亜美「どうして亜美は出ないんだろ……」 (30)


亜美「あ~いあい、そんなに大きな声で泣いてどうちたんだい? お腹が空いたのかな~?」
 
亜美「おちめは大丈夫だねぃ? よちよち♪」

P「なんで朝からスクワットしてるんだ?」

亜美「ああ、パパ。いや、最近気付いたんだけど、こうするとすぐに泣き止むんだよね」

P「へぇ、俺もしてみよう」

亜美「それよりパパちゃん、ミルク」

P「あー、はいはい」


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亜美「にいちゃんも立派なパパになったもんだねぇ。うん、亜美は感慨深いよ」

P「他所様の所と比べると、まだまだだけどなー?」

亜美「ねぇ、パパちゃん、そろそろ電気ポット買わない?」

P「買いに行く暇が無い」

亜美「だから、言ったじゃんか。産まれる前にちゃんと準備しとかないとって」

P「あのときは仕事も立て込んでバタバタしてたからなぁ……」

亜美「男の人はそうやってすぐに仕事のせいにするから駄目なんだよ」

P「ははは……千早にも同じようなこと言われたよ」

亜美「千早おねえちゃんに? あはは、それはなんだか面白いね」

P「千早はきっと良いお母さんになる。でも千早の旦那になった人は大変だろうな」

亜美「そだねぇ~」

P「ほい、ミルク」スッ


亜美「あんがと――って、ちょっと熱くない?」チャポチャポ

P「そうか? リビングは冷房が効いてるからそう感じただけじゃないか?」

亜美「そうかも。はーい、ミルクでちゅよ~」

P「その言い方、亜美と出会った頃を思い出すな」

亜美「こんなにわざとらしくなかったっしょ?」

P「いや、そんな感じだったぞ?」

亜美「え~、そんなこと……ん……?」

P「どうした?」

亜美「あんまり飲んでくれない……」

P「ああ……」


亜美「やっぱり母乳の方が良いのかなぁ……」

P「どうかな? 今はまだ、味が分かってるかどうかすら怪しいぞ?」

亜美「ああ、そっか、そうだよね」

P「じゃあ、そろそろ俺は仕事に行くよ」

亜美「ああ、うん、気をつけてね~」

P「いつもありがとな」

亜美「ふふっ、何それ、告白みたい」

P「くそっ、やっぱ言うんじゃなかった!」

亜美「亜美のことは良いから、お仕事行っていっぱい稼いできて」

P「おう。電気ポット1000個買えるくらい稼いでくる」

亜美「あはは、そんなに何処に置くの。いってらっしゃい」

P「いってきます」

ガチャッ


バタン

亜美「おっと、いつの間にか哺乳瓶が空になってるじゃん」

亜美「なかなかやるな、お主……! ケポしようね、ケポ」トントン

亜美「はい、偉い偉い。じゃあ、もっかい寝ちゃう?」

亜美「お値段12マンエンのベッドで寝ちゃう? よいしょっと」

亜美「んで、このボタンを押す」ポチッ

ウイーン……

亜美「最近のベビーベッドって自動で揺れるから面白い。ずっと見てられる」

ウイーン……


亜美「んふふ」

ウイーン……

亜美「正に寝顔は天使だよね。パパ似だけど」

ウイーン……

亜美「まあ、にいちゃんもどっちかと言えば可愛い系の顔だし」

ウイーン

亜美「将来アイドルになっちゃったり?」

ウイーン……

亜美「二世だ! 親の七光りボタンだ……!」

ウイーン……


亜美「なんだ、七光りボタンって」

ウイーン……

亜美「可愛いなぁ……」ウットリ

ウイーン……

亜美「はぁ……」

ウイーン……

亜美「どうして亜美のおっぱいは母乳が出ないんだろ……」

ウイーン……

亜美「亜美だってちゃんと大人になったのに……」

ウイーン……


亜美「母乳の方が絶対良いっしょ……」

ウイーン……

亜美「…………」

ウイーン……

亜美「もしかしたら、今なら母乳が出るかもしれない……」ゴクリ

ウイーン……

亜美「うん、なんか出そう! むしろこの胸の高鳴りと、張り具合……今なら!」

ウイーン……

亜美「そしたら、この子にだっていっぱいいっぱい飲ませてあげられるもんね!」

ウイーン……


亜美「亜美の母乳を……!」


ウイーン……

亜美「………………」

ウイーン……

亜美「…………待っててね!」ヌギッ

ウイーン……

亜美「まず、試しに哺乳瓶にお乳を絞ってみよう。うん」スタスタ

ウイーン……

亜美「いきなり本気はきっと無理だからストレッチしないと……」モミモミ

ウイーン……

亜美「ん、んん……」モミモミ


ウイーン……

亜美「OH、YES……! ハスッ……! ンン……ハッス! イエェッス!」ムニムニ

ウイーン……

亜美「よし、良い感じに温まってきた」

ウイーン……

亜美「そろそろ本気で……」ゴクリ

ウイーン……

亜美「んんん……」ムニュッ

ウイーン……

亜美「んんんんんん……っ!」ムニュウゥウウウウ

ウイーン……


亜美「んががががががぎぎg……!」ムニュウゥウウウウウウウウ

ウイーン……

亜美「んひぎぃ……ぃいいああああああ!!!」ムニュウウウウウウ

ウイーン……

亜美「んがぁああああああああああああーーーーっ!!!!」ムニュウゥウウウウ

ウイーン……

亜美「ハァ……ハァ……」ゼェゼェ

ウイーン……

亜美「なんで……? なんで出ないの……?」ウルッ

ウイーン……

亜美「出てよ……! 出ろよっ!!!」グニッ

ウイーン……


亜美「何がおっぱいだ! こんなの名前だけの飾りじゃん! おっぱいならちゃんと出してよ!!」グニグニ

ウイーン……

亜美「こんなに痛い思いしてんのに……まだ駄目なの……!?」

ウイーン……

亜美「ハァハァ……今出せなきゃ……ハァハァ……きっとこの先だって出ないじゃん!」

ウイーン……

亜美「出てよ……! ほんのちょびっとでも良いから……だからお願い――」

ウイーン……

亜美「出てよぉおおおおおおおおおおお!!!」ギュウウウウウウ



ドクン



亜美「あっ……」


ドクン

亜美「…………血が」

ドクン

亜美「んふふ……何だよおい……」

ドクン

亜美「誰も血を出せなんて言ってないっしょ……」

ドクン

亜美「あはは……あは……あははは……」ケラケラ

ドクン

亜美「駄目じゃん、ダメダメじゃん! 亜美、ダメな子じゃん! いらない子じゃん!」ポロポロ


ガチャッ

P「いやー、うっかりしてた、まさかスマホ忘れるなん――亜美……?」

亜美「あははは……にいちゃん……んふ……亜美、いらない子なんだ」

P「どうして上半身裸で……胸から血が出てるじゃないか……!」

亜美「あはは、いらない子のおっぱいなんて、もういらないよね」ケラケラ

P「いったい何を言って……?」

亜美「だって、亜美、出ないもん! おっぱい出ないもん……!!」

P「おっぱい……?」

亜美「この子にあげたかった……ずっと亜美の母乳をあげたいって思ってたのに……!」


亜美「亜美は出ないんだよ! お っ ぱ い が ! 」


亜美「ねぇ、なんで? ナンデナンデナンデ!?」

亜美「どれだけ絞っても出ないんだよ……! ほら! 血だってこんなに出てるのに!」

亜美「亜美、悔しいよ……悔しいんだよ、にいちゃん……」

P「亜美……。そうか……そうだったのか……今まで辛かったな」ナデナデ

亜美「んぐぅ……ゔん゙っ……亜美っ……」

P「気付いてあげれなくてごめんな」ダキッ

亜美「に゙い゙ちゃん゙……んぁああああああああああ!」ギュッ



真美「ねえ、朝っぱらから何してんの?」ガラッ


P「真美!?」

亜美「うう……」グスグス

真美「起きてきたら妻の実の妹と抱き合ってるし、しかも亜美なんて裸だし」

P「あ、いや、これは違う、亜美のおっぱいが」

真美「おっぱいが?」ゴゴゴゴ

P「ごっ、誤解だ! 話せば分かる! なっ!? ほっ、ほら亜美からも説明してやってく――」

亜美「にいちゃん……亜美、いらない子なの? やっぱり捨てられるの?」ウルウル

P「待って、更なる誤解を産み出す感じやめて」

真美「…………とりあえず、さ?」ゴゴゴゴ

P「う、うん」

真美「さっさと仕事行ってこい!!」バシッ


P「はっ、はい! じゃ、じゃあ帰りに電気ポット買ってきますので!」ダッ

真美「ティンときた!のティンファールのやつね」

P「はい!!! かしこまりました!!!」ガチャッ

バタンッ

真美「あのさ、真美はよくわかんないんだけどさ、亜美も22歳で良い大人なんだからさぁ……」

亜美「っ……! 真美に何が分かるのさ!?」

真美「!?」ビクッ

亜美「亜美だっておっぱいあげたいんだよ!」


真美「いや、そりゃ無理っしょ……亜美、産んでないじゃん」

亜美「そんなの些細なこと」

真美「最重要だかんね!? 亜美の子供じゃなくて、真美の子供だからね?」

亜美「もうさ、ほぼほぼ亜美の遺伝子を引き継いでる感じじゃん? 双子だし」

真美「そこはあんまり関係なくない?」

亜美「見て! この子、鼻筋なんか亜美にソックリ」

真美「そりゃ、真美と亜美が似てるからね? っていうか、パパ似って言われるし」

亜美「亜美が産んだ可能性だってある」

真美「ねぇよ」

亜美「まさか」

真美「真美がお腹を痛めて産んだんだよ」

亜美「亜美だって今こうして胸を痛めて」


真美「うわぁ、血の出かた、エグい……どうして乳首ボロボロなの……」

亜美「亜美、気付いたんだ。これが命を育む痛みなんだ、って」

真美「乳首ボロボロが?」

亜美「乳首ボロボロこそ、だよ」

真美「取り敢えず、服……着なよ」

亜美「うん」イソイソ

真美「いつか……亜美がさ?」

亜美「ん~?」スポッ

真美「子供産んだら、その子にいっぱいおっぱいあげればイイじゃん」

亜美「うん、そうだね。真美はにいちゃんにでもおっぱいあげとけばいいよ」

真美「セクハラオヤジみたいなこと言いやがって、もう帰れよ!!!」

亜美「言われなくてももう仕事あるから帰るし!! 病院行かなきゃだし!」

真美「乳首ボロボロだもんね」


亜美「亜美、まだ母乳出すの諦めてないかんね? へへっ」ニヤリッ

真美「無理だって! もう諦めろよ! 自分の行いを少しは悔いなよ!」

亜美「諦めなければ、きっと――夢は叶うって信じてるから……!」

真美「もうなんか、真美は良いから、はるるんに謝れ!!」

亜美「んじゃーねー」ガチャッ

バタン

真美「……まったく。いつまでたっても子供なんだから」ヤレヤレ

ウイーン……

真美「ああ、ベビーベッド動きっぱなしじゃん」ポチッ

真美「…………あ~っ!? 絨毯血だらけじゃん!? コレ、高かったのに!!」

真美「うわぁ……もうシミになってるし……」ゴシゴシ

真美「だいたい母乳なんて乳腺を通って出てきた血みたいなものなのに……」ゴシゴシ


ガチャッ

亜美「マジで!? じゃあ亜美、もう実質母乳が出たようなもんじゃん!?」

真美「もう赤ちゃん出来るまでウチ来んな!!」






                               おしまい。

以上で投下終了です。ありがとうございました。またどこかで。

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