北条加蓮「マイアイドル?」 (83)

――2015年7月17日 15時30分――

――事務所――

モバP(以下「P」)「ただいまーっと。……誰もいないか」ガチャ

P「よっと」パソコンタチアゲ

P「ん? メールが来てるな――」

北条加蓮「やっほー、Pさん」ガチャ

P「加蓮? お前、確か今日はオフだったん、じゃ…………」

加蓮「ふふっ。どう? 久しぶりに見るでしょ、このピンクのドレス」

加蓮「最初に見た時はもっと落ち着いた色の方が……って思ったけど、今にして思えば私にピッタリかもね。さすがPさん!」

P「……いや、え? それはいいけど、なんでお前、それ着てきてんの?」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1437122873

――注意事項?――

加蓮→菜々の呼称を意図的に変えさせてもらってます。

加蓮「あれ? Pさん、あのお知らせまだ見てないの? もう、アイドルのプロデューサーさんなら流行はキャッチしてないと」

P「お知らせ?」

加蓮「うん。たぶんメールか何かで届いていると思うけど――」

高森藍子「あの、こんにちはっ」ガチャ

加蓮「藍子」

P「藍子まで。お前もオフ――」

P「……」

藍子「ふうっ。ここは涼しいですね♪ 台風が過ぎ去った後なのに、外は暑くて暑くて……」

P「いや、藍子……」

P「その格好だから暑いんじゃね……?」

加蓮「……。そーそー。こんな時期に長袖のジャケットとか」

加蓮「それに手にカメラなんてさ、何を撮影するのかな? Pさん? 私?」

藍子「ええっと、これは……」

加蓮「ほら、首元なんて汗だらけなのに」フキッ

藍子「ひゃっ」

加蓮「夏場にこんな格好してさ。藍子は何がやりたかったのかな? んー?」

藍子「……か、加蓮ちゃんこそ、お仕事でもないのにどうしてそんなドレスを着てるんですかっ」

加蓮「……ほら、今をときめくアイドルは服装からアイドルっぽくしてないと」メソラシ

藍子「それが嘘だってことは私でも分かりますよ~!」

P「いやもうマジで何の話か分からん。いったい何がやりた――」

安部菜々「うっさみーん♪ げぇっ、皆さんもうお揃いでしたか」

加蓮「やっぱり来たか……。…………」

藍子「来るとは思っていました……。…………」

P「菜々? お前は確か午前の仕事で解散した筈じゃ………………」

P「…………菜々?」

菜々「Pさん。加蓮ちゃんに藍子ちゃんも。どうしたんですか、そんなにポカーンとなって。何かおかしいところでも?」

加蓮「いや……何が、って…………」

P「…………なんで制服着て来てんの?」

菜々「ナナは現役JKですからね! 制服で来ても何もおかしくはありませんよ! ええ!」

P「…………」

菜々「…………何もおかしいことはないんですよっ!」

P「…………」

菜々「…………何か言ってくださいよ!」

加蓮「ああ、でもまぁ、これってそういうことだよね……」

藍子「菜々さんの制服にびっくりして、忘れそうになっちゃいました」

菜々「って、よく見たらおふたりともなんて格好を! 加蓮ちゃん!? どこの婚活パーティーの帰りですかねそれ!?」

加蓮「ごめん菜々。私まだ16歳だからそういうのに困ってないんだ」

菜々「いやナナだって17歳ですけどね!?」

加蓮「制服かー……ねえ藍子。インパクト的にはどっちが勝ってるかな。ドレスの私と制服の菜々」

藍子「あの、そんなことを言ったら、私なんてただの私服ですよ……。うう、撮影衣装で来た方がよかったかも……」

加蓮「それじゃ意味ないじゃん」

藍子「分かってます……」

P「ああもう、ホント何の話なんだこれ!」

加蓮「んー……Pさん。パソコンにメールか何か届いてない?」

P「メール? ああ、届いてたよ。見ようと思ったら加蓮が来て――」

加蓮「それ見て。今すぐ」

P「え? まあ、加蓮がそう言うなら――」カチカチ



『プロデューサー各位へ

この度、アニメ第2クールの放送開始を記念して、各社合同での歓談会を開くことと致しました。
アイドル達の思い出話などで華を咲かせらればと思いますので、担当アイドル1名と同伴していただき、
また、当時の衣装などを用意していただければと思います。

是非ともふるってご参加ください。

※衣装は2011年12月31日~2013年12月31日に行われた、アルバムデータに残る仕事での物に限ります。
※今回、それに合わせて、各位希望のアルバムデータを「マイアイドル」という形で配布致します。
 このデータは他のプロデューサーとトレードできませんのでご了承ください。

参加費:3000MC』

P「へえ、プロデューサー歓談会か。そうか、346プロさんとこのサクセスストーリーアニメがまた始まるんだったな」

P「2011年の年末から2013年の年末か……菜々がデビューして、藍子がデビューして、加蓮のデビューに向けて徹夜してた頃だな」

P「そっか、もうそんなに昔のことなのか。懐かし――」


ゴゴゴゴゴゴゴ.......


P「!?」ビクッ

P「…………え?」カオヲアゲ

加蓮「――それで、Pさん」ゴゴゴゴゴ

藍子「――私達、3人の中の」ゴゴゴゴゴ

菜々「――誰を、連れて行くんですか?」ゴゴゴゴゴ


P「」

――[純白の花嫁]北条加蓮編――

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[純白の花嫁]北条加蓮
2013年5月31日、月末ガチャとして登場。
他、[暴走☆花嫁]日野茜、[薔薇色花嫁]櫻井桃華が登場した。



加蓮「……って言っても、Pさんは優しいから簡単には決められないよね」

菜々「こういうところは優柔不断ですよねぇ。お仕事のことは即断即決なのに」

菜々「……即断してナナにエライ仕事ばっかり持ってきますが」

加蓮「いいじゃん。無重力体験ツアー」

菜々「あれほんっと大変だったんですよぉ!? 今度こそもう駄目かと!」



P「」

藍子「……ぴ、Pさん、大丈夫ですか……?」

P「あ、ああ……これ今日の夢に絶対出てくるわ、アイドル達がすげえ顔で迫ってくる夢、絶対見るわ」

加蓮「……ん? それって幸せなことじゃないの?」

P「恐ぇよ」

加蓮「ふうっ。ま、決められないならアピールするしかないっか」

菜々「オーディションみたいな物ですね! そう考えるとナナ、俄然やる気になってきましたよぉ!」

加蓮「思い出話ってことはそのままアイドルの自慢話にもなりそうだからね。これは負けられないよ」

菜々「Pさんに自慢してもらえるアイドル……くぅ~! 考えただけでワクワクしますね!」

藍子「わ、私は……おふたりと争うのは、ちょっと……」

加蓮「じゃあ棄権する?」

藍子「……………………加蓮ちゃんや菜々さんが相手でも、譲りたくありませんっ」

加蓮「うん、その意気」

菜々「厳正なるじゃんけんの結果、まずは加蓮ちゃんからですね!」

加蓮「うん。Pさん。この衣装のこと、覚えてる?」

P「よく覚えているぞ。花嫁撮影の時だったな。あん時は……あん時は…………!」ウルウル

加蓮「涙ぐむの早いよ……」

藍子「私も見学していました。加蓮ちゃん、すっごく綺麗で……私の部屋のアルバムにも、大切に取っているんですよ、写真っ」

菜々「ぐぬぬ、あの頃のナナは大忙しでしたからねぇ……アルバムデータしか持ってないんですよねぇ」

菜々「後から入手する為にCDの印税がどれだけ飛んだことか」

加蓮「商売なのは分かるんだけどね、もうちょっと配布とかすればいいのに」

菜々「だから加蓮ちゃんがどんな風に撮影したのか、一部しか分からなくて」

加蓮「ふふっ。なんだったらすぐにでも見せてあげるよ……ね? Pさん」

P「復刻か?」

藍子「ぷっ」

加蓮「そうじゃない!」

P「ははは……でもな、花嫁の加蓮の良さは、やっぱ担当プロデューサーだからよく分かると自負してるんだ」

菜々「気持ちは分かりますねぇ。まるで娘を送り出す母親みたいに……ううっ、そう考えるとナナまで泣けてきて」

加蓮「17歳の感想じゃないよね、それ」

菜々「この年になると結婚式に参加することも1度や2度ではなくその度にお母さんからいい人はいないのとせがまれ続け、」

加蓮「突っ込んであげたんだからその話やめなさいっての!」

菜々「ハッ! いやあほら、ケータイ小説とかの影響で学生結婚も増えてきましたからね!?」

加蓮「それもそれで何年前の出来事よ……」

藍子「あの、それより加蓮ちゃんのお話を……」アハハ

加蓮「そうだった。ったく、巧みに妨害してくるんだから」

菜々「そういうつもりはなかったんですけどねぇ」

P「最初はさ、加蓮が結婚式に憧れてるって聞いて少し驚いたんだ」

加蓮「えー? 女の子の夢でしょ。別におかしくないじゃん」

P「いやだって、あの頃のお前って口を開けばアイドルの話ばっかだったろ……」

加蓮「ああ、うん……」

藍子「せっかく叶った夢ですから、私は加蓮ちゃんの気持ちが分かりますよ」

菜々「ナナもですね! やっぱり長年抱き続けた夢が叶うっていうのは感動もひとしおですよ!」

P「長年……?」

菜々「ハッ! まぁナナは17さ――」

加蓮「あはは……。久しぶりに、菜々が言うことが見当違いじゃないね」

加蓮「ずっとアイドルになりたいって思ってたのは、嘘じゃないもん」

菜々「……ですよ! Pさん!」

P「お、おう」

藍子「でも、ウェディングドレスって、結婚前に来たら婚期を逃すって言いませんか? 大丈夫かな……」

加蓮「ああ、それね」ジロッ

P「そ、そんな顔で見るなよ。アイドルの仕事だからノーカンだろ、ノーカン」

加蓮「ま、なんていうか……憧れてたのは結婚そのものっていうより、ウェディングドレスを着ることかな」

加蓮「もしかしたら、アイドルになりたいっていうのと同じくらいに、ウェディングドレスを着たいって思ってたかも」

加蓮「それにさ。考えてみてよ。私が結婚しても、体力はない、家事は苦手。ろくな嫁にならないよ?」

菜々「ああ……」

加蓮「……しみじみと頷かれるとそれはそれでちょっとムカつくなー」

加蓮「これでも頑張って体力をつけてるんだよ。いろいろと備えなきゃね。例えば夜のいとなm」

菜々「こらーっ!! アイドルがなんてことを!」

藍子「あ、あはは……///」

菜々「まったく。どうせ加蓮ちゃんのことですから、おふざけでPさんにプロポーズとかしたんじゃないですか?」

加蓮「えー、私のPさんへの想いは本物だよ? ゴホンっ」

加蓮「『私、北条加蓮は生涯Pさんを……』」

藍子「わぁ……」キラキラ

菜々「おおぅ……」

P「…………」ドキドキ

加蓮「なーんて、驚いた?」

P「………………おお驚いてねえし……前にも聞いたし……」ドキドキ

菜々「これはガチの反応ですねぇ」

藍子「むーっ……」

菜々「いやあナナも驚きましたよ、ええ、なんだか同じ光景をここのところひっきりなしに見ているような――」

菜々「……て、テレビでですけどね!? ほらっちょっと前にウェディング特集とか毎日のように!」

加蓮「2X歳のお墨付き、もらっちゃった♪」

菜々「ギャー!! その数字は禁句です! バッドワードです!」

加蓮「あははっ」

P「そういえばさ加蓮。ドレスを最初に着た時、2人に送るから写真を撮ってくれって言ってたよな」

P「あれって結局、誰に送ったんだ? 2人としか言ってなかったが」

藍子「加蓮ちゃんですから、凛ちゃんと奈緒ちゃんではないでしょうか」

菜々「少なくともナナ達じゃありませんね。あの頃は今ほど仲良くなかったですし」

加蓮「あー、あれね……。うん、ちょっと恥ずかしいけど、もう時効かな?」

P「ってことは、トラプリの2人ではないと」

加蓮「うん。あれね……実は、お母さんとお父さんに送ったんだ」

加蓮「ほら、2人ともずっと私のことを心配してたから。アイドルになって、煌めきのステージに上がっても、まだ安心できてなかったみたいで」

加蓮「お仕事かもしれないけど……嘘かもしれないけど、ドレス姿を送ったら、ちょっとは安心させられるかな? って」

P「……そっか」

藍子「うう、加蓮ちゃん……」ウルウル

菜々「こんな子に育って、ナナは感激ですよ……!」ウルウル

加蓮「え、ちょっと、何この空気。もうっ、そんな変なこと言った? あっ、こら、藍子、抱きついてくんなっ、ドレスにシワができるでしょ!?」

加蓮「あと菜々も! こんな子に育ってってアンタは母親か……飛びついてくんなぁ! アンタ顔がぐしゃぐしゃでシャレにならないのよ!」

加蓮「…………あ、Pさんは抱きついてこないんだね」

加蓮「もうっ。あーはいはい藍子、落ち着いた? ほら、菜々も。落ち着いたらハンカチで顔を拭いてなさい。ね?」

P「それで、親御さんはなんて?」

加蓮「別に……。撮影の写真を渡してあげたら、お父さんが一晩中、大号泣してただけ」

加蓮「それだけだよ。もう。ただの撮影仕事なのに」

P「それだけ加蓮の花嫁姿がヤバイってことだよ」

藍子「そうですねっ。たまにアルバムを開くと、それだけで心があったかくなっちゃいます」

加蓮「ま、いろんな意味で印象に残った時なのは間違いないね」

加蓮「どう? Pさん、私を選んでくれる気になった?」

P「…………そ、それは残り2人の話を聞いてからで」

加蓮「ちぇ。優柔不断なんだからっ」

――[深緑の魔女]高森藍子編――

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[深緑の魔女]高森藍子
2013年9月30日、月末ガチャにて登場。
他、[ハロウィンうぃっち]小日向美穂、[ハロウィンガンナー]大和亜季が登場した。



菜々「藍子ちゃんはなんというか、いつも通りって感じがしますね!」

加蓮「日常のワンシーンってヤツだね」

藍子「Pさんが、いつもの私でも大丈夫だって……。今でもたまに不安に思うんです。こんな感じでよかったんでしょうか」

P「もちろん。これで藍子の魅力に気付いたって人もメチャクチャ多いって聞くぞ」

加蓮「そういえばCDデビュー記念でもあるんだっけ」



菜々「『お散歩カメラ』、いい歌ですよねぇ。ナナも電車に揺られている時なんかに聞いて和んでますよ」

加蓮「電車」

菜々「……銀河鉄道ですけどね! ウサミン星から地球行きの!」

藍子「あはっ……この時はハロウィンだったんですけど、たまたま黒猫さんがいたんですっ」

加蓮「黒猫か。魔女の使い魔だっけ」

藍子「はいっ。黒猫さんの写真を撮ったら、今度、自分が魔女の役をやることを思い出しちゃって」

藍子「Pさんにおねだりしたんです。黒猫さんっ」

P「ああ、あったなそんなことも……」

http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira082262.png

加蓮「やるね、藍子」

菜々「それでそれで、結局どうなったんですか?」

加蓮「黒猫を飼ってるって話は聞いたことないけど……」

藍子「撮影の時は、Pさんに用意してもらえましたっ」

藍子「撮影が終わった後、Pさんにペットショップに連れて行ってもらったんですけれど」

藍子「私が欲しいのは、そういうんじゃなくて……街中で、たまたま黒猫さんに会って、幸せになれる」

藍子「そういう時間の方が、私には嬉しいですから♪」

P「はは、藍子らしいな」

P「藍子はいつもファンの笑顔を大切にしてるよな。ハロウィンのイタズラも、いつもとは違う感じで笑顔が生まれるって言ってたのが、すごく印象深くて」

藍子「ふふっ。私、たくさんの方々を笑顔にできてるかな……」

加蓮「よくファンレターが届くよね。『藍子ちゃんは天使』」

菜々「あー、ありますねありますね。『藍子ちゃんは女神』」

藍子「も、もうっ、おふたりともっ。あれはちょっと大げさで、うぅ、照れちゃいます」

菜々「いつも藍子ちゃんは控え目ですよねぇ。もしナナがハロウィンの仕事に参加したら、もっと派手なことになりそうですし」

加蓮「私だったら、もうちょっとPさんをびっくりさせたくなるかもね」

P「……お前ら2人が言うと、全く冗談に聞こえんのだが」

藍子「あはは……。控えめですけど、いいんですっ」

加蓮「やっぱりお祭りなんだから、ちょっとくらい弾けてみても良くない?」

加蓮「ほら、せっかくのイベントだから、違うキャラで挑んでみるとか」

藍子「うーん……私にとっては、毎日お祭り気分で楽しく、かな」

加蓮「そっか」

藍子「私、日記には毎日、『今日も、しあわせ』って書いているんです。それだけ、毎日が特別な気分で……♪」

P「……な? 普段の藍子でも、ファンに愛される理由が分かるだろ?」

加蓮「むしろ私が藍子のLIVEの最前列に行きたくなってきた」

菜々「たまにはサイリウムを振る側に回ってもいいかもしれませんねぇ」

P「で、これが魔女の衣装での撮影だ(アルバム画像を見せる)」

加蓮「これびっくりしたなぁ……。なんかもう、パッと見で藍子とぜんぜんイメージ違うもん」

P「だろ? でも蓋を開けてみるといつもの藍子だった」

藍子「えへっ……魔女って悪いイメージだけど、私が魔女だったら、皆が笑顔になれる魔法を使いたいって思うから」

加蓮「なんだ。やっぱりいつも通りだね、藍子は」

菜々「もうすっかり自然体のアイドルですね!」

藍子「でも……森での撮影でしたから、いろいろと大変でした」

藍子「虫はやっぱり苦手ですし、衣装も雰囲気も、いつもとぜんぜん違うから……」

P「そうだな。藍子にしては珍しく、撮影の時にかなりリテイクを食らっていた」

藍子「あうぅ……ごめんなさい、Pさん」

P「いやいや。あの藍子はなかなか見てて楽しかったぞ」

藍子「ええっ」

加蓮「ズルいっ。私も見学したかったのに」

P「こういうのはプロデューサーの特権だな」ニカッ

加蓮「ぐぬぬ……」

藍子「ま、まあまあ……」

藍子「でも、森の撮影も、森林浴気分だと思ったら、だいぶ楽になりました♪」

菜々「確かに藍子ちゃんは森にいそうですね」

加蓮「高"森"だけに?」

菜々「言われると思いましたけど!」

藍子「でも私、東京生まれの東京育ちですよ?」

加蓮「その東京でどれだけの森カフェを見つけてきたことか」

藍子「え、えへ」

菜々「ナナもびっくりですねぇ。上京して随分と経ちますが、こんなに癒やしスポットがあったとは」

加蓮「おいウサミン星人」

菜々「ハッ! え、ええっとぉ……ほら、ナナがアイドルになって随分と経ちますからね!」

加蓮「ちぇ。そう来たか」

P「控え目って言えばさ。この頃から藍子、なんかだいぶ大人しくなり始めたんだよな」

藍子「え?」

P「いや、昔はもっとこう……もっと弾けますよ! とか、笑顔が大好きなんです! とか言ってた気が」

藍子「わーっ、わーっ!! ぴぴPさん、そのお話は――」

加蓮「笑顔が大好き……? ちょい待ったPさん。それもっと詳しくっ」

藍子「加蓮ちゃん! あの、えっと、あはは、ほら、私、皆さんに笑顔になってほしくてアイドルやってますからっ、その、」

加蓮「はーいちょっと黙ってようねー」ガシッ

藍子「むぐぐ」

P「ああ、まあ……その、昔の話ってヤツというか」

加蓮「もっと詳しく!」

藍子「むーっ!」ダメダメ

P「ま、まあまあ。今はハロウィンの時の話だ。うん」

加蓮「むむ……」

菜々「ま、今回は残念ですね、加蓮ちゃん。その話はまた後日、聞いてみることにしましょう!」

加蓮「……そうだね」ハナス

藍子「ぷはっ……。あうぅ……やっぱり私は、ゆっくり、マイペースでやる方が楽しくて……」

藍子「この頃から、よくパッショングループっぽくないって言われちゃってますっ」

P「まあ共演相手にコマン◯ーごっこやってるのがいたりしたからな……」

加蓮「知らない人が見たら、あれ? これグループ逆じゃない? って思ったり」

菜々「クールグループの藍子ちゃんですか」

藍子「私も、加蓮ちゃんみたいにカッコよくなれるかな?」

P「ま、でもやっぱり藍子はパッショングループだよ。ファンを幸せにしたいって強く想ってるのが、その証拠だ」

加蓮「そだね。実はキュートグループでしたって今さら言われても、違和感しかないもん」

菜々「藍子ちゃんは藍子ちゃんらしくやればいいんですよ! ハロウィンだって、実に藍子ちゃんらしかったですから!」

藍子「みなさんっ……。はいっ! 私、今のまま頑張りますね!」

藍子「それで、その……Pさん……わ、私を選んでくれる気に、ちょっぴりでもなってくれたら……!」

加蓮「おお、早速パッションらしくなってる。でもそれはやらせないよっ」

菜々「待ってくださいおふたりとも。まだナナの番が残ってるんですよぉ!」

P「そ、そういうことだから、な?」

藍子「うぅ……分かりましたっ」

藍子「でも、みなさん、ありがとうございます」ペコッ

藍子「なんだか自信が出てきちゃいました。私は私のままでいいんだって」

加蓮「そっか」

菜々「それだけでも、話をした甲斐があるって物ですね!」

藍子「はい! ……それで、あの」

藍子「……着替えてきていいですか? やっぱりこの格好、ちょっと暑くて」パタパタ

P「お、おう、行って来い」

――[制服ウサミン]安部菜々編――

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[制服ウサミン]安部菜々
2013年3月31日、月末ガチャにて登場。
他、[制服の女神]新田美波、[スクールデビル]小関麗奈が登場した。



藍子「ふぅ……」(着替えてきた)

加蓮「おかえり。あ、そのキャミソールって私が買ってあげたヤツだっけ。着てくれたんだ」

藍子「はいっ。せっかくですので……でも、ちょっと露出が多くて、その、お恥ずかしいかも……」

加蓮「ほっとくと藍子は夏場でもぶかぶかになるからねー、アイドルなんだからもっと冒険しなさいよ」

藍子「は、はいっ」

加蓮「次は水着あたりを――」

菜々「こらこらおふたりとも。次はナナの出番ですよ!」

加蓮「…………」

藍子「…………」

菜々「なんですかねその目は!?」

加蓮「いや、だって……ねぇ……?」

藍子「あ、あは、あはははは……」

菜々「えーそうですね何が言いたいのか分かった気がしますよ! そもそもPさんっ、なんでこんなお仕事を!」

P「え? そりゃたまたま菜々の家に用があって行ったら制服姿のウサミンが……ぷくっ」

菜々「笑ったぁ! 今、Pさん笑ったぁ!」

菜々「何がおかしいんですか! ほら、ナナは17歳ですよ! JKですよ! 制服を来ていて何がおかしいんですか!」

加蓮「……逆に、ここまで言い張れるのってスゴイよね」

藍子「……わ、私には無理そうです」

菜々「あああああもおおおおお!」

加蓮「それでもPさんに連れて行ってもらおうとするんだね」

菜々「ええ! こればっかりはナナも譲れませんので!」

P「……じゃあ、まあ、一応、あの時の話をするか」

P「なんだっけか。始まりはホントに偶然だったんだ。ほら、菜々がCDデビューするってことで打ち合わせがあったんだが、どうしても時間が合わないでな」

P「住所は前から教えてもらってたから――」

加蓮「千葉県の?」

菜々「ウサミン星ですぅ!」

P「…………」

菜々「なんとか言ってくださいよPさん!」

P「ま、まあ、うん。アポを取らなかった俺も悪かったと思うよ」

P「いや、でもな? 菜々。開幕一番『ぎえーっ!』はないと思うんだ」

藍子「ぎえー?」

加蓮「ぎえーっ、って」

菜々「いや、いきなり来たら誰だってそうなりますよ! 加蓮ちゃんだって想像してみてください!」

菜々「もう夜も遅くて今日は寝ようと思った時に、ふとインターホンが鳴って」

菜々「面倒くさいからいいやってパジャマがはだけたまま扉を開けたらPさんが! ……みたいな感じなんですよ!」

加蓮「…………」ウーン

加蓮「…………あ、うん、それはぎえーって言うね」

菜々「でしょ!?」

藍子「あはは……それで、その時の菜々さんが制服を着ていたんですよね?」

P「ああ。まあ、最初は……その……どうしたもんかとしばらく頭を抱えていたが」

菜々「掃除してたらたまたま制服が出てきて、懐かしいなぁって思ってつい――って、まあ今も毎日着て学校に行ってますけど!」

P「次第に、ああもうこれ次の衣装でいいやってなって」

加蓮「そういえば、Pさんっていつから知ってたの? その……菜々の年齢っていうか、その、ね?」

P「ん? 知ってることは最初から知ってたぞ」

菜々「なんですと!?」

P「いや、お前、履歴書に2X歳って書いて出してたろ……」

菜々「そうでしたっ!」

P「でもまぁ、これより前の頃はそこまでじゃなかったんだ。ほら、今でこそ菜々と言えば自爆芸ってイメージがあるけど」

菜々「芸って言うなーっ!」

P「最初の頃はホントに17歳みたいで、あれ? 履歴書の方が間違ってんのか? と思ったことすらある」

P「本格的にボロボロになりだしたのは、たぶんこの頃から筈だ」

藍子「制服姿を見られちゃったから、とか……?」

加蓮「家に来たって方じゃない?」

P「うん、たぶん両方」

P「いや、だってさ……部屋の隅に90年代前半の雑誌とか平気で置いてあるもん……」

加蓮「ああ……」

藍子「菜々さん、部屋の片付けくらいはしましょう……」

菜々「お、お掃除はちょっとだけ苦手で……ああっいえ藍子ちゃんじゃあ手伝いますって顔にならなくていいです!」

菜々「ほ、ほら、ナナの家はウサミン星にありますからね! 地球人が入る為にはちょおっと大変で! ね!」

藍子「…………………………はいっ、そうですね♪」

菜々「ああっ気遣いの目が痛い!」

加蓮「そんな家にふらっと立ち寄るPさん」

P「…………プロデューサーってすげえよな」

加蓮「でもさ……Pさんじゃないけど、じっくり見てたら菜々の制服もアリかなって思えてきたよ」

菜々「で、でしょ!? なんたってナウいJKのウサミンですからね! キャハっ!」

藍子「……なうい?」

P「今どきって意味だろ。言葉は今どきじゃねえけど」

藍子「なんだか様になっているって感じですよね。今度、それでLIVEに出てみるのもいいかも?」

菜々「余計なこと言わないでくださいよ藍子ちゃん! ああもうPさんが悪い顔してるー!」

加蓮「はっきりアルバムには残ってないけど、藍子だって制服の撮影くらいはしてるでしょ?」

加蓮「これはもう3人でLIVEするしかないね」

菜々「い、いや、さすがに現役JKのおふたりと並ぶとナナには苦しい物が、いやナナも現役なんですけどね!」

加蓮「じゃあ、ウサミン星の菜々に地球人の藍子、それを煽るナレーションの私って感じはどう? 小芝居も入れられてきっと面白いよ」

P「あ、それいただきだ!」

菜々「やーめーてー!」

藍子「あはは……。菜々さんは、その、ええと……ほ、本当に学生だった頃は、どんな感じだったんですか?」

加蓮「…………」カチッ

菜々「え、ええとですね、バイトとか、いろいろやったり……」

加蓮「部活とかってやってなかったの?」

菜々「帰宅部で、帰ったらアニメを見る感じですね!」

P「意外とイタズラっ子だってイメージがあるな」

菜々「大したことないですよ! 黒板にちょこっとお絵かきしちゃったり」

加蓮「確か学校で撮影したんだよね。久々の学校って苦労しなかった?」

菜々「いえいえっ♪ 逆にウキウキしちゃってましたね! 部活のかけ声とか制服姿とか、懐かしくて懐かしくて」

P「確か、あの時は屋上での撮影がメインだったっけ」

菜々「昼休みの屋上、憧れますね! 青春ですよ!」

加蓮「そっかー」

藍子「…………」ミアワセ

P「…………」タメイキ

加蓮「…………」ウナズキ

菜々「……ええと? 急に黙りこんじゃってどうしたんですかね?」

加蓮「うん……ごめんね菜々」

加蓮「後でネタにしていじってやろうって思って、今の録音してたんだけど……ガチすぎて、その……」

菜々「ギャー!! なんてことを! か、加蓮ちゃん、やめてください! ナナは、ナナは、17歳なんですからね!」

加蓮「うん、ごめんね……?」ロクオンショウキョ

菜々「その温かい目が逆に痛いぃぃぃ!」

P「ま、まあ、その……なんというか……色々とアレというか、これはひどいっていうか、ネタまみれっていうか……」

P「それでも、この撮影の頃から菜々の快進撃が始まったのは、本当のことなんだ」

菜々「Pさん……?」

P「2人もそれは知ってるだろ? CD発売の火付け役としては、こっちが想定していたより遥かに高い成果を出した」

P「CDだって……これでいいのか? と何度も打ち合わせをした結果だが、凄まじい売上を叩きだした」

P「それ以降も……たまにネタっぽくなるけど、だからこそたまに見せる真面目な姿がファンに受けるんだ」

P「それはやっぱり、アイドルとしての安部菜々の実力だと、俺は思う」

菜々「Pさん……!」

P「マジメな姿を見せてもキャラ崩れにならないっていうのは、それだけ菜々の真剣さが伝わってるってことだよ」

P「後になってそれが分かるようになったってのも含めて」

P「制服の撮影は、いろんな意味で印象深い仕事だな、俺にとっては」

加蓮「……そだね。菜々のLIVE、いつも歓声がスゴイもん」

藍子「総選挙でも、いつも上位になりますよね。それだけファンから愛されてるってことですよっ」

菜々「加蓮ちゃん、藍子ちゃん…………ううっ! ナナはっ……!」グシグシ

菜々「いえっ! ナナの夢は変わらず、トップアイドルですからね!」

加蓮「ふふっ。ちょっとこれは手強い相手だね」

藍子「私も、ずっと菜々さんのこと、応援していますから!」

P「菜々ならなれるさ。トップアイドル」

菜々「みなさん……ありがとうございます!」

菜々「学生でもメイドでも、Pさんといつ出会っていてもきっと何かが変わってた気がします♪」

菜々「……なんで、マジメかな! アハっ!」

――エピローグ――

加蓮「で、Pさん」

藍子「誰を選ぶか、決めましたか?」

菜々「またあの制服を着るのは抵抗ありますけど、Pさんに自慢のアイドルだって言ってもらえるなら、ナナは何度だって!」

P「……………………」

加蓮「えーっ!? まだ決められないの? いつまでも決められない男の人って嫌がられるよ?」

藍子「うぅ……こうなったら魔女の衣装を持ってきちゃいますっ」

菜々「今からまた学校に行ってみますか? もっと思い出せるかも!」

P「…………いや、あのな?」

P「怒らずに聞いてほしいんだけど……」



P「俺、そもそも歓談会に参加するつもりねえぞ?」


3人『!?』

P「いや、だってさ……参加費3000MCってあるじゃん。ほら、ここ」

P「ちょっとなぁ……今の時期に3000円は……っていうか、ちょっとだけでも金を貯めときたいんだよなぁ……」

加蓮「えー!? 何、何かあったっけ!?」

藍子「何か、お金を使うイベントとか……」

菜々「散財はよくないでしょ、Pさん!」

P「あのさ。ちょっと冷静になって思い出して欲しいんだ」

P「お前ら、アルバムデータに残る大仕事、最後にいつした?」

加蓮「え?」

藍子「ええと、アルバムに残るお仕事っていったら」

菜々「……あ!」

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安部菜々……[クリスマスウサミン]2014年11月30日に登場)

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高森藍子……[まごころプレゼント](2014年11月30日に登場)

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北条加蓮……[希望の聖夜](2014年11月30日に登場)

P「もう半年も経ったんだぞ!? Rランクの面々はもう全員次のアルバムデータ出したって言うし!」

P「おかげでちひろさんが次の仕事の話を持ってくる度にビクビクしてんだよこっちは!」

P「プロデューサーって金そんなにもらってねえんだよ! なんだったら給料明細見る? 絶対、哀れな目を向けてくることになるから!」

P「担当やってるんだからアルバムデータいらねえだろうって? アイドルそこにいるから必要ないだろうって?」

P「ふざけんな! いるに決まってんだろ!」

P「いつだって最初の3000円30%だけで引けるとは限らねえんだよ!」

P「3000円を復刻に使うくらいなら次に備えたいんだよ俺は!」

加蓮「……」

藍子「……」

菜々「……」

P「ってことで俺は不参加だ!」

P「……まあ、当時のことを思い出せたのはすげえ良かったし、楽しかったけどな!」

加蓮「……ぷっ」

藍子「くすっ」

菜々「なぁんだ、そうだったんですか!」

加蓮「なんだか変なの。でも、私も楽しかったよ」

藍子「そうですね! 次のお仕事も、今みたいに楽しくお話できるようになればいいな……♪」

菜々「仕方ないですねPさんは。じゃあナナ達ももっともっと頑張りましょうか!」

3人『オーッ!!』

P「ははっ……ありがとな、みんな」ウルッ

P「さて……ん? ああそうか、今日からアルバムガチャが新しくなったのか」

P「特別ガチャは……200円か。3000円はキツイけど200円なら、まあ、それくらいならいいか」

P「…………」ポチッ


\ 特 等 /


P「!?」

P「え……え!? 特等ってことは、SRカードデータ2枚だよな!?」

P「今回の目玉は……先輩んところの肇ちゃんか。へえ、また売り出し方を思いっきり変えてきたな」

P「……」

P「…………可愛いなぁ。先輩が入れ込むのも分か、」

ゴゴゴゴゴゴゴ......


P「!?」ゾクッ

P「…………」オソルオソル

加蓮「……………………」

藍子「……………………」

菜々「……………………」

P「」

P「……こ、これはお前たちのアルバムガチャへの幸先良いスタートで、」

おしまい。クリスマスメモリーズばんざーい!!


イメージ的にはえーけーびーなんちゃらみたいに、アイドルが現実にいるけれどそういうソーシャルゲームがある的な。

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