P「伊織とあずささんと、また旅行に行ってみた」 (25)


P「旅は良い……俺は船の旅が好きだ。ゆっくりと舷窓を流れてゆく景色が好きなんだ」

伊織「ねえ」

P「海に浮かぶ島々、空を飛んでゆく海鳥たち。それらがゆっくりと、潮風と共に流れてゆく」

伊織「ねえ」

P「ゆっくりと波に揺られる船は、こうして俺をまだ知らぬ街へと連れてゆく」

あずさ「綺麗ですねぇ」

伊織「また悦に入ってるところ申し訳ないんだけどね、ちょっと良いかしら?ほんの些細なことなんだけれど」


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P「伊織とあずささんと旅行に行くだけのお話」
P「伊織とあずささんと旅行に行くだけのお話」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1431104525/)

の続編です

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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1437917054

P「んー。どうした伊織。船は嫌いか?隣にはあずささん、そして伊織。舷窓の外には輝く海が――」

伊織「だから!そんなこと聞いてんじゃないのよ!私が!今!あんたに聞きたいのは、どうして今フェリーなんかに乗ってるのかって事!」

P「伊勢湾フェリー、鳥羽丸だな」

あずさ「今回は奮発して特別室ですよ~」

伊織「だから!この船でどこに行こうってのよ!」

P「今回は、伊勢神宮を見に行こうかと」

伊織「で、なんで私がカメラマンなのよ」

P「いや、やけにディレクターがお前のカメラワークを気に入ってな」

伊織「仮にもアイドルに負けるカメラワークって、あんた何してんの」

P「大丈夫。放映時には俺の顔は隠れるようにしてあるから」

伊織「私の顔は?!」

P「其の可愛らしい声はちゃんと入ってるゾ☆」

伊織「海に叩き込むわよ」

あずさ「こーら、伊織ちゃん。他のお客さんもいらっしゃるんだから、大きい声出しちゃダメでしょ~」

伊織「っ……で、なんで急に伊勢神宮なのよ」

P「伊勢うどんが食いたくなってな」

伊織「……」

あずさ「あらー」

伊織「……あんた、本当にそれだけ?」

P「それだけだが何か?」

伊織「やっぱり伊勢湾の魚の餌になりなさい!」

P「あだだだだ!そこ引っ張っちゃらめぇっ!」

あずさ「あらあら」

鳥羽フェリーのりば

伊織「……本当についちゃったのね」

あずさ「そういえば、鳥羽って言うと真珠が有名ですね」

P「ミキモト真珠の真珠島ですね。世界ではじめて真珠貝の養殖に成功したっていう」

伊織「真珠ねぇ。私はあんまり付けないけれど、あずさは似合うんじゃない?」

あずさ「そうかしら~」

P「後で見てみますか」

伊織「ねえ、ところで私がカメラってのは、もう確定事項なのね」

P「えっ」

伊織「その、『何今更言い出すの?』っていう意外そうな顔をするのやめてもらえるかしら?」

伊勢神宮外宮

P「で、ここが外宮だ」

伊織「外宮?」

あずさ「伊勢神宮には、外宮と内宮があるのよ~」

伊織「へぇ。さすがは神社の総本山ね」

P「よし、それじゃお参りするか」

本殿前

あずさ「えーと、何でしたっけ、三三七拍子?」

P「それじゃ応援団じゃないですか。三三九度ですよ」

伊織「それは神前式でしょうが。結婚でもすんの?」

P「あ、ああ、いやだなぁ、伊織、そんな、結婚だなんて」

あずさ「そ、そうですよ~。も、もっとこう、段階を踏んで」

伊織「何早とちりしてんのよ。二礼二拍一礼でしょう!」

P「おお、伊織は賢いなぁ」

伊織「バカにしてんの?!」

P「冗談冗談。さて、それでは……」

あずさ「……」

P「……」

伊織「……地味な絵ねぇ」

県道32号線

伊織「で、次が内宮?」

P「ああ。内宮の周りは、おかげ横丁っていう、いろんな店が並んでるんだ。そこも見てくのがお伊勢参りだな」

あずさ「そういえば、さっきから電柱に赤福って文字が見えますけれど」

伊織「あずさ、あんた知らないの?赤福ってのはね、あんこの中に餅が入ってる常軌を逸した食べ物よ……ほら、これ、この写真の」

あずさ「……あんこじゃないんですか?」

P「上から見ると、あんこの塊だもんなぁ」

伊織「……しつこいくらいに看板出てるわね」

P「あーかふくっ!あーかふくってな」

伊織「どこぞの番組の見過ぎよ」

P「なんで伊織しってるんだ?」

伊織「律子と小鳥が見てるらしくて、よく聞こえてくるのよ」

P「ああ、あの二人もか」

あずさ「あの、どういう」

P「まあ、他局の番組なんでね」

伊織「そんな際どいネタ使えないわよ。カットよカット」

駐車場

伊織「えー、歩くのぉ?」

あずさ「駐車場、いっぱいですねぇ」

P「さすがは日曜日。人も多いなぁ」

伊織「ま、どうせおかげ横丁も見るから良いのかしらね」

P「だな。さて、それじゃああずささん、はぐれないようにしてください」

あずさ「はーい」

伊織「……私に連れて行け、と」

P「頼むぞ、伊織」

伊織「カメラも持ってるんだけれど」

あずさ「伊織ちゃんの手、小さいわねぇ」

伊織「……」

P「おお、照れとる」

伊織「う、うるさい!」

おかげ横丁

伊織「すごいわねぇ。道路の両側、全部お店」

あずさ「串焼きも美味しそうですねぇ。松阪牛ですって」

P「酒もあるな。帰りに土産で買ってくか」

伊織「伊勢うどんの店も見当つけといてよね」

P「おう」

伊勢神宮
宇治橋前

P「ここが宇治橋。五十鈴川だな」

伊織「なんか、朝早くにテレビで見たような光景ね」

あずさ「早朝ロケとかの時に見るわねぇ」

P「あれだなぁ。さすがは伊勢神宮レベルになると、都内の神社と広さが違うなぁ」

伊織「そうねぇ。森に囲まれてるもの」

あずさ「なんだか、迷子になったら抜け出せないんじゃ」

伊織「怖いこと言わないでよね」

P「ありうるかもしれん」

伊織「深刻そうなをして言わないでよ」

手水舎

あずさ「お手てを綺麗に洗いましょ~」

P「ほら、伊織、俺が持っといてやるから洗え」

伊織「はいはい…………はい、終わり」

P「ほい」

伊織「ありがと……ナチュラルに渡してるけどね、あんたがずっと持っておくって言う選択肢はないの?」

P「え?」

伊織「だからその「何いってんの?」っていう意外そうな顔をやめてもらえる?」

参道

伊織「……結構歩くのね」

あずさ「広いです~」

P「さすがに規模が違うなぁ。驚いた」

あずさ「すごく大きな木ですねぇ」

P「……1000年ぶりかな」

伊織「あんたは何者なのよ」

P「冗談はさておき。樹齢1000年を超えるような木がゴロゴロしてるなぁ」

あずさ「神話に出てくるところですものねぇ」

伊織「いいの?こんなところでバラエティ番組の撮影なんて……ぱっと見は、ホームビデオ以下だけれども」

P「大丈夫、許可はもらってる」

伊織「許可出てるとはいえねぇ……」

本殿前

伊織「長いわねぇこの階段」

あずさ「はぁ……はぁ……も、もう少しですね」

P「よぉし頂上!」

伊織「……さすがに神妙になるわね」

P「じゃあ、また参拝しますか」

あずさ「……」

P「……」

伊織「……やっぱり地味ね」

宇治橋

P「さ、というわけで、これで伊勢神宮参拝も道半ばとなりまして」

伊織「まだ半ばだったの?!」

P「まだ伊勢うどんと赤福食ってないし」

伊織「それはどうあっても食べるわけね」

あずさ「でも、プロデューサーさん、もう夕方ですけれど、今から東京まで帰るのは大変じゃないですか?」

P「大丈夫!今度はちゃんと宿をとってありますから」

伊織「それが普通だってのに……」


伊勢うどんのお店

P「んまい」ズゾゾッ

あずさ「これが伊勢うどんって言うんですねぇ……ん、おいし」

伊織「こういうのもなかなか良いじゃない」

P「おみやげに買って帰ろう」

赤福本店

P「さあさあ、デザートと行きましょうか」

伊織「……いつ見ても、アンコよね、これ」

あずさ「これが赤福って言うんですねぇ」

P「……甘い!」

あずさ「これは……すごいです~」

伊織「甘いわねぇ。甘いわぁ……春香が前作ってきたメープルシロップ5割増しなクッキー並みに甘い

あずさ「何かあったの?」

伊織「あの子ね、お菓子作りしてくるじゃない?そしたら『メープルシロップの賞味期限が近いから、今日はメープルシロップ祭りですー!』とかやよいのモノマネして言ってね。もうそれが甘いのなんのって」

あずさ「あらあら」

P「基本旨いんだけどなぁ」

伊織「それにしてもあんたいくつ食べるつもり?」

あずさ「太りますよ?」

P「美味しいなら大丈夫だって346プロの子が言ってたから大丈夫だよ」

伊織「誰よ!」


本日の宿

伊織「はい、それじゃあこれが私とあずさの部屋ね……あっ」

あずさ「あっ」

伊織「……私、ホテルの部屋ツインだって聞いてたんだけれど」

あずさ「ですよねぇ?」

伊織「このベッド、どう見える?」

あずさ「ダブルベットですね」

伊織「……ま、お風呂は温泉があるって言ってたから、あいつにしては及第点ね」

あずさ「プロデューサーさん、一人で寂しくないかしら」

伊織「ほっときゃ良いのよ。大体一人一部屋取りなさいって……さ、あずさ、温泉行きましょ。もうクタクタよ……」


温泉(ここからは音声のみでお楽しみください)


あずさ『ねえ伊織ちゃん。最近背が伸びた?』

伊織『まあね。あずさほどじゃないけど』

あずさ『私も大変なのよ。服とか、可愛いの探すの結構大変で』

伊織『ふーん。スタイルがいいならいいで大変なのねぇ』

あずさ『伊織ちゃんも、スレンダーで可愛いわぁ』

伊織『う、うるさいわね!』

あずさ『いーおーりーちゃーん』

伊織『こ、こらあずさ!どこ触ってんのよ!』

あずさ『ほらほら、こちょこちょこちょ』

伊織『や、やめなさいってんにゃ-!』

翌朝

伊織「プロデューサーが予備のバッテリー充電忘れてたから、夜の映像はありません」

あずさ「あらあら」

P「いやぁ、ホントすんません。でもあのあとすぐ寝たんだろう?」

伊織「バタンキューね」

P「バタンキューって古いなぁ」

伊織「あ、でもあずさがホテル内で迷子になって、それを探しにいった時とか。回しといたらいい絵がとれたんじゃない?」

あずさ「もう、伊織ちゃん!」

伊織「はいはい。で、今日はどこ行くつもりなの?」

P「夫婦岩ってしってるか?」

あずさ「ああ、あの岩と岩の間にしめ縄渡してあるところですね」

P「そうそう。開運招福、家内安全、交通安全。帰りに夜にはぴったりじゃないか」

伊織「よしっ。それじゃ行くわよ」

あずさ「……ねえ伊織ちゃん。だんだんカメラ持つのに抵抗なくなってない?」

伊織「……まあね」

二見興玉神社

あずさ「あれが夫婦岩ですね」

P「ですね。周りはご夫婦連れでいっぱいです」

伊織「やっぱり願掛けみたいなもんなのかしらねぇ……ところで、なんでここ、こんなにカエルが居るのよ?」

あずさ「狛蛙?」

伊織「狛犬みたいに言わないでよ」

P「なんでも、ここを参拝した方が、ご利益があったからと奉納したとか。猿田彦大神の使いがカエルってのも関連してるらしいな」

あずさ「かわいいわねぇ。そうだ、カエルだから、交通安全もご利益なんでしょうか?無事かえる、なんちゃって」

伊織「カワイイ」

あずさ「えっ?」

伊織「なんでもないわよ」

P「さて、じゃあここもご参拝と行きますか」

あずさ「……」

P「……」

伊織「やっぱり絵が地味ねぇ……」

国道42号線

伊織「ねえ、プロデューサー」

P「何だ?」

伊織「今調べたんだけどね、二見輿玉神社、本当は伊勢神宮行く前に寄って、そこで禊をしてから行くのが正式らしいけど」

P「そうなのか?」

伊織「あと一歩が甘いわねぇ……ま、今回も結構楽しかったわよ」

あずさ「また行きたいですねぇ」

伊織「次こそはちゃんとカメラマン手配しときなさいよ」

P「それは局次第、かなぁ。視聴率とか」

伊織「またそういうカットされるようなこと言って」

P「ははは!大体こういうところが使われるんだぞ!」

伊織「じゃあ尚更言うんじゃないわよ!」

あずさ「今度はどこですかねぇ」

P「そうですねぇ、多分今度は、東日本じゃないですかねぇ」

伊織「なんか大体読めたんだけど」

P「お」

伊織「……まあ、いいわ。そのときまでお楽しみってことにしておきましょう。それじゃあ、伊織ちゃんとあずさと愉快な仲間たちが行くミステリーツアー、今日はこの辺りで」

あずさ「ばいばーい!」

P「え、俺ユカイな仲間なの」

伊織「あんたは前向いて運転する!」

P「はーい」







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