


加賀「時間が勿体無いわ」


比叡「そうね、では気合い!入れて!行きます!」


赤加榛霧「「「「はい!」」」」


―――――――――――――――



比叡「皆、今回の目的は敵の補給路を断つことだから深追いはだめですよ!」


赤城「了解です」


榛名「……」


霧島「榛名?大丈夫?」


榛名「え?」


霧島「さっきからボーッとしてるわよ」


榛名「だ、大丈夫よ霧島」


霧島「そう、ならいいけど」


比叡「……」


比叡(……ここ最近榛名の様子がおかしい、できればこの作戦にも参加させたくはなかったけどそんな事は言ってられないし。何も無ければいいけど……)


加賀「艦載機が敵を補足!」


比叡「見えました!敵艦隊発見!」


比叡「陣形は単横で行くわよ!」


戦艦水鬼「艦娘カ……」


比叡「構え!」


赤城「」スッ

加賀「」スッ


霧島「」チャキ


榛名「……」


榛名「」ダッ


比叡「榛名!?何してるの!一人で敵に突っ込んじゃだめ!」


榛名「戦果を挙げれば……提督は榛名だけを……見てくれるはず……」ダダダダ


霧島「榛名!」


比叡「作戦変更、榛名を援護して!」


赤城「わかりました!」


深海棲艦「」ザァ


加賀「こちらにも敵が来ました。援護は無理です」


比叡「くっ!これじゃ榛名が……」


赤城「今は目の前の敵に集中してください。倒したあとに榛名さんを援護しましょう」


霧島「この深海棲艦、強いですね」


比叡(榛名……どうか無事でいて……)


榛名「見つけました。貴女が旗艦ですね」


戦艦水鬼「迷エル……子羊ガ……一匹……フフフ」


榛名「久しぶりですね。覚えてますか?」


戦艦水鬼「エエ……忌々シイガラクタ共メ……マタ邪魔ヲスルノネ」


榛名「今度こそ貴女を沈めます!覚悟!」ドンドン


戦艦水鬼「」サッ


榛名「はあああああああ!」ブンッ


戦艦水鬼「」ガシッ


榛名「くっ!」グググ


戦艦水鬼「フゥン……」ニヤッ


榛名「手を離しな……さい……」ギリギリ


戦艦水鬼「アナタハ私達ニ似テイル……」


榛名「何を……馬鹿な事を……」ギリギリ


戦艦水鬼「イクラ頑張ッテモ貴女ノ想イハ届カナイ」


榛名「……貴女に何がわかるんですか!」ギロッ


戦艦水鬼「自分デモワカッテイルンデショウ?」


榛名「うるさい!」


戦艦水鬼「アノ人が見テイルノハ初メカラ……」


榛名「うるさああああああい!」ドォン!


戦艦水鬼「コノ距離デ砲撃スルトハナ」無傷


榛名「けほっけほっ」中破


戦艦水鬼「ソンナニ現実ヲ直視スルノガ嫌カ?」


榛名「提督は私の事をちゃんと見てくれています!」


戦艦水鬼「……」


榛名「私が強くなれば……比叡よりも強くなればきっと提督だって……」


戦艦水鬼「デモ……勝テナイ」


榛名「!?」


戦艦水鬼「アルンダロウ?圧倒的ナ差ガ……」


榛名「……」ギリッ








戦艦水鬼「力ヲ貸シテアゲルワ」








榛名「え……?」


戦艦水鬼「コチラ側ニ来ナサイ。ソウスレバ私達ノ力ヲ分ケテアゲル」


榛名「そんな嘘には騙されませんよ」


戦艦水鬼「ソウ……ナラズット負ケ続ケルトイイ」


戦艦水鬼「愛スル人ガ取ラレルノヲズット見テナサイ」


榛名「!?」


ドォン!


比叡「榛名!」


戦艦水鬼「ココマデカ……ソノ気ニナッタライツデモ来ナサイ」


比叡「榛名に手は出させません!」


戦艦水鬼「マタ会イマショウ……フフフ……」スゥ


比叡「ふぅ、なんとか間に合ったわ」


榛名「……」


比叡「全く、無茶しちゃダメでしょ!」


榛名「……」


比叡「でも敵は全員撤退したから今日の戦いは勝利よ。これで敵をかなり追い詰めたわ」


榛名「……」


比叡「さ、今日はあそこの島で休むわよ。さっさと入渠して反省会だかんね!」


榛名「……ええ」


比叡「さ、肩貸してあげるから」スッ


榛名「触らないでください!」パシッ


榛名「これ位なんともないです」


比叡「……そ、元気そうで何よりだわ」


榛名「……」

ここまで。レス沢山きててびびった。べ、別に嬉しくなんかないんだからねっ(


比叡「あー、あー、聞こえますか?司令」


提督『ああ、大丈夫だ』


比叡「作戦成功しました。敵は補給できず撤退したみたいです」


提督『よくやった。この調子で頼む』


比叡「はい!……それともう一つ」


比叡「榛名は今回の作戦に参加させるべきではないと思います」


提督『……何故だ』


比叡「司令もわかってるでしょう?ここ最近榛名の様子がおかしいことに」


提督『……』


比叡「今の状態の榛名を作戦に参加させるのは危険です。どうかお願いします」


提督『……すまないがそれはできない』


比叡「何故ですか!」


提督『確かに榛名の様子がおかしいことには気づいてた。しかし榛名は今やうちの最大戦力だ、ただでさえ少い戦力をこれ以上減らす訳にはいかない』


比叡「っ!!」


比叡「ですが!」


提督『それに……お前ならきっとなんとかしてくれると信じているからな』


比叡「……司令は卑怯です……」


提督『ああ、俺は卑怯さ』


比叡「わっかりました!なんたって私はお姉さんですから!」


提督『頼んだぞ』


比叡「ええ!では失礼します!」ブツッ


比叡「……」

―夜・中継地点―


比叡「それでは今日の作戦会議を始めます」


赤加榛霧「「「「はい!」」」」


比叡「今日の作戦成功しました。敵艦隊は補給できずに追い込まれたはずです」


赤城「ええ、ここまでは予定通りですね」


比叡「後は明日敵艦隊を完全に殲滅するだけです」


加賀「そうね」


比叡「明日の陣形は単縦で行きます。その際榛名は最後尾で援護して」


榛名「……はい」


比叡「今日みたいに勝手に動かないで作戦に従うんだよ」


榛名「わかり……ました」


比叡「そして明日は予定とは別のルートを通ります」


霧島「!?」


霧島「何故ですか!?」


比叡「……これは単なる勘なんだけど……嫌な予感がするの」


霧島「そんな根拠のない推測で予定を変えるんですか!」


赤城「霧島さん、戦場の勘というのは馬鹿にはできませんよ。実際それで助かった場合もあるのですから」


加賀「赤城さんの言うとおりよ。作戦が順調な時こそ慎重に行かなければ」


霧島「っ!」


比叡「だから少し遠回りだけどこのルートで行きましょう」


霧島「……怖いんですか?」


比叡「……何が」


霧島「元々通る予定だった航路は金剛お姉様が沈んだ場所」


霧島「貴女が金剛お姉様を見殺しにした場所です!」


比叡「……」


霧島「あそこを通って自分の犯した罪を直視するのが怖いだけなんじゃないんですか!」バンッ!


比叡「霧島!」バンッ!


加賀「二人共落ち着きましょう。これでは会議になりません」


霧島「」ギリッ


比叡「とにかくこれは決定事項です。明日は遠回りをします」


霧島「わかりましたよ!では!」バタン!


榛名「あ、霧島!待って!」バタン


比叡「……」


加賀「それにしても霧島さんがあんなに食い下がるなんて珍しいわね」


赤城「どうしてもあそこに行きたい理由があったのでしょう」


比叡「……私、旗艦に向いてないのかな」ハァ


赤城「比叡さん、貴女が自信を無くしたら私達は誰を頼りにすればいいのですか」


加賀「そうよ、時には非情な決断を迫られる時だってあるのよ。どんな決断も自信を持ちなさい。他の娘達の前で弱音なんか吐かないで」


赤城「私達はどんな決断だろうとついていきます。それは貴女が旗艦だからではありません、比叡さんを信用しているからです」


比叡「二人共……」


加賀「さ、そろそろ明日に備えて寝ましょう」


比叡「そうね、これで会議を終わります」


―深夜―


霧島「そろそろ皆寝たわね」


霧島「あそこはここからそう遠くない、今から行けば朝には帰れる」スチャ


霧島「あそこに行けばきっと何かがわかるはず」キィ


―――――――――――――――
―――――――――――
――――――
―――


霧島「深海棲艦に見つからないように移動しないと」ザアア


霧島「そろそろね……!?」


深海棲艦「」ザァ


霧島「これは……深海棲艦……しかも凄い数の……」


ヲ級「……一隻……ダケ?」


霧島「ええ、残念ながら私一人よ」


ヲ級「……ソウカ」


霧島「まさか待ち伏せされていたとは思いませんでしたよ、てっきり撤退したものだとばかり」


ヲ級「第一艦隊ハナ」


霧島「でもお生憎様、私達の旗艦は貴女の作戦なんてとっくに見破ってるわよ」


ヲ級「!?」


霧島「なんたって……私のお姉様ですからね……」


ヲ級「ソウカ……デハ別ノ場所ヘ行ク……」


霧島「させませんよ」


ヲ級「……」


霧島「こんなことならちゃんと言うこと聞いておけばよかったですね」ハァ


霧島「この霧島!例えここで沈もうとも貴女達を帰しはしません!」


ヲ級「死ヌ気カ?」


霧島「金剛お姉様と同じ場所で死ねるなら本望です」クイッ


ヲ級「」チャキ


深海棲艦「」チャキ


霧島「行きますよ!全門斉射あああああ!」

ここまで。海風出なくて禿げそう


―港―

比叡「皆準備できました?そろそろ行きますよ」


赤城「後は霧島さんを待つだけですね」


比叡「今榛名が様子を見に行ってるわ」


加賀「それにしても遅いわね」


榛名「大変です!霧島がいません!」タッタッタ


比叡「えっ!?」


赤城「なんですって!?」


加賀「!?」


比叡「そんな……」


榛名「きっと一人で行ったんですよ!金剛お姉様が沈んだ場所に!」


比叡「……」


榛名「何かあったのかもしれません!急いでそこに行きましょう!」


赤城「……どうしますか?」


加賀「私は旗艦の命令に従います」


比叡「……」


比叡「……いえ、このまま遠回りの航路を行きます……」


榛名「!?」


榛名「何故ですか!霧島が危険な状態かもしれないんですよ!」ガッ


比叡「霧島がそこに行ったとしたら帰ってこないのは何かがあったからよ。罠とわかってて行くことはできないわ」


榛名「では霧島がどうなってもいいんですか!」


比叡「今私達が全滅したらこの先もっと多くの人が死んでしまうわ、目的を履き違えないで」


榛名「なんで貴女はそんな非情になれるんですか……」ポロポロ


比叡「……」


榛名「そんなに私達が嫌いなんですか……!」ポロポロ


赤城「榛名さ……」


比叡「来ないで赤城さん」


榛名「そうやって……次々と人を見捨てていって……最後には何が残るんですか!」ポロポロ


比叡「……」


榛名「金剛お姉様……霧島……次に捨てられるのは私ですか……?」ポロポロ


比叡「……そこまで言うなら後1時間だけ待ってあげる」


加賀「いいんですか?」


比叡「ええ、どの道この状態で出撃なんてできない。榛名、その間に頭を冷やしてきなさい」


榛名「っ!」バッ


榛名「……」スタスタ


加賀「大丈夫でしょうか」


比叡「いざとなったら私達三人で出撃するよ」


赤城「ええ、でもその前に比叡さんは入渠してきてください」


比叡「……なんで?」


赤城「握り拳から血が出てますよ」


比叡「……」


赤城「あまり自分を責めないでください」


加賀「そう、貴女の判断は正しいわ」


比叡「」ギリッ

――――――――――――――――


赤城「……そろそろ一時間ですね」


加賀「どうしますか?」


比叡「……行きましょう」


榛名「……霧島……」


比叡「遠回りしたルートは異常ありませんね」


赤城「そうですね、よかったです」


加賀「そろそろ敵が見えてきますよ」


比叡「今度こそ沈めてやります!」


赤城「今度は私達もいます」


加賀「やりましょう」


榛名「……」


戦艦水鬼「……キタカ」チャキ


比叡「敵艦隊発見!構え!」チャキ


赤城「」スッ


加賀「」スッ


榛名「……」


榛名「待ってください!」


赤城「!」


加賀「!」


比叡「急にどうしたの?」


戦艦水鬼「」ニヤリ


榛名「」ダッ


比叡「一人で突っ込んだらダメって言ってるでしょ!」ガシッ


榛名「」ギロッ


榛名「」チャキ


赤城「比叡さん危ない!」


榛名「」ドォン!



赤城「くっ!」大破


加賀「大丈夫ですか!赤城さん!」


赤城「ええ、なんとか」


榛名「庇われましたか」チッ


加賀「どういうつもりですか?榛名さん」


榛名「」ダッ


戦艦水鬼「来ルト思ッテイタ」


榛名「ええ、初めから迷う必要なんてなかったんです」クルッ


比叡「……榛……名……?」


榛名「ずっと……貴女が憎くてしょうがなかった……」


榛名「金剛お姉様を見捨て……前提督を殺して……それでも尚提督の側にいる貴女が!」ギロッ


比叡「……」


榛名「何度殺そうと思っても私と貴女の間には越えられない大きな差がありました」


榛名「その差が縮まるのであれば……貴女を沈めることができるのなら……榛名は鬼にでも悪にでもなりましょう」


比叡「そん……な……」


榛名「さようなら」スゥ


戦艦水鬼「」スゥ


比叡「待って!」


加賀「駄目です比叡さん、一度撤退しましょう」ガシッ


比叡「嫌!離して!」グググ


加賀「離すわけにはいきません」グググ


比叡「榛名!榛名ぁぁぁぁぁ!」

ここまで


加賀「報告は以上です」


提督「霧島は行方不明、赤城は大破、榛名は深海棲艦側につく……か。比叡は大丈夫か?」


加賀「いえ、相当心を乱しています。今後の出撃は絶望的かと」


提督「そうか」


加賀「では失礼します」バタン


提督「……」


―元戦艦寮―



比叡「……」


扉『』コンコン


比叡「!?」


提督「私だ。大丈夫か比叡」


比叡「……」


提督「(返事はないか……)比叡、扉越しでいいから聞いてくれ」


提督「榛名と霧島が居なくなって辛い気持ちはわかる」


比叡「……」


提督「暫くお前は出撃させない。だから落ち着いたら顔を出してくれ」


比叡「私は……やっぱり金剛お姉様のようにはなれなかったみたいです」


比叡「榛名も霧島も私の前から居なくなってしまいました」


比叡「……私は姉失格ですね」


提督「そんなことないさ」


比叡「なんで……なんでそんな事が言えるんですか。霧島だって私がちゃんと見てればいなくならなかった。榛名だって私のせいで敵になったんですよ」


提督「結果としてそうなっただけだ。お前は最善を尽くしたんだろう?」


比叡「……」


提督「それに自分の給料ほとんど投げ出して妹達にために使ってる奴が姉失格?馬鹿言え」


提督「俺には金剛がどんな奴かは知らないが、今までお前以上に妹の事を想ってる奴に会ったことがない」


比叡「……」ポロポロ


提督「だから胸を張れ、お前は立派な姉だよ」


比叡「……司令の馬鹿」ポロポロ


提督「それに榛名はまだ深海棲艦になってないんだろう?ちょっとグレただけだ」


提督「妹が間違った道を行ったら正してやるのが姉の役目だろ?」


比叡「!?」


提督「じゃあな。落ち着いたら顔を出せ」スッ


比叡「……」グス


比叡「……司令は人が悪いなぁ」


比叡「……これじゃあさっさと出てきて榛名を連れて帰ってこいって言ってるようなもんじゃない」フフッ


比叡「……」グシグシ


比叡「……金剛お姉様……私……決めました」


―司令室―


扉『』コンコン


比叡「失礼します」


提督「比叡か……随分早く復活したな。もう少し休んでても良かったんだぞ?」


比叡「どっかの誰かさんが早く復帰しろってうるさかったので戻って来ましたよ。それに妹にお説教しなきゃいけないんで」


提督「そいつには感謝しないとな」


比叡「……馬鹿」


提督「だが比叡、榛名はケッコンして限界突破している上に深海棲艦の力まで加わっている。勝ち目はあるのか?」


比叡「ええ。司令、これを」スッ


提督「これは……ケッコンカッコカリの指輪の箱だと?なぜ比叡が……」


比叡「これは……前提督が金剛お姉様に渡す予定だったものです」


提督「!?」


比叡「……大規模作戦から帰ってきたら渡そうと思ってたみたいです」


提督「……いいのか?使って」


比叡「ええ、榛名に対抗するには少なくとも私も練度開放をしなければなりません」


比叡「金剛お姉様に恨まれるかもしれないですが、恨まれるのは慣れてますし大丈夫です」ニコッ


提督「……この箱、開けてもいいか?」


比叡「どうぞ」


提督「」パカッ


提督「随分前の物なのに……変わらない輝きだな」


比叡「ええ、毎日手入れは欠かしませんでしたからね」


提督「……」


比叡「……」


提比「「比叡(司令)」」


提督「……先に俺から言っていいか?」


比叡「駄目です。私から言います!」


比叡「司令はとても良い人です。こんな憎まれ者の私にさえも優しくしてくれるのですから」


比叡「今まで恨まれ憎まれてきた私にとって司令の笑顔は眩しすぎました」


比叡「そして司令と一緒に過ごしていく内に、段々胸の奥から不思議な感情が溢れてきたんです」


比叡「例えその優しが、笑顔が私だけでなく全ての艦娘に向けられるものでもいいんです」


比叡「私をただの兵器としてしか見てなくてもいいんです」


比叡「私の事が好きじゃなくても、榛名の次でもいいんです」


比叡「……だから……だからどうか……」









比叡「私とケッコンカッコカリしてください」









提督「……馬鹿だな」フッ


比叡「え?」


提督「ただの優しさでずっとお前を秘書艦にしておく訳がないだろ」


提督「ただの兵器として見てるなら慰めたりなんてする訳ないだろ」


提督「それにな、誰かから与えられた指輪で結婚なんてしたって意味ないだろ」


提督「俺は好きな女には自分が用意した指輪を渡す。自分で考え、自分で選んで、自分で買った指輪をな」


提督「だが本人がこの指輪がいいと言うなら仕方ない、一時的ではあるがこれを使おう」


比叡「……それって」ポロポロ


提督「お前には……一生俺の秘書艦でいて欲しいってことだ」ギュ


比叡「」ブワッ


比叡「司"令~」ボロボロ


――――――――――――――
――――――――――
――――――
―――


提督「比叡、手を」


比叡「はい、司令」スッ


提督「」スッ


比叡「……これが、ケッコンカッコカリ……」


比叡「金剛お姉様……前提督……この指輪は……一生大切にします……」ポロポロ


提督「比叡は泣き虫だな」


比叡「貴方のせいですよ……ちゃんと責任……とってくださいね……」ポロポロ

ここまで


―港―


比叡「それでは司令、そろそろ出撃します!」


提督「ああ、気をつけろよ」


比叡「大丈夫です!さっさと終わらせて帰ってくるんで!」


提督「頼もしいな」


比叡「だから司令……その……帰ってきたらご褒美をですね……」モジモジ


提督「いいだろう、何がいいんだ?」


比叡「だからその……ご褒美の……キスを……」モジモジ


提督「しょうがない奴だ……ちょっと来い」


比叡「え?あ、はい」


提督「」チュ


比叡「え……あ……ひ、ひえええええええええ」カァァ


提督「前払いだ」


比叡「おおおおで、おで、おでこに」


提督「前払いはここまでだ、帰ったら唇にしてやるから必ず帰ってこい」


比叡「は……はい!」


加賀「」コホン


比叡「!?」


加賀「そういうのは私達がいない所でお願いします」


赤城「あら、私は大丈夫ですよ?」ニヤニヤ


比叡「ひぇぇ///」カァァ


提督「すまんな」


比叡「と、とにかく!そろそろ出撃します!」


赤城「ええ」


加賀「はい」


比叡「比叡、気合い!入れて!行きます!」


赤城「一航戦赤城、出ます!」


加賀「一航戦加賀、出ます!」


提督「行ってこい!」


――――――――――――
―――――――――
――――――
―――



比叡「そろそろですね」


赤城「ええ」


加賀「……」


比叡「!?」


比叡「止まって!」


赤城「!?」


加賀「!?」


戦艦水鬼「」ザァ


戦艦水鬼「マタ来タノカガラクタ共メ」


比叡「榛名はどこですか!」


戦艦水鬼「コノ先ニイル」


比叡「!?」


赤城「比叡さん、ここは私達に任せて行ってください」


比叡「でも……」


加賀「一航戦の力を甜めないでほしいものね」


赤城「私達の心配は無用です。必ず後で追いかけますから」


赤城「大切な妹さんなのでしょう?」ニコッ


比叡「……わかった。ありがとう二人共!」ダッ


戦艦水鬼「時間稼ギノツモリカ?」


赤城「時間稼ぎ?何のことでしょうか」ゴウッ


加賀「私達は本気で貴女を沈めるつもりですよ」ゴウッ


戦艦水鬼「ガラクタガ調子ニ乗ルナ……」


赤城「金剛さんがいなくなってから私達はずっと後悔してました」


加賀「私達がもっと強ければ、あの時金剛さんの隣で戦う事ができたら結果は変わっていたかもしてない」


赤城「比叡さんが一人で全てを背負うのなら」


加賀「私達は陰で彼女を支えましょう」


戦艦水鬼「弱イクセニ言うウジャナイ……」


赤城「弱いかどうか試してみます?」


加賀「あれから己を鍛え抜いた私達の力を見せてあげるわ」

ここまで

と思ったけど余裕あるからまだやりますわ次だけ地の文もどきあります





榛名「……」


 あの人はずっと真っ直ぐだった。どんなに嫌悪の視線を向けようと、どんなに殺意をぶつけようとあの人はいつも私達を見ていた


比叡「榛名!」



その―――綺麗すぎる瞳で


榛名「久しぶりですね、比叡さん」


比叡「貴女がいなくなってから色々あったからね」


榛名「わざわざ会いに来なくてもその内こちらから行こうと思ってたんですよ?」


比叡「馬鹿言わないで、うちの鎮守府を廃墟にするつもり?」


榛名「ええ、貴女も貴女の居場所も全て壊すつもりですから」


比叡「そんなことさせないわ」


榛名「言いますね、既に私は貴女よりずっと強くなったのですよ?」


比叡「それでも私は負けない」


比叡「私を殺したいなら来ればいいわ、その度に貴女をねじ伏せてあげるから。何十回だろうと何百回だろうと相手してあげる」


榛名「」ギリッ


 いつもそう、貴女はどんな時だって私達の前に立ちはだかる。不利な条件を突きつけられた時も、調子が悪い時も澄ました顔で私達の前に立つ


 それが気に入らなくてしょうがなかった。私達よりも上だと驕っているその態度が、自信が


榛名「なんで貴女はそこまでして私の前に立つのですか!どうしていつも私の邪魔ばかりするのですか!」


比叡「そんなの決まってるじゃない」


比叡「私が貴女の姉だからよ」


榛名「私の姉は……」


榛名「金剛お姉様だけです!」ドン!


 そして……金剛お姉様にそっくりなその雰囲気が大嫌いだった


比叡「」サッ


比叡「」ダッ


榛名(速い!?)


比叡「はぁっ!」ブンッ


榛名「がはっ!」バシャバシャ


 おかしい、前と違って格段に動きが速くなっている。一体どうして?


榛名「!?」


 目を凝らすとあいつの指が輝いている。あの光は……私と同じ……


榛名「まさか……それは……!」


 ありえない。あれは鎮守府に一つしかない物、そして提督が私だけにくれた物なのだから。では何故……何故……


榛名「何故貴女が!その指輪を持っているのですか!」


比叡「……」サス


比叡「これは……前提督が金剛お姉様に渡すつもりだった指輪よ」


榛名「!?」


 前提督が……金剛お姉様に……?


榛名「そう……そういうことですか……」


 この指輪だけが私が提督の一番である何よりの証だったのに。私だけが唯一持っている証だったのに


榛名「結局、私はあの人の一番にはなれなかったのですね」ズズズ


比叡(榛名の周りからドス黒い何かが)


榛名「ならばこんな世界……いりません」ズズズ


比叡(肌が灰色に、服が黒くなっていく。これじゃあまるで……)


榛名「全てを深い海の底へ沈めましょう」ゴゴゴゴ


比叡「!?」


榛名「」ドンドン!


比叡「負けるもんですか!」ドンドン!



ドガァン!



榛名「」ヌッ


比叡(いつの間に近くに!?)


榛名「はあああああ!」ズドン!


比叡「がはっ!」バシャバシャ


比叡「げほっげほっ」


比叡(なんて威力なの……)


榛名「ここが何処かわかりますよね?」


比叡「……」


榛名「かつて金剛お姉様が沈み、霧島が沈んだかもしれない場所」


比叡「……」


榛名「そして……貴女が沈む場所です!」ダッ


比叡「私の力を甜めないでほしいわね!」ダッ


―――――――――――――――
―――――――――――
―――――――
――――


榛名「しぶといですね」ハァハァ


比叡「そっちこそ」ハァハァ


 お互い弾薬は既に切れ、殴り合っても尚この私についてくる


比叡「私を沈めるんじゃなかったの?私はこの通りまだピンピンしてるわよ」


榛名「痩せ我慢しても無駄ですよ。大破してるくせに」


比叡「そっちもね」ニッ


榛名「私も貴女もそろそろ限界です……次の一撃で決めましょう」ズズズ


比叡「そうね、そろそろ帰らないと日が暮れちゃうわ」


榛名「私は……提督が大好きでした」


 初めからわかってた。提督が見ていたのは私ではない事も、彼のその感情は決して私には向かない事も


比叡「……」


 でも……それでも貴女にだけは譲りたくなかった。私の大切な人を二人も奪われたくなかった


榛名「でも提督は……貴女を選んだのですね」ツー


比叡「……」


榛名「もう、終わらせましょう」


 この戦いと……私の恋を


榛名「」スッ


比叡「」スッ


榛名「比叡ええええええええ!」ダッ


比叡「榛名ああああああああ!」ダッ


全ての力を込めた私の右腕は


―――――彼女の身体と艤装を貫いた

ここまで。次の更新で一気に終わらせるけど量が多くなるから期間開くかも


金剛『イエース!この作戦も成功デース!』


比叡『さっすがお姉様です!』


前提督『本当に金剛は凄いね』


金剛『テートクに褒められると照れちゃいますネー』


前提督『長かった大規模作戦も次の出撃で終わりだ。ここまでこれたのは金剛のおかげだよ』


金剛『それは違いマース、他のメンバーが頑張ってくれたおかげデース!』


比叡『それって私や榛名、霧島も入ってますか!』


金剛『当然デース!』ニコッ


比叡『くぅ~、比叡感激です!』


金剛『おっと、午後の演習に行かなくていけまセン』


前提督『出撃したばかりなんだし休んだ方がいいんじゃないかい?』


金剛『それはダメデース、日々の鍛錬が私達を強くするのデス』


前提督『金剛にはいつも頭が上がらないね』


金剛『ありがとうございマース、では!』バタン


比叡『金剛お姉様は本当に凄いです。私もいつかあんなふうになりたいです!』


前提督『比叡も十分立派だと思うけどなぁ』


比叡『いえ、金剛お姉様に比べれば全然ですよ!強く、美しく、そして優しいまさに私の理想です!』


前提督『ははは……』


金剛『それではテートク行ってきマース!』


比叡『気合い!入れて!行きます!』


榛名『榛名、頑張ります!』


霧島『必ず勝ってきますね、司令』


赤城『ふふ、金剛姉妹は本当に提督がお好きですね』


加賀『そういう赤城さんだって昨日提督に頭撫でられて喜んでたじゃないですか』


赤城『なっ!?加賀さん何故それを!?』


前提督『その後加賀さんが赤城さんだけずるいです、私にもお願いしますって来たんだよね』


加賀『』カァァ


金剛『皆テートクが大好きですネー。ライバルは多そうデス』


前提督『そうだ、金剛』


金剛『なんですカ?』


前提督『全部終わらせて帰ってきたら渡したい物があるんだ』


金剛『イエース!期待してるからネー!』




比叡『やりました!あと少しで敵艦隊のボスを倒せます!』


戦艦水鬼『イマイマシイ……ガラクタ共メ……』


金剛『……』


比叡『さあやりましょうお姉様!』


戦艦水鬼『……』ズズズ


金剛『……比叡、今のこちらの艦隊の状況はどうなっていまスカ?』


比叡『今は金剛お姉様と私が小破、榛名と霧島が大破で後方支援に回っています。少し離れて赤城さんと加賀さんが小破で航空戦をしています』


金剛『そうデスカ』


比叡『今の敵のダメージなら私達二人でも大丈夫です!やりましょう!』


金剛『では比叡、命令です』


比叡『はい!』


金剛『今すぐ他の皆を連れて撤退してくだサイ』


比叡『……え?』


比叡『お姉……様……今なんて?』


金剛『今すぐ他の皆を連れて撤退してくだサイと言ったんデス』


比叡『何故ですか!?勝利はもう目の前なんですよ!』


金剛『比叡、あの深海棲艦は恐らくまだ力を隠し持ってマス』


比叡『!?』


金剛『今敵が動かないのは形態変化の最中だからデス。だから今の内に』


比叡『大丈夫ですよ!形態変化した所で私達ならきっと』


金剛『私は前に形態変化した敵と戦った事がありマス。とてつもない強さでシタ、今の状態ではまず全滅しマス』


比叡『なら今すぐ全員撤退しましょう!』


金剛『今撤退しても敵のボスは必ず追いかけて来マス。誰かが時間稼ぎをしないといけまセン』


比叡『なら私が時間を稼ぎます!だからお姉様が皆を連れて撤退してください!』


比叡『榛名や霧島にはお姉様が必要なんです!』


金剛『バカですね比叡。私はお姉さんデスよ?そして貴女達は私の可愛い妹、危険に曝す訳にはいきまセン』


比叡『ですが……ですが……!』ポロポロ


金剛『私の最初で最後の我儘を許してくだサイ』


比叡『嫌です!金剛お姉様がいなくなったら私達はどうすればいいんですか!それに……それに提督だってお姉様の事を!』ボロボロ


金剛『比叡!』


比叡『!?』ビクッ


金剛『そこから先は……言ったらNOですヨ?』


比叡『……お姉様は……いじわるです……とっても……とってもいじわるです……』ボロボロ


金剛『……比叡、貴女に重荷を背負わせてゴメンなさい』ダキ


比叡『うう……』ボロボロ


金剛『榛名も霧島もああ見えてまだ幼いデス。だから比叡が二人を支えてあげてくだサイ』


金剛『なんたって比叡は二人のお姉さんなんデスから』


比叡『私は金剛お姉様のようにできません、榛名と霧島をちゃんと導く自信なんてありません……』ポロポロ


金剛『大丈夫、私みたいでなくてもいいんデス、比叡は比叡なりのやり方でいいんデス。比叡ならきっとできると信じてますよ』


比叡『……わかり……ました……』グス


金剛『頼みましたヨ』スッ


榛名『お姉様方、二人で何を話しているのでしょうか』


霧島『作戦でしょうか、随分長いですね』


比叡『榛名!霧島!こっちに来て!』


榛名『はい!今行きます!』


霧島『新しい作戦ですね』


比叡『新しい作戦を言います、二人共耳を』


榛名『はい』スッ


霧島『了解です』スッ


比叡『』ゴスッ


榛名『かはっ!』


霧島『ぐっ!』


榛名『比叡……お姉……様?』ガクッ


霧島『な……ぜ……?』ガクッ


金剛『いいんデスカ?伝えなくて』


比叡『まだこの二人はこの作戦を受け入れられません。いつか私が説明します。それに時間もありませんし』


金剛『そうデスネ………』


比叡『ではお姉様!私はこの二人を抱えて先に鎮守府に帰りますね!今日は間宮さんがごちそうを用意してるみたいなんで早く帰ってきてくださいよ!』ニコッ


金剛『オーウ、それは楽しみデスネ。わかりまシタ』ニコッ


比叡『では!』ダッ


金剛『ごめんなさい比叡、こんな時まで気を使わセテ』ポロポロ


榛名『(金剛……お姉様……?)』


榛名『(何故……泣いて……)』ガクッ


戦艦水鬼『……』ゴゴゴゴ


金剛『さて、ラストダンスを始めましょうカ……』




比叡『赤城さん!加賀さん!撤退します、急いでください!』


赤城『わかりました。大丈夫です、艦載機を通じて大体の事情は知っています』


加賀『でも……本当にいいんですか?他にも方法があるかもしれないのに』


比叡『あの金剛お姉様が……どんな逆境にいても決して諦めない金剛お姉様が言ったんですよ。私達じゃどう足掻いても無理に決まってるじゃないですか』


加賀『でも……それでは金剛さんは……!』


比叡『……』


加賀『貴女は金剛さんを見捨てるんですか!?』


比叡『……』


加賀『そちらばかり向いてないで顔をこちらに向けなさい!』ガシッ


加賀『!?』


比叡『』ボロボロ


赤城『加賀さん、一番悔しいのは隣にいながら何もできなかった比叡さんなんですよ』


加賀『……ごめんなさい』


比叡『……帰りましょう』ボロボロ


赤城『わかりました』


加賀『ええ』




比叡『報告は……以上です』


前提督『……』


比叡『司令……?』


前提督『あ、ごめん。少し気が動転して。そうか……金剛は……』


比叡『少しお休みになってください』


前提督『いや、金剛が命を賭けて戦ったんだ。今僕が休む訳にはいかないよ』


比叡『今日から秘書艦は私がなりますね』


前提督『そうだね、比叡ならきっと金剛もいいと言うと思うよ。さ、早く書類を片付けてこの先の事を考えよう』


前提督『あれ、このペンインク出ないな。壊れてるのかな……』


比叡『司令……ペンが逆さまです……』


前提督『あ、ああ……そっか』


比叡『やはりお休みになった方がいいです。残りの書類は私がやっておきますので』


前提督『そう……するよ』




前提督『やあ金剛、今日は一段と綺麗だね。いい事でもあったのかい?』


比叡『司令、私は比叡です……』


前提督『え?あ、ああ……比叡か』


比叡『……』


―食堂―


比叡『』モグモグ


『比叡さんが金剛さんを見捨てて逃げたって本当?』ヒソヒソ


『あくまで噂よ、だっておかしいでしょ金剛さん一人残して撤退って。榛名さんや霧島さんは比叡さんに気絶させられたらしいし』ヒソヒソ


『前提督は金剛さんが大好きだっやのになんで……』ヒソヒソ


『比叡さんも前提督の事が好きみたいだし、ずっと秘書艦だった金剛さんが邪魔だったから戦場で見捨てて逃げたんだわ』ヒソヒソ


比叡『……ごちそうさま』ガタッ


前提督『最近、金剛が夢に出てくるんだ』


比叡『そうですか』


前提督『私がこんな事になったのはお前のせいだって』


比叡『……』


前提督『僕は金剛に酷い事をしてしまったね』


比叡『金剛お姉様はそんな事思ってませんよ』


前提督『ごめんよ……金剛……』




前提督『そういえばさ、金剛が帰ってきたら渡そうとした物があったんだ』


比叡『なんですか?』


前提督『ケッコンカッコカリというものらしい。艦娘と強い絆が結べるんだ』


比叡『そう……ですか』


前提督『金剛とは長いつきあいでね、金剛のおかげで僕は今ここにいられるんだ』


前提督『だから全部終わったら金剛にあげて喜ばせてあげようと思ったんだ』


比叡『……』


前提督『でももういらないし比叡にあげるよ』


比叡『いえ、私は……』


前提督『もらってよ。これがあると気が狂いそうになるんだ』


比叡『わかり……ました』


前提督『捨てるなりなんなりして』ポイッ


比叡『……』




ザアア


前提督『』フラフラ


比叡『司令、どこにいくんですか!そっちは崖ですよ!』


前提督『金剛が……呼んでるんだ』フラフラ


比叡『いい加減にしてください!そっちにはお姉様はいません!』ガシッ


前提督『離せ比叡、どうして僕の邪魔をするんだ!』グググ


比叡『司令こそしっかりしてください!お姉様はもういないんです!現実を受け入れてください!』


―廊下―


比叡『』スタスタ


『この前比叡さんと前提督が二人で崖にいたらしいよ』ヒソヒソ


『二人でデートかしら、いいご身分ね』ヒソヒソ


『金剛さんがいないからってやりたい放題ね』ヒソヒソ


比叡『』キッ


『怖い怖い、私も殺されちゃうわ』ヒソヒソ


『金剛さんみたいに見捨てられちゃうかもね』ヒソヒソ


比叡『……』ギリッ


前提督『おはよう金剛、今日もいい天気だね』


比叡『私は……比叡です』


比叡『どうしちゃったんですか司令……』ポロポロ




前提督『……比叡』


比叡『……なんですか』


前提督『今まで迷惑を掛けてごめんね』


比叡『いえ、私はそんな……』


前提督『もう迷惑を掛けたりしないから最後に一つ頼みを聞いて欲しいんだ』








前提督『僕を……殺してくれないか?』


比叡『……嫌です』


前提督『もう……限界なんだ』


比叡『嫌です!』


比叡『なんで……なんで私なんですか……』ポロポロ


前提督『金剛が轟沈したのは僕のせいだ』


前提督『だからその償いのために……姉妹である君に裁かれたいんだ』スッ


比叡『司令のせいじゃありませんよ……』ポロポロ


前提督『それに金剛の居ない世界なんて僕には堪えられない』


前提督『だからせめて僕がまともな内に殺してくれ』


比叡『私だって……司令のことが好きだったんですよ……』ポロポロ


前提督『ありがとう、でも僕はやっぱり金剛じゃなきゃダメなんだ』


比叡『……』ポロポロ


前提督『頼むよ……』


比叡『わかり……ました』ポロポロ


前提督『ありがとう』


比叡『』チャキ


前提督『……』


比叡『』ガタガタ


比叡『うわああああああああ!』


ザシュッ


前提督『ぐふっ!』ポタポタ


比叡『うう……』ポロポロ


前提督『この鎮守府の皆を……頼んだよ』


比叡『……わかりました』ポロポロ


前提督『比叡、君に重荷を背負わせてすまない』


比叡『!?』ポロポロ


前提督『ああ……これでやっと金剛の元……へ……行け……る……』


前提督『』


比叡『ごめんなさい……ごめんなさい司令……』ボロボロ


比叡『……』


比叡『』グシグシ


比叡『私……決めました』


比叡『金剛お姉様の想いも……司令の想いも……全部私が背負います』


比叡『私は私なりのやり方でこの鎮守府を……妹達を守っていきます……』


扉『』コンコン


霧島『司令、報告に……え?』


比叡『……』


霧島『司……令……?』


霧島『それに……お姉様……その手に持っているのは……』


比叡『……私がこれで司令を殺したのよ』


霧島『嘘……ですよね……?』


比叡『本当よ』


霧島『そんな……なら金剛お姉様を見捨てたのも……』


比叡『ええ』


比叡『わざと……見捨てたのよ』


―――――――――――――――
――――――――――――
―――――――――
―――――


榛名「これ……は……?」


榛名「記憶……?」


比叡「榛……名」


榛名「何故……攻撃しなかったのですか……」


比叡「大切な妹を……殺せる訳……ないじゃない」ギュウ


榛名「比叡……お姉様……」


榛名「……私は今まで何て事を……」ポロポロ


榛名「比叡お姉様は……初めから……」ポロポロ


比叡「榛名のせいじゃないよ」


榛名「だって私は……何も知らずに……比叡お姉様を恨んでばかり……」ポロポロ


比叡「いいの……私が選んだ道だから……」


榛名「そんな……」ポロポロ


比叡「私は金剛お姉様のようにはできなかったから……」


比叡「私なりのやり方でいこうと思ったけど……ダメだった」


比叡「私……やっぱりお姉さん失格だね」


榛名「そんな事ありません!こんなに私達の事を想ってくれていたのに……私はそれに気づかずに……」ポロポロ


比叡「ぐふっ!」ポタポタ


榛名「!?今すぐ止血しないと!」


比叡「いいよ……この出血量じゃもう間に合わない」


榛名「嫌です!私は諦めません!」


比叡「自分の事は自分が一番わかってるから……」


榛名「止まれ!止まれ!」


榛名「お願いですから……止まってください……!」ポロポロ


比叡「もういいから……」


榛名「……私のせいで……」ポロポロ


比叡「今の榛名なら……私がいなくても大丈夫」


榛名「……嫌です……比叡お姉様がいなくなったら……私は独りぼっちになります……」ポロポロ


比叡「ねえ榛名」


榛名「なんでしょう?」ポロポロ


比叡「私……ちゃんとお姉さんできたかな?」


榛名「ええ、比叡お姉様は素晴らしいお姉様です!私が保証します!」ボロボロ


比叡「そっか……」


榛名「提督だって比叡お姉様の帰りを待ってるはずです!帰りましょうよ!」ボロボロ


比叡「司令に……ごめんなさいって……伝えておいて」


榛名「嫌です……自分で伝えてください……」ボロボロ


比叡「さよなら……榛名……」


榛名「うう……」ボロボロ


比叡「」


榛名「比叡……お姉様……」ボロボロ


榛名「っ!」ズキン!


榛名「意識が……」フラッ




榛名「お姉様!」ガバッ


榛名「ここは……?」


提督「気がついたか」


榛名「提督!?」


提督「ここは鎮守府だ。今はドックが満員でな、暫くこのベッドで休んでくれ」


榛名「……」


提督「海上で倒れているのを赤城と加賀が発見して連れてきてもらった。戦艦水鬼は倒した、作戦は成功だ」


榛名「そんな事より比叡お姉様は!」


提督「……」


榛名「!?」


榛名「そうですか……ごめんなさい提督」


提督「気にするな、お前は深海棲艦に利用されてただけだ」


提督「お前のせいじゃない」


榛名「でも……提督は比叡お姉様の事が……」


提督「いいんだ……あいつも榛名を取り戻せて喜んでいるはずさ」


榛名「榛名は……また大切な人を失いました」


榛名「もう……私には何も残ってません」


提督「……」


扉『』バタン!


電「司令官さん、霧島さんが見つかったのです!」


電「ずっと遠くの海域で霧島さんが倒れているのを救助して連れて帰ってきたのです!重症ですが命に別状はないのです!」


提督「よくやったぞ電!」


電「ずっと探していた甲斐があったのです!」


榛名「霧島……」ポロポロ


提督「榛名、確かに失った物もある」


提督「だが全てを失った訳じゃない。残っている物もある」


榛名「私は……私は独りぼっちでは……ないのですね」ポロポロ


――――――――――――――――
―――――――――――――
――――――――――
――――――
―――


霧島「榛名ーそろそろ出撃するわよー」


榛名「はい、今行きます」


駆逐艦A「榛名さんと霧島さんって本当カッコイイよね」


駆逐艦B「特に榛名さんは強くて美しくて優しいし」


駆逐艦C「でも榛名さん提督とケッコンカッコカリしてたけどやめちゃったらしいよ」


駆逐艦B「え?なんで?」


駆逐艦C「なんでも自分よりもっと相応しい人がいるって言って指輪外しちゃったみたい」


駆逐艦A「榛名さんより相応しい人?霧島さんかな?」


駆逐艦C「でも指輪は知らない人の写真の隣に飾られてあったよ?」



駆逐艦B「もしかしてその人が相応しい人だったりして」


駆逐艦A「まさかー」


榛名「皆さん、行きますよー」


駆逐艦ABC「「「はーい!」」」




終わり

金剛姉妹のお姉さんっていったら金剛のイメージ強いけど比叡だってお姉ちゃんできるって事を言いたかっただけのss

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年08月19日 (水) 02:39:18   ID: 1plcejI5

うぃ、楽しみに待ってます。

2 :  SS好きの774さん   2015年08月19日 (水) 14:02:25   ID: PrHAj7Om

続き期待

3 :  SS好きの774さん   2015年08月19日 (水) 17:47:29   ID: kJ8eCStw

期待!!

4 :  SS好きの774さん   2015年08月21日 (金) 03:41:01   ID: VxijvmY-

これは面白い!

5 :  SS好きの774さん   2015年08月28日 (金) 17:22:07   ID: odkYh0_e

おう、パラレルで
幸せな四姉妹はよ

6 :  SS好きの774さん   2015年09月05日 (土) 14:19:09   ID: LJOvaNiC

二番煎じ乙
どこかひねった話を期待してたけど
ありきたりだったなちょっと残念

7 :  SS好きの774さん   2015年09月13日 (日) 17:48:00   ID: yq9BTv8d

良かった。泣いた。

8 :  SS好きの774さん   2015年12月13日 (日) 16:34:58   ID: GYBWpnhx

ネタにされがちな比叡のこういう話
を待っていた
カッコ可愛い比叡ネタもっと増えろ

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