【咲SS】京太郎、勇者になります【新ジャンル&生転換】 (86)


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「え? 俺!?」



・咲-saki-×新ジャンル×まおゆう
・原作と性格が違う・設定が違うキャラが登場する恐れがございます
・三次元における人物や団体は一切合切関係ありません
・性転換します※キツイ・濃い描写は無し
・俺ツイとは一切関係ありません、作画崩壊ならぬ文章崩壊は見逃してください、お願いします
・色々なしがらみを抜け出したい、その中でもがいている人が見てくださったら何よりですとか言ってますけど>>1もどうしてこんな事を書いたのかわかりません
・とりあえずは某たぬき(原文ママ)もびっくりの温かい目を下さい、お願いします
・書き溜めが無い?いつもそうやって来ました
・ライブ感、即興、コンマ命
・ゾロ目が強いです
・ヒロインレースはまだまだ終わらない
・感想雑談ご自由に
・現行の安価スレをSS形式にまとめている物になります

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1437485682


    新 ジ ャ ン ル 誕 生 

過去にはそんな言葉を何度も目に入れた事があっただろう。

新ジャンルとは恐らくは某掲示板(てか、ぜってー2○hかふ○ば)が作った、従来のアニメキャラにも当てはまらないような、性格、属性、設定、行動をする女の子を指す。

今では旧ジャンル扱いをされる素直クール(クーデレ)だって新ジャンルだったのだ。

そして聖夜の今日も、これからも新ジャンルは生まれ続けるのだ。

例:素直ヒート キョン子 デレツン ツンデロ スネオクール

既に新ジャンルも挙げて行けばキリが無いところまで来ている。

精々の所、小金を稼ぎたいアフィリエイトブログの管理人が適当にまとめるぐらいだろう(最近はあまりまとめられて無いよね)

あ、俺の文字は虹色で頼むわ。

新ジャンルと名付けられる事は無いが咲-saki-でも新ジャンル?(風評被害)は多数産まれているのだ。

『魔王』『淫乱レズピンク』『ワカメ』『レジェンゴwwwwwwww』『タコス』『キング・クリムゾン』『キャップ』『クレイジーサイコレズ』『ドム』『池田ァ!』『メゲ原』『大天使エイスリン・ウィッシュアート』『ドラ川ロー児』『円光』『お猿』『高1最強』『SSS』『マタンゴ』

流石に指が疲れて来たのでやめます(ただの悪口にしか見えないよネ!)

ただ、一つだけ言わせて下さい。iPhoneの人は『えいすりん』と入力したら『エイズリン』と出ませんか?

失礼しました。

新ジャンルとはネット上の創作意欲の塊。

新ジャンル集合だって新ジャンルなのだ(訳がわからないよ)

しかしそれはいずれ忘れ去られる物でもある。

新ジャンルの創作者である世界達が自身の創作意欲を満たす為に新ジャンルを産み続ける。

某ホーwwwwwwwwwwwwも新ジャンルなのだ。いや、新ジャンルでええやん?ええよね?

殺される程愛されたい世界がヤンデレと名付け、人間味に飢えた世界がツンデレと名付ける。 それも当時の人にとっては新ジャンルなのだ。

世界は世界を満たす為に新ジャンルを作り・名付け続けて行く。

世界はオタクに変換ダッ!

だけど、ここからは本当のこの世界のお話。オタクじゃないよ。

新ジャンルをずっと愛せば良い。

それが本来の在り方なのだ(素直クールはそうだった)

しかし、この世界では受け入れられる事が無かった。

すぐに飽きられる物ばかりだった。

キングクリムゾンをするワカメ、孕村さん。

カンカンカン(略)麻雀って楽しいね!と笑顔で吐き捨てる魔王。勝った者は命を落としたと不名誉な扱いを受ける者。

そう、咲-saki-だけでも無数の新ジャンル(風評被害)が生まれ(作られ)ていた。

SSという媒体でも数え始めたらキリが無い程に誕生しているのでは無いか?

その風評被害と新ジャンルの積み重ねがこの世界における最上の歪を産んだのだ。

本来は愛の形だったが……恐らく三次元でそんな扱いを周りから受け続けたら発狂死するだろう、だってただの悪口にしか聞こえないもん。この世界においてはそんな扱いを受け続けるのはきっとこれからも彼女一人(たぶん)

そして、小○○○夜は我慢するのをやめた。

彼女は本当になってしまったのだ。

本当の意味で誕生してしまったのだ。

       『魔王』

でもそこまで認識されていない、地味だから。

魔王の呼びかけによりこの世界に受け入れられず心に傷を負った新ジャンルが立ち上がる。

新ジャンルは歪みと忘れ去られた憎しみにより、暴徒と化した。

世界は新ジャンルに対する解決策を強いられ、年月日が過ぎて行くと共に魔王が転生を繰り返し力を蓄え(拗らせ)続けて行く中でそれなりの対策を構える事となった。

現代の日本は構想を実現させた。

りつべの好きな自然と現代建築が融合した政令都市の一つ。

『NAGANO市属性村』がこの話の舞台だ。

(このSSはまおゆうですけど魔王と勇者のイチャラブはありません。

魔王と勇者のイチャラブが欲しい方はブラウザバック推奨です)

(○○冶健○好きなんだよ!ふざけんな!と言う方は番外編に期待してネ!)



第一話 Bright Pain with my heart 

  当たり前と信じ続けたことも


NAGANO市にはマンモス校が幾つか存在した。 

その一つが属性村に存在する私立清澄学園だ。 

京太郎「おーい、春ー!」 

春「ん……」 

下校中の滝見春を呼び止めて京太郎はその並びに立つ。 

常に巫女服を身に纏い続けるその姿は賞賛の対象でもあった。 

京太郎「一緒に帰るって約束しただろ!」 

春「忘れてた」 

京太郎「昨日もそう言ったよな!?」 

二人は仲が良かった。 

京太郎は交友関係が広いのだが、春は寡黙な性格が災いしたのかお世辞にも友達が多いとは言えなかったのだが、奇妙な巡り合わせによるものなのか京太郎とは簡単に馴染んでしまったのだ。 

京太郎「今日暇?」 

春「今日は務めがある」 

京太郎「ちぇっ、俺だけが暇になっちまった」 

春「テーブルゲーム同好会は?」 

京太郎「行方不明」 

春「生徒会は?」 

京太郎「おいおい、俺はあそこを追放された身だぜ?」 

春「オカルト同好会」 

京太郎「あそこは漫画同好会に名義変更した方が良いだろ」 

春「そう」クスッ

春風が鼻をくすぐる、心地よい風は全ての始まりを告げていた。

京太郎が住んでいるのは清澄学園が運営する寮。一見すると何て事の無いアパートのような佇まいなのだが、部屋等の内部は綺麗に整えられており、評価も高い。 

設備もかなり良い、それはもう都会一頭地のワンルームマンションと張り合えるくらいだ。

しかし、壁はレオパレ〇並に薄いとか薄くないとか……

京太郎「ただいまー!」 

勢い良くドアを開けても彼は一人暮らし、強いて言うならば「ただいま」と言う必要も無い。 

京太郎「なーんて、誰も居る訳が無いよなぁ…….」アハハ 

自嘲の意味を込めた笑みを浮かべながら部屋へと上がる。 

京太郎「は……?」 

清澄学園が運営する学生寮には門限もルールも決まり事も無い、誰でも泊めても良いどんちゃん騒ぎをしても良い異性と同棲だってしても構わない。 

「……」 

彼が目にしたのは少女。 





裸の。





京太郎「はぁーーーーっっ!!??」 

京太郎「目をつぶりながら……目をつぶりながら……」 

半目で見てるのは言うまでも無い。

そのおかげか京太郎は小柄な女性に服を着せる事が出来た。 

自分のお古でもこの際は問題無いだろうと。 




京太郎「はぁ……どっと疲れた」 

無理もない、彼は興奮によりどうにかなってしまいそうだった。

京太郎「トイレ……」ガチャ 


?「んぅ……んっ……」

京太郎「」


トイレの中にも全裸は居たのだ。 

居間で倒れている少女よりは身長が高くスタイルの良い女性だった。 

所々何かに締め付けられた跡があるのは触れてはいけません、見てはいけません。 

?「……んっんっぅ~♡」 ムニャムニャ

京太郎「」 

京太郎にとって幸い?な事に便座の上で股を開いた状態で座りながら気を失っていたのだ。 

ドサッ…… 

彼はショックで気絶した。

京太郎「ん……」 

コトコトコトコト 

京太郎(良い匂い……) 

鼻腔をくすぐる香り、それはすぐに料理からなるものだと分かった。

「あ、起きた」 

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            /  ヽ  ./  \  ー--‐' 
    __,. '7     几ハ     7 ー- 
   /     {   /   ヽ   /     `ヽ 
.  ∧      乂/{ i   / へ/         ハ 

「え!?まだ心の準備が出来とらんとよー///」 

京太郎「ん……?」 

「向こうは気絶してたんだから大丈夫でしょ……」 

「で、でも……大胆な所で///」 

「その前にお礼」

ちゃぶ台の上に粗茶が置かれる。 

京太郎「あ、ども」 

「勝手に家に上がってごめんなさい」 

「ごめぎゃんさい!」 

京太郎「??」 

「~っ///」 

「あ、この人は感情が高ぶると地元の言葉が出るんだ」 

               ,. : :´          `: : 、
            ./                `ヽ 
        ,.:                     :. 
        ,.:゙ ,      |  |             ), 
       ./ /         |  |             / ハ 
      厶ニ| i     l   |  | 
.     「 ̄ | l     ト,| |  | 
.       i   | |   _,以 || 「二ニ=‐- ..,,_ 
     |   l,斗<  .| i |`|| 
      |  ∧ | j云ニL」ノ .|├=Y⌒ヽ 
     .从  .从 jI八::rⅱ || ヾ   } 
.      ヾ:、  ハ   ,)ヅ ||       ./ 
          `ト己   .:::::: ノイ    ,.イ     \ 
         | .ノ           :' 从       \  jI斗┐ 
         | ,心、             `ヽ   ___(   | 
        ||| 心r_;          ,.厶=孑ヘ\ ├ヘ,_| 
            || |!.心、  ,.。o心,  ´    _,,.⊥、L| | 
         ! |[レ' `i´  rく    /     `ヽ| 
            ! ;||     r 1 :|   /        ∨ 
.            ! 小|    ,ハ|| /           ∨ 
          ! |     _|///|/               ∨ 
           !|     /  / /              ___∨ 
            弋   厶イ/            /////∧ 
                / //             ////////∧ 
             / ./          \////////// ∨ 
            ./ ./        ヽ  \///////   ∨ 

「……///」 

京太郎「なるほど」 

そんな事よりも京太郎にはたくさんの気になることがあった。 

「どれから知りたい?」 

京太郎「……」

心を読んだわけではないだろう、誰でも説明を受けたくなる状況だ。

そう言われても不思議ではない。

「私達が裸だった理由、何故倒れてたか、どうして君の家を選んだのか……ばい」 



京太郎「いや、まずは普通に名前を名乗って下さい」  






「……ごめぎゃんさい」

「私の名前は鷺森灼」 

「私の名前は白水哩」 

京太郎「俺の名前は須賀京太郎です」 

灼「わざわざありがとう。でも、私達は君の事を知っている」 

京太郎「え?」 

哩「……」

哩「そこから説明すっと」 

哩「属性省って聞いた事あっと?」 

京太郎「人格形成に悪影響を及ぼす物の探索が目的でしたっけ?なんであるか分からないですけど国の行政機関の一つらしいですね」 

日本政府が設立した属性省は未だ一般には広く認知されていない。

灼「私と彼女はそこの職員」 

京太郎「はぁぁ!?俺と歳が変わら無いのに!?」 

灼「実力主義だから」

哩「優秀人材はガンガンヘッドハンティングばい」

京太郎「はぁ……」

京太郎「で、それが俺と一体何の関係が?」 

京太郎は自体を全く飲み込めていない。 

哩「成り行きから説明すっと……」

灼「単刀直入に言うと属性省は乗っ取られた」 

京太郎「え?」 

哩「魔王に……」ギリギリ 

京太郎「ええ!?」 

京太郎「国が運営してる所なのに乗っ取られたって……」 

灼「魔王は属性省を侵攻してきた」 

京太郎「いや、魔王ってなんですか?」

京太郎(さっぱり意味が分からねえ……) 

哩「何故か誰も魔王やその手下を認識出来んとよ、そいけん困ってる」 

京太郎「魔王の説明をしてくれよ」

灼「認識出来るのは属性省でもごくわずか……」 

京太郎「人の話聞いてます?」

哩「あそこまで出世するのが早いなんて……」ギリッ 

京太郎「出世かよ!?」

灼「魔王とその手下を認識出来る者は片っ端からリストラ……もとい追い出された」 
京太郎「それ社会だとクビって言うんですよ」 


哩「私達は大事な資料と属性省が開発した武器を片っ端から持って逃げて来た」 
京太郎「犯罪者じゃねーか!!!」 



灼「哩」 

哩「はっ!」 

哩は京太郎の後ろから抱き抱えるように口を塞いだ。 

哩「少し黙って」 

京太郎「んーー!んー!(むねが!むねが!) 

灼「その結果囮になった私達は身ぐるみを剥がされても君の家まで逃げて来たの」 

京太郎「んー!んー!(出てけよ!犯罪者!)

哩「まぁ、それは無数にある属性省の支部の一つにすぎないと」

灼「何故か魔王は私と哩が働いていた所を狙ってきた」

京太郎「んー!ん!!(魔王って誰だよ!?)」

灼「幸い魔王は君に気付いていない」 

嫌な予感が胸を掠める。

恐怖が腹の底から湧き上がる。

京太郎「……?」

京太郎「えっ?……どういう事ですか?」 

灼「魔王に君の存在がバレたら殺されるよ」 

哩の拘束が解ける。 

京太郎「本当……ですか?」 

灼「安心して、君に関する資料は全部私達が持ち出したから」 

京太郎「良かった……」ホッ 

京太郎「どうして俺が……?」



灼「……然るべき時に君は戦わないといけなくなる」 

京太郎「は……?」 






灼「だって、勇者だから」 









京太郎「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」


第一話後編 

Bright Pain with my heart 

 俺、勇者になります

京太郎「いや、俺は普通の学生ですから……そんなおっかない事は……」

京太郎「お断りします」 

灼「……そう」 

哩「でも……!」 

灼「仕方ないよ、新たな人を探すしか無い」 

灼「須賀京太郎以上の適合者は居ないとしてもね」 

京太郎「……」

京太郎「いきなり世界を救えとかどうとか言われてもこっちが困ります」 

哩が残念がっているのは表情に嫌と言う程現れていた。 

それ程に彼女は京太郎に対して好感と期待を抱いていたのかもしれないが、京太郎にとっては良い迷惑だった。 

ピンポーン 

灼・哩「っ!」 

京太郎「ん?」 

チャイムが鳴り響く。 

京太郎にとってはなんて事の無いチャイム、追われる身の灼と哩にとっては警戒の対象でしか無かった。 

「遅いわね!」 

京太郎「ああ、なんだ……ツンか」 

灼「ツン……?」 

京太郎「幼馴染ですよ幼馴染」 

哩「良かったばい」

安堵する哩、彼の幼なじみならば安心だろうとたかを括っていた。

京太郎「今開けるからなー!」 

「はやくしなさいよ!もう!」

灼「……」 

京太郎「たくっ……」ガチャ 

扉を開けた京太郎の前に立っていたのは黒のゴスロリ衣装をした可憐な少女だった。 

灼「っ!」 

哩「~っ!」 

「もう待たせるなんて酷いわね……」 

京太郎「悪い……待ったか?」 

「べっ……!別にあんたの事なんて待ってないわよ!」 

灼「逃げてっ!」 

哩「っ!」 

哩の身体は考えるよりも早く駆け出していたが、間に合いそうにない。

一方、目の前に居る幼馴染みの脅威に京太郎は気づいていなかった。 

ブスッ 

京太郎「――え?」 

「あの世で私を待つのはあんただからね」クスクス 

灼「黒ツンデレ……!」 

「さっ……私は帰ることにするわ」クスクス 

「役目も終わったしね」クスクス

 ――ああそうだったな 

 元々俺と関係無い人間だったな、昨日会っただけで幼なじみとかなんなんだろうなぁ…… 

 あの二人が言うように一般人はそもそも脅威に気が付かないんだな……

 ああやって幼なじみと認識させて油断させるのが常套手段って訳か。 

 本当の幼馴染みはちゃんと居るのによぉ……クソったれ。

 結局、ナイフでザックリと。 

 意味わかんねえし……痛いし…… 

 もっとあの人の警告を聞けば良かったなぁ……糞。 

哩「京太郎っ!」ガシッ 

 どうしたんですか……? 

 もう俺……死んじゃいますよ? 

哩「一つだけ助かる方法がある」 

京太郎「え……?」 

哩「勇者になることばい」 

哩「死ぬか生きるか、決めろ」 

京太郎「……」 

 死にたくないし、こんな奴らに色々な人が殺されるってんならよぉ……!

 
京太郎「俺、勇者になります」 
 



哩「分かった、今回はどっちが良い」 

京太郎「え?」 

哩「……」 スゥ

異常事態にも関わらず哩は頬を赤らめ京太郎に詰め寄る。 

そして耳元で囁く。






哩「どっちとキス……したい?」 





京太郎「え?」 

京太郎(キス……?ってあのキスだよな?) 



灼「仮契約-パクティーオ-とも言うらしい」 




灼「勇者契約、キスした対象者と君が合体して君を勇者にする」 

灼「あとは勇者になってからのお楽しみだし、時間が無いから早くして……死ぬよ?」 

京太郎「どっちとキスするかって……」

京太郎「ま……哩さんで///」 



灼「ムッ」 



京太郎(俺のファーストキスはこんな状況で捨てる羽目になるのかよ…… 

でも……哩さんは綺麗だしな、問題無いぜ) 

哩「わ……分かった///」 

ジャラン 

京太郎「は?」 

ジャララララ 

鎖が京太郎と哩を縛り付ける、隙間が無い程に包み込む。 

京太郎「ど……どうして?」 

哩「趣味……じゃなくて、私の魔翌力を京太郎に送り込むにはこれが一番手っ取り早いと///」 

京太郎「そうなんですか……」 

そして唇が重なり合う、唇には柔らかい感触、それ以外はぶっちゃけ鉄の不快な感触だ、血を吐いてるから鉄の味もする。





カッ!!!! 




そして眩い光が二人を照らし、二人の合体が始まる。 




黒ツンデレ「あの……まだかしら?」 

灼「あとちょっとだから待って」

シュウウウウウウウ 

京太郎「……」 

灼「可愛いね」 

京太郎「え?可愛い?」 

黒ツンデレ「……本当に私を倒せるのかしら?」クスクス 

黒ツンデレ「馬鹿ね、可愛いなんて思ってないわよ」 

京太郎「よくよく見てみると……」 

格好も女の物、髪も哩のような髪型、決定的に違うのは胸と秘所だった。 




京太郎「俺、女になってる!!??」 ガ-ンッ




灼「ごめん、説明忘れてた」 

京太郎「そこが一番大事な所だよ!」 

灼は鏡を京太郎に差し出し、自分で確認をさせる。 

京太郎「身体付きがエロい……女の身体だ……胸は揉んでも良いのか?」 

「それやったら殺すばい」 

京太郎「脳内に哩さんの声が!?ええ!?」 

黒ツンデレ「ねぇ……まだかしら?」 

灼「あとちょっと、本当ちょっとだから」

※京太郎の格好は新道寺の制服がノースリーブで横乳が見えて足を強調するスカートでなんとなくヒーロー感のある格好だと想像して下さい。 

「一心同体そいけん当然と」 

京太郎「マジかよ……」 

京太郎「って事は、おれは須賀京子ちゃんか」 

「そうばいね……」 

京太郎「俺の武器はどこですか?」 

「武器を念じればよか」 

「きっと今の京太郎にピッタリな武器がでっと」 

京太郎「よしっ……」グッ 

京太郎「ハァァァァァァ……!」 

      カッッッ!!! 

ジャラン 

見まごうことなき鎖、質量、長さ共に、今の京太郎なら確実に扱えるであろう、京太郎オンリーの京太郎のためだけに産まれた武器だった。 

京太郎「そんな事だろうとは思ったよ畜生っ!!!また鎖だよ!!!」 

黒ツンデレ「もういいかしら」 

灼「勝手にして」ハァ

京太郎(もうヤケクソだぁ!!) 

京太郎「かかってこい!クソッタレ!」 

黒ツンデレ「もう来てるわよ……ふふ」クスクス 

漆黒のゴシックロリータは既に背後へと立っていた。 

確実に標的の命を奪う為に、黒備えの悪意は短刀を用い牙を剥く。 

京太郎「なっ……!?」 



黒ツンデレ「あら避けたみたいね」 

京太郎「何が避けただよ……背中に思いっきり刺さってるよ」ダラダラ






京太郎「しかし、何とかしないとな」 

「鎖を使いこなせない事には何とも言えなか」 

京太郎「糞……どうにかやってやるさ」 

黒ツンデレ「ふふっ……安心しなさい、尊厳も滅茶苦茶にしてあげるから♪」 

京太郎「喰らええええ!」 

ジャララララララララ 

京太郎は闇雲に鎖を投げるも、それは虚しく宙を舞うのみだった。 

京太郎「……」

「……」

黒ツンデレ「……」

黒ツンデレ「別にかわいそうなんて思って無いけど……」 

黒ツンデレ「そろそろ殺してあげるわねっ!」 ダッ

京太郎「くっ!」

ブシュッ!!

短刀はわき腹を裂く。致命傷は抑える事が出来ているものの、京太郎の限界は近かった。 

京太郎「糞……どういう事だよ……!」 

黒ツンデレ「クスクス……ふふふ」クスクス

京太郎「もうヤケクソだぁ!」 

黒ツンデレ「へぇ……面白いわね」 

京太郎「くらえええええええええっっっっ!!!」 

灼「京太郎……!」



ジャラララララララララ!!!!!!!

ガシャアンッ!!!



ついに鎖は黒ツンデレを捕まえた。




京太郎「こんな所で終わってたまるかよ!」 

無数の鎖が黒ツンデレの四肢の自由を奪い、首を、腹を締める。 

黒ツンデレ「ぐぁっ……な……何をするのよ……酷いわね!」 

鎖は再び黒ツンデレに自由を与えるが、彼女が受けた傷は深い。 

京太郎「今のは……?」 

「私も始めての感触とよ……」 

(思ったより飲み込みが早いばい)

京太郎(ガムシャラだったけど……確かな手応えだ) 

黒ツンデレ「どうしても私を倒す訳……なのね?」 

京太郎「当たり前だ、一回殺された借りは耳揃えて返さないとな」 

恨みだってある、理由だってある。 

それでも京太郎は迷っていた。一見普通の少女を幻覚の世界だったとは言え、幼馴染と認識していた少女をこの手で殺めて良いのか。 

初めての『人殺し』を行う事が出来るのか。 




(やはりあの時殺していれば……)



京太郎「くっ……」 

黒ツンデレ「うっ……死にたく無いわよ……」 

黒ツンデレ「ねぇ……今までのも愛情表現だったのよ……?」 

黒ツンデレ「お願い、助けて」 

下心が見え透いた命乞い。 

例えここで助けたとしても黒ツンデレは牙を磨き、仲間を引き連れ再び京太郎を襲うだろう。 

灼「聞いちゃダメ!」 

京太郎「ぐっ……!」 

「奴は人間じゃない……属性、新ジャンルばい」 

京太郎「どう見ても人間だろ!糞っ!」 

「違うっ!」 

京太郎「くそぉ!」

ジャラララララララ

迷いながらも鎖で黒ツンデレを薙ぎ払う、あと一度でも手を加えたら確実に彼女は絶命するだろう。

黒ツンデレ「へぇ……私を殺すんだ……」 

黒ツンデレ「京太郎を愛してるのに……!」 

京太郎「……」 

京太郎(そうか、こいつはまたそんな事を言って……)

「よか……?」 

京太郎「あいつを倒さないと誰かが犠牲になる」 

京太郎「そうですよね?」 

「そいけん……一つだけ方法があっと」 

京太郎「方法?」 

「倒す事には変わりなか、でも……心は通わす事が出来っと」 

「確実に勝てる時にしかそいは出来なか」 

「スパロ○の説得コマンドと一緒よ」 

京太郎「説得……」 

「失敗をしてと普通に倒せるけど、成功したら力になる……のーりすくのーりたーん」 

そこまで言われたら京太郎の答えは一つしか無い。 

京太郎「やる!」

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これが黒ツンデレです。 

強制は致しませんが良ければ是非一読を。 

京太郎「なぁ……本当に俺の事が好きなのか?」 

少しでも心に触れようと会話を始める。

黒ツンデレ「ええ、好きよ」 

京太郎「なら、どうして俺を殺そうと……」 

黒ツンデレ「好き過ぎて独占したくなっちゃうのよ」クスクス 

「ヤンデレ並にたちが悪か」 

京太郎「そうしなくても俺を独占出来るだろ?」 

黒ツンデレ「嘘よ、結局貴方も私を忘れるもの」 

幸い鎖で自由を奪っている事が功を奏しているのか相手も会話に応じている。

京太郎「いつも俺の為に謝ってくれる奴を忘れる訳が無いだろう?」 

黒ツンデレ「何よ……そんな思い出」 

黒ツンデレ「私は忘れたわ……」クスクス 

少しだけ顔がほころんでいる。 

きっと彼女の心に与える物は大きかっただろう。 

京太郎「そっか、覚えてないのか」 

それは偽りの記憶、それでも昨日出会った京太郎と黒ツンデレの数少ない思い出の一つだった。

そして、京太郎はその記憶にすがっている。 

黒ツンデレも……

黒ツンデレ「そんな事より早くとどめを刺しなさいよ」 

黒ツンデレ「別にあんたに情が湧いた訳じゃ無いんだからね!」 

魔王に従う以上、彼女は京太郎と会話を続ける事は本能的に危険だと悟っていた。

魔王の驚異になり、勇者の力になってしまう……と。


京太郎「おい、簡単にとどめを刺せとか言うなよ」 

黒ツンデレ「はぁ?うるさいわね、今更説教?」 

京太郎「違う……」 

京太郎「例えお前との記憶が嘘っぱちでもな……」 

京太郎「長年一緒に居た幼馴染にそんな事言われるのは……悲しいだろ?」 

黒ツンデレ「……!」 

黒ツンデレ「ふふっ……馬鹿ね」クスクス 

黒ツンデレ「そんな事言ってくれるのあんたぐらいよ」 

その言葉を言ってくれる前に彼女の物語は終わった。

京太郎「……かもな」 
 




せめて最後にこの言葉を言ってフィナーレを迎えたかった。

黒ツンデレ「ありがとう……愛してるわ」サラサラ






黒ツンデレの身体が砂状となり、崩れて行く。 

「京太郎、説得成功ばい」 

京太郎「ああ……」 

『私はこの石になってあんたの力になるわ、精々死ぬ程頑張る事ね』 

カラーンッカラーンッ 

黒曜石のような色をした宝石が金属の装飾にはめ込まれている、それは先程まで黒ツンデレと言われてた物の魂そのものだった。 

「ニューカテゴリーストーンは、安易と?」 

京太郎「安易過ぎますね」 

灼「すごい……これが勇者……!」 

京太郎「うーん、実感が無い」




京太郎「で……俺の身体戻るのはまだですかね?哩さん」スチャ 

京太郎はニューカテゴリーストーンを大事に拾い、身体が元に戻るのを待ちわびている。 

「あれ……?おかしかね……」 

京太郎「おい、胸揉むぞ」

次回予告 

「おい、京太郎」 

「この車は三人しか乗れない、だが僕が降りる事で君は車に乗る事が出来る」 

「でも、僕はそれをしない」 

「それをしたらジャイアンがヘソを曲げて僕に理不尽な暴力を浴びせるだろう」 

「ジャイアンって、おい」

「だから君は今日の所は帰ってくれ」 

「別に君個人の事が嫌いな訳じゃないから安心してくれたまえ」 

「やり辛いですよ!哩さん!」 

「心を鬼にするばい!頑張ったらハグしちゃる!」 

「頑張りたくねー!」 

「失礼ばい!」

未だ肌寒さが残る春の朝、空は澄み渡る様に晴れていた。 

京太郎「……」 

灼「元に戻る方法がわかった」 

京太郎「1日待ったんですよ俺」

「え」 

京太郎「え、じゃねーよ」 

「冷たか……」 

灼「今の格好の襟の裏にボタンがあるからそれを押して」 

京太郎「」 

「」 

ポチッ 

       カッッッッ! 

今の姿から二つに分かれるように、二人は元の姿に戻る事が出来た。 

灼「……」ギョッ 

京太郎「ようやく元に……」ハァ 

哩「戻った……」フゥ 

灼「立派なのは分かったから……早く服を……」アワアワ 

京太郎「え?」 

哩「……///」カァァ 

全裸の哩さんの股の前に京太郎君の顔が接近しているというラッキースケベを発揮した。

「「わぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

京太郎「はぁ……結局あんまり眠れなかったな」トボトボ 

思春期の少年には刺激が強すぎる夜だったとさ。



京太郎(あの二人を家に置き去りにして学校に行っても良いのか、それで大丈夫なのか?)

春「大丈夫?」モグモグ 

京太郎「まぁな……」 

春「何かあったの?」 

京太郎「……」 

言える訳が無い、女の人に刺されて勇者になって倒しましたとか春に言ったら、この学園のブラックジャッ◯を呼ばれ、頭を開けられてしまうから京太郎は何も言えなかった。 






京太郎「夜更かしだよ」 


ガヤガヤ 

京太郎と春が授業を受ける教室は今日も賑やかな空気に包まれていた。空気が良い時には普通なら滑るギャグを皆が嬉々として言っちゃいます、でも滑ります。 

京太郎「今日は俺が日直か」 

淡「ヤッホー!」ドグシャァァ 

京太郎「ぐはぁっ!!」

「とても美しいシャイニングウィザードでした」16歳女子高生 

京太郎「痛えよ馬鹿!」 

淡「あはは!ごめんごめん」ケラケラ 


「さぁ授業と行こうか」 

「ころたんせんせー!」 

金髪ロリの容貌をした本来なら高校二年生の飛び級スーパー先生が京太郎達の担任である 

「可愛い!」 

「ころたんイェイ~」 

「ハァハァ……!ハァハァ……!」 

衣「うるさいー!真面目に授業受けろーー!!!」 

京太郎「何人か逮捕した方が良いよなうちのクラス」 

淡「それとても分かる」



キーンコーンカーンコーン 

京太郎「おーい春、淡!弁当食おうぜ!」 

衣「混ざっても良いか?」 

キャーキャー 

淡「うわ!うるさい!」 

遠くから黄色い歓声が聞こえてくる。それはもうムネリ○並だ。

京太郎「嫌な予感……」 

彼の予感は当たる。

「モテモテだね」 

「ばってん昔から女子には人気と……」 

「あ、ここだ」 

ガララッ 

一目合っただけでその心を落とした女子の大群を引き連れた顔馴染みの二人がやって来た。 

哩「京太郎はおると?」 

灼「失礼します」ペコペコ 

京太郎「」 

彼の日常には既にRPG-7が打ち込まれていた。 

哩の好感度123 
哩の相性度187 
灼の好感度86 
灼の相性度5 



哩「やっぱり相性抜群ね……///」 

キャーキャー 

京太郎「え?何!?今の数字何!?一瞬浮かび上がって来たんですけど」 

灼「京太郎と哩の想いはばっちり通ってる、言うならばニセコイ」 

京太郎「小野○以外一方通行ですよ!!」 



サクッ 

ビイイイインッッ 




京太郎の眼前を掠めて黒板に矢が刺さる。 

京太郎「」ビクビクッ

菫「また風紀を乱す者が居るな……」 

矢の持ち主は紫色の髪が光る大和撫子風のクールビューティー 清澄学園の風紀委員長だ。 

淡「げっ!風紀委員長!」 

灼「教室で弓矢を射る方が風紀違反じゃ……」ボソボソ 

哩「東京もん怖か……」ボソボソ 

菫「また淡の仕業かと思ったら、今度はお前か……須賀」 

京太郎「誤解です!こいつらですよ!こいつら!」 

菫「なに……?」ギロッ 

哩・灼「京太郎君が女の子を集めました」 

京太郎「おいっ!」 


菫「あいつの仕業かと思ったが……私の思い違いだったか」 

京太郎「あいつ……?」 

春「スネ夫クール」 

淡「私も知ってるー!嫌味を言うけどクールで良い人の事でしょ?」 

哩「嫌味を言うけどクールで良い人?」 

灼「新ジャンルの香りが……」 

菫「ああ、そしてホイホイ着いて行った我が校の生徒を誘拐拉致するらしい」 

菫「鹿倉と薄墨が行方不明になってしまった……」 

衣「え?」 

京太郎「え?」 

衣「衣そいつからお菓子もらったぞ?」 

京太郎「ロリコンじゃねえか!」

春「許せない」ポリポリ 

衣「言語同断!許せないぞ!」 

菫「実際に会ったのなら……天江先生、そいつの名前は?」 

衣「内木一太だ」 

京太郎「マジで?」 

菫「なっ……!」 

淡「生徒会の副会長じゃん……」 

京太郎「ロリコンとは知ってたけど……」 

京太郎が知っている内木一太はYesロリータノータッチが信条の尊敬すべき紳士であった。 

春「噂……本当だったんだ」ポリポリ 

菫「先生、これからあいつに近づかないように」 

衣「うー……分かった」

京太郎「なんかおかしいよな……」 

放課後の人気が減った教室、よい子は帰る時間だ。 

哩「何がおかしか?」 

京太郎「あの人、ロリコンだけど絶対に手を出さないと思うんだよな」 

灼「取り憑き型の新ジャンルだと思う」ポリポリ 

哩「スネ夫クールで取り憑き型は少なか?」 

灼「でも実際に目撃例はある」 

京太郎「取り憑くって事は、先輩は操られているってことですか?」

哩「んっ」コクッ

京太郎「スネ夫クール……か」 

灼「スネ夫クールに関してはまだ様子を見るとして……」 

京太郎「それで良いんですか?」 

灼「うん。まだ様子を見る事は可能、弘世って人が目を光らせてる内は」 

京太郎「でも弘世先輩は一般人じゃ……」 

哩「奴は多分属性省の人間ばい」 

京太郎「ええ!?」 

灼「元ね」 

灼「それよりもパートナーを増やそう」 

京太郎(菫先輩が属性省の人間だったなんて……もしかしてこの学園って……?) 

哩(滝見さんと衣先生以外は、京太郎の周りに居るのが偶然属性省だったのは内緒にしとくばい……) 

哩(しかし、本当に偶然か?)

灼「京太郎、合体したい人は居る?」 

京太郎「意味深だなぁ……」

京太郎「……」

――俺が合体したい人間。 

特には思いつかないな。 

でも……合体した時の容姿が気になる人も居るっちゃ居るな。 

京太郎「春、ですね」 

灼「意外だね」 

哩「彼女はこん場に居るよ」 

春「~っ///」 

京太郎「ええええ!?嘘!?」 

春「ががが、合体したいって……///」 

本来ならドン引き所では無いが、頬を赤らめているだけで済むのはご愛嬌。 

京太郎「誤解だ!誤解!誤解です!」 

春「わ、わ、私は京太郎が望むなら……///」スルスル 

京太郎「巫女服を脱ぐなぁ!!」 

春「冗談」 スゥッ

京太郎「女でもぶっとばすぞ」 

灼(絶対そんな事しない癖に) 

灼「他に合体したい人は居る?」

京太郎「鶴田姫子って人が居るんですよ」 

哩「姫子ぉ!?」 

京太郎「え?」 

哩「私は帰る」 

京太郎「いや、俺んちだし」 

哩「駄目か……?」 

京太郎「はい」 

灼「なんでその人が良いの?」 

京太郎「良く分からない骨董屋の娘さんで良くお世話になってるんですよね」 

哩「そうだったんか……」ドンヨリ 

顔面蒼白の哩を目にした灼は思い出したかの様に口を開く。 

灼「もしかして中学時代の哩を追い回す後輩って……」 

哩「……」コクコク 

京太郎「あ、言ってましたね。尊敬する人が居るって」

再開します

地味に加筆訂正もあるので良かったら見てください

骨董品~鶴田~ 

日本の古民家の一階を使った風情溢れる骨董品屋だ、ただし売っている物は傍目で見たら良く分からない物ばかり、使いこなすもゴミにするのも購入者次第。 

京太郎「あ、姫子さん」 

姫子「いらっしゃい~」 

姫子「あ、京太郎!」 

哩「……」 

姫子「――」 

――姫子は一瞬で理解した。 

サングラスとマスクと帽子と時期外れのコートで全てを隠そうとも、目の前に現れたのは自分が敬愛してやまなかった先輩なのだと。 

ならば堪能しよう、久しぶりの機会だ。 

そして感謝しよう、運命に、京太郎に。 

姫子「哩せんぱぁ~い♡」ギュウウウウ 

哩「ああ~こん私のいろいろな所をまさぐるな~!」 ジタバタ

姫子「せんぱぁ~~い♡」クンカクンカ 

灼「普段からあんなキャラなの?あの人」 

京太郎「普段はまともだけど……初めて見たこんな姫子さん」 


灼「もっと仲良くなってよ」 

京太郎「無茶言いますね」 

灼「あの二人の間に入るとか」 

哩「!」ピクッ

京太郎「殺すつもりですか?」 

くんずほぐれつしている哩と姫子、哩は抜け出す為に、姫子は捕まえる為に、高度な駆け引きが展開されているのだ。 

灼「あ、その事を言った瞬間に哩が私を見て微笑んできた」

京太郎「おい」

灼「頑張って」

ドンッ

京太郎「って……」 

灼「ファイト」グッ 

京太郎「嘘でしょ?」 

京太郎(同じ意味の言葉を二度使うかよ――)

ライオン二頭の前に、兎が放たれたのだった。

数分後、姫子と哩は兎の多大なる犠牲のおかげで争う事をやめた。哩と姫子は満足そうな顔をしている。 

京太郎「年上だけど言わせて貰いますね。ふざけんな」 ボロッ

灼「ごめんごめん」 

京太郎「ちくしょうめ」

灼「私は女」 

京太郎「で、俺と姫子さんの仲は縮まったんですか?」ヒソヒソ 

灼「元から割と仲良いよね?」ヒソヒソ 
京太郎「ふざけんな」

姫子「京太郎!今日はありがとう!ぬっかだったよ!」 

哩「京太郎の肌スベスベ……」グルグルグルグル

灼「目が回ってる……」

姫子の好感度 265 
姫子の相性度 91 

京太郎「で、どうなんですか?」ヒソヒソ 

灼「あともう一押しで今日のラストチャンス」ヒソヒソ 

灼「具体的に言うとあと35は欲しい」 

京太郎「これ以上メタると苦情来ますよ?」ヒソヒソ 

姫子「?」ニコニコ 

哩「ヒロイン差し置いてヒソヒソ話か?」 ジト-
京太郎「まだ決まってねーから断じて」 

哩「泣くとーよ?」 

灼「早く!もう一押し!」ピシッ 

哩「無視!?」

京太郎「姫子さん!」 

姫子「んー?」

京太郎「お、お綺麗ですね」ブルブル 

灼(終わった) 

哩「あぁ……恥じらう京太郎もよかー」クネクネ

姫子「え?」 

姫子「き、き、綺麗?」 

姫子「照れっとね……///」 

灼「おめでとう、具体的に言うと好感度334」 

京太郎「おお、阪神は関係無いですよ」 

哩「やったばいね!」 

姫子「あ、私と合体するつもり?」 

灼「……?」

哩「……」

灼「貴女は属性省じゃないのに……どうして合体の事を?」 

姫子(えーっと)

姫子「うちの文献ばい」 

灼「へぇ……」 

姫子「そんな事よりも!可愛い可愛い後輩の頼みなら私はいつでも力を貸すばい!」 

京太郎「ありがとうございます!」 

ガラッ 

「おめでとう……と言いたい所だが……」 

京太郎「!?」 

骨董品屋の扉を開けて現れたのは弓道着を着た菫。 その身体の至る所に傷を負っていた。 

菫「勇者の出番だ」

新ジャンル スネオクール 

nantara.blog73.fc2.com

訂正

新ジャンル

スネ夫クール

http://nantara.blog73.fc2.com/blog-entry-226.html


第二話   夏果 

      芽生えてく思い

京太郎「弘世先輩!?」 ダッ

京太郎達は菫の元へ駆け寄ると、直ちに処置を施す。 

灼「中々の怪我……」

灼「スネ夫クール?」 

菫「私一人でもやれると思ったが……想像以上だった」ゲホッ

哩「状況を」

菫「天江先生が攫われそうになった所を発見して交戦を開始した結果…… 返り討ちにあってしまった」

灼「万全でないとはいえ、この人をここまで追い詰めるとは……」

哩「厄介ばいね」 

姫子「京太郎……合体……した方が良いと?」 

京太郎「……」 

京太郎(これが新ジャンルの力……)

菫「早くしないと天江先生が……!」 

京太郎(余り戦いとかやりたく無いんだけどな……糞) 

京太郎(よりによって内木先輩だろ?身内じゃねーか) 

灼「京太郎」 

京太郎「!」 

灼「早くロリコンの目を覚まさせよう」 

京太郎「……」

京太郎「はい!」

衣「やめろー!はなせー!」 ジタバタ

一太「抵抗するのはよしてくれ、僕は君の事をどうする事だって可能なんだ」ハァハァ 

衣「うー!」 

一太「先程のやり取りは見ただろう?」ハァハァ 

一太「風紀委員長とそれを一方的に蹂躙する僕」ハァハァ 

一太「今ここで君を逆らえなくすることだって容易なんだ」ハァハァ 

一太「そう、がいがぁかうんた○みたいに」

衣「歪曲性奴め……がいがぁかうんた○ってなに?」 

一太「それはね……」フヒヒ







「そこまでだ外道!」 






一太「おや……」 

コォォォォォォォォォォォォ 

一太「京太郎君」 




     京太郎「合体!」

京太郎「よし、春を呼ぼう」

灼「わかった」フンス

京太郎「でも、春が居ませんよ?」 

灼「呼べば来る」 

京太郎「はぁ?」 

一太「……まだかね?」 

哩「器のちっちゃい男ばい、少しぐらい待つと」 

一太「理不尽な」 

一太「これだからBBAは……」

哩「絶対にいつか殴るばい」





京太郎「――」スウゥ

京太郎「春ぅぅぅぅぅぅ!!!」クワッ 

ピカァァァァ 




京太郎の呼びかけに応じるように淡い光と共に春は現れる。 






…………裸で。 





春「……」ジトッ 

春「水浴び中」





京太郎「すいませんでしたぁ!!!」 






考えるまでも無く土下座、確実に京太郎が悪い。 

一太「……の○太みたいな事をする」ボソッ

春「そんな事より……合体」 

京太郎「はいいいぃぃぃ春様!!!」 ビクッ

京太郎「……」

京太郎「行くぞ」 

春「初めてだから、優しくして」ジッ

直ちに身体を起こす。 

そして―― 

キスを交わす。 

カッ!!!! 

京太郎「……」 

金髪混じりの緑髪にカールをあしらったポニーテール、長身かつ美麗、恵まれた胸部、所詮巫女装束と呼ばれる物の形が長ランへと変貌する。 





    ゴゴゴゴゴゴゴゴ 




京太郎「巫女装束っぽい長ランだな」 

「ズボンが無い」 

京太郎「パンツ履いてるから大丈夫だろ」 

「え」 

京太郎「え?」 

「この世界にパンツは無い」 

京太郎「世界線の改変で見えそうで見えないんですね。分かります」 

「ここはβ世界線」

一太「一つ忠告しておこう……」 

京太郎「?」 






一太「――僕の目をみたら……終わりだ」 

京太郎「えっと武器は……」 

「これ」 

京太郎が気付く前からその手には木の棒が握られていた。 

京太郎「……」 

京太郎「ちゃんばらごっこ?」 

「違う、由緒正しいご神木から作った由緒正しい武器」 

「こんぼうとかひのきのぼうとか言ったら怒る」

京太郎「良いだろう、どこのご神木かだけは聞かないでおいてやる……」 

「うん。バレたら……うん」 

一太「お話中の所悪いけど、もう後ろだよ。君は本当に間が悪い」 

一太は京太郎の首元へと手を伸ばすが、その手が辿り着く前に乱雑な突きが喉へと入る。 

一太「ごほぁ!?」 

京太郎「……何かしたか?」 

京太郎(春の意志も俺の行動に反映されるのか、二人の身体だから当然か)

姫子(相方の意志に気付いていない……まだ弱か)

「危機の芽を潰しただけ」

京太郎「思ったより大した事無いな先輩!!」 ダッ

一太「くっ……」

京太郎は先程の勢いのままに攻め続ける。 

   ガンッ!!ガンッ!!!ガキィッ!!!!!ガンッ!

京太郎(俺、棒術なんな出来ないけど……春の力か?) 

京太郎「このまま終わりだ!」

一太「ああ、そうかい。それなら良かったけど……」 

灼「しまっ!」 

哩「まずか……」 

菫「あの目は!」 

姫子「誰か!」 





    一太「――僕の目を見てしまったね」 



      ι゛ょ眼!!!!!! 

突如として先程までとは違う空間に飛ばされる。 

幻覚や擬似世界の一種。

それにより勇者化も解けていた。 

京太郎「……ここは?」 

一太「僕だけの世界だ」 

一太「堪能してくれたまえ!!!」 




一太「イッツ ア ロリータワールド!!!!!」 

京太郎「な……」 

目の前や体中から現れる幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女幼女 



「やめてくれええええ!!!!!!!!」 

一太「ご褒美じゃないか」 

スネ夫クール一太はこの目を使う度に呆れてしまう、何故『悲鳴』をあげるのかと。

因みにこの技は同じロリコン(同志)には通用しない。

ドサッ…… 

ι゛ょ眼の力が解けると共に京太郎は倒れ込む。 

先程までの出来事は全て幻覚、勿論この世界で京太郎の姿は勇者のままだ。 

一太「ジャスト三分だ、良い夢は見れたかな?」 

京太郎「……」ピクッピクッ

一太「……気絶するなんて理解出来ないよ」 

そう、我々の業界ではご褒美です。 

一太「さて、トドメだ」 







「ちょっと待ったー」 







一太「!!」 

一太「なっ……!あっ……!」 

一太「うたたん……」 










咏「この勝負、私に預からせて貰えねーかなー?」ニッ

哩「……?」 

灼「誰?」 

姫子「…………知らんと」 

菫「属性省の元エースの内の一人……」 

哩「あの伝説の五人組の!?」 

衣「花屋の咏じゃないのか?」 

菫「……今はそうだな」 

話し合う五人をよそ目に交渉が始まった。 

一太「“友”から話は聞いています」ハァハァ

咏「元々敬語使うキャラじゃねーだろお前」

一太「うたたんでもそれは出来ません」ハァハァ 

一太「僕には目的があるからね」ハァハァ 

一太「出来ることなら貴女も……」ハァハァ 

咏「それだけはねーわ」 

顔を青ざめて却下、今にも一太を殴り飛ばしてしまいそうな程に嫌悪感を抱いている。 

咏「……」ハァ

咏「仕方無いのかね、知らねーけど」 バサッバサッ

扇子を扇ぎながら一つの条件を出す。

咏「じゃあ次こいつに君が勝ったら、揉んでいーよ」 

一太「……」 

咏「わたしの胸」

 負けてしまった―― 

 情けない、勇者になると言ったのにこのザマだ。 

「起きろー起きろー」ペシペシ 

「京太郎、起きて」ツンツン 

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             .|':./  |:.:.:.:∧:. /|:.:`¨¨へ          '´      ./ iル′ 
             .|/'  |: / ∨: !、:.::/ |>o。_          /  .!-ー--  .._ 
           {.     |:./   ∨{. Y/ |:.:.:.:./i:.:¨7 T¨¨¨¨¨¨´    ^ー 、     ` ̄ 

 咲……? 

京太郎「!?」ガバッ 

    / .:.:::::::|:::::::|::::::::::::::::::ト、:::::::::::\:::::::::l:::::::::::::.:.:.:.:l.:.:.:.: 

    / .:.:.:::::::|:::::lハ:::::::::::::::::|  ;::斗匕::ヽ::::l:::::::i:::.:.:.:.:.:.l.:.:.:. 
.    ′.:.:::::::::|:::::| 乂:::::::::::::|/ヾ::| \:::/Ⅵ:::::: l:::::::::.:.::l.:.:.: 
   ..i|.:.:..:::::-|-一  >- "   孑斧气メ 〉.|::::::::l::::::::::.:.:l.:.:. 
.   |.ハ.:.:::::::|::|::::::|二.        `込 ソ / |::::::::l::::::::::::.:l.:.:. 
.   |:{ |.:.::::::|::l/ ::|气メ `       `””’   | ::::::l:::::::::::::.l.:.::: 
.   |:{ |.::::::::|从::::込ソ        〃〃   |::::::/::::::::::::.:l.:.:.: 
..  乂 l:::::::::V::マ::`”’            /:/:::::::::::::::.:l.:.:.: 
.      l.::::::::乂入::|〃 ′       /:::::::::::::::::::::::::/::::.: 
      l.::::::::::::}::::}:|    - ‐ '′/::::::::::::::::::::::::::/::::::::: 
      乂::::::::乂:人./ ̄/〉   ./::::::::::::::::::::> '::|:::::::::::::: 
        > :::::::ヽ/  //、 __/:::::::::> '´ ̄__」、:/::::::::::::: 
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咏「やっと起きたねぃ」 

京太郎「……」

京太郎「俺は……」 

仰向けの京太郎の眼前で座り込む咏は京太郎に閉じた扇子を向けながら話を始めた。

咏「勇者化も解けてるみたいだねぃ」 

京太郎「貴女は……誰だ?」 

咏「三尋木咏」 

咏「咏でいーよ」 

京太郎「俺を……助けてくれたんですか?」 

咏「わっかんねー」 

京太郎「え?」 

咏(その気になればあんな雑魚……) 

咏「だが、君の可能性にかけて見たくてね」 

咏「名前は?」 

京太郎「須賀……京太郎です」 

咏「じゃあ君は少年だ」 

京太郎「それ俺から名前を聞いた意味が無いですよね」 

咏「おお、才能の塊だ」 

灼「私もそう思います」 

京太郎「職種改めろってか?勇者をやめて漫才師のツッコミ役をやれってか?」 

咏「まぁでも……」 

咏「私の貞操がかかってるから死ぬ気で特訓だ!!」クワッ 

京太郎「え!?何があったの!?」 

咏「まずは特殊技能!知らねーけど!」 

京太郎「知らなかったら話にならねーよ!特殊技能ってメタいよ!」 

咏「他にもあるけどそれは後!」 

京太郎「なんすか他って!?」

咏「こいつ預かるね」 

京太郎「は?」 

春「え?」 

京太郎「お前は服を着ろ」 

哩「私達は?」 

咏「ノーセンキューだね、わっかんねー!」ケラケラ 

春「……」 

咏「行くぞ少年」ホレホレ 

京太郎「そういえば俺の意思は!?」 

咏「わっかんねー」 

こうして師弟?の二人は去って行った。 

灼「私の力不足……」 

春「……」 

哩「……」

京太郎「なんだここ……」 

着いたのは小汚い建物、古めかしいといった言葉が似合っていた。 

咏「これでも昔は繁盛していたのさー知らんけど」 

京太郎「どっちだよ」 

カランカランッ 

建物内はハイカラ、大正ロマンと言った物を感じさせた。 

咏「大正になったばかりの時に作られたんだよ、流行ったのは二次大戦後」 

咏「今で言う所の喫茶店、昔で言う所のカフェーだね。あっ……風俗営業なんてしてないよー」 

京太郎「何処となく懐かしいですね」 

咏「ふふっ……そう言ってくれると嬉しいね」 

京太郎「……何ですか?あの服」 

咏「袴と中折れ帽とスリーピーススーツだね、カンカン帽も似合ってたけど流行から外れてたらしいよ」 

京太郎「??」 

咏「昔の客の話らしいよ、その時私は会ってなかったから」

奥から刀を持った少女とモノクルをかけた少女が顔を出す。 

京太郎「……」 

京太郎(刀持ってるんですけどこの人!?) 

那岐「……!」ビクッ

塞「あ、お客さんだ」

咏「残念だけど客じゃないよー」 

塞「なーんだ、残念」 

塞「お花屋さんの方は大丈夫なの?」 

咏「しばらくお休みだなー」 

那岐「ねぇ……」

咏「だから私を信じろと言っただろう?」

那岐「……」

塞「あ、君は生徒会の……」 

京太郎「元・ですね」 

塞「そうだったんだ。ごめんね」 

京太郎「気にしないでください」 

塞「ありがとう!それじゃあ自己紹介だね!」 

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塞「私の名前は臼沢塞!塞って呼んで!」

那岐「新免那岐……」チャキン 

京太郎「分かりましたからこっちに刀を向けないでください」 

咏「あっはっは!刺されないように気を付ける事だね!わっかんねーけど!」 

那岐「刺さない……」ムッ 

京太郎「それなら俺に刀を向けないで!」

那岐「……」チャキン

塞「あはは、変だけどいい子だから」

京太郎「特徴的ですね二人とも……」アハハ 

塞「って……モノクルだけでしょー!」 

京太郎「十分変ですよ」

那岐「刀だけ……」 

京太郎「それの事だよ!」 

咏「とまぁ……一息ついた所で」 

咏「特訓開始だね」 

京太郎「はい!!」 

咏「お、ノリノリだねぃ」 

咏「じゃあまずは好感度だね」 

京太郎「え?」 

塞 好感度 43 
那岐 好感度 2 
塞 相性度 79 
那岐 相性度 122 


咏「おお、那岐ちゃんと少年の相性は抜群だねぃ!」 

那岐「……不服」 

京太郎「めっちゃ嫌われてるんですけど」 

那岐「……」 

咏「ただの照れ隠しだぜー!しらんけど」 

塞「じゃあ次は咏さんの見てみましょうよ!」チャキッ 

京太郎「そのモノクル便利ですね」

咏「え、私?」 

咏 好感度 14 
咏 相性度 188 


塞「おっ……!」 

塞「出た出た♪」 

咏「まぁ結果は……きまってるでしょ。知らねーけど」 

塞「那岐より相性良いよ!好感はまぁ……うん」 

那岐「私より……」 

塞「そこが気になる所だね」ニヤニヤ 

咏「ふふっ……」ニコッ 

京太郎「?」 

咏「そんな事より特訓特訓!」ボオォ 

咏の扇子から火の玉のような物が現れた。 それは淡く緩やかな光を発していいる。

京太郎「これ……何ですか?」 

咏「魂」ケロッ 

京太郎「ひいいぃぃ!!??」ズザーッ 

咏「害はないから安心していーよ」 

京太郎「……」ホッ 






咏「知らねーけど」 

京太郎「タイミングおかしいですよぉ!?」 

那岐「初めて見た……」 

塞「私も見せてもらった事無いな」 

咏「この少年“だけ”の特訓さ」 

ボォォォ 

京太郎「これをどうしたら……?」 

咏「掴めば良いのさ」 

京太郎「掴む……?」 

咏「心を掴むのと一緒」 

京太郎「心?」 

咏「少年の魅力を取り戻すのさ」ニヤッ 

 咏さんは儚げかつ誇らしげに遠くを見ているようだった。 

京太郎「掴めば……良いのか?」 

コォォォォォォ 

 手を伸ばして……

京太郎「うっ……」 

塞「京太郎君!?」 

ドックンドックン 

那岐「!?」 

京太郎「……!」 

ドックンドックンドックンドックンドックンドックンドックンドックンドックンドックンドックンドックン!!!! 

京太郎「あっ……!?」 

咏「大丈夫」 

京太郎「かっ……!?」 

 なんだこれは? 

 どうした?何があった……? 

 苦しい……!息が……! 

ドサッ 

咏「選択はまだ出来ないと思うけど」 

咏「惹かれる先は分かるでしょ?」 

咏「ね?……京太郎」

那希「私は……?」 

咏「さぁ?」

??「おーい」ユサユサ 

京太郎「……」 

??「ほら、起きーや」ユサユサ 

京太郎「ん……?」ムクッ 

変わらない景色、咏達が居ない事を除けば。 

京太郎「客が居る……?」 

??「失礼な事言うたらあかんでー」 

京太郎「あ、すいません」 

時代遅れの形のスーツに袴、平成に似つかわしく無い格好の人間が散見された。 

京太郎「……」 

京太郎(古めかしい学ランにこれまた時代遅れの学生帽か……) 

??「肩に布なんか羽織っちゃっておしゃれやなー」 

京太郎「……」 

??「なんてな、思い出したか?」 

京太郎「何をですか?」 

??「……まぁええわ」 

??「そんな事より、求めてるんやろ?」 

??「ち・か・ら」ニヤッ 

赤髪の女給は不敵にかつ大胆に笑みを浮かべる。 

余りの大胆さ故に、京太郎はまるで時間が止まったかのような錯覚が起きていることだろう。

京太郎(今の俺は学生なのか?)

??「あ、一張羅着る?」

京太郎「……いや、いいです」

??「まっ……」 

??「京太郎なら出来るって信じとるで~」ナデナデ 

京太郎「子供扱いはよしてくれよ」 

慣れた動作で自分の頭を撫で回していた女給の手を掴む、慣れた動作で。 

京太郎(あれ……?)

??「……」 

正直の所、女給は驚いただろう、思いもよらぬ反応に、だ。 

??「信じるのも余計やな……楽勝や」

??「本当はもっとひょうきんなんやけどなー」 

京太郎「……?」 

??「まぁ、うちは京太郎に賭けとるんや」 

京太郎「よく分からないですけど……」 

??「安心しぃ……きっと分かる時が来る」 

??「さっ……うちの手を握るんやで」 

その手はどことなく懐かしかった。 

ギュッ 

京太郎「うわっ!あっつ!?マグマだ!」 

??「マグマちゃうわアホォ!」ペシッ 

京太郎「めちゃくちゃ熱いんですけどこれ」 

??「うちの手をこれ言うなや」 

??「適正大合格、百点満点やで」 

京太郎「本当ですか!?」 

??「ほんまやで~」 

??「特殊技能も今ならなんと!二つ!」 

京太郎「セールスマンが向いてそうですね」 

??「と言うわけで……お別れやな」 

京太郎「え……?」 

??「やっと会えた……やっと成仏できる……」

そう言うと、この人は俺の手にドスを握らせる。

京太郎「……!」

抵抗ができない。

??「ごめんなぁ、でも死ぬ訳や無いから安心してや」

??「うちは生きとるで」

??「あの娘とあの男、うちが手伝ったんやからな……」ブツブツ

京太郎「ど、どういう事だ……」

??「京太郎が積み重ねた来た事に無駄は無いってことや」ニコッ

??「誰も怒ってないから安心してや~」

京太郎「悪ぃな……あははっ」

??「……」ニコッ

京太郎「!?」ハッ

??「大好きやで、京太郎」ニコッ

京太郎「!」

ブスッ

この人は俺の手を使って無理矢理自殺した。

――闇の奥を漂っている。

自分で移動をしているかのような、運ばれているかのような。

「ーーきて」 

ペシペシ 

??「起きて」ツンツン 

京太郎「ん……」ググッ 

??「気が付いた?」 

京太郎「……次もピンクか」 

??「?」 

京太郎「ここは?」 

?「ドイツ帝国」 

京太郎「……はい?」 

?「ドイツ帝国」 

京太郎「おれさっきまで日本に居たんですけど……」 

?「……分かった」 

京太郎(確かに言われてみたら……服装が教科書で見る所の軍人に……) 

?「――最後の役目だね」 

京太郎「へ?」 

?「どうぞ」チャキッ 

渡されたのは拳銃。京太郎は意図を理解出来ていなかった。 

?「これで私を撃って欲しい」 

?「もう疲れた」 

京太郎「……」 

京太郎「どうして俺に……?」 

京太郎「それに人殺しなんか……!」 

?「今は何も言えない……だから」 

拳銃を握る京太郎の手に女帝の手が添えられる。 

?「無理矢理にでも」グッ 

京太郎「!?」 


タァンッ 

京太郎「……!」 

?「そう、それでいい」ゴフッ 

止まっていた時が動き出すかのように…… 

景色が回る。





京太郎「!」 





気が付いたら、今へと戻っていた。 

咏「お疲れ様」 

京太郎「あ……あ……」ポロポロ 

咏「どうして泣いているのかなっ?」 

京太郎「わ……分からないけど」 

京太郎「分からないけど涙が……」ポロポロ

師となる人間は京太郎の様子をじっくりと観察する。 

咏「ふむふむ……」 

咏「二人も見たのか……」クククッ 

京太郎「なんだったんですか……!」ガシッ 

袖を掴み糾弾するかのように問い詰める。 

京太郎「あれは夢ですか?それとも……」

何かにすがりたくて仕方が無い目だったが―― 

咏「現実だよ。私は一部しか知らないけどね、いや、一部しか見れなかった」 

その思いは届かない。 

京太郎「どうして……どうしていつものように知らないとか言ってくれないんだよ……」ガクッ

咏「下を向くな、上を向け少年」 

咏「胸を張れ」 

京太郎「……!」 

咏「悪いけど今はまだ何も教える事が出来ないんだ」 

京太郎「分かりました……」ググッ 

咏「少年……運命は信じるか?」 

京太郎「信じません……」 

咏「そうか……それでも君が変わるきっかけは全て運命なんだよ」 

咏「白水哩と鷺森灼と出会ってから須賀京太郎の運命は動き出したんだ」

咏「傍観はもうやめたのさ」

京太郎「なんだったのかよく分からないけど……」 

塞「分からないんだ……」 

京太郎「そんな事よりも俺は副会長をぶっ飛ばす……!」 

京太郎「細かい事はそれからだ!」 

那岐「……」 

咏「変わったねぇ……」 

咏「さっ!!」 

咏「特訓終了!」 

京太郎「はぁ!?」 

京太郎「特訓と言う名の過去編ですよね!?」 

咏「わっかんねー全てがわっかんねー」 

京太郎「ずりぃぃぃ!」 

咏「そんな事よりも女の子と仲良くなって合体のバリエーションを増やす!」 

咏「情報収集パートとギャルゲーパートが待ってるよ!」 

京太郎「あんた何者だよ!?」 

今日の分はここまでです。

地味なセリフ変更もあっちゃったりします

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