なろうで書いてたやつだけど内容が糞だったからこっちで晒す (33)

なろうの執筆中小説でしたが内容がSS以下なのでこっちに捨てます
文体と固有名詞がなろう仕様なのでご了承下さい

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1437815178

 高校の授業を終え、帰路に着く。

 正門を出て、幹線道路を左へ進む。車が何台も通り過ぎていく。その横の歩道をひたすら歩く。
 5分くらい歩くと、信号がある。右折。すると雰囲気はがらっと変わって、閑静な住宅街になる。
 歩道の無い両側1車線の道路を、3分ほど歩くと家に着く……はずだったのだが、それは叶わなかった。

 突然、両足が動かなくなったのだ。

「!!」

 腕は動く。首も動く。足だけが、金縛りに掛かったように動かない。

 なんで!?なんで動かないの!?

 大声で助けを求めようとするが、口をぱくぱくさせるだけで声が出ない。
 一体何が起こっているの?

<星野弥生様。あなたを、異世界へご招待致します>

 脳内に声が響くと同時、地面に魔法陣が生まれた。

 足が動かない私は、逃げ出すこともできず、光の塊となって魔法陣に吸い込まれていく。

 気が付くとそこは、深い森の中だった。
 土の地面に、背の高い木々が生い茂り、空はほとんど見えない。周りに人の姿は無い。
 足を動かしてみる……動かせる。金縛りが解除されている。
 一体あれは何だったのだろう。

 その前に、ここはどこ?
 確か私は、住宅街のど真ん中、コンクリートの道路を歩いていたはずだけど。周りを見回しても、コンクリートは見当たらない。

 私が戸惑っていると、前方の地面に、金色に光る魔法陣が現れた。
 そこから光の筋が、幾重にも伸びる。光の筋は徐々に増え、1つに合わさって、人間のシルエットになった。
 光が消えると、そこには白いドレスを纏った、金髪の女性が立っていた。

 もう、何が何だかわかりません!

<初めまして、星野弥生様。世界を統べる女神、セシリアと申します>

 現れた女性は、セシリアと名乗った。世界を統べる女神とか、ちょっと痛いことを言ってるけど、さっきの光景を思い出したら……
 っていうか、浮いてる!?セシリアさん、宙に浮いてるんですけど!?
<女神の能力を使えば、宙に浮くことなど容易いことです>
 心を読まれた!?この女性、何者!?
<言ったでしょう、私は世界を統べる者。この世界を含め、あらゆる世界のあらゆる事象を管理する者です。その事象に干渉できるのは当然でしょう>
 話に全く付いていけないのは、私だけじゃないはず。

<一旦落ち着きましょう>
 セシリア様は空中を飛んで、私の目の前に移動。右手を私の額に当てる。
 すると手先から金色の光が私の体に流れ込み……そのまま意識を失った。

 目を覚ますと、セシリア様が私の顔を覗き込んでいた。
<落ち着きましたか?>
 まあ、落ち着いたんじゃないかな。数瞬眠ってただけなんだけど。
<人間と言うのは、数瞬眠らせると落ち着く生き物なのですよ>
 そうなんですか。ていうか、そろそろ本題お願い。
<かしこまりました。では、腰を下ろしてください>
 言われるがままに腰を下ろす。体育座りかと思ったら、途中で見えない何かにぶつかった。そこに腰掛ける。
 セシリア様も空中を飛んで、私の隣に移動。同じように空中に腰掛けた。

<まず初めに、弥生様をここに連れてきたのは私です。あなたの世界に干渉し、弥生様の存在をこの世界に転移しました>
 うん。なんとなく分かってた。
 何で転移させたの?理由が聞きたいな。
<この世界は、混沌状態に陥っています。様々な事象が交錯し、本来存在しない事象が発生してしまったのです>
 なるほど。よく分かんないけど、ちょっとだけ分かった。
 要するに、その混沌とした状態を直して、元の世界に戻せばいいんだね?
<いいえ。ここまで混沌としてしまっては、元の姿に戻すのは不可能です>
 え?元に戻せないの?
 じゃあどうすれば……。

<この世界は、消滅させなければなりません>

 そっか、世界消滅か……。
 ちょっと寂しいな、どんな世界か分かんないけど。
<この宇宙には、数多くの世界があり、日々発生と消滅を繰り返しています。
 その中の1つの世界を消すだけですから、大した問題ではありません>
 そうなんだ。
 でもさ、その世界の発生と消滅って、セシリア様が管理してるんじゃないの?
<自然に発生したり消滅したりするのは天界で管理できますが、人為的に消滅させるためには、世界に降りなければなりません>
 今降りてるじゃん。
<私が特定の世界の中で力を使うには、制限があるのです>
 制限?どんな?
<その世界に存在する生物と契約しなければ、十分な力が使えないのです。今こうしてあなたと会話するのが精一杯です>
 なるほどね。だから私に取り憑いて……じゃなくて契約して、力を使えるようになろうっていうね。
 でも、なんで私なの?

<宮殿や女王というものに著しい興味を持っていらっしゃいましたので>
 確かに私は、宮殿物のファンタジーが大好きだ。
 でもこの世界には、宮殿も女王様もいないみたいだけど……。
<この近くにはいませんが、王都に行けば女王に会えます>
 うん。宮殿の件は分かった。
 でもなんか嫌だな、世界を1つ消すって。

<もし世界を消滅させて頂けたら、あなたは元の世界にお帰し致します。もしお断りになるようでしたら、天界に戻って、あらゆる世界から弥生様の存在を消去致します>

 断ったら消される。拒否権無いじゃん……。
 仕方ない。セシリア様のお願い、受けますよ。
<ありがとうございます。それではさっそく、契約させて頂きます>

 セシリア様が、私と握手を求めてくる。なんとなく握り返す。
 私たちの体が、金色の光に包まれた。

<弥生様、聞こえますか?>
 脳内に声が響く。
 聞こえるよ、セシリア様。契約は成功したの?
<成功でございます。これで私も、天界にいる時と同じ力が使えるようになりました>
 へー。どんな力が使えるの?ちょっと見せてくれない?
<かしこまりました>

 すると、私の体が光り出した。右手に持っていた通学鞄も一緒に。
 セシリア様、助けて!何が起こっているの?

<終わりました。弥生様、ご自分の体をご覧ください>
 セシリア様の言う通り、自分の体を眺めてみる。
 まず、服が変わっていた。確か制服の濃紺ブレザーとスカートを身に付けていたはずなのに、今の私が来ていたのは綺麗なライトグリーンのロングドレス。
 髪の毛は黒髪ショートだったのに、肩の前に垂れている髪は金色だった。
 それに、いつの間にか付いているネックレスと長い手袋。代わりに消えた鞄。

<王女のドレスに憧れていたようなので、服装を変えてみました>
 ありがとう、セシリア様。
 でも、この服装じゃ歩きづらいよね?今気付いたけど靴もハイヒールになってるし。
<大丈夫です>

 セシリア様の右手と、私の左手が繋がれる。
 次の瞬間、2人の体が空中に浮かび上がった。
<空も飛べますし、瞬間移動もできますから>
 わあ……なんかすごい。本当に女神様なんだ!
<弥生様と一緒にいる限りは、何でもできると思って頂いて構いません>

 そのまま私たちは、木々の上まで浮かび上がった。
 この森、意外と広い。遠くの方にうっすらと、町が見える程度。

<弥生様、見えますか?あれがこの国の王都です>
 うん、見えたよ。意外と遠いんだね。
<この世界は全域が1つの国で成り立っていて、広さはあなたの国で言うと、中国と同じくらいです>

 うわ、予想以上だった。なんとなく関東地方くらいかなって想像してた。

 ところで、前方からなんか竜みたいのが近付いてくるんだけど、あれ、襲ってこない?
<襲ってきますね。ですが、女神の力を使えば問題ありません。せっかくですからお見せしましょう>

 セシリア様が、森の中に降りた。続いて私も降りる。相変わらず鬱蒼と木々が繁っている。
 白い手袋をはめた右手を天に掲げ、指を鳴らす。

 半径10メートルの範囲にある木々が、一瞬で光の塵に変わり、消えた。

 すごい!今のどうやったの?
<女神の力です。あなたの世界の言葉で、魔法と呼んで頂いても構いません>
 魔法か……。実を言うと私は、宮殿だけじゃなくて魔法にも憧れてた。特に指を鳴らしたりする無詠唱系に憧れてたりする。

 ところで、セシリア様。大事なこと忘れてたんだけど。
<何でしょうか?>
 世界を消滅させるって、具体的にどうやればいいの?いまいちよく分かんないんだけど

<それでしたら簡単です。この世界に存在するすべての人間を殺せば、世界は消滅します>

 なるほどね。すっごい簡単だった。
 っていうか、女神様の力なら一瞬で終わりそうな気がするけど……まあいいや。

 とりあえず、この森から行こうか。

 右腕を天に突き出す。
 広大な森が、一瞬で炎に包まれた。

 隣でセシリア様が、唖然としていた。
<弥生様……さすがに私でも、ここまではできませんよ>
 え?女神様なら何でもできるんじゃないの?
<能力的には可能ですが、もっと穏便に済ませたいのです>
 そっか。でも最終的には消えるんだから一緒だよね?思念が残るわけでもないし。
<それはそうですが……>
 あと、早く帰りたいし。友達とチャットしたいし。
<そういうことですか……分かりました>

 炎が消えた。
 広大な森があったところは、広大な砂漠になっていた。

<弥生様、これからどうなさいますか?>
 そうだね……とりあえず王都に行ってみようかな。王様とか操ってみたいし。

<一つ気になったのですが、弥生様はサドなのですか?>
 え?どういうこと?なんで私がサドなの?
<先ほどの竜ですが、一瞬で消そうと思えば消せるものを、あえて時間を掛けて消していらっしゃいました。そもそも世界を消滅させるのも一瞬でできるのですが、国王を操るなどという面倒なことを……>
 うん、確かに女神様の力を使えば、この世界は一瞬で消せる。でもなんで面倒くさいことをするのかって言われれば……楽しいから。他に理由は無い。
<ほら、サドではないですか>
 本当だ。私、サドだったんだ。

 まあいいや。とりあえず、王都に行こう。
 指を鳴らすと、視界が光に包まれた。

 光が消えると、目の前に宮殿の外壁と、入り口らしき扉が見えた。その手前には、巨大な堀がある。橋はないようだ。

 門があるということは、門番の兵士がいるということだ。突然現れた私に驚いていたけど、すぐに我に返り、剣を向ける。
 慌てず騒がず、女神の力を使う。一瞬で剣が灰に変わった。
 何が起こったのか分からず、手元を呆然と見つめる兵士。そのうちの1人に近付いて、額に指を当てる。兵士の体が灰に変わる。
 もう1人の兵士が、走って逃げ出した。その体に金縛りを掛ける。動けなくなった兵士の前に、瞬間移動で回り込む。真っ青になった兵士を女神の力で灰に変えた。

<弥生様……もう何と申し上げれば良いのか……>
 そういえば、セシリア様の姿が見えない。どこにいるの?
<王都では私の姿は目立ってしまいますので、姿を消して透明になりました。見えないと思いますが、あなたの隣にいます>
 確かに、右隣にセシリア様の存在を感じる。どうやって感じているのかは分からないけど。

 女神の力で、扉の方に飛んでいく。手を触れずに扉を開け……やっぱりやめた。閉じたままの扉に近付く。そして、扉をすり抜けて、宮殿の中に入った。

 扉をすり抜けると、そこには広大な庭園が広がっていた。正面には巨大なお城。その手前には再び大きな堀。中央の玄関の前には、やっぱり橋はない。

 感慨にふけっていると、左右から大きな声が聞こえてきた。

「何者だ!」

 女神の力で、目を向けることなく周りの状況を確認。
 何か兵士みたいな人が、1000人くらいこっちを見ている。近衛隊かな?

<弥生様、あれはこの国の軍隊です。剣と弓矢を使って戦っています>
 へー。ありがと。
 ここって、魔法の世界か何かだと思ってたけど、剣と弓矢ってことは違うんだね。
<この世界には、魔法は存在しません。特別な力が使えるのは、私と弥生様だけです>
 そっか。じゃああんなの楽勝じゃん。
<楽勝……なのですか?仮にも一国の軍隊ですよ?>
 楽勝だよ。まあ見てて。

「打て!」
 その号令と同時、四方から大量の矢が飛んできた。普通なら絶対避けられない。
 でも私は違う。女神の力が使えるから。

「消えなさい」
 私の体の周囲1mに、円形の結界が張られた。
 そこに当たった矢は、光の粒子に変わって消える。

 どこかに隠れているのか、姿は見えないけど、動揺する兵士たち。
 もう一押しかな。

 前方の地面に、金色の魔法陣を生み出す。
 そこから光を伸ばして、人の形を作らせる。

 現れたのは、近衛隊を取り仕切る、シャーロット女王。

「ここは……どこですか?あなたは、誰ですか?」

 何が起きたか分からない様子。

「ここは、宮殿の庭よ。そして」
 シャーロット様が首に掛けている、王族の証のペンダント。
 それを光に変えて、私の首に飛ばす。そして再び、ペンダントの形を取った。

「私はこの国の女王、星野弥生」

 そう宣言した瞬間、世界が変わった。
 全国民の意識を女神の力で操作し、女王は弥生であると思い込ませた。
 当然、ここにいる近衛隊のみんなの意識も操作した。

「この者を殺しなさい!」
 シャーロットが号令を掛ける。でも、誰も矢を向けない。だって近衛隊のトップは、私だから。
「なぜ打たないのですか!殺せと言っているでしょう!」
 そう騒いでいるシャーロットを前に、一言。

「近衛隊のみんな、この人を殺して」

 一斉に矢が飛んだ。
 私ではなく、シャーロットに向けて。

「あなた……たち……私……を……裏切っ……」
 最後まで状況が飲み込めなかったシャーロットは、静かに倒れた。
 そして、女神の力で灰に変えた。

 近衛隊を灰に変えるのは、もうちょっと先でいいかな。

 空中を飛んで、宮殿の屋上に着地。
 女神の力で建物の中を透視する。この下は、女王の執務室。少し前まではシャーロットの部屋だったけど、今は私の部屋だ。
 部屋の中には、侍女らしき人が2人いる。ストレス発散にはちょうどいいかな。

 ところで、セシリア様、ついてきてる?
<弥生様の動きがあまりに激しすぎるので、上空から眺めることに致しました>
 上空にいるんだね。建物の中も見えるの?
<女神の力を使えば可能です>
 了解。それじゃ、私は行くね。
 屋根をすり抜けて、執務室へ降りる。

 大きな木の机、窓側に椅子。後ろには大きな窓。カーテンは閉じている。
 そして、出入口に近い方に、2人の侍女が立っていた。

 机の前の広い空間に、ふわりと降り立った……いや正確には降り立っていない。床から30センチくらいの高さに浮いている。
 天井をすり抜けて突然現れた私に、慌てふためく2人の侍女。出口のほうへ駆け出していく。
 その出口には、女神の力で結界を張ってある。侍女は見えない壁にぶつかり、逃げられない。

「あなたたちは私の侍女なのよ。逃げたら駄目じゃない」
 そう告げると同時、女神の力で侍女の1人、アリスを空中に浮かせる。そのまま私の元へ引き寄せた。
 じたばたど手足を動かすアリスの首筋に、右手を当てる。魔法の炎が生まれ、アリスを襲った。
 しばらくもがいていたアリスだったけど、そのうち動かなくなった。炎を消して、残った骨を灰に変える。

「次はあなたの番よ」
 もう1人の侍女、ソフィアに向き直り、手のひらを向ける。ソフィアの体が空中に浮き、壁に張り付いた。
 そして足先から順に、黒い液体に変わっていく。
 30秒ほど経つと、全身が黒い液体に変わった。床に広がる液体が、悪臭を放っている。
 このままじゃ、部屋全体に変な臭いが染みついちゃうよね、
 指を鳴らして、液体を消した。

 ソフィアの姿を消してからしばらくして、部屋の扉が叩かれた。

「女王様、女王様」
 この声は、この国の第一王女、キャサリン。女神の力で知った。手を触れずに扉を開け、同時に結界を解く。
「女王様、この部屋にアリスとソフィアがいませんでしたか?」
 少し声を荒げている。
「アリスとソフィアなら、私が消したわ」
「消した……とは?」
「文字通りの意味よ。彼女たちはこの世界にはいないわ」

 いまいち理解できない様子のキャサリン。
 それはそうだよね。魔法も何もない世界で、人間を消したって言われても。
 よし、キャサリンに理解させてあげよう。

 手始めに、腰に差している剣を、灰に変える。

 驚いて腰の周りを手で探るキャサリン。どこかに落としたと思ったのかな?
 でもね、女神の力はそんなもんじゃないよ。

 キャサリンの体を空中に浮かせ、壁に叩きつける。
 そして、光の槍が生まれ、彼女を襲った。
 まあ光だから被害は特にないんだけど、インパクトは絶大だった。

 完全に青ざめているキャサリンに、ゆっくりと近付く。
 そして、額に指を当てて。

「キャサリン。私に従順になりなさい」
 女神の力で洗脳する。
「かしこまりました、女王様」
 洗脳成功。これでキャサリンは、私の下僕だね。

<弥生様、少し汚いです……あちらの世界でもそのようなことを?>
 やってないよ。できなかったからこそ、こっちでやってるの。気持ちいいよ!

 外が暗くなってきた。
 いや、私が暗くしたんだ。時間を操って、夜に変えた。

 今日はこのくらいにしよう。
 寝室に瞬間移動。女神の力で着ている服をネグリジェに変え、ベッドに潜る。

 翌朝。
 小鳥の鳴き声で目を覚ました私は、ベッドから出て、衣服を昨日のドレス(名前分かんないけど)に変えた。
 今日もいっちょ頑張りますか!

<この調子ですと、おそらく今日中には終わると思います>
 あ、セシリア様、おはよう。よく寝れた?
<私は女神ですから、寝る必要がないのです>
 そうなんだ。ベッド気持ちいいよ。今度寝てみる?
<そう言われましても……私は実体を持たないので>
 そっか。ごめんね、変なこと言っちゃって。

 女神の力で、大広間に瞬間移動する。
「お待ちしておりました、女王様」
 昨日洗脳したキャサリンが、大広間に立っていた。
 洗脳の効果で、瞬間移動で現れても驚かない。

「おはよう、キャサリン。早速だけど、宮殿にいる者たちをここに集めて頂戴」
「かしこまりました」
 どんな命令でも、洗脳の効果で絶対に逆らえない。
 キャサリンは、すぐに大広間を出ていった。

 10分くらいして、キャサリンが戻ってきた。
 宮殿中の者って言えば、従者とか料理人とかを想像してたんだけど、そっか王女もいるのか。
 キャサリンは第一王女。ということは第二王女もいる。その名はミシェル。

「あの……女王様……これから何を……」
「ちょっと黙っててくれる?」
 ミシェルが口をぱくぱくさせている。女神の力で声を奪った。彼女はこれから一生、声を出せない。
 まあ今日中には消すから関係ないけど。

 王女以外に集まったのは、諸々合わせて5000人くらい。全員まとめて、今から消す。

 女神の力で、空中に浮き上がる。
 それだけで、5000人の従者たちに悲鳴が上がった。
 少しずつ後ずさる従者たち。数人が、出口の方に走り出した。
 その出口の扉を、石の壁に変える。これで彼らは、ここから出られない。

「女王様……あなたは……一体……何を……」
 ミシェルが聞いてくる。何をしたのかって?ただ女神の力を使っただけだよ。

 ここに来て何度目か分からないけど、指を鳴らす。
 次の瞬間、5000人の体が灰に変わった。

「何をしたのですか……なぜキャサリン様は平気なのですか……」
 そりゃあ、キャサリンは洗脳掛けてるからね。折角だから洗脳解いてみようか。

 キャサリンに近付き、額に指先を当てる。
 数瞬遅れて、キャサリンの悲鳴が聞こえてきた。

 さて、そろそろ最後の仕上げかな。

「この国の全ての者に告ぐ。今すぐ自殺せよ」

<弥生様、さすがにそれは怖すぎます!>
 セシリア様が横槍を入れてきた。いいじゃん別に。最終的には世界ごと消えるんだし。
<それはそうですが……しかし……さすがにこれは……>
 そっか。セシリア様は穏便に済ませたい派なんだよね。ごめんね、サドで。
<……>
 黙っちゃった。

 視線を前に戻すと、キャサリンとミシェルが、胸に剣を刺して倒れていた。

 これで、この世界の人間を、全員まとめて消すことに成功した。
 あとは世界の崩壊を待つのみ。

<弥生様、大変申し上げ辛いのですが……>
 どしたの、セシリア様?何かとんでもないことに気付いちゃったみたいな雰囲気だけど……

<弥生様が残っていらっしゃいます……>

 へ?

<ですから、この世界の人間には、弥生様も含まれるということです>

 ああ、確かにそうだね。
 でもどうしたらいいの?自分で自分を消すっていうのも、なんかちょっと違う気がするし。

<私が、弥生様を消します>

 その声と同時、天井から光の槍が降ってきた。

 気が付くと私は、真っ白な空間にいた。
 えっと確か、宮殿の大広間でキャサリン達を消して、全部終わったって思ってたら、私が消えないといけないってことが分かって。
 どうしようかって思ってたら、光の槍が降ってきて。
 多分直撃したと思う。そこから先は記憶がない。

<弥生様、弥生様>
 誰かに肩を叩かれた。振り返ると、1日振りに見るセシリア様の姿。

 えっと……ここは、どこ?
<天界です。あなたが消滅すると同時に、私がここに移動させました>
 消滅すると同時って、セシリア様が消滅させたんじゃないの?他人事みたいな言い方だけど。
<細かいことはいいでしょう。とりあえず、あの世界は消滅しました>
 よかったね。楽しませてくれて、ありがとう。
<本当に楽しんでいらっしゃいましたね……あちらの世界にいたときよりも生き生きしていらっしゃいました>
 そんなに生き生きしてたんだ……。

 あ、そうだ。大事なこと忘れてた。
 私は、元の世界に帰れるの?
<それについては大丈夫です。私が責任を持ってお帰しします>
 ありがと。元の世界では1年経ってたとか、そういうのなしだよ?
<転移した時と同じ時間、同じ場所にお帰しします>
 それならよかった。帰ったら友達とチャットする予定だったからさ。

<そろそろ、時間です>
 その声が響くと同時、私の体が光に包まれた。

<また、会えるといいですね>
 そうだね。またどこかで会ったら、その時はよろしくね。

 光が消えると、私は道路の真ん中に立っていた。
 閑静な住宅街。見慣れた通学路。着ているのは高校の制服。
 いろいろあったけど、この世界に戻ってきた。

 さて、早く帰ってチャットしようっと。


以上

うっうー!疲れましたー!
全15レスなんですけど、ちゃんと投下できてますかー?
それじゃあHTML化依頼、いっくよー!

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