まりも「フライドパンツの完成や!!」 玄「!?」 (24)



とある東京の街中。


きょろきょろきょろ

玄(アレもすごい。これもスゴイ。もっとすごい。もっともっとスゴイ……さすが東京。これが東京だよおっかさん)


?「やあ。玄ちゃん」

玄「あっ。久し振り―――――ってアナタは誰ですか!?」ビクッ!


?「うちか?うちは板東まりもやで」

玄「あっ。ばんどうさんですか……ってやっぱり知りませんよ!!ばんどうといったら英二と玉三郎くらいしか知りませんよ!?」

まりも「英二の方やで」

玄「何が!?アナタ明らかに英二って感じじゃないですよね?」

まりも「…………あれ?会った事なかったかな?何でうち玄ちゃんの事、知っとんのやろ?」



玄「こっちが聞きたいですよ!でも…何でですかね?」


 
 

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まりも「あっ!そや。あさすずめや!」

玄「朝雀?私は残念ながら誰かと朝ちゅんなんてケイケン、した事なんてないですのだ」

まりも「ちゃうんか…だったら…あさじゃんやったかな……?」

玄「朝ジャン?ナンか朝シャンみたいですね」

まりも「ティモテやで。っていや…そうでもなくてやな……なんかこうテーブルの上でドンジャラみたいのをカチャカチャするやつ……」

玄「ドンジャラをカチャカチャ…って。あっ!もしかして麻雀の事ですか?」

まりも「そうやそうや!まーじゃんや!テレビ視てたら玄ちゃんが映っとったんや!」

玄「あっ全国大会の時ですよね。視てくれてたんですか」

まりも「そやで。ナンかカワイイ子やなーとか思ってな。玄ちゃんは確か……ナントカ高校の2年生やったな」

玄「はい。奈良の阿知賀高校の2年生です」

まりも「うちは東京の亀戸高校の二年生や。因みにテニス部やで」


玄「そうなんですか」


 


まりも「同じ二年生なんやし、もっと永井にしてくれてもええんやで」

玄「フランクにですね?…………うん。分ったよ、まりもちゃん」にこ

まりも「!!まりもちゃんか……えへへ…そんな呼ばれ事された事なんて、今まで殆どなかったから、ちょっとこそばゆいで……///////」てれっ

玄「あっダメだったかな?」

まりも「ううん。全然ダメやない。むしろなんか嬉しいで!!」

玄「そっか。よかった……」ほっ

まりも「でも玄ちゃん…全国大会で東京まで来るなんてすごいなぁ……ま、うちらも全国大会編があったんやけどな」どやっ

玄「えっ。まりもちゃんもテニスで全国大会なんて凄いよ!それで何回戦までいったの?」


まりも「まっ地区大会一回戦負けで、その日のお昼にはファミレスでランチしとったけどな」

 
玄「そうなんだ……」



 



玄「………………あっ。そう言えばまりもちゃん、何気に関西弁喋ってるけど、もしかして関西出身なの?」

まりも「そやで。そう言えば玄ちゃんは奈良出身やのに、トンキン語やねんな」

玄「う…うん……まぁ…それは多分、大人の事情で…………」

まりも「そっか…玄ちゃんも色々大変やねんな」

玄「あはは……」

まりも「うちは関西ちゅうか…おかんの影響でこの喋り方になったんやけど、玄ちゃんのおかんはトンキン語だったんか?」

玄「どうかな……その辺の事はよく覚えてないんだ。お母さん…私が小さい頃に亡くなっちゃったから……」

まりも「リアル涅槃か……知らんかったとはいえ、変な事訊いてごめんやで……」しゅん

玄「ううん。子どもの頃の話だし、お姉ちゃんもいるし、今は一緒に麻雀を打ってくれる皆がいるから、全然だいじょーぶだよ!!」ふんす


まりも「!!――――――玄ちゃん!」ばっ
だきっ


 


玄「あっ!?//////」

まりも「玄ちゃんはホンマええ子やで……」うるうる

玄「そ…そんな事ないよ///////」

まりも「そんな事あるで。ホンマ玄ちゃんはキレイで元気で優しい子や」

玄「もうっ。まりもちゃんてば……///////」

まりも「ふふ…前にユリちゃんって後輩のコに言われたんやけど、うちより玄ちゃんにピッタリくる言葉やな」

玄「そんな事ないよ。まりもちゃんこそキレイで元気で優しい子だと思うよ」にこ

まりも「うっ…そんな顔で言われると、ちょっとこそばゆくなるで……」


玄「えへへ…」


 



まりも「ま…まぁこの話は置いといて……あっそや。そう言えば玄ちゃんのお姉さんも一緒に大会に出てたと思うんやけど、今日は一緒やないんやな」

玄「うん…お姉ちゃんは今日は大会で知り合った対戦相手の人と、デートに行ってしまったですので……」

まりも「そうなんか。じゃあ玄ちゃんは、さっききょろきょろしてたけどナニか探してたんか?」

玄「うん。私はこの東京のナウいおもちを見聞してたのですのだ」ふんす

まりも「おもち?こんなところにお餅なんてないで?」

玄「それはね――――――――ちょっと失礼をば!」さっ

まりも「!?」

玄「コレの事ですのだ!!」
むにゅっ

もみもみ…
まりも「あっ!?//////////」ドキッ
はぁはぁ


玄「ふーむ。中々のおもちをおもちですのだ……」ふんふむ


まりも「も…もしかして、おもちっておっぱいの事なんか!?」


 



玄「そうですのだ。ソレを求めて、このコンクリートジャングルを彷徨っていたのです」

まりも「なるほど!それできょろきょろと不審者みたいになっとったんか」

玄「おもちは人類のお宝…至宝ですのだ」ふんす

まりも「なるほど!玄ちゃんは、おっぱ…おもちが好きなんやなぁ……」

玄「うん!」

まりも「なるほど!いい返事や。せやけど玄ちゃん。世の中にはおもちに勝るとも劣らないお宝があるんやで」

玄「えっ!?」

まりも「それはな―――――」

玄「そ…それは……」ゴクリ…


まりも「それは――――パンツや!!!!」


玄「!!……ぱ…ぱんつ……?それは何ですのだ……?」ゴクリ…

まりも「パンツを知らないんか?」

玄「不本意ながら……でも聞いた事がある様な無い様な……」

まりも「だったら見せたるは―――――これや!!」
ぴらっ


玄「!?」



 



玄「こっこのおまたに着けている、縞々の布切れが…………」ゴクリ…

まりも「そやっコレがパンツやで!」

玄「!!!!」

玄「さ…流石東京……時代の最先端を邁進しているですのだ……」むふー

まりも「ふふ…エッチなお宝をお宝で守護する……素晴らしき聖なる布切れ。それがパンツなんやで!!」

玄「まさに人類の英知ですのだ……Hだけに…………(感動)」ふるふる

まりも「玄ちゃん…想像してみてや――――――」



まりも「そう…これをな……こう…クンカQunkaしたり……」


玄「Qunkaクンカしたり……」ゴクリ…


まりも「頭にかぶったり……」


玄「頭にかぶったり……」ゴクリ…


まりも「覆面(マスク)にしたり……」


玄「覆面(マスク)にしたり……」ゴクリ…



まりも「どやっ玄ちゃん?」

玄「そっ想像しただけで涅槃のその向こうに逝けた気がしたですのだ」



まりも「そやっ。コレは命かける価値があるで!!」どやっ




 

夜に再開します。



まりも「あっ!そや。なぁ玄ちゃん。玄ちゃんは今、好きなコとかいるんか?」

玄「好きなヒト?うーん今はいないけど……」

まりも「そうか…でも近い将来、玄ちゃんに好きなヒトが出来た時のとっておきを教えたるで」

玄「とっておき?」

まりも「そやっ――――――」



まりも「まずバットにパンツをきれいに広げて、塩少々に胡椒少々をかけるんや」


まりも「それでな、小麦粉に卵をくぐらせて、パン粉を塗すんやで」


玄「……パン粉を…………」ふんふむ


まりも「それから油を170度に熱してな、きつね色になるまで揚げるんや」


玄「きつね色に……」ふんふむ


まりも「カラッと揚げたそのホットなソウルにソースをかけたら―――――――」




まりも「フライドパンツの完成や!!」


玄「!?」




 



玄「す…凄いですのだ……」ふるふる…

まりも「コレを好きな人に食べさせたら、その相手はイチコロやで」にこっ

玄「ありがとう…でも…でもどうしてまりもちゃんは、初対面の私にこんなにしてくれるの?」

まりも「それはな…玄ちゃんがどうにも他人には思えないからや」

玄「他人に思えない?」

まりも「そうや…色々似ている気がするんや……特に―――――――」

玄「特に――――――――」



玄・まりも「「声が」」



まりも・玄「「ぷっ」」


玄・まりも「「あははははは」」




 



ピロピロリ――――


玄「あっ。ちょっとごめんね」
ぴっ


玄「うん。分ったよ憧ちゃん……じゃあ切るね」
ぴっ


まりも「麻雀部の子からか?」

玄「うん。もう奈良に帰るから、早く戻って来いって……」

まりも「そっか…じゃあお別れやな」

玄「うん」

まりも「でも今日は玄ちゃんに出逢えてよかったわ」

玄「私も…まりもちゃんと出逢えてよかったよ」


まりも「なぁ玄ちゃん。よかったら連絡先を交換せーへんか?」

玄「うん。いいよ」


まりも「よし…また東京(こっち)に来る様な事が有ったら連絡してや」

玄「うん。まりもちゃんも、関西(こっち)に行く事が有ったら連絡してね」

まりも「ああ。わかったで」



まりも「じゃあまたなー」ふりふり


玄「うん。またねー」ふりふり


 




まりも(玄ちゃんか……ふふ…面白来てカワイイ娘やったなぁ……)



玄(まりもちゃんか……えへへ…面白くてキレイな人だったな……)



まりも・玄((また逢いたいな――――――))



――――

憧「玄ーどこいってたの?みんな玄が帰ってくるの待ってたんだから」

玄「てへへ。ごめんな憧ちゃん――――」



玄(でも―――――)


玄(いつか…私もフライドパンツを作る時が来るのかな――――――――)



  




二年後。



東京。

とあるマンションの一室。



菫「済まないな妹さん。食事まで作って貰ってしまって」

玄「いいんですよ。お姉ちゃんがいない時は、私がお姉ちゃんの代わりになりますから」

菫「はは…まるでお手伝いさんみたいだな」

玄「……お手伝いさん…か……そう…ですね」

菫「ん?もしかして気を悪くさせてしまったかな?」

玄「いえ、いいんですよ。気にしないで下さい」

菫「そうか…ならいいんだが」

玄「ええ」



玄(今…は……ですけどね)



 



―――。


玄「はい。出来ましたよ」
コト…

菫「これは…揚げ物…フライドチキンかな?」

玄「ふふ…違いますよこれは―――――」



玄「フライドパンツです」



菫「フライドパンツ?」

玄「はい。一週間、私が熟成させた素材を使ったものです。ホットなうちに食べてみて下さい」

菫「熟成?よく分からないが、まぁいいか。では、いただきます」



 



菫「………………」もぐもぐ…

玄「どうですか?」


菫「スパイシーで刺激的な味の中に、何処となくチーズみたいな風味がして……」

菫「歯応えがあるというか、有り過ぎるというか、食べた事の無い味と風味と食感…かな…………」

菫(全然噛み切れない……まるで布を食べているかの様だ……)もぐもぐ

玄「そうですか。でも、その御顔の様子だとお口には合わなかったですか?」しゅん

菫「い…いや、そんな事はない、美味しいよ」はは…

菫(そんな顔をされたら、美味しいというしかないじゃないか……せっかく私の為に作ってくれたんだし)もぐもぐ

菫(しかし……本当にコレは一体…何なんだ?)


玄「そうですか。よかった」ほっ



 




ごっくん
菫(ふぅ……どうにか飲み込めたな……しかし何なんだこの素材は布みたいな食感で、チーズっぽいというか、何というか…ほのかに生臭くて……)


菫(こんなの本当に食べた事がない、というか食べてはいけないモノを食べてしまった様な気がする……))




玄(……まりもちゃん。菫さん悦んでくれたよ。これで私にイチコロかな?こんどまりもちゃんにも報告するからね)ふふ…


 



玄(最初は戸惑いもあった、罪悪感みたいなものもあった。でも――――――)


玄(好きになったら、命がけ。どんな手を使ってでも手に入れる!!)


玄(たとえ…それがお姉ちゃんのモノだったとしても―――――)


玄(夢?希望?良識?そんなモンなんて大車輪だ!!)


玄(そうだよ!そんなキレイ事なんて呼んで無い!!)


玄(私はこの手とパンツで―――――)


玄(この人との未来と愛を掴んでみせる!!!!)





おしまい。


 
 

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