女「怪奇探偵?」(486)


・・・心霊現象、妖怪、UMA、宇宙人・・・

皆さんも一度くらいは聞いたことあるでしょう。

私はね···怪奇の専門なんですよ。

今日もまた···事務所の扉が開く。ギィィ···バタン···

探偵「さて、今回のお客様は···」

女「あのォ···さっきから何をブツブツ言ってるんです?」

探偵「おっと、これは失礼したお気になさらず···」

女「では、話を始めますね···。」

あれは···夜道を歩いていた時でした。

非通知の番号でした。 ピロロロロ···ピロロロロ···

不安を感じつつ、ワタシは電話に出ました。

『もしもし?どなたですか?』

返事はありませんでした。

でも、そのとき···背後から低い声で

···オマエハ、イケニエ···ワガ···イケニエ···と。


声が響くんですよ···何度も何度も繰り返し···

怖くなって私は走りました。

そして、家に着いたとき···違和感を覚えたんです。

『なんか・・・背中が熱いな』って。

鏡で背中を見たとき···絶句しました。

火傷みたいに赤く腫れて、獣みたいな手の後が残ってたんです!!

探偵「フムッ···それで、原因を知りたいと?」

女「はい···それに···メールが来たんです。」スッ···

探偵「どれどれ···『次の満月の夜にお前の命をいただく』ねぇ···」

女「お願いしますッ!私を助けてくださいッ!」ポロポロ···


早速、私は夜道周辺で聞き込みをする。

探偵「ここ最近、夜に変わったことはありましたか?」

主婦「ウ~ン···そうねぇ···特にないわねぇ···」

探偵「そうですか、ありがとうございました。」クルッ···トタトタ···

探偵「次はこの家だ・・・」ピンポーン···

\ハーイ/ ガチャ···

青年「何の用ですか?」

探偵「ここ最近、夜に変わったことはありましたか?」

青年「変わったこと···あっ···そういえば···」

探偵「何かあるんですか?」

青年「最近、犬の様子がおかしくて···」

青年「毎晩になると何故か身震いしてるんですよ···」

青年「最初は寒いだけなのかなぁと思ったんですけど···」

青年「服を着せても身震いしてるし···こんな話ですけど。」

探偵「そうですか、ありがとうございます。」クルッ、スタスタ···


探偵「さて、この家が最後だ・・・」ピンポーン···

シーン···

探偵「留守か?」ピンポーン···

シーン···

探偵「やはり留守か···帰るとしよう···」クルッ···

そのとき···ドアが開いた!

探偵「ワァホゥツ!?」ゾッ···

ギィィ···ガチャ···

恐る恐る振り向くと···。

美少女「あの···家になんの用ですか···」

探偵「ホッ···アセッタァ···ビックリサセンナヨ···」

美少女「あのォ···」

探偵「お気になさらず···ところで、ここ最近
   夜に変わったことはありましたか?」

美少女「変わったこと···そうですね···あっ!そういえば···
    3日前の夜···黒コートの男がうろついてましたよ。」


探偵「他に特徴はありませんでしたか?」

美少女「あの山に···合図を送っていた気がします···」

探偵「フムッ···どうもありがとうございました。」ペコリ···

美少女「いえいえ···」

こうして、町での聞き込みは終了した。

探偵「(黒コートの男···犬の怯え···有力な情報は得た···)」スタスタ···

探偵「(明日は例の山を調べてみるか···)」スタスタ···ガチャ···ギィ···

探偵「ただいま···」ハァ···

狐娘「おかえり~」バリボリ···

探偵「オイッ···それ、私の煎餅じゃないか···」

狐娘「ファイ?」フリフリ···

探偵「『ファイ?』じゃねぇよッ!!」

狐娘「別にイイージャン···ケチな男は嫌われるよ?」フリフリ···

探偵「ハァ···分かった···煎餅はくれてやる···」

探偵「ただし、油揚げは1ヶ月なしだ···」ニヤリ···

 
狐娘「卑怯な手を···グムムム···」

探偵「さぁどうする?」ニヤニヤ···

狐娘「ああもうッ···煎餅返すわよ···」サッ···

探偵「よしよし、いい娘だ」ニコニコ···

狐娘「それで···聞き込みはドーダッタの?」

探偵「手応えありだよ···」グッ···

狐娘「まっ、セイゼイ死なないようにネ···」シュン···

そう言うと、狐娘は消えた···。

探偵「まったく···あの狐は···さて、明日の準備をしなければ···」


探偵「···お札···鏡···あとは···煎餅···」ギュッギュッ···

探偵「って···いかんいかん···遠足気分になってしまった···」コホン···

探偵「これでよし···風呂入るか···」スッ···トタトタ···

トタトタ···ガチャバタン···

···スゥッ···

狐娘「しめしめ···今のうちに煎餅を♪···」フリフリ···

狐娘「ゲットだァァァッ!」パシッ、ガッ···バリボリ···

狐娘「ワァほーーいッ!!うまぁぁぁいッ!」バリボリ···

狐娘「やめられない、とまらない♪」バリボリ···フリフリ···

狐娘「ご馳走さまでフゥ···さて、隠れるかなぁ···」フリフリ···

「隠れるだとぉぉぉぉ···」ゴゴゴゴゴッ

狐娘「ヒッ!そ、その声は···」アセアセ···ガクガク···

ポキポキ···

探偵「ゆるざんゾォォォォォ」カッ!

狐娘「ヒェェェエエェッ!!」


探偵「必殺・お札貼りッ!!」ペタペタペタッ

狐娘「ギャアアアアアッ!痛いィィィィィィィィィッ!!」バチバチ···バチバチ···

狐娘「許してよォォォォッ!!」ジタバタ···ジタバタ···

探偵「ダメだ、お札はしばらく剥がさん
···煎餅を食ったことを反省しろ」

狐娘「クゥゥゥゥッ···」ジタバタ···ジタバタ···

探偵「朝になれば···剥がしてやる···」クルッ、スタスタ···

~次の朝~

ピチチチ···ピチチチ···

ジリリリリリンン、グッモゥニン···グッモゥニン···

目覚まし時計の音で私は目覚めた。

探偵「狐娘のお札を剥がすとするか···」


探偵「剥がしにきたぞ···狐娘···」

狐娘「早く剥ガセ、剥ガセッ!」バチバチ···バチバチ···

ベリベリベリ···

ガクッ···ゼェゼェ···

狐娘「···死ぬかと思った···。」フリフリ···

探偵「これに懲りて、盗み食いはやめろよ?」

狐娘「仕方ない、承知した···」

探偵「それじゃ、留守番よろしくな···」

狐娘「···いってらっしゃい···」フリフリ···

ガチャ···バタン···

探偵「山へ出発だ···」スタスタ···

例の山にはどうやら小さな村があるようだ。

かつて、そこではある儀式が行われていたらしい···。

生け贄に印をつけ、命を奪う···儀式が···。

とにかく、真相を確かめなければならない。

 
プシュ···ドアガヒラキマス、ゴチュウイクダサイ···

山行きのバスが到着した。

バスは満席で、座れない···。

仕方なく···つり革を握り、私は外の景色を眺めていた。

ゆっくりと流れていく雲を見て···ボンヤリとした。

ユラリ、ユラリと体が揺れながら···。

それを繰り返して、2時間···バスは目的地前に着く。

プシュ···ドアガヒラキマス、ゴチュウイクダサイ···

スタスタ···ピタリ···

探偵「ここが···“蛾蛇村”···」ゴクリッ···


ブワァ···バサバサ···

崩れた家屋···その家々に囲まれ···崩れていない家が一つ···

探偵「···異様な景色だな」カツカツ···

カツカツ···カツカツ···カツカツ···

急激な過疎化により、この村は消えた···。

普通ならば、そう考えるだろう。

だが、私は違う···これまでの経験から···

『これは儀式のせいではないか?』と考えている。

···コンコン···コンコン···

探偵「···どなたかいらっしゃいませんでしょうか?」コンコン···

\ハーイ、イマアケマスヨ~/

ガチャ···

老婆「どちら様?」

探偵「私、怪奇探偵事務所所長の探偵と申します。」


探偵「この村で行われていた儀式について
お聞きしたいのですが···」

老婆「···それは···言えんことよ···」

探偵「何故です?」

老婆「よそ者に儀式の内容を喋れば···
···聞いたよそ者は死ぬからじゃよ···」

探偵「···お気遣いなく、私は簡単に死にませんので。
   ですから、儀式のことを教えてください。」

老婆「···お主、本当に良いのじゃな?···」

再度、老婆は脅すように言う。

探偵「はい、もちろんです。」

どこか、悲しげな顔をして···老婆は言う。

老婆「立ち話もなんじゃから···家にお入り···」

探偵「はい、ありがとうございます···」ガチャ···バタン···


老婆「お茶じゃよ···」コト···

探偵「ありがとうございます。」ズゥッ、ゴクゴク···

探偵「では、お聞かせください。」コト···

老婆「そうじゃな···もう十年も前の話じゃ···
    あの頃の村は活気があっての···」

彼女は語りだした···凄惨な記憶を···。

村は山中にあり、村民は毎日···平和に暮らしていた。

ある日のことだ。

一人の少年が立ち入りを禁じられている祠に

立ち入ってしまった。そこで彼は壺を見つけた···。

『ん?なんだろうこの壺?』

ゴトッ···ゴトッ···

中には何かが入っているようだった。

『何が入ってるんだろう?』

少年は壺の中身が気になった。


『壺を開けたいなァ···そうだッ!もって帰って開けようッ!』

少年は好奇心に勝てず、壺をもって帰ってしまった。

翌日···少年とその家族の姿は忽然と消えていた。
···家には生々しく壁一面に残る血痕と壺だけが残されていた。

村人達はこの事態の原因に気づく···。

『“儀式”じゃ···“狼様”の生け贄じゃ···』

壺は生け贄を喰らい、次の家に向かう。

そして、村人十人を喰らうと···壺は祠へ戻る···。

狼様は悪魔···壺に生け贄をささげることで···

封印を解いた者は願いを叶えられるのだ。

『誰だ···壺の封印を解いた奴はッ!お前じゃないのかッ!』

『いいや、違うッ!アンタだろッ!』

誰が封印を解いたのか···村人達は次第に交流することがなくなった。


そして···壺は惨劇を恐れた村人の手で破壊された。

···惨劇は終わったかにみえたが··次の日の朝···

『キャアアアアアアッ!!』

村の若い女性達は背中に爪跡のような傷があることに気づいた。
そして、声が聞こえた。

『オマエハ···イケニエ···ワガ···イケニエ···』

恐怖を感じた女性達のもとへ、追い撃ちをかける手紙が届いた···。

『次の満月の夜にお前の命をいただく』

そして、次の満月の夜···。

ギャァァアアァアアッ!!!! ヤメテェェエッ!!···ブシャァアァアァァッァア···ビト···ビト···

女性達の叫びが村のあちこちでこだまする···。

村の男達はその叫びを聞き、女性達のもとへ駆けつけた。

しかし···目に飛び込んできたのは···

飛び散った血の跡と変わり果てた女性達の遺体であった。


男達は驚愕した···あまりの惨さに···。

···その後···十年間···

事実を知っている村人は少しずつ村をさっていった。

恐れたのだ···自分も同じ目になることを。

老婆「以上がこの村で起こったことの全てじゃ···。」

老婆「悲しい話じゃ···もう、ここに住むのはアタシ一人···
この村もじきに消えるじゃろう···。」

探偵「···もう少しだけ聞いてもいいですか。
   “狼様”は今、どこにいると思いますか。」

老婆「···言い伝えでは、封印される前···狼様は
   山をおり、満月の夜に若い娘を喰らっていたそうじゃ···」

探偵「なるほど···ありがとうございます。」


私は老婆に一礼し、村を出た。

プシュ···ドアガヒラキマス、ゴチュウイクダサイ···

帰りのバスが到着した。

私はここまでの情報を整理していた···。

儀式は最初、壺に生け贄を捧げることで成立していた。

だが、壺が破壊された後···若い女性達が無差別に捧げられた。

その前日、その女性達には背中に獣の爪跡があった。

···この事実は村人しか知らない。

“狼様”が仮に老婆の言うとおり、悪魔だとするならば···

生け贄を捧げるために壺の代わりが必要となるはずだ。

問題はそれが何かだが···現時点ではまったく分からない。

ん···まてよ···確か、美少女さんが言ってたな···。

『あの山に···合図を送ってた気がします···』


遠くの山に伝わる合図···仮に狼煙だとすると

···犬が怯えていたのは、

狼煙の臭いにストレスを感じていたからか?

···ここは一つ、帰ってから狐娘に頼んでみるか。

狐娘は獣の妖であるがために、獣の声を聞くことができる。

これまでに、幾度も私は彼女の能力に助けられた···。

動物を改造し、兵器にしようとした“キマイラ事件”は

彼女がいなければ、解決できなかっただろう。

プシュ···ドアガヒラキマス、ゴチュウイクダサイ···

もう、2時間も過ぎたのか。

つい、推理に没頭してしまった···。


ギィ、ガチャ···

探偵「ただいま、狐娘」

狐娘「おかえり」ムシャムシャ···

狐娘「今日の成果は?」ムシャムシャ···

探偵「···食いながら喋るなよ···」

探偵「“儀式”のことをバッチシ聞けたよ」

狐娘「ふーん···明日はどうするノ?」ムシャムシャ···

探偵「町で二度目の調査だ···お前もついてこい···」

狐娘「ええェッ···明日もゲームするつもりだったのに···」

探偵「報酬は“お・ム・ス・ビ・煎餅”だが?」

狐娘「なぬぅッ···うん、いくよッ!!」

 
探偵「(フッ···チョロイな···)」ニヤッ

狐娘「ムッ···今、失礼なこと思ったデショ···」ジィ···

探偵「いいや?」キョトン

狐娘「(嘘つきめ···)まあいいわ···」

狐娘「明日は何を調べればいいノ?」

探偵「犬が怯えた原因と犯人の特徴を頼む。」

狐娘「リョーカイ···じゃ、おやすみなさい···」シュン···

二度目の調査で何が分かるのか···。

探偵「ファァ···寝るか···」スタスタ···

ガチャ、バタン···

~次の朝~

ピチチチ···ピチチチ···

ジリリリリリリリン、ウェイクアップ!ウェイクアッp···ピッ···

探偵「朝か···ヨット···」スタスタ···


コンコン···コンコン···

探偵「狐娘、起きろ···」コンコン···

ガチャ···

狐娘「ウルサイなぁ···睡眠不足なのに···」ムニャムニャ···

探偵「夜更かしするからだろ···さっさとメシ食ってでかけるぞ」

・・・10分後、朝食。

今日のメニューはトースト、オカラコロッケ、サラダだ。

そして、先月からずっと、同じメニューだ・・・グスッ···

探偵「うまい、あー美味しいなぁ···グスッ···」パクパクッ···

狐娘「どんだけ、貧乏なのアンタは···」ムシャムシャ···

探偵「う、うるさいッ!仕方ないだろ、依頼が少ないんだからッ!」

狐娘「はいはい···」ムシャムシャ···


・・・20分後、出発。

ガチャ···バタン···

探偵「さて、いくぞ···」カツカツ···

狐娘「ハァ···また、バス代をケチって···」ジト···

探偵「ち、違う···断じて違う···健康のためだ···」カツカツ···

狐娘「はいはい···」スタスタ···

探偵「···歩きついでに一つ聞いていいか?」カツカツ···

狐娘「ん?」スタスタ···

探偵「今回の事件、お前はどう思う?」カツカツ···

狐娘「···確かに悪魔の仕業に見えなくもないけど···」スタスタ···


狐娘「少し違う気がするヨ···なんで
   “壺”から生け贄を喰う必要があったのか」スタスタ···

探偵「やはり、そう思うか···」カツカツ···

探偵「(封印されていたとしても、壺を動かす力があれば、
   自力で抜け出ることも出来たはず···)」カツカツ···

探偵「謎が深まるな···ウーム···」カツカツ···

狐娘「そ・れ・よ・り、約束は守るよネ?」スタスタ···

探偵「あーハイハイ···“せんべい”だろ···」カツカツ···

狐娘「わかってるならいいワ♪」スタスタ···

探偵「···しっかし、お前もホント変わったよな···
昔はツンツンしてたのに···」カツカツ···

狐娘「な、なにいってんのよ///」スタスタ···


狐娘「···ソレハ、アンタノセイヨ···」スタスタ···

探偵「何かいったか?」カツカツ···

狐娘「べ、別に···」スタスタ···

探偵「そうか···お、町が見えてきたぞッ!」カツカツ···

狐娘「やっとネ···」スタスタ···

探偵「さ、ラストスパートだッ!」ダンッ、タタタタタ···

狐娘「ちょッ!!まってよッ!!」ビューン···

毎回、目的地が見えてくると、ついダッシュしてしまう。

···この癖はなおらないだろう···たぶん。


・・・50分後、町で調査開始。

ピンポーン···ガチャ···
青年「あなたは一昨日の・・・何の用ですか?」ジィ-···

探偵「犬について、お聞きしたいことがあります。」

青年「べつに、いいですけど・・・急に何故?」ジィ-···

探偵「私はこうみえても、獣医だったことがありましてね・・・(もちろん、嘘だが···)
ほっとけないんですよ、弱っている動物は・・・(これはホントだ···)」

青年「そうでしたかッ!すいません、疑って···実は一昨日、あなたが帰った後
悪質な訪問販売があって···あなたがグルじゃないかと。」

探偵「その話、実に興味深いですね···
   犬を診た後に詳しく教えてください。」

青年「分かりました、犬は庭の小屋にいます···」スタスタ···

探偵「あっ、待ってくださいッ!」

青年「何ですか?」ピタッ···

探偵「申し訳ないですが、診察は見ないでいただきたい···
気が散ると犬が危ないので···」

青年「分かりました···ではお願いします。」クルッ、スタスタ···

青年には家で待ってもらう。

探偵「早速だが、犬と対話してくれ。」

狐娘「オーケー、始めるわ···」フリフリ···

狐娘は犬の目を見つめはじめた・・・。

狐娘「・・・フムフム」ジィ···

犬『(イヤナニオイ···チトケムリ···クルシイ···コワイ···)』ブルブル···

狐娘「(大丈夫よ、ワタシがアンタの不安を消してあげるから···)」ニコッ···

犬『(ホントニ?···ウソジャナイノ?)』ブルブル···

狐娘「(うん、だから教えて···アンタが言うその臭いは誰のせいなのか)」

犬『(···オトコ···ヤマノノホウヘ···チノニオイガスルケムリ···オクッテタ···)』

狐娘「(男はどこに消えたの?)」

犬『(ヤマノホウニ···ノボッテイッタ···)』

狐娘「(そう···ありがとう、臭いの原因は必ず消すからねッ!)」

犬『(···マッテルカラネ)』

プシュン···カッ···

対話が終わり、狐娘が目を開いた。

そして、口を開き言った。

狐娘「アンタの予想どおり、犯人は“元”村人かもね···」フリフリ···

探偵「そうか···ありがとう。」ナデナデ···

狐娘「ちょッ!気安くなでないでよ///」パシッ!

探偵「ワルイワルイ、お前の耳は触り心地いいからつい···」

狐娘「まったく···で、次はどこ調査するつもりよ」フリフリ···

探偵「次は美少女の家だが···それは青年の話を聞いてからだ。」

狐娘「それじゃ、ワタシは先にその家に行くワ···」スゥ···

そう言うと、狐娘は消えた。

探偵「さて、話を聞くとするか···」スタスタ···スタスタ···

ピンポーン···ガチャ···

青年「どうですか?犬の様子は?」

探偵「もう大丈夫ですよ」ニコッ···


犬「ワンワンッ!」クルクルッ···

犬は元気をとり戻したようで、クルクルと私の周りを回っている。

青年「ありがとうございますッ!」ペコリ···

青年「何かお礼を···」

探偵「それでしたら、例の“悪質な訪問販売”を話してくれませんか。」

青年「えッ、話がお礼でいいんですか?」

探偵「いいですよ、私は気まぐれで治療しただけですから···」

青年「分かりました、では···」

ここから青年の話が始まった。

青年「貴方が帰った後···」


貴方が帰った後···5分後ぐらいにソイツは現れたんです。

ピンポーン···ガチャ···

青年「はーい、どなたですか?」

黒コート「ワタクシ、こういう者です···。」スッ···

青年「明六壺(株)?訪問販売ですか···」

黒コート「ええ、訪問販売限定で···」

そう言うと彼はバッグから赤い壺をとりだしました。


真っ赤な壺でした···そう、血のように···。

黒コート「鮮やかな赤で綺麗でしょう?」

青年「確かに···でも高い···」

黒コート「ご心配なくッ!ただいま、セール中ですので···」

黒コート「半額でお売りいたしますッ!」

青年「え、ウーン···どうしようか···」

青年「じゃあ、買おうかな···」

壺なんて全然欲しくなかったのですが···。

買って後悔したのはその夜のことです。

ガサゴソ···ガサゴソ···


壺をおいた玄関のほうから声が···したんです···。

ドコダ···イケニエ···ドコダ···

青年「誰だッ!?」スゥッ···

シーン···

玄関には誰もいませんし、壺も消えていました。

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______

___


探偵「そうですか···ありがとうございました。」

青年「・・・」

探偵「?···どうかしましたか?」ポンッ···

ガクッ、バタン!

青年は突然倒れてしまった!

探偵「大丈夫ですかッ!!」

青年「···ウッ···」パチリ···

探偵「目が覚めましたか、良かっt···」

ズバッ···ピトピト···

青年「ウガァァァァアァッ!!」ギラン

探偵「グゥッ···な、何で······」ヘナヘナ···バタリ···

青年は豹変し、狼のように鋭い爪で探偵に襲いかかった。

「よくやった···その男を運ぶぞ···」

その言葉を聞いてすぐ···私の意識は途絶えた···。


探偵「···ウッ···ここは···」ジャリィ···

「おはよう···探偵君···」

探偵「お前はッ!黒コート!!私をどうするつもりだッ!」ジャリィ···

黒コート「君達は儀式の邪魔をしようとした···」パチン···カァンカァンカァン···

指が鳴り、スポットライトが照らす先には・・・。

狐娘・女「ムグムゥッ!」ジタバタ··· 

探偵「狐娘ッ!女さんッ!」ジャリィ···

黒コート「安心しろ···君達は我が野望の贄となるだけだ。」ニヤッ···

探偵「させるかッ!」ダンッ、ジャリィジャリィ···

黒コート「フンッ、後は我が傀儡に任せよう···。」スゥッ···

青年・美少女「ガァァァァイウッ!」ギラン···

行く手を阻まれ、自由に動けないこの状況···

どうすれば···どうすればいいんだ!?

青年・美少女「ガウアッ!」ダダダダ···

それを考える暇を敵は与えない···。


探偵「せめてお札さえあればッ!」ジャリィ···

青年「ガァッ!」ザシュン···ザシュン···

ズバッ!ズバッ!

ブシャァァッ···

探偵「グァッ!(···腕をやられたかッ···)」

ダンッ、ヒュン···

美少女「ギェアッ!」ザキュン···ドゲシッ!

探偵「グホォッ!」ヒュー···ズドン···

探偵「(グッ···このままでは死ぬ···!)」

カツカツ···カツカツ···

探偵「(一か八か···もう“アレ”にかけるしかない···)」


探偵「これでもくらえッ!」ポイッ···

プシュ···モクモク···

青年・美少女「グルルルウッ···」フラフラ···

探偵「よしッ!聖灰が効いたッ!」

探偵「今だッ!」ダンッ、タタタタタタタタッ···

ガチャ···バァン···

彼らを振り切ったが、人質の姿はもうなかった。

探偵「遅かったか···狐娘、女さん···」グッ···

ヒラヒラ···パタッ···

探偵「何だこの紙切れ···いや、これはッ!」

探偵「“あの山”へ急ぐぞッ!」ギュゥゥッ、クシャ···


狐娘「ウッ···」パチリ···

狐娘「ハッ!?···何よコレッ!」ジタバタ···

カツカツ···

黒コート「十字架だよ···フフフッ···」

狐娘「アンタ···何が目的なのよッ···」ギリィ···

黒コート「目的?···知りたいかい?」ニコッ

黒コート「それは儀式が終わった後に話すよ···」クルッ···スタスタ···

狐娘「ま、待ちなさいよッ!」ジタバタ···

暗闇へと男は姿を消した。

狐娘「マズイわね···でも···」

アイツならきっと・・・ここへ来るはずッ!


黒コート「僕の目的か···」

始まりは十年前だった。

ガラララァ···

黒「ただいま、母さん···」

黒母「おかえり、黒···ゴホゴホッ···」

黒「大丈夫だよ···もうすぐ新しい命を···」

黒母「ええ···黒、ありがとう···でも···」

黒母「もう十分よ···私はもう十分···」

黒「何言ってるんだよ···僕を一人にしないでくれよ···」ポロポロ···

黒母「ごめんよ···ごめんよ···」ギュゥ···ポロポロ···


母は重い病で余命は半年だった。

僕は母を救いたかった・・・。

そのために・・・犠牲が必要だ・・・。

ギャァァァァ!ブシャァァァァァ···

“狼様”に捧げる犠牲が。

黒「待っていてね、母さん···」スタスタ···

バリィィィン!ゴロゴロン···

だが、壺は村人に破壊された。

僕は困った···これでは、僕の願いは叶わない。

そのとき、声が聞こえてきたんだ。

ワガイケニエニ···ワカイオンナヲ···ササゲロ···

サスレバ···オマエノネガイヲカナエテヤロウ···

その声に従い、僕は村の若い娘を生け贄として捧げた。

ギャァァア!ギャァァア!ヤメテェェェエッ!

ブシャァァァァァァ···ピトピト···


だが、僕の願いは叶わなかった···。

黒「母さん、母さん···嘘だよねぇ···?」ポロポロ···

黒母「」

母を救うことは出来なかった···。

黒「何故···願いは叶うはずなのに···」ポロポロ···

タリヌ···モットダ···モット···イケニエヲ···

黒「ハ、ハハハッ····そうか···若い女を捧げないと···」ユラ···

ユラユラ···ジャキン···

僕は村を去り、満月の夜に生け贄を捧げ続けている。

黒コート「さぁて···」ジャキン···

女「い、いやァッ!」ジタバタ···

黒コート「安心しなよ、君は“狼様”の血肉となるだけさ···」

ブゥン!ザクッ!

男は包丁を振りかざす!


ピトピト···

探偵「やぁッ、殺人鬼···」ピトピト···

黒コート「フンッ···」ザッ···

探偵「女さん、ケガはないですか?」

女「え、ええ···でも、探偵さんは···」チラッ···

探偵「なぁーに···このくらいへ一気ですよ」ニコッ

探偵「それより、早く逃げてください。」

女「わかりました···」クルッ、タッタッタ···

タッタッタ···タッタッタ···


探偵「さて、ケリを着けようかッ!」

黒コート「我を捕まえて、法で裁くつもりか?
     ムダなことだ···」

探偵「確かに···“今の状態”の君は法で裁けない···」スチャ···

黒コート「何をするつもりだ?」ザッ···

探偵「“狼様”···オマエを引きずりだすッ!」シュシュシュッ···

ババババッ···バチバチ···

黒コート「ウガァッ···ヤ、ヤメロォォォォッ···」

お札により男は苦しみだす···。

黒コート「グゥッ···」ドサッ···

スゥゥッ···ズシン···ズシン···


「オノレェ···探偵ゴトキガァッ···」


男にとりついていた“悪魔”が正体をみせる。

探偵「やっぱな···壺が破壊された瞬間から
お前はその人を器として···」スチャ···

狼「···アァ···実に人は愚かだ···
   死んだ者を蘇らせるなどと···」


狼「利用されているともシラズニナァ···」ニタァ

探偵「···言いたいことは···それだけか?」スチャ···

探偵「人の願いを···弄んだ罪を償え···」ジャキ、ブゥン···

彼は十字の剣を取り出した。

探偵「いくぞ···」タッタッタ···

ブゥン···ブゥン···ブゥン···

シュタタタタタタタッ···

狼「フフハハハッ、どうしたァァ···」タタタタ···

ブゥン···ブゥン···ブゥン···

狼「ハァーッ···遅すぎてアクビがでるな···」ガシッ、ドガァ···


ズザァァァッ···ガクッ···

探偵「(···一瞬でも、奴のスキを作れれば···)」

カーンッ!コロンコロン···

探偵「ムッ、これは···」パシッ···

タタタタタタタタッ···


狼「死ねェェェェェェッ!」


探偵「でやッ!」ポイッ···コロンコロン···

プシュ···モクモク···

狼「グッ···聖灰かァァァッ···」フラフラ···


探偵「今だッ!」ブゥン···

ザクッ···ピシピシ···


狼「グゥゥゥゥアアアアッ!!」シュー···サラサラ···


次の日・・・。

ピチュン···ピチュン···

カタカタ···カタカタ···

探偵「よし、報告書完成だ···」

今回の事件で黒コートの男は逮捕された。

にしても···あの老婆は何者だったのだろうか。

お礼をしに家を訪ねたら···その家自体が消えていた。

もしかしたら···いや、幽霊が年をとるはずがないか···。


『ありがとう···探偵さん···』フッ···


探偵「ムッ?」クルッ···

探偵「···気のせいか」


~狼編完~


みなさん、異世界へ行きたいと思ったことはありませんか?

今の世界を飛び出して···

『理想の世界へ行きたいッ!』と。

でもね···自分の望む世界へ行けるとは限らない···。

ゾンビで溢れていたり···言語じたいが違っていたり···。

そう···不幸にも、それを私は経験しました。

だから···だから···

バンッ!


探偵「私は断固反対ですッ!」

美少女「そ、そんなに怒らないでくださいよ···
ただ聞いてみただけじゃないですか···」


探偵「いいかい、異世界へ行くことの
   リスクは君の想像以上なんだよッ!」

美少女「それでも、行きたいんです···」

探偵「しかしだね···」


スゥッ···

狐娘「ベフニイインファナイ?」バリボリ···

探偵「おいッ!菓子食いながら喋るな···」

美少女「あ、あ、あ···」プルプル···

探偵「ごめん···驚かせてしまったようだね···
コイツは狐m···」


ピョーン···ギュゥ···


美少女「かわいい♪」ギュゥッ···

狐娘「ちょッ···ぐ、ぐふしい···」ジタバタ···


美少女「あの···やっぱりいいです···
願いは叶いましたッ!」クルッ···

探偵「そ、そうか···」


狐娘「よくなあああああいッ!!」ジタバタ···


10分後・・・。

美少女「じゃあね~狐娘ちゃん♪」フリフリ···

狐娘「じゃあね···美少女···」フリフリ···


ガチャ···バタン···


狐娘「ハァー···疲れるゥ···」

狐娘「···少し休むワ」シュン···


探偵「さてと···ホントの依頼人は···」

コンコン···

探偵「ハーイ、どうぞぉ···」


双子・姉「依頼したいんですけど···」

探偵「では、おかけになってください。」

探偵「それで···依頼は何です?」

双子・姉「···妹を捜して欲しいんです···」

これはまた···厄介な事件になりそうだ···。

探偵「一応聞きますが、警察には届け出たんですか?」

双子・姉「ええ、でも···みつかっていません···」

探偵「···分かりました。依頼をお受けいたします。」

双子・姉「ありがとうございますッ!」ペコリ···

探偵「いえいえ···しかし、妹さんは何故消えたのか···」


探偵「心あたりはありませんか?」

双子・姉「そういえば···妹は友達に会いにいくと言ってました。」

探偵「その娘の家を教えてくれませんか。」

双子・姉「いいですけど···」

探偵「?···何か、不都合でも?」

双子・姉「その娘···もう“死んでる”んです···」

彼女の話では一年前に事故で死んでしまったらしい。

が、手がかりは今それしかない···話を終えた後、

私はその娘の家を訪ねた。


探偵「留守かな···」

『その家···空き家だよ。』

探偵「えッ!?」クルッ···

私にそう教えた声の主は···。

探偵「え、ええええッ!?」

『久しぶりだな、探偵。』ニィッ···

探偵「狸女さん!」

とても懐かしい人だった。

狸女「立ち話もなんだから、カフェでもいこうぜッ」

同時に疲れる人でもあるが・・・。

カランカラン···イラッシャイマセー···

狸女「コーヒー2つで。」

カシコリマシタ、ショウショウ···オマチクダサイ

探偵「へぇー···良い店ですね···」

狸女「だろ?···ところでだ···」


狸女「今の仕事はどうだ···儲かるか?」

探偵「ええ···まあ···それなりに···」

狸女「そうか···じゃあ、戻る気はないわけだ。」

探偵「···秘密庁にですか?」

狸女「お前さえよければいつでも歓迎するぞ。」

探偵「···お気持ちだけ貰っときますよ。」

“国家秘密庁”・・・それは、

あらゆる怪奇事件に対処すべく設立された。

私も狐娘と出会う前はそこで働いていた。


狸女「ハハッ、そういうと思った···」スゥー···ズズ

狸女「冷めないうちにお前も飲め飲めッ」

探偵「では、いただきます···」スゥー···ズズ···コトッ

探偵「狸女さんは何を調べてるんです?」

狸女「か・み・か・く・しだよ···」ニィッ

狸女「お前は?」

探偵「私も同じです···奇遇ですね」

狸女「ハハッ、そうだなッ!」

探偵「頼みがあるんですが···」

狸女「おお?···珍しいな、お前が助けを求めるなんて?」

探偵「今回の事件···異世界に行く必要がありそうなんです···」


狸女「いいぜ···ただし、異世界へはオレも同行になるぞ。」

探偵「ええ、構いません。」

ピロンピロン!

狸女「お、仲間の連絡だ···。」ピッ···

狸女「はい、もしもしィ?」

狸女「ナニィ···よし分かった。」ピッ

狸女「ワリィ、代わりに支払っといてくれッ!」

探偵「あ、ちょッ···」

カランカラン···タッタッタ···

探偵「···ハァー···」カクッ


ガチャ···

探偵「ただいま···」

狐娘「おふぁえりぃ」バリボリ···

狐娘「どう収穫はあったノ?」

探偵「ウ~ン···あるといえばあるが···」

狐娘「聞かせなさいヨ、気になるでしょ」

探偵「すまないが···後にしてくれ···。」スタスタ···

探偵「少し寝る···」

ガチャ、ギィ···

狐娘「なぁんか···つまんない顔してたわネ···」バリボリ

・・・一時間後。

探偵「よっと···さて、また調査しにいくか。」

ガチャ···ギィ···スタスタ···

狐娘「フフン♪できた♪」

探偵「何してんだ···それ···。」


狐娘「煎餅よ、煎餅ッ!」

探偵「まさか···お前が作ったと···」

狐娘「一つ食べる?」スッ···

探偵「ああ、いただく。」

バリボリ···バリボリ···

狐娘「ど、どう···お味は···」

探偵「···うまい···かなりなッ!」グッ

狐娘「そ、ならよかった」ニコッ···

探偵「じゃ、調査に行ってくる···」

ガチャ···バタン···

探偵「ウウッ···あの煎餅···次は遠慮しよ···」ガクッ···フラフラ···


ピンポーン···ガチャ···

双子・姉「探偵さん、何のようですか。」

探偵「実は妹さんのお友達の家···空き家でさ···」

双子・姉「えッ!?」

探偵「他に手がかりはないかと···。」

双子・姉「分かりました。ウーン···と···あっ!」

双子・姉「妹の部屋にもしかしたら···手がかりはあるかも。」

探偵「よし、なら妹さんの部屋に入っても?」

双子・姉「ええ、どうぞ。」

ガチャ、バタン···

ギィギィ···ギィギィ···

のぼるたびに階段のきしむ音が鳴る。

ガチャ、ギィ···

双子・姉「ここです、どうぞ。」

探偵「では···」スタスタ···


探偵「フム···とくに変わったものはありませんね···」

探偵「ん?···これは···」パシッ

ふと、一つの本が目にとまった。

探偵「『異世界へ行く方法』」ペラッ···ペラッ···

探偵「(いくつかのページをチェックしてあるな···)」ペラッ

バタン···

探偵「双子姉さん、この本お借りしてもいいでしょうか。」

双子・姉「ええ、構いませんよ。」

探偵「(これで一つ、突破口が開けそうだ···!)」


ピロンピロン···ピッ

狸女「はい、もしもしィ?」

探偵『狸女さん、何か情報は掴めましたか。』

狸女「ああ···バッチリ、例の娘を目撃した人がいたぞッ」

探偵『私も、一つ掴んだことがあるので···
事務所に来てくれませんか。』

狸女「りょーかいッ、後で伺う。」

ピッ···


探偵「事務所に戻るか···」スタスタ···


3時間後・・・。

探偵「コーヒーです、どうぞ···。」コトッ

狸女「狐娘は?」

探偵「狐娘は今、本屋に行ってますよ」スゥ···ズズ、コトッ

狸女「なァーンだ、煎餅買ってきてあげたのに···」

探偵「···本題に入りますけど、いいですか」

狸女「どうぞどうぞ」スゥ···ズズ

探偵「まず、この本なんですが···」スッ···

探偵「付箋のあるページは全て、
     彼女が実際に行ったものなんですよ。」

探偵「でも、その記録が抜けているページがあります」ペラッ

狸女「え~と···『学校で朝の4時4分44秒ちょうどにry・・・』」

狸女「あれっ、ホントだ···!」

探偵「恐らく、この方法で彼女は友達のいる異世界へ
    行ったんでしょう。」

狸女「おお、流石ッ」パチパチ···


狸女「んじゃ、次はオレから♪」パラッ···

探偵「この地図は?」

狸女「失踪した娘達が最後に目撃された場所···」ピシ

狸女「すべて、あの空き家に近いんだ」

探偵「なるほど···つまり···」

探偵「そこを利用し、何らかの理由で彼女達は誘拐された···。」

狸女「ええ、その通りィッ」


こうなれば、もう···

『二つの事件は繋がった。』と

言わざるおえない。


狐娘「ただいま~」

狸女「おふぁえりィッ」バリボリ···

狐娘「アアッ!狸女ッ!」ピシ

狸女「煎餅食う?」スッ···

狐娘「わぁ♪···じゃなくて、何でいんのッ!?」

狸女「今回の事件、探偵と協力しないといけないのよ。」

狐娘「ふーん···」ギロッ···

探偵「(···何故睨む···)」

狐娘「それで···なにふぁわふぁったの?」バリボリ

探偵「食いながら喋るなよ···ハァー」

狸女「(相変わらずね···)」ヤレヤレ

探偵「例の娘はこの本にry···そして、ある空き家を中心にry」

狐娘「ホォホォ···」

狸女「(でも···羨ましい···)」


狐娘「今回は“時空のオッサン”が出てくるかもネ。」

探偵「ハハッ···あれは嘘だと思うがな···」

異世界に迷いこんだ人を送り返すという···

時空のオッサン。

なんでも、助けられた人がいるそうだ。

まぁ···そんな人間がいるならば、

話を聞きたいもんだが。


カァカァ···


狸女「それじゃ、オレは失礼する」

探偵「では···また···明日···」

狐娘「気をつけてネ、あと煎餅ありがとー♪」フリフリ···

狸女「ああ、またなッ」フリフリ

ガチャ、バタン


カチカチ···プププポーン···タダイマ、ゴジニナリマシタ

探偵「ッと、夕飯の支度しねぇとッ!」

狐娘「おー手伝うわよッ!」

30分後・・・。

探偵「頂きます···パクッパクッ···」

狐娘「頂きます!パクッパクッパクッ···」

探偵「おい···早食いはむせるぞ···パクッ」

狐娘「ヘーキヘーキ···パクッパクッパクッ···」

狐娘「にふぃしへも、オカラ多いわネ···パクッ」

探偵「ウルサイッ···今月もギリギリなんだよ···」

狐娘「いい加減、この仕事やめれば?」

探偵「いいだろ···別に。」


次の朝・・・。

探偵「今日はいよいよ、異世界へ出発だ」

狐娘「オオー····」

狸女「シャキッとしろよ、狐娘ッ」

狐娘「2時起きで···眠い···」ボォ···

あの本の方法では4時4分44秒ちょうどに

学校の校庭で鏡を見ると···異世界へ行ける···

と書かれていた。

だが、一つ間違いがある。

本来は“4時44分44秒”にが正しいのだ。

そこで、私達はどちらの時間で行けるかを確かめに来た。

廃校となった小学校へ···。


午前4時4分44秒···異常なし。

カチカチ···カチカチ···

探偵「まぁ、予想通りだ」

狐娘「ファァーッ···帰りたい···。」

狸女「肝心は次···」

カチカチ···カチカチ···カチカチ···

そして、4時44分44秒···五秒前···。

探偵「いよいよだな」ゴクリ

狐娘「これで終わり···眠い···」ボォ-

狸女「5···4···3···2···1···ゼロッ!」

狸女・探偵・狐娘「「「今だッ!」」」ジッ

パァーン···ズゥイーーン···

一同「「「グワァ~ッ!」」」ヒューン

鏡を見た瞬間、私達は吸い込まれ···

気づけばそこは···。


探偵「ウッ···城···だと···」

狐娘「オオー···すごいすごい···」ボォ-

狸女「ここに、行方不明の娘達がいるはずだッ」

探偵「でも、どうやって侵入するか···」

狸女「うーん···そうだな···ってか、狐娘ッ寝てるし!」

狐娘「ZZZ···せんべい···」ムニャ

探偵「困ったな···狐娘が寝ると作戦に支障が」

トントン···

探偵「うん?」クルッ···

『手を貸そうか、探偵よ。』

探偵「ええーとぉー···誰?」


時空男「俺は時空男、時空の秩序を守る者。」

探偵「時空男?···ハッ!」

探偵「時空のおっさんかッ!」

時空男「不本意だが···そう呼ばれている。」

狸女「おい、ならなんで···囚われた娘達を帰そうとしない」

時空男「城は時空の歪みに包まれている···」

時空男「不用意に近づけば、永遠に異次元をさまようのさ。」

探偵「それじゃあ···どうすれば···」

時空男「簡単だ···歪みの元を破壊すればいい。」

狸女「歪みの元···つまり、あの空き家か···!」

狸女「探偵、オレは空き家を破壊してくるッ」スチャ

探偵「頼みますッ!」

狸女「ああ、勿論ッ」シュン···


探偵「···さて、私達は待機だな」

時空男「そのようだ······」

探偵「なぁ、一つ聞いていいか?」

探偵「何故···アンタは時空を自在に行ききできる?」

時空男「······小さい頃のことだ」

そう、あれは俺がまだ···普通の人間だったころ

俺は一人ぼっちで···よく、川で遊んでいた。

家族も友達もいず、一人でな···。

そんな毎日を過ごしていたある日

俺に声をかけた人がいたんだ。

『ねぇ、君···一緒に遊ばない?』

嬉しかったさ···やっと、友達ができると。


ほんの少しの時間な···。

『じゃあ、また明日来るからねッ!』

それっきりさ···その娘は事故で死んだ。

表向きは“交通事故”とされているが···。

本当はある人体実験の犠牲として死んだのさ。

俺は許せなかった···自分の弱さを···

自分にもっと力があれば···そう願った。

いつか、あの娘を殺した奴らに復讐してやる。

俺の願いが···眠る力を引き出した。


時空男「力を得たあと、色々な世界を飛びまわった」

探偵「復讐はしたのか?」

時空男「いや···結局、俺にはできなかった。」

時空男「だから、俺は迷い子を家に帰している。
     二度と目の前で不幸が起きないようにな。」

探偵「結構···ヘビーなもん背負ってるんだな」

ピポンピポン···シュゥ

探偵「お、歪みが消えた」

狐娘「ムゥ···?」パチリ

探偵「おはよう、狐娘」

狐娘「これ、どういう状況ヨ···一人増えてるシ····」

探偵「ああ、実は···」


狐娘「・・・ハイッ?」

狐娘「この人が“時空のおっさん”?」

狐娘「ふーん····」ジィー

探偵「(····信じてないな···)」

探偵「まぁ、一応話した通りだ。」

狐娘「少しだけ、信じるワ。」

時空男「(見下されてる気がする···)」

探偵「さて、今のうちに城に入るぞ。」タタタタタ···

狐娘「ちょ、早ッ!」

時空男「ゆっくりでもいいのに。」スタスタ···

探偵「悪いが、私はせっかちなんだ。」タタタタタ···


ギィ···バタン···

探偵「よしっ、ここからは三人別行動だ···」

探偵「狐娘は部屋の探索を、時空男は城の門番を足止めしてくれ。」

狐娘「りょーかい···」

時空男「承知した、任せろ!」

探偵「私は事件の黒幕を探す···いくぞ!」

タタタタタ、タタタタタ、タタタタタ

門番「何者だ、お前達は!」ジャキ

探偵「名乗るヒマはないッ!」ポイッ

プシュ···モクモク···

門番「ゴホッ、ゴホッ···煙幕か」

探偵「時空男、任せたぞ!」タタタタタ


門を通過し、城の内部へ。


探偵「迷いそうだな、印をつけておくか。」

狐娘「よし、進みましょうヨ」


コツコツ···コツコツ···



狐娘「今のところ、敵はこないわネ···」

探偵「···妙だな···」

狐娘「敵が来ないこと?」

探偵「いや···さっきから同じ道を周回してる···」

探偵「見ろ、これは私がさっきつけた印だ。」

狐娘「えッ!嘘でしょ?」

探偵「空間が歪んでいる···まずいな···」

狐娘「ど、どうすんのよッ!」


探偵「歪みを越えて移動···しかない!」

狐娘「でもどうやって?」

探偵「狐娘···この鏡だよ···」スッ···

狐娘「!」

探偵「そう···この鏡からなら···脱出が可能だ。」

狐娘「でも、時間を合わせる必要はある···」

探偵「ああ、その通りしかも···歪みで城の時間は進まない。」

狐娘「意味ないじゃンッ!」

探偵「だが、外に鏡を出せれば?」

狐娘「こんな強固な壁を破壊する手はないわヨ···」


探偵「何を言ってる···狐娘がその壁を破壊するのさ」ニコッ

狐娘「ヒィッ!···なにを···」

探偵「簡単さ、ドリルに化ければいい。」

狐娘「嫌よッ!···すごく痛いじゃないノ!」プンスカ

探偵「ええぇー」

狐娘「残念がるなよッ!···別の方法考えようヨ」

探偵「ハァ···じゃあ、ドデカイハンマーに化けて···」ニコッ

狐娘「悪意を感じるわッ!」

探偵「そう、怒るなよ···」


探偵「こんなこともあろうかと···」ガサゴソ

探偵「ほいッ、ドデカイ~ドリルゥゥッ!!」ギュイーン

狐娘「どっから出したのよッ!」

探偵「まぁ···細かいことは気にしないで」ギュイーン

探偵「これで、壁を···ドリャドリャ」ギュイーン

ガラガラン···ボロボロ···

探偵「ほら、この通りさ」ニコッ

狐娘「最初から出しなヨ···」

探偵「さて、鏡を···」スッ

狐娘「ゾロ目になるのはあと何秒よ」

探偵「うーんと···あと、十秒だ。」

狐娘「十、九、八、七、六、五、四、三、二、一···零···」ヒュン

探偵・狐娘「「今だッ!」」ヒュイ、シュン···

ここで二度目だ···鏡を使うのは。

カッ···ヒューン···ズデン!

探偵「で、ここは何階だ···」スタスタ···


『フフフッ···ここは10階よ』


探偵「···お前は誰だ!」クルッ


城主「私は城の主···貴方を待っていたわ···」

ジャカンジャカンジャカンジャカン···

城主「この騎士達に勝てるかしら?」

探偵「ハッ···手厚い歓迎だな···」

城主「生きて最上階にこれるか···楽しみにしているわ···」フッ···

探偵「望むところだ!」ブゥン···

ジャカンジャカンジャカンジャカン!

探偵「ドォォォォウッ!」ブゥンブゥン···

ハンマーを振り回し、私は騎士に向かう。

カッ、ヒュー···ズデン···

『あなたも捕らえられたの?』

狐娘「え!?···ここは···」

『そう···ここは“牢屋”よ』

カエリタイヨ···サビシイヨ···

『あなた名前は?』

狐娘「狐娘よ」

双子・妹「私は双子・妹···あなたも友達に会えると信じたの?」

狐娘「いいえ、違う···ワタシはあんた達を助けに来た···」

ザワザワ···タスケニ?···ウソデショ···ホントカモヨ···

双子・妹「そう···でも無理よ···牢屋の外は騎士がいるし」

狐娘「諦めるのは···ダメッ!自分を信じて、頑張れたなら···」

狐娘「もう一度、信じてみれば···必ずここを突破できるッ!」

双子・妹「···懐かしい···その感じ···(まるで···姉さんみたい)」


双子・妹「いいわ···信じてみる」

狐娘「なら、他はどうする?」

エエ、キョウリョクシテモイイワ!

狐娘「決まりね···外の騎士はワタシに任せて」

双子・妹「大丈夫なの?」

狐娘「フフンッ!」ピョコ···

ワッ!?ミミヨ、ミミッ!

狐娘「化狐だから、ヘーキよッ!」ニコッ

双子・妹「化狐···ビックリした····」

狐娘「鍵は狐火で融かすから····離れて」ボォッ

サッサッ···

狐娘「えいッ!」


ボォッボォッ!·····ドロドロ···ビシャァー···

狐娘「さ、早く出てッ!」

ジャカンジャカンジャカンジャカン···

狐娘「来たわね······ここは通さない!」シュババババ

ドロドロ···ジャカンジャカン···

狐娘「まだまだァッ!」シュババババ

ジャカンジャカンジャカンジャカン······

狐娘「(ゾロゾロ出てきて····)うんざりネ···」シュババババ

ドロドロドロドロ······ビシャァー

ジャカンジャカンジャカンジャカン······

狐娘「面倒だわ···一気に片付ける」シュ···ボォボォボォ···

狐娘「でぇぇえいッ!!」バシュン

ドガン!ドガン!

ドロドロドロドロ···ビシャァー···プスプス

狐娘「ハァハァ···みんな大丈夫···?」

双子・妹「うん···それより、狐娘···平気?」

狐娘「大技はちょっと、疲れるわね·····
     敵が来ないうちに早く行くわよ」


ガツンガツン····バキンバキン!

ジャカンジャカンジャカン·····

探偵「この数は骨がおれる····」ブゥン

ドガッ····ミシミシ····ミシミシ····

探偵「床に亀裂が····よしッ!」ブゥゥゥン

ガドン·····バラバラ····ゴトッ

ジャカンジャカンジャカン····カランカラン····

探偵「今のうちに·····」クルッ···タタタタタタタタ····


ドガッドガッ·····

時空男「降参しろ····」

門番「グッ····参っ····た····」ガクッ

時空男「フンッ····弱いな」

時空男「助けにいくか。」クルッ、カツカツ····


タタタタタタタタ···

ガチャ···バァーン!

探偵「約束どおり来てやったぞ···出てこいッ!」


スゥ······カツカツ···

城主「フフフッ···」

探偵「お前を捕まえて、この事件は解決だ」

城主「フフッ···そうかしら」

城主「異世界に来ようとする娘がいる限り、終わりはないわ」

探偵「···けるな···ふざけるなッ」

探偵「あの娘達の夢を踏みにじったことを···
    私は絶対に許さんッ」

城主「プッ、ククク····騙される方が悪い」ニタァ

探偵「ダァマレェェェェッ!!」ブゥン


フッ····パシッ

城主「レディに刃を向けるなんて····サイテェ」ギロッ

探偵「(なんて力だ····!)」ジリジリ

城主「礼儀知らずは···消え失せなさい」ドガッ

探偵「グホッ!」ジャリィ···

城主「フフフッ·····どうしたの···」カツカツ

城主「余興はまだでしょ?」カツカツ

探偵「いってくれるな····性悪女め」

探偵「余裕かますと···」ダンッ

タタタタタタタタ····

探偵「痛いめみるぞッ」ブゥゥゥン


パラララ···メリメリ···ボロボロ

城主「フンッ···」フッ···

探偵「何ッ····どこだ····」クルックルッ


『こ・こ・よ』ドガッ


探偵「グゥッ!」ジャリィ

フッ···シュタ···

探偵「そこかァァッ!」ブゥンブゥン

フッフッフッ····

城主「トロいステップは欠伸が出るわ····」フッフッ···

探偵「ナメるなァッ!」カッ···パァァ···

ドガッドガッ!

城主「くっ····何····今の技は」ジャリィ


探偵「性悪女に話す義理はない···。」

探偵「ハァァァッ····」ダンッ、タタタタ···

城主「くっ···おのれぇ····」

タタタタ····ドシュドシュ!

城主「ウッ···負けるなんt···」バタァッ···

探偵「これで、“解決”だ」

ガチャ···バァーン···

狐娘「探偵ッ!大丈夫助けn···ッて···」

時空男「···出番はなかったか」

探偵「ハハッ···」スタスタ···


探偵「さて···帰るとしようか」

狐娘「ええ、そうネ」

探偵「時空男、ありがとう。」

時空男「たいしたことはしてない···
     解決したのはお前の手柄だ」

時空男「じゃあな···またどこかで会おう···」クルッ···フッ···

仲間と協力し、私は行方不明の娘達を救出した。

古い友、新しい友·····二人とも良い人だ····

ガチャ···ギィ···

双子・妹「姉さんッ····」ポロポロ···

双子・姉「妹ちゃん、良かったッ····!」ギュゥ

双子・姉「ありがとう、探偵さん····」

双子は再会でき、城主は狸女さんにより罪を償うことになった。


他の娘達も無事、家に帰った。

一件落着···といいたいが···。

探偵「なんで····なんで····」

狐娘「うん?」

探偵「一人増えてんだよッ!?」

獅子娘「ほぇ?」バリボリ····

探偵「狐娘ェ···どういうことだよ」

狐娘「狸女から聞いてないの?」

狐娘「その娘もあの城で見つかったのよ
    で、家がみつかるまで面倒をm···」

探偵「ハァアッ!?なんだとッ!?」

厄介事は減らないみたいだ···この人生···。


~異世編完~


探偵「ハァ···(食費、節約しないと···)」

探偵「オカラ····買い足しにいくか」

狐娘「え、またッ?····オカラは飽きてきたのに」

探偵「我慢しろ···」スタスタ···

ガチャ、バタン···

狐娘「チェッ···獅子娘、あんまりよねぇ?」

獅子娘「探偵さんは···正しい···狐娘も仕事しよ」

狐娘「ウウッ···分かったわヨ····」

獅子娘「(意外と素直ね···)」


探偵「すいませーん、オカラ下さい。」

豆腐屋「はいはい····50円ちょうどね」

豆腐屋「しかし、あんた飽きもせず···好きなのオカラ?」

探偵「まぁ···好きというか···安いので」スッ···

豆腐屋「大変そうねぇ···」

探偵「いえいえ、では·····」クルッ、スタスタ···

オカラを買い、それから事務所へ帰る・・・。

何一つ変わらない日常だ。

だが、依頼を受けることで“非日常”へ歩きだす。

それが私の今の生き方である。


そして、今日も依頼人が事務所を訪ねた。

ギィ、ガチャ···

狸女「オーす、探偵ッ!」

探偵「で、今日は依頼で来たんですか?」

狸女「ハァ・・・相変わらず、冷めてるナァ・・・」

狸女「実はな・・・」スッ

彼女は一枚の写真を取り出した。

そこには、複雑に組み合わさった金属で

できた椅子が写っていた。

狸女「この椅子が“オーパーツ”らしいんだよ・・・」

狸女「座った者に強大な力を授け、その代償に
   時間の狭間を永遠にさまよう・・・。」

探偵「この椅子にそんな力が・・・!」ジッ


狸女「でね、“怪盗D”にそれを盗まれた訳よ・・・」

探偵「怪盗D?」

狸女「十年前から活動してる怪盗で、
      秘密庁が追ってる賊よ。」

探偵「なるほど···今回こそソイツを捕まえたいと。」

狸女「その通りよ、だから協力して」

探偵「報酬ははずみますよね?」

探偵「でなきゃ、引き受けません···」

狸女「そこは心配しなくていいわよ
    怪盗に懸賞金もかかってるし···」

探偵「依頼料とは別にもらえると····
   分かりました、引き受けましょう」

金に目が眩み、私は“怪盗D”とやらを捕まえることになった。

オーパーツだけを盗む怪盗····もの好きもいたもんだ····


ありがとうございます!


探偵「して、奴の手がかりは?」

狸女「実は新しい予告状が秘密庁に····」スッ

探偵「どれどれ····」

予告状の内容はこうだった。

『親愛なる秘密庁の諸君、ごきげんよう。

 我輩、怪盗Dは明日の午後1時に

 “双葉の指輪”をいただきに博物館に参上する。

 諸君の抵抗を楽しみにしているよ。』

探偵「自信満々だな···この怪盗···」

狸女「明日が肝心なのよ、よろしく頼むわ」

探偵「承知してます····」

相手もプロだが、こちらもプロ····

仕事はきっちり、こなすさ。

探偵「というわけだ、二人とも協力して!」

獅子娘「はいッ!でも、“怪盗D”のDってなんでしょうかね?」


探偵「う~ん···ドラゴン···いや、ドブネズミか?」

獅子娘「“ドブネズミ”って···ププッ···」

探偵「わ、わりと真剣なんだよ····
狐娘はどう思う?」

狐娘「ドーナツ、ドミニカ、ドローン····
ハッ!···ドMかッ!!」

探偵「多分違うよッ!うん、全然違うよッ!」

狐娘「じゃあ、正解は何よ····」

探偵「さ、さぁ···?」キョトン···

狐娘「ふ・ざ・け・る・なッ!」ドガッ

探偵「ゴホゥッ!理不尽だぁ····」チーン···ガクッ、ピクピク···

獅子娘「ププッ···(二人とも面白いです)」

“Dの意味するモノ”について、その後

私達は知ることになる・・・。


次の朝・・・。

探偵「頂きます!」

狐娘「頂きます···オカラ····」

獅子娘「オカラ美味しい♪」パクパクッ

狐娘「アンタら、よく飽きないわネ···」パクッ

獅子娘「オカラはヘルシーですからね。」

狐娘「(獅子のあんたがそれ言うか····)」

探偵「安心しろ、怪盗を捕まえれば、少し贅沢できるし。」モグモグ

狐娘「ホントかなぁ····」パクパクッ


それから5時間後、午前11時・・・。

探偵「着いたぞ···博物館ッ!」スタスタ···

狐娘「ゼェゼェ···しんどい···」

獅子娘「狐娘さん、大丈夫ですか?」


プシュゥ···カァ···

探偵「オオォッ!!すごい数のオーパーツだ···」

この博物館は秘密庁が管理しているゆえに、

希少なお宝がザクザク展示されているのだ。

カツカツ···カツカツ···

狸女「来たわね、探偵、狐娘、獅子娘。」

探偵「あの狸女さん、警備の数少なくないですか?」チラチラッ

狸女「仕方ないわよ···怪盗に逃げ場を与えないためよ。」

探偵「え?どういう意味ですか?」

狸女「“ドッペルゲンガー”って知ってる?」

狐娘「知ってる知ってる!
    “もう一人の自分”でしょッ!」


狸女「そう···出会ったら、死ぬそのもう一人よ。」

探偵「まさか···!“怪盗D”とは!」

狸女「奴は“ドッペルゲンガー”なのよ···」

狐娘「ええッ!?じゃあ、みたら死ぬのッ!?」

獅子娘「狐娘さん、それはないと思いますが···」

狐娘「な、なんで、そう言えるのよ!」ガクブル

獅子娘「“ドッペルゲンガー”はただの影に
     過ぎませんからね。害はありませんよ···」

狐娘「影?···つまり、自分の作りだした幻と?」

探偵「ああ、だから死ぬことはないさ。」

狐娘「なぁーんだ····ビックリした···
    だったら、“怪盗D”は雑魚ね」ホッ

狸女「雑魚ではないよ····奴の能力は···恐るべしだ
    人の影を纏い、変装し人の影から影へ移動できる」

探偵「それで、対抗できる人員は少ない訳ですね」


探偵「作戦はどうしますか···」

狸女「狐娘と探偵は例の指輪がある2階を
    オレと獅子娘は入り口と裏門をだ···」

狸女「それと···はい、これ無線機···
     連絡は迅速にお願いよ」スッ

探偵「了解しました!」パシッ

狐娘「りょーかい···」パシッ

獅子娘「オーケーです。」パシッ

狸女「作戦開始よッ!」スタタタ···


私も強盗やひったくりを捕まえたことはあるが、

怪盗が絡む事件は初めてお目にかかるのだ。


怪盗といえば、シルクハットにマント····

というイメージがあるが今回はどうだろうか。

不謹慎だが、興味がわく····。

探偵「狐娘、お前はどう思う?」

狐娘「う~ん···やっぱ、黒のタキシードに
    黒マスクでグラサンかけてるんじゃない?」

探偵「グラサンか···確かに光は苦手そうな奴だしな
   あり得るかもしれない。」

探偵「でも、それだと夏場は暑そうだな····」

狐娘「黒は熱を吸収するからね···あっ、そうか!」

狐娘「きっと、夏場は黒の半袖、黒の短パンで
     黒のキャップ帽被ってるに違いないわッ!」

探偵「いやいや!?それはあり得んだろ···」

怪盗のファッションについて議論を続けていく中で、

私はあることに気づいた。


探偵「狐娘···影がないぞ···」

狐娘「え!?」クルッ

狐娘「まさか!···怪盗Dがもう!?」

探偵「ああ、そうかも知れんな···見ろ···」

狐娘「あっ!アンタも影がないッ!!」

探偵「連絡をとったほうがよさそうだな」スチャ


ツーツー···チカチカ···


狸女「はい、どうしたの?」

探偵『実は私達の影がないんですよ···』

狸女「!!怪盗Dがもう、入りこんでいると!?」

探偵『ええ、ですから至急二階へ来て下さい。』

狸女「了解、すぐ向かうわ」スチャ


ザザザッ···

狸女「何、アンタ達は!!」

影兵「我々はD様の配下···ここは通さん」ジャキ

一方、裏門・・・。

獅子娘「そこをどきなさい!」

影兵「そうわいかん、D様の邪魔はさせんぞ」ジャキ

獅子娘「仕方ない···本気でいきます···!」ギロ


ツーツー···ツーツー···


探偵「おかしい···獅子娘と連絡ができない」

狐娘「一体何が起こってるのヨ!?」


『ククク・・・彼女らはこんよ』


探偵「どこだ、姿を見せろッ!」クルックルッ


『よかろう・・・探偵よ・・・』


モクモクモクモク···シュゥン、シュタ

怪盗D「怪盗D···ここに参上した」


探偵「私達二人だけでも、お前を捕まえてやる!」ザッ

狐娘「同感よ···指輪は渡さないわ」ザッ


怪盗D「ククク、できるかな?」スチャ

ポンッ···ギュルシュタ···ギュルシュタ

影探偵・影狐娘「···」

怪盗D「君達の影は我輩の味方なのだよ
     精々自分と戯れたまえ・・・」


影探偵「···」ダン、タタタタタ

ガシッ、ドガン!

探偵「グゥッ!」ジャリィ

影狐娘「···」ボシュバン!シュゥ

狐娘「狐火が使えるなんて!
    どうするの···この状況···」ジャリィ


影探偵「···」タタタタタ

影狐娘「···」ボシュボシュ


探偵「···相手は“私達の影”···なら、
    私達と弱点も同じはずだ!」

狐娘「そうか!」

探偵「私の弱点は足で、狐娘の弱点は耳だ···」タタタタタ

狐娘「そこを叩けばいいのネ!」タタタタタ


タタタタタタタタタタ···

探偵「くらえッ!!」シュッシュッ


バチバチ···ズガン!

影探偵「···!?」ガクッ···

影狐娘「!!」ビリビリ···


ダン、ビューン!

狐娘「でぇぇぇぇいッ!」シュボ、ドドドン


影狐娘「!?!?!?!!」ボカァーン···フッ···

影探偵「!!!!!」ボカァーン···フッ···


シュタ···

狐娘「や、やった···ハァハァ···」


パチパチ···パチパチ···

怪盗D「いやぁ、素晴らしい腕だ···
    だが···残念ながら、“指輪”は頂いた」スッ


探偵「ま···て···ゼェゼェ···(クソッ、なんだこの疲労は!?)」フラフラ···


怪盗D「驚いたか?···その疲れは“自分の影”を
    攻撃したダメージなのだ···ククク」

怪盗D「無理はしないことだ···では、また···」フッ


探偵「グゥッ···」ガクッ

狐娘「もう···ダメ···」ガクッ


探偵「ムッ···ここは···」パチリ

私は病院にいた···足を骨折し、疲れで半日寝ていたのだ。

狐娘のほうは妖怪特有の治癒力により、

たった30分で傷が全快したらしい。

狸女「とにかく···探偵は足が治るまで、
     この件に関わらないことだ」

狐娘「怪盗Dはアタシらが捕まえる」

獅子娘「探偵さん、どうか安静にしてください」

探偵「····悔しいけど、そうさせてもらうかな(嘘だけど)」

狸女「後は任せなさい···じゃ、お大事に」ガララ、スタスタ···

スタスタ···スタスタ···スタスタ···

探偵「“じっとしろ”は私の辞書にない」スッ

探偵「“怪盗D”のデータを集めてやる!」カタカタ


その頃、怪盗Dは・・・。

怪盗D「ククク、輪廻の椅子と双葉の指輪···
次で最後の宝を手にすれば···ククク」

怪盗D「しかし····あの“獅子の娘”····
どこかでみた気がする····」

怪盗D「まぁいい、我輩を捕まえられる奴はおらん」パチパチ

ピーピー、シュタシュタ···

影兵「お呼びでしょうか、D様···」

怪盗D「秘密庁に潜りこんで、最後の宝について調べてこい。」

影兵「御意···」フッ

怪盗D「クククッ····我輩は止められんぞ」


カタカタ···カタカタ···

探偵「おっ···みつけた、“怪盗D”のデータ···
これはkaipediaの情報だな···。」

探偵「ええと何々····」

怪盗Dは影を操り、“シャドーピープル”を従える怪人である。

オーパーツを集めることになんの意味があるかは

不明である。ただ、2005年頃からオーパーツを

集め始めているそうだ。そのほとんどは

古代インカのものが多い。

探偵「シャドーピープル?···なんだそれ?」

探偵「一応、確認しとくか···」カタカタ···

シャドーピープルとは、影のように黒く、姿が人という

謎多き、生命体である。一説によると、

その正体は“死んだ人間”らしい。

探偵「なるほど···影が人の魂か···
おもしろい仮説だな」カタカタ···


探偵「他には···怪盗Dの事件をまとめたブログがあるな···」

探偵「見てみるか···ええと···最初の事件は···」カタカタ···

2005年9月4日、午後5時···

古代マヤの予言書がある博物館から盗まれた。

盗んだのは“怪盗D”である。

彼は影から影へと移動して、その宝を持ち去った。

そう、彼は人間ではない。

シャドーピープルなのだ!

この事件の真偽は不明だが、

国家秘密庁と怪盗Dの因縁は深いようである。

怪盗Dの残した唯一の写真には現・秘密庁の長官と

人間だった怪盗Dの握手が写っていた。


探偵「長官か···話を聞いてみる価値はあるな···」

探偵「にしても、このブログなんで情報が豊富なんだ?」

探偵「一般人は知らん情報ばかりだ···ブログ主はええと···」カタカタ···

探偵「!?この娘はッ!!」

探偵「···まさか、身近にいるとは···」

ピピピッ···プルルル···カチャ···

狸女『はい、もしもし』

探偵「狸女さん、至急長官にお聞きしたい事があるんですが」

狸女『何か掴んだの?』

探偵「ええ、実は····」


探偵「···というわけなんです。」

狸女『長官かぁ···あの人にそんな暇あるかなぁ』

探偵「そこをなんとかしてもらいたいんです」

狸女『まあ、分かった···情報ありがとう、探偵···』

探偵「いえいえ···では、失礼します···」プツ

探偵「(次はブログ主に連絡をとるか···)」ピポパピポ···

プルルルプルルル···ガチャ···

探偵「あ、もしもし?私だ、君に協力して欲しいのだが···」

探偵「“怪盗D”に対抗する術を教えてもらいたい···
もちろん、ただでとは言わないさ」


探偵「報酬はキッチリ払うよ···どうだい?」

探偵「そうか、ありがとう···」プツ

探偵「(これで万事解決だな···一眠りするか···)」

探偵「(そして、次に目覚めたときは···必ず奴を!)」


一方、秘密庁では・・・。


長官「狸女、話とはなにかね···
    私は忙しいんだとっとと話してくれ」

狸女「長官殿は“怪盗D”とどんな関係なのですか」

長官「奴は昔···秘密庁の職員だった···」

長官は語り始めた···かつての盟友のことを。

秘密庁が設立されてまだ日が浅いころ···

私と奴はまだ新人だった。

ある日のことだ···秘密庁の命令で私と

奴は異世界にある宝を探しにいった。


それが“呪いの宝”とは知らず···

私と奴は命を懸けて戦いを続けた。

そして···宝を手に入れた。

長官(若)『やったな、相棒!』

怪盗D(若)『ウグゥッ···ああ、そうだな···(すまん···もう···)』

私は気づかなかった····“宝の呪い”に···。

ビトビト···ビトビト···

怪盗D『ハァハァ···代償は大きいか···グフッ!』ビトビト···

“宝の呪い”とは、願いを叶えるかわりに····

“死”をもたらすことだった。

長官(若)『アイボォォォウッ!』ポロポロ···

怪盗D『』

相棒として···私は後悔している···


何故、なにもできなかったのかと。

長官「だから···奴が死人として私に牙をむく···
今の状況は私の自業自得かもしれない」

狸女「···長官···」

長官「悪い悪い···しめっぽい話になったな」

狸女「いえ、長官殿は仲間を大事にされて
    いたことがよく分かりました」

狸女「それで···最後に一つよろしいでしょうか?」

長官「何かね···あと5分で会議なんだが」チラッ

狸女「“怪盗D”機密資料の閲覧許可をいただきたいのです」

長官「いいだろう、許可する」

狸女「ありがとうございます!」ペコッ、クルッ···

長官「(若いころの私とお前のようだな···)」


スゥ···ドロン···

影兵「こちら、宝の情報を手に入れました···」ザザ

怪盗D『よし、早く帰還するのだ』

影兵「了解···」プツ

チラホラ···クルッ···スタスタ···

影兵「(秘密庁のセキュリティはザルだな···)」スタスタ

影兵「(いよいよ、D様の願いが叶うのだ)」スタスタ


ガチャ、バタン···


シュタ···シュタ···

狐娘「うまくいったわネ」

獅子娘「いきましょう!」


ガチャ、ギィィ···

カツカツ

狸女「(怪盗Dの資料は···これね)」パシッ

ペラペラ···ペラペラ···

狸女「(···何か、奴の弱点は···)」ペラペラ

狸女「(あった!これだわ···よし、早くみんなに知らせましょう)」バタン


ガチャ、ギィィ···バーン!


狸女「!?ドアが開かない!!」


ドロンドロンドロン···

影兵「貴様はここで死ね!」

狸女「チィッ···“怪盗D”め」

狸女「ダァァァッ!」タタタタ···


その頃、病院では・・・。

探偵「よく来てくれたね、美少女さん」

美少女「いえいえ···これも報酬のためです···フフフッ」

探偵「しかし、驚いた···君があのブログを書いているとは」

美少女「“怪盗D”はただの趣味ですよ···」

探偵「いや···趣味にしては機密情報まであった気が···」

美少女「え、えーと···それは···」アセアセ

探偵「まぁ、いいさ···ところで
   奴の弱点はあるんだよね?」

美少女「はい、弱点は“霊体”ですね」

探偵「霊体···そうか···!」

そう、影兵はただの霊で操られているわけではない。

霊は肉体を持たない···つまり、

“影”は出来ず、操ることは出来ない!!

探偵「そうとわかれば···奴に勝てる!」


探偵「早速、幽体離脱の準備にとりかかろう」

探偵「美少女さん、ありがとう!」

美少女「では、失礼します···例の報酬はお忘れなく」

ガララ···バタン

探偵「鏡とお札と···清めた水を···」

探偵「あとは···このナイフで···」ビッ···ピトピト···

探偵「血文字で···鏡に魔方陣を描く」キュキュキュ···

探偵「さらに、鏡の裏にお札を貼る」ペタペタ

探偵「準備オーケーだ···あとは眠るだけ···」

探偵「起きたら···私も“幽霊”さ···」

鏡は霊界へと繋がる扉である。

その鏡に血で文字を書くことは

死者を鏡から誘き寄せる行為だ。

ポワァーン···カッ

生者が幽体として活動できるのは日の出まで・・・

それを過ぎれば確実に“死者”になってしまうのだ。

探偵(幽)「その前にケリをつける!」フッ···シュゥ···

一方、怪盗Dは···。

影兵「D様···これを···」スッ

怪盗D「ご苦労···だァが···」ザスッ

影兵「グッ!?な、何故!?」サラァ···

怪盗D「間抜けめ、敵を連れてくるからだ」ギロッ

シュタ···シュタ···

狐娘「怪盗D、そこまでだワッ!」

獅子娘「おとなしくしなさいッ!」

怪盗D「それは無理だ···何故なら···」パチン

バサバサッバサバサッバサバサッ

鴉「ガァガァガァッ!!」バサバサッ···

バーンバーンバーン!!

シュルルル···バサバサッ

怪盗D「君たちは···ここで死ぬ!さらばだッ」

鴉「ガァガァガァッ!」バサバサッバサバサッ

狐娘「急がないと!」タタタタ、ガチャガチャ···

獅子娘「駄目です、鍵がッ!」

バーンバーンバーン!ミシミシ···ヒュー···ズーン···

獅子娘「あッ!狐娘さん、避けて!」

狐娘「ワワワワワアッ!?」

崩れたガレキが狐娘に向かう!

カッ···ジャキ、スパーンスパーンスパーン!!

狐娘「・・・ッ!?痛くない!?」

???『ケガはないですか······』シュゥー···カチャ···

狐娘「え、ええ···アンタは一体···?」

???『それはまた今度で···では···』フッ


一方、狸女は・・・。

ジャリィ···ガクッ···

狸女「ハァハァ···キリがない···!」

影兵「フフフ、我々は魂だけの存在・・・」ジリジリ···

影兵「ゆえに物理攻撃は効かんのだ、死ねェェッ!」ブゥン!

狸女「グゥッ···!」


ドガァン!ミシミシ···


狸女「た、探偵ッ!?」

探偵(幽)「ヒドくやられましたね、狸女さん」

影兵「バカなッ!貴様が我々に触れられるハズが···!」

探偵(幽)「ああ・・・普通の人間ならな・・・」ニヤッ

探偵(幽)「レディを傷つけた罪は重いぞ、フンッ・・・」ボキボキ

探偵(幽)「デイヤァァッ!!」ドガァドガァドガァ!

影兵「ガグゴガクアアアッ!!」シュゥ···サラサラ···


探偵(幽)「フゥ···魂だけでも疲労感はあるな」

狸女「どういうことよッ!」

探偵(幽)「今の私は“幽体”です···奴には幽体でしか、
     攻撃が効かないんですよ」

狸女「いやいや!?リスク高いし、死ぬつもり!?」

探偵(幽)「受けた依頼はキッチリこなすのが
     私のポリシーですからね」ニコッ

狸女「はァ···呆れたわ···それで、奴の居場所は掴んだの」

探偵(幽)「ええ、バッチリ···奴の居場所は···ここですよ」スッ

狸女「K博物館?そこになんで···」

探偵(幽)「奴の狙いは“最後のオーパーツ”ですよ」

狸女「!···それはまさか···あの···」

探偵(幽)「そう、奴が手に入れた“双葉の指輪”と“輪廻の椅子”
そして、“帝王の剣”···この三つを揃えることで」

探偵(幽)「恐ろしいことが起こる···!」


狸女「そうと決まれば、他の二人も呼んで···」スッ

探偵(幽)「いえ···今回は私に任せておいて下さい。」

狸女「なッ···足手まといはいらないと?」

探偵(幽)「違いますよ···狸女さん達は怪盗Dを逃がさないために、
     K博物館を結界でつつんで欲しいんです。」

狸女「それ···間違えばアンタ確実に死ぬじゃない!」

探偵(幽)「だからこそ、早急に準備をしていただきたいのです。」

狸女「わかった···ただし、無理はしないように」

探偵(幽)「了解です、ではお先に···」スゥッ

怪盗Dとの最後の決戦が始まろうとしていた。

己の命を懸けて、探偵は勝利できるのだろうか?

そして、三つの宝を揃えたとき何が起こるのか?


カツカツ···シュタ···

怪盗D「ククク···これで我が野望は叶う」

怪盗D「来い、鴉よッ!」ピィ-


シーン···

怪盗D「···?···おかしい、鴉が来ない!」

『それは私が鴉を倒したからさ···』

怪盗D「お、お前はッ!!」

探偵(幽)「怪奇徒然、世を歩く···怪奇探偵ここに見参!!」

怪盗D「己れェ、また邪魔しにきたか」

探偵(幽)「怪盗D、貴様もここまでだッ!」

怪盗D「ほざけッ···生き霊風情がッ!」ダンッ

探偵(幽)「たとえこの命に代えても···貴様を倒す!」ダンッ


バチバチ···ドガァバシュバシュドガァン!

探偵(幽)「ダァァァッ!」ドガァ

怪盗D「ククク、こうして殴りあうのは久しぶりだなァ」ドガァ

ジャリィ、ジャリィ···

怪盗D「だが···ククク···ハァッ!!」ドシドガァ

探偵(幽)「グァッ···」ジャリィ···ガクッ···

怪盗D「生き霊と我輩では格が違う···」

探偵(幽)「···それでも···だ」

探偵(幽)「私は···絶対に勝ってみせる!」

怪盗D「やせ我慢が···すぐにあの世へイケェェェッ!!」ドガァドガァ

探偵(幽)「グァッ、まだまだ···」ジャリィ···

探偵(幽)「これくらいの痛み、どうということはないッ」フラフラ


探偵(幽)「かつてのアンタがそうであったように···
     仲間のために私は戦うッ!」

怪盗D「フンッ、そんなもののために
    命を懸けるのか?愚かなことをッ!」ブゥン

パシッ、ジジジ···

探偵(幽)「いいや、愚かなのはアンタだッ!」バシュバシュ

ジャリィ···ブシャァァァ···

怪盗D「グゥッ、ガァ···」ガクッ

探偵(幽)「終わりだ···怪盗D···」

怪盗D「ハァハァ···クククッ···それはどうかな?」ピィ

バーンバーンバーンバーン!!

探偵(幽)「“三つのオーパーツ”···!!」ザッ

怪盗D「グフフ、これで···我が野望は達成した···!グゥッ···」シュゥ···サラサラ

ゴーンゴーン!ゴーンゴーン!

探偵(幽)「まずい···時空が歪んでいる···」


探偵(幽)「このままでは、この世界そのものが消える!」

ゴーンゴーンゴーンゴーン!

探偵(幽)「どうすれば···いいんだッ!」

『お困りのようだね?』

探偵(幽)「アンタは一体、どうしてここに入れた!?」

???「細かいことは気にしない···この状況を変えたいか?」

探偵(幽)「ああ、出来ることなら」

???「···可能だ、君が怪盗Dの過去に飛べばいい
    さすれば今が変わる···」

探偵(幽)「やってやる···しかし、それが出来るということは
     アンタ···普通の人間じゃないな···」

???「知りたいか···いいだろう···」ファサ···

探偵(幽)「き、君だったのか!」

???「驚いただろ」ニコッ


???「さぁ、ボクの正体が分かったところで
   過去にいってもらうよ」

グワァン

探偵(幽)「私のいない間···留守を頼むと
     狐娘に伝えておいてくれ···」

探偵(幽)「では、いってくる」スゥッ···

???「いってらっしゃい」フリフリ···

グワァン···シュゥ···

怪盗Dが起こした時空の歪み・・・。

奴の野望をとめるため、私は過去に向かった。


~怪盗D前編、完~


ゴーンゴーンゴーンゴーン

狐娘「時空が歪んでいる···探偵は無事なの!?」

獅子娘「やむを得ませんね、私達も博物館に入りましょう」

キキキー、グワァン···カツカツ

???「申し訳ありませんが通行止めです。」

狐娘「アンタはあのときの騎士!」

時騎士「自己紹介がまだでしたね···拙者は“時騎士”···
    時の番人・クロノス様の配下···
    探偵さんは今、過去へ飛ばれています」

獅子娘「過去?」

時騎士「歪みは怪盗Dが起こしたもの···唯一、歪みを消す方法は
    怪盗Dの歴史を消し去ることのみ」

狸女「で、何で私達が関わったらダメなわけよ」

時騎士「探偵さんは幽体なので、歪みの影響は本の少し」

時騎士「しかし、あなた方は“生身”だ···下手に干渉すれば
    永遠に時空をさまようでしょう」

狐娘「でも、歪みは広がり続けるんでしょだったら···」


時騎士「あ、ご心配なく···それはクロノス様が時を止める
    ことで抑えていますから」

狐娘「時を止める?」チラッ

獅子娘「確かに、車が止まっている···信じられない」クルッ

時騎士「スゴいでしょ?」

狸女「···なるほど、本当に神様がいるみたいね」

時騎士「皆さんには探偵さんが帰るまで
    おとなしくまってもらいたいんですよ」

狸女「仕方ない···でも、一ついいかしら?」

時騎士「ハイハイ、何でしょう」ニコッ

狸女「怪盗Dが死と引き換えに願ったことは何?」

狐娘「そういえば···分からずじまいだったわネ」

時騎士「ただで···教えるのは面白くないですね」


時騎士「そうだ···ここは一つ、ゲームをしませんか?」

時騎士「探偵さんしりとり!探偵さんにまつわる
    言葉だけでしりとりですよ」

狐娘「おもしろい、受けて立つ!」

獅子娘「···私もやります」

狸女「どうせ待つのは暇だし」

時騎士「では、拙者から···“オカラ”」

狐娘「ラ···ラ···“ライオンガール”」

獅子娘「ちょ、関係者はありなんですか···“ルーペ”」

狸女「“ペナルティ”···色々とチートだからね」

時騎士「そうですね···“インドア”で」

狐娘「いやいや、探偵は“アウトドア”ヨ」

獅子娘「ええ、ほんと“アメイジング”です」

狸女「そんな探偵は“グッジョブ”だな」

時騎士「いやぁ···皆さん流石に強いですね~」


グワァングワァン···

探偵(幽)「そろそろ···怪盗の過去につく···」

グワァングワァン!シュタ···

怪盗D(若)「これで、やっと願いが叶う···さぁ、“帝王の剣”よ
      私の命を吸い、願いを叶えたまえ!」

···カッ···ズゥーン

探偵(幽)「待てッ!止めるんだ!」ドカァ

怪盗D(若)「なんだ、お前は!邪魔をするなッ!!」

探偵(幽)「話を聞け···アンタの願いを叶えてはならない」

怪盗D(若)「どういうことだ?」

探偵(幽)「今から十年後の未来、アンタの願いで世界は滅ぶ」

怪盗D(若)「バ、バカな···私の願いは死んだ妻を生き返らせること
      だぞ、それが何故・・・世界を・・・」

怪盗D(若)「信じられるものか!証拠を見せろ!」

探偵(幽)「いいだろう···願いを叶えた後の未来を見せてやる」パチン


『アイボォォォウッ!』

『我輩は怪盗D···全てのオーパーツを集める者』

『“三つのオーパーツ”···!』

『これで···我が野望は達成した···』

カッ···シュゥン···

怪盗D(若)「これが···私の未来···」

怪盗D(若)「嘘だ、嘘だ···こんな···
      私は世界を滅ぼすつもりなど···」

探偵(幽)「“今のアンタ”はな···未来を救うには
     怪盗Dという存在を消す必要がある」

怪盗D(若)「私を殺すというのか?」

探偵(幽)「違う···アンタの歪んだ未練を断ち切る!」

探偵(幽)「そのために教えてくれ···アンタの妻のこと」

怪盗D(若)「···3ヶ月前の話だ···私と妻はある村で暮らしていた」


自給自足の生活で、苦労はあったが

毎日を平和に過ごしていた。

それがだ···ある日の夜···

ギャアアアアア····

怪盗D(若)「おい、嘘だろ···こんな···」

怪盗妻「」

妻をはじめ、村の若い女は全員死んだ···。

私は途方にくれた···昨日まで、一緒に歩んできた人を

理不尽な理由で失ったことに堪えられなかった。

だから、“私は妻のいない世界”が無くなればいいと考えた。

そう、いつか···妻を蘇らせると。

探偵(幽)「(まさか、狼様の事件と関係していたとは···)」

探偵(幽)「事情はわかった···あんたの未練を断ち切る!」パチン···

怪盗D(若)「ウッ···何だ···急に眠く···」ガクッ、ドサッ

探偵(幽)「悪いな少し、アンタの記憶を消させてもらう···。」


怪盗D(若)「嫌だ···辛くても苦しくても···
      この記憶は消してはいけない···」

探偵(幽)「そんなに記憶が惜しいか?···だったら、
     “帝王の剣”を粉々にしてみろッ」スッ

怪盗D(若)「願いをすてるためにか····やってやる···」ブゥン···バキバキ!

バキバキ···グシャグシャグシャ···サラァサラァ···

怪盗D(若)「どうだ···私の覚悟はッ!
      二度と願いを叶える気はないッ!」

探偵(幽)「···いいだろう···あんたの覚悟しかと見届けた」フッ

『では、失礼する···その覚悟に嘘はつくなよ···』

怪盗D(若)「私は絶対に怪盗にはならないさ···」








サラァサラァ···

怪盗D(若)「“帝王の剣”が粉々だな···」


そして、3日後···。コンコンコン···ガチャ···

狸女「失礼します···長官殿、探偵をつれて参りました。」

長官「ご苦労···下がれ···」

探偵「ええと···今回はどんなご用件ですか?」

長官「一言、君に礼が言いたくてな···ありがとう!」ペコリ

探偵「いえいえ!顔を上げてくださいよ、
当然のことをしただけですから···」

長官「本当に感謝している···どうだろう
   もう一度、秘密庁に戻らんかね?」

探偵「あれは私一人でできたことではありません···」

探偵「長官殿···それに、私は一度決めたんです···
未知なる怪異を探究していくことを」

探偵「ですから、ここにはもう戻りません···」

長官「優秀な人材を手放すのは心苦しいが
   仕方ない···なら、せめてこの写真を君に」スッ


探偵「これは···怪盗D?」

長官「彼は今、戦場カメラマンとして···
世界を渡り歩いている」

探偵「そうですか···まっとうに生きているんですね」

プルルルル···

探偵「ッと···失礼···もしもし?」

探偵「え、依頼?分かったすぐ戻る···」ピッ

探偵「すいません、急用ができました。では、失礼します!」ペコリ

ガチャギィ···

長官「頑張ってくれたまえ、探偵···」

怪盗Dは消え、時空の歪みも消えた。

と同時に···また一つ厄介者が増えた···。

探偵「ただいま···依頼人はどちらに?」

狐娘「ええと···ワタシの後ろに···」

美少女「いい臭い♪」スンスン···


探偵「あー···そういえば、報酬はハグでしたね···」

狐娘「納得してないで、助けてヨ!!
   もう、3時間もこうなのよ」ジタバタ

探偵「そりゃまた···愛されてるな」ニコッ

狐娘「ああもうッ···離しなさいよ!」ジタバタ

美少女「あと···10分だけぇ···」ギュゥ

探偵「仕方ないな、美少女さん···離れてください···!」パチン

指を鳴らすと···一瞬のうちに美少女は狐娘から離されていた。

美少女「え!?瞬間移動してる!?どうして!?」

探偵「“企業秘密”です···それより、君の依頼は何かな」

美少女「はい、これなんですが···」スッ

探偵「うん?この写真は···!」ガサッ

探偵「(間違いない···長官がくれた写真だ···)」

探偵「どこでこれを?」


ありがとうございます!


美少女「今朝、ポストに入ってて···誰が入れたか
    調べて欲しいんです!」

探偵「なるほど···だが、もう見当はついているぞ···」

美少女「えッ?誰なんですか?」

探偵「それはな···君がよ~く、知ってる人さ」ニコッ


カシャカシャ···

戦カメ「ちょうど届いたころかな···“私のファン”のもとへ」

戦カメ「びっくりしただろうな····クククッ···」カシャカシャ

戦カメ「私の計画を邪魔したほんのお礼に···ね」カシャカシャ


そう、歴史が変わっても···未来の記憶は持ってるあの人だ。



~怪盗D後編完~


~お知らせ~

大変申し訳ないのですが、

しばらく更新をストップさせていただきます。

そこで、みなさんには是非とも題材におすすめの

“UMA”を教えていただきたいと思います。

更新のメドがたちしだい、また再開します。by作者。


長らくお待たせしました。再開します。


“超能力”···それは人の無限の可能性···。

果たして···その力を人々は受け入れられるのか?

常々、私は考えている···。

探偵「で、君はどう思う?」

美少女「急ですね···うーん···」

美少女「一部の人は拒絶するんじゃないかな···と。」

探偵「一理あるが···じゃあ人類全員が超能力者になるとしたら?」

美少女「受け入れられるのでは···ですか」

探偵「そこなんだよ、問題はね···結局のところ」

探偵「だから···小人やフライングヒューマノイドは
   表だって活動しにくいんだよ」

美少女「え!実在してるんですか!?」

探偵「ああ、いるよ···でもその実体は誰にも分からない。
   彼らを捕まえるのは秘密庁でも駄目だったから」


美少女「へぇ~···って、こんな話よりもっと重要なこと
    があるんですけど」

探偵「ハッ···すまない、つい···それで話とは?」

美少女「友達が宇宙人に連れ去られたみたいなんです!!」ガタッ

探偵「···ほう、興味深いね」

美少女「そう、あれは夏祭りの帰りでした···」

私と友は河原を歩いていました

ブゥンブゥン···と音が鳴ったと思ったら···

パァァァァ···

美友『キャァァァァァッ!!助けてぇッ!!』ジタバタ···

光に引き寄せられるように···そのまま···

美少女「お願いです、友達を助けてくださいッ!!」

探偵「分かった···その依頼引き受ける···」


探偵「というわけで、狐娘は河原の鳥と話をしてくれ」

狐娘「ハァ!?今日は新作ゲームの発売日なのに···」

探偵「そうかそうか···いやぁ···残念だなぁ···
協力してくれたら、海老煎一箱買ってやったのになぁ」ニヤリ

狐娘「う、嘘よ···家にそんな余裕はないはず!」

探偵「ならこれを見てみろ!」スッ

狐娘「凶悪宇宙人を捕まえた方····懸賞金10万!!?」ガタッ

探偵「どうだ?もし依頼の犯人がそれなら···夢じゃないだろ?」ニコッ

狐娘「いいわ、協力するッ」

探偵「(フッ···チョロい···)」


探偵「獅子娘と私は周辺の調査だ」

獅子娘「了解です!」

探偵「では、出かけるぞ」ガチャ

一時間後、狐娘は河原に到着・・・。

狐娘「対話を始めるワ····」ジッ

鳥「(タノシィナ、キョウモタノシイナ···)」

狐娘「(ねぇ、君···)」

鳥「(ウン?)」

狐娘「(デカイUFOをこの河原で見なかった?)」

鳥「(···ミタヨ、デモ···オワナイホウガイイヨ···)」

狐娘「(どうして?)」


一方、探偵達は・・・。

ピンポーン···ガチャ···

研究家「おお、君かッ!!」

探偵「夏祭りの夜、空をUFOが飛んでいたそうなんですが
    撮影されていたんですか?」

研究家「そりゃもう、バッチリだ」

探偵「見せてもらえないでしょうか?」

研究家「いいが···その代わり、君の体験をまた
     聞かせて欲しいのだが」

探偵「かまいません、映像を見るためです」

研究家「よろしい!さ、入りたまえ···」

研究家・・・彼とは昔からの付き合いだ。

その情報ネットワークは秘密庁も一目置くほどで、

UFOに関していうならば、あのNASAよりも知っているだろう···。

そのため、彼はNASAに追われ偽名を使いこの町に住んでいる。


私は体験を20分にわたり話した。それを聞く彼の顔は楽しげだが、

少しだけ悲しみを帯びている気がした。

話を終えたあとさっそく質問がとんできた。

研究家「質問いいかな···君は今、アレを追っているのかね?」

探偵「···はい、依頼ですからね。」

研究家「せっかく来てくれてなんだが···やめたほうがいいぞ
     あの宇宙人には関わるな···殺される」

探偵「死を恐がってちゃ、この仕事はできませんよ。」ススッ

研究家「そうだったな、君は昔からそうだ···でも、
     友人として友を案じるのは当然だろ」

探偵「お気持ちだけで十分です···今この瞬間にも
    理不尽な怪異によって苦しむ誰かを···」

探偵「救えるならば、私は命を懸けて全力を尽くしたいんです!」

研究家「変わったな···あんなに人間嫌いだった君が···」

探偵「そうかもしれませんね」ニコッ


研究家「よし、分かった···映像を見せよう···」ガチャウィーピピ···カッ···

映像の再生が始まった···そこには鮮やかな花火と

デカイ円盤が映し出させれていた!

探偵「な、なんて大きさだ!」

研究家「驚くのはまだ早い···これを見ろ···」

探偵「この宇宙人の顔は···人間!?」

研究家「そうつまり···ヒューマノイド型いや、
     おそらくは···古代人の末裔」

探偵「どういうことですか?」

研究家「君も知っているだろう、マヤ文明のスゴさは···」

研究家「彼らの科学力は我々の科学を超越している
      時空をねじ曲げるのも可能なほどにね」

探偵「でも、奴らはなぜ誘拐を」

研究家「神に捧げる生け贄ではないかな?」


探偵「研究家さん、奴らについて分かる
    ことは他にないんですか?」

研究家「残念ながら···ヒューマノイド型は初めてのケースだ
     データはこの映像しかないよ」

探偵「そう···ですか···ありがとうございました。では···」クルッ

研究家「あ、そうだそうだ···他に知ってそうな人ならいるぞ」

探偵「え?ホントですか?」

研究家「ああ、それも君が知ってる人さ」スッ

探偵「あのこれは?」

研究家「その住所のビルの六階を訪ねるんだ
     きっと力をかしてくれるはずだ」

探偵「ありがとうございます!」ペコリ

研究家「いやいや、いつも話相手になってくれるお礼だよ」


ガチャ···バタン···

獅子娘「どうでした?」

探偵「とりあえず、ここを訪ねてみればいいそうだ」スッ

狐娘「ううん?どれどれ···あ、ああッ!?」ガクガク

探偵「どうした、狐娘···そんなに震えて」

狐娘「だ、だだだだって····“あの巫女”はおっかないのヨ
思い出しただけでもう···!」ガクガク

獅子娘「狐娘さんがこんなに怯えるなんて
     一体何があったんですか?」

探偵「それは私にも分からん···」

狐娘「コワイコワイコワイ」

探偵「狐娘、お前は先に家に帰っていいぞ···」

狐娘「そうさせてもらうワ···」

知り合いに巫女などいただろうか?

それに狐娘は何故あんなに怯えていたのか。

二つの疑問を抱きつつ、私達は例のビルへ向かった。


ピンポーン···ハーイ···ガチャ···

探偵「突然すいません、実は···って、ああ!?」

巫女「久しぶりね···探偵···今日は何のよう」

探偵「ハァ···どうりで···狐娘が怯えたわけだ」

巫女「ええぇ···狐娘ちゃん来てないの?
    巫女始めたから来てって、メールしたのにぃ」

探偵「(なるほどそれで、知ってたのか····)」

巫女「残念ねぇ···それで、その娘は誰?彼女?」

獅子娘「助手をしている獅子娘と申します。」ペコリ

巫女「ふーん····なるほどなるほど····探偵の趣味はそういう」ニヤリ

探偵「違う、断じて違うぞ、巫女よ!」

巫女「フフッ、冗談よ···で、用件は?」


探偵「この宇宙人を知らないか?」スッ

巫女「····知ってるわよ、どこにいるかも···
     でも、金なしのあんたじゃ···無理ね···」

探偵「かまわない···どこだ」

巫女「“メキシコのポポカテカトル山”」

探偵「UFOの目撃が多いところか···で、その理由は?」

巫女「メキシコ政府が80年間隠してきた石板に
    多分····関係があると思うわ」

探偵「なるほど···そこにヒントが···ありがとう、巫女」

巫女「どういたしまして、今度は狐娘ちゃんも連れてきてね」

探偵「ああ、もちろんだとも」

こうして、1日目の調査は終わった。

探偵「以上が今日の成果だ。」

狐娘「ところで、マヤ文明って何?」

探偵「超科学をもっていたとされる文明さ···
    “世界の終末予言”が近年では有名だな」


~訂正~   ポポカテペトル:正
     
       ポポカテカトル:誤

 細かいところですが、すいません。


狐娘「そういえば、怪盗Dが狙っていたのも
    マヤ文明がらみのオーパーツだったわね」

獅子娘「あ、それも···関係あるんでしょうか」

探偵「推測の域は出ないが、UFO自体の活動は
    それ以前から活発だ···たぶん違うだろう。」

狐娘「てか、メキシコへはどうやっていくのヨ···」ジィー

探偵「それは大丈夫だ···秘密庁に協力要請したから」

獅子娘「端から見たら、ただの観光だと思いますけど····」


探偵「コホン···いいや、これは調査だ···」

狐娘「ヘェー···」

獅子娘「それはそうと、事務所を留守にしていいんですか
     ただでさえ収入が減るというのに」

探偵「ああ···だから、調査には事務所から一人しかいかんよ。」

探偵「それを今からジャンケンで決める!」グッ

狐娘「なッ···負けるわけにはいかないわネ」グッ

獅子娘「(お二人とも、目が欲にまみれてますね)」グッ

探偵「ジャンケン····ポンッ!」グー

狐娘「いえぇい!」パー

獅子娘「勝ちですね」パー

探偵「あ···あ···負けた···」ガクッ


狐娘「次で最後ね····」ゴクリ

獅子娘「ジャンケン···ポンッ」チョキ

狐娘「おお···あいこ」チョキ

狐娘「次こそ···あいこでショッ」グー

獅子娘「やった···勝ちました!」パー

狐娘「負けたァ···」ガクッ

こうして、調査には獅子娘がいくことになった。

観k···ゲフンゲフン···調査にいけないのは残念だが、

この事件を解決するために、日本でやることができた。

というのも、巫女さんから宇宙人に関しての新たな情報を得られたからだ。

夏祭りがあった日に宇宙人に誘拐されかけた少女がいるらしい。

明日、私と狐娘はその娘を訪ねる予定だ。


誘拐されてから今日で2日目···。

一刻を争うのだ···もし、研究家さんの話の通り、

生け贄を捧げる儀式をするならば、その日は

恐らく、日食の日に違いないと確信している。

日食は明後日···それまでに探さなければ···私は焦った。

そして、翌日···。

ガチャ···バタン···

探偵「出発だ、行くぞ!」ダンッ、タタタタ···

狐娘「ちょ、早いッて!」トタトタ···

ありがとうございます!


その頃、少女のいる病院では・・・。

看護師「少女ちゃん、お薬の時間よ~」ガチャ

···シーン···ゴォォ、ビュゥゥ···

看護師「あれ、少女ちゃんいないの?
     窓開けっぱにして···」スタスタ···

ガチャ···

看護師「あ···ああああッ···」ガクッ、ズテン···

ピトンピトンピトン····


少女「」


看護師「キャアアアアアッ」ダダダ···

少女は窓から転落し、死んでいた。


私達が駆けつけたころには···もうおそかった。

探偵「やられた····!」

狐娘「アチャー···これじゃいきずまりネ
     とりあえず、ワタシは動物と話してくるワ」フッ···

探偵「(どうする····どうすれば···)」

『お困りのようだね』

探偵「!!」クルッ···

女探偵「フフフッ、怪盗Dの事件以来だね」

探偵「女探偵···どうして君が?」

女探偵「君と同じさ···ボクも宇宙人を調べてるだけ···」

探偵「調べる?···神様は何でも知ってるんじゃないのか?」

女探偵「フフフッ···戯れだよ、何でも力で解決はつまらないからね」

探偵「“暇潰し”か···神様は職務怠慢だな···」

女探偵「まぁ、そう言わず···一つヒントを君にあげよう」


女探偵「どうぞ」スッ

探偵「花?」

女探偵「死んだ彼女の病室にあったものだよ
     では、失礼♪」フリフリ、スタスタ···

探偵「この花が···ヒントか····」フーム

ドドドド···キキィ···

狐娘「大変よッ!」

探偵「何か分かったのか?」

狐娘「ええ、彼女の世話をしていた看護婦が····
例の河原にいっていたらしいノッ!!」

探偵「何ッ!···だとするとこの花は···」チラッ


探偵「狐娘、至急この花を巫女さんのところへ持っていってくれ」

狐娘「ええッ!?···嫌よッ!巫女はボディタッチ多いし···」

探偵「分かった···なら仕方ない···せっかく、おにぎり煎餅
     を箱で買ってやろうと思ったのに···」ニヤァ

狐娘「グヌヌ···しょうがないわネ···その花届けるワ」

探偵「頼んだ···その花にはおそらく、
     ある“付着物”がついているはずだ」

狐娘「あんたはどうすんノ?」

探偵「私は研究家さんを訪ねてみる···
     少し、宇宙人について気になることがあるしな」

狐娘「オッケー、じゃあ10時に家で合流で···」クルッ、スタスタ···

探偵「ああ、そうだな」クルッ、スタスタ···

かくして、女探偵のヒントで私達の捜査は一つ前進した。

儀式は明日行われるはず···もう残された時間はわずか···

奴らのアジトを突き止めなければ···


~宇宙人前編完~


ピンポーン、ガチャ···

巫女「あら、狐娘ちゃん♪」

狐娘「どうモ···」

巫女「来てくれてうれしい···」ギュゥ

狐娘「ハハハ···ワタシモデス···(苦しい···)」

ヒラッ···ストン···

巫女「あら?···この花は?」

狐娘「ああ、それh···」

巫女「あ、分かった!わたしへのプレゼントね!」

狐娘「いや、違うわヨ···その花を調べて
     欲しいと探偵に頼まれたのヨ」

巫女「エエェ···ガックシ···でも、狐娘ちゃん
    抱きしめられるから···シ・ア・ワ・セ☆」ギュゥ

狐娘「(ああ···ほんと、ウザい···)」


狐娘「しつこい···」フッ

巫女「アレッ?!」スカッ

狐娘「ちゃんと調べて···」

巫女「もぅ···わかったわ···調べる···」

カタカタ···カタカタ···

巫女「うーんと花の特徴と成分は···」カタカタ

ピィーピピッ

巫女「あ、この花ね!」

狐娘「どれどれ···」ジッ


狐娘「コスモス···何も特別な感じはしないわネ」

巫女「そう、花自体は···ね···でも、これを見て」カタカタ

狐娘「花に付着していた粉が鱗粉···!?」

巫女「探偵はこれに気づいたようね」

狐娘「鱗粉に何のヒントがあるってのヨ···」フーム

巫女「宇宙人が“あるUMA”を使い、少女をさらった証拠
     ···って感じだと思うなぁ~」ギュゥ

狐娘「ワワワッ!···苦しいィ···
何でUMA使うのヨ」ジタバタ

巫女「フフフッ···それはね···」ギュゥ


巫女「証拠を消しやすくするためよ···」スッ

狐娘「(え、急に離した?)」

巫女「来る···喋りすぎたかしら···」ザッ


カァカァ···カァカァ···バサッバサッ···


ビカァ···

ズシンズシン···

モスマン「ガァァァァァッ!!!」ズシンズシン···メリメリ···


狐娘「な、な、なによこいつワ!?」

巫女「狐娘ちゃん···こいつがさっき言ってたUMA···」


その翼は蛾のように、その頭と手足はフクロウのように

そして、人間のような形の異形・・・。

この異形を人は“モスマン”と呼んだ・・・。


研究者「探偵、“モスマン”とどう闘うつもりだ···?」

探偵「さぁ···ただ、一つ言えるのはヤツを捕らえれば
    必ず、誘拐された少女を救えます。」スッ

研究者「発信機か···気をつけろよ」

探偵「もちろんですよ···」ガチャ···バタン···


ダダダダッ

探偵「(巫女さんにはモスマンの誘導をお願いしてあるが···)」ダダダダッ

探偵「急がなければ、二人が危ない···!」ダダダダッ


バリィン!バリィン!

ヒュゥー···ジャリィ···

巫女「ハァ···グゥッ」タラー

狐娘「みえなかった···グフッ」ビトビト

狐娘「巫女、あのスピードを封じる手····あル?」

巫女「お札を一つでも貼れればOKよ」

狐娘「そう···なら···」フッ、ビョーン···

狐娘「囮は任せテ」ボォッ

ブゥンブゥン···


モスマン「ガァァァァァッ」バサッ···ジュゥ


狐娘「(炎を弾いた?!)」


モスマン「ガァァァァァッ」ビュゥ

モワァー、キラキラ···


狐娘「(····弾かれるなら···)」


ビュゥ···ギュイー

モスマン「ガァァァァッ」ガシッ

狐娘「(···今だ!)」ボォッ


バババババッ···ジュゥジュゥジュゥ···

モスマン「ガウウウウッ!!!!!」

ドガァ

狐娘「···至近距離で撃てばいいのヨ」シュタ


狐娘「巫女、今よ!」

巫女「OK···ハッ」シュバババ

バシッバシッ

モスマン「ガウウウウウウッ!!?!?」ジタバタジタバタ


狐娘「サァーテ···倒すわヨ」

巫女「いいえ、このまま生け捕りにしろと
    探偵に言われているからね」

狐娘「ええ~ツマンナイ」

巫女「まぁまぁ···抱きしめてあげるから···ね?」ギュゥ

狐娘「ちょ、離してヨ」ジタバタ


5分後に私は到着した。

いやぁ···驚いた、モスマンの現物が

予想以上にグロテスクだとね。

発信機を取り付けた後、モスマンを逃がした。


探偵「これで例の火山のどこに基地があるか分かる」

狐娘「ちょっと、それならワタシに発信機渡しといてヨ」

探偵「研究者さんに頼んで作ってもらっていたからな
    今日でちょうど完成だったんだよ」

狐娘「フーン···そう···なら仕方ないわネ」

探偵「(視線が痛いなぁ)」

探偵「とにかく、後はメキシコにいる獅子娘達に任せよう」


グワァン···バサッバサッ


ジジジジ···グイィィン

秘密員「“モスマン”を確認···火山の火口に入ります···」

ザザッ

狸女「了解、獅子娘···火口に入るよ」

獅子娘「えッ!?」

狸女「大丈夫···モスマンの皮膚と
    同じ素材で作られた服があるから」スチャキュゥシュッ

獅子娘「本当ですか···秘密庁、スゴい···」

狸女「さぁ、出発よ」スタスタ···


3時間後、火口に到着。


獅子娘「熱い···この服着てるから余計に」スタスタ

狸女「あと少しで火口よ···頑張って!」スタスタ


スタスタ···スタスタ···スタスタ···スタスタ···

スタスタ···スタスタ···スタスタ···スタスタ···スタスタ···


獅子娘「ついたぁ...」ゼェゼェ

狸女「よく頑張ったわね···いよいよアジトに入るわよ」

獅子娘「ちょっと水分をとらせてください......」ゼェゼェ

ゴクゴクゴクゴクゴクゴク····

獅子娘「ハァ~...水が美味しいです...」

狸女「では、入るわよ」スッ···ブゥン···


グワァン···


狸女「投げ込んだ石が消えたところは歪みがある···
    そこに飛び込めばヤツらのアジトよ」

獅子娘「分かりました、行きます!」ヒュゥーン···


ギィ···バーン!

マヤ子孫「誰だ!お前達は!!」

狸女「“秘密庁”の者よ···おとなしく捕まりな···」カチャ

マヤ子孫「チィッ···モスマン、来いッ!」ピィー

シーン

マヤ子孫「何故来ない!?」

獅子娘「ワタシが倒したからですよ
      さぁ、誘拐した娘を解放しなさいッ」カチャ

マヤ子孫「あと一歩で儀式が完了するというのに····」

マヤ子孫「仕方ない...かくなる上は」ピィ

ボカァンボカァンボカァン グラングラン

マヤ子孫「お前達を道づれにして儀式を完了するッ!」


狸女「ここまでする理由は何···」カチャ

マヤ子孫「“革命”さ···この火山には不死鳥が眠っている
      一度、餌を与えれば人間どもは死にたえる...」

マヤ子孫「そうして、焼き払われた世界に我々が君臨するのだ!!」

獅子娘「そんなことのために·····!」カチャ、ギャリ

狸女「待て、獅子娘...今は逃げることが先だ...」

獅子娘「クッ...分かりました」


ゴゴゴゴゴゴ····

マヤ子孫「フハハハハッ···マヤに栄光あれッ!」


カッ···バゴァーン···ドンドン···バシュゥァーン···


モクモクモクモクモクモク···


獅子娘「危なかったですね....」

狸女「でも、誘拐された娘達も助けだしたし···万事解決かな」


結局のところ、アジトの爆発により火山は噴火しなかった。

アジトへのワープホールを閉じることで、防げたのだ。

しかし...気になることが一つある...

“不死鳥”が火山に眠っているなら...

一体誰が、火山に封じたのだろうか?

その答えを知っているのは“神のみ”だろう...。


女探偵「ハックシュン...探偵が噂してるな...」


~宇宙人後編完~


マヤ子孫の事件が終結し、秘密庁により火山に

眠っているという不死鳥の調査が進められているそうだ。

私はというと、あれから一週間たち、

特に依頼もこないので、久しぶりに休日を過ごしていた。

探偵業と同時に私は内職している。

赤字ギリギリの生活をしている私にとって

“休み”は本来忌むべきものだが...

心身ともに疲れた今は逆にありがたい。

スゥスゥ

探偵「たまにはカフェオレもいいもんだな···」

獅子娘「そうですね」スゥスゥ

狐娘「ノンキなもんネ」スゥスゥ


だが、事件は突然おきる。

ピンポーン...

探偵「おっ、依頼かな...」

ガチャ

探偵「どちら様でしょうか」

訪ねてきたのは黒いスーツの男だった。

黒スーツ「···スケテ···クレ···」

探偵「え、何ですって?」ソソ

黒スーツ「タスケテクレェェェェ···!!!」フッ

男はそう叫ぶと消えた...一枚の写真を残して...

パシッ···

探偵「電車の写真か···」

どうやら、また面倒な依頼がきたらしい···。


ガチャ···バタン···

探偵「フーム...」

狐娘「あれッ?依頼人はどしたノ?」

探偵「一言とこの写真を残して、消えた...」

獅子娘「え、それってまさか···幽霊···」

探偵「恐らくそうだろう」

狐娘「エエェェ···それじゃあ、報酬なしの
     タダ働きじゃない···やるだけ損ヨ」

探偵「それでも、私は調べる·····どうせ暇だしな」

探偵「留守は頼んだぞ、二人とも」

獅子娘「あっ、いつお帰りでしょうか?」

探偵「そうだな···明日の昼には帰ってくる···では」ガチャ


写真の裏には、あるアパートの住所が書かれていた。

スタスタ···スタスタ···プシュ···ドアガシマリマス、ゴチュウイクダサイ

ガタンガタン···ガタンガタン···

私はまずそこへ向かうことにした。

ガタンガタンガタンガタン

車内からの風景は特に絶景ではなく、

延々とビルや家が連なるだけである。

ガタンガタンガタンガタン

私は例によってボォーとしてそれを眺めていた。

ツギハ···カミキチョウ、カミキチョウ···

そして、アナウンスが聞こえるころに

決まって目を開き始めるのだ。

プシュ···スタスタ···

車内は朝の通勤時間を過ぎ、ゆったりとした空気である。


リラックスできるのはそれが原因かもしれない。

ツギハ···ヒガンチョウ···ヒガンチョウ···

ん?彼岸町?そんな町あったっけ?

眠りが一気に覚めた...どうやら、私は“幻の終点”に着いたらしい。

プシュ···スタスタ···スタスタ···

探偵「どういうことだ...」

その景色は写真のもの酷似していた。

さっきまで乗っていたはずの電車は錆びつき、

ホームに止まっている。

探偵「“謎の駅”か···おもしろくなってきた」

こんな話を聞いたことはあるだろうか?

電車に乗っていると突然、聞かない駅名のアナウンスが

流れてきて、その駅で降りた者は二度と家には帰れない。


依頼人もここで命を落としたとすれば、

この写真も合点がいく。

探偵「きっと、この世界のどこかにいるはず...」

探偵「探すとしよう」スタスタスタスタ···

例の話に沿って私は線路沿いに真っ直ぐ進むことにした。

スタスタスタスタ···スタスタスタスタ···

スタスタスタスタスタスタ····

響くのは足音のみ···

町の雑音も人々の活気に満ちた声も

何もない...静寂の世界...

スタスタスタスタ···ピトッ···


探偵「···!?今のは!?」クルッ

シーン...

探偵「気のせいか...(水の滴る音がしたが)」

スタスタスタスタスタスタ···

スタスタ···スタスタスタ···

歩いて数分だろうか。

踏切にさしかかった···。

カンカン···カンカン···

ガタンガタンガタンガタン···

ガタンガタンガタンガタン···

私の目の前を電車が通りすぎていった。

乗客はいないが車体はピカピカの

まるで、豆腐のような白さだ。


カンカンカンカン···カンカンカンカン···

バーが上がり、再び進む。

だが、眠気が襲う···。

グワァン···フッ

探偵「ハッ···ここは!?」

三度目に目を開いたときには、

乗った電車の中だった。

探偵「(夢だったのか···?)」

ツギハ···ユウヒチョウ、ユウヒチョウ···

探偵「お、目的の町は次か···」

ガタンガタンガタンガタン···プシュスタスタスタスタ

探偵「ええと、写真は···アレッ···」

探偵「ない···確かにポケットに入れたはず···」ワサワサ

タスケテクレ···タスケテクレ···


探偵「!」クルッ

黒スーツ「···」フッ

振り向くと反対側のホームに例の男がいた。

そして、すぐに消えた...。

探偵「(···写真がポケットに戻っている···!
     私に何を伝えたいんだ?)」スッ···チラッ

探偵「考えるのは後にするか···」スタスタ···

スタスタスタスタスタスタ···

一時間後・・・。

ピンポーン···ガチャ···

大家「どちら様?」

探偵「私、探偵の○○と申します。」スッ

探偵「一つお聞きしたいことがあるのですが···」

大家「何よ?」

探偵「ここ数ヶ月の間、部屋を留守に
    している方はいらっしゃいますか?」


大家「三○五号室の人だね···
    なんでも、旅行にいったらしいわ」

探偵「旅行...他には何か知りませんか?
    例えば···仕事先とか···」メモメモ

大家「うーん...分かんないわね...ゴメンなさい。」

探偵「そうですか···では、知っている方は?」

大家「隣の三○六号室の佐藤さんは
     親しげによく彼と話してたわよ。」

探偵「なるほど···ご協力ありがとうございました。」メモメモ

大家「ところで、彼に何かあったの?」

探偵「まだ詳しくは分かりませんが·····何らかの
    事件に巻き込まれた可能性は高いです。」

大家「ええッ!」

探偵「このことはどうか他言無用で
お願いします。では···」スタスタ···


佐藤さんは夜まで仕事らしいので、

私はひとまず、昼食を買いにいくことにした。

スタスタスタスタ···スタスタスタスタ···

ウィーガチャ···イラッシャイマセ····

探偵「(うまそうなパンがたくs···おっと、いけない
    今日はパンの耳を買いに来たんだった...)」

キラキラ···キラキラ···

探偵「(でも...ゴクリ...アアッ!食べたいッ!!)」

キラキラ···キラキラ···

探偵「(し、しかし···食費は節約せねば···グヌヌ)」

キラキラ···キラキラ···


探偵「(仕方ない···買おう···)」

結局、パンの魅力に逆らえず···

クロワッサンを一つとパンの耳を買った。

ウィーガチャ、スタスタスタスタ···

探偵「さて、公園で昼食にするかな···」スタスタ····

公園は駅から近く、春には桜の名所となっている。

私もよく花見にいっていた·····探偵になる前までは

ピチュン、ピチュン···

公園は平日の昼間ということで、子供の姿はなく

木々が揺れるだけで寂しい感じである。


スタン、ガサガサ···ギュッ

探偵「ごちそうさまでした...」パシッ

ゴォゴォ···ピトン···ピトン···

食事を終えた後、雨が降ってきた。

探偵「(やれやれ···ついてないな···)」

探偵「で、アンタの仕業か?」クルッ

女探偵「さすがぁ····分かってるね」

探偵「朝からずっとストーキングされれば気づくさ」

女探偵「あららぁ....バレてたの」

探偵「あの黒スーツのは一体何を伝えたいんだ
       アンタなら分かるだろ!」

女探偵「君が聞いたとおり、助けを求めているんだよ
       “分岐点”から救ってくれ···とね」

探偵「分岐点?····どういう···」

フッ···シュゥ···ヒラヒラ

その問に彼女は答えず、姿を消した。


探偵「(写真の列車、謎の駅、分岐点、私の見た夢····)」

探偵「まだ分からないが····」スッ

探偵「この写真にもヒントがあるかもな」スタッ、スタスタ···

探偵「(とすれば、いく場所は一つ)」スタスタスタスタ···

ピンポーン····ガチャドーカーン

巫女「誰よッ····ってあんたか」

探偵「巫女さん、頼みがあるんですけど」

巫女「ちょっと待ってッ!」ピシッ

探偵「はい?」

巫女「前回の鑑定代、まだもらってないんだけどッ」

探偵「あ、それならご安心を···」スッ

巫女「毎度♪····それで用件は?」


探偵「この写真を鑑定してください」スッ

巫女「いいわよ、でも二時間ぐらいかかるわ···」

探偵「他の仕事ですか?」

巫女「例の不死鳥のデータをまとめてるのよ」

探偵「なるほど···秘密庁の仕事ですか···調査は順調で?」

巫女「50%ぐらいは進んでいるわ」

探偵「大変ですね...なんかすいません、忙しいときに」

巫女「いやいや、大歓迎よ!」

探偵「そうですか·····では、二時間後にまた来ます····」

写真を彼女に預け、私は再びあのアパートを訪れた。

ピンポーン···コンコン···


佐藤「はい?どなたですか?」ガチャ

探偵「私、探偵の○○と申します」スッ

佐藤「あなたが大家さんのいってた探偵ですか····
      話は聞きました、さ···どうぞ···」

ガチャ···スタスタ···

スタスタ···スタスタ···スタスタ···コトッ

佐藤「お茶です、どうぞ」

探偵「ありがとうございます」

佐藤「あの···黒岩さん、行方不明なんですか···」

探偵「ええ、そんなところです」

佐藤「やっぱり······あれは嘘じゃなかったんだ」

探偵「というと?」

佐藤「黒岩さん、一ヶ月前に言ってたんです
     『もうすぐ、死ぬかもしれない』って」


探偵「詳しく聞かせてください」

佐藤「黒岩さん···悩んでいました仕事も遊びも
     何もかも、退屈だって」

佐藤「そんな時、見たそうです····
ないはずの駅で降りて、家に帰れなくなる夢を」

探偵「それで“死ぬかも”ですか···」メモメモ

佐藤「お願いします、黒岩さんを必ずみつけてください」

探偵「ええ、約束しましょう····他には何か言ってないですか
       例えば·····電車の外観とか」

佐藤「いつもの駅で古びた電車に乗ったと言っていたような····」

探偵「そうですか···フム···」メモメモ

探偵「では、他に何かありますか?」

佐藤「いいえ、ありません」

探偵「それでは、私はこれにて失礼いたします
        何かあれば、この番号にお電話を」スッ


現時点での話をまとめると

黒スーツ改め、黒岩さんは一ヶ月前から夢を見ていた。

その夢ではないはずの駅で降りて帰れなくなる

ここで、注目すべき点は二つある。

一つ目は写真と同じく外観が古びた電車が出てきたこと。

二つ目は同じ駅でその電車に乗ったこと。

これが何を意味するのか····私は

現実の駅と夢の駅の境界が交じわり、

特殊な条件を満たすと夢の世界へ囚われる

のではと思っている。

だが、その条件が何なのか···一貫性を

見つけるのは難しいのだ。

今一つピンとこないのだ。


探偵「フーム....」

ピロンピロン

探偵「おっ、巫女さんからだ···」ピッ

探偵「もしもし」

巫女『写真の鑑定が終わったから来て』

探偵「了解です」ピッ

さて、写真を取りにいくとしよう

カツカツカツカツ····


黒スーツ「·····」フッ

その幻に私は気づいていなかった。


~夢列車前編完~


ピンポーン···ガチャ

巫女「はい···鑑定書と写真···」スッ

探偵「鑑定料です···」スッ

巫女「アァァ...疲れた···探偵、一つ忠告よ
     その写真からは怨みの念が出ていた···」

探偵「怨み···生きるものへの怨みですか?」

巫女「そうね···でも、どこか悲しみも混じったような······
      私が分かった感情はそれだけ·····後は鑑定書のとおり」

探偵「ありがとうございます、
     これで少し手がかりが掴めました!」

スタスタ···スタスタ···

探偵「(鑑定書によると···黒岩さんがこの写真を
       1ヶ月前に撮ったらしい)」

1ヶ月前に黒岩さんは奇妙な夢をみて、死を悟った

問題は行方不明になるまで、彼がこの写真を

何故、撮ったのかということだ。


私は今、それを確かめるべく···駅に向かっている

スタスタスタスタスタスタ····

一時間後・・・。

探偵「すいません、この電車が駅のどこにあるか知りませんか?」

駅員「ああ~その錆びついた列車なら展示場にあるよ」

探偵「ありがとうございました!」

スタスタスタスタスタスタ···

『展示場』

探偵「ここか···」ガチャ···


外装が古い列車は多いが、ここまで錆びるのか?

例の列車を見たときそう思った。

探偵「間違いない······まずは写真を撮るか···」スッ

ピィピピ···ピィピピ···

探偵「どんな具合かな···」スッ

写真には何も異常はなかったが、そのとき···

バチンバチン···バチンバチンバチン···

明かりが突然消えた!!

探偵「ウォッ!?」

ガシッ、ガシッ、ガシッ!!!

同時に私は暗闇の中で白い無数の手に

身体を掴まれていた・・・。

探偵「グゥゥゥッ······」ガクッ···

ズリズリズリズリ····

私は気を失った···それから···


探偵「ウッ···ここは?」

目覚めたら、見知らぬ駅だった···。

探偵「どういうことだ·····。」

『その疑問には僕が答える・・・』

探偵「黒岩さんッ!?」

黒岩「···君がここに来たのは理由がある」

探偵「どういうことです?」

黒岩「···僕も君と同じく、他人を
    助けようとしてここへ引きずり込まれた」

黒岩「だが、自力では無理がある。だから
    君に生霊を送り、ここへ誘導した」

探偵「···でも、無事で良かった····
佐藤さんが心配してましたよ」

黒岩「佐藤····?誰だそれは?」

探偵「いやいや、隣に住んでいる人ですよッ」

黒岩「そんな人は知らないな···」


黒岩「それより、今はここから脱出するのが先だ」

探偵「どうするつもりで?」

黒岩「例の列車が眠る場所へ向かう···ついてこい」

カツカツカツ···カツカツカツ···カツカツカツ···カツカツカツ···

探偵「黒岩さん」カツカツ

黒岩「何だ?」カツカツ

探偵「あなたは仕事も遊びも退屈していたんですか?」カツカツ

黒岩「ああ、そうだ····だから、ここへ来てしまった」カツカツ

探偵「そうですか···」カツカツカツ

黒岩「君はどうだ?今の仕事、遊びは楽しいか?」カツカツカツ

探偵「まぁそうかもですね」カツカツカツ

黒岩「君が羨ましいよ···楽しみがあるのは幸せの証だ」カツカツカツカツ


暗闇の広がる中、そんな話を続けてしばらくして

目の前に二つの道が照らされた

探偵「どっちへ行けば····?」

黒岩「····写真を道に向けてかざしてみろ」

スッ····ピィピィ····シュゥシュゥ···

写真から霊魂が流れできた

探偵「つまり、霊魂を追えばいいと」

黒岩「ああ、そうだ····だが···」ジャキ····

探偵「何の真似ですか」ザッ

黒岩「悪いが···列車にたどり着けるのは···一人だけだ」

ブゥンブゥンブゥン······

探偵「初めからこのつもりで···(武器はお札が6枚と
      聖水が500mlだけ····ギリギリまで···走るか)」クルッ···タタタタタタタタ···

黒岩「待てッ!」タタタタタタタタ···


タタタタタタタタタ····タタタタタタタ···カッ

探偵「出られた····!」

カツカツカツカツカツカツ····

黒岩「···探偵···もう逃げられんぞ」ジャキ

探偵「黒岩さん、一人しか出られないと何故
    分かるんですか?」ジャリィ

黒岩「その写真があの電車の切符だからさ····」カツカツカツ

探偵「なるほど···しかし、黒岩さん···」ジャリィ

探偵「あなたは“ここ”から出ることはできませんよ····」ピタ

黒岩「何ぃ···そんな嘘を信じるものか」

探偵「いいえ、残念ながら嘘ではありません」


探偵「ここは夢の世界ではなく····“死者の世界”なんですから」


探偵「あの列車を鑑定してもらいわかったことは
    怨念が集っていたことでした。」

探偵「霊魂というのは通常、人が住まない場所に
    集ってきやすいですよね?」

探偵「でも···あの列車は展示場にあり、
    毎日多くの人が訪れていた····」

探偵「怨念が多いのは不自然ではないでしょうか?」

黒岩「····黙れ···」ギリ

探偵「しかし、あの列車が黄泉への入り口だとすれば····合点がいきます」

黒岩「黙れ····僕は死んでない···シンデナァァインンダァァァアッ!!!」ブゥン

探偵「(今だッ!)」ピシッピシッ···

バチバチバチバチ

黒岩「ガァァァアアアッ!!!!」ジタバタ

スタッ、タタタタタタタ····

探偵「あとはあの列車に乗るだけだッ」タタタタタタタ···


探偵「ハァハァ···乗れた···」

プシュ···ドアガシマリマス···ゴトンゴトン···

バリィンバリィン···

黒岩『ニゲラレルトオモッタカ?』ガシッ

探偵「グッ···黒岩さん···」ジタバタ···

黒岩『ソトニデルノハ····ボクダッ!』バリィン····

探偵「グワァァァァァァァァッ!!!」ヒュードガッ····

探偵「グッウッ····」ガクッ

私は車外へ放り出された····。

意識の薄れる中···白い列車が私の前方に

あることに気づいた。

ああ、私はここで列車に轢かれるのか

私は死を覚悟し、意識が途絶えた。

そして·····次に目覚めたとき·····。


探偵「ウッ····出られたのか···」

私はあの列車の前で目覚めた。

探偵「なら···黒岩さんは····」

カツカツカツカツカツカツ····

女探偵「彼は今ごろ“地獄”だよ」

探偵「やっぱりか·····」

女探偵「それにしても君は運がいいね
     “白の列車”に乗れるなんて····」

探偵「ああ、おかげで帰ることができた」ヌッ···パッパッ···

女探偵「いいや、帰れたのは君だけじゃないよ···後ろ見な」

探偵「何ッ?····ハッ!?」

黒スーツ「助けていただきありがとうございます」ペコリッ

私は自分の目を疑った····。


探偵「ウッ····出られたのか···」

私はあの列車の前で目覚めた。

探偵「なら···黒岩さんは····」

カツカツカツカツカツカツ····

女探偵「彼は今ごろ“地獄”だよ」

探偵「やっぱりか·····」

女探偵「それにしても君は運がいいね
     “白の列車”に乗れるなんて····」

探偵「ああ、おかげで帰ることができた」ヌッ···パッパッ···

女探偵「いいや、帰れたのは君だけじゃないよ···後ろ見な」

探偵「何ッ?····ハッ!?」

黒スーツ「助けていただきありがとうございます」ペコリッ

私は自分の目を疑った····。


探偵「黒岩さん····じゃないな···誰なんだ」

黒スーツ「はい、僕は佐藤です。」

探偵「まったく···じゃあ、生き霊になった佐藤さんが
    悪霊の黒岩さんに利用されたということか」

女探偵「そういうこと♪」

探偵「女探偵、あんた神様なら助けてやればいいだろ」

女探偵「霊界はワタシの管轄外だからね···手出し禁止なのよ」

探偵「だから、佐藤さんに私を紹介した···か」

黒スーツ「おかげさまで助かりました」ペコリ

探偵「いえいえ···しかし、何故霊界に?」

黒スーツ 「僕は一ヶ月前、自殺をはかりました····」

けど、死ねませんでした。いざ死のうとすると

足がすくんでホームに身を投げることもできず···


その帰り道····獅子の面をつけた男が現れました。

男は言いました····『死にたいか?ならついてこい』

スタスタ···キィ

『さぁ···ここが入り口だ···』

そういうと男はナイフで僕を刺しました。

探偵「···獅子の面···か···」

女探偵「何か思いあたるふしでも?」

探偵「いや···だが、殺人未遂は犯罪だ····
その男を捕まえなければならない」

黒スーツ「え、警察は無理なんじゃ······」

探偵「大丈夫、それ専門の機関は日本にありますから」


ひとまず一件落着し、謎の男は秘密庁が

捜査することになった。

私も気になるが依頼を優先しなければ

ならないので、ぐっとこらえることにした。

プシュ····ドアガシマリマス····

プルルルル····プルルルル···

探偵「はい、もしもし?」

獅子娘『探偵さん、依頼がきました···すぐ帰れますか?』

探偵「ちょうど帰りの電車に乗ってるよ」

獅子娘『わかりました。では後ほど』ピッ

電車からの景色は変わらず···そのままだ。


~夢列車後編完~


サイボーグ···それは人間に機械や

動植物の力を与えられた者たちである。

超人的な力を発揮でき、かつては軍事利用も

進んでいた。そう、私がかつて体験した···

“キマイラ事件”も同じだった。

あれはまだ···私が秘密庁の人間だった頃

________

_____

__


探偵(昔)「おはようございますッ!」

狸女「おはよう、探偵」

探偵(昔)「例の連続囚人消失事件、まだ手がかりなしなんですか?」


狸女「先刻、廃工場付近で囚人の目撃があったらしいわ」スゥスゥッ

探偵「はぁ···今回は久しぶりの出番だと思ったのにな」

狸女「平和でいいじゃない···コーヒーどう?」

探偵「あ、いただきます···」


同時刻、廃工場···。

警部「よし···突入5秒前···5、4、3、2、1···」

警官「突入ッ!!」

ガンッ、ダダダダダダ····

カチャカチャカチャ····

囚人「おっと···サツがきたか···」

警部「おとなしく捕まれッ!」

囚人「ククク···捕まるだと?ククク···」ジャリジャリ···


囚人「力を得たのに逃げる理由はないッ」ジャリジャリ

警部「何を言っている?」

囚人「教えてやる···コウイウコトダッ!」ジャリジャリ···

ビリビリ···ジャキ···ビリビリ···ジャキ···

ジャリジャリジャリジャリ···

バンバンバンバン···コロコロコロ···

警部「効かないッ!?」

ギャアアアアアッ!グワアアアアアッ!

ジャリジャリジャリジャリ···

警部「ば、化け物め····」

囚人「ククク···最後はお前だなッ」ザスッ

グアアアアアアアッ!!

警部「····」バタリ

囚人「あっけないな···生身の人間は」


翌朝、廃工場···。

探偵(昔)「先輩、生存者はゼロなんですよね?」

狸女「ええ、警官は腹部を巨大な針で刺され残らず死亡したわ」

探偵(昔)「犯人の痕跡はそれ以外ないんですよね?」

狸女「····警察が調べたのは工場の第一ブロックだけ···
  他のブロックは老朽化で危険だから」

探偵(昔)「成る程···それで僕らの出番ですか」

狸女「私は第二ブロックを調べる···探偵は第三ブロックをお願い···」

探偵(昔)「了解です、先輩ッ」ピシッ


ギィギィ····ギィギィ····

カツカツカツカツ····カツカツカツカツ

探偵(昔)「一階は異常なしか···」

ギロッ!

探偵(昔)「ハッ!?····気のせいか」クルッ、カツカツカツカツ

『オモチャ見つけたワ···』ニヤッ


ドサッ···

探偵(昔)「人形か····ムッ」クルッ

ボォボォボォボォ····

探偵(昔)「(急に灯りがついた···こっちへ進めということか)」

カツカツカツカツ····カツカツカツカツ···

探偵(昔)「おいッ、誰かいるのか」

イルノカ···ルノカ···ノカ···

探偵(昔)「おかしいな···誰もいn」

ガシッ!ジジジ····

探偵(昔)「グゥッ!···髪の毛ッ!?」

ジジジカタン···ジジジカタン···

振り向くとさっきの人形が迫っていた····。

歯車の軋む音をたてて····ジジジカタンジジジカタン

探偵(昔)「クッ···ここまでか···」

ジジジカタンジジジカタン····ピタッ


『ハハハッ、死ぬかとおもったデショ!』

スタン、カタンカタンカタン···

探偵(昔)「君の仕業か、何のために···」

狐娘「退屈しのぎに決まってるワ」

探偵(昔)「悪いけど付き合いきれない···僕は忙しいんだ」

狐娘「フーン···人が死んだのがそんなに重要?」

探偵(昔)「!···君は何か知っているのかッ」

狐娘「知りたいなら、ワタシを楽しませてヨ」ニコッ

ジジジカタンジジジカタンジジジカタン····

探偵(昔)「“人形遊び”はどうも苦手なんだよ」ジャリジャリ

狐娘「大丈夫ヨ···すぐ気に入るから」ニコッ

シュアァァァ···シュアァァァ···シュアァァァ···

狐娘『無限に髪は伸びる···観念したラ』

ダダダダダ···ダダダダダ···

探偵(昔)「(クッ、一瞬でも気を抜けば終わりか)」ダダダダダ


シュアァァァシュアァァァシュアァァァ···ガシッガシッガシッガシッ···

探偵(昔)「グゥッ···前方からもッ···」

カタンカタンカタンカタン···シュタ

狐娘「勝負あったわネ」ニコッ

探偵(昔)「ああ、そうだな····“君の負け”だ」

狐娘「何言ってるノ?そんn」バチバチ···バチバチ

狐娘「お札を····ワタシの周りにッ!?」バチバチバチバチ

ブチブチブチブチブチブチ····

探偵(昔)「さ、君の負けだ···」スタスタスタスタ····

狐娘「チッ···いいワ···その前にお札をとってくれる?」

探偵(昔)「···逃げるんじゃないだろうな」

狐娘「疑り深いわネ···しないわヨ」

ビリビリビリビリビリビリ

狐娘「さて、何から話せばいいワケ」

探偵(昔)「昨日、警官は誰に殺されたんだ?」

狐娘「地味な服の男が殺したわネ····それも普通じゃない
       姿がまるでヤマアラシみたいに変わって」

探偵(昔)「針はそのためか····(じゃあ、消えた囚人はまさか)
       その男はここで何をしていたんだ?」

狐娘「さぁ?そんなの知らないわヨ····でも、
    改造やら資金やら言ってたわネ」

狐娘「知ってるのはこんだけ、じゃワタシはこr」

探偵(昔)「おっと、それは出来ない····
      君の証言を秘密庁でもう一度聞かせてくれ」

狐娘「エエエェェェェ····ダルいわネ」

探偵(昔)「あ~来てくれるなら···煎餅でも出そうかな····」ニコッ

狐娘「ア、アンタ···煎餅好きだとどうして····!?」

探偵(昔)「それは秘密だ····さ、どうする?」

狐娘「グムム······で、でもどうせ、普通の煎餅なんデショ」

探偵(昔)「いいや、海老煎餅だけど····」

狐娘「エ、エビ、エビビビ···エビセンベェェェェイッ!!
     し、仕方ないワネ···行きます···」


狸女「どうした、探偵?」

探偵(昔)『犯行の目撃者を見つけました
       そちらはどうですか?』

狸女「こっちも変なドアを見つけたわ···
     悪いけど、開けるの手伝ってくれない?」

探偵(昔)『了解です。すぐ合流します。』プツ···

30分後、第三ブロック···。

カタンカタンカタン···タタタタ···

探偵(昔)「ハァハァ···遅くなりました」

狸女「脚力はまだまだね···それで、その娘が目撃者?」

狐娘「合点、そのとおりヨ」

狸女「よろしくね···狐ちゃん···じゃ、早速ドア開けるわよ」

探偵(昔)「休憩なしですか!?そんなぁ····」ガクッ

狸女「文句言わない、さっ、準備しな」

ドガッドガッドガッ····バァンーン

探偵(昔)「あ、開いた....お疲れさんです....」ガクッ


狸女「だらしないな···ね、狐ちゃん」

狐娘「そうネ、腕力もつけないとネ」

探偵(昔)「ああ、もうッ!厳しいなぁッ」

カツカツカツカツカツカツ····ピタッ

ゴポゴポ····ゴポゴポ···

探偵(昔)「先輩、この水槽は一体····」

狸女「恐らく実験に使う生物を保管するもの」

ペラッペラッペラッ

狐娘「“人間と動植物の融合”だって書いてあるヨ」スッ

狸女「やはり、あの男はここで何かしていた····
     探偵、鑑識を呼んでッ」

探偵(昔)「了解ですッ!」ピシッ

狸女「あとは····この工場を使っていた会社も調べないと」

狐娘「(なんかワクワクしてきた····退屈しのぎに十分カナ)」


数時間後、秘密庁···。

カタカタ、カタカタ···パチン

狐娘「以上がワタシの知っていることヨ···」

探偵(昔)「はい、これで終わり···ごくろうさん」

狐娘「ちょ、ちょいッ!煎餅はどこヨッ!!」

探偵(昔)「あ~はいはい····どうぞ」ボンッ

バリボリバリボリ

狐娘「海老の香ばしさがたまらないワ~」バリボリ

狐娘「何しろ3年ぶりに食べたからネ~」バリボリバリボリ

探偵(昔)「やっぱホームレスなのか?」

狐娘「ち、違うわヨ、自由が好きなダケ······」バリボリバリボリ

探偵(昔)「それであの工場か···」

狐娘「いいえ···気づいたら、工場ヨ」


探偵(昔)「これからどうする?」

狐娘「特にやることもないけど·····それが何···」

探偵(昔)「君を是非とも、捜査に加えたい」

狐娘「ハッ?ワタシがいて何の得が?」

探偵(昔)「君の得は二つ····煎餅が食えることと退屈しないこと」

狐娘「具体的に何をするのヨ」

探偵(昔)「君には消えた囚人の足取りをつかんで欲しい
      なんせ、人が足りないもんでね」

狐娘「いや、退屈しそうなんですケド····」

探偵(昔)「心配ないさ、君が追うのは“凶悪な囚人”だから」ニコッ

狐娘「ヘェ~···遠慮なく戦ってもいいト?····なら安心だワ」ニコッ

探偵(昔)「よし、決まりだッ!」

こうして狐娘は秘密庁の人間となり、

共に捜査を続けたのだ。


探偵(昔)「狐娘、君は今日からここの配属だ」

狐娘「···よ、よろしくお願いします」ペコリ

巫女(昔)「ハイハイ♪よろしくねッ」

探偵(昔)「頼みましたよ」

巫女(昔)「勿論、色々と教えるわ····フフフッ····」

探偵(昔)「(うわぁ····不安しかないな)」

探偵(昔)「じゃあ、狐娘···捜査よろしくな」

狐娘「まかせなさいヨ」

ガチャ···バタン···

探偵(昔)「さて、捜査に戻るか···」

スタスタスタスタスタスタ···ガチャ···

探偵(昔)「先輩、例の会社に行きましょう····ッてあれ?」

···シーン···


探偵(昔)「いない···ん?」

『私は会社調べるから、あんたは囚人の足取りお願い』

探偵(昔)「そんなぁ···調べたかったのに」ガクッ

というわけで、僕も狐娘たちのチームに入ることになった。

巫女(昔)「プフフッ···そりゃ気の毒に」

探偵(昔)「ホント···ひどいですよ」

狐娘「泣くなヨ、はい煎餅」スッ

探偵(昔)「ありがとう···」バリボリバリボリ

このときはホント落ち込んだな····。

そして、5分くらいで立ち直った。

探偵(昔)「もう大丈夫です····ところで消えた囚人の
      足取りは今どんな感じですか」

巫女(昔)「刑務所から消える一時間前···近辺の公園に
       何台も車が駐車してあったわ」

巫女(昔)「そして一時間後に囚人たちがそれで逃走した
       車は発見したけど、囚人たちはみつかっていないわ」


巫女(昔)「というのが警察からの情報よ」

探偵(昔)「なるほど···で、今日はどこへ?」

巫女(昔)「逃走車が残っていた場所に行くわ」

探偵(昔)「了解です」

一時間後、到着···。

ブーン···キキィ···バンバン···

狐娘「ウ~ン····港かぁ」ファァ

探偵(昔)「お目覚めか···仕事するぞ」

狐娘「ハイハイ···しますヨ」

巫女(昔)「狐娘ちゃん、早く起きないと····フフフッ」ニコッ

狐娘「は、ハイッ!!起きましたましたッ!!」ピシッ

探偵(昔)「(一体、何をされたんだ····)」

巫女(昔)「よし、なら手分け決めるわよッ」

巫女(昔)「探偵と私はトラックの運転手に聞き込みを
       狐娘ちゃんは動物に聞き込みで」


探偵(昔)「あのすいません、少しお時間いいですか」

トラ運「何だい、アンちゃん?」

探偵(昔)「一週間前の水曜の夜、不審な人を見かけませんでしたか?」

トラ運「それ、警察にも聞かれたなぁ···見てないけど」

探偵(昔)「そうですか、ありがとうございました」

スタスタスタスタスタスタ····

探偵(昔)「あのすいません····」

スタスタスタスタスタスタ····

探偵(昔)「そうですか、ありがとうございました」

スタスタスタスタスタスタ····

探偵(昔)「(ダメだ····目撃情報がない···
      囚人たちはどうやって港を出たんだ?)」

探偵(昔)「(一目につかず····警察も分からない手段····)」

ポンポン

探偵(昔)「はい?」クルッ


狐娘「どう、進んでる?」バリボリバリボリ

探偵(昔)「····何食ってるんだ」

狐娘「骨煎餅ヨ···食べル?」

探偵(昔)「いやそれより、聞き込みはどうした」

狐娘「バッチリ終わったワ····少し分かったシ」バリボリバリボリ

探偵(昔)「ホントかッ!?何が···何が分かったッ!?」ガシッ

狐娘「ちょ、痛い痛い····」

探偵(昔)「あ、すまん···教えてくれ」サッ

狐娘「まず、囚人たちはちりじりに分かれたこと」

その前に奴らはこう話していたらしいワ····。

『計画のため、工場から例の物を回収する
  回収後は速やかにあそこへ集まること』

探偵(昔)「集合場所が特定できれば····一網打尽なんだがな」

狐娘「ま、焦らないことネ」バリボリバリボリ

探偵(昔)「事態は深刻なんだけどな」


巫女(昔)「ナァニ····いちゃついてるのよ」

探偵(昔)「うぉッ!!びっくりした」

巫女(昔)「鑑定が終わったらしいわ···本部に帰るわよ」

カツカツ····バンバン、キキィ···

一時間後、到着。

スタスタスタスタ···コンコン

鑑定人「失礼します、鑑定結果をお持ちしました」

巫女(昔)「ご苦労様」

ガチャバタン

探偵(昔)「で、結果はどんな感じですかね」ペラッペラッ

探偵(昔)「指紋が二人分検出ですか」

狐娘「水槽については何か書いてないノ?」

探偵(昔)「ヤマアラシの針が水槽の破壊に使われたとさ」

巫女(昔)「狐娘ちゃんの言う通りということか」

狐娘「ワタシは嘘つかないわヨ」ムッ


巫女(昔)「怒った顔もカワイイわ♪」ギュゥ

狐娘「く、苦しい···」ジタバタジタバタ

探偵(昔)「(なるほど、狐娘がビビッてたのはこのせいか)」

探偵(昔)「巫女さん、離してあげてください....」

5分後、開放。

狐娘「····」ガクッ

巫女(昔)「ふ~リフレッシュ完了ッ」

探偵(昔)「おい、狐娘···大丈夫かッ!?」ユサユサ

狐娘「せ、センベェイ····を····」プルプル

探偵(昔)「ここにあるぞ」スッ

パシッ、バリボリバリボリ

狐娘「···もう大丈夫ヨ(···死ぬかと思ったワ)」

それからというもの、狐娘は巫女に対して

強い警戒を抱いているのだった。


探偵(昔)「さて、話を戻しましょう」

狐娘「囚人たちが港からどう移動したよネ···」

巫女(昔)「聞き込みをしても誰も不審者は見てないっていうし」

狐娘「身を隠す場所なんてあるノ?」

探偵(昔)「そこなんだよ···警察を振り切るのは難しい」

狐娘「“灯台もと暗し”···案外普通の場所にいたりして
    探しものは身近にあるもんじゃない?」

探偵(昔)「身近なぁ···ん?待てよ···?
        あッ!!一つ、調べにくい所があるじゃないかッ」

狐娘「それは一体どこヨ」

探偵(昔)「“コンテナ”だよッ!」

巫女(昔)「なるほど、輸送船が多く出港するなら
      コンテナの数は数えきれないほど多い」

巫女(昔)「そりゃ、分からないわ···」

探偵(昔)「しかし、あの夜出港した船は限られている」


探偵(昔)「警察に連絡しますね」ピッ

巫女(昔)「じゃあ、私たちは残りのコンテナを調べてくるわ」

狐娘「えええぇぇッ!?」

巫女(昔)「とにかくいくわよ」

ガチャバタン···

探偵(昔)「よし、連絡完了ッと」

ガチャバタン·····

探偵(昔)「あ、先輩···お帰りn···って!?」

狸女「クッ···探偵、あの会社は危険だわ」

探偵(昔)「それより怪我の手当てを」

スッ

探偵(昔)「このディスクは?」

狸女「囚人たちが脱獄した理由がそれに···グッ」ポタポタ···

探偵(昔)「今、医療班を呼びますからッ」


『だが、私には止められない·····この映像は私の弟子に託す···』

ゴポゴポ···ゴポゴポ···

『私は奴らに対抗する術を知らない···この映像を見た者がいるならば』

ゴポゴポ····ゴポゴポ····

『“ここ”を訪ねてくれ、必ず力を貸してくれるはずだ』

ゴポゴポ···ゴポゴポ···

『私にはもう時間がない····弟子君、あとは任せたよ····』

ピッピピピピピピピ······ボカァンボカァンッ!!!

映像はここで終わっていた。

探偵(昔)「サイボーグを作る研究か····なるほど」

狸女「囚人の誰かが恐らくは“サイボーグ”だった
     囚人たちはきっと、同じようにされるはずよ」

探偵(昔)「まさか、現実に人体兵器が存在するとは驚きました」

探偵(昔)「それで····このディスクはどこで入手したんです?」

狸女「会社の金庫から頂戴したわ」ニコッ


探偵(昔)「先輩、無茶はやめてくださいよ」

狸女「そうは言ってられないわ····この瞬間にも奴らは動いている」

探偵(昔)「気持ちは分かりますが、先輩は安静にしてください」

狸女「はいはい····任せた任せた····」

ガチャ、バタン····プルルルプルルル

探偵(昔)「はい?」

巫女(昔)『“ビンゴ”よ···囚人を発見したわ』

探偵(昔)「ホントですかッ!?」

巫女(昔)『ざっと20人よ、これで手がかりは増えるわね』

探偵(昔)「了解、こちらも新たな情報を掴みました
      奴らの狙いは“人体兵器”の製造です」

巫女(昔)『どういうこと?』

探偵(昔)「詳細は後ほど····話は変わりますが一つ調べてくれませんか?」


探偵(昔)「ええ、では····」ピッ

探偵(昔)「(博士の言っていた住所を訪ねてみるか)」スタスタ···

博士の“弟子”と博士が残した“協力者の住所”····。

この事件にはまだ謎がある。

利益を得るだけなら、もっとやり方はあるはずだ。

警察に感づかれることはまずしない。

では、リスクを承知で何故こんなマネをしたのか。

他の計画を進めるためだとすると····

我々はまんまと誘導されていることになる。

いずれにせよ、行動するしかないのだ。

警官たちの無念を晴らすために

計画を阻止するために

“行動”あるのみだ。


コンコン····コンコン····

探偵(昔)「どなたかいらっしゃいませんかぁー」

ギギギ···ガチャ

老男「何のようだね?」

探偵(昔)「博士について調べていまして···」スッ

老男「すると···あの映像を見たのか···」

探偵(昔)「はい、力を貸してくれると」

老男「よし、上がってくれ」

探偵(昔)「失礼します」

スタスタ····スタスタ····

老男「そうか····サイボーグが····」

探偵(昔)「ええ、このままでは大変なことになります
       対抗手段はあるんでしょうか?」

老男「まぁ···普通は勝てんだろうな
     勝つには人間を超える力が必要だ」


老男「こちらも“サイボーグ”になるとか····」

探偵(昔)「えッ!?」

老男「冗談だ、君にコレを渡しておこう」カチャ

探偵(昔)「この銃は···レーザーでも出せるんですか」

老男「いいや、その銃に動植物のDNAを入れ
    対象に撃てば···対象は変化する。」

老男「効果は5分間だけ、それと一回の使用に
     つき、使うDNAは2種類までだ」

探偵(昔)「この発明も博士が?」

老男「特殊な魚を作る過程で発明したらしい」

探偵(昔)「ご協力ありがとうございます」

対抗手段を手に入れ、家を後にした。

DNA····少しこの銃を試してみるか。

本部に戻り、実験を行うか···。

プルルルプルルル···プルルルプルルル


探偵(昔)「もしもし?」

『初めまして····』

探偵(昔)「誰だッ!」

『俺はサイボーグ第一号···囚人さ』

探偵(昔)「巫女さんと狐娘はどうしたッ」

『二人は人質だ、返して欲しけりゃ····
一人で廃工場に来い····。』

プツッ

探偵(昔)「急がないと····!!」ダンッ、タタタタ····

同時刻、工場。

巫女(昔)「探偵君をどうするつもりッ」

囚人「もちろん、殺すよ」ジャキジャキ

巫女(昔)「!···その針はッ!!」

狐娘「そうヨ····コイツが警官を殺した囚人····」

囚人「ああ~····あっけなく死んだ奴らなぁ」ニタァ


巫女(昔)「あんたッ···!」ギリッ

囚人「おお怖い····そうさ、俺は平気で殺したよ
     莫大な利益を得るためになぁ···
          そして、お前らも犠牲になる」ジャキ

ガラララララ····バキュンバキュンッ

探偵(昔)「二人を解放しろッ」カチャ

囚人「んなもんは効かねぇよ···」ポイッ

パラパラ···パラパラ···

探偵(昔)「銃弾を跳ね返した···!?」

囚人「俺がサイボーグだからだ」

探偵(昔)「(なら、コレを使うまでだ)」

探偵(昔)「お前は必ず、捕まえるッ!」

囚人「ハァ?ただの人間が?」

探偵(昔)「すぐに分かるさ」

囚人「ハッ、そうかよッ!!」ピュンピュンピュン

探偵(昔)「(さ···今のうちだ、狐娘ッ)」ダダダダダダダダッ


ザザザンン、ザザザンン···

囚人「いつまで逃げられるかなァ」ピュンピュンピュン

ダダッ、グルッ···ダダダダッ···

狐娘「巫女、大丈夫?」

巫女(昔)「ええ···探偵に加勢しましょッ」

ザザザンザザザンザザザン····ザスッ

探偵(昔)「グッ···針が足にッ!」ポタポタ···

囚人「やっとヒットしたか」ジャキ

カツカツカツ···ピタッ

囚人「あの世へいけぇぇぇッ」ブンッ

ボォンボォンボォン···シュゥゥッ

囚人「熱いな···誰だよッ」グルッ

狐娘「ワタシよ」ニッ

囚人「ハッ、ハハハハッ····いいぜ
     まとめてあの世へいきなッ!」ピュンピュンピュン


狐娘「避けるまでもないワ」ボォンボォンボォンッ

ヒュッザザザンン、パラパラッ

囚人「針を撃ち落としただと···!?」

狐娘「アンタの攻撃はさっきたっぷ~り見たからネ」

囚人「チィィッ、こざかしいぜッ」ジャキ、タタタタタタタタッ

キィンキィンキィン

巫女(昔)「探偵、大丈夫」

探偵(昔)「足を少しやられました
      それより、コレでヤツを」スッ

巫女(昔)「了解、休んでなさい」タタタタッ

ザザザンザザザン

狐娘「まだ続けル?」

囚人「続けるさ···どちらかが死ぬまでな」パチンッ

ゴゴゴゴッ、ジャキジャキジャキジャキ

狐娘「針が戻ってルッ!?」


ザスッザスッザスッ

狐娘「ガウッ!!」ビッビッ

ガクッ···バタン

狐娘「クゥッ···針が速すぎる」

ジャキジャキジャキ···スゥー

囚人「油断したなァ···終わりだ」ブゥン

ガシッ、ジジジッ、バキィン

巫女(昔)「まだ終わりじゃないわ」

囚人「なら···次の手を見せてみろ···」

巫女(昔)「こうするのよッ」カチャ、バキューン!

シュゥゥゥ···ミョコンミョコン···

狐娘「み、巫女なのッ!?その姿はまるで···」

巫女(狐)「狐娘ちゃんとおそろいね♪」

囚人「おもしろいなァ····来いッ!」ジャキ


ボォンボォンボォンボォンッ、シュゥゥゥ

囚人「この身体に炎は効かねぇよッ」ピュンピュンピュン

ザザザンザザザン···ガシッガシッガシッ

探偵(狐)「承知しているさ」

囚人「なッ···お前何故動けるッ!?」

探偵(狐)「さっきの銃で肉体が強化されたからさ」ピシッ

囚人「そういうことか···」ジャキジャキ

巫女(狐)「探偵、針は任せてッ」ザッ

探偵(狐)「了解です、巫女さんッ!」ダダダダッ

ダダダダッダダダダッ····

探偵(狐)「ウォォォォッ」ガンガンッ

囚人「グゥホォッ···いいパンチだなァッ」ドガドガァ

探偵(狐)「グッ···」ジャリィ

囚人「オラアアアッ!!」ガンガンドガァ

探偵(狐)「フッ···ハァァァッ」パシッ、ガガガンッ


囚人「グォォォッ····」ドガシャァ

ビチャビチャビチャ····

探偵(狐)「ゴフッガァッ」ビトビトビチャ

探偵(狐)「グッ、やったか···」

ユラユラ、ムクッ

囚人「この決着はいずれ着ける」ポイッ

プシュゥゥ····モァモァモァモァ····

探偵(狐)「逃げた···か」フラッ

狐娘「出血を止めないト」

探偵(狐)「ありがとう、狐娘」

狐娘「べ、別に普通でショ///」

巫女(狐)「あ~妬けるなぁ~」ギュゥ

狐娘「わッ、離れなさいヨッ!!」


囚人はやはり、サイボーグであった。

僕たちはあの銃を使い対抗できたが、次も勝てるかは分からない。

そこで、戦力を増やすことになったが・・・。

虎娘「よろしく、ミーは虎娘♪」ペコッ

蛇娘「蛇娘です···よろしくです」ペコッ

探偵(昔)「増員は君たち二人だけなのッ!?」

巫女(昔)「他のチームも忙しいから仕方ないでしょ」バリボリ

狸女「なんにせよ、人は多いほうが良い」バリボリ

狐娘「そのとおりネ」バリボリ

虎娘「ええ、まったくですね♪」バリボリ

蛇娘「煎餅···おいしい····」バリボリ

探偵(昔)「食いながらしゃべるなよッ!!」

探偵(昔)「ってかアジト調べないといけないでしょッ!!!」

スゥスゥゥ、コト···

巫女(昔)「それについては虎娘ちゃんから話があるわ」

囚人「続けるさ···どちらかが死ぬまでな」
 ↓
囚人「この決着はいずれ着ける」ポイッ

囚人君格好悪い


虎娘「はい♪アジトの場所は分かりましたよ」

探偵(昔)「どこなんだ?」

虎娘「ある会社が工場を有する孤島です♪」

探偵(昔)「なるほど···サイボーグを製造するには好都合の場所だ」

虎娘「アジトへの潜入は明後日の予定です♪」

探偵(昔)「それまでにこの銃を使いこなす必要が····」チラッ

巫女(昔)「そうね、敵の数も多いことだし戦闘訓練は必要ね」

狸女「狐娘と増員二人が適任だな
      探偵、お前は三人と訓練しろ」

探偵(昔)「お二人はどうするんですか?」

巫女(昔)「この針から武器を作るのよ」キラァン

探偵(昔)「完成すれば有利になりそうですね····」

狸女「会議は以上だ、解散ッ」

ガチャ、バタン···


探偵(昔)「この銃でまだ試していないことがあるんだ
       みんな協力してくれないか?」

虎娘「いいですよ♪」

探偵(昔)「じゃあ、ラボに行こうッ」

スタスタ···スタスタ···スタスタ···スタスタ···

コンコン、ガチャ···

探偵(昔)「失礼します、探究者さん」

探究者「おッ、探偵君···今日は可愛い娘つれて···色男だな」

探偵(昔)「ハハッ···違いますよ、それより防護室は使えますか?」

探究者「その銃をテストするのか···いいよ」

探偵(昔)「ありがとうございますッ」

探偵(昔)「みんな、髪の毛三本くれないか?」

スッ、カチャカチャ···

狐娘「で、何が始まるのヨ」

探究者「早く見せたまえッ」


バキューンバキューン····シュゥゥ···ゴワゴワ···ピョコンピョコン

探偵(狐虎)「探究者さん、照明を落としてくださいッ」

ピッピッカッ····パチン

カァァ···ピカァ

狐娘「うわぁッ!?眩しイッ!!」

探究者「目から光が···どういう仕組みかね!」

探偵(狐虎)「このタイプは暗闇じゃ不利かもな、次のを試すか」

カチャカチャバキューンバキューン···

探偵(狐蛇)「寒い···寒い····」ガクガク

探究者「蛇は寒さに弱いからな
     でも、身体は柔らかくなったはず」

グイグイグイグイ····

虎娘「わぁ♪ホントだ♪」ジジジッ

探偵(狐蛇)「爪が爪が食い込んでるよッ···イテェッ!!」


探偵(虎蛇)「寒くないし、身軽だなッ」シュッシュッ

狐娘「····照明落としてみなさいヨ」

探偵(虎蛇)「目から光が溢れるな」パァァァァッ

蛇娘「眩しい···です」

探偵(昔)「狐は炎、蛇は身軽さ、虎は目が良くなる···か
        性能テストは終わりだ···」

狐娘「じゃあ、それ貸しなさいヨ」

探偵(昔)「そうだな···三人もいざというとき使えれば心強いし」スッ

狐娘「二人とも髪一本ちょうだイ」カチャカチャ···バキューン···

狐娘(虎蛇)「確かに身軽ネ」シュッシュッ

探偵(昔)「照明落としてみるぞ····」

パチンパチン、カチャン···シーン

探偵(昔)「アレッ?眩しくない?」

探究者「恐らくは彼女の視力が元から高いからだろう
     君は視力が弱いからね····」

探偵(昔)「そんなシステム···だったのか」ガクッ


その後、虎娘と蛇娘も銃を使用し性能確認をした。

二つのDNAを使いこなせるのは狐娘だけだった···。

何故だろうか?···獣人だからだろうか?

なら、他の二人も使いこなせるはずだ。

彼女にはまだ“秘密”があるのかもしれない····。

ピチュンピチュン····

探偵(昔)「おはようございますッ」

狸女「おはよう、探偵」

探偵(昔)「あれっ···三人がいませんね」チラチラッ

狸女「彼女たちは探究者さんのところへ銃の改良のためにね」ズスゥ

探偵(昔)「そうですか、僕も行ってきます」クルッ、スタスタ···

ガチャ、バタン····

狸女「まったく、あいつら熱心だな」ズスゥ


探究者「おおッ!探偵君も来てくれたかッ!」ガシッ

探偵(昔)「えええ、何ですか?」

探究者「実はネズミに3つのDNAを与えたんだが、暴走してね····
      狐娘ちゃん達がこの中で食い止めている。」

探偵(昔)「ハァ···わかりました、行ってきます」

ガチャ、バタン···タタタタ···

探偵(昔)「みんな大丈夫か?」

狐娘「ハァハァ···なんとかネ···」

虎娘「この状況、まずいです」

蛇娘「···万事休す···」

ズシンズシンズシン

探偵(昔)「コイツが敵かッ!?」

ズシン····メリメリ···

暴鼠「グワォォォォオオオォォォォオンッ!!」


狐娘「正気なノッ!?」

虎娘「よしてくださいッ!!」

蛇娘「探偵さん···同じ目に···」

探偵(昔)「心配ありがとう···それでもこれしかないんだ」

バキューンバキューンバキューン····

探偵(昔)「グゥッウォッ···グゥゥゥゥッ···」

ジャキンジャキン、ギランギラン···

探偵(三混)「グフゥッ···」ビチャビチャ

狐娘「探偵、やめなヨッ!!」

ズズッズン···ブゥン

暴鼠「グォォォォッ!!」

探偵(三混)「グハァァァァッ」ビチャビチャ

狐娘「アンタだけが無理する必要ないデショッ!!」

暴鼠「ガァウァッ」ドガドガッバシュン


探偵(三混)「仲間が···グハァッ···ボロボロになってんなら···」

探偵(三混)「仲間を全力で守るのは当然だ···」フラフラ

暴鼠「グォォォオォオォォオンンン」ドガドガッ

探偵(三混)「フゥンッ」バシュバシュッ

暴鼠「グォォォオォオォォオンンンッ」ブシャァ

パシッパシッ、ジジジジジッ

探偵(三混)「ハァハァ···グフゥッ、あと一撃···」

フッ····シュゥゥゥゥゥッ

探偵(昔)「しまったッ!」

ズシンズシンズシン

暴鼠「グォォォオォオォォオンンンッ」ダダダダダッ

『そこまでですよ、暴鼠····』

探偵(昔)「グフゥッ···探究者さん···?」

探究者「探偵君、実験に協力してくれてありがとう」ニコッ


探究者「私はサイボーグ···証拠を見せよう」シュゥゥゥゥゥッ···ボキボキ···

バシュゥッバァァァッ

狐娘「蝙蝠···とはネ」

探偵(昔)「何故、裏切ったんだ!」

探究者「裏切る?いいや、違う···最初から
      私はここへ潜入していただけさ」

探究者「“新たなサイボーグ”を作るためのデータを手にするためにね」ニコッ

探偵(昔)「そんなことのために····あんたはッ!!」ギロッ

探究者「そうさ、他人の命を捨てるよ」

探偵(昔)「絶対に許さないッ」ダダダダダ

探究者「無茶するなぁ···話にならないのにさ」ピィィィィッ

ドォーンドォーンドォーンドォーン····

探偵(昔)「グフゥッゴハァッ」ヒュゥードォン!

虎娘「探偵さんッ」


探究者「私の殺人音波は効くだろう」

探偵(昔)「グホォッゴハァッ」ビトビト

探究者「今日はここまでだ···探偵君、この銃は預かる···」フッ、バリィン

バサッバサッ····バサッバサッ····

探偵(昔)「グフゥッ、待···てッ···」ガクッ

裏切りに気づかず、僕たちはボロ負けした。

銃も奪われてしまった····。

サイボーグに対抗できる唯一の希望が····。

探偵(昔)「すいません、先輩····」

狸女「あんたが謝る必要はない」

探偵(昔)「でも、僕が勝っていればッ」

狸女「銃よりもあんたには“大事なもの”が残った」

狸女「それを忘れていない?」


狐娘「ワタシたち仲間を信じなヨ!」

探偵(昔)「そうだな···みんなとなら必ず勝てる」

探偵(昔)「作戦を立て直そう」

狐娘・虎娘・蛇娘「了解ッ」

そして、次の日····。

狸女「総員、準備は出来たか?」

探偵(昔)「オーケーです」グッ

狸女「これより我々六人はアジトへ潜入するッ」

狸女「なお、本作戦は先に潜入したαチームと合同で行う」

狐娘「αチームッてどんな奴らよ?」

探偵(昔)「αチームは忍者、騎士、戦士の三人からなる戦闘特化の集団さ」

狐娘「へぇー···どれぐらいの実力か試してみたいわネ····」

巫女(昔)「狐娘ちゃん、やめときなさい」ニコッ

狐娘「ヒィッ!わ、わかったわヨ····」


狸女「銃の奪還は探偵、狐娘、巫女
      囚人の解放は私、蛇娘、虎娘が担当する。」

狸女「各員、心してかかれッ!」

ブゥーンブゥーンブゥーン、ザバンザバンザバンザバン····

囚人「来たか····今日は奴らの命日だなァ」

探究者「フフフッ、そうですねェ」

王者「囚人よ、お前の命日かもしれんぞ」

囚人「ハッ、下手なジョークだ···俺たち
    10人のサイボーグに勝てる奴はいねぇだろ?」

丸眼鏡「過信はよくない···分かってないな」

黒髪少女「囚人が死んでも別にいいけどね」

囚人「ケッ、勝手に言ってろ」

囚人「奴らを殺すのは俺だ」フッ

探究者「さて、競争しますか」フッ

王者「望むところだ」フッ

丸眼鏡「短気だな、あの三人···」


ズゥジィ···

狸女「こちらβチーム、αチームどうぞ」

騎士『こちらαチーム』

狸女「そちらの状況を教えてもらいたい」

騎士『予定どおり配置についた···だが気をつけてくれ
     そちらに敵が三人向かった』

狸女「了解、また連絡する」

ズゥジィ、カチャ···

狸女「ここからは二手に別れるわ、敵との遭遇に注意すること」

狸女「蛇娘、虎娘···いくわよ」スタスタスタスタ

スタスタスタスタスタスタ····

探偵(昔)「よし、いくか···」

狐娘「待ちなさいヨ」ガシッ

ザスザスザスン····

探偵(昔)「うぉッ!?針ッ!!」ジャリィ


カサッ、フシフシッ···

囚人「よぉう、また会ったなァ」ニヤッ

狐娘「やっぱネ」ザッ

探偵(昔)「今度こそ決着を着けるッ」ザッ

巫女(昔)「ええ、警官たちの仇もとるわッ」ザッ

囚人「ハハハハッ、あの銃がないお前らに
    俺が負けるはずはないッ」ジャキジャキジャキ

ピュピュピュンピュピュピュン

ザザザザンザザザザン····カキンカキンカキン

狐娘「前よりも針の量が増えてルッ!?」カキンカキン

巫女(昔)「探偵君、針は私たちに任せて奴を」カキンカキン

探偵(昔)「はいッ!」ダンッダダダダ···

囚人「ハハハハッ、来いッ」ジャキ

探偵(昔)「ハァァァッ」ドガッドガッ

囚人「効かねぇよ···フゥンッ」ドカドカッ


ジャリィ、ダダダダッ

探偵(昔)「いやッ!確実に攻撃は効いているさッ!!」

囚人「何ィッ····?」

ミシミシッ、ドォン

囚人「ウガァッ!何故だァ···人間に傷をつけることは···」

探偵(昔)「そう···無理だ···素手はな」グッ

パチン···ジジジジ

探偵(昔)「スタンガンのおかげさ」

囚人「ケッ、こざかしいぜェッ」ジャキジャキ···ブゥンブゥンブゥン

探偵(昔)「デイヤァァッ」バシッバシッ

バキンバキン···

囚人「針を折っただとォッ!?」

ダダダダダダダダッ、ダンッ

探偵(昔)「ダァァァァッ」ジジジジ、ボォンボォン

囚人「グォォォォォッ!!!この俺が····こんな雑魚に····」バタン····


狸女「サイボーグを一人倒したと連絡があったわ」

虎娘「さすがですね♪」

蛇娘「こちらも···用心···」

ピィィィィィィィィッ

狸女「この音は···」クルッ

バサバサッバサバサッ

探究者「そう、元同僚の私さ」

狸女「そんな姿になっていたのか」

探究者「この身体は実に素晴らしいよッ!他者を支配する圧倒的な力でね~
       どうだい?君もこっちへ来ないか?」

狸女「断る···そんな外道に誰がなるかッ」キィッ

探究者「残念だよ、君だけでも助けてあげようと思ったのにさ」

ピィィィィィィィィッドォンドォンドォンドォン····


探究者「殺人音波をくらえッ」ドォンドォンドォン

狸女「ウウッ···虎娘、蛇娘···ここは任せて先へ」パァァァ

狸女「バリアを張っているうちに、早く···」

探究者「無駄だよ」ニヤリ

スタスタ···ドスン

虎娘「誰か来る」ザッ

蛇娘「敵···警戒···」ザッ

ドスンドスン···ジャラララ

王者「探究者、この二人は我の獲物でよいな?」

探究者「もちろんだとも」

王者「というわけだ、貴様らは鉄球で死刑に処す」ジャラララ

虎娘「像ですか、強いそう」ザッ

蛇娘「負ける気は···しない···」ザッ

王者「さぁ、デスマッチの開幕だ」ジャラララ


王者「象の力をみせてやる」ジャラララブゥンブゥンブゥン

ドォンドォンドォンドォンドォンドォンドォン

虎娘「クゥッ、負けるもんか」ジャリィ

蛇娘「勝つ···勝つ···」ジャリィ

王者「ほうッ!鉄球を受け止めるか!」

ジャラララグイッグイッ

王者「だが、お前たちは我の力に勝てない」

グイッグイッグイッグイッ

虎娘「!·····引っ張られるッ」ズズズズ

蛇娘「虎娘···良い策が···ある」ゴニョゴニョ

虎娘「なるほど、このまま····」ズズズズ

グイッグイッグイッグイッ

王者「もうすぐミンチになるぞ、お前たちの負けだッ!!」


ズズズ···ズズズズ···ズズズズ、ピタッ

王者「観念したか、あの世へいけッ」グイッグイッグイッグイッグイッグイッ

ジャラララララララララ·····

虎娘「よしッ、今だッ」ポイッ

蛇娘「···自分がミンチになりな···」ヒョイ

ジャラララララララララ····カクンカクンカクンカクン····

王者「バカなッ!我の頭上に落ちてくるッ!?」

ヒュー····ドスンッ

王者「あ、ありえん····何故、我がこんな····」ガクッ

シュタ、パッパッパ···

虎娘「超強力な磁石をあったから」

蛇娘「狸女さん···こっちは終わり···」

狸女「了解ッ、こっちも片付けるわ」


探究者「他の二人と一緒にしないでくれないか」バサッバサッ

狸女「あんたに勝ち目があるの?」

探究者「フフフッ···音を最初に聞かせたのは
       攻撃のためじゃないのさ」パチンッ

ピィィィィィィィィッ

狸女「ウッ、眠k···」

虎娘「···zzz···」

蛇娘「二人とも····zzz」

探究者「これで駒が増えた···フフフッ···」

ツーツー···ツーツー···

探偵(昔)「連絡がない···何かあったのか」

狐娘「あの三人なら心配ないデショ」

探偵(昔)「そうだな···今は銃が先だ」

ギィィィバタン···

丸眼鏡「待っていたよ」

 
黒髪少女「あなたたちを始末する」

狐娘「探偵、先にいきナッ」

巫女(昔)「ここは任せて」

探偵(昔)「わかりましたッ」タタタタタタタタ····

ダダダダダダダ·····

ガシッ···カチャカチャ···

探偵(昔)「早く、二人のもとへ」

ダダダダダダッ····

巫女(昔)「ガフッドウアッ」ピトピト

狐娘「グッアガハッ」ビチャビチャ

丸眼鏡「死んでもらうよ···」

黒髪少女「遺言を聞いてあげるわ」

狐娘「···後ろみなさいヨ」

黒髪少女「じゃあ、死になさいッ!」

 
グサッグサッ、ジャキィン

黒髪少女「ゴホォッ···この針···」クルッ

探偵(昔)「効くだろ、囚人の針は」

丸眼鏡「銃を取り戻したのか」

探偵(昔)「おかげさまでね、二人とも今助けるッ!」

カチャ···ポトン、ジジジ、バキューン

探偵(狐)「よっと···」シュタ···

黒髪少女「この傷の礼をしてあげる···」シュゥゥッ

黒髪少女「この鞭でね」バチン

探偵(狐)「薔薇か、刺痛そうだな」ダダダダッ

バチンバチンバチン

探偵(狐)「よっほっ」ヒョイヒョイヒョイ

ダンッ、ドガドガッ

黒髪少女「グッ、ダァァァッ」ブンブンブンッ

探偵(狐)「ハァァァァッ···」ボォボォボォウ


探偵(狐)「ドウリャア」ドガァン

黒髪少女「グフッ···」ガクッ、ボカァァァン

丸眼鏡「よくも、黒髪少女をォォォッ」シュゥゥッ

探偵(狐)「鴉···か」

ガシッガシッ····

丸眼鏡「あの谷へ突き落としてやるッ」バサッバサッバサッ

探偵(狐)「ならこれだ····」カチャカチャバキュバキューン

探偵(山荒)「ダダダダダダッ」ジャキピュピュピュピュピュン

ザザザザン、グサッグサッ

丸眼鏡「グワァッ」ピキピキ···

ヒュー····ボカァァァン····

探偵(昔)「二人ともひどいケガですね」

狐娘「銃のために身体はったんだから、センベイ要求するワ」


ピピピピッピピピピッ

探偵(昔)「αチーム、どうかしましたか?」

忍者「こ···こちら、αチーム····至急、応援頼む··狸女たちが·····」

ザァァァァ、プツン······

探偵(昔)「通信が途絶えた····助けにいかないと」

狐娘「罠じゃないノ、それ」

探偵(昔)「それでもいかないとッ!」

巫女(昔)「探偵君····私たちの任務を忘れたの」

探偵(昔)「クッ、わかりました····」

巫女(昔)「心配ないわ、αチーム強いし」ニコッ

一つの不安を感じつつも進むしかなかった。

タタタタタタタタタタタタ·····

ガチャ····バァン····


探偵(昔)「探究者ッ」ザッ

探究者「ようこそ」パチン

ゾロゾロゾロゾロ····

探偵(昔)「!?···みんなに何をした!」

探究者「私の催眠で駒にした·····」ニヤァ

探偵(昔)「お前を倒し、みんなを救う!」

狐娘「狸女たちは任せてブッとばしナ!!」

探偵(昔)「おうッ」ダダダダダダッ

探究者「この音波を喰らえッ」バサッバサッ

ドォーンドォンドォーンドォンドォーンドォン

探偵(昔)「ゴワァッ····ハッ」カチャ、バキューン

探偵(虎)「ダァァァッ」ザシュザシュ

探究者「ムゥッ···」ピィピィィィィィ

探偵(虎)「····」シュタ

探究者「····」シュタ


探究者「グァアァァァァッ」ボカァーン

狸女「ウッ···私は何を····」

巫女(昔)「フゥッ、疲れた···」ゼェゼェ

探偵(昔)「みんな元に戻った···あとはこのアジトを爆破するだけか」

ゴゴゴ····ゴゴォォォ、グラグラ···ズシンズシン····

狐娘「何···あれッ!?」

ズシンズシンズシンズシン····

『愚かな人間たちよ』

探偵(昔)「お前は一体、誰なんだ」

ズシンズシンズシン····

人工「私は博士に創られた生命····嘗ての私は魚だった」

人工「人間は実に身勝手だ···私をこんな姿にし、挙げ句は己の利益に利用する」

探偵(昔)「だから復讐をしたのか?」

人工「そうだ、だがそれもお前たちのせいで台無しだ」


人工「お前たちを部下に始末するよう頼んだが失敗した····」

探偵(昔)「それでわざわざ手を下しにきたか」

人工「今の私に戦う意志はない」

狐娘「案外素直ネ」

人工「····最後は静かに散りたい···それだけだ」

人工「だが、覚えておけ···人間ども····私の同胞がお前たちの前に現れる」

人工「人の悪意がある限り、永遠にな····」

探偵(昔)「それでも必ず僕たちは勝ってみせるッ!」

人工「フフフッ····いずれまた地獄で会おう···」ガクッ、バタリ

あの時、彼が残した言葉····。

“人の悪意こそが全ての始まり”

私はその言葉の意味を痛感している。

絶え間なく、事件と向き合い続けて····。


~悪絶編、完~


ガチャ····ギィ····

探偵「お久しぶりですね」

女「その節はどうも」

探偵「で、ご依頼は何でしょう」

女「私の先生が妖怪を見たっていうんです」

探偵「ほう····それはどんな」

先生は夜遅くまで校舎で仕事をしていたんです。

そしたら···廊下を誰かが歩いているような音が

ピチャンピチャン····ピチャンピチャン····

恐る恐るドアを開けて、廊下を見ても

····シーン····

誰もいず代わりに大きな鳥の足跡が残っていたんです。

女「先生、その後も同じことがずっと続いていて·····
      ノイローゼ気味なんですッ」

探偵「分かりました、その怪奇を調べてみましょう」


女さんの二度目の依頼を受けることになったのだ。

電話を受けて、急いで帰ってきたかいがあった。

列車の次は学校····少しワクワクしている。

学校と言えば、“七つの怪談”····時代とともにその内容は

変わり続け、今でも密かにつぶやかれている。

探偵「廊下といえば“テケテケ”がすぐ浮かぶが·····」

狐娘「ぷっ、アンタ···そんな話信じてるノ?」

探偵「ホントかウソかはすぐ分かるさ」

狐娘「じゃあ····賭けネ、負けたらセンベイ一箱」

探偵「いいだろう」

探偵「獅子娘、留守は頼むよ」

獅子娘「了解です、お気をつけて」

ガチャバタン···


狐娘「ここがその学校ネ····いかにも出そうヨ」ガクガク

探偵「女さんが待ってる、行くぞ」ダダダダ

狐娘「ちょ、速いっテッ!」

ギィー、ガチャン

探偵「お待たせしました」

女「あの····そちらの娘は」

狐娘「探偵助手デス」

探偵「それより、学校の許可はとってありますよね?」

女「もちろん、先生が付き添う条件で」

先生「どうも····あなた方は専門家なんですよね」ジッ

探偵「ご安心を必ず解決します」

先生「信じます····頼みはあなた方だけなんですよ」


この学校にも“七つの怪談”が存在する····。

一つ···深夜、大鏡に向かって話すと黒い影が来る

二つ···大きな五角形を書いた紙をトイレに流すと殺される

三つ···夜の廊下を鵺が通る、鵺と目を合わせてはいけない

四つ···深夜の屋上倉庫には鵺がいる

五つ···深夜、理科実験室の人体模型が動く

六つ···夜の会議室から大勢の議論の声が聞こえる

七つ···校長室のトロフィーに一つだけ、人食いの化け物が潜んでいる

三と四の鵺が廊下を歩く音の正体と推測できる。

この七つは····30年前から語り継がれてきた。

恐らくは三と四以外にも本物が含まれているはずだ。

この怪談の元になった事件があるかどうか、まずはそれだ。

すると、先生は記録を私に見せてくれた。


薄汚れたその記録書にはこう書いてあった。

『製造計画』

□月○日

実験で大規模な爆発が起こった。

死傷者は10名····だが、我々はここで止めるわけにはいかない。

実験は既に最終段階に入った·····この研究は必ず成功させる。

記録者・○○

ペラペラッペラペラッ

○月□日

成功した···この技術を使えば人間の生活は豊かになる。

しかし、同時に我々は恐ろしいものを作ってしまった。

この銃は友に預けておく····“あの実験体”をいつか始末するために。


“実験体”は夜行性····ゆえに夜間の立ち入りは制限しなければならない。

今後は我々の監視を置き、表向きは学校として機能する。

研究は引き続き、工場で行う。

記録者○○

パタン

探偵「この学校はどこかから資金援助を?」

先生「はい、○○製薬から。」

探偵「そうか····!どおりで」

狐娘「ああ~確かに納得ネ」

探偵「(○○製薬はかつて、サイボーグを作る研究をしていた)」

狐娘「正体も分かったことだし、さっさと片付けマショ」

探偵「ああ、そうだな····(妙だ、記録がそんな簡単に見つかるのか?)」


探偵「お二人はここで待機していてください」

ガチャバタン

···シーン···

狐娘「さっさと退治しますカ」

ピトンピトン···ミシミシッミシミシッ

探偵「(来る···)」

ダダダダダッヒュゥーヒュゥー····

探偵「今のが鵺か···追いかけるぞ」

タタタタタタタタッ

狐娘「誰かいル····」


鵺「フウウウフフフフウッ····」ジャキ

鵺「ガゴゥッ」ブンブン

キィン····キィン····ザシュ


鵺「ガゴゥゥゥッ····」

シュゥゥゥッ

『今日の仕事は終わり』クルッ、カツカツ

探偵「待ってくれ···あんたは誰なんだッ」

事務「俺はこの学校の事務だ」

探偵「私は探偵、こっちは狐娘」

事務「鵺を退治しに来たのか」

探偵「ああ、でもあんたが倒したし解決だ」

事務「····違う、俺は奴を倒せていない」

事務「鵺の細胞は倉庫で無限に増殖し、新たな個体を生み出す」

狐娘「ハアアアアッ!?」

探偵「困ったな····依頼を解決できないじゃないか」

事務「そりゃ気の毒に···じゃあな」クルッ、カツカツ····


となれば、あの記録にある銃を探すしかない。

私たちはその在処を探ることにした。

探偵「この記録···どこで入手されました?」

先生「理事長に聞いたら渡されました。」

探偵「ほう···理事長が···」

先生「あの本当に、鵺を倒せるんでしょうか」

探偵「約束は守りますよ···そのための会話です」

理事長が事の一端を知っていると分かれば話が早い。

明日、話を聞くだけだ。

探偵「理事長に詳しくお話をお聞きしたいのですが」

先生「掛け合ってみます」

探偵「ありがとうございます」

一日目の夜はこうして終わった····。


狐娘「で、どうすんノ」

探偵「できることをするだけだ」スッ

狐娘「鵺の細胞ネ、それ」

探偵「これを巫女さんに鑑定してもらう」

狐娘「ああ~····ワタシはいかないわヨ」プイッ

探偵「なら、賭けの約束を破棄する」

狐娘「ちょ、ズルいわよッ!」

探偵「依頼をこなすのが先だ」

狐娘「ハイハイ····分かったワ」

探偵「獅子娘、君は事務の監視を頼むよ」

獅子娘「了解ですッ」ピシッ

探偵「打ち合わせはこれで終わりだ、晩飯にしよう」


キラキラキラキラキラキラキラキラ

探偵「おお····白飯に味噌汁、焼き魚····」

狐娘「驚いたでショ」

探偵「こんなにどうしたんだ」

獅子娘「狸女さんが捜査協力のお礼にと」

探偵「それはありがたいことだ」

狐娘「さ、食べまショ···いただきまス」

パクパクッ

獅子娘「美味しいですね~」

狐娘「毎日、オカラと野菜のメニューだからネ」

探偵「それは悪かったな」


ツーツーツーツーツーツーツーツー

事務「(呼び出しか、ダルいな)」

カツカツカツカツカツカツ、ガチャバタン

事務「お呼びですか···」

理事長「ヤツらを早々に始末せねばならぬ」

事務「では···いかがなさいますか」

理事長「理科実験室のアンドロイドを起動させる」

事務「失敗作を?」

理事長「“使えるものは使う”が儂のこだわりじゃ」

理事長「事務、お前はいつも通りに鵺を始末せよ」

事務「了解しました······」

理事長「(鵺は殺させんぞ···)」


翌日、学校。

コンコン···ガチャ

探偵「初めまして、探偵といいます」

理事長「お待ちしていましたよ」

探偵「早速ですが、この記録について教えていただきたい」

理事長「今から、30年ほど前···」

この学校は研究施設として使われていました。

その研究は“不死の生命”を創ることだったそうで

細胞を無限に増殖する“鵺”が生まれ、

研究は飛躍的に進んだのです。

我が校の設立は研究が他へ移った後でした。

しかし、鵺の細胞は屋上倉庫に放置されて

やむなく···事務員に駆除してもらっています。


探偵「では、鵺のことを知っているのは」

理事長「儂と事務員、○○製薬の社長ぐらいでしょう」

理事長「何せ···秘密ですから」

探偵「(···秘密保持は万全にか)」

探偵「この記録の銃については」

理事長「さぁ···分かりませんね」

探偵「そうですか、ありがとうございました」

ガチャバタン····カツカツカツカツ

獅子娘「どうでした?」

探偵「···あの理事長は何かを隠している」

探偵「私は○○製薬の社長にあってくる」

獅子娘「こっちはお任せくださいッ」ピシッ

カツカツカツカツカツカツ····

探偵「(必ず、シッポを捕まえる!)」


巫女「鑑定は1日かかるわ」

狐娘「リョーカイ、じゃ帰るワ」

巫女「気をつけてね~」

ガチャバタン····

狐娘「疲れるワ····」スタスタスタスタ···

ジィッ、ソソソソ···

ピンポーン

巫女「どちらさま?」

狸女「巫女、狐娘に頼まれたのは何だ」

巫女「依頼人の情報は秘密よ····今日は何の用」

狸女「この写真の男を探して欲しい」スッ

巫女「(狐娘の後からこそこそと来たのは···そういうわけね)」


カツカツカツカツカツカツ····

探偵「銃はここにある」

ピンポーン····ガチャ

老男「お、久しぶりだな」

探偵「あなたがこれを持っているんですね」スッ

老男「その通りだが、どこでその記録を」

探偵「ある学校に保管されていました」

老男「あんたも暇だな···どうぞ、お入り」

探偵「お邪魔します」

スタスタスタスタスタスタ····

老男「それで、あんたはこの銃で鵺を始末したいのか」

トン···カチャ

探偵「ええ、仕事ですからね」


探偵「譲っていただけませんか」

老男「いいとも、ただし···弾はないぞ」

探偵「弾はどうにかできます」

老男「···一つ忠告だ···鵺は学校から出すな····」

探偵「増殖するからですか」

老男「“もっと恐ろしいこと”が起こるからな」フッ

探偵「!?」

老男はその言葉を残し消えた·······。

ツーツーツーツー

探偵「もしもし?」



探偵「なッ···!!」


キィンキィンキィンキィンキィンキィン

探偵「(何だこの音はッ)」ガクッ···

カチッ···ニクイ···オマエモシネ····プツ

探偵「今の声は一体····」

不安を感じながら私は家を後にした。

老男の言ったことが現実と気づくのに

そう時間はかからなかった。

事務「···グッ····」ガクッ

事務「お前····誰なn····」

グサグサグサッ

『知る必要はない』

ズリズリズリズリズリズリ·····


獅子娘「その人をどこへ連れていく気ですかッ!」

『俺の邪魔をするのか』ファサ

獅子娘「誰なんです」ザッ

鬼面「鬼とでも名乗ろう····か」

鬼面「獣人ごときが邪魔をするな」パァッ

パキィ····パチチ

獅子娘「グッアアアアアアアアッ!!」プスプスッ

ガクッ、バタン····

カチッカチッカチッカチッ·····

事務「ここは倉庫の前···」

鬼面「起きたか“生け贄”よ」

事務「何が狙いだよ」

鬼面「“鵺の復活”だ」


鬼面「ここに眠る“本当の鵺”の····」

事務「(···俺は何も知らねぇぞ、理事長)」イラッ

鬼面「そうだ···お前は何も知らない」

事務「この縄をほどけよッ」ジタバタ

クルッ、スタスタスタスタ····

鬼面「お前は最初の生け贄だ」パチッ

ビューンビューンビューンビューン

ガシッ····ザラララララ····

事務「ヤメロオオオオオッ」ジタバタ

ザラララララザラララララ

バクッバクッバクッバクッ

グァァァァアァァァァアァ····!!

ブシャアァァァァ·····ポトン

鬼面「フフフッ····いい叫びだ」

翌朝、事務は血の抜かれた遺体で発見された。


探偵「····奴の特徴を教えてくれ」

獅子娘「鬼の面をつけて猫背でした」

探偵「他にはないか」

獅子娘「いえ····」

探偵「私は調査に戻る、獅子娘····あまり思いつめるな」

ガラララ、ガチャ····

狐娘「獅子娘はどうだったノ」

探偵「元気がなかったな····
     よほど、事務の死がショックだったらしい」

狐娘「そう····なら、ワタシが話てみル」

探偵「すまない、頼んだ」

ふつふつとわく怒りを抑えながら

私は校舎へ向かった····。


プルルルルプルルルル····

探偵「もしもし」

巫女『探偵君、細胞の鑑定が終わったわよ』

探偵「結果は····はい、そうですか」

プツッ

探偵「(犯人の狙いは分かったぞ····!)」

恐らくは校舎内に潜んでいるはず···

急がないと次の犠牲者が出る!

タタタタタタタタタタタタタ

探偵「ここだッ」

ガラララララララッ

理事長「ムグゥ~」ジタバタ

鬼面「よくここが分かったな」


鬼面「だが、遅い」パチン

ビューンガシッバクッバクッ

探偵「理事長ッ!!」

鬼面「鵺の餌になったぞ」ニヤッ

探偵「許さない····許さないぞッ」

ダッ、ブンッ

バリィン····カランカラン····

探偵「観念しろッ、先生」

ユラ、ダッ···

先生「鵺を復活させるまでは····復讐は終わらない」カチッ

探偵「止せッ!」

ウィーンウイーンシュルルルバクッバクッバクッバクッ

先生「グフッ····ハハッ、僕の勝ちだァァ」

ギャアアアアアアアアアアッ

探偵「なんて奴だ···鵺の餌になるなんて」


捕食により鵺の細胞は進化をとげる。

ガシンガシンガシンガシン

鵺「エモノ···クウ」

探偵「これが本来の鵺か」ザッ

カチャカチャ···バキューンバキューン

探偵「銃が効かないッ!?」

バキューンバキューンバキューンバキューン

ポトンドロンドロン

鵺「エモノハクウ」

バクッバクッバクッバクッ

捕食口を翼の様に広げ襲いかかる。

ビューンガシッビューンガシッビューンガシッ

探偵「ウワァッ!!」

バシンッバシンッバシンッバシンッバシンッ

何度も叩きつけられる····。


ドサッ····

探偵「ウゥッ····」

ガシンガシンガシンガシン

鵺「イタダキマス」ガバァ

ガシッビューン····

探偵「(力が入らない····死ぬのか)」

\タンテーイッ/

カチャカチャ、バシュ

鵺「ゴガアアアア」



狐娘「助けにきたわヨ」


鵺「コロスコロスコロス!」

ガシンガシンガシンガシン

狐娘「フンッ、単細胞に負けるはずがなイッ」ザッ



探偵「狐娘····逃げろ」



狐娘「逃げる?···仲間がボロボロなのに
      背を向けられないわヨッ」


ガシンガシンガシンガシンガシン



狐娘「今度はワタシが助ける番ヨ」


ダッ、ダダダダ

鵺「キシャアアア」シュルルル


ボォウ

狐娘「触手を灰にしてやルッ」パッ

ドドドン····シュゥ

鵺「アツイアツヅウイッ」イラッ

シュルルルガバァッ


探偵「狐娘、距離をとれッ」

狐娘「その必要ナシ」カチャカチャ

ガシンガシンガシンガシン


メキメキ···ドガシャァン···

探偵「鵺が落っこちていった・・・」

狐娘「亀裂いれといて正解ネ」

狐娘「とっととこれで怪我なおしなさいヨ」ポイッ

探偵「お、獣人化の銃」

カチャカチャ、バキューン

探偵(狐)「ありがとう、狐娘」

狐娘「とっと、終わらせるわヨ////」

しかし、あの銃が効かなかった・・・。

作戦を立てようにもその前に

鵺が学校から出てしまうかもしれない。

どうすれば····そのときふと思い出した。


探偵(狐)「····校長室のトロフィーッ!」

狐娘「何よ突然ッ?」

探偵(狐)「対抗手段はあるッ」

トロフィーに人食いの怪物が潜むと怪談にあった。

逆に考えれば、怪物はそこから動けない。

鵺も封じ込める鍵になると私は感じた。

狐娘「そんなうまくいくと思えないケド・・・」

探偵(狐)「物は試しだ、私は鵺を抑える
       狐娘····トロフィーを頼む」

狐娘「リョウーカイ」タタタタタ

鵺は落下で小さな個体に分裂している。

タタタタタタタタタタ····ピョーン

巨体の再生を少しでも遅らせられればいい。


シュタ····ザッ


探偵(狐)「時間稼ぎは任せろッ!」

ドガドガドガドガッ


狐娘「ないない・・・どこヨ」

ガサガサ、カランカラン

女探偵「探しものはコレ?」ポンポン

カラン、キシャァ

狐娘「ああぁッ!それヨッ」

女探偵「コレを渡すかわりに一つ条件をのんで」

狐娘「早くいいなさいヨッ」

女探偵「それはね・・・」ゴソゴソ

狐娘「ハァッ!?正気!?」

女探偵「ええ、正気も正気、大正気よ」ニコッ


女探偵「この要求をのむ?」

狐娘「意地悪な神ネ····のむワ」

パシッ

女探偵「あとは頑張ってね~」フリフリ

タタタタタ···タタタタタ···


ドガドガッドガドガッドガドガッ

シュルルルビューンネチャネチャ···

探偵(狐)「再結合を」ザッ


ガシンガシンガシンガシン

鵺「クウイッピキノコラズッ」

シュルルルビューンシュルルルビューン

バシッドガドガッ

探偵(狐)「(早く、早く来いッ!)」

ドガドガッドガドガッ


狐娘「今いくワッ、探偵ッ!」

タタタタタタタタタタッ


シュルルルシュルルルシュルルル

探偵(狐)「(再生が早い···急げ、狐娘ッ)」


ダッ、タタタタタタタタタタッ

狐娘「早く早く早くッ!!」

ビュゥーン


シュゥゥゥ

探偵「ハァ···ハァ···ウオオオォォォッ!」

ダンッ、タタタタタッドガドガッ


ガシッ、シュルルルシュルルル、ガバァ

鵺「ホショクホショクッ」


ガシッズリズリズリズリ


探偵「クッ、捕食されるものかッ」


シュタ、スパンスパン····ボトボトッ···

狐娘「そうヨ、ここで死ぬのは惜しいワ」

探偵「狐娘・・・」

狐娘「はい、コレで勝てるワ」カラン

パシッ···

探偵「ああ・・・勝つッ!」カラン

スッ、カチャカチャ···パカッコロンコロン···


探偵「これで終わりだッ」カチャ、バシュゥッ

ヒュゥーヒューゥッ


ザスッ···ドロドロ····

鵺「ガガッガガッ」ベチャベチャァ


探偵「よしっ効いているッ!」


ジュゥジュゥジュゥ···ベチャァ


狐娘「消えた···」

探偵「これでひとまず安心だ」


暴走した鵺を倒すことができた。

しかし、謎が残る···。

先生が復讐をする動機だ。

真相はもう闇の中へ消えた····。

ただ、偶然なのだろうか。

先生が“面”をつけていたことが·····。


カランカラン···カランカラン···

パッパッ

『次の面はどれにしようか・・・』


その関連性の意味はいずれ分かるのだろう。


~鵺編、完~


“呪い”の真実とは何か。

思い込みが自分で自分の不幸を

作っているのではないだろうか。

だから、“呪い”など存在しない。

普通に考えればそうかもしれない。

·····例外を除いて。

私は“呪い”を肯定している。


探偵「狐娘、約束のセンベイだ」

ドサッ····

狐娘「ありがたく、いただくワ♪」

バリボリ、バリボリ····


探偵「次の依頼がくるまでは暇だな」

プルルルルルルプルルルルルル

探偵「(非通知だな····)」

ピッ、カチャ

探偵「もしもし?」

キィンキィンキィンキィンキィンキィンキィンキィン


探偵「うッ、この音はッ!?」

····ニクイ····ニクイ···ニクイ····

ツギハ···オマエモシネ···


プツッ

探偵「この声はあのときの・・・」

狐娘「うん?どうかしたノ?」バリボリッ


狐娘「てか····その手の模様は何?」

探偵「ハッ、これは」チラッ

手には六角形が表れていた。

狐娘「まさか····中二病ジャ····」

探偵「違うッ!私にはそんな趣味はないッ!!」

狐娘「じゃあ何ヨ」

探偵「分からないが····恐らくは“呪い”かも」

狐娘「“呪い”ネ、呪いは信じないわヨ」

探偵「いずれにせよ···巫女さんに調べてもらうか」

狐娘「先にいっておくけど、ワタシはしばらく用事でいないかラ」

ガチャ、バタン···


狐娘「ワタシも出かけるかラ」

獅子娘「どこへいくのですか?」

狐娘「ちょっと、神様のとこ····留守番よろしくネ」

ガチャ、バタン····


スタスタ····スタスタ····

探偵「着いた」ピンポーン

ガチャ

巫女「なぁんだ····今日は狐娘ちゃんは来てないのか」

探偵「“呪い”がかけられたかもしれないんです、私」

巫女「ふーん····その手は」ジロッ

探偵「決して中二病ではないですよッ」

巫女「とりあえず中にお入り」

探偵「お邪魔します」

ガチャ、バタン


巫女「じゃあ···お茶を入れてくるから」

タタタタタタ····

狸女「よう、探偵」

探偵「あなたも来てたんですか」

狸女「例の獅子面を捕まえたんだが····」

探偵「気になること?」

狸女「記憶がないと言っているんだよ」

探偵「そんなことが····」

狸女「で、調べているうちにこの男が浮かび上がってきた」スッ

探偵「なるほど、この男を調べてもらったんですね」


狸女「探偵は何をしに?」

探偵「この手が呪いによるものかを調べてもらいに」スッ

狸女「ただの中二病じゃないの」

探偵「ち、違います····中二じゃないです」

巫女「私も中二かと思った」

探偵「違いますッて!!」

コトッ、ゴクゴクッ

巫女「電話がきっかけかもしれないのね」

探偵「最初は仕事の時に、次が今日の朝です」

巫女「なら、ちょっとスマホを貸して」

探偵「ええ、どうぞ」

ピポパピッ

巫女「通話記録は残ってるのね」

探偵「ええ、でも私の声しか聞こえないでしょ」


巫女「・・・聞こえる」

探偵「え、聞こえるんですか」

巫女「どうやら嘘ではないみたい」

探偵「それを聞いて安心しました」

巫女「で、次はその手の模様ね」ジィッ

探偵「どうですか」

巫女「強い怨みを感じる」

探偵「なら“呪い”は」

巫女「あなたは呪われてる」

探偵「声の主を調べてくれませんか」

巫女「その必要はないわ····だって、声の主はその写真の男だから」

探偵「えッ!?」クルッ


狸女「えっ、マジ?」

探偵「狸女さんの追う男が····」

狸女「なんたる偶然か」

探偵「狸女さん、その男の元へ一緒に行ってもいいですか」

狸女「う~ん····いいけど、あくまで捜査の邪魔はしないこと」

探偵「ありがとうございますッ」ペコリ


その頃、狐娘は・・・。

ピンポーン····ガチャ

女探偵「ようこそ、狐ちゃん」

狐娘「意外ネ···神なのに普通のアパートにいるなんて」

女探偵「宮殿ぐらしはあきたからよ」

狐娘「どうでもいい····お邪魔するワ」

ガチャ、バタン


ガチャ、バタン

女探偵「準備はいい?」

狐娘「もちろん」

女探偵「“時の旅”へ出発ね」

ギィ···ガアガガ、グワァングワァン

狐娘「最初はどの時間へ行くのヨ」

女探偵「“狼様の事件”を終わらせた日····」

狐娘「!?····どうして、そこに“カケラ”が?」

女探偵「理由は移動しながら·····さ、裂け目が閉じる前に」

スゥゥッ····カッ···シュルン

何しろ····探偵君の干渉する事件は

全て、彼の運命を決めることに繋がっている。

私達が探す“カケラ”とは彼の記憶の塊だ。

そして···彼を救うには必要不可欠、唯一無二の存在。


“ある呪い”のせいで彼に今、危機が迫っている。

女探偵「彼を生かしておかないと面倒があるのよ」

狐娘「神様はホント、自由でいいわネ····
       どこでもいけるシ」

女探偵「いや、そうでもないわ」

カチカチッカチカチッカチカチッカチカチッ


グワァングワァングワァン

狐娘「着いたワ」シュタ····

女探偵「じゃ、行ってらっしゃい」フリフリ

狐娘「一緒にカケラ探しじゃないノ?」

女探偵「今、出ていくわけにはいかないのよ
         タイムパラドックスが起こる」

狐娘「なるほど····確かにアンタはこの時間ではまだ
          ワタシらと出会う前だからネ」


女探偵「“歴史”通りに動いてね」フッ

狐娘「聖灰が落ちているわネ···」

狐娘「なら、これを探偵の側に投げれば」

カランカラン···ポイッ

探偵(過去)「これは····聖杯···!」パシッ

サササッ

狐娘「(これで狼様を倒せるはず····今のうちにカケラを····)」

シュタタタタ···タタタ

ドガァーン

狐娘「ムッ!?」

タタタタタタタタ···サササッ

探偵(過去)「グフゥ····聖灰が効かないだと····?」

狼「フゥゥゥゥゥッ」ギラン


狐娘「(狼様のあの力は····?)」


狼「グオオオオオウッ」ドドドドドン

ドガァーンドガァーン


ブシャブシャァァァ

探偵「ウグゥッ!!(スピードが増している···!)」


サササッ···

狐娘「(探偵を助けないと···いけないけど····
    ワタシが加勢したら、歴史は·····)」


バスンバッスンバスンバッスン

探偵「追いつけないッ」ガクッ



狐娘「(でも、“歴史通り”にじゃないとカケラは回収できないシ····
     一体どうすればいいのヨ····!!)」


狐娘「(せめて、助けになるものがあれば····)」チラチラッ

キラン

狐娘「(十字の剣が落ちてるッ···!)」

狐娘「(なら、やることは一つネ)」スッ、パァ



狼「グオオオオオッ」ブンッ

キィンキィンキィン

探偵「剣が攻撃を防いだ····?」


サササッ

狐娘「(遠隔操作すれば支障はないワ)」


パシッ

探偵「よくわからないけど····この剣で闘うしかないッ」ジャキ

タタタタタタタタ


キィンキィンキィンキィン

狐娘「(···聖灰でどうにか奴を倒すのがここでの試練ネ····
      でも、さっきは効かなかった····)」

キィンキィンキィンキィン

狐娘「(バリアだとしたラ····)」クイッ

トトトトトトトトト····

探偵「剣に引っ張られる!?」

タタタタタタ····

ジジジジジ

狼「グオオオオオッ」カァン


探偵「バリア···!」ジジジジジ

カァンカァンカァン···ジャリィ

探偵「(聖灰が効かないのはそういうことか)」

探偵「(なら、ぶち破るだけだ)」ジャキ


探偵「ハァァッ」ブゥン

バリィィィン

探偵「今だッ」ブゥンザクッ

狼「グゥゥククッ」

剣を突き刺し、動きを封じた。

探偵「とどめだッ」スッ

サァァァァッ····

狼「グギギ···オノレェェェッ!!!」

フッ、サァァァァッ

狼様を倒すことができた。

私は探偵が去ったあと、カケラを見つけた。

キラーン····

狐娘「(まずは一個ネ···でも、気になるワ···
狼様があんなに強かったこと····)」


違和感を感じながら···私は次の時間へ向かった。

カチカチ····カチカチ····ボォーン

その頃、探偵は呪いの真偽を問うべく、狸女とともにある人物を訪ねていた。

ピンポーン····ピンポーン····

探偵「留守なんですかね」

狸女「そんなはずはない」

ガチャ、ギィー

探偵「鍵あいてますね····」

狸女「嫌な予感がする」

ガチャ、バタン···

狸女「白峰さん···いらっしゃいますかぁ?」

シーン···

探偵「あッ!?これッ!!」


白峰という男は既に死んでいた。

部屋には彼の遺体と遺書があった。

だが、私が驚いたのはそれではない。

····仮面、そう····彼の傍らにも仮面があったのだ。

あの先生と同じ····鬼面が····。

偶然だとは思えない。


“悪夢”は現実になろうとしている。


探偵「狸女さん、彼は自殺じゃないと思いますよ····」

狸女「そうか···何か知っているんだな」

探偵「この仮面····少しの間、おかりします」


探偵「この呪いの正体を暴いてみせるッ」

フッ、カチカチカチカチカチカチカチカチ

女探偵「狐娘ちゃん····急いだほうがいいわよ」


だって・・・探偵の命は・・・・・・。


グワァングワァングワァングワァン

狐娘「(次の時間で最後····必ず、助けるッ)」


グワァン、フッ

狐娘「ここが最後の時間····」

\ハッ、デヤァッ/

狐娘「声が聞こえル···」タタタタタタタタ


探偵は仮面の男と戦いを繰り広げていた。


女探偵「さぁ、ここでラストよ」

狐娘「あれは誰なのヨ···」

女探偵「あれはね····“探偵を殺した男”」

狐娘「!?」

女探偵「あなたが知らないのも無理はない」

女探偵「探偵が秘密庁に入る前····彼は死んでいた」

狐娘「嘘ヨッ!だったら、なんで探偵は生きてるのッ!」


女探偵「彼はオーパーツを体に埋め込み生き返った····私の手でね」


狐娘「あんたはそうまでして何故、探偵ヲ?」


女探偵「面倒が起こるのよ、彼が死ぬと」


女探偵「それに、彼にはまだやってほしい仕事があるからね」

狐娘「····まあいいワ···嘘は言ってないようだシ」

\ウワァァァッ!!!/

女探偵「決着が着いたらしいわね」

スタスタスタスタ····

彼にはまだやるべきことがある。

それは・・・あの獅子面を倒すこと。

スタスタスタスタスタスタ····カラン

狐娘「これでカケラは全て揃ったワ」

女探偵「ええ、ご苦労様」

グワァングワァン

狐娘「(これで、探偵を救えルッ!)」

フッ、カチカチカチカチ

狐娘は気づいていない····。

カケラを集めさせた真の理由に·····。


狐娘「さて、帰りますかネ」

ザッ

女探偵「そうはいかない」

狐娘「どういうつもりヨ」

女探偵「今、戻るのは危険だから」ピシッ

指さす先には歪んだゲートがあった。

女探偵「時間を遡るゲートは使うたびに不安定になる
        私はともかく、あなたがくぐれば死ぬ」

狐娘「おかしいじゃないッ、これまでは安定していたのにッ」

···たぶん、アイツの仕業····

カケラを狙っているのね

狐娘「ああ、もうッ···どうやって抜け出すのヨッ」


過去からの帰還を阻止され、狐娘たちは一体どうなるのか?

カチカチカチカチカチカチ

一方、探偵は仮面の出所を探していた。

探偵「(きっと、そう遠くない場所のはず)」ピポパピッ

プルルルルプルルルル、カチャ

獅子娘『探偵さん?』

探偵「この町に仮面職人がいないか調べてくれないか?」

獅子娘『了解しました』

プツッ

探偵「(あとは、あの先生の家に手がかりがあるかどうか)」

探偵は手がかりを求めて、鵺事件での依頼者宅を訪ねた。


ピンポーン、ピンポーン······


探偵「(今、この家に住んでいるのは先生の息子だけ····)」


ガチャ

息子「おたくは誰?」

探偵「私、探偵と申します」スッ

息子「親父のこと···聞きにきたのか」

探偵「ええ、お聞かせしてほしいのです」

息子「まぁ···いいけど」

ガチャ、バタン

息子「仮面?」

探偵「心当たりはないかと思いましてね」

息子「知らねぇ····親父が事件を起こしたことと関係あんの?」

探偵「あります、ですからこうして訪ねました」

息子「そうかい、あんたも暇だな····残念だけど知らねぇもんは知らねぇよ」

探偵「そうですか」

息子「だが、せっかく来てくれたしな·····親父の部屋を見てもいいぜ」

探偵「ご協力感謝します····」


ギィ、ガチャ····

探偵「こりゃ···すごい」

息子「俺には良さがわかんねぇな」

部屋には10個の仮面が飾られていた。

探偵「お父様の趣味ですか」

息子「ああ、こっちは呆れるがな」

探偵「なるほど····ところで、仮面はこれだけなんですか
          コレクターにしては少ない」

息子「そう言われてみりゃ確かに」

探偵「いやぁ····気になります···どこにあるか」

息子「あんたも物好きだな····俺は一階にいるから
      気がすむまでみてもいいぜ」

ガチャ、バタン·····

部屋に残っているのは机と仮面だけ····。

コレクターだったら、大事なものは手のとどくところに保管するはずだ。


目についたのは鍵のかかった机の引き出しだった。

探偵「ここの鍵は····」スゥパカッ、スゥパカッ

探偵「引き出しにはないな····となれば、この仮面の裏に」

パカッパカッパカッパカッパカッ···ストン、ジャリィン

探偵「ビンゴだな」

ガチャ、スッ···パカッ

机の中は書類がギッシリ詰まっていた。

探偵「書類か···」ペラッペラッペラッ

探偵「うん?これは····レシート···どれも同じ店だな」

レシートには『仮面工房・玄』とあった。


探偵「ここが怪しいな····」

ピポッ····プルルルルル

探偵「獅子娘、追加で仮面工房・玄を調べてくれ」

獅子娘『分かりました』

プツッ

探偵「そして、この鍵は」ジャリン

探偵「····行ってみるか」

この家で私は大きな手がかりを得た。

だが・・・・。

ズキッ···ゴハァ···

探偵「呪いの影響か·····ゴホァ」ビトビト

探偵「···時間がない」フラッフラッ


探偵「私は必ず···呪いを」

スタスタ···スタスタ····

探偵に残された時間はあと1時間・・・

それまでに彼は呪いを解くことができるのか?

そのころ、狐娘たちは・・・。

グワァングワァン

『どうした、お二人さん』

狐娘「あんたがどうしてここにいるのヨ······時空男」

時空男「そこの女探偵を探していたのさ、それで
        元の時間に戻りたいのか?」

狐娘「ええ、力を貸しテ」

時空男「いいぜ····俺の条件をその女探偵が飲むならな」

女探偵「何かしら?」

時空男「俺を“元の人間”に戻せ····」


女探偵「残念だけど、それはできない····
        何故なら、既にあなたの肉体は滅んでいるから」

時空男「いままで····時をさまよってきた報いなのか」

女探偵「でも、私にはできないだけで方法はある」スッ

時空男「これは····?」

女探偵「この男を探しなさい····その男が蘇生の秘薬を持っている」

時空男「本当だろうな」ジィッ

女探偵「嘘じゃないわ」

時空男「・・・信じよう」パチン、カァッグワァン

時空男「このゲートを使いな」

グワァン、グワァン····

狐娘「時空男、ありがとネ」

時空男「ゲートが消えるぞ、さっさと行け」

グワァン、シュゥ····

時空男「あんたは行かないのか」


女探偵「私には他に仕事があるから」フッ

ここからどうなるかは彼ら次第····だから。


プルルルルルプルルルルル、ピッ


探偵「もしもし····」

獅子娘『“仮面工房・玄”の所在地が分かりました』

探偵「場所は····分かった、ありがとう」プツッ


ゴハァ····ビトビトッ

探偵「なんとかこの呪いを抑えなければ」ガサゴソッ

ピッ、ペタペタペタペタッ

探偵「ハァ···ハァ····お札の力でしばらくはいけるな」

スタ···スタ···スタ···スタ···


探偵「(私の命はあとどれくらいなのだろうか.....?)」スタ···スタ···

ジィッ、カチカチカチカチカチカチッ

女探偵「あと30分25秒・・・」カチカチッ

女探偵「間に合うかしら?」


カチカチッカチカチッカチカチッカチカチッ


ズキッズキッズキッズキッ


・・・私は必ず、必ず生きてみせるッ・・・!!


刻々と迫る死の瞬間、彼の足は重い・・・

スタ···スタ···スタ···スタ···ダンッ

だが、確実に真相に近づいていた。


スタ····スタ····スタ····スタ·····


探偵「(今頃、狸女さんがあの鍵で証拠は見つけたはず·····)」


スタ···スタ···スタ····スタ····


探偵「着いた···ここが···仮面工房····」

ガラララッ····

探偵「すみません、誰かいらっしゃいますか?」

トテトテトテトテ

玄「はい?」

探偵「あなたが玄さんですね、この鬼面を作った····」スッ

玄「ええ、そうですが...」

探偵「実は奇妙なことにあなたの仮面をつけた人間が
        皆、事件を起こしていましてね····」


玄「だから、疑っていると···証拠はあるんですか」

探偵「仮面の数が合わなかったんですよ」

玄「何を言って····?」

探偵「先生はここの常連客でコレクターです····
      にも関わらず、部屋には仮面がたったの10個しかない」

玄「売ったか、誰かにあげたんじゃないですか」

探偵「ええ、そうかもしれません····しかし、家にないだけで
          手の届くところにあるのかもしれません」

探偵「例えば····そう、レンタルボックス」

探偵「あれならば、収納スペースに困っていても
      仮面を保管しておくことが可能です」

探偵「そして、誰かが証拠を隠そうと彼の所有する
       仮面をレンタルボックスに入れたなら····」


探偵「まず、“管理者”なら怪しまれることはないでしょう····いかがですか?」

玄「·····お見事と言っておきましょうか」ニヤッ

ズキィッ····ズキィッ

探偵「グゥゥゥッ·····ゴハァ」


ビチャビチャビチャビチッ


玄「あなたはここで死ぬ····そうでしょ?」

探偵「グゥゥゥッ····まだだッ」

玄「見苦しいィッ....」ゲシッ

探偵「グァァッ、ゴハァ」

玄「あなたに残された時間はあと・・・5分です、
     おとなしく・・・してくださいよ」ゲシッゲシッ

探偵「グゥゥゥッ·····(このまま終わるものか····!)」


探偵「(これを・・・)」スッ

カチャ···バキューン

玄「何ッ!」ザザッ


シュゥゥゥ···ガツン


探偵(狐)「(これで、少しはもつはずだ)」


玄「これは驚き....1分延びました」カチカチッカチカチッ

探偵(狐)「答えろッ!この呪いをかけたのは誰だッ!!」

玄「お答えしましょう......」スッ、ポイッ

グワァシュゥン、ドスン

投げられた仮面は人の形へと変わっていく。


現れた敵は以前倒したはずの“狼”だった・・・!!

狼「探偵よ、我は会えてうれしいぞ····フフッ」

探偵(狐)「お前は確かにあのとき消えたはずッ!?」

狼「悪魔に“死”というものはない····宿る身体があれば我らは何度でも甦る!」

狼「貴様に呪いをかけたのはこの前の礼だ」

探偵(狐)「なら、鬼面を配った理由は何だッ」

狼「あの面には人の憎悪を増大させ我の糧とする力がある、
     我が十分な力を得るために利用させてもらったまで····」

探偵(狐)「何てことを」ギリィ

狼「ほう····くるか?」

玄「助っ人でも呼んだほうが良いんじゃないですか」

探偵(狐)「お前たちのような外道は私一人で十分だッ!!」ボォ

バシュンバシュンバシュン

狼「狐火を使うか、おもしろい」ヒョイヒョイ

玄「ええ、まったくです」ヒョイヒョイ


探偵(狐)「ハァッ!!」バシュボォン

ヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイ


狼「遊びは終わりだな」ドガァン


探偵(狐)「グォッ、まだだッ·····」ジャリィ


玄「あと····1分ですね」ニコッ

シュゥゥゥゥッ

探偵「グムゥゥッ····(変化が解けた·····!)」


カタンカタンカタンカタン······


狼「これまでだ、引導を貴様に渡すッ!」ブゥン


ドガァンドガァン····


探偵「ウッ・・・」


ガクリ、バタン


残り時間は・・・“ゼロ”。

カチカチカチカチカチカチカチカチ

玄「あなた様の呪いは効果絶大ですね~」パチパチ

狼「これで復讐は果たした·····我を止める者はこれでいない」


“呪い”に私は負けた・・・はずだったが

·····ドクン····ドクン····ドクン····

私はまだ生きている・・・?

ドクンドクンドクンドクン

ボロボロの身体に力がみなぎってくる・・・。


『アンタ、ここで死ぬのは悔しくないノ?』

聞き覚えのある声が私に問いかける。

悔しい·····ここで終わりたくないッ

『そうでショ?····アンタを助けるために
      ワタシはカケラを集めてきたワ』

そうか.....ありがとう、狐娘。

『礼ならセンベイ一箱でお願イ』

彼女はそう言って私とのテレパシーを終えた。

ドクンドクンドクンドクンドクンドクン

ガンッ、スゥゥ····

探偵「待て.....」


狼「どうして動ける!?」

玄「ええ、驚きですね」


探偵「仲間のおかげさ·····これで気兼ねなく、お前たちを倒せる····!」


スタ····スタ····スタ····スタ····

狼「グゥワァッ」

ズドー、キキィ

探偵「私はッ」ドムッ

狼「グフッ」

探偵「お前たちをッ」ドムッ

狼「グォォ」

探偵「倒すッ!!」ドムッドムッドガァン

ドガシャン

狼「ウグムゥ.....オノレェェェェッ!!」ダンッ

ダダダダダダダダダダ


ギュイン、ダンッ

探偵「スゥ.....ハァァァッ.....」

ダダダダダダダダダダ


探偵「ハァァァッ」ドムッ

狼「グフッ.....またしても貴様····ごと···き···に···」ガクッ、ピキピキ

バリィンバリィン······ボロボロ

狼は仮面に戻り砕け散った。

探偵「・・・ありがとう、狐娘。」


玄「まさか、狼がやられるとは」


探偵「あとはあなたを秘密庁に引き渡すだけだ」


玄「フフフッ....残念ですがそれはできませんよッ」パチン

シュゥゥゥゥッ

『また会えるのを楽しみにしていますよ』

シュゥゥゥゥッ、シーン


その後、仮面工房のレンタルボックスからは証拠が見つかった。

いずれも鬼面をつけて事件を起こした人の遺体であった。

恐らくは面で彼らのコピーを作り、

狼の復活を順調に進めていったのだろう。

玄という男の目的と獅子面との関係性。

私は妙な胸騒ぎを感じている。

ガララララッ、ピチュンピチュン

探偵「報告書はこれで終わりと·····んぁ~.....疲れたよ、まったく」

今回の一件で命の尊さが痛いほど分かった。

二度目の命、大切にしなきゃな····


狐娘には本当に感謝している。

探偵「約束のセンベイだ」

ボンッ、ドサァ

狐娘「ありがたくいただくワ」バリボリッ

探偵「狐娘、ありがとう」ペコリ

狐娘「どういたしましテ」バリボリッ

狐娘「で、あいつらの行方ハ?」

探偵「残念ながら、分からない」

狐娘「次はきっと捕まえられると思うわヨ・・・」バリボリッ

探偵「そうだな、次はきっと」


カチカチカチカチカチカチ

女探偵「(カケラを彼に与えたのは・・・アレを倒させるため
      でも、しばらくは出てこないはず・・・・)」

カチカチカチカチ、ボォーンボォーン

女探偵「時騎士、いる?」

時騎士「何でございますか」

女探偵「“アレ”の出現ポイントを予測して」

時騎士「かしこまりました」

女探偵「(次はきっと·····)」


探偵・女探偵「捕まえる!」


~呪縛編・前編完~


カチカチカチカチカチカチ

女探偵「(カケラを彼に与えたのは・・・アレを倒させるため
      でも、しばらくは出てこないはず・・・・)」

カチカチカチカチ、ボォーンボォーン

女探偵「時騎士、いる?」

時騎士「何でございますか」

女探偵「“アレ”の出現ポイントを予測して」

時騎士「かしこまりました」

女探偵「(次はきっと·····)」


探偵・女探偵「捕まえる!」


~呪縛編・前編完~


探偵「はい、どうぞ····」

ガチャバタン

獅子娘「探偵さん、お客様です」

カツカツ、ピタッ

元・怪盗D「久しぶりだね、探偵」

探偵「怪盗D····いや、今は一般人か
     まさか、依頼をしに?」

元・怪盗D「ああ、この男を捕まえたい」スッ

探偵「玄....どういうことだ」

元・怪盗D「私の命はあとわずかだからだ」

探偵「“呪い”のせいだというのか」

元・怪盗D「オーパーツのな」

探偵「それがどう関係している」

元・怪盗D「私の願いを叶えたのはその男だ」


怪盗D(昔)「妻を生き返らせたい....」

玄「それが望みなら、契約を結びましょう」パチッ

ボォォ、ジュゥゥ

怪盗D(昔)「ウグッ...この印は....?」

玄「契約に違反した場合、貴方の命は
        その印により、消えます」


そう奴は言った。

怪盗D(昔)「そして、今の私は契約違反をした」

探偵「バカな!?あのとき、私はお前を止めたはず」

怪盗D(昔)「詳しいことは分からない·····何故、
        私が歴史修正以前の記憶を持っているのかは」

怪盗D(昔)「ただ、相手が強大と言うのは確実だな」

歴史修正も無視するほどの力・・・。

なるほど、女探偵が恐れるには十分だ。


探偵「分かった、協力しよう」

元・怪盗D「奴の居場所に検討はついている」


カタカタカタカタカタカタカタカタ

コンコン、コンコン、ガチャ

玄「“チュパカブラ”の様子はどうです、獅子面さん」

獅子面「順調に成長している」

玄「おお!素晴らしい!!」パチパチ

玄「完成を楽しみにしていますよ」

獅子面「そっちの“鵺”はどうした?」

玄「残念ながら、探偵に処分されました」


獅子面「そうか...振り出しか」

玄「既に次のコマを準備しております」

獅子面「ほう?それはどんな...?」

玄「合成獣とだけ言っておきましょう····」

ブクブクッ....ブクブクッ····

その生物は水槽の中で着実に成長していた。


プルルル、プルルル·····カチャ

狐娘「ハイ、もしもし」

虎娘『お久しぶりです、狐娘』

狐娘「ン~と・・・誰だっけ?」

虎娘「虎娘ですよッ!」

狐娘「ああ~、思い出したワ」

虎娘「探偵さんはいらっしゃいますか」


狐娘「いないヨ」

虎娘『そうですか...実は獅子面について分かったこと
     があったのですが.....』

狐娘「マジなノ?どんな」

虎娘『探偵さんがいないのでお話できません。』

狐娘「ええぇ....ケチなこと言っテ」

虎娘『また後でかけ直します』

プツ

狐娘「相変わらず、お堅い女ネ」


カタカタカタカタカタカタ

玄「邪魔者は....二人のようですね」

スッ、パチン

玄「裏が出ましたか····なら、“あなた”の出番にしましょう」ニヤリ


トントントントン···

ザザザン、カキィンカキィン

玄「私に針を飛ばすとは····相変わらずですね、囚人」

囚人「ワリィな、まだ···お前を信用してねぇからよ」

玄「残念ですね....どうすれば信用してもらえますか」

囚人「探偵の居場所を教えろ····それだけで十分だ」

玄「フフフッ....言わずとも、教えますよ」


ガチャ、バタン


玄「短期な人だ·····が、役には立つか」


玄「せいぜい、合成獣が完成するまで、ですかね....」

コポコポコポコポコポコポ····


ドクゥン····ドクゥン····


スタスタスタスタ····

探偵「ここか」

元・怪盗D「ああ、ここだ」

到着したのは廃工場だった。

人が寄りつかず、身を隠すにはちょうどだろう。

元・怪盗D「どこかに地下への入り口があるはずだ」

探偵「地下だと?」


カツン、カツンカツン····

探偵「ここで奴らは一体何をしようとしていたんだ.....」

カツンカツンカツンカツンカツン

元・怪盗D「動植物の融合実験....らしい
       その証拠に地下から音が聞こえるだろう」

カツンカツンカツンカツンカツンカツンカツン

探偵「この金属音は····」

元・怪盗D「水槽の水を入れ換えるポンプの音だ
         実験体を飼育するためのな」

探偵「一体奴らは何を企んでいるんだ」


ジャリィン....ジャリィン

囚人「それを知る前にオメェラは死ぬ」


探偵「お前は・・・!!」


囚人「久しぶりだなァ····探偵」


探偵「お前はあの時、確かに倒したはずだッ!」


囚人「その通り····今の俺は亡霊だ」パチン

囚人「俺の目的はただ一つ·····“オマエへの復讐”だ」ジャキ


探偵「悪いが倒されるつもりはないッ」パシッ


カランカラン····


囚人「驚きだな····針を素手で取るか」

囚人「ま、楽しくなりそうだ」



探偵「D····先に地下へ向かってくれ」


元・怪盗D「了解、死ぬなよ」


タッタッタ····ガチャ、バアン


囚人「これを避けられるか」

ジャララジャララ、ビュビュビュビュン


探偵「こんな針····」パシッパシッパシッ


囚人「予想通り.....かかったな」ニヤッ


チクッチクッチクッチクッチクッ

探偵「ウグッ····!?この痛みは····」


囚人「それは神経を麻痺させる毒····」


探偵「グゥゥ....(力が入ら···ない)」


囚人「さぁ...どうする」ジャキ


カラランカラランカララン.....

針を引きずりながら、奴はゆっくりとここへ向かってくる。

カラランカラランカララン.....


幸いにも、まだ手は動く。

ならば・・・。


探偵「・・・待て」


囚人「アアァ?命乞いかァ?」


探偵「違う、君にいくつか質問がある」


囚人「どうせ死ぬからな····いいぜ、最後の望みは聞いてやる」


探偵「組織の目的は何だ?テロか?」


囚人「目的はただ一つ、この世を裏で支配する。
       あらゆる手を使ってな。」


探偵「(“鵺”もそのひとつということか
       しかし、まだ分からないことがある。)」


探偵「(何故、多種多様な実験動物を作り出す必要があるのか?
      “鵺”だけでも十分に使えるはずだ。)」

探偵「(“生物兵器”として売りさばいているのか····それとも····)」

探偵「実験動物を作ってどうするつもりだ?」


囚人「組織の利益のためでもあるが、一番の目的は
     “完璧な世界の実現”らしいぜ」


探偵「“完璧な世界”....どういうことだ」


囚人「“ノアの方舟”って神話を知ってるか?」

囚人「堕落した人間を滅ぼすため、神は大洪水を起こし
     地上の生物は全て淘汰される。」

囚人「神の声を信じたノアとその家族、そして、
     ノアが方舟に乗せた動物はその大洪水を乗りこえる」

囚人「組織の目的は“ノアの方舟”と同じ·····選別ってわけさ
世界を浄化した後に残る種のなァ」


探偵「(“カルト組織”ということか)」

囚人「お喋りはここまでだ」ジャキ


ブゥン!ドバァッ!!

巨大な針は降り下ろされ、私の右肩を貫いた。


探偵「グワァァァァッ!!」

囚人「苦しめ...そうして無様に死んでいけェッ」


ザクッザクッザクッザクッ

邪悪な笑みを浮かべ、囚人は私の身体をめった刺しにしている。

その姿は殺人鬼そのものである。

だが、彼は気づいていない。

私がその身体を媒介に会話をしているに過ぎないということを。


ドカァッ!

囚人「グオッ!?」

カツカツ、ザッ

探偵「驚いたか?」


囚人「な、何····探偵がもう一人だとッ!?」

囚人「俺が串刺しにしてるコイツは偽物なのか?」



探偵「ああ、ソイツは髪の毛を入れた。身代わり人形さ」


囚人「チッ···無駄な足掻きだ···」ジャキ

ビュウビュウ···ザザザン


フッフッフッ、カランカラン


探偵「その針は既に使えないッ!」ピシッ


ゴゴゴゴッ、ズシッズシッズシッ

囚人「ウグゥゥ・・・全身の針が・・・重い・・・」


囚人「一体何をした・・・!?」


探偵「“呪い”をかけたのさ····君が破った人形には私の髪とお札、髪を仕込んでおいた」


囚人「バカな····呪いなど実在するわけねぇ」


探偵「どう思うかは自由さ...」


囚人「グゥゥゥッ····また重く····」メキメキッ


探偵「効果持続は一時間、おとなしくしていればいい」

ダッ···タタタタタタタタ····

どうにか囚人の追撃をかわし、私は地下施設に向かった。

ギギギィ····コポコポコポコポッ

ドアを開けるとそこには異常な情景が広がる。

いくつものポッドが割られ、あたりは怪物の死体と血で埋まっていた。

探偵「(怪盗が倒したのか···?それにしては随分、荒っぽいが·····)」


\グワァァァッ!/


探偵「怪盗····!?」ダッ、タタタタタタタタッ


ガシッ、ジュルンジュルン

???「貰うぞ、この力....」ガシッ

元・怪盗D「グアアアアアアッ!!」


ジュルンジュルン·····カァン


???「お前の力、確かにいただいた」ガシッ、ブゥゥン


元・怪盗D「グゥゥゥッ···探偵···」ガクリ


タタタタタタタタッ


探偵「おいッ!!しっかりしろッ!!」ユサユサ


探偵「怪盗に何をした!?」


???「そいつの能力を奪ったまでのこと」


探偵「じゃあ...あの怪物たちもお前が」


???「ああ、その通り···そして、お前もいずれはそうなる」フッ

ゴゴゴゴッゴゴゴゴッ


探偵「まずい、ここは危険だ」

地下施設は怪盗のしかけた爆弾により消えさった。

新たな敵なのか···?奴は一体····。

組織を追えば追うほど、謎が深まるばかり。


ピチャピチャピチャピチャ

囚人「ヌゥゥゥゥゥッ····やっと呪いが解けたみてぇだな」グリングリン


····カツン

???「お前が“囚人”か···?」


囚人「そう言うオメェは誰だよ」ジャキ


???「全ての力を奪う者····零だ」


囚人「ハッ、つまんねぇよッ」ジャキジャキジャキジャキ

ビュゥビュゥン

零「・・・見切った」カッ

パシパシッ、カランカランカランカランカランカラン


ガシッ、ググググゥッ


囚人「クォッ...バカなッ!」


零「貰うぞ····お前の力を」ガシッ


囚人「グアアアアアアッ!!!」


·····俺は自分の呪いを解くために必ず····。


零「·····力はいただいた」


囚人「俺様の····力····か···えせ····」ガクリ


零「····それはできない」

カツ···カツカツカツ


囚人「グムゥ....」ガクリ


フッ

玄「これは驚きです···」


着実に何かが起こる。

そんな予感がしていたんだ。


探偵「ウ~ム····」

狐娘「何ヨ、悩みでもあんノ?」


探偵「いや、大したことじゃない」

狐娘「フーン....」


ピンポーン

探偵「おっ、依頼か」

ガチャ

少年「・・・依頼しに来ました」

低い暗い声で、彼は言った。


探偵「それで今日はどういったことで」

少年「友達がみんな死んだんです····“五亡の呪い”で」

探偵「五亡の呪い?まじない遊びか」


少年「次は·····ぼ、僕だ···」ガクガク

探偵「大丈夫、それは私が何とかしよう」

探偵「さぁ、事務所へお入り」


カチャン

狐娘「ココアどうゾ」

少年「ありがとうございます····」ズスゥ

ゴクゴクゴクゴク、カチャン

少年「ふぅ.....」

探偵「良い飲みっぷりだよ」

探偵「落ち着いたところで話してくれるかい」


少年「はい·····」

あれは1ヶ月前の事でした。


なぁなぁ。家にこんな本あったんだけどさ·····。

“魔術大事典”?魔術なんてあるわけネェ

でも、おもしろそうだな・・・。

ペラペラッペラペラッ

材料とか揃えるのメンドイな

簡単なやつはねぇのかよ。

おっ、これなんか良くねぇか?

『人に自分の見せたい夢をみせる魔術』

どうせ嘘だろうよ。

僕はそう思いました。


そして、最後の一つは・・・。


・魔術大事典に使用者の名をフルネームで書くこと。
   偽名を書いた場合、しかるべき罰がくだる。


僕とその遊び仲間の5人はそのルールを破ったんです。


探偵「そうか....」フム

少年「親も警察も誰も信じてくれなかった」

狐娘「触らぬ神に祟りなしネ」バリボリッ

探偵「そうかもしれんな····が、依頼者を助けるのは仕事だ」

狐娘「ハイハイ、わかってるわヨ」フリフリ


そして、最後の一つは・・・。


・魔術大事典に使用者の名をフルネームで書くこと。
   偽名を書いた場合、しかるべき罰がくだる。


僕とその遊び仲間の5人はそのルールを破ったんです。


探偵「そうか....」フム

少年「親も警察も誰も信じてくれなかった」

狐娘「触らぬ神に祟りなしネ」バリボリッ

探偵「そうかもしれんな····が、依頼者を助けるのは仕事だ」

狐娘「ハイハイ、わかってるわヨ」フリフリ


探偵「とりあえずは現物を見せてもらえるかな」

スッ

少年「どうぞ」

ペラペラッ

探偵「惚れ薬....魔物召喚....ほう、ドラゴン喚べるのか」

ペラペラッ

探偵「生け贄は牛一頭、豚一頭、銀の剣か」

ペラペラッペラペラッ

探偵「で、最後のページにルール....」パタン

狐娘「これモノホンなのネ?」

探偵「間違いないだろう...狐娘、巫女さんに連絡して欲しい」

狐娘「エエェ....嫌ヨ、絶対にッ」

探偵「そうか····今月の煎餅は、なしだ」ニヤッ

狐娘「グムム....ムカつくッ!」


探偵「というわけで、これは預かる。」

少年「本当に...助かるんですか?」

探偵「大丈夫、目には目を····魔術には魔術で対抗すればいいさ」

少年「(大丈夫かな····この人で)」


さっそく、私は魔術大事典のあった家を訪ねた。


ピンポーン、ガチャ

主婦「はい....どなたでしょう?」

探偵「突然すいません、私こういうものです」スッ

主婦「怪奇探偵事務所....」

探偵「魔術大事典について、お話をお聞きしたいのですが」

主婦「まさか····アレを息子が持ち出したんですか····」ガクガクッ

探偵「知っているんですね」

主婦「話すことはありません、帰ってくださいッ!」

ガチャ、バタン


探偵「ここは“式神”を使うか」スッ、パッ

探偵「(仮初めの魂よ····我、汝を求む····)」

ピョンピョン

式「ハロー、タンテェー」

探偵「式、この家を見張ってくれ」

式「ラジャッ」ピョンピョン

スゥッ

探偵「次の手は····」カチャ、ピポ

プルルルプルルル

獅子娘『ハイ?』

探偵「例の準備は出来ているか」

獅子娘『エエ、あと少しで』

探偵「準備が出来たら、すぐに始めてくれ。
    私は他の方法を探ってみる。」

獅子娘『分かりました』


一筋縄では呪いは解けない。

が、対抗策がないわけではない。

私達は3つの対抗策を考えた。

一つ、魔術大事典を消すのではなく封印する。

これには数人の強力な術者を必要とする。
下手をすれば、こちらが呪い殺される。

 
二つ、魔術大事典に相対する魔術書の力で効果を相殺する。

新たにそれと同等以上の魔術書を作りだすには、
50年の歳月が必要だろう。

そして、三つ目は・・・。


~数時間前~

探偵「・・・ということだ」

狐娘「ハァッ!?マジで言ってんノ!?」

探偵「対抗策はこの3つしかない」

獅子娘「やるしかないですよ」

狐娘「簡単に言うナッ!」

探偵「難しいのは分かっている....だが頼む」

探偵「報酬ははずむからな」


いつものやり方でなだめたが、あっちはうまくいっただろうか。


フッ、ポン

狐娘「ゼェゼェ····」

探偵「おっ、噂をすれば」

狐娘「コレ···とどけに····」ガクリ

探偵「おいおい?」

狐娘「じゃ、先に帰ってル····」

フッ、ポン

探偵「あとは任せろ」スタスタ···

その頃、探偵事務所。

フッ、ポン

狐娘「ただい···ま····」

獅子娘「ど、どうしたんですか」


狐娘「超...強力な護符....作るために....妖力使い果たしタ」

獅子娘「お疲れさまです」

狐娘「そっちの策はどうなのヨ」ゼェゼェ

獅子娘「儀式用の生け贄は準備できました」ドサッ

狐娘「銀の鏡、銀の剣、銀の皿·····純銀製なのよネ?」

獅子娘「もちのロン、ですとも
     ちょうど知り合いに魔術コレクターがいまして.....」

狐娘「(相当の金持ちとみえる····こいつのパイプはスゴいわネ)」

獅子娘「(言えない····私がそのコレクターだなんて
      絶対、狐娘さんにたかられる·····)」

獅子娘「とにかく、これで後は探偵さんの準備が整うだけですね」

狐娘「そうネ···じゃ、仮眠してくるワ」スット


ピンポーン

獅子娘「お客さんでしょうか」

獅子娘「ハーイどちらs····」

ドガァン!


零「少し眠ってもらうぞ」

ガチャ


零「さて、どこに隠した」ガサゴソ

ボォォォッ

零「ムッ····この炎は」


狐娘「そうだよ、アタシだよッ」


零「妖狐か····ちょうど良い···あの魔導書はどこだ」


狐娘「アレを手に入れて何すんのヨ」

零「無論、その力を取り込み強大になるため····!」

狐娘「悪党に教えることはないワ」

零「そうか····仕方あるまいな·····」


スッ、ザシュ!!ドバァッドバァッ


狐娘「グッ、ガホッ····」ビチャ

ガクリ

狐娘「そんな····一撃で····ゴホッ」ビチャ

零「安心しろ····力はいただくが、お前たちの命はとらん」


狐娘「何ィ····」シュゥ

シュゥ····カッ

身体から力が抜けていき、奴の手に集まっていく

そして、力は水晶に変わる。

零「妖狐と獅子の力···貰ったぞ」

狐娘「か···返せッ····!」

零「断る」バシッ

ガクリッ

狐娘「ウッ····」ドシャ

クルッ

零「····次へ行くか」


ガチャ、バタン


ヨロッ···ヨロッ

獅子娘「派手にやられましたね....」ヨロリッ

狐娘「アイツ····次はきっと、探偵や巫女のとこへ行くはず····」ヨロリッ

獅子娘「ええ、連絡しましょう」スッ

ズキッ!ボトンッ

獅子娘「ウッ···!」ズキッ

狐娘「ケータイ貸しなッ」ピポパポ

プルルルプルルルプルルルプルルルプルルル

プルルルプルルルプルルルプルルルプルルル

プルルルプルルルプルルルプルルルプルルル

狐娘「ああ、もうッ!肝心な時にッ!」


ガチャ

狐娘「もしもしッ」

囚人『····よう、派手にやられたみたいだなァ』

狐娘「アンタ····誰だっけ?」

囚人『囚人だよ、囚人ッ!』

狐娘「·······あッ、そいえば復活したんだったっケ
      で、何の用」

囚人『アイツには借りがある····どうだ、力を取り返すために
       ここは一つ、協力しねぇか』

狐娘「アンタも力を盗られたノ?じゃあ、その証拠みせなさいヨ」


ピンポーン、ガチャ

囚人「この通り、髪は普通だぜ」サラサラ

狐娘「あ、ホントだ····って、いつからそこにいんのヨッ?」

囚人「アアァ....零が来たときからだが?」

狐娘「ハァ!?」

囚人「ご覧のとおり、無力な俺が介入する余地はなかったからなァ」

狐娘「コイツッ!」イラッ

獅子娘「狐娘さん、落ち着いてッ」

狐娘「いや、一発ぶん殴らないと!」ブンッ


ガシッ


囚人「おいおい、こんなもんカァ?」パシッ

狐娘「クッ····」スッ

囚人「オレに勝てねぇなら、奴には勝てねぇぜ?」

狐娘「そんなこと····ない」

獅子娘「狐娘さん...」

狐娘「アンタの力を借りなくても、ワタシ達は奴に勝つ!」

囚人「やれやれ····素直じゃねぇな、まあいい
       オレはいつでも待ってるぜ」

ガチャ、バタン


獅子娘「いいんですか、狐娘さん」

狐娘「少し一人にしてくれル....」


狐娘「頭を冷やすワ····」

獅子娘「分かりました····連絡は私がしときますね」


ガチャ、プルルル


探偵「お、連絡か」

獅子娘『探偵さん、例の事典は今お持ちですか?』

探偵「ああ、持っている」

獅子娘『それを狙う奴があなたに迫っています』

探偵「何····どんな奴だ」

獅子娘『“零”と名乗っていました、私と狐娘さんは
そいつに力を奪われて····』

探偵「そうか、分かった」

獅子娘『それともう一つ、囚人さんが力を借すと言っていました
       彼も力を奪われたようで』

探偵「囚人か···検討しておくと伝えてくれ」


プッ、カチャ

探偵「用心しないとな」

探偵「さて、次はここだ」ピンポーン

ガチャ

博士「誰ですかな」

探偵「私だよ、博士」

博士「おお~懐かしい顔じゃ」

探偵「博士、頼みがある」

博士「ほほうなんじゃ?」

探偵「これなんだけど····」サラッ

博士「事典か?」


探偵「これの呪いを解きたいんだが」

博士「フム」ペラペラ

博士「こりゃまた、厄介じゃな」ペラペラ

探偵「3つ目の対抗策はアンタにかかっている」

博士「ほう····責任重大じゃ
    して、その策は」

探偵「魔術書と私を融合させてくれ」

博士「....正気か、お主!?」

探偵「魔術書の力を抑えこめば、助かる命がある」

探偵「それに私が特殊であることは知っているだろ?」

博士「ウム....しかし....」

探偵「頼むよ、博士」


探偵「依頼を解決するのが私の仕事だ」

探偵「その信念を曲げることはない」

博士「····負けたよ···よしッ!」

博士「明日までに手術準備をしておく」

探偵「ああ、頼むよ」


こうして、手術を博士に依頼し

私は再び、例の家へ向かった


スタスタスタスタ

探偵「よし、式を呼び戻すか·····」スッ


ピョンピョン

式「キカンシマシタ」フッ

パシッ

探偵「事務所に戻るか」


零「待て」

探偵「待ちぶせか!」

零「魔導書とお前の力をいただく」

探偵「させるかッ」ザッ

零「いくぞッ」ザッ


ドガァバシッ

探偵「ハッタタタッ」

ドガァドガァ

パシッパシッ、ザッ

探偵「ハァッ」ドガァ

ジリィィ

零「やるな、だが····」パチィン

カァァ

零「このオーブを食らえば」バクリガリガリ

零「ハァァァ.....」

探偵「何だ····奴の殺気が増した!?」

零「こちらの番だ」フッ

ドガァンドガァンドガァン

探偵「クォッ!」


零「ハァッ」バシッ

探偵「グッ」ジリィィ

探偵「(仕方ない····)」スッ

ボォボォボォボォボォボォ

零「分身か?笑止な」ブンッ

フッフッフッフッ

零「何ィ....どこだ」

ガチャ、カシュゥ

零「ムッ」

探偵「くらえッ!」ヒュゥ

スゥー····ボカァボカァボカァン

零「····効かんな」

探偵「ダメか····なら次はこれだ」ジャキ

探偵「くらえッ」シュバババプスプスプス

零「ムッ...痺れ毒か」ビリビリ

探偵「今だッ!」ダンッ

バシッドガァ

零「グウッ」ガクッ

探偵「トドメだ」ブンッドガァ

零「」ガクリ

探偵「ハァ....ハァ....勝ったのか....?」

ピクッ...ムクリ

零「アアァ....」

探偵「バカなッ!?」

零「この続きは今度だ、目的の魔導書はこの場にはないからな」

探偵「どうしてそれが分かる」

零「これさ」スッ

探偵「盗聴器ッ!?いつのまにッ!」

零「じゃあな」ㇷッ

探偵「させるかッ!」ガシッ

ギュイン!

探偵「イテェッ!」ドサッ

零「フンッ...着いたか」シュタ

零「あの魔導書は.....どこだ」キョロキョロ

「お探し物カナァ?」

探偵「囚人、お前ッ」ギリッ

囚人「そんな睨むなよ」

囚人「オレはテメェを倒す以外に興味はネェッ!」ピシッ

零「力だけでは足りず命までも捧げるか?」

囚人「ハッ····上等じゃねぇか」パキ

探偵「おいッ、博士はどこだッ!」

囚人「知るか....あいつらに聞けよ」クイクイ


\オーイ、タンティ/


探偵「狐娘達かッ!」

ダンッタタタタ....

零「いかせんッ」ザッ

ザッ

囚人「それ、オレのセリフだゼェ」ニィ

零「また....やられに来たか」

囚人「今度は負けねぇぜ?」

零「力のないオマエに勝ち目はないッ!」ザッ

ドガァバシッ

囚人「かもな...それでもよぉ!」パシッパシッ

囚人「オレにはまだ残ってるもんがあるぜぇ!」

ドガァバシッ!

零「グウッ!なんだと....こんな力がまだあるのか!?」

囚人「オマエは知らないみてぇだから教えてやるよ...」ポキポキ

タタタタ.....

探偵「おい、あいつに任せて大丈夫なのか」

獅子娘「対抗策はあるそうなので」

狐娘「封印の準備をいそぐわヨ」

探偵「そうだな、で....博士はどこに?」

狐娘「秘密庁の地下訓練場ヨ」

探偵「そうかよしッ!」ビューン

ズズズーン

獅子娘「あ、早っ!」

狐娘「また調子にのって.....」

ウィーン...

探偵「博士ッ!」

博士「おおっ探偵か」

探偵「無事でなによりです
       準備の方は?」

博士「予定通りすすんでおる」

探偵「そうか、良かった」

狐娘「やっと追いついたワ」

獅子娘「疲れました....」

探偵「ご苦労さんだがまだ終わりじゃないぞ」

狐娘「ええぇ...ちょっと休憩させてヨ」

獅子娘「ホントここまでキツイんですよ」

探偵「わかった、なら....博士の護衛を頼む」

獅子娘「どちらへ?」

探偵「あの家に行ってくる」

ピンポーン

探偵「すいません、もう一つ確認したいことがありまして」

主婦「話すことはないです....帰って」

探偵「これに見覚えがあるかだけ教えてください」スッ

主婦「し、知りません.....」

探偵「そんなはずはないでしょう
     これはこの家で撮られたものだ」

主婦「帰ってくださいッ!警察呼びますよッ」

探偵「いいですよ、だが捕まるのはあなただ」

探偵「死体遺棄でね....なぜそんな真似をしたか
      ゆっくりきかせてもらえますね?」

主婦「......生贄が欲しかった
     息子を蘇らせるために」

探偵「どういうことです?息子さんならまだ生きて」

主婦「あの子の兄、もう一人の息子です」

探偵「なるほど....だが人を犠牲にするなんて
      許されることではない」

主婦「あなたは......あなたにはわからないでしょうッ!
 そうまでするわたしの気持ちが!」

探偵「わかりませんよ....でも一つだけ言える
      今のあなたは息子さんを笑顔にできますか?」

主婦「そ、それは....」

探偵「なら、言い方を変えましょう」

探偵「あなたはもう一人も失うつもりですか?」

主婦「いや........お願い、助けてッ」

探偵「無論、息子さんは助けます
      その代わりに自首してもらえますね?」

主婦「はい.....」

事件の真相がわかり、残すは少年を助けるのみとなった。

探偵「よし、囚人の助けにいくか」プルル

探偵「なんだ、メールか?.........」

探偵「なにぃッ!囚人が零を退けた!?」

驚きの声を上げる探偵.....

力を失い、零に敵うはずはないかと思われた囚人。

しかし、驚きの強さを発揮し零を圧倒するのであった.....


ドガァバシッ

零「クッ、どうなっている」

囚人「知りてぇかァ....」ポキポキ

囚人「教えてやるよ.....拳でな!」

ドガドガァ

零「二度もくらうか!」ジャキ

ザザン

囚人「針の盾か、んなもん....」

バキバキ

囚人「効かねぇぜ」

零「なら....力を奪うのみ」カァ

囚人「.......ハァ」

零「いただいたぞォ」バシン

ドガシャ

零「ば、バカな.......奪えないだとッ.....!?」

囚人「その理由は一つ」

囚人「もとから存在する力だからな」

囚人「オマエが奪えんのは概念的な力だけだろ?」

零「なるほど、そういうことか....」

概念の力を奪えても生物や機械の機能を

停止させる力はないのである。

囚人「シンプルすぎるぜ....さぁ終わりにするか」

零「チ、負けか....」

囚人「あばよ!」ブンッ

だが、拳は軌道をそれてしまう。

囚人「どういうこった」ブンッブンッ

スカスカッ

玄「囚人、この方は貴重な実験体
        手出しはさせませんよ」(´▽`)

囚人「てめぇの仕業か!邪魔すんじゃねぇ!!」

玄「きますか?」パシッ

グキッ、ミシィ

囚人「グォ.....腕が」

玄「その拳で勝てるわけないでしょう」ニヤッ

囚人「まだだ....オレは、まだァ!」ブン

腕がねじ切られ、なおも攻めを止めない。

その猛攻は玄の胴を狙う!

バキッ、ボトン.....

囚人「グアアアアッ!!」

彼は次に脚を失っただけであった......

玄「呆れますね、囚人さん
    私に物理攻撃は無意味だというのに」

囚人「チクショウガァ.....」

玄「無様ですね、とっとと失せなさい」カッ

ドガァ.....

囚人「クッ....」

パシッ

零「よせ」

玄「情けですか、美しいですね?」

零「全力で勝負して負けたのだ
    奴にこんな死に方をされては困る」

玄「正々堂々が好きですか.....まあいいでしょう
    彼はもう戦えませんからね」

囚人「チッ....だせぇ....」

敵に助けられるとはな.....。

悪役の風上にも置けねぇよ.....


零「ついでにこれも、返そう.....」

カラン

囚人「テメェ....」

零「次に会うとき......決着をつける」

玄「では、ごきげんよう」

そう言い残しあいつらは姿をけした。

囚人「そして、このザマだ」

探偵「そうか.....」

囚人「そっちはどうだ?」

探偵「おかげさまであの二人に
      力が戻り、封印もあと少しで完了だ」

囚人「あのムリゲーをクリアとはな、恐れ入るぜ」

探偵「礼を言う....ありがとう」

囚人「ハッ・・・敵に言うな
     これ持って帰れ」

カラン、パシッ

探偵「おい、これ.....」

囚人「そんな力、もういらねぇよ」

探偵「どうしてだ?」

囚人「あいつに力をとられたとき、痛感した」

どれほど力ありきで今まで過ごしてきたのか

その力で成し遂げたもんはあったのかってな.....。

結局、オレは退屈しのぎにしか力を使うことしかできなかった。

囚人「そんな最低なオレより、最高なオマエが
       持つ方がいいだろう?」

探偵「それが君の新しい道か」

囚人「ああ」

探偵「......健闘を祈るよ」

ガララ.....ガチャン

あいつが出ていくと同時に入れ代わりで

狸女が入ってきた。

狸女「生きていたとはね....」

囚人「正確には一度、死んでるぜ」

狸女「あなたには罪を償ってもらう」

ついに、このときが来たか。

まあ、自業自得だ。

囚人「ああ、どんな罰でも受けてやるよ
       ケジメはつける」

狸女「そう・・・・・いい心がけね」

囚人「フンッ.....それで、オレはこれからどこへ」

狸女「あなたは秘密庁の管理下の下、牢屋で一生過ごしてもらう」

囚人「ハァッ?.....こんな極悪人を死刑にしないのか」

狸女「あなたを裁判にかければ
     十年前、国民に隠した事件の真相は明らかになる」

狸女「ということ」

囚人「所詮、傀儡か」

狸女「なんとでも言えばいいわ」

囚人「用はそれだけか、早く出てけ」

ガララ、ガシャン.....


ったく、面倒なもんだな。生きるってことはよ......

けど、それでも全力で生きることは気分良いぜ。

なんてな.....ガラにもねぇか

こうして、彼は新たな道を進み始めた。

その道に何が待ち受けているかは

これからの彼のみが知ることとなる。

狐娘「囚人には感謝しないとネ」

探偵「では、これを」スッ

札を大事典に貼り付け、準備はできた。

獅子娘「うまくいくんでしょうか?」

探偵「成功確率は50%......これがダメならあとはないさ。二人は結界を維持してくれ」

残された手段はただ一つ。

探偵「これより、封印処置を開始する
         大事典よ.....その力いただくぞ」

手を事典にかざし、呪を唱えていく。
バチィ!と音が頭の中に響いてくる
こちらの呪に反発するかのように

ビィィィィビィィィッ

探偵「(まだだだ....)ダァブォ・・・」

パラララ・・・カッ

事典が意思を持つかのように開き、
眩い光が放たれてくる。

カァァァァァァ

探偵「(クッ....目つぶしのつもりか)」

その眩い光とともに金属の鈍い音が同時に響く。

ジャキ、カァン、ブンッ

その正体は浮遊し発行する武器であった!

意思を持つかのように、探偵に襲い掛かる!

ザザンザッ

槍がとめどなく降り注ぎ、斧と剣が斬り倒しにくる。

探偵「(まるで、マリオネットだな)」

だが、彼には通じない
これまでの戦いでどれも経験済みである。

探偵「これぐらいで負けるものか」

ダンッ、タタタタ

全力で止めるために彼は走り出した

ザクッザクッ、ブスッ....

i札の有効時間はわずか5分のみ
あと2分の間に、なんとしても・・・。

その思いだけが今の彼を強く前進させる
そして、それこそが彼の力を引き出すのだ。

カララン・・・

探偵「これで全てか.....」

槍は弾かれ、斧と剣はすべて叩き折った。
もう、事典が攻撃を加える気配はないようだ。

探偵「(ますます....人間じゃないな、私は)」

再び、呪を唱える・・・。

カチカチッという音とともに事典が石化していく。

唱え終えたころには、それは巨大な岩石に変貌し元の面影は残らなかった。

狐娘「岩石・・・あんた、いい趣味してるわヨ」

探偵「お前に言われると恥ずかしいがな」

獅子娘「と、とにかく...これであの子は救われたわけですね!」

探偵「ああ、どうにかな」

狐娘「でも、油断はできない・・・デショ?」

そう、この中に封じられたもののわずかに力は残留している。

私に追撃をしなかったのは、いずれ自力で封印を破るため

そのときは遅かれ早かれ訪れる。

狐娘「ホント厄介よね、永遠に続く悪意」

探偵「そのとき、そのときで対処するしかないだろ?」

獅子娘「そうですけど、探偵さんは不死身じゃないですか
       ずっとつきまとわれるのは苦痛では」

探偵「ああ、だからこそ・・・君らの力が必要だ
       一緒に解決策を探してくれるか?」

狐娘「いいわヨ、退屈はしないからネ」

獅子娘「私も・・・しばらくは一緒にいるつもりですよ」

探偵「ありがとう、少し気持ちが楽になった」


悪意と向き合うにはどうすればいいのか。

それを少し学ぶことができたのかも

狐娘はそう思うのだった。

そして、翌日のことだ。

少年「ありがとうございました。」ペコッ

探偵「いやいや、完全に封印はできていないからね
     君にお礼を言われるわけには・・・」

少年「それでも命の恩人ですからッ!」

探偵「ありがとう、じゃあ元気で」

少年「はいッ!あなたもお元気で!」

最初に来たときとは違い、彼の顔にはくもりがなく
明るい笑顔であった。

ガチャ、バタン

探偵「さて、こっちも頑張るかな」

腕を伸ばし深呼吸して、デスクで作業を始める。

いつもの日常だ。だが、大切な時間である。

プルルル・・・・プルルル・・・

お、もう次の依頼か?

探偵「こちら、怪奇探偵事務所です。」

?『ワタシ・・・メry』

探偵「あー、イタズラはほどほどにしろよ、じゃあ」

カチャ

プルルルルプルルルル

カチャ

探偵「はい、怪奇探偵事務所です」

メリー『なんで切るのよッ!殺すわよッ!?』

探偵「いいかげんにしてくださいよ、メリーさん
      私はあなたの友達でもないんですから。」

メリー『いいじゃないッ!あんた暇でしょッ』

探偵「失礼な、最近は忙しいですよッ
     とにかく、これ以上続けるなら訴えますよ」

メリー『なによッ!人がせっかく大事な用で連絡したのに』

探偵「ほう・・・その用とは」

メリー『依頼よ、い・ら・いッ!』

探偵「だったら、最初にそう言ってくださいよ」

メリー『言おうとしたらアンタが先に切ったんでしょ!』

探偵「毎度毎度、聞きたくない情報を聞かされる
        こっちの身になってくださいよ」

メリー『ハアッ?メリーさんだから仕方ないでしょ』

探偵「いやいや、そこは我慢してくださいよ」

メリー『無理よッ!こっちにもプライドがあるもの』

探偵「聞き分けのない人だなぁ
       依頼は受けますが、条件つきですよ」

メリー『条件?何よ』

探偵「今後一切、暇だからという理由で電話をかけないでください」

メリー『わかったわよ、約束するわ』

探偵「分かっていただけてうれしいです。
      いつ頃にこちらへお越しいただけますか?」

メリー『そうね、3時間後かしら』

探偵「承りました。では、お待ちしております」

メリー『それで、依頼料はどれくらいなの』

探偵「1000円から2万円でお引き受けします」

メリー『あら、もっと取るのかと思ったら良心的ね』

探偵「ウチは怪奇専門ですからね、そんなのに高い金を
       払ってくれる人は少ないだけです。」

メリー『一理あるわね』

探偵「恐縮です、ではお待ちしておりますので
       よろしくお願いいたします。」

メリー『はい、よろしく』

ガチャ

数分後。

メリー「来たわ」

探偵「ようこそ、メリーさん」ペコッ

メリー「依頼人を連れてきたわよ」

女「どうも、ご無沙汰しております」

探偵「あなたは、この前のッ!」

メリー「あら、知り合いなのね」

探偵「怪異に襲われたんですか」

女「私の友人が・・・殺されかけたんですッ!」

探偵「詳しくお聞きします。さ、どうぞ」

ガチャ、バタン

探偵「それで、一体誰に?」

女「目が赤く、トカゲのような背びれを持つ人に
      そう、友人は言っていました。」

探偵「けど、それだけならコスプレだけかもしれませんよ」

メリー「嘘じゃないわ。これを」

そう言って、彼女はスマホを取り出した。

ピィ・・・カチャ

動画を再生し始めた。

マンションだろうか、一室をうつしている。

キャアアッ!

大きな叫び声のした直後、

ヒュンバリン!!

ガラスが割れる音がした。

ヒュン・・・

大きな影が窓を通過する。
背びれのようなものがハッキリと写っていた。

探偵「妖怪の類か、未確認生物か・・・」

メリー「そう。それはそうと私も手伝うわ」

探偵「おや、意外」

メリー「何よ、その反応は(# ゚Д゚)」

探偵「口が過ぎました。では、調査といきましょうか。」

女「よろしくお願いします」


こうして、調査を始めることとなった。

ピンポーン、ガチャ

主婦「はい?」

探偵「すいません、ちょっとお時間いただけますか
      隣りの方について」

主婦「ケガした方ですよね。」

探偵「ええ、何者かに襲われて」

主婦「恨みを買うような人ではないのに・・・」

探偵「ほう、そうですか。ありがとうございました」ペコッ

カツカツ

狐娘「そっちはどうだった?」

探偵「手掛かりなしだよ」

メリー「あちゃ・・・」

探偵「残すは彼女の部屋だけだな。」

メリー「もう調べたわよ」

探偵「成果は?」

メリー「鱗が一つ(^▽^)/」

狐娘「でかしたワ!」

探偵「よし、すぐに分析してもらおう」

狐娘「ゲ、まさか・・・」

探偵「狐娘、巫女さんに届けてくれッ」

狐娘「やっぱし・・・嫌よ、無理、死ね」

探偵「へぇ・・・せんべいなしでもいいのかな」ニタァ

狐娘「ウッ、、卑怯」

探偵「卑怯もラッキョウもねぇよ。どうする?」ニタァ

狐娘「クッ、分かったわヨ」

探偵「それじゃ、二手に分かれるとするか。
     トカゲ男の足取りは私とメリーで追う。」

メリー「了解ッ!」

狐娘「でも、どうやって探すのヨ」

探偵「時間を遡る」

メリー「ハアァ、なめてんの(# ゚Д゚)」

探偵「いえ、本気です。女探偵に頼めば」ピポパ

プルルル、ガチャ

女探偵『神を便利屋みたいに使うな』

探偵「まあまあ、クロノスさん」

女探偵『時間を遡るのはいいが、過去を変えるなよ』

探偵「話が早くて助かる」

女探偵『いまから、5分後に使いを送る。』

探偵「了解です」

ピッ

探偵「過去に行けるぞ!」

メリー「あんた、いつから神様と友達なのよ」

狐娘「何でもありネ(ワタシが行く意味あるのか?)」

そして、5分後。

シュウ、カッ

時騎士「お久しぶりです、探偵」

探偵「おお、あんたか」

探偵「それじゃ早速いくか」

時騎士「お待ちください」

探偵「なんだよ」

時騎士「これを」サッ

探偵「砂時計?」

時騎士「過去への介入時間は3分まで
      それを過ぎると帰れなくなります。」

探偵「タイマーか、分かった」

時騎士「では、どうぞ」キュイ

指をさした場所が歪み、ゲートを作る。

タイマーを握りしめゆっくりとゲートを通過する。

キャアアッ

バリィン

探偵「今の音はッ」タタタッ

トカゲ男「グルルルッ!」

メリー「こいつが犯人だわ」

トカゲ男「グルルッ」ダンッ

ドシン、カカカ

探偵「待てッ!」タタタタ

ㇷッ

探偵「消えた」

玄「おっと・・・そこまでです」

探偵「また、お前か。すると奴は」

玄「我々の作り出した実験体ですよ」

探偵「許さんぞッ!」

ダンッ、ドガァ

玄「いきなり暴力ですか」パシッ

探偵「悪党にはこれが一番だろう?」ググッ

スカン

玄「いいでしょう。その気ならお相手してあげます!」

バシッ

探偵「ドリャアッ」シュ

ドガァ

玄「・・・やりますねッ」バシッ

キィン

探偵「お前こそッ」

メリー「ちょっと、いきなりバトるなんて。
      何考えてるのよッ!?」

探偵「大元を倒せば一件落着だ」バシッ

玄「この姿では分が悪いか」スッ

玄「これを」ゴクン

探偵「なにっ!その水晶は!」

玄「力がみなぎる」

探偵「狐娘!ハンマーになれ!」

狐娘「ああ、もうわかったわよ!」

ボォン

探偵「いくぜ!」ダンッ

ドガン

玄「フフフ、いきますよ」

バシッ

探偵「互角かあ!?」

玄「なにを寝ぼけたことを?」

ギュイン

バシッバシッ

狐娘「キャア!」

探偵「ゴハッ」

玄「もう終わりですか?」

探偵「まだまだあっ!」ガチャキュイバキュン

探偵(狐)「さらに狐娘!」

狐娘「ゴホゴホ…なによ!」

探偵(狐)「私に憑依しろ」

狐娘「わかったわよ!!」

カッドロン

探偵(狐2)「これでいくぜ」ジャキン

玄「人体変化と憑依か」

探偵(狐2)「ハアッ!」

玄「来い」

探偵(狐2)「タアッ」

バシッバシッバシッバシッ

玄「おおっ、良いですね・・・この感じ。楽しめるなあッ!」

ブンッ

探偵(狐2)「余裕かよ、化け物」

玄「化け物は・・・あなたもだ」

バシッバシッドガァ

玄「だが、無意味ですよ」

フッ

探偵(狐2)「何ィッ!?」

シュン

ドガァ

玄「ハアッ!」バシッ

探偵(狐2)「その手は食わない!」ガゴォン

玄「グフッ・・・」

探偵「どうだ?」

狐娘『効いたみたいね』

玄「幽体に何故、ダメージを・・・?」

探偵(狐娘2)「私の狐火は幽体を浄化する力があるだけ。」

玄「成る程、悪意に満ちた魂には効果大か。
    なら・・・小細工なしでいきましょう」

フッ

バシッドガァ

探偵(狐2)「ハアアアッ」

キィン

拳と拳がぶつかり合うたび、火花が散る。

見えない火花がだ。

キィン、ドガァ・・・

両者とも一歩も引かない攻防。

殴り合うたびに、探偵は確信する。

「これならいける。」

探偵(狐2)「トドメだ!」

玄「フフフッ」

探偵「可笑しいのか・・・何が」

玄「遊びですよ、これは!」

バシッ

探偵(狐2)「この感じ、前にも」

玄「思い出しましたか?あなたが死んだ日を」

探偵(狐2)「そうか、そうか・・・お前は」

探偵(狐2)「・・・私の友」

玄「そうですよ、探偵」

探偵は、思い出した。あの日々を・・・そう、探偵が“ただの人間”であった頃。

二人は神の存在と魔武具の研究をしていた。

探偵(昔)「その力は危険だ、今すぐ捨てろ!」

玄(昔)「こんな素晴らしい力を手に入れたのに棄てる?寝言か、探偵?」

探偵(昔)「神になるなど、許されない!」

玄(昔)「既に、最高神・オーディーンの力を手に入れた・・・私こそ....神」

探偵(昔)「何が神だ!お前は、この世にいてはならない」

玄(昔)「そうですか、なら消え失せろ!」ダンッ、ザシュ

探偵(昔)「ガッ....ガハッ」

ガクリ

玄(昔)「さようなら、探偵....」スタスタ····

グワァン

女探偵(昔)「死ぬにはまだ早い。」

探偵(昔)「だ、誰だ?」

女探偵(昔)「あなたにチャンスをあげる」

カッ

探偵(昔)「ウワッ!・・・いない」

あの時、私は死に記憶を消され、蘇った。

探偵(狐2)「決着をつけるぞ、玄」

玄「いいよ、探偵・・・そうこなくちゃ」

探偵(狐2)「ハアッ!」

バシッドガァ

玄「フアアアッ!」

ドガァ

探偵(狐2)「お前を倒せば、全てが終わる!」

玄「全て?ほう、それは間違い。
    私を倒しても何も終わらない。」

探偵(狐2)「いや、終わるさ」

玄「約束ですか・・・奴との」

探偵(狐2)「それだけじゃない、組織を潰すための一手になる。」

玄「言っておきますが、そう簡単にいくか。」

探偵(狐2)「いけるさ、仲間がいれば」

バシッドガァ

玄「グフッ.....」

探偵(狐2)「ハアッ!」

ブンッ

ザシュ

玄「フ......よくやった、探偵」

サァァ

探偵(狐2)「よし、現代に戻るぞ」

カッ、グワァン

\ピンポーン/

探偵「いない?」

狐娘「獅子娘、出掛けてるのかしラ」

ガチャン

探偵「開いてる...」

ガチャンバタン

獅子娘「ムウ....ウ.....ウ~!!」ジタバタ

メリー「お帰り♪」

探偵「やはり、裏切り者か」

狐娘「え、なんで」

メリー「あの組織、金払いがいいのよ。
      じゃ、この娘はいただいていくわ」シュン

ヒラ、パシッ

狐娘「何でこんな回りくどいことを」

探偵「一つは、玄を倒させるため。もう一つは、恐らく、嫌がらせだ。」

狐娘「玄が用済み?どういうことよ。」

探偵「彼は、言っていたオーディーンの力を手に入れたと。」

狐娘「それが何よ?」

探偵「私が蘇った理由は、オーディーンを解放することと、
     玄が神を吸収し続けることを阻止するため。」

狐娘「でも、長い間、あんたは、玄を忘れていた。
    あいつのせいで」

探偵「そこ何だよ、この長い期間・・・何故、女探偵は、玄を泳がせていたのか。」

探偵「危険な存在を野放しにする理由・・・」

狐娘「タイミングが悪いとか?すぐに潰されたら困る理由ネ」

探偵「直接聞いたほうが、早い。」

狐娘「その前に、獅子娘を助けないと」

探偵「大丈夫、彼女はわざと捕まった。」スッ

狐娘「これは?」

探偵「発信器だ、奴らのアジトがこれで分かる。」

狐娘「じゃあ、準備が必要ネ」スッ

探偵「ああ、人手もな」カチャ

_____________________

____________

____

メリー「連れて来たわ」

「入れ」

ギギィ、ガチャン

獅子面「連れて来たか」

獅子娘「その声、姉さん?」

パカッ

獅子姉「そうよ、獅子娘」

獅子娘「何でこの組織の仲間に....ずっと探してたのよ」

獅子姉「神とちょっと、あったからな。」

獅子娘「探偵さんをどうする気?」

獅子姉「無論、始末する。」

メリー「これからの計画にあいつらは、必要ないからね」

獅子娘「計画?都市伝説や怪奇を使って、裏から世界を支配することなの??」

メリー「それじゃない、神に対する挑戦」

獅子姉「我々の最終目標は、神にとって代わること。」

獅子娘「なんで、探偵さんがそれと関係あるのよ。」

獅子姉「奴が、神の使いだから。理由は、それだけ。」

獅子娘「(だったら、今になって彼を始末する理由は....?)」

二人の疑問が交差し、その答えが浮かび上がる。

プルルル、ガチャン

探偵「もしもし、狼女さん?」

狼女『あんたか....今の私は、遠藤よ。』

探偵「あ、新しい偽名ですか。」

狼女『それで、何のよう』

探偵「アジトを襲撃しませんか?」

狼女『は?』

探偵「ですから、襲撃しに」

狼女『殺し?報酬は?時間は?』

探偵「殺しは殺しでも、半殺しで。報酬は5、時間は深夜1時です。」

狼女『5か、まあいいけど。』

探偵「お待ちしてます。」

プツ

狐娘「どうだった?」

探偵「ああ、ばっちりだ。そっちは?」

狐娘「三人捕まえたワ」

探偵「さて、こちらも準備万端....腹減ったな。
     オカラ食うか。」

狐娘「いやいや、まだやることあるでしょう!」

探偵「あ?」

狐娘「女探偵に話を聞くんでしょ?」

探偵「お、それはもう聞いてある。
    さっきメールが来た。」

狐娘「なんて?」

探偵「なんで、玄をすぐ倒させなかったのか。
    その答えは....」

狐娘「何よ!」

探偵「オーディーンの意思らしい。」

狐娘「ハアアアッ!?」

探偵「オーディーンが自ら、玄に取り込まれることを望んでいたからだ。」

狐娘「じゃあ、神のわがままに付き合わされたノ」

探偵「実は、もう一つ理由がある。
     悪魔たちを一掃することだ。」

狐娘「奴らが悪魔と関係あるノ?」

探偵「そうだ。」

狐娘「だいぶ、話が大きくなってきたわネ」

探偵「ああ、ようやく決着が着きそうだ。」

ピンポーン

探偵「お、来た」

ガチャン

巫女「お待たせ、狐娘ちゃん♪」

風男「どうも」

虎娘「お久しぶりです!」

蛇娘「こんにちは」

狼女「来たわよ」

探偵「みんな揃いましたね!では・・・」

狐娘「レッツ、作戦会議!」

それから、一時間後。

探偵「では、行きますか」

狐娘「いくわよ!」

探偵「ああ」

ガチャン、バタン

獅子姉「時間だ」

メリー「いきましょう♪」

零「総力戦か、おもしろい」

獅子姉「敵は何人だ?」

オペ「七人です。」

獅子姉「チュパカブラを出せ!」

ウイィーン

チュパカブラ「「キシャアアア!!」」

ダンッ

ダダダダダ

探偵「手厚い歓迎だな」スチャ

バキュンバキュン

チュパカブラ「ガウウウ....」

ガブリ!

風男「グッ、これしきでぇ!」

バシッ

チュパカブラ「ガウウッ!!」

狼女「タアッ!」

バシッ

虎娘「先に行ってください!」

探偵「了解!狐娘、変化だ」

狐娘「OK!」

ドロン

狐娘(ホバーボード)「行くわよ」

スタッ

探偵「ああッ!」

ビュン

スタッ

探偵「最初の門か」

スタッ

メリー「来たわね♪」

狐娘「メリー、あんたは私が倒すワ」

メリー「なら、探偵には」パチン

ザッ

零「私が相手だ」

探偵「あんたか良いぜ!」

ダンッ

バシッドガァ

探偵「ハッ!」

零「タアッ!」

探偵「ウォッ」

ドガァ

零「どうした?」

探偵「アンタ、力を使わずこの強さ・・・」

零「鍛え方がお前とは違うからだ。」

スタスタ、ガシッ

探偵「そうか・・・確かに、グッ」

零「お前の命を貰うぞ!」

ガシッ

探偵「グォォォッ!!」

バキッ、メキメキッ

零「何ィッ!?俺の腕が」

零が彼の体内にある賢者の石に触れた途端、

その腕が溶けていった。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年01月02日 (土) 21:01:27   ID: d5Z-YF1p

イイね~(^^)

2 :  弟ちゃん   2016年01月05日 (火) 21:12:28   ID: o25PuN04

いつも楽しくこのssを見てます!(^_^)

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