提督「翔鶴の処女が奪われた」 (35)

執務室

提督「クソ雑魚ナメクジ」

秋津洲「うわーん! 提督、ちょっとひどいかも!」

提督「クソ雑魚ナメクジでもいいじゃないか。塩を振り掛けたくなる愛嬌がある!」

秋津洲「むぅ、いつか絶対に見返してあげるんだからねっ! その時になってちやほやしても遅いかもだからねっ!」

提督「どうやって見返してくれるんだ?」

秋津洲「秋津洲も戦いで大活躍するかも!」


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提督「諦めろ」

秋津洲「ひどいかも!」

提督「いや、だってお前………馬鹿でかい二式大艇が本体のような奴がどうやって活躍する気なんだよ」

秋津洲「現状だと秋津洲は確かに力不足かも! でも、秋津洲も活躍してちやほやされるために考えたかも!」

提督「何を?」

秋津洲「現代の科学力がなまじっか進歩しているから、私が見劣りするかも。活躍できない原因は時代かも! 時代が悪いなら時代を変えればいいだけ! だからね、秋津洲は過去に遠征しにいきたいかも!」

提督「何を馬鹿なことを! 空想にふけってないで書類をまとめてくれ」

秋津洲「不可能じゃないかも! 秋津洲は最近出撃も遠征もなく暇だったから、その時間を使ってタイムマシンを完成させたかも!」

提督「ほう、それはそれは。で、それはどこにあるんだ?」

秋津洲「この二式大艇ちゃんの中かも! もはや張子の大艇ちゃんじゃないかも! 大艇ちゃんの大きな翼は時の翼! これに乗って過去に跳ぶかも! 秋津洲、抜錨! びゅーん!」

タッタッタ、バタン

提督「おい! 秋津洲、秘書艦の仕事を投げ出すな! おいってば!」

街中

提督「―――――追いかけてきたのはいいが見失った。少しからかい過ぎたな。どこに行きやがった」

翔鶴「きゃあああ!」

提督「翔鶴の叫び声! おい! どうしたんだ、翔鶴!」

翔鶴「あ、提督! 大変です! ひったくりです!」

提督「ひったくり? あいつか! くそ、遠いな。おい! 待て!」

§

提督「追いかけていくと、ひったくりの男は郊外にある小さな小屋に潜んだ。突入すべきだろうか、それともまずは警察に連絡を」

翔鶴「はあ、はあ。やっと追いつきました」

提督「翔鶴!? 別に追いかけてくる必要はなかったぞ」

翔鶴「いいえ。とても大事なものが奪われたんですから、私も必死になります」

提督「何を盗まれたんだ? 給料袋か?」

翔鶴「処女です」

提督「なに!? 処女だと!? どうしてそんな大事なものを持ち歩いたりしたんだ!? 普通は私室の金庫に厳重に保管しておくものだ!」

翔鶴「だ、だって仕方ないじゃないですか! 検査して異常がないかどうか確かめないと、本番の時に問題があったら台無しですもの!」

提督「くっ。何ということだ! 金ならまだしも処女が奪われたとは! 翔鶴の処女の状態はどんなものだ?」

翔鶴「まだクーリングオフができるほどに新品ほやほやです」

提督「どうして新品の処女を検査しようと思ったんだ、この馬鹿者!」

翔鶴「すみません! ついに私も自分の処女を持ったのだと思って舞い上がっていたんです!」

提督「………過ぎたことを責めても仕方がないか。ならば、さっさと取り返しに行かないとな。翔鶴の処女が高値で取引される前に回収せねば!」

翔鶴「あ、あの警察に連絡は」

提督「しない! 翔鶴の処女が他の男に見られてたまるか!」

翔鶴「提督………」

提督「翔鶴はここで待っていてくれ。いくら艦娘といえども君を危険な目に合わせるわけにはいかない。大丈夫。必ず取り返してくる」

翔鶴「気をつけてくださいね」

男「くくく、うまくいった、うまくいった。カバンを大事そうに抱えていたわりには、周囲への注意が散漫な女だったぜ」

男「さてさて、中には何が入っているのか。戦利品の確認といこう。あの様子からだと期待ができるぞ」

ゴソゴソ

男「なんだこれは? 馴染みのないフォルム………っは!? まさか!? 処女!? どうして処女がここに!?」

バアン!

提督「そこまでだ!」

男「ひいいっ!」

提督「汚らしい手でそれに触れるな! 正義の提督キック!」

男「ぐはっ! やられた!」

提督「よし翔鶴の処女には傷一つついてないな! おい、お前!」

男「許してください! 悪気はなかったんです! 私はただのしがないひったくりなんです!」

提督「悪気はなかったで済まされると思うのか!? 翔鶴は処女を奪われたんだぞ!? 強姦だぞ! 強姦!」

男「そんなつもりはなかったんです! 信じてください! 私はただ札束が欲しかっただけで、処女を奪うなんて大それたことはできない小心者なんです!」

提督「嘘をつくな! 俺は見ていたんだぞ! お前が翔鶴の処女を手にしてニヤついていた様をばっちりと! この目でな!」

男「ひいい! そ、それは男だったら当たり前の反応なんです! 許してください!」

提督「当たり前の反応だからといって、翔鶴の処女を性的な目で見ていいと思っているのか!?」

男「ごめんなさい! ごめんなさい!」

翔鶴「提督、もういいです」

提督「翔鶴!? なぜ入ってきた!? この男はお前から処女を奪いとった奴だ。お前は強姦されたといっても過言じゃない! 危険だ!」

翔鶴「もういいんです。この人もずいぶんと反省しているようですし」

提督「許していいのか?」

翔鶴「はい。それにこうして処女が戻ってきたのです。何か罰を与えるつもりはありません。でも、そうですね。ねえ、あなた」

男「は、はい!」

翔鶴「もうこんなことをしちゃダメよ?」

男「はい! 今回のことは誠に深く反省しております。もう二度とこんなことはいたしません!」

翔鶴「そうですか。ではこれを」シュル

男「これは………紐パン!?」

翔鶴「これに誓ってくださる?」

男「はい! もう二度と悪事を働かず、まっとうに生きていきます!」

提督「約束の紐パンか。確か翔鶴の紐パンに誓わされた言葉は必ず破ることができなくなるという。ただの都市伝説かと思っていたが、まさか実際に目の当たりにするとは! 感動!」

§

執務室

提督「ふう、今日は大変な目にあったな」

翔鶴「はい。時間も遅かったですし、結局処女の検査もできませんでした」

提督「まだ新品なんだから心配することもないだろ」

翔鶴「そうですね。でも、ちゃんと帰ってきて良かったです」

翔鶴「………」

提督「………」

翔鶴「あの提督」

提督「なんだ」

翔鶴「私は今下着を着けていません」

提督「だろうな。あいつに渡してきたんだから」

翔鶴「………えっと、あの、私の処女を受け取ってもらえませんか?」

提督「いやいや! ちょっと待て!」

翔鶴「うう………やっぱりお手つきの処女は気に入りませんか?」

提督「そういうわけじゃない!………いいのか? せっかくの処女を」

翔鶴「だからこそです。処女というのは年季ものになるほど価値が高まって、しまいには誰も買い手がつかないほどになると聞きます。捧げたい人がいるならば、執着する必要もありません」

提督「………そうか。今回の事件はいい機会だったということか」

翔鶴「それで提督、答えを聞かしてくれますか?」

提督「ああ、もちろんイエスだ。願ったり叶ったりの提案だ。むしろこちらからお願いしたいぐらいだ」

翔鶴「で、では、どうぞ」

提督「ありがとう。これが翔鶴の処女か………これはもう俺のものだな」

バアン!

憲兵「そこまでだ!」

提督「ひいいっ! 憲兵!? どうしてここに!」

憲兵「さあ、それを渡してもらおう!」

提督「どういうわけだ! これは俺が翔鶴から譲り受けた処女であって不当に奪ったものではないぞ!」

翔鶴「そうです! これは私が願って提督に貰ってもらったものです!」

憲兵「そんなことは知っている!」

翔鶴「ならばなぜ!?」

憲兵「贈与税だ!」

提督「贈与税だと!?」

憲兵「そうだ! 処女の受け渡しは控除額を上回っている! だから、その処女を納税する義務がある!」

翔鶴「待ってください! 処女はこれ一つしかないのですよ? これを納めたら手元には何も残らないではないですか!?」

憲兵「処女とはそういうものだ! 後には何も残らないから処女なんだ!」

提督「そんな無茶苦茶な! そもそもなぜ憲兵が税の徴収をしにくるんだ!?」

憲兵「うるさい! 重箱の隅をつつくな! 黙れ! とりあえずこれはもらっていくぞ!」

提督「ま、待ってくれ! 金だ! 金を払うから、少しだけ待ってくれ!」

憲兵「この俺を買収する気か! そうはいかんぞ! おら、その処女をさっさと明け渡せ!」

提督「ちょ、やめ、やめてくれええ!………アーッ!」

憲兵「無駄に反抗するからこうなるんだよ。もう用はない。じゃあな!」

バタン

翔鶴「大変、提督の処女が憲兵に奪われてしまいました!」

ヘテロは罪人。ホモは国家。

§

神「ほう。ここに客人がくるとはな」

秋津洲「あわわわわ………どうしよう。調子に乗って過去を遡っていたら創世記の時代にきちゃったかも!」

神「世界創造の仕事も終わり、今は休息の時を無為に過ごしていたところだ。話し相手になってもよい」

秋津洲「え? え? うーん、せっかくだし何かすごいことを聞きたいかも。元の時代に帰った時、神様に会ったって言っても誰も信じてくれないのは悲しい」

神「ほれ、何か言わぬか」

秋津洲「………すごいことって言ってもすぐには思い浮かばないかも!………神様にしか分からないこと、誰も答えが分からないこと………あ、そうだ。じゃあ、聞くかも! どうして世界には悪がはびこり、正義は淘汰されるのですか?」

神「それは悪には生殖能力があるが善にはないからだ。なぜなら、そもそも善そのものである私は生殖する必要はないからだ。生殖というのはある存在がその欠如を埋め合わせるためのものだ」

秋津洲「よく分からないかも」

神「善性が強いものほど生殖を嫌悪し、悪性が強いものほど破滅を恐れ生殖に熱心になる。平易に言えば、同性愛者は善性が強く、異性愛者は悪性が強い」

秋津洲「なら、善の化身である神様はホモなの?」

神「そうだよ」


おわり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年07月18日 (土) 17:50:18   ID: rfr8vWOC

森羅万象はホモ

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