父「なにか買ってやるぞ」少年「ゲームが欲しい! RPG!」(23)

<家>

父「おい、ボーナス出たから、なにか買ってやるぞ」

父「欲しいものはあるか?」

少年「ボク、ゲームが欲しい!」

父「ゲーム? どんな?」

少年「んーとね、RPGかな!」

父「分かった、明日にでも買ってくるよ」

少年「やったぁ!」

翌日――

父「それじゃ、行ってきます」

母「あ、そうだ」

母「あなた、もし覚えてたらカラシを買ってきてくれない?」

母「もうすぐなくなりそうなのよ」

父「カラシ? 分かったよ、買ってくる」

父(ゲームを買うついでに、買ってくればいいか……)

<会社>

父「う~ん……」

同僚「どうした? なにか悩みごとか?」

父「実は……ボーナスも出たし、ウチの子供になにかゲームを買ってやりたいんだ」

父「それもRPGってやつをな」

父「お前、たしかゲームに詳しいよな。よかったらアドバイスをくれないか?」

同僚「いいとも!」

同僚「今、一番流行ってるRPGといえば『ジャスティス・ソルジャー』だな」

同僚「日本だけで100万本以上売れてるヒット作だ」

父「『ジャスティス・ソルジャー』か。どんな内容なんだ?」

同僚「正義の戦士たちが、世界の巨悪に挑む物語だ」

同僚「スケールの大きいストーリーが魅力で、海外でもヒットしてるんだ」

父「正義が巨悪に挑む、か……たしかに人気が出そうだな」

同僚「他には……『ワクワクアドベンチャー』も売れ筋だ」

父「どんなゲームだ?」

同僚「個性豊かな仲間とともに、大冒険するっていう内容だ」

同僚「難易度もそれほど高くないし、お前のお子さんに買ってやるっていうんなら」

同僚「『ジャスティス・ソルジャー』よりこっちの方がいいかもな」

父「たしかに、そうかもしれないな」

同僚「それと、『ファミリークエスト』も人気だな」

父「ファミリー?」

同僚「家族愛がテーマになってるRPGだ」

同僚「派手に悪と戦ったり、冒険したりって内容じゃないが」

同僚「家族愛を深める、心温まるハートフルストーリーになってる」

父「ふむふむ、なるほど……」

同僚「他にも……」

父「いや、この辺でいいかな。どうもありがとう」

同僚「そうか? ま、今の三本ならどれをプレゼントしてやっても喜ぶと思うぜ」

父「うん、会社帰りに買っていくことにするよ」

父(うぅ~ん、どうしようかな……)

父(世界の巨悪を倒す、仲間とともに大冒険、家族愛を深める……)

父(どれも興味深いテーマだし、どれも面白そうだ)

父(この三つのテーマを全て満たすRPGはないものかな……)

<家>

父「――ってわけで、RPGを買ってきたぞ」ジャキッ

少年「わぁっ、なにこれ!?」

父「正確には『RPG-7』といってな。最もポピュラーな対戦車兵器だ」

少年「たいせんしゃ……?」

父「これを肩に担いでロケット弾を撃ち出し、敵をやっつけるんだ」

少年「う~ん、ボクが欲しかったのとちがうなぁ……」

父「まあ、いいじゃないか」

父「とにかく、撃ってみろって」

少年「うん……分かった!」

父「いいか? ここをこう担いで……」

少年「こう?」ジャキッ

父「そうそう、それでいい」

少年「えいっ!」シュゴッ



ドゴォォォォォンッ!!!



少年「す、すごい……」

少年「お父さん、これすごいよ! こんなすごいRPG、ボク初めてだよ!」

父「な?」

母「ちょっとちょっと、家の中で変なもの撃たないでよ」

少年「ごめんなさい、お母さん」シュン…

父「ああ、そういえば君にもカラシを買ってきたぞ」

父「ただし、カラシといっても、自動小銃の『カラシニコフ』だけどな」ジャキッ

母「あらまぁ……AK47じゃない。すごいもの買ってきたわね」

父「もちろん、俺も自分用に色々な銃器を買ってきたし」ジャキッ

父「家族三人で冒険の旅に出発だ!」

少年「おーっ!」

母「しょうがないわねぇ……」

母「男って、いつまでたっても冒険が大好きなんだから……」

半年後――



兵士「お待ちしておりました!」ババッ

父「今日の仕事は?」

兵士「あの基地にたてこもっている、テロリスト集団のせん滅であります!」

兵士「武装した100名ほどが、今も抗戦をつづけております!」

兵士「かなり手強く、我が軍にも多数の負傷者が出ており……」

父「なるほど、状況は分かった」

母「30分もあれば終わるでしょ。ささっと片付けて、晩ご飯にしましょ」

少年「ボク、今日はハンバーグがいい!」

父「お前はRPGであの手薄な箇所に砲弾を撃ち込んでくれ」

少年「うん、分かった!」

父「君はその爆風に乗じて、基地に侵入してくれ。後ろから俺がフォローする」

母「了解したわ」

父「それじゃ……冒険スタートだ!」





ドゴォォォンッ! ズガァァァンッ! ガガガガガ……!

ギャァァァ…… ヒィィィ…… ウギャァァァ……

母「どうやら全滅したみたいね」

父「どうだった? 今日の冒険は?」

少年「うん、とっても楽しかった! レベルアップもできたしね!」

少年「これも全部、お父さんからもらったRPGのおかげだよ!」ジャキッ

父「そうかそうか。喜んでくれて嬉しいよ」

父(巨悪と戦いながら、世界中を冒険することができ、家族愛も深められた……)

父(我ながら、最高のプレゼントだったな!)







おわり

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