ココア「リゼちゃんなにそれ?」リゼ「惚れ薬だとさ」 (53)

リゼ「親父が東洋の怪しい商人に売りつけられたんだ」

リゼ「なんでそんなものに騙されるんだと思ったが、酒で酔ってたんだろうな」

リゼ「当然そんな効果なんてない、ただの苦い漢方薬だ」

ココア「へぇー」

ココア「でも惚れ薬ってなんだかロマンチックだよね!」

ココア「恋する乙女が一度は夢見るものってイメージだよ!」

リゼ「まあ夢なんてない、ただの苦い薬だったんだがな」

チノ「何話してるんですか二人とも、お客さんが来ましたよ」

ココア「ちょっとロマンのある話をねー、はーい」

リゼ「ああ、わかった」

リゼ(惚れ薬、か…本物だとしたら、私はそれをどうしただろう)

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……………

ココアリゼチノ「「「ありがとうございましたー」」」

チノ「今日もお疲れ様です」

ココア「お疲れ様!」

ココア「夏休みに入ってるからか、お客さん多かったねー」

リゼ「このシーズンは気合入れて頑張らないといけないな」

ココア「でもホントこの時期は暑いね~とろけそうだよ」

ココア「ふんふーん」

ぎゅ

リゼ「?」

リゼ「なんだココア?私の手を握って?」

ココア「やっぱりリゼちゃんの手ひんやりしてた!」

リゼ「さっきまで食器洗いしてたからな」

 さわさわさわさわさわさわさわ

リゼ「ってそんなに触るなよ、くすぐったいぞ」

ココア「えへへ~ごめんね~」

ココア「チノちゃんはひんやりしてるかな~?」

ぎゅう

チノ「なんでそこで手を握るんじゃなくて抱きつくんですかココアさん…」

チノ「暑いです…」

ココア「チノちゃんはいつも通りもふもふしたいだもん!」

リゼ「ははっ、まったくココアお前ってやつは」

リゼ「じゃ、また明日な」

ココア「バイバイ!リゼちゃん!」

チノ「明日もよろしくお願いしますリゼさん」




リゼ「ふう…日も沈んだというのになんだこの暑さは…」

リゼ「ココアの言った通り、本当にとろけそうだな…」

リゼ「…ココアか」

リゼ(あいつが来てから周りが明るくなった)

リゼ(以前はチノともただのバイト仲間ってだけで、大して親しくはなかったな)

リゼ(今ではココアのおかげで打ち解けてきたし、正直とても毎日が楽しい)

リゼ「ココアには感謝しなきゃな」

リゼ「しかし初対面のときも思ったが、あいつは変わったやつだな」

自然と今日の出来事を思い出して笑みがこぼれる

いきなり手を握られた、ひんやりしてそうだからと

何度もぺたぺたぺたと

こそばゆさが今でも指先に残っている

私はココアの手がとても温かく感じた

真夏真っ盛りで熱さは敬遠されるかもしれないが、あの時感じたのは暖かさじゃなくて温かさだった

心が緩んでいく感覚だ

ココアは女の子らしくて可愛い

私にないものをいっぱい持っている

父親が軍人で、その影響からか女の子の可愛らしさを持ち合わせなくなってしまった私

いや、親父には感謝しているんだが

ココアはそんな私とは正反対の娘だ

私はコーヒー豆を詰め込んだ袋を楽々に持ち運べるが、ココアは可愛い女の子だからできない

懐かしいな、出会いたての頃だったか

ココアは皆に笑顔を振りまく、メルヘンなお伽話のヒロインみたいだ

ココア、可愛いココア

ココアは素敵だココアはこの前だって

リゼ「はっ…?」

リゼ「あれ?なんで?えっ?」

リゼ「どうして私はココアのことばかり考えてるんだ…?」

リゼ(そ、そりゃココアのことは前から好意的に思ってたが…)

リゼ「さっきのはちょっと異常だろ!」

リゼ「…………」

リゼ「きっと忙しかったから、疲れてるんだな…」

リゼ「さっさと帰って休もう…」



リゼ「はぁー…おやすみワイルドギース」

リゼ「あっ」

リゼ(ラビットハウスにあの薬忘れた…)

リゼ(まあいいか…明日持って帰れば)

リゼ「…………」

リゼ(…もしかして薬のせいで)

リゼ(いや、まさかな…でも…)

リゼ(惚れ薬なんて…ほん…とにある…わけが……)

そうこう考えていると、本当に…疲れが…溜まっていたようで

わた…しは…眠り…につ…いた……






チノ「…?」

チノ「こんなものウチにありましたっけ?」

チノ(リゼさんの忘れ物…でしょうか)

ココア「チノちゃーん、そろそろ遅いし寝よ?」

チノ「あ、はいそうですね」

チノ「おやすみなさいココアさん」

ココア「おやすみチノちゃん!」

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……………

なあココア

ココア「なあにリゼちゃん?」

私は…

私はココアのことが好きだ

ココア「うん!私もリゼちゃんのこと好きだよ!」

いや…ココアの言ってる意味じゃないんだ

私の好きはその…恋愛感情とかそういう好きで…

だからココア!私と…!

ココア「ごめんリゼちゃん、それ以上はやめて?」

えっ…










ココア「リゼちゃんが私に好意を持ってくれるのは嬉しいよ?」

ココア「でも私、無理だからそういうの」

ココア「私、リゼちゃんとはいままでどおり楽しく、仲良くしていきたいな」

ココア「だからこのことはなかったことにしよ?」

そんな…そんなことできない…

ココア「それにきっと、リゼちゃんのその気持ちは一時の過ちみたいなものじゃないかな?」

ち、違う!私は本当にココアが…!

ココア「…はぁ、もういいよ」

ココア…?

ココア「これっきりにしよ」

ココア「もうリゼちゃんとは縁切るね」

ココア「バイトでは一緒だけど、なるべく私に近づかないでリゼちゃん」

い、嫌だココア!

言うとおりにするから…!

お願いだから私を嫌いにならないでくれ!

ココア「…………」

ココア「気持ち悪い…」

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……………

リゼ「うわあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

リゼ「ハァ…!はぁ…はぁ…ゆ、夢…?」

リゼ「なんて夢だ…」

リゼ「気分が…悪い…」

悪夢に加えて、夏の気候のせいか服が大いに汗ばんでいた

べとべとした感触が実に不快感を与える

リゼ(本当にどうなってしまったんだ私は…)

リゼ「よりによってココアに告白する夢なんて…」

リゼ「しかも最悪な結末じゃないか!」

リゼ「おかしい、絶対おかしくなってる…」

あまりにもひどい夢の衝撃からか、私は一つの深い確信を抱いた

リゼ「これは…あの薬のせいだ…」

リゼ「絶対そうだ…」

リゼ「私はココアを…」

リゼ「好きになってしまったんだな……」

リゼ(薬が原因なら、効果が発動する条件はなんだ…?)

リゼ(昨日はたしか…)


親父から惚れ薬の話を聞いて、どういう訳か貰っちゃって

馬鹿馬鹿しく思いつつも、正直興味はあったからちょっぴり舐めてしまって

で、身支度をしてラビットハウスに向かった…


リゼ(薬を服用して最初に見た人間を好きになる…か?)

リゼ(いやないな、それなら通勤途中で誰かに一目惚れしてるはずだ)

リゼ(即効性もどうなんだ?すぐ効く薬なのかあれは?)

リゼ(…とりあえずココアに惚れたのは事実なんだ、そこから逆算して考えれば…)

効力を発揮したのが、ラビットハウスに入ってからだと仮定する

そこで最初に会ったのは…


チノ『こんにちは、リゼさん』


チノだったな

つまり視界に入った人物を好きになる、ってのはナシか

じゃあ一体なにがきっかけだったんだ…?


リゼ(何があったかよく思いだせ…)

リゼ(ココア関係で変わったこととか…)

リゼ「あっ」


ココア『ふんふーん』

ココア『やっぱりリゼちゃんの手ひんやりしてた!』

リゼ「あれかっ!!!」

リゼ「つまりこうだな…」


あの惚れ薬は、効果が出て最初にふれた人間を好きになる。


リゼ「ということか!!」

リゼ「ていうか私はほんのちょっぴりしか舐めてないんだぞ!効きすぎだろ!!」

リゼ(そのままの量を飲んだら一体どうなっちゃうんだ…)

リゼ(考えたら怖くなってきた…)


…忘れてきたのは非常にマズいんじゃないか?

ココアやチノが間違って飲んでしまったら…

タカヒロさんやティッピーが飲む可能性もなくはない…


リゼ「だ、大丈夫…だよな…?」


その夜、まったく眠れなかったのは言うまでもない

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……………

リゼ「……」

ぼー…

リゼ(どうか何事もありませんように…)

カランカラン


リゼ「こんにちは…」

チノ「ど、どうしたんですかリゼさん?」

チノ「とても顔色が悪いですよ…?」

リゼ「ああ…ちょっと眠れなくてな…」

リゼ「ってそれよりチノ!」

リゼ「私が昨日、ここに置いてったもの知らないか!?」

チノ「え、えと…」

チノ「ああ…多分あれのことですね、今持ってきます」

リゼ「頼む!!」

チノ(す、すごく迫力がありますリゼさん…)

チノ(そんなに大事なものだったんですか…)


チノ「はい、どうぞ」

リゼ「すまないな」



手渡す際、チノの手が私の手とふれあった

リゼ「あ」

寝不足なせいで、ふつう警戒すべきことを怠ってしまったー!!!



リゼ「ああッー!!」

チノ「ひっ」

チノ「リゼさん!?」

チノ(今日のリゼさんおかしいです…!)

リゼ「……ふー…」

リゼ「…なあ、チノ」

チノ「は…はい」

リゼ「これ、えっと一応薬なんだけど…」

リゼ「間違って飲んだりとか…したか?」

チノ「…ごめんなさいリゼさん」

チノ「そんなに大切なものとは知らなかったので…」

リゼ「ま…まさか…」

チノ「色的にめずらしいインスタントコーヒーかと思って…」

チノ「喫茶店の娘として、ちょっと味見をしてしまいました…」

チノ「すごく苦かったです…」

リゼ「匂いで気づかなかったのかっ!!!?」

チノ「す、すいません、その時は朝起きたばかりで寝ぼけてたかもしれません…」


攻め立てるような語気だったため、チノはぶるりと震えた


リゼ「あ、いやすまん…別に責めてるわけじゃないんだ」

リゼ(……どうすればいいんだ)

リゼ(素直に事情を話すべきか…?)

事情が事情だけに私が答えを出しあぐねていると

ココア「大きな声出してどうしたのリゼちゃん!?」

昨日からずっと脳裏に焼きついてる少女が現れた

ココア「ダメだよ怒っちゃ!」

ああ…今日も可愛いなココア…


ココア「チノちゃんだって悪気があったわけじゃないんだよ!」

ココアは純粋さの塊だから悪気なんて一欠片もないんだろうなあ…


ココア「何があったか知らないけど!」

理屈なしに親しい人を信じるところも素敵だ…


ココア「私からも謝るから!」

ココア「ってリゼちゃん?聞いてる?」

リゼ「あ、ああ…聞いてる」

リゼ(やっぱり重症だな…)

リゼ「あー…」

リゼ「さっきはすまなかったな、チノ」

リゼ「ちょっとびっくりしただけで、本当に怒ってるわけじゃないから」

リゼ「だから安心してくれ」

チノ「はい、こちらこそ申し訳ないです…」

ココア「良かったねチノちゃん!」

ココア「なんだかわからないけど無事解決だよ!」


チノ「…リゼさんはやっぱり、優しいですね」


ん?あれ?もしかして…

ああそうか、惚れ薬のせいでチノは私のことを好きになっちゃったのかー


リゼ「ってまずいだろこれは!!?」

ココア「リゼちゃん!?」

チノ「リゼさん!?」

リゼ「うわああっ!!私はどうすればいいんだぁ!!」

ココア「お、落ち着いてリゼちゃん!」

リゼ「これが落ち着いていられ…!?」


ガクッ


リゼ(あ…昨日からずっと悩んでたせいで…)

リゼ(疲れ果てて…たんだった…)


バタッ


ココア「リゼちゃーん!!?」

チノ「リゼさんが倒れました!!」

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……………


リゼ「………ここは…?」

ココア「あっリゼちゃん!」

ココア「目が覚めたんだね!良かった!」

リゼ「そうか…私は倒れて…」

ココア「うん、もうびっくりしたよ~」

ココア「チノちゃんから聞いたけど、眠れなかったんだってね?」

ココア「それに加えてこの熱さじゃダウンしちゃってもしょうがないよね~」

リゼ「ああ…本当に…」

リゼ「……そうだ!店手伝わないと!!」

ココア「ちょっ!?いけないよ!安静にしてなきゃ!」

リゼ「だがこのピークどきに休むわけには…」

ココア「それなら大丈夫だよ!」

ココア「チノちゃんのお父さんが久々に昼の仕事だと張り切ってたから!」


リゼ「そう、か…」

リゼ「ならいいんだが…」

リゼ「迷惑かけてすまないなココア」

リゼ「後でみんなにも謝らないとな…」

ココア「そんなに気に病むことないよリゼちゃん?」

ココア「リゼちゃんは頑張りすぎたんだよ、ゆっくり休まなきゃ!」

リゼ「ココア…」


無意識に私はココアに抱きついていた


リゼ(なっ、なにをしてるんだ私は!?)

リゼ(くっ…あまりの愛しさについ…)

ココア「あらら、今日のリゼちゃんってば甘えんさんだねー?」

リゼ「…ちょっと、いろいろ疲れたから」

リゼ「少しこのまま…いいか?」

ココア「えへへ~いいよ~」

ココア「リゼちゃんが妹になったみたい」

リゼ(妹…妹かあ…)

リゼ(ココアと姉妹になるのもいいが、恋人のほうがいいなあ…)

リゼ(こんなこと考える時点で、もうそういう感情抱くことに抵抗なくなってきてるぞ…)


同じ女の子どうし、なのに


リゼ(しかし、ココアに抱きついてるとすごく居心地がいい…)

リゼ(ずっとこのまま…って我ながら気持ち悪い…)

リゼ(薬のせいだし仕方ないよな…)


そう、私がココアを好きになったのはそのせいなんだ…


リゼ(チノも…私のことを好きになったんだろうか…)

リゼ(もし告白されたら、しっかり断らないとな…)

リゼ(ひどい話だ)

リゼ(不本意に好意抱かせて、その責任者がその好意を裏切るんだから)

リゼ(申し訳がないな…)

リゼ(親父に頼んで、解毒剤を見つけてもらおう…)

リゼ(そしてすべてを話して、誠実に謝ろう)

リゼ(自分からじゃなく、つくられた好意に意味なんて…)


―つくられた好意?

――私のココアに対する想いもそうじゃないか


リゼ「あ……」

ココア「リゼちゃん?」

リゼ「…」

リゼ「…ありがとう、ココア」

リゼ「もう大丈夫だ」

ココア「そう…?」

ココア「なら、いいんだけど…」

リゼ「?どうしたんだ…?」

ココア「えと…」

ココア「リゼちゃん、また落ち込んでるみたいだったから…」

リゼ「そんなことはないさ」

リゼ「私は元気だぞ?」

ココア「ホント?不安なことがあるならいつでも相談していいからね?」

リゼ「……ああ」


リゼ(ココアは本当に人を思いやれる、いいやつだな…)

リゼ(いま胸に湧く気持ちは…もともと私にあったものか?)

リゼ(それとも薬によるものか?)

リゼ(もう、わからない…)

~数日後~

チノ「…リゼさん」

チノ「今日、バイトが終わったら少しお話があるんですが」

チノ「いいですか?」

リゼ「…ああ」

リゼ(ついに…か)


結局この数日間、自分の気持ちに決着がつけられなかった

親父にあの商人のことを聞いたが、一切行方はわからないらしい

ココアのことは好きだ、もう認める

それは間違いないこと

だがそれは…本当に自分で抱いた好意かわからない

もう私はなにがなんだかわからない


リゼ(いっそ、チノとつきあってしまおうか…)

リゼ(責任も取れるし、ココアのことも忘れられるかも…)

ココア「おつかれさま!」

ココア「あれ?チノちゃん?リゼちゃん?」

ココア「どこいったんだろ?」


リゼ「さて、この場所でいいかな」

リゼ「ここなら静かに話ができる」

チノ「ありがとうございます」

チノ「その…話はですね、リゼさん…」

リゼ「いいぞ、落ち着いてゆっくり話してくれよ」

チノ「…はい」


チノは深呼吸をし、私へ視線を合わせて口を開いた


チノ「私は…」

チノ「好きな人がいるんです」

リゼ「そう、なのか…」

チノ「…意外と驚きませんねリゼさん」

チノ「結構、私としては意を決しての表明だったんですが」

リゼ「いや…その、すまんな」

リゼ「正直、そういう類の話かなと思っていたんだ」

チノ「さすがですね…とっくに気づいていましたか」

チノ「では話が早いです」

チノ「私は」


リゼ(ついに来るか…っ!)

リゼ(私も覚悟を決めたぞチノ…)

リゼ(チノ…責任もってお前を幸せに)





チノ「シャロさんのことが好きなんです…」

リゼ「………………………………………………………」

リゼ「…は?」

リゼ「どういうことだ…?」

チノ「…シャロさんにずっと憧れてたんです」

チノ「貧しくても懸命に生きてる彼女のことが、さらに好きになってしまったんです」

チノ「この気持ちに偽りはないです」

チノ「ですから同じ学校に通うリゼさんに相談を…って」

チノ「リゼさん?」

リゼ「…え?…えぇ?」


そういえばこの数日間チノとは…特になにもなかった…

薬を私以上に飲んだはずだから、ものすごい好意を私に抱いてるはずなのに…

チノのことだから恥ずかしがってるだけかと思ったが…


リゼ(じゃあ…)


あの惚れ薬は…ホントにただの偽物だったってことか!?

チノ「………」

チノ「は、ははは…」

チノ「そうですよね…リゼさんがそれほど混乱するのも無理ないです…」

チノ「気持ち悪いですよね…女の人を好きになるなんて」


その言葉が、あの悪夢と重なってつい私は


リゼ「そ、そんなことないっ!!」


大声を


リゼ「私だって…!!」

ココア「あーっ!チノちゃんとリゼちゃんいたー!」


上げてしまったんだ…




リゼ「ココアのことを愛しているんだ!!!」

チノ「え?」

ココア「…へ?」

リゼ「…ああっ!!」

リゼ「こ、ココア…」

ココア「リゼちゃん、今のって…」

リゼ「い、いや今のはな…」


…ここで弱気になってどうするんだ?

ずっとこの気持ちを我慢してきたんだ

ココアへの想いは本物だってわかったのに…

それなのに、ここで逃げちゃもうダメじゃないか!!


リゼ「…チノ」

チノ「は、はいっ」

リゼ「見てろ、私が手本を見せてやる」

チノ「……!!」

リゼ「ココア」

ココア「な、なにリゼちゃん」

リゼ「お前と初めてあった時、まあ最悪な初対面だったな」

ココア「そ、そうだね…いきなり銃向けられちゃった…」

リゼ「でもな、すぐ私はお前の明るさにふれて仲良くなれたよ」

リゼ「私にないものを持ってる、可愛らしいお前のことを羨ましくも思えた」

ココア「うん…」

リゼ「で、一緒に働くようになって」

リゼ「ココアの笑顔を見るたび、この気持ちが大きくなっていって」

リゼ「ココアのことが、好きになっていたよ」

ココア「う、うん…////」


チノ(うわぁ…///)

チノ(相談があるからといって、家におじいちゃん置いてきて良かったです…)

チノ(こんなの…うわぁぁ…////)

リゼ「もうこの夏からずっとココアのことしか考えられなくなってた」

リゼ「そしてこんな私をココアが気持ち悪く思わないか、いつも不安だった」

リゼ「もうその不安に疲れたのかもな」

リゼ「だから、この際ハッキリさせようと思う」

リゼ「私はココアを愛している」


このことがわかったのは…チノのおかげだな

ありがとう、チノ


リゼ「偽りない、本当の気持ちだ」

ココア「…ッ/////」

リゼ「ココアの気持ちも、聞かせてほしい」

リゼ「…ココアがイヤだったら、ラビットハウスをやめようと考えてるんだ」

リゼ「だから安心して答えてくれ、ココア」

ココア「…え」

チノ「リゼさん!?」

リゼ「ココアに迷惑かけたくないんだ」

リゼ「それに私のせいで、ラビットハウスの空気を悪くしちゃチノたちにも申し訳ないしな」

チノ「リゼさん…」

ココア「…」

ココア「…リゼちゃん」

ココア「私ね…」

ココア「えと…この前さ…」

ココア「惚れ薬の話したでしょ…?」

リゼ「?」

リゼ「ああ…」

ココア「私ね、すごくいいなって思ったの」

リゼ「たしか、そんな感じだったな」


ロマンチックだと目を輝かせていた

ココアらしく、女の子らしい反応だったことを憶えている


ココア「好きな人に飲ませたら、私のことを好きになってくれるって」

ココア「とっても素敵だなって」

ココア「多分私はそんなのがあったら」

ココア「リゼちゃんに飲ませてたよ?」

リゼ「……」

リゼ「…?」

リゼ「…………」

リゼ「…あっ/////」


告白で正直、頭が沸騰状態の私はココアの言葉の意味がすぐ理解できなくて

何度も考えてやっと意味がわかった


ココア「リゼちゃんが倒れて、看病したとき」

ココア「リゼちゃんの寝顔見て、すごく…どきどきしてたよ?」

ココア「そしてリゼちゃんが私に抱きついてきたとき」

チノ(そんなことがあったんですね…)

ココア「もう心臓が飛び跳ねてた」

ココア「私も…ずっとリゼちゃんとおんなじ気持ちだったんだよ」

ココア「だから…これからも一緒にいてよ」

ココア「辞めるなんて言わないで…」

リゼ「ココア…」

リゼ「…わ、私と」

リゼ「つきあってくれるか?」

リゼ「これからも私に笑顔を見せてくれるか…?」

ココア「…………」

ココア「…はい!」


チノ(うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!)

チノ(やりました!!)

チノ(やりましたよっ!!!!)

ココア「えへへ…////」

リゼ「こ、ココア…!////」

リゼ「も、もう嬉しすぎてなんと言えばいいか…」

チノ「キスです!!」

リゼ「チノ!?」

チノ「もうこれはキスの流れですよ!!!」

チノ「大丈夫です!今は誰も見てません!!」

リゼ「だ、だが」

チノ「私に見本をみせると啖呵切った以上、ここは行くべきですよ!!!」

ココア「ふふっ、そうだねえ~」

リゼ「おいココアっ」

ココア「…いいよ、リゼちゃん」

リゼ「…なっ////」


目を閉じたココアが、私をじっと待つ

ここは…もう


リゼ「行くしか無いだろっ!」

チノ「そうです!」


そして私はココアの唇にそっとくちづけをしようと顔を近づけ

~後日談~

チノ「ほら、お客さんですよ」

チノ「仕事中にいちゃつくのはそのくらいにしてください」

リゼ「い、いちゃついてなんかいないぞ!」

ココア「リゼちゃんって甘えんぼさんなんだよ、チノちゃん?」

ココア「バイト中でもこっそりハグしてくるんだよ~」

チノ「うわぁ…」

リゼ「ち、ちがっ」

リゼ「だって仕方ないだろっ!」

リゼ「無性にココアに抱きつきたくなるんだからっ!」

ココア「そういうところ、可愛いと思うよリゼちゃん」

リゼ「…うっ///」

リゼ「こ、ココアのほうが可愛いよ…」

ココア「…はう////」


チノ(最初は興奮こそしましたが…)

チノ(なんども見てると胸焼けしてくるやりとりです…)

チノ「はぁ…」

チノ(私もシャロさんといつかこういうふうに…)


………………………………………………………………

……………………………

……………


チノ「あれ?」

チノ「それはなんですかお父さん」

チノ(なんだかどこかで見覚えがあるような…)

タカヒロ「ああ、これね…」

タカヒロ「昨日バーをやってたら、閉店間近にしつこく怪しい商人に営業されてね…」

タカヒロ「鬱陶しいから、そんなに高くもないし買って去ってもらったよ」

チノ「へぇ…」




――――――シャロ「チノちゃんなにそれ?」チノ「惚れ薬らしいです」


おしまい!

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